説明

インクカートリッジ

【課題】カートリッジ装着部に装着された際に位置決めを必要とする部材の位置決め精度を向上させることができ、且つ、上記部材の破損を防止することが可能なインクカートリッジを提供する。
【解決手段】インクカートリッジ100は、本体40とスライダ41とを備える。本体40には、所定位置に位置決めすべき位置決め部材(検知部140やインク供給口91など)が設けられている。スライダ41は、前面34に対して接離可能なように本体40に支持されている。前面34とスライダ41との間にコイルバネ48,49が介在している。スライダ41には開口177が形成されている。インクカートリッジ100がベースユニット200に挿入されると、まず、押圧部216が開口177に挿通される。これにより、スライダ41が押圧部216を基準にして位置決めされる。この位置決めによって、本体40が備える各位置決め部材も位置決めされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジ装着部に挿入可能なインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方式の画像記録装置は、インクカートリッジが装着されるカートリッジ装着部を備える(特許文献1参照)。このカートリッジ装着部は、インクカートリッジを着脱可能に収容する。カートリッジ装着部にインクカートリッジが装着されると、インクカートリッジからカートリッジ装着部を経て記録ヘッドに至るインク通路が形成される。このインク通路を通じてインクカートリッジから記録ヘッドにインクが供給されると、インクは記録ヘッドによって選択的にノズルから吐出される。この吐出されたインクが用紙に着弾することによって用紙に画像が記録される。
【0003】
上記インクカートリッジには、内部のインク量を検知するための被検知部が設けられている。被検知部は、上記カートリッジ装着部に設けられた光センサなどの検知手段に対応する位置に設けられている。検知手段によって被検知部が正確に検知されるために、検知手段に対して被検知部を位置決めする必要がある。
【0004】
一方、上記カートリッジ装着部には、上記インクカートリッジに設けられたインク供給口と接続可能な連結部が設けられている。インクカートリッジがカートリッジ装着部に装着されると、インク供給口と上記連結部とが接続される。これにより、インクカートリッジからインク供給口及び連結部を経て記録ヘッドへインクが供給される。インク供給口と連結部とを正確に接続するため、連結部に対してインク供給口を位置決めする必要がある。
【0005】
従来は、カートリッジ装着部にインクカートリッジを案内するためのガイド面が装着方向に延設されており、このガイド面によってインクカートリッジがカートリッジ装着部に対して位置決めされている。その結果、検知手段に対して被検知部が位置決めされ、連結部に対してインク供給口が位置決めがされる。
【0006】
【特許文献1】特開2005−254734号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上述した従来の位置決め手法では、上記被検知部や上記インク供給口などの位置決めを要する位置決め部材が必ずしも正確に位置決めされるとは限らない。例えば、上記カートリッジ装着部や上記インクカートリッジの筐体の外形寸法にバラツキがあると、カートリッジ装着部に対してインクカートリッジの筐体が位置決めされても、上記位置決め部材が所定位置に位置決めされない場合が生じ得る。例えば、検知手段と被検知部との位置が合致しなかったり、連結部とインク供給口との位置が合致しない場合が生じ得る。インクカートリッジが複数の部材で組み立てられたものである場合は、その筐体の外形寸法のバラツキが大きくなるため、上記位置決め部材の不一致が多々生じ得る。上記位置決め部材が位置決めされていない状態でインクカートリッジがカートリッジ装着部に挿入されると、検知手段や被検知部が破損したり、インク供給口や連結部が破損するおそれがある。
【0008】
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、カートリッジ装着部に装着された際に位置決めを必要とする部材の位置決め精度を向上させることができ、且つ、上記部材の破損を防止することが可能なインクカートリッジを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1) 本発明は、少なくとも第1壁を有し、内部にインクが収容される本体と、上記本体に取り付けられ、上記第1壁に対向する第2壁を有し、上記第1壁から離間した第1位置と上記第1壁に近接した第2位置との間で移動可能なスライド部材とを具備するインクカートリッジとして構成されている。上記本体は、内部に収容されたインクの量に基づいて上下動可能な移動部材と、少なくとも上記移動部材の一部が収容される収容部とを備える。上記スライド部材は、上記第2壁に設けられ上記スライド部材を所定方向へ案内するガイド部を備える。
【0010】
このように構成されているため、インクカートリッジがカートリッジ装着部に挿入されると、まず、スライド部材がガイド部によってインクカートリッジの挿入方向に案内される。その後、位置決めを要する上記収容部が所定位置に正確に位置決めされる。
【0011】
(2) 上記スライド部材は、当該インクカートリッジの装着状態を検知するための被検知部を更に備える。上記ガイド部は、上記収容部と上記被検知部との間に配置されている。
【0012】
これにより、被検知部が、カートリッジ装着部に設けられた光学センサなどの検知手段に正確に位置決めされる。また、収容部と被検知部との間にガイド部が配置されているため、収容部と被検知部とを均等に位置決めすることができる。
【0013】
(3) 本発明は、少なくとも第1壁を有し、内部にインクが収容される本体と、上記本体に取り付けられ、上記第1壁に対向する第2壁を有し、上記第1壁から離間した第1位置と上記第1壁に近接した第2位置との間で移動可能なスライド部材とを具備するインクカートリッジである。上記本体は、上記第1壁に設けられ内部から外部へインクを供給可能なインク供給口を備える。上記スライド部材は、上記第2壁に設けられ上記スライド部材を所定方向へ案内するガイド部を備える。
【0014】
これにより、インク供給口が、カートリッジ装着部に設けられたインク導入管に正確に位置決めされる。その結果、インク導入管を精度よく確実にインク供給口に接続することができる。
【0015】
(4) 上記本体は、内部に収容されたインクの量に基づいて上下動可能な移動部材と、少なくとも上記移動部材の一部が収容される収容部とを更に備える。上記収容部は、上記インク供給口と上記ガイド部との間に配置されている。
【0016】
(5) 上記ガイド部は、所定のカートリッジ装着部に設けられた凸部を挿通可能とするとともに該凸部の外壁面と当接可能に構成されている。
【0017】
(6) 上記ガイド部は、上記第2壁に形成された開口を有する。この開口は、上記凸部を挿通するとともに上記凸部の外壁面と当接可能に構成されている。
【0018】
(7) 上記本体と上記スライド部材との間に設けられ、上記第1壁から離間する方向へ上記スライド部材を付勢する弾性部材を更に備える。
【0019】
(8) 上記本体は、上記第1壁に設けられ内部に収容された空間と外部とを連通するための連通口と、上記連通口を閉塞する第1姿勢と上記連通口を開放する第2姿勢との間で変化可能な弁体とを更に備える。上記弁体は、上記ガイド部に挿通された上記凸部に押圧されることによって上記第1姿勢から上記第2姿勢に変化する。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、位置決めを必要とする部材の位置決め精度を向上させることができ、且つ、上記部材の破損を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、以下の実施形態は本発明を具体化した一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0022】
[インクカートリッジ100の概要]
以下、図1から図5を参照して、本発明の一実施形態に係るインクカートリッジ100について説明する。ここに、図1は、インクカートリッジ100の外観構成を示す斜視図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。図2は、インクカートリッジ100の側面図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。図3は、本体40の構成を示す斜視図であり、(A)には、本体40の前面34側から見た斜視図が示されており、(B)には、本体40の後面35側から見た斜視図が示されている。図4は、図1(A)における切断線IV−IVの断面図である。図5は、インクカートリッジ100の要部拡大図であり、図4において二点鎖線で囲まれたV部が詳細に示されている。
【0023】
インクカートリッジ100は、所謂インクジェット記録方式のプリンタや複写機、ファクシミリ装置などの画像記録装置に用いられるものであり、内部に所定色のインクが収容されている。このインクカートリッジ100は、上記画像記録装置内に設けられた後述するベースユニット200(本発明のカートリッジ装着部の一例)に装着されて用いられる。
【0024】
図1及び図2に示されるように、インクカートリッジ100は、扁平形状の略六面体として構成されている。詳細には、インクカートリッジ100は、幅方向(矢印31の方向)に細く、高さ方向(矢印32の方向)及び奥行き方向(矢印33の方向)が上記幅方向よりも長い略直方体形状に形成されている。このインクカートリッジ100は、図1及び図2に示された起立状態、つまり、図中の下側の面を底面とし、図中の上側の面を天面としてベースユニット200(図6参照)に対して矢印30で示される方向(以下「挿入方向30」と称する。)に挿入される。
【0025】
インクカートリッジ100は、大別して、インクが収容される本体40(図3参照、本発明の本体の一例)と、スライダ41(本発明のスライド部材の一例)と、本体カバー42と、コイルバネ48,49(図4参照、本発明の弾性部材の一例)とを備えている。インクカートリッジ100の外装はスライダ41及び本体カバー42によって概ね構成されている。本体40は、スライダ41及び本体カバー42で覆い隠されている。なお、本実施形態では、本体40、スライダ41及び本体カバー42は樹脂材料により構成されている。樹脂材料としては、例えば、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレンなどが該当する。
【0026】
本体カバー42は、本体40(図3参照)の概ね全体を覆う。詳細には、この本体カバー42によって、本体40の上面36(図3参照)の一部と本体40の前面34(図3参照)とを除く大部分が覆われる。これにより、本体40の大部分、特に本体40の側面38,39(図3参照)が外部からの衝撃などから保護される。なお、本体カバー42の構成については後述する。
【0027】
スライダ41は、本体カバー42が本体40(図3参照)に装着された状態で本体カバー42の挿入方向30の前方側の前方部46と、本体40の前面34(図3参照)とを覆う。これにより、主に前面34がスライダ41によって保護される。スライダ41は、インクカートリッジ100の奥行き方向(矢印33の方向)へスライドするように構成されている。図1(A)及び図2(A)には、スライダ41が本体40の挿入方向30の前面34(図3参照)から最も離された第1位置にある状態が示されており、図1(B)及び図2(B)には、スライダ41が本体40の前面34に最も近づけられた第2位置にある状態が示されている。図1及び図2に示されるように、上記スライダ41が上記第1位置から上記第2位置にスライドすると、後述のインク供給バルブ90のキャップ95(図3参照)が外部へ露出される。また、スライダ41が上記第2位置から上記第1位置にスライドすると、キャップ95がスライダ41内に没入される。なお、スライダ41の構成及びスライダ41をスライドさせる機構については後述する。
【0028】
[本体40]
以下、インクカートリッジ100の本体40について説明する。図3に示されるように、本体40は、インクカートリッジ100と概ね同形状の外形を呈しており、扁平形状の略六面体として構成されている。本実施形態では、図3に示されるように、本体40において、挿入方向30の前方側の面を前面34、挿入方向30の後方側の面を後面35、鉛直上方側の面を上面36、鉛直下方側の面を下面37とする。また、前面34、後面35、上面36、下面37それぞれに隣接し、互いに対向する2つの面を側面38,39とする。後面35から見て左側が左側面38であり、右側が右側面39である。これら一対の側面38,39が本体40において最大面積となっている。
【0029】
本体40は、大別して、フレーム50と、アーム70と、大気連通バルブ80と、インク供給バルブ90と、フレーム50に溶着された薄肉状の透明なフィルム(不図示)とにより構成されている。なお、図3では、上記フィルムの図示が省略されている。
【0030】
フレーム50は、本体40の筐体を構成する部材である。フレーム50は、本体40の六面34〜39を形成する。したがって、本体40の六面34〜39は、フレーム50の六面に一致する。以下において、本体40の各面に付された符号を用いてフレーム50の各面を示す。
【0031】
フレーム50は、透光性のある部材、例えば、透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。このフレーム50は、樹脂材料を射出成形することにより得られる。樹脂材料としては、ポリアセタールやナイロン、ポリエチレン、ポリプロピレンなどが該当する。
【0032】
図3に示されるように、フレーム50は、外周壁51と、複数の内壁52とを備える。内壁52は、外周壁51の内側に配設されている。外周壁51及び内壁52は、フレーム50として一体に形成されている。外周壁51及び内壁52は、本体40の左側面38から右側面39に渡って設けられている。外周壁51は、内部に空間を形成するように、前面34、上面36、後面35、下面37に概ね沿って環状に配設されている。これにより、フレーム50の左側面38に開口57が形成され、右側面39に開口58が形成される。
【0033】
上記フィルムは、フレーム50の両側面38,39(図3の左右の2面)側の縁部、つまり、外周壁51の側面38,39側の外縁部分に、周知の熱溶着法によって溶着される。上記フィルムによって開口57,58が閉塞される。これにより、外周壁51と上記フィルムとによって囲まれた空間がインク室102として区画される。このように区画されたインク室102にインクが収容される。なお、本実施形態では、フレーム50と上記フィルムとによってインク室102が形成されることとしたが、例えば、フレーム50自体を直方体の容器状に形成することによってその内部にインク室102が形成されてもよい。
【0034】
内壁52は、外周壁51で囲まれた領域内に配設されている。この内壁52における側面38,39側の外縁部分にも上記フィルムが溶着される。これにより、上記フィルムの弛みを抑制することができる。また、スライダ41及び本体カバー42が本体40側に変形したとしても、内壁52によってスライダ41及び本体カバー42の変形が規制される。
【0035】
図3に示されるように、フレーム50の後面35にインク注入部148が設けられている。インク注入部148は、後面35からインク室102側へ穿設された略円筒状の孔である。インク注入部148は、その奥部でインク室102に連通している。このインク注入部148は、インクをインク室102に注入するためのものであり、インク注入部148を通じてインク室102へインクが流入する。インク注入部148は、後面35の下端付近においてフレーム50と一体に形成されている。インクがインク室102に注入されると、インク注入部148は、ゴム栓などによって密封される。
【0036】
フレーム50の前面34には、検知部140(本発明の収容部の一例)が形成されている。検知部140は、インク室102に収容されているインクの量を視覚的或いは光学的に検知するためのものである。検知部140は、フレーム50に一体に形成されている。したがって、検知部140は、フレーム50と同じ材質、つまり、透光性のある透明又は半透明の樹脂材料で構成されている。そのため、検知部140は、外部からの光を透過することができる。
【0037】
検知部140は、略直方体形状を呈している。検知部140は、本体40の前面34の中段付近から本体40の外部へ向けて突設されてる。この検知部140は、略矩形状の5つの隔壁からなり、内部が中空に形成されている。検知部140の内部には、上記隔壁によって囲まれた空間142が形成されている。検知部140のインク室102側には壁は設けられておらず、空間142がインク室102に連続している。この空間142内にアーム70のインジケータ部72が挿入されている。
【0038】
検知部140は、ベースユニット200にインクカートリッジ100が装着された際に、ベースユニット200に取り付けられたフォトインタラプタなどの光センサ181(図6参照)の光路183(図8参照)に挿入される。詳細には、検知部140は、その側壁に設定された照射領域144と光路183とが交差するように挿入される。本実施形態では、インクカートリッジ100がベースユニット200に装着される過程において、検知部140が光センサ181の光路183に挿入可能な位置に位置決めされる。なお、かかる位置決めについては後述する。
【0039】
アーム70は、本体40の内部、つまりインク室102に設けられている。このアーム70は、インク室102に収容されたインクの量を検出するための部材である。アーム70の略中心に軸77が設けられている。この軸77は、外周壁51の幅方向(矢印31の方向)の中心に立設されたリブ74に回動可能に支持されている。これにより、アーム70がインク室102内において揺動可能となる。
【0040】
アーム70は、遮光性のある樹脂材料で構成されている。アーム70は、例えば、樹脂材料を射出成形することにより得られる。樹脂材料としては、ナイロン、ポリエチレンやポリプロピレン(PP)、ポリカーボネート、ポリオレフィン、カーボンブラックが添加されたアクリル樹脂などが該当する。アーム70は、少なくとも後述するインジケータ部72が遮光性を有していればよい。つまり、必ずしもアーム70の全体が遮光性を有している必要はない。
【0041】
アーム70の一方の端部に、内部が中空状に形成されたフロート部73が設けられている。フロート部73は浮力体の役割を担っており、インク室102内のインク量に応じて上下に変位する。これにより、フロート部73の変位量に応じてアーム70が揺動する。なお、フロート部73は、アーム70を揺動させる浮力を発生させ得るものであればよく、内部が中空状のものに限定されない。
【0042】
アーム70の他方の端部に、インジケータ部72が設けられている。このインジケータ部72は、検知部140の空間142内に挿入されている。換言すれば、インジケータ部72は、空間142内に収容されている。インジケータ部72は、アーム70の揺動動作に応じて空間142内で上下に移動する。
【0043】
インク室102内に十分な量のインクが収容されている場合は、アーム70のフロート部73が上昇する。フロート部73の上昇に伴ってインジケータ部72が空間142の下部に移動する。インジケータ部72が検知部140の底壁145に到達すると、インジケータ部72は、底壁145に当接した第1姿勢(図4で実線により表された姿勢)を維持する。このとき、インジケータ部72は、検知部140の側壁の下部(照射領域144)を透過しようとする光を遮蔽する。
【0044】
一方、インクが所定量未満になるとフロート部73が下降する。フロート部73の下降に伴ってインジケータ部72が空間142の上部に移動する。つまり、インジケータ部72は、検知部140の下部から退避する方向へ移動する。インジケータ部72が検知部140の上壁147に当接すると、インジケータ部72は、上壁147に当接した第2姿勢(図4で破線によって表された姿勢)を維持する。このとき、インジケータ部72は、検知部140の下部を透過しようとする光の光路から完全に退避する。この状態で検知部140の照射領域144に光が照射されても、当該光がインジケータ部72によって遮蔽されない。
【0045】
図5に示されるように、フレーム50の前面34の上部、言い換えれば、検知部140の上方に、円形の開口82が設けられている。開口82に連続してフレーム50の内部側に円筒状のバルブ収容室55が形成されている。バルブ収容室55は、本体40の奥行き方向(矢印33の方向)へ延設されている。バルブ収容室55は、その奥部においてインク室102に連通している。バルブ収容室55に、大気連通バルブ80が収容されている。
【0046】
大気連通バルブ80は、開口82からインク室102に至る空気経路を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。この大気連通バルブ80は、主として、バルブ本体87(本発明の弁体の一例)、バネ86、シール部材83、キャップ85などの部材で構成されている。
【0047】
開口82の外縁部分にシール部材83を介してキャップ85が取り付けられている。キャップ85及びシール部材83それぞれの中央には貫通孔(不図示)が設けられている。キャップ85及びシール部材83が開口82の外縁部分に取り付けられると、上記貫通孔によって、バルブ収容室55と本体40の外部とを連通する大気連通口81(本発明の連通口の一例)が形成される。この大気連通口81は、インクカートリッジ100がベースユニット200に装着されたときに、筒状の押圧部216(図8参照、本発明の凸部の一例)が挿入される部分である。
【0048】
バルブ本体87は、バルブ収容室55において、本体40の奥行き方向へスライド可能に設けられている。バルブ本体87は、蓋体88と、ロッド84とを有する。ロッド84は、蓋体88の中央から外部側(図5の右方向)へ突出している。バルブ本体87の蓋体88は、バネ86によって、シール部材83側へ付勢されている。言い換えれば、バネ86は、大気連通口81を閉塞する方向へバルブ本体87を付勢している。ロッド84は、図5に示されるように、蓋体88がシール部材83に当接した状態で、大気連通口81を通じて外部へ露出される。
【0049】
ロッド84に外力が加えられていない場合は、バネ86の付勢力を受けたバルブ本体87の蓋体88は、シール部材83に当接した姿勢(本発明の第1姿勢に相当)を維持する。これにより、大気連通口81が閉塞される。一方、バネ86の付勢力より大きな外力がロッド84に加えられてロッド84が大気連通口81内に押し込まれると、蓋体88がシール部材83から離れた姿勢(本発明の第2姿勢に相当)に変化する。これにより、大気連通口81が開放される。このとき、インク室102と本体40の外部とが連通して、インク室102内の空気層が大気圧と同圧になる。
【0050】
また、図5に示されるように、フレーム50の前面34の下部、言い換えれば、検知部140の下方に、円形の開口92が設けられている。開口92に連続してフレーム50の内部側に円筒状のバルブ収容室54が形成されている。バルブ収容室54は、本体40の奥行き方向(矢印33の方向)へ延設されている。バルブ収容室54は、その奥部においてインク室102に連通している。バルブ収容室54に、インク供給バルブ90が収容されている。
【0051】
インク供給バルブ90は、開口92からインク室102に至るインク経路を開放又は閉塞する弁機構として構成されている。このインク供給バルブ90は、主として、バルブ本体97、バネ96、シール部材93、キャップ95などの部材で構成されている。
【0052】
開口92の外縁部分にシール部材93を介してキャップ95が取り付けられている。キャップ95及びシール部材93それぞれの中央には貫通孔(不図示)が設けられている。キャップ95及びシール部材93が開口92の外縁部分に取り付けられると、上記貫通孔によって、バルブ収容室54と本体40の外部とを連通するインク供給口91が形成される。このインク供給口91は、インクカートリッジ100がベースユニット200(図6参照)に装着されたときに、管状のインクニードル209(図6参照)が挿入される部分である。本実施形態では、インクカートリッジ100がベースユニット200に装着される過程において、インク供給口91がインクニードル209を挿入可能な位置に位置決めされる。かかる位置決めについては後述する。
【0053】
バルブ本体97は、バルブ収容室54において、本体40の奥行き方向へスライド可能に設けられている。バルブ本体97は、バネ96によって、シール部材93側へ付勢されている。言い換えれば、バネ96は、上記インク供給口91を閉塞する方向へバルブ本体97を付勢している。図5に示されるように、バルブ本体97がシール部材93に当接した状態で、インク供給口91が閉塞される。
【0054】
バルブ本体97に外力が加えられていない場合、つまり、インク供給口91にインクニードル209(図6参照)が挿入されていない場合は、バネ96の付勢力を受けたバルブ本体97は、シール部材93に当接した状態を維持する。これにより、インク供給口91が閉塞される。一方、インク供給口91にインクニードル209が挿入されて、バネ96の付勢力より大きな外力がバルブ本体97に加えられると、バルブ本体97がシール部材93から離れる。これにより、インク供給口91が開放される。このとき、インク室102内のインクをインクニードル209を通じてベースユニット200側へ導出することが可能となる。
【0055】
図4に示されるように、バルブ収容室55の上側にバネ収容室110が形成されている。また、バルブ収容室54の下側にバネ収容室111が形成されている。バネ収容室110,111は、フレーム50の前面34からインク室102側へ穿設された略円筒状の孔である。バネ収容室110,111には、スライダ41を挿入方向30へ弾性的に付勢するためのコイルバネ48,49(図4参照)が収容される。なお、バネ収容室110,111の位置や孔の外径寸法又は深さ寸法などは、収容されるバネの仕様に応じて適宜決定される要素である。しかし、本体40の高さ方向(矢印32の方向)に長尺のスライダ41を安定且つ均等に付勢するためには、本実施形態の如く、本体40の高さ方向に隔てられた位置にバネ収容室110及びバネ収容室111それぞれを配設することが望ましい。
【0056】
フレーム50の上面36における挿入方向30の前端に、支持部材115が設けられている。また、フレーム50の下面37における挿入方向30の前端に、支持部材116が設けられている。支持部材115,116は、フレーム50に一体に形成されている。これら支持部材115,116は、スライダ41に形成された突起片192,193と係合することによって、本体40に対してスライダ41をスライド可能に支持するとともに、スライダ41のスライド範囲を規制する。
【0057】
支持部材115は、図6に示されるように、上面36から垂直上方へ突出された基台118と、基台118の前面34側の端部から上面36に平行に挿入方向30へ突出された鉤状部119とにより構成されている。鉤状部119の突出端は上向き鉤状に形成されている。一方、支持部材116は、フレーム50に一体に形成されており、下面37から垂直下方へ突出された基台121と、基台121の前面34側の端部から下面37に平行に挿入方向30へ突出された鉤状部122とにより構成されている。鉤状部122の突出端は下向き鉤状に形成されている。
【0058】
図3及び図4に示されるように、フレーム50の上面36に、台状に形成された台状部124が設けられている。この台状部124は、上面36における奥行き方向(矢印33の方向)の中間部分から挿入方向30の後方へ延出されている。この台状部124は、本体40が本体カバー42で覆われた状態で、本体カバー42の上面に設けられた開口128(図1参照)から外部に露出される。なお、台状部124の後端は後面35に達していない。
【0059】
台状部124には、該台状部124から上方へ突出するストッパ125が設けられている。ストッパ125は、台状部124において挿入方向30の前方側(図4の右側)の端部に設けられている。図3に示されるように、ストッパ125は、台状部124から垂直な垂直壁126と、垂直壁126の上端から概ね45度の角度で挿入方向30の前方側の上面36へ傾斜する傾斜リブ127とからなる。このストッパ125は、インクカートリッジ100がベースユニット200に装着されたときに、ベースユニット200からインクカートリッジ100が抜け落ちないようにインクカートリッジ100を固定するためのものである。インクカートリッジ100の固定は、ストッパ125と後述するロックレバー230(図6参照)との係合により達成される。
【0060】
本体40には、本体カバー42を本体40に対して固定するための複数の貫通孔130が設けられている。貫通孔130は、本体40を幅方向(図4の紙面に垂直な方向)に貫通している。貫通孔130は、本体40の上面36側及び下面37側それぞれに4つずつ設けられている。
【0061】
[スライダ41、本体カバー42]
以下、スライダ41及び本体カバー42の構成について説明する。
【0062】
図1及び図2に示されるように、本体カバー42は、前面34を除く本体40の大部分を収容可能な容器形状に形成されている。この本体カバー42は、本体40の外形に対応して扁平形状に形成されている。
【0063】
本体カバー42の側面には、奥行き方向(矢印33の方向)の概ね中間付近に、段差43が設けられている。段差43は、本体カバー42の上端から下端まで延設されている。この段差43は、本体40の後面35(図3参照)側を中心点とする円弧状に形成されている。本体カバー42は、段差43を境にして、インクカートリッジ100の挿入方向30の後方側の後方部47と、挿入方向30の前方側の前方部46とに区分けされている。前方部46は、後方部47よりも一段低い幅狭形状に形成されている。
【0064】
図1及び図4に示されるように、後方部47の上面には、開口128が設けられている。この開口128は、本体40の台状部124が露出可能なサイズに形成されている。本体カバー42が本体40に装着された状態で、開口128から台状部124と、該台状部124に設けられたストッパ125とが露出される。
【0065】
図1に示されるように、本体カバー42は、挿入方向30の後方側から見て左側を構成する左カバー44と、同様に見て右側を構成する右カバー45とからなる。左カバー44及び右カバー45は、左右対称な形状に形成されている。左カバー44及び右カバー45には、内面から突起する複数の係合爪132(図4参照)が設けられている。係合爪132の先端は鉤状に形成されている。これら係合爪132が本体40の貫通孔130に嵌入されることによって先端の鉤部が本体40に引っ掛けられる。これにより、左カバー44が本体40の左側面38に装着され、右カバー45が本体40の右側面39に装着されて、更に、左カバー44と右カバー45とが一体に接合される。
【0066】
なお、本体40に本体カバー42が装着された状態では、本体40の製造誤差に加えて、本体カバー42の製造誤差、本体カバー42の組み立て誤差などが本体カバー42の外形のバラツキとなって現れる。例えば、従来のごとく、インクカートリッジ100の外面を基準にして当該インクカートリッジ100をベースユニット200に位置決めすると、上記バラツキが原因となって位置決め精度が悪くなる。本実施形態では、後述するようにスライダ41の開口177を基準にスライダ41が位置決めされるため、位置決め精度が格段に向上する。
【0067】
スライダ41は、本体40に本体カバー42が装着された状態で、本体カバー42の前方部46とともに本体40の前面34(図3参照)側を収容可能な容器形状に形成されている。このスライダ41は、前方部46及び前面34の外形に対応して扁平形状に形成されている。具体的には、スライダ41は、前面34に対応する前壁161と、前方部46の上面に対応する上壁163と、前方部46の下面に対応する下壁164と、前方部46の両側面に対応する左側壁165及び右側壁166とを有する。これら各壁によって囲まれた空間が前方部46及び前面34を覆う。
【0068】
左側壁165及び右側壁166は、前壁161から本体40の奥行き方向(矢印33の方向)へ延出されており、前方部46の上から本体40の左側面38及び右側面39を覆っている。したがって、後述するようにスライダ41が本体40に対してスライドする際に、前方部46の両側面がスライダ41のスライド方向を案内するガイド面となる。これにより、スライダ41が円滑にスライドする。
【0069】
図1及び図4に示されるように、スライダ41は、インクカートリッジ100の種類を検知するための被検知部185と、インクカートリッジ100の装着の有無を検知するための被検知部186と、切り欠き187と、支持バー168と、支持バー169と、摺動溝171と,摺動溝172と、開口177(本発明のガイド部の一例)と、開口178と、突出部175とを有する。
【0070】
図1及び図2に示されるように、切り欠き187は、前壁161の中段付近に形成されている。切り欠き187は、スライダ41が本体40に装着されたときに、検知部140を外部へ露出するための覗き窓になる。したがって、切り欠き187は、検知部140に対応する位置、寸法及び形状に形成されている。具体的には、切り欠き187は、スライダ41の側壁165及び側壁166を前壁161側から挿入方向30の後方へ矩形状に切り欠かれることにより形成される。ベースユニット200(図6参照)にインクカートリッジ100が装着されたときに、後述する光センサ181(図6参照)の発光素子及び受光素子が切り欠き187に対向して配置される。したがって、インクカートリッジ100が装着された状態において、上記発光素子から出射された光が、切り欠き187を通過して検知部140の側壁146に照射される。
【0071】
被検知部185は、ベースユニット200にインクカートリッジ100が装着される過程において、ベースユニット200に設けられた後述する光センサ181の光路183(図8参照)に進入する部分である。この被検知部185は、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部185は、前壁161の中段付近に設けられている。被検知部185は、前壁161において、切り欠き187を上下方向へ架け渡すブリッジ状に形成されている。したがって、被検知部185と切り欠き187とによって、側面視で矩形状の開口190が形成される。
【0072】
被検知部185の奥行き方向(矢印33の方向)の幅は、インクカートリッジ100の種類に応じて異なる。インクカートリッジ100の装着過程において、光センサ181の出力波形を画像記録装置の制御部が監視することで、上記幅の違いを検知することができる。この幅の違いを検知することで、装着されたインクカートリッジ100の種類を判定することができる。なお、かかる判定手法については、本発明に関係しないため、その説明を省略する。
【0073】
被検知部186は、ベースユニット200にインクカートリッジ100が装着される過程において、ベースユニット200に設けられた後述する光センサ182の光路184(図8参照)に進入する部分である。この被検知部186は、被検知部185と同様に、光を透過させない樹脂材料で構成されている。被検知部186は、上壁163の挿入方向30の先端に形成された凹陥部194の底面に立設されている。被検知部186は、凹陥部194の底面から上方へ突出された板状のリブからなる。被検知部186が設けられているため、光センサ182の出力波形の変化を画像記録装置の制御部が監視することで、ベースユニット200におけるインクカートリッジ100の装着状態、つまり、インクカートリッジ100が装着されたか否かを判定することができる。本実施形態では、光センサ182の光路184に挿入される前に、被検知部186が光路184に挿入可能な位置に位置決めされる。なお、かかる位置決めについては後述する。
【0074】
突出部175は、前壁161の下端に設けられている。突出部175は、前壁161から挿入方向30へ突出している。この突出部175は、ベースユニット200からインクカートリッジ100を脱抜した際にインクニードル209やインク供給口91からこぼれ落ちるインク滴を受けるために設けられている。
【0075】
支持バー168(図4参照)は、コイルバネ48を支持するものである。また、支持バー169(図4参照)は、コイルバネ49を支持するものである。図4に示されるように、支持バー168及び支持バー169は、前壁161の裏面、つまり、本体40の前面34に対向する対向面に設けられている。具体的には、支持バー168は、前壁161の上部の裏面であって、バネ収容室110に対応する位置に設けられている。また、支持バー169は、前壁161の下部の裏面であって、バネ収容室111に対応する位置に設けられている。
【0076】
支持バー168及び支持バー169は、前壁161の裏面から本体40の奥行き方向(矢印33の方向)へ突出された棒状の部材で構成されている。バネ収容室110にコイルバネ48が収容され、バネ収容室111にコイルバネ49が収容された状態で、スライダ41が本体40に装着されると、支持バー168がコイルバネ48の内孔に挿通され、支持バー169がコイルバネ49の内孔に挿通される。これにより、各コイルバネ48,49が支持バー168,169で支持される。
【0077】
本実施形態では、コイルバネ48,49は、所謂圧縮コイルバネとして用いられる。つまり、スライダ41が本体40に装着されると、コイルバネ48,49は圧縮された状態でバネ収容室110,111に収容される。したがって、スライダ41のスライド位置に関係なく、コイルバネ48,49は、常に、スライダ41を本体40の前面34から離れる方向へ付勢している。
【0078】
図1に示されるように、摺動溝171は、上壁163の一部が断面視で略逆向きU字形状に形成されることによって構成される。図4に示されるように、摺動溝171に支持部材115が挿入される。上壁163の裏面、つまり、本体40の上面36に対向する対向面に、突起片192が形成されている。突起片192によって摺動溝171の一部が狭められている。
【0079】
摺動溝172は、下壁164が断面視でU字形状に形成されることによって構成される。図4に示されるように、摺動溝172に支持部材116が挿入される。下壁164の裏面、つまり、本体40の下面37に対向する対向面に、突起片193が形成されている。突起片193によって摺動溝172の一部が狭められている。
【0080】
スライダ41を本体40に装着する過程において、支持部材115が摺動溝171に挿入され、支持部材116が摺動溝172に挿入される。支持部材115が摺動溝171に挿入されると、まず、支持部材115の鉤状部119が突起片192に当接する。そして、支持部材115が奥側へ押し込まれると、支持部材115が下方へ撓まされて、鉤状部119が突起片192を乗り越える。また、上述と同様にして支持部材116が摺動溝172に挿入されると、鉤状部122が突起片193を乗り越える。これにより、スライダ41が本体40に装着される。一旦、鉤状部119,122が突起片192,193を乗り越えると、スライダ41を引き抜こうとしても、鉤状部119,122の鉤部が突起片192,193に引っ掛かり、容易に抜き出せない構造となっている。
【0081】
スライダ41が本体40に装着されると、コイルバネ48,49によってスライダ41が前面34から離れる方向へ付勢される。スライダ41に外力が加えられていない状態では、スライダ41は、突起片192と鉤状部119とが当接することによって図1及び図2の(A)に示される第1位置で静止する。一方、スライダ41に対して前壁161に垂直な方向の外力が加えられると、スライダ41は、上記第1位置から図1及び図2の(B)に示される第2位置へスライドする。
【0082】
図1及び図4に示されるように、前壁161の上部に開口177が設けられている。この開口177は、スライダ41が本体40に取り付けられた状態で、被検知部186と検知部140(又は被検知部185)との間に設けられている。開口177は、大気連通バルブ80に対応する位置に設けられている。開口177は、ベースユニット200に設けられた押圧部216の大径筒部267(図8参照)が挿通可能なサイズに形成されている。したがって、インクカートリッジ100がベースユニット200に装着される過程において、押圧部216が開口177に挿通される。また、開口177は、押圧部216を挿通させるとともに、押圧部216の大径筒部267(図8参照)が挿通された際に、開口177の周縁が大径筒部267の外周面と摺接するサイズに形成されている。このような開口177が設けられたことによる作用効果については後述する。
【0083】
前壁161の下部に、開口178が設けられている。この開口178は、インク供給バルブ90に対応する位置に形成されている。開口178は、インク供給バルブ90のキャップ95が挿通可能なサイズに形成されている。スライダ41が図1(A)に示される第1位置から図1(B)に示される第2位置にスライドすると、そのスライド過程において、キャップ95が開口178から露出される。これにより、ベースユニット200のインクニードル209(図6参照)がインク供給口91に挿入されやすくなる。
【0084】
[ベースユニット]
次に、図6から図9を参照して、ベースユニット200の構成について説明する。ここに、図6は、ベースユニット200の構成を示す斜視図である。図7は、ベースユニット200の平面図である。図8は、図7における切断線VIII−VIIIの断面図である。
【0085】
図6に示されるように、ベースユニット200は、前面に開口207を有する概ね容器状に形成されたフレーム204によってその筐体が形成されている。フレーム204の内部空間が、インクカートリッジ100を収容するためのカートリッジ収容室202である。このカートリッジ収容室202には、シアン、マゼンタ、イエロー、ブラックの各色に対応する4つのインクカートリッジ100が収容可能である。
【0086】
図6及び図8に示されるように、カートリッジ収容室202には、内部空間を縦方向に長い4つの空間に仕切り分ける3つのプレート223が設けられている。このプレート223によって仕切り分けられた各空間それぞれにインクカートリッジ100が収容される。プレート223は、カートリッジ収容室202の奥面に設けられている。プレート223は、上記奥面から開口207側へ立設されている。これらプレート223は、ベースユニット200の幅方向に配列されている。
【0087】
フレーム204の底面に、4つのガイド溝206が設けられている。これらガイド溝206は、インクカートリッジ100をカートリッジ収容室202の奥部まで円滑に案内するものである。ガイド溝206は、ベースユニット200の奥行き方向に真っ直ぐに延設されている。各ガイド溝206は、ベースユニット200の幅方向へ所定間隔を隔てて配列されている。最も左端部のガイド溝206は、他のガイド溝206に比べて幅が大きく形成されている。これは、他のインクカートリッジよりも幅広に形成されたブラックインクのインクカートリッジの挿入を可能とするためである。各インクカートリッジ100は、その下端がガイド溝206に沿って奥部へ案内されることで、カートリッジ収容室202に円滑に挿入される。
【0088】
カートリッジ収容室202の奥面の上部に、押圧部216(図8参照)が設けられている。押圧部216は、奥面において、大気連通バルブ80に対応する位置に配置されている。本実施形態では、カートリッジ収容室202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つの押圧部216が設けられている。
【0089】
図8に示されるように、押圧部216は、奥面に対して垂直に突出した突起状に形成されている。この押圧部216は、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202に挿入される過程において、開口177(図1参照)に挿通される。押圧部216の突出長さは、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202に挿入されたときに、他の部位に先立って押圧部216が開口177に挿通され得る寸法に設定されている。押圧部216が開口177に挿通されると、開口177を有するスライダ41の挿入位置及び挿入方向が位置決めされる。
【0090】
押圧部216は、その内部を空気が通過可能なように、円筒状に形成されている。押圧部216の内孔は、ベースユニット200の背面側で外部に連通している。押圧部216は、先端側の小径筒部266と基端側(奥面側)の大径筒部267とからなる。小径筒部266の外径は、大径筒部267の外径よりも十分に小さい。小径筒部266から大径筒部267に至る部位には傾斜面268が設けられている。
【0091】
押圧部216の先端に窪み217が形成されている。窪み217の内径は、ロッド84(図3参照)の先端部の外径よりも大きく設定されている。この窪み217の底面に複数の孔269が設けられている。孔269は、窪み217の底面の中心から径方向へ離間した位置に設けられている。この孔269を通じて、押圧部216の内孔に空気が流入する。
【0092】
カートリッジ収容室202の奥面の下部に、インク供給口91と連結される連結部208が設けられている。連結部208は、奥面において、インクカートリッジ100のインク供給バルブ90に対応する位置に配置されている。本実施形態では、カートリッジ収容室202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つの連結部208が設けられている。なお、図6では、最も右側に配置された連結部208がフレーム204の側壁によって隠されている。
【0093】
連結部208は、インクニードル209と、保持部210とを有する。インクニードル209は、管状の樹脂針からなる。インクニードル209は、図8に示されるように、ベースユニット200の背面側で可撓性を有するインクチューブ212に接続されている。各インクニードル209から背面側へ引き出された各インクチューブ212は、ベースユニット200の背面において上方へ引き上げられたのち、画像記録装置が備える記録ヘッドまで引き回されている。
【0094】
保持部210は、凹陥状に形成されている。保持部210の中心にインクニードル209が配置されている。インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202に装着されると、キャップ95(図1(B)参照)が保持部210に挿通される。このとき、キャップ95が保持部210の凹陥部に装着される。これにより、キャップ95の外周面と凹陥部の内面とが密着して、キャップ95と保持部210とが緩みなく連結される。この状態で、インク供給口91がインクニードル209に対して位置決めされる。その結果、インクニードル209が確実にインク供給口91に挿入される。
【0095】
カートリッジ収容室202の奥面において、連結部209の上側に光センサ181が設けられている。この光センサ181は、インクカートリッジ100の検知部140に対応する位置に配置されている。光センサ181は、インクカートリッジ100のインク室102内のインク量が所定量になったかどうかを検知するために用いられる。また、カートリッジ収容室202の天面の奥部に光センサ182(図8参照)が設けられている。この光センサ182は、インクカートリッジ100の被検知部186に対応する位置に配置されている。光センサ182は、カートリッジ収容室202にインクカートリッジ100が装着されたかどうかを判定するために用いられる。本実施形態では、カートリッジ収容室202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つの光センサ181及182が設けられている。なお、図6では、最も右側に配置された光センサ181がフレーム204の側壁によって隠されている。
【0096】
光センサ181,182としては、発光素子及び受光素子を有する透過型のフォトインタラプタが用いられる。光センサ181の発光素子と受光素子との間に、発光素子から出射された光の通路である光路183が形成されている。また、光センサ182にも、同様の光路184が形成されている。本実施形態では、光路183に被検知部185及び検知部140が挿入され、光路183に被検知部186が挿入されるように各光センサ181,182が配置されている。
【0097】
フレーム204には、ロックレバー230が設けられている。ロックレバー230は、カートリッジ収容室202に装着されたインクカートリッジ100が脱落しないようにインクカートリッジ100を固定(ロック)するためのものであり、図6から図8に示されるように、フレーム204の開口207の上縁部205の付近に設けられている。本実施形態では、カートリッジ収容室202に収容可能な4つのインクカートリッジ100に対応して4つのロックレバー230が設けられている。このロックレバー230が設けられているため、カートリッジ収容室202にインクカートリッジ100が装着された状態を維持したまま、このインクカートリッジ100をカートリッジ収容室202に確実に固定することができる。
【0098】
図8に示されるように、ロックレバー230は、全体がアーム状に形成されている。ロックレバー230の中央付近に支持軸232が設けられている。この支持軸232がフレーム204に軸支されている。これにより、フレーム204の上縁部205付近でロックレバー230が支持軸232を中心に回動可能に支持される。
【0099】
ロックレバー230は、入力部234と、作用部236と、係合部243とにより構成されている。入力部234は、支持軸232から手前側に設けられており、作用部236は支持軸232から奥側に設けられている。入力部234は、上面に僅かな窪みを有する皿状に形成されている。そのため、手の指の腹で入力部234を下方へ押圧し易くなっている。
【0100】
支持軸232から入力部234に至る部位の下端に、係合部243が設けられている。この係合部243は、入力部234が下方へ押圧された際にカートリッジ収容室202側へ降下して、インクカートリッジ100の上面を構成する部位に当接するよう構成されている。
【0101】
作用部236の先端には、インクカートリッジ100のストッパ125に当接される当接部237が設けられている。当接部237の下部は、湾曲状に形成されている。作用部236は、支持軸232から当接部237に至って概ね真っ直ぐに形成されている。
【0102】
ロックレバー230の上側に引きバネ219が設けられている。引きバネ219の奥側の一端は、当接部237の上方でフレーム204に固定されている。詳細には、フレーム204の上面に平板状のリブ221が立設されており、このリブ221から水平方向へ突出された掛け部239に引きバネ219の一端が掛け止めされている。一方、引きバネ219の手前側の一端は、支持軸232の上部から上方へ突出するL字状の掛け部241に掛け止めされている。掛け部241は、掛け部239よりも少し下方に位置している。引きバネ219は、所謂引っ張りバネとして用いられている。つまり、引きバネ219を伸張させて収縮方向へ力を発生させた状態で当該引きバネ219が掛け部239,241に固定されている。そのため、ロックレバー230は、図8において矢印245(図8の時計方向)へ回動する力を引きバネ219から受ける。なお、フレーム204の開口207の上縁部205によってロックレバー230の過度な回動が規制されている。したがって、入力部234に外力が加えられていない状態では、ロックレバー230は、上縁部205で矢印245方向の回動が規制された状態で保持されている。この状態で、入力部234は、概ね水平方向の姿勢に保持されている。本実施形態では、少なくとも、当接部237がカートリッジ収容室202側へ降下して、インクカートリッジ100の台状部124に当接することが可能な範囲内で、ロックレバー230は矢印245の方向へ回動する。
【0103】
[インクカートリッジ100の着脱動作]
以下、図9及び図10を参照して、ベースユニット200に対するインクカートリッジ100の装着動作について説明する。ここに、図9は、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202に挿入される過程を示す断面図である。図10は、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202に装着されて固定された状態を示す断面図である。
【0104】
図9に示されるように、フレーム204の開口207からカートリッジ収容室202内へ向けてインクカートリッジ100が挿入されると、インクカートリッジ100の前端がロックレバー230の当接部237に当接する。このとき、インクカートリッジ100から力を受けて、当接部237が上方へ押し上げられる。これにより、ロックレバー230が引きバネ219の引っ張り力に抗して矢印246へ回動する。この回動動作に連動して、入力部234が若干下方へ傾けられる。つまり、入力部234が水平姿勢から傾斜姿勢へ変化する。
【0105】
インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202の奥部へ進入されると、まず、開口177に押圧部216の小径筒部266が挿入される。なお、開口177の中心線と押圧部216の中心線とが一致していなくても、小径筒部266の外径は開口177の外径よりも小さいため、開口177に対して小径筒部266は容易に挿入される。
【0106】
更にインクカートリッジ100が奥部へ進入されると、押圧部216の傾斜部268及び大径筒部267が開口177に順次挿入される。このとき、開口177の中心線と押圧部216の中心線とが一致していない場合でも、傾斜部268と開口177の周縁とが摺接することにより、大径筒部267が開口177へ円滑に案内される。なお、上述したように、開口177は、その周縁が大径筒部267の外周面と摺接するサイズに形成されているため、開口177に大径筒部267が挿入された時点で、開口177の中心線と押圧部216の中心線とが一致する。これにより、開口177が押圧部216に位置決めされる。言い換えると、カートリッジ収容室202において、開口177を有するスライダ41が押圧部216を基準に位置決めされる。なお、スライダ41が位置決めされると、このスライダ41が取り付けられた本体40、及び本体40に設けられた大気連通口81やインク供給口91が自ずと押圧部216を基準に位置決めされる。また、スライダ41が備える被検知部185,186も押圧部216を基準に位置決めされることになる。
【0107】
更にインクカートリッジ100が奥部へ進入されると、スライダ41の被検知部185が光センサ181の光路183に進入し、被検知部186が光センサ182の光路184に進入する。本実施形態では、スライダ41の位置決めが完了した時点において、被検知部185が光路183に進入し、被検知部186が光路184に進入している。そのため、光センサ181,182から出射される光と、その光が照射されるべき照射領域とが確実に位置合わせされる。つまり、光センサ181,182から出射される光が被検知部185,186に確実に照射される。これにより、各光センサ181,182の検知精度が上がる。
【0108】
そして、更に、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202の奥部へ進入されると、スライダ41の前面がカートリッジ収容室202の奥面に当接する。このとき、被検知部185は、光センサ181の光路183から外れ、代わりに、開口190が光路183に進入した状態となる。なお、被検知部186は光路184に進入した状態を維持する。
【0109】
スライダ41がカートリッジ収容室202の奥面に当接した状態でインクカートリッジ100が挿入方向30へ押し付けられると、コイルバネ48,49がその付勢力に抗して圧縮される。これにより、スライダ41が奥部に当接して静止したままの状態で、本体40だけが挿入方向30へ移動する。つまり、本体40がスライダ41に近づく方向へ移動する。スライダ41は、相対的に、第1位置(図1(A)参照)から第2位置(図1(B)参照)へ移動する。このとき、本体40は、スライダ41の内面に摺接しつつ移動し、その移動方向が挿入方向30へ規制される。
【0110】
本体40がスライダ41に最も近づく位置(第2位置)まで移動すると、つまり、本体40がカートリッジ収容室202の奥部まで挿入されると、図10に示されるように、ロッド84が押圧部216の先端に当接する。このとき、ロッド84の先端は、押圧部216の先端の窪み217に入り込む。このため、ロッド84は窪み217によって確実に捉えられる。なお、スライダ41及び本体40がカートリッジ収容室202において押圧部216を基準に位置決めされているため、ロッド84の先端は押圧部216の先端に確実に当接する。押圧部216から押圧力を受けると、ロッド84が後退して、大気連通口81が開放される。これにより、インク室102が大気と同圧になる。ロッド84が更に後退して、押圧部216の先端がシール部材83の内孔に嵌入されると、大気連通口81が押圧部216の先端で塞がれる。しかし、大気連通口81は、窪み217の孔269から押圧部216の内部を通ってベースユニット200の背面側で外部と連通するため、大気連通口81が密閉されることはない。
【0111】
続いて、開口178からインク供給バルブ90のキャップ95が露出されて、インク供給口91にインクニードル209が挿通される。また、光センサ181の光路183及び開口190に、検知部140が進入する。なお、スライダ41及び本体40の位置決めによって、インク供給口91にインクニードル209が確実に挿通され、検知部140が光路183に確実に挿入される。
【0112】
インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202の奥部まで挿入される過程において、ロックレバー230の先端にある当接部237は、上壁163から傾斜リブ127に至る部分を摺接しながら相対的にインクカートリッジ100の後方へ移動する。そして、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202の奥部まで挿入されたとき、つまり、カートリッジ収容室202に装着されたときに、当接部237がストッパ125を乗り越える。このとき、引きバネ219の引っ張り力を受けて作用部236が矢印245方向へ回動されて、当接部237が台状部124の上面へ移る。これにより、当接部237がストッパ125に当接する。そのため、コイルバネ48,49によって本体40が後方へ移動しようとしてもその移動が規制される。その結果、図15に示されるように、ベースユニット200に対してインクカートリッジ100が固定される。
【0113】
このように、本実施形態では、押圧部216が開口177に挿入されることによって、スライダ41が押圧部216を基準に位置決めされる。これに伴い、被検知部185,186の外に、本体40、及び本体40に設けられた大気連通口81、インク供給口91、検知部140が予め定められた位置に位置決めされる。このため、スライダ41の製造誤差などの影響は受けるものの、それ以外の影響を受けないため、これら各部の位置決め精度が向上する。これにより、インクカートリッジ100の挿入時の位置ズレなどによる上記各部の破損が防止される。
【0114】
なお、上述した大気連通バルブ80及びインク供給バルブ90は、大気連通口81又はインク供給口91を開閉するための一実施例であって、必ずしも本発明を実現するうえで必要なものではない。例えば、大気連通口81やインク供給口91が粘着シールなどで閉塞されたものにも本発明は適用可能である。
【0115】
[変形例]
また、上述した実施形態では、本体40にスライダ41及び本体カバー42が取り付けられたインクカートリッジ100を例示したが、例えば、図11に示される変形例の如く、本体40の前面34に対してコイルバネ281,282(本発明の弾性部材の一例)を介して接離可能な板状のカバー283(本発明のスライド部材の一例)が設けられたインクカートリッジ280にも本発明は適用可能である。ここに、図11は、上述の実施形態の変形例に係るインクカートリッジ280を示す模式図である。なお、図11では、上述のインクカートリッジ100と共通する構成についてはインクカートリッジ100の各構成と同符号を付している。
【0116】
このインクカートリッジ280は、本体40の前面34の上端付近にコイルバネ281が設けられ、下端付近にコイルバネ282が設けられている。カバー283には、大気連通バルブ80に対応する位置に開口177が形成されている。また、検知部140に対応する位置に開口286が形成され、インク供給口90に対応する位置に開口178が形成されている。カバー283に力が加えられていない状態では、カバー283は前面34から最も離された第1位置に配置される。
【0117】
インクカートリッジ280がカートリッジ収容室202(図8参照)に挿入されると、押圧部216が開口177に挿通される。このとき、カバー283が押圧部216を基準に位置決めされる。
【0118】
インクカートリッジ280がカートリッジ収容室202に挿入されて、奥面側へ押し付けられると、上記奥面から力を受けてカバー283が前面34に近づく方向(図11の右方向)へ押圧される。このとき、コイルバネ281,282が収縮されて、カバー283は前面34に近接する第2位置に配置される。カバー283が第2位置に配置された状態で、前面34がカバー283によって覆われる。カバー283が第2位置に移動される過程で、大気連通バルブ80が開口177を通じてカバー283の外面288から露出される。また、検知部140が開口286を通じて外面288から露出され、インク供給バルブ90が開口178を通じて外面288から露出される。
【0119】
このようなインクカートリッジ280であっても、押圧部216が開口177に挿入されることによって、カバー283が押圧部216を基準に位置決めされるため、大気連通口81やインク供給口91、検知部140などの位置決めを要する部材の位置決め精度が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0120】
【図1】図1は、インクカートリッジ100の外観構成を示す斜視図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。
【図2】図2は、インクカートリッジ100の側面図であり、(A)には、スライダ41が第1位置にある状態が示されており、(B)には、スライダ41が第2位置にある状態が示されている。
【図3】図3は、本体40の構成を示す斜視図であり、(A)には、本体40の前面34側から見た斜視図が示されており、(B)には、本体40の後面35側から見た斜視図が示されている。
【図4】図4は、図1(A)における切断線IV−IVの断面図である。
【図5】図5は、インクカートリッジ100の要部拡大図であり、図4において二点鎖線で囲まれたV部が詳細に示されている。
【図6】図6は、ベースユニット200の構成を示す斜視図である。
【図7】図7は、ベースユニット200の平面図である。
【図8】図8は、図7における切断線VIII−VIIIの断面図である。
【図9】図9は、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202に挿入される過程を示す断面図である。
【図10】図10は、インクカートリッジ100がカートリッジ収容室202に装着されて固定された状態を示す断面図である。
【図11】図11は、本発明の変形例に係るインクカートリッジ280の構成を示す模式側面図である。
【符号の説明】
【0121】
40・・・本体
41・・・スライダ
42・・・本体カバー
48,49・・・コイルバネ
70・・・アーム
80・・・大気連通バルブ
81・・・大気連通口
87・・・バルブ本体
90・・・インク供給バルブ
91・・・インク供給口
100・・・インクカートリッジ
140・・・検知窓
185・・・被検知部
186・・・被検知部
200・・・ベースユニット
202・・・カートリッジ収容室
216・・・押圧部
280・・・インクカートリッジ
281,282・・・コイルバネ
283・・・カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも第1壁を有し、内部にインクが収容される本体と、
上記本体に取り付けられ、上記第1壁に対向する第2壁を有し、上記第1壁から離間した第1位置と上記第1壁に近接した第2位置との間で移動可能なスライド部材とを具備し、
上記本体は、内部に収容されたインクの量に基づいて上下動可能な移動部材と、少なくとも上記移動部材の一部が収容される収容部とを備え、
上記スライド部材は、上記第2壁に設けられ上記スライド部材を所定方向へ案内するガイド部を備えるインクカートリッジ。
【請求項2】
上記スライド部材は、当該インクカートリッジの装着状態を検知するための被検知部を更に備え、
上記ガイド部は、上記収容部と上記被検知部との間に配置されている請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
少なくとも第1壁を有し、内部にインクが収容される本体と、
上記本体に取り付けられ、上記第1壁に対向する第2壁を有し、上記第1壁から離間した第1位置と上記第1壁に近接した第2位置との間で移動可能なスライド部材とを具備し、
上記本体は、上記第1壁に設けられ内部から外部へインクを供給可能なインク供給口を備え、
上記スライド部材は、上記第2壁に設けられ上記スライド部材を所定方向へ案内するガイド部を備えるインクカートリッジ。
【請求項4】
上記本体は、内部に収容されたインクの量に基づいて上下動可能な移動部材と、少なくとも上記移動部材の一部が収容される収容部とを更に備え、
上記収容部は、上記インク供給口と上記ガイド部との間に配置されている請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
上記ガイド部は、所定のカートリッジ装着部に設けられた凸部を挿通可能とするとともに該凸部の外壁面と当接可能に構成されている請求項1から4のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
上記ガイド部は、上記第2壁に形成された開口を有し、
上記開口は、上記凸部を挿通するとともに上記凸部の外壁面と当接可能に構成されている請求項5に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
上記本体と上記スライド部材との間に設けられ、上記第1壁から離間する方向へ上記スライド部材を付勢する弾性部材を更に備える請求項1から6のいずれかに記載のインクカートリッジ。
【請求項8】
上記本体は、
上記第1壁に設けられ内部に収容された空間と外部とを連通するための連通口と、
上記連通口を閉塞する第1姿勢と上記連通口を開放する第2姿勢との間で変化可能な弁体とを更に備え、
上記弁体は、上記ガイド部に挿通された上記凸部に押圧されることによって上記第1姿勢から上記第2姿勢に変化する請求項5から7のいずれかに記載のインクカートリッジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−132116(P2009−132116A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−311815(P2007−311815)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】