説明

インクジェットヘッドのインク変質検出方法

【課題】インクが圧電素子の電極に直接接触するシェアモードタイプのインクジェットヘッドにおいて、回路の損傷を避けるために、インク変質を負荷電流値の大きさで検出する。
【解決手段】シェアモードタイプのインクジェットヘッド1においてノズル5ごとに電極8に駆動元源7から所定の検査駆動波形を与えて電流測定装置10で電流値を電圧値に変換して測定する。基準インクで測定した基準値と、検査対象インクで測定した検査値を比較し、検査値が基準値の範囲を外れていた場合、インクの変質と判断し、ノズルごとのパージや警報の発令等を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子に分極方向と垂直な電場を加えてシェアモードの変位を生じさせることにより、インクをノズルから吐出させるシェアモードタイプのインクジェットヘッドにおいて、インクの変質を負荷電流の大きさから検出するインク変質検出方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
シェアモードタイプのインクジェットヘッドの一構造例を説明する。下記特許文献1に開示されている発明はその一例である。すなわち、板厚方向について互いに対向方向に分極した2枚の圧電素子を接着剤で貼り合わせ、2層構造の板部材を作る。この板部材の一方の板面から多数の溝を一定間隔で切削加工し、これらの溝が、当該圧電素子の接着面を通過するとともに、各溝の先端部が板材の前端で開口するようなくし歯状の構造を作る。そして、これら溝が開口した圧電素子の一方の面を別の板材で塞ぐ。各溝の後端部は共通インク室に連通させ、先端部の開口には各溝の位置にノズルを有するオリフィスプレートを設ける。インク室に連通しインクが充満する前記溝の内面には、駆動用の電極を設ける。
【0003】
上記構成において、前記電極に圧電素子に対して分極方向と垂直方向の電場を加えれば、圧電部材にはシェアモードの変位が生じ、この変位により当該溝内のインクが加圧され、当該溝に連通するノズルからインク滴が吐出される。
【0004】
そして、上記構成のインクジェットヘッドを用いた画像形成装置においては、一般にインクジェットヘッドを、複数のノズルが用紙の搬送方向と直交する方向に並ぶように所定位置に固定して設け、これに対して搬送機構で用紙を搬送し、用紙の搬送に同期して適当なタイミングでインクジェットヘッドを駆動することにより、吐出されたインク滴を用紙に付着させて所望の画像を形成している。
【0005】
前記シェアモードタイプのインクジェットヘッドでは、前述のように、圧電素子に作り込まれた溝の内面に電極が設けられているため、溝内に充填するインクは電極に直接触れることになる。従って、このようなシェアモードタイプのインクジェットヘッドでは、電極間のショートを避けるために、通常は、水系インクに比べて相対的に低い誘電率と高い抵抗値を有する油系インクが使用されるのが普通であり、また諸般の事情で電気的な抵抗値が低いインク(例えば水系インク)を使用せざるを得ない場合には、インクと接する溝内の電極に絶縁コートを施して使用しなけれなならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−135787号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
このように、インクが圧電素子の電極に直接接触する前記シェアモードタイプのインクジェットヘッドでは、一般的には、低い誘電率と高い抵抗値を有する油系インクしか使用できなかった。しかし、油系インクを使用していても、インク経路内の結露やインクジェットヘッド内への水分の混入等により油系インクに水分が混入し、また油系インクに誤って水系インクが混入する等の原因により、油系インクに変質が生じて電気抵抗が下がり、インクジェットヘッドの駆動回路の負荷が増大して熱的な損傷が発生してしまう場合があった。
【0008】
また、特殊用途のために、エマルジョンインクのような特殊なインクを使用しなければならない場合には、その成分が分離して電気抵抗が下がり、同様な不都合を生じてしまう場合もあった。
【0009】
本発明は、以上の課題に鑑みてなされたものであり、インクが圧電素子の電極に直接接触する前記シェアモードタイプのインクジェットヘッドにおいて、インクが変質した場合に電気抵抗が減少して駆動回路に電気的損傷を与える可能性のあるインクを使用する場合の問題を簡単な構成で回避できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1に記載されたインクジェットヘッドのインク変質検出方法は、
インクの収納空間を構成する圧電素子に設けられた電極に通電し、圧電素子に分極方向と垂直方向の電場を加えてシェアモードの変位を生じさせ、該変位によりインクを加圧して収納空間に連通するノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドのインク変質検出方法において、
前記収納空間に基準物質がある状態で、前記電極に所定の検査駆動波形を与えて得られた電流値を基準電流値として記憶しておき、
前記収納空間にインクがある状態で、前記電極に所定の検査駆動波形を与えて得られた電流値を検査電流値として取得し、
前記基準電流値と前記検査電流値を比較し、前記検査電流値が前記基準電流値よりも所定の設定値よりも大きい場合に、前記インクが変質したと判断することを特徴としている。
【0011】
請求項2に記載されたインクジェットヘッドのインク変質検出方法は、請求項1に記載のインクジェットヘッドのインク変質検出方法において、
前記基準物質が、空気又は基準インクからなる群から選択された一の物質であることを特徴としている。
なお、ここで基準インクとは、製品として許容可能な範囲内の電気抵抗を有するインクの中で、特にその電気抵抗が前記許容範囲の中央値を含む所定の範囲内に入るようなインクを意味している。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインク変質検出方法によれば、特殊用途の為に、変質により電気抵抗が低下する可能性のある特殊なインクを用いなければならない場合、インク経路内の結露によるIJヘッド内への水分の混入等、何らかの不具合でインクの電気抵抗が低下したことを、駆動回路の負荷電流の増加分として捉え、不具合の程度をノズル単位で検出することができる。そしてインクの変質による異常を検知した場合、不具合の程度に合わせてノズルを強制吐出したり、全ノズルについてパージ等の回復動作を行った後、駆動電流波形を再計測することで、インク変質の回復状態を確認できる。回復しない場合は不良の警告を行うこともできる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド及びインクの等価回路図と駆動回路の回路図を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置の構成概要図である。
【図3】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置における電圧検出部の回路図である。
【図4】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置の電流検出部で測定した検査駆動波形と、基準インクによる検出電流波形を示す波形図である。
【図5】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置の電流検出部で測定した検査駆動波形と、測定対象であるインクによる検出電流波形を示す波形図である。
【図6】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置における検査部の機能ブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置において検査部で行われるインク変質検出手順を示す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態に係るインクジェットヘッド装置について、図1〜図7を参照して説明する。本実施形態のインクジェットヘッド装置は、圧電素子に分極方向と垂直な電場を加えてシェアモードの変位を生じさせることにより、インクをノズルから吐出させるシェアモードタイプのインクジェットヘッドにおいて、インクの変質を電気抵抗値の変化から検出する機能を付与したものである。
【0015】
図1には、圧電素子からなるシェアモードタイプのインクジェットヘッド1と、インクジェットヘッド1が有するインク2と、インクジェットヘッド1を駆動する駆動回路3が、それぞれ等価回路図で示されている。
【0016】
図1の等価回路図に示すように、このシェアモードタイプのインクジェットヘッド1は、直列に接続された抵抗R、コイルL、キャパシタCと、他のキャパシタCとが並列に接続された等価回路で表される。また、この図1には表れないが、図2中に模式的な構造として示すように、このインクジェットヘッド1は、板厚方向について互いに対向方向に分極した2枚の圧電素子を有しており、当該圧電素子の接着面を通過するとともに前端で開口するように形成した溝の開口にノズル5が設けられている。そしてこの溝の内面には駆動用の電極8が設けられ、溝にはインク供給装置6からインクが供給されるようになっている。なお、図2の模式図では、ノズル5が1個しか示されていないが、実際には互いに対向方向に分極した2枚の圧電素子4,4に多数の溝及びノズルが列となって形成されており、各溝の内面にはそれぞれ電極8が設けられて、各ノズル5ごとに駆動できるようになっている。
【0017】
図1の等価回路図に示すように、駆動回路3は3つのスイッチング素子S1,S2,S3(例えばトランジスタ)の一つをONとした場合に、その他の2つのスイッチング素子がOFFとなるように作動する構成となっている。そして駆動回路3は、図2に示すようにインクジェットヘッド1(IJ)駆動信号源7を有しており、ここから供給されるインクの吐出に必要な所定電流の駆動信号が、上記スイッチング素子S1,S2,S3を介してインクジェットヘッド1の各ノズル5の各電極8に与えられる。これにより、インクジェットヘッド1の各ノズル5の各電極8には、正(例えば+20V)、グラウンド(0V)、負(−20V)の各電位が選択的に付与され、ノズル5ごとに駆動を制御することができる。
【0018】
図1の等価回路図に示すように、このインクジェットヘッド1で使用されるインク2は、キャパシタCと抵抗Rが並列に接続された等価回路で表される。このインク2は、良好な環境下における好ましい状態では、抵抗Rの成分が限りなく∞に近いが、変質すると抵抗Rの成分が減少してキャパシタCと抵抗Rのインピダンスが接近した状態となる。
なお、一般に、インクジェットヘッドで使用されるインクには、製品ごとに許容可能な電気抵抗の範囲が定められており、インクはそのような基準を満たすように製造されているが、使用状態や保存状態によってはこの範囲から外れてしまう場合がありうる。このような電気抵抗の変化又はこれによる負荷電流の変化に表れるインクの品質の変化を検出するためには、電気抵抗又は負荷電流の比較基準を決めておく必要がある。本実施形態では、製品として許容可能な範囲内の電気抵抗を有するインクの中で、特にその電気抵抗が前記許容範囲の中央値を含む所定の範囲内に入るようなインクを基準インクと称し、これをインクの品質変化の比較基準として使用するものとする。具体的には、基準インクで満たされたインクジェットヘッド1を後述する所定の検査駆動波形で駆動回路3によって駆動した場合に流れる負荷電流の上限及び下限又は当該負荷電流から換算した電圧値の上限及び下限を基準値として使用する。なお、一般に、この基準値はインクの種類(例えばC、M、Y、K等の色別のインクの種類)によって異なる。
【0019】
図2に示すインクジェットヘッド駆動信号源7は、インクジェットヘッド1を駆動する駆動回路3(図1)に備えられており、インク2の抵抗を測定する検査時又はその準備時にも駆動され、その際にはインク2が吐出しない程度の低い負荷電流の検査駆動波形を、駆動回路3(図1)の上記スイッチング素子S1,S2,S3を介してインクジェットヘッド1の電極8に与える。これにより、インクジェットヘッド1の各ノズル5の各電極8には、図4及び図5の各上段に示すように、正、グラウンド、負の3段階(又はH、0、Lの3段階)の検査駆動波形が与えられる。
【0020】
図2に示すように、駆動回路3(図1)が有するインクジェットヘッド駆動信号源7とインクジェットヘッド1の電極8の間には、電流検出部10が設けられている。図3は、この電流検出部10の構造を示す回路図であり、抵抗11の両端における電圧の差をオペアンプ12で増幅した後にA/D変換装置13でA/Dし、負荷電流を電圧値に変換した値である検出値を出力する。
【0021】
図6は、図3に示した電流検出部10が出力する検出値を利用し、インクの変質を負荷電流の変化に対応する電圧値の変化から検出する検査部20の機能ブロック図である。図示はしないが、本実施形態のインクジェットヘッド装置は装置全体を統括して駆動制御する制御手段を備えており、図6に示す検査部20はその一部として構成されているものであってもよいし、当該制御部とは別体として構成されているものであってもよい。検査部20は、電流検出部10からの検出値を一時的に記憶する一次記憶部21と、前述した基準インクの基準値(上限値及び下限値)を格納する基準値格納メモリ22を有している。また検査部20は、一次記憶部21に記憶された検出値と、基準値格納メモリ22に記憶された基準値を比較する比較部23と、比較部23の比較結果に基づいて検査対象であるインクが正常か異常かを判定する正常/異常判定部24を有している。すなわち、通電されているインクが変質して電気抵抗が減少した場合、その負荷電流は増大するが、増大の程度がインクの変質に該当するか否かを正常/異常判定部において判定するために、判定対象である被検査インクの負荷電流に相当する電圧値である検出値(一次記憶部21のデータ)と、同条件で基準インクの場合に得られた負荷電流に相当する電圧値である基準値(基準値格納メモリ22のデータ)とを比較部23で比較し、検出値が基準値の上限値と下限値の間に入っていれば正常と判定し、入っていなければ異常と判定する。正常/異常判定部24は、判定の結果(テスト結果)を本体制御手段へ送信することができる。また検査部20はテスト信号発生部25を有している。このテスト信号発生部25は、本体制御手段の入力手段等から入力された検査指示を受けて、インクジェットヘッド1(IJ)駆動信号源7に所定の電流値の検査駆動波形を駆動回路3に出力させる検査駆動波形出力指示信号を出力するとともに、所定のタイミングで電流検出部10に電圧測定の開始を指示するトリガー信号であるスタート信号を出力し、さらに所定のタイミングで前記正常/異常判定部24に判定動作指示信号を出力することができる。
【0022】
次に、本実施形態のインクジェットヘッド装置において、インクの変質を負荷電流の変化乃至これから換算される電圧値の変化から検出する方法に関して制御手段及び駆動回路3等の動作を中心に説明する。
まず、検出値の比較対象となる基準値をとるための作業を行なう。すなわち、インクジェットヘッド装置に、基準物質として基準インクが充填されている状態において、図4の上段に示すような所定の検査駆動波形を駆動回路3を介して各ノズル5の各電極に与える。このとき、インクには図4の下段に示すような波形の検出電流値が流れる。ここで、検出電流値のうち、ピーク値を検出電流値I1pと称し、平均値を検出電流値I1aと称する。電流検出部10では、これらの電流値を電圧値に変換して検出値として出力する。具体的には、ピーク値である検出電流値I1pから換算した電圧値を検出値の上限値とし、平均値である検出電流値I1aから換算した電圧値を検出値の下限値として、前記検出部の基準値格納メモリに記憶させる。
【0023】
次に、本実施形態のインクジェットヘッド装置におけるインク変質検出の制御手順について、制御手順の流れ図(図7)及び機能ブロック図(図6)を参照して説明する。
インクジェットヘッド装置の電源をONにすると(S1)、検査部20は、所定のインク検査間隔ごと(S2)に検査プログラム(S4)に従ってインク変質検出の動作を行なう。検査プログラム(S4)は、このように所定時間間隔で自動的に実行する他、装置の使用者が目視により画像形成結果を不良と判断した場合(S3)にも実行を開始することができる。
【0024】
検査プログラム(S4)においては、まずインク劣化検査を行なう(S5)。まずテスト信号発生部25が、制御手段からの検査指示を受けてテスト信号を発生する。ここでテスト信号とは、図6に示すように検査駆動波形出力指示信号と、スタート信号と、判定動作指示信号からなる。これにより、インクジェットヘッド1(IJ)駆動信号源7が検査駆動波形を駆動回路3に出力し、電流検出部10が所定のタイミングで負荷電流値を電圧値に換算した電圧測定を行い、さらに後述するように所定のタイミングで前記正常/異常判定部24に判定動作を実行させる。
【0025】
電流検出部10は、上述したように負荷電流値を電圧値に換算した検出値の信号検出を行う(S52)。この検出値は検査部20の一次記憶部21に記憶される。比較部23は、基準値格納メモリ22内の基準値と一次記憶部21の検出値を比較し(S53、S55)、正常/異常判定部24は、比較結果からインクの正常又は異常を判定する(S54、S56、S57)。すなわち、まず比較部23は基準値の上限値(例えば中央値から見て+20%)と検出値を比較し(S53)、検出値が上限値を越えている場合には(S53、以上)、正常/異常判定部24がインク不良と判定する(S54)。検出値が上限値を越えていない場合には(S53、以下)、正常/異常判定部24は上限については範囲内と判定し、次に下限値についての判定を行なう。比較部23が基準値の下限値(例えば中央値から見て−20%)と検出値を比較し(S55)、検出値が下限値を下回っている場合には(S55、以下)、正常/異常判定部24がインク不良と判定する(S56)。検出値が下限値を上回っている場合には(S55、以上)、正常/異常判定部24は上限だけでなく下限についても範囲内と判定し、インクは正常であると最終的な判定を行なう(S54)。
【0026】
以上の検査部20による検査は、ノズル単位で行なう。図4乃至図5に示すように、本実施形態では基準電流値よりも被検査インクの検査電流値の方が電流値が高くなっており、インクの電気抵抗値が小さくなったことを示している。これは、例えばインク中に分散している水分が凝集して大きな粒子になり、これが繋がることによって絶縁が破られるようになり、結果として絶縁状態から導通状態に移行する過程で負荷電流が増大していることを示していると考えられる。原因はその他にも考えられるが、負荷電流の増大の程度から、インクが看過できない変質状態にあるか否かを前述した手順によりノズル単位で判断できる。
【0027】
検査部20の正常/異常判定部24は、検査結果を制御手段へ送信するので、制御手段はノズル5ごとの検査結果を基として、インクジェットヘッド装置に対してノズル5ごとに種々の制御動作を行なうことができる。例えば、不良と判断されたノズル5を強制吐出したり、不良と判断されたノズル5だけでなく、全ノズル5についてパージ等の回復動作を行ったりすることができる。そして、そのような回復動作を行なった場合は、その後で駆動電流波形を再計測することにより、インク変質の回復状態をノズル5ごとに確認できる。また最初に不良が検出された段階で不良の警告を行なっても良いし、回復動作を行なって回復しない場合に再度不良の警告を行なっても良い。また基準値を複数段階で用意しておき、インクの抵抗の減少の程度を複数段階で評価し、その不良状態の程度に応じてパージ力の強さを調整してもよい。
【0028】
上述した実施形態では、適正に製造され、保管状態も良好で所定の電気抵抗を有する新品のインクを基準インクとしており、これをチャージした時点で最初の計測を行なって、インクの電気抵抗変化を検出する基準となる基準値を得ていたが、インクジェットヘッド1内にインクがなく、電極8,8間には空気しかない状態で最初の計測を行なって基準値を得るようにしてもよい。
【符号の説明】
【0029】
1…インクジェットヘッド
2…インク
3…駆動回路
4…圧電素子
5…ノズル
6…インク供給装置
7…インクジェットヘッド(IJ)駆動信号源
8…電極
10…電流検出部
20…検査部
21…一次記憶部
22…基準値格納メモリ
23…比較部
24…正常/異常判定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクの収納空間を構成する圧電素子に設けられた電極に通電し、圧電素子に分極方向と垂直方向の電場を加えてシェアモードの変位を生じさせ、該変位によりインクを加圧して収納空間に連通するノズルからインクを吐出させるインクジェットヘッドのインク変質検出方法において、
前記収納空間に基準物質がある状態で、前記電極に所定の検査駆動波形を与えて得られた電流値を基準電流値として記憶しておき、
前記収納空間にインクがある状態で、前記電極に所定の検査駆動波形を与えて得られた電流値を検査電流値として取得し、
前記基準電流値と前記検査電流値を比較し、前記検査電流値が前記基準電流値よりも所定の設定値よりも大きい場合に、前記インクが変質したと判断することを特徴とするインクジェットヘッドのインク変質検出方法。
【請求項2】
前記基準物質が、空気又は基準インクからなる群から選択された一の物質であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェットヘッドのインク変質検出方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−187810(P2012−187810A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−53174(P2011−53174)
【出願日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】