説明

インクジェットヘッドユニット及びインクジェットヘッドユニットの製造方法

【課題】配線経路とインク流路孔に対する一度の位置決め作業を行うだけで、共通のベース部材に対して複数のヘッドチップを所定の配列形態で配置させる。
【解決手段】複数のノズル22と圧力室23と、圧力室23の一壁面を構成する振動板204と、圧力室内のインクをノズルから吐出させる圧力発生手段とを有する積層構造からなるヘッドチップ2を、ヘッドユニットベース1に配置したインクジェットヘッドユニットであって、ヘッドユニットベースに、1つのヘッドチップの圧力発生手段へ電力供給するための配線経路と、圧力室へインク供給するためのインク流路孔109とからなるパターンを1単位として、ヘッドチップ2の数に相当する単位数のパターンが所定の配列形態となるように形成され、ヘッドユニットベース1のパターンに対応して、ヘッドチップが圧力発生手段と配線経路とが電気的に接続し、圧力室とインク流路孔とが連通するように積層する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、共通のヘッドユニットベースに複数のヘッドチップを配置してなるインクジェットヘッドユニット及びインクジェットヘッドユニットの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェットヘッドとして、半導体製造技術を利用して作製される積層構造からなるインクジェットヘッドが知られている(例えば特許文献1)。
【0003】
このようなインクジェットヘッドは、インクを吐出する複数のノズルと、各ノズルに対応して連通する複数の圧力室と、この圧力室の一壁面を構成する振動板と、この振動板を変位させて圧力室内のインクをノズルから吐出させる圧力発生手段とを有するヘッドチップに対し、各圧力発生手段にそれぞれ電力供給するための配線経路が形成されたインターポーザ層(配線層)を積層したものである。インターポーザ層には、更にインクマニホールドが積層されており、インターポーザ層を貫通するように形成されたインク流路孔を通して各圧力室内にインクを供給する構成となっている。
【0004】
ところで、インクジェットヘッドは、所望の記録幅を得るためにノズル列を長尺化すると、幅方向に亘って均一な射出特性を得ることが非常に困難であるため、一般に、それぞれ個別に製造された幅狭のインクジェットヘッドを多数個使用して共通のベース部材(ヘッドユニットベース)に例えば千鳥状に配列させることにより、全体としてノズルが所望の記録幅に亘って長尺に配列されるように構成したインクジェットヘッドユニットを作製するようにしている。
【0005】
図19、図20は、ベース部材である1枚のヘッドユニットベース1100に4つのインクジェットヘッド1200を千鳥状に配置してインクジェッヘッドユニット1000を構成した例を示している。ここではインクジェットヘッドユニット1000を2つ並設して、全体として8つのインクジェットヘッド1200が2列に千鳥状に配列されるように構成している。
【0006】
インクジェットヘッドユニット1000に搭載される各インクジェットヘッド1200は、インターポーザ層1202がヘッドチップ1201よりも側方に張り出すように形成されており、このインターポーザ層1202の上面に箱型のインクマニホールド1203が設けられている。インターポーザ層1202の対向する2辺には、電力供給のための外部配線部材(FPC)1204、1205がそれぞれ接続されている。
【0007】
ヘッドユニットベース1100には、インクジェットヘッド1200をそれぞれ取り付けるための4つの開口部1101が貫通形成されており、インクジェットヘッド1200のインターポーザ層1202を、ヘッドユニットベース1100の下面側から開口部1101の周縁に当接させることによって固定している。各インクジェットヘッド1200において、ヘッドユニットベース1100の両外側に位置する一方の外部配線部材1204は、そのままヘッドユニットベース1100の側方から上面側に引き出され、他方の外部配線部材1205は、ヘッドユニットベース1100に貫通形成された引き出し穴1102を通って、該ヘッドユニットベース1100の上面側に引き出され、それぞれ駆動ICを実装してなる不図示の駆動回路基板と接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007−30361号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1のような積層構造からなるインクジェットヘッドを複数使用してインクジェットヘッドユニットを構成する場合の問題として、インクジェットヘッド製造時の問題とインクジェットヘッドユニット製造時の問題とがある。
【0010】
すなわち、インクジェットヘッドは、ヘッドチップに設けられる複数の圧力発生手段及び複数の圧力室に対して、インターポーザ層の各配線経路及び各インク流路孔が一致するように、精密に位置決めして積層一体化する必要がある。配線経路及びインク流路孔の一部でも位置ずれしていると、不吐出ノズルを発生させてしまい、そのインクジェットヘッドは不良品となって歩留まりを低下させてしまう。
【0011】
また、複数のインクジェットヘッドを配置してなるインクジェットヘッドユニットを用いて描画した際のインクの着弾精度は、インクジェットヘッド個々の取付け位置精度の影響を受ける。従って、高い着弾精度を実現するためには、各インクジェットヘッドのベース部材に対する取付け位置精度を高めることが重要である。例えば1200npi(nozzle per inch)程度の高解像度ヘッドでは、各インクジェットヘッド間の位置決め精度が数μmオーダーで必要となる。このため、複数のインクジェットヘッドのそれぞれをベース部材に対して数μmオーダーで精密に位置決めした上で一体化する必要がある。1つのインクジェットヘッドだけでも僅かに位置ずれを起こしていると、それがインクの吐出タイミングの調整で着弾位置ずれを補正できない方向の位置ずれである場合、そのインクジェットヘッドユニット全体が不良品となり、やはり歩留まりを低下させてしまう。
【0012】
このように、積層構造からなるインクジェットヘッドを複数使用して構成したインクジェットヘッドユニットの場合、インクジェットヘッド自体の作製時の位置決めと、インクジェットヘッドユニットを構成する際の位置決めとをそれぞれ行う必要があるため、煩雑な位置決め作業を繰り返し行わなくてはならないという問題と、位置決め作業を繰り返すことによって歩留まりが低下するという問題とがあった。
【0013】
更に、インクジェットヘッドを共通のベース部材に複数列に配列した場合は、図19、図20に示すように、各列のインクジェットヘッドの間に外部配線部材のための引き出し穴1102が形成されるため、その分、各列のインクジェットヘッドの間の距離W(図20)が大きくなってしまい、各列のインクジェットヘッド相互間の着弾位置ずれが大きくなってしまう問題もある。
【0014】
そこで、本発明は、各ヘッドチップについて、配線経路とインク流路孔に対する一度の位置決め作業を行うだけで、共通のベース部材に対して複数のヘッドチップを所定の配列形態で配置させることができるインクジェットヘッドユニットを提供することを課題とする。
【0015】
また、本発明は、各ヘッドチップについて、配線経路とインク流路孔に対する一度の位置決め作業を行うだけで、共通のベース部材に対して複数のヘッドチップを所定の配列形態で配置させたインクジェットヘッドユニットを構成することができるインクジェットヘッドユニットの製造方法を提供することを課題とする。
【0016】
本発明の他の課題は、以下の記載により明らかとなる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記課題は、以下の各発明によって解決される。
【0018】
請求項1記載の発明は、インクを吐出する複数のノズルと、前記ノズルに対応して連通する複数の圧力室と、前記圧力室の一壁面を構成する振動板と、前記振動板を変位させて前記圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させる圧力発生手段とを有する積層構造からなるヘッドチップを、共通のヘッドユニットベースに複数配置してなるインクジェットヘッドユニットであって、
前記ヘッドユニットベースに、1つの前記ヘッドチップの前記圧力発生手段へそれぞれ電力供給するための配線経路と、前記圧力室へそれぞれインク供給するためのインク流路孔とからなるパターンを1単位として、前記ヘッドチップの数に相当する単位数の前記パターンが、所定の配列形態となるように形成されており、
前記ヘッドユニットベースの前記パターンのそれぞれに対応して、前記ヘッドチップが、前記圧力発生手段と前記配線経路とが電気的に接続し、且つ、前記圧力室と前記インク流路孔とが連通するように積層されていることを特徴とするインクジェットヘッドユニットである。
【0019】
請求項2記載の発明は、前記パターン内の前記配線経路の端部は、前記ヘッドユニットベースの端部に配列していることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドユニットである。
【0020】
請求項3記載の発明は、複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記ヘッドユニットベースに繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、N=Kを満たすように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドユニットである。
【0021】
請求項4記載の発明は、複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記ヘッドユニットベースに繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、0<N<Kを満たすように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドユニットである。
【0022】
請求項5記載の発明は、前記ヘッドユニットベースは、1単位の前記パターンが所定の間隔をおいて列状に配置されると共に該列状に配置された前記パターンの列が、隣接する列同士の前記パターンが千鳥状に配置されるように並列されており、且つ、各列内の隣接する前記パターンの間に、隣接する他の列内の前記パターンの前記配線経路と導通する配線パターンが配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニットである。
【0023】
請求項6記載の発明は、前記ヘッドユニットベースは、前記配線パターンの少なくとも一部を、同一列の前記パターン内の前記配線経路と導通させるように引き回す切り返し回路を含むことを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドユニットである。
【0024】
請求項7記載の発明は、前記ヘッドユニットベースは、前記配線経路と電気的に接続される外部配線部材を有し、該外部配線部材は、1枚で複数単位の前記パターンの前記配線経路に共通に電気的接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニットである。
【0025】
請求項8記載の発明は、前記ヘッドユニットベースは、Si又はガラスからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニットである。
【0026】
請求項9記載の発明は、インクを吐出する複数のノズルと、前記ノズルに対応して連通する複数の圧力室と、前記圧力室の一壁面を構成する振動板と、前記振動板を変位させて前記圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させる圧力発生手段とを有する積層構造からなるヘッドチップを、共通のヘッドユニットベースに複数配置してなるインクジェットヘッドユニットの製造方法であって、
前記ヘッドユニットベースとなる1枚の共通基板に、1つの前記ヘッドチップの前記圧力発生手段へそれぞれ電力供給するための配線経路と、前記圧力室へそれぞれインク供給するためのインク流路孔とからなるパターンを1単位として、該パターンを複数単位繰り返し形成する工程と、
前記共通基板上の前記パターンにそれぞれ対応させて、前記ヘッドチップを、前記圧力発生手段と前記配線経路とが電気的に接続し、且つ、前記圧力室と前記インク流路孔とが連通するように形成する工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドユニットの製造方法である。
【0027】
請求項10記載の発明は、前記パターンを繰り返し形成する際、該パターン内の前記配線経路の端部は、該パターンの端部に配列するように形成することを特徴とする請求項9記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法である。
【0028】
請求項11記載の発明は、複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記共通基板に繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、N=Kを満たすように形成されることを特徴とする請求項9又は10記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法である。
【0029】
請求項12記載の発明は、複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記共通基板に繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、0<N<Kを満たすように形成されることを特徴とする請求項9又は10記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法である。
【0030】
請求項13記載の発明は、前記共通基板に前記パターンを形成する際、作製すべきインクジェットヘッドユニットに配列される前記ヘッドチップの数に相当する複数の前記パターンからなるパターン群が複数群含まれるように形成することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法である。
【0031】
請求項14記載の発明は、前記パターン群が繰り返し形成された前記共通基板から、該パターン群を、複数の前記パターンが所定の配列形態となるように切り出す工程を含むことを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法である。
【0032】
請求項15記載の発明は、前記共通基板は、Si又はガラスからなることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法である。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、各ヘッドチップについて、配線経路とインク流路孔に対する一度の位置決め作業を行うだけで、共通のベース部材に対して複数のヘッドチップを所定の配列形態で配置させることができるインクジェットヘッドユニットを提供することができる。
【0034】
また、本発明によれば、各ヘッドチップについて、配線経路とインク流路孔に対する一度の位置決め作業を行うだけで、共通のベース部材に対して複数のヘッドチップを所定の配列形態で配置させたインクジェットヘッドユニットを構成することができるインクジェットヘッドユニットの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】第1の実施形態に係る1つのインクジェットヘッドユニットの斜視図
【図2】図1に示すインクジェットヘッドユニットをノズル面側から見た図
【図3】図1に示すインクジェットヘッドユニットにおける隣接する2つのヘッドチップの部分を示す断面図
【図4】図3に示すインクジェットヘッドユニットのうちの1つのヘッドチップの部分を更に詳細に示す断面図
【図5】第1の実施形態において使用される共通基板の平面図
【図6】共通基板に形成されるパターンの一例を示す図
【図7】共通基板の製造方法の一例を示す工程図
【図8】共通基板の製造方法の一例を示す工程図
【図9】図6に示すパターンからなるインクジェットヘッドユニットのノズルピッチを説明する図
【図10】共通基板に形成されるパターンの他の一例を示す図
【図11】図10に示すパターンからなるインクジェットヘッドユニットのノズルピッチを説明する図
【図12】第2の実施形態に係る1つのインクジェットヘッドユニットの斜視図
【図13】第2の実施形態において使用される共通基板の平面図
【図14】共通基板に形成されるパターンを示す図
【図15】第2の実施形態において外部配線部材を接続した状態のヘッドユニットベースの平面図
【図16】第3の実施形態において共通基板に形成されるパターンの一例を示す図
【図17】第4の実施形態において共通基板に形成されるパターンの一例を示す図
【図18】第5の実施形態において共通基板に形成される駆動ICチップが実装されたパターンの一例を示す図
【図19】従来のインクジェットヘッドユニットを示す平面図
【図20】従来のインクジェットヘッドユニットを主走査方向から見た断面図
【発明を実施するための形態】
【0036】
本発明に係るインクジェットヘッドユニットは、インクを吐出する複数のノズルと、このノズルに対応して連通する複数の圧力室と、この圧力室の一壁面を構成する振動板と、この振動板を変位させて圧力室内のインクをノズルから吐出させる圧力発生手段とを有する積層構造からなるヘッドチップを、共通のヘッドユニットベースに複数配置することによって構成される。
【0037】
本発明においてインクジェットヘッドユニットを製造する工程は、1枚の共通基板に、1つのヘッドチップの圧力発生手段へそれぞれ電力供給するための配線経路と圧力室へそれぞれインク供給するためのインク流路孔とからなるパターンを1単位として、該パターンを複数単位繰り返し形成する工程と、この共通基板上のパターンにそれぞれ対応させて、ヘッドチップを、圧力発生手段と配線経路とが電気的に接続し、且つ、圧力室とインク流路孔とが連通するように形成する工程とを含む。
【0038】
共通基板は、インクジェットヘッドユニットのヘッドユニットベースとなる部材であり、1つのインクジェットヘッドユニットを構成する複数のヘッドチップに共通の1枚の基板である。この基板のベース材料には、Si(シリコン)又はガラスが好ましく用いられる。
【0039】
共通基板は、1つのインクジェットヘッドユニットのヘッドユニットベースよりも大判な基板を使用すると、1枚の共通基板から複数のヘッドユニットベースを作製することができる。
【0040】
共通基板に形成される配線経路とインク流路孔からなる1単位のパターンは、1つのヘッドチップに対応するパターンであり、このパターンを共通基板上に複数単位繰り返し形成することで、1枚の共通基板から複数のインクジェットヘッドユニットを作製することができる。
【0041】
各パターンは、それぞれ配線経路及びインク流路孔が、ヘッドチップ側の圧力発生手段及び圧力室に対応するように高精度に配置され、このパターンが、作製すべきインクジェットヘッドユニットのヘッドチップの配列形態となるように、相互のパターン間の位置関係が精密に規定され、共通基板上に複数単位繰り返し形成される。
【0042】
ヘッドチップの配列形態は、千鳥状、直列状等任意であるが、本発明は、この共通基板上に、1つのヘッドチップに対応する1単位のパターンが、最終製品であるインクジェットヘッドユニットにおけるヘッドチップの配列形態と同形態であり、且つ、その最終製品であるインクジェットヘッドユニットにおける複数のヘッドチップの配列ピッチと同一ピッチとなり得る配列パターンで、複数単位繰り返し形成される。
【0043】
各ヘッドチップは、この共通基板上の各パターンにそれぞれ対応させて、圧力発生手段と配線経路とが電気的に接続し、且つ、圧力室とインク流路孔とが連通するように位置決めされる。すなわち、本発明は、従来、インクジェットヘッド毎に個別に設けられていたインターポーザ層を、複数のヘッドチップで共通とし、これをヘッドユニットベースとして利用している。
【0044】
従って、共通のヘッドユニットベースに複数のヘッドチップを配置したインクジェットヘッドユニットを構成するための位置決め作業は、ヘッドチップを共通基板(ヘッドユニットベース)に積層する際の位置決め作業の1回だけで済むようになる。
【0045】
しかも、各パターンは予め共通基板上に所定の配列形態で高精度に形成されるため、ヘッドチップ毎にそれぞれ1回の位置決め作業を行うだけで、各ヘッドチップ間のアライメントと電気的接続及びインク供給流路の形成を同時に行うことができ、ヘッドユニットベースに対して複数のヘッドチップを所定の配列形態で配置させたインクジェットヘッドユニットを容易に構成することができる。
【0046】
パターンを繰り返し形成する際、該パターン内の配線経路の端部は、該パターンの端部に配列するように形成される。このため、共通基板から切り出されたヘッドユニットベースの端部に、各配線経路の端部が配列されるため、このヘッドユニットベースの端部に外部配線部材を電気的に接続させればよい。従って、ヘッドユニットベースに外部配線部材を引き出すための引き出し穴を形成する必要がなく、それだけヘッドユニットベースをコンパクトにすることができると共に、ヘッドチップが主走査方向に沿って複数列となるように配列される場合でも、各列間を可及的近接させることができるようになり、各列のヘッドチップ相互間の着弾位置ずれも小さく抑えることができる。
【0047】
共通基板にパターンを形成する際、作製すべきインクジェットヘッドユニットに配列されるヘッドチップの数に相当する複数のパターンからなるパターン群が複数群含まれるように形成することが好ましく、これにより1枚の共通基板は複数個のヘッドユニットベースを含むことができる。
【0048】
1枚の共通基板からヘッドユニットベースを作製する際は、パターン群が繰り返し形成された共通基板から、該パターン群を、複数のパターンが所定の配列形態となるように切り出すことによって行われる。
【0049】
パターン群の切り出しは、共通基板の材料に応じて、例えばダイシングソー、レーザー、ワイヤーソー等、適宜公知の手段によって行うことができる。
【0050】
ヘッドチップの積層は、パターン群の切り出しの前でも後でもよい。すなわち、各パターンにヘッドチップをそれぞれ積層した後に切り出しを行ってもよいし、共通基板からパターン群を切り出した後に、その切り出された共通基板(ヘッドユニットベース)内の各パターンにヘッドチップをそれぞれ積層するようにしてもよい。
【0051】
パターン群を切り出すことで、多数単位のパターンを1枚の共通基板上に二次元的に配列させ、その中から所望の数及び配列形態となるようにパターン群を切り出すことができるので、あるパターンに不具合箇所が発生していても、その不具合箇所を含むパターンを避けて、他のパターンを用いてパターン群を切り出して使用することが可能となり、歩留まりを向上させることができる。
【0052】
次に、本発明の実施の形態について図面を用いて更に詳しく説明する。
(第1の実施形態)
図1は1つのインクジェットヘッドユニットの斜視図、図2はインクジェットヘッドユニットをノズル面側から見た図である。
【0053】
図中、Hu1はインクジェットヘッドユニット、1はヘッドユニットベース、2はヘッドチップ、3はインクマニホールド、4は外部配線部材である。
【0054】
ヘッドユニットベース1は、ここでは4つのヘッドチップ2がヘッドユニットベース1の下面、各ヘッドチップ2に対応するインクマニホールド3がヘッドユニットベース1の上面にそれぞれ接合されて有しており、これらヘッドチップ2及びインクマニホールド3が、図中の「主」で示される主走査方向に沿って一列状に配列されている。
【0055】
各ヘッドチップ2は、ノズル面21が下面側となるようにヘッドユニットベース1の下面に接合されている。各ノズル面21には、インクを吐出するための多数のノズル22が、図中の「副」で示される副走査方向から見た場合に、主走査方向に沿って所定の間隔Xで等間隔となるように配列されている。ここでは各ノズル面21に、各列4個ずつで2列の計8個のノズル22が図示されているが、ノズル数及び配列パターンは図示するものに何ら限定されない。
【0056】
なお、本明細書において、インクジェットヘッドユニットを構成した際のヘッドチップのノズルからインクが吐出される方向を「下」、その反対方向を「上」と定義する。また、主走査方向と副走査方向は互いに直交する方向である。
【0057】
インクマニホールド3は、内部がインクを貯留する共通インク室31とされた箱型を呈しており、ヘッドユニットベース1を貫通する後述するインク流路孔を介して、該ヘッドユニットベース1の反対面に接合されている対応するヘッドチップ2の後述する圧力室内にインクを供給し得るようになっている。
【0058】
外部配線部材4は、ヘッドユニットベース1の上面において、インクマニホールド3の列を挟んで対向する端部に、ヘッドユニットベース1の長さ方向に亘る幅でそれぞれ1枚ずつ、該ヘッドユニットベース1上の後述する端子と電気的に接続されるようにACF(異方性導電フィルム)によって接合されている。外部配線部材4は、駆動ICが実装された不図示の駆動回路基板からの電力信号を、ヘッドユニットベース1に形成された後述する配線経路を介して、各ヘッドチップ2の後述する圧力発生手段に供給する。外部配線部材4としては、電力信号を伝送し得るものであればよいが、一般にはFPC(フレキシブルプリント基板)が使用される。
【0059】
次に、図3、図4に示すインクジェットヘッドユニットの断面図を用いて、内部の構造について説明する。図3は、インクジェットヘッドユニットHu1における隣接する2つのヘッドチップ2の部分を示す断面図であり、図4は、そのうちの1つのヘッドチップ2の部分を更に詳細に示す断面図である。
【0060】
ヘッドチップ2は、図3、図4における下層側から、Si(シリコン)基板によって形成されたノズルプレート201、ガラス基板によって形成された中間プレート202、Si(シリコン)基板によって形成された圧力室プレート203、SiO薄膜によって形成された振動板204と有する積層構造からなる。ノズル22はノズルプレート201に開口している。
【0061】
圧力室プレート203には、吐出のためのインクを収容する圧力室23が、ノズル22に1対1に対応するように個別に形成されており、そのうちの一壁面を構成する上壁が振動板204によって構成され、下壁が中間プレート202によって構成されている。中間プレート202には、圧力室23の内部とノズル22とを連通する連通路24が貫通形成されている。
【0062】
振動板204の上面には、各圧力室23にそれぞれ1対1に対応して個別に、圧力発生手段としての薄膜PZTからなるアクチュエータ25が積層されている。アクチュエータ25はその上下面がそれぞれ上部電極25aと下部電極25bで挟まれている。下部電極25bは振動板204の上面に形成されており、この下部電極25b上にアクチュエータ25の本体が積層されている。上部電極25a上には電気的接点部となるバンプ25cが、上方のヘッドユニットベース1に向けて突出形成されている。
【0063】
このヘッドユニットベース1は、従来では圧力発生手段に対して電力供給するためのインターポーザ層(配線層)と称されていたものであり、本発明は、この従来ではインターポーザ層として機能していた層が、複数のヘッドチップ2に共通の基板となり、ヘッドユニットベース1を構成している。
【0064】
ヘッドユニットベース1は、ベース部材であるSi基板からなる基板本体101の上面に、SiOからなる絶縁層102を介して上部配線103が形成され、更にこの上部配線103の上にSiOからなる配線保護層104が形成されている。外部配線基板4は、ヘッドユニットベース1の上面の端部において、この上部配線103の端部に形成された端子と電気的に接続される。
【0065】
上部配線103の一部は、基板本体101に形成された貫通穴101aを介して基板本体101の下面に臨んでおり、該基板本体101の下面にSiOからなる絶縁層105を介して形成された下部配線106と導通している。下部配線106には、バンプ106aが、下方のヘッドチップ2に向けて突出形成されている。
【0066】
また、ヘッドユニットベース1の下面には、接着樹脂層107が積層されている。接着樹脂層107は、熱硬化性の感光性接着樹脂シートであり、下部配線106とヘッドチップ2のアクチュエータ25との間に該接着樹脂層107の厚み分の間隔を設けるべく、ヘッドユニットベース1における絶縁層105の下面に積層されている。
【0067】
これらヘッドユニットベース1とヘッドチップ2とは、各々別々に作製された後、この接着樹脂層107を介して積層一体化される。このとき、ヘッドチップ2の振動板204表面に形成されている下部電極25bの上面が、接着樹脂層107に対して積層され、所定の硬化温度に加熱され及び圧着されることによって、ヘッドユニットベース1とヘッドチップ2とが接着樹脂層107を介して接着される。なお、接着樹脂層107は、ヘッドチップ2の積層前に、ヘッドチップ2のアクチュエータ25及びその周囲に相当する領域が露光、現像によって除去されている。これにより、ヘッドユニットベース1の下面とヘッドチップ2の上面との間に、アクチュエータ25の収容空間108が形成される。
【0068】
ヘッドチップ2の下部電極25bは、当該ヘッドチップ2上に設けられている複数のアクチュエータ25に共通の共通電極であり、図示していないが、アクチュエータ25が積層されていない下部電極25bの表面の少なくとも一部に、ヘッドユニットベース1に向けて大きく突出する共通電極用のバンプが突出形成されている。一方、ヘッドユニットベース1には、図示していないが、下部配線106と同様にして基板本体101を貫通するように形成される共通電極用の下部配線が形成されている。ヘッドユニットベース1とヘッドチップ2との積層時には、このヘッドチップ2側の共通電極用のバンプと、ヘッドユニットベース1側の共通電極用の下部配線とが電気的に接続されることにより、ヘッドチップ2の下部電極25bが、共通電極としてヘッドユニットベース1の上面に引き出され、その端部において外部配線部材4の配線と電気的に接続されるようになっている。
【0069】
ヘッドユニットベース1には、その上面(配線保護層104)から下面(接着樹脂層107)に亘って上下に貫通する貫通穴からなるインク流路孔109が、ヘッドチップ2内の各圧力室23に1対1に対応するように形成されている。インク流路孔109の一端(上端)は、ヘッドユニットベース1の上面に接合されているインクマニホールド3内の共通インク室31と連通し、他端(下端)は、ヘッドチップ2の振動板204に形成された開口204aを通して圧力室23の内部と連通している。従って、インクマニホールド3内のインクは、このヘッドユニットベース1を貫通するインク流路孔109を介して、圧力室23内に供給されるようになっている。
【0070】
このインクジェットヘッドユニットHu1は、外部配線基板4、上部配線103、下部配線106を介して、各アクチュエータ25に電力信号が供給されることで該アクチュエータ25が変形し、振動板204が振動することで、圧力室23内のインクに吐出のための圧力が付与され、連通路24を通ってノズル22から微小液滴として吐出される。
【0071】
次に、このインクジェットヘッドユニットHu1の製造方法について、図5〜図8を用いて説明する。
【0072】
図5において、符号10は1枚の共通基板(基板本体)を示している。この共通基板10は、最終的にインクジェットヘッドユニットHu1におけるヘッドユニットベース1となる基板であり、1枚の基板から複数枚のヘッドユニットベース1をパーツ取りできるように、必要とされるヘッドユニットベース1の大きさよりも大判な基板が用いられている。この共通基板10は、好ましくはSi基板又はガラス基板であるが、ここではSi基板(シリコンウエハ)を使用した例について説明する。
【0073】
まず、この共通基板10に対し、1つのヘッドチップ2が有する各アクチュエータ25のそれぞれに対して電力供給するための配線経路と、各圧力室23のそれぞれに対してインク供給するためのインク流路孔とからなるパターンPを1単位として、該パターンPを複数単位繰り返し形成する。ここでは、図1に示したように、ヘッドユニットベース1に4個のヘッドチップ2を一列状に配置するため、共通基板10内に効率良くパターンPが収まるように、多数のパターンPの単位を縦・横方向(副・主走査方向)に格子状に配列されるように繰り返し形成している。
【0074】
各パターンPの詳細を図6に示す。ここでは、ヘッドユニットベース1の上面に相当する共通基板10の表面を示している。
【0075】
1つのパターンPは、図6中に示す仮想切断ラインL1、L2、L3、L4で囲まれる一つの矩形領域E内に収まるように形成される。1つのパターンP内には、ヘッドチップ2の各アクチュエータ25に1対1に対応するように、下部配線106(図6では見えない。)及びこの下部配線106と導通する上部配線103と、ヘッドチップ2の下部電極25bから突出形成された共通電極用のバンプと電気的に接続される共通電極用の下部配線(図6では見えない。)及びこの共通電極用の下部配線と導通する2本の共通電極配線111とからなる配線経路と、共通基板10を貫通し、ヘッドチップ2の各圧力室23内と連通するインク流路孔109とが形成される。
【0076】
すなわち、各パターンPは、2本の共通電極配線111の間に、各下部配線106、各上部配線103及び各インク流路109が配置されて1つの単位を構成している。
【0077】
上部配線103は、矩形領域Eの端部(図6では仮想切断ラインL2、L4)に形成された端子110と導通し、共通電極配線111も矩形領域Eの同じ端部まで延びている。この共通電極配線111は、複数のアクチュエータ25の下部電極25bに共通に導通するため、電流密度を考慮して上部配線103よりも幅広に形成される。外部配線部材4は、これらの端子110及び共通電極配線111の端部と電気的に接続される。
【0078】
ここで、配線経路及びインク流路孔からなるパターンPを共通基板10に形成する工程の一例を説明する。ここでは一つのパターンPの一部のインク流路孔109、上部電極103及び下部電極106の部位のみを示すが、これらは、一つのパターンP内に複数形成され、且つ、このパターンPが共通基板10に複数単位繰り返し形成される。
【0079】
まず、Si基板からなる共通基板10を用意し(図7(a))、その両面にそれぞれSiOからなる絶縁膜10a、10bを製膜する(図7(b))。
【0080】
次いで、共通基板10の下面側の絶縁膜10b上に、電極用金属を用いてスパッタリング法によって金属膜を形成し、更にその表面にレジストを塗布形成して、マスクを介して露光・現像することによって不要な金属膜の部位を露出させ、エッチングすることによって不要な金属膜を除去し、レジストを剥離することによって、下部電極106を形成する(図7(c))。
【0081】
次いで、共通基板10の上面側の絶縁膜10a上にレジストを塗布形成し、マスクを介して露光・現像することによって、貫通穴を形成すべき領域のレジストを除去した後、エッチングすることによって、絶縁膜10a、共通基板10及び絶縁膜10bを貫通する貫通穴10c、10dを形成する。一方の貫通穴10dの底面には下部電極106が露出している(図7(d))。
【0082】
次いで、貫通穴10c、10dの内面に絶縁膜10e、10fをそれぞれ形成する。このとき、貫通穴10dの底面にも絶縁膜10fが形成される(図7(e))。
【0083】
次いで、共通基板10の上面側の絶縁膜10aにレジストを塗布形成し、マスクを介して露光・現像することによって、貫通穴10dの部位を露出させ、エッチングすることによって貫通穴10dの底面の絶縁膜10fを除去した後、レジストを剥離する。これによって貫通穴10dの底面に下部電極106を露出させる(図8(a))。
【0084】
次いで、共通基板10の上面側の絶縁膜10aに再度レジストを塗布形成し、マスクを介して露光・現像することによって、貫通穴10dの部位を含む電極形成領域を露出させ、めっき法によって上部電極103を形成した後、レジストを剥離する。上部電極103は、貫通穴10d内に入り込み、その底面に露出する下部電極106と導通する(図8(b))。
【0085】
次いで、共通基板10の下面側に形成された下部電極106上に、はんだスクリーン印刷によってバンプ106aを形成する(図8(c))。
【0086】
次いで、共通電極10の上面側に、保護膜となるドライフィルム10gを被覆し、貫通穴10cに対応する部位を露光・現像によって開口させる(図8(d))。
【0087】
次いで、共通基板10の下面側にドライフィルムからなる接着樹脂層107を被覆し、貫通穴10cに対応する部位及び下部電極106に対応する部位(ヘッドチップのアクチュエータに対応する領域)を露光・現像によって開口させる。貫通穴10cの部位は表裏に貫通し、インク流路孔109となる(図8(e))。
【0088】
以上の工程によって共通基板10に複数単位繰り返し形成されるパターンPは、シリコンウエハ上に半導体製造技術を利用して高精度にパターン形成することができるので、位置精度が極めて高い。各パターンPの位置は、そのまま各ヘッドチップ2の取付け位置となるため、図1の態様では、この共通基板10から4つのパターンPが主走査方向に一列となる配列形態(図5中の太枠線で示すパターン群Pa)を切り出して、これをヘッドユニットベース1とすることで、このヘッドユニットベース1の各パターンPに合致するように各ヘッドチップ2を接合するだけで、各ヘッドチップ2を高い位置精度でヘッドユニットベース1に配列させることができる。
【0089】
従って、共通基板10に複数単位のパターンPを繰り返し作製した後、その中から所望のヘッドチップ2の数及び配列形態、すなわち共通基板10のパターンPの数及び配列形態となるパターン群Paを選定し、これを仮想切断ラインL1〜L4に沿って切り出せばよい。ここでは一つのパターン群Paに4つのパターンPが含まれており、切り出されたパターン群Paによって1つのヘッドユニットベース1が作製される。
【0090】
このようにしてヘッドユニットベース1が作製された後、このヘッドユニットベース1の各パターンPの位置に対応するように、別途形成したヘッドチップ2を位置決めして接合する(図4)。ヘッドチップ2の位置決めは、公知の方法によって行うことができ、例えば、各パターンPの形成時に予めアライメントマークを同時に形成しておき、このアライメントマークを基準にして位置決めを行うことができる。
【0091】
ヘッドユニットベース1に所定数のヘッドチップ2を接合した後、ヘッドユニットベース1の両端部の各端子110及び共通電極配線111にそれぞれ外部配線部材4、4をACFによって電気的に接続することによってインクジェットヘッドユニットHu1が完成する。
【0092】
ヘッドユニットベース1には、上面の両端部にそれぞれ各パターンPの配線経路(上部配線103及び共通電極配線111)の端部が配列されているので、複数のヘッドチップ2に対する配線を個別に行う必要はなく、1枚の外部配線部材4でヘッドユニットベース1上の複数のヘッドチップ2に対して電力信号を供給するための配線をまとめて電気的接続することができる。
【0093】
ところで、共通基板10上に繰り返し形成される複数単位のパターンPは、最終製品であるインクジェットヘッドユニットHu1におけるヘッドチップ2の配列形態(ここでは一列状)と同形態となるように配列され、且つ、その最終製品であるインクジェットヘッドユニットHu1における複数のヘッドチップ2の配列ピッチと同一ピッチとなり得る配列パターンで、複数単位繰り返し形成される。
【0094】
この配列ピッチについて更に説明する。
【0095】
共通基板10上で隣接するパターンPは、ヘッドチップに配列されるノズルの数をKとしたとき、そのノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、K個のノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、共通基板10に繰り返し形成されるパターンPは、主走査方向座標系において2以上のパターンPが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つのパターンP間の距離DはNX(Nは整数)に形成されると共に、N=Kを満たすように形成される。
【0096】
すなわち、ここでは、1つのヘッドチップ2に8個のノズル22(K=8)が主走査方向に沿って間隔Xで配置されているので(図2)、共通基板10上に主走査方向に沿って隣接するパターンP間の距離Dは、8Xを満たすように形成される(図6)。
【0097】
これにより作製されるインクジェットヘッドユニットHu1は、ヘッドユニットベース1における隣接するヘッドチップ2間の距離も、図9に示すように8Xとなる。この場合、同一構成の2つのインクジェットヘッドユニットHu1、Hu1を並列させ、副走査方向に見た場合、一方のインクジェットヘッドユニットHu1のヘッドチップ2間に、他方のインクジェットヘッドユニットHu1のヘッドチップ2が配置されるようにすると、2つのインクジェットヘッドユニットHu1、Hu1全体で、主走査方向に沿って等ピッチXのノズル22を配列させることができ、主走査方向に長尺のノズル列を構成することができる。
【0098】
また、共通基板10上で隣接するパターンPは、ヘッドチップに配列されるノズルの数をKとしたとき、そのノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、K個のノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、共通基板10に繰り返し形成されるパターンPは、主走査方向座標系において2以上のパターンPが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つのパターンP間の距離DはNX(Nは整数)に形成されると共に、0<N<Kを満たすように形成することもできる。
【0099】
すなわち、ここでは、1つのヘッドチップ2に8個のノズル22(K=8)が主走査方向に沿って間隔Xで配置されているので(図2)、共通基板10上に主走査方向に沿って隣接するパターンP間の距離Dは、0<N<8を満たすように形成される(図10)。
【0100】
これにより作製されるインクジェットヘッドユニットHu1は、ヘッドユニットベース1における隣接するヘッドチップ2間の距離が、図11に示すように8X(1つのヘッドチップ2の主走査方向のノズル列の長さ)よりも小さくなる。この場合、同一構成の2つのインクジェットヘッドユニットHu1、Hu1を並列させ、副走査方向に見た場合、一方のインクジェットヘッドユニットHu1のヘッドチップ2間に、他方のインクジェットヘッドユニットHu1のヘッドチップ2が配置されるようにすると、2つのインクジェットヘッドユニットHu1、Hu1間の各ヘッドチップ2のノズル22は、互いに端部側がオーバーラップするので、万一、いずれかのヘッドチップ2の取付け位置にずれが生じていても、隣接するインクジェットヘッドユニットHu1、Hu1同士のヘッドチップ2間に、描画時に白スジ等が発生することを防ぐことができる。
【0101】
(第2の実施形態)
次に、インクジェットヘッドユニットの他の形態について説明する。
【0102】
図12は、第2の実施形態に係るインクジェットヘッドユニットHu2の斜視図であり、図1と同一符号の部位は同一部品を示している。
【0103】
このインクジェットヘッドユニットHu2は、1つのヘッドユニットベース4に4つのヘッドチップ2及びインクマニホールド3がそれぞれ接合される点で、第1の実施形態に係るインクジェットヘッドユニットHu1と同一であるが、ヘッドチップ2とインクマニホールド3との組が、ヘッドユニットベース1に対して主走査方向に沿って2列となる千鳥状に配置されている点で異なっている。
【0104】
このインクジェットヘッドユニットHu2を製造する際に使用される共通基板10は、図13に示すように、1つのヘッドチップ2に対応するインク流路孔と配線経路とからなるパターンPが主走査方向に沿って一列に配列されてなるパターンPの列が、副走査方向に並列されるが、隣接する列間の各パターンPは半ピッチずれるように形成される。これによって副走査方向に隣接するパターンPの列間では、各パターンPが主走査方向に沿って千鳥状となるように配置される。
【0105】
この場合の各パターンPの詳細を図14に示す。ここでは、ヘッドユニットベース1の上面に相当する共通基板10の表面を示している。
【0106】
1つのパターンPは、図14中に示す仮想切断ラインL1、L2、L3、L4で囲まれる一つの矩形領域E内に収まるように形成される。1つのパターンP内には、ヘッドチップ2の各アクチュエータ25に1対1に対応するように、下部配線106(図14では見えない。)及びこの下部配線106と導通する上部配線103と、ヘッドチップ2の下部電極25bから突出形成された共通電極用のバンプと電気的に接続される共通電極用の下部配線(図14では見えない。)及びこの共通電極用の下部配線と導通する2本の共通電極配線111とからなる配線経路と、共通基板10を貫通し、ヘッドチップ2の各圧力室23内と連通するインク流路孔109とが形成される。
【0107】
すなわち、各パターンPは、2本の共通電極配線111の間に、各下部配線106、各上部配線103及び各インク流路109が配置されて1つの単位を構成している。ここでは、主走査方向に隣接するパターンP間の距離Dは8Xとなるように配置されている。
【0108】
上部配線103は、矩形領域Eの端部(図14では仮想切断ラインL2、L4)に形成された端子110と導通し、共通電極配線111も矩形領域Eの同じ端部まで延びている。この共通電極配線111は、複数のアクチュエータ25の下部電極25bに共通に導通するため、電流密度を考慮して上部配線103よりも幅広に形成される。
【0109】
一つのパターンPには、1群のインク流路孔109と上部配線103(下部配線)を挟むように2本の共通電極配線111を有しているが、各矩形領域E内において、各共通電極配線111の両外側には、副走査方向に隣り合うパターンPの列のうちの一つのパターンP内の各上部配線103と端子110を介してそれぞれ導通する配線パターン112を形成している。
【0110】
一つの配線パターン112は、主走査方向に隣接するパターンPの共通電極配線111で挟まれた上部電極103のうちの1/4と導通する配線数で構成されている。従って、主走査方向に隣接する2つのパターンPにおいて、その間の仮想切断ラインを挟んで隣接する2つの配線パターン112によって、それと副走査方向に隣接する1つのパターンP内の1/2の上部配線103と端子110を介して導通する構成となっており、各パターンPを主走査方向に見た場合、2本の共通電極配線111で挟まれたインク流路孔109と上部配線103(下部配線)の群と、2つの配線パターン112とが交互に形成されるパターンとなっている。
【0111】
このようなパターンPを有する共通基板10も、図7〜図8で示した工程と同一の工程によって作製することができる。
【0112】
この共通基板10から1つのインクジェットヘッドユニットHu2を作製するための1つのヘッドユニットベース1を切り出す場合、4つのパターンPが千鳥状に含まれるパターン群Pb(図13において太枠線で示す。)を選定し、これを仮想切断ラインL1〜L4に沿って切り出すことによって行われる。
【0113】
切り出されたヘッドユニットベース1には、それぞれ図4と同様に、ヘッドチップ2が接合されると共に、その反対面にインクマニホールド3が接合される。ヘッドユニットベース1の両端部には、それぞれ端子110が配列されるため、この端子110に外部配線部材4をそれぞれACFによって電気的に接続する。2列のヘッドチップ2の間には外部配線部材4は形成されないため、それだけ2列のヘッドチップ2間を可及的近接させることができ、着弾ずれを抑えることができる。
【0114】
図15は、以上の千鳥状に配置される4つのパターンP1〜P4を含むヘッドユニットベース1に外部配線部材4を接合した状態を示し、インクマニホールド3を図示省略した平面図で示している。1枚の外部配線部材4は、1本の共通電極配線111を挟んで、その両側に配列される1/4の外部配線103の端子110と、一つの配線パターン112の端部の端子110と電気的に接続されるようになっており、合計8枚の外部配線部材4からなっている。
【0115】
このとき、パターンP1及びP4の各上部配線103のうちの1/2(副走査方向に隣接するパターンPの列に近接する側の上部配線103の1/2)は、副走査方向に隣接している配線パターン112によって、当該副走査方向の反対側の端部の端子110によって外部配線部材4と電気的に接続されているが、主走査方向にそれぞれはみ出した部位に位置する2つのパターンP2及びP3の各上部配線103のうちの1/4(副走査方向に隣接するパターンPの列に近接する側の上部配線103の1/4)には、対応する配線パターン112が存在していない。
【0116】
しかし、当該パターンP2及びP3の側部には、それぞれ一つずつの配線パターン112が配置されているため、この配線パターン112を利用するべく、切り返し回路113によって両者の電気的接続を図り、この1/4の上部配線103を同一パターンP内に引き回している。
【0117】
切り返し回路113は、例えばFPCによって形成することができ、その一方の面には、上部配線103の1/4の各端子110に対応する数及び配置の端子113a及び一つの配線パターン112の各端子110に対応する数及び配置の端子113bと、これら端子113a、113b間をそれぞれ個別に導通させる配線113cとを有している。
【0118】
この切り返し回路113が、ヘッドユニットベース1の上面において、端子113aが、主走査方向にはみ出している部位の上部配線103の端子110に対応し、端子113bが、配線パターン112の端子110にそれぞれ対応するように配置されてACFによって電気的に接続されている。
【0119】
これによって、共通基板10からパターンPが千鳥状となるようにヘッドユニットベース1を切り出しても、1つのヘッドユニットベース1内で全ての端子110と外部配線部材4との電気的接続を完了させることができる。
【0120】
(第3の実施形態)
図16は、第3の実施形態において、共通基板10に複数単位繰り返し形成されるパターンPの配列態様を示している。
【0121】
ここでは各パターンPは平行四辺形状で形成されている。各パターンPは同一のピッチで並列されているが、第2の実施形態と同様に千鳥状に配列してもよい。
【0122】
(第4の実施形態)
図17は、第4の実施形態において、共通基板10に複数単位繰り返し形成されるパターンPの配列態様を示している。
【0123】
ここでは各パターンPは、両端にそれぞれ矩形状部Px、Pxを有しており、その矩形状部Px、Pxの間が平行四辺形状部Pyで接続された形状を呈している。同一形状のパターンPが同一のピッチで並列されているが、第2の態様と同様に千鳥状に配列してもよい。
【0124】
(第5の実施形態)
図18は、第5の実施形態において、共通基板10に複数単位繰り返し形成されるパターンPを示している。
【0125】
各パターンPにはそれぞれ駆動ICチップSが実装されている。各駆動ICチップSは、入力側配線114によってパターンPの端部の端子110aと導通していると共に、出力側配線115によって各パターンP内の上部配線と導通している。パターンP上に駆動ICチップSを実装することで、外部配線部材4と電気的接続される配線数を少なくすることができ、配線パターンの簡略化を図ることができる。
【0126】
ここでは1つのパターンPに4つの駆動ICチップSを実装しているが、その数及び配置は図示するものに限定されない。また、各パターンPの形状は第4の実施形態と同一の形状を用いているが、何ら限定されない。
【0127】
(第6の実施形態)
共通基板10にガラス基板を使用する場合は、上部配線103、下部配線106をスパッタリング法、めっき法、蒸着法等の公知の方法によって形成することができる。インク流路孔109となる貫通穴や上部配線103と下部配線106とを導通させるための電極用の貫通穴は、ドリル加工又はブラスト加工によって形成することができる。
【0128】
上部配線103と下部配線106とを導通させるための電極は、貫通穴内に金属ペーストを埋め込むことによって形成することができる。
【符号の説明】
【0129】
Hu1、Hu2:インクジェットヘッドユニット
1:ヘッドユニットベース
10:共通基板
10a、10b、10e、10f:絶縁膜
10c、10d:貫通穴
10g:ドライフィルム
101:基板本体
101a:貫通穴
102:絶縁層
103:上部配線
104:配線保護層
105:絶縁層
106:下部配線
106a:バンプ
107:接着樹脂層
108:収容空間
109:インク流路孔
110:端子
111:共通電極配線
112:配線パターン
2:ヘッドチップ
21:ノズル面
22:ノズル
23:圧力室
24:連通路
25:アクチュエータ
25a:上部電極
25b:下部電極
25c:バンプ
201:ノズルプレート
202:中間プレート
203:圧力室プレート
204:振動板
204a:開口
3:インクマニホールド
31:共通インク室
4:外部配線部材
P:パターン
Pa、Pb:パターン群
L1〜L4:仮想切断ライン
E:矩形領域
S:駆動ICチップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する複数のノズルと、前記ノズルに対応して連通する複数の圧力室と、前記圧力室の一壁面を構成する振動板と、前記振動板を変位させて前記圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させる圧力発生手段とを有する積層構造からなるヘッドチップを、共通のヘッドユニットベースに複数配置してなるインクジェットヘッドユニットであって、
前記ヘッドユニットベースに、1つの前記ヘッドチップの前記圧力発生手段へそれぞれ電力供給するための配線経路と、前記圧力室へそれぞれインク供給するためのインク流路孔とからなるパターンを1単位として、前記ヘッドチップの数に相当する単位数の前記パターンが、所定の配列形態となるように形成されており、
前記ヘッドユニットベースの前記パターンのそれぞれに対応して、前記ヘッドチップが、前記圧力発生手段と前記配線経路とが電気的に接続し、且つ、前記圧力室と前記インク流路孔とが連通するように積層されていることを特徴とするインクジェットヘッドユニット。
【請求項2】
前記パターン内の前記配線経路の端部は、前記ヘッドユニットベースの端部に配列していることを特徴とする請求項1記載のインクジェットヘッドユニット。
【請求項3】
複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記ヘッドユニットベースに繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、N=Kを満たすように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドユニット。
【請求項4】
複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記ヘッドユニットベースに繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、0<N<Kを満たすように形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のインクジェットヘッドユニット。
【請求項5】
前記ヘッドユニットベースは、1単位の前記パターンが所定の間隔をおいて列状に配置されると共に該列状に配置された前記パターンの列が、隣接する列同士の前記パターンが千鳥状に配置されるように並列されており、且つ、各列内の隣接する前記パターンの間に、隣接する他の列内の前記パターンの前記配線経路と導通する配線パターンが配置されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニット。
【請求項6】
前記ヘッドユニットベースは、前記配線パターンの少なくとも一部を、同一列の前記パターン内の前記配線経路と導通させるように引き回す切り返し回路を含むことを特徴とする請求項5記載のインクジェットヘッドユニット。
【請求項7】
前記ヘッドユニットベースは、前記配線経路と電気的に接続される外部配線部材を有し、該外部配線部材は、1枚で複数単位の前記パターンの前記配線経路に共通に電気的接続されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニット。
【請求項8】
前記ヘッドユニットベースは、Si又はガラスからなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニット。
【請求項9】
インクを吐出する複数のノズルと、前記ノズルに対応して連通する複数の圧力室と、前記圧力室の一壁面を構成する振動板と、前記振動板を変位させて前記圧力室内のインクを前記ノズルから吐出させる圧力発生手段とを有する積層構造からなるヘッドチップを、共通のヘッドユニットベースに複数配置してなるインクジェットヘッドユニットの製造方法であって、
前記ヘッドユニットベースとなる1枚の共通基板に、1つの前記ヘッドチップの前記圧力発生手段へそれぞれ電力供給するための配線経路と、前記圧力室へそれぞれインク供給するためのインク流路孔とからなるパターンを1単位として、該パターンを複数単位繰り返し形成する工程と、
前記共通基板上の前記パターンにそれぞれ対応させて、前記ヘッドチップを、前記圧力発生手段と前記配線経路とが電気的に接続し、且つ、前記圧力室と前記インク流路孔とが連通するように形成する工程とを含むことを特徴とするインクジェットヘッドユニットの製造方法。
【請求項10】
前記パターンを繰り返し形成する際、該パターン内の前記配線経路の端部は、該パターンの端部に配列するように形成することを特徴とする請求項9記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法。
【請求項11】
複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記共通基板に繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、N=Kを満たすように形成されることを特徴とする請求項9又は10記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法。
【請求項12】
複数の前記ヘッドチップのそれぞれにはK個の前記ノズルが配列されており、前記ノズル位置を主走査方向と副走査方向の2軸座標についてみた場合、
K個の前記ノズルは主走査方向座標について一定の間隔Xで配置されており、
前記共通基板に繰り返し形成される前記パターンは、主走査方向座標系において2以上の前記パターンが隣接しており、主走査方向に沿って隣接する2つの前記パターン間の距離はNX(Nは整数)に形成されると共に、0<N<Kを満たすように形成されることを特徴とする請求項9又は10記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法。
【請求項13】
前記共通基板に前記パターンを形成する際、作製すべきインクジェットヘッドユニットに配列される前記ヘッドチップの数に相当する複数の前記パターンからなるパターン群が複数群含まれるように形成することを特徴とする請求項9〜12のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法。
【請求項14】
前記パターン群が繰り返し形成された前記共通基板から、該パターン群を、複数の前記パターンが所定の配列形態となるように切り出す工程を含むことを特徴とする請求項13記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法。
【請求項15】
前記共通基板は、Si又はガラスからなることを特徴とする請求項9〜14のいずれかに記載のインクジェットヘッドユニットの製造方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2012−126029(P2012−126029A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−279855(P2010−279855)
【出願日】平成22年12月15日(2010.12.15)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】