説明

インクジェット式記録装置

【課題】記録媒体の搬送方向における印刷領域が数箇所に分散する場合において、その数箇所の印刷領域の印刷を少ないノズルで効率的に行うことができるインクジェット式記録装置の提供。
【解決手段】この発明は、記録媒体Pに対してインクを吐出する複数のインク吐出部2、3と、記録媒体Pを搬送する搬送部1と、記録媒体Pの搬送方向の異なる印刷領域a、bに対してそれぞれ印刷するときに、印刷領域a、bのそれぞれに対応して複数のインク吐出部2、3の配置位置を位置決めする位置決め装置4と、を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録媒体に文字や画像が印刷できるインクジェット式記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のインクジェットプリント装置として、引用文献1に記載のものが知られている。
この装置は、インクを吐出する複数の吐出ノズルを記録媒体の幅方向に一列に並べた4つのラインヘッドを各色毎に独立して設け、各ラインヘッドが幅方向と直交する記録媒体の搬送方向に対して所定の角度に傾斜するように調整することで、幅方向のドット密度を向上し高画質プリントを可能とし、吐出ノズルの配列ピッチを短くしなくてもよく目詰まり問題を抑制できるものである。
また、この装置では、ラインヘッドを各色毎に追加して設けることにより、フォトライクな高画質プリント及び高速プリントの両方を実現できるようにしている。
【0003】
しかし、従来装置では、以下のような不具合がある。
(1)従来装置では、同時に吐出できるノズル数を増やすことにより、高速プリントが可能となる。しかし、記録媒体の中に小さな印刷領域が数箇所(複数)存在し、これら数箇所の印刷領域にそれぞれ印刷する場合には、使用されないノズルが多く存在することになり、必ずしも適切ではない。
(2)従来装置では、記録媒体の中の搬送方向に間隔を置いて小さな印刷領域が数箇所存在し、これら数箇所の印刷領域にそれぞれ印刷する場合には、1 ヶ所を印刷するのは短時間であっても、数箇所分だけ印刷する必要があるので、時間がかかる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−127368号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の幾つかの態様の目的は、記録媒体の搬送方向における印刷領域が数箇所に分散する場合において、その数箇所の印刷領域の印刷を少ないノズルで効率的に行うことができるインクジェット式記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決し本発明の目的を達成するために、本発明は、以下のように構成される。
本発明のインクジェット式記録装置の態様の1つは、記録媒体に対してインクを吐出する複数のインク吐出部と、前記記録媒体を搬送する搬送手段と、前記記録媒体の搬送方向の異なる複数の印刷領域に対してそれぞれ印刷するときに、前記複数の印刷領域のそれぞれに対応して前記複数の前記インク吐出部の配置位置を位置決めする位置決め手段と、を備えている。
このような構成によれば、複数の印刷領域について同時に印刷できるので、高速プリントが可能となる。また、複数の印刷領域の対応した各位置に複数のインク吐出部をそれぞれ配置するので、複数のインク吐出部のそれぞれを効果的に活用できる。
【0007】
また、上記のインクジェット式記録装置において、前記インク吐出部のそれぞれは、複数のインク吐出ヘッドを備え、前記複数のインク吐出ヘッドのそれぞれは、前記記録媒体の搬送方向と直角な方向に走査することにより印刷を行う。
このような構成によれば、インク吐出ヘッドの記録用紙の搬送方向と直角方向の長さは、記録用紙の幅よりも短いもので足り、小型化できる。また、印刷領域の上記の直角方向の長さが短い場合には、効率的に印刷できる。
【0008】
さらに、上記のインクジェット式記録装置において、前記インク吐出ヘッドの前記記録媒体の搬送方向における同時に印刷可能な長さは、前記複数の各印刷領域の前記搬送方向のそれぞれの長さ以上である。
このような構成によれば、インク吐出ヘッドは少なくとも1往復の走査で印刷できるので、記録媒体の搬送制御が容易となる。
【0009】
また、上記のインクジェット式記録装置において、前記複数の印刷領域に印刷する印刷情報に基づいて、複数の前記インク吐出部の配置位置をそれぞれ算出する算出部と、前記算出部の算出位置に複数の前記インク吐出部をそれぞれ位置決めさせるように、前記位置決め手段を制御する制御部と、をさらに備えている。
このような構成によれば、複数のインク吐出部のそれぞれの配置位置の位置決めを、人手によることなく容易に行える。
【0010】
さらに、上記のインクジェット式記録装置において、前記記録媒体は袋を作成するためのシート状の記録媒体であり、前記複数の印刷領域は袋が作成されたときの表側と裏側のそれぞれの位置に対応している。
このような構成によれば、例えば袋のように、その表裏に比較的面積の小さな印刷領域がある場合に高速、かつ効率良く印刷できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明のインクジェット式記録装置の第1実施形態の構成を示す平面図である。
【図2】位置決め装置の断面図である。
【図3】本発明のインクジェット式記録装置の第2実施形態の構成を示す平面図である。
【図4】位置決め装置の要部の断面図である。
【図5】第2実施形態の制御系のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。
(インクジェット式記録装置の第1実施形態)
図1は、本発明のインクジェット式記録装置の第1実施形態の構成を示す平面図である。
この第1実施形態に係るインクジェット式記録装置は、図1に示すように、記録媒体Pを搬送する搬送部1と、記録媒体Pに対してインクを吐出する複数のインク吐出部2、3と、記録媒体Pの搬送方向の異なる印刷領域a、bに対して印刷するときに、印刷領域a、bのそれぞれに応じてインク吐出部2、3の記録用紙Pの搬送方向の配置位置を位置決めする位置決め装置4と、を備えている。
【0013】
搬送部1は、例えば図示しない駆動ロールと従動ロールとに掛け渡された無端の搬送ベルト11を有している。そして、駆動ローラの駆動により、その搬送ベルト11が回転して搬送ベルト11上を記録媒体Pが搬送されるようになっている。
インク吐出部2は、インク吐出ヘッド21を有し、このインク吐出ヘッド21が記録用紙Pの搬送方向と直交する副走査方向に往復動し、インク滴の吐出により記録用紙Pに所望の印刷するようになっている。また、インク吐出部2は、記録用紙Pの搬送方向において、後述のように位置決め装置4を用いて任意の位置に位置決めができるようになっている。
【0014】
このために、インク吐出部2は、インク吐出ヘッド21の他に、インク吐出ヘッド21を副走査方向に案内する案内ガイド22と、その案内ガイド22の両端を支持する支持フレーム23と、を備えている。
支持フレーム23は、搬送ベルト11の内側を搬送ベルト11の幅方向に通り抜けるように配置される水平部230と、水平部230の両側であって搬送ベルト11の両脇に配置される一対の垂直部232、234と、を備えている。そして、垂直部232、234によって案内ガイド22の両端が支持されている。
【0015】
さらに、支持フレーム23の水平部230の両端には、インク吐出部2の記録用紙Pの搬送方向における配置位置の位置決めに使用する貫通孔236、238が、それぞれ設けられている。
インク吐出部3は、インク吐出部2と同様に構成される。すなわち、インク吐出部3は、インク吐出ヘッド31と、案内ガイド32と、支持フレーム33とを備えている。
また、支持フレーム33は、支持フレーム23と同様に構成される。したがって、支持フレーム33は、水平部330と、一対の垂直部332、334とを備えている。
【0016】
さらに、支持フレーム33の水平部330の両端には、貫通孔336、338がそれぞれ設けられている。
位置決め装置4は、搬送ベルト11の下側に配置される固定台41と、固定台41上に設けた一対の位置決め部材42、43とを備えている。一対の位置決め部材42、43のそれぞれは、搬送ベルト11の長さ方向の両側であって、その長さ方向に沿って配置されている。
位置決め部材42には、インク吐出部2、3の記録用紙Pの搬送方向における配置位置を位置決めするために、複数の位置決め穴420が所定の間隔で設けられている。また、位置決め部材43にも、複数の位置決め穴420と対応する位置に、複数の位置決め穴430が設けられている。したがって、複数の各位置決め穴420と、これに対応する複数の各位置決め穴430とは、一対の関係を有するようになっている。
【0017】
ここで、例えば、位置決め装置4によりインク吐出部2が位置決めされているときには、図1および図2に示すように、支持フレーム23に設けた一対の貫通孔236、238は、位置決め部材42、43に設けた所望の一対の位置決め穴420、430と一致した状態にある(図2参照)。
そして、この状態で、貫通孔236に位置決めピン44が貫通するとともに、その位置決めピン44はさらに位置決め穴420に差し込まれた状態にある(図2参照)。同様に、貫通孔238に位置決めピン45が貫通するとともに、その位置決めピン45はさらに位置決め穴430に差し込まれた状態にある。
【0018】
次に、このような構成からなる第1実施形態において、インク吐出部2、3の位置決めのための手順などについて、図1および図2を参照して説明する。
以下の説明では、記録媒体Pは、シート状のものであって、印刷後には実線P1の部分で切断され、破線P2の部分で折り畳まれて袋になるものとする。
さらに、そのシート状の記録媒体Pにおいて、搬送方向における印刷領域が、印刷領域a、bというように複数箇所に分散している場合である。
【0019】
いま、インク吐出部2は、シート状の記録媒体Pのうち、印刷後に袋の表側となる印刷領域aに印刷を行うものとする。このため、インク吐出部2は、その印刷領域aの印刷に応じて、位置決め装置4によって位置決めを行う。
具体的には、インク吐出部2の支持フレーム23に設けた一対の貫通孔236、238を、その印刷領域aに応じて、位置決め部材42、43に設けた一対の位置決め穴420、430に合わせた状態にする。
【0020】
そして、この状態で、貫通孔236に位置決めピン44を貫通させたのち、その位置決めピン44をさらに位置決め穴420に差し込む(図2参照)。同様に、貫通孔238に位置決めピン45を貫通させたのち、その位置決めピン45をさらに位置決め穴430に差し込むと、位置決めが完了する。
また、インク吐出部3は、シート状の記録媒体Pのうち、印刷後には袋の裏側となる印刷領域bに印刷を行うものとする。このため、インク吐出部3は、その印刷領域bに応じて、位置決め装置4によって位置決めを行う。具体的には、インク吐出部2の位置決めの場合と同様の手順によって行う。
【0021】
このように、インク吐出部2、3の記録媒体Pの搬送方向の各位置を異なる印刷領域a、bに応じて位置決めしておけば、インク吐出部2、3のそれぞれが対応する印刷領域a、bを分担して印刷できる上に、その両印刷が同時にできるので、シリアルプリンタ方式の印刷であっても効率的な印刷を行うことができる。
以上のように、第1実施形態では、複数のインク吐出部2、3を有し、そのインク吐出部2、3の記録用紙Pの搬送方向のそれぞれの位置を、位置決め装置4を用いて任意の位置に位置決めできるようにした。
このため、第1実施形態によれば、例えば、記録媒体Pにおいて比較的小さな面積の印刷領域が複数箇所に分散しているような場合に、簡易な構成であっても比較的高速、かつ効率的な印刷ができる。
【0022】
(インクジェット式記録装置の第2実施形態)
図3は、本発明のインクジェット式記録装置の第2実施形態の構成を示す平面図である。
この第2実施形態に係るインクジェット式記録装置は、図3に示すように、記録媒体Pを搬送する搬送部1と、記録媒体Pに対してインクを吐出する複数のインク吐出部5、6と、記録媒体Pの搬送方向の異なる印刷領域a、bに対して印刷するときに、印刷領域a、bのそれぞれに応じてインク吐出部5、6の記録用紙Pの搬送方向の配置位置を位置決めする位置決め装置7、8と、を備えている。
【0023】
この第2実施形態は、図1に示す第1実施形態の構成を基本とするものであるが、以下の点でその構成が異なる。
すなわち、図1に示す第1実施形態は、インク吐出部2、3の位置決めを使用者が手作業で行うようにしたものであるが、この第2実施形態は、インク吐出部5、6を複数の印刷領域a、bに応じて位置決め装置7、8がそれぞれ自動的に位置決めするようにしたものである。
したがって、以下の説明では、同一の構成要素には同一符号を付すとともに、異なる部分の構成について説明する。
【0024】
インク吐出部5は、インク吐出ヘッド51を有し、このインク吐出ヘッド51が記録用紙Pの搬送方向と直交する副走査方向に往復動し、インク滴の吐出により記録用紙Pに所望の印刷するようになっている。また、インク吐出部5は、記録用紙Pの搬送方向において、後述のように位置決め装置7により自動的に位置決めされるようになっている。
このために、インク吐出部5は、インク吐出ヘッド51の他に、インク吐出ヘッド51を副走査方向に案内する案内ガイド52と、その案内ガイド52の両端を支持する支持フレーム53と、を備えている。
【0025】
支持フレーム53は、搬送ベルト11の内側を搬送ベルト11の幅方向に通り抜けるように配置される水平部530と、水平部530の両側であって搬送ベルト11の両脇に配置される一対の垂直部532、534と、を備えている。そして、垂直部532、534によって案内ガイド53の両端が支持されている。
さらに、支持フレーム53の水平部530の一端の下面には、図4に示すように2つの雌ねじ54、55が取り付けられている。
インク吐出部6は、インク吐出部5と同様に構成される。すなわち、インク吐出部6は、インク吐出ヘッド61と、案内ガイド62と、支持フレーム63とを備えている。
【0026】
また、支持フレーム63は、支持フレーム53と同様に構成される。したがって、支持フレーム63は、水平部630と、一対の垂直部632、634とを備えている。
さらに、支持フレーム63の水平部630の一端の下面には、図4に示すように2つの雌ねじ64、65が取り付けられている。
位置決め装置7は、インク吐出部5が記録媒体Pに印刷を行うときに、インク吐出部5を記録媒体Pの搬送方向にネジ送り方式で移動させ、インク吐出部5の搬送方向における配置位置を自動的に位置決めするものである。このネジ送り方式による移動の際には、インク吐出部5は案内ガイド(図示せず)により案内されて移動する。
このために、位置決め装置7は、図3および図4に示すように、インク吐出部位置決めモータ71と、歯車72、73と、雄ねじ棒74と、を少なくとも備えている。
【0027】
雄ねじ棒74は、両端を除く部分に雄ねじ部が形成されるとともに、その雄ねじ部が支持フレーム53に設けた雌ねじ54、55とネジ結合するようになっている。また、雄ねじ棒74の両端は、図示しない軸受けにより回転自在に軸受けされている。インク吐出部位置決めモータ71の回転軸には、歯車72が取り付けられている。歯車73は雄ねじ棒74の一端側に取り付けられるとともに、歯車72とかみ合うようになっている。
このような構成により、インク吐出部位置決めモータ71が正方向または逆方向に回転すると、この回転は歯車72、73を介して雄ねじ棒74を回転させる。このため、支持フレーム53(インク吐出部5)は案内ガイド(図示せず)に案内されて記録媒体Pの搬送方向に移動することができ、インク吐出部位置決めモータ71の回転を停止すれば所望の位置にインク吐出部5を位置決めできる。
【0028】
位置決め装置8は、インク吐出部6が記録媒体Pに印刷を行うときに、インク吐出部5を記録媒体Pの搬送方向にネジ送り方式で移動させ、インク吐出部6の搬送方向における配置位置を自動的に位置決めするものである。このネジ送り方式による移動の際には、インク吐出部6は案内ガイド(図示せず)により案内されて移動する。
このため、位置決め装置8は、図3および図4に示すように、インク吐出部位置決めモータ81と、歯車82、83と、雄ねじ棒84とを少なくとも備え、位置決め装置7と同様に構成される。
【0029】
このような構成により、インク吐出部位置決めモータ81が正方向または逆方向に回転すると、この回転は歯車82、83を介して雄ねじ棒84を回転させる。このため、支持フレーム63(インク吐出部6)は案内ガイド(図示せず)に案内されて記録媒体Pの搬送方向に移動することができ、インク吐出部位置決めモータ81の回転を停止すれば所望の位置にインク吐出部6を位置決めできる。
【0030】
次に、第2実施形態の制御系について、図5を参照して説明する。
この第2実施形態では、インク吐出部5、6が記録媒体Pに印刷する場合に、印刷情報に基づいて、所定の演算や制御を行う演算制御部90を備えている。
このため、演算制御部90は、インク吐出部5、6が記録媒体Pに印刷するのに先立ち、例えばコンピュータ100から画像、レイアウト、印字などの印刷情報を受け取ると、その印刷情報に基づいてインク吐出部5、6の配置位置を算出するようになっている。
【0031】
また、演算制御部90は、インク吐出部5、6がその算出位置に配置されるように、位置決め装置7、8のインク吐出部位置決めモータ71、81をそれぞれ制御するようになっている。
さらに、演算制御部90は、インク吐出部5、6が記録媒体Pに印刷するときには、上記の印刷情報に基づき、インク吐出ヘッド51、61をそれぞれ往復動させるインク吐出ヘッド往復動モータ91、92の往復動作を制御するようになっている。
【0032】
次に、このような構成からなる第2実施形態の動作例について、図3〜図5を参照して説明する。
以下の説明では、記録媒体Pは、シート状のものであって、印刷後には実線P1の部分で切断され、破線P2の部分で折り畳まれて袋になるものとする。
演算制御部90は、インク吐出部5、6が記録媒体Pに印刷するのに先立ち、例えばコンピュータ100から画像、レイアウト、印字などの印刷情報を受け取ると、その印刷情報に基づいてインク吐出部5、6の配置位置を算出する。
【0033】
ここで、上記の印刷情報が、例えば、印刷後に袋の表側となる印刷領域aに印刷を行う旨の情報であり、かつ、印刷後に袋の裏側となる印刷領域bに印刷を行う旨の情報であるとする。
この場合には、演算制御部90は、インク吐出部5に印刷領域aの印刷を割り当て、インク吐出部5が印刷領域aの印刷ができる配置位置を算出するとともに、インク吐出部6に印刷領域bの印刷を割り当て、インク吐出部6が印刷領域bの印刷ができる配置位置を算出する。
【0034】
次に、演算制御部90は、インク吐出部5、6がその算出位置に配置されるように、位置決め装置7、8のインク吐出部位置決めモータ71、81をそれぞれ制御すると、インク吐出部5、6は例えば図3の位置にそれぞれ位置決めされる。
その後、インク吐出部5、6が記録媒体Pに印刷するときには、演算制御部90は、上記の印刷情報に基づき、インク吐出ヘッド51、61をそれぞれ往復動させるインク吐出ヘッド往復動モータ91、92の往復動作を制御する。
【0035】
このように、インク吐出部5、6の記録媒体Pの搬送方向の各位置を印刷情報に応じて位置決めしておけば、インク吐出部5、6のそれぞれが対応する印刷領域a、bを分担して印刷できる上に、その両印刷が同時にできるので、シリアルプリンタ方式の印刷であっても効率的な印刷を行うことができる。
以上のように、第2実施形態では、複数のインク吐出部5、6を有し、そのインク吐出部5、6の記録媒体Pの搬送方向のそれぞれの位置を、印刷情報に基づいて位置決め装置7、8が自動的に位置決めできるようにした。
このため、第2実施形態によれば、例えば、記録媒体Pにおいて比較的小さな面積の印刷領域が複数箇所に分散しているような場合に、自動的かつ効率的な印刷ができる。
【0036】
(その他の実施形態など)
(1)上記の実施形態では、例えば図1のインク吐出部2の場合にはインク吐出ヘッド21を1つ有する場合について説明したが、インク吐出ヘッドは複数個有するようにしても良い。
この場合には、複数個のインク吐出ヘッドは、それぞれが個別に動作してインク滴を吐出するようになっている。
(2)上記の実施形態では、記録媒体P上の印刷領域が2つの場合について説明したが、印刷媒体Pの特性に応じて印刷領域が3つ以上の場合がある。
この場合には、印刷領域の個数や位置に応じて、インク吐出部を適切な位置に位置決めしたり、あるいはインク吐出部の個数を決定すれば良い。
【0037】
(3)図1の第1実施形態では、位置決め装置4は上記のように構成したが、これに代えて位置決め装置を以下のように構成しても良い。
すなわち、新たな位置決め装置では、図1に示す位置決め部材42、43の複数の位置決め穴420、430に代えて、その穴の配列方向に横断面が凹状の案内溝をそれぞれ形成する。そして、例えばインク吐出部2の場合には、支持フレーム23に設けた貫通孔236、238に代えて、支持フレーム23の裏側であって貫通孔236、238に相当する位置に、上記の2つの案内溝の中をスライドできるスライド部材を設けるようにしても良い。
【0038】
(4)上記の実施形態では、例えば図1のインク吐出部2のインク吐出ヘッド21、31は、いわゆるシリアルプリンタ方式を採用するものとして説明し、インク吐出ヘッド21、31が記録媒体Pの搬送方向において同時(一度)に印刷可能な長さについては、特に説明しなかった。
しかし、インク吐出ヘッド21、31が記録媒体Pの搬送方向において同時に印刷可能な長さは、記録媒体P上の印刷領域a、bのそれぞれの搬送方向の長さ以上となるようにしても良い。
この場合には、インク吐出ヘッドは、少なくとも1往復の走査で印刷できるので、記録媒体の搬送の制御が容易となる。
【符号の説明】
【0039】
P・・・記録媒体、1・・・搬送部、2、3、5、6・・・インク吐出部、4、7、8・・・位置決め装置、11・・・搬送ベルト、21、31、51、61・・・インク吐出ヘッド、22、32、52、62・・・案内ガイド、23、33、53、63・・・支持フレーム、41・・・固定台、42、43・・・位置決め部材、44、45・・・位置決めピン、54、55、64、65・・・雌ねじ、71、81・・・インク吐出部位置決めモータ、72、73、82、83・・・歯車、74、84・・・雄ねじ棒、90・・・演算制御部、91、92・・・インク吐出ヘッド往復動モータ、230、330、530、630・・・水平部、232、234、332、334・・・垂直部、236、238、336、338・・・貫通孔、420、430・・・位置決め穴、532、534、632、634・・・垂直部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に対してインクを吐出する複数のインク吐出部と、
前記記録媒体を搬送する搬送手段と、
前記記録媒体の搬送方向の異なる複数の印刷領域に対してそれぞれ印刷するときに、前記複数の印刷領域のそれぞれに対応して前記複数の前記インク吐出部の配置位置を位置決めする位置決め手段と、
を備えることを特徴とするインクジェット式記録装置。
【請求項2】
前記インク吐出部のそれぞれは、複数のインク吐出ヘッドを備え、
前記複数のインク吐出ヘッドのそれぞれは、前記記録媒体の搬送方向と直角な方向に走査することにより印刷を行うことを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記インク吐出ヘッドの前記記録媒体の搬送方向における同時に印刷可能な長さは、前記複数の各印刷領域の前記搬送方向のそれぞれの長さ以上であることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記複数の印刷領域に印刷する印刷情報に基づいて、複数の前記インク吐出部の配置位置をそれぞれ算出する算出部と、
前記算出部の算出位置に複数の前記インク吐出部をそれぞれ位置決めさせるように、前記位置決め手段を制御する制御部と、
をさらに備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記記録媒体は袋を作成するためのシート状の記録媒体であり、
前記複数の印刷領域は袋が作成されたときの表側と裏側のそれぞれの位置に対応していることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−152649(P2011−152649A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−13923(P2010−13923)
【出願日】平成22年1月26日(2010.1.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】