説明

イベント終了点抽出装置、イベント終了点抽出方法および抽出プログラム

【課題】ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像のイベント終了点を正確に抽出するイベント終了点抽出装置を提供する。
【解決手段】イベント終了点抽出装置100は、イベント開始時間が決定されたスポーツ映像を記憶するスポーツ映像記憶部101と、スポーツ映像記憶部101のスポーツ映像から、イベント開始時間以降のカット点を検出するカット点検出部102と、カット点検出部102に検出されたカット点間のカット長の種別をそのカット長の短長に応じて分類するカット長分類部104と、カット長の種別の出現パターンをイベント終了点に対応付けて記憶する出現パターン記憶部112と、出現パターン記憶部112を参照して、分類された種別の出現パターンに対応するイベント終了点を抽出するイベント終了点抽出部111と、イベント終了点抽出部111に抽出されたイベント終了点およびイベント開始点を出力する出力部113とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イベント終了点抽出装置に係り、特に視聴対象となるスポーツ映像のイベント終了点を抽出するイベント終了点抽出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、野球中継などの映像をダイジェスト視聴するために、その映像に含まれる特定のシーンを抽出することがある。このような状況下、従来の装置においては、映像のカット長の長さから特定のシーンを抽出している。具体的には、従来の装置は、まず、カット長が短い区間をアクションのある映像シーンに分類し、他方、カット長が長い区間を穏やかな映像シーンに分類する。そして、この装置は、その映像の動きの激しさを加味したうえで、上記アクションのある映像シーンなどを正確に抽出する(例えば、特許文献1)。
また、従来の他の装置においては、映像の複数のカットからなるカット長の合計が15秒または30秒になるカットを抽出する。そして、この装置は、そのカットの先頭と最後尾に無音声区間があれば、その区間をCMのシーンとして抽出する(例えば、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開2006−14084号公報
【特許文献2】特開平8−339379号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1および特許文献2に記載の装置では、いずれも、長短のカット長を含む一連のシーンを1つのまとまりのあるシーンとして抽出することができず、その結果、ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像に含まれるイベント終了点を正確に抽出することができないという不都合があった。
そこで、本発明は、上述した不都合を解決するためになされたものであり、その目的は、ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像のイベント終了点を正確に抽出することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、本発明は、イベント開始点が決定されたスポーツ映像を記憶するスポーツ映像記憶部と、上記スポーツ映像記憶部の上記スポーツ映像から上記イベント開始点以降のカット点を検出するカット点検出部と、上記カット点検出部に検出された上記カット点間のカット長の種別をそのカット長の短長に応じて分類するカット長分類部と、上記カット長の種別の出現パターンをイベント終了点に対応付けて記憶する出現パターン記憶部と、上記出現パターン記憶部を参照して、上記分類された種別の出現パターンに対応するイベント終了点を抽出するイベント終了点抽出部と、上記イベント終了点抽出部に抽出されたイベント終了点を上記イベント開始点に対応付けて出力する出力部と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像のイベント終了点を正確に抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下、本発明の実施の形態について図1ないし図5に基づいて説明する。
図1は、本発明の実施の形態におけるイベント終了点抽出装置の構成例を示すブロック図である。
図1において、イベント終了点抽出装置(以下「抽出装置」という)100は、スポーツ映像記憶部101、カット点検出部102、カット点記憶部103、カット長分類部104および分類基準記憶部105を有する。さらに、この抽出装置100は、テロップ検出部106、テロップ記憶部107、第1の分類補正部(分類補正部)108、第2の分類補正部(分類補正部)109および第3の分類補正部(分類補正部)110を有する。
また、この抽出装置100は、イベント終了時間抽出部(イベント終了点抽出部)111、出現パターン記憶部112および出力部113を有する。なお、本実施の形態においては、抽出装置100として、例えば、サーバ装置を用いた場合を例にして説明するが、パーソナルコンピュータなどのコンピュータを適用してもよい。
【0008】
スポーツ映像記憶部101は、ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像を記憶する。具体的には、図2に示すように、スポーツ映像記憶部101は、時間軸tで構成されたフレーム単位のスポーツ映像(動画)を記憶する。そして、このスポーツ映像には、映像シーンに応じて、各種テロップが適宜含まれている。
本実施の形態においては、スポーツ映像は、例えば、プロ野球中継の映像とするので、この映像に含まれるテロップには、SBO、進塁状況、対戦スコア、イニング(例えば2回表)などの種類がある。なお、SBOは、ストライクカウント(S)、ボールカウント(B)およびアウトカウント(O)の略である。
図2では、あるフレームのスポーツ映像d1に、SBOテロップT1、進塁状況テロップT2、スコアテロップT3およびイニングテロップT4が含まれている状況が例示されている。なお、テロップというのは表示の意であり、その形態は問わないものとする。
【0009】
さらに、図2のスポーツ映像は、イベント開始時間(イベント開始点)INがあらかじめ決定されている。イベント開始時間INというのは、ダイジェスト視聴の対象となる映像シーンの開始時間、すなわち当該映像シーンを開始するフレームの位置(時刻)を意味する。例えば、イベント開始時間INとして、投球開始の映像シーンを表すフレームの位置などが想定される。
なお、イベント開始時間INとして、例えば、スポーツ映像の先頭フレームからの経過時間(時刻)を用いることとするが、その位置が特定できれば、その形態は問わない。例えば、再生カウンタのカウンタ値をイベント開示時間INに用いてもよい(後述するカット点、イベント終了時間も同様)。
【0010】
なお、図2において、第1カット点、第2カット点および第3カット点が、イベント開始時間INから所定の時間を経過した後に出現するカット点として例示されている。さらに、第1カット長、第2カット長および第3カット長が示されている。第1カット長は、イベント開始時間INと第1カット長との間の区間を表し、第2カット長は、第1カット点と第2カット点との間の区間を表す。また、第3カット長は、第2カット点と第3カット点との間の区間を表す。
そして、第1カット長が中時間として示され、また、第2カット長および第3カット長がともに短時間として示されているが、これらの点は、後述する。
【0011】
図1に戻って、カット点検出部102は、スポーツ映像記憶部101からスポーツ映像を読み出して、イベント開始時間IN以降のカット点を検出してカット点記憶部103に登録する。カット点というのは、映像シーンの変わり目を意味する。例えば、あるカメラからの中継が別のカメラへ切り替えられたときは、別のカメラに中継され最初に撮影された時点のフレームの位置が、カット点に該当する。
なお、本実施の形態においては、上述したカット点の検出方法として、例えば、1台のカメラから撮影された連続するフレーム集合の境界を検出する方法を用いる(特許文献1参照)が、それ以外の公知の検出方法を適用してもよい。
このように構成することにより、カット点検出部102は、例えば、図2に示したように、イベント開始時間INから所定の時間が経過した時点のフレームの位置を順次、第1カット点、第2カット点および第3カット点として検出することが可能となる。
【0012】
カット長分類部104は、分類基準記憶部105の分類基準を参照して、カット点記憶部103の連続する各カット点間のカット長の種別を分類する。本実施の形態においては、カット長の種別として、カット長の短長に応じて、短い方から「短(第1の種別)」、「中(第2の種別)」および「長(第3の種別)」の3つがある場合について説明するが、これらの種別は2つあるいは4つ以上としてもよい。
【0013】
ここで、分類基準記憶部105の分類基準の一例を図3に示す。
図3の分類基準は、分類およびカット長の項目で構成されている。そして、分類の項目には、「短」、「中」および「長」の3つの種別が指定され、カット長の項目には、該当するカット長の範囲が時間表記で指定されている。
【0014】
具体的には、「短」の分類には、例えば、0秒以上2.0秒(プラスマイナスα)未満のカット長が指定され、「中」の分類には、2.0秒(プラスマイナスα)以上4.0秒未満のカット長が指定されている。このため、カット長が、2.0秒プラスマイナスαの範囲(あらかじめ指定された時間)にある場合、そのカット長は、「短」および「中」の双方に属することになる。つまり、これは、次のような理由に基づく。
すなわち、カット長が、上記あらかじめ指定された時間を有する場合、そのカット長の映像シーンの内容を問わずに、そのカット長のもつ時間だけで、当該カット長の種別を「短」または「中」の一方に分類することが困難だからである。
そこで、本発明においては、後述する第1の分類補正部108、第2の分類補正部109または第3の分類補正部110において、上述したテロップの表示パターンによりそのカット長の映像シーンを考慮した上で、上述したカット長(「短」および「中」の双方に属すもの)の種別をどちらかの種別に補正する処理を行う。これにより、すべてのカット長の種別を正確に分類することが可能となる。
【0015】
なお、上述したあらかじめ指定された時間(例えば、2.0秒プラスマイナスα、特にαの値)は、スポーツ映像の種類や映像シーンの具体的な内容などを加味した上で決定することが望ましい。
【0016】
このように構成することにより、カット長分類部104は、図3の分類基準に従って、カット点記憶部103の連続する各カット点間のカット長の種別を分類する(図1参照)。そして、この分類の結果、カット長が、あらかじめ設定された時間を有する場合(2つの種別に属する場合)、カット長分類部104は、その旨(イベント開始時間IN以降の各カット点およびカット長の各分類種別を含む)を、後述する第1の分類補正部108に通知する。
【0017】
図1に戻って、テロップ検出部106は、スポーツ映像記憶部10のスポーツ映像から、上述したテロップ(図2参照)を検出してテロップ記憶部107に登録する。このとき登録されたテロップは、例えば、スポーツ映像の先頭フレームからの経過時間に対応付けられている。
【0018】
第1の分類補正部108は、カット長分類部104に分類されたカット長があらかじめ設定された時間を有する場合、三振の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンに基づいて、第1カット長、および、イベント開始時間INから最初に出現する「中」のカット長の次に出現するカット長の分類種別を補正(例えば、あらかじめ設定された「短」の種別へ補正)してその種別を分類する。ここでいう表示パターンとして、次の2パターンがあらかじめ設定されている。
【0019】
すなわち、第1の表示パターンは、2ストライクからチェンジへ移行するSBOテロップ(特定のテロップ)T1、および、イニングが変わるイニングテロップ(特定のテロップ、例えば2回表→2回裏)T4の組み合わせからなる表示パターン(特定のテロップの表示パターン)である。
第2の表示パターンは、2ストライクからアウトカウントが1つ増えるSBOテロップ(特定のテロップ)T1、アウトカウントが1つ増えたときに走者がいない進塁状況テロップ(特定のテロップ)T2、および、得点が変化しないスコアテロップ(特定のテロップ)T3の組み合わせからなる表示パターン(特定のテロップの表示パターン)である。
なお、上述した特定のテロップは、第1の分類補正部108によって、テロップ記憶部107から読み出される。
【0020】
第2の分類補正部109は、打者交代の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンに基づいて、第1カット長のみの分類種別を補正(例えば、あらかじめ設定された「短」の種別へ補正)してその種別を分類する。ここでいう表示パターンは、次のとおりである。すなわち、ストライクカウントまたはアウトカウントが0以外になっているSBOテロップ(特定のテロップ)T1の表示パターンである。なお、SBOテロップT1は、第2の分類補正部109によって、テロップ記憶部107から読み出される。
【0021】
第3の分類補正部110は、得点追加の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンに基づいて、第3カット長(ランナーホームインの映像シーン)の分類種別を補正(例えば、あらかじめ設定された「短」の種別へ補正)してその種別を分類する。ここでいう表示パターンは、次のとおりである。すなわち、得点が入ったことを表すスコアテロップ(特定のテロップ)T3の表示パターンである。なお、SBOテロップT1は、第3の分類補正部110によって、テロップ記憶部107から読み出される。
【0022】
イベント終了時間抽出部111は、出現パターン記憶部112の出現パターンを参照して、カット長分類部104、第1の分類補正部108、第2の分類補正部109または第3の分類補正部110(これら各部の組み合わせを含む)に分類された種別の出現パターンに対応するイベント終了時間(イベント終了点)を抽出する。
【0023】
ここで、出現パターン記憶部112の出現パターンを図4に示す。
図4の2つの出現パターンは、出現パターン記憶部112に記憶されている。図4(a)に示す出現パターンとして、イベント開始時間IN(不図示)から「長」の種別が最初に出現するパターンが示されている。そして、その「長」の種別に属するカット長の終了点がイベント終了時間OUTとして対応付けられている。したがって、イベント終了時間抽出部111は、上記分類された種別の出現パターンが、図4(a)の出現パターンになる場合、「長」の種別に属するカット長の終了点をイベント終了時間OUTとして抽出する。
また、図4(b)に示す出現パターンとして、イベント開始時間IN(不図示)から「長」の種別が最初に出現するまでの間に、「中」の種別が連続して出現するパターンが示されている。そして、その最初の「中」の種別に属するカット長の終了点がイベント終了時間OUTとして対応付けられている。したがって、イベント終了時間抽出部111は、上記分類された種別の出現パターンが、図4(b)の出現パターンになる場合、最初の「中」の種別に属するカット長の終了点をイベント終了時間OUTとして抽出する。
【0024】
図1に戻って、出力部113は、イベント終了時間抽出部111に抽出されたイベント終了時間OUTおよびそのイベント開始時間INを外部装置(例えばコンピュータ)に出力する。
【0025】
なお、本実施の形態において、上述した各記憶部101、103、105、107、112としては、メモリやハードディスクなどの記憶装置が該当する。また、上述した各部102、106、108〜111、113としては、CPUなどの処理装置が該当する。
そして、上述した各部102、106、108〜111、113は、上述した記憶装置に格納された抽出プログラムに従って動作する。この抽出プログラムは、CD−ROMなどのコンピュータ読み取り可能な媒体から読み出されたものであってもよい。
【0026】
次に、抽出装置100の処理手順について図5に基づいて説明する。
図5は、抽出装置100の処理手順の一例を示すフローチャートである。ここでは、ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像(図2参照)がスポーツ映像記憶部101に記憶されているものとして説明する。
まず、カット点抽出部102は、スポーツ映像記憶部101からスポーツ映像(イベント開始時間INを含む)を読み出して、イベント開始時間IN以降のカット点を検出する(ステップS101)。このとき検出されたカット点は、カット点検出部102によってカット点記憶部103に記憶される。
【0027】
続いて、テロップ検出部106(抽出装置100)は、スポーツ映像記憶部101からスポーツ映像を読み出し、そのスポーツ映像から、各フレームのスポーツ映像に含まれているテロップをすべて検出する(ステップS102)。このとき検出されたテロップは、テロップ検出部106によってテロップ記憶部107に記憶される。
【0028】
次に、カット長分類部104は、カット点検出部102に検出されたイベント開始時間IN以降のカット点をカット点記憶部103から取得し、分類基準記憶部105の分類基準(図3参照)に基づいて、連続するカット点間のカット長を分類する(ステップS103)。具体的には、カット長分類部104は、分類基準記憶部105の分類基準(図3参照)に基づいて、連続するカット点間のカット長の時間に対応する種別(「短」、「中」、「長」)を分類する。
【0029】
次に、第1の分類補正部108(抽出装置100)は、カット長分類部104に分類されたカット長があらかじめ指定された時間(例えば、図3の2.0プラスマイナスα)を有する場合、当該カット長、すなわち、第1カット長、および、イベント開始時間INから最初に出現する「中」のカット長の次に出現するカット長に三振の可能性があるかどうかを判断する(ステップS104)。
具体的には、第1の分類補正部108は、三振の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターン(前述した第1〜第2の表示パターンのいずれか)が当該カット長にあるかどうかを判断する。なお、ステップS104において、あらかじめ指定された時間をもつカット長がなければ、ステップS103からステップS110へスキップするようにしてもよい。
【0030】
そして、上記判断の結果、三振の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンがなく、三振の可能性がないと判断された場合(ステップS104のNo)、第1の分類補正部108は、判断対象の当該カット長の種別を「短」に補正して分類し(ステップS105)、ステップS106に進む。これにより、あらかじめ指定された時間をもつカット長(例えば、第1カット点と第2カット点との間のカット長)の種別が、「短」に補正されることになる。
【0031】
他方、三振の可能性があると判断された場合(ステップS104のYes)、ステップS106に進む。なお、ステップS106に進む場合、第1の分類補正部108は、例えば、イベント開始時間IN以降の各カット点およびカット長の各分類(種別補正済みのものを含む)を、第2の分類補正部109に渡す。
【0032】
ステップS106において、第2の分類補正部109(抽出装置100)は、カット長分類部104に分類されたカット長があらかじめ指定された時間(例えば、2.0プラスマイナスα)を有する場合、当該カット長、すなわち第1カット長に打者の交代があるかどうかを判断する。
具体的には、第2の分類補正部109は、打者交代の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターン(ストライクカウントまたはアウトカウントが0になっているSBOテロップT1の表示パターン)が当該カット長にあるかどうかを判断する。
【0033】
そして、上記判断の結果、打者交代の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンがなく、打者の交代がないと判断された場合(ステップS106のNo)、第2の分類補正部109は、判断対象の当該カット長の種別を「短」に補正して分類し(ステップS107)、ステップS108に進む。これにより、あらかじめ指定された時間をもつカット長(例えば、第1カット点と第2カット点との間のカット長)の種別が、「短」に補正されることになる。
【0034】
他方、打者の交代があると判断された場合(ステップS106のYes)、ステップS108に進む。なお、ステップS108に進む場合、第2の分類補正部109は、例えば、イベント開始時間IN以降の各カット点およびカット長の各分類(ステップS105、S107により種別補正済みのものを含む)を、第3の分類補正部110に渡す。
【0035】
ステップS108において、第3の分類補正部110(抽出装置100)は、カット長分類部104に分類されたカット長があらかじめ指定された時間(例えば、2.0プラスマイナスα)を有する場合、当該カット長、すなわち第3カット長に得点の追加があるかどうかを判断する。
具体的には、第3の分類補正部110は、得点追加の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターン(得点が入ったことを表すスコアテロップT3の表示パターン)が当該カット長にあるかどうかを判断する。
【0036】
そして、上記判断の結果、得点追加の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンがなく、得点の追加がないと判断された場合(ステップS108のNo)、第3の分類補正部110は、判断対象の当該カット長の種別を「短」に補正して分類し(ステップS109)、ステップS110に進む。これにより、あらかじめ指定された時間をもつカット長(例えば、第3カット点と第4カット点との間のカット長)の種別が、「短」に補正されることになる。
【0037】
他方、得点の追加があると判断された場合(ステップS108のYes)、ステップS110に進む。なお、ステップS110に進む場合、第3の分類補正部110は、例えば、イベント開始時間IN以降の各カット点およびカット長の各分類(ステップS105、S107、S109により種別補正済みのものを含む)を、イベント終了時間抽出部111に渡す。
【0038】
ステップS110において、イベント終了時間抽出部111は、出現パターン記憶部112の出現パターン(図4)を参照して、ステップS103(ステップS105、S107、S109を含む)で分類された種別の出現パターンに対応するイベント終了時間OUTを抽出する。
例えば、抽出対象となる上記分類された種別の出現パターンが、図4(a)の出現パターンの場合、イベント終了時間抽出部111は、「長」の種別に属するカット長の終了点をイベント終了時間OUTとして抽出する。これにより、「短」や「中」「長」の種別を有するカット長から構成される一連のシーンのうちのある種別(例えば「長」)に属するカット長の終了点が、イベント終了時間OUTとして抽出される。
【0039】
その後、出力部113(抽出装置100)が、イベント終了時間抽出部111に抽出されたイベント終了時間OUTをそのイベント開始時間INとともに、外部装置(例えばコンピュータ)へ出力する。これにより、ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像のイベント終了時間OUTが外部へ出力されることとなる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によると、抽出装置100は、スポーツ映像記憶部101のスポーツ映像から、イベント開始時間IN以降のカット点を検出するカット点検出部102と、カット点検出部102に検出されたカット点間のカット長の種別をそのカット長の短長に応じて分類するカット長分類部104と、出現パターン記憶部112を参照して、分類された種別の出現パターンに対応するイベント終了時間OUTを抽出するイベント終了時間抽出部111と、イベント終了時間抽出部111に抽出されたイベント終了時間およびそのイベント開始時間INを出力する出力部113とを含む。これにより、出現パターン記憶部112の出現パターンを一連の映像シーンとした上で、その映像シーンの中から、ある時間を有するカット長の終了点(あるいは開始点)がイベント終了時間OUTとして抽出される。したがって、ダイジェスト視聴の対象となるスポーツ映像のイベント終了点を正確に抽出することができる。
【0041】
なお、本発明は、上述した実施の形態に限られず、本発明の趣旨を逸脱しない限り、そのシステム構成(データ構成を含む)および処理手順を変更してもよい。例えば、図5においては、ステップS104、S106およびS108における各判断処理が行われる場合について説明したが、ステップS103における分類処理において、分類されたカット長があらかじめ指定された時間(例えば、2.0プラスマイナスα)を有しない場合、ステップS103からステップS110へスキップしてもよい。
また、図5においては、ステップS104、S106、S108の順にステップ処理を行う場合について説明したが、これらの順序は、逆にしてもよいし、入れ替えて変更してもよい。
さらに、図5のステップS104〜S109においては、第1の分類補正部108、第2の分類補正部109および第3の分類補正部110が処理を行う場合について説明したが、例えば、そのうちの任意の1つの分類補正部が処理を行うようにしてもよいし、あるいは、任意の2つの分類補正部を組み合わせて処理を行うようにしてもよい。
【0042】
また、抽出装置100は、1台のコンピュータの場合について説明したが、複数台のコンピュータを用いて分散処理するように構成してもよい。さらに、抽出装置100は、LSI(Large Scale Integration)で実現するようにしてもよいし、1チップ化してもよい。
【0043】
さらに、スポーツ映像が、野球中継の映像の場合で説明したが、例えば、カット長の種別を決めることが可能なテロップを含むスポーツ映像であれば、アメリカンフットボールやバスケットなどのスポーツ映像に適用してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の実施の形態におけるイベント終了点抽出装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】図1のスポーツ映像記憶部のスポーツ映像の一例を示す図である。
【図3】図1の分類基準記憶部の分類基準の一例を示す図である。
【図4】図1の出現パターン記憶部の出現パターンの一例を示す図である。
【図5】図1のイベント終了点抽出装置の処理手順の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0045】
100 イベント終了点抽出装置
101 スポーツ映像記憶部
102 カット点検出部
103 カット点記憶部
104 カット長分類部
105 分類基準記憶部
106 テロップ検出部
107 テロップ記憶部
108 第1の分類補正部
109 第2の分類補正部
110 第3の分類補正部
111 イベント終了時間抽出部
112 出現パターン記憶部
113 出力部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント開始点が決定されたスポーツ映像を記憶するスポーツ映像記憶部と、
前記スポーツ映像記憶部の前記スポーツ映像から、前記イベント開始点以降のカット点を検出するカット点検出部と、
前記カット点検出部に検出された前記カット点間のカット長の種別をそのカット長の短長に応じて分類するカット長分類部と、
前記カット長の種別の出現パターンをイベント終了点に対応付けて記憶する出現パターン記憶部と、
前記出現パターン記憶部を参照して、前記分類された種別の出現パターンに対応するイベント終了点を抽出するイベント終了点抽出部と、
前記イベント終了点抽出部に抽出されたイベント終了点および前記イベント開始点を出力する出力部と、
を含む、イベント終了点抽出装置。
【請求項2】
前記カット長の種別として、前記カット長の短い順に、第1の種別、第2の種別および第3の種別があり、
前記出現パターン記憶部の前記出現パターンとして、前記イベント開始点から前記第3の種別が最初に出現するパターンが記憶され、当該第3の種別に属するカット長の終了点が前記イベント終了点として対応付けられている、
請求項1に記載のイベント終了点抽出装置。
【請求項3】
前記カット長の種別として、前記カット長の短い順に、第1の種別、第2の種別および第3の種別があり、
前記出現パターン記憶部の前記出現パターンとして、前記イベント開始点から前記第3の種別が最初に出現するまでの間に、前記第2の種別が連続して出現するパターンが記憶され、最初の前記第2の種別に属するカット長の終了点が前記イベント終了点として対応付けられている、
請求項1に記載のイベント終了点抽出装置。
【請求項4】
前記スポーツ映像記憶部の前記スポーツ映像にはテロップが含まれ、
前記スポーツ映像記憶部の前記スポーツ映像に含まれる前記テロップを検出するテロップ検出部と、
前記テロップ検出部に検出された前記テロップを記憶するテロップ記憶部と、
前記カット長分類部に分類されたカット長があらかじめ指定された時間を有する場合、前記テロップ記憶部の前記テロップの表示パターンに基づいて、当該カット長の分類種別を、あらかじめ設定された種別に補正して分類する分類補正部と、をさらに含む、
請求項1ないし請求項3に記載のイベント終了点抽出装置。
【請求項5】
前記スポーツ映像が野球中継の映像の場合、
前記テロップの表示パターンとして、三振の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンがあらかじめ設定され、
前記分類補正部は、前記カット長の分類種別を補正する場合、前記三振の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンが前記カット長になければ、当該カット長の分類種別を補正する、
請求項4に記載のイベント終了点抽出装置。
【請求項6】
前記スポーツ映像が野球中継の映像の場合、
前記テロップの表示パターンとして、打者交代の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンがあらかじめ設定され、
前記分類種別補正部は、前記カット長の分類種別を補正する場合、前記打者交代の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンが前記カット長になければ、当該カット長の分類種別を補正する、
請求項4に記載のイベント終了点抽出装置。
【請求項7】
前記スポーツ映像が野球中継の映像の場合、
前記テロップの表示パターンとして、得点追加の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンがあらかじめ設定され、
前記分類種別補正部は、前記カット長の分類種別を補正する場合、前記得点追加の映像シーンを示唆する特定のテロップの表示パターンが前記カット長になければ、当該カット長の分類種別を補正する、
請求項4に記載のイベント終了点抽出装置。
【請求項8】
イベント開始点が決定されたスポーツ映像を記憶するスポーツ映像記憶部を含むコンピュータに用いられるイベント終了点抽出方法であって、
前記コンピュータは、
前記スポーツ映像記憶部の前記スポーツ映像から、前記イベント開始点以降のカット点を検出するステップと、
前記検出した前記カット点間のカット長の種別をそのカット長の短長に応じて分類するステップと、
前記カット長の種別の出現パターンをイベント終了点に対応付けて記憶する出現パターン記憶部を参照して、前記分類した種別の出現パターンに対応するイベント終了点を抽出するステップと、
前記抽出したイベント終了点および前記イベント開始点を出力するステップと、
を含む、イベント終了点抽出方法。
【請求項9】
前記スポーツ映像記憶部の前記スポーツ映像にはテロップが含まれ、
前記コンピュータは、
前記スポーツ映像記憶部の前記スポーツ映像に含まれる前記テロップを検出するステップと、
前記カット長分類部に分類されたカット長があらかじめ指定された時間を有する場合、前記検出したテロップの表示パターンに基づいて、当該カット長の分類種別を補正してその種別を分類するステップと、をさらに含む、
請求項8に記載のイベント終了点抽出方法。
【請求項10】
請求項8または請求項9に記載のイベント抽出方法をコンピュータに実行させるための抽出プログラム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−335984(P2007−335984A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−162591(P2006−162591)
【出願日】平成18年6月12日(2006.6.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】