説明

イオンビームを用いた試料断面作製装置及び作製方法

【課題】 イオンビームによって削られた物質が遮蔽材や試料に再付着するリデポジションの影響を受けない平坦な試料断面を作製する試料作製装置及び試料作製方法を提供する。
【解決手段】 加工を始めるとき遮蔽材12の端縁部を断面作製位置より試料の端部に近くに設定し、遮蔽材に遮蔽されない試料の突き出し部が狭くなるようにしておく。制御演算装置20は試料6の突き出し部の切削が進行するのに合わせて、ピエゾモータ22により試料ホルダ7を駆動し、試料を矢印方向に移動させる。遮蔽材12の端縁部が断面作製位置に到達したら移動を停止させ、その状態でイオンビーム照射を継続し仕上げ加工を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イオンビームと遮蔽材を用いて平滑且つ清浄な試料断面を作製することのできる試料断面作製装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体内部等の不良解析を行なう時、集束イオンビーム(FIB)を用いて欠陥部位を断面加工し、走査電子顕微鏡(SEM)や透過電子顕微鏡(TEM)で観察することが広く行われている。しかし、FIBによる断面加工には試料の破壊を伴うという欠点が有る。
【0003】
ところで、SEMやTEMで断面観察の対象となる試料には、半導体試料の他にも、柔らかい試料、熱に弱い試料、吸水性のある試料、樹脂埋め込みが困難な試料等の断面作製が難しい試料が多くある。これらの試料の断面作製方法として試料の上に遮蔽物を置いて、イオンビームを集束させないで広げたまま試料に照射する試料作製方法(以下、「CP法」:Cross section Polisher法、と称す)が使われるようになっている(例えば、特許文献の特許第3263920号公報を参照)。CP法は、特に硬さが異なる異種材料からなり複合材料あるいはポーラスな構造を有する材料において、FIB法よりも構造変化の少ない良好な断面を得ることができるとされている。さらに、FIB法に比べて、加工前処理が簡単で、熟練を要する作業の必要も無いので、容易に短時間で断面作製が行えるという利点も有る。
【0004】
特許文献1の試料作製装置の改良技術として、特許文献2の特許第4208658号公報には、断面作製位置を調節するための光学顕微鏡を備えた装置に関する技術が開示されている。以下に、特許第4208658号公報を参考にして従来の断面試料作製技術を簡単に説明する。
【0005】
なお、説明の理解を容易にするため、図面において、互いに直交する座標軸X,Y,Z軸を定義し、座標軸を図面上に表記する。この表記中、「〇」の中に「・」が記載されているものは、紙面裏から表に向かう矢印を表し、「〇」の中に「×」が記載されているものは、紙面表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
【0006】
図6は従来の試料断面作製装置全体の概略構成例を示す側面図である。図6において、真空チャンバ1の上部にはイオン銃(イオンビーム照射手段)2が取り付けられている。イオン銃2から放出されるイオンビームIBの中心軸Oiはz軸に略平行である。試料ステージ引出機構3は真空チャンバ1に開閉可能に取り付けられている。図6(a)は試料ステージ引出機構3が開けられた状態(引き出された状態)、図6(b)は閉じられた状態を示している。試料ステージ引出機構3が閉じられた状態で加工室18は排気装置17によって真空排気される。試料ステージ引出機構3には試料ステージ4がy軸の周りに傾斜可能に取り付けられている。試料ステージ4上には試料位置調節機構5が配置され、試料位置調節機構5上に装着された試料ホルダ7及び試料ホルダ7に載置された試料6をx及びy軸方向に移動可能なように構成されている。遮蔽材保持機構13に保持された遮蔽材12は、遮蔽材傾倒機構11に傾倒可能に取り付けられている。遮蔽材保持機構13はx軸に平行な軸qの周りに回動して遮蔽材12を試料6上から退避させることができる。試料ステージ4上には遮蔽材位置調節機構10が配置され、y軸方向に移動可能に構成されている。光学顕微鏡15を保持する光学顕微鏡位置調節機構16は、光学顕微鏡傾倒機構14に傾倒可能に取り付けられている。図6(b)に示すように、試料ステージ引出機構3を閉じる場合、光学顕微鏡15と光学顕微鏡位置調節機構16は、x軸に平行な軸rの周りに回動して真空チャンバ1の外に位置するように構成されている。
【0007】
ここで、図6の構成の試料断面作製装置において、断面作製に先立って行われる断面作製位置決めの手順を簡単に説明する。先ず、試料ステージ引出機構3を閉じて加工室18を真空排気した図6(b)の状態で、イオンビームIBを試料6上の任意の位置に所定時間照射しイオンビーム痕を形成する。次に、試料ステージ引出機構3を開けて加工室18を大気開放した図6(a)の状態で、光学顕微鏡位置調節機構16を操作して、イオンビーム痕が光学顕微鏡15の視野中心に来るように光学顕微鏡15の位置調節を行なう。これにより、光学顕微鏡15の光軸OLをイオンビーム照射軸Oiに一致させることができる。続いて、操作者は光学顕微鏡15で遮蔽材12を観察しながら、遮蔽材位置調節機構10に設けられた「遮蔽材y移動摘み」(図示せず)を操作することにより、遮蔽材12の端縁部位置を光軸OL上に位置するように調節する。続いて、操作者は光学顕微鏡15で試料6を観察しながら、試料位置調節機構5に設けられた「試料x移動摘み」と「試料y移動摘み」(図示せず)を操作することにより、試料6の断面作製位置が遮蔽材12の端縁部の真下に位置するように調節する。
【0008】
上記のように断面作製位置を決めることができたら、再び試料ステージ引出機構3を閉じて加工室18を真空排気した図6(b)の状態とし、イオンビームIBを照射して断面作製を行なう。
【0009】
図7は、イオンビームを用いて断面作製を行なうときの前準備方法を説明するための図である。図7(a)は、異物30(観察対象部位)を含む板状の試料6′を平面方向から見た図(平面図)である。異物30は試料6′の外側から直接肉眼又は光学顕微鏡等で観察可能な場合とX線等を用いて透視しないと存在を確認できない場合がある。何れの場合にも何らかの手段を用いて試料6′中の観察対象部位を見出し、試料作製の前準備を行なう。例えば図7(a)に示すように、サインペン等を用いて、異物30を挟むようにマーカー31a、31bを描き、断面作製位置の凡その目標位置を定める。
【0010】
図7(b)は試料6′の断面作製位置C付近を切断機により切離し、断面作製装置に装着するための試料6を準備する方法を説明するための平面図である。マーカー31a、31bの近傍を切断し領域6aを切り取る。領域6bは切断時に失われる損壊領域であり、使用する切断機の刃の厚さや刃の回転ぶれの大きさなどにより決まる。
【0011】
図7(c)及び(d)は、観察対象部位を含む試料6を断面作製装置の試料ホルダ7に装着し、遮蔽材12の端縁部を断面作製位置Cに合わせる操作を説明するための図である。図7(c)は側面図、図7(d)は平面図を表している。試料6と遮蔽材12を光学顕微鏡15で観察しながら前述した手順で遮蔽材12の端縁部を断面作製目標位置に合わせる。
【0012】
図4は、試料断面作製を行なうとき、断面が形成されていく様子を説明するための模式図である。イオンビームIBの照射により、試料6の遮蔽材に遮蔽されない部分が徐々に切削される。図4(a)は切削が始まった直後、図4(b)は切削途中、図4(c)は断面作製がほぼ完了した状態を示す。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3263920号公報
【特許文献2】特許第4208658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図4(c)に示す状態のように断面作製が施されると、遮蔽材の端縁位置に平坦な断面が出現するはずである。しかし、この断面に段差を生じたり汚れが付着していたりして本来の構造を観察できない場合がある。
【0015】
この問題は、試料の遮蔽材に遮蔽されない部分(以下、「突き出し部」と略称する)をイオンビーム照射により切削する時に、削られた物質が遮蔽材の端縁部や試料の加工完了部分に再付着(リデポジション)する現象に起因すると考えられる。
【0016】
図5はリデポジション現象を説明するための模式図である。図5(a)において、イオンビームIBの照射により試料6の突き出し部から飛散した物質は、遮蔽材12の端縁部に再付着し、付着物12aを形成する。付着物12aは新たな遮蔽材の働きをするので、領域6aはイオンビームIBの照射に対して付着物12aの影になってしまう。付着物12aは試料6の突き出し部が切削されて小さくなるにつれて逆に大きく成長するため、本来得られるはずの断面に少しずつ覆い被さる状態になる。そのため段差を生じたり、仕上げが不完全となって平坦な断面を得ることが出来ない。
【0017】
発明者の実験によれば、図5(a)中の突き出し量Lを、断面作製を始めるときに極めて小さくなるように設定しておけば、リデポジション現象の影響を殆ど無視できることが分かった。しかし、観察目標とする異物30が小さい場合、図7中の損壊領域6bを考慮すると、突き出し量L(すなわち断面作製目標位置から切断機による切断面までの距離)は少なくとも25μm〜75μm程度が必要である。突き出し量Lが25μm〜75μm程度もあると、リデポジション現象の影響を避けることは困難である。
【0018】
図5(b)はもうひとつのリデポジション現象を説明するための模式図である。イオンビームIBによって突き出し部の切削が進行すると、突き出し部の上側は大きく削られるが下側はまだ残部が突き出した状態である。そのため、下側の残部から飛散した物質が、加工を完了した断面に汚れとして再付着してしまう。したがって、SEM等により作製された断面を観察しても、本来の断面構造を知ることが出来ない。
【0019】
本発明は上記した問題を解決するためになされたものであって、その目的は、試料にイオンビームを照射して断面試料を作製するとき、イオンビームによって削られた物質が遮蔽材や試料に再付着するリデポジションの影響を除去して、段差や汚れの無い平坦な試料断面を作製する試料作製装置及び試料作製方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
上記の問題を解決するために、
(1)請求項1に記載の発明は、試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製するための試料断面作製装置であって、真空チャンバに取り付けられ、前記試料に前記イオンビームを照射するためのイオンビーム照射手段と、前記試料と前記遮蔽材の端縁部との相対位置を変化させる相対位置移動手段と、前記相対位置移動手段を制御する相対位置制御手段とを備え、前記相対位置制御手段は、前記遮蔽材の端縁部が前記試料の断面作製位置に配置される基準位置の情報を記憶すると共に、試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が前記遮蔽材により遮蔽される状態で前記イオンビームの照射が開始されると、前記記憶した基準位置の情報に基づき、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分の切削が進行するにつれて前記遮蔽材の端縁部が前記基準位置に向けて近づくように前記遮蔽材を移動させ、前記遮蔽材の端縁部が前記基準位置に到達したら前記遮蔽材の移動を停止させるように前記相対位置移動手段を制御することを特徴とする。
(2)請求項2に記載の発明は、前記相対位置移動手段が、前記試料を載置する試料ホルダの位置を前記遮蔽材に対して移動させる試料移動手段又は前記遮蔽材の位置を前記試料に対して移動させる遮蔽材移動手段のうちの少なくとも一つを備えることを特徴とする。
(3)請求項3に記載の発明は、試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビーム照射手段からのイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製するための試料断面作製装置であって、その端縁部が前記試料の断面作製位置に設定される第1遮蔽材と、前記第1遮蔽材と前記イオンビーム照射手段との間に前記イオンビームが前記第1遮蔽材の端縁部及び前記試料の断面作製位置に照射されないように配置される第2遮蔽材であって、端縁部を有し、前記イオンビーム照射手段からのイオンビームが該端縁部を含む該第2遮蔽材及び前記試料の切削対象部分に照射される第2遮蔽材と、前記第2遮蔽材を前記イオンビームが前記第1遮蔽材の端縁部及び前記試料の断面作製位置に照射される退避位置へ移動させる第2遮蔽材位置移動手段と、を備えたことを特徴とする。
(4)請求項4に記載の発明は、請求項3記載の試料断面作製装置であって、前記第2遮蔽材位置移動手段を制御する第2遮蔽材位置制御手段を備え、該第2遮蔽材位置制御手段は、前記第1遮蔽材の端縁部が前記試料の断面作製位置に配置される基準位置の情報を記憶すると共に、前記第2遮蔽材により試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が遮蔽される状態で前記イオンビームの照射が開始されると、前記記憶した基準位置の情報に基づき、前記試料の前記第2遮蔽材に遮蔽されない部分の切削が進行するにつれて前記第2遮蔽材の端縁部が前記基準位置に向けて近づくように前記第2遮蔽材を移動させ、前記第2遮蔽材の端縁部が前記基準位置を越えて前記イオンビームが前記第1遮蔽材の端縁部及び前記第1遮蔽材に遮蔽されない部分に照射される状態となったら前記第2遮蔽材の移動を停止させるように前記第2遮蔽材位置移動手段を制御することを特徴とする。
(5)請求項5に記載の発明は、試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製する試料断面作製方法であって、
前記イオンビーム照射前に、前記試料の断面作製位置に前記遮蔽材の端縁部を配置させるための遮蔽材位置情報を記憶する工程と、前記イオンビーム照射前に、試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が前記遮蔽材により遮蔽されるように前記遮蔽材と試料との相対位置を設定する工程と、前記イオンビーム照射中に、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分の切削が進行するにつれて前記遮蔽材の端縁部と断面作製位置とが接近するように前記遮蔽材の端縁部と前記試料との相対位置を変化させる工程と、前記遮蔽材位置情報に基づき、前記試料の断面作製位置に前記遮蔽材の端縁部が配置されている状態で前記遮蔽材の端縁部と前記試料との相対位置変化を停止させ前記イオンビーム照射を行う工程と、を有することを特徴とする。
(6)請求項6に記載の発明は、試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製するための試料断面作製方法であって、前記イオンビーム照射前に、前記試料の断面作製位置に第1遮蔽材の端縁部を配置させる第1の工程と、前記イオンビーム照射前に、前記第1遮蔽材と前記イオンビーム照射手段との間に配置される第2遮蔽材によって、試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が遮蔽されるように前記第2遮蔽材と試料との相対位置を設定する第2の工程と、前記イオンビーム照射により、前記試料の前記第2遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を切削する第3の工程と、前記第3の工程の後、前記第1遮蔽材の端縁部が前記第2遮蔽材によって遮蔽されること無く前記イオンビームが前記試料の断面作製位置に照射される位置に前記第2遮蔽材を配置させイオンビーム照射を行う第4の工程と、を有することを特徴とする。
(7)請求項7に記載の発明は、請求項6に記載の試料断面作製方法であって、前記第3の工程において、前記試料の前記第2遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分の切削が進行するにつれて前記切削が進行する方向に前記試料に対する前記第2遮蔽材の端縁部の位置を変化させるようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、イオンビームを照射して断面加工を施す試料の端部から断面加工位置までの距離が長くても、加工中に試料又は遮蔽材を移動させて、試料の遮蔽材に遮蔽されない突き出し部をイオンビームで切削していくので、イオンビームによって削られた物質が遮蔽材や試料に再付着するリデポジションの影響を除去して、段差や汚れの無い平坦な試料断面を作製することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係る試料作製装置の要部を示す側面図である。
【図2】本発明に係る他の試料作製装置の要部を示す側面図である。
【図3】本発明に係る他の試料作製装置の要部を示す側面図である。
【図4】試料作製装置により断面が形成されていく様子を説明するための模式図である。
【図5】リデポジション現象を説明するための模式図である。
【図6】従来の試料断面作製装置全体の概略構成例を示す側面図である。
【図7】イオンビームを用いて断面作製を行なうときの前準備方法を説明するための模式図である。
【図8】本発明に係る試料作製装置を用いて試料断面を作製する過程を説明するための模式図である。
【図9】本発明に係る他の試料作製装置を用いて試料断面を作製する過程を説明するための模式図である。
【図10】本発明に係る他の試料作製装置を用いて試料断面を作製する過程を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明する。但し、この例示によって本発明の技術範囲が制限されるものでは無い。各図において、図6の試料作製装置と同一または類似の動作を行なうものには共通の符号を付し、詳しい説明の重複を避ける。また、各図において表示されている座標軸X,Y,Z軸の定義は図6と同じである。
【0024】
(実施の形態1)
図1は、本発明に係る試料作製装置100の要部を示す側面図である。試料作製装置100において、22は試料位置調節機構5をy軸方向に微小量ずつ移動させるための駆動装置、22aは駆動装置22に組み込まれたピエゾモータである。21は駆動装置22を制御するための制御装置、20はパーソナルコンピュータ等の制御演算装置である。
【0025】
図1のように構成された試料作製装置100を用いて試料断面を作製する過程を、図8を参照しながら説明する。
【0026】
図8(a)は、試料にイオンビームを照射する前に、試料作製装置100の加工室18を図6(a)のように大気開放した状態で、遮蔽材12の端縁部を断面作製位置C(異物30の真ん中)に合わせた時の状態を示す側面図である。光学顕微鏡15を使用して試料6の表面を観察しながら、試料位置調節機構5に設けられた「試料y移動摘み」を動かして断面作製位置Cの位置決めを行なう。図8(a)は、試料6中の異物30の断面を作製するように、断面作製位置CのY軸上の位置P1を決めた状態を示している。制御演算装置20はP1の座標を記憶する。
【0027】
このままでは試料6の遮蔽材12に遮蔽されない突き出し部が長すぎるため、ピエゾモータ22により試料ホルダ7を駆動して試料6をY軸のマイナス方向に距離dだけ移動させ、遮蔽材12に遮蔽されない部分を小さくする。P2は加工開始時点における断面作製位置Cの初期位置となる。図8(b)は、試料6にイオンビーム照射を開始するとき、突き出し部が短く設定されている状態を示している。
【0028】
制御演算装置20がP1とP2の座標を記憶したら、試料作製装置100の加工室18を図6(b)に示す状態にして真空排気を行なう。
【0029】
加工室18が所定の真空度に達したら、試料6にイオンビームIBの照射を開始する。制御演算装置20は試料6の突き出し部の切削が進行するのに合わせて、ピエゾモータ22により試料ホルダ7を駆動し、断面作製位置Cを徐々にP2からP1に移動させる。図8(c)は、異物30がP2からP1の位置に移動する途中のP3の位置にある状態を示している。
【0030】
例えば、はじめに突き出し量を25μmに設定したとすると、加工開始から20分程度の間は図8(b)に示す状態のまま試料6を移動させずに切削を行なう。加工時間が20分から95分の間は1μm/分程度のスピードで、図8(c)に示す状態で試料6を遮蔽材12から突き出す方向へ連続的又は断続的に移動させる。95分から120分(加工終了)の間は試料6の移動を停止して断面作製位置CをP1に固定したままイオンビームIBによる切削を行なう。
【0031】
上記した加工条件は一例であり、試料の種類、突き出し量、イオンビームのエネルギー等により設定条件は異なる。また、はじめの突き出し量を0μmに設定して、加工開始の時から試料6を移動させるようにしても良い。
【0032】
図8(d)は、断面作製位置CがP1まで移動してイオンビームIBによる切削が行なわれ、ほぼ断面作製が完了した状態を示している。
【0033】
(実施の形態2)
図2は、本発明に係る試料作製装置200の要部を示す側面図である。試料作製装置200において、24は遮蔽材32を保持する遮蔽材保持機構33をy軸方向に微小量ずつ移動させるためのピエゾモータである。23はピエゾモータ24を制御するための制御装置、20はパーソナルコンピュータ等の制御演算装置である。
【0034】
図2のように構成された試料作製装置200を用いて試料断面を作製する過程を、図9を参照しながら説明する。
【0035】
図9(a)は、試料にイオンビームを照射する前に、試料作製装置200の加工室18を図6(a)のように大気開放した状態で、遮蔽材32の端縁部を断面作製位置C(異物30の真ん中)に合わせた時の状態を示す側面図である。光学顕微鏡15を使用して試料6の表面を観察しながら、遮蔽材位置調節機構10により遮蔽材32を保持する遮蔽材保持機構33を動かして遮蔽材32の位置決めを行なう。図9(a)は、試料6中の異物30の断面を作製するように、遮蔽材32の端縁部のY軸上の位置S1を設定した状態を示している。S1の位置が断面作製位置Cとなる。制御演算装置20はS1の座標を記憶する。
【0036】
このままでは試料6の遮蔽材32に遮蔽されない突き出し部が長すぎるため、ピエゾモータ24により遮蔽材保持機構33を駆動して遮蔽材32をY軸のプラス方向に距離dだけ移動させ、遮蔽材32に遮蔽されない部分を小さくする。S2は加工開始時点における遮蔽材32の端縁部の初期位置となる。図9(b)は、試料にイオンビーム照射を開始するとき、突き出し部が短く設定されている状態を示している。 制御演算装置20がS1とS2の座標を記憶したら、試料作製装置200の加工室18を図6(b)に示す状態にして真空排気を行なう。
【0037】
加工室18が所定の真空度に達したら、試料にイオンビームIBの照射を開始する。制御演算装置20は試料6の突き出し部の切削が進行するのに合わせて、ピエゾモータ24により遮蔽材保持機構33を駆動し、遮蔽材32の端縁部を徐々にS2からS1に移動させる。図9(c)は、遮蔽材32の端縁部がS2からS1の位置に移動する途中のS3の位置にある状態を示している。
【0038】
例えば、はじめに突き出し量を25μmに設定したとすると、加工開始から20分程度の間は図9(b)に示す状態のまま遮蔽材を移動させずに切削を行なう。加工時間が20分から95分の間は1μm/分程度のスピードで、突き出し部の切削が進行する方向に遮蔽材32の端縁部を連続的又は断続的に移動させる(図9(c)に示す状態)。95分から120分(加工終了)の間は遮蔽材32の移動を停止して遮蔽材32の端縁部をS1に固定したままイオンビームIBによる切削を行なう。
【0039】
上記した加工条件は一例であり、試料の種類、突き出し量、イオンビームのエネルギー等により設定条件は異なる。また、はじめの突き出し量を0μmに設定して、加工開始の時から遮蔽材32の端縁部を移動させるようにしても良い。
【0040】
図9(d)は、遮蔽材32の端縁部がS1(すなわち断面作製位置C)まで移動してイオンビームIBによる切削が行なわれ、ほぼ断面作製が完了した状態を示している。
【0041】
(実施の形態3)
図3は、本発明に係る試料作製装置300の要部を示す側面図である。試料作製装置300は、遮蔽材12(第1遮蔽材)と遮蔽材32(第2遮蔽材)が別体で構成され、二重構造となっているところに特徴がある。24は遮蔽材32を保持する遮蔽材保持機構33をy軸方向に微小量ずつ移動させるためのピエゾモータである。23はピエゾモータ24を制御するための制御装置、20はパーソナルコンピュータ等の制御演算装置である。
【0042】
図3のように構成された試料作製装置300を用いて試料断面を作製する過程を、図10を参照しながら説明する。
【0043】
図10(a)は、試料にイオンビームを照射する前に、試料作製装置300の加工室18を図6(a)のように大気開放した状態で、遮蔽材12の端縁部を断面作製位置C(異物30の真ん中)に合わせた時の状態を示す側面図である。
【0044】
光学顕微鏡15を使用して試料6の表面を観察しながら、遮蔽材位置調節機構10により遮蔽材12を保持する遮蔽材保持機構13を動かして遮蔽材12の位置決めを行なう。図10(a)は、試料6中の異物30の断面を作製するように、遮蔽材12の端縁部のY軸上の位置S1を決めた状態を示している。S1の位置が試料作製位置Cとなる。制御演算装置20はS1の座標を記憶する。
上記操作を行なう間、遮蔽材32の端縁部は遮蔽材12の端縁部が光学顕微鏡15による観察を妨げない適当な位置T1までずらしておく。
【0045】
このままでは試料6の遮蔽材12に遮蔽されない突き出し部が長すぎるため、ピエゾモータ24により遮蔽材保持機構33を駆動して遮蔽材32をS1からY軸のプラス方向に距離dだけ移動させたT2に設定し、遮蔽材32に遮蔽されない部分を小さくする。制御演算装置20はT2の座標(位置)を記憶する。T2は加工開始時点における遮蔽材32の端縁部の初期位置となる。図10(b)は、試料にイオンビーム照射を開始するとき、突き出し部が短く設定されている状態を示している。
【0046】
制御演算装置20がS1とT2の座標(位置)を記憶したら、試料作製装置300の加工室18を図6(b)に示す状態にして真空排気を行なう。
【0047】
加工室18が所定の真空度に達したら、試料6にイオンビームIBの照射を開始する。制御演算装置20は試料6の突き出し部の切削が進行するのに合わせて、ピエゾモータ24により遮蔽材保持機構33を駆動し、遮蔽材32の端縁部を徐々に(連続的又は断続的に)T2からS1に向けて移動(後退)させる。図10(c)は、遮蔽材32の端縁部がT2からS1に移動する途中のT3の位置にある状態を示している。
【0048】
例えば、はじめに遮蔽材32に対する試料の突き出し量を25μmに設定したとすると、加工開始から20分程度の間は図10(b)に示す状態のまま遮蔽材32の端縁部を移動させずに切削を行なう。切削スピードが例えば1μm/分程度であるとすると、20分間で突き出し部分の25μmの大半が切削された状態となる。その後加工時間が20分から95分の間は1μm/分程度のスピードで、突き出し部の切削が進行する方向に遮蔽材32の端縁部を連続的又は断続的に移動(後退)させる(図10(c)に示す状態)。95分から120分(加工終了)の間は遮蔽材32の端縁部をS1の位置まで徐々に移動させる。加工が完全に終了する前に遮蔽材32の端縁部をT4に移動させ、遮蔽材32と遮蔽材12の位置を固定したまましばらくの間、遮蔽材12の端縁部を用いたイオンビームIBによる仕上げの切削を行なう。このとき遮蔽材32の端縁部の位置T4は、少なくともイオンビームIBによる遮蔽材12の端縁部位置S1への照射を妨げない適当な位置にあれば良い。
【0049】
図10(d)は、遮蔽材32の端縁部がT4まで移動した後、遮蔽材12の端縁部位置S1(すなわち断面作製位置C)までイオンビームIBによる切削が行なわれ、ほぼ断面作製が完了した状態を示している。なお、イオンビームIBは、ビーム中心部が最高強度で、中心から離れるに従って強度が低下する強度分布を有するため、切削に寄与する遮蔽材の端縁部が常にビーム中心部に位置することが好ましい。そのため、図10(b)において遮蔽材32の端縁部がイオンビームIBのビーム中心位置にあることから分かるように、遮蔽材32の試料に対する後退に合わせて試料ステージ4を用いて試料6、試料ホルダ7、遮蔽材12、遮蔽材32を一体でイオンビームIBの中心に近づく方向に移動させ、それにより、遮蔽材32の端縁部が常にイオンビームIBのビーム中心位置にあるようにしている。
【0050】
そして、遮蔽材32の端縁部が遮蔽材12の端縁部を超えて後退した時点では、図10(c)に示されているように、遮蔽材12の端縁部がイオンビームIBのビーム中心位置にある状態で試料ステージ4による移動は停止され、遮蔽材12の端縁部を用いた仕上げの切削が行なわれる。
【0051】
上記した加工条件は一例であり、試料の種類、突き出し量、イオンビームのエネルギー等により設定条件は異なる。また、はじめの遮蔽材32に対する試料の突き出し量を0μmに設定して、加工開始の時から遮蔽材32の端縁部を移動させるようにしても良い。
【0052】
更にまた、上記説明では、遮蔽材32をその端縁部がスタート時点のT2(図10(b)に示す状態)からT3(図10(c)に示す状態)を経てS1、更にT4の位置に来るように徐々に移動させるようにしたが、移動はステップ的で良く、移動の回数も1回だけでも良い。すなわち、先に説明したように、加工開始から20分程度の間、図10(b)に示す状態のまま遮蔽材32の端縁部を移動させずに切削を行なった結果、突き出し部分の大半が切削された状態となったら、遮蔽材32を端面が遮蔽材12の端縁部位置S1を通り越して図10(d)に示される位置まで来るように一気に後退させてイオンビームIBが遮蔽材12の端縁部と試料に照射されるようにし、それ以降は、その状態のまま遮蔽材12の端縁部を用いたイオンビームIBによる切削を行なうようにしても良い。前記d及び遮蔽材32に対する試料の突き出し量を、イオンビームIBの径によって決まる切削可能限界長よりも小さく設定すれば、このような遮蔽材32により遮蔽材12を覆った状態での遮蔽材32の端面を用いた第1段階の切削と、遮蔽材32を遮蔽材12上から退避させた状態での遮蔽材12の端面を用いた第2段階の仕上げ切削の2工程により、断面作製を完了させることができる。遮蔽材32は、遮蔽材12を覆う状態と遮蔽材12上から退避させた状態の2位置の間を移動させれば良いので、移動機構及び移動制御を簡略化することが可能となる。
【0053】
また、遮蔽材32の端面を用いた第1段階の切削は、いわば荒切削であるため荒削りとなっても良い。そのため、例えば、イオンの加速電圧を仕上げ切削時よりも高めに設定して用いることにより、切削スピードを高めることができ、試料作成に要するトータルの時間を短縮することが可能となる。
【0054】
更にまた、上記のような2段階の切削を行う場合においても、第1段階の切削の際は遮蔽材32の端面がイオンビームIBのビーム中心位置にあり、第2段階の仕上げ切削の際には、遮蔽材12の端縁部がイオンビームIBのビーム中心位置にあるように、試料6、試料ホルダ7、遮蔽材12、遮蔽材32を一体でイオンビームIBに対して移動させることが好ましい。
【0055】
なお、実施の形態1から3の説明において、試料又は遮蔽材を移動させるためにピエゾモータを用いる例を示したが、他のモータを使用しても良い。
【0056】
以上述べたように、本発明によれば、試料にイオンビームを照射して断面試料を作製するとき、イオンビームによって削られた物質が遮蔽材や試料に再付着するリデポジションの影響を除去して、段差や汚れの無い平坦な試料断面を作製する試料作製装置及び試料作製方法を提供することができる。
【符号の説明】
【0057】
IB…イオンビーム q,r…x軸に平行な軸
Oi…イオンビーム照射軸 OL…光軸 1…真空チャンバ
2…イオン銃 3…試料ステージ引出機構 4…試料ステージ
5…試料位置調節機構 6…試料 7…試料ホルダ
10…遮蔽材位置調節機構 11…遮蔽材傾倒機構
12、32…遮蔽材 13、33…遮蔽材保持機構
14…光学顕微鏡傾倒機構 15…光学顕微鏡
16…光学顕微鏡位置調節機構 17…排気装置 18…加工室
20…制御演算装置 21,23…ピエゾモータ制御装置
22,24…ピエゾモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製するための試料断面作製装置であって、
真空チャンバに取り付けられ、前記試料に前記イオンビームを照射するためのイオンビーム照射手段と、
前記試料と前記遮蔽材の端縁部との相対位置を変化させる相対位置移動手段と、
前記相対位置移動手段を制御する相対位置制御手段とを備え、
前記相対位置制御手段は、前記遮蔽材の端縁部が前記試料の断面作製位置に配置される基準位置の情報を記憶すると共に、試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が前記遮蔽材により遮蔽される状態で前記イオンビームの照射が開始されると、前記記憶した基準位置の情報に基づき、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分の切削が進行するにつれて前記遮蔽材の端縁部が前記基準位置に向けて近づくように前記遮蔽材を移動させ、前記遮蔽材の端縁部が前記基準位置に到達したら前記遮蔽材の移動を停止させるように前記相対位置移動手段を制御する
ことを特徴とする試料断面作製装置。
【請求項2】
前記相対位置移動手段が、前記試料を載置する試料ホルダの位置を前記遮蔽材に対して移動させる試料移動手段又は前記遮蔽材の位置を前記試料に対して移動させる遮蔽材移動手段のうちの少なくとも一つを備えることを特徴とする請求項1記載の試料断面作製装置。
【請求項3】
試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビーム照射手段からのイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製するための試料断面作製装置であって、
その端縁部が前記試料の断面作製位置に設定される第1遮蔽材と、
前記第1遮蔽材と前記イオンビーム照射手段との間に前記イオンビームが前記第1遮蔽材の端縁部及び前記試料の断面作製位置に照射されないように配置される第2遮蔽材であって、端縁部を有し、前記イオンビーム照射手段からのイオンビームが該端縁部を含む該第2遮蔽材及び前記試料の切削対象部分に照射される第2遮蔽材と、
前記第2遮蔽材を前記イオンビームが前記第1遮蔽材の端縁部及び前記試料の断面作製位置に照射される退避位置へ移動させる第2遮蔽材位置移動手段と、
を備えたことを特徴とする試料断面作製装置。
【請求項4】
前記第2遮蔽材位置移動手段を制御する第2遮蔽材位置制御手段を備え、該第2遮蔽材位置制御手段は、前記第1遮蔽材の端縁部が前記試料の断面作製位置に配置される基準位置の情報を記憶すると共に、前記第2遮蔽材により試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が遮蔽される状態で前記イオンビームの照射が開始されると、前記記憶した基準位置の情報に基づき、前記試料の前記第2遮蔽材に遮蔽されない部分の切削が進行するにつれて前記第2遮蔽材の端縁部が前記基準位置に向けて近づくように前記第2遮蔽材を移動させ、前記第2遮蔽材の端縁部が前記基準位置を越えて前記イオンビームが前記第1遮蔽材の端縁部及び前記第1遮蔽材に遮蔽されない部分に照射される状態となったら前記第2遮蔽材の移動を停止させるように前記第2遮蔽材位置移動手段を制御する
ことを特徴とする請求項3記載の試料断面作製装置。
【請求項5】
試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製する試料断面作製方法であって、
前記イオンビーム照射前に、前記試料の断面作製位置に前記遮蔽材の端縁部を配置させるための遮蔽材位置情報を記憶する工程と、
前記イオンビーム照射前に、試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が前記遮蔽材により遮蔽されるように前記遮蔽材と試料との相対位置を設定する工程と、
前記イオンビーム照射中に、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分の切削が進行するにつれて前記遮蔽材の端縁部と断面作製位置とが接近するように前記遮蔽材の端縁部と前記試料との相対位置を変化させる工程と、
前記遮蔽材位置情報に基づき、前記試料の断面作製位置に前記遮蔽材の端縁部が配置されている状態で前記遮蔽材の端縁部と前記試料との相対位置変化を停止させ前記イオンビーム照射を行う工程と
を有することを特徴とする試料断面作製方法。
【請求項6】
試料の一部を遮蔽材で覆い、当該遮蔽材の端縁部を含めて前記遮蔽材側から前記試料にイオンビームを照射することにより、前記試料の前記遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を前記イオンビームによって切削し、前記試料の断面を作製するための試料断面作製方法であって、
前記イオンビーム照射前に、前記試料の断面作製位置に第1遮蔽材の端縁部を配置させる第1の工程と、
前記イオンビーム照射前に、前記第1遮蔽材と前記イオンビーム照射手段との間に配置される第2遮蔽材によって、試料の前記断面作成位置及び前記切削対象部分が遮蔽されるように前記第2遮蔽材と試料との相対位置を設定する第2の工程と、
前記イオンビーム照射により、前記試料の前記第2遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分を切削する第3の工程と、
前記第3の工程の後、前記第1遮蔽材の端縁部が前記第2遮蔽材によって遮蔽されること無く前記イオンビームが前記試料の断面作製位置に照射される位置に前記第2遮蔽材を配置させイオンビーム照射を行う第4の工程と、
を有することを特徴とする試料断面作製方法。
【請求項7】
前記第3の工程において、前記試料の前記第2遮蔽材に遮蔽されない切削対象部分の切削が進行するにつれて前記切削が進行する方向に前記試料に対する前記第2遮蔽材の端縁部の位置を変化させるようにしたことを特徴とする請求項6記載の試料断面作製方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−230665(P2010−230665A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47979(P2010−47979)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(000004271)日本電子株式会社 (811)
【Fターム(参考)】