説明

イソシアネートをベースとする組成物、コーティング、特に接着剤の製造のためのその使用、及び得られる脂肪族接着性ジョイント

本発明は、接着剤中に乳化性イソシアネート組成物を使用することに関する。この組成物は、
・N=C=O官能基の質量含有率が10%〜30%であり、粘度がせいぜい1500mPa・sであるイソシアネート組成物、
・一般式[R2O-(CH2-CH2-O)s-CH2-CH2-X')q-P(=O)m(O-)p-X-CH2-CH2(-O-CH2-CH2)n-O-R1{ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、換言すれば境界を含む)であり、mは0又は1であり、p+m+qは最大3であり、1+p+2m+qは5であり、X及びX’はO又は単結合であり、n及びsは独立的に5〜25であり、R及びRは同一又は異なり、有利には同一であり、芳香族核を持たない脂肪族基である}の化合物又は該化合物の混合物を主成分とする界面活性剤
を含む。用途は接着剤産業である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イソシアネート(これは部分的に又は完全にマスクされていてもよいが、しかしこれは好ましい具体例ではない)をベースとする化合物及び組成物に関する。本発明はまた、コーティングを製造するためのその使用方法及び接着剤を製造するためのその使用、並びに特にこうして得られる接着性ジョイントにも関する。より特定的には、本発明は、水性相中に(自己)分散性であり、特にコーティングのため並びに特に木材及びエラストマーを結合させるための組成物に関する。
【0002】
本発明をより一層よく理解するためには、以下のことを思い出すのが適切であると思われる。
【0003】
本明細書において粒子寸法特徴についてはしばしば、dnタイプの表記法(ここで、nは1〜99の数である)を用いる。この表記法は多くの技術分野においてよく知られているが、化学においてはむしろ稀であり、従ってその意味を思い出しておくのがよいかも知れない。この表記法は、粒子のn%(重量、より正確には質量による。何故ならば重量は物質の量であって力ではないから。)がその寸法と等しい寸法又はそれより小さい寸法であるような粒子寸法を表わす。
【0004】
本明細書の残りの部分においては、次式で規定される多分散指数を用いる。
I=(d90−d10)/d50
【背景技術】
【0005】
ごく最近まで、大多数のイソシアネートは本質的に有機溶剤中に溶解せしめられていた。これらの有機溶剤又はその少なくとも一部は毒性又は時間毒性があるとみなされているので、有機溶剤の使用には作業安全性を管理する当局からの非難が次第に高まっている。そのため、溶剤をほとんど含有させない技術やさらには溶剤無しの技術まで、これを開発するための試みが次第に多く行われるようになってきた。特に溶剤に関連する欠点を解消するために、溶剤媒体中の混合物の代わりとなりうる複合組成物(系と称されることもある)が求められている。
【0006】
特に、その存在がそれを取り扱う者にとって毒性があること及び環境に対して有害であることがよく知られている有機溶剤の使用を減らすために、水中に容易に乳化可能であり且つ水中エマルションとして容易に使用可能なイソシアネート組成物を開発することが提唱されている。この場合、水は配合物の成分に対する「ビヒクル」としての働きをし、特に粘度を調節するために必要とされる有機溶剤を減らし、不要にすることさえできる。
【0007】
イソシアネートに関しては、特に一般的に用いられているものはジイソシアネート、特にアルキレンジイソシアネート(例えばTolonate(登録商標)の商品名で販売されているもの)、特にそのオリゴマー誘導体の形のもの、例えばビウレット単位を含有するもの、ウレチジンジオン単位を含有するもの、各種三量体化から誘導される単位を含有するもの又はそれらから誘導することができる単位を含有するものである。三量体化の際に生成することがある各種の単位又は環には、以下のものがある:
【化1】

【0008】
本発明はコーティング分野(特に接着剤、塗料及びワニス)以外の分野において利用することもできるが、本明細書の残りの部分においては、問題点をよりわかりやすく説明するため及び適宜に代表的な例としての働きをさせるために、塗料及びワニスにおけるその用例を採用する。
【0009】
特に塗料及びワニスの分野において本発明の範囲をよりよく理解するために、有機溶剤の使用を減らし又は不要にするために用いられる技術及びシステムを少し思い出しておくのがよい。
【0010】
かくして、塗料及びワニスのフィルムを作るためには、一方でイソシアネートを含有する分散体又はエマルションと、他方で二官能性又は多官能性の共反応体(後記の反応性水素を有する官能基のもの)(一般的にはポリオール)の分散体又は溶液とを互いに混合する。遊離のイソシアネート官能基が反応性である場合には、通常はイソシアネートをマスクする。そうではない場合には、遊離のイソシアネートを共反応体の分散体中で直接エマルションにする。
【0011】
通常は、イソシアネートを導入する前に共反応体(一般的にはポリオール)を有する水性相中に顔料並びに各種充填剤及び添加剤を存在させ又は導入する。しかしながら、これらは複合分散体を形成させた後に導入してもよい。
【0012】
イソシアネートは遊離であってもマスクされていてもよく、後者の場合、全体的にマスクされていても部分的にマスクされていてもよい。本発明は特に、イソシアネート官能基の少なくとも一部がマスクされていない場合に関する。
【0013】
本発明の関連した目的は、随意としての顔料及び充填剤(特に二酸化チタン)の分散を促進することである。
【0014】
ひとたび最終的な分散体が完成したら、これは次いで、工業的なコーティング(特に塗料及びワニス)を用いるための標準的な技術を用いてフィルムの形で支持体上に展延せしめられる。
【0015】
調製物がマスクされたイソシアネートを含有する場合には、フィルムと支持体との組立体を、確実にイソシアネート官能基が遊離し且つ/又はこのイソシアネートが当業者によく知られている反応性水素を含有する官能基(アミン、スルフヒドリル、アルコール、言い換えればヒドロキシル官能基)(一般的にはヒドロキシル官能基)を有する化合物(共反応体)と縮合するのに充分な温度において焼成する。しかしながら、マスク又はブロックされた物質はマスクされていない物質より有意に高価格であることを思い出すべきである。
【0016】
かくして、最も一般的に提唱されている解決策の内の1つは、水中の分散体、特に水中エマルションを用いるものである。水とイソシアネートとの反応性の理由で、この解決策は特にマスクされたイソシアネートについて用いられる。
【0017】
言うまでもなく、これらの問題点は、コーティングに固有の制約を考慮しながら解決されなければならない。
【0018】
例えば、一難去ってまた一難(tomber de Charybde en Scylla)という事態にならないようにするためには、大きな障害、即ち、コーティング本来の1つ以上の品質を劣化させるものを回避しなければならない(塗料及びワニスについては、平滑な性状を維持し、「オレンジピール」と称される欠陥や硬度、耐溶剤性、支持体に対する接着性等に関する欠陥を回避する)。
【0019】
特に、支持体に対するコーティングの接着性が劣ることは懸念すべきことである。何故ならば、多くの界面活性剤はコーティングとその支持体との間の結合強度を低下させることが有名であり、ポリマーと支持体との間の結合を徐々に衰えさせることが知られており、そのために用いられている。かかる現象は、特にドイツ国特許第3108537A号明細書に記載されている。
【0020】
通常は、マスクされていないイソシアネート又は完全にはマスクされていないイソシアネートを用いる場合、水性エマルションの形では、それらが使用可能な時間は数時間未満、一般的に1又は2時間未満である。新規の乳化剤を使用したことによって耐用寿命が有意に短縮される結果にならないようにするのが重要である。
【0021】
かくして、分散操作の際、特にイソシアネートをエマルション状にする際に何らかの問題に遭遇することがないようにすることが重要である。
【0022】
様々な国々、特に欧州共同体の国々における規制は、界面活性剤の中で最もよく用いられていて最も効果的なsynthon類、即ち芳香族誘導体を禁止する方向にある。後者の誘導体の中でも、「ノニルフェニル」基と称される基を含むもの、より特定的にはノニルフェノールによって開始されるエポキシド又はアルケンオキシドの縮合によって得られる誘導体が、特にターゲットにされている。
【0023】
控えめな表現を用いても、代替解決策の開発はそれほど容易なことではないと言える。
【0024】
より一層特定的に接着剤用の使用に関しては、本発明をよりよく理解するためには、この技術のいくつかの要素を思い出すべきである。昔から、他のコーティングについてと同様に接着剤産業においても溶剤が広く用いられてきたが、有機溶剤又はその少なくとも一部は毒性又は時間毒性があるとみなされているので、有機溶剤の使用には作業安全性を管理する当局からの非難が次第に高まっている。
【0025】
これを1つの理由として、溶剤に関連する欠点を解消するために溶剤媒体中における技術の代わりとなる技術を開発するための試みが次第に多く行われるようになってきた。
【0026】
その存在がそれを取り扱う者にとって毒性があること及び環境に対して有害であることが知られている有機溶剤の使用を減らすために、水性相中の接着剤を開発することが提唱されている。
【0027】
このタイプの大部分の接着剤は、水性相中の(通常は分散体の形の)ポリマーから成り、水性相の蒸発が結合をもたらす。
【0028】
しかしながら、水性相中にイソシアネートを分散させて存在させることによって、この種の接着剤を用いて得られる接着性ジョイントの接着特性を有意に高めることができるようである。この効果増強のメカニズムは、完全には解明されていない。
【0029】
こうして変性されたこれらの分散体は新規の類の接着剤を構成し、ポリマー(可溶性のもの又は通常は分散体状のもの)と分散したイソシアネートとが同一の水性相中に存在するデュアル分散体から形成される。
【0030】
一般的に、この混合分散体は、ポリマーベクトル水性相とイソシアネートエマルションとを混合するか、又はポリマーを有する水性相中にイソシアネートを直接乳化させるかのいずれかによって得られる。
【0031】
特に望ましいのは後者の技術である。
【0032】
この技術は有利なものではあるが、しかしこの用途のために好適なイソシアネートベース組成物の範囲には選択肢が少ししかない。何故ならば、これらは様々な制約を満足する必要があり、乳化剤の選択が臨界的であるからである。
【0033】
かくして、一方で分散体を接着結合に用いることができる時間が短縮されるのを防止し、他方で脱混合(混合状態の解除)及び場合により相分離を防止するためには、イソシアネート組成物を乳化させるための技術がポリマーベクトル媒体と適合性である必要がある。これは、分散体が物理的に安定であること及び所定レベルで化学的に安定であることの両方を意味する。
【0034】
と言うのも、マスクされていないイソシアネート又は完全にはマスクされていないイソシアネートを用いる場合、水性エマルションの形では、通常はそれらが使用可能な時間は数時間未満、一般的に1又は2時間未満なのである。新規の乳化剤を使用したことによって耐用寿命が有意に短縮される結果にならないようにするのが重要である。
【0035】
この問題は、用いられる接着性ポリマーの多様性が広範であることのため及びそれらの特徴が表面結合される材料に依存することのために、なお一層難しいものとなる。
【0036】
最後に、水性相中の特に分散体状の接着剤を用いて得られた接着性ジョイントは湿った環境において低い接着性を示すということも、よく起こることである。
【0037】
さらに、多くの界面活性剤はコーティングとその支持体との間の結合の強度を低下させることがよく知られている。その結果、それらはポリマーと支持体との間の結合を徐々に衰えさせることが知られており、そのために用いられている。
【特許文献1】ドイツ国特許第3108537A号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0038】
この理由で、本発明の1つの目的は、広範な条件下で容易に乳化させることができるイソシアネート組成物を提供することにある。
【0039】
本発明の別の目的は、芳香族核を含有する乳化剤を用いることなく、広範な条件下で容易に乳化させることができるイソシアネート組成物を提供することにある。
【0040】
本発明の別の目的は、湿った環境における接着性の問題を克服するイソシアネート組成物を提供することにある。
【0041】
本発明の別の目的は、接着を促進し、有機支持体、特にビニル性状の(コ)ポリマー(例えばアクリル、イソプレン及び/又はスチレン(コ)ポリマー)に対して良好な接着性を示すコーティング(塗料、ワニス等)を与えるイソシアネート組成物を提供することにある。
【0042】
本発明の別の目的は、合成又は天然ゴムのようなエラストマー状有機支持体に対して良好な接着性を示すコーティング(塗料、ワニス等)を与えるイソシアネート組成物を提供することにある。
【0043】
本発明の別の目的は、生物起源の支持体、特に木材に対して良好な接着性を示すコーティングを与えるイソシアネート組成物を提供することにある。
【0044】
本発明の別の目的は、良好な品質、特に直接的に生物起源の支持体(例えば木材)に対して又はパーティクルボード、合板、紙及び天然ゴムのような予変形を施した支持体に対して良好な接着性を示す品質の塗料及び特にワニスを与えるイソシアネート組成物を提供することにある。
【0045】
本発明の別の目的は、少なくとも1つが生物起源のものである少なくとも2つの表面を互いに結合させる接着性ジョイントを提供することにある。
【0046】
本発明の別の目的は、少なくとも1つが有機支持体材料のもの、特にビニル性状の(コ)ポリマー(例えばアクリル、イソプレン及び/又はスチレン(コ)ポリマー)のものである少なくとも2つの表面を互いに結合させる接着性ジョイントを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0047】
これらの目的及び以下の説明から明らかになるであろうその他の目的は、次のものを含む乳化可能なイソシアネート組成物を接着剤中に用いることによって達成される:
・10%〜30%の範囲(境界を含む)、有利には15%〜25%の範囲(境界を含む)のN=C=O官能基の質量含有率、及び2500mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物(a);
・次の一般式(I)の化合物又は該化合物の混合物を主成分として含む界面活性剤:
【化2】

{ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、即ち境界を含む)の整数を表わし;
mは0又は有利には1を表わし;
合計p+m+qは3以下であり;
合計1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Xは酸素又は単結合であり;
X’は酸素又は単結合であり;
n及びsは同一であっても異なっていてもよく、少なくとも2、有利には少なくとも3、好ましくは少なくとも4、より一層好ましくは少なくとも5であって、30以下、有利には25以下、好ましくは20以下、より一層好ましくは9以下のものから選択される整数を表わし、かくして好ましい範囲は3〜25の範囲、有利には5〜20の範囲、好ましくは5〜9の範囲(閉区間、即ち境界を含む)であり;
1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、有利には同一であり、芳香族核を持たない脂肪族性状の基(即ち8〜20個の炭素原子のsp3混成軌道の炭素が開いた結合を有するもの)(これは随意に置換されていてよい)、有利にはアルキル基(アルアルキルを除外する)から選択される}。
【発明を実施するための最良の形態】
【0048】
1及びR2は通常はアルキル、随意にそして有利には8〜20個の炭素原子を有する分枝鎖状アルキルを表わす。多くの場合、これはイソトリデシルアルコールの名称で販売されている製品のようなアルコールの混合物(一般的には異性体の混合物)から誘導されるアルキル混合物である。
【0049】
かくして、整数qは1又は0を表わす。
【0050】
共カチオンが高溶解性である(随意に封鎖されたアルカリ金属、第4級アンモニウム又はホスホニウム、低分子量、即ち7個以下の炭素原子を有する第3アミン)場合には、s及びnを9〜20の範囲から選択するのが有利なこともあり、X及びX’の内の一方が酸素、好ましくは両方が酸素である。
【0051】
式(I)の化合物が混合物である場合には、モル基準としたそれらの大部分が式(I)においてqが0である次式(II)のものに相当するのが好ましい。
【化3】

(ここで、mは0又は1、好ましくは1であり、
pは2である。)
【0052】
前記の値は所定の分子については整数であるが、好ましい場合として化合物の混合物を用いる場合にはこれらの値は分数になってもよい。
【0053】
かくして、式(I)においてq、p{又はmでさえ(しかしこれは合成方法が異なる2種の物質であるホスファイトとホスフェートとを互いに混合することを必要とし、合成が難しくなるので、好ましくはない)}並びに特にn及びsは統計値となる(これはほとんど差を生じるものではないが数を基準とする)(式(I)の分子の数は後記のようにpH測定法によって容易に決定することができる)。
【0054】
ジエステル対モノエステルの統計比(即ちq)は有利にはせいぜい3/4、有利にはせいぜい2/3、好ましくはせいぜい1/2、さらにより一層好ましくはそれ未満である(後記のように)。
【0055】
この場合、前記の乳化可能な組成物は、以下のものを含むのが有利である乳化可能なイソシアネート組成物になる:
・15%〜25%の範囲のN=C=O官能基の質量含有率、及び2500mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物;
・次の平均一般式の化合物又は該化合物の混合物を主成分として含む界面活性剤:
【化4】

{ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、即ち境界を含む)の値を表わし;
mは0又は1、有利には1であり;
合計p+m+qは3であり;
合計1+p+2m+qはリンの原子価、即ち3又は5、有利には5であり;
Xは酸素であり;
X’は酸素であり;
n及びsは有利には同一の統計値を有し、n及びsは同一であっても異なっていてもよく、少なくとも2、有利には少なくとも3、好ましくは少なくとも4、より一層好ましくは少なくとも5であって、30以下、有利には25以下、好ましくは20以下、より一層好ましくは9以下のものから選択される統計値を表わし、かくして好ましい範囲は3〜25の範囲、有利には5〜20の範囲、好ましくは5〜9の範囲(閉区間、即ち境界を含む)であり;
1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、有利には同一であり、芳香族核を持たない脂肪族性状の基(これは随意に置換されていてよい)、有利にはアルキル基から選択される}。
値qは0〜1の範囲の閉区間の中から選択される値を表わす。
【0056】
s及びnについては、共カチオンが高溶解性である(随意に封鎖されたアルカリ金属、第4級アンモニウム又はホスホニウム、低分子量、即ち7個以下の炭素原子を有する第3アミン)場合には、9〜20の範囲から選択するのが有利なこともある;アルキルは、その語源的意味において、アルコールからOH官能基が除去されたものとされる。R1及びR2は通常はアルキルを表わし、これは随意にそして有利には分枝鎖状のものであり、8〜20個の炭素原子(整数又は統計値)、好ましくは10〜15個の炭素原子を有し、より一層好ましくは水素及び炭素のみを含む。R1、そしてR2も、IUPACの意味内のアルキル、即ちアルカン(随意に環状アルカン)から水素が除去されたものに相当するのが望ましい。
【0057】
0〜1の範囲の閉区間中から選択される統計値qは、酸−塩基滴定によって容易に測定されることに留意されたい。
【0058】
統計値qは、0.5以下、有利には0.3以下、好ましくは0.2以下であるのが望ましい。
【0059】
この場合、平均式は数平均(各タイプの単位又は原子の総数を分子の数で割ったもの)であり、各分子の割合は液体クロマトグラフィーによって及び重い分子については適宜にゲル透過クロマトグラフィーによって測定される。
【0060】
これらの化合物は、アルコール(R1及び/又はR2)を用いてアルコール官能基で末端停止させたポリエチレンオキシド(s及びnの単位)によってリンの酸(有利にはリン酸)を部分エステル化することによって、得ることができる。
【0061】
式(I)の化合物と懸濁させるべきイソシアネートとの間の質量比(式(I)の化合物が分子になる)は通常、約0.1以下、有利には約0.10以下である。本明細書において用語「約」は、その値が数学的に丸められたものであるという事実、及びその数値の最も右の数字が0である場合にこれらの0が(もちろん別途記載がなければのことではあるが)有効数字というよりもむしろ位取り表記の0であるという事実を強調するために専ら用いられる。
【0062】
式(I)の化合物(分子)と懸濁させるべきイソシアネート(分母)との間の質量比は、1%より大きいのが有利であり、2%より大きいのが好ましい。
【0063】
これらの使用における利点を構成する自己乳化性性状は、他のタイプの乳化剤化合物(これらは少なくとも3%の量である)も存在させる場合には前記の質量比が約3%又はそれより高い時に現れ、式(I)の化合物が乳化剤として用いられる全界面活性剤の少なくとも90質量%を占める場合には前記の比が約5%又はそれより高い時に現れる。
【0064】
本発明に従ってイソシアネートと共に用いられる共反応体は多くの場合それら自身の界面活性剤と一緒に商品として入手できるので、本発明のイソシアネート組成物を共反応体の水性相中に乳化させる場合には、式(I)の界面活性剤の量が本発明に従う純水中における自己乳化を保証するのには不充分であっても、自己乳化が起こることができる。ポリオールと共に用いられる界面活性剤とのこの適合性は、本発明の実施にとって非常に有益である。
【0065】
また、式(I)の前記の化合物の量が、1リットル当たりに10-2〜1の範囲、有利には5×10-2〜0.5の範囲の値のリン原子に相当するのも望ましい。
【0066】
かくして、式(I)の化合物(分子)と懸濁させるべきイソシアネート(分母)との間の質量比は、有利には少なくとも2%、好ましくは少なくとも4%であって、約15%以下、好ましくは10%以下であり、かくしてこの質量比は、有利には約2%〜15%の範囲、好ましくは約4%〜10%の範囲(有効数字2桁)である。これらの範囲は閉区間であり、即ちこれらは境界を含む。
【0067】
本発明に従えば、前記の化合物は、単独で用いることもでき、1種又はそれより多くの界面活性剤との混合物として用いることもできる。
【0068】
これらの随意としての界面活性剤はまた、その他のイオン性化合物(特にアルキルサルフェート、アルキルホスフェート、アルキルホスホネート、アルキルホスフィネート、アルキルスルホネート、脂肪酸塩及び/又は双性イオン性塩)並びにノニオン性化合物(鎖の末端をブロックされたもの又はブロックされていないもの)から選択することもできる。しかしながら、鎖の少なくとも1つにアルコール官能基を含有するノニオン性化合物は、たとえ組成物の他の局面に対しては好ましい効果を有していても、(自己)乳化に対しては僅かに好ましくない影響を有するように思える。これを考慮に入れると、このタイプの化合物の含有率は、本発明に従うアニオン性化合物の質量のせいぜい1/3、有利にはせいぜい1/5、好ましくはせいぜい1/10を占めるのが好ましい。
【0069】
本発明がターゲットとする(式(I)のもののような)界面活性剤化合物の電気的中性を保証する対カチオンは、一価のものであるのが有利であり、無機カチオン及び有機カチオンから選択され、これらは非求核性のものであるのが有利であり、従って第4級又は第3級性状のもの{特にホスホニウム、アンモニウム(プロトン化アミンを含む)のような第V族の「オニウム類」又はスルホニウムのような第VI族の「オニウム類」等}及びそれらの混合物であるのが有利であり、通常は一般的にアミンから、有利には第3アミンから誘導されるアンモニウムである。有機カチオンがイソシアネート官能基に対して反応性の水素を持つのを回避するのが有利である。この理由で、第3アミンが好ましい。
【0070】
無機カチオンは、相間移動剤、例えばクラウンエーテルで封鎖されていてもよい。
【0071】
中性塩基{有機(アンモニウム等)又は無機}のプロトン化から誘導されるカチオンの水中におけるpKaは、有利には少なくとも7、好ましくは少なくとも8であって、14以下、好ましくは12以下、より一層好ましくは10以下である。
【0072】
前記カチオン、特にアンモニウムに対応するアミン(この場合にはプロトン化アミン)は、界面活性剤特性を持たないのが有利であるが、しかし良好な溶解性を有するのが望ましく、いずれにしても官能基及びポリ酸素化鎖を含有するこの化合物が作業濃度において確実に水性相中で溶解するのに充分な溶解性を有するのが望ましい。
【0073】
「オニウム」官能基1個当たりに16個以下、有利には12個以下、好ましくは10個以下、より一層好ましくは8個以下の炭素を有する第3アミン及び第4級アンモニウム又はホスホニウム(もちろん、プロトン化によって第3アミンから誘導されるアンモニウムを含む)が好ましい。1分子当たりに1個のみの官能基が存在するのが好ましい。
【0074】
「オニウム」官能基1個当たりに少なくとも4個、有利には少なくとも5個、好ましくは少なくとも6個、より一層好ましくは少なくとも7個の炭素原子を有する第3アミン及び第4級アンモニウム又はホスホニウム(もちろん、プロトン化によって第3アミンから誘導されるアンモニウムを含む)が好ましい。
【0075】
上記に従えば、好ましい塩基は、6〜10個、有利には7又は8個の炭素原子を有する第3モノアミン又はモノホスフィンであることがわかる。
【0076】
本発明に従えば、窒素又はリン上の置換基の内の1つが第2級又は第3級基、有利にはせいぜい7員、有利には5又は6員のシクロアルキルであるのが好ましい。
【0077】
前記アミンは、他の官能基、特にアミノ酸の官能基に対応する官能基や環状エーテル官能基(例えばN−メチルモルホリン)等を含んでいてもよい。これらの他の官能基は、イソシアネート官能基と反応せず且つ水性相中における溶解性を有意に低下させることのない形にあるのが有利である。
【0078】
本発明に従うアニオン性化合物は、水中に溶解させた際や水中で接触させた時のpHが少なくとも3、有利には少なくとも4、好ましくは少なくとも5であって12以下、有利には11以下、好ましくは10以下となるような中和された形にあることが、非常に望ましい。
【0079】
かくして、2つ以上存在する場合には強酸官能基又は中庸強度の酸官能基(即ちpKaが4以下のもの)だけが中和されているのが好ましい。弱い酸、即ちpKaが少なくとも5のものは、一部中和されていてもよい。
【0080】
より一般的な態様において上記したように、qが0である化合物が大部分を占めるのが好ましい。かくして、リンがリン(V)である(即ち2m+p+q=5である)場合及び混合物の化合物がエステルである場合には、モノエステル及びジエステルの混合物であってモノエステル/ジエステルのモル比が2より大きく、有利には3より大きく、好ましくは4より大きく、より一層好ましくは5より大きく、さらには10より大きいものを用いるのが望ましい。
【0081】
本発明に従う乳化剤(特に上記の混合物)はまた、リン酸及び/又は亜リン酸(これらは推奨pHゾーン内になるように少なくとも一部塩形成されているのが有利であろう)1〜約20質量%(しかしこれは10%を超えないのが好ましい)並びにピロリン酸エステル0〜5質量%を含んでいてもよい。技術的には亜リン酸をを存在させることは可能であるが、その誘導体の一部は毒性があると考えられるので、この酸を用いるのは、特に毒性があると考えられる誘導体を形成する危険性がある場合には、回避するのが賢明である。
【0082】
前記組成物にはまた、触媒、有利には潜在的触媒(外的作用、例えば可視光線や紫外線、酸素の作用によって遊離され得るもの)を含ませてもよい。
【0083】
本発明に従えば、安定なエマルション、特に安定な水中油エマルションを容易に製造することができる。
【0084】
「油中水」エマルションを得ることも可能であるが、しかしかかるエマルションは化学的に安定ではない。「油中水」エマルションは時として危険なほどに急激なイソシアネート官能基の分解を助長する。この問題を回避するためには、本発明に従うイソシアネート組成物を水性相に添加することが、その逆よりも推奨される。
【0085】
接着性ポリマーを有する水性相は、かなりの程度の界面活性剤特性を有することがよくある。かくして、接着性ポリマーを有する水性相では乳化性イソシアネート組成物が自己乳化性であってしかし純水中では自己乳化性ではないということは、珍しいことではない。
【0086】
かくして、界面活性剤濃度が低い場合には、2つの分散体(一般的にはエマルション)への脱混合が起こることがあり、一方の「水中油」がもう一方の「油中水」の上に乗る。上記のように、そして以下に詳しく説明するように、後者の分散体は化学的に不安定であることがよくあり、イソシアネート官能基が水によって加水分解されるせいで二酸化炭素が放出される。この状況は、より激しく撹拌することによって又はもっと良好には乳化剤含有率を高めることによって、解消することができる。
【0087】
最終分散体中のイソシアネート組成物の含有率は、1%〜約20%の範囲、有利には2%〜15%の範囲、好ましくは3%〜10%の範囲(閉区間、即ち境界を含む)にする。
【0088】
本発明に従うイソシアネート組成物を水性相中に分散又は乳化させた後の水含有率は、95%以下、有利には90%以下、好ましくは85%以下であって、少なくとも25%、有利には少なくとも30%、好ましくは少なくとも35%であるのが望ましい。かくして、固形分含有率が高いエマルションを得ることが可能である。
【0089】
使用準備のできた分散体は、水性相及び該水性相中に分散されたイソシアネート相に加えて、不安定水素(即ち化学変化を起こしやすい水素)を含有する官能基を有するポリマー又はオリゴマーを含む。本発明は、不安定水素を含有する官能基を有するポリウレタン及びポリアクリル系アルコールについて特に好適である。接着及びその後の粘着の効果を高めるために本発明に従う組成物を使用する際には、不安定水素を含有する官能基(即ちイソシアネート官能基に対して反応性の官能基)の含有率を一般的に低くする(より特定的には、固形分100g当たりに5ミリ当量〜90ミリ当量、有利には10〜60ミリ当量、好ましくは20〜50ミリ当量の範囲の不安定水素含有官能基、有利にはアルコール);その他のタイプのコーティング(塗料及びワニス)については、この含有率はもっと高く、固形分100g当たりに10ミリ当量〜400ミリ当量、有利には固形分100g当たりに20〜300ミリ当量、好ましくは30〜200ミリ当量、より一層好ましくは50〜150ミリ当量の範囲にする。官能価(functionality)(Mnから計算される)は一般的に3〜12の範囲、通常は5〜10の範囲である。分子量Mnは一般的に1000〜10000の範囲、有利には2000〜6000の範囲である。
【0090】
本発明に従う塗料及び/又はワニスにとって特に好適なポリオールの説明を以下に与える。
【0091】
アクリル性状のポリオールを用いる場合には、これは75〜80重量%の乾燥抽出分(DE)について次の条件を満たすのが好ましい。
【0092】
Mw(重量平均分子量)が10000以下、有利には5000以下である。10000未満、有利には5000未満のMwが好ましい。Mwは、有利には少なくとも800、好ましくは少なくとも1500である。
【0093】
Mn(数平均分子量)が5000以下、有利には3000以下である。5000未満、有利には3000未満のMnが好ましい。
【0094】
Mw/Mn(分散性比)が5以下、有利には3以下、好ましくは2以下である。5未満、有利には3未満、好ましくは2未満のMw/Mnが好ましい。この比は一般的には少なくとも1である。
【0095】
さらなる詳細については、ASTM規格E222を参照することができる。
【0096】
Mn及びMw値は有利には、スチレンを標準物質として用いたゲル透過排除クロマトグラフィーによって得られる。
【0097】
ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、特にヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートの重合によって得られるポリオールが好ましい。
【0098】
木材上の塗料及びワニスについては、アルコール官能基(17の質量)含有率が0.1〜4質量%、好ましくは0.5〜3質量%であり且つ分子量Mnが少なくとも2000、好ましくは少なくとも3000であって有利には10000以下であるポリウレタン又はアクリル系ポリオールを用いる。
【0099】
溶剤含有率は、有利には最終分散体(即ち接着用に用いる用意ができた分散体)の20質量%以下、好ましくは10質量%以下、より一層好ましくは5質量%以下、さらにより一層好ましくは1質量%未満にする。
【0100】
本発明に従う塗料及び特にワニスエマルションは、コーティングの品質に関して有意に改善された特性:顕著な接着性、極性溶剤及び酸に対する改善された耐性、食品(マスタード、コーヒー)に由来する汚れ(その洗浄は、最も手間がかかり且つ困難な家事仕事の1つである)に対する高められた耐性:を有する。
【0101】
本発明の1つの特に有利な具体例に従えば、イソシアネート組成物を分散又は乳化させた後の水中のバインダーの成分の合計{即ちイソシアネート、乳化剤及びポリマー(有利にはイソシアネート官能基に対して反応性の水素を有する官能基を含有するもの、特にポリオール)の質量含有率}は、組成物の総量に対して20%(好ましくは30%)〜60%(好ましくは50%)の範囲である。
【0102】
特に、固形分含有率は少なくとも40%、さらには少なくとも50%、さらには少なくとも60%の値に達してもよいが、しかし一般的には80%未満である。
【0103】
乳化の問題に戻ると、本発明に至る研究の際に、特に脂肪族イソシアネート{即ち、炭化水素系の骨格(即ち水素及び炭素の両方を含有するもの)に飽和(sp3)炭素を介して結合したイソシアネート}の場合には、水の割合が所定の値に達した時に様々な反応の暴走の危険性があることがわかっている。従って、水性相中の水の量と本発明に従うイソシアネート及び界面活性剤の合計とのとの間の質量比が10-2〜1/5(0.5)の範囲である組成を回避することが推奨される。より一層の安全性が望まれる場合には、10-3〜1の範囲の比を回避する。この危険な範囲に入るのを回避するためには、乳化性イソシアネート組成物を水性相に添加することが、その逆よりも推奨される。
【0104】
1500mPa・s以下、有利には1200mPa・s以下、好ましくは1000mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物を用いるのが好ましい。
【0105】
本発明に至る研究の過程で、エマルションの寸法(粒度分布)が最終的な接着の品質において大きな役割を果たすことが示された。より特定的には、イソシアネート組成物単独の時及び接着性ポリマーと一緒の時のイソシアネート組成物のエマルションの多分散性が重要である。
【0106】
かくして、イソシアネート単独の場合、1.5以下、有利には1.3以下、好ましくは1.1以下の多分散指数のためには、粒子寸法d50が25μm以下、好ましくは22μm以下であるべきである。
【0107】
イソシアネート(より正確には乳化性イソシアネート組成物)をポリマーの相中に分散させる場合には、単分散を達成するのがより一層困難であるが、しかし本発明に従う化合物の結果は有意の進歩を構成する。
【0108】
本発明がターゲットとするイソシアネートには、特に以下に詳述する化合物が包含される。
【0109】
これらの化合物は、この分野において周知の構造、例えばポリオール(例えばトリメチロールプロパン){一般的にはトリオール(有利には第1級のもの)}の縮合から誘導される「プレポリマー」、及び特に最も一般的なもの、即ちオリゴマー、例えばイソシアヌレート(三量体とも称される)単位を含有するもの、ウレチジンジオン(二量体とも称される)構造を含有するもの、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物を、有利に含有することができる。
【0110】
組成物の溶剤含有率を実質的に低下させることが望まれる場合、特にそれがエマルションの形にある場合には、このタイプの混合物であって元々(即ち溶剤を添加することなく)低粘度のものを用いるのが好ましい。
【0111】
この特性を有する化合物は特に、一部又は全部がイソシアネート官能基がエチレンフラグメントを介して骨格に結合した脂肪族イソシアネート[例えばポリメチレンジイソシアネート、特にヘキサメチレンジイソシアネート、及びアリーレンジアルキレンジイソシアネートのもの{そのイソシアネート官能基が芳香族核から少なくとも炭素2個分離れたもの、例えばOCN−[CH2]t−Φ−[CH2]u−NCO(ここで、t及びuは1より大きい)}]である誘導体{例えばイソシアヌレート(三量体とも称される)、ウレチジンジオン構造(二量体とも称される)、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物}である。
【0112】
かくして、そのモノマーの内の少なくとも1つが脂肪族モノマーであるヘテロオリゴマー又はホモオリゴマー{有利にはそのモノマーの全部が少なくとも2個のイソシアネート官能基を有するものから選択される脂肪族モノマーであってその骨格中の2個のイソシアネート官能基を結び付ける最も短い軌道上に少なくとも2個のメチレン鎖単位(CH2)π(π≧2)のポリメチレン序列(これは、モノマーが環を含む場合にはエキソ環である)を少なくとも1つ含むもの}から選択されるオリゴマーを少なくとも50質量%、有利には少なくとも70質量%含むイソシアネート組成物(a)を用いるのが有利である。
【0113】
検討されるオリゴマーには、約1600以下の分子量を有する化合物が包含され、即ちヘキサメチレンジイソシアネートについては、イソシアネート官能基の前駆体であるジアミン単位が約10個以下のものである。前記の少なくとも2個のメチレン鎖単位(CH2)πのポリメチレン鎖において、πは2〜10の範囲、有利には4〜8の範囲の整数を表わす。該オリゴマーはヘキサメチレンジイソシアネートホモオリゴマーから選択されるのが有利である。
【0114】
これらの化合物又は混合物は、約2000cP(又はmPa・s)以下、好ましくは約1500cP(又はmPa・s)以下の粘度を有するのが有利である。
【0115】
これらの値に到達しない時は、好適な溶剤を最少量添加することによって混合物をこれらの粘度値にするのが有益であることが多い。しかしながら、反応性溶剤を用いない(後記を参照されたい)場合には、イソシアネート組成物中の溶剤の量が乳化性イソシアネート組成物の20質量%(有利には10質量%)を越えないようにするのが好ましい。
【0116】
その用途に適合する場合、最も好適な溶剤は、反応性溶剤と称することができる(これら2つの特性を有するため)ものである。
【0117】
反応性溶剤としては、少なくとも200(有効数字2桁)、有利には少なくとも250の分子量及び500mPa・s以下の粘度を有する脂肪族ジ−及びトリイソシアネートモノマー又はテトライソシアネートモノマーさえも、挙げることができる。このタイプの溶剤の中では、リシン及びオルニチンのようなジアミノ酸のエステルから誘導されるもの、特にLDI(リシンエステルから誘導されるリシンジイソシアネート)、LTI(リシンのエステル及びエタノールアミンから誘導されるリシントリイソシアネート)、並びに三置換アルカン、例えばNTI(ノニルトリイソシアネートOCN−(CH2)4−CH(CH2−NCO)−(CH2)3−NCO))及びUTI(ウンデシルトリイソシアネートOCN−(CH2)5−CH(−NCO)−(CH2)5−NCO)を挙げることができる。工業的規模で開発されていないが、ジオール{例えばグリコール、プロパンジオール(特に1,3−プロパンジオール)、ブタンジオール(特に1,4−ブタンジオール)及びペンタンジオール(特に1,5−ペンタンジオール)}及びジアミノ酸の複エステルから誘導されるテトライソシアネートは良好な結果を与える。
【0118】
反応性溶剤としてはまた、随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されたポリメチレンジイソシアネート二量体(ウレチジンジオン環を含有する)、ビス二量体(2個のウレチジンジオン環を含有する三量体)並びにそれらの互いの及び適宜にトリス二量体(3個のウレチジンジオン環を含有する四量体)との混合物を挙げることができる。かかる混合物は、モノマーを加熱することによって作ることができる(国際公開WO99/07765号パンフレットを参照されたい)。
【0119】
反応性溶剤としてはまた、随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されたポリメチレンジイソシアネートのモノアロファネート(モノアルコールとの二縮合体)、2種のビスアロファネート(ジオールとの四縮合体又は好ましくは2個のアロファネート官能基を含有する2個のモノアルコールとの三縮合体)、及び上記のものの2種又は3種の混合物を挙げることもできる。このタイプの物質の合成については、国際公開WO99/55756号パンフレットを参照されたい。
【0120】
言うまでもないが、上記の様々なタイプの反応性溶剤の混合物を用いることもできる。
【0121】
言い換えると、イソシアネート組成物を乳化剤と混合する前に、上記の少なくとも1種の化合物を添加することによって{即ち、せいぜい1200mPa・sであって所望の粘度(即ちそれぞれ3000、2000、1500及び1000mPa・s)より低い粘度を有するイソシアネート組成物で割る(即ち混合する)ことによって}イソシアネート組成物の粘度を約2500cP(又はmPa・s)以下、有利には2000mPa・s以下、好ましくは約1500cP(又はmPa・s)以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下、さらにより一層好ましくは1000mPa・s以下の値に調節することができる。ここで、上記のせいぜい1200mPa・sであって所望の粘度より低い粘度を有するイソシアネート組成物は、以下のものから選択されるのが有利である:
・200より大きい、有利には250より大きい分子量及び500mPa・s以下の粘度を有する少なくとも1種の脂肪族ジ−及びポリイソシアネートモノマーを少なくとも10質量%含むもの;
・ポリメチレンジイソシアネート二量体及びビス二量体(随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されていてよい)から選択され、500mPa・s以下の粘度を有する、ウレチジンジオン環を含有する少なくとも1種の誘導体を少なくとも10質量%含むもの;
・500mPa・s以下の粘度を有するポリメチレンジイソシアネートモノアロファネート(随意にメチレン上をエチル又はメチルで置換されていてよい)から選択される少なくとも1種のアロファネートを少なくとも10質量%含むもの;
・上記3つのタイプの組成物の、500mPa・s以下の粘度を有する混合物によって形成されるもの。
【0122】
上記のように、懸案のイソシアネートは、モノイソシアネート、ジイソシアネート又はポリイソシアネートであってさえよい。有利には、これらの誘導体は、イソシアヌレートタイプの構造(三量体とも称される)、ウレチジンジオン構造(二量体とも称される)、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物を含有していてよい。LTI(リシントリイソシアネート)及びNTI(ノニルトリイソシアネート)のような三官能性モノマーは主として変性されていない形で用いられるが、オリゴマー化されていてもよい。
【0123】
イソシアネートモノマーは一般的に、ジアミンから誘導され、炭酸化によってジイソシアネートに転化される。この操作は、ほとんどの場合、ホスゲン又は同等の試薬を作用させることによって行われる。ジアミン単位はもちろんオリゴ縮合から誘導される化合物(例えば二量体、三量体、アロファネート、ウレタン、尿素及びビウレット等)中に見出される。これらのモノマーは、特に以下のものであってよい:
◆脂肪族(環状脂肪族及びアリール脂肪族を含む)モノマー、例えば以下のもの:
・単純脂肪族モノマー、例えばポリメチレン序列(CH2)ππ(ここで、ππは2〜10の範囲、有利には4〜8の範囲の整数を表わす)を含有するポリメチレンジイソシアネートモノマー、特にヘキサメチレンジイソシアネート{そのメチレンの1つがMPDI(メチルペンタメチレンジイソシアネート)のようにメチル又はエチル基で置換されていてもよい};
・一部「ネオペンチル」で一部環状の脂肪族(環状脂肪族)モノマー、例えばイソホロンジイソシアネート(IPDI);
・環状脂肪族ジイソシアネートモノマー、例えばノルボルネンから誘導されるもの;
・アリーレンジアルキレンジイソシアネート、例えばOCN−CH2−Φ−CH2−NCO{その一部は、脂肪族との本質的な違いを示さない、即ちイソシアネート官能基が芳香族核から少なくとも炭素原子2個分離れたもの、例えばOCN−[CH2]t−Φ−[CH2]u−NCO(ここで、t及びuは1より大きい)である};
◆芳香族モノマー、例えばトリレンジイソシアネート(しかし、芳香族イソシアネートは水性エマルションにするのにはあまり適さない)。
【0124】
用語「脂肪族イソシアネート官能基」とは、sp3混成軌道の炭素が有するイソシアネート官能基を意味する。
【0125】
本発明の技術によってターゲットにされる好ましいポリイソシアネートは、以下の条件の内の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つ、好ましくは3つを満たすものである:
◆NCO官能基の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つ、より一層好ましくは全部が飽和(sp3)炭素を介して炭化水素骨格に結合していること:好ましくは以下の下位条件の内の少なくとも1つ、より一層好ましくは少なくとも2つも満たすこと:
・前記の飽和(sp3)炭素の内の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つが少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が水素を1個、好ましくは2個を有する場合に、より良好な結果が得られることがわかった);
・前記の飽和(sp3)炭素の内の少なくとも1つ、有利には少なくとも2つがそれら自体炭素に結合し、後者の炭素が有利には脂肪族(即ちsp3混成軌道のもの)であってそれ自体少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が「ネオペンチル」構造ではない場合に、より良好な結果が得られることがわかった);
◆イソシアネート官能基と炭化水素骨格とを結びつける炭素の全部が飽和(sp3)炭素であり、これら飽和炭素の一部又は好ましくは全部が有利には水素を1個、好ましくは2個を有すること;さらに、これらの飽和(sp3)炭素の少なくとも一部(有利には1/3、好ましくは2/3)、好ましくは全部がそれら自体炭素に結合し、後者の炭素が有利には脂肪族(即ちsp3混成軌道のもの)であってそれ自体少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が「ネオペンチル」構造ではない場合に、より良好な結果が得られることがわかった);
◆少なくとも部分的にイソシアヌレート又はビウレット骨格を有するもの(後記のように、この骨格が1つのモノマーのみから誘導されたものかいくつかのモノマーから誘導されたものかに拘らず)、より特定的にはイソシアヌレートタイプの構造(三量体とも称される)、ウレチジンジオン構造(二量体とも称される)、ビウレット若しくはアロファネート構造又は単一の分子上の若しくは混合物としてのこのタイプの構造の組合せ物が特に好適である。
【0126】
ポリイソシアネートが比較的重質である場合、即ちこれらが少なくとも4つのイソシアネート官能基、通常は4〜6個のイソシアネート官能基を含む場合には、最初の2つの条件は、次のようになる:
・NCO官能基の少なくとも1/3、有利には少なくとも2/3(好ましくは全部)が飽和(sp3)炭素を介して炭化水素骨格に結合する;
・前記の飽和(sp3)炭素の少なくとも1/3、有利には少なくとも2/3、好ましくは全部が少なくとも1個、有利には2個の水素を有する(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が水素を1個、好ましくは2個を有する場合に、より良好な結果が得られることがわかった);さらに、これらの飽和(sp3)炭素の少なくとも一部(有利には1/3、好ましくは2/3)、好ましくは全部がそれら自体炭素に結合し、後者の炭素が有利には脂肪族(即ちsp3混成軌道のもの)であってそれ自体少なくとも1個、有利には2個の水素を有すること(言い換えれば、イソシアネート官能基を有する炭素が「ネオペンチル」構造ではない場合に、より良好な結果が得られることがわかった)。
【0127】
イソシアネート、特に脂肪族イソシアネートは、本発明がターゲットとするアニオン性化合物の内の一部と反応して酸無水物を形成することができる。これらの酸無水物は、式(I)の化合物を再生することができ、場合によってはマスクされたイソシアネートのように反応する。これらの酸無水物を形成する反応(これは酸官能基を強塩基で全体的に中和することによって抑制することができる)は、次の2つのタイプのものである:
・2つのアニオン性官能基の間から水の分子が除去されてE−O−Eタイプの官能基(即ちホスフェートの場合にはピロリン酸序列)を形成するもの;
・中和されていない若しくは完全には中和されていない酸官能基のヒドロキシルがNCO官能基に付加して序列−NH−CO−O−Eを有する官能基を形成するもの。これらの化合物(カルバミン酸とアニオン性官能基との間の混合酸無水物)もまた本発明のターゲットである。
【0128】
最初のケースは第1の酸が不完全に中和された場合に相当する。これらの物質はまた、優れた界面活性剤特性をも有する。
【0129】
本発明に至る研究の過程で、ヘキサ環式構造もビウレット官能基やウレタン構造さえも含有しない低分子量{即ち700以下(有効数字2桁)、有利には600以下(有効数字2桁)、好ましくは500以下(有効数字2桁)}の分子(反応性溶剤の概念に対応)の存在が良好な接着性と相関関係があることを示すことができた。かかる分子は3個以下のジアミン単位を含有する分子であり、本質的には二量体、ビス二量体、ポリメチレンジイソシアネートモノアロファネート並びにLTI及びNTIタイプの三官能性モノマーから選択される。
【0130】
かくして、これらの分子の内の少なくとも1種がイソシアネート組成物(a)中に存在するのが有利である。全体として、これらの低分子量分子はイソシアネート組成物(a)の5〜25質量%の範囲、有利には7〜15質量%の範囲の割合を占める。
【0131】
二量体及びビス二量体が好ましく、これらは組成物(a)の5〜20質量%、好ましくは少なくとも7質量%を占める。
【0132】
イソシアネート組成物中の溶剤の量は、イソシアネート組成物(a)の20質量%以下を占めるのが有利であり、10質量%以下を占めるのが好ましく、1質量%以下を占めるのがより一層好ましい。
【0133】
労働関係の法律上の理由で、ヘキサメチレンジイソシアネートタイプの揮発性モノマーの量は、イソシアネート組成物(a)の1質量%以下、有利には0.5質量%以下、好ましくは0.2質量%以下、より一層好ましくは0.1質量%以下にするのが好ましい。
【実施例】
【0134】
以下、非限定的実施例によって本発明を例示する。
【0135】
出発物質:
【0136】
本発明に従う乳化性組成物
以下のもの:
・真の二量体 8質量%(±1%);
・ビス二量体 2質量%(±1%);
・ビウレット 2質量%(±1%);
・真の三量体 55質量%(±2%):
を含む粘度1200mPa・s未満の三量体化されたヘキサメチレンジイソシアネートから調製したイソシアネート組成物に統計式(I)の界面活性剤(又は乳化剤)を添加することによって、本発明に従う乳化性イソシアネート組成物を調製した。
【0137】
用いた乳化剤は、式(I)において
・qが0.45を表わし;
・s及びrが5を表わし;
・pが1.55であり;
・R1及びR2がイソトリデシル基であり;
・さらに不純物としてノニオン性リン(トリエステルに対応)5モル%及びリン酸3±2モル%を含む:
ものである。
【0138】
中和用に用いたアミンは、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミンである。
【0139】
リン酸は存在するリンの3±2モル%を占める(言い換えると、リン酸のリンは存在するリンの総量の3±2モル%を占める)。
【0140】
存在するリンの酸の第1の酸のみを中和した。
【0141】
添加後に、乳化性イソシアネート組成物は、真の二量体(即ちウレチジンジオン単位1個のみ及びジアミン単位2個)7.5(±1)質量%及び式(I)の化合物3.5質量%を含む。これは、1400mPa・sの粘度を有する(NCO=21.7%)。
【0142】
Desmodur(登録商標)DN化合物
これは真の三量体(即ちイソシアヌレート環及び3個のジアミン単位)の含有率が高い(少なくとも70%)市販の組成物であり、イソシアネートオリゴマーとジオール(エチレンオキシド(46%)とプロピレンオキシド(54%)とのコポリマー)との間の縮合から誘導される中性界面活性剤をも含む。その粘度は1250mPa・sである(NCO=21.8%)。
【0143】
この組成物は、良好な結果を与えることがよく知られている。
【0144】
HDTをベースとする組成物(ヘキサメチレンジイソシアネートの三量体化生成物)
試験したHDTは、三量体化から誘導される通常の物質であって二量体含有率が2%未満、粘度2700mPa・sのものであり、これに前記の式(I)の物質を11%添加した。
【0145】
この組成物は、自己乳化性である。
・最終粘度:4300mPa・s
・NCO=19%
・添加後の界面活性剤の割合=10%。
【0146】
スパチュラ試験
スパチュラ試験は定性的試験であり、被検化合物をスパチュラの平たい部分を用いて容器から取り出し、水中で2分間撹拌する。スパチュラの末端にまだ目に見える物質が存在していたら、この試験の結果は負(思わしくなかったということ)になる。この一般的試験は、使用の容易さの良好な指標である。
【0147】
すべての試験は、4質量%のイソシアネート組成物含有率について実施する。
【0148】
粒子寸法測定は、Horiba LA 910装置を用いて行う。
【0149】
例1:乳化及び比較データ
【表1】

【0150】
例2:エラストマー(スポーツシューズ)の接着:本発明に従う組成物と通常のイソシアネート組成物との比較研究
用いたポリマーは、Dispercoll(登録商標)U54 である(2000年1月31日付の技術上の注意を参照されたい)。これは、乾燥ポリマー50%を含有するポリウレタン分散体である。
【0151】
試験組成物:
共反応体
Dispercoll U54:100.00g
Tafigel PUR 40(1998年2月の注意を参照されたい):0.47g
イソシアネート相:
被検物質:3.00g
【0152】
接着剤用途の試験
この試験は、DIN規格EN1392に従って行い、サンプルは室温(23℃)において4日間乾燥させる。破壊強さは、DIN規格205/91に従って測定する。即ち、
・剪断、剥離及び引張試験についての硬化条件:室温において4日間;
・湿った環境における試験についての硬化条件:室温において4日間;水中に6時間及び乾燥1時間の後に、剥離試験。
【0153】
【表2】

【表3】

【0154】
例3:木材上の塗料(ワニス)の試験
本発明に従う化合物を以下の共反応体混合物と7.5/100の比で混合した(乳化させた):
【表4】

【0155】
この共反応体の特性は、以下のように示される:
・固形分(%):28.39
・粘度DIN 4(s):21
・pH:8.3
・PU増粘剤PU(固形分):0.4。
【0156】
ワニス(200μmの厚さ)を典型的な寄せ木張りに塗布し、次いで乾燥させた。ケーニッヒ硬度は乾燥(少なくとも3日間)の後に90s-1の安定値に到達する。この値は、用いた標準物質(市販の高品質物質であり、溶剤中に溶解させ、次いで乳化させた形で用いた)のものと同様である。
【0157】
【表5】

【0158】
劣化の評点
5:傷なし;
4:光沢又は陰の僅かな変化があるが、コーティング表面上に反射光を用いた時のみ発見可能な、又は非常にかすかな傷;
3:様々な視角において発見可能なかすかな傷;
2:コーティングの表面の構造を変化させることなくはっきりとわかる傷;
1:コーティングの表面構造の変化又は構造破壊を場合によって伴う強い傷、又は濾紙が表面に付着する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
順次又は同時に添加するための、以下のものを含む組成物:
・10%〜30%の範囲(境界を含む)、有利には15%〜25%の範囲(境界を含む)のN=C=O官能基の質量含有率、及び2500mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物(a);
・次の平均一般式の化合物又は該化合物の混合物を主成分として(即ち少なくとも50質量%)含む界面活性剤(b):
【化1】

{ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、即ち境界を含む)の値を表わし;
mは0又は1を表わし;
合計p+m+qは3であり;
合計1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Xは酸素であり;
X’は酸素であり;
n及びsは5〜30の範囲、有利には5〜25の範囲、好ましくは9〜20の範囲(閉区間、即ち境界を含む)から選択される同一の統計値を有し;
1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、有利には同一であり、芳香族核を持たない脂肪族性状の随意に置換された基、有利にはアルキル基から選択される}。
【請求項2】
前記粘度が2000mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200 mPa・s以下であることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
界面活性剤(b)の質量(分子)と組成物(a)の質量(分母)との間の比が2%〜10%の範囲、有利には3%〜7%の範囲の閉区間(即ち境界を含む)内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
合計p+qが2であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
前記イソシアネート組成物(a)がヘテロオリゴマー及びホモオリゴマーから選択されるオリゴマーを少なくとも50質量%、有利には少なくとも70質量%含み、該オリゴマー中のモノマーの内の少なくとも1種が脂肪族モノマーであり、有利にはこのモノマーの全部が、少なくとも2個のイソシアネート官能基を有するものから選択される脂肪族モノマーであってその骨格中の2個のイソシアネート官能基を結び付ける最も短い軌道上に少なくとも2個のメチレン鎖単位(CH2)π(π≧2)のポリメチレン序列(これは、モノマーが環を含む場合にはエキソ環である)を少なくとも1つ含む前記脂肪族モノマーであることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
前記イソシアネート組成物(a)中にポリメチレンジイソシアネートの二量体、ビス二量体及びモノアロファネート、並びに少なくとも200の分子量を有する二官能性、三官能性又は四官能性モノマーから選択される少なくとも1種の分子を含む反応性溶剤を含ませたことを特徴とする、請求項1〜5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
前記反応性溶剤がイソシアネート組成物(a)の5〜20質量%を占めることを特徴とする、請求項6に記載の組成物。
【請求項8】
前記二量体及びビス二量体が組成物(a)の5〜20質量%、好ましくは少なくとも7質量%を占めることを特徴とする、請求項6又は7に記載の組成物。
【請求項9】
水性相をも含み、この水性相がこの組成物のエマルションの連続相を構成することを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
水性相中の溶液又は分散体の形で不安定水素を含有する官能基を有するポリマーをも含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項11】
顔料をも含むことを特徴とする、請求項9に記載の組成物。
【請求項12】
順次又は同時に添加するための以下のもの:
・10%〜30%の範囲(境界を含む)、有利には15%〜25%の範囲(境界を含む)のN=C=O官能基の質量含有率、及び2500mPa・s以下、有利には1500mPa・s以下、好ましくは1400mPa・s以下、より一層好ましくは1200mPa・s以下の粘度を有するイソシアネート組成物(a);
・次の平均一般式の化合物又は該化合物の混合物を主成分として(即ち少なくとも50質量%)含む界面活性剤(b):
【化2】

{ここで、pは1〜2の範囲(閉区間、即ち境界を含む)の値を表わし;
mは0又は1を表わし;
合計p+m+qは3であり;
合計1+p+2m+qは3又は5、有利には5であり;
Xは酸素であり;
X’は酸素であり;
n及びsは5〜30の範囲、有利には5〜25の範囲、好ましくは9〜20の範囲(閉区間、即ち境界を含む)から選択される同一の統計値を有し;
1及びR2は同一であっても異なっていてもよく、有利には同一であり、芳香族核を持たない脂肪族性状の随意に置換された基、有利にはアルキル基から選択される};
・4〜9の範囲のpHを有する水性相、有利には既知の接着性ポリマーを有するもの:
を含むことを特徴とする組成物の、コーティングのための使用。
【請求項13】
前記コーティングが接着剤であることを特徴とする、請求項12に記載の使用。
【請求項14】
前記コーティングが塗料又はワニスであることを特徴とする、請求項12に記載の使用。

【公表番号】特表2006−522852(P2006−522852A)
【公表日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505787(P2006−505787)
【出願日】平成16年4月8日(2004.4.8)
【国際出願番号】PCT/FR2004/000873
【国際公開番号】WO2004/092243
【国際公開日】平成16年10月28日(2004.10.28)
【出願人】(390023135)ロディア・シミ (146)
【氏名又は名称原語表記】RHONE−POULENC CHIMIE
【Fターム(参考)】