説明

インクカートリッジの収納装置

【課題】出荷、輸送、保管時にインク導入口を確実に覆って、インクの漏れを防止し且つインクカートリッジ60の交換によるインク導入口に付着したインクが、インクカートリッジ側に転写されないようにする。
【解決手段】収納ケース本体74の奥側に設けられた円筒状のインク導入口63に対して、インクカートリッジ60の背面のインク供給弁65が被嵌して接続される。インク供給弁65の外周のガイド筒65aの端面がインク導入口63の外周とガイドリブ69a,69bより内周側との間であって、ストッパー面72の内径部に穿設されたインク逃がし孔71を介して接続体62の裏面下方に伝い落ちる。従って、インクカートリッジ60のガイド筒65aにインクが転写して汚されることがなくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置(インクジェットプリンタ)に搭載されるインクカートリッジの収納装置(リフィルユニット)の構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、プリンタなどのインクジェット記録装置は、搬送される被記録媒体(記録用紙)に対して交差(直交)する方向(主走査方向)に往復移動可能なキャリッジに搭載された記録ヘッドからインク滴を吐出させることによって当該被記録媒体上に画像を記録する。インクは、一般にカートリッジ式のインクタンク(インクカートリッジ)に予め貯留されており、このインクカートリッジから記録ヘッドへ供給されるようになっている。
【0003】
一般に、インクカートリッジの配置位置で大別すると、いわゆるオンキャリッジ型とオフキャリッジ型とがある。オンキャリッジ型とは、インクカートリッジを着脱可能に収納する所要のケースが上記移動可能なキャリッジ上に設けられており、このケース内に収容保持されたインクカートリッジから記録ヘッドへとインクが供給される形式である。一方、オフキャリッジ型とは、所要のケースがキャリッジ上を除くインクジェット記録装置におけるハウジングの何処かに設けられており、このケース内にインクカートリッジが収容保持される形式である。そして、インクは、インクカートリッジを収容保持しているケースから記録ヘッドまでインク供給管等によって供給されるのである。
【0004】
通常は、上記のいずれの形式であっても、貯留されているインクの残量が少なくなると、インクカートリッジは新しいものに交換される必要がある。
【0005】
ところで、例えば、特許文献1に開示されているように、記録ヘッド側のインク導入用のインク接続針に、インクカートリッジ側のインク供給口の栓体を被嵌させてこの両者の間にインク漏れがないようにしている。そのため、栓体をゴムなど弾性体にて形成し、この栓体は記録ヘッド側のインク接続針より外周に突出された筒状の凹部に嵌合するガイド筒と、そのガイド筒より内径側にて空間を介して上記インク接続針に密着する栓部が形成され、栓部はインク接続針をガイドする筒状部とインク導入孔を封止するテーパ部とを備えている。
【特許文献1】特開2002−79690号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の構成では、インクカートリッジを外す毎に、インク接続針の外周面に付着しているインクが、当該インク接続針の根元(付け根)側に垂れ落ち、筒状の凹部内に溜まる。従って、この底に溜まったインクは、新規のインクカートリッジを接続すると、当該インクカートリッジにおけるガイド筒の端面や外周面などに転写する。これにより、インクカートリッジの脱着ときあるいは取り外した状態において、プリンタ等のインクジェット記録装置の機体や机の上、作業者の衣服等をインクで汚してしまうという問題があった。
【0007】
本発明は、簡単な構成で、インク導入部に漏れたインクがインクカートリッジ側に転写しないようにしたインクカートリッジの収納装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の発明のインクカートリッジの収納装置は、インクカートリッジが前面開口部から挿抜可能な収納ケース本体と、前記前面開口部と対峙する側にて前記インクカートリッジにおけるインク供給接続部に対するインク導入口を備えた接続体とを有するインクカートリッジの収納装置において、前記接続体は収納ケース本体のインクカートリッジの挿入方向の奥側に配置され、前記接続体には、前記前面開口部方向に突出形成された筒状の前記インク導入口と、このインク導入口の外周より半径外側の部位にて、当該インク導入口と同方向に突出形成されて前記インク供給接続部を案内するガイドリブとを備え、前記インク導入口の外周と前記ガイドリブの内周と間に、インク逃がし孔が設けられているものである。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のインクカートリッジの収納装置において、前記接続体には、前記インク導入口の外周と前記ガイドリブより内周側と間に、前記インク供給接続部の端面のうちの一部にのみ当接してインクカートリッジの挿入量を規制するためのストッパー面が形成され、このストッパー面の一部に前記インク逃がし孔が穿設されているものである。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1または2に記載のインクカートリッジの収納装置において、前記インクカートリッジの挿入方向は前記収納ケース本体に対して実質上水平方向に設定され、前記インク導入口及びガイドリブの突出方向は実質上水平方向であり、前記ガイドリブは前記インク供給接続部の外周のうち上面側に当接可能な円弧状にて形成され、且つ前記インク供給接続部の外周のうちの下面側に対応する箇所に存在しないように設定されているものである。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のインクカートリッジの収納装置において、前記ストッパー面は、前記ガイドリブより内周側の領域であって前記インク導入口の少なくとも一部を含む上半部に設けられているものである。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載のインクカートリッジの収納装置において、前記ガイドリブの基部よりも、前記インク導入口の基部が前記インク逃がし孔を介してインク供給接続部から離間して前記接続体の裏面に連設されているものである。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載のインクカートリッジの収納装置において、前記インク供給接続部の端面のうちの一部にのみ当接してインクカートリッジの挿入量を規制するためのストッパー面は、前記ガイドリブの突出端面であることを特徴とするものである。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6のいずれかに記載のインクカートリッジの収納装置において、前記収納ケース本体には、前記前面開口部を開閉し、且つインクカートリッジの挿入姿勢を保持するための扉体が設けられているものである。
【発明の効果】
【0015】
請求項1に記載の発明の構成では、インク導入口を備えた接続体は収納ケース本体のインクカートリッジの挿入方向の奥側に配置され、前記接続体には、前記前面開口部方向に突出形成された筒状の前記インク導入口と、このインク導入口の外周より半径外側の部位にて、当該インク導入口と同方向に突出形成されて前記インク供給接続部を案内するガイドリブとを備え、前記インク導入口の外周と前記ガイドリブの内周と間に、インク逃がし孔が設けられているものである。従って、インクカートリッジの交換を繰り返すと、従って挿抜を繰り返すと、廃インクがインク導入口の外周面からその根元(付け根)側に伝って溜まろうとするが、その部分はインク導入口の外周とガイドリブより内周側との間に穿設されたインク逃がし孔を介して接続体の裏面に伝い落ちる。従って、インクカートリッジのインク供給接続部がインクで汚されることが少なくなる。
【0016】
請求項2に記載の発明によれば、前記接続体には、前記インク導入口の外周と前記ガイドリブより内周側と間に、前記インク供給接続部の端面のうちの一部にのみ当接してインクカートリッジの挿入量を規制するためのストッパー面が形成され、このストッパー面の一部に前記インク逃がし孔が穿設されているものであるから、前記インク供給接続部の端面が上記ストッパー面に当接していても、その内径部に穿設されたインク逃がし孔を介して確実にインクが接続体の裏面に移動し、インク供給接続部のインク汚れを少なくできる。
【0017】
請求項3に記載の発明によれば、前記インクカートリッジの挿入方向は前記収納ケース本体に対して実質上水平方向に設定され、前記インク導入口及びガイドリブの突出方向は実質上水平方向であり、前記ガイドリブは前記インク供給接続部の外周のうち上面側に当接可能な円弧状にて形成され、且つ前記インク供給接続部の外周のうちの下面側に対応する箇所に存在しないように設定されているものである。従って、インクカートリッジの挿抜の繰り返しにより、筒状のインク導入口の外周のうち下面側にインクが溜まり易いが、その下面側の外周よりも外側には、ガイドリブが存在しないから、前記インク供給接続部の外周のうちの下面側にインクが転写(付着)することがない。
【0018】
請求項4に記載の発明によれば、前記ストッパー面は、前記ガイドリブより内周側の領域であって前記インク導入口の少なくとも一部を含む上半部に設けられているものであるので、前記インク供給接続部の端面の汚れが当該インク供給接続部の外周の全体に拡散することが無くなる。
【0019】
請求項5に記載の発明によれば、前記ガイドリブの基部よりも、前記インク導入口の基部が前記インク逃がし孔を介してインク供給接続部から離間して前記接続体の裏面に連設されているものであるので、インク導入口の外周面に付着したインクが基部側に伝って溜まっても、インク供給接続部に当接することがなく、インク供給接続部にインクが転写されない。
【0020】
請求項6に記載の発明によれば、前記インク供給接続部の端面のうちの一部にのみ当接してインクカートリッジの挿入量を規制するためのストッパー面は、前記ガイドリブの突出端面であることを特徴とするものであるから、ガイドリブ側からインク供給接続部へのインクの転写が一層少なくなるという効果を奏する。
【0021】
請求項7に記載の発明によれば、閉止された前記扉体に押圧された状態で前記インクカートリッジの姿勢が保持されるので、インクカートリッジが不用意に外れない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、適宜図面が参照されつつ、好ましい実施形態に基づいて本発明が詳細に説明される。
【0023】
図1は本発明の一実施形態に係る画像記録装置(多機能装置)の外観斜視図、図2は上部ケースを除去したハウジング(本体ケース)の平面図、図3は記録部の要部側断面図、図4は記録部の斜視図、図5はカートリッジ収納装置15の斜視図、図6(a)はカートリッジ収納装置15の正面図であり、右端のみインクカートリッジが収納され、扉体にて閉止されている図、図6(b)は図5におけるVIb −VIb の矢視断面図、図7(a)〜図7(c)はそれぞれ接続体62の斜視図、図8はインクカートリッジの収納状態を示す側断面図、図9はインクカートリッジを取り出す状態を示す側断面図、図10(a)はカートリッジ収納装置15の正面図であり、左端から2番目のみるインクカートリッジが収納され、扉体を省略した図、図10(b)は図10(a)のXb−Xb線矢視断面図、図11はインク導入口にインク供給部が接続された状態の要部拡大断面図である。
【0024】
本実施形態の画像記録装置1は、プリンタ機能、コピー機能、スキャナ機能、ファクシミリ機能を備えた多機能装置(MFD:Multi Function Device )に本発明を適用したものであり、多機能装置は、図示されていないコンピュータと接続されて、主にこのコンピュータから送信された画像データや文書データに基づいて、被記録媒体である記録用紙に画像や文書を記録するものである。また、多機能装置は、デジタルカメラ等の外部機器と接続されてデジタルカメラから出力される画像データを記録用紙に記録することができる。
【0025】
本実施形態では、図1に示すように、合成樹脂製の装置筐体2の下部にプリンタ部(記録部)7が備えられている。そして、装置筐体2の底部のカセット収納部(収納空間)に対して、装置筐体2の前側に開口された挿入口2aから挿抜可能(実質上水平方向に出し入れ可能)な給紙カセット3が配置されている。以下、合成樹脂製の装置筐体2の挿入口2aがある側を前側または前方といい、これを基準に装置の前側、左右側、後側(奥側)という。装置筐体2の前面部にはスロット部6が備えられ、このスロット部6にメモリカード等の各種記憶媒体が装填されることによって当該記憶媒体に記憶された画像データ等を記録用紙に記録することも可能である。
【0026】
装置筐体2の上部には、コピー機能やファクシミリ機能における原稿読取などのための画像読取装置(スキャナ部)12が配置されている。
【0027】
装置筐体2の上側には、画像読取装置12の前方に各種操作ボタンや液晶表示部等を備えた操作パネル部14が設けられており、画像読取装置12と操作パネル部14との平面視投影面積内に、記録部7と排紙部10などが配置される。この排紙部10の一側(図1で右側)であって、装置筐体2の前部側に、後に詳述するカートリッジ収納装置15が内臓されている。そして、装置筐体2の前部側に下端を蝶番を介して上下回動して開閉する蓋体2bにてカートリッジ収納装置15の前面側が覆われている。即ち、蓋体2bは、図1に示すように前方へ倒伏することによって装置筐体2の前面の開口2cからカートリッジ収納装置15を露出させる姿勢と、上記開口2cを閉じてカートリッジ収納装置15を覆う姿勢との間で回動自在となっている。
【0028】
画像読取装置12の上面には、原稿を載置することができる載置用ガラス板(図示せず)が設けられ、その下側に原稿読取り用のイメージスキャナ装置(CIS:Contact Image Sensor)(図示せず)が図3の紙面と直交する方向(主走査方向、以下、X軸方向といい、主走査方向に延びる軸をX軸という)に往復移動可能に設けられている。
【0029】
上記載置用ガラス板を覆う原稿カバー体13は自動原稿搬送機構(ADF:Auto Document Feeder)13aを備えており、原稿カバー体13の後端部(図1で右奥側)は蝶番を介して上下開閉自在に取り付けられている。
【0030】
本実施形態では、図3に示すように、給紙カセット3は、被記録媒体としての例えばA4サイズ、レターサイズ、リーガルサイズ、はがきサイズ等にカットされた用紙Pをその短辺が用紙搬送方向(副走査方向、以下、Y軸方向という)と直交する方向(図1において紙面と直交する方向、主走査方向、X軸方向)に延びるようにして複数枚積層(堆積)されて収納できる形態とする。
【0031】
給紙カセット3の上部には、小サイズの用紙(図示せず)を複数枚堆積させて供給する補助カセット3aがY軸方向に移動可能に装着されている。図1では給紙カセット3及び補助カセット3aを省略して示す。
【0032】
給紙カセット3の奥側(図3において右側)には、用紙分離用の傾斜分離板8が配置されている。他方、装置筐体2側には、上端部が上下方向に回動可能なアーム6aが装着されている。このアーム6aの下端に設けられた給紙ローラ6と、傾斜分離板8とが協働することにより、給紙カセット3及び補助給紙カセット3aに堆積された被記録媒体である用紙Pが一枚ずつ分離搬送される。分離された用紙Pは上横向きのUターンパス(給送路)9を介して給紙カセット3より後方の上側(高い位置)に設けられた記録部7に給送される。記録部7は、プリンタ機能などを実現するためのインクジェット式の記録ヘッド4が搭載された往復動可能なキャリッジ5等からなる。
【0033】
記録部7にて記録された用紙Pがその記録面を上向きにして排出される排紙部10は、補助給紙カセット3aの上側に形成されており、排紙部10に連通する排紙口10a(挿入口2aの上方、図1参照)が装置筐体2の前面に向かって開口されている。
【0034】
記録部7は、図2、図4に示すように、上面開放された枠状のメインフレーム21における左右一対の側板21a、21bにて支持され、X軸方向(主走査方向)に延びる横長の板状(プレート状)の第1ガイド部材22、第2ガイド部材23と、これら両ガイド部材22、23に跨がって摺動自在に支持(搭載)されて往復移動可能に構成されたキャリッジ5と、記録ヘッド4が搭載されたキャリッジ5を往復移動させるために第2ガイド部材23の上面にそれと平行状にて、プーリに巻回配置された無端ベルトとしてのタイミングベルト25と、そのタイミングベルト25を駆動するCR(キャリッジ)モータ24(実施形態ではDCモータであるが、ステッピングモータ等他のモータでもよい。)と、記録ヘッド4の下面側にて搬送される用紙Pを支持する板状のプラテン26と、主走査方向に沿って延びるように配置されてキャリッジ5のX軸方向(主走査方向)の位置とその方向の移動速度を検知するための光学式リニアエンコーダの構成部品であるテープスケール(図示せず)等を備える。なお、プラテン26上で用紙Pが通過する方向での用紙搬送方向(矢印A方向、図3参照)の上流側に、第1ガイド部材22が配置され、下流側に第2ガイド部材23が配置されることになる。
【0035】
また、プラテン26を挟んで搬送上流側にレジストローラ対27が配置されて用紙Pを記録ヘッド4の下面のノズル面とプラテン26との隙間に送られる。プラテン26の下流側には、用紙Pの上面に接する拍車28bと下面側の駆動する排紙ローラ28aとが配置され記録済みの用紙Pが排紙部10に搬送される。
【0036】
また、搬送される用紙Pの幅(用紙Pの短辺)より外側には、その一端側(実施形態では図2、図4で左側の側板21aに近い部位)にインク受け部29が、また、他端側(図2及び図4で右側の側板21bに近い部位)にメンテナンスユニット30がそれぞれ配置されている。これにより、記録ヘッド4はインク受け部29に設けられたフラッシング位置にて記録動作中に定期的にノズルの目詰まり防止のためのインク吐出を行い、インク受け部にてインクを受ける。メンテナンスユニット30部分では、キャリッジ5は待機位置であって、色毎にインクを選択的に吸引したり、記録ヘッド4上の図示しないバッファタンク内の気泡を除去したりするための回復処理等を行う。また、メンテナンスユニット30には図示しないが、ワイパーが設けられており、キャリッジ5をメンテナンスユニット30部分から画像記録領域方向に移動させるときに記録ヘッド4のノズル面のクリーニングを行う。
【0037】
次に、カートリッジ収納装置15の構成について説明する。カートリッジ収納装置15は、フルカラー記録のための4色のインクを各々収容した平面視の面積が小さく、且つ高さ寸法の高いほぼ矩形箱状のインクカートリッジ60(個別の色、即ち、ブラック(BK)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)用インクである。)を、X軸方向に沿って一列状に収納できる収納ケース本体74を備える。そして、収納ケース本体74の前面の開口部を開閉する扉体76を開いて前方から着脱可能となるように構成されている。
【0038】
そして、図6(b)及び図7(a)〜図7(c)に示すように、収納ケース本体74の後端に装着された接続手段としての接続体62には、上縦板部62aと下縦板部62bとが段付き状に形成されている。即ち、上縦板部62aに対して下縦板部62bは寸法L1だけ収納ケース本体74の後端に対して奥側に控えた位置に位置するように形成されている(図11参照)。
【0039】
各インクカートリッジ60に対応させて、4つのニードル(円筒)状のインク導入口63は、上縦板部62aと下縦板部62bとの境界部位から収納ケース本体74内に突出するように一体的に形成されている。この各インク導入口63は、先端(自由端)側の直径が小さく、根元(付け根)側(基部側)の直径が太いように形成されている。各インク導入口63の後端の接続部63aに一端が接続されたインクチューブ20(図2、図4、図6(b)及び図11参照)を介して各インクカートリッジ60からインクジェット式の記録ヘッド4にインクを供給するように構成されている。なお、4色よりも多数のインク色を使用する場合(6色〜8色等)には、そのインク色の数に応じたインクカートリッジ60をカートリッジ収納装置15に収納可能に構成すれば良いし、インクチューブ20もインクカートリッジ60の数に合わせて増やせばよい。
【0040】
接続体62の上縦板部62aと下縦板部62bとの境界部を跨いだ表面には、インク導入口63の軸線を中心とする半径の領域に、上部ガイドリブ69aと左右両側部ガイドリブ69bとが、上切欠き部70aを介して円弧状にて、突出形成されている。左右両側部ガイドリブ69bの下端側は下切欠き部70bとなる(図7(a)〜図7(c)参照)。
【0041】
また、図7(a)〜図7(c)に示すように、上記接続体62の上縦板部62aの表面のうち、上部ガイドリブ69aと左右両側部ガイドリブ69bより内周であって、インク導入口63の付け根部(基部)より外周の部位には、正面視で実質上半円径のインク逃がし孔71が穿設されている。そして、インク導入口63の外周と上部ガイドリブ69aと左右両側部ガイドリブ69bより内周側と間には、後述するインク供給接続部の円筒状のガイド筒65aの端面のうちの一部にのみ当接してインクカートリッジ60の挿入量を規制するためのストッパー面72が形成され、このストッパー面72の一部に前記インク逃がし孔71が穿設されていることになる(図11参照)。
【0042】
なお、下縦板部62b側であって、左右両側部ガイドリブ69bより内周側にも、インク補助逃がし孔73が穿設されている(図7(a)、図7(b)及び図11参照)。
【0043】
複数の円弧状のガイドリブ69a,69b(図7(a)〜図7(c)参照)が、インクカートリッジ60におけるガイド筒65aの外径部に被嵌して挿入時のガイドの役割を果たし、インクカートリッジ60が収納ケース本体74に収容(セット)されると、このインク供給弁65に対して収納ケース本体74の背面(後面)に設けられた筒状のインク導入口63が連結されるようになっている。
【0044】
インクカートリッジ60は、合成樹脂製のカートリッジ本体64と、これに内蔵されたインクとを備えている。本実施形態では、カートリッジ収納装置15が4つのインクカートリッジ60を収容するようになっているので、各インクカートリッジ60には、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラックの各色のインクがそれぞれ貯留されている。ただし、各インクカートリッジ60の構造は、図1や図5から明らかなように、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ60のみが他のインク色のインクカートリッジ60に比べて僅かに厚み方向に大きく構成されている。これは、一般的に言ってブラックインクの需要が最も多く、大量に消費されるからである。なお、ブラック以外の色のインクを貯留するインクカートリッジ60の構造は、すべて同様である。
【0045】
本実施形態では、カートリッジ本体64は全体として薄肉の直方体状に形成されており、内部にインクが収容されるインク収容空間が区画されている。このカートリッジ本体64は、左右2つ割りのトレイ状の部材から構成されており、これら2つの部材が溶着その他の既知の固着手段によって接合されてなる。
【0046】
カートリッジ本体64の背面には、その上部寄り部位に空気導入弁85が設けられている。本実施形態では、この空気導入弁85の内奥部にチェック弁(図示せず)が配置されている。インクカートリッジ60が収納ケース本体74に収容されると、空気導入弁85に設けられてインクカートリッジ60から突出されているプッシュロッド84が収納ケース本体74の奥側の壁に当接することによってプッシュロッド84がインクカートリッジ60の内部に押し戻される。その結果、チェック弁が開かれるようになっている。また、カートリッジ本体64の背面のうち下部寄り部位には、インク供給部が設けられている。このインク供給部は、カートリッジ本体64の背面に突出形成されたガイド筒65aと、その内径部に配置されているインク供給弁65とが備えられている(図6(b)参照)。インク供給弁65は、軟質ゴム等からなり、通常は、インク供給弁65の中央の孔65bは閉止されているが、前述した円筒状のインク導入口63が上記孔65bに挿入可能となるように構成されている。
【0047】
このインク導入口63及びインクチューブ20を介してインクカートリッジ60内のインクが記録ヘッド4に供給される。さらに、カートリッジ本体64の背面には、インクカートリッジ60内のインクの液面を検出するための被検出部66が設けられている。インクカートリッジ60内には、インクの残量によって移動する図示しない被検出体(アクチュエータ)が設けられており、インクカートリッジ60が収納ケース本体74に収容(セット)されると、この被検出部66を介して収納ケース本体74の背面(後面)に設けられたホトインタラプタ等の液位センサ87が近接し被検出体の有無を検出することで、インクの液面を常時監視できるように構成されている。
【0048】
カートリッジ本体64の下面には、収納ケース本体74への挿入方向に沿って長手のガイド溝67が設けられている。ガイド溝67は、図8、図9に示すように、カートリッジ本体64の側面と底面との境界の角部に凹設されている。このガイド溝67は、図8に示すように、カートリッジ本体64の長手方向に延びている。
【0049】
本実施形態では、このガイド溝67は、カートリッジ本体64の左右両側に対象に設けられている。このガイド溝67は、カートリッジ本体64の背面に開口し、当該背面に連続してカートリッジ本体64の前面側へ延びる浅溝部67aと、この浅溝部67aに連続し、溝深さ(図8、図9において上下方向の寸法)が漸次大きくなる境界溝部67bと、さらに、この境界溝部67bに連続する深溝部67cとを有する。この深溝部67cは、カートリッジ本体64の前面に一体的に形成された係合片64aにて前面方向に開放しないように遮られている。
【0050】
実施形態では、カートリッジ本体64の平坦な底面板64bが収納ケース本体74における底板部80に形成された一対の平坦なガイドレール80aの上面に載置され、インクカートリッジ60の挿抜時に直線状に案内されるものである(図5、図6、図8及び図9参照)。一対の平坦なガイドレール80aの間の断面凹状の溝80bは漏れたインクの逃がし溝となる。
【0051】
カートリッジ本体64の上面にも溝68が設けられている。この溝68はカートリッジ本体64の側面と上面との境界の角部に凹設されている。この溝68は、カートリッジ本体64の長手方向に延びており、カートリッジ本体64の前面及び背面に連なっている。さらに、カートリッジ本体64の上面の長手方向中途部に凹部68aが設けられている。この凹部68aは、ほぼV字状に形成されており、前側傾斜面と後側傾斜面とを備えている。
【0052】
収納ケース本体74は、例えば樹脂からなり、全体としてほぼ直方体状に形成されている。収納ケース本体74は、底板部80と、この底板部80の左右両側に立設された一対の側板部81と、各側板部81間に架け渡すように配置された天板部82と、左右両側板部81間を繋ぎ、天板部82寄り部位に設けられた後板部79とを備えている。さらに、収納ケース本体74は前面開口部74aを有し、収納ケース本体74の内部には、各インクカートリッジ60が収容され保持されるカートリッジ収納部としての収容室78を区画するための隔壁部75が設けられている。この隔壁部75は、収納ケース本体74に収容されるインクカートリッジ60の数に応じて配置される(図6及び図10参照)。
【0053】
本実施形態では、収納ケース本体74は、4つの収容室78を有し、各収容室78に4つのインクカートリッジ60が前面開口部74aから挿抜可能に構成されている。各収容室78の内壁面形状は、インクカートリッジ60の外周面形状に対応されている。このため、各インクカートリッジ60は、がたつくことなく確実に収納ケース本体74に保持される。もっとも、この隔壁部75は、各収容室78を完全に区画するように設けられている必要はなく、少なくとも収納ケース本体74の奥側(後板部79に近い側)に、隣り合う収容室78間を仕切るリブ状に形成されていれば良い。これら底板部80、側板部81、天板部82、後板部79及び隔壁部75は、一体的に形成されるのが好ましい。
【0054】
底板部80の上面には、インクカートリッジ60がその長手方向に沿って摺動可能に載置される載置面としてのガイドレール80aが形成されている(図6(b)参照)。このガイドレール80aの高さ位置は、インクカートリッジ60が収容室78に挿入された状態で、ニードル状(筒状)のインク導入口63がインクカートリッジ60のインク供給弁65に挿入され、プッシュロッド84がインクカートリッジ60の空気導入弁85(図6(b)参照)を開放し、且つ液位センサ87がインクカートリッジ60の被検出部66と嵌合することができるように設定されている。上記の構成により、空気が空気導入弁85を通じてインクカートリッジ60の内部へ進入することができ、インクカートリッジ60内のインクが円滑に記録ヘッド4側へ送られる。
【0055】
図5及び図11に示すように、収納ケース本体74の前面開口部74aには、扉体76が各収容室78に対応して設けられている。換言すれば、前面開口部74aにそれぞれ連続して収納ケース本体74内に各収容室78が設けられている。上記4つのインクカートリッジ60は、それぞれ、前面開口部74aを通じて前面側から各収容室78に挿抜されるようになっている。
【0056】
合成樹脂製などの扉体76は、その下端部に形成された横軸部94を介して収納ケース本体74の前端で且つ下端に対して上下回動可能に枢支されており、図5に示すように、前面開口部74aを閉じる姿勢(閉塞姿勢)と、前面開口部74aを開放する姿勢(開放姿勢)との間で姿勢変化するようになっている。扉体76が閉塞姿勢となったときは、収容室78内にインクカートリッジ60が確実に保持され、扉体76が開放姿勢となったときは、収容室78に対してインクカートリッジ60が容易に挿抜されるようになっている。
【0057】
図5、図6(b)、図8及び図9に示すように、扉体76は、扉本体89と、これに設けられた押圧保持部材90、ロック部材91及びロック解除レバー92とを備えており、これらは、それぞれ樹脂により成形されている。
【0058】
扉本体89の下端部には、左右一対の引出部材77が一体成形されている。この引出部材77は、略L字状(鉤状)に形成されており、延設部77aと屈曲部77bとを有する。図8に示すように、延設部77aは、扉体76が閉塞姿勢となった状態で、扉本体89の下端部から後方に延びている。また、屈曲部77bは、延設部77aの後端に連続し、略90°の角度をなして上方に延びている。扉体76が閉塞姿勢となったときは、屈曲部77bの先端は、載置面(ガイドレール)80aよりも上方に突出している。扉本体89と共に引出部材77が回動されることにより、インクカートリッジ60の前面下端の係止片64aを屈曲部77bの先端が引き出し方向に押して、当該インクカートリッジ60が収容室78から若干の距離W1だけ引き出されるようになっている(図8の一点鎖線参照)。
【0059】
図8に示すように、扉体76が開放姿勢へと変化する際に、引出部材77の屈曲部77bが横軸部(回動軸部)94を中心に反時計回りに回動する。このとき、屈曲部77bが回動することによって、その外壁面(外端面)110は、略垂直に起立した状態から略水平な状態に変化する(図8参照)。引出部材77の延設部77aの長さは所定の寸法に設定されており、このため、屈曲部77bが回動されたときは、その外壁面110は、収納ケース本体74の載置面(ガイドレール)80aよりも若干上方に位置し、且つ前後方向に延びる。そして、この外壁面110は、扉体76が開放姿勢であるときに、インクカートリッジ60を収容室78内の載置面80a上へ案内するガイド面として機能する。すなわち、引出部材77は、インクカートリッジ60を収容室78から引き出すための部材として機能することに加えて、インクカートリッジ60を収容室78へ挿入する際の案内部材としても機能する(図8、図9参照)。
【0060】
図5、図6(b)、図8及び図9に示すように、押圧保持部材90は、扉本体89の内側面に対して前後方向に進退可能に取り付けられている。そして、押圧保持部材90と扉本体89との間に介在された圧縮コイルバネ(図示せず)により、平板状などの押圧保持部材90は、常時上記突出姿勢となるように弾性付勢されている。従って、扉体76が閉塞姿勢となったときにインクカートリッジ60の前面に当接し、インクカートリッジ60が収納ケース本体74に対して位置決めされた状態で保持される。
【0061】
ロック部材91は、扉本体89の上端部に上下方向に所定寸法だけ進退可能に取り付けられている。ロック部材91には、収納ケース本体74の内側にて上向きに突出する鉤部91aを備えている。また、ロック部材91は図示しない付勢バネにより、鉤部91aが常時扉本体89から上方に突出するように弾力付勢されている。また、ロック部材91の鉤部91aの上面は、下方へ傾斜した傾斜面となっている。したがって、図5及び図6(b)に示すように、扉体76が開放姿勢から閉塞姿勢へと変化したときに、ロック部材91の鉤部91aの上面が収納ケース本体74の前面開口部74aの上縁部74bに当接し、さらに扉体76が閉塞姿勢側へ回動されると、ロック部材91が上縁部74bに相対的に押圧されつつ扉本体89の内側へ退避する。上縁部74bの奥側の係合孔74cに鉤部91aが嵌まると、扉体76が閉塞姿勢が保持される。なお、カートリッジ収納装置15の正面図である図6(a)において、右端部のみ扉体76が記載され、左の3つの収容室78の前面の扉体76は図示省略している。
【0062】
図5及び図6(b)に示すように、ロック解除レバー92は、矩形の板状に形成されており、扉本体89の外側面の上方に取り付けられている。ロック解除レバー92は、その下端部に設けられた支持ピン92aを介して扉本体89に対して回動自在に構成されている。実施形態では、ロック解除レバー92は、図8に示すように起立することによって扉本体89の外側面と略平行となる起立姿勢と、垂直面に対して略40度に前向き傾斜した中立姿勢と(図6(b)参照)、さらに、略水平に倒伏した倒伏姿勢(図5参照)との間で自由に回動変位することができるようになっている。
【0063】
ロック解除レバー92の下端に形成されたカム部92b(図6(b)参照)により、ロック解除レバー92の姿勢が中立姿勢から倒伏姿勢に変化したときにロック部材91を下向きに押し下げて、ロック解除する(上記鉤部91aが係合孔74cから外れる)ように構成されている。
【0064】
なお、収納ケース本体74の天板部82に設けられ、貫通孔を介して収容室78の上部に臨むようにした側面視略L字状のスイングアーム(図示せず)は、引張付勢バネ96により、常時インクカートリッジ60を押圧する方向に回動するように付勢されている。収容室78内に挿入されたインクカートリッジ60の上面に、スイングアームの下端が当接しているときには、引張付勢バネ96の弾性力に抗してスイングアームはインクカートリッジ60から反力を受けている。したがって、上述したように扉体76を大きく開いて、インクカートリッジ60を図8の一点鎖線の位置まで引き出すと、当該インクカートリッジ60の上面に設けられているほぼV字状の凹部68aに、スイングアームの下端が嵌まると、上記反力を受けたスイングアームの回動にて、図9の状態まで、インクカートリッジ60を強制的に押し出すことができるのである。
【0065】
インクが無くなった使用済みのインクカートリッジ60は、次の要領で交換される。使用済みのインクカートリッジ60が収納ケース本体74から取り出される際には、まず扉体76が開かれる。この扉体76が閉塞姿勢から開放姿勢へと変化する際に、一対の引出部材77がインクカートリッジ60における下端の係合片64aを引っかけて当該インクカートリッジ60を開口側へ引き出す。これにより、作業者は、当該インクカートリッジ60を前面開口部74aから引っ張り出すことが容易になる。また、インクカートリッジ60が収容室78に収容される際には、扉体76が開かれた状態で前面開口部74aから収容室78へ挿入される。このとき、収容室78へ挿入されるべきインクカートリッジ60の下面の前部側は、予め一対の引出部材77に支持され、引出部材77に案内されつつ収容室78へ挿入される。また、インクカートリッジ60の下面の後部側(奥側)は平坦な載置面80aに載って滑り移動する。従って、インクカートリッジ60は、収容室78に対して簡単且つ確実にしかも円滑に挿抜され得る。
【0066】
新品のインクカートリッジ60が収納ケース本体74に収容された状態で、作業者は、再び扉体76を閉塞姿勢へと変化させる。扉体76が閉塞姿勢へと変化する際に、押圧保持部材90がインクカートリッジ60の前面に当接し、扉体76が完全に閉塞姿勢となったときは、押圧保持部材90が当該インクカートリッジ60を収納ケース本体74の収容室78の内奥側へ弾性付勢する。同時に、ロック部材91の鉤部91aが収納ケース本体74に設けられたロック部材嵌合孔74cに嵌め込まれ、当該扉体76が閉塞姿勢に保持される。
【0067】
この状態では、インクカートリッジ60のインク供給接続部におけるガイド筒65aは、上ガイドリブ69aと左右両側ガイドリブ69bの内周面に案内されて進入し、ガイド筒65aの端面のうちの一部(上半部の外周寄り部位)のみが、ストッパー面72に当接してインクカートリッジ60の挿入量が規制される(図11参照)。
【0068】
このように、インクカートリッジ60が収納ケース本体74に収容(セット)されると、カートリッジ本体64の背面の下部寄りに設けられたインク供給弁65に収納ケース本体74の背面(後面)に設けられた筒状のインク導入口63が連結されて、このインク導入口63及びインクチューブ20を介してインクが記録ヘッド4に供給される。一方、カートリッジ本体64の背面における上部寄り部位に設けられた空気導入弁85が収納ケース本体74により押圧され、インクカートリッジ60内に押し戻されたプッシュロッド84によって空気導入弁85の内奥のチェック弁が開かれ、大気圧がカートリッジ本体64内のインクに作用して円滑なインク供給が実現できる。
【0069】
上記のごとく、使用済みのインクカートリッジ60を交換するとき、収納ケース本体74からインクカートリッジ60を抜き出すと、インク導入口63の外周面に廃インクが付着していることになる。そして、インクカートリッジ60の交換を繰り返すと、従って挿抜を繰り返すと、廃インクがインク導入口63の外周面からその根元(付け根)側に伝って溜まろうとするが、その部分はインク導入口63の外周とガイドリブ69a,69bより内周側との間であって、上記ストッパー面72の内径部に穿設されたインク逃がし孔71であるので、このインク逃がし孔71を介して接続体62の裏面下方に伝い落ちる。従って、インクカートリッジ60のガイド筒65aにインクが転写して汚されることがなくなる。また、この伝い落ちたインクは接続体62の裏面または下端側に配置された多孔質のインク吸収体(図示せず)に吸着されて保持されるので、画像記録装置1の底部や机上を汚すことはない。
【0070】
上記ストッパー面72は、実質上、ガイド筒65aの端面のうち上半部にのみ当接し、ガイド筒65aの端面のうち下半部は奥まった位置にある下縦板部62bに対して当接しないから、ガイド筒65aの突出側の端面全体にインクが転写して汚されることがなくなる。しかも、上切欠き部70aにより隔てられた円弧状のガイドリブ69a,69bがガイド筒65aの外周面に当接するので、当該ガイド筒65aの外周面全体にインクが転写してインクで汚されることがない。特に、左右両側のガイドリブ69bの下端側には、下切欠き部70bが形成され、ガイド筒65aの外周面のうち下側部位と当接しないので、インク導入口63から伝わったインクでガイド筒65aの外周面が汚れないのである。
【0071】
また、補助のインク逃がし孔73が下縦板部62bに穿設されているので、この補助のインク逃がし孔73を介して垂れ落ちたインクが接続体62の下方に伝い落ちて、上記インク吸収体に吸着されるので、画像記録装置1の底部や机上を汚すことはない。
【0072】
上記実施形態では、ガイドリブ69a,69bより内径部に位置するストッパー面72に当接してインクカートリッジ60の挿入量が規制されるように構成したが、ガイドリブ69a,69bの突出側の端面がガイド筒65aの外径側の根元部またはインクカートリッジ60の背面に設けられたストッパー面に当接するように構成しても良い。そのようにすれば、ガイド筒65aの突出側の端面がガイドリブ69a,69bより内径部に位置する上縦板部62aと当接しないので、一層インク汚れが無くなる。
【0073】
本発明は、カートリッジ収納装置の収納ケース本体の開口部が上面に形成され、収納ケース本体の底部に、インク導入口が上向きに開口している形態において、本発明の保護キャップ手段40を上方から差し込むように設定しても良い。また、本発明は、本実施形態のオフキャリッジ型に適用できるばかりでなく、オンキャリッジ型にも適用できることはいうまでもない。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係る多機能装置の外観斜視図である。
【図2】上部ケースを除去したハウジング(本体ケース)の平面図である。
【図3】記録部の要部側断面図である。
【図4】記録部の斜視図である。
【図5】カートリッジ収納装置15の斜視図である。
【図6】(a)はカートリッジ収納装置15の正面図、(b)は図5におけるVIb −VIb の矢視断面図である。
【図7】図7(a)〜図7(c)はそれぞれ接続体62の斜視図である。
【図8】インクカートリッジの収納状態を示す側断面図である。
【図9】インクカートリッジを取り出す状態を示す側断面図である。
【図10】(a)はカートリッジ収納装置15の正面図であり、左端から2番目のみるインクカートリッジが収納され、扉体を省略した図、(b)は図10(a)のXb−Xb線矢視断面図である。
【図11】インク導入口にインク供給部が接続された状態の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
【0075】
4 記録ヘッド
15 インクカートリッジ収納装置
60 インクカートリッジ
62 接続体
62a 上縦板部
62b 下縦板部
63 インク導入口
65 インク供給弁
65a ガイド筒
69a,69b ガイドリブ
74 収納ケース本体
76 扉体
77 引出し部材
89 扉本体
97 係止部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクカートリッジが前面開口部から挿抜可能な収納ケース本体と、
前記前面開口部と対峙する側にて前記インクカートリッジにおけるインク供給接続部に対するインク導入口を備えた接続体とを有するインクカートリッジの収納装置において、 前記接続体は収納ケース本体のインクカートリッジの挿入方向の奥側に配置され、
前記接続体には、前記前面開口部方向に突出形成された筒状の前記インク導入口と、このインク導入口の外周より半径外側の部位にて、当該インク導入口と同方向に突出形成されて前記インク供給接続部を案内するガイドリブとを備え、
前記インク導入口の外周と前記ガイドリブの内周と間に、インク逃がし孔が設けられていることを特徴とするインクカートリッジの収納装置。
【請求項2】
前記接続体には、前記インク導入口の外周と前記ガイドリブより内周側と間に、前記インク供給接続部の端面のうちの一部にのみ当接してインクカートリッジの挿入量を規制するためのストッパー面が形成され、このストッパー面の一部に前記インク逃がし孔が穿設されていることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジの収納装置。
【請求項3】
前記インクカートリッジの挿入方向は前記収納ケース本体に対して実質上水平方向に設定され、
前記インク導入口及びガイドリブの突出方向は実質上水平方向であり、
前記ガイドリブは前記インク供給接続部の外周のうち上面側に当接可能な円弧状にて形成され、且つ前記インク供給接続部の外周のうちの下面側に対応する箇所に存在しないように設定されていることを特徴とする請求項1または2に記載のインクカートリッジの収納装置。
【請求項4】
前記ストッパー面は、前記ガイドリブより内周側の領域であって前記インク導入口の少なくとも一部を含む上半部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジの収納装置。
【請求項5】
前記ガイドリブの基部よりも、前記インク導入口の基部が前記インク逃がし孔を介してインク供給接続部から離間して前記接続体の裏面に連設されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のインクカートリッジの収納装置。
【請求項6】
前記インク供給接続部の端面のうちの一部にのみ当接してインクカートリッジの挿入量を規制するためのストッパー面は、前記ガイドリブの突出端面であることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジの収納装置。
【請求項7】
前記収納ケース本体には、前記前面開口部を開閉し、且つインクカートリッジの挿入姿勢を保持するための扉体が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載のインクカートリッジの収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−268981(P2007−268981A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−100500(P2006−100500)
【出願日】平成18年3月31日(2006.3.31)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】