説明

イヌリンの多形形態およびその使用法

本発明は、δイヌリン(dIN)と称されるイヌリンの新たな多形形態、dINの調製のための方法、dINを含む組成物、およびそれらの使用法に関する。本発明はまた、γイヌリン(gIN)の調製におけるdINおよびdINを含む組成物の使用法、gINを含む組成物、およびそれらの使用法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
技術分野
本発明は、δイヌリン(dIN)と称されるイヌリンの新たな多形形態、dINの調製のための方法、dINを含む組成物、およびそれらの使用法に関する。本発明はまた、γイヌリン(gIN)の調製におけるdINおよびdINを含む組成物の使用法、gINを含む組成物、およびそれらの使用法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景技術
イヌリンは、100個までのフルクトース部分またはそれ以上の分岐していない鎖が単一の末端グルコースに結合し、末端のフルクトース‐グルコースペアが偶然スクロースと同一である、直線状のβ-D-(2→1)ポリフルクトフラノシルα-D-グルコースのファミリーを含む、単純な不活性の多糖である。そのため、イヌリン調製物は、単純な、公知の組成であるが、16,000またはそれを超える範囲に及ぶ分子量を有し、分子的に多分散系(polydisperse)である、中性の多糖を含む。イヌリンは、キク科(Compositae)の貯蔵炭水化物であり、ダリアの塊茎より安価に入手可能である。イヌリンは比較的疎水性の、ポリオキシエチレン様の骨格を有し、この珍しい構造に加えて非イオン化の性質が、非常に純粋な状態での再結晶および容易な調製を可能にする。
【0003】
イヌリンの分子組成は周知であるが、溶解性の報告された測定は矛盾する。例えば、Merck Index(Thirteen Edition, 2001(非特許文献1))は、「低温の水および有機溶媒にわずかに可溶性であり、高温には可溶性」としてイヌリンを記述しており、一方、定量的研究(Phelps, C.F., (1965) Biochem. J., 95:41-47(非特許文献2))は、水からの沈殿によって得られる第一のものと、エタノールからの沈殿によって得られる第二のものの、二つの性質が異なるイヌリンの形態が存在し、両方とも37℃で水に実質的に可溶性であることを示唆した。また、イヌリンの懸濁液は、静止したままであると溶解性がより低くなることも公知である。水からの沈殿によって得られる形態は、αイヌリン(aIN)と称され、エタノールからの沈殿によって得られる形態は、βイヌリン(bIN)として公知である。
【0004】
γイヌリン(gIN)と称される、粒子状イヌリンの第三の多形形態が、米国特許第4,954,622号(特許文献1)および第5,051,408号(特許文献2)において開示されており、その内容は参照により本明細書に組み入れられる。また、Cooper, P.D. and Carter, M., (1986) Molec. Immunol. 23(8):895-901(非特許文献3)、およびCooper, P.D. and Steele, E.J., (1988) Immunol. Cell Biol. 66:345-352(非特許文献4)も参照されたい。
【0005】
この第三の多形形態は、実質的には37℃で水に不溶性であるが、濃縮された溶液(例えば50mg/ml)において、70℃〜80℃の範囲の温度でのみ、αおよびβ形態のように、可溶性である。イヌリンが結晶化するこの一連の3種類の多形形態は、23℃で直ちに可溶性の形態(β230イヌリン)から、37℃で8分の半減期で可溶性の形態(α378イヌリン)を経て、37℃で実質的に不溶性の形態(γイヌリン)の範囲の、水性媒体における異なった溶解率によって特徴付けられてもよい。すべての形態は相互転換ができ、より可溶性かつ不安定な形態は、静止したままであると、完全な溶解に続く再結晶によってのみ可逆であって、最終産物は安定なgINである、溶解性がより低くかつより安定な形態へと進行する。
【0006】
その後、イヌリンのγ多形形態の、免疫活性化剤、特にアジュバントとしての活性が、gINの粒子が抗原結合担体材料と結合している場合に増強され得、かつこの結合が相乗的な効果を提供することが開示された。このように、gINの水酸化アルミニウム(アルム(alum))ゲルとの結合によって、"Algammulin"と称されるgIN/アルムハイブリッド調製物を形成するように、粒子が形成され得る。内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,476,844号(特許文献3)、およびCooper, P.D. and Steele, E.J., (1991) Vaccine 9:351-357(非特許文献5)も参照されたい。
【0007】
上記の米国特許において述べられた、直径が1μmより小さい粒子が好ましいということにもかかわらず、より以前の特許において記述されたイヌリン調製物における粒子サイズの、より最近の、かつより正確な決定により、水和した形態において測定されると、これらの、より以前の調製物の最も微細なものは、直径が1μmより小さい粒子を少数しか有していないことが判明したことが示された。これは、特許第5,476,844号(特許文献3)において記述された超音波破砕装置での処理後でさえ事実である。
【0008】
しかしながら、本発明に従うdINの使用によるgINおよびgIN/アルムハイブリッド(Algammulin)の調製法は、以下の実施例に示されるように、少なくとも大多数の粒子が1μmより小さい直径を有する、超微細な製剤をもたらす。このように、本発明は、より以前の特許が着手して達成に失敗した粒子サイズを達成する。
【0009】
直径が1μmより小さいイヌリンの微細または超微細粒子を生産する能力は、例えばアジュバントとして有用であるような粒子と共に、治療上の重要性を有する。特に、そのような粒子の調製物は、粒子がヒトまたは非ヒト動物患者において使用されるとき、その生物学的活性を増強し、かつ局所的な反応性(reactogenicity)のような望ましくない副作用を軽減するために重要である。
【0010】
そのため、本発明は、dINと称される粒子状イヌリンの新規の多形形態の発見をもたらした、50℃超でgIN粒子を溶解する試みの後の、非常に小さいが一貫した残留性の濁度、および、微細または超微細粒子形態において再結晶のための微小核を形成するための粒子の断片化の新規概念をもたらした、完全溶解の温度近くでのこれらの粒子の変則的な出現および挙動の、思いがけない二倍の観察に基づく。
【0011】
本明細書における任意の先行技術の参照は、その先行技術がオーストラリアにおける共通の一般的知識の一部を形成するという承認または任意の示唆の形態ではなく、かつ、そのように解釈されるべきではない。
【0012】
【特許文献1】米国特許第4,954,622号
【特許文献2】米国特許第5,051,408号
【特許文献3】米国特許第5,476,844号
【非特許文献1】Merck Index(Thirteen Edition, 2001)
【非特許文献2】Phelps, C.F., (1965) Biochem. J., 95:41-47
【非特許文献3】Cooper, P.D. and Carter, M., (1986) Molec. Immunol. 23(8):895-901
【非特許文献4】Cooper, P.D. and Steele, E.J., (1988) Immunol. Cell Biol. 66:345-352
【非特許文献5】Cooper, P.D. and Steele, E.J., (1991) Vaccine 9:351-357
【発明の開示】
【0013】
発明の概要
本発明の第1の局面によると、δ多形形態のイヌリンが提供される。
【0014】
δ多形形態のイヌリンは、粒子状形態を含んでもよい。粒子状形態は、1μmより小さい直径を有する大多数の粒子を含んでもよい。直径は、約50nm〜600nmの範囲であってもよい。
【0015】
δ多形形態のイヌリンは、50℃より高い希釈懸濁液において、50% OD700熱転移点を有してもよい。δ多形形態のイヌリンは、約53℃〜58℃の範囲の希釈懸濁液において、50% OD700熱転移点を有してもよい。
【0016】
δ多形形態のイヌリンは、約8,000〜16,000kDの範囲の分子量を有してもよい。
【0017】
δ多形形態のイヌリンは、37℃を超える水性媒体において、溶解の低い割合を有してもよい。δ多形形態のイヌリンは、40℃を超える水性媒体において、溶解の低い割合を有してもよい。δ多形形態のイヌリンは、50℃を超える水性媒体において、溶解の低い割合を有してもよい。
【0018】
本発明の第2の局面によると、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、第1の局面のイヌリンを含む、免疫学的組成物が提供される。
【0019】
本発明の第3の局面によると、抗原結合担体材料と共に、第1の局面のイヌリンを含む、免疫学的組成物が提供される。抗原結合担体材料は、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0020】
本発明の第4の局面によると、約50℃またはより高い温度で、約10時間までの時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱する段階を含む、δイヌリンの調製のための方法が提供される。
【0021】
方法は、約55℃またはより高い温度で、約90分〜3時間の範囲の時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱する段階を含んでもよい。
【0022】
方法は、約60℃〜70℃の範囲の温度で、約1時間までの時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱する段階を更に含んでもよい。時間は、約5分〜30分の範囲であってもよい。
【0023】
懸濁液は、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を更に含んでもよい。
【0024】
追加的または代替的に、懸濁液は、抗原結合担体材料を更に含んでもよい。抗原結合担体材料は、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0025】
本発明の第5の局面によると、第4の局面の方法に従って調製されたδイヌリンが提供される。
【0026】
本発明の第6の局面によると、以下の段階を含む、γイヌリンの調製のための方法が提供される:
(a)δ多形形態のイヌリン粒子の懸濁液を調製する段階;
(b)該懸濁液において該粒子を任意で断片化する段階;
(c)該懸濁液からイヌリンを再結晶する段階;
(d)再結晶された該イヌリンをγ多形形態へ変換する段階;および
(e)微細または超微細粒子状形態の該γイヌリンを単離する段階。
【0027】
段階(b)における懸濁液の任意の断片化は、約60℃〜72℃の範囲の温度を適用すると同時に、剪断応力または超音波処理いずれかの適用を含んでもよい。
【0028】
段階(c)における懸濁液の再結晶は、約5℃の温度を適用する段階を含んでもよい。
【0029】
段階(d)における変換は、約45分の時間、約45℃の温度を適用する段階を含んでもよい。
【0030】
方法は、以下の段階を更に含んでもよい:
(f)単離された微細または超微細粒子状形態のγイヌリンを、微細または超微細粒子状形態のδイヌリンへ変換する段階。
【0031】
δイヌリンは、約50℃またはより高い温度で、約10時間までの時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱することによって、γイヌリンより変換されてもよい。
【0032】
δイヌリンは、約55℃またはより高い温度で、約90分〜3時間の範囲の時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱することによって、γイヌリンより変換されてもよい。
【0033】
調製されたイヌリンは、1μmより小さい直径の大多数の粒子を含んでもよい。直径は、約50nm〜600nmの範囲であってもよい。
【0034】
本発明の第7の局面によると、第6の局面の方法に従って調製されたγイヌリンが提供される。
【0035】
本発明の第8の局面によると、第6の局面の段階(f)に従って調製されたδイヌリンが提供される。
【0036】
本発明の第9の局面によると、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、第5の局面によるδイヌリン、第7の局面によるγイヌリン、または第8の局面によるδイヌリンを含む免疫学的組成物が提供される。
【0037】
本発明の第10の局面によると、抗原結合担体材料と共に、第5の局面によるδイヌリン、第7の局面によるγイヌリン、または第8の局面によるδイヌリンを含む免疫学的組成物が提供される。抗原結合担体材料は、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0038】
本発明の第11の局面によると、以下を含む治療的有効量の免疫療法薬を被験者に投与する段階を含む、免疫応答を刺激するための方法が提供される:
(a)第1、第5、第7、または第8の局面のいずれか一つによるイヌリン;または
(b)第2、第3、第9、または第10の局面のいずれか一つによる免疫学的組成物。
【0039】
免疫応答は、補体第二経路の活性化を含んでもよい。
【0040】
本発明の第12の局面によると、以下を含む治療的有効量のアジュバントを被験者に投与する段階を含む、免疫応答を増強するための方法が提供される:
(a)第1、第5、第7、または第8の局面のいずれか一つによるイヌリン;または
(b)第2、第3、第9、または第10の局面のいずれか一つによる免疫学的組成物。
【0041】
本発明の第13の局面によると、以下の治療的有効量を被験者に投与する段階を含む、癌を治療するための方法が提供される:
(a)第1、第5、第7、または第8の局面のいずれか一つによるイヌリン;または
(b)第2、第3、第9、または第10の局面のいずれか一つによる免疫学的組成物。
【0042】
定義
本明細書において用いられるとき、「含む(“comprising”)」という用語は、「主として含む、しかし必ずしも単独ではない」ことを意味する。更に、「含む(“comprise” and “comprises”)」のような「含む(“comprising”)」という単語の語尾変化は、対応して様々な意味を有する。
【0043】
本明細書において用いられるとき、「治療する」または「治療」という用語は、状態もしくは徴候を改善する、状態もしくは疾患の確立を予防する、または、さもなくば、他のあらゆる任意の方法で、状態もしくは疾患の進行、またはその他の望ましくない徴候を、予防し、妨げ、阻止し、もしくは逆転させる、任意のおよびすべての使用のことを指す。
【0044】
本明細書において用いられるとき、「有効量」という用語は、その意味の中に、所望の効果を提供するための薬剤または化合物の、非毒性であるが十分な量を含む。必要とされる正確な量は、治療される種、被験者の年齢および一般的状態、治療される状態の重症度、投与される特定の薬品および投与の形態などの要因に依存して、被験者と被験者との間で異なるであろう。このように、正確な「有効量」を明記するのは可能ではない。しかしながら、任意の所定の症例に対して、日常的な実験法のみを用いて、適切な「有効量」が当業者によって決定されてもよい。
【0045】
本明細書において用いられるとき、「イヌリン」という用語は、イヌリン、β-D-[2-1]-ポリフルクトフラノシルα-D-グルコースだけでなく、例えばこの末端のグルコースを除くことが可能であるインベルターゼまたはイヌラーゼ酵素を用いて、イヌリンからの末端グルコースの酵素的除去によって得られる可能性があるβ-D-[2-1]ポリフルクトースを含む、イヌリンの誘導体も含むと理解されるべきである。この用語の範囲内に含まれる他の誘導体は、例えば公知の方法によるアルキル、アリール、またはアシル基での化学的置換によって、遊離の水酸基がエーテル化またはエステル化されたイヌリンの誘導体である。
【0046】
発明を実施するための最良の形態
本発明をもたらす研究において、δイヌリン(dIN)と称されるイヌリンの新たな多形形態が同定されて定義されてきた。更に、より以前の調製方法によって得られるよりも非常に小さな粒子のgINおよびgINを含む組成物(Algammulinのような)を創作するために、dINに関する再結晶の新たな方法が開発されてきた。これらのより小さな粒子の調製物は、粒子がヒトまたは非ヒト動物患者において使用されるときに、生物学的活性を増強し、かつ局所的な反応性のような望ましくない副作用を軽減するために特に重要である。
【0047】
粒子状イヌリンの物理化学的特性、ならびに特にさまざまな多形形態の間での変換、および異なった温度における水への溶解性は、時には5℃より小さいかなり小さな温度範囲にわたる、比較的大きな物理学的変化によって特徴付けられる(Cooper and Carter, 1986; Cooper and Steele, 1991)。この例は、30℃より低い温度で静止させたときの、いくつかのβイヌリンからαイヌリンと呼ばれる異なる多形形態への変化、35℃と45℃との間で発生するgINへのシフト、および、突然である点で融点に似ている、温度の増加に伴う2〜3℃の範囲にわたる溶解性における急な増加である。これは、特にgINで顕著であり、その一つの定義は、48±1℃の希釈懸濁液において50% OD700熱転移点を有するイヌリンであってもよい。
【0048】
同様の特徴が、以前に記述されたα、β、およびγ形態の3種類に加えて粒子状イヌリンの第4の多形形態であるδイヌリン(dIN)の形成および特性においてもやはり見られる。dINは、54〜58℃の希釈懸濁液において50% OD700熱転移点を有するとして定義されてもよく、gINのそれとは明らかに区別される。dINは、50℃を超える濃縮懸濁液において最適に形成され、dINの増加のために45℃超での形成が大きく減少するgINとはやはり明らかに対照的である。dINは、完全溶解を与えるに近い温度でなお存在する、イヌリン粒子の残留骨格または枠組を含むようである。
【0049】
gIN粒子または誘導組成物(例えばAlgammulin)の懸濁液が完全溶解の温度近く(60〜70℃)に連続的に加熱されたとき、溶解している粒子がより小さくはならず、むしろより大きく、かつ非常に微弱になる(「ゴースト」)ことが、血球計算盤において観察され得る。これらの完全な大きさの「ゴースト」は、65℃超で、血球計算盤において見えなくなる前に、最終的により小さな破片に分割する。ゴーストは、以下の実施例において示されるように、実際にはほぼ全体がdINにより構成される。
【0050】
これらのゴースト破片は、その後の再結晶のための多数の微小核として働いてもよい。各ゴーストが多くの破片を生じるため、同一の総量のイヌリンから得られる、もたらされたより多数の粒子は、元よりも大きさがより小さいはずである。これが、実施例において示されるように、事実であることが判明した。dINの事前の含有量が十分に高く、かつ試料がdINの最適な含有量を得るのに十分に長く、55℃で望ましく事前加熱されることを確実にするのが好ましい。
【0051】
従って、本発明は、δ多形形態のイヌリンを提供する。δ多形形態のイヌリンは、粒子状形態を含んでもよい。粒子状形態は、1μmより小さい直径を有する大多数の粒子を含んでもよい。直径は、約50nm〜600nmの範囲であってもよい。
【0052】
δ多形形態のイヌリンは、50℃より高い希釈懸濁液において、50% OD700熱転移点を有してもよい。δ多形形態のイヌリンは、約53℃〜58℃の範囲の希釈懸濁液において、50% OD700熱転移点を有してもよい。
【0053】
典型的には、dINは約3,000よりも大きい分子量を有する。より典型的には、dINは約8,000よりも大きい分子量を有する。更により典型的には、dINは約8,000〜約16,000の範囲の分子量を有する。
【0054】
γおよびδ多形形態双方のイヌリンは、37℃で水性媒体において、溶解の低い割合を有してもよい(図3および10)。δ多形形態のイヌリンは、40℃を超える水性媒体において、溶解の低い割合を有してもよく、一方gINは増加する割合を有してもよい(図3および10)。δ多形形態のイヌリンは、50℃を超える水性媒体において、溶解の低い割合を有してもよく、一方γイヌリンは高い割合を有してもよい(図3および10)。
【0055】
本発明は追加的に、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、上述されたδ多形形態のイヌリンを含む免疫学的組成物を提供する。
【0056】
本発明は更に、抗原結合担体材料と共に、上述されたδ多形形態のイヌリンを含む免疫学的組成物を提供する。抗原結合担体材料は、タンパク質、脂質、炭水化物および/または他の抗原に結合することが可能である低い溶解性の任意の材料を含んでもよい。例えば、抗原結合担体材料は、マグネシウム、カルシウム、またはアルミニウムのリン酸塩、硫酸塩、水酸化物、またはそれらの水和物のような金属を含む沈殿物、キチン(ポリN-アセチルグルコサミン)もしくはそれらの脱アセチル化誘導体、または塩基性セルロース誘導体のような有機塩基、または、ヘパリン、デキストラン、もしくはセルロース誘導体のような硫酸化またはリン酸化多糖を含む有機酸から選択されてもよい。抗原結合担体材料は、水酸化アルミニウム(アルム)ゲルまたはその水和塩複合体のような材料の、溶解性に乏しい粒子を含んでもよい。典型的には、抗原結合担体材料の粒子は、直径が1μmより小さくてもよい。より典型的には、粒子は直径が50〜2000nmであってもよい。抗原結合担体材料は、典型的には内毒素を含まず、かつ発熱物質を含まず、かつ薬学的に許容される。典型的には、抗原結合担体材料は凝集する傾向は無く、または凝集を避けるように処理される。最も好ましくは、抗原結合担体材料は、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0057】
本発明はまた、約50℃またはより高い温度で、約10時間までの時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱する段階を含む、δイヌリンの調製のための方法を提供する。方法は、約55℃またはより高い温度で、約90分〜3時間の範囲の時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱する段階を含んでもよい。
【0058】
懸濁液は、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を更に含んでもよい。追加的または代替的に、懸濁液は抗原結合担体材料を更に含んでもよい。抗原結合担体材料は、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含んでもよい。このように、代替的な態様において、イヌリンがδ多形形態である対応する組成物を生産するために、AlgammulinのようなgINおよび抗原結合担体材料を含む組成物の水性懸濁液から開始することによって、方法が行われてもよい。
【0059】
方法は、約60℃〜70℃の範囲の温度で、約1時間までの時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱する段階を更に含んでもよい。典型的には、γイヌリンを含む懸濁液は、イヌリン粒子のみについては約60〜65℃、または抗原担体を含むイヌリン粒子については65〜70℃の範囲の温度で、約1時間までの時間、加熱される。より典型的には、時間は約5分〜30分の範囲であってもよい。δ多形形態のイヌリンの粒子、またはδ多形形態のイヌリンおよび抗原結合担体材料を含む組成物の粒子は、遠心分離または濾過のような他の手段によって懸濁液より単離されてもよい。
【0060】
本発明は、上述された方法に従って調製されたδイヌリンを、更に提供する。
【0061】
本発明は、以下の段階を含む、γイヌリンの調製のための方法を更に提供する:
(a)δ多形形態のイヌリン粒子の懸濁液を調製する段階;
(b)該懸濁液において該粒子を任意で断片化する段階;
(c)該懸濁液からイヌリンを再結晶する段階;
(d)再結晶された該イヌリンをγ多形形態へ変換する段階;および
(e)微細または超微細粒子状形態の該γイヌリンを単離する段階。
【0062】
方法は、以下の段階を更に含んでもよい:
(f)微細または超微細粒子状形態のγイヌリンを、微細または超微細粒子状形態のδイヌリンへ変換する段階。
【0063】
上記で言及されたように、dINは、引き続く微細または超微細形態の再結晶のための多数の微小核として働く可能性があるゴースト断片を形成する、50℃超、好ましくは約60℃〜72℃の範囲での加熱によって部分的に断片化された「ゴースト」形態において、最初に観察される。段階(b)における懸濁液の任意での断片化は、そのため、約60℃〜72℃の範囲の温度を適用すると同時に、剪断応力または超音波処理のいずれかの適用を含んでもよい。段階(c)においては、イヌリンは、実質的に37℃以下の温度、例えば約5℃で、超微細粒子を形成する、dINの断片化によって生産された結晶微小核上に、懸濁液より再結晶されてもよい。再結晶された微細または超微細粒子形態のイヌリンは、段階(d)において、約25℃〜47℃の範囲の温度で1.5時間までの間、より典型的には約45℃の温度で約15〜60分の範囲の時間、再結晶化されたイヌリンの懸濁液を加熱することによってγ多形形態へ変換されてもよい。このように形成された不溶性のgINは、その後例えば遠心分離によって、懸濁液より単離される。
【0064】
調製されたイヌリンは、1μmより小さい直径の大多数の粒子を含んでもよい。直径は、約50nm〜600nmの範囲であってもよい。
【0065】
代替的な態様において、微細または超微細粒子状形態のgINまたはdINおよび抗原結合材料を含む、対応する組成物を単離するために、dINおよび抗原結合担体材料を含む組成物の懸濁液を用いて本方法が行われてもよい。
【0066】
本発明は、上述された方法に従って調製されたγイヌリンおよび/またはδイヌリンを更に提供する。
【0067】
gIN、またはAlgammulinのようなgINおよび抗原結合担体材料を含む組成物の、免疫療法調製物におけるアジュバントまたは他の活性成分としての使用は、その内容が参照により本明細書に組み入れられる米国特許第4,954,622号、第5,051,408号、および第5,476,844号において開示されている。これらの米国特許において記述されているように、そのような免疫療法調製物は、薬学的または獣医学的に許容される希釈剤または担体において、注射に適する形態で、または口、直腸、膣、局所、鼻、もしくは目への投与に適する形態で、製剤されてもよい。免疫療法調製物はまた、免疫調節物質、例えばワクチン抗原、抗原性ペプチド配列、または抗イディオタイプ免疫グロブリンのような免疫調節物質である、第二の活性成分を含んでもよい。または、免疫調節物質は、リンフォカインもしくはサイトカイン、胸腺細胞刺激物質、マクロファージ刺激物質、内毒素または微生物全体でさえあってもよい。
【0068】
ヒトまたは非ヒト動物患者における、免疫療法調製物の有効量の投与によるAPCの活性化は、例えば細菌、マイコプラズマ、真菌、ウイルス、原生動物もしくは他の微生物による感染、または、虫もしくは寄生虫による侵入の治療のために、患者における免疫応答の増強に使用されてもよい。または、免疫応答の増強は、アレルギー性もしくはリウマチ性疾患、免疫不全疾患、または、免疫系の機能不全に関連する神経もしくは胃腸障害のような免疫障害の治療に使用されてもよい。加えて、本発明に従う免疫療法調製物の投与は、抗癌治療として使用されてもよい。これらの免疫療法調製物および治療の方法の更なる詳細は、米国特許第4,954,622号、第5,051,408号、第5,476,844号に記載されており、Cooper, P.D. and Carter, M., (1986) Molec. Immunol. 23(8):903-908も参照されたい。
【0069】
従って、本発明はまた、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、上述された方法によって生産されるγイヌリンおよび/またはδイヌリンを含む免疫学的組成物を提供する。
【0070】
本発明は更に、抗原結合担体材料と共に、上述された方法によって生産されるγイヌリンおよび/またはδイヌリンを含む免疫学的組成物を提供する。抗原結合担体材料は、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含んでもよい。
【0071】
一般に、本発明の方法に従う使用のための適する組成物は、当業者に公知である方法および手順に従って調製されてもよく、結果的に、薬学的に許容される担体、希釈剤、および/またはアジュバントを含んでもよい。
【0072】
組成物は、標準的な経路によって投与されてもよい。一般に、組成物は、非経口(例えば静脈内、髄腔内、皮下、筋肉内)、経口、または局所経路によって投与されてもよい。投与は、全身的、部位的または局所的であってもよい。任意の所定の事情において使用される投与の特定の経路は、治療される状態の性質、状態の重症度および範囲、送達される特定の化合物の必要投薬量ならびに化合物の潜在的な副作用を含む、多数の要因に依存するであろう。
【0073】
一般に、適する組成物は、当業者に公知である方法に従って調製されてもよく、薬学的に許容される希釈剤、アジュバント、および/または賦形剤を含んでもよい。希釈剤、アジュバント、および賦形剤は、組成物のその他の成分と適合性があるという点から「許容される」必要があり、その受容者に有害であってはならない。
【0074】
薬学的に許容される担体または希釈剤の例は、脱イオン水または蒸留水;生理食塩水;、ピーナッツ油、ベニバナ油、オリーブ油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油のような、ピーナッツ油、ベニバナ油、オリーブ油、綿実油、トウモロコシ油、ゴマ油、落花生油、またはココヤシ油のような野菜を素材とした油;メチルポリシロキサン、フェニルポリシロキサン、およびメチルフェニルポリソルポキサン(methylphenyl polysolpoxane)のようなポリシロキサンを含むシリコーン油;揮発性シリコーン;流動パラフィン、ソフトパラフィン、またはスクアランのような鉱油;メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースのようなセルロース誘導体;低級アルカノール、例えばエタノールまたはイソプロパノール;低級アラアルカノール(aralkanol);低級ポリアルキレングリコールまたは低級アルキレングリコール、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコールまたはグリセリン;パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、またはオレイン酸エチルのような脂肪酸エステル;ポリビニルピリドン;寒天;カラゲナン;トラガカントゴムまたはアラビアゴム、およびワセリンである。典型的には、1つまたは複数の担体は、組成物の10重量%〜99.9重量%を形成するであろう。
【0075】
本発明の組成物は、注射による投与に適する形態、経口注入に適する製剤の形態(例えばカプセル、錠剤、カプレット、エリキシルのような)、局所投与に適する軟膏、クリーム、またはローションの形態、目薬としての送達に適する形態、鼻腔内吸入または経口吸入のような吸入による投与に適するエアロゾル形態、非経口投与、すなわち、皮下、筋肉内または静脈内注射に適する形態であってもよい。
【0076】
注射可能の溶液または懸濁液としての投与について、非毒性の非経口的に許容される希釈剤または担体は、リンガー溶液、等張生理食塩水、リン酸緩衝生理食塩水、エタノールおよび1,2-プロピレングリコールを含み得る。
【0077】
経口使用のための適する担体、希釈剤、賦形剤およびアジュバントのいくつかの例は、ピーナッツ油、流動パラフィン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、アラビアゴム、トラガカントゴム、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、ゼラチンおよびレシチンを含む。加えて、これらの経口製剤は、適する香味料および着色剤を含んでもよい。カプセル形態で使用されるときには、カプセルは、崩壊を遅らせるモノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンのような化合物でコーティングされてもよい。
【0078】
アジュバントは、典型的には、緩和薬、乳化剤、増粘剤、保存料、殺菌剤、および緩衝剤を含む。
【0079】
経口投与のための固体形態は、ヒトおよび獣医学の薬学的実施において許容される結合剤、甘味料、分解剤、崩壊剤、香味料、コーティング剤、保存料、潤滑剤、および/または時間遅延剤を含んでもよい。適する結合剤は、アラビアゴム、ゼラチン、コーンスターチ、トラガカントゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、またはポリエチレングリコールを含む。適する甘味料は、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム、またはサッカリンを含む。適する崩壊剤は、コーンスターチ、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、グアーゴム、キサンタンゴム、ベントナイト、アルギン酸または寒天を含む。適する希釈剤は、ラクトース、ソルビトール、マンニトール、デキストロース、カオリン、セルロース、炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、またはリン酸二カルシウムを含む。適する香味剤は、ペパーミント油、冬緑油、サクランボ、オレンジ、またはラズベリー香味料を含む。適するコーティング剤は、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸の重合体もしくは共重合体、ならびに/またはそれらのエステル、ワックス、脂肪アルコール、ゼイン、セラック、またはグルテンを含む。適する保存料は、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α‐トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン、または重亜硫酸ナトリウムを含む。適する潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、またはタルクを含む。適する時間遅延剤は、モノステアリン酸グリセリン、またはジステアリン酸グリセリンを含む。
【0080】
経口投与のための液体形態は、上記の薬剤に加えて、液体担体を含んでもよい。適する液体担体は、水、オリーブ油、ピーナッツ油、ゴマ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、落花生油、ココヤシ油のような油、流動パラフィン、エチレングリコール、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、グリセロール、脂肪アルコール、トリグリセリド、またはそれらの混合物を含む。
【0081】
経口投与のための懸濁液は、分散剤および/または懸濁剤を更に含んでもよい。適する懸濁剤は、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、アルギン酸ナトリウム、またはアセチルアルコールを含む。適する分散剤は、レシチン、ステアリン酸のような脂肪酸のポリオキシエチレンエステル、モノ‐またはジ‐オレイン酸、‐ステアリン酸、または‐ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビトール、モノ‐またはジ‐オレイン酸、‐ステアリン酸、または‐ラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタンなどを含む。
【0082】
経口投与のための乳濁液は、一つまたは複数の乳化剤を更に含んでもよい。適する乳化剤は、上記で例示された分散剤、または、グアーゴム、アラビアゴム、もしくはトラガカントゴムのような天然ゴムを含む。
【0083】
非経口的に投与可能の組成物を調製するための方法は、当業者に明らかであり、例えば、本明細書によって参照により本明細書に組み入れられるRemington's Pharmaceutical Science, 15th ed., Mack Publishing Company, Easton, Pa.において、より詳細に記述される。
【0084】
本発明の局所用の製剤は、一つまたは複数の許容される担体、および任意で、任意の他の治療的な成分と共に、活性成分を含む。局所投与に適する製剤は、塗布剤、ローション、クリーム、軟膏またはペーストのような、治療が必要とされる部位へ皮膚を通して浸透するのに適する液体または半液体の調製物、および、目、耳または鼻への投与に適する滴剤を含む。
【0085】
本発明による滴剤は、無菌の水性または油性の溶液または懸濁液を含んでもよい。これらは、殺菌および/もしくは殺真菌剤、ならびに/または任意の他の適する保存料の水性溶液に、活性成分を溶解し、かつ任意で表面活性剤を含むことによって調製されてもよい。結果的に生じた溶液は、それから濾過によって浄化され、適する容器に移されて滅菌されてもよい。滅菌は、加圧滅菌もしくは90℃〜100℃で30分間維持することによって、または、濾過し、続いて無菌技術によって容器へ移すことによって、達成されてもよい。滴剤における含有に適する殺菌および殺真菌剤の例は、硝酸または酢酸フェニル水銀(0.002%)、塩化ベンザルコニウム(0.01%)、および酢酸クロルヘキシジン(0.01%)である。油性溶液の調製のために適する溶媒は、グリセロール、希釈されたアルコール、およびプロピレングリコールを含む。
【0086】
本発明によるローションは、皮膚または目への適用に適するものを含む。点眼ローションは、任意で殺菌剤を含む無菌の水性溶液を含んでもよく、かつ滴剤の調製法に関して上述されたのと同様の方法によって調製されてもよい。皮膚への適用のためのローションまたは塗布剤は、また、アルコールもしくはアセトンのような、乾燥を促進し、かつ皮膚を冷却するための薬剤、および/または、グリセロール、または、ヒマシ油もしくは落花生油のような油のような加湿剤を含んでもよい。
【0087】
本発明によるクリーム、軟膏、またはペーストは、外用適用のための活性成分の半固体の製剤である。微細に分割された、または粉末化された形態の活性成分を、単独で、または水性もしくは非水性流体の溶液もしくは懸濁液において、脂肪性のもしくは非脂肪性の主成分と混合することによって作製されてもよい。主成分は、プロピレングリコールまたはマクロゴールのようなアルコールとともに、固形、ソフト、もしくは流動パラフィンのような炭化水素、グリセロール、蜜蝋、金属石鹸;粘液;アーモンド、トウモロコシ、落花生、ヒマシもしくはオリーブ油のような天然起源の油;羊毛脂もしくはその誘導体、またはステアリン酸もしくはオレイン酸のような脂肪酸を含んでもよい。
【0088】
組成物は、陰イオン性、陽イオン性、またはソルビタンエステルもしくはそのポリオキシエチレン誘導体のような非イオン性界面活性剤のような、任意の適する界面活性剤を組み込んでもよい。天然ゴム、セルロース誘導体、またはケイ質のシリカのような無機材料のような懸濁剤、およびラノリンのような他の成分もまた含まれてもよい。
【0089】
組成物はまた、リポソームの形態で投与されてもよい。リポソームは、一般にリン脂質または他の脂質物質由来であり、かつ、水性媒体において分散される単一または複数層の水和した液体結晶によって形成される。リポソームを形成することが可能である、任意の非毒性で生理学的に許容され、かつ代謝可能である脂質が、使用され得る。リポソーム形態の組成物は、安定剤、保存料、賦形剤などを含んでもよい。好ましい脂質は、リン脂質およびホスファチジルコリン(レシチン)であり、天然および合成のもの双方である。リポソームを形成する方法は当業者に公知であり、かつ、これに関連して、その内容が参照により本明細書に組み入れられる、Prescott, Ed., Methods in Cell Biology, Volume XIV, Academic Press, New York, N.Y.(1976), p.33以降が特に参照される。
【0090】
本発明の目的のために、治療的または予防的いずれかに、分子および薬剤が組成物として被験者に投与されてもよい。治療的な適用においては、組成物は、すでに疾患を患う患者に対して、疾患およびその合併症を治癒させる、または少なくとも部分的に阻止するのに十分な量で投与される。組成物は、有効に患者を治療するのに十分な分子または薬剤の量を提供するべきである。
【0091】
任意の特定の患者に対する治療的に有効な投与量のレベルは、医学において周知である他の関連要因と共に、以下を含む種々の要因に依存するであろう:治療される障害および障害の重症度;使用される分子または薬剤の活性;使用される組成物;患者の年齢、体重、一般的健康状態、性別および飲食物;投与時間;投与経路;分子または薬剤の隔離率;治療の継続時間;治療と組み合わせて、または同時に使用された薬物。
【0092】
当業者は、日常的な実験によって、適用できる疾患および状態を治療するのに必要とされるであろう薬剤または化合物の、有効な非毒性量を決定することが可能であろう。
【0093】
一般に、有効投薬量は、24時間につき、kg体重あたり約0.0001mg〜約1000mg;典型的には、24時間につき、kg体重あたり約0.001mg〜約750mg;24時間につき、kg体重あたり約0.01mg〜約500mg;24時間につき、kg体重あたり約0.1mg〜約500mg;24時間につき、kg体重あたり約0.1mg〜約250mg;24時間につき、kg体重あたり約1.0mg〜約250mgの範囲であることが期待される。より典型的には、有効投与量範囲は、24時間につき、kg体重あたり約1.0mg〜約200mg;24時間につき、kg体重あたり約1.0mg〜約100mg;24時間につき、kg体重あたり約1.0mg〜約50mg;24時間につき、kg体重あたり約1.0mg〜約25mg;24時間につき、kg体重あたり約5.0mg〜約50mg;24時間につき、kg体重あたり約5.0mg〜約20mg;24時間につき、kg体重あたり約5.0mg〜約15mgの範囲であることが期待される。
【0094】
または、有効投薬量は、約500mg/m2までであってもよい。一般に、有効投薬量は、約25〜約500mg/m2、好ましくは約25〜約350mg/m2、より好ましくは約25〜約300mg/m2、更により好ましくは約25〜約250mg/m2、いっそうより好ましくは約50〜約250mg/m2、かつ、更にいっそうより好ましくは約75〜約150mg/m2の範囲であることが期待される。
【0095】
典型的には、治療的な適用において、治療は疾患状態の持続時間に渡るであろう。
【0096】
更に、個々の投薬量の最適な量および間隔は、治療される疾患状態の性質および程度、投与の形態、経路、および部位、ならびに治療される特定の個人の性質によって決定されるであろうことは、当業者にとっては明らかであろう。また、そのような最適な条件は、慣例的な技術によって決定され得る。
【0097】
定義された日数について一日あたり与えられる組成物の投与数のような、治療の最適な過程は、治療決定試験の慣例的な過程を用いて当業者によって確かめられ得ることも、当業者にとって、また明らかであろう。
【0098】
本発明はまた、広く上述された方法によって調製された、微細もしくは超微細粒子状形態のgINもしくはdIN粒子、または、微細もしくは超微細粒子状形態のgINもしくはdIN粒子および抗原結合担体材料を含む粒子を含む、ヒトまたは非ヒト動物患者における補体第二経路(APC)の活性化のための免疫療法調製物を提供する。
【0099】
本発明は更に、広く上述された免疫療法調製物のうち少なくとも一つの有効量の患者への投与を含む、ヒトまたは非ヒト動物患者におけるAPCの活性化のための方法を提供する。
【0100】
従って、本発明は、以下を含む、治療的有効量の免疫療法薬を被験者に投与することを含む、免疫応答を刺激するための方法を提供する:
(a)上述されたイヌリン;または
(b)上述された免疫学的組成物。
【0101】
免疫応答は、補体第二経路の活性化を含んでもよい。
【0102】
本発明は更に、以下を含む治療的有効量のアジュバントを被験者に投与する段階を含む、免疫応答を増強するための方法を提供する:
(a)上述されたイヌリン;または
(b)上述された免疫学的組成物。
【0103】
本発明はその上、以下の治療的有効量を被験者に投与する段階を含む、癌を治療するための方法を提供する:
(a)上述されたイヌリン;または
(b)上述された免疫学的組成物。
【0104】
本発明は追加的に、患者においてAPCを活性化するためのヒトまたは非ヒト動物患者への投与のための薬物の製造における、上述された免疫療法調製物の使用を提供する。
【0105】
本発明は、続いて、本発明の範囲を限定するものとは決して解釈されるべきではない、特定の実施例に関して記述されるであろう。
【0106】
実施例
実施例1−材料および方法
gINおよびAlgammulinの標準製剤の調製に関する材料および手順は他に記載されている−前記のCooper and Carter, (1986)およびCooper and Steele, (1991)を参照。
【0107】
1.1 イヌリン調製物および誘導成分中の粒子サイズ分布の推定
調製中および最終産物中、イヌリンおよびその誘導組成物の粒子サイズをモニターすることが必要だった。この目的のために、本発明ではいくつかの方法が用いられ、それらのほとんどが相対的な比較に対してのみ適した。その結果は表1に示されるように一般的に一致していた。大多数の粒子が直径1μm未満であることが望ましかった。
【0108】
1.1(a) 粒子計測器
粒子サイズは、前方散乱(FSC)および側方散乱(SSC)を用いた蛍光標示式フローサイトメトリー(FACS解析)によって都合良く推定された。Becton Dickinson社製のFACScaliburが、FSC: E-01/9.99およびSSC: 211/1.98の電圧で用いられ、多数のチャンネルが対数目盛上にプロットされた。粒子サイズは、FSC で用いられたチャンネルの数値と直接相関していた。6μmのラテックス標準粒子調製物を用いた予備的較正は、1μmがFSCチャンネルの約4から6に相当することを示した。現在利用可能なものとして、FACS解析は、2または3未満(約0.5μm)のFSCチャンネルでは、粒子を検出できなかった。この理由のため、言及された「FSC中央値」は、この閾値より上で検出可能な粒子のみを指し、そのため、その走査が閾値と重なるより微細な調製物の真の中央値は、測定した中央値よりも通常小さい。
【0109】
1.1(b) 血球計算盤
直径1μmよりも大きい粒子は、血球計算盤で可視化され、かつ可視的推定は大多数のクラスの粒子の直径からなされた。経験的に、これは通常過小評価されるが、比較目的では有用であると判定した。電子顕微鏡(EM)は、以前粒子サイズを測定するのに用いられた(Cooper and Steele, 1991)、しかし最近では、おそらくEM検査のための乾燥処理で縮むために、EM測定もまた水和粒子の測定に比べると過小評価であったという相関関係が示された。従って、測定値2〜3μmのEM粒子を生ずる、米国特許第4,954,622号および第5,051,408号ならびにCooper and Steele (1991)に図示された調製物は、その後、FACS 解析により水和型で検査すると、1μm以下はごくわずかの含有量で、6から12μmの間のピークサイズの分布を有することが示された(図8を参照)。
【0110】
1.1(c) 密度/粘度沈降
もし密度が類似しているなら、例えば、一方はgIN調製物の中で、または他方は類似したアルム(alum)濃度を有するAlgammulin調製物の中で、AlgammulinについてはPercollコロイド(密度=1.125g/ml)、gINについては50% Percollコロイド(v/v、蒸留水中)の500μlの上に、調製物50μlを重層し、直径5mmのプラスチックチューブ中、3500rpm(2400g)で5分周期で15分間遠心することによって、迅速に相対的な推定ができた。公知の特性を有する一つまたは複数の調製物が標準として並行して処理された。各周期ごとにチューブは観察され、沈殿および上層サイズならびに濁度が視覚的に標準と比較された。より小さい粒子ほどより遅く沈殿した(表1)。1μm未満の粒子を含む調製物はごくわずかな沈殿を堆積させる。
【0111】
1.1(d) 吸光度
Algammulinに関して以前開示されたように(Cooper and Steele, 1991)、PBS中のgINの1/100希釈(0.5mg/ml)は、より小さい粒子サイズに関してはより小さい値だった(表1)。0.15未満のOD700(0.5mg/ml)が望ましいとみられた。
【0112】
1.1(e) 沈殿密度
Algammulinに関して以前開示されたように(Cooper and Steele, 1991)、gIN調製物の沈殿密度は、強い遠心分離(例えば、透明な上清を生じる、Eppendorf 社のアングル遠心機において13000rpmで7分)の後では、より小さい粒子サイズに関してはより小さい値だった(表1)。100mg/ml未満の沈殿密度が望ましいとみられた。
【0113】
1.2 γ型で存在するイヌリン懸濁液の割合
イヌリン懸濁液(約50mg/ml)の50μlの部分が、5mlのPBSを含むガラスチューブ中で希釈され、OD700が測定された(OD1)。そして、チューブは37℃で10分間ウォーターバス中に浸され、冷却され、かつOD700が再び測定された(OD2)。γ型で存在するイヌリンの百分率は、OD2x100/OD1とみなされる。90%より大きいgIN含有量が望ましいとみられた。
【0114】
1.3 δ型で存在するイヌリン懸濁液の割合
イヌリン懸濁液(約50mg/ml)の200μlの部分が、4.8 mlのPBSを含むガラスチューブ中で希釈され、OD700が測定された(OD1)。そして、チューブは50℃で10分間ウォーターバス中に浸され、冷却され、かつOD700が再び測定された(OD2)。δ型で存在するイヌリンの百分率は、OD2x100/OD1 %とみなされる。40%より大きい、より好ましくは85%より大きい最大dIN含有量が望ましいとみられた。
【0115】
(表1)粒子サイズに関するγイヌリン調製物の特性。

ND=未決定。
【0116】
実施例2−δイヌリンの製剤
gIN粒子の希釈懸濁液(0.5mg/ml)の濁度は、狭い温度範囲(47-49℃; Cooper and Steele, 1991)でほとんど完全に透明になることが以前示されたが、わずかな残渣(元のOD700の0.5%未満)は、温度が80℃を超えるまで溶解しない。加えて、受け取ったままの(すなわち、未加工の)イヌリン粉末が水に溶解されゆっくり(例えばウォーターバス中で)80℃まで暖められると、通常、微細な不透明物質が残り、滅菌濾過を妨害することが観察されてきた。対照的に、同じ粉末が80℃までの迅速な加熱(例えばガスの炎の上)により溶解されると、フィルターを容易に通る透明な溶液が生じる。
【0117】
その意味するところは、gINが溶解する温度よりも高い温度でのみ溶解する物質が処理の際に形成されるということである。この物質はδイヌリンと呼ばれ、かつ方法の項に記されたように、希釈懸濁液のOD700測定によってモニターされる。図1は、この残渣の大部分を溶解するために、65〜68℃の温度で十分であったことを示し、したがって、その形成の最適温度は65℃未満であった。
【0118】
このことをさらに調べるために、様々なgINおよびAlgammulin調製物の50mg/ml懸濁液からの1.5mlアリコートが、56℃のウォーターバスに浸され、かつ、0.2mlの試料が間隔をおいて4.8 mlの冷却PBS中に希釈された。図2は、gIN調製物のdIN含有量が次第に最大値へと増加したこと、および、この「dIN 容量」は異なる調製物ごとに多様であったことを示す。同じ特性は、Algammulin 調製物によっても示された。多くのgINおよびAlgammulin調製物は、そのような加熱前には非常にわずかなdINを含んでいた。さらなるテストは、56℃で3時間加熱することによってこの容量に達したこと、および55℃で加熱することによって生成量が大きかったことを示した。
【0119】
実施例3−δイヌリンの特性
dIN が濃縮された材料の大量調製は次のように行われた。標準製剤(50mg/ml、200ml)のgINが56℃のウォーターバスで1時間、その後60℃に上昇して30分間保温された。粒子は遠心分離され、60℃の水に再び懸濁され、60℃で再び保温され、同じ方法で再び洗浄され、最終的に50mlの冷水に懸濁された。この処理は、αおよびγ型で存在する大量のイヌリンを除去するのに十分であった。最終物質は灰色のゼラチン状ペーストであり、αおよびγ型の、液体でミルクのような白さとは対照的であった。血球計算盤では、gINのより小さく(<5mμ)、シャープな境界を有する粒子とは対照的に、大きく(>5mμ)、かすかにゴースト様の粒子が見られた。
【0120】
このdIN濃縮懸濁液の試料は、80〜85℃で完全に溶解した。屈折率は48 mg/mlに相当し、収率は出発物質の約15%であった。この収率は、OD700アッセイで見出されたdIN「容量」の割合と一致していた。体積4倍のエタノールを加えるとかさ高い沈殿を生じた。このエタノールの懸濁液1mlが直ちに23℃の水5mlに加えられると、濁った希釈物は直ちに透明になり、しかし、懸濁液が最初に23℃で一晩置かれた場合、そのような希釈物は23℃で実質的に不透明なままだったが、37℃では直ちに透明になった。これは以前に記載されたように(Cooper and Carter, 1986)、イヌリンのβ型の典型であり、かつ受け取ったままの未加工のイヌリン粉末を最初に溶解した時の挙動を反映している。
【0121】
さらに、その後、dIN溶液の試料2mlが5℃または37℃で4日間、流動性のミルクのような白い懸濁液を生ずるまで混合することにより結晶化された。これらの懸濁液の0.5mg/ml希釈液のOD700の温度転移曲線は、αおよびγ型の典型である(図3)、それぞれ36.5℃および46.5℃の50% OD700熱転移点を有した。37℃の粒子を56℃で1時間保温すると、再び56.5℃の50% OD700熱転移点を有するδ型の物性となり、サイクルを完了した。
【0122】
従って、α、βおよびγ型と同様、δ型は化学的修飾というよりもむしろ物理的多形であり、かつ、さらに、α、βおよびγ型と同様、δ多形のイヌリン分子は、溶解し、かつ適当な物理的操作によって以前に記載されたすべてのその他のイヌリンの多形へと再結晶化することによって、再構成され得る。
【0123】
実施例4−イヌリン再結晶化のためのδ多形の使用およびより小さい粒子中のその誘導体成分
図1のデータを考慮した後、gINおよび Algammulinの標準製剤からのゴーストの調製物は、60℃から70℃の間の温度で部分的に断片化された。一例では、そのような断片から再結晶化することにより引き続き最も小さい粒子が得られた温度を決定するために、あらかじめ56℃に暖められた様々なgIN調製物の1つの、ガラスチューブ中の試料1mlが、冷まされずに、0℃、60℃、61℃、62℃、63℃、64℃または65℃いずれかのウォーターバス中に5分間置かれた。チューブは、氷中で冷やされ、5℃で7日間、α型で結晶化するまで置かれ、そして45℃、30分間でγ型に変換された。OD700はPBSにおける1/100希釈で測定され、その相対的粒子サイズは、方法の項に記したPercoll遠心分離で推定された。図4Aは、典型的なgINの事前加熱標準製剤の最適温度が、PercollおよびOD検査の両方で示されたように、62-63℃であったことを示し、一方、図4Bは、そのような標準製剤の粒子サイズ分布と、56℃で事前加熱し、そして62.5℃で部分的に断片化し、その後これらの微小核上に5℃で再結晶化し、かつγ型に変換することによって得られた粒子サイズ分布とを比較する。図5Aは、典型的なAlgammulinの事前加熱標準製剤の最適温度もまた62〜63℃であったことを示し、一方、図5Bは、そのような標準製剤の粒子サイズ分布と、事前加熱し、そして62.5℃で部分的に断片化し、その後5℃で再結晶化し、γ型に変換することによって得られた粒子サイズ分布とを比較する。両方の場合で、部分的断片化は粒子サイズの顕著な減少をもたらす。このようにしてdINゴーストの部分的断片化により作製された調製物は、微細製剤と呼ばれる。
【0124】
部分的に断片化されたゴーストは、剪断応力または高い温度に維持したままでの超音波処理によって、有利に、さらに粉砕されてもよい。そのような調製物は、超微細調製物と呼ばれる。
【0125】
剪断応力はMicrofluidisation(商標)装置の使用に関してもよく、または熱い部分的に断片化されたゴースト懸濁液を、注射器に取り付けられた27または30ゲージの皮下針のような微細孔を通すことによって達成してもよい。図6は、典型的なgINの標準製剤の粒子サイズ分布と、剪断応力、すなわちそのような製剤を55℃で事前加熱、65℃で部分的断片化し、熱いうちに30ゲージの注射針を通し、その後これらの微小核上に5℃で再結晶化してγ型に変換することによって得られた粒子サイズ分布とを比較する。
【0126】
超音波処理は、清浄な滅菌済みの超音波プローブを、60℃〜70℃に(必要ならば冷やして)保たれた、部分的に断片化したゴースト調製物に浸して、PBSにおける1/4希釈のゴースト調製物のOD700が既定のレベル、典型的には1〜10%の範囲、まで減少するのに十分な時間だけ、適切なワット量で運転することによって達成された。このレベルは、引き続く再結晶化が最小の粒子を生ずるゴースト断片化の最適温度を決めるための上記の方法と同様の方法によって較正された。図7は、典型的なAlgammulinの標準製剤の粒子サイズの分布を示し、かつ、それを、56℃でその調製物を事前加熱した後65℃で1サイクルの超音波処理を行い、これらの微小核上に5℃で再結晶化し、γ型に変換することによって得られたより小さい粒子サイズと比較する。図7はまた、同じ調製物がこの処理、すなわち、事前加熱、62〜70℃での断片化、部分的に断片化したゴーストの超音波処理、その後の5℃での再結晶化、およびγ型への変換、を完全に2サイクル受けた場合に得られた粒子サイズのさらなる減少を示す。
【0127】
実施例5−直径1μm未満の粒子の有意な割合を達成するための、以前の調製物の不首尾
本明細書において参照される、以前の米国特許(ならびにCooper and Steele, 1988、Cooper and Steele 1991、およびCooper, McComb and Steele 1991)は、gINロットgIN-1285ならびにAlgammulinロットAG-11およびAG-18を記載する。これらはすべて標準製剤であって、大多数の粒子直径(EM測定による)は2〜3μmを示した。血球計算盤による推定は、同様かまたはいくぶん小さめに思われた。しかしながら、FACS解析を用いたより最近の測定は、明らかに水和型粒子の大部分は直径6〜12μmとより大きかったことを示す(図8)。1μm未満の望ましい範囲の粒子の割合は無視できるほどだった。
【0128】
gINおよびAlgammulin粒子両方の超音波破壊装置による激しい処理は、調製物における目に見える変化を生じた。温度を70℃未満に保つ注意が必要だった。懸濁液はより粘性となり、沈殿密度および OD700(1/100希釈)は減少し、粘度/密度勾配検査で粒子はよりゆっくり沈降した。そのような、相対的または間接的パラメータの変化は、米国特許第5,476,844号に示されたように、粒子直径の顕著な減少を表していると思われた。しかしながら、FACS解析によって調べると、サイズの減少は中程度であり(Algammulinについては図9、ロットAG-41uが元の材料AG-41と比較された;gINについてデータは示していないが、変化はより少なかった)、かつ超音波処理後、直径1μm未満のものは有意な割合ではなかったことが明らかであった。この処理は、おそらく局部的な加熱効果によって、粒子の構造を実質的に損傷するが、しかしその直径は大きく減少させなかったことが結論づけられた。また、記載された相対的または間接的なパラメータは、新しく結晶化された、損傷されていない粒子にのみ適用できることも結論づけられた。
【0129】
実施例6−超微細製剤の優位性
この実施例は、より小さい粒子サイズのイヌリン調製物が、APCを活性化するのにより強力であり、より高いアジュバント活性を有し、皮下注射の際により少ない局所反応を生じたことを示す。
【0130】
6.1 検査用試料
できるだけ広い範囲の平均粒子直径、約10μm(標準調製物)〜約500nm(超微細調製物)、を有するものとして、gINの5つのバッチが選ばれた。より微細な調製物は、実施例4に記載されたように、60〜70℃の間の温度で様々な剪断応力または超音波処理を行ってdINの微小核上で標準調製物から再結晶化された。それぞれのバッチの試料は、(1)共結晶化したαおよびβイヌリンを最小限にするために45℃で10分間加熱され、熱いうちに水で10倍希釈され、遠心分離され、かつ濃縮gINとして50mg/mlに再懸濁されたか、または、(2)δ型に変換し、かつ共結晶化したγ、αおよびβイヌリンを最小限にするために、55℃で3時間加熱した後、洗浄し、γ試料に関するのと同様に、濃縮されたdINを与えるように再懸濁された。表2は、超微細試料についてのいくつかの特性を要約し、図10は超微細試料についてのOD温度転移曲線の差異を示す。6つの標準調製物は類似していた。これらの転移曲線は、図3に記載されたように、ガラスチューブ中の、0.5mg/mlのイヌリンを含むPBS 5mlを徐々に加熱することによって計測された。そのような検査で、gINは48±1℃(Cooper & Steele 1991a)およびdINは57±3℃の50%熱転移点を有することが示された。2つの多形はこの検査によって明確に区別された。
【0131】
(表2)異なる粒子サイズのイヌリン調製物の特性ならびに補体活性化、アジュバント性および局所毒性の多形形態

【0132】
6.2 イヌリン調製物による補体活性化の第二経路のアッセイ
6.2(a) アッセイ方法
使用されたアッセイは、既定の体積のヒト血清を異なる濃度のイヌリンと特定時間最初に保温した後に残っているAPC活性量をアッセイする逆滴定という形で、正常ヒト血清の補体の第二経路(APC)による未感作のウサギRBCの自発的溶解により生じた色を測定した。活性化補体は非常に不安定なので、活性は迅速な減少を生じる。
【0133】
使用された方法は、Williams C. A. and Chase M. W. (eds.), Methods in Immunology and Immunochemistry Vol. 4, pp.137-166, Academic Press, New York中のHoffmann, L. G. & Mayer M. M. (1977)の変法であった。緩衝液(Veronal)は、古典経路補体活性を阻害するためのEGTA、およびキレート剤の存在下で第二経路を機能させるためのマグネシウムを含んでいた。最初の保温は37℃で20分間(190μlの血清+0(対照)、または1.0〜10μgのイヌリンを含む10μlの緩衝液)であり、1mlの冷却緩衝液(カルシウムをキレートするために0℃で15分間)を加えて停止され、その後血清試料は0℃で緩衝液により希釈された(120〜400μlの血清が500μlの総量になるように)。10秒間隔で500μlの調製済みRBCが加えられ、かつチューブは37℃の振盪するウォーターバス中に二次保温のために置かれた。30分後、冷却した4mlの0.15M NaClを加えることによって溶解は停止された。チューブは遠心分離されて上清の414nmでの吸光が分光光度計で測定された。この値は水におけるRBCの同じ濃度の吸光(100%溶解)の百分率として表された。それぞれの読み値は3連のアッセイチューブの平均であった。血清は4人のボランティアから採取され、-20℃に保存された0.4mlアリコートのプールであった。新しいプールは、必要に応じて、標準イヌリン調製物を伴う以前のプールに対して較正された。
【0134】
6.2(b) アッセイの解釈
溶解した細胞の百分率に対する加えられた血清量のプロットは、滑らかなS字曲線を示した(図11中の対照)。あらかじめイヌリンと共に保温されたチューブもまた滑らかなS字曲線を与えた(図11中のその他の曲線)が、右側に移動した。
【0135】
所定の溶解度、仮に50%、を可能にする、チューブに存在する補体活性量は、同一に定義された条件下では常に同一であり、かつ、その溶解量を与える血清の体積の定数(K)倍で表すことができると仮定した。50%溶解で存在する補体活性量をKVcとすると(ここで、Vcは対照における50%溶解を与える血清の体積である)、事前保温中に賦活剤によって枯渇させられた補体量は[KVt-KVc]となるだろう(ここでVtは賦活剤によって枯渇させられた後の50%溶解を与える血清の体積である)。活性はこのようにμl血清として表され得る。図12で、加えられたμgイヌリンに対する[Vt-Vc]値の2つのイヌリンに関するプロットは、実質的に直線の用量−反応を示した(賦活剤の用量0は[Vt-Vc]値0を与えるため、直線は原点を通った)。このことは、仮定の正当性および検査の正確性の良い確証であった。従って、チューブ当たり1μgの異なる賦活剤の相対活性は、定数Kが消去できるので、それらの[Vt-Vc]値により比較できるであろう。
【0136】
図12によるように、様々なイヌリン調製物についていくつかの濃度で[Vt-Vc]値が測定され、かつ、1μgについての平均値が100x[Vt-Vc]/Vcで表され、AP 活性は、検査の標準条件で1μgの賦活剤によって消費された、または枯渇させられた血清の百分率として便宜的に表されている。変動を最小限にするために、観察される[Vt-Vc]値がVcの20%〜60%になるようにイヌリン濃度が計画された。
【0137】
6.2(c) 結果
平均粒子サイズ(FACS解析による、実施例1aを参照)および上記実施例6.1に記載されたAPC活性が、図13で比較された。γおよびδ両多形について、APC活性は粒子サイズの減少とともに顕著に増加するが、dINは一貫してγ型よりも活性が高いことが見られた。連結線はそれぞれの元の調製物からのペアを示す。誤差バーはそれぞれの場合における8〜11連アッセイに基づいた平均の標準誤差を示す。入手できるすべての評価可能な調製物についての同様のグラフ(図14)は、この傾向を補強するものであった。縦線は、6μmのラテックス粒子標準から推定されたように、1μmを示し、かつ、この線の左側にあるデータ点は500〜1000nmの範囲の直径の調製物を示す。
【0138】
6.3 イヌリン調製物のアジュバント活性
マウスのグループが、肝炎表面抗原に加えて表2に列記された8つのγまたはδイヌリンのうち1つを注射された。抗原のみの注射による並行した滴定と比較した、血清中の特異的IgG1、IgG2aおよびIgG2bの割合の増加が、IgG2aまたはIgG2bのIgG1に対する比として表された。図15は、これらを、図13および図14によるように粒子サイズ(平均FCS読み値)の観点から提示し、かつ、γおよびδ両方の超微細調製物は、標準調製物に比べて主要部分をIgG2種に向けてシフトさせる傾向があることを示す。このことは、Th1反応が粒子サイズの減少にともなって増強されることを示唆するので、望ましい結果である。このことはγイヌリンについても同一の傾向を補強する(Cooper & Steele, 1988)。
【0139】
図16は、アジュバントなしで10%未満のマウスで検出可能な抗体を生ずる、B型肝炎表面抗原の異なる調製物の用量を含むAlgammulinの標準および超微細製剤を用いた同様の実験を示す。超微細製剤AG-43およびAG-45wは、標準製剤AG-37、または水酸化アルミニウム単独と比較して、抗体陽転を示す数をより増強させた。
【0140】
6.4 局所反応
パピローマウイルスE7タンパク質ワクチンによるAlgammulinの臨床試験で見出された唯一の有害作用(Frazer, I.H. et al. (1999), in: Tindle R. W. (ed) "Vaccines for Human Papillomavirus Infection and Anogenital Disease",pp91-104, R.G. Landes, New York)は、何人かの患者における小さい局所反応(腫張および赤色化)であった。一例での軽い炎症はおそらく抗原に因るものであった。試験に使用されたAlgammulinのバッチはAG-38であった。これは標準製剤(水和粒子の直径の中央値6〜10μm)であり、実行可能な最大用量(25mg、皮下)が投与された。
【0141】
局所反応を減らすために、イヌリン調製物が超微細製剤(大多数の直径が1μm未満)で作製されるよう本発明の方法論が部分的に開発された。再現性のある皮膚検査もまた局所反応を評価するために考案された。このテストで、アジュバントはマウスの右後足蹠表面に皮下注射され、生理的食塩水のみを注射された左後足と比較された。最も反応性のある成分で最大反応を与えるよう、1つの足当たりアジュバント200μgの標準用量が選択された。結果は、Algammulin(AG-38ff)またはgIN(gIN-0495)の超微細製剤が、標準製剤(AG-38、gIN-0887)またはアルムよりも非常に少ない局所反応を生ずることを示した(図17)。
【0142】
超微細製剤および計画された正常ヒト用量(10〜20mg、皮下)の組み合わせの使用が、ヒトでの局所反応を大幅に除去することが期待される。
【0143】
実施例7−考察
本実施例に報告された結果は、δイヌリンはγイヌリンとは異なる実体であり、直径1μmより小さいイヌリン粒子サイズを簡単な方法で調製するのに有用であることを示す。これらのより小さい粒子は、実質的に増強されたAPC活性化能を有する。より小さい粒子は、より少ない局所反応、より大きい血清変換、および細胞免疫に好ましい抗体タイプの増強など、その他の望ましい特性を有することが示される。さらに、δ型はそれ自身、γ型と少なくとも同等のアジュバント活性を有し、かつ、γ型に比べ、一貫してより大きいAP活性化能を有する。
【0144】
δイヌリンは、ある別個の段階でγ多形から形成されるようである。γ構造はイヌリンのより高分子量の画分においてのみ見出されている(Cooper and Carter, 1986)。gINと比較したdINの完全溶解のより高い温度は、その平均分子量をより高いままにする可能性がある。
【0145】
おそらくイヌリン粒子は、広い範囲のポリフルクトース鎖長を含み、一部だけが完全な結晶状配列になっているゆるい枠組を含む。ちょうど、いくつかの低分子量イヌリン(それ自身37℃以下で溶解する)が、37℃で生成されたgINと共結晶化したままであるが、例えば45℃で浸出し得るように、γ構造に集合するのに十分な長さの鎖は、δ構造のより長い鎖の骨格を残して、一般的に55℃で浸出する。60℃でのさらなる浸出は、上記の「ゴースト」調製物を含むより無秩序な粒子を残す。それらの非結晶質の、ペースト状の外観は、自由な、比較的無秩序な構造、化学的というよりむしろ物理的な変化を単に反映している可能性があり、なぜなら、完全溶解から引き続いて結晶化されたγおよびδ型は、ゴーストが誘導された型と(希釈懸濁液中での「渦巻形の」(異方性の)挙動さえ)巨視的に区別できなかったからである。
【0146】
gIN粒子サイズに伴う沈殿密度の連続的な減少は、より少ない集団が粒子を膨張させた、すなわち水和を増加させたことを示した。このことは直径の減少をいくらか相殺したが、標準製剤(表1中のgIN-1285)と比較した最微細調製物の、密度の2倍未満の減少、すなわち、体積の2倍未満の増加は、直径の増加がわずか2の立方根(=1.26)のオーダーで、すなわち大きくなかったことを示した。より小さい粒子サイズで見出された補体活性化活性の増加は、この増加した水和に伴う内部のイヌリン配列の有効性の増加、または単位体積あたりの表面積の増加に関係する可能性がある。
【0147】
微細または超微細製剤もまた非常に粘性がある。見出された最も小さい沈殿密度は約90mg/mlであった。懸濁液の濃度は50mg/mlだったので、この密度は、これらのレベルにおける固体懸濁液の限界に近い。粒子サイズに伴うOD700の低下は、粒子直径が使用された光の波長(700 nm)に近づくにつれた光散乱の減少を反映している。
【0148】
当業者は、本明細書に記載された本発明が、具体的に記載されたもの以外への変形および改変を受けやすいことを認識するだろう。本発明はすべてのそのような変形および改変を含むことが理解されるべきである。
【0149】
本発明はまた、個別的または集合的にこの明細書で参照され、または示された、すべての段階、特徴、組成物および化合物、ならびに、該段階または特徴のうち任意の2つまたはそれ以上の、任意の、および全ての組み合わせをも含む。
【図面の簡単な説明】
【0150】
【図1】超微細製剤のgIN(gIN-0495、上の曲線)および超微細製剤のAlgammulin(AG-38ff、下の曲線)における、温度の上昇に伴うdIN量の減少を示す。調製物(50mg/ml)が56℃で30分間加熱され、その時dIN量(50℃で10分間の加熱後の2mg/ml希釈液のOD700による)は、それぞれ、6.4%から37.2%へ、および3.0%から22.8%へ増加していた。そして1mlの試料(50mg/ml)が示された温度で5分間加熱され、その後、更なる50℃10分の後に、OD700アッセイのために0.2mlの試料が4.8mlのPBSに希釈された。
【図2】56℃でのインキュベーション時間に伴う、5種の標準的な製剤のgIN(50mg/ml)の、dIN量の増加を示す(上から下へ:gIN-1196A、gIN-1196、gIN-0397B、gIN-0996、gIN-0497)。間隔をおいて4.8mlのPBSに採取された0.2mlの試料が、その後dIN量のOD700アッセイのために、50℃で10分間加熱された。
【図3】示されたように3種のイヌリン調製物の50μlの試料(それぞれ、溶解されて、その後5℃、もしくは37℃で再結晶された、または37℃の後56℃で加熱されたgINゴースト)が5mlのPBSに希釈されて、示された温度までウォーターバスにおいて連続的に加熱され、その点で光学濃度が測定された際に得られた結果を示す。
【図4】Aは、示された温度で部分的に断片化された後、5℃で再結晶されてγ型へ変換された、事前加熱された(56℃)標準製剤gIN(gIN-1285)の1ml試料の、Percollコロイド遠心分離によって決定された光学濃度(点、0.5mg/ml)および相対的粒子サイズ(棒)を示す;Bは、同一の方法で処理された(しかし62.5℃で断片化された、左側のピーク、FSC中央サイズ6.12)、および同一の調製物で未処理の(右側のピーク、FSC中央サイズ18.43)、標準製剤のgIN(gIN-0402)のFACS解析による粒子サイズ分布の比較を示す。このように、左側のピークは「微細」製剤と呼ばれるgIN調製物を示す。
【図5】Aは、示された温度で部分的に断片化された後、5℃で再結晶されてγ型へ変換された、事前加熱された(56℃)標準製剤のAlgammulin(AG-37)の1ml試料の、Percollコロイド遠心分離によって決定された光学濃度(点、0.5mg/ml)および相対的粒子サイズ(棒)を示す;Bは、同一の方法で処理された(しかし62.5℃で断片化された、左側のピーク、AG-51、FSC中央サイズ9.22)、および同様の調製物で未処理の(右側のピーク、AG-37、FSC中央サイズ42.55)、標準製剤のAlgammulinのFACS解析による粒子サイズ分布の比較を示す。このように、左側のピークは「微細」製剤と呼ばれるAlgammulin調製物を示す。
【図6】Aは、55℃で事前加熱されて、示された温度で部分的に断片化され、かつ熱い間に剪断応力に供されて(すなわち30ゲージの皮下注射針を通されて)、その後5℃で再結晶されてγ型へ変換された、標準製剤のgIN(gIN-0803)の1ml試料の、Percollコロイド遠心分離によって決定された光学濃度(点、0.5mg/ml)および相対的粒子サイズ(棒)を示す;Bは、65℃でこのような方法で断片化された(左側のピーク、FSC中央サイズ3.32)、および同一の調製物で未処理の(右側のピーク、FSC中央サイズ8.20)、分画のFACS解析による粒子サイズ分布の比較を示す。このように、左側のピークは「超微細」製剤と呼ばれ、かつ、剪断応力断片化を用いて作製されるgIN調製物を示す。
【図7】標準製剤のAlgammulin(右側のピーク、AG-41、FSC中央サイズ48.70)、ならびに、56℃で事前加熱され、65℃で部分的に断片化され、かつ、熱い間に超音波処理の1サイクルに供され、その後5℃で再結晶されてγ型へ変換されたか(中央のピーク、AG-42、FSC中央サイズ6.49)、または同一の処理の2回の完全なサイクルに供されたか(左側のピーク、AG-43、FSC中央サイズ4.49)のいずれかの同一の調製物のFACS解析による粒子サイズ分布の比較を示す。このように、中央および左側のピークは、「超微細」製剤と呼ばれ、かつ、超音波破壊を用いて作製される二つのAlgammulin調製物を示す。
【図8】標準製剤のgIN(gIN-1285、FSC中央サイズ26.42)、ならびに米国特許第4,954,622号および第5,051,408号に記述された標準製剤のAlgammulin(AG-11、FSC中央サイズ23.93、およびAG-18、FSC中央サイズ24.80)のFACS解析による粒子サイズ分布の比較を示す。
【図9】標準製剤のAlgammulin(右側のピーク、AG-41、FSC中央サイズ48.70)および超音波破壊装置で勢いよく処理された同一の調製物(左側のピーク、AG-41u、FSC中央サイズ24.14)のFACS解析による粒子サイズ分布の比較を示す。
【図10】表2に記述された10種の試料のうち4種(CT2D超微細gINおよびdIN形態、ならびに、CT2F超微細gINおよびdIN形態)の50μlが、5mlのPBSに希釈されて、示された温度までウォーターバスにおいて連続的に加熱され、その点で光学濃度が測定された際に得られた結果を示す。
【図11】異なる容量のヒト血清が、生理食塩水(対照)または異なる量の2種の超微細gIN調製物(gIN-32およびgIN-34)のいずれかとプレインキュベーションされ、その後ウサギRBCを溶解させた際に得られた結果を示す。遠心分離の後、光学濃度は、水のみとインキュベーションされた反復されたRBC試料(100%溶解)の光学濃度の百分率として表わされた。
【図12】試験曲線において50%溶解を与える血清体積および対照の体積の間の差異(Vt-Vc値)として表わされた、図11に記述されたプレインキュベーションに添加されたイヌリンの重量および2次インキュベーションに起因する溶解の程度の相関を示す。
【図13】表2に記述された10種の試料のFACS前方散乱解析により得られた平均粒子直径(実施例1aにおいて記述された「FSC平均」)を、補体第二経路を活性化する能力(図12に示されたように得られたμgあたりの[Vt-Vc]値として表わされる「AP活性」)と比較する。連結線は、同一起源の調製物由来のγ‐δペアを結ぶ。
【図14】入手できた他の評価可能な試料すべてを含んで、図13の提示を反復する。垂直線は、6μmのラテックス標準を含んだスキャンより評価された1μmを示す。
【図15】1μgのワクチングレードB型肝炎表面抗原に加えて500μgのγまたはδイヌリン(調製物1〜8、表2)を筋肉内に注射されたマウス(BALB/c、群あたり8匹)由来の血清における特異的抗体サブタイプのIgG1に対するIgG2aおよびIgG2bの比(ELISA)を示す。マウスは14日目に追加免疫されて、28日目に採血された。
【図16】マウスにワクチングレードB型肝炎表面抗原に加えてアジュバントを注射した後の、血清転換の割合を示す。メスのBALB/Cマウス(群あたり10匹)が、500μgの標準または超微細製剤のAlgammulinに加えて1μgの抗原を皮下に注射された。注射前に存在する特異的抗体についての平均ベースラインを超えて50%より大きい特異的抗体の増加を示した(ELISAによって試験されたとき)、28日後に採取された血清が、陽性の血清転換として記録された。
【図17】マウス足裏へのアジュバントの注射後の、足蹠の腫脹を示す。オスのBALB/Cマウス(群あたり5匹)が、右後足蹠に、200μgの、標準製剤のAlgammulin(AG-38)もしくはgIN(gIN-0887)、または超微細製剤のAlgammulin(AG-38ff)もしくはgIN(gIN-0495)、または水酸化アルミニウム(アルム)のいずれかを含む内毒素を含まない25μlの生理食塩水、または食塩水のみ(左後足蹠)を、皮下注射された。時間をおいて、各マウスの後足の間の厚さの差異が、ダイアルゲージ測径器(dial gauge calliper)で測定された。結果は、差異の計算上の平均である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
δ多形形態のイヌリン。
【請求項2】
粒子状形態を含む、請求項1記載のイヌリン。
【請求項3】
粒子の大部分が、1μmより小さい直径を有する、請求項2記載のイヌリン。
【請求項4】
粒子の大部分が、約50nm〜600nmの範囲の直径を有する、請求項3記載のイヌリン。
【請求項5】
50℃より高い希釈懸濁液において、50% OD700熱転移点を有する、請求項1〜4のいずれか一項記載のイヌリン。
【請求項6】
約53℃〜58℃の範囲の希釈懸濁液において、50% OD700熱転移点を有する、請求項5記載のイヌリン。
【請求項7】
約8,000〜16,000kDの範囲の分子量を有する、請求項1〜6のいずれか一項記載のイヌリン。
【請求項8】
40℃を超える水性媒体において、溶解の低い割合を有する、請求項1〜7のいずれか一項記載のイヌリン。
【請求項9】
50℃を超える水性媒体において、溶解の低い割合を有する、請求項8記載のイヌリン。
【請求項10】
薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、請求項1〜9のいずれか一項記載のイヌリンを含む、免疫学的組成物。
【請求項11】
抗原結合担体材料と共に、請求項1〜9のいずれか一項記載のイヌリンを含む、免疫学的組成物。
【請求項12】
抗原結合担体材料が、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含む、請求項11記載の組成物。
【請求項13】
約50℃またはより高い温度で、約10時間までの時間、γイヌリンを含む懸濁液を加熱する段階を含む、δイヌリンの調製のための方法。
【請求項14】
温度が約55℃であり、かつ時間が約90分〜3時間の範囲である、請求項13記載の方法。
【請求項15】
約60℃〜70℃の範囲の温度で、約1時間までの時間、懸濁液を加熱する段階を更に含む、請求項13または請求項14のいずれか記載の方法。
【請求項16】
時間が、約5〜30分の範囲である、請求項15記載の方法。
【請求項17】
懸濁液が、薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤を更に含む、請求項13〜16のいずれか一項記載の方法。
【請求項18】
懸濁液が、抗原結合担体材料を更に含む、請求項13〜17のいずれか一項記載の方法。
【請求項19】
抗原結合担体材料が、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含む、請求項18記載の方法。
【請求項20】
請求項13〜19のいずれか一項記載の方法に従って調製された、δイヌリン。
【請求項21】
以下の段階を含む、γ多形形態のイヌリンの調製のための方法:
(a)δ多形形態のイヌリン粒子の懸濁液を調製する段階;
(b)該懸濁液において該粒子を任意で断片化する段階;
(c)該懸濁液からイヌリンを再結晶する段階;
(d)再結晶された該イヌリンをγ多形形態へ変換する段階;および
(e)微細または超微細粒子状形態の該γイヌリンを単離する段階。
【請求項22】
段階(b)が、約60℃〜72℃の範囲の温度を適用すると同時に、以下のいずれかを含む、請求項20記載の方法:
(a)剪断応力;または
(b)超音波処理。
【請求項23】
段階(c)が、約5℃の温度を適用する段階を含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
段階(d)が、約45分の時間、約45℃の温度を適用する段階を含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
以下の段階を更に含む、請求項21〜24のいずれか一項記載の方法:
(f)単離された微細または超微細粒子状形態のγイヌリンを、微細または超微細粒子状形態のδイヌリンへ変換する段階。
【請求項26】
生産されたイヌリンが、1μmより小さい直径の大多数の粒子を含む、請求項21〜25のいずれか一項記載の方法。
【請求項27】
直径が、約50nm〜600nmの範囲である、請求項26記載の方法。
【請求項28】
請求項21〜24、または26〜27のいずれか一項記載の方法に従って調製された、γイヌリン。
【請求項29】
請求項25記載の方法に従って調製された、δイヌリン。
【請求項30】
薬学的に許容される担体、希釈剤、または賦形剤と共に、請求項20、28、または29いずれか一項記載のイヌリンを含む、免疫学的組成物。
【請求項31】
抗原結合担体材料と共に、請求項20、28、または29いずれか一項記載のイヌリンを含む、免疫学的組成物。
【請求項32】
抗原結合担体材料が、水酸化アルミニウムゲル、リン酸カルシウムゲル、またはリン酸アルミニウムゲルのうち少なくとも一つを含む、請求項31記載の組成物。
【請求項33】
抗原を共に伴う、請求項10〜12、または30〜32のいずれか一項記載の組成物。
【請求項34】
請求項1〜9、20、28、もしくは29のいずれか一項記載のイヌリン、または、請求項10〜12、もしくは30〜33のいずれか一項記載の組成物を含む、有効量の免疫療法薬を被験者に投与する段階を含む、免疫応答を刺激するための方法。
【請求項35】
免疫応答が、補体第二経路の活性化を含む、請求項34記載の方法。
【請求項36】
請求項1〜9、20、28、もしくは29のいずれか一項記載のイヌリン、または、請求項10〜12、もしくは30〜33のいずれか一項記載の組成物を含む、有効量のアジュバントを被験者に投与する段階を含む、免疫応答を増強するための方法。
【請求項37】
請求項1〜9、20、28、もしくは29のいずれか一項記載のイヌリン、または、請求項10〜12、もしくは30〜33のいずれか一項記載の組成物の有効量を被験者に投与する段階を含む、癌を治療するための方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公表番号】特表2008−511693(P2008−511693A)
【公表日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−528526(P2007−528526)
【出願日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【国際出願番号】PCT/AU2005/001328
【国際公開番号】WO2006/024100
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(507056830)
【Fターム(参考)】