説明

インクジェットプリンタ

【課題】 撹拌を十分におこなうことができる、顔料インクタンクシステムを提供する。
【解決手段】 インクタンクの内部の溝構造を底面に対して対角線に配置し、そのタンクにインクよりも十分に比重の重い転がり抵抗、あるいは摩擦係数の小さな物体を入れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印字ヘッドを移動させつつ印字媒体を繰り上げながら印字媒体に記録を行うプリンタ装置において、顔料インクを使用したインクジェットプリンタの顔料成分の沈降を撹拌により濃度を一定にするプリンタにかかわる。
【背景技術】
【0002】
従来より、インクジェットプリンタに用いられるインクシステムは染料を主体とした成分からなるもので構成し、これらがインクジェットプリンタには好適とされてきた。しかし、昨今、画像の高画質・高耐久性を求める声が高まり、これに応えるべくより発色がよく、印刷物の保存される環境を選ばない素材として顔料成分をインクシステムに利用するケースが増えてきた。
【0003】
又、別の従来例としては、特許文献1をあげることが出来る。
【特許文献1】特開平07-060986号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、顔料インク成分の多くは溶媒よりも比重が重く、かつ、溶媒から遊離する傾向があり、長い時間の静置状態がつづくと沈降現象が発生し、インクの容器の上部と下部におけるインクの濃度が変化してしまうという懸念点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明によれば、インクタンクの形状に工夫を施すと共に、内部にインクに侵されない球体等を置くことで、インクを随時撹拌することにより、課題の解決を可能としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明により、顔料インクシステムに対して外部から電磁的・化学的な行為を新たになすことなく、かつ、上記問題点の解決に際し特別な手当てを必要とせずに、通常の印刷動作の中で随時インクシステムの撹拌動作を可能とするインクシステムおよびインクタンクであり、通常のインクタンクにおける攪拌効果を大幅に上回る功利的な攪拌手段を提供するものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
次に、本発明の詳細を実施例の記述に従って説明する。
【実施例1】
【0008】
以下に本発明の実施を施した例を示す。図1は本発明の実施例として好適な説明図で、1は、インクを保持するためのタンク手段である。2は前記タンク手段に設置され前記タンク手段1の底面を非平坦にするための傾斜手段である。この傾斜手段は前記底面2の長手方向の対角線方向に向かって平坦な溝を形成する構造となっており、その溝を底辺になめらかなスロープを形成している。3は前記インクタンク1の中にあり、後に説明するインクよりも比重が十分に重い球体手段である。4は前記インクタンク手段1のなかにあって、後に説明するインクにくらべわずかに比重が重い球体手段である。5は前記インクタンク1の中にあって、先に説明した顔料からなるインクで引用線の部分はその顔料インクの液面を示している。以下、実際の動作を説明する。前記インクタンク1は不図示のインクジェットプリンタのキャリッジ上に配置され、印字動作によるキャリッジの主走査によってキャリッジと共に移動するものである。また、前記インクタンク1は、一つのインクタンクには一色のインクが充填されている。また、顔料を成分とするインクは長期の静置状態においては、インクの成分がインクタンク下部に沈降する性質を持っている。いま、不図示のインクジェットプリンタがプリント動作をするところを説明すると、まず、ホストコンピュータ(不図示)からの印刷信号によってインクジェットプリンタは印刷の準備に入る。インクジェットプリンタの制御回路(不図示)は、前記ホストコンピュータからの信号を解釈し、印刷の為にあらかじめ用意されている印刷用紙を機内へ導く(不図示)。機内に導入された印刷用紙は印字ヘッドと前記インクタンク1を搭載する前記キャリッジ手段の走査位置まで搬送する。所定の位置まで用紙がセットされると、前記キャリッジ手段は前記印刷用紙上を走査しつつ、前記制御回路は、適宜前記ヘッドに対して印刷信号を伝達し、前記ヘッドが前記インクタンク1からの供給の前記インク5を吐出することで、印刷を行う。ところで、先ほどの図1の説明において前記インクタンク1の内部には二つの球体が内包している。ここで、印刷動作時のこれら球体の動作を説明する。印刷動作を行う場合、給紙をおこなってから停止状態のキャリッジを規定の速度まで加速させてキャリッジの動作と同期させながら印字を行う事になるが、図1に示すように底辺には傾斜手段2が主走査方向に対してほぼ鉛直な斜め方向に向かってのびている。また、前記インクタンク1の内部には比重が十分重い球体3が入っている。印刷動作時のヘッド移動の加速期間中、前記比重が十分重い球体3は、たとえば図1の説明図で手前方向を排紙口と仮定し、前記十分に比重が重い球体3が一番給紙口側にあったとし、かつ前記インクタンク1が右端から左端へむかって加速する場合、前記比重が十分重い球体3は手前方向に移動を行い、その移動はキャリッジが一定速度になるまで行われる。左側に移動後、前記キャリッジが減速を始めると前記比重が十分に重い球体3は給紙口方向へと移動を行う。これにより底面付近によどんでいたインク成分は前記球体3により攪拌される。また、前記比重がわずかに重い球体4は、前記キャリッジが駆動されるまではその比重の軽さからインク成分の濃い部分と薄い部分の界面に浮遊しているが、前記比重の非常に重い球体3による攪拌で濃度分布が希薄になってくることに伴い、徐々にインクタンク1の底辺に近づきながら、前記比重の非常に重い球体3の攪拌させたインク成分をさらに効率よく攪拌する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施したインクタンクを示す図である。
【符号の説明】
【0010】
1 インクタンク
2 傾斜手段
3 比重が重い球体
4 比重がわずかに重い球体
5 インク

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印字ヘッドを主走査方向に移動し、印字媒体を主走査方向に対して鉛直方向に移動させ、所望の画像を印字媒体に記録する方式によってなす、インクジェットプリンタにおいて、上記インクジェットプリンタの好適なインクは顔料成分を包含することをもって構成されており、
上記プリンタに使用するインクは各色個別のカートリッジに小分けされてキャリッジに装着し、インクタンクは樹脂あるいはそれに類する形状を保持しつづけられる容器によって構成されていることを特徴とするインクジェットプリンタ。
【請求項2】
上記容器の底面にあたるインクと接触している面は対角線方向に円柱状のくぼみを有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項3】
上記容器の内部には、顔料からなるインクとインクよりもはるかに比重の重い球体あるいは非球体があることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項4】
上記容器はインクの色数分の区分けがなされていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項5】
上記容器はインクごとに別体であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。
【請求項6】
上記容器はいくつかのインクごとに一体化されていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットプリンタ。

【図1】
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【公開番号】特開2007−111899(P2007−111899A)
【公開日】平成19年5月10日(2007.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−303226(P2005−303226)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】