インクジェット捺染装置
【課題】表面に粘着性を有する搬送ベルト上に布を貼り付け、当該布を印捺部下方に搬送する際に、搬送ベルトと布との間に気泡が入ることによってできる布の浮きを、該気泡を均一に分散させることによって平坦に粘着させ、高い画像品質の印捺を行うことができるインクジェット捺染装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に捺染する印捺部と、表面に粘着性を有する搬送ベルトと、前記印捺部の上流側に設けられた記録媒体浮き防止手段とを備え、前記記録媒体浮き防止手段は、前記搬送ベルトに粘着支持された前記記録媒体上に載置され、前記搬送ベルトの搬送方向および該搬送方向と逆方向に移動可能に構成された自由ローラを備えている。
【解決手段】記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に捺染する印捺部と、表面に粘着性を有する搬送ベルトと、前記印捺部の上流側に設けられた記録媒体浮き防止手段とを備え、前記記録媒体浮き防止手段は、前記搬送ベルトに粘着支持された前記記録媒体上に載置され、前記搬送ベルトの搬送方向および該搬送方向と逆方向に移動可能に構成された自由ローラを備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、インクジェット記録ヘッドからインクを噴射することによって布を捺染するインクジェット捺染装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、綿、絹、ウール、化学繊維、混紡等の布に対する捺染は、染型を用いて行うスクリーン捺染装置が用いられていたが、近年、インクジェットプリンタの技術の向上により、インクジェット方式による印捺を行うインクジェット捺染装置が注目されている。
【０００３】
インクジェット捺染は、スクリーン捺染で用いられる染型が不用であり、デジタル化されたデザインを利用することができる。したがって、顧客の要求に応じた細かいデザインの変更などに迅速に対応することができ、生産時間を大幅に短縮することができる。また、色のグラデーションを表現することができるなど、デザインの自由度が大きいという利点がある。
【０００４】
インクジェット捺染装置において、インクジェットによる捺染印刷を行う印捺部に記録媒体である布を搬送する際には、その搬送精度を高めるため、表面に粘着性を有する搬送ベルトに布を貼り付け、該搬送ベルトを搬送ローラ等により駆動して布が搬送される。
【０００５】
しかし、表面に粘着性を有する搬送ベルトに布を貼り付けると、当該搬送ベルトと布との間に気泡が入り込み、布が部分的に搬送ベルトから浮いた状態になる場合がある。
【０００６】
このような気泡による布浮きが存在する状態で、布が印捺部の下方に搬送されると、浮上った布が印捺部の記録ヘッドに接触して布を汚してしまったり、記録ヘッドを壊してしまう場合がある。また、気泡による浮きが存在する布に印捺を行うと、印捺された画像品質が低下してしまう問題がある。特に幅広の布を用いる場合には、前記搬送ベルトに布を均一に貼り付けることがより難しく、これらの問題が顕著である。
【０００７】
搬送ベルトに布を均一に貼り付けるため、従来のインクジェット捺染装置３１においては、図１０に示したように、印捺部４の上流において、搬送ベルト７の搬送ローラ１５に対向して、所定の付勢力で布を押し付けるように設けられた貼付けローラ３２が設けられていた（特許文献１）。
【特許文献１】特開平７−２１４７６６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら、このような構成では、大きめの気泡によって布が広範囲に亘って浮いていた場合、前記貼付けローラと前記搬送ローラとの間で布がしごかれ、皺が寄った状態で搬送ベルトに貼り付けられてしまう虞がある。
【０００９】
本発明の課題は、表面に粘着性を有する搬送ベルト上に布を貼り付け、当該布を印捺部下方に搬送する際に、搬送ベルトと布との間に気泡が入ることによってできる布の浮きを、該気泡を均一に分散させることによって平坦に粘着させ、高い画像品質の印捺を行うことができるインクジェット捺染装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するため、本発明の第１の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に捺染する印捺部と、表面に粘着性を有する搬送ベルトと、前記印捺部の上流側に設けられた記録媒体浮き防止手段と、を備え、前記記録媒体浮き防止手段は、前記搬送ベルトに粘着支持された前記記録媒体上に載置され、前記搬送ベルトの搬送方向および該搬送方向と逆方向に移動可能に構成された自由ローラを備えていることを特徴とするものである。
【００１１】
前記記録媒体浮き防止手段として設けられた前記自由ローラは、前記搬送ベルトに粘着支持された記録媒体である布の上に載置され、該自由ローラの軸は固定されていない。該布および搬送ベルトには自由ローラの自重のみがかかる状態で配置されている。すなわち、該自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向およびその逆方向に自由に移動可能に構成されている。そのため、前記記録媒体搬送部の搬送ベルトが駆動されると、前記自由ローラは、該搬送ベルト上をベルト搬送方向およびその逆方向に自由に転がることができる。そして、前記自由ローラは上記の如く軸が固定されていないので、その転がる動きは規則的ではない。
【００１２】
本態様によれば、印捺部の上流側の前記搬送ベルト上における、前記自由ローラの「不規則な動き（転がり）」によって、搬送ベルトと布との間に気泡が入ることによってできる布の浮きを、皺を寄せることなく均一に分散させ、搬送ベルトに平坦に粘着させることができる。この自由ローラの「不規則な動き」について以下に詳細に説明する。
【００１３】
従来例のように、軸が固定され、所定の付勢力をもって押し付けられる貼付けローラ３２では、図１１のように、布２が搬送ベルト７との間でしごかれる。従って、布２に無理な力がかかってしまうため皺ができ易い。
【００１４】
本発明では、自由ローラが上記の通り、自由に移動可能である。そのため、該自由ローラが転がって搬送ベルトと布との間の気泡を押すことによって皺ができるような布の盛り上がりができると、その盛り上がりによって自由ローラが弾かれ、盛り上がりのない方向へと転がる。その後、また布の盛り上がりに自由ローラが当たると、再び自由ローラは弾かれて転がる。このような自由ローラの「不規則な動き」が繰り返されることによって、搬送ベルトと布との間の気泡は満遍なく均一に分散され、布に皺を寄せることなく平坦化することができる。
【００１５】
なお、前記自由ローラは、例えば１本の自由ローラを用いる場合には、該記録媒体の幅よりも長く設定され、記録媒体全面の前記気泡を分散させることができるように構成されていることが好ましい。また、印捺部の記録ヘッドにぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ記録媒体全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように自由ローラを短く設定し、該自由ローラが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００１６】
ここで、前記態様のインクジェット捺染装置において、前記自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向に複数並べて配置されていることが好ましい。
【００１７】
これによれば、複数の自由ローラがそれぞれ独立して前述の「不規則な動き」を行いつつ前記記録媒体上を転がるので、搬送ベルトと記録媒体との間の気泡を、該記録媒体が搬送される間に確実に分散し、平坦化することができる。
【００１８】
本発明の第２の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様において、前記自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向に複数並べて配置され、該複数の自由ローラは、そのローラ径が、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側にいくに従って大きく設定されていることを特徴とするものである。
【００１９】
記録媒体である布と搬送ベルトとの間にできた気泡が大きい場合、その大きな気泡上をいきなりローラ径が大きく重い自由ローラが転がると、該布に皺ができてしまう虞がある。
【００２０】
本態様によれば、第１の態様と同様の作用効果に加え、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側の最も小径の軽い自由ローラによって、布に皺を寄せることなく、前記大きな気泡をある程度小さくすることができる。そして、下流側にいくに従って、前記自由ローラのローラ径が大きく設定されているので、前記小径の自由ローラによって少し小さくされた気泡に、該小径の自由ローラよりも大きく重い自由ローラを作用させて気泡を分散させることができる。このように前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側に向けて、段階的に大きな自由ローラを作用させていくことにより、搬送ベルトと布との間に大きな気泡ができ易い布に対して皺をつくることなく、前記気泡を均一に分散させて平坦化することができる。
【００２１】
本発明の第３の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様において、前記搬送ベルトは間欠駆動される構成であることを特徴とするものである。
【００２２】
本態様によれば、第１の態様と同様の作用効果に加え、搬送ベルトが間欠駆動される反動によって自由ローラが動き易くなるので、記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト上の記録媒体を平坦化することができる。
【００２３】
本発明の第４の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様から第３の態様のいずれか一つの態様において、前記自由ローラの移動範囲を規制する移動規制部材を備えていることを特徴とするものである。
【００２４】
本態様によれば、第１の態様から第３の態様のいずれか一つと同様の作用効果に加え、自由ローラを設定範囲内で自由移動可能にすることによって、前述の自由ローラの「不規則な動き」を安定して行わせることができる。
【００２５】
本発明の第５の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様から第４の態様のいずれか一つの態様において、前記自由ローラの前記移動を助長するローラ移動助長手段を備えたことを特徴とするものである。
ここで、自由ローラの移動を「助長する」とは、該自由ローラが当該ローラ移動助長手段に近づいて行って当接したときに、その当接位置に静止しないよう跳ね返される力を受ける構造であることを意味する。
【００２６】
本態様によれば、第１の態様から第４の態様のいずれか一つと同様の作用効果に加え、前記自由ローラの前記自由な移動を助長するローラ移動助長手段を備えているので、より効率的に記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を均し、搬送ベルト上の記録媒体を均一に平坦化することができる。
【００２７】
本発明の第６の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第５の態様において、前記ローラ移動助長手段は、バネや樹脂等の弾発部材、又は前記自由ローラがぶつかって跳ね返りやすい形状部で構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、構造簡単にして前記助長効果を発現させることができる。
【００２８】
ここで、第１の態様から第６の態様のいずれか一つの態様において、前記記録媒体浮き防止手段は、前記記録媒体の幅より短い複数の前記自由ローラによって構成されていてもよい。
【００２９】
これにより、自由ローラが短いことによって、自由ローラが不規則に転がる動きがより細かくなり、記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト上の記録媒体を平坦化することができる。
【００３０】
なお、記録媒体の幅より短い複数の自由ローラは、前記記録媒体の幅方向に各自由ローラの一部がオーバーラップするように配設され、記録媒体全面の前記気泡を分散させることができるように構成されていることが好ましい。また、印捺部の記録ヘッドにぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ記録媒体全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように前記短い自由ローラを部分的に配設し、該自由ローラが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００３１】
本発明の第７の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様から第４の態様のいずれか一つの態様において、前記記録媒体浮き防止手段は、前記記録媒体の幅より短い複数の前記自由ローラによって構成され、前記自由ローラは、当該自由ローラの該記録媒体の側辺に近い側の端部が他方の端部よりも、前記搬送ベルトの搬送方向の下流側になるように斜めに配設されていることを特徴とするものである。
【００３２】
本態様によれば、自由ローラが短いことによって、自由ローラが不規則に転がる動きがより細かくなり、記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト上の記録媒体を平坦化することができる。更に、前記自由ローラの動きが、前記記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を、該記録媒体の側辺側に押し出すように作用し易くなり、前記気泡を効率よく均すことができる。
【００３３】
なお、記録媒体の幅より短い複数の自由ローラは、前記記録媒体の幅方向に各自由ローラの一部がオーバーラップするように斜めに配設され、記録媒体全面の前記気泡を分散させることができるように構成されていることが好ましい。また、印捺部の記録ヘッドにぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ記録媒体全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように前記短い自由ローラを部分的に配設し、該自由ローラが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００３４】
また、前記第１の態様から第７の態様のいずれか一つの態様において、前記自由ローラは、該自由ローラを囲う枠となる開口を有する板状のローラ保持部材によって保持されている構造にしてもよい。
【００３５】
この構造によれば、第１の態様から第７の態様のいずれか一つと同様の作用効果に加え、構造簡単にして自由ローラを保持することができる。
【００３６】
本発明によれば、表面に粘着性を有する搬送ベルト上に記録媒体を貼り付け、当該記録媒体を印捺部下方に搬送する際に、搬送ベルトと記録媒体との間に気泡が入ることによってできる記録媒体の浮きを均一に抑えて平坦に粘着させることができる。搬送ベルトに均一且つ平坦に貼り付けられた記録媒体が印捺部に搬送されることによって、高い画像品質の印捺を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３７】
＜実施例１＞
図１は、本発明に係るインクジェット捺染装置１の一例を示す要部概略図である。本実施例における記録媒体は、綿、絹、ウール、化学繊維、混紡等の布２である。インクジェット捺染が行われる前の布２は、通常ロール状に巻かれており、供給ローラ１１によって布ロール１０から巻き出されて、中間ローラ１２、中間ローラ１３、および中間ローラ１４を介して記録媒体搬送部３の搬送ベルト７へと導かれる。
【００３８】
前記記録媒体搬送部３は、ループ状の搬送ベルト７が、搬送ローラ１５および搬送ローラ１６によって駆動するように構成されている。図１中の白矢印は、搬送ベルト７の駆動方向であり、布２の搬送方向である。
【００３９】
前記搬送ベルト７の表面にはグルーと呼ばれる接着剤の粘着層（図示せず）が設けられており、前記布ロール１０から巻き出された前記布２は、該搬送ベルト７の表面に粘着支持されて、印捺部４の下方へと搬送される。前記搬送ベルト７を搬送する搬送ローラの配置は本構成に限定されるものではなく、該搬送ベルト７の表面に貼り付けられた布２が安定して搬送されるように、搬送ローラとの間に、搬送ベルト７の搬送を補助する補助ローラや、印捺部４の下方においてベルトを支持するプラテンローラ等が配設されていてもよい。
【００４０】
前記搬送ベルト７の上流側直前に配設された中間ローラ１４は、前記布２を搬送ベルト７の表面に張り付きやすくするように、前記搬送ベルト７の搬送面の高さよりもやや下方に配置されていることが望ましい。
【００４１】
前記印捺部４は、インクジェット方式による印捺を行う記録ヘッド６を備えており、該印捺部４の下方に搬送された布２に対してインクを吐出して捺染印刷を行うものである。前記印捺部４の前記記録ヘッド６の下方において布２に捺染印刷を行った後、該布２が前記搬送ベルト７から剥離されて、巻取りローラによって巻取られるように構成されている。
【００４２】
前記印捺部４の上流側には、搬送ベルト７上における記録媒体浮き防止手段としての自由ローラ５が設けられている。図２は、本発明に係るインクジェット捺染装置１の記録媒体浮き防止手段の一例を示す斜視図である。前記搬送ベルト７に布２を貼り付けると、当該搬送ベルト７と布２との間に気泡が入り込み、布２が部分的に搬送ベルト７から浮いた状態になる場合がある。前記記録媒体浮き防止手段は、前述のように布２が部分的に搬送ベルト７から浮いた状態を、前記印捺部４の上流側（図２中の白矢印が布２の搬送方向）において均し、布浮きのある状態で当該布２が印捺部４下方に搬送されることを防止するものである。
【００４３】
前記自由ローラ５について、以下に詳細に説明する。
前記自由ローラ５は棒状のローラであり、例えば金属、セラミック等で形成することができる。該自由ローラ５は、記録媒体である布２の幅よりも長く、前記搬送ベルト７に粘着支持された前記布２上に載置され、前記搬送ベルト７の搬送方向およびその逆方向に自由に移動可能に構成されている。すなわち、前記自由ローラ５は軸が固定されていない。該布２および該搬送ベルト７には、前記自由ローラ５の自重のみがかかっている。該自由ローラ５の直径および重さは、記録媒体である布２の種類や厚さに応じて設定することが望ましい。
【００４４】
なお、前記自由ローラ５は、本実施例のように１本の自由ローラ５を用いる場合には、該記録媒体である布２の幅よりも長く設定され、布全面の前記気泡を分散させることができるように配設されていることが好ましい。また、印捺部４の記録ヘッド６にぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ布全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように自由ローラ５を短く設定し、該自由ローラ５が転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００４５】
前記記録媒体搬送部３の前記搬送ベルト７が駆動されると、前記自由ローラ５は、該搬送ベルト７上をベルト搬送方向およびその逆方向に自由に転がる。前記自由ローラ５は軸が固定されていないので、その転がりは規則的ではない。
【００４６】
該自由ローラ５の転がりによって、搬送ベルト７と布２との間の気泡が押される。そして、皺ができるような布２の盛り上がり（図１１に示される貼付けローラ３２によってできた布の盛り上がりと同様）ができると、その盛り上がりによって自由ローラ５が弾かれ、該自由ローラ５は盛り上がりのない方向に転がることができる。そして、その転がり方向の先に他の気泡があると、該自由ローラ５の転がりによってその気泡が押されて布２が盛り上がり、当該盛り上がりによって再び自由ローラ５は弾かれる。
【００４７】
この自由ローラ５の「不規則な動き（転がり）」が繰り返されることによって、搬送ベルト７と布２との間の気泡は満遍なく均一に分散され、布２に皺を寄せることなく平坦化することができる。
【００４８】
本実施例においては、前記自由ローラ５の自由な移動の範囲は、移動規制部材８によって、所定の範囲内に設定されている。自由ローラ５を設定範囲内で自由に移動可能にすることによって、前述の自由ローラ５の「不規則な動き」を安定して行わせることができる。この自由な移動の範囲は、自由ローラ５の直径や、記録媒体である布２の種類や厚さに応じて設定することが好ましい。また、前記移動規制部材８の移動規制部１８を可動に構成し、前記自由な移動の範囲を変更可能に設けることによって、多様な布に対応させることが可能となる。
【００４９】
また、前記移動規制部材８の移動規制部１８には、図３に示されるように、当該自由ローラ５の自由な移動をし易くする、すなわち助長するローラ移動助長手段である弾発部材１９を設けることができる。このことによって、該移動規制部１８に前記自由ローラ５がぶつかった際に、該自由ローラ５がその位置に静止せずに転がり易くなる。弾発部材１９としては、バネや、自由ローラが跳ね返りやすい性質を有する樹脂などが挙げられる。また、図４に示されるように、移動規制部１８を、自由ローラ５がぶつかったときに跳ね返りやすい凸面形状に成形してもよい。なお、前記自由ローラ５は、搬送ベルトの搬送方向の下流側に偏り易いので、前記弾発部材１９は、下流側の移動規制部１８にのみ設けられる構成でもよい。
【００５０】
前記ローラ移動助長手段は、前記移動規制部１８に設けられた弾発部材１９に限らず、搬送ベルトの搬送方向の下流側から上流側、または上流側から下流側へと自由ローラを押し戻すような構成の部材を別途設けることもできる。
【００５１】
更に、前記搬送ベルト７が間欠駆動され、該搬送ベルト７が停止している間に印捺部４による捺染印刷が行われる構成であれば、当該搬送ベルト７の間欠駆動される反動によって自由ローラ５が動き易くなるので、布２と搬送ベルト７との間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト７上の布２を平坦化することができる。
【００５２】
＜実施例２＞
次に、本発明に係るインクジェット捺染装置１における、前記記録媒体浮き防止手段の他の態様について説明する。本実施例における記録媒体浮き防止手段は、図５に示されるように、前記自由ローラ５が、前記搬送ベルト７の搬送方向に複数並べて配置されて構成されている。図５（Ａ）は、所定の範囲内に複数の自由ローラ５を設けた場合の例であり、図５（Ｂ）は、自由ローラ５毎に移動規制部材８を設けた場合の例である。
【００５３】
図５（Ａ）のように、所定の範囲内に複数の自由ローラ５を設けると、自由ローラ５同士がぶつかり合って、それぞれの自由ローラ５が異なる動きをする。このように、複数の自由ローラ５がそれぞれ独立した「不規則な動き」をすることによって、布２と搬送ベルト７との間の気泡を効率よく均すことができる。
【００５４】
また、図５（Ｂ）のように、自由ローラ５毎に移動規制部材８を設けてもよい。該移動規制部材８を自由ローラ毎に分けることによって、例えば搬送ベルト７の搬送方向（図中、白矢印）の上流側から下流側にいくに従って、それぞれの自由ローラ５の移動の移動範囲を変えることが可能となり、記録媒体である布２の種類や厚みに応じて、自由ローラ５の「不規則な動き」を細かく制御することができる。
【００５５】
更に、図６に示されるように、前記複数の自由ローラ５ａ，５ｂ，５ｃは、そのローラ径を、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側にいくに従って大きく設定することもできる。同じ素材で形成した自由ローラは、そのローラ径を大きくすれば重量も重くなる。
布２と搬送ベルト７との間にできた気泡が大きい場合、その大きな気泡上をいきなりローラ径が大きく重い自由ローラが転がると、該布２に皺ができてしまう虞がある。
【００５６】
本実施例によれば、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側の最も小径の軽い自由ローラ５ａによって、布２に皺を寄せることなく、前記大きな気泡をある程度小さくすることができる。そして、下流側にいくに従って中径の自由ローラ５ｂおよび大径の自由ローラ５ｃが配置されているので、小径の軽い前記自由ローラ５ａによって少し小さくされた気泡に、該自由ローラ５ａよりも重い、中径の自由ローラ５ｂが作用して更に気泡を分散させ、最後に更に重い大径の自由ローラ５ｃによってしっかりと布が均されることになる。したがって、搬送ベルトと布との間に大きな気泡ができ易い布に対しても、皺をつくることなく、前記気泡を均一に分散させて平坦化することができる。
【００５７】
＜実施例３＞
本発明に係るインクジェット捺染装置１における、前記記録媒体浮き防止手段の更に他の態様について説明する。図７は、本発明に係るインクジェット捺染装置１の記録媒体浮き防止手段の更に他の例を示す斜視図である。
【００５８】
本実施例における記録媒体浮き防止手段は、布２の幅より短い自由ローラ５ｄを複数備えており、該自由ローラ５ｄは、当該自由ローラ５ｄを囲う枠となる開口２２を有する板状のローラ保持部材２１によって保持されている。前記開口２２は、前記自由ローラ５ｄに、前述の実施例１において説明した自由ローラの「不規則な動き」を行わせることが可能な大きさに設定されている。
【００５９】
前記自由ローラの長さが短いと、該自由ローラ５ｄが不規則に転がる自由な移動がより細かくなり、布２と搬送ベルト７との間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト７上の布２を平坦化することができる。特に、布２が幅広である場合には、本実施例のように布２の幅より短い複数の自由ローラ５ｄを用いることが有効である。
【００６０】
前記複数の自由ローラ５ｄは、記録媒体である布２の全幅において、いずれかの自由ローラ５ｄが作用して布浮きを防止するように、例えば図８のように、前記布２の幅方向に各自由ローラ５ｄの一部がオーバーラップするように配設されている。
【００６１】
また、図９のように、該自由ローラ５ｄの布２の側辺２５に近い側の端部２４ａが他方の端部２４ｂよりも、前記搬送ベルトの搬送方向（図中、白矢印）の下流側になるように斜めに配設することもできる。このことによって、該自由ローラ５ｄが、前記気泡を布２の側辺２５側に押し出すように作用し易くなるので効果的である。なお、図８および図９において、開口２２の内側には、「不規則な動き」をする自由ローラ５ｄが点線で示されている。
【００６２】
なお、印捺部４の記録ヘッド６にぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ布全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように前記短い自由ローラ５ｄを部分的に配設し、該自由ローラ５ｄが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００６３】
また、前記ローラ保持部材２１の開口２２の内側の符号２３で示される部分は、前記自由ローラのローラ面がぶつかる部分であり、ここに弾発部材１９を設けたり、自由ローラ５ｄがぶつかって跳ね返りやすい形状に成形したりすることによって、該自由ローラ５ｄ自由移動をし易くすることができる。
【００６４】
本発明は、インクジェット記録ヘッドからインクを噴射することによって布を捺染するインクジェット捺染装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【００６５】
【図１】本発明に係るインクジェット捺染装置の一例を示す要部概略図。
【図２】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の一例を示す斜視図。
【図３】移動規制部材の一例を示す図。
【図４】移動規制部材の他の例を示す図。
【図５】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の他の例を示す側面図である。（Ａ）は、所定の範囲内に複数の自由ローラを設けた場合の例であり、（Ｂ）は、自由ローラ毎に移動規制部材を設けた場合の例。
【図６】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の更に他の例を示す側面図。
【図７】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の更に他の例を示す斜視図。
【図８】自由ローラを保持するローラ保持部材の一例を示す図。
【図９】自由ローラを保持するローラ保持部材の他の例を示す図。
【図１０】従来のインクジェット捺染装置の要部概略図。
【図１１】従来のインクジェット捺染装置において生じる問題点を示す側断面図。
【符号の説明】
【００６６】
１ インクジェット捺染装置、２ 布（記録媒体）、３ 記録媒体搬送部、 ４ 印捺部、５、５ａ、５ｂ、５ｃ、５ｄ 自由ローラ、６ 記録ヘッド、 ７ 搬送ベルト、 ８ 移動規制部材、１０ 布ロール、 １１ 供給ローラ、１２、１３、１４ 中間ローラ、１５、１６ 搬送ローラ、 １７ 巻取りローラ、１８ 移動規制部、 １９ 弾発部材、２１ ローラ保持部材、 ２２ 開口、２４ａ、２４ｂ 自由ローラ５ｄの端部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、インクジェット記録ヘッドからインクを噴射することによって布を捺染するインクジェット捺染装置に関するものである。
【背景技術】
【０００２】
従来、綿、絹、ウール、化学繊維、混紡等の布に対する捺染は、染型を用いて行うスクリーン捺染装置が用いられていたが、近年、インクジェットプリンタの技術の向上により、インクジェット方式による印捺を行うインクジェット捺染装置が注目されている。
【０００３】
インクジェット捺染は、スクリーン捺染で用いられる染型が不用であり、デジタル化されたデザインを利用することができる。したがって、顧客の要求に応じた細かいデザインの変更などに迅速に対応することができ、生産時間を大幅に短縮することができる。また、色のグラデーションを表現することができるなど、デザインの自由度が大きいという利点がある。
【０００４】
インクジェット捺染装置において、インクジェットによる捺染印刷を行う印捺部に記録媒体である布を搬送する際には、その搬送精度を高めるため、表面に粘着性を有する搬送ベルトに布を貼り付け、該搬送ベルトを搬送ローラ等により駆動して布が搬送される。
【０００５】
しかし、表面に粘着性を有する搬送ベルトに布を貼り付けると、当該搬送ベルトと布との間に気泡が入り込み、布が部分的に搬送ベルトから浮いた状態になる場合がある。
【０００６】
このような気泡による布浮きが存在する状態で、布が印捺部の下方に搬送されると、浮上った布が印捺部の記録ヘッドに接触して布を汚してしまったり、記録ヘッドを壊してしまう場合がある。また、気泡による浮きが存在する布に印捺を行うと、印捺された画像品質が低下してしまう問題がある。特に幅広の布を用いる場合には、前記搬送ベルトに布を均一に貼り付けることがより難しく、これらの問題が顕著である。
【０００７】
搬送ベルトに布を均一に貼り付けるため、従来のインクジェット捺染装置３１においては、図１０に示したように、印捺部４の上流において、搬送ベルト７の搬送ローラ１５に対向して、所定の付勢力で布を押し付けるように設けられた貼付けローラ３２が設けられていた（特許文献１）。
【特許文献１】特開平７−２１４７６６号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００８】
しかしながら、このような構成では、大きめの気泡によって布が広範囲に亘って浮いていた場合、前記貼付けローラと前記搬送ローラとの間で布がしごかれ、皺が寄った状態で搬送ベルトに貼り付けられてしまう虞がある。
【０００９】
本発明の課題は、表面に粘着性を有する搬送ベルト上に布を貼り付け、当該布を印捺部下方に搬送する際に、搬送ベルトと布との間に気泡が入ることによってできる布の浮きを、該気泡を均一に分散させることによって平坦に粘着させ、高い画像品質の印捺を行うことができるインクジェット捺染装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【００１０】
上記課題を解決するため、本発明の第１の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に捺染する印捺部と、表面に粘着性を有する搬送ベルトと、前記印捺部の上流側に設けられた記録媒体浮き防止手段と、を備え、前記記録媒体浮き防止手段は、前記搬送ベルトに粘着支持された前記記録媒体上に載置され、前記搬送ベルトの搬送方向および該搬送方向と逆方向に移動可能に構成された自由ローラを備えていることを特徴とするものである。
【００１１】
前記記録媒体浮き防止手段として設けられた前記自由ローラは、前記搬送ベルトに粘着支持された記録媒体である布の上に載置され、該自由ローラの軸は固定されていない。該布および搬送ベルトには自由ローラの自重のみがかかる状態で配置されている。すなわち、該自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向およびその逆方向に自由に移動可能に構成されている。そのため、前記記録媒体搬送部の搬送ベルトが駆動されると、前記自由ローラは、該搬送ベルト上をベルト搬送方向およびその逆方向に自由に転がることができる。そして、前記自由ローラは上記の如く軸が固定されていないので、その転がる動きは規則的ではない。
【００１２】
本態様によれば、印捺部の上流側の前記搬送ベルト上における、前記自由ローラの「不規則な動き（転がり）」によって、搬送ベルトと布との間に気泡が入ることによってできる布の浮きを、皺を寄せることなく均一に分散させ、搬送ベルトに平坦に粘着させることができる。この自由ローラの「不規則な動き」について以下に詳細に説明する。
【００１３】
従来例のように、軸が固定され、所定の付勢力をもって押し付けられる貼付けローラ３２では、図１１のように、布２が搬送ベルト７との間でしごかれる。従って、布２に無理な力がかかってしまうため皺ができ易い。
【００１４】
本発明では、自由ローラが上記の通り、自由に移動可能である。そのため、該自由ローラが転がって搬送ベルトと布との間の気泡を押すことによって皺ができるような布の盛り上がりができると、その盛り上がりによって自由ローラが弾かれ、盛り上がりのない方向へと転がる。その後、また布の盛り上がりに自由ローラが当たると、再び自由ローラは弾かれて転がる。このような自由ローラの「不規則な動き」が繰り返されることによって、搬送ベルトと布との間の気泡は満遍なく均一に分散され、布に皺を寄せることなく平坦化することができる。
【００１５】
なお、前記自由ローラは、例えば１本の自由ローラを用いる場合には、該記録媒体の幅よりも長く設定され、記録媒体全面の前記気泡を分散させることができるように構成されていることが好ましい。また、印捺部の記録ヘッドにぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ記録媒体全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように自由ローラを短く設定し、該自由ローラが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００１６】
ここで、前記態様のインクジェット捺染装置において、前記自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向に複数並べて配置されていることが好ましい。
【００１７】
これによれば、複数の自由ローラがそれぞれ独立して前述の「不規則な動き」を行いつつ前記記録媒体上を転がるので、搬送ベルトと記録媒体との間の気泡を、該記録媒体が搬送される間に確実に分散し、平坦化することができる。
【００１８】
本発明の第２の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様において、前記自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向に複数並べて配置され、該複数の自由ローラは、そのローラ径が、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側にいくに従って大きく設定されていることを特徴とするものである。
【００１９】
記録媒体である布と搬送ベルトとの間にできた気泡が大きい場合、その大きな気泡上をいきなりローラ径が大きく重い自由ローラが転がると、該布に皺ができてしまう虞がある。
【００２０】
本態様によれば、第１の態様と同様の作用効果に加え、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側の最も小径の軽い自由ローラによって、布に皺を寄せることなく、前記大きな気泡をある程度小さくすることができる。そして、下流側にいくに従って、前記自由ローラのローラ径が大きく設定されているので、前記小径の自由ローラによって少し小さくされた気泡に、該小径の自由ローラよりも大きく重い自由ローラを作用させて気泡を分散させることができる。このように前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側に向けて、段階的に大きな自由ローラを作用させていくことにより、搬送ベルトと布との間に大きな気泡ができ易い布に対して皺をつくることなく、前記気泡を均一に分散させて平坦化することができる。
【００２１】
本発明の第３の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様において、前記搬送ベルトは間欠駆動される構成であることを特徴とするものである。
【００２２】
本態様によれば、第１の態様と同様の作用効果に加え、搬送ベルトが間欠駆動される反動によって自由ローラが動き易くなるので、記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト上の記録媒体を平坦化することができる。
【００２３】
本発明の第４の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様から第３の態様のいずれか一つの態様において、前記自由ローラの移動範囲を規制する移動規制部材を備えていることを特徴とするものである。
【００２４】
本態様によれば、第１の態様から第３の態様のいずれか一つと同様の作用効果に加え、自由ローラを設定範囲内で自由移動可能にすることによって、前述の自由ローラの「不規則な動き」を安定して行わせることができる。
【００２５】
本発明の第５の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様から第４の態様のいずれか一つの態様において、前記自由ローラの前記移動を助長するローラ移動助長手段を備えたことを特徴とするものである。
ここで、自由ローラの移動を「助長する」とは、該自由ローラが当該ローラ移動助長手段に近づいて行って当接したときに、その当接位置に静止しないよう跳ね返される力を受ける構造であることを意味する。
【００２６】
本態様によれば、第１の態様から第４の態様のいずれか一つと同様の作用効果に加え、前記自由ローラの前記自由な移動を助長するローラ移動助長手段を備えているので、より効率的に記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を均し、搬送ベルト上の記録媒体を均一に平坦化することができる。
【００２７】
本発明の第６の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第５の態様において、前記ローラ移動助長手段は、バネや樹脂等の弾発部材、又は前記自由ローラがぶつかって跳ね返りやすい形状部で構成されていることを特徴とするものである。
本態様によれば、構造簡単にして前記助長効果を発現させることができる。
【００２８】
ここで、第１の態様から第６の態様のいずれか一つの態様において、前記記録媒体浮き防止手段は、前記記録媒体の幅より短い複数の前記自由ローラによって構成されていてもよい。
【００２９】
これにより、自由ローラが短いことによって、自由ローラが不規則に転がる動きがより細かくなり、記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト上の記録媒体を平坦化することができる。
【００３０】
なお、記録媒体の幅より短い複数の自由ローラは、前記記録媒体の幅方向に各自由ローラの一部がオーバーラップするように配設され、記録媒体全面の前記気泡を分散させることができるように構成されていることが好ましい。また、印捺部の記録ヘッドにぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ記録媒体全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように前記短い自由ローラを部分的に配設し、該自由ローラが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００３１】
本発明の第７の態様に係るインクジェット捺染装置の発明は、第１の態様から第４の態様のいずれか一つの態様において、前記記録媒体浮き防止手段は、前記記録媒体の幅より短い複数の前記自由ローラによって構成され、前記自由ローラは、当該自由ローラの該記録媒体の側辺に近い側の端部が他方の端部よりも、前記搬送ベルトの搬送方向の下流側になるように斜めに配設されていることを特徴とするものである。
【００３２】
本態様によれば、自由ローラが短いことによって、自由ローラが不規則に転がる動きがより細かくなり、記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト上の記録媒体を平坦化することができる。更に、前記自由ローラの動きが、前記記録媒体と搬送ベルトとの間の気泡を、該記録媒体の側辺側に押し出すように作用し易くなり、前記気泡を効率よく均すことができる。
【００３３】
なお、記録媒体の幅より短い複数の自由ローラは、前記記録媒体の幅方向に各自由ローラの一部がオーバーラップするように斜めに配設され、記録媒体全面の前記気泡を分散させることができるように構成されていることが好ましい。また、印捺部の記録ヘッドにぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ記録媒体全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように前記短い自由ローラを部分的に配設し、該自由ローラが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００３４】
また、前記第１の態様から第７の態様のいずれか一つの態様において、前記自由ローラは、該自由ローラを囲う枠となる開口を有する板状のローラ保持部材によって保持されている構造にしてもよい。
【００３５】
この構造によれば、第１の態様から第７の態様のいずれか一つと同様の作用効果に加え、構造簡単にして自由ローラを保持することができる。
【００３６】
本発明によれば、表面に粘着性を有する搬送ベルト上に記録媒体を貼り付け、当該記録媒体を印捺部下方に搬送する際に、搬送ベルトと記録媒体との間に気泡が入ることによってできる記録媒体の浮きを均一に抑えて平坦に粘着させることができる。搬送ベルトに均一且つ平坦に貼り付けられた記録媒体が印捺部に搬送されることによって、高い画像品質の印捺を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００３７】
＜実施例１＞
図１は、本発明に係るインクジェット捺染装置１の一例を示す要部概略図である。本実施例における記録媒体は、綿、絹、ウール、化学繊維、混紡等の布２である。インクジェット捺染が行われる前の布２は、通常ロール状に巻かれており、供給ローラ１１によって布ロール１０から巻き出されて、中間ローラ１２、中間ローラ１３、および中間ローラ１４を介して記録媒体搬送部３の搬送ベルト７へと導かれる。
【００３８】
前記記録媒体搬送部３は、ループ状の搬送ベルト７が、搬送ローラ１５および搬送ローラ１６によって駆動するように構成されている。図１中の白矢印は、搬送ベルト７の駆動方向であり、布２の搬送方向である。
【００３９】
前記搬送ベルト７の表面にはグルーと呼ばれる接着剤の粘着層（図示せず）が設けられており、前記布ロール１０から巻き出された前記布２は、該搬送ベルト７の表面に粘着支持されて、印捺部４の下方へと搬送される。前記搬送ベルト７を搬送する搬送ローラの配置は本構成に限定されるものではなく、該搬送ベルト７の表面に貼り付けられた布２が安定して搬送されるように、搬送ローラとの間に、搬送ベルト７の搬送を補助する補助ローラや、印捺部４の下方においてベルトを支持するプラテンローラ等が配設されていてもよい。
【００４０】
前記搬送ベルト７の上流側直前に配設された中間ローラ１４は、前記布２を搬送ベルト７の表面に張り付きやすくするように、前記搬送ベルト７の搬送面の高さよりもやや下方に配置されていることが望ましい。
【００４１】
前記印捺部４は、インクジェット方式による印捺を行う記録ヘッド６を備えており、該印捺部４の下方に搬送された布２に対してインクを吐出して捺染印刷を行うものである。前記印捺部４の前記記録ヘッド６の下方において布２に捺染印刷を行った後、該布２が前記搬送ベルト７から剥離されて、巻取りローラによって巻取られるように構成されている。
【００４２】
前記印捺部４の上流側には、搬送ベルト７上における記録媒体浮き防止手段としての自由ローラ５が設けられている。図２は、本発明に係るインクジェット捺染装置１の記録媒体浮き防止手段の一例を示す斜視図である。前記搬送ベルト７に布２を貼り付けると、当該搬送ベルト７と布２との間に気泡が入り込み、布２が部分的に搬送ベルト７から浮いた状態になる場合がある。前記記録媒体浮き防止手段は、前述のように布２が部分的に搬送ベルト７から浮いた状態を、前記印捺部４の上流側（図２中の白矢印が布２の搬送方向）において均し、布浮きのある状態で当該布２が印捺部４下方に搬送されることを防止するものである。
【００４３】
前記自由ローラ５について、以下に詳細に説明する。
前記自由ローラ５は棒状のローラであり、例えば金属、セラミック等で形成することができる。該自由ローラ５は、記録媒体である布２の幅よりも長く、前記搬送ベルト７に粘着支持された前記布２上に載置され、前記搬送ベルト７の搬送方向およびその逆方向に自由に移動可能に構成されている。すなわち、前記自由ローラ５は軸が固定されていない。該布２および該搬送ベルト７には、前記自由ローラ５の自重のみがかかっている。該自由ローラ５の直径および重さは、記録媒体である布２の種類や厚さに応じて設定することが望ましい。
【００４４】
なお、前記自由ローラ５は、本実施例のように１本の自由ローラ５を用いる場合には、該記録媒体である布２の幅よりも長く設定され、布全面の前記気泡を分散させることができるように配設されていることが好ましい。また、印捺部４の記録ヘッド６にぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ布全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように自由ローラ５を短く設定し、該自由ローラ５が転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００４５】
前記記録媒体搬送部３の前記搬送ベルト７が駆動されると、前記自由ローラ５は、該搬送ベルト７上をベルト搬送方向およびその逆方向に自由に転がる。前記自由ローラ５は軸が固定されていないので、その転がりは規則的ではない。
【００４６】
該自由ローラ５の転がりによって、搬送ベルト７と布２との間の気泡が押される。そして、皺ができるような布２の盛り上がり（図１１に示される貼付けローラ３２によってできた布の盛り上がりと同様）ができると、その盛り上がりによって自由ローラ５が弾かれ、該自由ローラ５は盛り上がりのない方向に転がることができる。そして、その転がり方向の先に他の気泡があると、該自由ローラ５の転がりによってその気泡が押されて布２が盛り上がり、当該盛り上がりによって再び自由ローラ５は弾かれる。
【００４７】
この自由ローラ５の「不規則な動き（転がり）」が繰り返されることによって、搬送ベルト７と布２との間の気泡は満遍なく均一に分散され、布２に皺を寄せることなく平坦化することができる。
【００４８】
本実施例においては、前記自由ローラ５の自由な移動の範囲は、移動規制部材８によって、所定の範囲内に設定されている。自由ローラ５を設定範囲内で自由に移動可能にすることによって、前述の自由ローラ５の「不規則な動き」を安定して行わせることができる。この自由な移動の範囲は、自由ローラ５の直径や、記録媒体である布２の種類や厚さに応じて設定することが好ましい。また、前記移動規制部材８の移動規制部１８を可動に構成し、前記自由な移動の範囲を変更可能に設けることによって、多様な布に対応させることが可能となる。
【００４９】
また、前記移動規制部材８の移動規制部１８には、図３に示されるように、当該自由ローラ５の自由な移動をし易くする、すなわち助長するローラ移動助長手段である弾発部材１９を設けることができる。このことによって、該移動規制部１８に前記自由ローラ５がぶつかった際に、該自由ローラ５がその位置に静止せずに転がり易くなる。弾発部材１９としては、バネや、自由ローラが跳ね返りやすい性質を有する樹脂などが挙げられる。また、図４に示されるように、移動規制部１８を、自由ローラ５がぶつかったときに跳ね返りやすい凸面形状に成形してもよい。なお、前記自由ローラ５は、搬送ベルトの搬送方向の下流側に偏り易いので、前記弾発部材１９は、下流側の移動規制部１８にのみ設けられる構成でもよい。
【００５０】
前記ローラ移動助長手段は、前記移動規制部１８に設けられた弾発部材１９に限らず、搬送ベルトの搬送方向の下流側から上流側、または上流側から下流側へと自由ローラを押し戻すような構成の部材を別途設けることもできる。
【００５１】
更に、前記搬送ベルト７が間欠駆動され、該搬送ベルト７が停止している間に印捺部４による捺染印刷が行われる構成であれば、当該搬送ベルト７の間欠駆動される反動によって自由ローラ５が動き易くなるので、布２と搬送ベルト７との間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト７上の布２を平坦化することができる。
【００５２】
＜実施例２＞
次に、本発明に係るインクジェット捺染装置１における、前記記録媒体浮き防止手段の他の態様について説明する。本実施例における記録媒体浮き防止手段は、図５に示されるように、前記自由ローラ５が、前記搬送ベルト７の搬送方向に複数並べて配置されて構成されている。図５（Ａ）は、所定の範囲内に複数の自由ローラ５を設けた場合の例であり、図５（Ｂ）は、自由ローラ５毎に移動規制部材８を設けた場合の例である。
【００５３】
図５（Ａ）のように、所定の範囲内に複数の自由ローラ５を設けると、自由ローラ５同士がぶつかり合って、それぞれの自由ローラ５が異なる動きをする。このように、複数の自由ローラ５がそれぞれ独立した「不規則な動き」をすることによって、布２と搬送ベルト７との間の気泡を効率よく均すことができる。
【００５４】
また、図５（Ｂ）のように、自由ローラ５毎に移動規制部材８を設けてもよい。該移動規制部材８を自由ローラ毎に分けることによって、例えば搬送ベルト７の搬送方向（図中、白矢印）の上流側から下流側にいくに従って、それぞれの自由ローラ５の移動の移動範囲を変えることが可能となり、記録媒体である布２の種類や厚みに応じて、自由ローラ５の「不規則な動き」を細かく制御することができる。
【００５５】
更に、図６に示されるように、前記複数の自由ローラ５ａ，５ｂ，５ｃは、そのローラ径を、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側にいくに従って大きく設定することもできる。同じ素材で形成した自由ローラは、そのローラ径を大きくすれば重量も重くなる。
布２と搬送ベルト７との間にできた気泡が大きい場合、その大きな気泡上をいきなりローラ径が大きく重い自由ローラが転がると、該布２に皺ができてしまう虞がある。
【００５６】
本実施例によれば、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側の最も小径の軽い自由ローラ５ａによって、布２に皺を寄せることなく、前記大きな気泡をある程度小さくすることができる。そして、下流側にいくに従って中径の自由ローラ５ｂおよび大径の自由ローラ５ｃが配置されているので、小径の軽い前記自由ローラ５ａによって少し小さくされた気泡に、該自由ローラ５ａよりも重い、中径の自由ローラ５ｂが作用して更に気泡を分散させ、最後に更に重い大径の自由ローラ５ｃによってしっかりと布が均されることになる。したがって、搬送ベルトと布との間に大きな気泡ができ易い布に対しても、皺をつくることなく、前記気泡を均一に分散させて平坦化することができる。
【００５７】
＜実施例３＞
本発明に係るインクジェット捺染装置１における、前記記録媒体浮き防止手段の更に他の態様について説明する。図７は、本発明に係るインクジェット捺染装置１の記録媒体浮き防止手段の更に他の例を示す斜視図である。
【００５８】
本実施例における記録媒体浮き防止手段は、布２の幅より短い自由ローラ５ｄを複数備えており、該自由ローラ５ｄは、当該自由ローラ５ｄを囲う枠となる開口２２を有する板状のローラ保持部材２１によって保持されている。前記開口２２は、前記自由ローラ５ｄに、前述の実施例１において説明した自由ローラの「不規則な動き」を行わせることが可能な大きさに設定されている。
【００５９】
前記自由ローラの長さが短いと、該自由ローラ５ｄが不規則に転がる自由な移動がより細かくなり、布２と搬送ベルト７との間の気泡を効率よく均し、搬送ベルト７上の布２を平坦化することができる。特に、布２が幅広である場合には、本実施例のように布２の幅より短い複数の自由ローラ５ｄを用いることが有効である。
【００６０】
前記複数の自由ローラ５ｄは、記録媒体である布２の全幅において、いずれかの自由ローラ５ｄが作用して布浮きを防止するように、例えば図８のように、前記布２の幅方向に各自由ローラ５ｄの一部がオーバーラップするように配設されている。
【００６１】
また、図９のように、該自由ローラ５ｄの布２の側辺２５に近い側の端部２４ａが他方の端部２４ｂよりも、前記搬送ベルトの搬送方向（図中、白矢印）の下流側になるように斜めに配設することもできる。このことによって、該自由ローラ５ｄが、前記気泡を布２の側辺２５側に押し出すように作用し易くなるので効果的である。なお、図８および図９において、開口２２の内側には、「不規則な動き」をする自由ローラ５ｄが点線で示されている。
【００６２】
なお、印捺部４の記録ヘッド６にぶつかるような大きな気泡が比較的生じにくく、且つ布全面に捺染を行わない場合には、印捺を行う範囲に生じた気泡のみを分散均一化するように前記短い自由ローラ５ｄを部分的に配設し、該自由ローラ５ｄが転がる幅方向の範囲を限定する構成とすることも可能である。
【００６３】
また、前記ローラ保持部材２１の開口２２の内側の符号２３で示される部分は、前記自由ローラのローラ面がぶつかる部分であり、ここに弾発部材１９を設けたり、自由ローラ５ｄがぶつかって跳ね返りやすい形状に成形したりすることによって、該自由ローラ５ｄ自由移動をし易くすることができる。
【００６４】
本発明は、インクジェット記録ヘッドからインクを噴射することによって布を捺染するインクジェット捺染装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【００６５】
【図１】本発明に係るインクジェット捺染装置の一例を示す要部概略図。
【図２】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の一例を示す斜視図。
【図３】移動規制部材の一例を示す図。
【図４】移動規制部材の他の例を示す図。
【図５】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の他の例を示す側面図である。（Ａ）は、所定の範囲内に複数の自由ローラを設けた場合の例であり、（Ｂ）は、自由ローラ毎に移動規制部材を設けた場合の例。
【図６】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の更に他の例を示す側面図。
【図７】本発明に係るインクジェット捺染装置の記録媒体浮き防止手段の更に他の例を示す斜視図。
【図８】自由ローラを保持するローラ保持部材の一例を示す図。
【図９】自由ローラを保持するローラ保持部材の他の例を示す図。
【図１０】従来のインクジェット捺染装置の要部概略図。
【図１１】従来のインクジェット捺染装置において生じる問題点を示す側断面図。
【符号の説明】
【００６６】
１ インクジェット捺染装置、２ 布（記録媒体）、３ 記録媒体搬送部、 ４ 印捺部、５、５ａ、５ｂ、５ｃ、５ｄ 自由ローラ、６ 記録ヘッド、 ７ 搬送ベルト、 ８ 移動規制部材、１０ 布ロール、 １１ 供給ローラ、１２、１３、１４ 中間ローラ、１５、１６ 搬送ローラ、 １７ 巻取りローラ、１８ 移動規制部、 １９ 弾発部材、２１ ローラ保持部材、 ２２ 開口、２４ａ、２４ｂ 自由ローラ５ｄの端部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に捺染する印捺部と、
表面に粘着性を有する搬送ベルトと、
前記印捺部の上流側に設けられた記録媒体浮き防止手段と、を備え、
前記記録媒体浮き防止手段は、前記搬送ベルトに粘着支持された前記記録媒体上に載置され、前記搬送ベルトの搬送方向および該搬送方向と逆方向に移動可能に構成された自由ローラを備えていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項２】
請求項１に記載されたインクジェット捺染装置において、前記自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向に複数並べて配置され、該複数の自由ローラは、そのローラ径が、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側にいくに従って大きく設定されていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項３】
請求項１に記載されたインクジェット捺染装置において、前記搬送ベルトは間欠駆動される構成であることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項４】
請求項１から３のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、前記自由ローラの移動範囲を規制する移動規制部材を備えていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項５】
請求項１から４のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、前記自由ローラの前記移動を助長するローラ移動助長手段を備えたことを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項６】
請求項５に記載されたインクジェット捺染装置において、前記ローラ移動助長手段は、バネや樹脂等の弾発部材、又は前記自由ローラがぶつかって跳ね返りやすい形状部で構成されているたことを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項７】
請求項１から４のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、前記記録媒体浮き防止手段は、前記記録媒体の幅より短い複数の前記自由ローラによって構成され、前記自由ローラは、当該自由ローラの該記録媒体の側辺に近い側の端部が他方の端部よりも、前記搬送ベルトの搬送方向の下流側になるように斜めに配設されていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項１】
記録ヘッドからインクを吐出して記録媒体に捺染する印捺部と、
表面に粘着性を有する搬送ベルトと、
前記印捺部の上流側に設けられた記録媒体浮き防止手段と、を備え、
前記記録媒体浮き防止手段は、前記搬送ベルトに粘着支持された前記記録媒体上に載置され、前記搬送ベルトの搬送方向および該搬送方向と逆方向に移動可能に構成された自由ローラを備えていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項２】
請求項１に記載されたインクジェット捺染装置において、前記自由ローラは、前記搬送ベルトの搬送方向に複数並べて配置され、該複数の自由ローラは、そのローラ径が、前記搬送ベルトの搬送方向の上流側から下流側にいくに従って大きく設定されていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項３】
請求項１に記載されたインクジェット捺染装置において、前記搬送ベルトは間欠駆動される構成であることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項４】
請求項１から３のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、前記自由ローラの移動範囲を規制する移動規制部材を備えていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項５】
請求項１から４のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、前記自由ローラの前記移動を助長するローラ移動助長手段を備えたことを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項６】
請求項５に記載されたインクジェット捺染装置において、前記ローラ移動助長手段は、バネや樹脂等の弾発部材、又は前記自由ローラがぶつかって跳ね返りやすい形状部で構成されているたことを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【請求項７】
請求項１から４のいずれか一項に記載されたインクジェット捺染装置において、前記記録媒体浮き防止手段は、前記記録媒体の幅より短い複数の前記自由ローラによって構成され、前記自由ローラは、当該自由ローラの該記録媒体の側辺に近い側の端部が他方の端部よりも、前記搬送ベルトの搬送方向の下流側になるように斜めに配設されていることを特徴とする、インクジェット捺染装置。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００９−１７３４４３（Ｐ２００９−１７３４４３Ａ）
【公開日】平成２１年８月６日（２００９．８．６）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２６３１６２（Ｐ２００８−２６３１６２）
【出願日】平成２０年１０月９日（２００８．１０．９）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２１年８月６日（２００９．８．６）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年１０月９日（２００８．１０．９）
【出願人】（０００００２３６９）セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Ｆターム（参考）】
[ Back to top ]