説明

アンモニア発酵槽、可燃性ガス製造装置およびそれらの運転方法

【課題】アンモニア発酵槽で処理した発酵資材に含まれるアンモニアの濃度を所定の値以下に抑制する装置および方法を低コストで提供する。
【解決手段】代表例として、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、受領番号NITE AP−390として寄託されたテピジミクロビウムsp ストレインHUT8118(Tepidimicrobium sp. strainHUT8118)もしくは受領番号NITE AP−391として寄託されたテピジミクロビウムsp ストレインHUT8119(Tepidimicrobium sp. strainHUT8119)と命名したバクテリアのいずれかまたは両方を混入させた発酵資材をアンモニア発酵槽に投入して所定の温度を保つ。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微生物による反応を利用したアンモニア発酵槽、可燃性ガス製造装置およびそれらの運転方法に関するものであり、アンモニア発酵槽および可燃性ガス製造装置を含むシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、ガスエンジン、ガスタービンなどの内燃機関の多くは、天然ガス、LPGまたは石油類を燃料として使用している。しかし、近年、化石燃料の高騰、各国のエネルギー戦略、省エネルギーおよび二酸化炭素排出削減などの問題から、下水汚泥、畜糞、食物性廃棄物、草木類または他の有機物の発酵などにより製造されるガスの利用が増加している。
【0003】
有機物を微生物で発酵させる技術は、古来日本が得意とする分野である。発酵資材から発生するガスは、微生物を活性化させるとは限らず、例えば、アンモニアなどはメタンガスを作り出す、いわゆるメタン菌を死滅させる性質を持っている。
【0004】
一方、アンモニアの発生量は発酵資材中に存在する窒素分の量に左右される。すなわち、発酵資材中に存在する窒素分は微生物の作用で分解され、アンモニア態窒素であるアンモニウムイオンに変化する。このアンモニウムイオンは硝酸菌等の微生物の作用により亜硝酸イオンや硝酸イオンに変化し、これらのイオンは、一酸化窒素、亜酸化窒素を経て、最終的に窒素ガスとなって放出される。この過程で発生するアンモニアがメタン発酵をつかさどる微生物に悪影響を及ぼす。
【0005】
特許文献1には、有機性廃棄物を嫌気性発酵により処理する方法で、有機性廃棄物を可溶化し、アンモニアおよび水素を生成させる第一発酵工程と、発生した水素およびアンモニアがメタン発酵を阻害しないように、これらを除去する工程と、メタン発酵処理する第二発酵工程を含むことを特徴とする有機性廃棄物の処理方法が開示されている。特許文献1においては、発酵資材中からアンモニアを除去する工程において、消石灰などのアルカリ性資材を大量に投入するとともに加熱して、アンモニアをガスとして放出させることが記載されている。すなわち、上記の方法はアルカリ性資材を添加し続ける必要がある。
【0006】
特許文献2には、有機廃棄物を発酵させてメタンガスを生成し、メタンガスから熱エネルギーおよび電気エネルギーを得るためのエネルギー変換装置を具備し、該エネルギー変換装置で得られたエネルギーを活用するメタン発酵処理システムが開示されている。
【0007】
また、非特許文献1には、アンモニア発酵槽、脱アンモニア槽および乾式メタン発酵槽を含む、脱水汚泥の乾式メタン発酵プロセスが開示されている。
【0008】
【特許文献1】特開2006−205017号公報
【特許文献2】特開2006−150159号公報
【非特許文献1】生物工学 第85巻 第4号 pp.171〜173(2007年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1および非特許文献1に示したように、従来、発酵資材である有機性廃棄物をアンモニア発酵槽で処理した後には、脱アンモニア処理を行うことが必要であった。
【0010】
しかし、特許文献1記載の脱アンモニア処理は、アルカリ性資材の添加という労力およびランニングコストの面から実用化の障害となる。また、非特許文献1記載の方法では、脱アンモニア槽を別個に設ける必要があり、運転コストの上昇が懸念される。
【0011】
本発明の目的は、アンモニア発酵槽で処理した発酵資材に含まれるアンモニアの濃度を所定の値以下に抑制する装置および方法を低コストで提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、受領番号NITE AP−390として寄託されたテピジミクロビウムsp ストレインHUT8118(Tepidimicrobium sp. strainHUT8118)もしくは受領番号NITE AP−391として寄託されたテピジミクロビウムsp ストレインHUT8119(Tepidimicrobium sp. strainHUT8119)と命名したバクテリアのいずれかまたは両方、あるいは前記バクテリアのいずれかまたは両方に加えて、テピジミクロビウム フェリフィラム(Tepidimicrobium ferriphilum)、クロストリジウム ウルツネンセ(Clostridium ultunense)、ペプトストレプトコッカセ バクテリウム19gly(Peptostreptococcaceae bacterium 19gly)、クロストリジウムsp PO(Clostridium sp. PO)、スポロアンアエロバクター アセチゲネスLup33(Sporanaerobacter acetigenes Lup33)およびアセトアンアエロバクターsp(Acetanaerobacter sp.)のうち少なくとも一種のバクテリアを含み、前記一種または複数種のバクテリアを混入させた発酵資材と、該発酵資材を投入するためのアンモニア発酵槽とを含むことを特徴とする。
【0013】
また、本発明は、上記アンモニア発酵槽を用いた可燃性ガス製造装置およびそれらの運転方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有機性窒素分を多く含む発酵資材を発酵させて可燃性ガスを得る場合のアンモニアによるメタン菌阻害を防止することができ、メタン発酵を安定させて効率よくメタンガスを発生させることができる。
【0015】
また、本発明によれば、発生したアンモニア等の臭気成分は燃焼装置で燃焼するため、悪臭の排出も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明の目的は、アンモニア発酵を効率よく行わせる特定のバクテリアを利用するとともに、そのバクテリアが最もよく活動する条件を特定したことによって達成される。
【0017】
そして、本発明は、アンモニア発酵槽内の発酵資材の保温に発酵資材自体の反応熱を極力利用せず、外部の熱を利用する温度制御手段で発酵資材を所定の温度に維持することを特徴とする。
【0018】
また、本発明は、アンモニア発酵槽に薬品を追加しないことを特徴とする。今回発見した好適なバクテリアは、本発明の重要な構成要素である。
【0019】
バイオマスと呼ばれる有機物は、代表的なものとして、畜糞、食品残渣、農産物、草木などが挙げられる。これらの有機物は、所定の条件下で加水分解処理が行われ、酪酸などの酸を生成する。この酸にメタン菌が作用すると、メタンガスが発生する。
【0020】
しかし、この過程は、比較的長時間を要し、バイオマスに含まれる窒素分から有害なアンモニアを発生する。このアンモニアは発酵槽内のメタン菌を死滅させる作用があり、メタンガスの生成を妨げる。
【0021】
そこで、従来、可燃性ガス発酵槽(ここでは、メタン発酵槽を代表例とする)でのアンモニアの発生量を少なくするために、発酵槽に投入される有機物に含まれる窒素分の量をメタン発酵槽に投入される前に少なくすることが試みられている。現状では、主な手段として窒素分を含まない発酵資材を混合して窒素分濃度を見かけ上低減して発酵槽に投入する、または多量の希釈水により見かけ上の窒素分濃度を低下させている。
【0022】
しかし、これらの方法は、いずれも処理すべき発酵資材の投入量を減らすことになり、目標とする可燃性の発生ガス量を得ることができないという大きな欠点がある。さらに、希釈水を使った窒素分濃度の調整では、可燃性ガス発酵槽から排出される残渣中の消化液を増やすことになり、消化液の処理量が増え、手段費用、運転費用ともに大幅に高くなる。
【0023】
希釈水を使わないメタン発酵方式(以下、乾式メタン発酵方式と呼ぶ)は、希釈水を使うメタン発酵方式(以下、湿式メタン発酵方式と呼ぶ)と異なり、発酵槽内のアンモニア濃度を調整するための希釈水を使わない。
【0024】
したがって、乾式メタン発酵槽だけのシステムでは、発酵資材から発生するアンモニアによるメタン菌阻害を防止するための技術的対応が必要となる。特に、窒素分を多く含む食品残渣や畜糞では、この課題の解決が急務である。
【0025】
本発明は、嫌気性メタン発酵槽の上流側に嫌気性アンモニア発酵槽を設け、発酵資材中に含まれる窒素分をアンモニアの形で除去、すなわち脱窒を行い、その後の乾式メタン発酵槽内で発生するアンモニアを少なくする、脱窒乾式メタン二段発酵システムである。本システムにより、発酵槽内のpHを最適化し、アンモニアによるメタン菌阻害を防止することが可能となった。
【0026】
本発明は、下水汚泥、畜糞、食物性廃棄物、草木類または他の有機物の発酵を効率よく行い、ガス発生量を安定させるために、アンモニア発酵槽と可燃性ガス発酵槽とを連結した可燃性ガス製造装置に関するものである。
【0027】
可燃性ガス発酵槽の上流にはアンモニア発酵槽が設けてあり、嫌気性発酵を行わせる。アンモニア発酵槽において、有機物中に含まれる窒素分は蛋白質あるいは尿酸の形で含まれることが多く、これらは酵素によって加水分解され、アンモニアになりやすい特長がある。アンモニアはメタン発酵に必要なメタン菌を阻害することが知られており、発酵資材中のアンモニア濃度が低いほど安定してメタンガスを発生する。
【0028】
メタン発酵に用いる発酵資材中のアンモニア濃度がメタン発生量にどの程度影響するかは目安となるデータがある。これによると、発酵資材中のアンモニア濃度が3500mg/kg以下にすることがメタン発酵に好適である。
【0029】
そこで、本発明では、発酵資材中の窒素分をアンモニア態として除去し、次の可燃性ガス発酵槽内においてアンモニア濃度が3500mg/kg以下、すなわち0.35%以下になるようにアンモニア発酵槽における滞留時間を制御する。
【0030】
また、本発明では、アンモニア発酵に好適なバクテリアの特定を行った。その結果、二種が好適であることが判明した。そこで、これら二種のバクテリアについてそれぞれ、テピジミクロビウムsp ストレインHUT8118(Tepidimicrobium sp. strainHUT8118)およびテピジミクロビウムsp ストレインHUT8119(Tepidimicrobium sp. strainHUT8119)と命名した。そして、これら二種のバクテリアを独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託し、それぞれ、受領番号NITE AP−390、NITE AP−391を受けた。これらは鶏糞および消化汚泥由来のバクテリアである。
【0031】
本発明によるアンモニア発酵に好適なバクテリアは上記の二種に限定されるわけでなく、上記二種のバクテリアと近縁のテピジミクロビウム フェリフィラム(Tepidimicrobium ferriphilum)、クロストリジウム ウルツネンセ(Clostridium ultunense)、ペプトストレプトコッカセ バクテリウム19gly(Peptostreptococcaceae bacterium 19gly)、クロストリジウムsp PO(Clostridium sp. PO)、スポロアンアエロバクター アセチゲネスLup33(Sporanaerobacter acetigenes Lup33)およびアセトアンアエロバクターsp(Acetanaerobacter sp.)も有効である。これらのバクテリアも鶏糞および消化汚泥の中に生息していることが多い。
【実施例1】
【0032】
図1に本発明によるアンモニア発酵槽の概略構成図を示す。
【0033】
アンモニア発酵槽120の内部は、鉛直方向に複数の段に分けてある。そして、アンモニア発酵槽120は、その下部において発酵資材102、116を混合してアンモニア発酵槽120外に搬送する攪拌搬送手段109と、攪拌された発酵資材102をアンモニア発酵槽120上段に搬送する搬送手段110、119、112と、各段に収容された発酵資材102、116を均等に堆積させるためのローラー114、105と、発生したアンモニアガスをアンモニア発酵槽120外に排出する排気口111とを具備している。
【0034】
発酵資材は、各段に102、116のように滞留するようになっている。一定時間発酵した段階で、各段の発酵資材102、116は、矢印118に示すように下部108に落下させて集められ、攪拌搬送手段109で攪拌・混合された後、搬送手段110、119、112を介して再びアンモニア発酵槽120の導入口101まで持ち上げられる。導入口101に持ち上げられた発酵資材は再び各段に分配される。
【0035】
更に発酵が進んだ段階で、発酵資材102、116は、再び下部108に集められ、混合搬送されてアンモニア発酵槽120最上部に再度持ち上げられる。このような過程を繰り返し行うことで、発酵資材102、116、108中の窒素分は、均等にアンモニアに変化して、排気口111からアンモニア発酵槽120外に排出される。
【0036】
アンモニア発酵槽120で窒素分を減少させた発酵資材102、116、108は、次の発酵段階であるメタン発酵槽に移送される。なお、各段の発酵資材102、116を下部108に集める際は、各段の床面103、115、106、117が104、107に示すように、下方に開いて発酵資材102、116を自由落下させる。当然、この自由落下過程でも混合が行われることになる。発酵資材108は再びアンモニア発酵槽120最上部に持ち上げられて、導入口101を介してアンモニア発酵槽120内に投入される。なお、発酵資材102、116を一様な厚みにするためにローラー114、105で平らにすることができる。
【0037】
ここで、発酵資材を自由落下させる手段を自由落下手段と呼び、攪拌搬送手段109および搬送手段110、119、112を機械的攪拌手段と呼ぶことにする。これらが発酵資材の混合手段を構成する。
【0038】
一般に、好気性発酵においては、アンモニア発酵と同時に発酵資材中の有機物も反応してしまう。有機物が反応することは、アンモニア発酵の後に行われるメタン発酵において発生する可燃性ガス量を減らすことになり、メタン発酵による可燃性ガスの製造という目的に合致しない。
【0039】
そこで、本発明では嫌気性発酵を行わせ、主にアンモニア発酵だけを行うため、嫌気性アンモニア発酵に好適な微生物の探索を行い、図4の系統樹に示すバクテリアを特定した。
【0040】
すなわち、テピジミクロビウム フェリフィラムsp.91(Tepidimicrobium ferriphilum sp.91)の16S rDNA 塩基配列との比較を行い、培養温度65℃の場合に93%の相同性が得、培養温度55℃の場合に92%の相同性を得る、アンモニア発酵に好適な二種のバクテリアである。以下、このバクテリアのうち、前者をour bacterium 2(Tepidimicrobium sp. strainHUT8118)、後者をour bacterium 1(Tepidimicrobium sp. strainHUT8119)と呼ぶ。そして、これら二種のバクテリアを独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに寄託し、それぞれ、受領番号NITE AP−390、NITE AP−391を受けた。上記センターの受領日はともに、2007年8月3日である。
【0041】
このほか、アンモニア発酵槽120は、例えば、テピジミクロビウム フェリフィラム(Tepidimicrobium ferriphilum)、クロストリジウム ウルツネンセ(Clostridium ultunense)、ペプトストレプトコッカセ バクテリウム(Peptostreptococcaceae bacterium 19gly)、クロストリジウム(Clostridium sp. PO)、スポロアンアエロバクター アセチゲネス(Sporanaerobacter acetigenes Lup33)およびアセトアンアエロバクター(Acetanaerobacter sp.)等を含んでもよい。
【0042】
図5-1、図5-2、図5-3および図5-4にour bacterium 1(発酵温度55℃)およびour bacterium 2(発酵温度65℃)によるアンモニア発酵試験の結果を示す。
【0043】
図5-1は、発酵温度とアンモニア発酵槽内のpHの変化を示したものである。横軸に日数、縦軸にpH(水素イオン濃度)をとって示してある。
【0044】
アンモニア発酵に適した発酵槽内pHはアルカリ領域であり、pH8からpH8.5が望ましい。この観点から結果を見ると、発酵温度を55℃および65℃に制御した場合は、ほぼこの領域を満足するが、発酵温度を75℃以上にした場合、7日目以降、pHが下がって中性に近づいてくる。
【0045】
したがって、発酵温度は55℃および65℃を含む温度が望ましく、アンモニア発酵槽内の発酵資材の滞留時間は6日以内である望ましいことわかる。また、アンモニア発酵槽内のpHは7.5以上であることが望ましい。
【0046】
本発明では、基本的には、脱アンモニア槽を用いず、アルカリ性資材などの薬剤を連続的に使用する必要がないため、労力およびランニングコストの面から非常に有利である。ただし、アンモニア発酵槽内のpHが突発的に7.5未満に低下してしまった場合、アルカリ性資材をアンモニア発酵槽内に投入して適切なpHに高めることは有効である。
【0047】
図5-2は、鶏糞を発酵資材として本発明のバクテリアを使った場合の発酵試験の結果を示したものである。横軸に日数、縦軸に鶏糞1g当たりの全ガス発生量をとって示してある。
【0048】
発酵温度55℃および65℃において発酵時間とともに発生ガス量は増加しているのがわかる。この図中には示していないが、発酵温度75℃および85℃の場合、ほとんどガスが発生しないことがわかった。
【0049】
図5-3および図5-4には、鶏糞を発酵資材として本発明のバクテリアを使った場合の発酵試験におけるCOおよびHの発生量の変化を示している。横軸に日数、縦軸に鶏糞1g当たりのガス発生量をとって示してある。
【0050】
本図において、発酵温度55℃および65℃で顕著なガス発生を確認できた。すなわち、発酵温度は、55℃および65℃を含み、かつ75℃より低い温度が望ましいことがわかった。
【0051】
図6には、鶏糞を発酵資材として本発明のバクテリアを用いた場合において、嫌気性発酵条件および好気性発酵条件の下でアンモニア発生試験を行った結果を示す。発酵温度は55℃に設定した。(a)、(b)および(c)はそれぞれ、アンモニア生成量、pHおよび含水率の変化を示したものである。(a)のグラフの縦軸は、湿潤状態の鶏糞1kg当たりのアンモニア生成量である。また、(a)、(b)および(c)すべてにおいて、横軸は培養時間である。
【0052】
本発明は、メタン発酵におけるアンモニアによるメタン菌阻害を防止できる程度にアンモニア発酵で前処理を行い、アンモニアを除去することを目的としている。また、発酵資材の処理速度および有機物のメタン化の観点から、アンモニア発酵では、可能な限り短い時間に多量のアンモニアを発生させることが望ましい。
【0053】
本図から、好気性発酵条件に比べて嫌気性発酵条件の方が、アンモニア生成量を長時間にわたって高く維持することができることがわかる。これは嫌気性発酵の方がアンモニア除去に関して有利であることを示している。
【0054】
一方、pHに関しては、発酵時間が長い場合、嫌気性発酵の方が、アルカリ性領域から中性領域に移行する傾向がある。メタン発酵では、発酵資材が中性であることが望ましく、本図に示した結果は望ましいものである。
【0055】
また、含水率に関しては、どちらの発酵条件においても発酵時間4日(96時間)程度では初期状態と変化しないことがわかる。
【0056】
これらの結果から、アンモニア発酵には嫌気性発酵が好適であり、4日程度が望ましいことがわかる。
【実施例2】
【0057】
図2は本発明による実施例2を示す可燃性ガス製造システムの概略構成図である。本図は、発生する可燃性ガスを燃焼装置の燃料に用いた例である。ここでは、代表的な可燃性ガスとしてメタンが発生する、いわゆるメタン発酵槽を例に挙げているが、メタン発酵に限ったものではない。ここで発生するメタンガスは、炭酸ガスなど、発酵過程で微生物が排出する不燃性ガスを含んでいる。
【0058】
本システムは、発酵資材1が最初に投入されるアンモニア発酵槽2と、発酵資材1をアンモニア発酵槽2で窒素分を除去した後に投入されるメタン発酵槽4と、アンモニア発酵槽2およびメタン発酵槽4の内部の発酵資材1を加温するための加温手段5と、メタン発酵後にメタン発酵槽4内から排出される発酵残渣6を消化液8と固形分9とに分離する固液分離機7と、消化液8を浄化するための消化液浄化手段10と、固形分9を乾燥する固形分乾燥手段12と、乾燥後の固形分を炭化する炭化炉13と、炭化過程で発生する乾留ガスを燃焼する燃焼装置15と、燃焼ガスの持つ熱を回収する熱回収ボイラー16と、メタン発酵ガスを貯蔵するメタンガス貯蔵タンク17とを含む。
【0059】
そして、発生したメタンガスの利用手段として、燃焼装置18および排熱回収装置19を有し、排気塔20から排気を放出する。
【0060】
アンモニア発酵槽2およびメタン発酵槽4は、発酵資材1の温度を制御する温度制御手段を有する。ここで、温度制御手段は、発酵資材1を加温するための加温手段5を含む。
【0061】
なお、燃焼装置15および18は、広義のエネルギー変換装置であり、ここで発生する熱エネルギーを、アンモニア発酵槽2およびメタン発酵槽4の温度制御手段の熱源として利用することもできる。
【0062】
アンモニア発酵槽2の上部には排気口3が設けてあり、発生したアンモニアガスを排出するようになっている。排気口3を燃焼装置15または18に接続し、燃焼装置15または18にアンモニアガスを導入して焼却・分解してもよい。これにより、悪臭の発生を防止することができる。
【0063】
また、アンモニア発酵槽2で発生するアンモニアガスを水素源として回収し、水素エネルギーシステムのエネルギー源としてもよい。
【0064】
なお、発酵資材1によっては、発生するメタン発酵ガス内に有害な物質が含まれ、装置を損傷する恐れがある。その場合は、発生したメタン発酵ガスを精製して有害な物質を取り除く手段を備える場合もある。
【0065】
7は固液分離機である。10は消化液浄化手段であり、回流水槽となっている。ここで、回分式の活性汚泥曝気処理を行う。消化液浄化手段10は、メタン発酵処理後の消化液8を低コスト、かつ簡便な操作で浄化することを目指したもので、一つの消化液浄化手段10に二台の曝気手段51を備え、一日単位の消化液をバッチ式で処理するものである。消化液浄化手段10は消化液8の残渣を除去する砂濾床11、排水を希釈する希釈槽(図示せず)を付設してもよい。
【0066】
従来の汚水浄化槽は、構成の複雑さから、イニシャルコスト、ランニングコストともに高額であったが、本システムでは、あらかじめアンモニア発酵槽2において発酵資材1中の窒素分を除去し、メタン発酵槽4内から排出される発酵残渣6を、消化液8と固形分9とを分離するため、消化液8の浄化は容易であり、1つの消化液浄化手段10で浄化を可能としている。
【0067】
乾式メタン発酵槽4から排出された発酵残渣6を固液分離した後の固形分9の含水率は50〜60%程度となる。固形分乾燥手段12では、含水率の高い固形分9を300℃以上の雰囲気で乾燥し、その後の炭化を容易にする。固形分9から発生する水蒸気55は固形分乾燥手段12の外部に放出する。また、固形分9から発生する粉塵はサイクロン56で回収する。
【0068】
本システムの場合、発酵残渣6の固液分離による固形分9の含水率以上に低くする必要がなく、固液分離機7に要求される投入エネルギーも少なくて済む。ここで回収したエネルギーは、乾式メタン発酵槽4内の発酵資材の加温に使用される。
【0069】
炭化炉13は内部自己加熱式である。炭化炉13の内部は、600〜900℃雰囲気であり、固形分9を固形分乾燥手段12で乾燥した後に炭化するものである。ここで発生する乾留ガス(CO、HO、CH等)および炭化物52は、この乾留ガスは、燃焼装置15で燃焼する。このとき発生する熱を熱交換器16で回収し、加温手段5の熱源としている。加温手段5の熱は、アンモニア発酵槽2およびメタン発酵槽4の加熱に使うことができる。炭化炉13で発生する乾留ガスの一部53は、固形分乾燥手段12に還流され、熱源として利用される。
【0070】
以上のように、炭化炉13および燃焼装置15では、発酵残渣6由来の固形分9からもエネルギーを回収し、かつ固形分9の容積を20〜30%以下に減容することができる。
【0071】
灰分14は、本システムから発生する最終物であるが、融雪材などの有価物に利用可能であり、非常に取扱いやすいものである。
【0072】
熱交換器16熱回収された排気54は、排気塔20から排出される。
【0073】
メタン発酵槽4から排出される発酵残渣6は消化液8と固形分9とに分離され、消化液8は消化液浄化手段10において回分式活性汚泥曝気方式により浄化される。
【0074】
消化液8が生物処理に向いているかどうかは、生物化学的酸素要求量(BOD)、化学的酸素要求量(COD)または全有機炭素量(TOC)で判断されるが、BODの濃度が高い場合、生物処理に向いていると判断される。
【0075】
本システムにおいては、アンモニア発酵槽2で窒素分を除去するため、水質汚濁防止法に基づく排水放流の基準を生物処理によりほぼ達成できる。凝集材の使用が必要となるのは例外的な場合である。
【0076】
本発明のアンモニア発酵槽2を用いて窒素分を取り除くことにより、従来技術において非常に多額となっていた水処理費用を少なくすることができる。
【0077】
バイオマスメタン発酵に限らず、エネルギー品質レベルの低い物質を高品質のエネルギーに変換した場合、変換された単位エネルギーあたりの価格が高くなる傾向がある。このため、バイオマスである発酵資材1から可能な限りのエネルギーを回収するシステムを構築することが望まれる。本システムは、発酵残渣6由来の固形分9からエネルギーを回収するとともに減容を行うことができるものである。
【0078】
発酵資材1としては、窒素分が多く含まれる食品残渣および畜糞でもよく、特に、畜糞のうち、従来、発酵が難しいとされている鶏糞に対しても、本発明は非常に有効である。
【0079】
本システムの技術的特徴は、発酵資材1中に含まれる窒素分の多少にかかわらず、様々な有機物を効率よく分解し、安定して可燃性ガスを生成することができる。
【0080】
メタン発酵槽4から取り出される発酵残渣6は、消化液8と固形分9とに分離される。消化液8は、消化液浄化手段10の回分式活性汚泥曝気槽を用いて生物処理した後、水質汚濁防止法に定める基準を満足するようにして放流する。固形分9は、炭化炉13を用いて更にエネルギーの回収および減容を行い、残った炭化物は融雪材等の有価物として利用することができる。
【0081】
図2に示す本実施例においては、アンモニア発酵槽2は嫌気性発酵槽であり、縦型である。本図において、アンモニア発酵槽2は上段、中段および下段の三段に分けてある。発酵資材1は所定の時間間隔で各段に落下させて混合する。アンモニア発酵槽2内の発酵資材1は、外部熱源、例えば乾留ガス燃焼装置15から得られる熱によって加温され、発酵温度を一定に制御している。
【0082】
アンモニア発酵槽2内に発酵資材1を4日間滞留させて発酵資材1中の窒素分のうち70〜80%をアンモニアに変化させて脱窒する。アンモニア発酵に関わる微生物群の解析を行うともに、アンモニア発酵を効率よく行うためのアンモニア発酵槽2の構造検討を行った。その結果、発酵資材1の滞留時間が4日の場合に、アンモニア生成率85%、カーボン類減少率15%を達成することができた。
【0083】
この条件でメタン発酵を行った結果、発酵資材トン当たり80〜100mのメタン発酵ガスを得ることができた。アンモニア発酵槽2におけるアンモニア除去の結果、後段のメタン発酵槽4内のアンモニア濃度は0.35%以下で、アンモニアによるメタン菌阻害を防止することができた。
【0084】
メタン発酵槽4は嫌気性乾式である。メタン発酵槽4にはパドル式攪拌機が内蔵されている。常時、発酵資材1の一部をメタン発酵槽4から加温手段5に移送して、熱交換を行い、メタン発酵槽4内部の温度を一定に制御している。
【0085】
所定の時間間隔でメタン発酵槽4内の発酵資材1の分析を行い、メタン発酵槽4内の発酵資材1が望ましい条件、すなわちpH8前後およびアンモニア濃度3500mg/kg以下になるように、発酵資材1の投入割合、投入量を制御して効率よくメタンガスを発生させた。これにより、エネルギー変換効率が、メタン発酵槽4への投入エンタルピーを基準として75%以上という非常に高い変換効率を実現した。
【0086】
ここで、エネルギー変換効率は、発酵資材1の持つ全エンタルピーに対する、メタン発酵で得られる可燃性ガスのエンタルピーおよび残渣を乾留して得られるエンタルピーの和である。
【0087】
以下、本発明の嫌気性アンモニア発酵槽について述べる。
【0088】
図2において、発酵資材1が嫌気性のアンモニア発酵槽2に送り込まれ、数日間をアンモニア発酵槽2内に滞留させる。この間、アンモニア発酵に最適な温度環境にするために、加温手段5などから供給される熱によって発酵資材1を所定温度に加温し、アンモニア発酵を促進する。
【0089】
発酵資材1をアンモニア発酵槽2からメタン発酵槽4または外部に移送する手段を発酵資材移送手段と呼ぶ。
【0090】
本発明によるシステムは、希釈水を使った湿式発酵システムと異なり、消化液8の排出量が大幅に少なく、この後に備える消化液浄化手段10の容量も大幅に小さくなり、経済効果が非常に大きいとともに、商用化の場合の運用も単純で普及しやすいと考える。
【実施例3】
【0091】
図3に本発明による実施例3の可燃性ガス製造システムを示す。符号の多くは、図2と同様である。図2と異なる点は、メタン発酵槽4から発生するメタンガスをガスエンジン21の燃料として使う点である。この場合、ガスエンジン21による機械的エネルギーを得ることができる。そして、その機械的エネルギーを利用して発電を行い、電気エネルギー25を得ることができる。また、メタンガスの燃焼による熱エネルギー24も得ることができる。以上のように、メタンガスから機械的エネルギー、電気エネルギーおよび熱エネルギーを得る装置をエネルギー変換装置と呼ぶ。
【0092】
このエネルギー変換装置で発生する電気エネルギーまたは熱エネルギーを、アンモニア発酵槽2およびメタン発酵槽4の温度制御手段の熱源として利用することもできる。
【0093】
また、ガスエンジン21の排気から熱回収を行う排熱回収装置22を設置することも可能である。これらの排熱をアンモニア発酵槽2およびメタン発酵槽4の加温に利用することもできる。さらに、ガスエンジン21の排気は温室23の加温熱源または二酸化炭素源としても利用できる。
【0094】
なお、本実施例では、ガスエンジン21によるエネルギー変換装置を説明したが、ガスエンジン21の代わりに燃料電池を用いても、同様のエネルギー変換を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】本発明による実施例1を示すアンモニア発酵槽の概略構成図である。
【図2】本発明による実施例2を示す可燃性ガス製造システムの概略構成図である。
【図3】本発明による実施例3を示す可燃性ガス製造システムの概略構成図である。
【図4】本発明のバクテリアの系統樹である。
【図5−1】本発明によるアンモニア発酵槽におけるpHの測定結果を示すグラフである。
【図5−2】本発明によるアンモニア発酵槽において発生する全ガス量の測定結果を示すグラフである。
【図5−3】本発明によるアンモニア発酵槽において発生する二酸化炭素量の測定結果を示すグラフである。
【図5−4】本発明によるアンモニア発酵槽において発生する水素量の測定結果を示すグラフである。
【図6】鶏糞の発酵によるアンモニア発生試験の結果を示すグラフである。
【符号の説明】
【0096】
1…発酵資材、2…アンモニア発酵槽、3…排気口、4…メタン発酵槽、5…加温手段、6…発酵残渣、7…固液分離機、8…消化液、9…固形分、10…消化液浄化手段、11…砂濾床、12…固形分乾燥手段、13…炭化炉、14…灰分、15…燃焼装置、16…熱交換器、17…メタンガス貯蔵タンク。
【配列表フリーテキスト】
【0097】
配列番号1:テピジミクロビウム(Tepidimicrobium sp. strainHUT8118)菌株の16S rDNAの塩基配列(1457bp):
GACGAACGCTGGCGGCGTGCCTAACACATGCAAGTCGAGCGAGGGATTTATGACGGATTCCTTCGGGATGAAGACATAAATCACCTAGCGGCGGACGGGTGAGTAACGCGTGAGGAACCTACCTCCTACAAGGGGATAGCCTCGGGAAACTGGGATTAATACCCTATGACACTTAAGGATCGCATGATCTTTAGGTTAAAGCGATATAGCGGTAGGAGATGGCCTCGCGTCCCATTAGCTAGTTGGTGAGGTAACGGCTTACCAAGGCGACGATGGGTAGCCGGCCTGAGAGGGTGAACGGCCACACTGGAACTGAGACACGGTCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGCGAAAGCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGCGAAGAAGGCCTTCGGGTCGTAAAGCTCTGTCCTATGGGACGATAATGACGGTACCATAGGAGGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCGAGCGTTGTCCGGAATTACTGGGCGTAAAGGGTACGCAGGCGGCTAGGTAAGTCAGATGTGAAATCCATGGGCTCAACCCATGTAAGCATTTGAAACTGCTTAGCTTGAGTTAAGGAGAGGAAAGTGGAATTCCTGGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATCAGGAGGAATACCAGTGGCGAAGGCGACTTTCTGGCCTTAAACTGACGCTGAGGTACGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAGTGCTAGGTGTCGGGGGTTTAACCTTCGGTGCCGCAGTTAACACATTAAGCACTCCGCCTGGGGAGTACGTTCGCAAGAATGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGACCCGCACAAGCAGCGGAGCATGTGGTTTAATTCGATGCAACGCGAAGAACCTTACCAGGGCTTGACACCCCTCTGCCGGGACTAGAGATAGTCCTTTCCCTTCGGGGACGGAGGAGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTGCCTTTAGTTGCCAGCACTTTAGGTGGGCACTCTAGAGGGACTGCCGATGACAAATCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCGAATCGTCATGCCCTTTATGTCCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGTCGGTACAACGGGTAGCAAGCGAGCGATCGTGAGCCAATCCCTAAAAGCCGATCTCAGTTCGGATTGCAGGCTGCAACTCGCCTGCATGAAGTCGGAGTTGCTAGTAATCGCGGATCAGCATGCCGCGGTGAATGCGTTCCCGGGTCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGGGAGTTAGCAATACCCGAAGCCAGTGAGCTAACCTTAAAGGGGGCAGCTGTCGAAGGTAGGGCTAATGACTGGGGTG
配列番号2:テピジミクロビウム(Tepidimicrobium sp. strainHUT8119)菌株の16S rDNAの塩基配列(1460bp):
GACGAACGCTGGCGGCGTGCCTAACACATGCAAGTCGAGCGAAGTGCTTTAAGTGGAATCCTTCGGGAGGAAACTTGAAGCGCTTAGCGGCGGACGGGTGAGTAATACGTGAGGAACCTACCTTCCACAAGGGGATAGCCTCGGGAAACCGGGATTAATACCCTATGACACCTAAGAGTCGCATGATACCTAGGTTAAAGCGAATTAGCGGTGGGAGATGGCCTCACGTCCCATTAGCTAGTTGGTGAGGTAACGGCTCACCAAGGCGACGATGGGTAGCCGGCCTGAGAGGGTGACCGGCCACACTGGGACTGAGACACGGCCCAGACTCCTACGGGAGGCAGCAGTGGGGAATATTGCACAATGGGCGAAAGCCTGATGCAGCGACGCCGCGTGAGCGAAGAAGGCCTTCGGGTCGTAAAGCTCTGTCCTATGGGAAGATAATGACGGTACCATAGGAGGAAGCCCCGGCTAACTACGTGCCAGCAGCCGCGGTAATACGTAGGGGGCGAGCGTTGTCCGGAATGACTGGGCGTAAAGGGTACGTAGGCGGCTGAGTAAGTCAGATGTGAAAGTCTAGGGCTCAACCCTAGTGAGCATTTGAAACTGCTTAGCTTGAGTCGAGGAGAGGAAGGTGGAATTCCTGGTGTAGCGGTGAAATGCGTAGATATCAGGAGGAATACCAGTGGCGAAGGCGACCTTCTGGCCTTGGACTGACGCTGAGGTACGAAAGCGTGGGGAGCAAACAGGATTAGATACCCTGGTAGTCCACGCCGTAAACGATGAGTGCTAGGTGTCGGGGGAGATATCCTTCGGTGCCGAAGTTAACACATTAAGCACTCCGCCTGGGGAGTACGGTCGCAAGACTGAAACTCAAAGGAATTGACGGGGACCCGCACAAGCAGCGGAGCATGTGGTTTAATTCGATGCAACGCGAAGAGCCTTACCAGGGCTTGACATCCCTCTGACCGGTGTAGAGATACACCCTTCTTCCTTCGGGAAGACAGAGGAGACAGGTGGTGCATGGTTGTCGTCAGCTCGTGTCGTGAGATGTTGGGTTAAGTCCCGCAACGAGCGCAACCCTTGCCTCTAGTTGCCAGCACTTTGGGTGGGCACTCTAGAGGGACTGCCGGCAAAAAGTCGGAGGAAGGTGGGGATGACGTCAAATCATCATGCCCTTTATGTCCTGGGCTACACACGTGCTACAATGGTCGGTACAAAGGGCAGCGACCTAGCGATAGGAAGCGAATCCCAAAAAGCCGATCTCAGTTCGGATTGCAGGCTGCAACTCGCCTGCATGAAGCCGGAGTTGCTAGTAATCGCGGATCAGCATGCCGCGGTGAATACGTTCCCGGGTCTTGTACACACCGCCCGTCACACCATGGGAGTCAGCAATGCCTGAAGCCAGTGAGCTAACCGTAAGGGGGCAGCTGTCGAAGGCAGGGCTGATGACTGGGGTG

【特許請求の範囲】
【請求項1】
独立行政法人製品評価技術基盤機構特許微生物寄託センターに、受領番号NITE AP−390として寄託されたテピジミクロビウムsp ストレインHUT8118(Tepidimicrobium sp. strainHUT8118)と命名したバクテリア、受領番号NITE AP−391として寄託されたテピジミクロビウムsp ストレインHUT8119(Tepidimicrobium sp. strainHUT8119)と命名したバクテリア、テピジミクロビウム フェリフィラム(Tepidimicrobium ferriphilum)、クロストリジウム ウルツネンセ(Clostridium ultunense)、ペプトストレプトコッカセ バクテリウム19gly(Peptostreptococcaceae bacterium 19gly)、クロストリジウムsp PO(Clostridium sp. PO)、スポロアンアエロバクター アセチゲネスLup33(Sporanaerobacter acetigenes Lup33)およびアセトアンアエロバクターsp(Acetanaerobacter sp.)のうち少なくとも一種のバクテリアを含み、前記一種または複数種のバクテリアを混入させた発酵資材を投入するための容器と、該発酵資材の温度を制御する温度制御手段とを含むことを特徴とするアンモニア発酵槽。
【請求項2】
前記アンモニア発酵槽が嫌気性発酵槽であることを特徴とする請求項1記載のアンモニア発酵槽。
【請求項3】
前記アンモニア発酵槽から前記発酵資材を外部に移送する発酵資材移送手段を有することを特徴とする請求項1または2に記載のアンモニア発酵槽。
【請求項4】
前記発酵資材の混合手段が、自由落下手段および機械的攪拌手段を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のアンモニア発酵槽。
【請求項5】
前記アンモニア発酵槽で発生する臭気成分を焼却するための燃焼装置を有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のアンモニア発酵槽。
【請求項6】
発生するアンモニアを水素源として回収する手段を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のアンモニア発酵槽。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれかに記載のアンモニア発酵槽と、前記アンモニア発酵槽から移送された前記発酵資材を更に発酵させて可燃性ガスを取り出す可燃性ガス発酵槽とを含むことを特徴とする可燃性ガス製造装置。
【請求項8】
前記アンモニア発酵槽と前記可燃性ガス発酵槽とが直結してあることを特徴とする請求項7記載の可燃性ガス製造装置。
【請求項9】
前記可燃性ガスから機械的エネルギー、電気エネルギーまたは熱エネルギーを取り出すエネルギー変換装置を含むことを特徴とする請求項7または8に記載の可燃性ガス製造装置。
【請求項10】
前記アンモニア発酵槽の温度制御手段が、前記エネルギー変換装置からの電気エネルギーまたは熱エネルギーを利用することを特徴とする請求項9記載の可燃性ガス製造装置。
【請求項11】
前記アンモニア発酵槽から発生する臭気成分を、前記エネルギー変換装置に導いて除去することを特徴とする請求項7〜10のいずれかに記載の可燃性ガス製造装置。
【請求項12】
請求項7〜11のいずれかに記載の可燃性ガス製造装置と、前記可燃性ガス発酵槽から排出された発酵残渣を消化液と固形分とに分離する固液分離手段とを含むことを特徴とする可燃性ガス製造システム。
【請求項13】
前記消化液を浄化するための消化液浄化手段を含むことを特徴とする請求項12記載の可燃性ガス製造システム。
【請求項14】
前記固形分を乾燥する固形分乾燥手段を含むことを特徴とする請求項12または13に記載の可燃性ガス製造システム。
【請求項15】
前記固形分乾燥手段により乾燥した前記固形分を炭化する炭化炉と、該炭化炉から発生する乾留ガスを燃焼する燃焼装置とを含むことを特徴とする請求項12〜14のいずれかに記載の可燃性ガス製造システム。
【請求項16】
前記可燃性ガス製造装置から得られた前記可燃性ガスを貯蔵する可燃性ガス貯蔵タンクを含むことを特徴とする請求項12〜15のいずれかに記載の可燃性ガス製造システム。
【請求項17】
請求項1〜6のいずれかに記載のアンモニア発酵槽の運転方法であって、前記発酵資材の温度を、常温より高く、かつ75℃より低く保つことを特徴とするアンモニア発酵槽の運転方法。
【請求項18】
請求項1〜6のいずれかに記載のアンモニア発酵槽の運転方法であって、前記発酵資材のpHが7.5未満になった時には、前記アンモニア発酵槽から前記発酵資材を外部に移送することを特徴とするアンモニア発酵槽の運転方法。
【請求項19】
請求項1〜6のいずれかに記載のアンモニア発酵槽の運転方法であって、前記アンモニア発酵槽内の前記発酵資材の滞留時間を6日以内としたことを特徴とするアンモニア発酵槽の運転方法。
【請求項20】
請求項7〜11のいずれかに記載の可燃性ガス製造装置の運転方法であって、前記アンモニア発酵槽内の発酵資材中のアンモニア濃度が3500mg/kg以下になった時にアンモニア発酵槽内での滞留を終了し、該発酵資材を前記可燃性ガス発酵槽に移送するように制御することを特徴とする可燃性ガス製造装置の運転方法。
【請求項21】
請求項7〜11のいずれかに記載の可燃性ガス製造装置の運転方法であって、前記アンモニア発酵槽内の前記発酵資材の滞留時間を6日以内としたことを特徴とする可燃性ガス製造装置の運転方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図5−4】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−50170(P2009−50170A)
【公開日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−217301(P2007−217301)
【出願日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【出願人】(000233044)株式会社日立エンジニアリング・アンド・サービス (276)
【出願人】(504136568)国立大学法人広島大学 (924)
【Fターム(参考)】