説明

インクジェットプリンタにおけるインク乾燥時の省電力方法および装置

【課題】 インクジェットプリンタにおいてインク乾燥時間待ちの際、省電力機能を高める。
【解決手段】 インク乾燥時間保持手段と、電源管理手段と、省電力状態からの復帰時間保持手段と、タイマーと、印刷手段とを持つインクジェットプリンタにおいて、インク乾燥待ち状態に移行する時に省電力状態に移行する。ただし、インク乾燥時間より省電力状態からの復帰時間の方が長い場合には省電力状態に移行しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェットプリンタにおける省電力方法に関わる。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは連続して印刷を行う場合、紙がこすれてインクで汚れないようにするため、印刷出力後、紙が乾燥するのを待って次のページを印刷する必要がある。従来は、インク乾燥待ちの際、一般的に省電力状態への移行は行われていなかった。または、省電力状態へ移行する場合も、省電力状態への移行は一般に一定時間処理が発生しないことをきっかけにして行われるため、インク乾燥待ち開始後一定時間経過してから省電力状態に移行していた。また、この場合も、省電力状態からの復帰時間を考慮されていないため、インク乾燥時間終了後ただちに印刷が再開できるようになっていなかった(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開平11-268380号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、インク乾燥待ちの際により効果的な省電力方法を提供することを目的としている。ただし、インク乾燥時間終了後ただちに印刷が再開できるようにし全体の印刷時間が長くならないようにする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
インク乾燥開始時に直ちに省電力状態への移行するよう電力管理手段を構成する。ただし、省電力状態からの復帰時間を保持しておき、インク乾燥時間より省電力状態からの復帰時間の方が長い場合には省電力状態に移行しないようにする。
【発明の効果】
【0005】
本発明により、インクジェットプリンタにおいてインク乾燥開始時に直ちに省電力状態への移行するよう電力管理手段を構成することにより、一層効果的な省電力が可能になる。ただし、インク乾燥時間より省電力状態からの復帰時間の方が長い場合には省電力状態に移行しないようにすることにより、インク乾燥時間終了後ただちに印刷が再開できるようにして全体の印刷時間が長くならないようにできる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
以下に図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。
【実施例1】
【0007】
図1は、本発明のシステム構成を示している。
【0008】
ホストコンピュータ100は、セントロやネットワークなどの通信手段110によりプリンタ120と接続されている。ホストコンピュータ100において動作している印刷プログラム101は印刷ジョブ102を作成して通信手段110経由でインクジェットプリンタ120に送信する。印刷ジョブ102には、インクジェットプリンタがサポートするインク乾燥時間設定コマンドなどによりインク乾燥時間103が設定されているものとする。
【0009】
インクジェットプリンタ120には、印刷を行う印刷手段121と、タイマー122、上記印刷ジョブ102を受信したときに上記印刷ジョブ102に設定されているインク乾燥時間103をプリンタ内に保持するためのインク乾燥時間保持手段123と、インクジェットプリンタの省電力状態からの復帰時間を保持する復帰時間保持手段124と省電力処理の管理および実行を行う電源管理手段125が存在する。
【0010】
インクジェットプリンタ120には、画像処理など他の機能を果たす手段が存在するが、本発明では本質的でない部分であるため、ここでは記述していない。
【0011】
図2は、インクジェットプリンタにおけるインク乾燥処理処理を示すフローチャートである。
【0012】
印刷ジョブの1ページの印刷が終了すると(S210)、電源管理手段125はインク乾燥時間保持手段123に保持しているインク乾燥時間と、復帰時間保持手段124により保持している復帰時間とを比較し、インク乾燥時間のほうが長ければ(S220−Yes)、(インク乾燥時間−復帰時間)分の時間をタイマー122に設定してインクジェットプリンタを省電力状態に移行させる(S230)。上記タイマー設定時間経過後電源管理手段125はインクジェットプリンタを省電力状態から通常状態に復帰させ(S240)、インクジェットプリンタは次のページの印刷処理を行う。ここでインク乾燥時間から復帰時間分だけ手前でインクジェットプリンタは起き上がるのでインク乾燥時間の終了時には復帰が完了し、ただちに遅延無く次のページの印刷処理を行うことができる。
【0013】
インク乾燥時間と復帰時間が同じかまたは復帰時間のほうが長ければ(S220−No)、電源管理手段125はインクジェットプリンタを省電力状態に移行させずインクジェットプリンタは、通常状態のままでインク乾燥時間分経過するのを待ち(S250)、次のページの印刷処理を行う。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1におけるシステム構成。
【図2】実施例1におけるインク乾燥処理を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0015】
100 ホストコンピュータ
101 印刷プログラム
102 印刷ジョブ
103 インク乾燥時間
110 通信手段
120 インクジェットプリンタ
121 印刷手段
122 タイマー
123 インク乾燥時間保持手段
124 復帰時間保持手段
125 電源管理手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク乾燥時間保持手段と、
電源管理手段と、
省電力状態からの復帰時間を保持する復帰時間保持手段と、
タイマー手段と、
印刷手段とを持つインクジェットプリンタにおいて、
インク乾燥待ち状態に移行する時に省電力状態に移行するが、
ただし、インク乾燥時間より省電力状態からの復帰時間の方が長い場合には省電力状態に移行しないことを特徴とするインクジェットプリンタにおける省電力方法。
【請求項2】
請求項1における省電力方法を備えたインクジェットプリンタ。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−150610(P2006−150610A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−340378(P2004−340378)
【出願日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】