説明

インクカートリッジ

【課題】バルブが破損していても、インクの漏れを抑制する。
【解決手段】インクカートリッジは、インク袋と、インク袋に連通するインク流路43aを有するインク導出管43とを含んでいる。インク導出管43には、第1バルブ50と第2バルブ60とが設けられている。第1バルブ50は、インク流路43aの開口を封止する弾性変形可能な封止体51を有している。第2バルブ60は、弁座61と、弁座61と接触することによってインク流路43aを遮断する弁部材62と、弁部材62を弁座61及び封止体51に向けて付勢するコイルバネ63とを有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出するインクジェットヘッドに対してインクを供給するためのインクカートリッジに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、インク袋を有するインクカートリッジについて記載されている。インク袋には、インク袋内のインクを外部に送出するためのバルブが配置されている。バルブは、バネ、バネ座及びシール供給蓋から構成されている。そして、インクジェット式記録装置に設けられたインク供給針(インク導入管)が、シール供給蓋を貫通し、バネ座を移動させることで、インク袋内のインクがインク供給針を通ってインクジェット式記録装置に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−238815号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1に記載のインクカートリッジにおいては、インク供給針がシール供給蓋から抜かれたときに、シール供給蓋が破損し、インクが漏れてしまう可能性がある。
【0005】
そこで、本発明の目的は、バルブが破損しても、インクの漏れを抑制することが可能なインクカートリッジを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明のインクカートリッジは、インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部と連通するインク導出路と、前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路の内部に設けられた第2バルブとを備えている。そして、前記第2バルブは、弁座、当該弁座と接触することによって前記インク導出路を遮断する第2弁体、及び、当該第2弁体を前記弁座及び前記封止体に向けて付勢する第2付勢部材を有している。
【0007】
これによると、第1バルブの封止体にインク導入管が差し込まれたときには、そのインク導入管が、第2弁体を直接的又は間接的に押して、弁座から離隔させることによって、第2バルブが開状態となり、インク収容部内のインクがインク導入管に導入される。その後、インク導入管が第1バルブの封止体から抜かれたときには、第2弁体は弁座と接触しており、第2バルブは閉状態となっている。したがって、インク導入管が抜かれた状態のときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。また、第2バルブの開閉は、インク導入管で第2弁体を移動させるだけで行えるため、第2バルブの開閉機構をシンプルかつ故障が少ないものとすることができる。
【0008】
本発明において、前記第1バルブは、前記封止体と接触することによって前記インク導出路を遮断する第1弁体、及び、当該第1弁体を前記封止体に向けて付勢する第1付勢部材をさらに有していることが好ましい。これにより、第1バルブからのインクの漏れをより抑制することができる。
【0009】
また、本発明において、前記第1バルブと前記第2バルブの間の前記インク導出路の内部に設けられ、前記第2弁体を前記第2付勢部材による付勢方向とは反対方向に押して移動させる押し部材をさらに備えていることが好ましい。
【0010】
また、本発明において、前記押し部材は、前記第2弁体と一体に形成された棒状部材であることが好ましい。
【0011】
また、本発明において、前記押し部材は、前記第1バルブ及び前記第2バルブのいずれとも一体に形成されていない棒状部材であることが好ましい。
【0012】
また、本発明において、前記第1バルブと前記第2バルブの間の前記インク導出路の内部に設けられ、前記第2弁体を前記第2付勢部材による付勢方向とは反対方向に押して移動させる押し部材をさらに備えている。そして、前記押し部材は、前記第1弁体と一体に形成された棒状部材であることが好ましい。
【0013】
また、本発明のインクカートリッジは、別の観点では、インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部と連通するインク導出路と、前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブと、電力が供給されているときに前記第2バルブが開状態となるように、且つ、電力が供給されていないときに前記第2バルブが閉状態となるように、前記第2バルブを開状態及び閉状態の間で切り換えるように動作するアクチュエータと、外部の電力供給部と前記アクチュエータとを電気的に接続可能な接点とを備えている。
【0014】
これによると、接点と外部の電力供給部との接続が外れたときには、アクチュエータに電力が供給されなくなって、第2バルブが閉状態となっている。したがって、接点と外部の電力供給部との接続が外れたときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。
【0015】
また、本発明において、前記インク導出路の少なくとも一部は、径方向に弾性変形可能に構成されており、前記第2バルブは、前記インク導出路の前記一部を前記径方向に押圧して弾性変形させることによって前記閉状態となり、前記押圧を解除することによって前記開状態となるように構成されていることが好ましい。これにより、第2バルブを構成する部材を直接インクに接触させないことが可能となる。
【0016】
また、本発明において、前記第2バルブは、前記インク導出路を連通させる位置と遮断する位置の間において移動可能な第2弁体を有しており、前記アクチュエータは、前記第2弁体と連結され且つ前記インク導出路の外部に配置されていることが好ましい。
【0017】
また、本発明のインクカートリッジは、別の観点では、インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部と連通するインク導出路と、前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブとを備えている。そして、前記インク導入管が前記封止体に差し込まれていないときは、前記第2バルブが前記閉状態となるように構成されている。
【0018】
これによると、インク導入管が第1バルブの封止体から抜かれた状態のときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。
【0019】
また、本発明のインクカートリッジは、別の観点では、インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部と連通するインク導出路と、前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第1バルブと、前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブとを備えている。そして、前記第1バルブが前記閉状態のときは、前記第2バルブは前記閉状態となるように構成されている。
【0020】
これによると、第1バルブが閉状態のときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。
【0021】
また、本発明において、前記第1バルブは、前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有していることが好ましい。これにより、第1バルブが簡易な構成となる。
【0022】
また、本発明のインクカートリッジは、別の観点では、インクを収容するインク収容部と、前記インク収容部と連通するインク導出路と、前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブとを備えている。そして、前記インク導入管が前記封止体に差し込まれており、かつ、前記第2バルブが前記開状態となっている状態から、前記インク導入管が前記封止体から抜かれる際に、前記インク導入管が前記封止体から抜かれる前に、前記第2バルブが前記閉状態となるように構成されている。
【0023】
これによると、インク導入管が第1バルブの封止体から抜かれた瞬間には、第2バルブは既に閉状態となっている。したがって、第1バルブが破損していても、インクの漏れを抑制することができる。
【0024】
また、本発明において、前記第1バルブは、前記封止体と接触することによって前記インク導出路を遮断する第1弁体、及び、当該第1弁体を前記封止体に向けて付勢する第1付勢部材をさらに有していることが好ましい。これにより、第1バルブからのインクの漏れをより抑制することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のインクカートリッジによると、第1バルブの封止体にインク導入管が差し込まれたときには、そのインク導入管が、第2弁体を直接的又は間接的に押して、弁座から離隔させることによって、第2バルブが開状態となり、インク収容部内のインクがインク導入管に導入される。その後、インク導入管が第1バルブの封止体から抜かれたときには、第2弁体は弁座と接触しており、第2バルブは閉状態となっている。したがって、インク導入管が抜かれた状態のときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。
また、本発明の別の観点におけるインクカートリッジによると、接点と外部の電力供給部との接続が外れたときには、アクチュエータに電力が供給されなくなって、第2バルブが閉状態となっている。したがって、接点と外部の電力供給部との接続が外れたときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。
また、本発明の別の観点におけるインクカートリッジによると、インク導入管が第1バルブの封止体から抜かれた状態のときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。
また、本発明の別の観点におけるインクカートリッジによると、第1バルブが閉状態のときに第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。
また、本発明の別の観点におけるインクカートリッジによると、インク導入管が第1バルブの封止体から抜かれた瞬間には、第2バルブは既に閉状態となっている。したがって、第1バルブが破損していても、インクの漏れを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の第1実施形態によるインクカートリッジが採用されたインクジェットプリンタの外観を示す斜視図である。
【図2】図1に示すインクジェットプリンタの内部構造を示す概略側面図である。
【図3】本発明の第1実施形態によるインクカートリッジの斜視図である。
【図4】図3に示すインクカートリッジの内部構造を示す構成図である。
【図5】インクカートリッジの部分断面図であり、(a)は第1及び第2バルブが閉状態のときを示し、(b)は第1及び第2バルブが開状態のときを示す図である。
【図6】インクカートリッジを装着部に装着するときの状況を示す部分断面図である。
【図7】第1及び第2バルブの開及び閉状態となるタイミングを示す模式図である。
【図8】インクカートリッジの第1変形例における第1及び第2バルブの開状態となるタイミングを示す模式図である。
【図9】インクカートリッジの第2変形例を示し、(a)は第1及び第2バルブが閉状態のときを示し、(b)は第1及び第2バルブが開状態のときを示す図である。
【図10】インクカートリッジの第3変形例を示し、(a)は第1及び第2バルブが閉状態のときを示し、(b)は第1及び第2バルブが開状態のときを示す図である。
【図11】インクカートリッジの第4変形例を示し、(a)は第1及び第2バルブが閉状態のときを示し、(b)は第1及び第2バルブが開状態のときを示す図である。
【図12】本発明の第2実施形態によるインクカートリッジの斜視図である。
【図13】図12に示すインクカートリッジの内部構造を示す構成図である。
【図14】図13に示すインクカートリッジの部分断面図である。
【図15】図13に示す第2バルブ及びアクチュエータの斜視図である。
【図16】第2バルブ及びアクチュエータの断面図であり、(a)はインク導出管内の流路が開状態のときを示し、(b)はインク導出管内の流路が閉状態のときを示す図である。
【図17】インクカートリッジを装着部に装着するときの状況を示す部分断面図である。
【図18】本発明の第3実施形態によるインクカートリッジの斜視図である。
【図19】図18に示すインクカートリッジの内部構造を示す構成図である。
【図20】図19に示すインクカートリッジの部分断面図である。
【図21】第1及び第2バルブの動作状況を示す部分断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0028】
本発明の第1実施形態によるインクカートリッジ40が採用されたインクジェットプリンタ1は、図1に示すように、直方体形状の筐体1aを有し、その正面(図1の紙面手前側の面)には、上から順に、3つの開口10d,10b,10cが形成されている。開口10d,10cには、下端の水平軸を支点として開閉可能な扉1d,1cが嵌め込まれている。開口10bには給紙ユニット1bが挿入されている。そして、筐体1aの上部には、排紙部31が設けられている。扉1dは、筐体1aの主走査方向(図1中奥行き方向)に関して、搬送ユニット21と対向配置されている。
【0029】
次に、図2を参照しつつ、インクジェットプリンタ1の内部構成について説明する。図2に示すように、インクジェットプリンタ1の筐体1a内は、上から順に3つの空間A,B,Cに区分されている。空間Aには、マゼンタ、シアン、イエロー、ブラックのインクをそれぞれ吐出する4つのインクジェットヘッド2、及び、搬送ユニット21が配置されている。空間Bには、給紙ユニット1bが配置されている。空間Cには、4つのインクカートリッジ40が配置されている。
【0030】
給紙ユニット1b及び4つのインクカートリッジ40の筐体1aに対する着脱は、主走査方向(図2中紙面垂直方向)に沿って行われる。なお、本実施形態において、副走査方向とは搬送ユニット21で用紙Pを搬送するときの搬送方向と平行な方向であり、主走査方向とは副走査方向に直交する方向であって水平面に沿った方向である。また、プリンタ1には、給紙ユニット1b、搬送ユニット21及びインクジェットヘッド2を制御する制御部100が設けられている。
【0031】
インクジェットプリンタ1の内部には、給紙ユニット1bから排紙部31に向けて、図2に示す太矢印に沿って、用紙Pが搬送される用紙搬送経路が形成されている。給紙ユニット1bは、複数枚の用紙Pを収納することが可能な給紙トレイ23と、給紙トレイ23に取り付けられた給紙ローラ25とを有している。給紙ローラ25は、制御部100により制御された給紙モータ(図示せず)によって駆動力が与えられることによって、給紙トレイ23の最も上方にある用紙Pを送り出す。給紙ローラ25によって送り出された用紙Pは、ガイド27a,27bによりガイドされ且つ送りローラ対26によって挟持されつつ搬送ユニット21へと送られる。
【0032】
搬送ユニット21は、図2に示すように、2つのベルトローラ6,7と、両ローラ6,7間に架け渡されるように巻回されたエンドレスの搬送ベルト8とを有している。ベルトローラ7は、駆動ローラであって、その軸に制御部100により制御された搬送モータ(図示せず)から駆動力が与えられることで、図2中時計回りに回転する。ベルトローラ6は、従動ローラであって、ベルトローラ7の回転により搬送ベルト8が走行するのに伴って、図2中時計回りに回転する。
【0033】
搬送ベルト8の外周面8aにはシリコーン処理が施されており、粘着性を有している。用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ6と対向する位置には、ニップローラ4が配置されている。ニップローラ4は、給紙ユニット1bから送り出された用紙Pを搬送ベルト8の外周面8aに押さえ付ける。外周面8aに押さえ付けられた用紙Pは、その粘着力によって外周面8a上に保持されつつ、図2中右方(用紙Pの搬送方向)へと搬送される。
【0034】
用紙搬送経路上において搬送ベルト8を挟んでベルトローラ7と対向する位置には、剥離プレート5が設けられている。剥離プレート5は、搬送ベルト8の外周面8aに保持された用紙Pを外周面8aから剥離する。剥離された用紙Pは、ガイド29a,29bによりガイドされ且つ二組の送りローラ対28によって挟持されつつ搬送され、筐体1a上部に形成された開口30から排紙部31へと排出される。なお、各送りローラ対28の一方のローラは、制御部100に制御された送りモータ(図示せず)によって駆動力が与えられる。
【0035】
4つのインクジェットヘッド2は、それぞれ主走査方向に沿って延在し、副走査方向に並設されており、フレーム3を介して筐体1aに支持されている。すなわち、このインクジェットプリンタ1は、ライン式のカラーインクジェットプリンタである。各インクジェットヘッド2の下面は、インクを吐出する複数の吐出口(不図示)が形成された吐出面2aとなっている。各インクジェットヘッド2は、内部のインク流路と連通する可撓性のチューブ(不図示)と接続されている。このチューブは、後述のインク供給路154(図6参照)とそれぞれ接続されている。
【0036】
搬送ベルト8のループ内には、4つのインクジェットヘッド2と対向するように、ほぼ直方体形状のプラテン19が配置されている。プラテン19の上面は、搬送ベルト8の上側ループの内周面と接触しており、搬送ベルト8の内周側からこれを支持している。これにより、搬送ベルト8の上側ループの外周面8aと吐出面2aとが対向しつつ平行になり、且つ、吐出面2aと外周面8aとの間に僅かな隙間が形成されている。当該隙間は、用紙搬送経路の一部を構成している。搬送ベルト8の外周面8a上に保持されつつ搬送されてきた用紙Pが4つのヘッド2のすぐ下方を順に通過する際に、制御部100の制御により各ヘッド2から用紙Pの上面に向けて各色のインクが吐出され、用紙P上に所望のカラー画像が形成される。
【0037】
4つのインクカートリッジ40のうち、図2中最も左方にあるインクカートリッジ40は、ブラックのインクが貯留されており、残りの3つのインクカートリッジ40よりも副走査方向のサイズが大きくなっている。すなわち、左方にあるインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもインク容量が大きくなっている。残りの3つのインクカートリッジ40はともにインク容量が同じであり、マゼンタ、シアン、イエローのインクが貯留されている。これら4つのインクカートリッジ40は、プリンタ本体(筐体1a)に装着されると、対応するインクジェットヘッド2に繋がったインク供給路154とそれぞれ接続され、内部のインクがインクジェットヘッド2に供給可能となる。
【0038】
なお、インクカートリッジ40を交換する際は、扉1cを開けてプリンタ本体からインクカートリッジ40を取り外し、新しいインクカートリッジ40を装着すればよい。本実施形態においては、インクカートリッジ40をプリンタ本体に個別に装着可能となっているが、1つのカートリッジトレイに4つのインクカートリッジ40を載置してユニット化したインクユニットをプリンタ本体に装着する構成であってもよい。
【0039】
続いて、インクカートリッジ40について、図3〜図5を参照しつつ説明する。図3及び図4に示すように、インクカートリッジ40は、略直方体形状の筐体41と、筐体41内に配置され内部にインクが充填されたインク袋(インク収容部)42と、一端においてインク袋42と連通するインク導出管43と、第1バルブ50(図5参照)と、第2バルブ60(図5参照)とを有している。
【0040】
筐体41は、図4に示すように、内部に2つの部屋41a,41bが形成されるように区画されており、右方の部屋41aにインク袋42が配置されている。一方、他方の部屋41bには、インク導出管43が配置されている。なお、ブラックインクを貯留するインクカートリッジ40は、他の3つのインクカートリッジ40よりもサイズ及びインク容量が大きくなっているが、単に部屋41a及びインク袋42が副走査方向に大きくなっているだけである。つまり、4つのインクカートリッジ40は、どれもほぼ同様な構成を有しているので、1つのインクカートリッジ40についてのみ説明する。
【0041】
インク導出管43は、図4及び図5に示すように、インク袋42に設けられた接続部42aに接続された管44と、管44の一端側(左方側)に嵌合された管45とを有しており、主走査方向に沿って延在しインク袋42と連通するインク流路(インク導出路)43aを形成するものである。
【0042】
管44の一端には、図5に示すように、環状のフランジ47が形成されている。フランジ47には、図4及び図5に示すように、Oリング48aが設けられた環状突起48が形成されている。これにより、図4に示すように、筐体41と環状突起48との間がOリング48aによってシールされる。なお、フランジ47は、部屋41bの壁の一部となっており、筐体41の一部を構成している。
【0043】
また、インク導出管43の管45内には、図5に示すように、第1バルブ50が配置されている。第1バルブ50は、管45の一端(左端)に形成された開口(導出口)を封止する封止体51と、球体(第1弁体)52と、コイルバネ(第1付勢部材)53とを有している。管45の一端には、蓋46が設けられており、封止体51が管45から外れないようになっている。なお、蓋46には、インク排出口46aが形成されている。
【0044】
コイルバネ53は、一端が球体52と接触し他端が管45の他端に形成された段差部45aと接触しており、常に球体52を封止体51に向かって付勢している。本実施形態においては、付勢部材としてコイルバネ53を採用しているが、球体52を封止体51に付勢することが可能であれば、コイルバネ以外の付勢部材であってもよい。
【0045】
封止体51は、ゴムなどの弾性材料から構成されている。また、封止体51には、その中央に主走査方向に貫通したスリット51aと、管45の一端に嵌合可能な環状突起51bと、球体52と対向する面であって環状突起51bに囲まれた部分に球体52の外周面に沿う湾曲部51cとが形成されている。スリット51aの直径は、後述の中空針153よりも小さくなっている。このため、封止体51は、スリット51aに中空針153が挿入されているときはスリット51aの内周面が中空針153の外周面に密着するように弾性変形し、スリット51aと中空針153との間からインクが漏れない。
【0046】
環状突起51bの内径は、球体52の直径より若干小さくなっており、球体52との接触によってスリット51aが封止されている。なお、スリット51aは、湾曲部51cと球体52との接触によっても封止される。また、封止体51にスリット51aが形成されていることで、中空針153が挿入しやすくなる。加えて、封止体51に中空針153を挿抜したときに、封止体51が中空針153によって削れ、その削り滓が中空針153内に侵入するのを抑制することが可能となる。そのため、インクジェットヘッド2のインク流路に封止体51の削り滓が侵入するのを抑制することができる。
【0047】
この構成において、図5(b)に示すように、インク排出口46aを通して中空針153をスリット51aに挿入すると、中空針153の先端が球体52と当接し球体52が移動することで湾曲部51c及び環状突起51bから離れる。このときに第1バルブ50が閉状態から開状態となる。また、第1バルブ50が開状態のときには、中空針153の孔153bがスリット51aを通過しているので、中空針153とインク流路43aとが連通する。一方、中空針153がスリット51aから抜かれる方向に移動するに連れて、球体52がコイルバネ53の付勢によって環状突起51bに近づく方向に移動する。そして、球体52と環状突起51bとが接触するときに、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。さらに、中空針153が抜かれる方向に移動するに連れて、球体52が湾曲部51cと密着する。このように第1バルブ50は、中空針153の挿抜に応じて、インク導出管43を連通させる開状態、及び、インク導出管43の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を取る。また、第1バルブ50が、球体52を封止体51に向かってコイルバネ53で付勢させる構成を有しているので、第1バルブ50を簡易にするとともに第1バルブ50からのインク漏れをより抑制することができる。
【0048】
第2バルブ60は、図5に示すように、弁座61と、弁部材(第2弁体)62と、コイルバネ(第2付勢部材)63とを有している。弁座61は、ゴムなどの弾性材料から形成されており、そのフランジ61aが管44の中央近傍の内周面から突出した環状突起44a及び段差部45aとの間に挟まれて配置されている。また、弁座61の中央には、主走査方向に貫通する孔61bが形成されており、管44と管45とが連通可能となっている。
【0049】
コイルバネ63は、一端が弁部材62と接触し他端が接続部42aと接触しており、常に弁部材62を弁座61に向かって付勢している。つまり、コイルバネ63は弁部材62を封止体51に向う方向に付勢しており、弁部材62が弁座61の右端部(孔61bの開口縁)と接触することで、インク流路43aの連通を遮断している。すなわち、管44と管45との連通が遮断され第2バルブ60が閉状態となる。このとき、弁座61の右端部はコイルバネ63の付勢力によって弾性変形している。また、コイルバネ63が弁部材62を封止体51に向けて付勢し、第1及び第2バルブ50,60を構成する要素が主走査方向に沿って一直線上に並んでいるため、後述の中空針153の封止体51に対する抜き差しによって第1及び第2バルブ50,60を開閉することができる。加えて、第2バルブ60を簡易な構成にすることができ、第2バルブ60の故障を少なくすることができる。なお、コイルバネ63においても、コイルバネ以外の付勢部材から構成されていてもよい。
【0050】
弁部材62は、円柱形状を有しており、管44の内周面と摺動可能となっている。また、弁部材62の接続部42a側の端面は、その中央が主走査方向に突出した凸形状を有している。そして、この弁部材62の突出した部分にコイルバネ63に嵌め込まれて、コイルバネ63が弁部材62に固定されている。
【0051】
インク導出管43内には、中空管153が挿入されることによって弁部材62をコイルバネ63による付勢方向とは反対方向に押して移動させる押し部材70が配置されている。押し部材70は、主走査方向に沿って延在する円柱の棒状部材であり、弁部材62の弁座61側の端部に一体的に形成されている。押し部材70は、孔61bの直径よりも小さい直径を有しており、孔61bを通されて配置されている。押し部材70は、弁部材62と弁座61とが接触した状態(第2バルブ60が閉状態)において、第1バルブ50が開状態から閉状態になるとき(球体52が封止体51と離隔した状態から環状突起51bと接触したとき)に位置する球体52と押し部材70の先端との間に間隙が形成される長さとなっている。
【0052】
この構成において、図5(b)に示すように、中空針153が挿入されて第1バルブ50が開状態となった後に、球体52と押し部材70の先端とが当接する。そして、中空針153のさらなる挿入によって、押し部材70及び弁部材62が移動し、弁部材62が弁座61から離れる。これにより、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このとき、インク流路43aの管44,45間が連通するので、インク袋42内のインクが中空針153に流れ込む。一方、中空針153が抜かれると、第1バルブ50と同様に、コイルバネ63の付勢によって弁部材62及び押し部材70が移動し、弁部材62が弁座61に密着する。これにより、第2バルブ60が開状態から閉状態となる。このように第2バルブ60も、中空針153の挿抜に応じて、インク導出管43のインク流路43aを連通させる開状態、及び、連通を遮断する閉状態のいずれか一方を取る。
【0053】
次に、プリンタ本体に形成された装着部150について、図6を参照しつつ説明する。プリンタ本体には、インクカートリッジ40がそれぞれ装着される装着部150が副走査方向に沿って4つ並設されている。なお、装着部150は、どれもほぼ同じ構成を有しているため、1つの装着部150について説明する。
【0054】
装着部150は、図6に示すように、インクカートリッジ40の外形に沿った凹部151を有している。凹部151の底部151aには、中空針153と、インクジェットヘッド2と繋がったチューブと接続されたインク供給路154とが設けられている。
【0055】
中空針153は、主走査方向に沿って延在し、且つスリット51aと対向する位置に配置されている。中空針153には、インク供給路154と連通する中空部153aと、先端近傍に外部と中空部153aと連通させる孔153bとが形成されている(図5参照)。この構成において、インクカートリッジ40がプリンタ本体に装着されたときであって孔153bがスリット51aを通過したときに、中空針153とインク流路43aの管45部分とが連通状態となる。一方、インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外されたときであって孔153bがスリット51aに入り込んだときに、中空針153とインク流路43aとの連通が遮断される。なお、中空針153は、孔153bがスリット51aを通過することでインク流路43aと連通するが、第2バルブ60が開状態となるまでは中空部153aにインク袋42内のインクが流入する連通状態にならない。
【0056】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体に装着したときの動作について、図7を参照しつつ以下に説明する。図7に示す破線S1は、球体52と湾曲部51cとが接触しているときの両者の境界位置を示す境界線である。破線S2は、球体52が移動することによって第1バルブ50の開及び閉状態が切り替わる境界線である。破線S3は、押し部材70に球体52が接触していない状態で弁座61が弾性変形しつつ弁部材62と接触しているときの両者の境界を示す境界線である。破線S4は、弁部材62が移動することによって第2バルブ60の開及び閉状態が切り替わる境界線である。
【0057】
図7(a)に示すように、中空針153がインク導出管43に挿入されていないとき、すなわち、インクカートリッジ40が筐体1aに装着されていないときは、球体52にはコイルバネ53のみの外力が加わっており、球体52の左端が境界線S1上に位置する。つまり、球体52は湾曲部51c及び環状突起51bと接触しており、第1バルブ50が閉状態となっている。
【0058】
プリンタ本体にインクカートリッジ40を装着する際は、プリンタ本体の扉1cを開けてから4つのインクカートリッジ40を装着部150に装着する。このとき、中空針153がスリット51aに挿入されるに連れて、中空針153の先端と球体52とが当接し球体52が、図7(b)に示すように、図中右方に移動する。そして、球体52の左端が境界線S2を越えるときに、球体52と封止体51とが離隔し、第1バルブ50が閉状態から開状態となる。このように、第1バルブ50は、球体52が湾曲部51cと接触する位置から境界線S1〜境界線S2間の距離を越える分だけ移動することで開状態となるが、球体52の左端が境界線S1,S2間に位置するときは、球体52と環状突起51bとが接触しているので、第1バルブ50が閉状態に保たれている。また、第1バルブ50が開状態になったときは、球体52と押し部材70との間には間隙が形成されており、弁部材62にはコイルバネ63のみの外力が加わっており、弁部材62の左端が境界線S3上に位置し、第2バルブ60は閉状態に保たれている。このときの弁座61は、その右端部がコイルバネ63の付勢力によって弾性変形した状態(付勢方向に縮んだ状態)で弁部材62と接触している。
【0059】
図7(c)に示すように、中空針153がさらに挿入されると、球体52と押し部材70の先端とが当接し、球体52、押し部材70及び弁部材62が図中右方に移動する。そして、弁部材62の左端が境界線S4を越えたときに、弁部材62と弁座61とが離隔し、第2バルブ60が閉状態から開状態となる。このように、第2バルブ60は、弁部材62が境界線S3の位置から境界線S3〜境界線S4間の距離を越える分だけ移動することで開状態となるが、弁部材62の左端が境界線S3,S4間に位置するときは、弁部材62と弁座61とが接触しているので第2バルブ60が閉状態に保たれている。この境界線S3,S4間の距離は、弁座61の弾性変形可能な範囲となっている。
【0060】
そして、図7(d)に示すように、筐体1aに対するインクカートリッジ40の装着が完了する位置まで中空針153が挿入され、装着が完了すると中空針153の挿入が止まる。このように、第1及び第2バルブ50,60は、中空針153の挿入に伴って自動的に閉状態から開状態となるとともに、これらバルブ50,60の開状態となるタイミングは第1バルブ50が開状態となってから、第2バルブが開状態となる。こうして、装着されたインクカートリッジ40内のインクが、中空針153へ流れ込み、インクカートリッジ40からインクジェットヘッド2へインクが供給される。
【0061】
続いて、インクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外すときの動作について、以下に説明する。例えば、インクがなくなったときに、インクカートリッジ40をプリンタ本体から取り外す。このとき、図7(e)に示すように、インクカートリッジ40の取り外しの移動に伴って(中空針153がインク導出管43から抜かれるに伴って)、球体52、弁部材62及び押し部材70がコイルバネ53,63によって互いに当接した状態で図中左方に移動する。すなわち、球体52、押し部材70及び弁部材62は、中空針153が挿入されるときとは逆の動作をする。そして、弁部材62の左端が境界線S4に達したときに弁部材62と弁座61とが接触し、第2バルブ60が開状態から閉状態となる。このとき、中空針153に対するインクカートリッジ40内のインクの流れ込みが止まる。
【0062】
その後、弁部材62及び押し部材70は、弁部材62の左端が境界線S3に達するまで移動し、弁部材62の左端が境界線S3に達すると、弁部材62及び押し部材70の移動が停止する。次に、球体52と押し部材70の先端が離隔するように球体52だけが中空針153とともに移動する。そして、球体52が境界線S2に達したときに球体52と環状突起51bとが接触し、第1バルブ50が開状態から閉状態となる。その後、球体52は、球体52の左端が境界線S1に達するまで移動する。このように、第1及び第2バルブ50,60は、中空針153が抜かれる方向に移動するに伴って自動的に開状態から閉状態となるとともに、これらバルブ50,60の閉状態となるタイミングは第2バルブ60が閉状態となってから、第1バルブが閉状態となる。こうして、プリンタ本体から取り外されたインクカートリッジ40を新しいインクカートリッジ40に交換して、上述したようにインクカートリッジ40をプリンタ本体に装着する。なお、コイルバネ63の弾性率は、ユーザのインクカートリッジ40の扱いによって加わる衝撃に対しても第2バルブ60に隙間ができてインクが漏れ出さないように、弁部材62に衝撃が加わった時でもその衝撃により生じる力を上回る付勢力を弁部材62に加えることが可能なように決定されている。また、弁部材62がコイルバネ63によって常に弁座61に付勢されているため、放置された状態(インクカートリッジ40がプリンタ本体から取り外された状態)でも常に第2バルブ60を閉状態に保つことができる。
【0063】
以上のように、本実施形態のインクカートリッジ40によると、封止体51に中空針153が挿入され、第1バルブ50が開状態となり、その後、当該中空針153が球体52、押し部材70及び弁部材62を移動させて弁部材62が弁座61から離隔することによって第2バルブ60が開状態となる。一方、中空針153がインクカートリッジ40から抜かれる方向に移動すると、第2バルブ60が閉状態となってから第1バルブ50が閉状態となる。このため、中空針153が封止体51から抜かれた瞬間には、第2バルブ60は既に閉状態となっている。したがって、中空針153が抜かれて第1バルブ50が閉状態のときに当該第1バルブが破損していても、第2バルブ60が閉状態となっているので、インクの大量漏れを抑制することができる。
【0064】
第1変形例として、環状突起51bが第1実施形態におけるよりも、主走査方向に長く形成されていてもよい。つまり、上述の実施形態においては、第1バルブ50が開状態となったときに、球体52と押し部材70との間に間隙が形成されていたが、第1バルブ50が開状態となる前に球体52と押し部材70とが当接し、球体52、押し部材70及び弁部材62の間に間隙が形成されていなくてもよい。
【0065】
この変形例においては、図8に示すように、境界線S2´が、境界線S2よりも境界線S3に近づいた位置に配置される。この場合においては、図8(a)に示すように、中空針153がインク導出管43に挿入され、球体52が押し部材70の先端に当接したときに、球体52の左端が境界線S2´を越えていない。すなわち、第1バルブ50が閉状態に保たれている。しかしながら、環状突起51bは、球体52と押し部材70とが当接してから第2バルブ60が開状態となるまでに第1バルブ50が開状態となる長さとなっている。これにより、図8(b)に示すように、球体52の左端が境界線S2´に至っても、弁部材62の左端が境界線S3,S4間に位置している。
【0066】
このように、球体52と押し部材70との間に間隙がなくなってから第1バルブ50が開状態となるまでの球体52の移動距離T1が、球体52と押し部材70との間に間隙がなくなったときの弁部材62の位置(弁部材62の左端が境界線S3にある位置)から弁部材62の左端が境界線S4に達するまでの弁部材62の移動距離T2未満となる。このため、第1変形例においても、インクカートリッジ40が筐体1aに装着されたときに、第1バルブ50が開状態となった後に、第2バルブ60が開状態となる。一方、インクカートリッジ40を筐体1aから取り外すときは、第2バルブ60が閉状態となってから第1バルブ50が閉状態となる。したがって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、上述の第1変形例においては、環状突起51bが第1実施形態におけるよりも長くなっているが、環状突起51bに代えて押し部材を第1実施形態におけるよりも長くしてもよい。この場合、押し部材は、球体52と押し部材との間に間隙がなくなってから第1バルブ50が開状態となるまでの球体52の移動距離が、球体52と押し部材との間に間隙がなくなったときの弁部材62の位置から第2バルブ60が開状態となるまでの弁部材62の移動距離未満となる長さであればよい。
【0068】
また、第2変形例として、図9に示すように、押し部材270が球体52に一体的に形成されていてもよい。この場合、押し部材270には、図9(a)に示すように、コイルバネ53の内周面と対向する外周面にガイドとなる環状突起271が形成されていることが望ましい。これにより、押し部材270が、図9(b)に示すように、球体52の移動に伴ってコイルバネ53の内周面に沿って移動可能になる。また、押し部材270が弁部材62に一体的に形成されていないので、弁部材62の弁座61に対する接触面(端面)が加工しやすく、高精度に加工することができるため、弁部材62及び弁座61よるシール性能が安定する。一方、上述の第1実施形態においては、押し部材70が球体52に一体的に形成されておらず、球体52と分離されているので、押し部材70が第2変形例に比して加工しやすく、安定して動作する。
【0069】
この変形例においては、湾曲部51cと球体52とが接触しているときに形成された押し部材270と弁部材62との間隙が、第1実施形態において湾曲部51cと球体52とが接触しているときに形成された球体52と押し部材70との間隙の長さと同じになっている。そのため、第1バルブ50と第2バルブ60の開閉のタイミングが第1実施形態と同様となる。したがって、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0070】
また、第3変形例として、図10に示すように、押し部材370が球体52及び弁部材62のいずれとも一体的に形成されておらす、両者間に配置されていてもよい。これにより、第2変形例と同様に、弁部材62の弁座61に対する接触面が加工しやすく、高精度に加工することができるため、弁部材62及び弁座61よるシール性能が安定する。加えて、押し部材370が球体52と分離されているので、第1実施形態と同様に、押し部材370が第2変形例に比して加工しやすくなる。また、押し部材370には、図10(a)に示すように、コイルバネ53の内周面と対向する外周面にガイドとなる環状突起371,372が形成されていることが望ましい。これにより、押し部材370が、図10(b)に示すように、球体52の移動及び弁部材62の移動に伴ってコイルバネ53の内周面に沿って移動可能になる。
【0071】
この変形例においては、湾曲部51cと球体52とが接触しているときに形成された押し部材370と球体52及び弁部材62との2つの間隙の合計長さが、第1実施形態において湾曲部51cと球体52とが接触しているときに形成された球体52と押し部材70との間隙の長さと同じになっている。そのため、第1バルブ50と第2バルブ60の開閉のタイミングが第1実施形態と同様となり、同様の効果を得ることができる。
【0072】
なお、上述の第2及び第3変形例においては、押し部材270,370の構成が第1実施形態の押し部材70と異なるだけなので、これらの変形例においても環状突起51b又は押し部材270,370の長さが上述と同様に第1実施形態におけるよりも長くてもよい。
【0073】
また、第4変形例として、図11に示すように、第1バルブ50が管45の一端(左端)の開口(導出口)を封止する封止体450から構成されていてもよい。これにより、第1実施形態及び第1〜第3変形例に比して、第1バルブの部品点数が少なくなる。また、押し部材470の先端には、管45の内径よりも若干小さい直径を有する拡径部471が形成されていることが望ましい。これにより、図11(b)に示すように、押し部材470と中空針153の先端とを確実に当接させることが可能となる。なお、封止体450は、第1実施形態の封止体51と同じ材料で構成されている。
【0074】
この変形例において、初めて中空針153を封止体450に差し込むときは、中空針153が封止体450を貫通したとき(すなわち、中空針153の先端が封止体450の右端を越えたとき)に、第1バルブである封止体450が開状態となる。しかし、中空針153を一旦抜いて再度封止体450に差し込むときは、中空針153の先端が封止体450に挿入されたとき(すなわち、中空針153の先端が封止体450の左端を通過したとき)に、第1バルブである封止体450が開状態となる。これは、初めて中空針153を封止体450に差し込むことで封止体450に貫通孔が形成され、封止体450が開状態となる。そして、封止体450から中空針153が抜かれることで、形成された貫通孔が封止体450の弾性復帰力によって閉じて、封止体450が閉状態となる。再度、封止体450に中空針153を挿入すると、当該中空針153の先端が上記形成された貫通孔に挿入されたときに閉じられていた貫通孔が開くので、封止体450が開状態となる。
【0075】
また、本変形例における封止体(第1バルブ)450及び第2バルブ60の開及び閉となるタイミングは、図11(a)に示すように、封止体450に中空針153が挿入されていないときにおいても、封止体450と押し部材470の先端との間に間隙が形成されているので、封止体450が開状態となってから第2バルブ60が開状態となる。
【0076】
一方、中空針153が挿入されて両バルブ450,60が開状態のときに、中空針153を抜くと、第2バルブ60が先に閉状態となり、中空針153が封止体450から抜かれたときに封止体450が閉状態となる。したがって、本変形例においても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0077】
上述の第4変形例においては、封止体450に中空針153が挿入されていないときに封止体450と押し部材470の先端との間に間隙が形成されていたが、封止体450に中空針153が挿入されていないときでも封止体450と押し部材470の先端との間に間隙がなくてもよい。つまり、封止体450と押し部材470の先端とが常に接触していてもよい。この場合においても、中空針153と押し部材470とが当接したときには、第1バルブである封止体450が開状態となっており、ここから中空針153のさらなる挿入によって第2バルブ60が開状態となる。一方、中空針153を抜くときは、第2バルブ60が閉状態となってから封止体450が閉状態となる。したがって、これにおいても、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0078】
また、封止体450に中空針153が挿入されるスリットが形成されていてもよい。このときのスリットは、中空針153が挿入されていないときは、封止体450の弾性復帰力によって閉じられており、中空針153の先端が挿入されることで開状態となる。すなわち、第4変形例において、封止体450に一度中空針153が挿抜されたものと同じになる。
【0079】
続いて、本発明の第2実施形態について、図12〜図17を参照しつつ以下に説明する。なお、第1実施形態と同様なものは、同符号で示し説明を省略する。
【0080】
図12及び図13に示すように、インクカートリッジ540は、略直方体形状の筐体541と、インク袋42と、インク導出管543と、第1バルブ50(図14参照)と、第2バルブ560と、アクチュエータ570とを有している。
【0081】
筐体541は、第1実施形態と同様な2つの部屋41a,41bを有しており、部屋41aにはインク袋42が配置されており、部屋41bにはインク導出管543、第2バルブ560及びアクチュエータ570が配置されている。なお、部屋41bは、筐体541に後述の電力入力部591が設けられた分だけ第1実施形態におけるよりも大きくなっている。
【0082】
インク導出管543は、図13及び図14に示すように、弾性変形可能であり且つインク袋42の接続部42aと接続されたチューブ548と、チューブ548と接続された管544と、管544に嵌合された管45とを有しており、主走査方向に沿って延在しインク袋42と連通するインク流路(インク導出路)543aを形成するものである。管544は、第1実施形態の管44の第2バルブ60が配置された部分が形成されていないものとほぼ同様である。
【0083】
筐体541のインク排出口46a側の側面には、図12及び図13に示すように、電力入力部(接点)591が設けられている。筐体541のインク排出口46aと電力入力部591との間には、主走査方向であってフランジ47からインク袋42に向かって凹んだ段差面541cが設けられている。そして、電力入力部591が、段差面541cに配置されている。また、電力入力部591は、副走査方向に沿ってインク排出口46aと離れた位置に配置されている。また、電力入力部591は、アクチュエータ570と電気的に接続されており、後述の電力出力部152と電気的に接続されることによってアクチュエータ570に電力を供給する。なお、変形例として、電力入力部591は、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されておれば、どの位置に配置されていてもよい。
【0084】
このように電力伝達系の電力入力部591が、インク排出口46aと鉛直方向下方に重ならない位置に配置されていることで、インク排出口46aから垂れ落ちたインクが電力入力部591に付着するのを抑制することが可能となる。このため、電力入力部591がショートしてアクチュエータ570などが損傷するのを抑制することができる。また、電力入力部591が段差面541cに配置されており、電力入力部591とインク排出口46aとの間に段差が設けられていることで、電力入力部591とインク排出口46aとが副走査方向のみならず主走査方向にも大きく離れることになる。したがって、電力入力部591にインクが付着するのをより一層抑制することが可能となる。
【0085】
第2バルブ560は、図15及び図16に示すように、チューブ548と対向する位置に配置された剛板(剛体)561と、途中部位562aが剛板561との間においてチューブ548を挟む位置に配置された板バネ562と、一端がアクチュエータ570と他端が板バネ562に連結されたワイヤー563とを有している。剛板561は、アクチュエータ570を覆うカバー571上に配置されている。
【0086】
板バネ562は、図16に示すように、カバー571の外形に沿って折り曲げられており、一端がカバー571の一側面に固定され、他端が変位可能に配置されている。板バネ562の途中部位562aは、カバー571の上面と対向し且つ剛板561及びカバー571の上面とほぼ平行に形成されている。途中部位562aとチューブ548との間には、ゴムなどからなる板状の弾性体564が配置されている。また、板バネ562の他端近傍には、孔562cが形成されている。孔562cには、ワイヤー563の他端が通され、ワイヤー563と板バネ562とが連結されている。
【0087】
アクチュエータ570は、可動鉄心570aを直線的に進退させるソレノイドからなり、ベース572に固定されている。アクチュエータ570は、電力が供給されることによって可動鉄心570aが伸び、電力が供給されなくなると可動鉄心570aが縮むように駆動される。また、アクチュエータ570は、ベース572に固定されたカバー571によって覆われている。ベース572には、板バネ562の他端と対向する位置に一対の支持部572aが形成されている。一対の支持部572aには、滑車565が回転可能に支持されている。可動鉄心570aの先端部には、ワイヤー563の一端を固定する固定部570bが形成されている。そして、ワイヤー563は、滑車565を介して屈曲して配置され且つアクチュエータ570の動作に伴って板バネ562の他端が変位するように配置されている。
【0088】
この構成において、インクカートリッジ540が筐体1aから取り外されると、電力入力部591と電力出力部152との電気的接続が遮断され、アクチュエータ570に電力が供給されなくなる。すると、可動鉄心570aが図16(a)に示す状態から図16(b)に示す状態へと縮められ、板バネ562の他端がワイヤー563を介して図16中下方に変位する。すなわち、板バネ562の他端は、途中部位562aが剛板561に対してチューブ548を押圧する方向に変位する。これにより、板バネ562が、途中部位562aと剛板561との間においてチューブ548を押圧するように弾性変形し、インク流路543aの連通が遮断(閉状態)される。一方、インクカートリッジ540が筐体1aに装着されると、電力入力部591と電力出力部152とが電気的に接続され、アクチュエータ570に電力が供給される。すると、可動鉄心570aが図16(b)に示す状態から図16(a)に示す状態へと伸ばされ、板バネ562自身の弾性復帰力によって途中部位562aが剛板561に対してチューブ548を押圧する方向とは反対方向、すなわち、図16中上方に板バネ562の他端が変位する。これにより、途中部位562aと剛板561との間において、チューブ548に対する押圧が解除され、インク流路543aの連通が復帰(開状態)する。
【0089】
このように第2バルブ560は、直接インクに接触せずに、インク流路543aの開閉を行うことが可能となる。したがって、第2バルブ560がインクによって固着してしまうことを防止できる。また、第2バルブ560を簡易な構成とすることが可能となる。また、滑車565を介してワイヤー563を屈曲して配置することで、第2バルブ560及びアクチュエータ570をコンパクトに配置可能となる。なお、板バネ562とチューブ548との間に弾性体564が配置されていることで、第2バルブ560のインク流路543aの開閉による、チューブ548の損傷が抑制される。
【0090】
次に、プリンタ本体に形成された装着部550について、図17を参照しつつ説明する。本実施形態における装着部550は、第1実施形態の装着部150とほぼ同様である。装着部550は、図17に示すように、インクカートリッジ540の外形に沿った凹部551を有している。凹部550の底部551aには、中空針153と、インク供給路154と、プリンタ本体に設けられた電源部(不図示)からの電力を出力する電力出力部152とが設けられている。
【0091】
電力出力部152は、底部551aに形成された段差面551bに設けられている。また、電力出力部152は、電力入力部591と対向する位置に配置されており、段差面551bから主走査方向に突出している。
【0092】
電力出力部152は、インクカートリッジ540がプリンタ本体に装着されたときであって、中空針153がインク導出管543に完全に挿入されたときに、その先端面が電力出力部152の底面と接触する長さを有している。つまり、第1バルブ50が閉状態から開状態になった後に、電力出力部152と電力入力部591とが電気的に接続され、アクチュエータ570に電力が供給される。このため、第2バルブ560は、第1バルブ50が開状態となった後に開状態となる。このように本実施形態においても、第1実施形態と同様に、インクカートリッジ540が筐体1aに装着されたときに、第1バルブ50が開状態となってから、第2バルブ560が開状態となる。
【0093】
また、インクカートリッジ540がプリンタ本体から取り外されるときは、中空針153がインク導出管543から抜かれる方向に移動したときに、電力出力部152の先端面と電力入力部591の底面とが離隔し、アクチュエータ570への電力供給が止まる。このため、第2バルブ560が第1バルブ50よりも先に閉状態となる。そして、中空針153が抜かれる方向に移動するに連れて、球体52と環状突起51bとが接触し第1バルブ50が閉状態となる。このように、本実施形態においても中空針153が封止体51から抜かれた瞬間には第2バルブ560が既に閉状態になっているとともに、第2バルブ560が閉状態となった後に第1バルブ50が閉状態となる。このため、第1実施形態と同様の効果を得ることができる。また、ユーザが中空針に代えて棒状物を封止体51に挿入しても、第2バルブ560は開かないため、インクカートリッジ540からインク漏れが生じない。また、第2バルブ560は電気的に動作するため、ユーザが外部から外力を加えても、インクカートリッジ540からインク漏れが生じない。
【0094】
続いて、本発明の第3実施形態によるインクカートリッジについて、図18〜図21を参照しつつ以下に説明する。なお、第1及び第2実施形態と同様なものは、同符号で示し説明を省略する。
【0095】
本実施形態におけるインクカートリッジ640は、図18及び図19に示すように、略直方体形状の筐体641と、筐体641内に配置され内部にインクが充填されたインク袋642と、一端がインク袋642と連通するインク導出管643と、第1バルブ50(図20参照)と、第2バルブ660(図20参照)と、アクチュエータ670とを有している。インク袋642は、図19中左下方部分が左方に突出した突出部642aを有しており、この部分にインク導出管643の一端が接続されている。
【0096】
インク導出管643は、インク袋642に接続された管644と、管544と、管45とを有している。管644は、図20に示すように、副走査方向に沿って延在するインク流路647aを形成するものであり、小径部644aと、内径が小径部644aよりも大きい大径部644bとを有している。管644の副走査方向の一端には、蓋646が設けられている。大径部644bは、インク流路647aと、管544及び管45に形成された主走査方向に沿って延在するインク流路647bとが連通するように、管544と接続されている。このようにインク導出管643は、インク流路647a,647bが互いに連通してなる流路(インク導出路)647を形成している。
【0097】
第2バルブ660は、大径部644b内に配置されており、円柱形状を有する弁部材(第2弁体)661と、弁部材661と大径部644bの内面との隙間を封止する2つのOリング662,663とを有している。弁部材661は、図20において、下面に形成された環状溝661aと、上部側面に形成された環状溝661bとを有しており、これら環状溝661a,661bにOリング662,663が配置されている。
【0098】
より具体的には、環状溝661aとOリング662は、弁部材661の下面の小径部644aの流路と対向する部分を取り囲む位置に配置されており、Oリング662と大径部644bの内面とが接触する位置(流路遮断位置:図20に示す位置)に弁部材661が配置されているとき、インク流路647aの連通が遮断される。すなわち、第2バルブ660が閉状態となる。一方、Oリング662と大径部644bの内面とが離隔する位置(流路連通位置:図21(b)に示す位置)に弁部材661が配置されているとき、インク流路647aとインク流路647bとが連通する。すなわち、第2バルブ660が開状態となる。また、環状溝661bとOリング663は、弁部材661が流路遮断位置及び流路連通位置のいずれに配置されているときでも、インク流路647aとインク流路647bとの接続部分よりも蓋646側に配置されている。これにより、インク流路647aとインク流路647bとの接続部分と、大径部644bの弁部材661よりも蓋646側の空間とが連通しないようにシールされている。
【0099】
アクチュエータ670も、第2実施形態のアクチュエータ570と同様に、可動鉄心670aを直線的に進退させるソレノイドからなり、電力入力部591と電気的に接続されている。アクチュエータ670は、蓋646に形成された孔646aに可動鉄心670aが通されるように蓋646上に固定されている。すなわち、アクチュエータ670は、大径部644bの外部に露出して配置されている。また、アクチュエータ670の可動鉄心670aの先端は、弁部材661に連結されている。アクチュエータ670は、電力が供給されることによって可動鉄心670aが縮み、電力が供給されなくなると可動鉄心670aが伸びるように駆動される。
【0100】
この構成において、インクカートリッジ640が筐体1aから取り外されると、電力入力部591とプリンタ本体側に設けられた電力出力部との電気的接続が遮断され、アクチュエータ670に電力が供給されなくなる。すると、可動鉄心670aが伸ばされ、弁部材661が流路連通位置から流路遮断位置に移動する。これにより、第2バルブ660が閉状態となる。一方、インクカートリッジ640が筐体1aに装着されると、電力入力部591と電力出力部とが電気的に接続され、アクチュエータ670に電力が供給される。すると、可動鉄心670aが縮められ、弁部材661が流路遮断位置から流路連通位置へ移動する。これにより、第2バルブ660が開状態となる。
【0101】
本実施形態においても、第2実施形態と同様に、電力入力部591はインクカートリッジ640がプリンタ本体に装着されたときであって、中空針153がインク導出管643に完全に挿入されたときに、電力出力部と電気的に接続される。つまり、図21(a)に示すように、中空針153の挿入によって球体52が環状突起51bから離隔したときには、電力入力部591は電力出力部と電気的に接続されておらず、アクチュエータ670に電力が供給されていないので、弁部材661が流路遮断位置に配置されたままである。しかし、図21(b)に示すように、中空針153が完全に挿入されると、電力出力部と電力入力部591とが電気的に接続され、アクチュエータ670に電力が供給される。すると、アクチュエータ670が駆動され弁部材661が流路連通位置へ移動し、第2バルブ660が開状態となる。このように本実施形態においても、第1及び第2実施形態と同様に、インクカートリッジ640が筐体1aに装着されたときに、第1バルブ50が開状態となってから、第2バルブ660が開状態となる。
【0102】
一方、インクカートリッジ640がプリンタ本体から取り外されるときは、電力出力部と電力供給部とが離隔しアクチュエータ670への電力供給が止まった後に、第1バルブ50が閉状態となる。つまり、第2バルブ660が第1バルブ50よりも先に閉状態となる。このように、本実施形態においても中空針153が封止体51から抜かれた瞬間には第2バルブ660が閉状態になっているとともに、第2バルブ660が閉状態となった後に第1バルブ50が閉状態となる。このため、第1及び第2実施形態と同様の効果を得ることができる。また、第1及び第2実施形態と同様な構成部分については、同じ効果を得ることができる。
【0103】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、第1バルブは、インク導出管に設けられ、インク導出管を連通させる開状態、及び、インク導出管の連通を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態以外の構成を有していてもよい。また、第2バルブも、インク袋と第1バルブとの間においてインク導出管に設けられ、インク導出管のインク袋から第1バルブまでの流路を連通させる開状態、及び、当該流路を遮断する閉状態のいずれか一方を選択的に取ることが可能であれば、上述の実施形態以外の構成を有していてもよい。
【0104】
また、上述の第1実施形態及び第1〜第3変形例においては、プリンタ本体からインクカートリッジを取り外すときに、第2バルブが閉じてから第1バルブが閉じているが、例えば、環状突起51bを主走査方向に長くして、第1バルブが閉じてから第2バルブが閉じてもよい。この場合、プリンタ本体にインクカートリッジを装着するときは、第2バルブが開状態になってから第1バルブが開状態となる。これにおいても、プリンタ本体からインクカートリッジが取り外されているときは、第1バルブが破損していても、第2バルブが閉状態となっているので、インクの漏れを抑制することができる。また、第2及び第3実施形態の変形例として、装着部にインクカートリッジを装着したときに、装着部の電力出力部とインクカートリッジの電力入力部とが第1バルブが開状態となる前に互いに電気的に接続されてもよい。これにおいても、装着部にインクカートリッジを装着するときに、第2バルブが開状態になってから第1バルブが開状態となり、プリンタ本体からインクカートリッジを取り外すときは、第1バルブが閉状態となってから第2バルブが閉状態となる。したがって、上述と同様の効果を得ることができる。
【符号の説明】
【0105】
1 インクジェットプリンタ
42,642 インク袋(インク収容部)
43,543,643 インク導出管
43a,543a インク流路(インク導出路)
50,450 第1バルブ
51,450 封止体
52 球体(第1弁体)
53 コイルバネ(第1付勢部材)
60,560,660 第2バルブ
61 弁座
62,661 弁部材(第2弁体)
63 コイルバネ(第2付勢部材)
70,270,370,470 押し部材
152 電力出力部(電力供給部)
153 中空針(インク導入管)
591 電力入力部(接点)
647 流路(インク導出路)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを収容するインク収容部と、
前記インク収容部と連通するインク導出路と、
前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、
前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路の内部に設けられた第2バルブとを備え、
前記第2バルブは、弁座、当該弁座と接触することによって前記インク導出路を遮断する第2弁体、及び、当該第2弁体を前記弁座及び前記封止体に向けて付勢する第2付勢部材を有していることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項2】
前記第1バルブは、前記封止体と接触することによって前記インク導出路を遮断する第1弁体、及び、当該第1弁体を前記封止体に向けて付勢する第1付勢部材をさらに有していることを特徴とする請求項1に記載のインクカートリッジ。
【請求項3】
前記第1バルブと前記第2バルブの間の前記インク導出路の内部に設けられ、前記第2弁体を前記第2付勢部材による付勢方向とは反対方向に押して移動させる押し部材をさらに備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクカートリッジ。
【請求項4】
前記押し部材は、前記第2弁体と一体に形成された棒状部材であることを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項5】
前記押し部材は、前記第1バルブ及び前記第2バルブのいずれとも一体に形成されていない棒状部材であることを特徴とする請求項3に記載のインクカートリッジ。
【請求項6】
前記第1バルブと前記第2バルブの間の前記インク導出路の内部に設けられ、前記第2弁体を前記第2付勢部材による付勢方向とは反対方向に押して移動させる押し部材をさらに備えており、
前記押し部材は、前記第1弁体と一体に形成された棒状部材であることを特徴とする請求項2に記載のインクカートリッジ。
【請求項7】
インクを収容するインク収容部と、
前記インク収容部と連通するインク導出路と、
前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、
前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブと、
電力が供給されているときに前記第2バルブが開状態となるように、且つ、電力が供給されていないときに前記第2バルブが閉状態となるように、前記第2バルブを開状態及び閉状態の間で切り換えるように動作するアクチュエータと、
外部の電力供給部と前記アクチュエータとを電気的に接続可能な接点とを備えていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項8】
前記インク導出路の少なくとも一部は、径方向に弾性変形可能に構成されており、
前記第2バルブは、前記インク導出路の前記一部を前記径方向に押圧して弾性変形させることによって前記閉状態となり、前記押圧を解除することによって前記開状態となるように構成されていることを特徴とする請求項7に記載のインクカートリッジ。
【請求項9】
前記第2バルブは、前記インク導出路を連通させる位置と遮断する位置の間において移動可能な第2弁体を有しており、
前記アクチュエータは、前記第2弁体と連結され且つ前記インク導出路の外部に配置されていることを特徴とする請求項7に記載のインクカートリッジ。
【請求項10】
インクを収容するインク収容部と、
前記インク収容部と連通するインク導出路と、
前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、
前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブとを備えており、
前記インク導入管が前記封止体に差し込まれていないときは、前記第2バルブが前記閉状態となるように構成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項11】
インクを収容するインク収容部と、
前記インク収容部と連通するインク導出路と、
前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第1バルブと、
前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブとを備えており、
前記第1バルブが前記閉状態のときは、前記第2バルブは前記閉状態となるように構成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項12】
前記第1バルブは、前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有していることを特徴とする請求項11に記載のインクカートリッジ。
【請求項13】
インクを収容するインク収容部と、
前記インク収容部と連通するインク導出路と、
前記インク導出路の導出口を封止するとともに、差し込まれるインク導入管の外周面と密着するように弾性変形可能な封止体を有する第1バルブと、
前記インク収容部と前記第1バルブとの間の前記インク導出路に設けられ、前記インク導出路を連通させる開状態と遮断する閉状態を選択可能な第2バルブとを備えており、
前記インク導入管が前記封止体に差し込まれており、かつ、前記第2バルブが前記開状態となっている状態から、前記インク導入管が前記封止体から抜かれる際に、前記インク導入管が前記封止体から抜かれる前に、前記第2バルブが前記閉状態となるように構成されていることを特徴とするインクカートリッジ。
【請求項14】
前記第1バルブは、前記封止体と接触することによって前記インク導出路を遮断する第1弁体、及び、当該第1弁体を前記封止体に向けて付勢する第1付勢部材をさらに有していることを特徴とする請求項7〜9、10、12、13のいずれか1項に記載のインクカートリッジ。










【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−148203(P2011−148203A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−11801(P2010−11801)
【出願日】平成22年1月22日(2010.1.22)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】