アームレスト
【課題】アッパカバーに対して左右方向にねじるような押圧荷重がかかっても、当該アッパカバーがロアカバーに対して円滑にスライドできるようにする。
【構成】スライドレール11内を転動するようにロアカバー4に枢着されたローラーを、前後スライド方向に3組それぞれ配設し、中央部ローラー8をスライドレールの下壁側ライナー部11cに当接させ、前部側ローラー9および後部側ローラー7をスライドレール11の上壁側ライナー部11bに当接することによって、各ローラー7、8、9がスライドレール11内を転動し、且つ、ロアカバー4に、3組のローラー7、8、9にそれぞれ隣接する状態でスライドレール11内に挿入される下向き規制片12及び上向き規制片13を形成し、両規制片12、13がスライドレール11内において突っ張ることによって各ローラー7、8、9のスライドレール11に対する押圧荷重を緩和するように構成した。
【構成】スライドレール11内を転動するようにロアカバー4に枢着されたローラーを、前後スライド方向に3組それぞれ配設し、中央部ローラー8をスライドレールの下壁側ライナー部11cに当接させ、前部側ローラー9および後部側ローラー7をスライドレール11の上壁側ライナー部11bに当接することによって、各ローラー7、8、9がスライドレール11内を転動し、且つ、ロアカバー4に、3組のローラー7、8、9にそれぞれ隣接する状態でスライドレール11内に挿入される下向き規制片12及び上向き規制片13を形成し、両規制片12、13がスライドレール11内において突っ張ることによって各ローラー7、8、9のスライドレール11に対する押圧荷重を緩和するように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンソールボックスの上部に設けられて前後スライド可能に構成されるアームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
コンソールボックスは、例えば自動車の運転席と助手席の間に設置されている。かかるコンソールボックスの上部に設けられるアームレストは、乗員の腕を乗せるようになすとともに、ヒンジを介して揺動可能に構成して小物などを収納するコンソールボックスの開口部を開閉できるように構成している。
【0003】
そして、アームレストは、乗員の腕を乗せる位置が乗員の着座位置や体格などに応じて前後に変化させるように、コンソールボックスの上部において乗員に対して車体前後にスライドできるようになっている。かかる点から、アームレストは、コンソールボックスの上部に固定するロアカバーと、ロアカバーの上側にスライド可能に取付けられるアッパカバーとを有し、乗員の腕を乗せる側のアッパカバーをロアカバーに対して前後にスライドさせるように構成されている。
【0004】
従来におけるこの種のアームレストは、ロアカバーに配した左右一対のサイドレールの内部に左右方向へ移動自在なライナーを収納し、このライナーにアッパカバーに固定したスライダーの左右両縁部を摺動自在に係合させ、スライダーの左右両縁部とライナーとの間に安定した摺動抵抗を付与し且つ部品間の寸法誤差を吸収するに必要な付勢力を与える手段として、ライナーとサイドレールとの間でライナーを左右方向内側へ直接付勢するバネ部材を配設して構成している(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−254881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように構成した従来のアームレストは、必要な弾性変形ストロークを得るためにバネ部材自体の上下寸法を大きくする必要がなく、アームレストの全体的な上下寸法を小さくすることができるものである。
【0007】
しかしながら、この種のアームレストは、コンソールボックスに対応して通常前後方向に長寸法に構成されていることから、乗員の腕などにより生じる押圧荷重によって左右方向に捩じれてしまうことがあり、かかる捩じれによってアッパカバーがサイドレール内において傾いた状態で摺動してしまうことになる。
【0008】
かかる点からすると、上記従来の技術に係るアームレストは、バネ部材によってスライダーの左右両縁部とライナーとの間に安定した摺動抵抗を付与したとしても、上記した左右方向の捩じれにより傾いたまま摺動したような場合には、バネ部材がサイドレール内において面接触状態となっていることと相俟って、摺動抵抗をより高めることとなってスライド操作荷重を高めてしまう結果となる。
【0009】
そこで、この発明は、上記従来の技術における課題に鑑み、アッパカバーに対して左右方向にねじるような押圧荷重がかかった場合であっても、当該アッパカバーがロアカバー円滑にスライドできるように構成したアームレストを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るアームレストは、コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着されたローラーを、前後スライド方向に3組それぞれ配設して、これら3組のローラーのうち、前後スライド方向における中央部ローラーをスライドレールの下壁側ライナー部に当接させるとともに、前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーをスライドレールの上壁側ライナー部に当接することによって、各ローラーがスライドレール内を転動するように構成し、且つ、ロアカバーに、3組のローラーにそれぞれ隣接する状態でスライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とする。
【0011】
かかる構成により、この発明におけるアームレストは、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着された前後スライド方向3組のローラーのうち、中央部ローラーがスライドレールの下壁側ライナー部に線接触にて当接している一方、スライド方向前後に配設された前部および後部側ローラーがスライドレールの上壁側ライナー部において線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、3組のローラー同士が協働して打ち消し合って、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0012】
さらに、上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、規制片がスライドレール内において突っ張ることによって、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が比較的に大きな場合などには、捩じり変形を抑制することができ、各ローラの上下両壁ライナー部への押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバーに対するアッパカバーの前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【0013】
また、この発明に係るアームレストは、上記発明の実施の形態として、上記中央部ローラーに代えてスライダーを用いて、スライダーをスライドレールの下壁側ライナー部を摺動するように上壁側ライナー部に取着して構成している。
【0014】
かかる構成により、この発明は、上壁側ライナー部に取着したスライダーにおける下壁側ライナー部との接触部を例えば断面鋸歯状に形成することによって線接触構成をとって、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、前部および後部側ローラーと協働して、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0015】
又、この発明に係るアームレストは、コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着されたローラーを、前後スライド方向に3組それぞれ配設して、これら3組のローラーのうち、前後スライド方向における中央部ローラーをスライドレールの上壁側ライナー部に当接させるとともに、前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーをスライドレールの下壁側ライナー部当接することによって、各ローラーがスライドレール内を転動するように構成し、且つ、ロアカバーに、3組のローラーにそれぞれ隣接する状態でスライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とする。
【0016】
かかる構成により、この発明は、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着された前後スライド方向3組のローラーのうち、スライド方向前後に配設されたローラーがそれぞれスライドレールの下壁側ライナー部に線接触にて当接している一方、スライド方向中央に配設された中央部ローラーがスライドレールの上壁側ライナー部において線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、3組のローラー同士が協働して打ち消し合って、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0017】
さらに、上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、規制片がスライドレール内において突っ張ることによって、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が比較的に大きな場合などには、捩じり変形を抑制することができ、各ローラの上下両壁ライナー部への押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバーに対するアッパカバーの前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着された前後スライド方向の3組のローラーが、スライドレールの下壁側ライナー部又は上壁側ライナー部に線接触にて当接していることから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、3組のローラー同士が協働して打ち消し合って、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0019】
また、上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、規制片がスライドレール内において突っ張ることによって、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が比較的に大きな場合などには、捩じり変形を抑制することができ、各ローラの上下両壁ライナー部への押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバーに対するアッパカバーの前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例に係るアームレストについて、一点鎖線示するコンソールボックスに装着した状態を描画した斜視図である。
【図2】図1に描画したアームレストの分解斜視図である。
【図3】図2に示すアームレストを構成するロアカバーの分解斜視図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】図4のD円内を描画した拡大図である。
【図6】図2のB−B断面図である。
【図7】図6のE円内を描画した拡大図である。
【図8】乗員の腕などによって左右方向に捩じるような大きな押圧荷重がかかって規制片がスライドレール内を突っ張っている状態における図2のC−C断面図である。
【図9】図8のF円内を描画した拡大図である。
【図10】図3のC矢視図である。
【図11】図1におけるローラーを配設した状態のスライドレールを描画した概略要部側面図である。
【図12】この発明に係る図1に示す実施例の変形例におけるローラーを配設した状態のスライドレールを描画した概略要部側面図である。
【図13】この発明に係る実施例におけるアームレストに係るローラーを配設した状態のスライドレールを描画した概略要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係るアームレストは、アッパカバーに対して左右方向にねじるような押圧荷重がかかった場合でも、当該アッパカバーがロアカバーに対して円滑にスライドできるように構成している。
【0022】
次に、この発明のアームレストに係る実施例について、図を用いて説明する。
【0023】
この発明の実施例に係るアームレスト1は、図1に示すように、例えば自動車の運転席と助手席の間に設置されるコンソールボックス2の上部に設けられており、ヒンジ3を介してコンソールボックス2に対して揺動可能に取付けられていて、コンソールボックス2の上部開口部を開閉するように構成している。
【0024】
そして、アームレスト1は、コンソールボックス2の上部開口部を開閉すべく、図2に示すように、コンソールボックス2の上部に設けられたロアカバー4と、ロアカバー4に対して後述する構成によって例えば車両の前後方向にスライド可能に取付けられたアッパカバー5とを有して構成している。
【0025】
図2に示すように、ロアカバー4の後端部には、ヒンジ3が設置されていて、コンソールボックス2に対して、アームレスト1が車両の前後方向に揺動可能に装着されている。また、ロアカバー4の長手方向(車両の前後方向)の中央部には、正面視略コ字状に形成されたベース部材6が装着されている。ベース部材6は、車両の左右方向において互いに対向する左右両側起立壁6a、6bを有して構成しており、左右両側起立壁6a、6bの内向き壁面には、図3に示すように、車両の前後方向に並列した円筒状の3組のローラー7、8、9が配設されている。
【0026】
各ローラー7、8、9は、左右両側起立壁6a、6bの内向き壁面にそれぞれ形成した円筒状の枢軸6c、6d、6eに挿入された状態で、大径の頭部7a、8a、9aをそれぞれ有する取付け軸7b、8b、9bが各枢軸6c、6d、6eに挿通されて、取付け軸7b、8b、9bを左右両側起立壁6a、6bの外向き壁面側からビス6−1を螺着することにより、左右両側起立壁6a、6bに対して、各枢軸6c、6d、6eを中心に、回転可能に装着されている。
【0027】
アッパカバー5は、その下面にスライダー部材10が取付けられて構成している。スライダー部材10における車両の左右両端部には、車両の前後方向に延在するように、一対のスライドレール11がそれぞれ設けられている。スライドレール11は、背面壁11aと背面壁11aの上下両端辺部に形成された上壁ライナー部11bおよび下壁ライナー部11cとを、断面コ字状に一体形成することにより構成している。
【0028】
上壁側ライナー部11bと下壁側ライナー部11cとの間には、それぞれ三組のローラー7、8、9が転動可能に配設されていて、三組のローラー7、8、9がスライドレール11内を転動することによって、スライダー部材10と共にアッパカバー5が、ロアカバー4に対して車両の前後方向にスライドできることになる。
【0029】
三組のローラー7、8、9のうち、ベース部材6の車両の前後方向における中央部に配せられた中央部ローラー8は、図6及び図7に示すように、スライドレール11の下壁側ライナー部11c側に線接触により当接するとともに、上壁側ライナー部11bに対しては適宜の隙間を持って離間対向している。また、三組のローラー7、8、9のうち、ベース部材6における車両の後部側に配設された後部側ローラー7は、図4及び図5に示すように、スライドレール11の上壁側ライナー部11b側に線接触により当接するとともに、下壁側ライナー部11cに対しては適宜の隙間を持って離間対向している。同様に、三組のローラー7、8、9のうち、ベース部材6における車両の前部側に配設された前部側ローラー9は、スライドレール11の上壁側ライナー部11b側に線接触により当接するとともに、下壁側ライナー部11cに対しては適宜の隙間を持って離間対向している。
【0030】
さらに、図10に示すように、ベース部材6の左右両側起立壁6a、6bには、前部側ローラ9(および後部側ローラ7)の車両の前後部においてそれぞれ隣接した状態において、規制片を構成する一対の下向き規制片12が形成されている。下向き規制片12の上下両先端部のうち、上側先端部12aは上壁側ライナー部11bに当接すると共に、下側先端部12bは下壁側ライナー部11cから離間している(図11を参照)。かかる離間寸法は、前部側ローラ9(および後部側ローラ7)の下壁側ライナー部11cとの離間寸法より若干小さく形成されている。
【0031】
したがって、もし、アッパカバー5に乗員の腕などによる押圧荷重がかかった場合には、下向き規制片12の下側先端部12bが下壁側ライナー部11cに当接して、下向き規制片12がスライドレール11の上壁側ライナー部11bおよび下壁側ライナー部11c間内において突っ張ることにより、前部側ローラ9(および後部側ローラ7)の下壁側ライナー部11cとの隙間は僅かながらであるが保持されている。この結果、ロアカバー4に対して、アッパカバー5を車両の前後方向にスライドさせた場合には、下向き規制片12の下側先端部12bが上側先端部12aと共にスライドレール11内を摺動することになるが、当該先端部を例えば三角状のように先鋭状に形成して、下壁側ライナー部11c或いは上壁側ライナー部11bに線接触を保持して、アッパカバー5のスライド移動を円滑にしている。
【0032】
同様に、図11に示すように、ベース部材6の左右両側起立壁6a、6bには、中央部ローラ8の車両の前後部においてそれぞれ隣接した状態において、規制片を構成する下向き規制片13が形成されていて、上向き規制片13の上下両先端部のうち、下側先端部13bは、上壁側ライナー部11bに当接すると共に、上側先端部13aは上壁側ライナー部11bから離間している。かかる離間寸法は、中央部ローラー8の上壁側ライナー部11bとの離間寸法より若干大きく形成されている。
【0033】
したがって、もし、アッパカバー5に乗員の腕などによる押圧荷重がかかった場合には、上向き規制片13の先端部が、上壁側ライナー部11bに当接して、上向き規制片13がスライドレール11の上壁側ライナー部11bおよび下側ライナー部11cとの間内において突っ張ることにより、中央部ローラ8の上壁側ライナー部11bとの隙間は僅かながらであるが保持されている。この結果、ロアカバー4に対して、アッパカバー5を車両の前後方向にスライドさせた場合には、下向き規制片12と共に、上向き規制片13の先端部が摺動することになるが、当該先端部を例えば三角状のように先鋭状に形成して、上壁側ライナー部11bに線接触を保持して、アッパカバー5のスライド移動を円滑にしている。
【0034】
上記のように構成するこの発明における一の実施例においては、両スライドレール11内を転動するようにロアカバー4のベース部材6に枢着された前後スライド方向の3組のローラー7、8、9のうち、中央部ローラー8がスライドレール11の下壁側ライナー部11cに線接触にて当接している一方、スライド方向前後に配設された前部側ローラー9および後部側ローラー7がスライドレール11の上壁側ライナー部11bにおいて線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、ロアカバー4に対してアッパカバー5を円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0035】
さらに、上記実施例1においては、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が大きな場合には、下向き規制片12の下側先端部12bが下壁側ライナー部11cに当接したり、或いは上向き規制片13の上側先端部13aが上壁側ライナー部11bに当接することにより、スライドレール11内において下向き規制片12bあるいは上向き規制片13がそれぞれつっぱることによって、アッパカバー5の捩じり変形を抑制することができ、各ローラ7、8、9の上下両壁ライナー部11b、11cへの押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバー4に対するアッパカバー5の前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【0036】
図12は、上記実施例に対する変形例を示している。図12によれば、中央部ローラー8に代えて、スライダー14を用いている。スライダー14は、スライドレール11の下壁側ライナー部11cを摺動するようにベース部材6に取着して構成している。スライダー14における下壁側ライナー部11cとの接触部が、例えば断面鋸歯状に形成されている。
【0037】
この結果、スライダー14は、下壁側ライナー部11cに対して、線接触構成をとっていることになって、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、前部および後部側ローラーと協働して、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0038】
又、図13は、この発明に係る他の実施例を示している。図13によれば、3組のローラー7、8、9のうち、前後スライド方向における中央部ローラー8をスライドレール11の上壁側ライナー部11bに当接させるとともに、前後スライド方向における後部側ローラー7および前部側ローラー9をスライドレール11の下壁側ライナー部11c当接することによって、各ローラー7、8、9がスライドレール11内を転動するように構成している。また、スライドレール11の下壁側ライナー部11cに、後部側ローラ7および前部側ローラ9にそれぞれ隣接した状態で先端部が上壁側ライナー部11bから離間するように、規制片を構成する上向き規制片13を形成すると共に、スライドレール11の上壁側ライナー部11bに、中央部ローラー8に隣接した状態で先端部が下壁ライナー部11cから離間するように、やはり規制片を構成する下向き規制片13を形成して構成している。その他の構成は、上記実施例と同様の構成をとっている。
【0039】
かかる構成により、他の実施例においては、両スライドレール11内を転動するようにロアカバー4に枢着された前後スライド方向3組のローラー7、8、9のうち、スライド方向前後に配設された後部側ローラー7と前部側ローラー9がそれぞれスライドレール11の下壁側ライナー11c部に線接触にて当接している一方、スライド方向中央に配設された中央部ローラー8がスライドレール11の上壁側ライナー部11bにおいて線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、ロアカバー4に対してアッパカバー5を円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0040】
また、図13に示す実施例においては、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が大きな場合には、下向き規制片12の先端が下壁側ライナー部11cに当接したり上向き規制片13が上壁側ライナー部11bに当接することにより、下向き規制片12および上向き規制片13がスライドレール11の上壁側ライナー部11bおよび下壁側ライナー部11cの間内において突っ張ることにより、捩じり変形を抑制することができ、各ローラ7、8、9の上下両壁ライナー部11b、11cへの押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバー4に対するアッパカバー5の前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、アッパカバーに対して左右方向に捩じられるような押圧荷重がかかった場合でも、当該アッパカバーがロアカバーに対して円滑にスライドできるように構成しことにより、コンソールボックスの上部に設けられる前後スライド可能なアームレスト等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0042】
1 アームレスト
2 コンソールボックス
4 ロアカバー
5 アッパカバー
7 後部側ローラー
8 中央部ローラー
9 前部側ローラー
11 スライドレール
11b 上壁側ライナー部
11c 下壁側ライナー部
12 下向き規制片(規制片)
13 上向き規制片(規制片)
【技術分野】
【0001】
この発明は、コンソールボックスの上部に設けられて前後スライド可能に構成されるアームレストに関する。
【背景技術】
【0002】
コンソールボックスは、例えば自動車の運転席と助手席の間に設置されている。かかるコンソールボックスの上部に設けられるアームレストは、乗員の腕を乗せるようになすとともに、ヒンジを介して揺動可能に構成して小物などを収納するコンソールボックスの開口部を開閉できるように構成している。
【0003】
そして、アームレストは、乗員の腕を乗せる位置が乗員の着座位置や体格などに応じて前後に変化させるように、コンソールボックスの上部において乗員に対して車体前後にスライドできるようになっている。かかる点から、アームレストは、コンソールボックスの上部に固定するロアカバーと、ロアカバーの上側にスライド可能に取付けられるアッパカバーとを有し、乗員の腕を乗せる側のアッパカバーをロアカバーに対して前後にスライドさせるように構成されている。
【0004】
従来におけるこの種のアームレストは、ロアカバーに配した左右一対のサイドレールの内部に左右方向へ移動自在なライナーを収納し、このライナーにアッパカバーに固定したスライダーの左右両縁部を摺動自在に係合させ、スライダーの左右両縁部とライナーとの間に安定した摺動抵抗を付与し且つ部品間の寸法誤差を吸収するに必要な付勢力を与える手段として、ライナーとサイドレールとの間でライナーを左右方向内側へ直接付勢するバネ部材を配設して構成している(特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−254881号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このように構成した従来のアームレストは、必要な弾性変形ストロークを得るためにバネ部材自体の上下寸法を大きくする必要がなく、アームレストの全体的な上下寸法を小さくすることができるものである。
【0007】
しかしながら、この種のアームレストは、コンソールボックスに対応して通常前後方向に長寸法に構成されていることから、乗員の腕などにより生じる押圧荷重によって左右方向に捩じれてしまうことがあり、かかる捩じれによってアッパカバーがサイドレール内において傾いた状態で摺動してしまうことになる。
【0008】
かかる点からすると、上記従来の技術に係るアームレストは、バネ部材によってスライダーの左右両縁部とライナーとの間に安定した摺動抵抗を付与したとしても、上記した左右方向の捩じれにより傾いたまま摺動したような場合には、バネ部材がサイドレール内において面接触状態となっていることと相俟って、摺動抵抗をより高めることとなってスライド操作荷重を高めてしまう結果となる。
【0009】
そこで、この発明は、上記従来の技術における課題に鑑み、アッパカバーに対して左右方向にねじるような押圧荷重がかかった場合であっても、当該アッパカバーがロアカバー円滑にスライドできるように構成したアームレストを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明に係るアームレストは、コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着されたローラーを、前後スライド方向に3組それぞれ配設して、これら3組のローラーのうち、前後スライド方向における中央部ローラーをスライドレールの下壁側ライナー部に当接させるとともに、前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーをスライドレールの上壁側ライナー部に当接することによって、各ローラーがスライドレール内を転動するように構成し、且つ、ロアカバーに、3組のローラーにそれぞれ隣接する状態でスライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とする。
【0011】
かかる構成により、この発明におけるアームレストは、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着された前後スライド方向3組のローラーのうち、中央部ローラーがスライドレールの下壁側ライナー部に線接触にて当接している一方、スライド方向前後に配設された前部および後部側ローラーがスライドレールの上壁側ライナー部において線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、3組のローラー同士が協働して打ち消し合って、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0012】
さらに、上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、規制片がスライドレール内において突っ張ることによって、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が比較的に大きな場合などには、捩じり変形を抑制することができ、各ローラの上下両壁ライナー部への押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバーに対するアッパカバーの前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【0013】
また、この発明に係るアームレストは、上記発明の実施の形態として、上記中央部ローラーに代えてスライダーを用いて、スライダーをスライドレールの下壁側ライナー部を摺動するように上壁側ライナー部に取着して構成している。
【0014】
かかる構成により、この発明は、上壁側ライナー部に取着したスライダーにおける下壁側ライナー部との接触部を例えば断面鋸歯状に形成することによって線接触構成をとって、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、前部および後部側ローラーと協働して、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0015】
又、この発明に係るアームレストは、コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着されたローラーを、前後スライド方向に3組それぞれ配設して、これら3組のローラーのうち、前後スライド方向における中央部ローラーをスライドレールの上壁側ライナー部に当接させるとともに、前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーをスライドレールの下壁側ライナー部当接することによって、各ローラーがスライドレール内を転動するように構成し、且つ、ロアカバーに、3組のローラーにそれぞれ隣接する状態でスライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とする。
【0016】
かかる構成により、この発明は、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着された前後スライド方向3組のローラーのうち、スライド方向前後に配設されたローラーがそれぞれスライドレールの下壁側ライナー部に線接触にて当接している一方、スライド方向中央に配設された中央部ローラーがスライドレールの上壁側ライナー部において線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、3組のローラー同士が協働して打ち消し合って、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0017】
さらに、上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、規制片がスライドレール内において突っ張ることによって、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が比較的に大きな場合などには、捩じり変形を抑制することができ、各ローラの上下両壁ライナー部への押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバーに対するアッパカバーの前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【発明の効果】
【0018】
上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、両スライドレール内を転動するようにロアカバーに枢着された前後スライド方向の3組のローラーが、スライドレールの下壁側ライナー部又は上壁側ライナー部に線接触にて当接していることから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、3組のローラー同士が協働して打ち消し合って、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0019】
また、上記のように構成するこの発明に係るアームレストは、規制片がスライドレール内において突っ張ることによって、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が比較的に大きな場合などには、捩じり変形を抑制することができ、各ローラの上下両壁ライナー部への押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバーに対するアッパカバーの前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】この発明の一実施例に係るアームレストについて、一点鎖線示するコンソールボックスに装着した状態を描画した斜視図である。
【図2】図1に描画したアームレストの分解斜視図である。
【図3】図2に示すアームレストを構成するロアカバーの分解斜視図である。
【図4】図2のA−A断面図である。
【図5】図4のD円内を描画した拡大図である。
【図6】図2のB−B断面図である。
【図7】図6のE円内を描画した拡大図である。
【図8】乗員の腕などによって左右方向に捩じるような大きな押圧荷重がかかって規制片がスライドレール内を突っ張っている状態における図2のC−C断面図である。
【図9】図8のF円内を描画した拡大図である。
【図10】図3のC矢視図である。
【図11】図1におけるローラーを配設した状態のスライドレールを描画した概略要部側面図である。
【図12】この発明に係る図1に示す実施例の変形例におけるローラーを配設した状態のスライドレールを描画した概略要部側面図である。
【図13】この発明に係る実施例におけるアームレストに係るローラーを配設した状態のスライドレールを描画した概略要部側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
この発明に係るアームレストは、アッパカバーに対して左右方向にねじるような押圧荷重がかかった場合でも、当該アッパカバーがロアカバーに対して円滑にスライドできるように構成している。
【0022】
次に、この発明のアームレストに係る実施例について、図を用いて説明する。
【0023】
この発明の実施例に係るアームレスト1は、図1に示すように、例えば自動車の運転席と助手席の間に設置されるコンソールボックス2の上部に設けられており、ヒンジ3を介してコンソールボックス2に対して揺動可能に取付けられていて、コンソールボックス2の上部開口部を開閉するように構成している。
【0024】
そして、アームレスト1は、コンソールボックス2の上部開口部を開閉すべく、図2に示すように、コンソールボックス2の上部に設けられたロアカバー4と、ロアカバー4に対して後述する構成によって例えば車両の前後方向にスライド可能に取付けられたアッパカバー5とを有して構成している。
【0025】
図2に示すように、ロアカバー4の後端部には、ヒンジ3が設置されていて、コンソールボックス2に対して、アームレスト1が車両の前後方向に揺動可能に装着されている。また、ロアカバー4の長手方向(車両の前後方向)の中央部には、正面視略コ字状に形成されたベース部材6が装着されている。ベース部材6は、車両の左右方向において互いに対向する左右両側起立壁6a、6bを有して構成しており、左右両側起立壁6a、6bの内向き壁面には、図3に示すように、車両の前後方向に並列した円筒状の3組のローラー7、8、9が配設されている。
【0026】
各ローラー7、8、9は、左右両側起立壁6a、6bの内向き壁面にそれぞれ形成した円筒状の枢軸6c、6d、6eに挿入された状態で、大径の頭部7a、8a、9aをそれぞれ有する取付け軸7b、8b、9bが各枢軸6c、6d、6eに挿通されて、取付け軸7b、8b、9bを左右両側起立壁6a、6bの外向き壁面側からビス6−1を螺着することにより、左右両側起立壁6a、6bに対して、各枢軸6c、6d、6eを中心に、回転可能に装着されている。
【0027】
アッパカバー5は、その下面にスライダー部材10が取付けられて構成している。スライダー部材10における車両の左右両端部には、車両の前後方向に延在するように、一対のスライドレール11がそれぞれ設けられている。スライドレール11は、背面壁11aと背面壁11aの上下両端辺部に形成された上壁ライナー部11bおよび下壁ライナー部11cとを、断面コ字状に一体形成することにより構成している。
【0028】
上壁側ライナー部11bと下壁側ライナー部11cとの間には、それぞれ三組のローラー7、8、9が転動可能に配設されていて、三組のローラー7、8、9がスライドレール11内を転動することによって、スライダー部材10と共にアッパカバー5が、ロアカバー4に対して車両の前後方向にスライドできることになる。
【0029】
三組のローラー7、8、9のうち、ベース部材6の車両の前後方向における中央部に配せられた中央部ローラー8は、図6及び図7に示すように、スライドレール11の下壁側ライナー部11c側に線接触により当接するとともに、上壁側ライナー部11bに対しては適宜の隙間を持って離間対向している。また、三組のローラー7、8、9のうち、ベース部材6における車両の後部側に配設された後部側ローラー7は、図4及び図5に示すように、スライドレール11の上壁側ライナー部11b側に線接触により当接するとともに、下壁側ライナー部11cに対しては適宜の隙間を持って離間対向している。同様に、三組のローラー7、8、9のうち、ベース部材6における車両の前部側に配設された前部側ローラー9は、スライドレール11の上壁側ライナー部11b側に線接触により当接するとともに、下壁側ライナー部11cに対しては適宜の隙間を持って離間対向している。
【0030】
さらに、図10に示すように、ベース部材6の左右両側起立壁6a、6bには、前部側ローラ9(および後部側ローラ7)の車両の前後部においてそれぞれ隣接した状態において、規制片を構成する一対の下向き規制片12が形成されている。下向き規制片12の上下両先端部のうち、上側先端部12aは上壁側ライナー部11bに当接すると共に、下側先端部12bは下壁側ライナー部11cから離間している(図11を参照)。かかる離間寸法は、前部側ローラ9(および後部側ローラ7)の下壁側ライナー部11cとの離間寸法より若干小さく形成されている。
【0031】
したがって、もし、アッパカバー5に乗員の腕などによる押圧荷重がかかった場合には、下向き規制片12の下側先端部12bが下壁側ライナー部11cに当接して、下向き規制片12がスライドレール11の上壁側ライナー部11bおよび下壁側ライナー部11c間内において突っ張ることにより、前部側ローラ9(および後部側ローラ7)の下壁側ライナー部11cとの隙間は僅かながらであるが保持されている。この結果、ロアカバー4に対して、アッパカバー5を車両の前後方向にスライドさせた場合には、下向き規制片12の下側先端部12bが上側先端部12aと共にスライドレール11内を摺動することになるが、当該先端部を例えば三角状のように先鋭状に形成して、下壁側ライナー部11c或いは上壁側ライナー部11bに線接触を保持して、アッパカバー5のスライド移動を円滑にしている。
【0032】
同様に、図11に示すように、ベース部材6の左右両側起立壁6a、6bには、中央部ローラ8の車両の前後部においてそれぞれ隣接した状態において、規制片を構成する下向き規制片13が形成されていて、上向き規制片13の上下両先端部のうち、下側先端部13bは、上壁側ライナー部11bに当接すると共に、上側先端部13aは上壁側ライナー部11bから離間している。かかる離間寸法は、中央部ローラー8の上壁側ライナー部11bとの離間寸法より若干大きく形成されている。
【0033】
したがって、もし、アッパカバー5に乗員の腕などによる押圧荷重がかかった場合には、上向き規制片13の先端部が、上壁側ライナー部11bに当接して、上向き規制片13がスライドレール11の上壁側ライナー部11bおよび下側ライナー部11cとの間内において突っ張ることにより、中央部ローラ8の上壁側ライナー部11bとの隙間は僅かながらであるが保持されている。この結果、ロアカバー4に対して、アッパカバー5を車両の前後方向にスライドさせた場合には、下向き規制片12と共に、上向き規制片13の先端部が摺動することになるが、当該先端部を例えば三角状のように先鋭状に形成して、上壁側ライナー部11bに線接触を保持して、アッパカバー5のスライド移動を円滑にしている。
【0034】
上記のように構成するこの発明における一の実施例においては、両スライドレール11内を転動するようにロアカバー4のベース部材6に枢着された前後スライド方向の3組のローラー7、8、9のうち、中央部ローラー8がスライドレール11の下壁側ライナー部11cに線接触にて当接している一方、スライド方向前後に配設された前部側ローラー9および後部側ローラー7がスライドレール11の上壁側ライナー部11bにおいて線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、ロアカバー4に対してアッパカバー5を円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0035】
さらに、上記実施例1においては、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が大きな場合には、下向き規制片12の下側先端部12bが下壁側ライナー部11cに当接したり、或いは上向き規制片13の上側先端部13aが上壁側ライナー部11bに当接することにより、スライドレール11内において下向き規制片12bあるいは上向き規制片13がそれぞれつっぱることによって、アッパカバー5の捩じり変形を抑制することができ、各ローラ7、8、9の上下両壁ライナー部11b、11cへの押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバー4に対するアッパカバー5の前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【0036】
図12は、上記実施例に対する変形例を示している。図12によれば、中央部ローラー8に代えて、スライダー14を用いている。スライダー14は、スライドレール11の下壁側ライナー部11cを摺動するようにベース部材6に取着して構成している。スライダー14における下壁側ライナー部11cとの接触部が、例えば断面鋸歯状に形成されている。
【0037】
この結果、スライダー14は、下壁側ライナー部11cに対して、線接触構成をとっていることになって、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、前部および後部側ローラーと協働して、ロアカバーに対してアッパカバーを円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0038】
又、図13は、この発明に係る他の実施例を示している。図13によれば、3組のローラー7、8、9のうち、前後スライド方向における中央部ローラー8をスライドレール11の上壁側ライナー部11bに当接させるとともに、前後スライド方向における後部側ローラー7および前部側ローラー9をスライドレール11の下壁側ライナー部11c当接することによって、各ローラー7、8、9がスライドレール11内を転動するように構成している。また、スライドレール11の下壁側ライナー部11cに、後部側ローラ7および前部側ローラ9にそれぞれ隣接した状態で先端部が上壁側ライナー部11bから離間するように、規制片を構成する上向き規制片13を形成すると共に、スライドレール11の上壁側ライナー部11bに、中央部ローラー8に隣接した状態で先端部が下壁ライナー部11cから離間するように、やはり規制片を構成する下向き規制片13を形成して構成している。その他の構成は、上記実施例と同様の構成をとっている。
【0039】
かかる構成により、他の実施例においては、両スライドレール11内を転動するようにロアカバー4に枢着された前後スライド方向3組のローラー7、8、9のうち、スライド方向前後に配設された後部側ローラー7と前部側ローラー9がそれぞれスライドレール11の下壁側ライナー11c部に線接触にて当接している一方、スライド方向中央に配設された中央部ローラー8がスライドレール11の上壁側ライナー部11bにおいて線接触にて当接することから、例え、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重がかかったとしても、ロアカバー4に対してアッパカバー5を円滑に前後方向にスライドさせることができる。
【0040】
また、図13に示す実施例においては、乗員の腕などによって左右方向に捩じるような押圧荷重が大きな場合には、下向き規制片12の先端が下壁側ライナー部11cに当接したり上向き規制片13が上壁側ライナー部11bに当接することにより、下向き規制片12および上向き規制片13がスライドレール11の上壁側ライナー部11bおよび下壁側ライナー部11cの間内において突っ張ることにより、捩じり変形を抑制することができ、各ローラ7、8、9の上下両壁ライナー部11b、11cへの押圧力が緩和されることになって、この面からも、ロアカバー4に対するアッパカバー5の前後方向のスライド動作を円滑に行わせることができる。
【産業上の利用可能性】
【0041】
この発明は、アッパカバーに対して左右方向に捩じられるような押圧荷重がかかった場合でも、当該アッパカバーがロアカバーに対して円滑にスライドできるように構成しことにより、コンソールボックスの上部に設けられる前後スライド可能なアームレスト等に好適であるといえる。
【符号の説明】
【0042】
1 アームレスト
2 コンソールボックス
4 ロアカバー
5 アッパカバー
7 後部側ローラー
8 中央部ローラー
9 前部側ローラー
11 スライドレール
11b 上壁側ライナー部
11c 下壁側ライナー部
12 下向き規制片(規制片)
13 上向き規制片(規制片)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、前記コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、該ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、
該アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、
前記両スライドレール内を転動するように前記ロアカバーに枢着されたローラーを、前記前後スライド方向に3組それぞれ配設して、
これら3組のローラーのうち、前記前後スライド方向における中央部ローラーを前記スライドレールの下壁側ライナー部に当接させるとともに、前記前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーを前記スライドレールの上壁側ライナー部に当接することによって、前記各ローラーが前記スライドレール内を転動するように構成し、
且つ、前記ロアカバーに、前記3組のローラーにそれぞれ隣接する状態で前記スライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とするアームレスト。
【請求項2】
前記中央部ローラーに代えてスライダーを用いて、該スライダーを、前記スライドレールの下壁側ライナー部を摺動するように前記上壁側ライナー部に取着したことを特徴とする請求項1に記載のアームレスト。
【請求項3】
コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、前記コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、該ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、
該アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、
前記両スライドレール内を転動するように前記ロアカバーに枢着されたローラーを、前記前後スライド方向に3組それぞれ配設して、
これら3組のローラーのうち、前記前後スライド方向における中央部ローラーを前記スライドレールの上壁側ライナー部に当接させるとともに、前記前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーを前記スライドレールの下壁側ライナー部当接することによって、前記各ローラーが前記スライドレール内を転動するように構成し、
且つ、前記ロアカバーに、前記3組のローラーにそれぞれ隣接する状態で前記スライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とするアームレスト。
【請求項1】
コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、前記コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、該ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、
該アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、
前記両スライドレール内を転動するように前記ロアカバーに枢着されたローラーを、前記前後スライド方向に3組それぞれ配設して、
これら3組のローラーのうち、前記前後スライド方向における中央部ローラーを前記スライドレールの下壁側ライナー部に当接させるとともに、前記前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーを前記スライドレールの上壁側ライナー部に当接することによって、前記各ローラーが前記スライドレール内を転動するように構成し、
且つ、前記ロアカバーに、前記3組のローラーにそれぞれ隣接する状態で前記スライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とするアームレスト。
【請求項2】
前記中央部ローラーに代えてスライダーを用いて、該スライダーを、前記スライドレールの下壁側ライナー部を摺動するように前記上壁側ライナー部に取着したことを特徴とする請求項1に記載のアームレスト。
【請求項3】
コンソールボックスの上部に設けられた前後スライド可能なアームレストであって、前記コンソールボックスの上部に設けられたロアカバーと、該ロアカバーに対して前後スライド可能に取付けられたアッパカバーとを備え、
該アッパカバーにおける左右両側部に、断面コ字形のスライドレールを前後方向に延在するように配設すると共に、
前記両スライドレール内を転動するように前記ロアカバーに枢着されたローラーを、前記前後スライド方向に3組それぞれ配設して、
これら3組のローラーのうち、前記前後スライド方向における中央部ローラーを前記スライドレールの上壁側ライナー部に当接させるとともに、前記前後スライド方向における前・後部に配設された前部および後部側ローラーを前記スライドレールの下壁側ライナー部当接することによって、前記各ローラーが前記スライドレール内を転動するように構成し、
且つ、前記ロアカバーに、前記3組のローラーにそれぞれ隣接する状態で前記スライドレール内に挿入される規制片を形成したことを特徴とするアームレスト。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2013−35494(P2013−35494A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−174938(P2011−174938)
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月10日(2011.8.10)
【出願人】(000229955)日本プラスト株式会社 (740)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]