説明

イソシアネート末端プレポリマーの促進された硬化

イソシアネート末端プレポリマー及び窒素含有有機塩を含む、ポリウレタンエラストマーを調製するためのプレポリマー混合物。窒素含有有機塩は、アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩及びモルホリニウム塩から成る群から選択され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、その開示が参照により組み込まれている、2009年11月16日に出願した米国仮出願第61/261,699号の優先権を主張するものである。
本発明は、ポリウレタンエラストマー、ポリウレタンエラストマーを形成する方法及びポリウレタンエラストマーを形成するプレポリマー混合物に関する。より具体的には、本発明は、ポリウレタンエラストマーを形成するプレポリマーと鎖延長剤との間の反応を促進するために、窒素含有有機塩を採用することに関する。
【背景技術】
【0002】
ポリウレタンエラストマーは、従来から、プレポリマーを鎖延長剤と反応させることで調製されている。典型的には、プレポリマーは、ジイソシアネートモノマーのモル量が過剰な、ポリオールとジイソシアネートモノマーの反応生成物を含む。したがって、ジイソシアネートのイソシアネート基は、ポリオールのヒドロキシ基を「キャップ」し、その結果、イソシアネート末端プレポリマーが得られる。最も一般的に使用されるプレポリマー混合物は、ジイソシアネートモノマーとして、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)及びトルエンジイソシアネート(「TDI」)を利用している。
【0003】
得られたプレポリマーは、次に、鎖延長剤で硬化され、最終的なポリウレタン製品を形成する。鎖延長剤は、複数のジイソシアネートモノマーを結合し、結果として得られるポリウレタンを形成する。典型的な鎖延長剤としては、メチレンビスオルトクロロアニリン(「MOCA」)、メチレンビスジエチルアニリン(「MDEA」)、メチレンビスクロロジエチルアニリン(「MCDEA」)及びヒドロキノン−ビス−ヒドロキシエチルエーテル(「HQEE」)及び4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)(「MBCA」)などの芳香族アミン、並びに、例えばエチレングリコール(「EG」)、ジエチレングリコール(「DEG」)、トリエチレングリコール(「TEG」)、プロピレングリコール(「PG」)、ジプロピレングリコール(「DPG」)及び1,4−ブタンジオール(「BDO」)であるジオールが挙げられる。
【0004】
鎖延長剤の別の種類は、メチレンジアニリン(「MDA」)の金属塩配位錯体である。これらの錯体では、MDAが金属塩との反応でブロックされて、配位錯体を形成する。典型的には、MDAがそれぞれのプレポリマーを効果的に鎖延長できる前に、MDAを配位錯体からブロック解除することが必要である。これは、例えば、プレポリマー及び鎖延長剤を含有する金型に熱を加えることにより行うことができる。
【0005】
いくつかの適用例では、プレポリマーと鎖延長剤の反応は、かなりゆっくりと起こり、例えば、鎖延長剤が十分に速くプレポリマーを硬化させず、ポリウレタンが形成(例えば重合)されない。硬化速度が緩慢である結果として、硬化温度を上昇させなければならず且つ/又はサイクル時間を長くしなければならないが、これらの両方とも生産性を低下させてしまう。他の適用例では、MDAの配位錯体のブロック解除は、加熱された金型の表面でより急速に起こる。したがって、得られたポリウレタンエラストマーの構造の均一性が、全体にわたってコンシステント(consistent)ではないことがある。したがって、最初に硬い皮膜が外面に形成し得、硬化が進むと、皮膜が破断して結果として望ましくない亀裂面を生じ得る。
【0006】
グリセロール及び尿素などのいくつかの硬化促進剤が、知られている。しかし、このような硬化促進剤は、プレポリマー/鎖延長剤の全ての組合せと十分に作用するわけではない。加えて、これらの硬化促進剤で実証された性能には、改善の余地が多い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
したがって、生産性を上げ、ポリウレタンエラストマー、とりわけ理想的に言えば実質的に均一なコンシステンシー(consistency:堅さ、稠度)の、高性能ポリウレタンエラストマーを生産するために、プレポリマーと鎖延長剤との間の反応を促進する必要が存在している。
【課題を解決するための手段】
【0008】
1つの態様では、本発明は、イソシアネート末端プレポリマー及び窒素含有有機塩を含むプレポリマー混合物に関する。イソシアネート末端プレポリマーは、好ましくは、鎖延長剤と反応してエラストマーを形成する。窒素含有化合物は、窒素含有有機塩を含まずに起こる反応と比べた場合、プレポリマー/鎖延長剤の反応混合物の硬化速度を促進する。したがって、窒素含有化合物を加えることにより、生産性の増加が実現し、ポリウレタンエラストマー、例えば、エラストマー全体にわたって均一なコンシステンシーを有する高性能のポリウレタンエラストマーの製造が提供される。好ましくは、窒素含有化合物は、アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩及びモルホリニウム塩から成る群から選択される。
【0009】
別の態様では、本発明は、プレポリマー混合物を使用して形成されるエラストマーに関する。エラストマーは、窒素含有有機塩の存在下におけるイソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤の反応生成物を含む。窒素含有有機塩を加えることにより、得られたエラストマーは、窒素含有有機塩を含めないで調製したエラストマーと比べて、例えば少なくとも10%の向上、例えば少なくとも25%の向上、少なくとも40%の向上、少なくとも50%の向上、少なくとも75%の向上、少なくとも100%の向上又は少なくとも200%の向上である向上した速度において、硬化し得る。好ましくは、鎖延長剤は、金属塩配位錯体、例えばメチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体である。
【0010】
別の態様では、本発明は、ポリウレタンエラストマーの調製方法に関する。当該方法には、イソシアネート末端プレポリマーと窒素含有有機塩を合わせて、プレポリマー混合物を形成するステップと、プレポリマー混合物中のプレポリマーを鎖延長剤と反応させてポリウレタンエラストマーを形成するステップが含まれる。上で述べたように、プレポリマー混合物と鎖延長剤の反応は、窒素含有有機塩を含めることにより促進される。好ましくは、プレポリマーと鎖延長剤の反応生成物は、発泡体ではない。
【発明を実施するための形態】
【0011】
序論
典型的には、ポリウレタンエラストマーは、イソシアネート末端プレポリマーを鎖延長剤と反応させることにより調製される。鎖延長剤は、複数のジイソシアネート末端プレポリマーと結合し、例えば、鎖が延長する又はプレポリマーを硬化させて、結果として得られるポリウレタンエラストマーを形成する。しかし、多くのプレポリマー/鎖延長剤の反応では、硬化速度が遅く、高い硬化温度を必要とし、結果として生産性の低下及び低品位のポリウレタンエラストマーをもたらす。
【0012】
本発明は、有機塩、例えば窒素含有有機塩を、プレポリマーと一緒に組み込むことにより鎖延長反応を促進することに関する。有機塩は、有機塩を含まない同様なプレポリマー/鎖延長剤の反応と比較して、プレポリマー/鎖延長剤の反応の硬化速度、例えば鎖延長速度を促進する。特に、本発明は、プレポリマー混合物中での窒素含有有機塩(又は化合物)の使用に関する。同様な反応条件であるが有機塩の不在下での同様な反応運転と比較した場合、プレポリマー混合物中の有機塩により、促進された硬化速度が提供され、プレポリマー/鎖延長剤の反応が、例えば少なくとも10%、例えば少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%又は少なくとも200%だけ促進される。硬化時間に関しては、同様な反応条件であるが有機塩の不在下での同様な反応運転と比較した場合、有機塩は、硬化時間を少なくとも10分間、例えば少なくとも15分間、少なくとも25分間、少なくとも45分間又は少なくとも60分間だけ促進、すなわち減少させる。好ましくは、プレポリマー混合物中のプレポリマーは、メチレンジアニリン(「MDA」)の金属塩配位錯体と反応して、(以下に述べるような)高性能のポリウレタンを形成する。
【0013】
したがって、本発明の有機塩含有プレポリマー混合物を利用し、例えば本発明の方法を介して、本発明のポリウレタンエラストマーを生成することができる。プレポリマー混合物に、ひいてはポリウレタン反応混合物に有機塩を組み込むことにより、ポリウレタンエラストマーが形成される硬化時間を著しく減少させることができる。したがって、プロセスパラメーター、例えば硬化温度及び/又はサイクル時間を減少させることができ、そのため全般的な生産性を増加させることができる。加えて、得られるポリウレタンエラストマーの品質、例えば、得られるポリウレタンエラストマーの全体にわたる構造のコンシステンシーを向上させることができる。
【0014】
プレポリマー混合物
上記で示したように、ポリウレタンエラストマーは、典型的には、プレポリマーを鎖延長剤、例えば硬化剤と反応させることにより調製される。本明細書で用いられている用語「プレポリマー混合物」は、プレポリマーを含む任意の混合物を示している。プレポリマーは、好ましくは、1つ又は複数、例えば2つ以上、3つ以上、或いは4つ以上のジイソシアネートモノマーの、1つ又は複数、例えば2つ以上、3つ以上、或いは4つ以上のポリオールとの反応から形成される。ジイソシアネートモノマーとポリオールの反応は、好ましくは、ジイソシアネートモノマーを過剰なモル量にして行われる。したがって、いくつかの実施形態では、プレポリマー混合物は、未反応のジイソシアネートモノマーをさらに含むことがあり、本明細書ではこれを「遊離ジイソシアネートモノマー」と呼ぶ。ポリウレタンプレポリマーは、例えば、当技術分野で既知の手順を介してポリオールをジイソシアネートモノマーと反応させることにより得ることができる(例えば、その全体が参照により本明細書に組み込まれている、2001年8月2日に出願した米国特許出願公開第2003/0065124を参照されたい)。加えて、本発明の様々な実施形態に従い、プレポリマー混合物は1つ又は複数の有機塩、例えば窒素含有有機塩を含むことが好ましく、鎖延長剤と反応した時にプレポリマーの硬化を促進する。
【0015】
有機塩
上記に示したように、プレポリマーに加えて、本発明のプレポリマー混合物は、好ましくは、1つ又は複数の有機塩を含む。本明細書に用いられている「有機塩」は、3A、4A、5A又は6A族の中心の原子を含む化合物として定義される。好ましくは、中心の原子は、5A又は6A族、例えば、窒素、リン又は硫黄の化合物である。プレポリマー混合物中に有機塩を含めると、エラストマーの硬化を促進し、例えば、急速に硬化できるプレポリマーが提供される。すなわち、有機塩の存在下で鎖延長剤と反応する場合、プレポリマーは、有機塩の不在下における反応よりも急速に硬化する。1つの例として、プレポリマー混合物中に有機塩を含めると、同様な反応条件であるが有機塩の不在下での同様な反応運転と比較すると、硬化速度の少なくとも10%の向上、例えば、少なくとも25%の向上、少なくとも40%の向上、少なくとも50%の向上、少なくとも75%の向上、少なくとも100%の向上又は少なくとも200%の向上が実現される。硬化速度は、ポリウレタンエラストマーのショアA硬度の、少なくとも25A、例えば、少なくとも35A、少なくとも50A、少なくとも60A、少なくとも70A、少なくとも80A、少なくとも90A又は少なくとも100Aを達成するのに必要な時間(「硬度増加」時間(“hardness build−up” time))として定義され得る。例えば、硬化速度は、プレポリマー混合物及び鎖延長剤を含む反応混合物を、少なくとも40℃、少なくとも50℃、少なくとも75℃又は少なくとも100℃の温度で調製し、次に、混合物を容器、例えば金型に流し込み、反応混合物を少なくとも75℃、少なくとも100℃、少なくとも125℃又は少なくとも150℃の温度まで加熱することにより測定できる。ショアA硬度は、反応を進行させながら測定してもよい。範囲に関しては、プレポリマー混合物と鎖延長剤の混合温度は、25℃から125℃の範囲、例えば、25℃から100℃又は25℃から75℃の範囲とすることができ、加熱温度は、50℃から200℃の範囲、例えば、75℃から150℃又は75℃から125℃の範囲とすることができる。加えて、硬化速度はまた、例えばビンガム塑性流体(Bingham plastic fluid)のパラメーター、塑性粘度及び降伏点などのレオロジー的測定値によっても決定することができる。
【0016】
理論にとらわれることはないが、本発明のプレポリマー混合物中に存在する有機塩は、MDAの配位錯体と反応してMDAのブロック解除を容易にする。ブロックが解除されると、MDAは、プレポリマー混合物中のプレポリマーの鎖延長を効果的に行うことができる。MDAの配位錯体と反応することで、有機塩は、MDAのブロック解除を促進する。典型的には、例えば有機塩を含まないと、このようなブロック解除は、有機塩を使用する場合と比べて、例えば、より高温において又はより長い時間加熱することで開始しなければならない。これは、典型的には、プレポリマー及び鎖延長剤を含有する金型を加熱することで行われる。塩錯体をブロック解除することにより、有利にもより少ない加熱及び/又はより短い時間内で有機塩がプレポリマーを鎖延長させ、結果としてより効果的な製造プロセスをもたらす。その結果、(例えば、少なくとも10%、少なくとも25%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも100%、又は少なくとも200%だけ)成形品の取出し時間が減少し得、全般的な製造効率が著しく向上し得る。
【0017】
これらのプロセス上の利益に加えて、有機塩がプレポリマー/鎖延長剤の反応混合物の硬化速度を促進することができるため、有利にも、得られるエラストマーのより均一な硬化が実現される。慣例的には、熱が加えられるところ(例えば、金型の表面)で、プレポリマー混合物/鎖延長剤の反応混合物は最も急速に硬化する。そのような場合、初めに、硬い皮膜がエラストマーの外面上に形成されることがある。硬化がゆっくりと進行すると、エラストマーの内部体積が膨張することがあり、これがひいては皮膜の亀裂又は破断を引き起こし、望ましくない表面欠陥を形成してしまうことがある。したがって、好ましい実施形態では、プレポリマー混合物中に有機塩を含めることにより、有利にも、実質的に平坦で(例えば、実質的に亀裂のない)、クラックなどの表面欠陥が実質的にない(例えば完全にない)ウレタンエラストマーが生産される。
【0018】
有機塩は、多種多様であり得る。好ましくは、有機塩は、窒素含有有機塩、例えばアンモニウム塩(場合により第4級アンモニウム塩)、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩又はモルホリニウム塩である。或いは、有機塩は窒素含有有機塩に限定されるわけではなく、アンモニウム塩、ハロゲン化アンモニウム、リン脂質、リン酸アンモニウム、イミダゾリウム塩、ホスホニウム塩及びジオルガニックソルトポリジアルキルシロキサン(diorganic salt polydialkyl siloxane)から成る群から選択される1つ又は複数の有機塩である。好ましくは、これらの化合物の1つ又は複数は、第4級化合物である。上で言及したように、他の有機塩、例えば3A族の化合物(例えばホウ酸塩化合物)、4A族の化合物(例えばグアニジン化合物)、5A族の化合物(例えばホスホニウム化合物)又は6A族の化合物(例えばスルホニウム化合物)を、窒素含有有機塩と一緒に又はこれの代わりに利用し得ることもまた想定される。好ましくは、有機塩は第4級ハロゲン化アンモニウム、例えば第4級塩化アンモニウムである。
【0019】
例として、有機塩は、好ましくは式:
【化1】


[式中、R〜Rは同一又は異なり、アルキル基及びアリール基から独立して選択され、Zはアニオンであり、xは1又は2であり、好ましくは1である。好ましくは、R基は、炭素数が1〜38、例えば1〜24のアルキルである、或いは前記アルキルが1つ又は複数のヘテロ原子で中断され、例えば、R基は、例として脂肪族アミンに由来するメチル、エチル、プロピル、ブチル、ヘキシル、オクチルなどの1つ又は複数であり得る;又はポリオキシエチル基若しくはポリオキシプロピル基である。]に対応する。
【0020】
或いは、有機塩は、次の式:
(R)
(R)=RZ
(R)=RZ
(R)
[式中、R基は、独立して同一又は異なり、或いは結合して環を形成し、アルキル基及びアリール基から独立して選択され、Zはアニオンである。]
の1つ又は複数に対応し得る。
【0021】
場合により、窒素含有有機塩は、次の式:
(R)
RS=RZ
[式中、R基は同一又は異なり、或いは結合して環を形成し、アルキル基及びアリール基から独立して選択され、Zはアニオンである。]
に対応するスルホニウム化合物と一緒に又はこれに置き換えて利用し得る。
【0022】
プレポリマー混合物に含み得る市販の有機塩としては、これらだけに限定されないが、Variquat(登録商標)CC−42NS及びVariquat(登録商標)CC−9NSなどのジエチルポリプロポキシメチル塩化アンモニウム、Variquat(登録商標)CC−59などのジエチルポリプロポキシ2−ヒドロキシエチルリン酸アンモニウム、Evonik Industries AG、ドイツからの1−H硫酸イミダゾリウムであるVariquat(登録商標)56及びVarisoft(登録商標)3639などのイミダゾリウム塩、並びにBASF、NJ、米国からの1−エチル−3−メチル塩化イミダゾリウム、Evonik Industries AG、ドイツからのTegopren(登録商標)6924などのポリシロキサンを含む塩、Central Soyaからのリン脂質(レシチン)、Cytec、IN、米国からのCyphos(登録商標)IL101などの塩化ホスホニウムが挙げることができる。好ましい市販の有機塩は、Variquat(登録商標)CC−42NSである。
【0023】
1つの実施形態では、有機塩は、上記した硬化速度の減少を得るために効果的な量でプレポリマー混合物中に存在する。場合により、プレポリマー混合物は少量の有機塩を含み、プレポリマー混合物の残りの部分には、例えばイソシアネート末端プレポリマー(ジイソシアネートモノマーとポリオールの反応生成物)が多量に存在する。或いは、有機塩は、0.01wpphから100wpphの範囲、例えば0.01wpphから20wpph、0.1wpphから10wpph又は0.5wpphから5wpphの範囲にある量で存在する。本明細書に用いられている「wpph」は、全プレポリマー混合物の100分の1の単位のことである。加えて、有機塩は、プレポリマー混合物の総重量を基準にしてより多量に、例えば0.05wt%から25wt%、0.01wt%から20wt%又は0.1wt%から10wt%の範囲にある量で存在してもよい。
【0024】
1つの例として、有機塩は、25℃で測定されたブルックフィールド粘度が、5cpsを超え得る(例えば10cpsを超え、20cpsを超え又は50cpsを超え得る)。範囲に関しては、有機塩は、25℃で測定されたブルックフィールド粘度が、1cpsから50,000cpsの範囲(例えば500cpsから20,000cps又は1,000cpsから10,000cpsの範囲)にあり得る。或いは、有機塩は固形である。
【0025】
ジイソシアネート
上に示したように、プレポリマー混合物中のプレポリマーは、好ましくは、イソシアネートモノマー(好ましくはジイソシアネートモノマー)とポリオールとの間の反応から形成される。したがって、プレポリマー混合物は、場合により少量のイソシアネートモノマー(例えば、遊離イソシアネートモノマー)もまた含む。イソシアネートは、任意のイソシアネート、例えば脂肪族ジイソシアネート又は芳香族ジイソシアネートであり得る。典型的な脂肪族ジイソシアネートとしては、1,6−ヘキサンジイソシアネート(HDI)、イソホロンジイソシアネート(IPDI)及びメチレンビス(p−シクロヘキシルイソシアネート)(H12MDI)が挙げられる。典型的な芳香族ジイソシアネートとしては、ジフェニルメタンジイソシアネート(「MDI」)、場合により高分子MDI、トルエンジイソシアネート(「TDI」)、ナフタレンジイソシアネート(NDI)、3,3’−ビトルエンジイソシアネート(TODI)、ジフェニル4,4’−ジイソシアネート(「DPDI」)、テトラメチルキシリレンジイソシアネート(「TMXDI」)及びパラ−フェニレンジイソシアネート(PPDI)が挙げられる。
【0026】
適切な市販の製品としては、純粋な4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートの異性体(例えば、Mondur MP、Bayer)及び異性体の混合物(例えば、Mondur ML、Bayer and Lupranate MI、BASF)が挙げられる。最も好ましい形態は、純粋な4,4’−異性体である。
【0027】
場合により、プレポリマー混合物中の遊離ジイソシアネートの濃度は、減少した濃度であってもよく、例えば、プレポリマー混合物は、例えば、遊離ジイソシアネートの濃度が25wt%未満、10wt%未満、5wt%未満、3wt%未満、1wt%未満又は0.5wt%未満の、ジイソシアネートが「低遊離」のプレポリマー混合物であってもよい。例として、プレポリマー混合物中の遊離ジイソシアネートを、当技術分野で知られているように蒸留で除去してもよい。
【0028】
任意の蒸留装置を、蒸留において使用できる。例えば、Pope Scientific、Inc.;Artisan Industries、Inc.;GEA Canzler GmbH&Co.;Pfaudler−U.S.,Inc.;InCon Technologies、L.L.C.;Luwa Corp.;UIC Inc.;又はBuss−SMS GmbHで商品化されている撹拌薄膜蒸留システムを使用してもよい。内部コンデンサーと連続したユニットは、0.001から1トールのより低い稼働真空に到達できるので好ましい。
【0029】
場合により、過剰なジイソシアネート(例えばMDI)及び溶媒を、0.04トール前後の圧力及び約120℃から約175℃の間の温度で取り除く(ストリップする)ことが実用的であるが、0.02トール以下及び140℃以下で取り除くのが最良の結果を引き起こし得る。芳香族ジイソシアネートモノマーに由来するプレポリマーの高温分解を最小化する重要性は、英国特許第1,101,410号に記載されており、好ましくは蒸発温度を175℃未満として、蒸留を真空下で行うことを推奨している。米国特許第4,182,825号には、TDIのプレポリマーに対して、蒸発ジャケットの温度として150℃〜160℃を使用することが記載されている。米国特許第5,703,193号は、ジャケット温度を120℃とすることを推奨している。上記の参考文献は、参照によりこれらの全体が本明細書に組み込まれる。
【0030】
撹拌薄膜蒸留装置の操作において、留出物に対するコンデンサーの温度は、蒸発温度を下回り、少なくとも約50℃、例えば少なくとも約100℃であるのが典型的には望ましい。これにより、急速で効率的な留出物の蒸発、そして凝縮に対する駆動力が得られる。したがって、MDIモノマーを蒸留除去するためには、(プレポリマーの熱分解を避けるために)蒸発器の温度を140℃以下とし、コンデンサーの温度を40℃以下とするのが望ましい。純MDIの融点は約40℃なので、コンデンサー内でMDIの凝固を防ぐために、コンデンサーの温度をより高くすることが必要である。溶媒を使用することで、より低い温度、例えば30℃以下で凝縮することが可能になる。したがって、溶媒の使用により蒸発器をより低い温度で使用でき、これによりプレポリマーの熱分解が回避される。
【0031】
得られる生成物(プレポリマー混合物)は、1段階後には0.1%未満の溶媒及び約0.1から約0.3%のMDIを含有している可能性があり、留出物からは不純物がなくなり、室温で透明のまま推移することができる。留出物は、より多くのプレポリマーを生成するために、さらに再利用してもよい。モノマーのMDIのレベルは、2段階又は3段階後には、0.1%未満まで減少し得る。このことは、同様な条件下で実施した場合に、遊離MDIレベルが約57%の推定出発レベルから第1段階、第2段階及び第3段階後にそれぞれ21%、3.0%及び0.7%まで減少する、米国特許第5,703,193号に記載されている非溶媒プロセスとは際立って対照的である。
【0032】
このような手順では、ジイソシアネートのポリオールに対するモル比は、例えば、1.5:1から20:1の範囲にあり得る。ジフェニルメチレンジイソシアネート(MDI)をベースにしたプレポリマーでは、MDIのポリオールに対するモル比は、2.5:1から20:1であり得る。トルエンジイソシアネート(TDI)をベースにしたプレポリマーでは、TDIのポリオールに対するモル比は、1.5:1から4:1であり得る。ジイソシアネートとポリオールは、好ましくは、少なくとも30℃、例えば少なくとも50℃又は少なくとも70℃の温度で反応する。範囲に関しては、反応温度は、30℃から120℃、例えば50℃から110℃の範囲にあり得る。
【0033】
ポリオール
プレポリマー混合物中でイソシアネートと反応してプレポリマーを形成し、プレポリマー混合物中に少量で存在し得るポリオールは、任意の適切なポリオールとすることができる。しかし、ジイソシアネートがポリオールに対して過剰に供給されるのが理想的であるので、プレポリマー混合物は、ポリオールを実質的に含んでいないことが好ましい。結果として、プレポリマーが形成されるにつれて、実質的に全てのポリオールがイソシアネートモノマーと反応するのが好ましい。
【0034】
例示的なポリオールとしては、ポリエーテル、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリカプロラクトン及び/又は炭化水素ポリオールが挙げられる。種々の実施形態では、ポリオールは、1つ又は複数のポリエーテル、ポリエステル又はポリカプロラクトンを含むことができ、好ましくは分子量(MW)が200から6000の範囲、例えば400から3000又は1000から2500の範囲にある。この文脈では、分子量は、ダルトンの数平均分子量を示す。例示的なポリオールとしては、アジピン酸のポリエステル、エチレンオキシドのポリエーテル、プロピレンオキシドのポリエーテル、テトラヒドロフランのポリエーテル、ポリカプロラクトン、ポリカーボネート、炭化水素ポリオール及びこれらの混合物が挙げられる。1つの例として、ポリオールは、分子量が約60から約400、例えば約80から約300若しくは約100から約20であるグリコール又はトリオールを含み得る。このようなグリコール又はトリオールとしては、エチレングリコール、プロピレングリコールの異性体、ポリプロピレングリコール、場合によりEOでキャップされたポリプロピレングリコール、ブタンジオールの異性体、ヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール及びこれらの混合物が挙げられる。加えて、ポリオールは、アジピン酸、コハク酸、イソフタル酸及び他の二官能性又は多官能性カルボン酸のグリコールとの反応生成物であり得るが、これらの例としては、エチレングリコール、1,3−プロパンジオール、ブタンジオール、ヘキサンジオール及び1,3−ブタンジオールが挙げられる。1つの実施形態では、ポリオールは、ジオール、トリオール、テトロール又はより多価のヒドロキシ官能価のポリオールであり得る。加えて、ポリオールには、ポリオールのある程度のパーセンテージがモノオールである組成物が含まれる。例えば、ヒドロキシ官能価は、好ましくは1.8から4.0、例えば1.9から3.0の範囲にある。
【0035】
好ましくは、プレポリマーを形成するために利用されるポリオールは、より低い程度の官能価を有する。例として、プレポリマー混合物には、全体の官能価が5を超えない、例えば4を超えない、3を超えない、2を超えないポリオール(又はポリオールの混合物)を含めることができる。いくつかのケースでは、このようなポリオールを利用することで、過度の架橋結合が減少し得る。過度の架橋結合は、例えば耐曲げ疲労性、引裂抵抗及び耐摩耗性などのエラストマー特性に悪影響を及ぼすことがある。対照的に、従来の軟質発泡体の製造プロセスで利用されるポリオールは、典型的には、高度に官能化されたポリオール、例えば全体の官能価が少なくとも4、例えば少なくとも5又は少なくとも6のポリオールを利用している。軟質発泡体は、全く異なるプロセスを介して製造されるので、高度の官能価がしばしば必要である。しかし、本発明のいくつかの実施形態では、より低い官能価が望ましい。
【0036】
ポリオールは、当技術分野で既知の方法に従って合成され得る。例えば、ポリエーテルポリオールは、その全体の内容及び開示が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第6,953,765号に開示されているように、二金属シアン化物触媒を使用して合成できる。
【0037】
1つの実施形態では、ポリウレタンプレポリマーは、複数のポリオールを含む。そのような実施形態では、各々500を超える、例えば、1,000を超える又は2,000を超える分子量を有する2つのポリオールを含むポリウレタンプレポリマーを備え得る。そのような実施形態では、また、3つのポリオールの内2つが500を超える、例えば、1,000を超える又は2,000を超える分子量である3つのポリオールを含むポリウレタンプレポリマーを備え得る。そのような実施形態では、高分子量のポリオールとポリオールより分子量が小さいグリコール又はトリオールを含むポリウレタンプレポリマーも備え得る。
【0038】
プレポリマーを形成するために使用され得る代表的なポリオールとしては、Lyondell Chemical CompanyからAcclaim4220(MWが4037)、Acclaim3201(MWが3074)及びArcol R−2744(MWが2240)などのポリプロピレングリコール(PPG);プロピレンオキシドに由来するPPGジオールポリマー(「PPG 4000」)、PPG−EOジオール(プロピレンオキシド及びエチレンオキシドに由来するコポリマー)(「PPG−EO 3000」)、PPGジオール(「PPG 2000」);ChemturaからPEAG1000(MWが980)、ChemturaからPEAG2000(MWが1990)、Ruco Polymer Corp.からPEAG2500(MWが2592)などのポリ(エチレンアジペート)グリコール(PEAG);DuPontからTerathane(商標)1000(MWが994)及びTerathane(商標)2000などのポリ(トリメチロールプロパンエチレンアジペート)グリコール(PTEAG)、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール(PTMEG)が挙げられる。
【0039】
プレポリマー混合物(一般的に)
好ましい実施形態では、本発明のプレポリマー混合物を使用して、成形(casting:鋳込み)システムにおいてポリウレタンエラストマーを形成することができる。或いは、プレポリマー混合物を反応射出成形(「RIM」)システムで使用してもよい。そのような成形システムは、プレポリマー混合物を鎖延長剤と反応させ、ポリウレタンエラストマー及び/又はポリウレタン−尿素エラストマーを形成する。対照的に、ポリウレタン発泡体、例えば米国特許第7,005,458号に記載されているような軟質発泡体を作製する従来のプロセスは、本明細書に規定されているようなプレポリマー混合物を利用しない。このような従来の発泡体は、代わりにヘッド固定式発泡体成形機で調製される。ポリオール成分と他の添加剤成分(例えば、触媒、発泡剤及び帯電防止剤)は一緒に混合され、得られた混合物は、ポリイソシアネート成分と共にミキシングヘッドに投入されて合わされる。得られた混合物を容器に流し込み、膨張させる。このように、種々の反応物を組み合わせると、発泡体がin situで形成される。したがって、(官能性の低い)イソシアネート末端プレポリマーを、好ましくは重合(鎖延長)の前に有機塩とブレンドする本発明とは異なり、従来の発泡システムの(官能性の高い)ポリイソシアネートは、重合の間にポリオール及び添加剤と混合するだけである、すなわち、有機塩を含有するプレポリマー混合物が従来のプロセスでは形成されないのである。したがって、従来の発泡体形成プロセスは、本発明のプレポリマー混合物で利用されるようなプレポリマーと有機塩を含むプレポリマー組成物を採用しない。さらに、典型的な発泡体形成プロセスでは、システムの発泡体形成の特性を変化させ得るイソシアネート基との副反応を回避する又は最小化するために、ポリイソシアネートを可能な限り純粋に保つことが一般に望まれる。したがって、従来の発泡体形成プロセスで添加剤をポリイソシアネート成分とブレンドすることは、不都合であると考えられる。
【0040】
結果として得られる本発明のエラストマーは、実質的に無孔であるのが望ましいので、本発明のプレポリマー混合物(及びこれと共に使用される鎖延長剤)は、発泡剤、界面活性剤又は水を含有していないことが好ましい。
【0041】
プレポリマー混合物は、25℃で測定されたブルックフィールド粘度が、500cpsを超え得る(例えば1,000cpsを超え、2,000cpsを超え又は5,000cpsを超え得る)。範囲に関しては、プレポリマー混合物は、25℃で測定されたブルックフィールド粘度が、1cpsから100,000cpsの範囲、10cpsから50,000cpsの範囲、10cpsから100,000cpsの範囲、500cpsから20,000cpsの範囲又は1,000cpsから10,000cpsの範囲にあり得る。プレポリマー混合物は、場合により、室温で高い粘度を有しており、加熱すると低下し得る。1つの態様では、プレポリマーは、室温で固体の状態にある。
【0042】
有機塩をその中でブレンドし得る適切な市販のイソシアネート末端プレポリマーとしては、Chemtura Corporation、CT、米国によるAdiprene(登録商標)LF、Adiprene(登録商標)LFG,Adiprene(登録商標)LFM及びAdiprene(登録商標)LFP、Adiprene(登録商標)LFP950A、Adiprene(登録商標)L167、Adiprene(登録商標)L300、Adiprene(登録商標)LF800A、Adiprene(登録商標)L950A、Adiprene(登録商標)L1800A、Adiprene(登録商標)LFM500、Adiprene(登録商標)LFM2400、Adiprene(登録商標)LFM2450、Adiprene(登録商標)LFM1451、Adiprene(登録商標)LFM1300、Adiprene(登録商標)LFP950A、Adiprene(登録商標)LFH520、Vibrathane(登録商標)B625、Vibrathane(登録商標)B8030、Vibrathane(登録商標)B8585、Vibrathane(登録商標)B8086、Vibrathane(登録商標)B8045、S850、S900が挙げられる。
【0043】
好ましい実施形態では、プレポリマー混合物は、適切な鎖延長剤で鎖延長をすると、高性能のポリウレタンエラストマーを与えるものである。このような高性能のポリウレタンエラストマーは以下で検討される。
【0044】
鎖延長剤
上で言及したように、ポリウレタンエラストマーは、上記したプレポリマーを鎖延長剤(硬化剤)と反応させることで調製される。鎖延長剤は、プレポリマーを硬化させるための任意の適切な鎖延長剤とすることができる。例として、鎖延長剤は、例えば、水、ジオール、トリオール、ジアミン、トリアミン又はこれらの混合物を含み得る。鎖延長剤は、場合により室温で高い粘度を有しており、加熱すると低下し得る。場合によって、鎖延長剤は室温で固体の状態にある。
【0045】
本発明において使用に適する代表的なジオールの鎖延長剤としては、1,4−ブタンジオール(BDO)、レゾルシノールジ(β−ヒドロキシエチル)エーテル(HER)、レゾルシノールジ(β−ヒドロキシプロピル)エーテル(HPR)、ヒドロキノン−ビス−ヒドロキシエチルエーテル(HQEE)、1,3−プロパンジオール、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール及び1,4−シクロヘキサンジメタノール(CHDM);トリメチロールプロパン及びトリエタノールアミンなどのトリオール及びテトロール;並びに種々のグレードのVoranol(商標)(Dow Chemical)、Pluracol(商標)(BASF Corp.)及びQuadrol(商標)(BASF Corp.)などの、分子量が約190から約500の範囲、例えば約250から約400の範囲にあるプロピレンオキシド及び/又はエチレンオキシドの付加物が挙げられる。好ましくは鎖延長剤は、メチレンジアニリン(MDA)−塩化ナトリウム配位錯体である。
【0046】
MDAの金属塩配位錯体は、ジオール又はポリオール溶液で分解される傾向がある。典型的には、プレポリマー混合物は、活性ヒドロキシ基をできるだけ減らす過剰なイソシアネートで作られる。MDAの金属塩配位錯体が鎖延長剤として利用されるケースでは、エラストマー混合物には、添加剤(例えば、Rhodia、フランスからのCataphor(登録商標)PUなどのジオール又はポリオール混合物を含有する帯電防止剤)に含まれ得る余計なジオール又はポリオールが、実質的にないことが好ましい。
【0047】
1つの例として、鎖延長剤は、25℃で測定されたブルックフィールド粘度が、1cpsから20,000cpsの範囲、例えば、1cpsから10,000cpsの範囲、100cpsから10,000cpsの範囲、1,000cpsから10,000cpsの範囲又は1,000cpsから5,000cpsの範囲にある。
【0048】
適切な市販の鎖延長剤としては、4,4’−メチレン−ビス(3−クロロ−2,6−ジエチルアニリン)(MCDEA);ジエチルトルエンジアミン(DETDA);Albemarle CorporationからEthacure(商標)100;第3級ブチルトルエンジアミン(TBTDA);ジメチルチオ−トルエンジアミン(Albemarle CorporationからEthacure(商標)300);トリメチレングリコールジ−p−アミノ−ベンゾエート(Chemtura CorporationからVibracure(商標)A157又はAir Products and ChemicalsからVersalink(商標)740M);メチレンジアニリン(MDA);Chemtura CorporationからDuracure(商標);ハロゲン化された芳香族ジアミン、メチレンビスオルトクロロアニリン(MOCA)などのハロゲン化された二芳香族ジアミン;及びメチレンビスジエチルアニリン(MDEA)が挙げられる。好ましくは、鎖延長剤は、メチレンジアニリンの金属塩配位錯体、より好ましくは、配位錯体がジオクチルアジペートに分散した、ブロックされたメチレンジアニリンのナトリウム塩配位錯体である。
【0049】
鎖延長剤は、ポリウレタンプレポリマーを硬化させるために単独で使用してもよく、そうでなければ、ヒドロキシ又はアミン末端ポリオールの低度から中等度の量と混合して混合硬化剤を作製してもよい。このようなヒドロキシ又はアミン末端ポリオールの添加には、硬化剤ブレンドの当量を増加させる効果、並びに成形される最終的なポリウレタン物品を柔軟にする効果がある。このことは、より簡単に混合するために比率を改善することが望ましい場合又は硬度の低さが必要とされる場合のいずれかに有益となる可能性がある一方、このようなポリオールの使用は物理的及び動的特性を弱めてしまうことが、当技術分野で知られている。したがって、このようなヒドロキシ又はアミン末端ポリオールの使用は、好ましくは、硬化剤混合物の50モル%未満、例えば30モル%未満又は20モル%未満に制限される。
【0050】
プレポリマーの硬化剤に対するモル比は、例えば1:2から3:1、例えば0.7:1から1.2:1又は1.1:1から0.9:1の範囲にあり得る。また、硬化剤の量を、次の式:
【数1】


[式中、C100Pはプレポリマー100部当たりの硬化剤の部であり、NCO%はプレポリマー中のNCO含量のパーセントであり、Cewは硬化剤の当量であり、理論%は、硬化剤に対する化学量論量である。]で計算してもよい。したがって、例えば、当量が133.5であり、95%の化学量論量で4.1%のNCOを有するプレポリマーと硬化する硬化剤の計算量は、質量基準でプレポリマー100部当たり硬化剤12.4部になる。
【0051】
エラストマー
本発明のプレポリマー混合物に加えて、本発明は、また、プレポリマーと鎖延長剤が上記した有機塩(例えば、窒素含有有機塩)の存在下で互いに反応する、(プレポリマー混合物由来の)プレポリマーと鎖延長剤との反応生成物を含むポリウレタンエラストマーにも関する。これらの適用例では、有機塩は、ポリウレタンエラストマー中に、ポリウレタンエラストマーの総重量を基準にして0.01wppmから20wppmの範囲、例えば、0.01wppmから10wppm又は1wppmから10wppmの範囲にある量で存在し得る。
【0052】
そのようなプレポリマー混合物を使用する結果として、得られるエラストマーは促進された速度で硬化する。上で論じた硬化速度の向上に加えて、エラストマーは、好ましくは、100℃の温度での最低15分の加熱後、例えば最低20分の加熱後、最低30分の加熱後又は最低40分の加熱後に、20Aを超えるショアA硬度、例えば30Aを超える又は40Aを超えるショアA硬度を達成する。或いは、エラストマーは、100℃の温度での最低40分の加熱後、例えば最低50分の加熱後、最低60分の加熱後又は最低70分の加熱後に、30Aを超えるショアA硬度、 例えば40Aを超える又は50Aを超えるショアA硬度を達成する。
【0053】
好ましい実施形態では、本発明のエラストマーは、鎖延長剤と反応させたプレポリマー混合物の反応生成物であり、鎖延長剤は、メチレンジアニリンの金属塩配位錯体である。そのようなエラストマーが少なくとも30AのショアA硬度、例えば少なくとも40A、少なくとも50A、少なくとも60A、少なくとも70A、少なくとも80A又は少なくとも90AのショアA硬度に達するための硬化時間は、同様な反応条件であるが有機塩が不在である同様な反応運転と比べて、少なくとも10%だけ、例えば少なくとも25%、少なくとも50%又は少なくとも100%だけ促進される。
【0054】
本発明のエラストマーは、好ましくは、0.24g/cmを超える密度、0.32g/cmを超える密度、0.40g/cmを超える密度又は0.48g/cmを超える密度を有している。したがって、当該エラストマーは、従来の発泡プロセスを介して生成される発泡体と明らかに区別される。
【0055】
上で論じたように、プレポリマー混合物に有機塩を添加することにより、有利にも、表面欠陥(例えばクラック)が実質的にない(例えば完全にない)ウレタンエラストマーが生成される。ウレタンエラストマーは、目に見えるクラックが実質的にない(例えば完全にない)、実質的に平坦な表面を有し得る。好ましくは、本発明のエラストマーは、エラストマーの表面から内側に中心に向かって測定される、10mmを超える深さの欠陥(例えば、5mmを超える深さ、3mmを超える深さ、1mmを超える深さ又は0.5mmを超える深さの欠陥)が実質的にない。或いは、本発明のエラストマーは、長さが10mmを超える欠陥(例えば、5mmを超える、3mmを超える、1mmを超える又は0.5mmを超える欠陥)が実質的にない。
【0056】
上で示したように、本発明のエラストマーは、ショアAデュロメーター硬度が、少なくとも25、少なくとも35、少なくとも50、少なくとも60、少なくとも70、少なくとも80、少なくとも90又は少なくとも100のエラストマーとして本明細書で規定した、好ましくは高性能のエラストマーである。ショアA硬度に関して対応するASTM試験は、ASTM D2240 00に指定され、この全体が参照により本明細書に組み込まれている。ポリウレタンエラストマーの数々の高性能の中で、別の例示的な特性は、トラウザー法による引裂強度値が高いことである。一般に、引裂き特性は、硬度の関数である。対応するASTM試験は、ASTM D−1938に指定され、この全体が参照により本明細書に組み込まれている。ショアA硬度が、20Aから120Aの範囲、例えば20Aから100A又は30Aから80Aの範囲であるポリウレタンエラストマーは、トラウザー法による引裂強度値が、少なくとも100kg/cm(550lbf/in)、例えば、少なくとも108kg/cm(600(lbf/in)又は少なくとも120kg/cm(670lbf/in)の高い(向上された)値であり得る。加えて、本発明のエラストマーは、有機塩を含むプレポリマー混合物を利用しないエラストマーと比較して、トラウザー法による引裂強度値が10%を超える、例えば25%を超える又は50%を超える向上を示し得る。本発明のエラストマーのさらなる例示的な特性は、割裂試験値(Split Tear values)が高いことである。対応するASTM試験は、ASTM D470に指定され、この全体が参照により本明細書に組み込まれている。本発明のポリウレタンエラストマーは、好ましくは、割裂試験値の少なくとも10%の増加(例えば、少なくとも20%又は少なくとも50%の増加)を実証している。加えて、本発明のエラストマーは、有機塩を含むプレポリマー混合物を利用しないエラストマーと比較して、割裂試験値が10%を超える(例えば、25%を超える又は50%を超える)向上を示し得る。
【0057】
加えて、硬化時間が著しく速いエラストマーは、また、従来の硬化時間がより遅いエラストマーと比較したモジュラス値、伸び率の値及びピーク応力値も有し得る。したがって、本発明のエラストマーは、より短時間で生産され、有利な結果としてプロセス生産性が著しく向上する。
【0058】
そのような高性能のウレタンエラストマーの用途の例としては、鉄道用機器、自動車用品及び重機のための、高性能タイヤ、ホイール、ベルト、泥落としブレード、採鉱スクリーン、ダイのカティングパッド、ポンプ部品、ベアリング、ブッシング、スプリング、軌道パッド、研磨パッド、封止材及びサスペンション部品が挙げられる。
【0059】
1つの実施形態では、本発明のエラストマーは明度がより低く、例えば、当該エラストマーは低い黄色度指数(「YI」)値を示す。有機塩を添加すると、明度の向上例えば、少なくとも10%、少なくとも20%、少なくとも30%又は少なくとも50%の向上を得ることができる。例として、当該エラストマーは、黄色度指数が50未満(例えば、35未満又は20未満)であり得る。
【0060】
場合によって、当該エラストマーは帯電防止剤を実質的に含まず、例えば、10wt%未満、5wt%未満又は1wt%未満の帯電剤を含有する。
【0061】
方法
本発明のプレポリマー混合物及びポリウレタンエラストマーに加えて、本発明は、また、ポリウレタンエラストマーの調製方法にも関する。当該方法には、イソシアネート末端プレポリマーと有機塩を組み合わせてプレポリマー混合物を形成すること、プレポリマー混合物中のプレポリマーを鎖延長剤と反応させて、ポリウレタンエラストマーを形成することが含まれる。得られたポリウレタンエラストマーには、上で論じた特性及び特徴がある。好ましくは、本発明の方法では、プレポリマーと鎖延長剤の反応生成物は発泡体ではない。エラストマーには帯電防止添加剤を使用する必要がないのが理想的であり、この理由は、エラストマーが金属塩を含有しているからである。金属塩は、エラストマーをよりハイドロスコピック(hydroscopic)にさせ、静電荷の蓄積に対してより抵抗性のものにする。対照的にポリウレタン発泡体は、一般により小さくハイドロスコピックであり、静電荷の蓄積の影響をより受け易いので、帯電防止添加剤の使用を必要とすることが多い。したがって、本発明のエラストマーは、発泡エラストマーと比較するとより導電性であることが好ましく、任意の帯電防止剤の混在化を必要としないはずである。
【0062】
当該方法において利用される成分の量、並びにプレポリマー混合物に対する調製パラメーターは、プレポリマー混合物及び鎖延長剤に関連して上記したとおりである。加えて、プレポリマー混合物と鎖延長剤の反応は、少なくとも50℃の温度、例えば、少なくとも75℃、少なくとも100℃、少なくとも125℃又は少なくとも150℃の温度で行うことができる。さらに、プレポリマー混合物と鎖延長剤の反応は、少なくとも0.1atm、例えば、少なくとも0.5atm又は少なくとも1.0atmの圧力で行うことができる。プレポリマー、有機塩、鎖延長剤は、100℃未満、好ましくは70℃未満において、撹拌したタンク内で混合することができる。得られる混合物を、次に容器、例えば金型(場合により加熱した金型)に投入し、ここで、MDA配位錯体がブロック解除され、ポリウレタンエラストマーへの重合が起こる。
【実施例】
【0063】
実施例
本発明の実施形態は、次の非制限的実施例を念頭に置くとより明らかとなる。
【0064】
例1
種々のプレポリマー混合物の調製
【0065】
プレポリマー混合物/鎖延長剤の組合せの硬化速度を決定するために、種々のプレポリマー混合物を調製した。表1には、イソシアネート末端プレポリマーとしてAdiprene(登録商標)LFM500を使用して調製した、例1A〜例1Hのプレポリマー混合物が示されている。Adiprene(登録商標)LFM500に、種々の有機塩の1.0pphを加えた。
【表1】

【0066】
表1のプレポリマー混合物を50℃まで加熱した。ジオクチルアジペートに分散させた鎖延長剤である、44%のメチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体を、混合しながら加えた。得られた反応混合物を、硬度カップ(hardness cup)に流し込み、温度を100℃に制御した強制対流オーブンに設置した。これらのサンプルの硬化の程度を、(ショアAデュロメーターを用いて)ショアA硬度を測定することにより、時間の関数として測定した。表2には、反応混合物に関する硬化速度(硬度の増加)が示されている。最終硬度は、100℃で16時間後に、少なくとも6時間かけて室温まで冷却してから測定した。
【表2】

【0067】
表2に示されているように、有機塩を加えると、プレポリマー混合物/鎖延長剤の反応混合物の硬化を著しく促進した。驚くべきことであり予期しないことであったが、プレポリマー混合物に対する有機塩の添加は、30AのショアA硬度を達成する時間を、最短で30分に短縮させている。有機塩がない場合、ショアA硬度の同じレベルは、60分後でも達成されていない。
【0068】
例2
ポリエーテルをベースにしたイソシアネート末端プレポリマーを利用したさらなるサンプルを、例1と同じ様式であるが、異なるイソシアネート末端プレポリマーを使用して調製した。表3には、例2A〜2Hの成分が示されている。
【表3】

【0069】
表3のプレポリマー混合物を50℃まで加熱した。ジオクチルアジペートに分散させた44%のメチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体を混合しながら加えた。得られた反応混合物を、硬度カップに流し込み、温度を100℃に制御した強制対流オーブンに設置した。これらのサンプルの硬化の程度を、例1で実施したように時間の関数として測定した。表4には、反応混合物に関する硬化速度(硬度の増加)が示されている。この場合もやはり、最終硬度は100℃で16時間後に、少なくとも6時間かけて室温まで冷却してから測定した。
【表4】

【0070】
表4に示されているように、有機塩の添加は、プレポリマー混合物/鎖延長剤の硬化を著しく促進している。驚くべきことであり予期しないことであったが、ほとんどのケースにおいて、プレポリマー混合物に対する有機塩の添加は、40AのショアA硬度を達成する時間を、最短で40分に短縮させた。有機塩のないプレポリマー混合物と比べた場合、本発明のプレポリマーは、ほとんどのケースで硬化時間を少なくとも15分だけ向上している。
【0071】
例3
MDI−ポリエステルをベースにしたイソシアネート末端プレポリマーを利用したさらなるサンプルを、例1と同じ様式であるが、異なるイソシアネート末端プレポリマーを使用して調製した。表5には、例3A〜3Hの成分が示されている。
【表5】

【0072】
表5のプレポリマー混合物を70℃まで加熱した。ジオクチルアジペートに分散させた44%のメチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体を混合しながら加えた。得られた反応混合物を、硬度カップに流し込み、温度を100℃に制御した強制対流オーブンに設置した。これらのサンプルの硬化の程度を、例1で実施したように時間の関数として測定した。表6には、反応混合物に関する硬化速度(硬度の増加)が示されている。この場合もやはり、最終硬度は、100℃で16時間後に、少なくとも6時間かけて室温まで冷却してから測定した。
【表6】

【0073】
表6に示されているように、有機塩の添加は、プレポリマー混合物/鎖延長剤の反応混合物の硬化を著しく促進している。驚くべきことであり予期しないことであったが、ほとんどのケースにおいて、プレポリマー混合物に対する有機塩の添加は、60AのショアA硬度を達成する時間を、最短で20分に短縮させた。有機塩のないプレポリマー混合物と比べた場合、本発明のプレポリマーは、ほとんどのケースで硬化時間を少なくとも20分だけ向上している。
【0074】
例4
メチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体との相乗効果
【0075】
表7は、有機塩とメチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体で達成された相乗効果を、芳香族ジアミン、メチレンビス(2−クロロアニリン)(「MOCA」)と比較して示している。Adiprene(登録商標)L300を50℃まで加熱し、Variquat CC−42NSとブレンドし、次に、80℃まで加熱し、溶融MOCAと混合した。得られた反応混合物を、硬度カップに流し込み、温度を100℃に制御した強制対流オーブンに設置した。これらのサンプルの硬化の程度を、例1で実施したように時間の関数として測定した。Variquat CC−42NS有機塩を含めなかった対照も、また調製しテストした。結果は、表8に示されている。
【表7】

【0076】
表2、4、6及び8に示されているように、プレポリマー混合物に対する有機塩の添加は、メチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体を用いて利用した場合、促進された硬化速度を実現している。表8では、従来のジアミン鎖延長剤のいくつかを用いても、これらの結果は同じ程度には示されていないことが分かる。したがって、驚くべきことであり予期しないことであったが、メチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体と本発明のプレポリマー混合物の組合せは、予測し得なかった相乗効果を明らかに実証している。
【0077】
例5
向上した割裂試験の値(Tear Values:引裂強度値)
【0078】
表9は、(様々なレベルの有機塩を用いた)E530Dをメチレンジアニリンの塩化ナトリウム配位錯体と反応させることで調製したエラストマーの物理的特性を、芳香族ジアミン、メチレンビス(2−クロロアニリン)(「MOCA」)と比較して示している。Adiprene(登録商標)L300を50℃まで加熱し、Variquat CC−42NSとブレンドし、次に、80℃まで加熱し、溶融MOCAと混合した。得られた反応混合物を、硬度カップに流し込み、温度を100℃に制御した強制対流オーブンに設置した。これらのサンプルの硬化の程度を、例1で実施したように時間の関数として測定した。Variquat CC−42NSの有機塩を含めなかった対照も、また調製しテストした。結果は、表9に示されている。
【表8】

【0079】
表9に示されているように、驚くべきことであり予期しないことであったが、プレポリマー混合物に対する有機塩の添加は、これを用いて調製したエラストマーのトラウザー法による引裂強度値の著しい向上を実現した。加えて、本発明のプレポリマー混合物を利用することにより、より大幅に速い硬化時間、並びに比較に値するモジュラス値、伸び率の値及びピーク応力値を有するエラストマーを製造することができる。したがって、比較に値するエラストマーが、より短い時間で製造でき、結果として、プロセス生産性が著しく向上する。
【0080】
任意の開示された実施に対して記載された又は特許請求された任意の特徴は、任意の他の開示された1つの実施若しくは複数の実施に対して記載された又は特許請求された1つ又は複数の他の任意の特徴(単数又は複数)との任意の組合せにおいて、これらの特徴が必ずしも技術的に互換性がないとは限らない範囲まで組み合わせることができ、このような全ての組合せは本発明の範囲内にある。さらに、以下に添付した特許請求の範囲は、本発明の範囲内にある特徴のいくつかの非制限的な組合せを示しているが、当該組合せが必ずしも技術的に互換性がないとは限らないならば、任意の可能な組合せにおいて、本発明の範囲内にあるものとしても想定される組合せもまた、全てが任意の2つ以上の請求項の主題の可能な組合せである。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)ジイソシアネートとポリオールの反応生成物であるイソシアネート末端プレポリマー;並びに
(b)アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩及びモルホリニウム塩から成る群から選択される窒素含有有機塩
を含む、ポリウレタンエラストマーを調製するためのプレポリマー混合物。
【請求項2】
窒素含有有機塩が、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩及びモルホリニウム塩から成る群から選択される、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項3】
窒素含有有機塩が、下式:
【化1】


[式中、R〜Rは、同一又は異なり、独立して選択されたアルキル、アリール及び1つ又は複数のヘテロ原子で中断されているアルキルであり、Zはアニオンであり、xは1又は2である。]を有する、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項4】
窒素含有有機塩が第4級塩化アンモニウムである、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項5】
窒素含有有機塩が、プレポリマー混合物の総重量を基準にして、0.01重量%から20重量%の範囲にある量で存在する、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項6】
残留する25重量%未満のイソシアネートモノマーを含む、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項7】
ジイソシアネートが、トルエンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、パラ−フェニレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、DPDI、1,6−ヘキサンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、メチレンビス(p−シクロヘキシルイソシアネート)、3,3’−ビトルエンジイソシアネート、ジフェニル4,4’−ジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート及び高分子MDIから成る群から選択される、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項8】
ポリオールが、ポリ(テトラメチレンエーテル)グリコール、ポリプロピレングリコール及びポリエチレングリコールから成る群から選択される、ポリエーテルポリオールである、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項9】
ポリオールが、アジピン酸、コハク酸又はイソフタル酸と1つ又は複数のグリコールとの反応生成物のポリエステルポリオールである、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項10】
イソシアネート末端プレポリマーの25℃で測定されたブルックフィールド粘度が、10センチポアズから100,000センチポアズの範囲にある、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項11】
さらに鎖延長剤を含む、請求項1に記載のプレポリマー混合物。
【請求項12】
鎖延長剤がメチレンジアニリンの金属塩配位錯体である、請求項11に記載のプレポリマー混合物。
【請求項13】
窒素含有有機塩の存在下におけるイソシアネート末端プレポリマーと鎖延長剤との反応生成物を含む、ポリウレタンエラストマー。
【請求項14】
ポリウレタンエラストマーを調製する方法であって、
イソシアネート末端プレポリマーと窒素含有有機塩を合わせて、プレポリマー混合物を形成するステップ;及び
プレポリマー混合物中のプレポリマーを鎖延長剤と反応させて、ポリウレタンエラストマーを形成するステップ
を含む上記方法。
【請求項15】
窒素含有有機塩が、アンモニウム塩、イミダゾリウム塩、ピリジニウム塩、ピロリジニウム塩、ピペリジニウム塩及びモルホリニウム塩から成る群から選択される、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
鎖延長剤がメチレンジアニリンの金属塩配位錯体である、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
エラストマーのショアA硬度が少なくとも30Aである、請求項14に記載の方法。


【公表番号】特表2013−510935(P2013−510935A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−539066(P2012−539066)
【出願日】平成22年11月16日(2010.11.16)
【国際出願番号】PCT/US2010/056807
【国際公開番号】WO2011/060407
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(508201282)ケムチュア コーポレイション (69)
【Fターム(参考)】