説明

イミダゾールを含有するインクジェットインク配合物

インクジェットプリンタと組み合わせて使用するためのインクは、着色剤、1:4(重量/重量)から4:1(重量/重量)の範囲の比で1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールを含む液体ビヒクル、ならびに/または0.1重量%〜6重量%の量のイミダゾールを包含する混合物を含み、前記インクに対して以下の向上:印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、媒体上に印刷されたインクの環境ロバスト性、および所望の範囲内でのインクのpHの維持の補助のうちの少なくとも1つを提供する可能性がある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
インクジェット技術において、高解像度画像の画像品質は、画像を生じさせるために使用されるインクジェットインクと、画像がその上に印刷されるプリント媒体との両方に関係しうる。インクジェット印刷では、マイクロプロセッサーが発する電気信号に応答して、インクの液滴がプリントヘッドから放出され、紙またはポリマー基材などの印刷媒体に堆積して、所望の画像を形成する。
【背景技術】
【0002】
例えば、熱インクジェットプリンタ、大型プロッター、圧電プリンタ、大判プロッター、レーザープリンタ、銀塩グレード写真画像装置などのデジタル画像形成装置の使用が、近年増大している。この増大は、費用の相当な低下および使用の容易さと結びついた印刷解像度および印刷品質全体のかなりの改善のおかげである。今日の画像形成装置は、多くの商業的、事務的および家庭的用途のために、以前に提供されたものよりも低い費用で、許容可能な印刷品質を提供している。
【0003】
知覚される色品質を、当分野で良く知られている通り、CIELABまたはMunsellなどのいくつかの色空間系のうちの任意のものを使用して特徴づけることができる。Munsell色空間では、所定の色を3つの用語、つまり、色相、明度および彩度を用いて定義する。CIELAB色空間では、色を3つの用語:L、aおよびbを用いて定義する。この系では、Lは、色の明るさを定義し、その範囲は、0から100までである(ここで、100は、白である)。加えて、aおよびbの用語は共に、色相を定義し、ここで、aは、マイナスの数(緑)からプラスの数(赤)までの範囲であり、bは、マイナスの数(青)からプラスの数(黄)までの範囲である。当業者に知られている通り、h(色相角)およびC(彩度)などの追加的な用語が、所定の色をさらに記載するために使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
通常、カラーインクジェット印刷のための結果のよいインクは、次の特性を有するべきである:良好な耐クラスティング性、良好な安定性、適切な粘度、適切な表面張力、良好な色間にじみ軽減、迅速な乾燥時間、媒体との良くない反応がないこと、消費者の安全性、および低いしみ通し。熱インクジェット系に入れる場合、インクセットはまた、耐コゲーション性であるべきでもある。しかしながら、良好な彩度、色域、色相角および環境ロバスト性(robustness)(例えば、空気堅牢性、光堅牢性、水堅牢性)を有する単一のインクジェット着色剤および/またはインクは、そのインクの他の着色剤および/または成分と共に、または組み合わせて使用される他のインクと共に使用するために必ずしもいつも最適であるとは限らない。言い換えると、個々の着色剤および/またはインク(例えば、シアン、マゼンタまたはイエローインク)は、独立に許容可能な色品質を有するべきであるだけでなく、また、染料および/またはインクセットの一部として使用する場合にも良好に機能すべきである。したがって、個々で、ならびに他の染料およびインクと組み合わせて使用された場合にも、改善された印刷品質、信頼性および環境ロバスト性を有する、インクジェット印刷において使用するための着色剤およびインクを提供することが望ましい。
【0005】
高解像度画像を印刷する場合、重大な問題、つまり、色品質および画像性能の問題、即ち、画像品質がどのくらい持続するのかという問題が生じる。現在市販されている多くの印刷媒体では、印刷画像は一般に、画像性能に関して望ましくない特性を示す。このような望ましくない特性の一つは、漸進的な染料退色であり、これは時によって、多孔性媒体に染料ベースのインクジェットインクが印刷されたときに観察される。このような退色は、空気によって、より詳細には、空気中の少量のオゾンにより生じる。時間をかけて、オゾンは、インクジェットインク中で一般に使用されている多くの染料と反応して、それらを分解し、その意図されている色特性を失わせるか、減ずるようである。オゾンがインクジェットインク染料と反応すると、所定の染料の意図されている色特性は、可視スペクトルに沿って、他の波長値にシフトしうることが観察されている。この作用により、印刷画像の知覚色において、本来意図されていた色からの漸進的な変化、即ち、色シフトが生じる。例えば、「赤シフト」は、シアン染料の酸化により生じる。赤シフトを緩和するための既存の技術は、ガラスの下でディスプレイすることなどにより、印刷を大気への曝露から保護することを含む。染料退色および色シフトは、ある種の染料では、他の場合よりも、より大きな問題である。シアン染料は、空気中のオゾンの存在により、他の染料が影響を受けるよりも、より大規模に影響を受ける傾向にある。
【0006】
既存のインクジェットインクと印刷媒体との組合せに伴う欠点のうちのいくつかは、膨潤写真媒体上でのブロンズ光沢、多孔性写真媒体上での曇りおよび湿潤色相シフト、ならびに色にじみを特に包含する。「ブロンズ光沢」は、反射光で印刷サンプルに現れる、典型的には、赤褐色として現れる光沢光輝を指している。これは、シアン染料に随伴する傾向がある。ブロンズ光沢を緩和する方法の1つは、インクのpHを上げることである。インクのpHの上昇には、それ自体の欠点があり、生じるインクは、プリントヘッドを劣化させうる。所望の色品質を損なう他の化学反応が、貯蔵の間にインク組成物中で起こりうる。インクジェットインク組成物は、安定で、貯蔵数ヶ月の後、さらに当初使用および空気への曝露後のある期間は、所望の色を生じなければならない。生じる多孔性写真媒体の問題は、多孔性写真媒体上での曇りおよび湿潤色相シフト、ならびに色にじみを特に包含する。
【0007】
「湿潤色相シフト」は、インク中に存在するインクおよび/または着色剤が、媒体基材の印刷されていないか、印刷されている隣接領域へ望ましくなく移るか、または広がる傾向を指している。湿潤色相シフトは典型的には、印刷されたインクが基材上で十分に乾燥する前か、または湿潤条件に曝露されている時にインクを印刷した後に生じる。「プリント品質」は通常、特に着色インクでのブロンズ光沢、湿潤色相シフトおよび/またはインクジェット印刷されたマークのにじみなどを包含するが、それらに限定されない、欠点のレベルを指している。
【0008】
pHの僅かな変化でさえ一部の着色剤(例えば、染料)を沈殿させうるので、様々な緩衝剤またはpH調節剤がしばしば、インクジェットインク組成物中において使用される。典型的な緩衝剤は、Sigma−Aldrich Corp.(Milwaukee、Wis.)から入手可能なTrizma Base;4−モルホリンエタンスルホン酸(「MES」);4−モルホリンプロパンスルホン酸(「MOPS」);およびベータ−ヒドロキシ−4−モルホリンプロパン−スルホン酸(「MOPSO」);水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属およびアミンの水酸化物;クエン酸、硝酸、塩酸、酢酸、硫酸;トリエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジメチルエタノールアミンなどのアミン;ならびに他の塩基性または酸性成分などのpH調節溶液を包含する。使用される場合、緩衝剤は典型的には、インクジェットインク組成物の約10重量%までを構成する。
【0009】
しばしば、様々な塩がにじみを調節するために、特に、普通紙媒体に印刷するために、インクジェットインク組成物中において使用される。塩の存在により、一部の着色剤(例えば、染料)が沈殿しうる。インクジェットインク中における塩と印刷媒体とを併用することに随伴する欠点のうちのいくつかは、膨潤写真媒体上でのブロンズ光沢、多孔性写真媒体上での曇りおよび湿潤色相シフトを特に包含する。塩含有インクとインクジェットペンとの組合せに随伴する欠点のうちのいくつかは、ペン信頼性の低下、デキャップ時間の低下およびペンの環境ロバスト性の低下を包含する。典型的なにじみ調節剤は、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムなどの多価塩およびこれらの組合せを包含する。使用される場合、にじみ調節剤は典型的には、インクジェットインク組成物の約5重量%までを構成する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
インクジェットプリンタと組み合わせて使用するためのインクは、着色剤;1:4(重量/重量)から4:1(重量/重量)の範囲の比で1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールを含む液体ビヒクル、ならびに/または0.1から6重量%(インクの重量に対して)の範囲の量のイミダゾールを含む混合物を含み、インクに対して下記の向上のうちの少なくとも1つをもたらす可能性がある:印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、媒体上の印刷インクの環境ロバスト性、および所望の範囲内でのインクのpHの維持の補助。
【0011】
本発明の例示的実施態様を詳述するために、添付の図面への参照を行う。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、本発明の実施態様によるインクジェットインク組成物を形成するためのプロセスを示す流れ図である。
【図2】図2は、本発明の実施態様によるイミダゾール含有インクジェットインクを含む印刷媒体の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
特定の構成成分を指すために、次の記載および請求項にわたってある種の用語を使用する。コンピューター会社によって、ある成分を異なる名称で称することがあることは、当業者であれば認めるであろう。この文献は、名称は異なるが、機能が異ならない成分を区別することは意図していない。
【0014】
次の詳解および請求項では「包含する(including)」および「含む(comprising)」との用語は、オープンエンド式で使用されているので、「これらに限定されないが、〜を含む」を意味すると解されるべきである。同様に、単数形「a」、「an」および「the」は、内容が別段に明確に指示していない限り、複数の指示物を包含する。したがって、例えば、「a dye」に対する言及は、1種またはそれ以上のこのような物質に対する言及を包含する。
【0015】
「インク」または「インクジェットインク」は、液体ビヒクルおよび着色剤、例えば、染料もしくは染料の組合せ、または顔料もしくは顔料の組合せ、または分散染料もしくは分散染料の組合せ、または顔料もしくは分散染料を伴う染料、または染料および/または顔料および/または分散染料の任意の組合せを含むことができる液体溶液または分散液組成物を指している。液体ビヒクルは、幅広い範囲の溶液特性を介して染料と共に安定であるように構成されていてよく、インクジェット印刷のために構成されていてよい。
【0016】
本明細書で使用される場合、「液体ビヒクル」は、着色剤を基材に運ぶために使用できる液体組成物を包含すると定義される。液体ビヒクルは、当分野でよく知られていて、幅広い様々なインクビヒクルを、本発明の様々な実施態様により使用できる。このようなインクビヒクルは、界面活性剤、溶媒、補助溶媒、緩衝剤、殺生物剤、粘度調節剤、金属イオン封鎖剤、安定剤および水を限定すること無く包含する様々な異なる薬剤の混合物を包含できる。液体ビヒクルはまた、特定の実施態様では、ポリマー、UV硬化性物質および/または可塑剤などの他の添加物を運ぶこともできる。
【0017】
「媒体基材」または「基材」は、その上にインクを受けることができる任意の基材を包含し、紙、オーバーヘッド・プロジェクター用プラスチックまたはフィルム、写真基板などのコーティング紙、布、水彩画用紙などのアート紙、光ディスクなどを包含しうる。
【0018】
「多孔性媒体」は、本発明の実施態様によるインクジェットインクを吸収しうる表面ボイドおよび/またはキャビティを有する任意の実質的に無機の微粒子含有コーティング媒体を指す。典型的には、多孔性媒体には、基材および多孔性インク受容層が包含される。インクが多孔性媒体上に印刷されると、インクはボイドを満たし、最外表面は、慣用または膨潤性の媒体の場合においてよりも迅速に、触れられるほどに乾燥しうる。写真は典型的には、通常、金属または半金属酸化物(例えば、シリカまたはアルミナ)などの無機粒子およびポリマーバインダーを含有するコーティングを有し、ある種の染料種を誘引する媒染剤またはイオン結合種を包含しうる膨潤性媒体上に印刷される。
【0019】
数値または数値範囲に言及する場合の「約」との用語は、測定を行う場合に発生しうる実験誤差から生じる値を包含することが意図されている。
【0020】
本明細書において、濃度、量、測定および他の数値データが、範囲形式で表されていることがある。このような範囲形式は、単に簡便さおよび簡潔さのために使用されており、範囲限界として明確に挙げられている数値のみでなく、各数値およびサブ範囲が明確に挙げられているかのように、その範囲内に包含される個々の数値またはサブ範囲の全てを包含すると柔軟に解釈されるべきであることを理解されたい。例えば、約1重量%から約20重量%の重量範囲は、1重量%から約20重量%の明確に挙げられている濃度限界のみを包含するのではなく、2重量%、3重量%、4重量%などの個々の濃度および5重量%から15重量%、10重量%から20重量%などのサブ範囲も包含すると解釈されるべきである。この同じ原理が、数値を1つだけ挙げている範囲にも当てはまる。例えば、「約5重量%未満」として挙げられている範囲は、0重量%から5重量%の値およびサブ範囲の全てを包含すると解釈されるべきである。さらに、このような解釈は、記載されている範囲または特性の幅に関わりなく、適用されるべきである。
【0021】
また、濃度、量および他の数値データが本明細書中で明示または表示され、インク配合物中に存在する「インク成分の比」として詳解されていることがある一方で、このような比および比範囲は、簡便さおよび簡潔さのために使用されていて、したがって、比の範囲の限界として明確に挙げられている数値範囲だけを包含するのではなく、各数値およびサブ範囲が明確に挙げられているかのように、その範囲内に包含される個々の数値またはサブ範囲の全ても包含されると柔軟に解釈されるべきであることを、当業者であれば理解すべきである。例えば、「1:4から4:1の比」または「1:4から4:1の範囲の比」として挙げられている範囲は、.20、.50、.60、.70および.80を包含する比などの値およびサブ範囲の全てならびに1:4から4:1の間の全ての値を包含すると解釈されるべきである。
【0022】
インクジェット印刷(例えば、圧電および熱インクジェット装置のいずれか、または両方)で使用するためのインクジェットインク組成物、印刷画像を形成するための方法、および印刷画像が開示されている。本インクは通常、着色剤、液体ビヒクル、イミダゾール、および/または1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオール、ならびに任意選択で、他の添加物を包含する。本明細書で使用される場合、内容が許せば、「イミダゾール」は、イミダゾールのカチオンまたはアニオン形態などを包含するがそれらに限定されない、イミダゾールの任意の形態または水和物を指す。例えば、「イミダゾール」に対する言及は、塩酸イミダゾール、臭化水素酸イミダゾール、硫酸イミダゾリウム、炭酸イミダゾリウム、イミダゾール酸カリウム、イミダゾール酸ナトリウム、およびイミダゾールの他の形態を包含する。
【0023】
一部の実施態様では、イミダゾールは、インク中に、インクの重量に対して約0.1重量%から約6重量%の範囲の量で存在する。一部の実施態様では、イミダゾール範囲は、約0.5から2重量%である。
【0024】
一部の実施態様では、1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールは、インク中に、1:4から4:1(重量/重量)の範囲の比で存在する。一部の実施態様では、比は、1:1(重量/重量)から3:1(重量/重量)の範囲である。一部の実施態様では、比は、1:4(重量%/重量)から2:3(重量/重量)の範囲である。一部の実施態様では、1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールは併せて、インク組成物の重量の約2から35重量%を構成する。一部の実施態様では、1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールは併せて、約2から15重量%を構成し、一部の他の実施態様では、1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールは併せて、インク組成物の約8から25重量%を構成する。
【0025】
一部の実施態様では、インクジェットインクは、イミダゾールを含有し、1,6ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールが、インク中に存在する。例示的なインクの1種は、インク組成物の重量に対して0.1〜6.0重量%のイミダゾール、0.5〜7.0重量%の1,6ヘキサンジオール、および2.0〜8.0重量%の1,5ペンタンジオールを含む。他の例示的なインクは、0.5〜2.5重量%のイミダゾール、5.0〜7.0重量%の1,6ヘキサンジオール、および2.0〜5.0重量%の1,5ペンタンジオールを含む。さらに他の例示的なインクは、0.1〜6重量%のイミダゾール、5〜15重量%の1,6ヘキサンジオール、および3〜8重量%の1,5ペンタンジオールを含む。他の例示的なインクは、0.1〜6重量%のイミダゾール、0.5〜4.0重量%の1,6ヘキサンジオール、および2.0〜7.0重量%の1,5ペンタンジオールを含む。
【0026】
様々なインク組成物が、膨潤性媒体、多孔性媒体、コーティング媒体などを包含する様々な印刷可能な媒体でのインクジェット印刷に適している。多くの新規のインクは特に、家庭用および商業用プリンタを包含する画像および写真プリンタのために有用である。多くのインクが、無機多孔性粒子コーティングされた媒体(例えば、シリカおよび/またはアルミナコーティング媒体)、ポリマー膨潤性媒体(例えば、親水性ポリマーまたはゼラチンコーティング媒体)または普通紙および非コーティング紙などの紙基材に印刷するために様々に適している。使用することができる例示的なプリント媒体には、Hewlett−Packard Advanced Glossy(商標)Photo Paper、Ilford Galerie Pearl(商標)Photo Ink−jet Paper(半光沢)、Epson Premium Glossy(商標)Photo Paper、Pctorico Photo Gallery(商標)光沢紙、および様々な普通紙のうちの1種またはそれ以上が包含されるがこれらに限定されない。
【0027】
本明細書に記載のインクの多くの配合物は、画像のインクジェット印刷のために使用する場合に、今日一般に使用されている多くのインクジェットインクと比較して、ブロンズ光沢、にじみ、および湿潤色相シフトを著しく低減し、スタッキング性能を改善し、媒体に印刷されたインクの環境ロバスト性を改善し、同時に、所望の範囲内でのインクpHの維持を補助する。本明細書に記載のインクの多くの配合物は、今日一般に使用されている多くのインクジェットインクと比較して、ペン信頼性、デキャップ時間、およびペンの環境ロバスト性を著しく上昇させる。
【0028】
インク組成物
プリント媒体上に印刷された画像を形成するためにインクジェットプリンタで使用できるインク組成物は典型的には、水、着色剤、補助溶媒、界面活性剤、緩衝剤、にじみ調節剤、殺生物剤、金属イオン封鎖剤、粘度調節剤、湿潤剤、結合剤および/または他の知られている添加剤を包含することができる水性配合物または液体ビヒクル中で調製される。
【0029】
液体ビヒクルは、例えば、インク組成物の重量に対して約70重量%から約99.9重量%を構成することができる。典型的には、インク配合物中のイミダゾール以外の緩衝剤の含分は、今日使用されている多くの他のインクの組成に比べて、低減されている。イミダゾールの望ましい緩衝特性を、下記でより詳細に検討する。
【0030】
インクのためのビヒクルは、水、または水と少なくとも1種の水溶性有機溶媒との混合物を包含する水性ビヒクルを含むことができる。適切な混合物の選択は、所望の表面張力および粘度、選択された着色剤、液体の乾燥時間、ならびに液体が印刷される基材の種類などの、特定の用途の要件に依存する。本発明のインクで使用するために選択することができる一部の水溶性有機溶媒が、米国特許第5,085,698号に記載されており、その開示は、参照により本明細書に援用される。
【0031】
補助溶媒
1種またはそれ以上の溶媒または補助溶媒が、インク配合物中に、通常約1%(重量%)から約50%;約2から約45重量%、または約5から約35重量%の範囲の全量で包含されていてよい。適切な補助溶媒は、水溶性有機補助溶媒、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリ(グリコール)エーテル、N−アルキルカプロラクタム、非置換カプロラクタム、置換および非置換の両方のホルムアミド、置換および非置換の両方のアセトアミド、長鎖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、グリコールブチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、有機硫化物、オルガノスルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル誘導体、アミノアルコール、およびケトンが包含される。例えば、補助溶媒は、炭素30個もしくはそれ以下の第1級脂肪族アルコール、炭素30個もしくはそれ以下の第1級芳香族アルコール、炭素30個もしくはそれ以下の第2級脂肪族アルコール、炭素30個もしくはそれ以下の第2級芳香族アルコール、炭素30個もしくはそれ以下の1,2−ジオール、炭素30個もしくはそれ以下の1,3−ジオール、炭素30個もしくはそれ以下の1,5−ジオール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルの高級同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルの高級同族体などを包含しうる。本発明の実施の際に好ましく採用される補助溶媒の具体的な例は、1,6−ヘキサンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリジノン、1,2−(ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、トリメチロールプロパン(EHPD)、およびテトラエチレングリコールを包含するが、それらに限定されない。
【0032】
目詰まりを最小化させるためにインクジェット中の水の蒸発率、または粘度、pH、表面張力、光学密度および印刷品質などのインクの他の特性を所望通りに低下または向上させるよう、選択された補助溶媒を加え得る。また、当分野で知られている通り、複数の補助溶媒を使用することもできる。インクを配合する際に使用可能なインクビヒクル配合物の例は、約1%(重量%)から約50%;約2から約45重量%、または約5から約35重量%の範囲の(全)量の1種またはそれ以上の溶媒または補助溶媒を包含する。
【0033】
にじみ調節剤
一部の実施態様では、にじみ調節剤が、インクジェットインク組成物の約5重量%までを構成する量で使用される。数種の適切なにじみ調節剤は、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウムなどの多価塩、および、これらもしくは他の塩の任意のものの組合せからなる。
【0034】
緩衝剤
様々な緩衝剤またはpH調節剤もまた、インクジェットインク組成物中に包含させるために選択できる。典型的な緩衝剤は、Sigma−Aldrich Corp(Milwaukee,Wis.)から入手可能なTrizma Base;4−モルホリンエタンスルホン酸(「MES」);4−モルホリンプロパンスルホン酸(「MOPS」);およびベータ−ヒドロキシ−4−モルホリンプロパンスルホン酸(「MOPSO」);水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのアルカリ金属およびアミンの水酸化物;クエン酸、硝酸、塩酸、酢酸、硫酸;トリエタノールアミン、ジエタノールアミンおよびジメチルエタノールアミンなどのアミン、ならびに他の塩基性または酸性成分などのpH調節溶液を包含する。使用される場合、緩衝剤は典型的には、インクジェットインク組成物の約10重量%までを構成する。
【0035】
緩衝剤とにじみ調節剤とは両方とも、インクジェット印刷された画像のブロンズ光沢、デキャップ時間の低減、信頼性およびインクジェットインク中の一部の着色剤での環境ロバスト性に寄与する可能性がある。インクジェットインク印刷性能は、個々に、さらに相乗的に、および他の1種または複数の着色剤および1種または複数のインクと組み合わされて使用される場合に、印刷品質、ペン信頼性性能、およびペン中のインクと媒体上に印刷されたインクとの両方の環境ロバスト性を改善する1種または複数の着色剤および1種または複数のインクにより影響を受ける。多くの実施態様では、最適化された配合アプローチを使用して、特定のインクでのターゲットpHを達成するが、これは、そのインク中に存在する1種または複数の着色剤およびインク配合物成分、ならびに、対象インクと共に、またはそれに隣接して印刷される1種または複数の他のインク中の選択された1種または複数の着色剤およびインク配合物成分、ならびに、他の問題(例えば、プリント媒体、ペン信頼性など)を考慮に入れる。
【0036】
一部のインク配合物では、インクのにじみ調節または光学密度特性にも、ペン信頼性、デキャップ時間または環境ロバスト性にも実質的に干渉しない少量の緩衝剤を選択することが望ましい。慣用のインクジェットインクでは、緩衝剤は典型的に、インクジェットインク組成物の10重量%までを構成する。対照的に、本発明のイミダゾールで緩衝される組成物の多くの実施態様は、通常、0から2.5重量%の範囲に減ぜられた量の他の緩衝剤を含有する。
【0037】
他の添加剤
様々なタイプの添加剤をインク(または性能を最適化する液体ビヒクル)中で使用して、特定の用途のためにインク組成物の性能を最適化することができる。インク組成物の残りは主に、水であるが、しかしながら、界面活性剤、湿潤剤、抗コゲーション添加剤、防食剤、ポリマー、防腐剤、微生物の成長を阻害する殺生物剤(Avecia Incorporatedから入手可能な防腐剤PROXEL(商標)GXLなど);重金属不純物の有害な作用を除くEDTAなどのキレート剤(または金属イオン封鎖剤);およびインク組成物の様々な特性を改善するために加えることができる粘度調節剤を包含する他の独立に選択される成分が、一部の実施態様において包含されてよい。
【0038】
一実施態様では、インクのうちの少なくとも1種(例えば、シアンインク)がさらに、CA Index名称でエタンスルホン酸、2,2’−[1,3−フェニレンビス[イミノ[6−[ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノ]−1,3,5−トリアジン−4,2−ジイル]イミノ]]ビス−、二ナトリウム塩を有しているフェニレンジアミン化合物をさらに包含してよい。フェニレンジアミン化合物の存在は、抗凝集剤として作用して、インク中の染料の望ましくない凝集を低減する。一実施態様では、ジフェニルアミン添加剤は、特に、膨潤性媒体上に印刷された画像の品質を、印刷媒体上でのインクの凝集およびブロンズ光沢を低減することにより改善する。このフェニレンジアミン化合物は、欧州特許公開番号1514913A2にさらに記載されている。一実施態様では、存在する場合、フェニレンジアミン化合物を各インクに、通常は、インクの全重量に対して、約0.2から約10重量%、約0.5から約5重量%、約1.5から約2.5重量%の範囲の量で加えることができる(フェニレンジアミン化合物での重量%数値は、活性成分%で補正されている)。
【0039】
界面活性剤
適切なアルキルポリエチレンオキシド、アルキルフェニルポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシドブロックコポリマー、アセチレン系ポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド(ジ)エステル、ポリエチレンオキシドアミン、プロトン化ポリエチレンオキシドアミン、プロトン化ポリエチレンオキシドアミド、ジメチコーンコポリオール、置換アミンオキシドなど、さらに、少なくとも一部が、構造:
【化1】

〔式中、
およびQは独立に、H、SO、COOおよびCOOHからなる群から選択され、ここで、Wは、NH、Li、NaおよびKからなる群から選択され;
およびRは独立に、HおよびOHからなる群から選択され;
およびRは独立に、O(CH−(CF−CFからなる群から選択され、ここで、m=1〜3およびn=0〜3であり;
は、(CHおよび
【化2】

からなる群から選択され;
L=1〜4;x=1〜10;y=1〜30;およびz=1〜10である〕
を有するオキセタン化学に基づいて製造されたポリマーから形成されたものなどのフッ化炭化水素界面活性剤などの1種またはそれ以上の界面活性剤が、インク配合物中に包含されていてよい。
【0040】
一実施態様では、オキセタン系フッ化炭化水素界面活性剤は、L=4;m=1;n=1およびRおよびR=Hを有する少なくとも1種のポリマー物質から形成される。
【0041】
適切なオキセタン系フッ化炭化水素界面活性剤の例は、PolyFox(登録商標)フッ化炭化水素界面活性剤の名称でOmnova Solutions,Inc.(Fairlawn、Ohio所在)などの会社から通常は入手可能なものを包含するが、それらには限定されない。例示的なPolyFox(登録商標)界面活性剤は、PolyFox PF−136A、PolyFox PF−151N、PolyFox PF−154N、およびPolyFox PF−156A、PolyFox AT−1121を包含する。
【0042】
非イオンおよび両性界面活性剤の例は、Dow Chemical(Midland、Mich.)から入手可能なアルキルポリエチレンオキシドであるTERGITOL(登録商標)化合物;Rohm&Haas Co.(Philadelphia、Pa.)から入手可能なアルキルフェニルポリエチレンオキシド界面活性剤であるTRITON(登録商標)化合物;ICI Americas(Wilmington、Del.)から入手可能なBRIJ(登録商標)化合物;ポリエチレンオキシド/ポリプロピレンオキシドブロックコポリマーであるPLURONIC(登録商標)化合物;Air Products(Allentown、Pa.)から入手可能なアセチレン系ポリエチレンオキシドであるSURFYNOL(登録商標)化合物;Dow Chemical Companyから入手可能なジフェニルスルホナート誘導体のDOWFAX(商標)ファミリーおよびCroda Incorporatedから入手可能なリン酸エステルのCRODAFOS(商標)ファミリーのメンバーなどのアニオン界面活性剤;ポリエチレンオキシド(「POE」)エステル;POEジエステル;POEアミン;POEアミド;ならびにジメチコーンコポリオールを包含する。
【0043】
着色剤
イミダゾール含有インク組成物の多くで使用される着色剤は、既知の染料である。様々なインクジェットインク染料では、任意の適切なカチオン染料またはアニオン染料を使用することができる。代表的なアニオン染料の1種は、懸垂アニオン基を有する発色団である。任意の有効量の染料を使用することができるが、好ましくは、アニオン染料は、インク組成物中に、約0.1重量%から約10重量%の範囲の量で存在する。
【0044】
使用することができる適切なアニオン染料の例は、多数の水溶性酸性染料および直接染料が包含するがこれらに限定されない。アニオン染料の具体的な例は、Direct Yellow86、Direct Yellow132、Acid Red249、Direct Blue199、Direct Black168、Reactive Black31、Direct Yellow157、Reactive Yellow37、Acid Yellow23、Reactive Red180、Acid Red52、Acid Blue9、Direct Red227、Acid Yellow17、Direct Blue86、Reactive Red4、Reactive Red56、Reactive Red31、およびDirect Yellow132;Aminyl Brilliant Red F−B(住友化学株式会社);Hoechstから入手可能な「無塩」染料のDuasynライン;これらの混合物などを包含する。さらなる例は、Bernacid Red2BMN、Pontamine Brilliant Bond Blue A、BASF X−34、Pontamine、Food Black2、Levafix Brilliant Red E−4B(Mobay Chemical)、Levafix Brilliant Red E−6BA(Mobay Chemical)、Pylam Certified D&C Red#28(Acid Red92、Pylam)、Direct Brill Pink B Ground Crude(Crompton&Knowles)、Cartasol Yellow GTF Presscake(Sandoz,Inc.)、Tartrazine Extra Conc.(FD&C Yellow#5、Acid Yellow23、Sadoz,Inc.)、Cartasol Yellow GTF Liquid Special110(Sadoz,Inc.)、D&C Yellow#10(Yellow3、Tricon)、Yellow Shade16948(Tricon)、Basacid Black X34(BASF)、Carta Black 2GT(Sandoz,Inc.)、Neozapon Red492(BASF)、Orasol Red G(Ciba−Geigy)、Direct Brilliant Pink B(Crompton−Knolls)、Aizen Spilon Red C−BH(Hodagaya Chemical Company)、Kayanol Red 3BL(日本化薬株式会社)、Levanol Brilliant Red 3BW(Mobay Chemical Company)、Levaderm Lemon Yellow(Mobay Chemical Company)、Aizen Spilon Yellow C−GNH(Hodagaya Chemical Company)、Spirit Fast Yellow 3G、Sirius Supra Yellow GD167、Cartasol Brilliant Yellow 4GF(Sandoz)、Pergasol Yellow CGP(Ciba−Geigy)、Orasol Black RL(Ciba−Geigy)、Orasol Black RLP(Ciba−Geigy)、Savinyl Black RLS(Sandoz)、Dermacarbon 2GT(Sandoz)、Pyrazol Black BG(ICI Americas)、Morfast Black Conc A(Morton−Thiokol)、Diazol Black RN Quad(ICI Americas)、Orasol Blue GN(Ciba−Geigy)、Savinyl Blue GLS(Sandoz,Inc.)、Luxol Blue MBSN(Morton−Thiokol)、Sevron Blue 5GMF(ICI Americas)、およびBasacid Blue750(BASF);Levafix Brilliant Yellow E−GA、Levafix Yellow E2RA、Levafix Black EB、Levafix Black E−2G、Levafix Black P−36A、Levafix Black PN−L、Levafix Brilliant Red E6BA、およびLevafix Brilliant Blue EFFA(全て、Bayerから入手可能);Procion Turquoise PA、Procion Turquoise HA、Procion Turquoise Ho5G、Procion Turquoise H−7G、Procion Red MX−5B、Procion Red MX8B GNS、Procion Red G、Procion Yellow MX−8G、Procion Black H−EXL、Procion Black P−N、Procion Blue MX−R、Procion Blue MX−4GD、Procion Blue MX−G、およびProcion Blue MX−2GN(全て、ICI Americasから入手可能);Cibacron Red F−B、CibaCron Black BG、Lanasol Black B、Lanasol Red 5B、Lanasol RedB、およびLanasol Yellow 46(全て、Ciba−Geigyから入手可能);Baslien Black P−BR、Baslien Yellow EG、Baslien Brilliant Yellow P−3GN、Baslien Yellow M−6GD、Baslien Brilliant Red P−3B、Baslien Scarlet E−2G、Baslien Red E−B、Baslien Red E−7B、Baslien Red M−5B、Baslien Blue E−R、Baslien Brilliant Blue P−3R、Baslien Black P−BR、Baslien Turquoise Blue P−GR、Baslien Turquoise M−2G、Baslien Turquoise E−G、およびBaslien Green E−6B(全て、BASFから入手可能);Sumifix Turquoise Blue G、Sumifix Turquoise Blue H−GF、Sumifix Black B、Sumifix Black H−BG、Sumifix Yellow 2GC、Sumifix Supra Scarlet 2GF、およびSumifix Brilliant Red 5BF(全て、住友化学株式会社から入手可能);Intracron Yellow C−8G、Intracron Red C−8B、Intracron Turquoise Blue GE、Intracron Turquoise HA、およびIntracron Black RL(全て、Crompton and Knowles,Dyes and Chemicals Divisionから入手可能);Pro−Jet485(銅フタロシアニン);Magenta377;Yellow 1189;これらの混合物などを包含する。このリストは、単なる例示を意図していて、限定と見なされるべきではない。同様に、多数のカチオン染料を使用することができる。
【0045】
別法では、任意の他の適切な染料および/または顔料を、本発明のインク中で使用することができる。ある種の染料は、その開示が参照により本明細書に援用される、同時出願され、共通所有されている、「インクジェット画像のためのマゼンタインクおよびインクセット」と題する米国特許出願第 (代理人整理番号200603097−1)に記載されている。イミダゾールおよび/または1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールが、本発明のインクの配合物中に包含される。多くの従来のインクジェットインクのブロンズ光沢、にじみ、湿潤色相シフト、曇りおよび低いスタッキング性能ならびに他の欠点は、有効量のイミダゾール(即ち、約0.1重量%から6重量%の範囲で)または1:4から4:1の範囲の比の1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールをインク中に包含させることにより、または、これら全ての組合せをインク配合物中に包含させることにより、低減される可能性があることを見出した。
【0046】
マゼンタ染料
インクジェット印刷において使用するための新規インクの一部で使用するための例示的な着色剤は、第1のマゼンタ染料および第2のマゼンタ染料を包含する。第1のマゼンタ染料は、式1:
【化3】

の構造を有し、
式1中、R21、R23、R25、R27、R29およびR31は独立に、水素原子またはスルホナート基であり、R22は、水素原子またはニトロ基であり、R26およびR28は独立に、水素原子またはメチル基であり、R24およびR30は独立に、メチルまたはスルホナート基であり、R32は、メチルまたはメトキシ基である。
【0047】
一実施態様では、式1中、R21、R23、R27、およびR31は、スルホナート基であってよく、R22、R25およびR29は、水素原子であってよく、R24、R26、R28、R30およびR32は、メチル基であってよい。他の実施態様では、スルホナート基は、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムの塩またはこれらの混合物であってよい。さらに他の実施態様では、スルホナート基は、カリウムの塩であってよい。
第2のマゼンタ染料は、式2:
【化4】

の構造およびその塩を有することができ、式中、Qは、リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムまたはその混合物である。
【0048】
上記式2は、酸形態で示されているが、これはまた、ナトリウムまたはアンモニウムの塩を包含するがこれらに限定されない塩形態を使用することができることを特記する。これら2種のタイプの染料の他に、他のマゼンタおよび非マゼンタ染料もまた、マゼンタインクジェットインク中に存在してもよい。
【0049】
シアン染料
インクジェット印刷において使用するためのインクは、1種またはそれ以上のシアン、マゼンタ、またはイエローインク(着色インク)を含むことができ、当該着色インクがブラックインクと接触すると、ブラック自己分散顔料を沈殿させて、ブラックが色にじみするのを緩和するのに役立つ少なくとも1種の塩を包含する。使用することができるシアンインクには、式3:
【化5】

の構造を伴う染料が包含され、式中、Mは、水素原子または金属原子(またはそのオキシド、ヒドロキシド、もしくはハライド)を表し、Pは、フタロシアニン核を表す。RおよびRは、それぞれ独立に、−SOX、−SO、SONX、−SOの群から選択される置換基を表し、ここで、X、X、XおよびXは、それぞれ独立に、水素原子、置換もしくは非置換アルキル基、置換もしくは非置換アリール基、または置換もしくは非置換複素環式基を表す。RまたはRのうちの少なくとも一方は、置換基としてイオン親水基を有する。加えて、kおよびlは、それぞれ独立に、1から3の範囲の整数を表す。典型的に、kおよびlは、それぞれ独立に、k+lが4に等しいように選択される。加えて、Rは、−SO−(CH−SOZ、または−SO−(CH2)−SOZであってよく、Rは、−SO−(CH−SONH−COCOH、または−SO−(CH−SONH−CHCH(OH)CHであってよい。これらの実施態様中、Zは、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウムまたはその混合物であってよい。まだ他の実施態様では、Zは、リチウムまたはカリウムであってよい。さらなる実施態様では、Zは、リチウムであってよい。具体的な一実施態様では、Rは、−SO−(CH2)−SOZであってよく、Rは、−SO−(CH−SONH−CHCH(OH)CHであってよく、kは、3であってよく、Zは、リチウムであってよい。
【0050】
シアンインクはまた、追加の染料または着色剤を包含することができる。一実施態様では、シアンインクは、Direct Blue199(DB199)、Direct Blue86(DB86)、Direct Blue87(DB87)、Direct Blue307(DB307)またはAcid Blue9(AB9)などの少なくとも1種の追加染料をさらに包含する。他の実施態様では、シアンインクは、AB9、またはAB9のナトリウムもしくはリチウム塩を包含する。他の実施態様では、AB9をシアンインクに、約0.01から約1重量%、約0.05から約0.5重量%または約0.07から約0.4重量%の量で加える。
【0051】
下記の表1は、置換基RおよびRがそれぞれ、β位で導入されている例示的なフタロシアニン染料を示している。しかしながら、ある例示的染料がβ位にR置換基を有するとしても、これを含有する染料およびインクがさらに、α位などの異なる位置にR置換基を伴う同じ塩基性核を包含してもよいことを、当業者であれば理解すべきである。表1に示されている例示的染料では、Mは、銅(Cu)である。
【0052】
【表1】

【0053】
顔料が媒体基材上で塩と接触したときに、ブラックインク中の顔料を沈殿させるために、様々な塩を上記実施態様で使用することができる。ブラックインク中の自己分散顔料が、少なくとも1種の色(例えば、シアン、マゼンタ、イエロー)インク中に存在する多価(無機または有機)塩と相互作用すると、沈殿が生じうる。一部の実施態様では、追加のにじみ調節剤が、インクジェットインク組成物の約5重量%までを構成する量で包含される。適切なにじみ調節剤は、硝酸カルシウム、塩化カルシウム、酢酸カルシウム、硝酸マグネシウム、塩化マグネシウム、酢酸マグネシウム、硫酸マグネシウムおよびこれらの任意の組合せからなる。
【0054】
イエローインク
インクジェットインクで使用することができる着色剤のさらに他の種類は、少なくとも1種のアゾイエロー染料を包含し、そのうちの1種は、式4:
【化6】

の構造を有する。
【0055】
抗凝集剤
様々な新規のインクジェットインクは、式5:
【化7】

の構造を有するフェニレンジアミン化合物などの抗凝集剤物質を包含する。
上記式5では、この化合物は、Mが、リチウムまたはナトリウムなどであるがこれらに限定されない、一価カチオンである塩であってよい。
【実施例】
【0056】
新規のインク組成物の例を、下記に説明する。これらの実施例は、単なる例示であって、請求項を制限することは決して意図されていない。
【0057】
インクジェットインクは、選択される着色剤に応じて、シアン、マゼンタ、イエローまたは任意の他の色であってよい。各インクは、1種またはそれ以上の着色剤を、独立に選択可能な濃度、色相、明度および彩度で包含してよい。必要な場合には、インクの特異的なpH要件に応じて、水酸化カリウムまたは硝酸などの幅広い様々な適切なpH調節剤のうちのいずれかを用いて、インクのpHが調節される。
【0058】
本発明のインク中の染料または他の着色剤は、約0.1重量%から約10重量%の範囲の量で存在する。一部の実施態様では、これらは、インクの全重量に基づいて、約0.5重量%から約8重量%の範囲であり、さらに他の実施態様では、染料または他の着色剤は、約1重量%から約6重量%の範囲である。各インク中に存在する染料の量は、各染料で、さらに各インクで独立していることを特記する。例えば、マゼンタ染料は、3.5重量%の式1および2重量%の式2を含有してよいか、またはシアンインクは、4重量%の式3)を有してよい。式1〜5の染料を、下記でより詳細に記載する。
【0059】
抗凝集性フェニレンジアミン化合物の存在は、抗凝集剤として作用して、インク中の染料の望ましくない凝集を低減しうる。一実施態様では、フェニレンジアミン添加剤は、印刷媒体上のインクの凝集およびブロンズ光沢を低減することにより、特に膨潤媒体上で、印刷画像の質を改善する。一部の実施態様では、フェニレンジアミン化合物はインクへと、インクの全重量に基づいて、通常、約0.2から約14重量%、約1重量%から約13重量%、または約1.5から約12重量%の範囲の量で加えられる。
【0060】
一般的な配合方法
図1に示されている通り、例示的な方法では、全てのインクビヒクル成分(1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオール、ならびに/またはイミダゾール)および着色剤を、初めに水に加え(ステップ1)、混合することにより、上記で述べた成分を混合して、インクジェットインクを形成する。次いで、追加の水を成分に加えることができる(ステップ2)。
【0061】
上記の通り、インク配合物が形成されたら、次いで、必要な場合には、インクの特異的なpH要件に従って、水酸化カリウムまたは硝酸などのpH調節剤を加えることにより、インク配合物のpHを約5.5から8.5の範囲であるように調節する(ステップ3)。続いて、残りの水を加える(ステップ4)。
【0062】
生じたインクジェットインク組成物を、当分野で知られている通り、1種またはそれ以上のインクジェットペンに入れることができる。例えば、熱駆動インクジェットディスペンサー、機械駆動インクジェットディスペンサー、静電駆動インクジェットディスペンサー、磁気駆動ディスペンサー、圧電駆動ディスペンサー、連続インクジェットディスペンサーおよび同様のデバイスを包含するがそれらに限定されない、任意のタイプのインクジェット材料ディスペンサーに、インクジェットインクを導入することができる。別法では、スクリーン印刷装置、スタンプ装置、プレス装置、グラビア印刷装置などを包含するがそれらに限定されない、非インクジェット源から、本発明のインクジェットインクを分配することもできる。
【0063】
次の実施例では、本発明の実施態様によるインクの様々な態様を説明する。これらの実施例は、本発明の限定と考えられるべきではなく、本発明の代表的なインクを製造する方法を単に教示しているにすぎない。一般に、これらの例示的な配合は、インクに対して下記の向上をもたらす。インクが1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールを1:4(重量/重量)から4:1(重量/重量)の範囲の比で含む場合、インクに対して下記の向上が提供される可能性がある:印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、および媒体上に印刷されたインクの環境ロバスト性。インクがイミダゾールを0.1から6重量%(インクの重量に対して)を含む場合、インクに対して下記の向上が提供される可能性がある:印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、媒体上に印刷されたインクの環境ロバスト性、および所望の範囲内でのインクのpHの維持の補助。0.1から6重量%(インクの重量に対して)の範囲のイミダゾールおよび1:4(重量/重量)から4:1(重量/重量)の範囲の比の1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールの場合には、インクに対して下記の向上が提供される可能性がある:印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、媒体上に印刷されたインクの環境ロバスト性、および所望の範囲内でのインクのpHの維持の補助。
【0064】
実施例I シアンA
インクジェットインクを、実施例Iでは次の通り調製する:
【表2】

このインクは、全インク重量に対してイミダゾールを0.1〜1.0%、ヘキサンジオールを0.5〜4.0重量%およびペンタンジオールを2.0〜7.0重量%、ならびに1種のシアン染料(式3)を含有する。この実施例では、所望のpHを維持するのに適切なように、イミダゾールおよびTrizmaの組合せを使用できる。式5の抗凝集剤を、2.0〜14重量%の範囲で適切に使用できる。
【0065】
実施例II シアンB
他のインクジェットインクを、実施例IIでは次の通り調製する:
【表3】

このインクは、全インク重量に対してイミダゾールを0.1〜2.0%、1,6−ヘキサンジオールを0.5〜4.0重量%および1,5−ペンタンジオールを2.0〜7.0重量%、ならびに式3のシアン染料および式AB9の第2のシアン染料を含有する。式5の抗凝集剤を、2.0〜14重量%の範囲で適切に使用できる。
【0066】
実施例III マゼンタA
他のインクジェットインクを、実施例IIIでは次の通り調製する:
【表4】

このインクは、イミダゾールを含有せず、緩衝剤としてのMOPSまたはMESを0.05〜1.0重量%、1,6−ヘキサンジオールを5.0〜15重量%および1,5−ペンタンジオールを3.0〜8.0重量%ならびにマゼンタ染料(式1)を2.〜5.0重量%および第2のマゼンタ染料(式2)を0.5〜2.5重量%、含有する。この実施例は、式5の抗凝集剤を、0〜14重量%の範囲で任意選択で適切に含有する。
【0067】
実施例IV マゼンタB
他のインクジェットインクを、実施例IVでは次の通り調製する:
【表5】

このインクは、イミダゾールを0.1〜2.0重量%、1,6−ヘキサンジオールを0.5〜4.0重量%および1,5−ペンタンジオールを2.0〜7.0重量%、ならびにマゼンタ染料(式1)を2.0〜5.0重量%および第2のマゼンタ染料(式2)を0.5〜2.5重量%、含有する。この実施例は、式5の抗凝集剤を、0〜14重量%の範囲で任意選択で適切に含有する。
【0068】
実施例V イエローA
他のインクジェットインクを、実施例Vでは次の通り調製する:
【表6】

このインクは、イミダゾールを含有せず、緩衝剤としてのMOPSまたはMESを0.05〜1.0重量%、1,6−ヘキサンジオールを0.5〜4.0重量%および1,5−ペンタンジオールを2.0〜7.0重量%、ならびにイエロー染料(式4)を0.02〜5.0重量%、含有する。この実施例は、式5の抗凝集剤を、0〜14重量%の範囲で任意選択で適切に含有する。
【0069】
実施例VI イエローB
他のインクジェットインクを、実施例VIでは次の通り調製する:
【表7】

このインクは、イミダゾールを2.0〜6.0重量%、1,6−ヘキサンジオールを0.5〜4.0重量%、1,5−ペンタンジオールを2.0〜7.0重量%およびイエロー染料(式4)を2.0〜5.0重量%、含有する。この実施例は、式5の抗凝集剤を、0〜14重量%の範囲で任意選択で適切に含有する。
【0070】
イミダゾールならびに/または1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールを含有するインクの多くの配合物では、それらをインクジェット印刷のために使用すると、商業的に今日使用されている多くのインク組成物に比較して、いくつかのインク性能の改善が観察される。様々な性能の改善は、多孔性写真媒体での赤シフトの低減および多重曇りの低減;膨潤性写真媒体上でのブロンズ光沢の低減;貯蔵後のデキャップ、ノズル状態、およびペン回復の改善を包含する。多くの新規インク配合物に伴うさらに他の改善は、貯蔵の間のより高いインク安定性、ならびにASL、T−Cycleおよび凍結融解特性の改善を包含する。多くのこれらのインク組成物では、多くの従来のインクジェットインクに比較して、同等か、または改善されたにじみ調節が普通紙媒体で観察された。
【0071】
プロセス
図2を参照すると、多孔性または膨潤性インク受容層またはコーティング14で任意選択でコーティングされている表面20を有する基材層12を含む代表的な印刷媒体10が示されている。基材12は、紙、プラスチック、コーティング紙、布、アート紙、光学ディスクまたは、インクジェット印刷技術で使用されるような他の既知の基材であってよい。上記のインクを使用してマークを作ることが望ましい場合、インク液滴18を(例えばインクジェットプリンタ(図示せず)を介して)、存在する場合には、層14に、または直接、基材12の表面20に塗布して、層14または基材12に吸収させて、16におけるようなマークを残す。生じた印刷製品は典型的には、より多い量の非イミダゾール緩衝剤を配合されている多くの他のインクジェットインクで印刷される同等の製品よりも高い濃度の染料または顔料を含有する色マークを含有する。同時に、イミダゾールならびに/または1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオール含有インクである緩衝インクジェットインク組成物で印刷された製品はたいていの場合、より多い量の従来の緩衝剤に依存している多くの他のインクジェット印刷された製品と同じか、それよりも良好な品質を有する。多くの新規のインクジェットインクの顕著な特性のうちの数種は、ブラックとカラーの間のにじみの同等またはより良好な調節、ブロンズ光沢の低減、曇りの低減、およびより十分なスタッキング性能を包含する。印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、媒体上に印刷されたインクの環境ロバスト性、および所望の範囲内でのインクのpHの維持の補助は、本明細書に開示されているインクの多くにより、全て提供される可能性がある。
【0072】
上記の詳解は、本発明の原理および様々な実施態様の例示であることが意図されている。上記開示を十分に理解すれば、数多くの変更および修正が、当業者には明らかになるであろう。次の請求項は、このような変更および修正の全てを包含すると解釈されるべきであることが意図されている。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットプリンタと組み合わせて使用するためのインクであって、
着色剤;
液体ビヒクル;および
前記インクに対して下記の向上:印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、媒体上に印刷されたインクの環境ロバスト性、および所望の範囲内でのインクのpHの維持の補助
のうちの少なくとも1つを提供するのに十分な、インクの約0.1重量%〜6重量%の範囲の量のイミダゾール
を含む混合物を含む、インク。
【請求項2】
インクジェットプリンタと組み合わせて使用するためのインクであって、
着色剤;および
1:4(重量/重量)から4:1(重量/重量)の範囲の比で1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールを含む液体ビヒクル
を含む混合物を含む、インク。
【請求項3】
前記混合物が、
着色剤;
1:4(重量/重量)から4:1(重量/重量)の範囲の比で1,6−ヘキサンジオールおよび1,5−ペンタンジオールを含む液体ビヒクル;ならびに
前記インクに対して下記の向上:印刷品質の改善、デキャップ時間の延長、ペン信頼性、ペン中のインクの環境ロバスト性、媒体上に印刷されたインクの環境ロバスト性、および所望の範囲内でのインクのpHの維持の補助のうちの1つまたはそれ以上を提供するのに十分な、インクの約0.1重量%〜6重量%の範囲の量のイミダゾール
を含む、請求項2に記載のインク。
【請求項4】
前記着色剤が、
(a)構造
【化8】

〔式中、
21、R23、R25、R27、R29およびR31は独立に、水素原子またはスルホナート基であり、
22は、水素原子またはニトロ基であり、
26およびR28は独立に、水素原子またはメチル基であり、
24およびR30は独立に、メチルまたはスルホナート基であり、
32は、メチルまたはメトキシ基である〕
を有するマゼンタ染料およびその塩、
および
(b)構造:
【化9】

〔式中、Qは、リチウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、テトラメチルアンモニウム、またはそれらの混合物である〕を有する第2のマゼンタ染料およびその塩
を含む、請求項1または2に記載のインク。
【請求項5】
前記着色剤が、構造:
【化10】

〔式中、
Mは、水素原子;金属原子;または前記金属原子のオキシド、ヒドロキシドもしくはハライドであり、
は、フタロシアニン核であり、
およびRは独立に、−SOX、−SO、SONX、−SOの群から選択される置換基であり;ここで、X、X、XおよびXは独立に、水素原子、置換もしくは非置換CからCアルキル基、置換もしくは非置換アリール基、または置換もしくは非置換複素環式基であり;
ここで、RまたはRのうちの少なくとも一方は、置換基としてイオン親水基を有し、
kおよびlは独立に、1から3の範囲の整数であり、ここで、kおよびlの合計は、4である〕
を有するシアン染料を含む、請求項1または2に記載のインク。
【請求項6】
前記着色剤が、構造:
【化11】

を有するイエロー染料およびその塩を含む、請求項1または2に記載のインク。
【請求項7】
構造:
【化12】

〔式中、Mは、一価カチオンである〕
を有するフェニレンジアミン化合物およびその塩をさらに含む、請求項1または2に記載のインク。
【請求項8】
インクジェット印刷された媒体の印刷品質を改善する方法であって、膨潤性媒体、多孔性媒体または普通紙媒体に、インクジェットプリンタにより、請求項1または2に記載のインクを塗布して、生じるインクジェットインク印刷された媒体におけるブロンズ光沢の低減、湿潤色相シフトの低減、にじみの低減、および環境ロバスト性からなる群から選択される少なくとも1つの品質を向上させる、方法。
【請求項9】
インクジェットプリンタにおけるペン信頼性またはデキャップ時間を高める方法であって、前記インクジェットプリンタにおいて請求項1または2に記載のインクを使用することを含む、方法。
【請求項10】
請求項1または2に記載のインク(18)がインクジェットプリンタにより、その上に堆積しているインクジェットインク受容媒体(14)を含む、印刷製品(10)。



【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−516889(P2010−516889A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−548410(P2009−548410)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【国際出願番号】PCT/US2008/052413
【国際公開番号】WO2008/094975
【国際公開日】平成20年8月7日(2008.8.7)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】