インクカートリッジ及びインク供給装置
【課題】インクカートリッジの装置への挿入過程において、ユーザに意識させることなく、インクが貯留される空間から気泡を除外できる構造を提供する。
【解決手段】前面40及び終面42を有し、内部のインク室36にインクを貯留可能な本体31と、前面40から装着向き56側に延びる突出部33とを具備する。突出部33は、前面40から装着向き56に延出された一対の側壁90,91及び上壁92と、突出端側において側壁90,91及び上壁92を接続する前壁93とを具備し、かつ終面42側及び下側においてインク室36とインクが流通可能に開放されている。本体31は、突出部33の下端から高さ方向52の下側に間隔を空けて配置された傾斜面86を具備する。傾斜面86は、装着向き56側が終面42側よりも上側になるように傾斜している。インク室36の幅方向51における長さは、突出部33の幅方向51における長さよりも長い。
【解決手段】前面40及び終面42を有し、内部のインク室36にインクを貯留可能な本体31と、前面40から装着向き56側に延びる突出部33とを具備する。突出部33は、前面40から装着向き56に延出された一対の側壁90,91及び上壁92と、突出端側において側壁90,91及び上壁92を接続する前壁93とを具備し、かつ終面42側及び下側においてインク室36とインクが流通可能に開放されている。本体31は、突出部33の下端から高さ方向52の下側に間隔を空けて配置された傾斜面86を具備する。傾斜面86は、装着向き56側が終面42側よりも上側になるように傾斜している。インク室36の幅方向51における長さは、突出部33の幅方向51における長さよりも長い。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部に装着可能なインクカートリッジ、及びインクカートリッジ及びカートリッジ装着部を備えるインク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを用いて記録用紙(被記録媒体)に画像を記録するインクジェット記録装置が広く知られている。インクジェット記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備える。記録ヘッドは、該記録ヘッドに供給されたインクを記録用紙へ向けてノズルから選択的に噴出する。これにより、記録用紙にインクで形成された画像が記録される。インクジェット記録装置には、液体容器としてのインクカートリッジが着脱可能に設けられる。インクカートリッジは、記録ヘッドへ供給されるインクを収容するインク室をその内部に備える。
【0003】
上記インクカートリッジの一例として、特許文献1には、上記インク室としてのインクタンクの内部に揺動可能に支持されたアーム状の部材(センサアーム)を有するインクカートリッジが開示されている。当該インクカートリッジには、インクタンク(インク室)とインクが流通可能に構成され、外部方向に突出する検知部が設けられている。センサアームは、浮力を利用してインク室内のインクの貯留量に応じて揺動する。詳細には、センサアームの一端は検知部内の空間に配されており、検知部内のインクの貯留量に応じて当該空間内を上下方向に変位する。検知部内のインクが所定量未満になると、検知部の近傍に設けられた光センサ(残量検出センサ)によって上記一端が検出される検出位置から非検出位置へ上記一端が移動する。これにより、インク室内のインクの貯留量が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−268948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インク室内には、インクの他に空気も存在する。ここで、インクカートリッジを装着するときに、インク室内のインクと空気が一時的に混ざり合い、インク内に気泡が存在する状態となる。そして、検知部内にも気泡が存在することがある。
【0006】
しかし、検知部はインク室から突出しているため、検知部内の気泡は、上方へ移動しても検知部の上側の壁面に当接し、それ以上に上方へ移動しないおそれがある。つまり、検知部内に気泡が溜まった状態が維持されるおそれがある。検知部内に気泡が溜まった状態であると、センサアームが本来のインクの貯留量に応じた位置とは異なる位置へ変位してしまうおそれがある。つまり、インク室内のインクの貯留量が誤検出されるおそれがある。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクカートリッジが装置へ挿入される過程において、挿入を行うユーザに意識させることなく、インクが貯留される空間から、気泡を除外することのできる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カートリッジ装着部(110)に装着可能なインクカートリッジ(30)である。インクカートリッジ(30)は、装着向き(56)の前側となる前面(40)、及び当該前面(40)と対向する後面(42)を有し、内部に設けられたインク室(36)にインクを貯留可能な本体(31)と、上記前面(40)において上下方向の中央(54)よりも下側に設けられており、上記インク室(36)から上記本体(31)の外部にインクを流出可能なインク供給部(37)と、上記前面(40)において上記インク供給部(37)よりも上側に設けられており、上記前面(40)から上記装着向き(56)側に延びる突出部(33)と、を具備する。上記突出部(33)は、上記前面(40)から上記装着向き(56)に沿って延出されており互いに対向する一対の側壁(90,91)と、上記前面(40)と平行な壁であって突出端側において上記一対の側壁(90,91)を接続する前壁(93)と、上記前面(40)から装着向き(56)に沿って延出されており上記一対の側壁(90,91)及び上記前壁(93)を接続する上壁(92)とを具備し、かつ上記終面(42)側及び下側において上記インク室(36)とインクが流通可能に開放されている。上記本体(31)は、上記突出部(33)の下端から下側に間隔を空けて配置された傾斜面(86)を具備する。上記傾斜面(86)は、上記装着向き(56)側が上記後面(42)側よりも上側になるように傾斜している。
【0009】
また、本発明は、上記インクカートリッジ(30)の前面(40)における上下方向の中央(54)よりも下側、かつ上記突出部(33)よりも下側に配置された第1接触部(75)を具備しており、該インクカートリッジ(30)はカートリッジ装着部(110)に装着可能とされるインク供給装置(100)として捉えることもできる。この場合、上記カートリッジ装着部(110)は、上記インクカートリッジ(30)を上記装着向き(56)に沿ってスライド可能に案内するガイド部(109)と、上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において上記第1接触部(75)と接触することによって、上記中央(54)よりも下側に偏って上側よりも大きく、上記インクカートリッジ(30)の挿入に対抗する抵抗を上記第1接触部(75)に付与する第2接触部(135,139)と、を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インクカートリッジ(30)が、前面(40)における高さ方向の中央(54)よりも上側が装着向き(56)側に移動するように回転した場合、インク室(36)内におけるインクの流通が促進される。これにより、突出部(33)に存在するインク及び気泡の流通も促進される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、インク供給装置100を備えたプリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【図2】図2は、インクカートリッジ30の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、インクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】図4は、カートリッジ装着部110の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、カートリッジ装着部110の正面図である。
【図6】図6は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を示す縦断面図である。
【図7】図7は、インクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【図8】図8は、インクカートリッジ30の内部構成を示す正面図である。
【図9】図9は、インクカートリッジ30の内部構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、インクカートリッジ30の内部構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、インクカートリッジ30の内部構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、仕切り壁96を備えたインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を模式的に示す模式断面図である。
【図13】図13は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入された直後の状態を示すカートリッジ装着部110の断面図である。
【図14】図14は、変形例2においてインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を模式的に示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0013】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。
【0014】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。カートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
【0015】
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0016】
[インクカートリッジ30]
図7乃至図11には、外側を覆っているカバーが取り外された状態のインクカートリッジ30が示されている。図2及び図3には、当該カバーに覆われた状態のインクカートリッジ30が示されている。
【0017】
図2,3に示されるように、インクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインクを貯留するインク室36である。インク室36は、インクカートリッジ30の外観を形成している本体31により形成される空間であってもよいし、本体31とは別の部材によって形成される空間であってもよい。
【0018】
なお、インク室36に貯留されているインクのインク室36の容積に対する割合は、大きい方が好ましい。具体的には、インク室36に貯留され、インク室36において高さ方向52の下側を占めるインクと、インク室36において高さ方向52の上側を占める空気との界面が、後述する残量検知部33の検知部上壁92よりも上側となることが好ましい。
【0019】
インクカートリッジ30は、図2,3に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿抜方向50」と称する。)に沿って挿抜される。すなわち、インクカートリッジ30は、装着向き56に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、脱抜向き55に沿ってカートリッジ装着部110から抜き出される。インクカートリッジ30は、起立状態のままカートリッジ装着部110に挿抜される。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される向きが装着向き56であり、抜き出される向きが脱抜向き55である。装着向き56は装着向きに相当する。起立状態における高さ方向52が、重力方向に相当する。
【0020】
インクカートリッジ30は、略直方体形状の本体31を有する。本体31は、幅方向(左右方向)51に細く、高さ方向(上下方向)52と奥行き方向(前後方向)53が幅方向51よりも大きい扁平形状である。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに前方側となる本体31の壁が本体前壁40であり、後方側となる本体31の壁が本体後壁42である。本体前壁40と本体後壁42とは、奥行き方向53において対向している。本体前壁40及び本体後壁42は、奥行き方向53に延びる一対の本体側壁、本体側壁と本体前壁40及び本体後壁42とを接続し、かつ本体前壁40の上端から本体後壁42の上端に向けて延びる本体上壁39、及び本体前壁40の下端から本体後壁42の下端に向けて延びる本体下壁41、の4つの壁によりそれぞれ区画されている。なお、挿抜方向50は奥行き方向53と平行である。本体前壁40は前面に相当し、本体後壁42は後面に相当する。
【0021】
本体前壁40は、高さ方向52の下側が高さ方向52の上側よりも装着向き56側に位置するように2箇所で概ね垂直に屈曲している。以下に詳述する。本体前壁40は、図7に示されるように、連続する第1前壁81、第2前壁82、及び第3前壁83により形成されている。第1前壁81は、幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる壁であり、高さ方向52の上側の端部を本体上壁39と接続され、高さ方向52の下側の端部を第2前壁82と接続されている。第2前壁82は、本体上壁39と平行、つまり幅方向51及び奥行き方向53に沿って拡がる壁であり、脱抜向き55側の端部を第1前壁81と接続され、装着向き56側の端部を第3前壁83と接続されている。第3前壁83は、幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる壁であり、高さ方向52の上側の端部を第2前壁82と接続され、高さ方向52の下側の端部を本体下壁41と接続されている。
【0022】
なお、図10及び図11に示されるように、第1前壁81及び第2前壁82は、後述する残量検知部33と当接する部分に開口(第1開口57及び第2開口58)を有している。つまり、後述するように、残量検知部33とインク室36とは、第1開口57及び第2開口58を介して、相互にインクが流通可能である。
【0023】
図7に示されるように、インクカートリッジ30は、本体31の内部にインク室36を有する。インク室36は、本体側空間84及び突出空間85で構成される。本体側空間84は、本体上壁39、本体下壁41、本体後壁42、及び第3前壁83の各々と対向する内壁、一対の本体側壁、第1前壁81、並びに後述する補助壁87,88(図10参照)で囲まれる空間である。突出空間85は、一対の本体側壁、第2前壁82、後述する傾斜壁86、及び後述する補助壁87,88(図10参照)で囲まれる空間である。
【0024】
また、図7に示されるように、インク室36の各空間84,85を区画する内壁、一対の本体側壁、第1前壁81、第2前壁82、傾斜壁86、及び補助壁87,88は、その殆どの部分において平面または曲面で構成されており、凹凸は殆ど設けられていない。
【0025】
図10及び図11に示されるように、本体側空間84は、装着向き56側において、第1開口57を介して残量検知部33とインクの流通が可能である。突出空間85は、高さ方向52の上側において、第2開口58を介して残量検知部33とインクの流通が可能である。
【0026】
また、図7、図9及び図10に示されるように、突出空間85は、高さ方向52の下側を、傾斜壁86で区画されている。つまり、傾斜壁86は、残量検知部33の下端から高さ方向52の下側に、突出空間85の高さ分の間隔を空けて配置されている。傾斜壁86は、装着向き56側の端部が脱抜向き55側の端部よりも上側になる傾斜壁である。傾斜壁86は傾斜面に相当する。
【0027】
また、図7、図10及び図11に示されるように、突出空間85は、脱抜向き55側において、第3開口59を介して本体側空間84とインクの流通が可能である。第3開口59の幅方向51の長さは、インク室36の幅方向51の長さと同じである。つまり、第3開口59の幅方向51の長さは、第1開口57及び第2開口58の幅方向51の長さよりも長い。なお、本実施形態において、第3開口59は、第2前壁82から高さ方向52の下側へ延出された補助壁87、88(図10及び図11参照)によって、幅方向51において中央及び両端の3つに分割されている。
【0028】
図2及び図3並びに図7乃至図10に示されるように、本体31の本体前壁40における高さ方向52の中央付近には、残量検知部33が設けられている。残量検知部33は、後述される第1突起45のリブ48の装着向き56の先端、第2突起46の装着向き56の先端、及び被検出子49より装着向き56の後ろ側に配置されている。また、残量検知部33は、高さ方向52において、後述するインク供給部37よりも上側に設けられている。残量検知部33は、突出部に相当する。
【0029】
残量検知部33は、幅方向51に細く、高さ方向52と奥行き方向53が幅方向51よりも大きい扁平形状である。図7乃至図9に示されるように、残量検知部33は、本体前壁40から装着向き56側へ突出する一対の検知部側壁90、91を備えている。検知部側壁90、91は、高さ方向52及び奥行き方向53に沿って拡がる壁である。また、残量検知部33は、本体前壁40から装着向き56側へ突出し、幅方向51及び奥行き方向53に沿って拡がり、かつ検知部側壁90、91の上端を接続する検知部上壁92を備えている。また、残量検知部33は、本体前壁40と平行、つまり幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる検知部前壁93を備えている。検知部前壁93は、本体前壁40と装着向き56に隔てられて対向しており、検知部側壁90、91及び検知部上壁92の装着向き56側の端部を接続している。以上より、残量検知部33は、本体前壁40から装着向き56側に延びている。検知部側壁90、91は側壁に相当し、検知部上壁92は上壁に相当し、検知部前壁93は前壁に相当する。
【0030】
一対の検知部側壁90、91は、本体を構成する一対の本体側壁の各々の端部よりも内側から突出している。つまり、図8に示されるように、一対の検知部側壁90、91の幅方向51における間隔、つまり残量検知部33の幅方向51における長さ65は、インク室36の幅方向51における長さ66よりも短い。
【0031】
図3、図10及び図11に示されるように、残量検知部33の一対の壁の間は中空である。そして、図10及び図11に示されるように、残量検知部33は、脱抜向き55側及び高さ方向52の下側において、インク室36に通じている。つまり、残量検知部33は、脱抜向き55側及び高さ方向52の下側を構成する壁を有していない。換言すると、残量検知部33の脱抜向き55側は第1開口57であり、残量検知部33の高さ方向52の下側は第2開口58である。
【0032】
図3に示されるように、残量検知部33の中空部分にはセンサーアーム60のインジケータ部62が挿入されている。センサーアーム60は、板状のアーム本体61の両端に、インジケータ部62及びフロート部63とがそれぞれ設けられたものである。センサアーム60は、インク室36において、幅方向51に沿って延びる支軸64により回動可能に支持されている。センサーアーム60は、インク室36に存在するインク量に対応して、インジケータ部62が残量検知部33の高さ方向52下側に位置する下位姿勢と、インジケータ部62が残量検知部33の高さ方向52上側に位置する上位姿勢に姿勢変化可能である。なお、図3では、インジケータ部62が下位姿勢であり、インク室36内にインクが所定量存在する状態が示されている。
【0033】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、カートリッジ装着部110に設けられた光センサ114に対して、残量検知部33は、赤外光を所定量以上透過させる状態と、残量検知部33が赤外光を所定量未満に遮光又は減衰させる状態とに変化する。インジケータ部62が上位姿勢であれば残量検知部33は赤外光を透過させ、インジケータ部62が下位姿勢であれば、残量検知部33は赤外光を遮光又は減衰させる。この残量検知部33の透光状態に応じて、インク室36内のインク残量が所定量未満になったことが判定される。
【0034】
なお、残量検知部33には、センサーアーム60がなくてもよい。後述されるように、光センサ114は、発光素子118と受光素子119とが水平方向に対向されている。そして、発光素子118から出射された光は受光素子119に受光される。そして、残量検知部33内にインクがある状態では、発光素子118から出射された赤外光が遮断又は減衰され、残量検知部33内にインクがない状態では、発光素子118から出射された赤外光が透過されるように構成されていてもよい。また、残量検知部33内にインクがある状態では、発光素子118から出射された赤外光が受光素子119に到達しないように反射され、残量検知部33内にインクがない状態では、発光素子118から出射された赤外光が受光素子119に到達するように反射されるように構成されていてもよい。
【0035】
図3に示されるように、本体31の本体前壁40における残量検知部33の上側に本体前壁40を奥行き方向53に本体後壁42に向かって貫通する開口34が形成されており、その開口34よりも奥行き方向53における本体後壁42側に、大気連通口32が設けられている。大気連通口32は、インク室36を形成している壁を奥行き方向53の本体後壁42側に向かって貫通する貫通孔である。大気連通口32を介してインク室36の空気層と外部(大気)とが連通され得る。
【0036】
大気連通口32は、大気連通バルブ80によって開閉可能に構成されている。大気連通口32が開かれることによって、負圧に維持された状態のインク室36の気圧が外気圧となる。この大気連通口32は、必ずしも本体前壁40側に設けられる必要はなく、インク室36の内部と外部とを連通させるものであれば配置は限定されない。また、インク室36内が負圧に維持された状態でインクカートリッジ30が使用される場合は、大気連通口32は設けられなくてもよい。
【0037】
図3に示されるように、本体31の本体前壁40における高さ方向52の中央(本体前壁40の上端と下端の中点)より下側に、インク供給部37が設けられている。換言すると、インク供給部37は、高さ方向52の中心を通り、かつ奥行き方向53に沿った中心線54(図3参照)に対して下側へオフセットして配置されている。中心線54は、本体31の後壁42における上端及び下端(一対の縁)の中心を通る仮想直線である。また、インク供給部37は、残量検知部33の下側に設けられている。
【0038】
インク供給部37は、円筒形状の外形をなしており、本体前壁40から挿抜方向50に沿って外側へ突出している。インク供給部37の突出端にはインク供給口71が形成されている。このインク供給口71からインク供給部37の内部空間を通じて、挿抜方向50に延びてインク室36へ通ずるインク流路38が形成されている。インク供給口71は、インク供給バルブ70によって開閉可能に構成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインクニードル122(図6参照)が、インク供給口71に挿入されてインク供給バルブ70を開く。これにより、インク流路38を通ってインク室36から、カートリッジ装着部110に設けられたインクニードル122へインクが流出される。
【0039】
なお、インク供給口71は、必ずしもインク供給バルブ70によって開閉可能な構成に限定されず、例えば、インク供給口71がフィルムやゴム栓などで閉塞されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インクニードル122がフィルムを突き破ることによりインク供給口71が開かれる構成であってもよい。
【0040】
本体31の本体上壁39における奥行き方向53の中央付近には、係合部43が形成されている。係合部43は、インクカートリッジ30の幅方向51及び高さ方向52に拡がる平面を有する突起である。係合部43には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述されるロックレバー145が係合する。この係合部43は、インクカートリッジ30を脱抜向き55に押し出させる付勢力を受けるものである。
【0041】
本体31には、第1突起45及び第2突起46が設けられている。第1突起45は、本体31の本体前壁40の上端に、本体前壁40から奥行き方向53に沿ってインク室36から離れる向きに延びるように設けられている。第1突起45の幅は、本体前壁40の幅と同じである。第1突起45は、本体前壁40から装着向き56へ突出されている。第1突起45の先端は、インク供給部37の先端であるインク供給口71より装着向き56の前側まで突出されている。この第1突起45は、本体前壁40の幅と同幅であるが、本体前壁40の幅より狭い幅の板状のものであってもよい。第1突起45における幅方向51の中央には奥行き方向53へ延びる溝47が形成されている。溝47は、第1突起45において高さ方向52の上向きに開口している。溝47の高さ方向52に沿った断面形状はU字型である。また、溝47においてインク室36から離れる向きの先端は開口している。
【0042】
溝47の内部空間において、溝47の底面の幅方向51の中央には、高さ方向52及び奥行き方向53へ延びるリブ48が設けられている。リブ48は、溝47の底面から上向きに起立されている。リブ48における幅方向51の両側面は、溝48において幅方向51に対向する一対の側面とそれぞれ対向し、かつ平行である。リブ48は、幅方向51へ進む光を遮断又は減衰させるものであり、光センサ116によって検知され得る。第1突起45のリブ48が本体前壁40から装着向き56へ突出される寸法は、インクカートリッジ30の種別に応じて変更される。インクカートリッジ30の種別とは、インクの色や成分の違い、インク室36に最初に貯留されるインクの量の違いなどである。なお、本実施形態では、一対の側面を設けず、リブ48のみとしてもよい。
【0043】
第2突起46は、本体31の本体前壁40の下端に設けられている。したがって、第2突起46は、インク供給部37のさらに下方に配置されている。換言すれば、第2突起46は、中心線54(図3参照)に対して下側へオフセットして配置されている。つまり、第2突起46は、高さ方向52の中央(中心線54の高さ)よりも下側、かつ残量検知部33よりも高さ方向52の下側に設けられている。
【0044】
第2突起46の幅は、前壁40の幅と同じである。第2突起46は、前壁40から装着向き56へ突出されている。第2突起46の先端75は、インク供給部37の先端であるインク供給口71より装着向き56の前側まで突出されている。第2突起46が前壁40から装着向き56へ突出される寸法は、インクカートリッジ30の種別に応じて変更される。インクカートリッジ30の種別とは、インクの色や成分の違い、インク室36に最初に貯留されるインクの量の違いなどである。
【0045】
本体31の本体前壁40において、高さ方向52における第1突起45と第2突起46との間であって、残量検知部33の装着向き56の前側に、幅方向51に進む赤外光を減衰又は遮断する被検出子49が設けられている。被検出子49は、幅方向51において残量検知部33とほぼ同じ幅である。この幅は、光センサ114の発光素子118と受光素子119(図4参照)との間に進入可能な寸法である。
【0046】
被検出子49と残量検知部33との間には、挿抜方向50において空間が形成されている。この空間は、幅方向51に進む赤外光が所定量未満には減衰されることなく通過するものである。被検出子49の挿抜方向50に沿った寸法は、インクカートリッジ30の種別に応じて変更される。インクカートリッジ30の種別とは、インクの色や成分の違い、インク室36に最初に貯留されるインクの量の違いなどである。
【0047】
第1突起45、第2突起46及び被検出子49は、いずれもが残量検知部33よりも装着向き56へ突出されている。つまり、インクカートリッジ30において、第1突起45、第2突起46及び被検出子49は装着向き56の前側に配置されており、残量検知部33は装着向き56の後ろ側に配置されている。残量検知部33及びインク供給口71は、高さ方向52においていずれもが第1突起45と第2突起46との間に配置されている。
【0048】
図2に示されるように、本体31の本体上壁39には、奥行き方向53に渡って延びるガイド部35が設けられている。ガイド部35は、本体上壁39から上方へ突出されたリブ又は突片によって構成されている。ガイド部35において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離は、本体31において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離より短い。つまり、ガイド部35の幅方向51の寸法は、本体31の幅方向51の寸法より小さい。
【0049】
本体31の本体下壁41には、奥行き方向53に渡って延びるガイド部44が設けられている。ガイド部44は、本体下壁41から下方へ突出されたリブ又は突片によって構成されている。ガイド部44において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離は、本体31において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離より短い。つまり、ガイド部44の幅方向51の寸法は、本体31の幅方向51の寸法より小さい。ガイド部35,44は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿抜される際に、後述されるガイド溝109に挿入されて移動されるものである。なお、ガイド部35,44は本体31から上方もしくは下方に突出するリブ又は突片としたが、インクカートリッジ30の本体側壁を円弧として本体上壁39の一対の側面の間隔、及び本体下壁41の一対の側面の間隔が高さ方向52の中央部における一対の本体側壁の間隔に比べて小さくしたものでもよい。
【0050】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態が示されている。
【0051】
[カートリッジ装着部110]
図4,5に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体を形成するケース101は、プリンタ10の正面側に開口112を有する。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿抜される。インクカートリッジ30は、ケース101の内部空間の天部を画定している天面に設けられたガイド溝109にガイド部35が挿入され、ケース101の内部空間の底部を画定している底面に設けられたガイド溝109にガイド部44が挿入されることによって挿抜方向50へ案内される。つまり、インクカートリッジ30は、ガイド溝109によって、挿抜方向50に沿ってスライド可能に案内される。ガイド溝109は、ガイド部に相当する。ケース101には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。
【0052】
ケース101には、内部空間を縦方向に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート102が設けられている。このプレート102によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ30が収容される。プレート102は、ケース101において開口112と反対側となる終面側(奥側)に設けられている。
【0053】
図5に示されるように、ケース101の終面の下部に接続部103が設けられている。接続部103は、終面において、ケース101に装着された各インクカートリッジ30のインク供給部37に対応する位置にそれぞれ配置されている。本実施形態では、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つの接続部103が設けられている。
【0054】
接続部103は、インクニードル122と、保持部121とを有する。インクニードル122は、管状の樹脂針からなる。インクニードル122は、ケース101の終面と表裏をなす外面側でインクチューブ20に接続されている。各インクニードル122から背面側へ引き出された各インクチューブ20は、ケース101の終面と対向する外側面において上方へ引き上げられたのち、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に延出されている。
【0055】
保持部121は、円筒状に形成されている。保持部121の中心にインクニードル122が配置されている。図6に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インク供給部37が保持部121の円筒の内側に挿入される。このとき、インク供給部37の外周面が保持部121の円筒の内周面に密着する。これにより、インク供給部37が保持部121へ所定の間隔をもって挿入される。インク供給部37が保持部121へ挿入されると、インクニードル122がインク供給部37のインク供給口71に挿入される。これにより、インク室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。インク室36から流出されたインクは、インクニードル122へ流入する。
【0056】
図5,6に示されるように、ケース101の終面において、接続部103より高さ方向52の上側にセンサユニット104が設けられている。センサユニット104は、基板113と、光センサ114とを備える。基板113に光センサ114が装着されることで、センサユニット104が構成されている。センサユニット104には、4つの光センサ114が設けられている。これら4つの光センサ114は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応している。4つの光センサ114は、各プレート102の間において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に一列に配列されている。
【0057】
各光センサ114は、LEDなどの発光素子118と、フォトトランジスタなどの受光素子119とをそれぞれ有する。発光素子118及び受光素子119は、それぞれが筐体に囲まれている。光センサ114は、この筐体により形成される外形が馬蹄形である。発光素子118は、筐体から一方向へ光を照射可能である。受光素子は、筐体に対して一方向から照射された光を受光可能である。このような発光素子118と受光素子119とが、馬蹄形の筐体において所定の間隔を空けて対向配置されている。発光素子118と受光素子119との間の空間には、インクカートリッジ30の残量検知部33及び被検出子49が進入可能である。光センサ114の光路に残量検知部33又は被検出子49が進入すると、光センサ114は、残量検知部33又は被検出子49による透光状態の変化を検知し得る。
【0058】
図6に示されるように、ケース101の天面の奥部にはセンサユニット105が設けられている。センサユニット105は、基板115と、光センサ116とを備える。基板115に光センサ116が装着されることで、センサユニット105が構成されている。センサユニット105には、4つの光センサ116が設けられている。これら4つの光センサ116は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応している。4つの光センサ116は、各プレート102の間において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に一列に配列されている。
【0059】
ケース101にインクカートリッジ30が装着されると、光センサ116の光路に第1突起45のリブ48が進入する。このときの光センサ116の信号の変化を検知することで、インクカートリッジ30の装着状態が判定され得る。光センサ116は、光センサ114と同様に、発光素子及び受光素子を有するものなので、ここでは、光センサ116の詳細な構成の説明が省略される。
【0060】
図6に示されるように、スライド部材135は、カートリッジ装着部110の奥部の下端側に形成された空間130に配置されている。本実施形態では、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つのスライド部材135が設けられている。空間130は、カートリッジ装着部110の内部空間と連続している。スライド部材135は、空間130において挿抜方向50に沿って延出された支持ロッド133によって挿抜方向50に沿ってスライド可能に支持されている。スライド部材135は、概ね直方体の外形をなす。スライド部材135の上端には、挿抜方向50に沿って延びるリブ136が設けられている。スライド部材135は、インクカートリッジ30の第2突起46の挿入経路に配置されており、第2突起46の先端75と当接可能である。つまり、スライド部材135は、第2突起46の先端75と装着向き56に対向して設けられている。第2突起46の先端75は当接部に相当するとともに第1接触部の一例である。
【0061】
空間130にはコイルバネ139が設けられている。コイルバネ139は、スライド部材135を開口112側、つまり、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から抜き出される向きへ、つまり開口112へ向かって、インクカートリッジ30を弾性付勢するものである。コイルバネ139は、空間130において挿抜方向50に沿って延出された支持ロッド133に外嵌されて、空間130の終端を画定している終壁131とスライド部材135との間に介在されている。コイルバネ139が自然長である場合、つまり、スライド部材135に外力が加えられていない状態では、スライド部材135は、開口112側の所定の位置(図8参照)に配置される。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、インクカートリッジ30の第2突起46がスライド部材135に当接して、スライド部材135が空間130の終壁131側へ押圧される。これにより、コイルバネ139が収縮されるとともに、スライド部材135が終壁131側の位置(図6参照)へスライドされる。収縮したコイルバネ139は、スライド部材135を介してインクカートリッジ30を脱抜向き55へ付勢する。
【0062】
スライド部材135及びコイルバネ139は第2バネに相当する。また、スライド部材135及びコイルバネ139は第2接触部の一例である。
【0063】
図6に示されるように、ケース101の終面において、接続部103より高さ方向52の下側であって、スライド部材135より高さ方向52の上側にセンサユニット107が設けられている。センサユニット104は、基板111と、光センサ117とを備える。基板111に光センサ117が装着されることで、センサユニット107が構成されている。センサユニット107には、4つの光センサ117が設けられている。これら4つの光センサ117は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応している。換言すれば、4つの光センサ117は、4つのスライド部材135に対応している。4つの光センサ117は、空間130の上側において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に一列に配列されている。
【0064】
ケース101にインクカートリッジ30が装着されると、スライド部材135が空間130の終壁131側へスライドされて、リブ136が光センサ117の光路(被検知位置)に進入して、光センサ117に検知され得る。光センサ117は、光センサ114と同様に、発光素子及び受光素子を有するものなので、ここでは、光センサ117の詳細な構成の説明が省略される。
【0065】
ケース101には、ロックレバー145が設けられている。ロックレバー145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を、コイルバネ139の付勢力に抗して、装着状態に維持するためのものである。ロックレバー145は、ケース101の開口112の上側に設けられている。本実施形態では、ケース101に装着可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つのロックレバー145が設けられている。
【0066】
ロックレバー145は、全体がアーム状に形成されている。ロックレバー145の中央付近に支軸147が設けられている。この支軸147がケース101に支持されている。これにより、ケース101の開口112の上側においてロックレバー145が支軸147を中心に回動可能に支持されている。ロックレバー145は、大別すると、操作部149と、被係合部146とに大別される。操作部149は、ケース101の開口112から外側へ突出されている。操作部149は、ロックレバー145を回動させるための操作を受け付ける部分である。被係合部146は、ケース101の内部へ進入している。被係合部146は、インクカートリッジ30の係合部43と係合可能である。被係合部146が係合部43と係合することにより、コイルバネ139に付勢されているインクカートリッジ30が、ケース101に対して装着状態に維持される。被係合部146が係合部43と係合可能な位置となるロックレバー145の回動位置(図6参照)がロック位置と称され、被係合部146が係合部43と係合しない位置(図8参照)がアンロック位置と称される。ロックレバー145が、ロック部材に相当する。
【0067】
ロックレバー145には、コイルバネ148が取り付けられている。コイルバネ148によって、ロックレバー145は、ロック位置側へ付勢されている。ロック位置のロックレバー145に対して、操作部149が高さ方向52下向きへ押し下げられると、ロックレバー145がロック位置からアンロック位置へ回動される。
【0068】
[インクカートリッジ30の装着動作]
以下、図13が参照されつつ、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される動作が説明される。
【0069】
図には示されていないが、カートリッジ装着部110の開口112は、プリンタ10の筐体に設けられた開閉可能なカバーによって閉じられている。インクカートリッジ30が装着されるときには、このカバーが開かれる。
【0070】
図13に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して装着向き56へ挿入される。ユーザは、インクカートリッジ30の挿入に際して、本体31の後壁42側を挟み持つ。ユーザが、高さ方向52における本体31のいずれの位置を挟み持つかは必ずしも一定ではない。しかしながら、プリンタ10が机などに設置されており、ユーザは高さ方向52の上側からカートリッジ装着部110の開口112を見ながら、インクカートリッジ30を挿入することが多いと想定される。したがって、ユーザは、本体31の高さ方向52の中心付近から上端までの間を挟み持って、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着すると想定される。
【0071】
また、インクカートリッジ30の本体31において、ユーザが持つべき位置が印刷されていたり、滑り止めとなる部材や形状が設けられていてもよい。この場合においては、その位置をユーザが挟み持つと想定される。滑り止めとなる部材や形状の一例が、図12において破線で示される。図12においては、ユーザが持つべき位置としての凸部74が、上記形状の一例として示されている。凸部74はユーザ接触部の一例である。本実施形態においてユーザ接触部は、本体31の高さ方向52の中心から上端までの間、つまり中心線54より高さ方向52の上側に設けられている。
【0072】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、まず、ガイド部35の装着向き56の先端に形成された装着向き56前側へ傾斜する案内面が、ロックレバー145の被係合部146に当接する。更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、ロックレバー145の被係合部146がガイド部35に乗りあがる。これにより、ロックレバー145が図13における反時計回りに回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動する。
【0073】
また、インクカートリッジ30の第2突起46の先端75がスライド部材135に当接する。このとき、スライド部材135は、コイルバネ139に付勢された、空間130における開口112側に位置されている。ユーザは、さらにインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に挿入するために、コイルバネ139の付勢力に抗して、本体31の後壁42側を押し込む。ユーザが、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30を挿入する速度は、このコイルバネ139の付勢力によって緩められる。
【0074】
第2突起46の先端75は、ユーザが挟み持つであろう本体31の後壁42側の高さ方向52の位置に対して、下側へオフセットされているので、第2突起46の先端75に脱抜向き55への付勢力が付与されると、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110内でのガタツキの範囲内で、図13における時計回り(矢印67)へ最大限に回転する。このガタツキは、カートリッジ装着部110のガイド溝109と、インクカートリッジ30のガイド部35,44との間の隙間により決定される。インクカートリッジ30の第2突起46の先端75とスライド部材135とは、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に完全に装着されるまで当接した状態に保たれるので、ユーザが装着向き56へインクカートリッジ30を押し込むことによって、インクカートリッジ30の本体31は、常にガタツキの範囲に対して時計回りに最大限回転した一定の姿勢に維持される。
【0075】
以上より、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、第2突起46の先端75がスライド部材135に当接すると、インクカートリッジ30は、高さ方向52の中央(中心線54)よりも上側の部分よりも下側の部分である第2突起46に偏って、コイルバネ139によって付勢される。換言すると、インクカートリッジ30は、高さ方向52の中央(中心線54)よりも上側の部分よりも下側の部分である第2突起46に偏って、コイルバネ139によってインクカートリッジ30の挿入に対する抵抗を付与される。
【0076】
なお、インクカートリッジ30に抵抗を付与する第2接触部は、スライド部材135及びコイルバネ139に限らない。例えば、第2接触部は、接続部103であってもよい。この場合、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への装着過程において、インク供給部37の外周面が保持部121の円筒の内周面に接触するときに、当該外周面と当該内周面との間に摩擦が生じる。これにより、インクカートリッジ30は接続部103の一部を構成する保持部121によって抵抗を付与される。また、第2接触部は、ガイド溝109であってもよい。この場合、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への装着過程において、インクカートリッジ30のガイド部44がガイド溝109に挿入され、インクカートリッジ30がガイド溝109によってスライド可能に案内されているときに、ガイド部44とガイド溝109との間に摩擦が生じる。これにより、インクカートリッジ30はガイド溝109によって抵抗を付与される。
【0077】
インクカートリッジ30の回転によって、インク室36内に貯留されたインクの流通が当該回転の方向に沿って促進される。ここで、インク室36の一部を構成する本体側空間84と突出空間85の間の第3開口59(図10及び図11参照)は、図8に示されるように、その幅方向51の長さ66が、残量検知部33の幅方向51の長さ65よりも長い。そのため、本体側空間84と突出空間85の間においては、インク室36と残量検知部33の間におけるよりも、インクの流通が促進される。
【0078】
また、突出空間85の下側には、傾斜壁86が設けられている。これにより、突出空間85の下側は、本体側空間84に近接する側が下側となるように傾斜している。そのため、インクは、本体側空間84から突出空間85へ流通しやすい。そして、当該流通によって、元々、突出空間85内にあったインクは、上側に設けられている残量検知部33へ流通される。これにより、残量検知部33に気泡が存在する場合であっても、当該気泡は、インク室36から流通してきたインクに押されることによって、残量検知部33からインク室36へ移動する。
【0079】
また、上述したように、インク室36を区画する各壁面は、その殆どの部分において平面または曲面で構成されており、凹凸は殆ど設けられていない。そのため、図7において破線矢印で示されるように、インクカートリッジ30の回転によるインクの流れが、当該凹凸によって妨げられることない。よって、インクの流通が更に促進されることになる。
【0080】
また、インクカートリッジ30が上記回転によって上記一定の姿勢に維持されている場合、検知部上壁92は、インク室36に近接する側がインク室36から離間する側よりも高さ方向52において高位置となるように傾斜している。また、気泡はインクよりも軽いため高さ方向52の上側へ移動しやすい。以上より、残量検知部33に気泡が存在する場合であっても、当該気泡は、検知部上壁92に沿って、高位置であるインク室36側へ移動する。以上の結果、インクは残量検知部33から排除される。
【0081】
[本実施形態の作用効果]
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される際、インクカートリッジ30が、高さ方向52の中央よりも下側において、挿入に対抗する抵抗を受けると、当該インクカートリッジ30は、本体前壁40における高さ方向52の中央よりも上側が装着向き56側に移動するように回転する。つまり、インクカートリッジ30は、図13における時計回り(矢印67)へ回転する。
【0082】
ここで、傾斜壁86は、本体後壁42側が装着向き56側よりも下側になるように傾斜している。また、インク室36の幅方向51の長さ66は残量検知部33の幅方向51の長さ65よりも長い。これらにより、本体側空間84から突出空間85には、インクが流通し易い。以上より、インクカートリッジ30が回転した場合、突出空間85において、インクの流通が促進される。すると、突出空間85と流通可能な残量検知部33において、インクの流通が促進される。これにより、残量検知部33においてインクの他に気泡が存在していても、インクと共に気泡の移動も促進されるため、気泡が残量検知部33からインク室へ移動し易くなる。
【0083】
また、インクカートリッジ30が上述のように回転した場合、残量検知部33においては、本体31と離れた側が本体31に近接する側よりも低い位置となる。つまり、残量検知部33の検知部上壁92においては、インク室36と離れた側がインク室36と近接する側よりも低い位置となる。これにより、残量検知部33に存在する気泡は、傾いた検知部上壁92に沿って、より上側へ移動可能となる。換言すると、当該気泡は、インク室36と離れた側からインク室36に向かって移動可能となる。
【0084】
以上より、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入過程において、挿入を行うユーザに意識させることなく、インクが貯留されている残量検知部33から、気泡を除外することができる。
【0085】
また、カートリッジ装着部110に対して挿抜されるときにユーザによって触れられるユーザ接触部74が、高さ方向52の中央よりも上側に設けられていてもよい。
【0086】
ユーザ接触部74が本体前壁40における高さ方向52の中央(中心線54)よりも上側に設けられている。そのため、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において、中央よりも上側にかかる力が下側にかかる力よりも大きくなる。これにより、インクカートリッジ30は上述のように回転し易くなる。
【0087】
また、インク室36に貯留されたインクと空気との界面が、検知部上壁92よりも上側に位置していてもよい。
【0088】
これにより、残量検知部33に存在する気泡は検知部上壁92に当接可能となる。すると、インクカートリッジ30が上述のように回転した場合に、気泡が検知部上壁92に沿って残量検知部33からインク室36に向かって移動することが可能となる。
【0089】
また、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入過程において、第1接触部は、第2接触部に接触して、本体前壁40における中央よりも下側に偏って上側よりも大きな装着向き56に対抗する抵抗を付与される。そのため、インクカートリッジ30は、上述のように回転し易くなる。
【0090】
また、第1接触部は、インクカートリッジ30の挿入過程において、カートリッジ装着部110に接触する第2突起46の先端75であってもよい。また、第2接触部は、先端75と装着向き56に対向して設けられており、先端75に接触することによって、インクカートリッジ30に対して脱抜向き55の付勢力を生じさせるスライド部材135及びコイルバネ139であってもよい。
【0091】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるとき、インクカートリッジ30の本体前壁40に設けられた第2突起46の先端75が、カートリッジ装着部110に先端75と対向して設けられたスライド部材135に当接して、コイルバネ139によって、脱抜向き55の付勢力、つまり装着向き56に対抗する抵抗を付与される。つまり、第1接触部が先端75であり、第2接触部がスライド部材135及びコイルバネ139である構成は、インク供給装置100に対して好適に適用できる。
【0092】
[変形例1]
図12に示されるように、インクカートリッジ30は、インク室36を、残量検知部33とインクが流通可能である第1貯留部94と、第1貯留部94よりも本体後壁42側に残量検知部33と隔てられて設けられた第2貯留部95とに分ける仕切り壁96を具備していてもよい。また、仕切り壁96は、残量検知部33よりも高さ方向52の上側と下側の各々において、第1貯留部94及び第2貯留部95の間でインクが流通可能に配置されていてもよい。
【0093】
仕切り壁96は、概ね幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる面であるが、必ずしも平面である必要はなく、曲面であってもよい。また、仕切り壁96は、幅方向51の両端において、インク室36の幅方向の端部を構成する内壁と接続されている。また、仕切り壁96の高さ方向52の上端は、インク室36の高さ方向52の上端を構成する内壁72と所定の間隔97を空けた位置である。また、仕切り壁96の高さ方向52の下端は、インク室36の高さ方向52の下端を構成する内壁73と所定の間隔98を空けた位置である。
【0094】
上述したインクカートリッジ30の回転によってインクカートリッジ30が傾くと、第2貯留部95に溜まっているインクが、残量検知部33よりも高さ方向52の下側において、第2貯留部95から第1貯留部94に流通する。すると、第1貯留部94に溜まっているインクが、第2貯留部95から流通してきたインクに押され、残量検知部33よりも高さ方向52の上側において、第1貯留部94から第2貯留部95に流通する。つまり、インク室36内のインクの流通が促進される。すると、第1貯留部94と流通可能な残量検知部33に気泡が存在する場合、当該気泡の移動も促進される。これにより、残量検知部33に存在する気泡が、残量検知部33から排除されやすくなる。
【0095】
[変形例2]
上述の実施形態では、第1接触部の一例が当接部、つまり第2突起46の先端75であり、第2接触部の一例がスライド部材135及びコイルバネ139である場合について説明した。しかし、図14に示されるように、第1接触部は、インクカートリッジ30の挿入過程において、第2接触部と接触することによって、脱抜向き55へ付勢力を生じさせるコイルバネ140及びスライド部材142であってもよい。コイルバネ140及びスライド部材142は第1バネに相当する。また、第2接触部は、スライド部材142と装着向き56に対向して設けられており、コイルバネ140及びスライド部材142を伸縮自在に支持可能な終面141であってもよい。終面141は支持部材に相当する。
【0096】
変形例2では、インクカートリッジ30の本体31の本端前壁40の下端には、第2突起46の代わりに、コイルバネ140及びスライド部材142が備えられている。変形例2において、コイルバネ140は、本端前壁40の下端に設けられたバネ収容室143に収容されている。また、カートリッジ装着部110の終面部の下端側には、スライド部材135及びコイルバネ139が設けられていない。その代わりに、カートリッジ装着部110の終面部の下端側は、スライド部材142と当接可能な平面、つまり終面141で構成されている。
【0097】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、インクカートリッジ30に設けられたスライド部材142が、カートリッジ装着部110に設けられた奥面141に当接すると、バネ収容室143に設けられたコイルバネ140が、終面141によって収縮される。詳細には、コイルバネ140は、終面141によって脱抜向き55側に押されたスライド部材142に押されて収縮される。これにより、インクカートリッジ30は脱抜向き55側へ付勢される。
【0098】
変形例2によれば、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるとき、インクカートリッジ30の本体前壁40に設けられたコイルバネ140は、カートリッジ装着部110にスライド部材142と対向して設けられた奥面141に押されることによって、脱抜向き55の付勢力、つまり装着向き56に対抗する抵抗を生じさせる。つまり、変形例2は、インク供給装置100に対して好適に適用できる。
【符号の説明】
【0099】
10・・・プリンタ
30・・・インクカートリッジ
31・・・本体
33・・・残量検知部(突出部)
36・・・インク室
37・・・インク供給部
40・・・本体前壁(前面)
42・・・本体後壁(後面)
74・・・ユーザ接触部
75・・・先端(第1接触部、当接部)
86・・・傾斜壁(傾斜面)
90,91・・・検知部側壁(側壁)
92・・・検知部上壁(上壁)
93・・・検知部前壁(前壁)
94・・・第1貯留部
95・・・第2貯留部
96・・・仕切り壁
100・・・インク供給装置
109・・・ガイド部(ガイド溝)
135・・・スライド部材(第2接触部、第2バネ)
139・・・コイルバネ(第2接触部、第2バネ)
140・・・コイルバネ(第1バネ)
141・・・終面(支持部材)
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部に装着可能なインクカートリッジ、及びインクカートリッジ及びカートリッジ装着部を備えるインク供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクを用いて記録用紙(被記録媒体)に画像を記録するインクジェット記録装置が広く知られている。インクジェット記録装置は、インクジェット方式の記録ヘッドを備える。記録ヘッドは、該記録ヘッドに供給されたインクを記録用紙へ向けてノズルから選択的に噴出する。これにより、記録用紙にインクで形成された画像が記録される。インクジェット記録装置には、液体容器としてのインクカートリッジが着脱可能に設けられる。インクカートリッジは、記録ヘッドへ供給されるインクを収容するインク室をその内部に備える。
【0003】
上記インクカートリッジの一例として、特許文献1には、上記インク室としてのインクタンクの内部に揺動可能に支持されたアーム状の部材(センサアーム)を有するインクカートリッジが開示されている。当該インクカートリッジには、インクタンク(インク室)とインクが流通可能に構成され、外部方向に突出する検知部が設けられている。センサアームは、浮力を利用してインク室内のインクの貯留量に応じて揺動する。詳細には、センサアームの一端は検知部内の空間に配されており、検知部内のインクの貯留量に応じて当該空間内を上下方向に変位する。検知部内のインクが所定量未満になると、検知部の近傍に設けられた光センサ(残量検出センサ)によって上記一端が検出される検出位置から非検出位置へ上記一端が移動する。これにより、インク室内のインクの貯留量が検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−268948号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インク室内には、インクの他に空気も存在する。ここで、インクカートリッジを装着するときに、インク室内のインクと空気が一時的に混ざり合い、インク内に気泡が存在する状態となる。そして、検知部内にも気泡が存在することがある。
【0006】
しかし、検知部はインク室から突出しているため、検知部内の気泡は、上方へ移動しても検知部の上側の壁面に当接し、それ以上に上方へ移動しないおそれがある。つまり、検知部内に気泡が溜まった状態が維持されるおそれがある。検知部内に気泡が溜まった状態であると、センサアームが本来のインクの貯留量に応じた位置とは異なる位置へ変位してしまうおそれがある。つまり、インク室内のインクの貯留量が誤検出されるおそれがある。
【0007】
本発明は、前述された事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクカートリッジが装置へ挿入される過程において、挿入を行うユーザに意識させることなく、インクが貯留される空間から、気泡を除外することのできる構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、カートリッジ装着部(110)に装着可能なインクカートリッジ(30)である。インクカートリッジ(30)は、装着向き(56)の前側となる前面(40)、及び当該前面(40)と対向する後面(42)を有し、内部に設けられたインク室(36)にインクを貯留可能な本体(31)と、上記前面(40)において上下方向の中央(54)よりも下側に設けられており、上記インク室(36)から上記本体(31)の外部にインクを流出可能なインク供給部(37)と、上記前面(40)において上記インク供給部(37)よりも上側に設けられており、上記前面(40)から上記装着向き(56)側に延びる突出部(33)と、を具備する。上記突出部(33)は、上記前面(40)から上記装着向き(56)に沿って延出されており互いに対向する一対の側壁(90,91)と、上記前面(40)と平行な壁であって突出端側において上記一対の側壁(90,91)を接続する前壁(93)と、上記前面(40)から装着向き(56)に沿って延出されており上記一対の側壁(90,91)及び上記前壁(93)を接続する上壁(92)とを具備し、かつ上記終面(42)側及び下側において上記インク室(36)とインクが流通可能に開放されている。上記本体(31)は、上記突出部(33)の下端から下側に間隔を空けて配置された傾斜面(86)を具備する。上記傾斜面(86)は、上記装着向き(56)側が上記後面(42)側よりも上側になるように傾斜している。
【0009】
また、本発明は、上記インクカートリッジ(30)の前面(40)における上下方向の中央(54)よりも下側、かつ上記突出部(33)よりも下側に配置された第1接触部(75)を具備しており、該インクカートリッジ(30)はカートリッジ装着部(110)に装着可能とされるインク供給装置(100)として捉えることもできる。この場合、上記カートリッジ装着部(110)は、上記インクカートリッジ(30)を上記装着向き(56)に沿ってスライド可能に案内するガイド部(109)と、上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において上記第1接触部(75)と接触することによって、上記中央(54)よりも下側に偏って上側よりも大きく、上記インクカートリッジ(30)の挿入に対抗する抵抗を上記第1接触部(75)に付与する第2接触部(135,139)と、を具備する。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、インクカートリッジ(30)が、前面(40)における高さ方向の中央(54)よりも上側が装着向き(56)側に移動するように回転した場合、インク室(36)内におけるインクの流通が促進される。これにより、突出部(33)に存在するインク及び気泡の流通も促進される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は、インク供給装置100を備えたプリンタ10の内部構造を模式的に示す模式断面図である。
【図2】図2は、インクカートリッジ30の外観構成を示す斜視図である。
【図3】図3は、インクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【図4】図4は、カートリッジ装着部110の構成を示す斜視図である。
【図5】図5は、カートリッジ装着部110の正面図である。
【図6】図6は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を示す縦断面図である。
【図7】図7は、インクカートリッジ30の内部構成を示す縦断面図である。
【図8】図8は、インクカートリッジ30の内部構成を示す正面図である。
【図9】図9は、インクカートリッジ30の内部構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、インクカートリッジ30の内部構成を示す斜視図である。
【図11】図11は、インクカートリッジ30の内部構成を示す斜視図である。
【図12】図12は、仕切り壁96を備えたインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を模式的に示す模式断面図である。
【図13】図13は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入された直後の状態を示すカートリッジ装着部110の断面図である。
【図14】図14は、変形例2においてインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態を模式的に示す模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明が具体化された一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0013】
[プリンタ10の概要]
図1に示されるように、プリンタ10は、インクジェット記録方式に基づいて、記録用紙に対してインク滴を選択的に吐出することにより画像を記録するものである。プリンタ10は、インク供給装置100を備えている。インク供給装置100には、カートリッジ装着部110が設けられている。カートリッジ装着部110には、インクカートリッジ30が装着され得る。カートリッジ装着部110には、その一面が外部に開放された開口112が設けられている。インクカートリッジ30は、開口112を介してカートリッジ装着部110に挿入され、或いはカートリッジ装着部110から抜き出される。
【0014】
インクカートリッジ30には、プリンタ10で使用可能なインクが貯留されている。カートリッジ装着部110に装着された状態において、インクカートリッジ30と記録ヘッド21とがインクチューブ20で接続されている。記録ヘッド21にはサブタンク28が設けられている。サブタンク28は、インクチューブ20を通じて供給されるインクを一時的に貯留する。記録ヘッド21は、インクジェット記録方式によって、サブタンク28から供給されたインクをノズル29から選択的に吐出する。
【0015】
給紙トレイ15から給紙ローラ23によって搬送路24へ送給された記録用紙は、搬送ローラ対25によってプラテン26上へ搬送される。記録ヘッド21は、プラテン26上を通過する記録用紙に対してインクを選択的に吐出する。これにより、画像が記録用紙に記録される。プラテン26を通過した記録用紙は、排出ローラ対22によって、搬送路24の最下流側に設けられた排紙トレイ16に排出される。
【0016】
[インクカートリッジ30]
図7乃至図11には、外側を覆っているカバーが取り外された状態のインクカートリッジ30が示されている。図2及び図3には、当該カバーに覆われた状態のインクカートリッジ30が示されている。
【0017】
図2,3に示されるように、インクカートリッジ30はインクが貯留される容器である。インクカートリッジ30の内部に形成されている空間がインクを貯留するインク室36である。インク室36は、インクカートリッジ30の外観を形成している本体31により形成される空間であってもよいし、本体31とは別の部材によって形成される空間であってもよい。
【0018】
なお、インク室36に貯留されているインクのインク室36の容積に対する割合は、大きい方が好ましい。具体的には、インク室36に貯留され、インク室36において高さ方向52の下側を占めるインクと、インク室36において高さ方向52の上側を占める空気との界面が、後述する残量検知部33の検知部上壁92よりも上側となることが好ましい。
【0019】
インクカートリッジ30は、図2,3に示された起立状態、つまり、同図の下側の面を底面とし、同図の上側の面を上面として、カートリッジ装着部110に対して矢印50で示される方向(以下「挿抜方向50」と称する。)に沿って挿抜される。すなわち、インクカートリッジ30は、装着向き56に沿ってカートリッジ装着部110に挿入され、また、脱抜向き55に沿ってカートリッジ装着部110から抜き出される。インクカートリッジ30は、起立状態のままカートリッジ装着部110に挿抜される。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される向きが装着向き56であり、抜き出される向きが脱抜向き55である。装着向き56は装着向きに相当する。起立状態における高さ方向52が、重力方向に相当する。
【0020】
インクカートリッジ30は、略直方体形状の本体31を有する。本体31は、幅方向(左右方向)51に細く、高さ方向(上下方向)52と奥行き方向(前後方向)53が幅方向51よりも大きい扁平形状である。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ装着されるときに前方側となる本体31の壁が本体前壁40であり、後方側となる本体31の壁が本体後壁42である。本体前壁40と本体後壁42とは、奥行き方向53において対向している。本体前壁40及び本体後壁42は、奥行き方向53に延びる一対の本体側壁、本体側壁と本体前壁40及び本体後壁42とを接続し、かつ本体前壁40の上端から本体後壁42の上端に向けて延びる本体上壁39、及び本体前壁40の下端から本体後壁42の下端に向けて延びる本体下壁41、の4つの壁によりそれぞれ区画されている。なお、挿抜方向50は奥行き方向53と平行である。本体前壁40は前面に相当し、本体後壁42は後面に相当する。
【0021】
本体前壁40は、高さ方向52の下側が高さ方向52の上側よりも装着向き56側に位置するように2箇所で概ね垂直に屈曲している。以下に詳述する。本体前壁40は、図7に示されるように、連続する第1前壁81、第2前壁82、及び第3前壁83により形成されている。第1前壁81は、幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる壁であり、高さ方向52の上側の端部を本体上壁39と接続され、高さ方向52の下側の端部を第2前壁82と接続されている。第2前壁82は、本体上壁39と平行、つまり幅方向51及び奥行き方向53に沿って拡がる壁であり、脱抜向き55側の端部を第1前壁81と接続され、装着向き56側の端部を第3前壁83と接続されている。第3前壁83は、幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる壁であり、高さ方向52の上側の端部を第2前壁82と接続され、高さ方向52の下側の端部を本体下壁41と接続されている。
【0022】
なお、図10及び図11に示されるように、第1前壁81及び第2前壁82は、後述する残量検知部33と当接する部分に開口(第1開口57及び第2開口58)を有している。つまり、後述するように、残量検知部33とインク室36とは、第1開口57及び第2開口58を介して、相互にインクが流通可能である。
【0023】
図7に示されるように、インクカートリッジ30は、本体31の内部にインク室36を有する。インク室36は、本体側空間84及び突出空間85で構成される。本体側空間84は、本体上壁39、本体下壁41、本体後壁42、及び第3前壁83の各々と対向する内壁、一対の本体側壁、第1前壁81、並びに後述する補助壁87,88(図10参照)で囲まれる空間である。突出空間85は、一対の本体側壁、第2前壁82、後述する傾斜壁86、及び後述する補助壁87,88(図10参照)で囲まれる空間である。
【0024】
また、図7に示されるように、インク室36の各空間84,85を区画する内壁、一対の本体側壁、第1前壁81、第2前壁82、傾斜壁86、及び補助壁87,88は、その殆どの部分において平面または曲面で構成されており、凹凸は殆ど設けられていない。
【0025】
図10及び図11に示されるように、本体側空間84は、装着向き56側において、第1開口57を介して残量検知部33とインクの流通が可能である。突出空間85は、高さ方向52の上側において、第2開口58を介して残量検知部33とインクの流通が可能である。
【0026】
また、図7、図9及び図10に示されるように、突出空間85は、高さ方向52の下側を、傾斜壁86で区画されている。つまり、傾斜壁86は、残量検知部33の下端から高さ方向52の下側に、突出空間85の高さ分の間隔を空けて配置されている。傾斜壁86は、装着向き56側の端部が脱抜向き55側の端部よりも上側になる傾斜壁である。傾斜壁86は傾斜面に相当する。
【0027】
また、図7、図10及び図11に示されるように、突出空間85は、脱抜向き55側において、第3開口59を介して本体側空間84とインクの流通が可能である。第3開口59の幅方向51の長さは、インク室36の幅方向51の長さと同じである。つまり、第3開口59の幅方向51の長さは、第1開口57及び第2開口58の幅方向51の長さよりも長い。なお、本実施形態において、第3開口59は、第2前壁82から高さ方向52の下側へ延出された補助壁87、88(図10及び図11参照)によって、幅方向51において中央及び両端の3つに分割されている。
【0028】
図2及び図3並びに図7乃至図10に示されるように、本体31の本体前壁40における高さ方向52の中央付近には、残量検知部33が設けられている。残量検知部33は、後述される第1突起45のリブ48の装着向き56の先端、第2突起46の装着向き56の先端、及び被検出子49より装着向き56の後ろ側に配置されている。また、残量検知部33は、高さ方向52において、後述するインク供給部37よりも上側に設けられている。残量検知部33は、突出部に相当する。
【0029】
残量検知部33は、幅方向51に細く、高さ方向52と奥行き方向53が幅方向51よりも大きい扁平形状である。図7乃至図9に示されるように、残量検知部33は、本体前壁40から装着向き56側へ突出する一対の検知部側壁90、91を備えている。検知部側壁90、91は、高さ方向52及び奥行き方向53に沿って拡がる壁である。また、残量検知部33は、本体前壁40から装着向き56側へ突出し、幅方向51及び奥行き方向53に沿って拡がり、かつ検知部側壁90、91の上端を接続する検知部上壁92を備えている。また、残量検知部33は、本体前壁40と平行、つまり幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる検知部前壁93を備えている。検知部前壁93は、本体前壁40と装着向き56に隔てられて対向しており、検知部側壁90、91及び検知部上壁92の装着向き56側の端部を接続している。以上より、残量検知部33は、本体前壁40から装着向き56側に延びている。検知部側壁90、91は側壁に相当し、検知部上壁92は上壁に相当し、検知部前壁93は前壁に相当する。
【0030】
一対の検知部側壁90、91は、本体を構成する一対の本体側壁の各々の端部よりも内側から突出している。つまり、図8に示されるように、一対の検知部側壁90、91の幅方向51における間隔、つまり残量検知部33の幅方向51における長さ65は、インク室36の幅方向51における長さ66よりも短い。
【0031】
図3、図10及び図11に示されるように、残量検知部33の一対の壁の間は中空である。そして、図10及び図11に示されるように、残量検知部33は、脱抜向き55側及び高さ方向52の下側において、インク室36に通じている。つまり、残量検知部33は、脱抜向き55側及び高さ方向52の下側を構成する壁を有していない。換言すると、残量検知部33の脱抜向き55側は第1開口57であり、残量検知部33の高さ方向52の下側は第2開口58である。
【0032】
図3に示されるように、残量検知部33の中空部分にはセンサーアーム60のインジケータ部62が挿入されている。センサーアーム60は、板状のアーム本体61の両端に、インジケータ部62及びフロート部63とがそれぞれ設けられたものである。センサアーム60は、インク室36において、幅方向51に沿って延びる支軸64により回動可能に支持されている。センサーアーム60は、インク室36に存在するインク量に対応して、インジケータ部62が残量検知部33の高さ方向52下側に位置する下位姿勢と、インジケータ部62が残量検知部33の高さ方向52上側に位置する上位姿勢に姿勢変化可能である。なお、図3では、インジケータ部62が下位姿勢であり、インク室36内にインクが所定量存在する状態が示されている。
【0033】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態において、カートリッジ装着部110に設けられた光センサ114に対して、残量検知部33は、赤外光を所定量以上透過させる状態と、残量検知部33が赤外光を所定量未満に遮光又は減衰させる状態とに変化する。インジケータ部62が上位姿勢であれば残量検知部33は赤外光を透過させ、インジケータ部62が下位姿勢であれば、残量検知部33は赤外光を遮光又は減衰させる。この残量検知部33の透光状態に応じて、インク室36内のインク残量が所定量未満になったことが判定される。
【0034】
なお、残量検知部33には、センサーアーム60がなくてもよい。後述されるように、光センサ114は、発光素子118と受光素子119とが水平方向に対向されている。そして、発光素子118から出射された光は受光素子119に受光される。そして、残量検知部33内にインクがある状態では、発光素子118から出射された赤外光が遮断又は減衰され、残量検知部33内にインクがない状態では、発光素子118から出射された赤外光が透過されるように構成されていてもよい。また、残量検知部33内にインクがある状態では、発光素子118から出射された赤外光が受光素子119に到達しないように反射され、残量検知部33内にインクがない状態では、発光素子118から出射された赤外光が受光素子119に到達するように反射されるように構成されていてもよい。
【0035】
図3に示されるように、本体31の本体前壁40における残量検知部33の上側に本体前壁40を奥行き方向53に本体後壁42に向かって貫通する開口34が形成されており、その開口34よりも奥行き方向53における本体後壁42側に、大気連通口32が設けられている。大気連通口32は、インク室36を形成している壁を奥行き方向53の本体後壁42側に向かって貫通する貫通孔である。大気連通口32を介してインク室36の空気層と外部(大気)とが連通され得る。
【0036】
大気連通口32は、大気連通バルブ80によって開閉可能に構成されている。大気連通口32が開かれることによって、負圧に維持された状態のインク室36の気圧が外気圧となる。この大気連通口32は、必ずしも本体前壁40側に設けられる必要はなく、インク室36の内部と外部とを連通させるものであれば配置は限定されない。また、インク室36内が負圧に維持された状態でインクカートリッジ30が使用される場合は、大気連通口32は設けられなくてもよい。
【0037】
図3に示されるように、本体31の本体前壁40における高さ方向52の中央(本体前壁40の上端と下端の中点)より下側に、インク供給部37が設けられている。換言すると、インク供給部37は、高さ方向52の中心を通り、かつ奥行き方向53に沿った中心線54(図3参照)に対して下側へオフセットして配置されている。中心線54は、本体31の後壁42における上端及び下端(一対の縁)の中心を通る仮想直線である。また、インク供給部37は、残量検知部33の下側に設けられている。
【0038】
インク供給部37は、円筒形状の外形をなしており、本体前壁40から挿抜方向50に沿って外側へ突出している。インク供給部37の突出端にはインク供給口71が形成されている。このインク供給口71からインク供給部37の内部空間を通じて、挿抜方向50に延びてインク室36へ通ずるインク流路38が形成されている。インク供給口71は、インク供給バルブ70によって開閉可能に構成されている。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、カートリッジ装着部110に設けられたインクニードル122(図6参照)が、インク供給口71に挿入されてインク供給バルブ70を開く。これにより、インク流路38を通ってインク室36から、カートリッジ装着部110に設けられたインクニードル122へインクが流出される。
【0039】
なお、インク供給口71は、必ずしもインク供給バルブ70によって開閉可能な構成に限定されず、例えば、インク供給口71がフィルムやゴム栓などで閉塞されており、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インクニードル122がフィルムを突き破ることによりインク供給口71が開かれる構成であってもよい。
【0040】
本体31の本体上壁39における奥行き方向53の中央付近には、係合部43が形成されている。係合部43は、インクカートリッジ30の幅方向51及び高さ方向52に拡がる平面を有する突起である。係合部43には、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着された状態で、後述されるロックレバー145が係合する。この係合部43は、インクカートリッジ30を脱抜向き55に押し出させる付勢力を受けるものである。
【0041】
本体31には、第1突起45及び第2突起46が設けられている。第1突起45は、本体31の本体前壁40の上端に、本体前壁40から奥行き方向53に沿ってインク室36から離れる向きに延びるように設けられている。第1突起45の幅は、本体前壁40の幅と同じである。第1突起45は、本体前壁40から装着向き56へ突出されている。第1突起45の先端は、インク供給部37の先端であるインク供給口71より装着向き56の前側まで突出されている。この第1突起45は、本体前壁40の幅と同幅であるが、本体前壁40の幅より狭い幅の板状のものであってもよい。第1突起45における幅方向51の中央には奥行き方向53へ延びる溝47が形成されている。溝47は、第1突起45において高さ方向52の上向きに開口している。溝47の高さ方向52に沿った断面形状はU字型である。また、溝47においてインク室36から離れる向きの先端は開口している。
【0042】
溝47の内部空間において、溝47の底面の幅方向51の中央には、高さ方向52及び奥行き方向53へ延びるリブ48が設けられている。リブ48は、溝47の底面から上向きに起立されている。リブ48における幅方向51の両側面は、溝48において幅方向51に対向する一対の側面とそれぞれ対向し、かつ平行である。リブ48は、幅方向51へ進む光を遮断又は減衰させるものであり、光センサ116によって検知され得る。第1突起45のリブ48が本体前壁40から装着向き56へ突出される寸法は、インクカートリッジ30の種別に応じて変更される。インクカートリッジ30の種別とは、インクの色や成分の違い、インク室36に最初に貯留されるインクの量の違いなどである。なお、本実施形態では、一対の側面を設けず、リブ48のみとしてもよい。
【0043】
第2突起46は、本体31の本体前壁40の下端に設けられている。したがって、第2突起46は、インク供給部37のさらに下方に配置されている。換言すれば、第2突起46は、中心線54(図3参照)に対して下側へオフセットして配置されている。つまり、第2突起46は、高さ方向52の中央(中心線54の高さ)よりも下側、かつ残量検知部33よりも高さ方向52の下側に設けられている。
【0044】
第2突起46の幅は、前壁40の幅と同じである。第2突起46は、前壁40から装着向き56へ突出されている。第2突起46の先端75は、インク供給部37の先端であるインク供給口71より装着向き56の前側まで突出されている。第2突起46が前壁40から装着向き56へ突出される寸法は、インクカートリッジ30の種別に応じて変更される。インクカートリッジ30の種別とは、インクの色や成分の違い、インク室36に最初に貯留されるインクの量の違いなどである。
【0045】
本体31の本体前壁40において、高さ方向52における第1突起45と第2突起46との間であって、残量検知部33の装着向き56の前側に、幅方向51に進む赤外光を減衰又は遮断する被検出子49が設けられている。被検出子49は、幅方向51において残量検知部33とほぼ同じ幅である。この幅は、光センサ114の発光素子118と受光素子119(図4参照)との間に進入可能な寸法である。
【0046】
被検出子49と残量検知部33との間には、挿抜方向50において空間が形成されている。この空間は、幅方向51に進む赤外光が所定量未満には減衰されることなく通過するものである。被検出子49の挿抜方向50に沿った寸法は、インクカートリッジ30の種別に応じて変更される。インクカートリッジ30の種別とは、インクの色や成分の違い、インク室36に最初に貯留されるインクの量の違いなどである。
【0047】
第1突起45、第2突起46及び被検出子49は、いずれもが残量検知部33よりも装着向き56へ突出されている。つまり、インクカートリッジ30において、第1突起45、第2突起46及び被検出子49は装着向き56の前側に配置されており、残量検知部33は装着向き56の後ろ側に配置されている。残量検知部33及びインク供給口71は、高さ方向52においていずれもが第1突起45と第2突起46との間に配置されている。
【0048】
図2に示されるように、本体31の本体上壁39には、奥行き方向53に渡って延びるガイド部35が設けられている。ガイド部35は、本体上壁39から上方へ突出されたリブ又は突片によって構成されている。ガイド部35において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離は、本体31において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離より短い。つまり、ガイド部35の幅方向51の寸法は、本体31の幅方向51の寸法より小さい。
【0049】
本体31の本体下壁41には、奥行き方向53に渡って延びるガイド部44が設けられている。ガイド部44は、本体下壁41から下方へ突出されたリブ又は突片によって構成されている。ガイド部44において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離は、本体31において幅方向51に対向する一対の側面の間の距離より短い。つまり、ガイド部44の幅方向51の寸法は、本体31の幅方向51の寸法より小さい。ガイド部35,44は、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿抜される際に、後述されるガイド溝109に挿入されて移動されるものである。なお、ガイド部35,44は本体31から上方もしくは下方に突出するリブ又は突片としたが、インクカートリッジ30の本体側壁を円弧として本体上壁39の一対の側面の間隔、及び本体下壁41の一対の側面の間隔が高さ方向52の中央部における一対の本体側壁の間隔に比べて小さくしたものでもよい。
【0050】
[インク供給装置100]
図1に示されるように、インク供給装置100は、プリンタ10に設けられている。インク供給装置100は、プリンタ10が備える記録ヘッド21へインクを供給するものである。インク供給装置100は、インクカートリッジ30を装着可能なカートリッジ装着部110を備えている。なお、図1においては、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30が装着された状態が示されている。
【0051】
[カートリッジ装着部110]
図4,5に示されるように、カートリッジ装着部110の筐体を形成するケース101は、プリンタ10の正面側に開口112を有する。開口112を通じてケース101へインクカートリッジ30が挿抜される。インクカートリッジ30は、ケース101の内部空間の天部を画定している天面に設けられたガイド溝109にガイド部35が挿入され、ケース101の内部空間の底部を画定している底面に設けられたガイド溝109にガイド部44が挿入されることによって挿抜方向50へ案内される。つまり、インクカートリッジ30は、ガイド溝109によって、挿抜方向50に沿ってスライド可能に案内される。ガイド溝109は、ガイド部に相当する。ケース101には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ30が収容可能である。
【0052】
ケース101には、内部空間を縦方向に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート102が設けられている。このプレート102によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ30が収容される。プレート102は、ケース101において開口112と反対側となる終面側(奥側)に設けられている。
【0053】
図5に示されるように、ケース101の終面の下部に接続部103が設けられている。接続部103は、終面において、ケース101に装着された各インクカートリッジ30のインク供給部37に対応する位置にそれぞれ配置されている。本実施形態では、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つの接続部103が設けられている。
【0054】
接続部103は、インクニードル122と、保持部121とを有する。インクニードル122は、管状の樹脂針からなる。インクニードル122は、ケース101の終面と表裏をなす外面側でインクチューブ20に接続されている。各インクニードル122から背面側へ引き出された各インクチューブ20は、ケース101の終面と対向する外側面において上方へ引き上げられたのち、プリンタ10の記録ヘッド21へインクを流通可能に延出されている。
【0055】
保持部121は、円筒状に形成されている。保持部121の中心にインクニードル122が配置されている。図6に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着されると、インク供給部37が保持部121の円筒の内側に挿入される。このとき、インク供給部37の外周面が保持部121の円筒の内周面に密着する。これにより、インク供給部37が保持部121へ所定の間隔をもって挿入される。インク供給部37が保持部121へ挿入されると、インクニードル122がインク供給部37のインク供給口71に挿入される。これにより、インク室36に貯留されているインクが外部へ流出可能となる。インク室36から流出されたインクは、インクニードル122へ流入する。
【0056】
図5,6に示されるように、ケース101の終面において、接続部103より高さ方向52の上側にセンサユニット104が設けられている。センサユニット104は、基板113と、光センサ114とを備える。基板113に光センサ114が装着されることで、センサユニット104が構成されている。センサユニット104には、4つの光センサ114が設けられている。これら4つの光センサ114は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応している。4つの光センサ114は、各プレート102の間において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に一列に配列されている。
【0057】
各光センサ114は、LEDなどの発光素子118と、フォトトランジスタなどの受光素子119とをそれぞれ有する。発光素子118及び受光素子119は、それぞれが筐体に囲まれている。光センサ114は、この筐体により形成される外形が馬蹄形である。発光素子118は、筐体から一方向へ光を照射可能である。受光素子は、筐体に対して一方向から照射された光を受光可能である。このような発光素子118と受光素子119とが、馬蹄形の筐体において所定の間隔を空けて対向配置されている。発光素子118と受光素子119との間の空間には、インクカートリッジ30の残量検知部33及び被検出子49が進入可能である。光センサ114の光路に残量検知部33又は被検出子49が進入すると、光センサ114は、残量検知部33又は被検出子49による透光状態の変化を検知し得る。
【0058】
図6に示されるように、ケース101の天面の奥部にはセンサユニット105が設けられている。センサユニット105は、基板115と、光センサ116とを備える。基板115に光センサ116が装着されることで、センサユニット105が構成されている。センサユニット105には、4つの光センサ116が設けられている。これら4つの光センサ116は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応している。4つの光センサ116は、各プレート102の間において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に一列に配列されている。
【0059】
ケース101にインクカートリッジ30が装着されると、光センサ116の光路に第1突起45のリブ48が進入する。このときの光センサ116の信号の変化を検知することで、インクカートリッジ30の装着状態が判定され得る。光センサ116は、光センサ114と同様に、発光素子及び受光素子を有するものなので、ここでは、光センサ116の詳細な構成の説明が省略される。
【0060】
図6に示されるように、スライド部材135は、カートリッジ装着部110の奥部の下端側に形成された空間130に配置されている。本実施形態では、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つのスライド部材135が設けられている。空間130は、カートリッジ装着部110の内部空間と連続している。スライド部材135は、空間130において挿抜方向50に沿って延出された支持ロッド133によって挿抜方向50に沿ってスライド可能に支持されている。スライド部材135は、概ね直方体の外形をなす。スライド部材135の上端には、挿抜方向50に沿って延びるリブ136が設けられている。スライド部材135は、インクカートリッジ30の第2突起46の挿入経路に配置されており、第2突起46の先端75と当接可能である。つまり、スライド部材135は、第2突起46の先端75と装着向き56に対向して設けられている。第2突起46の先端75は当接部に相当するとともに第1接触部の一例である。
【0061】
空間130にはコイルバネ139が設けられている。コイルバネ139は、スライド部材135を開口112側、つまり、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110から抜き出される向きへ、つまり開口112へ向かって、インクカートリッジ30を弾性付勢するものである。コイルバネ139は、空間130において挿抜方向50に沿って延出された支持ロッド133に外嵌されて、空間130の終端を画定している終壁131とスライド部材135との間に介在されている。コイルバネ139が自然長である場合、つまり、スライド部材135に外力が加えられていない状態では、スライド部材135は、開口112側の所定の位置(図8参照)に配置される。インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、インクカートリッジ30の第2突起46がスライド部材135に当接して、スライド部材135が空間130の終壁131側へ押圧される。これにより、コイルバネ139が収縮されるとともに、スライド部材135が終壁131側の位置(図6参照)へスライドされる。収縮したコイルバネ139は、スライド部材135を介してインクカートリッジ30を脱抜向き55へ付勢する。
【0062】
スライド部材135及びコイルバネ139は第2バネに相当する。また、スライド部材135及びコイルバネ139は第2接触部の一例である。
【0063】
図6に示されるように、ケース101の終面において、接続部103より高さ方向52の下側であって、スライド部材135より高さ方向52の上側にセンサユニット107が設けられている。センサユニット104は、基板111と、光センサ117とを備える。基板111に光センサ117が装着されることで、センサユニット107が構成されている。センサユニット107には、4つの光センサ117が設けられている。これら4つの光センサ117は、ケース101に収容可能な4つのインクカートリッジ30に対応している。換言すれば、4つの光センサ117は、4つのスライド部材135に対応している。4つの光センサ117は、空間130の上側において、ケース101の幅方向に(幅方向51と一致する)に一列に配列されている。
【0064】
ケース101にインクカートリッジ30が装着されると、スライド部材135が空間130の終壁131側へスライドされて、リブ136が光センサ117の光路(被検知位置)に進入して、光センサ117に検知され得る。光センサ117は、光センサ114と同様に、発光素子及び受光素子を有するものなので、ここでは、光センサ117の詳細な構成の説明が省略される。
【0065】
ケース101には、ロックレバー145が設けられている。ロックレバー145は、カートリッジ装着部110に装着されたインクカートリッジ30を、コイルバネ139の付勢力に抗して、装着状態に維持するためのものである。ロックレバー145は、ケース101の開口112の上側に設けられている。本実施形態では、ケース101に装着可能な4つのインクカートリッジ30に対応して4つのロックレバー145が設けられている。
【0066】
ロックレバー145は、全体がアーム状に形成されている。ロックレバー145の中央付近に支軸147が設けられている。この支軸147がケース101に支持されている。これにより、ケース101の開口112の上側においてロックレバー145が支軸147を中心に回動可能に支持されている。ロックレバー145は、大別すると、操作部149と、被係合部146とに大別される。操作部149は、ケース101の開口112から外側へ突出されている。操作部149は、ロックレバー145を回動させるための操作を受け付ける部分である。被係合部146は、ケース101の内部へ進入している。被係合部146は、インクカートリッジ30の係合部43と係合可能である。被係合部146が係合部43と係合することにより、コイルバネ139に付勢されているインクカートリッジ30が、ケース101に対して装着状態に維持される。被係合部146が係合部43と係合可能な位置となるロックレバー145の回動位置(図6参照)がロック位置と称され、被係合部146が係合部43と係合しない位置(図8参照)がアンロック位置と称される。ロックレバー145が、ロック部材に相当する。
【0067】
ロックレバー145には、コイルバネ148が取り付けられている。コイルバネ148によって、ロックレバー145は、ロック位置側へ付勢されている。ロック位置のロックレバー145に対して、操作部149が高さ方向52下向きへ押し下げられると、ロックレバー145がロック位置からアンロック位置へ回動される。
【0068】
[インクカートリッジ30の装着動作]
以下、図13が参照されつつ、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に装着される動作が説明される。
【0069】
図には示されていないが、カートリッジ装着部110の開口112は、プリンタ10の筐体に設けられた開閉可能なカバーによって閉じられている。インクカートリッジ30が装着されるときには、このカバーが開かれる。
【0070】
図13に示されるように、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に対して装着向き56へ挿入される。ユーザは、インクカートリッジ30の挿入に際して、本体31の後壁42側を挟み持つ。ユーザが、高さ方向52における本体31のいずれの位置を挟み持つかは必ずしも一定ではない。しかしながら、プリンタ10が机などに設置されており、ユーザは高さ方向52の上側からカートリッジ装着部110の開口112を見ながら、インクカートリッジ30を挿入することが多いと想定される。したがって、ユーザは、本体31の高さ方向52の中心付近から上端までの間を挟み持って、インクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に装着すると想定される。
【0071】
また、インクカートリッジ30の本体31において、ユーザが持つべき位置が印刷されていたり、滑り止めとなる部材や形状が設けられていてもよい。この場合においては、その位置をユーザが挟み持つと想定される。滑り止めとなる部材や形状の一例が、図12において破線で示される。図12においては、ユーザが持つべき位置としての凸部74が、上記形状の一例として示されている。凸部74はユーザ接触部の一例である。本実施形態においてユーザ接触部は、本体31の高さ方向52の中心から上端までの間、つまり中心線54より高さ方向52の上側に設けられている。
【0072】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入されると、まず、ガイド部35の装着向き56の先端に形成された装着向き56前側へ傾斜する案内面が、ロックレバー145の被係合部146に当接する。更にインクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されると、ロックレバー145の被係合部146がガイド部35に乗りあがる。これにより、ロックレバー145が図13における反時計回りに回動して、ロック位置からアンロック位置へ移動する。
【0073】
また、インクカートリッジ30の第2突起46の先端75がスライド部材135に当接する。このとき、スライド部材135は、コイルバネ139に付勢された、空間130における開口112側に位置されている。ユーザは、さらにインクカートリッジ30をカートリッジ装着部110に挿入するために、コイルバネ139の付勢力に抗して、本体31の後壁42側を押し込む。ユーザが、カートリッジ装着部110にインクカートリッジ30を挿入する速度は、このコイルバネ139の付勢力によって緩められる。
【0074】
第2突起46の先端75は、ユーザが挟み持つであろう本体31の後壁42側の高さ方向52の位置に対して、下側へオフセットされているので、第2突起46の先端75に脱抜向き55への付勢力が付与されると、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110内でのガタツキの範囲内で、図13における時計回り(矢印67)へ最大限に回転する。このガタツキは、カートリッジ装着部110のガイド溝109と、インクカートリッジ30のガイド部35,44との間の隙間により決定される。インクカートリッジ30の第2突起46の先端75とスライド部材135とは、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に完全に装着されるまで当接した状態に保たれるので、ユーザが装着向き56へインクカートリッジ30を押し込むことによって、インクカートリッジ30の本体31は、常にガタツキの範囲に対して時計回りに最大限回転した一定の姿勢に維持される。
【0075】
以上より、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、第2突起46の先端75がスライド部材135に当接すると、インクカートリッジ30は、高さ方向52の中央(中心線54)よりも上側の部分よりも下側の部分である第2突起46に偏って、コイルバネ139によって付勢される。換言すると、インクカートリッジ30は、高さ方向52の中央(中心線54)よりも上側の部分よりも下側の部分である第2突起46に偏って、コイルバネ139によってインクカートリッジ30の挿入に対する抵抗を付与される。
【0076】
なお、インクカートリッジ30に抵抗を付与する第2接触部は、スライド部材135及びコイルバネ139に限らない。例えば、第2接触部は、接続部103であってもよい。この場合、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への装着過程において、インク供給部37の外周面が保持部121の円筒の内周面に接触するときに、当該外周面と当該内周面との間に摩擦が生じる。これにより、インクカートリッジ30は接続部103の一部を構成する保持部121によって抵抗を付与される。また、第2接触部は、ガイド溝109であってもよい。この場合、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への装着過程において、インクカートリッジ30のガイド部44がガイド溝109に挿入され、インクカートリッジ30がガイド溝109によってスライド可能に案内されているときに、ガイド部44とガイド溝109との間に摩擦が生じる。これにより、インクカートリッジ30はガイド溝109によって抵抗を付与される。
【0077】
インクカートリッジ30の回転によって、インク室36内に貯留されたインクの流通が当該回転の方向に沿って促進される。ここで、インク室36の一部を構成する本体側空間84と突出空間85の間の第3開口59(図10及び図11参照)は、図8に示されるように、その幅方向51の長さ66が、残量検知部33の幅方向51の長さ65よりも長い。そのため、本体側空間84と突出空間85の間においては、インク室36と残量検知部33の間におけるよりも、インクの流通が促進される。
【0078】
また、突出空間85の下側には、傾斜壁86が設けられている。これにより、突出空間85の下側は、本体側空間84に近接する側が下側となるように傾斜している。そのため、インクは、本体側空間84から突出空間85へ流通しやすい。そして、当該流通によって、元々、突出空間85内にあったインクは、上側に設けられている残量検知部33へ流通される。これにより、残量検知部33に気泡が存在する場合であっても、当該気泡は、インク室36から流通してきたインクに押されることによって、残量検知部33からインク室36へ移動する。
【0079】
また、上述したように、インク室36を区画する各壁面は、その殆どの部分において平面または曲面で構成されており、凹凸は殆ど設けられていない。そのため、図7において破線矢印で示されるように、インクカートリッジ30の回転によるインクの流れが、当該凹凸によって妨げられることない。よって、インクの流通が更に促進されることになる。
【0080】
また、インクカートリッジ30が上記回転によって上記一定の姿勢に維持されている場合、検知部上壁92は、インク室36に近接する側がインク室36から離間する側よりも高さ方向52において高位置となるように傾斜している。また、気泡はインクよりも軽いため高さ方向52の上側へ移動しやすい。以上より、残量検知部33に気泡が存在する場合であっても、当該気泡は、検知部上壁92に沿って、高位置であるインク室36側へ移動する。以上の結果、インクは残量検知部33から排除される。
【0081】
[本実施形態の作用効果]
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される際、インクカートリッジ30が、高さ方向52の中央よりも下側において、挿入に対抗する抵抗を受けると、当該インクカートリッジ30は、本体前壁40における高さ方向52の中央よりも上側が装着向き56側に移動するように回転する。つまり、インクカートリッジ30は、図13における時計回り(矢印67)へ回転する。
【0082】
ここで、傾斜壁86は、本体後壁42側が装着向き56側よりも下側になるように傾斜している。また、インク室36の幅方向51の長さ66は残量検知部33の幅方向51の長さ65よりも長い。これらにより、本体側空間84から突出空間85には、インクが流通し易い。以上より、インクカートリッジ30が回転した場合、突出空間85において、インクの流通が促進される。すると、突出空間85と流通可能な残量検知部33において、インクの流通が促進される。これにより、残量検知部33においてインクの他に気泡が存在していても、インクと共に気泡の移動も促進されるため、気泡が残量検知部33からインク室へ移動し易くなる。
【0083】
また、インクカートリッジ30が上述のように回転した場合、残量検知部33においては、本体31と離れた側が本体31に近接する側よりも低い位置となる。つまり、残量検知部33の検知部上壁92においては、インク室36と離れた側がインク室36と近接する側よりも低い位置となる。これにより、残量検知部33に存在する気泡は、傾いた検知部上壁92に沿って、より上側へ移動可能となる。換言すると、当該気泡は、インク室36と離れた側からインク室36に向かって移動可能となる。
【0084】
以上より、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入過程において、挿入を行うユーザに意識させることなく、インクが貯留されている残量検知部33から、気泡を除外することができる。
【0085】
また、カートリッジ装着部110に対して挿抜されるときにユーザによって触れられるユーザ接触部74が、高さ方向52の中央よりも上側に設けられていてもよい。
【0086】
ユーザ接触部74が本体前壁40における高さ方向52の中央(中心線54)よりも上側に設けられている。そのため、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程において、中央よりも上側にかかる力が下側にかかる力よりも大きくなる。これにより、インクカートリッジ30は上述のように回転し易くなる。
【0087】
また、インク室36に貯留されたインクと空気との界面が、検知部上壁92よりも上側に位置していてもよい。
【0088】
これにより、残量検知部33に存在する気泡は検知部上壁92に当接可能となる。すると、インクカートリッジ30が上述のように回転した場合に、気泡が検知部上壁92に沿って残量検知部33からインク室36に向かって移動することが可能となる。
【0089】
また、インクカートリッジ30のカートリッジ装着部110への挿入過程において、第1接触部は、第2接触部に接触して、本体前壁40における中央よりも下側に偏って上側よりも大きな装着向き56に対抗する抵抗を付与される。そのため、インクカートリッジ30は、上述のように回転し易くなる。
【0090】
また、第1接触部は、インクカートリッジ30の挿入過程において、カートリッジ装着部110に接触する第2突起46の先端75であってもよい。また、第2接触部は、先端75と装着向き56に対向して設けられており、先端75に接触することによって、インクカートリッジ30に対して脱抜向き55の付勢力を生じさせるスライド部材135及びコイルバネ139であってもよい。
【0091】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるとき、インクカートリッジ30の本体前壁40に設けられた第2突起46の先端75が、カートリッジ装着部110に先端75と対向して設けられたスライド部材135に当接して、コイルバネ139によって、脱抜向き55の付勢力、つまり装着向き56に対抗する抵抗を付与される。つまり、第1接触部が先端75であり、第2接触部がスライド部材135及びコイルバネ139である構成は、インク供給装置100に対して好適に適用できる。
【0092】
[変形例1]
図12に示されるように、インクカートリッジ30は、インク室36を、残量検知部33とインクが流通可能である第1貯留部94と、第1貯留部94よりも本体後壁42側に残量検知部33と隔てられて設けられた第2貯留部95とに分ける仕切り壁96を具備していてもよい。また、仕切り壁96は、残量検知部33よりも高さ方向52の上側と下側の各々において、第1貯留部94及び第2貯留部95の間でインクが流通可能に配置されていてもよい。
【0093】
仕切り壁96は、概ね幅方向51及び高さ方向52に沿って拡がる面であるが、必ずしも平面である必要はなく、曲面であってもよい。また、仕切り壁96は、幅方向51の両端において、インク室36の幅方向の端部を構成する内壁と接続されている。また、仕切り壁96の高さ方向52の上端は、インク室36の高さ方向52の上端を構成する内壁72と所定の間隔97を空けた位置である。また、仕切り壁96の高さ方向52の下端は、インク室36の高さ方向52の下端を構成する内壁73と所定の間隔98を空けた位置である。
【0094】
上述したインクカートリッジ30の回転によってインクカートリッジ30が傾くと、第2貯留部95に溜まっているインクが、残量検知部33よりも高さ方向52の下側において、第2貯留部95から第1貯留部94に流通する。すると、第1貯留部94に溜まっているインクが、第2貯留部95から流通してきたインクに押され、残量検知部33よりも高さ方向52の上側において、第1貯留部94から第2貯留部95に流通する。つまり、インク室36内のインクの流通が促進される。すると、第1貯留部94と流通可能な残量検知部33に気泡が存在する場合、当該気泡の移動も促進される。これにより、残量検知部33に存在する気泡が、残量検知部33から排除されやすくなる。
【0095】
[変形例2]
上述の実施形態では、第1接触部の一例が当接部、つまり第2突起46の先端75であり、第2接触部の一例がスライド部材135及びコイルバネ139である場合について説明した。しかし、図14に示されるように、第1接触部は、インクカートリッジ30の挿入過程において、第2接触部と接触することによって、脱抜向き55へ付勢力を生じさせるコイルバネ140及びスライド部材142であってもよい。コイルバネ140及びスライド部材142は第1バネに相当する。また、第2接触部は、スライド部材142と装着向き56に対向して設けられており、コイルバネ140及びスライド部材142を伸縮自在に支持可能な終面141であってもよい。終面141は支持部材に相当する。
【0096】
変形例2では、インクカートリッジ30の本体31の本端前壁40の下端には、第2突起46の代わりに、コイルバネ140及びスライド部材142が備えられている。変形例2において、コイルバネ140は、本端前壁40の下端に設けられたバネ収容室143に収容されている。また、カートリッジ装着部110の終面部の下端側には、スライド部材135及びコイルバネ139が設けられていない。その代わりに、カートリッジ装着部110の終面部の下端側は、スライド部材142と当接可能な平面、つまり終面141で構成されている。
【0097】
インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110に挿入される過程で、インクカートリッジ30に設けられたスライド部材142が、カートリッジ装着部110に設けられた奥面141に当接すると、バネ収容室143に設けられたコイルバネ140が、終面141によって収縮される。詳細には、コイルバネ140は、終面141によって脱抜向き55側に押されたスライド部材142に押されて収縮される。これにより、インクカートリッジ30は脱抜向き55側へ付勢される。
【0098】
変形例2によれば、インクカートリッジ30がカートリッジ装着部110へ挿入されるとき、インクカートリッジ30の本体前壁40に設けられたコイルバネ140は、カートリッジ装着部110にスライド部材142と対向して設けられた奥面141に押されることによって、脱抜向き55の付勢力、つまり装着向き56に対抗する抵抗を生じさせる。つまり、変形例2は、インク供給装置100に対して好適に適用できる。
【符号の説明】
【0099】
10・・・プリンタ
30・・・インクカートリッジ
31・・・本体
33・・・残量検知部(突出部)
36・・・インク室
37・・・インク供給部
40・・・本体前壁(前面)
42・・・本体後壁(後面)
74・・・ユーザ接触部
75・・・先端(第1接触部、当接部)
86・・・傾斜壁(傾斜面)
90,91・・・検知部側壁(側壁)
92・・・検知部上壁(上壁)
93・・・検知部前壁(前壁)
94・・・第1貯留部
95・・・第2貯留部
96・・・仕切り壁
100・・・インク供給装置
109・・・ガイド部(ガイド溝)
135・・・スライド部材(第2接触部、第2バネ)
139・・・コイルバネ(第2接触部、第2バネ)
140・・・コイルバネ(第1バネ)
141・・・終面(支持部材)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジ装着部(110)に装着可能なインクカートリッジ(30)であって、
装着向き(56)の前側となる前面(40)、及び当該前面(40)と対向する後面(42)を有し、内部に設けられたインク室(36)にインクを貯留可能な本体(31)と、
上記前面(40)において上下方向の中央(54)よりも下側に設けられており、上記インク室(36)から上記本体(31)の外部にインクを流出可能なインク供給部(37)と、
上記前面(40)において上記インク供給部(37)よりも上側に設けられており、上記前面(40)から上記装着向き(56)側に延びる突出部(33)と、を具備し、
上記突出部(33)は、上記前面(40)から上記装着向き(56)に沿って延出されており互いに対向する一対の側壁(90,91)と、上記前面(40)と平行な壁であって突出端側において上記一対の側壁(90,91)を接続する前壁(93)と、上記前面(40)から装着向き(56)に沿って延出されており上記一対の側壁(90,91)及び上記前壁(93)を接続する上壁(92)とを具備し、かつ上記終面(42)側及び下側において上記インク室(36)とインクが流通可能に開放されており、
上記本体(31)は、上記突出部(33)の下端から下側に間隔を空けて配置された傾斜面(86)を具備し、
上記傾斜面(86)は、上記装着向き(56)側が上記後面(42)側よりも上側になるように傾斜しているインクカートリッジ(30)。
【請求項2】
上記カートリッジ装着部(110)に対して挿抜されるときにユーザによって触れられるユーザ接触部(74)が、上記中央(54)よりも上側に設けられている請求項1に記載のインクカートリッジ(30)。
【請求項3】
上記インク室(36)に貯留されたインクと空気との界面が、上記上壁(92)よりも上側に位置する請求項1または2に記載のインクカートリッジ(30)。
【請求項4】
上記インク室(36)を、上記突出部(33)とインクが流通可能である第1貯留部(94)と、上記第1貯留部(94)よりも上記終面(42)側に上記突出部(33)と隔てられて設けられた第2貯留部(95)とに分ける仕切り壁(96)を具備し、
上記仕切り壁(96)は、上記突出部(33)よりも上下方向の上側と下側の各々において、上記第1貯留部(94)及び上記第2貯留部(95)の間でインクが流通可能に配置されている請求項1から3のいずれかに記載のインクカートリッジ(30)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のインクカートリッジ(30)の前面(40)における上下方向の中央(54)よりも下側、かつ上記突出部(33)よりも下側に配置された第1接触部(75)を具備しており、該インクカートリッジ(30)はカートリッジ装着部(110)に装着可能とされるインク供給装置(100)であって、
上記カートリッジ装着部(110)は、
上記インクカートリッジ(30)を上記装着向き(56)に沿ってスライド可能に案内するガイド部(109)と、
上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において上記第1接触部(75)と接触することによって、上記中央(54)よりも下側に偏って上側よりも大きく、上記インクカートリッジ(30)の挿入に対抗する抵抗を上記第1接触部(75)に付与する第2接触部(135,139)と、を具備するインク供給装置(100)。
【請求項6】
上記第1接触部は、上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において、上記第2接触部と接触することによって、上記装着向き(56)と反対向きへ付勢力を生じさせる第1バネであり、
上記第2接触部は、上記第1バネと上記装着向きに対向して設けられており、上記第1バネを伸縮自在に支持可能な支持部材である請求項5に記載のインク供給装置(100)。
【請求項7】
上記第1接触部(75)は、上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において、上記カートリッジ装着部(110)に接触する当接部(75)であり、
上記第2接触部(135,139)は、上記当接部(75)と装着向きに対向して設けられており、上記当接部(75)に接触することによって、上記インクカートリッジ(30)に対して装着向き(56)と反対向きの付勢力を生じさせる第2バネ(135,139)である請求項5に記載のインク供給装置(100)。
【請求項1】
カートリッジ装着部(110)に装着可能なインクカートリッジ(30)であって、
装着向き(56)の前側となる前面(40)、及び当該前面(40)と対向する後面(42)を有し、内部に設けられたインク室(36)にインクを貯留可能な本体(31)と、
上記前面(40)において上下方向の中央(54)よりも下側に設けられており、上記インク室(36)から上記本体(31)の外部にインクを流出可能なインク供給部(37)と、
上記前面(40)において上記インク供給部(37)よりも上側に設けられており、上記前面(40)から上記装着向き(56)側に延びる突出部(33)と、を具備し、
上記突出部(33)は、上記前面(40)から上記装着向き(56)に沿って延出されており互いに対向する一対の側壁(90,91)と、上記前面(40)と平行な壁であって突出端側において上記一対の側壁(90,91)を接続する前壁(93)と、上記前面(40)から装着向き(56)に沿って延出されており上記一対の側壁(90,91)及び上記前壁(93)を接続する上壁(92)とを具備し、かつ上記終面(42)側及び下側において上記インク室(36)とインクが流通可能に開放されており、
上記本体(31)は、上記突出部(33)の下端から下側に間隔を空けて配置された傾斜面(86)を具備し、
上記傾斜面(86)は、上記装着向き(56)側が上記後面(42)側よりも上側になるように傾斜しているインクカートリッジ(30)。
【請求項2】
上記カートリッジ装着部(110)に対して挿抜されるときにユーザによって触れられるユーザ接触部(74)が、上記中央(54)よりも上側に設けられている請求項1に記載のインクカートリッジ(30)。
【請求項3】
上記インク室(36)に貯留されたインクと空気との界面が、上記上壁(92)よりも上側に位置する請求項1または2に記載のインクカートリッジ(30)。
【請求項4】
上記インク室(36)を、上記突出部(33)とインクが流通可能である第1貯留部(94)と、上記第1貯留部(94)よりも上記終面(42)側に上記突出部(33)と隔てられて設けられた第2貯留部(95)とに分ける仕切り壁(96)を具備し、
上記仕切り壁(96)は、上記突出部(33)よりも上下方向の上側と下側の各々において、上記第1貯留部(94)及び上記第2貯留部(95)の間でインクが流通可能に配置されている請求項1から3のいずれかに記載のインクカートリッジ(30)。
【請求項5】
請求項1から4のいずれかに記載のインクカートリッジ(30)の前面(40)における上下方向の中央(54)よりも下側、かつ上記突出部(33)よりも下側に配置された第1接触部(75)を具備しており、該インクカートリッジ(30)はカートリッジ装着部(110)に装着可能とされるインク供給装置(100)であって、
上記カートリッジ装着部(110)は、
上記インクカートリッジ(30)を上記装着向き(56)に沿ってスライド可能に案内するガイド部(109)と、
上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において上記第1接触部(75)と接触することによって、上記中央(54)よりも下側に偏って上側よりも大きく、上記インクカートリッジ(30)の挿入に対抗する抵抗を上記第1接触部(75)に付与する第2接触部(135,139)と、を具備するインク供給装置(100)。
【請求項6】
上記第1接触部は、上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において、上記第2接触部と接触することによって、上記装着向き(56)と反対向きへ付勢力を生じさせる第1バネであり、
上記第2接触部は、上記第1バネと上記装着向きに対向して設けられており、上記第1バネを伸縮自在に支持可能な支持部材である請求項5に記載のインク供給装置(100)。
【請求項7】
上記第1接触部(75)は、上記インクカートリッジ(30)の挿入過程において、上記カートリッジ装着部(110)に接触する当接部(75)であり、
上記第2接触部(135,139)は、上記当接部(75)と装着向きに対向して設けられており、上記当接部(75)に接触することによって、上記インクカートリッジ(30)に対して装着向き(56)と反対向きの付勢力を生じさせる第2バネ(135,139)である請求項5に記載のインク供給装置(100)。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−857(P2012−857A)
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−137809(P2010−137809)
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月5日(2012.1.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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