説明

インク、インクカートリッジ及びインクジェット記録方法

【課題】耐ブロンズ性に優れ、高い光学濃度及び光沢性を有する画像を与えることが可能なインク、該インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供すること。
【解決手段】金属フタロシアニン骨格を有する特定のグリーン顔料、前記グリーン顔料を分散させるための樹脂、カーボンブラック、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有する。前記グリーン顔料は、蛍光X線分析により測定される、塩素原子のKα線強度の、臭素原子のKα線強度に対する比率が0.01以上3.2以下であり、インク全質量を基準とした、前記カーボンブラックの含有量が、前記グリーン顔料の含有量に対する質量比率で、6.0倍以上30.0倍以下であることを特徴とするインク。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用としても好適なインク、インクカートリッジ及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録方法に、色材として顔料を含有するインクが広く使用されるようになってきており、カラー画像のみならず、モノクロ画像やハーフトーン画像においても、高品位な画像を形成することが求められている。顔料は粒子であるため、記録媒体に記録された画像が光の散乱を受けやすいという顔料特有の性質がある。そのため、記録媒体として例えば光沢紙を用いて得られた画像が、金属光沢様のぎらつきを起こしたり、画像の観測角度によって、反射光が顔料本来の色とは異なる色に見えたりする、いわゆるブロンズ現象を生じるという課題がある。
【0003】
インクジェット記録方法に用いられるインクの中でもブラックインクは、モノクロ画像は当然のことながら、カラー画像にも用いられる重要なインクである。そのため、色再現性が優れていることや、光学濃度が高く、鮮明な画像が得られるといった、ブラックインクにより得られる画像に対しては高い品位が求められている。しかし、ブラックインクを用いて形成された画像については、反射光が赤色に見えるブロンズ現象が起こりやすく、画像品位が不十分となることがあった。
【0004】
上記課題を解決するために、これまでにも種々の提案がなされている。例えば、ブロンズ現象を抑制するために、顔料、ポリエーテル変性ポリシロキサン、及びスルホン酸基含有(共)重合体エマルションを含有するインクに関する提案がある(特許文献1参照)。また、特に顕著に認識される無彩色のインクを用いてモノクロ画像を記録する場合のブロンズ現象対策としては、例えば、カーボンブラックと別の色材とを共にインクに含有させ、ブロンズ現象の低減及び帯黄性や帯赤性の低減を図る試みがある(特許文献2参照)。
【0005】
また、画像品位に関しては、ブラックインクの光学濃度を高く、色調をニュートラルに近くすることが要求されている。例えば、カーボンブラックの帯黄性を抑制するために、カーボンブラックと、グリーン顔料及びレッド顔料とを含有するインクについての提案もある(特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2003−306620号公報
【特許文献2】特開2006−206701号公報
【特許文献3】特開2006−063101号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、本発明者らの検討によると、上記で挙げたような従来のいずれの技術を用いても、本発明において課題として認識しているブロンズ現象の抑制レベルを満足し、高い光学濃度を両立することはできていない。さらに、記録媒体として例えば光沢紙を用いた場合に、ブラックインクによって記録される画像の光沢性に関してもさらなる向上が必要である。
【0008】
したがって、本発明の目的は、耐ブロンズ性に優れ、高い光学濃度及び光沢性を有する画像を与えることが可能なインク、該インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記した目的は、以下の本発明によって達成される。すなわち、本発明は、金属フタロシアニン骨格を有するグリーン顔料、前記グリーン顔料を分散させるための樹脂、カーボンブラック、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有するインクであることを特徴とする。そして、前記グリーン顔料は、蛍光X線分析により測定される、塩素原子のKα線強度の、臭素原子のKα線強度に対する比率が0.01以上3.2以下であることを特徴とする。さらに、インク全質量を基準とした、前記カーボンブラックの含有量が、前記グリーン顔料の含有量に対する質量比率で、6.0倍以上30.0倍以下であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、耐ブロンズ性に優れ、高い光学濃度及び光沢性を有する画像を与えることが可能なインク、該インクを用いたインクカートリッジ及びインクジェット記録方法を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、好適な実施の形態を挙げて本発明を詳細に説明する。なお、本明細書の記載において、C.I.とは、カラーインデックスの略語である。
【0012】
本発明者らの検討により、金属フタロシアニン骨格を有する特定のグリーン顔料、グリーン顔料を分散させるための樹脂(樹脂分散剤とも記す)、カーボンブラック、及びポリオキシエチレンアルキルエーテルを含むことで上記課題を解決できることが判明した。さらに、グリーン顔料が有する金属フタロシアニン骨格における蛍光X線分析により測定される塩素原子のKα線強度の臭素原子のKα線強度に対する比率が、0.01以上3.2以下であることにより、効果が得られることが判明した。このような効果が得られるメカニズムについて、本発明者らは以下のように考えている。
【0013】
先ず、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、カーボンブラック、金属フタロシアニン骨格を有する特定のグリーン顔料、及びグリーン顔料を分散させる樹脂を含有するインクが、ブロンズ現象の発生を抑制するメカニズムについて述べる。
【0014】
本発明で用いるグリーン顔料は、金属フタロシアニン骨格の水素原子の一部が塩素原子及び臭素原子に置換された分子の集合体である。ここで、臭素原子の原子半径は塩素原子の原子半径に比べて大きい。このため、グリーン顔料における臭素原子の比率が高まるほど、より嵩高い分子の集合体となると考えられる。顔料は水に不溶であるため、色材としての顔料は、顔料粒子の表面に樹脂分散剤や界面活性剤基などが吸着した状態でインク中に存在する。
【0015】
本発明者らの検討の結果、顔料を構成している分子が嵩高いほど、排除体積効果を有する樹脂は顔料粒子の表面に特に吸着しづらくなることがわかった。そのため、それのみであれば分散状態が安定に保たれるグリーン顔料であっても、カーボンブラックが共存すると分散し安定化が図れない。これは、カーボンブラック粒子の表面はグリーン顔料と比べ相対的に親水性が高く、多孔質でもあるため、グリーン顔料粒子の表面に吸着している樹脂がカーボンブラック粒子の表面側に吸着するようになる。グリーン顔料は、中心金属が銅や亜鉛であるため、比重が大きく、樹脂がカーボンブラック粒子の表面近傍に移動してしまうと、インクにより画像を記録した際に顔料層の下層側に沈んでしまう。本発明において、カーボンブラックを含有するインクにグリーン顔料を添加する理由は、ブロンズ光同士を加法混色し白色化させることで、その色味を認識し難くするためである。したがって、グリーン顔料が顔料層の下層に沈んでしまうと、このブロンズ抑制作用が得られない。
【0016】
そこで、本発明者らが検討したところ、ポリオキシエチレンアルキルエーテルをインクにさらに含有させることで、ブロンズ抑制作用が飛躍的に向上することを見出した。この理由について、本発明者らは、以下のように推測している。ポリオキシエチレンアルキルエーテルは分子鎖の長さも樹脂に比べ小さく、さらに、炭化水素基は疎水性が高いため、疎水性が高いグリーン顔料粒子の表面に選択的に吸着する。これにより、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの他方の末端に存在する、親水性基であるエチレンオキサイド基は外側、つまりインク中に向くため、グリーン顔料の親水性が高まる。すると、グリーン顔料粒子の表面からカーボンブラック表面に移動した樹脂を、再びグリーン顔料粒子の表面に戻すことができるため、グリーン顔料の分散状態を安定化することができると推測している。その結果、グリーン顔料が沈むことなく顔料層中に均一に存在するため、ブロンズ抑制作用が効果的に得られる。
【0017】
次に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが、カーボンブラック、特定のグリーン顔料、及びグリーン顔料を分散させるための樹脂を含有するインクにより記録される画像の光学濃度、及び光沢性を向上させるメカニズムについて述べる。
【0018】
上述のように、ポリオキシエチレンアルキルエーテルは、金属フタロシアニン骨格を有する特定のグリーン顔料をカーボンブラック中で安定に共存させる効果がある。そのため、ブロンズ現象が抑制されるとともに、画像が無彩色となり、拡散反射光が黒色感に優れ、光学濃度が向上する。また、顔料層においても、グリーン顔料が沈むことがないため、均一な顔料層が形成され、光の乱反射が減り余計な光が反射されなくなるために、光学濃度が向上すると考えられる。
【0019】
さらに、光沢性の高い画像を得るためには、記録媒体の表面上のドット間段差を抑えた平滑な表面を形成する必要がある。そのためには、記録ヘッドから吐出され、記録媒体に付与されたインクのドットと、既に形成されたドットや隣接したドットとの相溶性が高いことが重要となる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルはノニオン性であるために、イオン性基を水和基として有する界面活性剤に比べ、水を抱き込みやすくドットの定着時間を若干長くすることができる。このため、先に形成されたドットの定着時間が若干長くなるため、その上に付与されるインクのドットとの相溶性が向上し、光沢性が向上すると考えられる。また、上述のドット内のグリーン顔料の沈降も抑制することができるため、グリーン顔料とカーボンブラックが均一に存在し、ドット同士の相溶性が向上するため、光沢性が向上すると考えられる。
【0020】
<インク>
以下、グレーないしはブラックの色相を有し、インクジェット用にも好適な、本発明のインクを構成する各成分について説明する。
【0021】
(顔料)
本発明のインクは、複数種の顔料を含有し、該複数種の顔料には、カーボンブラック及び金属フタロシアニン骨格を有する特定のグリーン顔料が含まれることを要する。そして、前記グリーン顔料は、蛍光X線分析により測定される塩素原子のKα線強度の、臭素原子のKα線強度に対する比率が0.01以上3.2以下であり、樹脂により分散されてなることが必要である。なお、本発明の効果が得られる限り、これら以外の公知の顔料を併用することもできる。
【0022】
本発明においては、各顔料の一次平均粒子径が10nm以上300nm以下であることが好ましい。一次平均粒子径が10nm未満であると、複数の一次粒子間での相互作用が強くなりすぎるため、顔料の凝集が生じやすく、インクの保存安定性が十分に得られない場合がある。また、一次平均粒子径が300nmを超えると、顔料の平均粒子径も大きくなり、粗大粒子の割合が増えるため、インクジェット方式の記録ヘッドからインクを吐出させる際に目詰まりが生じやすくなる場合がある。
【0023】
〔カーボンブラック〕
カーボンブラックとしては、ファーネスブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ガスブラックなどの従来公知のものをいずれも用いることができる。カーボンブラックの分散方式としては、樹脂分散剤により水性媒体中に分散させる方式が好ましい。具体的には、粒子の表面に樹脂分散剤を吸着させて分散させる樹脂分散タイプ、粒子の表面を樹脂で被覆するマイクロカプセルタイプなどが挙げられる。分散剤として使用する樹脂は、インクジェット用のインクに使用可能なものであればよく、後述するグリーン顔料の樹脂分散剤と同様のものから適宜選択して用いることができる。また、粒子の表面に親水性基や、高分子を含む有機基を化学的に結合させる自己分散タイプの分散方式を採用してもよい。
【0024】
本発明においては、インク中のカーボンブラックの含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下、さらには0.5質量%以上5.0質量%以下であることが好ましい。カーボンブラックの含有量が上記の範囲内であると、画像の光学濃度、及びインクジェット用のインクとしての吐出安定性をより高いレベルで両立することができる。
【0025】
〔グリーン顔料〕
本発明のインクに用いるグリーン顔料は、蛍光X線分析により測定される塩素原子のKα線強度の、臭素原子のKα線強度に対する比率が、0.01以上3.2以下である、金属フタロシアニン骨格を有する顔料であり、樹脂により分散されていることを要する。塩素原子のKα線強度の、臭素原子のKα線強度に対する比率は、0.01以上1.0以下であることが好ましく、0.01以上0.1以下であることがさらに好ましい。グリーン顔料の具体例としては、C.I.ピグメントグリーン36及びC.I.ピグメントグリーン58などが挙げられる。これらのグリーン顔料は、置換基として塩素原子や臭素原子を有するハロゲン化金属フタロシアニン顔料である。C.I.ピグメントグリーン36の中心金属は銅であり、C.I.ピグメントグリーン58の中心金属は亜鉛である。インク中のグリーン顔料の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。グリーン顔料の含有量が0.1質量%未満であると、インクの無彩色化ができないため、高いレベルの光学濃度が十分に得られない場合がある。一方、グリーン顔料の含有量が1.0質量%を超えると、グリーン顔料によるブロンズ光が強くなるため、画像の耐ブロンズ性が高いレベルで得られない場合があり、また、光学濃度も高いレベルで得られない場合がある。
【0026】
蛍光X線分析により測定される塩素原子のKα線強度の、臭素原子のKα線強度に対する比率が0.01未満であると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルが共存しても、臭素原子の存在比率が非常に高くなる。そのため、嵩高いだけでなく、グリーン顔料粒子の表面の疎水性も高まるため、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがグリーン顔料粒子の表面に近づくことができず、ブロンズ現象を抑制する作用が得られない。また、グリーン顔料の色も青味が強すぎるため、光学濃度が得られなくなる。一方、蛍光X線分析により測定される塩素原子のKα線強度の臭素原子のKα線強度に対する比率が3.2を超えると、顔料は黄色味が強くなるため、ブロンズ光同士を加法混色することにより白色化させることができず、ブロンズ現象を抑制する作用が得られない。また、彩度も無彩色となることはなく、光学濃度が逆に低下する。
【0027】
本発明において、グリーン顔料を規定するために使用する塩素原子のKα線強度の臭素原子のKα線強度に対する比率(塩素原子のKα線強度/臭素原子のKα線強度)は、下記の方法で測定した。すなわち、蛍光X線分析装置ZSXmin(理学電気工業製)を用い、加速電圧40KV、1.20mAの条件で測定して得られる、塩素原子と臭素原子とのピーク強度の比率を用いることで算出できる。勿論、本発明において利用することができる蛍光X線分析の条件はこれに限られるものではなく、塩素原子のKα線強度と、臭素原子のKα線強度の比率によって規定するため、これらのKα線強度が互いに同一の条件で測定されていればよい。
【0028】
未知のインクが、前記した特性のグリーン顔料を含有するか否かについては、下記の手段によって検証することができる。先ず、インクを遠心分離して、インク中の固形成分と液体成分を分離する。その後、沈殿した固形成分のみを採取し、イオン交換水で洗浄する。洗浄した固形成分を乾固した後、蛍光X線分析装置を用いて塩素原子のKα線強度と臭素原子のKα線強度を測定し、これらの比率を求めることで、検証することが可能である。なお、上記固形成分はカーボンブラックも含有するが、カーボンブラックの構造には塩素原子や臭素原子が含まれないため、グリーン顔料についての蛍光X線の測定結果には影響を及ぼさない。
【0029】
本発明においては、インク全質量を基準とした、カーボンブラックの含有量が、上記グリーン顔料の含有量に対する質量比率で、6.0倍以上30.0倍以下であることを要し、6.0倍以上20.0倍以下であることが好ましく、6.0倍以上15.0倍以下であることがさらに好ましい。すなわち、カーボンブラックの含有量/上記グリーン顔料の含有量=6.0倍以上30.0倍以下であることを要する。なお、この場合の含有量はインク全質量を基準とした値である。質量比率が6.0倍未満であると、グリーン顔料が相対的に多くなることになり、色相角がずれてきて、彩度が無彩色とならないだけでなく、ブラックインクの光学濃度も低下する。一方、質量比率が30.0倍を超えると、グリーン顔料が相対的に少ないため、ブラックインクのブロンズ光に対してのグリーン顔料のブロンズ光が少なく、ブロンズ光同士を加法混色することにより白色化ができなくなってしまう。そのため、ブロンズ現象を抑制する作用が得られない。
【0030】
また、本発明においては、中心金属が亜鉛であるグリーン顔料を用いることが特に好ましい。中心金属が亜鉛であるグリーン顔料は発色効率に優れ、着色力も高いため、少ない含有量であってもブロンズ現象を抑制する作用が高い。これに加えて、顔料の透明性も高いため、カーボンブラックと混合して用いても余計な光の反射が少ないことから光学濃度を向上する作用も高い。
【0031】
〔グリーン顔料の樹脂分散剤〕
上記グリーン顔料は、樹脂により分散されていることを要する。具体的には、粒子の表面に樹脂分散剤を吸着させて分散させる樹脂分散タイプ、粒子の表面を樹脂で被覆するマイクロカプセルタイプなどが挙げられる。
グリーン顔料の分散剤として使用する樹脂は、従来のインクジェット用のインクに一般的に使用されるものをいずれも用いることができる。具体的には、以下に挙げるような親水性ユニット及び疎水性ユニットを少なくとも構成ユニットとして有するものが好ましい。
【0032】
重合により親水性ユニットとなる単量体としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸などのカルボキシ基を有する単量体;スチレンスルホン酸などのスルホン酸基を有する単量体;(メタ)アクリル酸−2−ホスホン酸エチルなどのホスホン酸基を有する単量体;これらの酸性単量体の無水物や塩などのアニオン性単量体;(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸3−ヒドロキシプロピルなどのヒドロキシ基を有する単量体が挙げられる。なお、アニオン性単量体の塩を構成するカチオンとしては、リチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、有機アンモニウムなどのイオンが挙げられる。
【0033】
また、重合により疎水性ユニットとなる単量体としては、スチレン、α−メチルスチレン、ベンジル(メタ)アクリレートなどの芳香環を有する単量体;エチル(メタ)アクリレート、メチル(メタ)アクリレート、(イソ)プロピル(メタ)アクリレート、(n−、iso−、t−)ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレートなどの脂肪族基を有する単量体が挙げられる。
本発明において、樹脂を構成するアニオン性基を有するユニットが、アクリル酸やメタクリル酸などのカルボキシ基を有する単量体に由来するユニットを少なくとも含む樹脂、すなわちアクリル系樹脂をグリーン顔料の樹脂分散剤として用いることが特に好ましい。
【0034】
インク中のグリーン顔料を分散するための樹脂の含有量(質量%)が、インク全質量を基準として、0.1質量%以上10.0質量%以下であることが好ましい。また、グリーン顔料を分散するための分散剤として使用する樹脂は、その重量平均分子量が1,000以上30,000以下、さらには3,000以上15,000以下であるものが好ましい。また、グリーン顔料を分散するための分散剤として使用する樹脂は、その酸価が80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下であるものが好ましい。酸価が80mgKOH/g未満であると、樹脂分散剤の疎水性が強すぎるため、ポリオキシエチレンアルキルエーテルと樹脂分散剤の相溶性が低く、樹脂分散剤をカーボンブラック粒子の表面から引き戻しづらくなる。そのため、ブロンズ現象を抑制する作用と光学濃度を高いレベルで得ることができない場合がある。一方、酸価が250mgKOH/gを超えると、樹脂分散剤の水溶性が高くなり、親水性が相対的に高いカーボンブラック粒子の表面への吸着作用が高くなり、樹脂分散剤をグリーン顔料側に引き戻しづらくなることがある。このため、ブロンズ現象を抑制する作用と光学濃度を高いレベルで得ることができない場合がある。
【0035】
(ポリオキシエチレンアルキルエーテル)
本発明のインクには、ポリオキシエチレンアルキルエーテルを含有させる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルはR−O−(CH2CH2O)mHで表される構造を有し、Rは炭化水素基、mは整数である。インク中のポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、0.1質量%以上1.0質量%以下であることが好ましい。
【0036】
疎水性基である上記式中のR(炭化水素基)の炭素数は、ポリオキシエチレンアルキルエーテルがグリーン顔料に吸着することができる範囲であればよい。具体的には、例えば、ラウリル基(12)、セチル基(16)、ステアリル基(18)、オレイル基(18)、ベヘニル基(22)などが挙げられる(括弧内の数値は炭化水素基の炭素数である)。本発明においては、上記式中のR(炭化水素基)の炭素数が12以上18以下であることが好ましい。炭素数が12未満であると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの疎水性基が小さいため、グリーン顔料粒子の表面に十分に吸着せず、高いレベルの耐ブロンズ性が十分に得られない場合がある。一方、炭素数が18を超えると、上述の顔料の凝集スピードを緩やかにする作用が低くなるため、光学濃度と光沢性の向上を高いレベルで達成できない場合がある。また、上記式中のR(炭化水素基)は、直鎖及び分岐のいずれの構造であってもよいが、分子間のアルキル鎖同士の相互作用が強く、顔料粒子の表面への吸着力が高いと考えられるため、直鎖状であることがより好ましい。また、上記式中のR(炭化水素基)は、飽和及び不飽和のいずれの構造であってもよいが、疎水性が高まり、顔料粒子の表面への吸着力が高いため、飽和であることがより好ましい。また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの親水性基であるエチレンオキサイド基の数、すなわち上記式中のmは、Rの構造及びHLB値から決定することができ、10以上50以下であることが好ましく、10以上40以下であることがさらに好ましい。
【0037】
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのグリフィン法により求められるHLB値が13.0以上であることが好ましい。HLB値が13.0未満であると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの疎水性が高くなりすぎる。そのため、グリーン顔料を親水化する作用が低下し、樹脂分散剤をカーボンブラック粒子の表面から引き戻すことができず、高いレベルの耐ブロンズ性が十分に得られない場合がある。なお、HLB値の上限は後述する通り20.0であるので、本発明で使用できる高級アルコールのエチレンオキサイド付加物のHLB値の上限も20.0である。
【0038】
ここで、本発明において、界面活性剤のHLB値を規定するために利用しているグリフィン法について説明する。グリフィン法によるHLB値は、界面活性剤の親水性基の式量と分子量から下記式(1)により求められ、界面活性剤の親水性や親油性の程度を0.0から20.0の範囲で示すものである。このHLB値が低いほど界面活性剤の親油性すなわち疎水性が高いことを示し、逆に、HLB値が高いほど界面活性剤の親水性が高いことを示す。

【0039】
本発明においては、インク全質量を基準とした、グリーン顔料の含有量が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量に対する質量比率で、0.1倍以上10.0倍以下であることが好ましい。すなわち、グリーン顔料の含有量/ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量=0.1倍以上10.0倍以下であることが好ましい。なお、この場合の含有量はインク全質量を基準とした値である。質量比率が0.1倍未満であると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのグリーン顔料粒子の表面への吸着量が多くなる。この場合、グリーン顔料だけでなく、カーボンブラック粒子の表面へも吸着するため、カーボンブラックが記録媒体の表面上に残りにくくなり、高いレベルの光学濃度が十分に得られない場合がある。一方、質量比率が10.0倍を超えると、ポリオキシエチレンアルキルエーテルのグリーン顔料粒子の表面への吸着量が少ないため、高いレベルの耐ブロンズ性が十分に得られないだけでなく、光沢性も十分に得られない場合がある。
【0040】
(水性媒体)
本発明のインクは、水、又は、水及び水溶性有機溶剤の混合溶媒を水性媒体として含有してなるものであることが好ましい。水としては、脱イオン水やイオン交換水を用いることが好ましい。インク中の水の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、50.0質量%以上95.0質量%以下であることが好ましい。また、水溶性有機溶剤としては、インクジェット用のインクに一般的に使用される公知のものをいずれも用いることができ、1種又は2種以上の水溶性有機溶剤を用いることができる。具体的には、1価又は多価のアルコール類、アルキレン基の炭素数が1〜4程度のアルキレングリコール類、平均分子量200〜2,000程度のポリエチレングリコール類、グリコールエーテル類、含窒素化合物類などが挙げられる。インク中の水溶性有機溶剤の含有量(質量%)は、インク全質量を基準として、3.0質量%以上50.0質量%以下であることが好ましい。
【0041】
(その他の成分)
本発明のインクには、上記成分以外にも必要に応じて、尿素、エチレン尿素などの含窒素化合物、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタンなどの常温で固体の水溶性有機化合物を含有させてもよい。また、上記の成分の他に、さらに必要に応じて、その他の界面活性剤、pH調整剤、消泡剤、防錆剤、防腐剤、防黴剤、酸化防止剤、還元防止剤、蒸発促進剤、キレート剤などの種々の添加剤をインクに含有させてもよい。
【0042】
<インクカートリッジ>
本発明のインクカートリッジは、インクと、このインクを収容するインク収容部とを備えている。そして、インク収容部のインクが、上記で説明した本発明のインクである。インクカートリッジの構造としては、インク収容部が、液体のインクを収容するインク収容室、及び負圧によりその内部にインクを保持する負圧発生部材を収容する負圧発生部材収容室で構成されるものが挙げられる。または、液体のインクを収容するインク収容室を持たず、収容量の全量を負圧発生部材により保持する構成のインク収容部であるインクカートリッジであってもよい。さらには、インク収容部と記録ヘッドとを有するように構成された形態のインクカートリッジとしてもよい。
【0043】
<インクジェット記録方法>
本発明のインクジェット記録方法は、インクジェット方式の記録ヘッドにより上記で説明した本発明のインクを吐出して、記録媒体に画像を記録する方法である。インクを吐出する方式としては、インクに力学的エネルギーを付与する方式やインクに熱エネルギーを付与する方式が挙げられ、本発明においては、熱エネルギーを利用するインクジェット記録方法を採用することが特に好ましい。本発明のインクを用いること以外、インクジェット記録方法の工程は公知のものとすればよい。なお、本発明においては、記録媒体としては、普通紙やインク受容層を有する記録媒体などの、インク吸収能を有する紙などを用いることが好ましい。
【実施例】
【0044】
以下、実施例及び比較例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はその要旨を越えない限り、下記実施例によって限定されるものではない。なお、成分の使用量に関し「部」及び「%」とあるのは、特に断りのない限り質量基準である。
【0045】
<グリーン顔料分散液の調製>
(グリーン顔料の合成)
撹拌機及びハロゲンガス導入管を有する反応器を用いて、塩化アルミニウム180g及び塩化ナトリウム42gを、160℃で5時間、混合しながら加熱し、溶融させた。さらに2時間撹拌した後、温度を100℃にして、60gの亜鉛フタロシアニン顔料を加えた。さらに、この反応器内に、塩素ガスと臭素ガスの混合ガス(混合比3:100)を流速9g/hで導入し、亜鉛フタロシアニン顔料のハロゲン化を行った。得られた物質を水中に排出し、洗浄、乾燥を行い、80gのグリーン顔料1を得た。
【0046】
混合ガスの混合比を変更すること以外は、上記グリーン顔料1と同様にして、塩素原子と臭素原子の比率が異なるグリーン顔料2、3、5及び6を合成した。なお、混合ガスの混合比は、グリーン顔料のフタロシアニン骨格に置換する塩素原子と臭素原子の比率に相関があり、例えば、臭素ガスの比率を高めると、フタロシアニン骨格に置換する臭素原子の比率が高くなる。また、亜鉛フタロシアニン顔料を銅フタロシアニン顔料に変更する以外は、上記グリーン顔料1と同様の方法でグリーン顔料4を調製した。また、グリーン顔料7としては、C.I.ピグメントグリーン36(製品名:リオノールグリーン6YK;東洋インキ製造製)を用いた。
【0047】
上記で得られたグリーン顔料1〜7について、蛍光X線分析装置ZSXmin(理学電気工業製)を用い、加速電圧40KV、1.20mAの条件で蛍光X線分析を行って塩素原子と臭素原子のピーク強度を測定した。得られたそれぞれのピーク強度から、各グリーン顔料について、塩素原子のKα線強度/臭素原子のKα線強度の値(Cl/Brとして表記)を求めた。結果を表1中に示す。
【0048】
(グリーン顔料分散液の調製)
下記表1の上段に示す各成分(単位:部)の混合物を、バッチ式縦型サンドミル(アイメックス製)に入れ、0.3mmのジルコニアビーズを85.0部充填し、水冷しながら3時間分散した。なお、樹脂1〜5は、それぞれ表1に示す酸価及び重量平均分子量(MWと表記)を有するスチレン−アクリル酸共重合体であり、10.0%水酸化カリウム水溶液で中和したものを用いた。その後、遠心分離を行うことにより凝集物を除去した。さらに、ポアサイズが3.0μmのセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過することで、各グリーン顔料分散液を調製した。表1の下段には、各グリーン顔料分散液中の顔料(固形分)及び樹脂の含有量(単位:%)を示した。
【0049】

【0050】
<カーボンブラック分散液の調製>
カーボンブラック10.0部、樹脂水溶液25.0部及び水65.0部の混合物を、0.3mm径のジルコニアビーズの充填率を80%としたビーズミル(LMZ2;アシザワファインテック製)に入れ、回転数1,800rpmで5時間分散した。カーボンブラックとしては、Black Pearls 880(キャボット製)を用いた。樹脂水溶液は、酸価215mgKOH/g、重量平均分子量8,500のスチレン−アクリル酸共重合体(ジョンクリル678;BASF製)を、酸価に対して0.95当量の水酸化カリウムで中和して得た、樹脂固形分の含有量が20.0%のものを用いた。その後、回転数5,000rpmで30分間遠心分離を行うことにより凝集物を除去し、さらにイオン交換水で希釈することで、顔料の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%であるブラック顔料分散液を調製した。
【0051】
<シアン顔料分散液の調製>
グリーン顔料1に代えてC.I.ピグメントブルー15:4を用いること以外は、グリーン顔料分散液1と同様にして、シアン顔料分散液を調製した。得られたシアン顔料分散液は、顔料(固形分)の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%であった。
【0052】
<マゼンタ顔料分散液の調製>
(マゼンタ顔料分散液1)
グリーン顔料1に代えてC.I.ピグメントバイオレット23を用いること以外は、グリーン顔料分散液1と同様にして、マゼンタ顔料分散液1を調製した。得られたマゼンタ顔料分散液1は、顔料(固形分)の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%であった。
【0053】
(マゼンタ顔料分散液2)
グリーン顔料1に代えてC.I.ピグメントレッド122を用いること以外は、グリーン顔料分散液1と同様にして、マゼンタ顔料分散液2を調製した。得られたマゼンタ顔料分散液2は、顔料(固形分)の含有量が10.0%、樹脂の含有量が5.0%であった。
【0054】
<樹脂エマルションの合成>
特開2003−306620号公報を参考に、スルホン酸基含有(共)重合体の樹脂エマルションを合成した。ガラス製の反応容器にジオキサン100gを入れ、内温を25℃に保ちながら、無水酢酸11.8gを添加し、2時間撹拌して、無水硫酸−ジオキサン錯体を得た。次に、スチレン/イソプレン/スチレン3元ブロック共重合体(質量比:10/80/10)100gのテトラヒドロフラン溶液(含有量15%)中に、上記で得られた錯体の全量を、内温を25℃に保ちながら添加し、さらに2時間撹拌して、テトラヒドロフラン−ジオキサン錯体溶液を得た。
【0055】
また、水1,200g、水酸化ナトリウム7.1g、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1gをフラスコに入れ、内温を40℃に保った。この中に、上記で得られたテトラヒドロフラン−ジオキサン錯体溶液の全量を、内温を40℃に保ちつつ1時間かけて滴下した。40℃で2時間撹拌した後、減圧蒸留により、水を残しつつ溶剤を除去し、スルホン酸基含有(共)重合体の樹脂エマルションを得た。樹脂(固形分)の含有量は15.0%であり、樹脂微粒子の平均粒子径は35nm、樹脂固形分中のスルホン酸基の量は1.2mmol/gであった。
【0056】
<界面活性剤の構造及び物性>
表2に、ポリオキシエチレンアルキルエーテルの構造、HLB値、炭化水素基の炭素数及びエチレンオキサイド基の付加モル数を示した。なお、HLB値は、上述の式(1)に基づいて算出したグリフィン法による値である。表2中、NIKKOL BC−20、BC−40、BS−20、BB−20は、日光ケミカルズ製の界面活性剤であり、EMALEX 117、512、107、750は日本エマルジョン製の界面活性剤である。
【0057】

【0058】
<インクの調製>
表3の上段に示す各成分(単位:%)を混合し、十分撹拌した後、ポアサイズが0.8μmであるセルロースアセテートフィルター(アドバンテック製)にて加圧ろ過を行い、各インクを調製した。なお、BYK348は、ビックケミー製のシリコーン系界面活性剤であり、プロキセルGXLはアーチケミカルズ製の防黴剤である。
【0059】

【0060】

【0061】

【0062】
<評価>
上記で得られた各インクをインクカートリッジに充填し、インクジェット記録装置BJF900(キヤノン製)のブラックインクのポジションに装着した。そして、キヤノン写真用紙 光沢ゴールド GL−101(キヤノン製)に、記録デューティを10〜200%の間で10%刻みで変化させた、21種のベタ画像を含む記録物を作製した。プリンタドライバはプロフォトペーパーモードを選択し、印刷品質を「きれい」、色調整を「自動」に設定した。なお、上記インクジェット記録装置は、解像度が600dpi×600dpiであり、600インチ×600インチの単位領域当たりに4.5pLの体積のインクを4滴付与する条件を、記録デューティ100%と定義するものである。なお、本発明においては、以下の各項目の評価基準で、A及びBを許容できるレベル、Aが優れているレベル、また、Cを許容できないレベルとした。評価結果を表4に示す。
【0063】
(耐ブロンズ性)
得られた記録物における各記録デューティのベタ画像について、変角高速分光高度計(GCMS−3B型;村上色彩技術研究所製)を用いて、光源D65、視野角2度、入射角45度、反射角45度、あおり角0度の条件で正反射光の測定を行った。そして、特開2008−143135号公報に記載の方法によりブロンズ値Bを算出し、最大値を下記の基準で評価した。
A:ブロンズ値Bの最大値が、3.0以下であった。
B:ブロンズ値Bの最大値が、3.0を超えて5.0以下であった。
C:ブロンズ値Bの最大値が、5.0を超えた。
【0064】
(光学濃度)
得られた記録物における各記録デューティのベタ画像について、反射濃度計RD−19I(GretagMacbeth製)を用いて光学濃度を測定し、その最大値により光学濃度の評価を行った。
A:光学濃度の最大値が、2.2を超えていた。
B:光学濃度の最大値が、2.0を超えて2.0以下であった。
C:光学濃度の最大値が、2.0以下であった。
【0065】
(光沢性)
得られた記録物を24時間自然乾燥させた後、各記録デューティのベタ画像について、マイクロヘイズメーター(BYKガードナー製)を用いて、20°グロス値を測定し、その平均値により光沢性の評価を行った。光沢性の評価基準は以下の通りである。
A:20°グロス値の平均値が、70以上であった
B:20°グロス値の平均値が、60以上70未満であった
C:20°グロス値の平均値が、60未満であった。
【0066】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属フタロシアニン骨格を有するグリーン顔料、前記グリーン顔料を分散させるための樹脂、及びカーボンブラックを含有するインクであって、
前記グリーン顔料は、蛍光X線分析により測定される、塩素原子のKα線強度の、臭素原子のKα線強度に対する比率が0.01以上3.2以下であり、
インク全質量を基準とした、前記カーボンブラックの含有量が、前記グリーン顔料の含有量に対する質量比率で、6.0倍以上30.0倍以下であり、
ポリオキシエチレンアルキルエーテルをさらに含有することを特徴とするインク。
【請求項2】
インク全質量を基準とした、前記グリーン顔料の含有量が、前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの含有量に対する質量比率で、0.1倍以上10.0倍以下である請求項1に記載のインク。
【請求項3】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルのグリフィン法により求められるHLB値が、13.0以上である請求項1又は2に記載のインク。
【請求項4】
前記ポリオキシエチレンアルキルエーテルの炭化水素基の炭素数が、12以上18以下である請求項1乃至3のいずれか1項に記載のインク。
【請求項5】
前記樹脂の酸価が、80mgKOH/g以上250mgKOH/g以下である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のインク。
【請求項6】
前記グリーン顔料のフタロシアニン骨格における中心金属が亜鉛である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のインク。
【請求項7】
インクと、前記インクを収容するインク収容部とを備えたインクカートリッジであって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項8】
インクをインクジェット方式の記録ヘッドから吐出させて記録媒体に画像を記録するインクジェット記録方法であって、
前記インクが、請求項1乃至6のいずれか1項に記載のインクであることを特徴とするインクジェット記録方法。

【公開番号】特開2013−35927(P2013−35927A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−172151(P2011−172151)
【出願日】平成23年8月5日(2011.8.5)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】