説明

インクジェット印刷装置

【課題】インクジェット印刷装置において、搬送ベルト上での用紙浮きを抑える。
【解決手段】供給ローラ14から搬送ベルト222に向けて供給された用紙Pに対して、用紙ガイド227が、用紙Pの搬送方向に延びる断面において搬送ベルト222側に凸となる曲げBを付与して搬送ベルト222上に導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ベルトで吸着搬送された用紙にインクを吐出して印刷するインクジェット印刷装置に関する。より詳しくは、用紙を搬送ベルト上に導く用紙ガイドを備えたインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット印刷装置において、インクジェットヘッドに向けて用紙を多孔性の搬送ベルトで吸着搬送することが知られている。また、この搬送ベルト上に用紙を適切に受け渡すために、用紙ガイドが用いられている。特許文献1には、受け渡しの際に用紙に大きな弛みの発生や、引っ張り力が作用しないように、上に凸のループを形成する用紙ガイドが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−326053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、用紙に図5に示すようなシワが発生していると、搬送ベルト上に導かれた用紙には、搬送ベルトとの間に隙間(以下、用紙浮きという)が発生する可能性がある。この用紙浮きが発生すると、搬送中の用紙がインクジェットヘッドに衝突して用紙ジャムや、インクジェットヘッドのインクジェットノズルを破損させる虞がある。
【0005】
特許文献1に提案されている技術では、上に凸の用紙ガイド上でシワを一旦伸ばすことは可能であるが、用紙には上に凸の曲げが付与されるため、用紙ガイドを通過して搬送ベルトへ導かれた際に、シワを伸ばした状態で搬送ベルトに吸着させることが困難となり、シワを元に戻してしまう虞がある。
【0006】
本発明の目的は、上記事情に鑑み、搬送ベルト上での用紙浮きを抑えることができるインクジェット印刷装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のインクジェット印刷装置は、用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドと、このインクジェットヘッドに用紙を吸着搬送する搬送ベルトと、この搬送ベルト上に向けて用紙を供給する供給ローラとを備えたインクジェット印刷装置であって、供給ローラから搬送ベルトに向けて供給された用紙に対して、用紙の搬送方向に延びる断面が搬送ベルト側に凸となる曲げを付与して搬送ベルト上に導く用紙ガイドとを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、用紙ガイドは、曲面を有するものであり、供給された用紙を曲面に当接させ、この曲面の少なくとも一部分に沿わせることにより、曲げを付与して搬送ベルト上に導くものであってもよい。
【0009】
また、本発明のインクジェット印刷装置は、用紙ガイドが、用紙に付与する曲げの曲率を用紙の厚みに応じて変化させる制御機構を備え、この制御機構は、用紙が厚い場合には曲げの曲率を小さくし、用紙が薄い場合には曲げの曲率を大きくするものであってもよい。
【0010】
ここで、「付与する曲げの曲率」とは、用紙ガイドによって付与された曲げの曲率であり、すなわち搬送ベルトに到達する直前で用紙が有する曲げの曲率を意味する。
【0011】
また、制御機構は、供給された用紙が曲面に当接するこの曲面上の位置を変化させることにより、用紙ガイドが用紙に付与する曲げの曲率を変化させるものであってもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明のインクジェット印刷装置によれば、供給ローラから搬送ベルトに向けて供給された用紙に対して、用紙の搬送方向に延びる断面が搬送ベルト側に凸となる曲げを付与して搬送ベルト上に導く用紙ガイドとを備えたことにより、搬送ベルト上に導かれた用紙に、図6中の矢印で示すような幅方向のコシを持たせて用紙に発生したシワを伸ばし、シワを伸ばした状態で搬送ベルトに導くことができるため、搬送ベルト上での用紙浮きを抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】インクジェット印刷装置の概略構成図
【図2】用紙ガイドの第1の実施形態を示す図
【図3】用紙ガイドの第2の実施形態を示す図
【図4】用紙ガイドの第3の実施形態を示す図
【図5】用紙のシワの状態を示す図
【図6】曲げが付与された用紙の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット印刷装置1の概略構成図である。インクジェット印刷装置1は、給紙部10、印刷部20、排紙部30、反転部40および制御部50から構成されている。図1において、紙面の左右方向をX方向、紙面に対して直交する方向をY方向、紙面の上下方向をZ方向とする。なお、搬送方向はX方向である。
【0015】
給紙部10は印刷部20に用紙Pを供給するものであり、インクジェット印刷装置1の下方側面に設けられた未印刷の用紙Pを積載する給紙台11、用紙Pを給紙台11から印刷部20へ導く給紙経路12、給紙台11から用紙Pを一枚ずつ取り出す給紙ローラ対13、用紙Pを所定のタイミングで印刷部20のプラテンベルト222上に向けて供給するタイミングローラ対14から構成されている。
【0016】
印刷部20は給紙部10から供給された用紙Pにインクを吐出して印刷し、印刷済みの用紙Pを排紙部30へ搬出するものであり、インクを吐出するヘッドユニット21、ヘッドユニット21の下方で用紙Pを搬送するプラテンユニット22から構成されている。
【0017】
そして、ヘッドユニット21は、複数のインクジェットヘッド211およびインクジェットヘッド211を保持するヘッドホルダ212とから構成されている。ヘッドホルダ212は、不図示の取付孔に各インクジェットヘッド211を挿入し、挿入した状態で各インクジェットヘッド211を保持するものである。
【0018】
インクジェットヘッド211は、インクを用紙Pに向けて吐出するインクジェットノズル214を下面に備えている。インクジェットノズル214は、インクジェットヘッド211の下面にY方向に配列されて、直線状のラインノズル215を形成している。すなわち各インクジェットヘッド211はライン単位でインクを吐出する。インクジェットヘッド211は、黒色K、マゼンタ色M、シアン色Cおよびイエロー色Yのいずれか一色を吐出する。
【0019】
プラテンユニット22は、ヘッドユニット21の下方で各インクジェットノズル214と対向する位置に配置されたプラテン221、プラテン221上を摺動するように掛け渡された無端のプラテンベルト222、プラテンベルト222を駆動する駆動ローラ223、従動ローラ224およびプラテン221の下方の空間を負圧にするファン225、用紙Pをプラテンベルト222に抑えつける用紙抑えローラ226、タイミングローラ対14からプラテンベルト222上に向けて供給された用紙Pをプラテンベルト222上に導く用紙ガイド227から構成されている。
【0020】
プラテン221はプレート部材であり、プラテンベルト222が通過する範囲に複数の貫通孔221aが形成されている。また、プラテン221の表面には、貫通孔221aと連通する凹部221bが形成されている。プラテンベルト222には、複数のベルト孔222aが形成されており、ファン225がプラテン221の下方の空間を負圧にすることにより、各貫通孔221aに吸引力を発生させる。なお、プラテン221の下方の空間は不図示のフレームにより密閉されている。
【0021】
そして、プラテンベルト222が、プラテン221上を摺動することにより、凹部221b上を通過したベルト孔222aにも吸引力が発生する。ベルト孔222aに発生する吸引力は貫通孔221aの上を通過する際に最大となる。また、プラテンベルト222の表面と各インクジェットノズル214との間の距離は、用紙Pの厚みによって調整されるが、約1〜3mm程度の範囲である。
【0022】
用紙抑えローラ226は、プラテンベルト222上に配置され、Y方向に延びているローラ部材である。また、この用紙抑えローラ226には、所定ピッチの溝が形成されている。用紙ガイド227は曲面227aを有し、プラテンベルト222より上方に配置されている。
【0023】
排紙部30は印刷された用紙Pを搬送して排紙するものであり、インクジェット印刷装置1の上方側面に設けられた印刷済みの用紙Pを積載する排紙台31、印刷済みの用紙Pを印刷面が下方を向いた状態で印刷部20から排紙台31に導く排紙経路32、排紙経路32上の用紙Pを一枚ずつ送り出す複数の排紙ローラ対33から構成されている。
【0024】
反転部40は片面印刷済みの用紙Pを反転させ、未印刷面が上方を向いた状態で用紙Pを再び印刷部20に送りだすものであり、排紙台31の裏側に設けられたバッファ41、排紙経路32の途中から分岐して用紙Pをバッファ41へ導く分岐経路42、バッファ41から用紙Pをタイミングローラ対14へ導く再給紙経路43、分岐経路42,再給紙経路43上の用紙Pを一枚ずつ送り出す複数の反転ローラ対44を備えている。
【0025】
制御部50は各部の動作制御や、不図示の操作パネルを通じてのユーザーからの指示を処理するものである。
【0026】
次に、インクジェット印刷装置1の全体動作について説明する。未印刷の用紙Pが給紙台11から給紙ローラ対13によって給紙経路12上に取り出される。給紙経路12上の用紙Pはタイミングローラ対14によって所定のタイミングで印刷部20に供給される。
【0027】
タイミングローラ対14からプラテンベルト222上に向けて供給された用紙Pは用紙ガイド227によってプラテンベルト222上に導かれ、用紙抑えローラ226によってプラテンベルト222上に押し付けられる。なお、タイミングローラ対14からプラテンベルト222上に向けて供給された用紙Pのプラテンベルト222への受け渡しに関する詳細は後述する。
【0028】
そして、プラテンベルト222に受け渡された用紙Pは、その先端部が不図示のセンサによって検出され、各ベルト孔222aによってプラテンベルト222上に吸着保持されて搬送される。用紙Pがインクジェットノズル214の直下を所定の速度で通過し、各インクジェットヘッド211がライン単位でインクを吐出して用紙Pに画像を形成する。なお、ヘッドユニット21によるインクの吐出とプラテンユニット22による用紙Pの搬送のタイミングは制御部50によって制御されている。
【0029】
印刷済みの用紙Pは、排紙ローラ対33によって一枚ずつ排紙経路32上に送りだされ、印刷面が下方を向く状態で排紙台31へ導かれて排紙される。また、両面印刷を行う場合は、排紙経路32上の途中に設けられた不図示の経路切換機構によって排紙経路32上の用紙Pを分岐経路42に送り出し、バッファ41に導く。バッファ41から再給紙経路43に用紙Pを送り出し、再びタイミングローラ対14に導き、印刷部20へ再給紙を行う。
【0030】
次に、タイミングローラ対14からプラテンベルト222上に向けて供給された用紙Pのプラテンベルト222への受け渡しについて説明する。図2は第1の実施形態を示す図である。図2の上図Aは用紙Pの厚みが薄い場合、下図Bは用紙Pの厚みが厚い場合をそれぞれ図示する。
【0031】
用紙ガイド227は、前述の通り、曲面227aを有している。タイミングローラ対14からプラテンベルト222上に向けて供給された用紙Pは、図2の上図Aが示すように、この曲面227aに当接し、その後、この曲面227aの少なくとも一部分に沿ってプラテンベルト222上に導かれる。
【0032】
これにより、プラテンベルト222上へ導かれた用紙Pには、搬送方向に延びる断面においてプラテンベルト222側を凸とする曲げBが付与される。ここで、曲げBとは、図2の上図Aに示すようなプラテンベルト222の直前の位置、すなわち用紙ガイド227を通過してプラテンベルト222上に受け渡たす位置であって、用紙抑えローラ226の手前の位置における用紙Pが有する曲げのことであり、望ましくは、その曲率が1/50(R50)(1/mm)程度、より望ましくは1/30(R30)(1/mm)程度の曲げBが付与されている。そして、用紙Pは、曲げBが付与された状態で用紙抑えローラ226によってプラテンベルト222に押し付けられて受け渡される。
【0033】
また、用紙Pは、その厚みが厚い場合には、付与する曲げBの曲率が大きくてもシワを伸ばし、この伸ばした状態を維持してプラテンベルト222に受け渡すことが可能であるが、厚い用紙Pに曲率が小さい曲げBを付与すると、用紙Pが変形(カール)してしまう虞がある。
【0034】
一方で、用紙Pは、その厚みが薄い場合には、用紙を伸ばし、この伸ばした状態を維持してプラテンベルト222に受け渡すためには、付与する曲げBの曲率が小さいことが要求される。これは用紙Pが薄いと、用紙Pのコシが弱いため、曲率を小さくしなければシワを伸ばせないためである。
【0035】
このように、用紙Pのシワを伸ばすためには、用紙Pの厚みに応じて付与する曲げBの曲率を変化させることが望ましい。具体的に、用紙Pの厚みが0.2(坪量105g/m超)(mm)程度を超える厚い場合には、曲率が1/50(R50)〜1/150(R150)(1/mm)程度の曲げBを付与し、用紙Pの厚みが0.2(坪量120g/m以下)(mm)程度以下の薄い場合には、曲率が1/20(R20)〜1/50(R50)(1/mm)程度の曲げBを付与することが望ましい。
【0036】
第1の実施形態においては、用紙ガイド227は、回転軸227b回りに回転自在となっている。不図示の制御機構が、用紙Pの厚みに応じて用紙ガイド227を回転軸227b回りに回転させる。図2の下図Bに示すように、不図示の制御機構は、厚い用紙Pに対しては、用紙ガイド227の姿勢を薄い用紙Pに対する用紙ガイド227の姿勢よりも、回転軸227bを中心として反時計まわりに回転させた姿勢とする。
【0037】
第1の実施形態では、薄い用紙Pを、図2の上図Aに示すように、曲面227a上のタイミングローラ対14に近い位置に当接させ、その位置から曲面227aを沿わせることにより曲率の大きい曲げBを付与する。また、厚い用紙Pを、図2の下図Bに示すように、曲面227a上の用紙抑えローラ226に近い位置に当接させて曲面227aに沿わせることにより曲率の小さい曲げBを付与している。このように、用紙Pの厚みに応じて、用紙Pの曲面227a上の当接する位置を変化させることにより、用紙Pに付与する曲げBの曲率を変化させている。
【0038】
第1の実施形態の変形例として、用紙ガイド227の姿勢を固定し、タイミングローラ対14がプラテンベルト222上に向けて供給する用紙Pの進入角度が変更可能な供給ガイドを設けることにより、用紙Pの厚みに応じて、曲面227a上の用紙Pが当接する位置を変化させることも可能である。
【0039】
次に、第2の実施形態について説明する。図3は第2の実施形態を示す図である。図3の上図Aは用紙Pの厚みが薄い場合、下図Bは用紙Pの厚みが厚い場合をそれぞれ図示する。第2の実施形態は、用紙Pの曲面227a上の当接する位置を変化させる方法のみが第1の実施形態と相違するものであるため相違点のみを説明する。
【0040】
第2の実施形態において、用紙ガイド227は、上下方向に移動可能となっている。不図示の制御機構が、用紙Pの厚みに応じて用紙ガイド227を上下方向に移動させる。図3の下図Bに示すように、不図示の制御機構は、厚い用紙Pに対しては、用紙ガイド227の位置を薄い用紙Pに対する用紙ガイド227の位置よりも上方にしている。
【0041】
第2の実施形態では、用紙Pの厚みが薄い場合に、図3の上図Aに示すように用紙Pを曲面227a上のタイミングローラ対14に近い位置に当接させ、用紙Pの厚みが厚い場合に、図3の下図Bに示すように用紙ガイド227を上方向に移動させることにより、用紙Pを曲面227a上の用紙抑えローラ226に近い位置に当接させている。このように、第2の実施形態も用紙Pの厚みに応じて、用紙Pの曲面227a上の当接する位置を変化させて、用紙Pに付与する曲げBの曲率を変化させている。
【0042】
第2の実施形態の変形例として、用紙ガイド227の位置を固定し、タイミングローラ対14がプラテンベルト222上に向けて供給する用紙Pの高さ位置を変更可能な供給ガイドを設けることにより、用紙Pの厚みに応じて、曲面227a上の用紙Pが当接する位置を変化させることも可能である。
【0043】
次に、第3の実施形態について説明する。図4は第3の実施形態を示す図である。図4の上図Aは用紙Pの厚みが薄い場合、下図Bは用紙Pの厚みが厚い場合をそれぞれ図示する。第3の実施形態も用紙Pの曲面227a上の当接する位置を変化さえる方法のみが第1および第2の実施系形態と相違するものであるため相違点のみを説明する。
【0044】
第3の実施形態において、用紙ガイド227は、左右方向に移動可能となっている。不図示の制御機構が、用紙Pの厚みに応じて用紙ガイド227を左右方向に移動させる。図4の下図Bに示すように、不図示の制御機構は、厚い用紙Pに対しては、用紙ガイド227の位置を薄い用紙Pに対する用紙ガイド227の位置よりもタイミングローラ対14から離している。
【0045】
第3の実施形態では、用紙Pの厚みが薄い場合は、図4の上図Aに示すように用紙Pを曲面227a上のタイミングローラ対14に近い位置に当接させ、用紙Pの厚みが厚い場合に、図4の下図Bに示すように用紙ガイド227をタイミングローラ対14から離すことにより、用紙Pを曲面227a上の用紙抑えローラ226に近い位置に当接させている。用紙ガイド227をタイミングローラ対14から離すことにより、用紙Pが用紙ガイド227に当接するまでの落下量が増えるため、用紙Pは、曲面227a上の用紙抑えローラ226に近い位置に当接する。このように、第3の実施形態も用紙Pの厚みに応じて、用紙Pの曲面227a上の当接する位置を変化させて、用紙Pに付与する曲げBの曲率を変化させている。
【0046】
第3の実施形態の変形例として、用紙ガイド227の位置を固定し、タイミングローラ対14がプラテンベルト222上に向けて供給する用紙Pの左右位置を変更可能な供給ガイドを設けることにより、用紙Pの厚みに応じて、曲面227a上の用紙Pが当接する位置を変化させることも可能である。
【0047】
第1〜第3の実施形態において、不図示の制御機構は、制御部50の指令に基づき、用紙ガイド227の姿勢または位置を変更するものである。また、制御部50は、用紙Pの厚みについて、センサ等により自動で取得するものであってもよいし、操作者からの入力によって取得するものであってもよい。
【0048】
また、第1〜第3の実施形態において、用紙Pの厚みに応じて付与する曲げBの曲率を変更するものとして説明したが、用紙Pが有するシワの程度に応じて付与する曲げBの曲率を変更するものであってもよい。すなわち用紙Pが有するシワが大きい場合には、付与する曲げBの曲率を小さく、用紙Pが有するシワが小さい場合には、付与する曲げBの曲率を大きくしてもよい。
【0049】
また、用紙Pの曲げコワサに応じて付与する曲げBの曲率を変更してもよい。すなわち用紙Pの曲げコワサが強い場合は、厚い場合と同様に、小さな力でシワを伸ばせるため、付与する曲げBの曲率を小さく、用紙Pの曲げコワサが弱い場合は付与する曲げBの曲率を大きくしてもよい。さらに、温湿度に応じて付与する曲げBの曲率を変更してもよい。すなわち用紙Pの温湿度が高い場合は、用紙Pが柔らかくコシがなくなるため、薄い場合と同様に、付与する曲げBの曲率を大きく、温湿度が低い場合は付与する曲げBの曲率を小さくしてもよい。
【0050】
以上の述べた通り、本発明の実施形態であるインクジェット印刷装置1によれば、タイミングローラ対14からプラテンベルト222に向けて供給された用紙Pに対して、用紙ガイドが、用紙Pの搬送方向に延びる断面がプラテンベルト222側に凸となる曲げBを付与することにより、用紙Pの幅方向にコシを持たせることでシワを伸ばし、シワを伸ばした状態でプラテンベルト222上に導くことができるため、プラテンベルト222上での用紙Pの用紙浮きを抑えることができる。
【符号の説明】
【0051】
B 曲げ
P 用紙
1 インクジェット印刷装置
14 タイミングローラ対
211 インクジェットヘッド
222 プラテンベルト
227 用紙ガイド
227a 曲面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
用紙にインクを吐出するインクジェットヘッドと、
該インクジェットヘッドに前記用紙を吸着搬送する搬送ベルトと、
該搬送ベルト上に向けて前記用紙を供給する供給ローラとを備えたインクジェット印刷装置であって、
前記供給ローラから前記搬送ベルトに向けて供給された用紙に対して、前記用紙の搬送方向に延びる断面が前記搬送ベルト側に凸となる曲げを付与して前記搬送ベルト上に導く用紙ガイドとを備えたことを特徴とするインクジェット印刷装置。
【請求項2】
前記用紙ガイドが、曲面を有するものであり、前記供給された用紙を前記曲面に当接させ、該曲面の少なくとも一部分に沿わせることにより、前記曲げを付与して前記搬送ベルト上に導くものであることを特徴とする請求項1記載のインクジェット印刷装置。
【請求項3】
前記用紙ガイドが、前記用紙に付与する曲げの曲率を前記用紙の厚みに応じて変化させる制御機構を備え、
該制御機構は、前記用紙が厚い場合には前記曲げの曲率を小さくし、前記用紙が薄い場合には前記曲げの曲率を大きくするものであることを特徴とする請求項1または2記載のインクジェット印刷装置。
【請求項4】
前記制御機構は、前記供給された用紙が前記曲面に当接する該曲面上の位置を変化させることにより、前記用紙ガイドが前記用紙に付与する曲げの曲率を変化させるものであることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット印刷装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−51128(P2012−51128A)
【公開日】平成24年3月15日(2012.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−193458(P2010−193458)
【出願日】平成22年8月31日(2010.8.31)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【復代理人】
【識別番号】100152401
【弁理士】
【氏名又は名称】我妻 慶一
【Fターム(参考)】