説明

イムノアッセイに有用なインジナビル誘導体

本発明は、生物学的サンプル中のインジナビルの検出に使用する目的での抗体および標識コンジュゲートの生成のための、インジナビルの誘導体ならびにコンジュゲートに関する。該誘導体は、インジナビルのインダン環ヒドロキシル基またはピリジン環窒素から合成される。パラジウム触媒と水素ガスとを用いたインジナビルからの単一ステップでのインジナビル主要代謝物(M6)の合成も開示される。インジナビルM6は、好適な官能基を有するインジナビルの種々のアナログを合成するためにも利用されてきている。これらの誘導体は、インジナビルイムノアッセイの開発におけるインジナビル免疫原、抗体、および標識コンジュゲートの開発で有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、イムノアッセイに有用なプロテアーゼ阻害剤誘導体に関する。より詳細には、本発明は、免疫原を生成するために有用な活性化インジナビルハプテン、ならびに、インジナビルに対する抗体を生成するための免疫原として、また、生物学的サンプル中のインジナビルの検出のためのイムノアッセイにおいて有用な、コンジュゲート化した誘導体に関する。
【背景技術】
【0002】
HIVプロテアーゼ阻害剤は、その最初の薬物であるサキナビルが1995年に市場に導入されて以来、AIDS患者の保健医療に重大な影響を与えている重要な新しい種類の薬物である。他のプロテアーゼ阻害剤の例としては、アンプレナビル、ネルフィナビル、ロピナビル、リトナビル、インジナビル、およびアタザナビルが挙げられる。それらは逆転写酵素阻害剤などの他の抗HIV薬または他のHIVプロテアーゼ阻害剤との併用で特に有効である。これらの新しい治療法による著しい成功にもかかわらず、プロテアーゼ阻害剤の濃度を測定するための治療薬試験方法が利用可能であれば、結果は非常に改善される可能性が高い。すべての患者がプロテアーゼ阻害剤併用療法に最適に反応するとは限らない。反応する患者でも、よく知られているHIVウイルスの高い突然変異率のために、その後薬物耐性を発現し得る。しかし、血漿中のプロテアーゼ阻害剤濃度と、ウイルス量の減少およびCD4細胞数の増加に基づく治療効果との間には明らかな相関関係があることが示されている。1つの問題は、薬物が著しく代謝され、複雑な薬物・薬物相互作用を受けるという点にある。結果は極めて複雑な薬物動態として現れ、特定の時での特定の患者についての投与量と結果として得られる薬物濃度との間の予測不可能な強い要素である。治療薬のモニタリングによって、薬物投与量は患者に対して個別化することができ、ウイルスを抑える可能性はずっと高くなるであろう。しかし、プロテアーゼ阻害剤の日常的な治療薬モニタリングは、ハイスループット臨床分析機器に適応できる簡単な自動化試験の可用性を必要とする。現在のところ、プロテアーゼ阻害剤の治療薬モニタリングにおけるほとんどの報告は、時間がかかり、労働力を要し、高価なHPLC法を用いている。最近、サキナビルに対するラジオイムノアッセイ(RIA)法の報告があった(Wiltshireら、Analytical Biochemistry 281, 105-114, 2000)。しかし、このような方法はハイスループットの治療薬モニタリングに適応できず、すべてのRIA法と同様に、アッセイに使用される放射性同位体標識に関する規制問題、安全性の問題および廃棄物問題を有するという欠点を伴う。治療薬モニタリングの最も望ましいアッセイ形式は非同位体イムノアッセイであり、このような方法はHIVプロテアーゼ阻害剤の測定については今まで知られていない。
【0003】
インジナビル(CRIXIVAN, Merck & Co., Inc.)はヒト免疫不全ウイルスプロテアーゼの強力かつ特異的な阻害剤の1つである。インジナビルは、低濃度の第4級ピリジンN−グルクロニド(M1)、2’,3’−トランス−ジヒドロキシインダニルピリジン−N−オキシド(M2)、2’,3’−トランス−ジヒドロキシインダン(M3)、およびピリジン−N−オキシド(M4a)アナログ、ならびにM3(M5)およびインジナビル(M6)のデスピリジルメチルアナログに代謝される。M6は尿中ならびに血漿中の主要代謝物の1つである(Drug Metabolism and Disposition 24, 1389-94, 1996)。
【0004】
前述のように、HPLCはHIVプロテアーゼ阻害剤の測定のために一般に好まれる方法であった。最近の2つの文献での報告は、ヒト血漿中のいくつかのプロテアーゼ阻害剤の同時測定のためのHPLCアッセイを記載する(Poirierら、Therapeutic Drug Monitoring 22, 465-473, 2000およびRemmelら、Clinical Chemistry 46, 73-81, 2000)。
【0005】
化学的および生物学的アッセイは通常、目的のアナライトを事前に測定された量の1つ以上のアッセイ試薬と接触させること、その結果生じた生成物(検出生成物)の1つ以上の特性を測定すること、ならびに、一般的には試験されるサンプルについて予測される範囲で既知量の目的のアナライトを含有する標準サンプルまたは較正サンプルから決定される関係を用いて測定値を元のサンプル中に存在するアナライトの量と相関させることを含む。一般的に、検出生成物は1つ以上のアッセイ試薬によってもたらされる1つ以上の検出可能な標識を取り込む。一般的に使用される標識の例は、官能化微粒子、125Iおよび32Pなどの放射性同位体標識、ペルオキシダーゼおよびβ−ガラクトシダーゼなどの酵素ならびに酵素基質標識、フルオレセインおよびローダミンなどの蛍光標識、ニトロキシドフリーラジカルなどの電子スピン共鳴標識、抗体および抗原などの免疫反応性標識、ビオチン−アビジンおよびビオチン−ストレプトアビジンなどの結合ペアの一方の構成成分である標識、ならびにルテニウムビピリジル部分を含有するものなどの電気化学発光標識を含む。サンドイッチアッセイは通常、目的のアナライトが、例えば抗体、抗原、または結合ペアの一方の構成成分のような最終的に分離のために使用される1つのアッセイ試薬と、検出可能な標識を提供する第二のアッセイ試薬との間に挟まれた複合体の形成を含む。競合アッセイは通常、目的のアナライトとアナライトのアナログとの両方が別の試薬(例えば抗体)の結合部位について競合するシステムを含み、アナライト、アナログまたは結合試薬の1つは検出可能な標識を有する。
【0006】
本出願と同一の承継人に係る、2002年5月22日にEP 1 207 394として公開された、2000年11月14日に出願された同時係属の米国特許出願第09/712,525号は、阻害剤を含有するサンプルを阻害剤または該阻害剤の代謝物に特異的な受容体とともに、さらにまた阻害剤のアナログと非同位体シグナル発生部分とを含むコンジュゲートとともにインキュベーションすることを含む、HIVプロテアーゼ阻害剤のための非同位体イムノアッセイを記載する。受容体による阻害剤の結合の結果として発生するシグナルが測定され、元のサンプル中のプロテアーゼ阻害剤の存在または量と関連付けられる。本発明のプロテアーゼ阻害剤コンジュゲートはこのようなアッセイにおいて特に有用である。
【0007】
本出願と同一の承継人に係る、2003年1月23日にWO 03/006506として公開された、2002年7月10日に出願された同時係属の米国特許出願第10/192,052号は、HIVプロテアーゼ阻害剤に対する免疫原を生成するために有用な活性化ハプテンを記載する。具体的に開示されるのは、インジナビル分子の中央のヒドロキシル基から合成されるインジナビル誘導体および免疫原である。
【特許文献1】EP 1 207 394
【特許文献2】米国特許出願第09/712,525号
【特許文献3】WO 03/006506
【特許文献4】米国特許出願第10/192,052号
【非特許文献1】Wiltshireら、Analytical Biochemistry 281, 105-114, 2000
【非特許文献2】Drug Metabolism and Disposition 24, 1389-94, 1996
【非特許文献3】Poirierら、Therapeutic Drug Monitoring 22, 465-473, 2000
【非特許文献4】Remmelら、Clinical Chemistry 46, 73-81, 2000
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
他の問題の中でも、HIVプロテアーゼ阻害剤インジナビルの改良された活性化ハプテン、誘導体およびコンジュゲートの必要性、ならびに自動化されたハイスループットの薬物モニタリングに適した方法である、生物学的サンプル中のインジナビルの測定のためのイムノアッセイ法の必要性が残っている。本発明はこれらおよび他の問題を解決する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
発明の概要
上述の背景において、本発明は先行技術を越えるある種の自明でない利点および進歩をもたらす。特に、本発明者らはイムノアッセイに有用なインジナビル誘導体およびコンジュゲートの改良の必要性を認識している。
【0010】
本発明は、HIVプロテアーゼ阻害剤インジナビルに対する免疫原の生成に有用な活性化ハプテン、インジナビルに対する抗体の作製に有用な免疫原、および生物学的サンプル中のインジナビルの測定のためのイムノアッセイに有用な標識化コンジュゲートに関する。これらの化合物はインジナビルのピリジン環窒素のインダン環ヒドロキシル基から、およびインジナビルのピリジン窒素から合成される。本発明はまた、水素ガスおよびパラジウム触媒の存在下でインジナビルから単一ステップでインジナビル代謝物M6を合成する方法、ならびにインジナビルM6代謝物に由来する活性化ハプテンおよびコンジュゲートに関する。
【0011】
本発明の1つの実施形態では、活性化ハプテンは以下の構造を持って提供され、
【化1】

式中、YはOまたはSであり、mは0または1であり、XはCHまたはNHであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である。
【0012】
本発明の別の実施形態では、コンジュゲートされた誘導体は以下の構造を持って提供され、
【化2】

式中、YはOまたはSであり、mは0または1であり、XはCHまたはNHであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、さらに最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−および
【化3】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である。
【0013】
本発明の別の実施形態では、活性化ハプテンは以下の構造を持って提供され、
【化4】

式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である。
【0014】
本発明の別の実施形態では、コンジュゲート化された誘導体は以下の構造を持って提供され、
【化5】

式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、さらに最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−および
【化6】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である。
【0015】
本発明のさらに別の実施形態では、活性化ハプテンは以下の構造を持って提供され、
【化7】

式中、XはNまたはCであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である。
【0016】
本発明のさらに別の実施形態では、コンジュゲート化された誘導体は以下の構造を持って提供され、
【化8】

式中、XはNまたはCであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、さらに最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−および
【化9】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である。
【0017】
本発明の更なる実施形態では、活性化ハプテンは以下の構造を持って提供され、
【化10】

式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子と、0〜20個のヘテロ原子とを含む脂肪族連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である。
【0018】
本発明の更なる実施形態では、コンジュゲート化された誘導体は以下の構造を持って提供され、
【化11】

式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子と、さらに0〜20個のヘテロ原子とを含む脂肪族連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−および
【化12】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である。
【0019】
本発明の別の実施形態では、水素ガスおよびパラジウム触媒の存在下でインジナビルから単一ステップでインジナビル代謝物M6を合成する方法が提供される。合成M6は、M6のピペラジン窒素からの連結基を有するインジナビル誘導体の合成に有用である。これらの連結基は、脂肪族基、置換芳香族基、およびピリジル基を含む。
【0020】
本発明のこれらその他の特徴および利点は、添付の特許請求の範囲と併せて下記の発明の詳細な説明からより完全に理解されるであろう。特許請求の範囲はその中の詳述によって定義され、本説明に記載される特徴および利点の特定の議論によって規定されないことに注意する。
【0021】
図面の簡単な説明
本発明の実施形態の詳細な説明は、下記の図面と併読して最も良く理解することができる。
図1は、実施例29に記載されたように高値セット血清較正物を用い、コンジュゲート6Cを用いて作成した較正曲線である。
図2は、実施例29に記載されたように低値セット血清較正物を用い、コンジュゲート6Cを用いて作成した較正曲線である。
図3は、実施例29に記載されたように高値セット血清較正物を用い、コンジュゲート13Cを用いて作成した較正曲線である。
図4は、実施例29に記載されたように低値セット血清較正物を用い、コンジュゲート13Cを用いて作成した較正曲線である。
図5は、実施例1〜6に記載されたようにインジナビルのインダン環ヒドロキシル基から活性化インジナビルハプテン12を合成する手順を図解する。
図6は、それぞれ実施例7、8、および26に記載されたように活性化ハプテン12のBSA、KLH、およびアミノデキストラン誘導体を合成する手順を図解する。
図7は、実施例9〜11に記載されたようにインジナビルのピリジン環窒素から活性化インジナビルハプテンを合成する手順、ならびに、それぞれ実施例12、13、および27に記載されたようにKLH、BSA、およびアミノデキストラン誘導体を合成する手順を図解する。
図8は、実施例14に記載されたように水素ガスおよびパラジウム触媒の存在下でインジナビルから単一ステップでインジナビル代謝物M6()を合成する手順を図解する。
図9は、実施例15および16に記載されたようにM6のピペラジン窒素から置換芳香族連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。
図10は、実施例17および18に記載されたようにM6のピペラジン窒素から脂肪族連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。
図11は、実施例19〜21に記載されたようにM6のピペラジン窒素からピリジル連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。
図12は、実施例22〜24に記載されたようにM6のピペラジン窒素からピリジル連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の詳細な説明
本発明がより容易に理解されるために、下記の例には参考文献が与えられ、それは本発明を説明することを目的とするが、その範囲を限定するものではない。
【0023】
「好ましくは」、「通常」、および「一般的に」のような用語は、本明細書において、特許を受けようとする発明の範囲を限定するために、あるいは、特定の特徴が特許を受けようとする発明の構造もしくは機能にとって重大、必須、またはさらに重要であるとを示すために使用されないことに注意する。むしろ、これらの用語は単に、本発明の特定の実施形態において使用されてもされなくてもよい代替的または付加的な特徴を強調することを目的とする。
【0024】
本発明の記載および定義のために、「実質的に」という用語は、本明細書において、任意の量的比較、値、測定または他の表現に起因しうる内在的な不確実性の程度を表すために使用されることに注意する。「実質的に」という用語はまた、本明細書において、問題となっている対象の基本的な機能に結果として変化がなく、記載された参照とは定量的表現が異なる場合のその程度を表すために使用される。
【0025】
詳細においておよびその特定の実施形態への参照によって本発明を記載したように、添付の特許請求の範囲において定義される本発明の範囲から逸脱することなく、改良および変形形態が可能であることは明白である。より具体的には、本発明のいくつかの態様は本明細書において好ましいかまたは特に有利であるとされるが、本発明は必ずしもこれらの本発明の好ましい態様に限定されないと考えられる。
【0026】
本明細書を通して、下線付きの数字は図面で説明される化学構造を指すために使用される。
【0027】
本明細書において用いられる場合、アナライトとは、その存在もしくは量を測定するべき物質または物質群を指す。
【0028】
抗体はアナライトの特異的な結合パートナーを意味し、他の関係のない物質の本質的な排除のためにアナライトに対して特異的な結合親和性を有する任意の物質または物質群である。その用語は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体および抗体フラグメントを含む。
【0029】
ハプテンは部分抗原または不完全抗原である。それらはタンパク質を含まない物質、多くは低分子量物質であり、それは抗体産生を活性化できないが、抗体に反応する。抗体は、ハプテンを高分子量の担体にカップリングさせ、このカップリング生成物をヒトまたは動物に注射することによって作製される。ハプテンの例としては、ジゴキシンおよびテオフィリンなどの治療薬、サキナビルおよびインジナビルなどのプロテアーゼ阻害剤、モルヒネおよびLSDなどの乱用性薬物、ゲンタマイシンおよびバンコマイシンなどの抗生物質、エストロゲンおよびプロゲステロンなどのホルモン、ビタミンB12および葉酸などのビタミン、チロキシン、ヒスタミン、セロトニン、アドレナリンなどが挙げられる。
【0030】
活性化ハプテンとは、誘導体コンジュゲートの合成のために、活性基の付加または供与などによって反応のために利用可能な部位が与えられたハプテン誘導体を指す。
【0031】
リンカーという用語は、ハプテンを担体、免疫原、標識、トレーサーまたは別のリンカーに連結する化学的部分を指す。リンカーは、直鎖または分岐鎖の、飽和または不飽和の炭素鎖でありうる。それらはまた、その鎖の中、または鎖の末端に1つ以上のヘテロ原子を含みうる。ヘテロ原子とは、酸素、窒素および硫黄からなる群より選択される炭素以外の原子を意味する。リンカーの使用は、特定のハプテンと担体のペアに応じて、有利または必要であるかもしれず、そうでないかもしれない。
【0032】
担体は、その用語が本明細書において用いられる場合、ハプテンと結合でき、それによってハプテンが免疫反応を活性化できるようにする免疫原性物質であり、通常はタンパク質である。担体物質は、異物として認識され、それによって宿主から免疫反応を誘導するタンパク質、糖タンパク質、複合多糖および核酸を含む。
【0033】
本明細書において用いられる場合、免疫原および免疫原性という用語は、生物に免疫反応を引き起こすかまたは生じさせることができる物質を指す。
【0034】
コンジュゲートおよび誘導体という用語は、もととなる化合物または分子から1以上の化学反応によって生成される化合物または分子を指す。
【0035】
本明細書において用いられる場合、検出分子、標識またはトレーサーは、担体物質または分子に結合された際、アナライトを検出するために使用され得る識別タグである。標識はその担体物質に直接、または連結部分もしくは架橋部分によって間接的に結合されうる。標識の例としては、β−ガラクトシダーゼおよびペルオキシダーゼなどの酵素、ローダミンおよびフルオレセインイソチオシアネート(FITC)などの蛍光化合物、ジオキセタンおよびルシフェリンなどの発光化合物、ならびに125Iなどの放射性同位体を含む。
【0036】
活性エステルという用語は、本発明の意味では、求核試薬を含む物質の他の反応基との妨害副反応が有効に起こり得ない条件下において、限定はされないが、ペプチド、ポリアミノ酸、多糖または標識の遊離アミノ基のような求核試薬と反応し得る活性化エステル基を含む。
【0037】
下記の構造は、本明細書において言及される誘導体化のための様々な位置を図解し、
【化13】

式中、XはCHまたはNである。
【0038】
インジナビル分子の中央のヒドロキシル基から合成されるインジナビル誘導体およびコンジュゲートは、WO 03/006506に記載されている。
【0039】
本発明の1つの実施形態は、インジナビルのピリジン窒素で連結されているインジナビルハプテン構造に関する。
【0040】
反応条件の調節は、別の部位からの1つの反応部位の選択を可能にする。このアプローチの例は、第3級アミン、好ましくはトリエチルアミンの存在下での硫酸インジナビルのアルキル化反応を含む。このようなアルキル化反応は、図7に示されるようなインジナビルピリジン窒素を選択的に官能化し、
【化14】

式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならない。Aは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、およびチオラクトンからなる群より選択される活性型官能基である。
【0041】
アルキル化試薬は好ましくは、保護されたカルボン酸またはフタルイミド基として保護されたアミノ基のような適切に保護された官能基を有するハロアルキル化剤である。保護されたカルボキシル基は好ましくは、インジナビルに結合した後、例えば、図7の化合物のように酸性または塩基性条件下で除去されるエステルである。遊離カルボン酸基は活性化され、その後のポリペプチド、多糖、および標識基へのコンジュゲート化のために活性エステルを生じる。遊離アミノ基はまた、脱保護後、活性カルボン酸基を有する二官能性リンカーを用いて伸長されるか、またはそれは尿素結合もしくは同様の基を用いてポリペプチドとカップリングされる場合がある。
【0042】
リンカー伸長はまた、マレイミドアルカン酸N−ヒドロキシスクシンイミドエステルのようなヘテロ二官能性試薬を用いて達成することができ、その後のポリペプチドおよび標識のチオール基へのコンジュゲーションのために末端マレイミド基を生じる。
【0043】
別法として、アミノ末端リンカーは、一方の末端にアミド結合を形成し、他方の末端に遊離であるかまたは保護されたチオールを形成するように反応するヘテロ二官能性チオール化剤によって伸長され得る。当技術分野においてよく知られているこの種のチオール化試薬のいくつかの例は、2−イミノチオラン(2−IT)、スクシンイミジルアセチルチオプロピオネート(SATP)およびスクシンイミド2−ピリジルジチオプロピオネート(SPDP)である。脱保護後、初めの(incipient)チオール基は次に、マレイミドまたはブロモアセチル化修飾された免疫原もしくは標識とチオールエーテルを形成するために使用可能である。
【0044】
本発明の活性エステルは、比較的低い温度で様々な水性および非水性溶媒混合物中において、求核試薬、特に第1級アミンに反応性である。活性エステルが第1級または第2級アミンとカップリングしてアミドを生じるための典型的な条件は、室温で添加される水の存在下もしくは非存在下での、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)またはジメチルスルホキシド(DMSO)などの双極性非プロトン性溶媒中での反応である。
【0045】
バッファーまたは第3級アミンは、第1級アミン反応剤を脱プロトン化状態に保つために必要な塩基性のpHを維持するために、しばしば添加される。一般的な活性エステルは、p−ニトロフェニルエステル、N−ヒドロキシスルホコハク酸イミド(hydroxysulfosuccimidyl)エステル、N−ヒドロキシコハク酸イミド(hydroxysuccimidyl)エステル、1−ヒドロキシベンゾトリアゾリルエステルおよびペンタフルオロフェニルエステルである。好ましい活性エステルは、それらの安定性、反応性および副産物N−ヒドロキシスクシンイミドの除去の容易さのバランスから、N−ヒドロキシスクシンイミドエステルである。他の活性エステルは当業者によく知られており、同様に使用されうる。
【0046】
あるいは、活性基としてエステル;またはイミニウム基を有するリンカーによるインジナビル誘導体は、例えば、適切な前駆体基、例えば末端ニトリル基を有するリンカーを用いることによって得ることができる。例としては、末端ニトリル基を有するインジナビル誘導体を上述のものと同様の方法で合成し、続いてニトリルのイミダート部分(当技術分野において既知の方法による、例えばアルコール中での塩化水素処理によるイミドイミダート基)への変換を行う。Hermanson、上掲;およびJerry March, Advanced Organic Chemistry,第三版、John Wiley & Sons, 1985も参照されたい。イミドエステルを得る他の方法は当業者に提案されるであろう。
【0047】
本発明の別の実施形態は、インダンヒドロキシル基で連結されているインジナビル誘導体に関する。これらの活性化ハプテンは以下の構造を有し、
【化15】

式中、YはO、SまたはNHであり、mは0または1であり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならない。Aは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である。
【0048】
インジナビルは2つの第2級ヒドロキシル基、インダンヒドロキシル基および中央のヒドロキシル基を含み、初めにインダン環のヒドロキシル基を保護することが必要である場合がある。選択的修飾は、イソプロピリジン(isopropylidine)環系を用いたインジナビルの隣接したアミド窒素に結合しているインダン環のヒドロキシル基の保護、それに続くインジナビルの中央のヒドロキシル基の保護を必要とする。多くの適切な保護基が当技術分野においてよく知られている。例えば、Protective Groups in Organic Synthesis,第2版、T. GreeneおよびP. Wuts, Wiley-Interscience, 1991を参照されたい。
【0049】
中央のヒドロキシル基は、シリル保護基、例えば、TBDMS(t−ブチルジメチルシリル)基またはTBDPS(t−ブチルジフェニルシリル)基として保護することができる。また、イソプロピリジン保護されたインジナビルの中央のヒドロキシ官能基を保護するために、エステル基、好ましくは、塩基、特にトリエチルアミンの存在下でのベンゾエート基も使用することができる。実施例2および図5の化合物を参照されたい。アシル化反応による中央のヒドロキシル基の保護は、DMFなどの適切な溶媒、好ましくはTHF中において、一般的には0.5時間〜7日間行われる。イソプロピリジン基の脱保護後、インダンヒドロキシル基は修飾され、連結部位にウレタン結合を生じ得る。インダンヒドロキシルはまた、修飾されて連結部位にエーテル結合を生じ得るが、一方、インジナビルの中央のヒドロキシル基はシリル基として保護される。例えば、中央のヒドロキシル部位を保護するTBDMSを有するインジナビル誘導体のイソプロピリジン基は、酸性条件下で脱保護することができ、遊離したインダンヒドロキシル基は、保護されたカルボン酸、またはフタルイミドとして保護されたアミノ基などの適切に保護された官能基を有するハロアルキル化剤を用いたアルキル化条件に置かれて、エーテル結合を形成しうる。カルボキシル基に保護基を持つかまたは持たないカルボキシアルキルイソシアネートは、インジナビルの標的ヒドロキシル基と直接反応し、保護されたカルボキシルウレタンまたはカルボキシアリールウレタンを生じうる。保護されたカルボキシル基は、好ましくは、塩基性または酸性条件下で除去されるエステルである。カルボキシル基はその後のコンジュゲート化のために活性エステルに変換されてもよく、またはポリペプチド、多糖、および標識に直接コンジュゲートされてもよい。あるいは、N−ヒドロキシスクシンイミジルイソシアネートベンゾエートのような、事前に活性化されたカルボキシアルキルイソシアネートまたはカルボキシアリールイソシアネートはインジナビルヒドロキシル基と直接反応しうる。
【0050】
別のカルボン酸活性化は無水物形成によるものである。一般的に、カルボン酸は、DMFもしくはTHFなどの溶媒中、トリエチルアミンまたはN−メチルモルホリンなどの第3級アミンの存在下で、通常−30℃〜+30℃、多くの場合は−20℃〜0℃の温度で、クロロギ酸イソブチルのようなクロロギ酸アルキルと反応する。混合無水物はその後、標識、タンパク質またはペプチドのアミノ基と反応して、安定なアミドコンジュゲートを生じる。
【0051】
カルボン酸と結合されたプロテアーゼ阻害剤の別の活性化方法は、カルボン酸基とホモシステインチオラクトンのような物質とのカップリングによる、チオラクトンのようなマスクされたチオール基への変換である(米国特許第5,302,715号)。その結果生じるリンカー−チオラクトンはその後、弱塩基によってマスクを外されて末端チオールを生じ、それはその後、マレイミド修飾もしくはハロアセチル修飾されたペプチド、多糖、ポリアミノ酸、および標識などのマレイミド基またはブロモアセチル基またはヨードアセチル基のような部分に反応性であり、チオ−マレイミドもしくはチオール−アセチル付加物を生じる。
【0052】
本発明の別の実施形態は、インジナビルM6を生成する方法に関する。この単一ステップの還元は、水素化条件下で、例えば、10% Pd−C、5% Pd−C、ギ酸アンモニウム/Pd−C、および20%のC担持水酸化パラジウムなどの触媒を用いて、メタノール、エタノール、酢酸、またはTHFなどの溶媒中、特にメタノール中、室温で1atm〜60psiの圧力下で行うことができる。
【化16】

【0053】
その結果生じるインジナビルM6は、下記のような新しいインジナビルハプテン誘導体を調製するために使用することができる。
【0054】
本発明の別の実施形態では、インジナビル誘導体は、下記の化学式によって表されるようにピリジン環またはベンゼン環で連結されており、
【化17】

式中、YはO、SまたはNHであり、mは0または1であり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならない。Aは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、およびマレイミドからなる群より選択される活性型官能基である。
【0055】
適切に官能化され保護されたアルキルハロピリジン誘導体は、塩基性条件下でインジナビルM6とカップリングすることができる。インジナビルM6のピペラジン部分の環状第2級アミン基と適切に官能化され保護されたホルミルピペリジン誘導体とのカップリング反応はまた、還元的アミノ化条件下でも実施することができ、同一の生成物を生じる。
【0056】
適切に保護されたアルキルハロベンゼン誘導体および芳香族アルデヒド誘導体もまた、同様にインジナビルM6とのカップリングに使用することができる(実施例21および図12を参照のこと)。脂肪族リンカーもまた、適切に官能化された脂肪族ハロアルキルリンカーを用いた塩基性条件下で、または適切に官能化された脂肪族アルデヒドもしくは市販のコハク酸を用いた還元的アミノ化条件下で、上記と同様の化学反応を用いてインジナビルM6のピペラジン部分に結合することができる。例えば、化合物16(図10)は、シアノホウ化水素ナトリウムの存在下でコハク酸セミアルデヒドを用いて調製することができる。
【0057】
これらの活性化ハプテンは以下の構造を有し、
【化18】

式中、YはO、SまたはNHであり、mは0または1であり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子と、0〜20個のヘテロ原子とを含む脂肪族連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならない。Aは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、およびマレイミドからなる群より選択される活性型官能基である。
【0058】
本発明の別の実施形態は、以下から選択される構造を有する免疫原に関連し、
【化19】

【化20】

【化21】

【化22】

式中、XはNまたはCであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、さらに最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−および
【化23】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数であるが、さらに構造VIIIでは、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、さらに0〜20個のヘテロ原子を含有する脂肪族連結基でなければならない。
【0059】
免疫原性担体は一般的に、10kDより大きい分子量を有するポリペプチドまたは多糖である。好ましい担体物質の例としては、キーホールリンペット・ヘモシアニン(KLH)、リムルスポリヘムス・ヘモシアニン(LPH)、およびウシサイログロブリン(BTG)が挙げられる。前述のような活性化ハプテン誘導体と担体上のアミノ基との間の反応は、通常、水およびDMSOなどの水混和性有機溶媒の緩衝混合物中、室温で0.5〜5日間行われる。バッファーのpHは通常、活性エステル、イソシアネート、およびイソチオシアネートに対しては6〜8、またはイミダートに対しては7〜10であり、担体アミノ基および活性型官能基の既知の反応性に従って調整される。末端基Aがマレイミドである場合、担体の反応基はチオールである。これらのチオール基は担体にもともと存在するか、または、2−ITもしくはSATPなどのチオール化試薬を用いて導入される。チオエーテルを生じるためのマレイミドのチオール基へのコンジュゲーションに最適なpHは、通常5〜7である。反応後、非コンジュゲート化ハプテンおよび有機溶媒を除去するために、免疫原は透析またはサイズ排除クロマトグラフィーにかけられる。
【0060】
免疫原を得る別の方法は、活性基がアルデヒドである活性化ハプテンと担体タンパク質またはポリペプチドのアミノ基とのシッフ塩基を形成する反応と、それに続くシアノホウ化水素などの弱い還元剤を用いて安定なアミン結合を形成する還元による。この最後のアプローチにおける変形形態もまた、本発明が属する技術分野の当業者に提案されるであろう。
【0061】
抗体を作製するために、免疫原は、凍結乾燥された免疫原を再水和して免疫原の溶液または懸濁液を調製することによって、宿主動物への注射のために調製することができる。あるいは、免疫原は事前に調製された溶液またはバッファー中の懸濁液として使用してもよい。免疫原溶液はその後、フロイントアジュバントなどのアジュバントと混合され、免疫原混合物を形成する。免疫原は様々な部位に、数回の投与で、1回以上、数週間にわたって投与する場合がある。
【0062】
本発明の免疫原を用いたポリクローナル抗体の調製は、当業者にとって既知の任意の従来技術に従って行うことができる。通常、ウサギ、ヤギ、マウス、モルモット、またはウマなどの宿主動物に免疫原混合物を注射する。抗体力価について血清を評価しながら、最適な力価に達したことが決定されるまで、更なる注射を行う。その後、宿主動物から採血し、適切な量の特異抗血清を得る。必要であれば、抗血清がアッセイを行う上での使用に適しているか検討する前に、非特異的抗体のような不要物を除去するために精製ステップを行う。
【0063】
モノクローナル抗体は、上述のように免疫されたマウス由来のマウスリンパ球と骨髄腫細胞とを、Methods in Enzymology 73 (Part B), pp. 3-46, 1981に記載される方法のようなポリエチレングリコール法を用いて融合させることによって得ることができる。
【0064】
ELISAアッセイの場合、マイクロタイタープレートのコーティングのためにはウシ血清アルブミン(BSA)にカップリングされたインジナビル誘導体が好ましい。
【0065】
インジナビルと非同位体標識とのコンジュゲートの合成のためには、免疫原の調製と同様の方法が用いられる。
【0066】
あるいは、活性化ハプテンは、ELISA用の標識を調製するために酵素のアミノ基またはチオール基にコンジュゲートすることができる。コンジュゲートが当技術分野においてよく知られているELISAのために有用な酵素のいくつかの例は、西洋ワサビペルオキシダーゼ(HRP)、アルカリホスファターゼおよびβ−ガラクトシダーゼである。酵素をはじめとするタンパク質のコンジュゲートは、通常、水および水混和性有機溶媒の緩衝混合物中で調製され、続いて免疫原の調製のための条件と同様に透析される。ラテックス凝集アッセイの場合、10kD〜300kDの分子量、好ましくは40kDの分子量を有するアミノ化デキストラン担体とのコンジュゲートが特に有用である。これらのコンジュゲートは上記のような緩衝溶媒混合物中で、または反応を促進するためにトリエチルアミンのような第3級アミンを含有するDMSOなどの無水有機溶媒中で調製される。低分子量、すなわち1kDより小さい標識の場合、反応条件は標識の性質に従って調整される。特に好ましい1つの標識は、標識化されたアビジンまたはストレプトアビジンと併用するビオチンである。非同位体検出のための(ストレプト)アビジン/ビオチンシステムの汎用性は、バイオコンジュゲート化学の技術分野においてよく知られている(Hermanson、上掲参照)。高親和性相互作用でビオチン標識物質を検出する、様々なアビジンおよびストレプトアビジンの酵素標識および蛍光団標識コンジュゲートが市販されている。さらに、活性型官能基Aと反応する、様々なビオチン化剤が市販されている。例えば、ビオチン−アミン誘導体は、Aが活性エステル、イソシアネートまたはイソチオシアネートである本発明の活性化ハプテンと反応して、それぞれ、ビオチンアミド、尿素およびチオ尿素コンジュゲートを生じうる。これらのカップリング反応は一般的に、トリエチルアミンのような有機塩基を含有するDMFまたはDMSOなどの双極性非プロトン性溶媒中で、室温で0.5〜5日間行われる。ビオチンコンジュゲートは、逆相HPLCなどのクロマトグラフ法によって選択的に単離される。
【0067】
他の好ましい標識は、フルオレセイン、ローダミン、テキサスレッド、ダンシル、およびシアニン色素、例えばCy−5などの蛍光団であり、その多くの活性化誘導体が市販されている。通常、これらのコンジュゲートは、ビオチンコンジュゲートと同様に第3級アミンを含有する双極性非プロトン性溶媒中で調製され、その後クロマトグラフ単離される。
【0068】
検出系に間接的にカップリングされる標識としてリポーター基を使用することも可能である。1つの例は、上述のようなビオチンである。別の例は、2001年1月4日に公開されたPCT公開WO200101135に記載されるようなイノシン一リン酸デヒドロゲナーゼの阻害のためのミコフェノール酸誘導体である。
【0069】
HIVプロテアーゼ阻害剤活性化ハプテン上の活性基Aとの反応のために、標識上に適切な求核基、例えばアミンまたはチオールを適切に導入した後、本発明に使用することができる、ルテニウムビピリジル誘導体のような電気化学発光標識、アクリジニウムエステルのような化学発光標識、電気化学メディエーター、ならびに様々な微粒子およびナノ粒子を含む他の非同位体標識の可能性があることは、当業者にとって明白であろう。
【0070】
以下の実施例において、下線付きの数字は図面に示された対応する構造を指す。これらの実施例は説明のためにのみ提示され、本発明の限定を意図するものではない。
【実施例】
【0071】
すべての溶媒は、特に指定のない限りJ.T. Bakerから入手した。分析用逆相RP−HPLC解析は、ダイオードアレイ検出器およびクォータナリポンプを組み込んだAgilent HP1100 LC/MSシステムで行った。LC/MS解析は、AJO-4287 (C-180DS) カートリッジとともにPhenomenex KJO-4282ガードキットを装備したVydac 218TP54カラム(300A, 5μ; C18, 4.6mm×250mm)によって行った。クロマトグラフの流れはカラム後にMS検出器に誘導した。使用したMSDはエレクトロスプレーポジティブモード「ES(+)モード」で作動させた。
【0072】
HPLC画分の凍結乾燥には、特に指定のない限り、減圧下でのアセトニトリルの蒸発、それに続く、例えばドライアイス/アセトン浴を用いた水性残留物の凍結、それに続く、凍結乾燥機を用いた凍結乾燥を含めた。
【0073】
調製用HPLCには下記のVarian DYNAMAX(Rainin)半径方向圧縮カラムの1つを用いた。HPLC作業は、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水−アセトニトリルの勾配系を用いて行った。
Varian DYNAMAX(Rainin)ガードモジュールR00083221G(C-18, 8μ)を伴うR00083221C (Microsorb 60-8, C-18; 250mm×21.4mm)。
Varian DYNAMAX(Rainin)ガードモジュールR00083241G(C-18, 8μ)を伴うR00083241C (Microsorb 60-8, C-18; 250mm×41.4mm)。
【0074】
実施例1
N−(1(S),2(R)−2,2−ジメチルインダニルオキサゾール)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(7)
フラスコにマグネチックスターラーバー、還流冷却器およびアルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させた。反応フラスコに1g(1.4mmol)の硫酸インジナビル()、33mL(28.7mmol)の酢酸イソプロピル、10mLの無水DMF、2.0mL(52.5mmol)の2−メトキシプロペンを入れ、続いて1.8gm(15.5mmol)のピリジニウムp−トルエンスルホン酸を室温ですべて一度に加えた。その後、反応物を撹拌し、40℃で1.5時間加熱した。反応進行をLC/MSによってモニタリングし、それは反応の完了を示唆した。その後、反応混合物を室温に冷却し、1.0gm水酸化リチウム一水和物を加え、反応混合物を約5分間撹拌しておいた。溶媒を減圧下でロータリーエバポレーターで除去した。その結果生じた物質をその後、水に再溶解し、酢酸エチルで抽出した。有機相を集めて無水MgSOで乾燥させてろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その後、粗製油をシリカゲルカラムで精製し、20:1 CHCl:MeOHで溶出した。生成物を含有するRf 0.43の画分を回収し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、真空下で乾燥させて、86%(0.72gm)の収量、MS (m/z) 654.4 (M+H)のオフホワイトの粉末として生成物を得た。図5を参照されたい。
【0075】
実施例2
N−(1(S),2(R)−2,2−ジメチルインダニルオキサゾール)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ベンゾイル−5−[1−[4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(8)
フラスコにマグネチックスターラーバーおよびアルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させた。フラスコに0.67g(0.44mmol)の、10mLの無水DMF、738μL(5.3mmol)のEtNを入れた。混合物を65℃まで加熱し、その温度で5mLの無水DMFに溶解した1.0gm(4.4mmol)の安息香酸無水物を滴下した。その後、反応混合物を80℃で3日間加熱し、反応進行をLC/MSによってモニタリングした。反応混合物を室温に冷却し、溶媒を減圧下で除去した。その後粗製油を、0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いた調製用HPLCによって精製した。生成物を含有する画分を回収し凍結乾燥して、89%の収量、MS (EI): 758.4 (M+H)の0.30gmの目的とする生成物を得た。図5を参照されたい。
【0076】
実施例3
N−(2R−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2R−(フェニルメチル)−4(S)−ベンゾイル−5−[1−[4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(9)
フラスコにマグネチックスターラーバーおよびアルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させた。フラスコに保護されたインジナビル誘導体を入れ、続いて10mLのトリフルオロ酢酸:ジクロロメタンの1:1混合物を加えた。反応物を室温で2時間撹拌した。粗製物のLC/MSは反応が完了したことを示した。その後、溶媒を高真空ロータリーエバポレーターで除去し、粗製物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いた調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を回収し凍結乾燥して、77%(0.22gm)の目的とする生成物を得た。MS (EI): 741.3 [(M+H)+Na], 718.3 (M+H), 586.3, 359.7, 298.7, 133.1, HRMS: C43H51N5O5の算出値: 718.3963; 検出値: 718.3967, [α]20D = -28.42°(C = 1.034, CH2Cl2)。図5を参照されたい。
【0077】
実施例4
N−(2(R)−(4−ホルミルアミノ酪酸エチルエステル)−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ベンゾイル−5−[1−[4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(10)
フラスコにマグネチックスターラーバーおよびアルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させた。フラスコに220mg(0.3mmol)のインジナビル誘導体および無水THF中の1.2mL(9.2mmol)のEtNを入れた。反応混合物に0.90mL(11.5mmol)のエチル−4−イソシアネートブチレートを加え、反応物をその後80℃で2日間加熱した。LC/MSは生成物形成を示した。反応物を室温に冷却し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いることによって調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、87%(235mg)の生成物を得た。MS (EI): 875.4 (M+H), 438.3, 359.7, 158.1。図5を参照されたい。
【0078】
実施例5
N−(2(R)−(4−ホルミルアミノ酪酸)−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(11)
235mg(0.268mmol)の10を入れたフラスコに10mLのメタノールおよび10mLの1N NaOH水溶液を加えた。反応物を室温で1日間撹拌した。反応進行をLC/MSによってモニタリングし、それは生成物形成の完了を示唆した。反応物を減圧下で濃縮し、残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いることによって調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、96%(190mg)の生成物11を得た。MS (EI): 766.3 (M+Na), 743.3 (M+H), 372.1, 307.7, 60.1。図5を参照されたい。
【0079】
実施例6
N−(2(R)−[(4−ホルミルアミノ酪酸−N−スクシンイミジルエステル)]−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(3−ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(12)
50mLの丸底フラスコにマグネチックスターラーバーおよびアルゴンガス吸気口を備えた隔壁を装着させた。フラスコに190mg(0.25mmol)の11、5mLの無水THF、0.133mL(0.74mmol)の無水ジイソプロピルエチルアミンおよび207mg(0.69mmol)の[O−(N−スクシンイミジル−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム]テトラフルオロボレートを0℃で加えた。反応混合物を室温まで温めておき、その温度で24時間撹拌し、減圧下で濃縮した。残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水−アセトニトリルの勾配系を用いることによって調製用HPLCで精製した。含有している画分を集めて凍結乾燥し、白色の固体として57mg(27%)の生成物12を得た。MS (m/z): 840.4 (M+H), 725.4, 482.3, 420.7, 298.7, 130.2。図5を参照されたい。
【0080】
実施例7
インダン環からのインジナビル−BSAコンジュゲート(13A)
5.8mLの50mMリン酸カリウム(pH7.5)中0.34gのウシ血清アルブミン(BSA)溶液を氷浴で冷却した。溶液に8.5mLのDMSOを滴下し、反応混合物を室温未満に維持した。タンパク質溶液に、1.5mLの無水DMF中15mg(0.017mmol)のインジナビル誘導体(12)溶液を滴下した。反応混合物を室温で24時間撹拌しておいた。その結果生じたコンジュゲートを透析チューブ(10,000MWカットオフ)に入れ、室温で1Lの70%DMSO、50mMリン酸カリウム(pH7.5、3回、少なくとも各3時間)、1Lの50%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの30%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの10%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)で透析し、続いて、4℃で50mMリン酸カリウム(pH7.5)を用いて6回(各1L、少なくとも各6時間)の透析を行った。Bioradクマシーブルータンパク質アッセイ(Bradford, M., Anal. Biochem. 72, 248, 1976)を用い、タンパク質濃度は14mg/mLであると測定された。合計21.5mLのコンジュゲートが得られた。図6を参照されたい。
【0081】
実施例8
インダン環からのインジナビル−KLHコンジュゲート(13B)
2mLの50mMリン酸カリウム(pH7.5)中72mgのキーホールリンペット・ヘモシアニン(KLH)溶液を氷浴で冷却した。反応混合物の溶液に4.7mLのDMSOを滴下し、反応温度を室温以下に維持した。その後、670μLのDMF中16.7mg(0.018mmol)のの溶液をタンパク質溶液に滴下した。その混合物を室温で18時間撹拌しておいた。その結果生じたコンジュゲートを透析チューブ(10,000MWカットオフ)に入れ、室温で1Lの70%DMSO、50mMリン酸カリウム(pH7.5、3回、少なくとも各3時間)、1Lの50%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの30%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの10%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)で透析した。Bioradクマシーブルータンパク質アッセイを用い、タンパク質濃度は11mg/mLであると測定された。TNBS法(Habeeb AFSA, Anal. Biochem. 14, 328-34, 1988)によって、利用可能なリジン修飾の程度は46%であると測定された。図6を参照されたい。
【0082】
実施例9
N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(3−{1−(3−t−ブトキシカルボニル−プロピル)}ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミドトリフルオロ酢酸塩(3)
マグネチックスターラーバー、アルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を備えたフラスコに、0.2gm(0.28mmol)の硫酸インジナビル、5mLの無水DMFを加え、続いて72μL(0.56mmol)のEtNを加えた。この撹拌溶液に、シリンジによって0.43gm(1.96mmol)のt−ブチル−4−ブロモブチレートを加えた。その後、フラスコの内容物を80℃で16時間加熱した。粗製物のLC/MSは生成物形成を示し、反応混合物を室温に冷却して溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その後、残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水−アセトニトリルの勾配系を用いることによって調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、71%(0.174gm)のモノアルキル化生成物を得た。この時点では、アルキル化が起こりうる多数の部位が存在するため、生成物の構造は不明であった。
【0083】
幸運な偶然にも、その求電子試薬のアルキル化はピリジン環の窒素で起こり、対応するピリジニウムカチオンを生じた。その構造は1H NMRおよびNOE実験を用いて解明された。ピリジニウム窒素に隣接したメチレンプロトンは、4.70ppmで三重項として示される。これらのメチレンプロトン(4.70ppm)は、放射線照射された場合、ピリジル窒素原子に隣接した2つのHαメチンプロトンにおいて、アルキル化されたピリジン環の特徴的な指標となる8.9ppmおよび9.02ppmでのNOE効果を示し、従って、生成物の構造が確認された。MS (EI): 756.4 (M+H), 378.7, 330.2, 133.1, HRMS: C44H62N5O6の算出値: 756.4695, 検出値: 756.4693。図7を参照されたい。
【0084】
実施例10
N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(3−{1−(3−酪酸)}ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−三ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミドトリフルオロアセテート(4)
0.165gm(0.19mmol)のに10mLの1:1トリフルオロ酢酸:ジクロロメタンを加えた。反応物を室温で30分間撹拌した。粗反応混合物のLC/MSは生成物のピークのみを示した。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。その後、残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水−アセトニトリルの勾配系を用いることによって調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、38%(0.059gm)の生成物を得た。MS (EI): 700.3 (M+H), 568.3, 551.3, 350.8, 341.7, 133.1., HRMS: C40H54N5O6の算出値: 700.4069, 検出値: 700.4075, [α]20D=+30.5°(C=1.0, CH2Cl2)。図7を参照されたい。
【0085】
実施例11
N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(3−{1−(4−N−スクシンイミジルブチラート)}ピリジルメチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミドトリフルオロアセテート(5)
50mLの丸底フラスコ(事前に真空下でヒートガン乾燥した)に、マグネチックスターラーバー、アルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させた。フラスコに、20mg(0.024mmol)の、5mLの無水THF、12μLのEtNを入れ、続いて、19.9mg(0.066mmol)の[O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム]テトラフルオロボレートをすべて一度に加えた。反応物を0℃で撹拌し、6時間かけて室温まで温めた。粗反応混合物のLC/MSは生成物形成を示し、反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮した。残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水−アセトニトリルの勾配系を用いて調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、94.14%(21.0mg)の生成物を得た。MS (EI): 797.3 (M+H), 648.3, 399.2, 324.7, HRMS: C44H57N6O8の算出値: 797.4233, 検出値: 797.4237., [α]D20=+44.06°(C=1.0, CH2Cl2)。図7を参照されたい。
【0086】
実施例12
ピリジル環からのインジナビル−BSAコンジュゲート(6A)
2.4mLの50mMリン酸カリウム(pH7.5)中0.23gのウシ血清アルブミン(BSA)溶液を氷浴で冷却した。溶液に4.25mLのDMSOを滴下し、反応混合物を室温未満に維持した。タンパク質溶液に、1.5mLの無水DMF中15mg(0.016mmol)のインジナビル誘導体()溶液を滴下した。反応混合物を室温で24時間撹拌しておいた。その結果生じたコンジュゲートを透析チューブ(10,000MWカットオフ)に入れ、室温で1Lの70%DMSO、50mMリン酸カリウム(pH7.5、3回、少なくとも各3時間)、1Lの50%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの30%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの10%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)で透析し、続いて、4℃で50mMリン酸カリウム(pH7.5)を用いて6回(各1L、少なくとも各6時間)の透析を行った。Bioradクマシーブルータンパク質アッセイを用い、タンパク質濃度は12mg/mLであると測定された。合計18mLのコンジュゲートが得られた。図7を参照されたい。
【0087】
実施例13
ピリジル環からのインジナビル−KLHコンジュゲート(6B)
1.5mLの50mMリン酸カリウム(pH7.5)中54mgのキーホールリンペット・ヘモシアニン(KLH)溶液を氷浴で冷却した。反応混合物に4.7mLのDMSOを滴下し、反応温度を室温未満に維持した。その後、670μLのDMF中16.7mg(0.018mmol)のの溶液をタンパク質溶液に滴下した。その混合物を室温で18時間撹拌しておいた。その結果生じたコンジュゲートを透析チューブ(10,000MWカットオフ)に入れ、室温で1Lの70%DMSO、50mMリン酸カリウム(pH7.5、3回、少なくとも各3時間)、1Lの50%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの30%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)、1Lの10%DMSO、50mMリン酸カリウム(少なくとも3時間)で透析した。Bioradクマシーブルータンパク質アッセイを用い、タンパク質濃度は11mg/mLであると測定された。TNBS法によって、利用可能なリジン修飾の程度は46%であると測定された。図7を参照されたい。
【0088】
実施例14
M6−インジナビル代謝物(2)
マグネチックスターラーバーを装着したフラスコに、0.30gm(0.4214mmol)の硫酸インジナビル()、30mLのメタノールを入れ、続いて、40mgの20wt%Pd(OH)/C触媒を加えた。反応容器中の空気を真空下で除去し、水素ガスを導入して1atmにした。その後、反応物を室温で16時間撹拌した。その時、粗製物のLC/MSは反応の完了を示した。その後、それをCELITEのパッドでろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、真空下で乾燥させて99%(0.2187gm)の生成物を得た。MP=147℃、TCL(シリカゲル)Rf=0.35(MeOH)、MS (EI): 523.3 (M+H), HRMS: C30H42N4O4の算出値: 523.3279, 検出値: 523.3282, [α]D20=+13.32°(C=1.036, CH2Cl2)。図8を参照されたい。
【0089】
実施例15
N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−(4−安息香酸メチル)−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(14)
マグネチックスターラーバーを装着した丸底フラスコに、無水CHCl中70mg(0.1346mmol)のインジナビルM6()を入れ、続いて、24mg(0.16mmol)の4−カルボキシベンズアルデヒドおよび16.8mg(0.26mmol)のシアノホウ化水素ナトリウムを加えた。反応混合物を室温で1日間撹拌した。その後それを水によって停止させ、3×20mLのCHClで抽出した。有機相を集め、無水MgSOで脱水してろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その後、粗製混合物を1:1ヘキサン:酢酸エチルで溶出するシリカゲルカラムで精製し、80%(71mg)を得た。MS (m/z) = 657.3 (M+H)。図9を参照されたい。
【0090】
実施例16
4−{3−t−ブチルカルバモイル−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−インダン−1−イルカルバモイル)−5−フェニル−ペンチル]−ピペラジン−1−イルメチル}−安息香酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(15)
50mLの丸底フラスコ(事前に真空下でヒートガン乾燥した)に、マグネチックスターラーバー、アルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させる。フラスコに、20mg(0.03mmol)の14、5mLの無水THF、12μLのEtNを入れ、続いて、19.9mg(0.06mmol)の[O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム]テトラフルオロボレートをすべて一度に加える。反応物を0℃で撹拌し、室温まで温め、その温度で6時間撹拌しておく。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、調製用HPLCで精製して目的とする生成物を得る。図9を参照されたい。
【0091】
実施例17
N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4−酪酸]])−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(16)
マグネチックスターラーバーと隔壁を装着したフラスコに、0.1g(0.19mmol)のインジナビルM6()、10mLの無水CHClを入れ、続いて、0.012g(0.19mmol)のシアノホウ化水素ナトリウムおよび0.025g(0.23mmol)のコハク酸セミアルデヒド(水中で15重量%)を加えた。反応物を室温で一晩撹拌した。その後、20mLの脱イオン水によって反応を停止させ、3N HClによって酸性化し、3×20mLのジエチルエーテルで抽出した。有機相を集めて無水MgSOで脱水し、ろ過して溶媒をロータリーエバポレーターで除去した。その後それを、0.1%トリフルオロ酢酸を含有する水−アセトニトリルの勾配系を用いて、調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、68mg(42%)の収量を得た。MS (m/z) = 609.3 (M+H), 477.3, 133.1。図10を参照されたい。
【0092】
実施例18
4−{3−t−ブチルカルバモイル−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−インダン−1−イルカルバモイル)−5−フェニル−ペンチル]−ピペラジン−1−イル}−酪酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(17)
50mLの乾燥させた丸底フラスコに、マグネチックスターラーバー、アルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させる。フラスコに、0.032mmol(20mg)の16、5mLの無水THF、12μLのEtNを入れ、続いて、0.06mmol(19.9mg)の[O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム]テトラフルオロボレートをすべて一度に加える。反応物を0℃で撹拌し、6時間かけて徐々に室温まで温める。反応混合物をロータリーエバポレーターで濃縮し、調製用HPLCで精製して目的とする活性エステル17を得る。図10を参照されたい。
【0093】
実施例19
N−(2(R)−ヒドロキシ−1(S)−インダニル)−2(R)−(フェニルメチル)−4(S)−ヒドロキシ−5−[1−[4(2−メチルピコレートメチル)]]−2(S)−(N−t−ブチルカルバモイル)ピペラジニル]]ペンタンアミド(18)
マグネチックスターラーバーと隔壁を装着したフラスコに、50mg(0.095mmol)のインジナビルM6()、4mLの無水DMF、15μLの無水EtNを入れ、続いて、0.024g(0.10mmol)の2−ブロモメチルピリジン−6−カルボン酸メチルエステルを加えた。反応物を室温で3時間撹拌し、反応進行をLC/MSによってモニタリングした。その後、溶媒を高真空で除去し、物質を調製用HPLCで精製した。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、24.7mg(38%)の生成物を得た。MS (m/z) = 694.3 (M+Na), 672.3 (M+H), 540.3, 336.7, 133.1。図11を参照されたい。
【0094】
実施例20
6−{3−t−ブチルカルバモイル−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−インダン−1−イルカルバモイル)−5−フェニル−ペンチル]−ピペラジン−1−イルメチル}−ピリジン−2−カルボン酸(19)
25mg(0.037mmol)の18を含むフラスコに、3mLのメタノールおよび3mLの1N NaOH水溶液を加える。反応物を室温で1日間撹拌する。LC−MSは生成物形成の完了を示す。反応混合物を減圧下で濃縮し、残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いた調製用HPLCによって精製する。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、目的とする生成物19を得る。図11を参照されたい。
【0095】
実施例21
6−{3−t−ブチルカルバモイル−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−インダン−1−イルカルバモイル)−5−フェニル−ペンチル]−ピペラジン−1−イルメチル}−ピリジン−2−カルボン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イルエステル(20)
乾燥させた50mLの丸底フラスコに、マグネチックスターラーバー、アルゴンガス吸気口を取り付けた隔壁を装着させる。フラスコに、20mg(0.030mmol)のインジナビル酸19、5mLの無水THF、12μLのEtNを入れ、続いて、19.9mg(0.06mmol)の[O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム]テトラフルオロボレートをすべて一度に加える。反応物を0℃で撹拌し、徐々に室温まで温める。反応混合物を室温で6時間撹拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いた調製用HPLCで精製する。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、目的とする生成物20を得る。図11を参照されたい。
【0096】
実施例22
5−{3−t−ブチルカルバモイル−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−インダン−1−イルカルバモイル)−5−フェニル−ペンチル]−ピペラジン−1−メチル}−ピリジン−2−カルボン酸エチルエステル(21)
マグネチックスターラーバーと隔壁を装着した丸底フラスコに、無水CHCl中70mg(0.13mmol)のインジナビルM6()を入れ、続いて、0.16mmol(26mg)の5−ホルミル−2−ピリジンカルボン酸エチルエステル(US 4,526,787号)および16.8mg(0.26mmol)のシアノホウ化水素ナトリウムを加える。反応混合物を室温で1日間撹拌する。反応混合物を水によって停止させ、3×20mLのCHClで抽出する。有機相を集め、無水MgSOで脱水してろ過し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去する。その後、粗製混合物をシリカゲルカラムで精製し、目的とする生成物を得る。図12を参照されたい。
【0097】
実施例23
5−{3−t−ブチルカルバモイル−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−インダン−1−イルカルバモイル)−5−フェニル−ペンチル]−ピペラジン−1−イルメチル}−ピリジン−2−カルボン酸(22)
25mg(0.037mmol)の21を含むフラスコに、3mLのメタノールおよび3mLの1N NaOH水溶液を加える。反応物を室温で1日間撹拌する。LC−MSは生成物形成の完了を示す。反応物を減圧下で濃縮し、残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いた調製用HPLCによって精製する。生成物を含有する画分を回収し、溶媒をロータリーエバポレーターで除去し、凍結乾燥して目的とする生成物を得る。図12を参照されたい。
【0098】
実施例24
5−{3−t−ブチルカルバモイル−4−[2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−インダン−1−イルカルバモイル)−5−フェニル−ペンチル]−ピペラジン−1−イルメチル}−ピリジン−2−カルボン酸2,5−ジオキソ−ピロリジン−1−イル(23)
5mLの無水THF中20mg(0.030mmol)の22の溶液に、12μLのEtNを加え、続いて、19.9mg(0.06mmol)の[O−(N−スクシンイミジル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウム]テトラフルオロボレートを加える。反応物を0℃で撹拌し、室温まで温める。反応混合物を室温で6時間撹拌し、ロータリーエバポレーターで濃縮する。残留物を0.1%トリフルオロ酢酸を含有するアセトニトリル−水の溶媒系を用いて行われる勾配を用いた調製用HPLCで精製する。生成物を含有する画分を集めて凍結乾燥し、目的とする生成物を得る。図12を参照されたい。
【0099】
実施例25
イムノアッセイ形式の原理
本明細書に記載されるインジナビルのためのアッセイ形式は、均一系微粒子イムノアッセイである。それは、血清中のインジナビルの検出のための2試薬システムである。溶液中の微粒子の動力学的相互作用(KIMS)は、Roche Diagnostics/Hitachiファミリーの自動分析装置を用いて測定した。この技術では、インジナビル抗体は微粒子上に共有結合され、薬物誘導体は高分子(アミノデキストラン)に結合される。微粒子上の限られた量の特異的インジナビル抗体との結合について、薬物コンジュゲートと血清サンプル中のインジナビル(存在すれば)との間での競合反応が起こる。溶液中の微粒子の動力学的相互作用は、微粒子上での薬物コンジュゲートと抗体との結合によって引き起こされ、サンプル中のインジナビルの存在によって阻害される。
【0100】
インジナビル抗体は、US 2004/40127689に記載されるインジナビル免疫原から作製した。
【0101】
実施例26
インダン環からのインジナビル−アミノデキストランコンジュゲート(13C)
アミノデキストラン(MW40,000)は、US6,653,456号に記載される方法に従って調製した。TNBSアッセイによって、生成物は1モルのアミノデキストランあたり5.7アミノ基を有することが分かった。
【0102】
このアミノデキストランは、(インダン環からの)インジナビル−アミノデキストランコンジュゲートを調製するために使用された。20mgのアミノデキストランに室温で1mLのDMSOを加えた。混合物を室温ですべてのアミノデキストランが溶液になるまで撹拌しておいた。反応混合物に13μL(0.092mmol)のトリエチルアミンを加えた。インジナビル誘導体12、8.87mg(0.010mmol)を0.44mLの無水DMSOに溶解し、撹拌されるアミノデキストラン溶液に滴下した。混合物を室温で48時間撹拌しておき、SPECTRA/POR透析チューブ(MWカットオフ3500)に移し、以下のように(1L容量、少なくとも各8時間で)室温で透析した(各透析は1L容量を用いた)。すなわち、脱イオン水中80%DMSO、60%DMSO、40%DMSO、および20%DMSOで透析し、続いて脱イオン水で透析を行った。
【0103】
溶液を透析チューブから回収して凍結乾燥し、白色の粉末として15mgのインジナビル−デキストランコンジュゲートを得た。図6を参照されたい。
【0104】
実施例27
ピリジン環からのインジナビル−アミノデキストランコンジュゲート(6C)
このアミノデキストランは、(ピリジン環からの)インジナビル−アミノデキストランコンジュゲートを調製するために使用した。20mgのアミノデキストランに室温で1mLのDMSOを加えた。混合物を室温ですべてのアミノデキストランが溶液になるまで撹拌しておいた。反応混合物に13μL(0.092mmol)のトリエチルアミンを加えた。インジナビル誘導体、9.86mg(0.011mmol)を0.44mLの無水DMSOに溶解し、撹拌中のアミノデキストラン溶液に滴下した。混合物を室温で48時間撹拌しておき、SPECTRA/POR透析チューブ(MWカットオフ3500)に移し、以下のように(1L容量、少なくとも各8時間で)室温で透析した(各透析は1L容量を用いた)。すなわち、脱イオン水中80%DMSO、60%DMSO、40%DMSO、および20%DMSOで透析し、続いて脱イオン水で透析を行った。溶液を透析チューブから回収して凍結乾燥し、白色の粉末として15mgのインジナビル−デキストランコンジュゲートを得た。図7を参照されたい。
【0105】
実施例28
インジナビルラテックス試薬の調製
固形分10%(w/v)のカルボン酸修飾ラテックス微粒子(Seradyn)を脱イオン水で固形分1%(w/v)に希釈した。懸濁液を32,600×gで1時間4℃で遠心分離した。ペレットを残し、超音波処理によって再懸濁した。1%ラテックス懸濁液を上述のような遠心分離によって5倍当量の脱イオン水で洗浄し、続いて、5倍等量の洗浄バッファー(50mM 2−(N−モルホリノ)−エタンスルホン酸(MES)、pH5.5)で洗浄した。ラテックス微粒子を4℃で保存した。ラテックス濃度をRoche Cobas Miraで測定し、50mM MESバッファー、pH5.5で1%(w/v)に調整した。
【0106】
洗浄された1%(w/v)ラテックスを、10等量のN−エチル−N’−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)ならびに10等量の50mM MES、pH5.5中のスルホNHSおよび脱イオン水中50mg/mLのEDC溶液によって活性化した。反応混合物を室温で2時間撹拌した。
【0107】
反応混合物を3200×gで1時間4℃で遠心分離し、ラテックスペレットを50mM MOPS、pH6.4に再懸濁した。ラテックス濃度をRoche Cobas Miraで測定し、ラテックス懸濁液を1%(w/v)に調整した。
【0108】
所望の量のインジナビルモノクローナル抗体(各抗体付加において、M2.35.2およびM1.158.8それぞれについて1%(w/v)ラテックスあたり0.2mgのMab(US 200440127689参照))を1%(w/v)ラテックスに加え、ラテックス混合物を室温で2時間撹拌した。
【0109】
ラテックス混合物に、50mM MOPS、pH6.4中50mg/mLのBSAを加え、室温で一晩撹拌することによって後ブロッキングした。
【0110】
ラテックス混合物を32,600×gで1時間4℃で遠心分離し、ラテックスペレットをラテックス保存バッファー(50mM MOPS、0.1% BSA、0.09% NaN、pH7.2)に再懸濁した。これが試薬R2である。
【0111】
ラテックスを上述のような遠心分離によってラテックス保存バッファーで3回洗浄した。ラテックス懸濁液の単分散をRoche Cobas Miraで測定した。ラテックス懸濁液濃度を1.5%に調整し、4℃で保存した。
【0112】
実施例29
インジナビル較正曲線
硫酸インジナビルを50%エタノールに溶解し、1mg/mL原液を調製した。2組の血清較正物および対照を調製した。低値セット血清較正物は、インジナビル原液からRoche TDM血清中0.25、0.325、0.75、1.5および3μg/mLのインジナビル濃度で調製された。高値セット血清較正物には、0、0.75、1.5、3、および12μg/mLの濃度でインジナビルが添加した。
【0113】
pH7.2で0.1%ポリアクリル酸および0.1%TWEEN 20を含有する180mM PIPESバッファー中に0.2mg/mLのインジナビルアミノデキストランコンジュゲート(13Cまたは6C)を調製することによって、コンジュゲート試薬を調製した(試薬R1)。ラテックス試薬R2の調製は上述した。
【0114】
Hitachi 917自動分析装置(Roche Diagnostics Corporation, Indianapolis)を用い、120μLの第一調製済み試薬(R1)および160μLの第二調製済み試薬(R2)および15μLのサンプル量を用いて、600nmの波長での吸収変化を測定して、アッセイを行った。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】実施例29に記載されたように高値セット血清較正物を用い、コンジュゲート6Cを用いて作成した較正曲線である。
【図2】実施例29に記載されたように低値セット血清較正物を用い、コンジュゲート6Cを用いて作成した較正曲線である。
【図3】実施例29に記載されたように高値セット血清較正物を用い、コンジュゲート13Cを用いて作成した較正曲線である。
【図4】実施例29に記載されたように低値セット血清較正物を用い、コンジュゲート13Cを用いて作成した較正曲線である。
【図5】実施例1〜6に記載されたようにインジナビルのインダン環ヒドロキシル基から活性化インジナビルハプテン12を合成する手順を図解する。
【図6】それぞれ実施例7、8、および26に記載されたように活性化ハプテン12のBSA、KLH、およびアミノデキストラン誘導体を合成する手順を図解する。
【図7】実施例9〜11に記載されたようにインジナビルのピリジン環窒素から活性化インジナビルハプテンを合成する手順、ならびに、それぞれ実施例12、13、および27に記載されたようにKLH、BSA、およびアミノデキストラン誘導体を合成する手順を図解する。
【図8】実施例14に記載されたように水素ガスおよびパラジウム触媒の存在下でインジナビルから単一ステップでインジナビル代謝物M6()を合成する手順を図解する。
【図9】実施例15および16に記載されたようにM6のピペラジン窒素から置換芳香族連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。
【図10】実施例17および18に記載されたようにM6のピペラジン窒素から脂肪族連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。
【図11】実施例19〜21に記載されたようにM6のピペラジン窒素からピリジル連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。
【図12】実施例22〜24に記載されたようにM6のピペラジン窒素からピリジル連結基を有するインジナビル誘導体を合成する手順を図解する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の式:
【化1】

[式中、YはOまたはSであり、mは0または1であり、XはCHまたはNHであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基、およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である]
により示される化合物。
【請求項2】
Aが活性エステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
YがOであり、mが1であり、Lが3個の炭素原子を含んでなり、XがNHであり、かつAが活性エステルである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
以下の式:
【化2】

により示される化合物。
【請求項5】
以下の式:
【化3】

[式中、YはOまたはSであり、mは0または1であり、XはCHまたはNHであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子をさらに含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−、および
【化4】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である]
により示される化合物。
【請求項6】
Qが、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、リムルスポリヘムス・ヘモシアニン(limulus polyphemus hemocyanin)、ウシサイロブロブリン、およびアミノデキストランからなる群より選択されるポリペプチドまたは多糖である、請求項5に記載の化合物。
【請求項7】
YがOであり、mが1であり、XがNHであり、Lが4個の炭素原子を含んでなり、かつQが、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、およびアミノデキストランからなる群より選択される、請求項5に記載の化合物。
【請求項8】
以下の式:
【化5】

[式中、Qは、ウシ血清アルブミン、キーホルリンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、およびアミノデキストランからなる群より選択される]
により示される化合物。
【請求項9】
以下の式:
【化6】

[式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基、およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である]
により示される化合物。
【請求項10】
Aが活性エステルである、請求項9に記載の化合物。
【請求項11】
Lが3個の炭素原子を含んでなる、請求項10に記載の化合物。
【請求項12】
以下の式:
【化7】

により示される化合物。
【請求項13】
以下の式:
【化8】

[式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子をさらに含む連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−、および
【化9】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である]
により示される化合物。
【請求項14】
Qが、ウシ血清アルブミン、キーホールリンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、リムルスポリヘムス・ヘモシアニン(limulus polyphemus hemocyanin)、ウシサイロブロブリン、およびアミノデキストランからなる群より選択されるポリペプチドまたは多糖である、請求項13に記載の化合物。
【請求項15】
Lが4個の炭素原子を含んでなる、請求項13に記載の化合物。
【請求項16】
以下の式:
【化10】

[式中、Qは、ウシ血清アルブミン、キーホルリンペット・ヘモシアニン(keyhole limpet hemocyanin)、およびアミノデキストランからなる群より選択される]
により示される化合物。
【請求項17】
以下の式:
【化11】

[式中、XはNまたはCであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基、およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である]
により示される化合物。
【請求項18】
以下の式:
【化12】

により示される化合物。
【請求項19】
以下の式:
【化13】

により示される化合物。
【請求項20】
以下の式:
【化14】

により示される化合物。
【請求項21】
以下の式:
【化15】

[式中、XはNまたはCであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子をさらに含む連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−、および
【化16】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である]
により示される化合物。
【請求項22】
以下の式:
【化17】

[式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子と、0〜20個のヘテロ原子とを含む脂肪族連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、かつAは、活性エステル、イソシアネート、イソチオシアネート、チオール、イミドエステル、無水物、マレイミド、チオラクトン、ジアゾニウム基、およびアルデヒドからなる群より選択される活性型官能基である]
により示される化合物。
【請求項23】
以下の式:
【化18】

により示される化合物。
【請求項24】
以下の式:
【化19】

[式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として配列する0〜40個の炭素原子を含み、0〜20個のヘテロ原子をさらに含む脂肪族連結基であるが、3個以上のヘテロ原子が連続して結合していてはならず、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−、および
【化20】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、合成ポリマー、および非同位体標識からなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である]
により示される化合物。
【請求項25】
硫酸インジナビルを水素ガスとパラジウム触媒の存在下で反応させ、それによりインジナビルM6を形成させるステップを含む、インジナビルM6の合成方法。
【請求項26】
サンプル中のインジナビルを測定するためのアッセイ方法であって、以下のステップ:
インジナビルを含有することが疑われるサンプルを、インジナビルに特異的な抗体と、インジナビルのアナログおよび非同位体シグナル生成部分を含んでなるコンジュゲートと混合するステップであって、抗体が該サンプル中のインジナビルと結合したときにシグナルが生成され、該コンジュゲートは以下の式:
【化21】

[式中、YはOまたはSであり、mは0または1であり、XはCHまたはNHであり、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として0〜20個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であり、かつZはxx、xx、およびxxからなる群より選択される部分である]
により示される上記ステップ、
生成されたシグナルの量を測定するステップ、および
測定されたシグナルと該サンプル中のインジナビルの存在または量とを関連付けるステップ
を含む、上記方法。
【請求項27】
サンプル中のインジナビルを測定するためのアッセイ方法であって、以下のステップ:
インジナビルを含有することが疑われるサンプルを、インジナビルに特異的な抗体と、インジナビルのアナログおよび非同位体シグナル生成部分を含んでなるコンジュゲートと混合するステップであって、抗体が該サンプル中のインジナビルと結合したときにシグナルが生成され、該コンジュゲートは以下の式:
【化22】

[式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として0〜20個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であり、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−、および
【化23】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、および合成ポリマーからなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である]
により示される上記ステップ、
生成されたシグナルの量を測定するステップ、および
測定されたシグナルと該サンプル中のインジナビルの存在または量とを関連付けるステップ
を含む、上記方法。
【請求項28】
サンプル中のインジナビルを測定するためのアッセイ方法であって、以下のステップ:
インジナビルを含有することが疑われるサンプルを、インジナビルに特異的な抗体と、インジナビルのアナログおよび非同位体シグナル生成部分を含んでなるコンジュゲートと混合するステップであって、抗体が該サンプル中のインジナビルと結合したときにシグナルが生成され、該コンジュゲートは以下の式:
【化24】

[式中、Lは飽和もしくは不飽和の直鎖または分岐鎖として0〜20個の炭素原子を含み、最大2個の環状構造と0〜20個のヘテロ原子を含有する連結基であり、Zは、−CONH−、−NHCO−、−NHCONH−、−NHCSNH−、−OCONH−、−NHOCO−、−S−、−NH(C=NH)−、−N=N−、−NH−、および
【化25】

からなる群より選択される部分であり、Qは、ポリペプチド、多糖、および合成ポリマーからなる群より選択され、かつnはQの分子量50キロダルトンあたり1〜50の数である]
により示される上記ステップ、
生成されたシグナルの量を測定するステップ、および
測定されたシグナルと該サンプル中のインジナビルの存在または量とを関連付けるステップ
を含む、上記方法。
【請求項29】
請求項5、13、21および24のいずれか1項に記載の式により示される化合物に応答して生成された抗体。
【請求項30】
請求項29に記載のインジナビルに対する抗体を生成するための免疫原の使用。
【請求項31】
生物学的サンプル中のインジナビルの測定のための、請求項29に記載の抗体を生成する方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2008−519793(P2008−519793A)
【公表日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−540587(P2007−540587)
【出願日】平成17年11月11日(2005.11.11)
【国際出願番号】PCT/EP2005/012085
【国際公開番号】WO2006/050964
【国際公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【出願人】(591003013)エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー (1,754)
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
【Fターム(参考)】