説明

イソシアネート不含の発泡性混合物

本発明は、(A)連鎖末端が50〜99%までアルコキシシリル基で終結しており、1〜50%まで一般式[2]:A−R[式中、Aは、酸素原子、N−R−基または硫黄原子を表し;Rは、炭素原子数2〜50のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基を表し、その際炭素鎖は隣接していない酸素原子、硫黄原子またはN−R−基により任意に中断されていてよく、かつRの主鎖は炭素原子数1〜10のアルキル側基またはハロゲン原子により置換されていてよく:かつRは、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す]の基で終結している、プレポリマー(A)からなる混合物、および(B)炭化水素−発泡剤を含有する、イソシアネート不含の発泡性混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプレポリマーおよび炭化水素−発泡剤を含有するイソシアネート不含発泡性混合物に関する。
【0002】
スプレー可能な現場フォームは中空体の充填のために、特に建築分野において使用される。ここでは、特に、接合部のシールのために、例えば窓およびドアにおいて使用され、この際、これは優れた絶縁材料として良好な断熱に導く。その他の適用は、例えば、導管の絶縁または技術的装置中の中空空間の充填である。
【0003】
全ての従来技術からの現場フォームは、いわゆるポリウレタンホーム(PUフォーム)に関し、これは未架橋の状態で、高い濃度の遊離イソシアネート基を有する、プレポリマーからなる。このイソシアネート基は好適な反応成分とすでに室温で付加反応可能であり、これによりスプレーフォームの硬化は担持後に達せられる。このフォーム構造は、なお未架橋の原料中に揮発性の発泡剤を混合することによりおよび/または二酸化炭素により形成され、この際、二酸化炭素はイソシアネートと水との反応により形成される。このフォームの圧力容器からの放出は、一般に発泡剤の自己圧により行われる。
【0004】
イソシアネートのための反応成分としては、2個以上のOH基を有するアルコール、特に分枝または非分枝のポリオールまたは水が使用される。水はイソシアネートと反応して、前記の二酸化炭素の遊離下に第一アミンになり、これは直接その他の、なお未使用のイソシアネート基に直接付加することができる。ウレタン単位または尿素単位が生じ、これらはその高い極性およびその水素結合を形成する能力のために、硬化した材料中で部分結晶下部構造を形成することができ、かつ高い硬度、耐圧性および引き裂き強度を有するフォームに導く。
【0005】
発泡剤としては、多くの場合、すでに比較的低い圧力で凝縮可能であり、従って極端に高い圧力にさらされなければならないスプレー缶を使用せずに液体の状態でプレポリマー混合物に混入できるガスを使用する。更に、このプレポリマー混合物はフォーム安定剤、乳化剤、難燃剤、可塑剤および触媒のような付加的な添加剤を含有する。触媒は一般に有機錫(IV)化合物または三級アミンである。しかし、例えば鉄(III)錯体も適している。
【0006】
PUスプレーフォームは、いわゆる1成分(1K)フォームとしても、2成分(2K)フォームとしても製造される。1Kフォームはイソシアネート含有プレポリマー混合物が大気湿分と接触することのみによって硬化する。1Kフォームの硬化反応中に発生する二酸化炭素は付加的にフォーム形成を補助することができる。2Kフォームはイソシアネート成分およびポリオール成分を含有し、これらは発泡の直前に相互に十分に混合しなければならず、ポリオールとイソシアネートとの反応の結果として硬化する。2成分系の利点は、完全な硬化が生じるためのしばしば数分の極端に短い硬化時間である。しかし2成分系は、2つの室を有するより複雑な圧力缶を必要とし、1成分系より取り扱いが著しく困難になるという欠点を有する。
【0007】
硬化したPUフォームは特に優れた機械的特性および断熱特性を有する。更に硬化したPUフォームは多くの基材に対するきわめて良好な付着性を示し、乾燥条件、およびUV線保護の条件下で実質的に制限されない安定性を有する。更に、すべてのイソシアネート単位が定量的に反応した時点の後で、この硬化したフォームに関して毒性に問題がなく、かつ急速に硬化し、容易に取り扱えることが有利である。これらの特性により、PUフォームは実地においてきわめて有用であることが示された。
【0008】
しかしPUスプレーフォームはイソシアネート基が、高い反応性により極端な刺激性および毒性を示すという決定的な欠点を有する。更にモノマーのジイソシアネートと過剰の水の反応により形成されるアミンが多くの場合に発ガン性の疑いがある。この種のモノマーのジイソシアネートはイソシアネート末端化プレポリマーと並んで多くのスプレーフォーム配合物に存在する。この理由から非架橋スプレーフォーム配合材料は完全に硬化する前に毒性的懸念がないわけではない。この場合に重要な点は、プレポリマー混合物が皮膚と直接接触すること、および特にフォームを担持する間または低分子量成分、例えばモノマーイソシアネートの蒸発の間に起こりうるエーロゾル形成である。結果として毒性的に許容されない化合物が呼吸気を介して取り込まれる危険が存在する。更にイソシアネートはかなりのアレルゲンとしての能力を有し、特に気管支喘息の発作を引き起こすことがある。PUスプレーフォームが熟練者だけでなく、専門でない人々によりしばしば使用され、正しい取り扱いが常に前提とされないという事実によりこれらの危険は増加する。
【0009】
従来のPUフォームから生じる危険の可能性およびこれと結びついた特徴明記の義務の結果として、使用者による相当する製品への許容性の著しい低下という問題が生じる。更に空のまたは部分的に空のスプレー缶は危険な廃棄物として分類され、適当にラベルを貼り、一部の国、例えばドイツでは費用のかかるリサイクルシステムにより再利用に利用できなければならない。
【0010】
これらの欠点を克服するために、例えばDE−A−4303848には、モノマーのイソシアネートを全く含有しないかまたは非常に低い濃度でのみ有するスプレーフォームのためのプレポリマーが記載されている。しかしこれらの系はプレポリマーがなおイソシアネート基を有し、この種のPUスプレーフォームが毒性的観点から従来のフォームより良好ではあるが、なお問題がないとはいえないという欠点を有する。更に許容性および廃棄物の問題はこれらのフォーム系により解決されない。
【0011】
従って、イソシアネート基を介して架橋せず、毒性的に許容され、スプレーフォームの製造に利用できるプレポリマーを有することが期待される。これらのプレポリマー混合物は、硬化した状態で同様に良好な特性、特に従来のイソシアネート含有PUフォームに匹敵する硬度を有するスプレーフォームの製造を可能にすべきである。更に大気湿分との接触によってのみ硬化する1成分スプレーフォーム系を実現しなければならない。これらは同時に比較的問題のない取り扱い性および低い触媒濃度でさえも高い硬化速度を含む処理能力を示すべきである。前記処理能力は、触媒として一般に使用される有機錫化合物が同様に毒性の危険と結びついているので特に重要である。更に錫触媒は、しばしば微量の高い毒性のトリブチル錫誘導体を有する。従って、錫触媒を完全に省略できる好ましい硬化特性を有するプレポリマー系が特に有利である。
【0012】
アルコキシ−、アシルオキシ−またはオキシモ−末端化シリコーンプレポリマーを含有する縮合−架橋シリコーンフォームは文献、例えばUS−A−6020389に記載されている。この種の発泡性混合物は、原則的に、室温で大気湿分のみによって完全に硬化する、1成分フォームを製造するために適している。しかしながら、純粋にシリコーン含有プレポリマーを有するこれらの系は柔軟で弾性から半硬質までのフォームを製造するためにのみ使用される。これらの系は、非脆性の硬質の現場フォームを製造するために適していない。
【0013】
WO00/04069およびWO02/068419は、硬質スプレーフォームを製造するためのアルコキシシラン末端化プレポリマーを有するプレポリマー配合物を記載する。この際、これらは一般に、従来のポリウレタン構造を有する有機骨格を有するポリマーである。これらは、通常のジイソシアネートとポリオールとの反応により製造することができる。この第1反応工程で適当な過剰のジイソシアネートを使用する場合に、イソシアネート末端化プレポリマーが得られる。これを引き続き第2反応工程でアミノプロピルトリメトキシシラン誘導体と反応させて必要なアルコキシシラン末端化ポリウレタンプレポリマーを形成することができる。WO02/068491においてはこのシラン末端化プレポリマーに更に特別な反応性希釈剤を添加する。このプレポリマーおよび場合により存在する反応性希釈剤は好適な触媒の作用下に水の存在でメタノール切断下に相互に縮合し、これにより硬化することができる。その際、この水は水の形で添加されても、または大気湿分との接触に由来してもよい。従って、この系を使用して1成分フォームおよび2成分フォームを製造することができる。
【0014】
WO00/04069およびWO02/068491に記載されたアルコキシシラン末端化ポリウレタンプレポリマーは、特に、大気湿分に比較的低い反応性であるという欠点を有する。従って、十分に速い硬化を達成するためには高い濃度の錫触媒が必要である。
【0015】
明らかな改善は、WO02/066532中に記載された系中で示される。ここで記載されたイソシアネート不含のスプレーフォームの製造ためのアルコキシシラン末端化プレポリマーは、一般式[1]:
【0016】
【化1】

[上記式中、
XおよびYは酸素原子、N−R基または硫黄原子を表し、
は1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、
は1〜2個の炭素原子を有するアルキル基、または全部で2〜10個の炭素原子を有するω−オキサアルキル−アルキル基を表し、
は水素原子、1〜10個の炭素原子を有するアルキル基、アルケニル基またはアリール基または−CH−SiR(OR3−z基を表し、
zは0または1の値を表し、ただし2つの基XまたはYの少なくとも一方はNH官能基を表す]のシラン末端基を有する。
【0017】
このアルコキシシリル末端化プレポリマーにおいては、架橋可能なアルコキシシリル基はウレタン単位または尿素単位からメチルスペーサーによってのみ分離している。このプレポリマーは、水に対して驚くほど反応性であり、こうして大気湿分の存在において著しく短い不粘着時間を有し、スズ不含で架橋することができる。
【0018】
更に、スプレーフォームに適用するためのシラン末端化プレポリマーのその他の決定的な欠点は、WO00/04069およびWO02/068419によってもWO02/066532によっても解消することはできなかった。こうして、この中に正確に記載された全てのシラン末端化プレポリマーは、全てまたは大部分が炭化水素、例えばプロパン/ブタン混合物からなる発泡剤混合物と著しく非認容性である。確かに、プレポリマーおよびこれらの発泡剤から、長い時間安定であり、かつ問題なく発泡可能なエマルジョンを製造することができる。しかしながら、このエマルジョンは数日間または数週間の放置時間において著しい分離が生じる。しかしながら、このような長期間の放置はスプレーフォーム缶の実際の使用においては定期的に生じる。シラン末端化プレポリマーの高い粘度のために、分離の後の新たな乳化は非常に強く長い振盪によってのみ可能である。一般に、このプレポリマーはプレポリマー−発泡剤−混合物の室温での再乳化がもはや全く不可能であり、このエマルジョンを振盪の前に付加的に>40℃に加熱しなければならない程高い粘度を有する。しかしながら、このようなスプレーフォームの使用の前の煩雑さは、このスプレーフォームの使用をもはや受け入れることができなくするであろう。
【0019】
WO00/04069、WO02/068491またはWO02/066532中に記載されたプレポリマーは他の発泡剤と十分に相容性である、しかしながらこれらの発泡剤はそれぞれ他の重大な欠点を有する。こうして、ジメチルエーテルはまだ完全に硬化していないフォームに対して著しく不安定化に作用する。従って、発泡剤中への>20%のジメチルエーテル含量は問題であるか、または一般に完全に不可能である。これに対して、フッ素含有発泡ガスは温暖化ガスとしてのその作用のために危険であるとされ、いくつかの国においては、例えばデンマークではすでにスプレーフォームのために使用は禁止されている。
【0020】
しかしながら、全ての極性の発泡剤、例えば全ての市販の安価に提供可能なフッ素化発泡ガス並びにジメチルエーテルは、発泡の後にゆっくりと未だ完全に硬化していないフォーム薄層を介してゆっくりと拡散することができるという欠点を有する。同様に極性材料からなるフォーム薄層を介しての、極性発泡剤の拡散は、非極性空気の逆方向に進む拡散より著しく早い。このことは、フォームの収縮および場合により亀裂形成に導く。それというのも、従来のPUフォームの場合と異なり、ここでは硬化の際に発泡剤の減少を相殺する二酸化炭素の放出がないためである。この収縮およびこれに伴う亀裂の形成は相応するフォームを適当でない形態を有する接合部に使用することを不可能にする。
【0021】
従って、本発明の課題は、発泡剤として炭化水素で発泡することができる、スプレーフォームを製造するために好適であるイソシアネート不含のプレポリマー配合物を製造することである。
【0022】
本発明の対象は、
(A)連鎖末端が50〜99%までアルコキシシリル基で終結しており、1〜50%まで式[2]
−R [2]
[式中、
は、酸素原子、N−R−基または硫黄原子を表し、
は、炭素原子数2〜50のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基を表し、その際炭素鎖は隣接していない酸素原子、硫黄原子またはN−R−基により任意に中断されていてよく、かつRの主鎖は炭素原子数1〜10のアルキル側基またはハロゲン原子により置換されていてよく、かつ
は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す]の基で終結している、プレポリマー(A)からなる混合物、および
(B)炭化水素−発泡剤
を含有する、イソシアネート不含の発泡性混合物である。
【0023】
WO00/04069、WO02/068491またはWO02/066532中に記載されているようなアルコキシシラン末端化プレポリマーと炭化水素含有発泡剤との認容性は、このプレポリマーの連鎖末端の一部に一般式[2]の非極性炭化水素鎖を末端基として導入する場合に、著しく急激に改善される。比較的僅かな量のアルキル鎖を末端基として導入することにより、すでにこの効果は著しく顕著であり、少なくともこの範囲では、予想することはできなかった。こうして、付加的なアルキル末端化なしでは、純粋な炭化水素、例えばプロパン/ブタンからなる発泡剤とほぼ完全に非相容性であったアルコキシシラン末端化プレポリマーは、すでにアルキル末端化で<10質量部の導入により純粋なプロパン/ブタン>20体積%を溶解するように変化する。この生じた混合物は問題なく発泡することができる。生じたフォームの硬度は、プレポリマーのこの変性により非常に僅かに減少するにすぎないということは驚きである。
【0024】
炭化水素−発泡剤(B)は極性フォーム材料を介して全く拡散しないかまたは非常にゆっくりと行われる。これは完全に硬化していないスプレーフォームを不安定にする作用を示さないし、更に、これは経済的にも完全に問題ない。
【0025】
基Rが、炭素原子数8〜26のアルキル基またはアルケニル基を表すのが有利である。炭素原子数10〜18のアルキル基が特に有利である。その際、基Rは分枝状であってよく、有利には非分枝状である。個々の基Rは同一または異なっていてもよい。
【0026】
ヘテロ原子Aは有利に酸素原子である。この酸素原子がウレタン単位の部分であるのが特に有利である。
【0027】
一般式[3]
【0028】
【化2】

[式中、
は、酸素原子、N−R−基または硫黄原子を表し、
は、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、
は、炭素原子数1〜2のアルキル基または全部で炭素原子数2〜10のω−オキサアルキル−アルキル基を表し、
は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基またはアリール基または−CH−SiR(OR3−z−基を表し、
zは、値0、1または2を表す]のアルコキシシリル基を有するプレポリマー(A)を含有するイソシアネート不含発泡性混合物が有利である。
【0029】
特に有利であるのは、ヘテロ原子Aが尿素またはウレタン単位の一部分である一般式[3]のアルコキシシリル基である。
【0030】
基Rとしては、メチル基、エチル基またはフェニル基が有利である。基Rは有利にメチル基であり、基Rとしては水素、炭素原子数1〜4のアルキル基、シクロヘキシル基およびフェニル基が有利である。
【0031】
一般式[4]
【0032】
【化3】

[式中、R、Rおよびzは式[3]に記載した意味を有する]のアルコキシシリル基を有するプレポリマー(A)を含有するイソシアネート不含発泡性混合物が特に有利である。
【0033】
一般式[3]または[4]の連鎖末端を有するプレポリマー(A)はメチルスペーサーによってのみヘテロ原子から分離している。すでに記載したように、この種のプレポリマーは水に対して驚くべき反応性を有しており、こうして大気湿分の存在で著しく短い不粘着時間を有し、スズ不含でも架橋することができる。
【0034】
プレポリマー混合物(A)の連鎖末端が65〜95%まで、特に80〜95%まで、アルコキシシリル基で末端化されており、一般式[2]の基で5〜35%まで、特に5〜20%まで末端化されているのが有利である。
【0035】
炭化水素−発泡剤(B)は有利に炭素原子数1〜5の炭化水素を含有し、特に有利には炭素原子数3〜5の炭化水素を含有する。炭化水素−発泡剤(B)がプロパン/ブタン−混合物であるのが殊に有利である。
【0036】
炭化水素−発泡剤(B)に加えて、スプレーフォームの使用のために公知の全ての発泡剤並びにその混合物を使用することができる。炭化水素−発泡剤(B)およびその他の1種以上の発泡剤から得られた発泡剤−混合物(BM)は、有利に炭化水素−発泡剤(B)を少なくとも50体積%、特に80体積%含有する。この発泡剤混合物(BM)はその他の典型的な発泡剤成分としてジメチルエーテルを、有利に0.1〜20%、特に有利に1〜10%含有する。しかしながら、その他の公知の全ての発泡剤もこの発泡剤混合物(BM)中に存在していてよい。ここでは原則的にすべてのフッ素化発泡剤、例えば1,1,1,2−テトラフルオロエタン、1,1−ジフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3−ヘプタフルオロプロパンも使用することができる。
【0037】
炭化水素−発泡剤(B)、有利にプロパン/ブタン−混合物およびジメチルエーテルからのみなる発泡混合物(BM)が特に有利である。その際、ジメチルエーテル含量は0〜20体積%、特に有利に1〜15体積%である。
【0038】
プレポリマー(A)の主鎖は分枝または非分枝であってよい。平均鎖長は、それぞれの所望の特性、例えば未架橋混合物の粘度および完成したフォームの硬度に相応して任意に適合させることができる。主鎖がオルガノポリシロキサン、例えばジメチルオルガノポリシロキサン、オルガノシロキサン−ポリウレタン−コポリマー、または有機鎖、例えばポリアルカン、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリ尿素、ビニルアセテートポリマー、または−コポリマーであってよい。もちろん、種々の主鎖を有するプレポリマーからなる任意の混合物または組合せを使用することもできる。その際、オルガノポリシロキサンまたはオルガノシロキサン−ポリウレタン−コポリマーを、場合により他の有機主鎖を有するプレポリマーと組み合わせて使用することは、生じたフォームが有利な燃焼挙動を有するという利点を有する。
【0039】
本発明の特に有利な実施態様においては、プレポリマー(A)はポリウレタンコアを有する。ポリウレタンコアを有するこのプレポリマー(A)の製造の際には次の出発物質から出発するのが有利である:
・ ポリオール(A1)
・ ジ−またはポリイソシアネート(A2)
・ OH−官能基を有するモノマーアルコール(A3)
・ シアネート官能基をまたはイソシアネート反応性基を有するアルコキシシラン(A4)。
【0040】
ポリウレタンコアを有するプレポリマー(A)を製造するためのポリオール(A1)としては、原則的に全ての2以上のOH−官能基を有するポリマー、オリゴマーまたはモノマーアルコール並びにその混合物を使用することができる。特に好適なポリオール(A1)は芳香族および/または脂肪族ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールであり、これは文献中に多く記載されている。使用したポリエーテルおよび/またはポリエステルは、線状であっても分枝状であってもよい。更に、これは例えばハロゲン原子のような置換基を有していてよい。ヒドロキシアルキル−官能性リン酸エステル/ポリリン酸エステルもポリオール(A1)として使用することができる。同様に種々のポリオールタイプの任意の混合物を使用することも可能である。
【0041】
汎用されるジイソシアネート(A2)の例はジイソシアネートジフェニルメタン(MDI)であり、これは粗製のまたは工業用のMDIの形でも、純粋な4,4′−または2,4′−異性体またはこれらの混合物の形であってもよい、種々の位置異性体の形のトリレンジイソシアネート(TDI)、ジイソシアナトナフタレン(NDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)、またはヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)である。ポリイソシアネート(A2)の例は、ポリマーMDI(P−MDI)、トリフェニルメタントリイソシアネートまたはビウレットトリイソシアネートである。ジ−および/またはポリイソシアネート(A2)は単独でも、または混合物の形でも使用することができる。
【0042】
ヒドロキシ官能基を有するモノマーアルコール(A3)はプレポリマー(A)中の一般式[2]に相当する連鎖末端を組み込むために使用される。ここでは原則的に炭素原子数2〜50の全てのアルキル−、シクロアルキル−、アルケニル−、アリール−またはアリールアルキル−モノアルコールを使用することができ、この際アルコールの炭素鎖は隣接していない酸素原子、硫黄原子またはN−R−基により任意に中断されていてよく、かつこの主鎖は炭素原子数1〜10のアルキル側基またはハロゲン原子により置換されていてよい。しかしながら、炭素原子数8〜26のアルキル−またはアルケニル−アルコールが有利であり、特に炭素原子数10〜18のアルキルアルコールを使用するのが有利である。その際、このアルコールの炭素鎖は線状であっても分枝状であってもよく、しかしながら非分枝であるのが有利である。純粋なアルコールまたは種々のアルコールの混合物も使用することができる。
【0043】
ポリウレタンコアを有するプレポリマー(A)の製造のためのアルコキシシラン(A4)としては、原則的にイソシアネート官能基をまたはイソシアネート反応性基を有する全てのアルコキシシランを使用することができる。このアルコキシシランはプレポリマー(A)中にアルコキシシリル末端を組み込むために働く。この際、アルコキシシランとしては一般式[5]および[6]
【0044】
【化4】

[式中、
BはOH−、SH−またはNHR−基を表し、
、Rおよびzは一般式[3]で記載した意味を有する]のシランから選択された化合物を優先的に使用する。
【0045】
この際、シラン(A4)を単独で、並びに種々のシラン(A4)の混合物としても使用することができる。
【0046】
一般式[7]
【0047】
【化5】

[式中、kは値0、1または2を表す]のシラン(A4)の使用は特に有利である。
【0048】
このシランはクロロメチルトリメトキシシランまたはクロロメチルジメトキシメチルシランとアニリンとからの反応により、すなわち非常に簡単でかつ安価な出発物質から僅かに1反応工程で問題なく製造することができる。このシランの使用の際には一般式[4]のアルコキシシリル末端基を有するプレポリマー(A)が得られる。
【0049】
プレポリマー(A)の製造は、一回に、場合により連続的に記載した成分を一緒にすることにより行われ、この際、場合により更に触媒を添加し、かつ/または温度を高めて作業することができる。その際、ジ−および/またはポリイソシアネートのイソシアネート基、並びに存在する場合には一般式[5]のシランのイソシアネート基と、添加したポリオールおよびモノマーアルコールのOH−またはNH−官能基と、存在する場合には一般式[6]および/または[7]のシランのOH−またはNH−官能基とが反応する。
【0050】
この際、全ての反応工程に関与する全てのイソシアネート基および全てのイソシネート反応性基の濃度並びに反応条件は、プレポリマー合成の進行において全てのイソシアネート基が完全に反応するように選択されている。完成したプレポリマー(A)はこうしてイソシアネート不含である。本発明の有利な実施態様においては、更に濃度比および反応条件をプレポリマー(A)の連鎖末端のほぼ全て(連鎖末端の>90%、特に有利には連鎖末端の>95%)がアルコキシシリル基で、または一般式[2]の基で終結しているように選択する。
【0051】
この際、ポリウレタンコアを有するプレポリマー(A)の製造は、種々の方法で実施することができる。原則的には、全ての成分を一緒に装入し、引き続き反応を、触媒を添加することにより、または加熱することにより開始することができる。この反応の比較的大きな発熱量により、遊離する熱量をより良好に制御するために、個々の成分を連続的に添加することが多くの場合有利である。この際、個々の成分の添加順序および添加速度は任意に設定することができる。種々の原料は単独でも混合物でも装入または添加することができる。原則的には、連続的なプレポリマー製造も、例えば管型反応器中で実施することが可能である。
【0052】
特に有利な製法においては、1種のまたは多くの異なるジ/ポリイソシアネートからなるイソシアネート−成分(A2)を装入し、1種のポリオール(A1)もしくは複数種のポリオールからなる混合物(A1)の過少量と混合する。この両方の成分は60〜80℃を越える温度で、または触媒の存在下に反応し、イソシアネート末端化プレポリマーになる。引き続き、これを一般式[6]および/または[7]の1種またはそれ以上のアミノシランと反応させ、この際濃度をイソシアネート基全てが完全に反応するように選択する。シラン末端化プレポリマーが生じる。精製またはそれ以外の処理は必要ではない。
【0053】
本発明による発泡性混合物の有利な製法においては、プレポリマー(A)を完全にまたは少なくとも部分的に圧力容器中で製造する。その際、反応混合物にすでに発泡剤並びに全てのその他の添加物が配合されてよい。このようにして、場合により比較的高粘度の、プレポリマー(A)が発泡剤の存在下に形成され、低粘度の発泡剤−プレポリマー−溶液もしくは−混合物が直接形成される。
【0054】
プレポリマー(A)の製造の際に生じる、イソシアネート基およびイソシアネート反応性基との反応は、場合により触媒により促進される。現場フォームのための硬化触媒(D)として記載されていると同じ触媒を使用するのが有利である。場合により、プレポリマー製造を触媒する、同じ触媒または多くの触媒の同じ組合せもフォーム硬化のための硬化触媒(D)として使用することができる。この場合、硬化触媒(D)はすでに完成したプレポリマー中に含有されており、発泡性混合物のコンパウンディングの際に特別に添加する必要はない。
【0055】
本発明の配合材料は、プレポリマー(A)および発泡剤(B)の他に、任意のその他の(プレ−)ポリマーを含有していてよい。これらは、同様に反応基を有し、これを介してフォーム硬化の際に生じる網状構造中に組み込まれる。しかしながら、これは反応性でなくともよい。
【0056】
プレポリマー(A)並びに炭化水素−発泡剤(B)の他に、本発明によるイソシアネート不含の発泡性混合物は更に低分子量の反応性希釈剤(C)も含有していてよい。その際、プレポリマー(A)100質量部に対して、低分子量反応性希釈剤(C)を100質量部まで、有利に1〜40質量部、混合物中に含有していてよく、この希釈剤は20℃で最高でも5Pasの粘度を有し、分子当たり少なくとも1つのC〜C−アルコキシシリル基を有する。
【0057】
反応性希釈剤(C)としては、原則的に20℃で有利に最高でも5Pas、特に最高でも2Pasの粘度を有し、反応性アルコキシシリル基を有し、かつこの反応性アルコキシシリル基を介してフォームの硬化の際に生じる三次元的な網状構造中に組み込まれることが可能な、全ての低分子量化合物が好適である。反応性希釈剤(C)は、特に場合により比較的高粘性のプレポリマー混合物の粘度を低下させるために使用される。これをすでにプレポリマー(A)の合成の際に添加することもでき、こうして高粘性で、その結果操作性が困難な中間生成物が生じることを阻止することができる。反応性希釈剤(C)が架橋性アルコキシシリル基を十分に高い(質量)密度を有し、こうして硬化の際にこの希釈剤が網状構造の密度を低下させることなく網状構造中に組み込まれるのが有利である。
【0058】
有利な反応性希釈剤(C)は安価なアルキルトリメトキシシラン、例えばメチルトリメトキシシランおよびビニル−またはフェニルトリメトキシシラン、およびこれらの部分加水分解物である。その他の有利な反応性希釈剤は一般式[8]:
【0059】
【化6】

[式中、R、Rおよびzは式[3]で記載した意味を有する]のカルバメートシランである。
【0060】
室温でのフォームの迅速な硬化を達成するために、場合により硬化触媒(D)を使用することもできる。すでに記載したように、ここでは特に、有機錫化合物、例えばジブチル錫ジラウレート、ジオクチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジアセチルアセトネート、ジブチル錫ジアセテート、またはジブチル錫ジオクトエート等をこの目的のために使用することができる。チタン酸塩、例えばチタン(IV)イソプロピレート、鉄(III)化合物、例えば鉄(III)アセチルアセトネート、またはアミン、例えばアミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデク−7−エン、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノネ−5−エン、N,N−ビス(N,N−ジメチル−2−アミノエチル)メチルアミン、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、N,N−ジメチルフェニルアミン、N−エチルモルホリン等を使用することが可能である。酸、例えば酢酸、塩化ベンゾイル、リン酸並びにそのモノ−およびジエステル並びに無機ブレンステッド酸、例えば塩酸、が触媒[D]として好適である。その他にも、多くの他の有機および無機重金属化合物および有機および無機ルイス酸または−塩基をここで使用することができる。更に、種々の触媒の組み合わせまたは種々の共触媒と触媒の組み合わせにより架橋速度を高めることができる。
【0061】
イソシアネート不含の発泡性混合物は更に常用の添加剤、例えばフォーム安定剤および気泡調節剤、難燃剤、チキソトロープ剤および/または可塑剤を有することができる。フォーム安定剤として、特にポリエーテル側鎖により変性された市販のシリコーンオリゴマーを使用することが可能である。適当な難燃剤は、特に公知の燐含有化合物、特に燐酸塩およびホスホン酸塩、ハロゲン化およびハロゲン不含の燐酸エステルおよびハロゲン化ポリエステルおよびポリオールまたはクロロパラフィンである。
【0062】
イソシアネート不含のフォーム混合物は1成分イソシアネート不含のスプレーフォームとして直接使用することができる。この混合物は、有利には圧力容器、例えば圧力缶に貯蔵される。
【0063】
前記式中のすべての記号の意味は互いに独立している。すべての式中で珪素原子は4価である。
【0064】
ほかに記載のない限り、以下の例中のすべての量および%は質量に関するものであり、すべての圧力は0.10MPa(絶対圧)であり、すべての温度は20℃である。
【0065】
いくつかの例を詳細に説明するために、図1および2を使用する。図1には、モデル接合部1を図示する。この接合部は木材または厚紙から構成されていてよく、幅および深さはそれぞれ5cmを有する。
【0066】
図2には、寸法1×15×15cmの木板(3)2枚および寸法2×2×17cmのプラスチック角材(4)2本からなるモデル接合部2を図示する。
【0067】
実施例
例1:
N−フェニルアミノメチル−メチルジメトキシシランの製造:
アニリン2095g(22.5モル)を全て実験室用反応器に装入し、引き続き窒素で不活性にする。115℃の温度に加熱し、クロロメチルメチルジメトキシシラン1159g(7.5モル)を1.5時間にわたり滴下し、混合物を更に125〜130℃で30分間撹拌する。シラン約150gを添加後、アニリン塩酸塩の増加した量が沈殿するが、この懸濁液は配量供給の終了まで容易に撹拌可能である。
【0068】
過剰に使用したアニリンを十分な真空(62℃、7ミリバール)下で除去する。引き続き室温で、n−ヘプタン1400mlを添加し、アニリン塩酸塩が完全に結晶化するように、懸濁液を10℃で30分間撹拌する。これを引き続き濾過する。部分真空で60〜70℃で溶剤n−ヘプタンを除去する。残留物を蒸留(89〜91℃、0.16ミリバール)により精製する。
【0069】
生成物純度約94.5%で1210gの収量、すなわち理論値の76.5%の収率が達成される。生成物は不純物としてN,N−ビス−[メチルジメトキシシリル−メチル]フェニルアミン約3.5%を含有する。
【0070】
例2:
トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)52.0g(298.5ミリモル)を、攪拌、冷却および加熱装置を備えた250ml反応容器に装入し、約50℃に加温する。次いで、平均分子量425g/モルを有するポリプロピレングリコール60g(141.2ミリモル)と1−ドデカノール6g(32.2ミリモル)からなる混合物を添加する。その際、この反応混合物の温度を80℃を越えないようにするべきである。このポリプロピレングリコールは、予めオイルポンプ真空下に100℃に1時間加熱することにより、脱水されていた。添加の終了後、混合物を80℃で15分攪拌する。
【0071】
引き続き、約50℃に冷却し、ビニルトリメトキシシラン10mlを反応希釈剤として添加する。その後、N−フェニルアミノメチル−メチルジメトキシシラン(例1により製造)61.1g(294.1ミリモル)を滴下し、引き続き80℃で60分間撹拌する。生じたプレポリマー混合物において、IR分光分析によりイソシアネート基は全く検出できない。澄明で透明なプレポリマー混合物が得られ、これは50℃で8.2Pasの粘度を有する。これは問題なく注入および加工可能である。
【0072】
例3:
例2からのプレポリマー混合物50gを圧力ボトル弁中に充填し、フォーム安定剤PC STAB EP 05(Wacker Chemie社、ドイツ)1.5gおよびビス−(2−ジメチルアミノエチル)−エーテル(Huntsman社のJeffcat(R) ZF20)0.5gおよびアミノプロピルトリメトキシシラン(Crompton社のA1110)0.5gからなる触媒混合物と混合する。
【0073】
引き続き、この混合物を発泡剤としてのプロパン/ブタン混合物(2:1)8mlおよびジメチルエーテル1.5mlからなる発泡剤混合物で処理する。その際、発泡剤、添加物およびプレポリマーからなる透明で、非常に流動性の溶液が得られる。
【0074】
この溶液に更にプロパン/ブタン10mlを加えるが、これはもはや物理的に溶けない。この混合物を短時間振盪することにより、すなわち約10〜15回簡単に前後に振盪することにより、完全に問題なくエマルジョンが得られ、これは少なくとも1時間の間、安定に保持される。エマルジョンの完全な分離までに室温で2〜3日かかる。分離の後にも、このエマルジョンは新たに短時間振盪することによりいかなる時にも製造することができる。低温(約7℃)においても、短時間の振盪(約20回の前後への振盪)により、エマルジョンの製造は問題なく可能である。
【0075】
この乳化混合物の放出の際に、堅い白いフォームが得られ、これは約10分後に不粘着性である。硬化が終了するまでの時間は約6時間である。硬化したフォームは高い硬度において優れ、脆性ではなく、非常に良好な気泡構造を有する。
【0076】
このフォーム構造はそれぞれの接合部の構造に独立している。自由な発泡、すなわち表面上での発泡の際にも、図1によるモデル接合部1または図2によるモデル接合部2における発泡の際にも、接合部が乾燥しているかまたは発泡の前に湿気を含ませているかに依存せずに、亀裂を有さないフォームが得られる。
【0077】
例4:
トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)60.4g(346.8ミリモル)を、攪拌、冷却および加熱装置を備えた250ml反応容器に装入し、約50℃に加温する。次いで、平均分子量425g/モルを有するポリプロピレングリコール60g(141.2ミリモル)と1−ドデカノール24g(128.8ミリモル)からなる混合物を添加する。その際、この反応混合物の温度を80℃を越えないようにするべきである。このポリプロピレングリコールは、予めオイルポンプ真空下に100℃に1時間加熱することにより、脱水されていた。添加の終了後、混合物を80℃で15分攪拌する。
【0078】
引き続き、約50℃に冷却し、ビニルトリメトキシシラン5mlを反応性希釈剤として添加する。その後、N−フェニルアミノメチル−メチルジメトキシシラン(例1により製造)61.1g(294.1ミリモル)を滴下し、引き続き80℃で60分間撹拌する。生じたプレポリマー混合物において、IR分光分析によりイソシアネート基は全く検出できない。澄明で透明なプレポリマー混合物が得られ、これは50℃で12.6Pasの粘度を有する。これは問題なく注入および加工可能である。
【0079】
例5:
例4からのプレポリマー混合物50gを圧力ボトル弁中に充填し、フォーム安定剤PC STAB EP 05(Wacker Chemie社、ドイツ)1.5gおよびビス−(2−ジメチルアミノエチル)−エーテル(Huntsman社のJeffcat(R) ZF20)0.5gおよびアミノプロピルトリメトキシシラン(Crompton社のA1110)0.5gからなる触媒混合物と混合する。
【0080】
引き続き、この混合物をプロパン/ブタン混合物(2:1)10mlおよびジメチルエーテル1.0mlからなる発泡剤混合物で処理する。その際、発泡剤、添加物およびプレポリマーからなる透明で、非常に流動性の溶液が得られる。
【0081】
この溶液に更にプロパン/ブタン8mlを加えるが、これはもはや物理的に溶けない。この混合物を短時間振盪することにより、すなわち約10〜15回、簡単に前後に振盪することにより、完全に問題なくエマルジョンが得られ、これは少なくとも1時間の間、安定に保持される。エマルジョンの完全な分離までに室温で2〜3日かかる。分離の後にも、このエマルジョンは新たに短時間振盪することによりいかなる時にも再度製造することができる。低温(約7℃)においても、短時間の振盪(約20回の前後への振盪)により、エマルジョンの製造は問題なく可能である。
【0082】
この乳化混合物の放出の際に、堅い白いフォームが得られ、これは約10分後に不粘着性になる。硬化が完全に終了するまでの時間は約6時間である。硬化したフォームは中程度の硬度および非常に良好な弾性において優れ、非常に良好な気泡構造を有する。
【0083】
このフォーム構造はそれぞれの接合部の構造から独立している。自由な発泡、すなわち表面上での発泡の際にも、図1によるモデル接合部1または図2によるモデル接合部2における発泡の際にも、接合部が乾燥しているかまたは発泡の前に湿気を含ませているかに依存せずに、亀裂を有さないフォームが得られる。
【0084】
例6:
トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)55.5g(311.4ミリモル)を、攪拌、冷却および加熱装置を備えた250ml反応容器に装入し、約50℃に加温する。次いで、平均分子量425g/モルを有するポリプロピレングリコール60g(141.2ミリモル)と1−セチルアルコール(炭素原子数16の線状アルコール)10g(41.3ミリモル)とからなる混合物を添加する。その際、この反応混合物の温度を80℃を越えないようにするべきである。このポリプロピレングリコールは、予めオイルポンプ真空下に100℃に1時間加熱することにより、脱水されていた。添加の終了後、混合物を80℃で15分攪拌する。
【0085】
引き続き、約50℃に冷却し、ビニルトリメトキシシラン10mlを反応性希釈剤として添加する。その後、N−フェニルアミノメチル−メチルジメトキシシラン(例1により製造)61.1g(294.1ミリモル)を滴下し、引き続き80℃で60分間撹拌する。生じたプレポリマー混合物において、IR分光分析によりイソシアネート基は全く検出できない。澄明で透明なプレポリマー混合物が得られ、これは50℃で10.6Pasの粘度を有する。これは問題なく注入および加工可能である。
【0086】
例7:
例6からのプレポリマー混合物50gを、例5に記載されているように同様に発泡させる。フォームは自由な発泡の際にも、図1によるモデル接合部1または図2によるモデル接合部2における発泡の際にも、例6に記載したフォームと同じプラスの特性を有する。
【0087】
例8:
例2と同様に実施する。しかしながら、発泡性混合物に反応性希釈剤としてビニルトリメトキシシランの代わりにメチルカルバメートメチル−トリメトキシシランを添加する(例3に相当する処方に関して同様に10ml)。
【0088】
例3に相当する発泡実験においては、約8分間の僅かに短い表皮形成時間により優れているフォームが得られる。フォーム硬度およびフォーム構造は同様に優れている。ここでも、このフォーム構造はそれぞれの接合部の構造から独立している。自由な発泡の際にも、図1によるモデル接合部1または図2によるモデル接合部2における発泡の際にも、亀裂を有さないフォームが得られる。
【0089】
比較例1:
トルエン−2,4−ジイソシアネート(TDI)24.6g(141.2ミリモル)を、攪拌、冷却および加熱装置を備えた250ml反応容器に装入し、約50℃に加温する。次いで、平均分子量425g/モルを有するポリプロピレングリコール30g(70.6ミリモル)を添加する。この反応混合物の温度を80℃を越えないようにするべきである。このポリプロピレングリコールは、予めオイルポンプ真空下に100℃に1時間加熱することにより、脱水されていた。添加の終了後、混合物を80℃で15分攪拌する。
【0090】
約50℃に冷却し、ビニルトリメトキシシラン5mlを反応希釈剤として添加する。その後、N−フェニルアミノメチル−メチルジメトキシシラン29.8g(141.2ミリモルを滴下し、引き続き80℃で60分間撹拌する。生じたプレポリマー混合物において、IR分光分析においてはイソシアネート基は全く検出できない。澄明で透明なプレポリマー混合物が得られ、これは50℃で18.5Pasの粘度を有し、問題なく注入および加工可能である。
【0091】
比較例2:
比較例1に相応するプレポリマー混合物は発泡剤としてのプロパン/ブタン−混合物と完全に非相容性である。例3の方法に相応して発泡性の混合物を製造することの試みにより、発泡剤相および室温で著しく高粘度のプレポリマー相からなる2相混合物のみが得られる。この両方の相は約40℃の高めた温度で長時間の著しく強い振盪によってのみ乳化することができる(振盪時間:>30分間)。室温では振盪による乳化はもはや不可能である。
【0092】
放置時間>7日間で、エマルジョンの完全な分離が生じる。二相混合物のその後の再乳化は、前記の最初の乳化と同様に困難である。
【0093】
更に、この混合物の発泡は、多くの場合、乳化の後にも著しく問題である、それというのも前記の著しく煩わしい乳化法にもかかわらず、個々の高粘性のポリマーブロックがプレポリマー−発泡剤−混合物中に残り、これは発泡の際に容易に弁を閉塞することがあるためである。従って、良好に発泡性の、均質なフォームは例外的にのみ得られた。
【0094】
比較例3:
比較例1からのプレポリマー混合物50gを、フォーム安定剤PC STAB EP 05(Wacker Chemie社、ドイツ)1.2gおよびビス−(2−ジメチルアミノエチル)−エーテル(Huntsman社のJeffcat(R) ZF20)0.5gおよびアミノプロピルトリメトキシシラン(Crompton社のA1110)0.5gからなる触媒混合物と混合する。引き続き、この混合物を弁を備える圧力ボトル中に充填し、発泡剤としての1,1,1,2−テトラフルオロエタン(R134)12mlで処理した。
【0095】
この混合物を取り出す際に、堅い白いフォームが得られ、これは約8分後に不粘着性になる。完全な硬化が終了するまでの時間は約6時間である。硬化したフォームは高い硬度により優れている。自由な発泡においては、このフォームは良好なフォーム構造を有する。
【0096】
図1によるモデル接合部1においては、しばしば、同様に適当なフォーム構造を有する亀裂を有さないフォームが得られる。しかしながら、この系は強靱ではないので、しばしば小さい〜中程度の亀裂がフォーム中に生じることがある。この際、この亀裂は接合部体積の20%まで占めることがある。更に、図2によるモデル接合部2では問題がある。この接合部中でフォームを発泡させる場合には、完全に破壊したフォームが得られる。その際、この亀裂は例外なく接合部体積の50%を大きく越えて占める。
【0097】
比較例4:
比較例1と同様に実施する、しかしながら、発泡性混合物に反応性希釈剤として、ビニルトリメトキシシラン代わりにメチルカルバメートメチル−トリメトキシシランを添加する(比較例1に相応する処方に対して同様に5g)。
【0098】
比較例2および3に相応する発泡実験においては、それぞれの発泡剤で完全に同じのマイナスの結果が達せられた。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】モデル接合部1の概略図
【図2】モデル接合部2の概略図

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)連鎖末端が50〜99%までアルコキシシリル基で終結しており、1〜50%まで一般式[2]
−R [2]
[式中、
は、酸素原子、N−R−基または硫黄原子を表し、
は、炭素原子数2〜50のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基、アリール基またはアリールアルキル基を表し、その際炭素鎖は隣接していない酸素原子、硫黄原子またはN−R−基により任意に中断されていてよく、かつRの主鎖は炭素原子数1〜10のアルキル側基またはハロゲン原子により置換されていてよく、かつ
は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表す]の基で終結している、プレポリマー(A)からなる混合物、および
(B)炭化水素−発泡剤
を含有する、イソシアネート不含の発泡性混合物。
【請求項2】
が、炭素原子数8〜26のアルキル基またはアルケニル基を表す、請求項1記載の混合物。
【請求項3】
プレポリマー(A)が、一般式[3]
【化1】

[式中、
は、酸素原子、N−R−基または硫黄原子を表し、
は、炭素原子数1〜10のアルキル基、シクロアルキル基、アルケニル基またはアリール基を表し、
は、炭素原子数1〜2のアルキル基または全部で炭素原子数2〜10のω−オキサアルキル−アルキル基を表し、
は、水素原子、炭素原子数1〜10のアルキル基、アルケニル基またはアリール基または−CH−SiR(OR3−z−基を表し、
zは、値0、1または2を表す]のアルコキシシリル基を有する、請求項1または2記載の混合物。
【請求項4】
一般式[3]においてヘテロ原子Aが尿素またはウレタン単位の部分である、請求項3記載の混合物。
【請求項5】
炭化水素−発泡剤(B)が、炭素原子数1〜5の炭化水素を含有する、請求項1から4までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項6】
炭化水素−発泡剤(B)を少なくとも50体積%およびその他の発泡剤1種以上を含有する発泡剤−混合物(BM)を含有する、請求項1から5までのいずれか1項記載の混合物。
【請求項7】
その他の発泡剤がジメチルエーテルである、請求項6記載の混合物。
【請求項8】
プレポリマー(A)が完全にまたは少なくとも部分的に圧力容器中で製造される、請求項1から7までのいずれか1項記載の発泡性混合物の製法。
【請求項9】
請求項1から7までのいずれか1項記載の発泡性混合物を含有する圧力容器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2006−520825(P2006−520825A)
【公表日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−500050(P2006−500050)
【出願日】平成16年3月4日(2004.3.4)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002214
【国際公開番号】WO2004/083271
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(390009003)コンゾルテイウム フユール エレクトロケミツシエ インヅストリー ゲゼルシヤフト ミツト ベシユレンクテル ハフツング (17)
【氏名又は名称原語表記】Consortium fuer elektrochemische Industrie GmbH
【住所又は居所原語表記】Zielstattstrasse 20,D−81379 Muenchen, Germany
【Fターム(参考)】