説明

インクジェット用顔料分散体、インク、カートリッジ、インクジェット記録装置、画像形成物

【課題】顔料の分散性がよくインクジェット用インクに利用した場合、保存安定性が良好で平滑紙、非平滑紙のいずれでも高画像濃度が実現できるインクジェット用顔料分散体、該顔料分散体を用いたインクジェット用インク、該インクを容器中に収容したカートリッジ、該カートリッジを搭載したインクジェット記録装置、及び該記録装置で印字された画像形成物の提供。
【解決手段】水、顔料及び水溶性又は水分散性化合物を含有し、該化合物が、少なくとも下記A)、B)及びC)の3種類のモノマーを用いた共重合体の塩であるインクジェット用顔料分散体。
A)芳香族環を有するモノマー
B)カルボキシル基を2個又は3個有するモノマー
C)アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット用の顔料分散体、該顔料分散体を用いたインクジェット用インク、該インクを収容したカートリッジ、該カートリッジを搭載したインクジェット記録装置、及び該記録装置で印字された画像形成物に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、画像形成方法として、他の記録方式に比べてプロセスが簡単でフルカラー化が容易であり、簡略な構成の装置であっても高解像度の画像が得られる利点があることから、インクジェット記録方式が普及してきた。
インクジェット記録方式は、熱による発生する泡や、ピエゾや静電等を利用して発生した圧力で少量のインクを飛翔させ、紙などの被画像形成体に付着させ、素早く乾燥させて(あるいは被画像形成体に浸透させて)画像を形成する方式であり、パーソナルを始め、産業用としてのプリンターや、印刷用途まで拡大してきている。
特に産業用途としての需要が高まり、高速印字や様々な被記録媒体(紙等のメディア)への対応が望まれている。また高速化に伴いラインヘッドを搭載したインクジェットプリンターも必要となってきている。
更に、近年、環境面や安全性の面から水系インクの要望が高くなっている。しかしながら、水系インクは媒体の影響を受け易く、画像濃度、にじみ等の画像品質に各種の問題を引き起こしている。特に媒体に非平滑性の紙を使用する場合は画像濃度への影響が顕著である。
【0003】
水系インクの場合、乾燥までに時間を要し、紙との相溶性も良好なため、紙への浸透性が高く、特に未コーティングの比較的非平滑な紙の場合には、色材が紙中に浸透することにより、形成された画像の色濃度が低くなってしまうという、溶剤インクでは見られなかった問題が生じている。
また、高速印字化が進むにつれ、メディアに付着したインクの乾燥速度を早めるため、インクに浸透剤を添加し、溶媒である水をメディアに浸透させることで乾燥を早める手段がとられる。
しかしながら浸透剤を含有させると、水だけでなく色材のメディアへの浸透性が向上してしまい、更に画像濃度が低下してしまうという問題が、塗料やボールペンに使用されるインクと異なり、顕著に発生してしまう。
【0004】
このような状況下、特許文献1には、第一インクがpH感受性ポリマーを含有し、且つ第二インクが多価塩を含有するか又は適当なpHを有していて、第一インクと第二インクが接触した際に、第二インクにより第一インクのpHが変動し、pH感受性ポリマーが不溶化して、インク同士の混じり(にじみ)を防ぐ発明が開示されている。pH感受性ポリマーとしては、アクリル酸等のカルボン酸基を一つ有するモノマーやN−オクチルアクリルアミド等のアミド基を有するモノマーからなるものが例示されている。
しかし、カルボン酸基を一つ有するモノマーのみを含むポリマーの場合、(例えばメタクリル酸メチル/アクリル酸メチル/メタクリル酸)、不溶化させるために第一インクのpHを酸性に変動させると、画像形成時に第二インクとの境界面で不溶化が起こり、にじみ防止効果はあるものの、紙等の印字媒体と接触した場合には、それほどのpH変動は起こらず、高画像濃度は望めない。
また、カルボン酸基を一つ有するモノマーとN−オクチルアクリルアミド等のアミド基を有するモノマーを両方含むポリマーの場合(例えばオクチルアクリルアミド/ブチルアミノエチルメタクリル酸/アクリル酸)、インクに使用した場合の保存安定性がよくなく(アミド基とカルボン酸の間で電気引力が働くためと考えられる)、充分な画像濃度も得られなかった。
【0005】
また、特許文献2には、カーボンブラックの特性を規定し、マット調印字媒体の画像濃度を向上させる発明が提案されている。そして、樹脂分散剤に使用可能な好ましい樹脂としてスチレン/アクリル樹脂が記載されているが、本発明に係るA)、B)、C)の3種類のモノマーを用いた共重合体の特異的な画像濃度向上効果については全く記載されていない。しかも、実施例記載のスチレン/アクリル樹脂を用いても、画像濃度向上効果はほとんど得られなかった。
また、特許文献3には、顔料の表面を高分子化合物で被覆すること、該高分子化合物として、n−ブチルメタクリレート、メチルメタクリレート、スチレン、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、メタクリル酸、メタクリルアミドを重合した樹脂を使用することが記載されている。
しかしながら、これら樹脂被覆した顔料を用いたインクでは、インクジェット用にコートされていない非平滑紙に画像形成した場合、顔料が紙表面にそれほど留まらず、充分な画像濃度が得られないという問題があった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来技術に鑑みてなされたものであり、顔料の分散性がよく、インクジェット用インクに利用した場合、保存安定性が良好で、平滑紙、非平滑紙のいずれでも高画像濃度が実現できるインクジェット用顔料分散体、該顔料分散体を用いたインクジェット用インク、該インクを容器中に収容したカートリッジ、該カートリッジを搭載したインクジェット記録装置、及び該記録装置で印字された画像形成物の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題は、次の1)〜7)の発明によって解決される。
1) 水、顔料及び水溶性又は水分散性化合物を含有し、該化合物が、少なくとも下記A)、B)及びC)の3種類のモノマーを用いた共重合体の塩であることを特徴とするインクジェット用顔料分散体。
A)芳香族環を有するモノマー
B)カルボキシル基を2個又は3個有するモノマー
C)アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド
2) 前記化合物が、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリルアミド共重合体塩、又はビニルナフタレン−マレイン酸−(メタ)アクリルアミド共重合体塩であることを特徴とする1)に記載のインクジェット用顔料分散体。
3) 前記共重合塩がNa塩であることを特徴とする1)又は2)に記載のインクジェット用顔料分散体。
4) 1)〜3)のいずれかに記載の顔料分散体を用いたことを特徴とするインクジェット用インク。
5) 4)に記載のインクジェット用インクを容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
6) 5)に記載のカートリッジを搭載したインクジェット記録装置。
7) 6)に記載のインクジェット記録装置で印字された画像形成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、保存安定性が良好で、平滑紙、非平滑紙のいずれでも高画像濃度が実現できるインクジェット用顔料分散体、該顔料分散体を用いたインクジェット用インク、該インクを容器中に収容したカートリッジ、該カートリッジを搭載したインクジェット記録装置、及び該記録装置で印字された画像形成物を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明に係るインクジェット記録装置の一例を示す図。
【図2】本発明に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドの一例を示す図。
【図3】本発明に係るインクジェット記録装置の記録ヘッドの別の例を示す図。
【図4】本発明に係るカートリッジの一例を示す外観斜視図。
【図5】本発明に係るカートリッジの一例の正断面図。
【0010】
以下、上記本発明について詳しく説明する。
本発明のインクジェット用顔料分散体は、水、顔料及び水溶性又は水分散性化合物(以下、化合物αということもある)を含有し、化合物αが、少なくとも下記A)、B)及びC)の3種類のモノマーを用いた共重合体の塩であることを特徴とするものである。
A)芳香族環を有するモノマー
B)カルボキシル基を2個又は3個有するモノマー
C)アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド
【0011】
上記化合物αは、少なくとも上記A)〜C)の3種類のモノマーを必須成分として組み合わせて共重合したものであることが重要であり、特にB)のモノマーがカルボキシル基を2個又は3個有することが重要である。
カルボキシ基を1個有するモノマーとアミド基を有するモノマーとを共重合したポリマー、例えば、アクリル酸−アクリルアミド共重合体は、官能基であるカルボン酸とアクリル酸及びアクリルアミド同士の間に水素結合を形成しやすく、水系インクに用いた場合、インクが紙等の画像形成媒体に接触した際に水分蒸発等で固形分が上昇することにより、アクリル酸−アクリルアミド共重合体の分子間距離が小さくなり、水素結合が発生して凝集・増粘し、顔料が紙表面に留まって高画像濃度が出ることが予想される。
しかしながら、実際は、画像濃度を上げる効果はそれ程なく、インクを長期保存すると増粘してしまい、保存安定性に欠けるという問題がある。
【0012】
そこで、この問題を解決するために本発明者らが鋭意検討したところ、カルボキシル基を有するモノマーと(メタ)アクリルアミドに対し、芳香族環を有するモノマーを加え、更にカルボキシ基を有するモノマーとしてカルボキシル基を2個又は3個有するモノマーを用いることにより、保存安定性がよく、高画像濃度を得られることがわかった。
保存安定性及び画像濃度が向上する理由は定かではないが、画像濃度向上効果としては
カルボキシル基を2個又は3個有するモノマーを用いると、画像形成時にインクが紙に接触した際に、(メタ)アクリルアミドとの水素結合だけでなく、多くの紙が含有する炭酸カルシウムのカルシウムイオンと、カルボキシル基を2個又は3個有するモノマーが錯体を形成することにより不溶化し凝集性を高めること、及び芳香族環を有するモノマーを用いることにより顔料への吸着が強くなり、化合物αが顔料粒子の周りを覆うことが出来、紙面上で顔料を効率よく巻き込んで凝集する機能が付加されるため、顔料を紙面上に多く留めさせることができ、画像濃度が向上すると推測される。
保存安定性については、カルボキシル基を2個又は3個有するモノマーを用いることにより高固形分でない状態での水溶性が向上して不必要な水素結合を阻害し、また芳香族環を有するモノマーを用いることにより、化合物αが顔料表面に局在化しやすくなり、化合物分子同士の接触が少なくなるため、保存安定性が向上するのではないかと推測される。
【0013】
前記A)芳香族環を有するモノマーは、芳香族環を有するビニル化合物であり、顔料の吸着を考えると、カルボン酸等のイオン性を示す官能基がモノマー内にない方が好ましく、例えば、スチレン、ジメチルスチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルナフタレン等が挙げられる。
顔料への吸着の面から、スチレン又はビニルナフタレンが好ましく、特に画像濃度向上効果の点からビニルナフタレンが好ましい。
【0014】
前記B)カルボキシル基を2個又は3個有するモノマーは、カルボキシル基を2個又は3個有するビニル化合物で重合可能なものであれば特に限定されないが、二塩基酸としては、例えば、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等が挙げられる。また、三塩基酸としては、アコニット酸が挙げられる。中でも、画像濃度及びインク安定性の面から、マレイン酸が好ましい。
また、カルボキシル基は塩の状態であることが好ましく、例えば、Li、Na、K等のアルカリ金属塩;アンモニウム塩;モノ、ジ又はトリメチルアミン、モノ、ジ又はトリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メチルエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン、コリン、アミノエタンプロパンジオール、モノプロパノールアミン、ジプロパノールアミン、トリプロパノールアミン、イソプロパノールアミン、トリスヒドロキシメチルアミノメタン、アミノエチルプロパンジオールの有機アミン塩;モノホリン、N−メチルモノホルリン、N−メチル−2ピロリドン、2−ピロリドン等の環状アミン等の有機アミン塩が挙げられるが、画像濃度向上効果の面からLi塩、Na塩が好ましく、特にNa塩が好ましい。
これらはモノマー塩として用いても良いし、各モノマーを重合した後、中和し化合物塩の状態にして用いてもよい。
【0015】
前記C)アクリルアミド及び/又はメタクリルアミドについては、水素結合力を考えると、N−オクチルアクリルアミド等のアミド基を修飾したものでない方が好ましい。画像濃度向上効果の面からはアクリルアミドが最も好ましい。
また本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてA)〜C)以外の公知のモノマーを併用してもよい。
【0016】
化合物αの重合方法については特に限定されず、公知の重合方法を採用できる。例えば水を媒体にして、モノマーA)〜C)と、必要に応じて他のモノマー、重合開始剤、及び連鎖移動剤を加え、常温〜100℃で重合させればよい。
モノマーについては、A)20モル%以上、B)80モル%以下、C)20〜80モル%の範囲内とするのが好ましい。
また、数平均分子量で500〜20000(GPC法、プルラン換算)の範囲のものが好ましく、インク粘度や顔料の吸着の面で1000〜10000のものがより好ましい。
【0017】
本発明で用いる顔料は、黒色顔料としてはカーボンブラックが好ましい。カーボンブラックとしては、例えば、ケッチェンブラック、ファーネスブラック、アセチレンブラック、サーマルブラック、ガスブラック等が挙げられる。また、カーボンブラック表面を酸化処理やアルカリ処理したもの、各種の界面活性剤や樹脂で被覆したりグラフト処理やカプセル化処理したカーボンブラックも使用可能である。
特にカーボンブラック表面を酸化処理した酸性カーボンブラックを使用すると、乾燥性が向上すると共に画像濃度の向上効果が大きい。
また、スルホン酸基やカルボキシ基を有する樹脂でコーティングしたり、これらの官能基をグラフト処理により付与したカーボンブラックも使用可能である。
【0018】
酸性カーボンとしては、MA7、MA8、MA100、MA600、#45、#50、#2200B、#2350、#2650、OIL7B、OIL11B(三菱化成社製)、Raven1035、Raven1040、Raven1060、Raven1080、Raven1255、Raven3500、ラーベンC(コロンビア製)、REGAL400R、MOGUL L(キヤボツト社製)、Color Black FW1、Color Black FW18、Color Black S150、Color Black S160、Color Black S170、Printex U、Printex V、Printex 75、Printex 140U、Printex 140V、Special Black4、Special Black 100、Special Black 250、Special Black 350、NIPEX150、NIPEX180IQ(デグサ社製)が挙げられる。
その中でもとりわけpHが5以下のカーボンブラックで揮発分が3.5〜8.0重量%のカーボンブラックが好ましく、また乾燥性や画像濃度の面でガスブラックが望ましい。
【0019】
マゼンタ顔料としては、ピグメントレッド5、7、12、48(Ca)、48(Mn)、57(Ca)、57:1、112、122、123、168、184、202、ピグメントバイオレット19等が挙げられる。
シアン顔料としては、ピグメントブルー1、2、3、15、15:3、15:4、16、22、60、バットブルー4、60等が挙げられる。
イエロー顔料としては、ピグメントイエロー1、2、3、12、13、14、16、17、73、74、75、83、93、95、97、98、114、120、128、129、138、150、151、154、155、180等が挙げられる。
なお、イエロー顔料としてピグメントイエロー74、マゼンタ顔料としてピグメントレッド122、ピグメントバイオレット19、シアン顔料としてピグメントブルー15を用いることにより、色調、耐光性が優れ、バランスの取れたインクを得ることができる。
また効果を損なわない範囲で上述した顔料を併用してもよい。
【0020】
顔料分散体中の顔料濃度は、0.1〜50重量%が好ましく、0.1〜30重量%が特に好ましい。
更に本発明に係る顔料としては、分散剤等の界面活性剤や樹脂で被覆したりグラフト処理やカプセル化処理したものを使用することも可能であるが、化合物αを分散剤に用いた方がより好ましい。
特に化合物αは、顔料としてカーボンブラックを用いた場合に画像濃度向上効果が最も顕著に現れる。
分散剤の量は、顔料の種類により適宜選択する必要があるが、通常の場合、顔料1重量部に対し0.01〜2重量部程度で実用上問題のない均一な分散が得られる。この範囲であれば、顔料の分散性が向上すると共に顔料分散体やインクの経時安定性が向上する傾向にある。好ましくは、顔料1重量部に対し0.02〜0.5重量部であり、この範囲であると、顔料分散体及びインクの経時安定性が最も向上する。
【0021】
また、本発明の効果を損なわない範囲で化合物αと他の分散剤との併用も可能である。
他の分散剤としては、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、ノニオン界面活性剤等の種々の界面活性剤や高分子型の分散剤が挙げられる。
アニオン界面活性剤としては、例えば、アルキルスルホカルボン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル酢酸塩、N−アシルアミノ酸及びその塩、N−アシルメチルタウリン塩、アルキル硫酸塩、ポリオキシアルキルエーテル硫酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル燐酸塩、ロジン酸石鹸、ヒマシ油硫酸エステル塩、ラウリルアルコール硫酸エステル塩、アルキルフェノール型燐酸エステル、ナフタレンスルホン酸塩ホルマリン縮合物、アルキル型燐酸エステル、アルキルアリルスルホン酸塩、ジエチルスルホ琥珀酸塩、ジエチルヘキシルスルホ琥珀酸塩、ジオクチルスルホ琥珀酸塩等が挙げられる。
カチオン界面活性剤としては、例えば、2−ビニルピリジン誘導体、ポリ−4−ビニルピリジン誘導体等が挙げられる。
両性界面活性剤としては、例えば、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸−アミドプロピルジメチルアミノ−酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシン、イミダゾリン誘導体等が挙げられる。
【0022】
ノニオン界面活性剤としては、次のようなものが挙げられる。
ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアリルキルアルキルエーテル等のエーテル系;
ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレエート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレート等のエステル系;
2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、3,6−ジメチル−4−オクチン−3,6−ジオール、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3−オール等のアセチレングリコール系。
【0023】
顔料分散体の分散媒としては水を含むことが望ましいが、必要に応じて各種有機溶媒を併用してもよい。例えば、水溶性有機溶媒としてメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール等のアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール、N−メチルピロリドン、2−ピロリドン等のピロリドン誘導体、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミンなどが挙げられる。
【0024】
顔料分散体及びインクには、必要に応じて、樹脂、湿潤剤、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤等の各種添加剤を配合することができる。
樹脂としては水溶性樹脂及び水分散性樹脂の少なくともいずれかが好適に用いられる。
前記水溶性樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコールの変性物;ポリウレタン;ポリビニルピロリドン及びポリビニルピロリドンと酢酸ビニルの共重合体、ビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、四級化したビニルピロリドンとジメチルアミノエチル・メタクリル酸の共重合体、ビニルピロリドンとメタクリルアミドプロピル塩化トリメチルアンモニウムの共重合体等のポリビニルピロリドンの変性物;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等セルロース;カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロースの変性物;ポリエステル、ポリアクリル酸(エステル)、メラミン樹脂、又はこれらの変性物、ポリエステルとポリウレタンの共重合体等の合成樹脂;ポリ(メタ)アクリル酸、ポリ(メタ)アクリルアミド、酸化澱粉、燐酸エステル化澱粉、自家変性澱粉、カチオン化澱粉、又は各種変性澱粉、ポリエチレンオキサイド、ポリアクリル酸ソーダ、アルギン酸ソーダ、などが挙げられる。
これらは、1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
これらの中でも、インク吸収性の観点から、ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アセタール変性ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリウレタン、ポリエステルとポリウレタンの共重合体、などが特に好ましい。
【0025】
前記水分散性樹脂としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。水分散性樹脂は造膜性(画像形成性)に優れ、かつ高撥水性、高耐水性、高耐候性を備えているので、高耐水性で高画像濃度(高発色性)の画像記録に有用である。
具体例としては、ポリウレタン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリスチレン、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル系重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、シリコーン−アクリル系共重合体、などが挙げられる。
また、メチロール化メラミン、メチロール化尿素、メチロール化ヒドロキシプロピレン尿素、イソシアネート等の架橋剤を含有してよいし、N−メチロールアクリルアミドなどの単位を含む共重合体で自己架橋性を持つものでもよい。
これらの中でも、特にポリウレタン樹脂微粒子、アクリル−シリコーン樹脂微粒子及びフッ素系樹脂微粒子が好ましい。
また、これらの水分散性樹脂の複数を同時に用いることも可能である。
【0026】
湿潤剤としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば多価アルコール類、多価アルコールアルキルエーテル類、多価アルコールアリールエーテル類、含窒素複素環化合物、アミド類、アミン類、含硫黄化合物類、プロピレンカーボネート、炭酸エチレン、その他の湿潤剤などが挙げられる。これらは、1種を単独で使用しても、2種以上を併用してもよい。
多価アルコール類としては、例えば、グリセリン、ジエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、エチレングリコール、トリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセロール、1,2,6−ヘキサントリオール、1,2,4−ブタントリオール、1,2,3−ブタントリオール、ペトリオール、などが挙げられる。
多価アルコールアルキルエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、などが挙げられる。
多価アルコールアリールエーテル類としては、例えば、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、などが挙げられる。
【0027】
含窒素複素環化合物としては、例えば、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ヒドロキシエチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチルイミイダゾリジノン、ε−カプロラクタム、γ−ブチロラクトン、などが挙げられる。
アミド類としては、例えば、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、などが挙げられる。
アミン類としては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミンなどが挙げられる。
含硫黄化合物類としては、例えば、ジメチルスルホキシド、スルホラン、チオジエタノール、などが挙げられる。
【0028】
その他の湿潤剤としては糖類が好ましい。糖類の例としては、単糖類、二糖類、オリゴ糖類(三糖類、四糖類を含む)、多糖類、などが挙げられる。具体的には、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ガラクトース、マルトース、セロビオース、ラクトース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース、などが挙げられる。ここで、多糖類とは広義の糖を意味し、α−シクロデキストリン、セルロースなど自然界に広く存在する物質を含む意味に用いることとする。また、これらの糖類の誘導体としては、前記した糖類の還元糖〔例えば、一般式:HOCH(CHOH)nCHOH(n=2〜5の整数)で表わされる糖アルコールなど〕、酸化糖(例えば、アルドン酸、ウロン酸など)、アミノ酸、チオ酸などが挙げられる。これらの中でも糖アルコールが好ましく、具体例としてはマルチトール、ソルビットなどが挙げられる。
【0029】
上記湿潤剤の中でも、保存安定性、吐出安定性の点から、グリセリン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,3−ブタンジオール、3−メチル−1,3−ブタンジオール、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドンが特に好ましい。
顔料と湿潤剤との配合比は、ヘッドからのインク吐出安定性に非常に影響がある。顔料固形分が多いのに湿潤剤の配合量が少ないと、ノズルのインクメニスカス付近の水分蒸発が進み、吐出不良をもたらすことがある。
インク中の湿潤剤の含有量は20〜35重量%程度であるが、22.5〜32.5重量%がより好ましい。この範囲であれば、インクの乾燥性、保存試験、信頼性試験などの結果が非常に良好である。含有量が20重量%未満では、ノズル面上でインクが乾燥し易くなって吐出不良が生じることがあり、35重量%を超えると、紙面上での乾燥性に劣るため普通紙上の文字品位が低下することがある。
【0030】
前記界面活性剤としては、顔料の種類や湿潤剤との組み合わせに応じて、分散安定性を損なわず、表面張力が低く、レベリング性の高いものを用いる。例えばフッ素系界面活性剤やシリコーン系界面活性剤が挙げられるが、フッ素系界面活性剤が好ましい。
フッ素系界面活性剤としては、フッ素が置換した炭素数が2〜16のものが好ましく、4〜16のものがより好ましい。フッ素置換炭素数が2未満では、フッ素の効果が得られないことがあり、16を超えると、インク保存性などの問題が生じることがある。
フッ素系界面活性剤の例としては、パーフルオロアルキルスルホン酸化合物、パーフルオロアルキルカルボン酸化合物、パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物、パーフルオロアルキルエチレンオキサイド付加物、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物、などが挙げられる。これらの中でも、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物は起泡性が少なく、特に好ましい。
【0031】
パーフルオロアルキルスルホン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルスルホン酸、パーフルオロアルキルスルホン酸塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルカルボン酸化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルカルボン酸、パーフルオロアルキルカルボン酸塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルリン酸エステル化合物としては、例えば、パーフルオロアルキルリン酸エステル、パーフルオロアルキルリン酸エステルの塩、などが挙げられる。
パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー化合物としては、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマー、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの硫酸エステル塩、パーフルオロアルキルエーテル基を側鎖に有するポリオキシアルキレンエーテルポリマーの塩、などが挙げられる。
これらフッ素系界面活性剤における塩の対イオンとしては、Li、Na、K、NH、NHCHCHOH、NH(CHCHOH)、NH(CHCHOH)などが挙げられる。
フッ素系界面活性剤としては、適宜合成したものを用いても、市販品を用いてもよい。市販品としては、例えばデュポン社製のFS−300、ネオス社製のFT−110、FT−250、FT−251、FT−400S、FT−150、FT−400SW、オムノバ社製のPF−151Nなどが挙げられる。
【0032】
シリコーン系界面活性剤としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、高pHでも分解しないものが好ましく、例えば側鎖変性ポリジメチルシロキサン、両末端変性ポリジメチルシロキサン、片末端変性ポリジメチルシロキサン、側鎖両末端変性ポリジメチルシロキサンなどが挙げられ、変性基としてポリオキシエチレン基、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレン基を有するものが水系界面活性剤として良好な性質を示すので特に好ましい。
シリコーン系界面活性剤としては、適宜合成したものを用いても市販品を用いてもよい。市販品としては、例えば、ビックケミー社、信越シリコーン社、東レ・ダウコーニング・シリコーン社などから容易に入手できる。
界面活性剤のインク中の含有量は、0.01〜3.0重量%が好ましく、0.5〜2重量%がより好ましい。含有量が0.01重量%未満では、界面活性剤を添加した効果が無くなることがあり、3.0重量%を超えると、記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
【0033】
前記浸透剤としては、20℃の水に対する溶解度が0.2〜5.0重量%のポリオール化合物の少なくとも1種を含有することが好ましい。このようなポリオール化合物としては、例えば、2−エチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、3,3−ジメチル−1,2−ブタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、5−ヘキセン−1,2−ジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオールなどの脂肪族ジオールが挙げられる。
これらの中でも、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールが特に好ましい。
【0034】
その他の併用できる浸透剤としては、インク中に溶解し、所望の物性に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、ジエチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノアリルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、テトラエチレングリコールクロロフェニルエーテル等の多価アルコールのアルキル及びアリールエーテル類、エタノール等の低級アルコール類などが挙げられる。
浸透剤のインク中の含有量は、0.1〜4.0重量%が好ましい。含有量が0.1重量%未満では、速乾性が得られず滲んだ画像となることがあり、4.0重量%を超えると色材の分散安定性が損なわれ、ノズルが目詰まりしやすくなったり、また記録媒体への浸透性が必要以上に高くなり、画像濃度の低下や裏抜けが発生することがある。
【0035】
前記pH調整剤としては、調合されるインクに悪影響を及ぼさずにpHを7〜11に調整できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、アルコールアミン類、アルカリ金属水酸化物、アンモニウム水酸化物、ホスホニウム水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、などが挙げられる。pHが7未満又は11を超えると、インクジェットのヘッドやインク供給ユニットを溶かし出す量が大きくなり、インクの変質や漏洩、吐出不良などの不具合が生じることがある。
アルコールアミン類としては、例えば、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール等が挙げられる。
アルカリ金属元素の水酸化物としては、例えば、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどが挙げられる。
アンモニウムの水酸化物としては、例えば、水酸化アンモニウム、第4級アンモニウム水酸化物、第4級ホスホニウム水酸化物などが挙げられる。
アルカリ金属の炭酸塩としては、例えば、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム等が挙げられる。
【0036】
前記防腐防黴剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、ソルビン酸ナトリウム、2−ピリジンチオール−1−オキサイドナトリウム、安息香酸ナトリウム、ペンタクロロフェノールナトリウム、等が挙げられる。
前記キレート試薬としては、例えば、エチレンジアミン四酢酸ナトリウム、ニトリロ三酢酸ナトリウム、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸ナトリウム、ジエチレントリアミン五酢酸ナトリウム、ウラミル二酢酸ナトリウム等が挙げられる。
前記防錆剤としては、例えば、酸性亜硫酸塩、チオ硫酸ナトリウム、チオジグリコール酸アンモン、ジイソプロピルアンモニウムニトライト、四硝酸ペンタエリスリトール、ジシクロヘキシルアンモニウムニトライト等が挙げられる。
【0037】
前記酸化防止剤としては、例えば、フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)、アミン系酸化防止剤、硫黄系酸化防止剤、りん系酸化防止剤、などが挙げられる。
フェノール系酸化防止剤(ヒンダードフェノール系酸化防止剤を含む)としては、例えば、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、2,2′−メチレンビス(4−エチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、3,9−ビス{1,1−ジメチル−2−[β−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロピオニルオキシ]エチル}−2,4,8,10−テトライキサスピロ[5,5]ウンデカン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス[メチレン−3−(3′,5′−ジ−tert−ブチル−4′−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、などが挙げられる。
【0038】
アミン系酸化防止剤としては、例えば、フェニル−β−ナフチルアミン、α−ナフチルアミン、N,N′−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、フェノチアジン、N,N′−ジフェニル−p−フェニレンジアミン、2,6−ジ−tert−ブチル−p−クレゾール、2,6−ジ−tert−ブチルフェノール、2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール、ブチルヒドロキシアニソール、2,2′−メチレンビス(4−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−ブチリデンビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、4,4′−チオビス(3−メチル−6−tert−ブチルフェノール)、テトラキス[メチレン−3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ジヒドロキフェニル)プロピオネート]メタン、1,1,3−トリス(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−tert−ブチルフェニル)ブタン、などが挙げられる。
硫黄系酸化防止剤としては、例えば、ジラウリル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリルチオジプロピオネート、ラウリルステアリルチオジプロピオネート、ジミリスチル−3,3′−チオジプロピオネート、ジステアリル−β,β′−チオジプロピオネート、2−メルカプトベンゾイミダゾール、ジラウリルサルファイドなどが挙げられる。
前記リン系酸化防止剤としては、トリフェニルフォスファイト、オクタデシルフォスファイト、トリイソデシルフォスファイト、トリラウリルトリチオフォスファイト、トリノニルフェニルフォスファイトなどが挙げられる。
【0039】
前記紫外線吸収剤としては、例えば、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、サリチレート系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収剤、ニッケル錯塩系紫外線吸収剤などが挙げられる。
ベンゾフェノン系紫外線吸収剤としては、例えば、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−n−ドデシルオキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2′,4,4′−テトラヒドロキシベンゾフェノンなどが挙げられる。
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤としては、例えば、2−(2′−ヒドロキシ−5′−tert−オクチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−5′−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−4′−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2′−ヒドロキシ−3′−tert−ブチル−5′−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0040】
サリチレート系紫外線吸収剤としては、例えば、フェニルサリチレート、p−tert−ブチルフェニルサリチレート、p−オクチルフェニルサリチレートなどが挙げられる。
前記シアノアクリレート系紫外線吸収剤としては、例えば、エチル−2−シアノ−3,3′−ジフェニルアクリレート、メチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレート、ブチル−2−シアノ−3−メチル−3−(p−メトキシフェニル)アクリレートなどが挙げられる。
ニッケル錯塩系紫外線吸収剤としては、例えば、ニッケルビス(オクチルフェニル)サルファイド、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−n−ブチルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)−2−エチルヘキシルアミンニッケル(II)、2,2′−チオビス(4−tert−オクチルフェレート)トリエタノールアミンニッケル(II)などが挙げられる。
【0041】
本発明のインクジェット用インクは、公知の方法、例えば顔料分散体、水、水溶性有機溶剤、界面活性剤等を、サンドミル、ボールミル、ロールミル、ビーズミル、ナノマイザー、ホモジナイザー、超音波分散機等を用いて攪拌混合し、フィルター、遠心分離装置などで粗大粒子をろ過し、必要に応じて脱気することによって得られる。
インク中の顔料の濃度はインク全量に対して1〜20重量%が好ましい。1重量%未満では画像濃度が低いため印字の鮮明さに欠け、20重量%より多いとインクの粘度が高くなる傾向があるばかりでなく、ノズルの目詰まりが発生しやすくなる。
水溶性有機溶剤の含有量は、インク全量に対して50重量%以下、好ましくは5〜40重量%、更に好ましくは10〜35重量%である。
また、インクには顔料分散体への添加剤で説明した材料と同様の添加剤を必要に応じて配合することが出来る。
【0042】
本発明のインクを用いる場合、インクと凝集/増粘作用を引き起こす前処理液を併用することもできる。
前処理液で記録媒体表面を処理した後、本発明のインクで画像形成を行えば、更に画像濃度向上効果が得られる。前処理液としては水溶性金属塩を含むものが好ましく、特に酸性を示すものが好ましい。水溶性金属塩は、水に溶解してイオン状態になり、顔料分散体の表面電荷を破壊して凝集させる働きがある。
水溶性金属塩を構成する金属イオンとしては、アルカリ金属イオン、Ca、Cu、Ni、Mg、Zn、Ba等の2価金属イオン、Al、Fe、Cr等の3価金属イオンが挙げられる。
水溶性金属塩を構成する陰イオンとしては、クエン酸、酒石酸、酢酸、乳酸、シュウ酸、炭酸、フマル酸、サリチル酸、安息香酸等の有機酸イオン、OH、Cl、NO、I、Br、ClO等の無機イオンが挙げられる。また、硫酸アルミニウムカリウム、硫酸アルミニウム等も挙げられる。
前処理液に対する水溶性金属塩の添加量は、1〜10重量%が好ましい。
【0043】
前処理液には、必要に応じて、樹脂、湿潤剤、界面活性剤、浸透剤、pH調整剤、防腐防黴剤、キレート試薬、防錆剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、酸素吸収剤、光安定化剤等の各種添加剤を配合することができる。これらの添加剤は顔料分散体の添加剤と共通しているので、詳細については後述する。
また、インクの凝集剤として水溶性金属塩(CaCl等)、アルキレンアミン(長鎖アルキルイソシアネート変成ポリエチレンイミン等)、酸(乳酸やマレイン酸)等を使用することも可能である。
前処理液による記録媒体表面の処理方法は、インクジェット方式、スプレー、ロールコート、ワイヤ−バーなどの公知の方法を利用できる。
【0044】
上記インクジェット用インクや前処理液は、容器に収容しカートリッジとして用いることが出来る。
また、本発明のインクジェット用インク、又は該インクジェット用インクと前処理液のセットを容器に収容してカートリッジとし、これを搭載したインクジェット記録装置を用いて記録媒体に印字し、画像形成物を得ることができる。
印字する方法としては連続噴射型やオンデマンド型があり、オンデマンド型としては、ピエゾ方式、サーマル方式、静電方式等が挙げられる。
【0045】
本発明のインクジェット記録装置の一例について、図面を用いて説明する。
図1のインクジェット記録装置は、前処理液及びインクを収納したカートリッジ20が搭載され、このカートリッジから前処理液及びインクが記録ヘッドに供給される。ここでカートリッジ20は前処理液用と色毎のインク用が分離された状態で取り付けられている。
記録ヘッド1は、キャリッジ18に搭載され、主走査モータ24で駆動されるタイミングベルト23によってガイドシャフト21、22にガイドされて移動する。一方、被記録材はプラテンによって記録ヘッドと対面する位置に置かれる。
図中の2は本体筐体、7は処理液、記録液共通カートリッジ、16はギア機構、17は副走査モーター、25はギヤ機構、26は主走査モーター、27はギヤ機構である。
【0046】
図2は記録ヘッドの一例のノズル面の拡大図である。前処理液が吐出されるノズル30が縦方向に設けられ、ノズル31、32、33、34からはそれぞれイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクが吐出される。
また、図3のように、記録ヘッドのノズルを全て横方向に並べて構成することも可能である。図中のノズル35、40は前処理液の吐出ノズルであり、ノズル36、37、38、39からは、ぞれぞれイエローインク、マゼンタインク、シアンインク、ブラックインクが吐出される。このような態様の記録ヘッドでは、前処理液の吐出ノズルが左右の端に設けられているため、記録ヘッドがキャリッジ上を往復する往路、復路いずれにおいても印字が可能である。すなわち、往路、復路のいずれにおいても前処理液を先に付着させて、その上からカラーインクを付着させること、あるいは、その逆が可能であり、記録ヘッドの移動方向の違いによる画像濃度差が生じない。
上記インクジェット記録装置は、カートリッジを取り替えることにより前処理液とインクの補充が可能である。また、このカートリッジは記録ヘッドと一体化されたものであってもよい。
【0047】
図4、図5に、前処理液及びインクを収納可能なカートリッジを示す。このカートリッジは前処理液とインクのいずれも収納することができる。
カートリッジ筐体41内部には液吸収体42があり、インク又は前処理液を吸収させることによりインクをカートリッジ内に保持させることができる。カートリッジ上部には、上蓋部材44が設けられ、上蓋部材44に設けられた大気開放口47から、インク又は前処理液をカートリッジ内に充填することができる。充填後、シール部材55により大気開放口47は密閉される。インク又は前処理液は液供給口45から記録ヘッドに供給される。カートリッジ位置決め部71は突上形状をしており、プリンター本体のカートリッジ収納部の凹部と重ねられることでカートリッジ位置を一定にすることが出来る。カートリッジ着脱用突状部81、カートリッジ着脱用指掛け部81a、カートリッジ着脱用窪み部82はカートリッジ試着時にプリンター本体のカートリッジ収納部の凹凸部により固定できるようになっている。43はケース、46はシールリング、48は溝、50はキャップ部材、51は液漏れ防止用突部、53はキャップ部材、Aはカートリッジ筐体41と液吸収体42との間の空間である。
インクと前処理液とは、記録ヘッドから同一箇所に重ねて吐出されることが最も好ましい。しかし、本発明では、例えば、前処理液を間引いて付与し、滲み等によって拡大した前処理液の上にインクを重ねたり、画像の輪郭部だけに前処理液を付与し、その上にインクの一部を重ねても十分効果が得られる。
【実施例】
【0048】
以下、実施例及び比較例を示して本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
実施例及び比較例では、顔料分散体を作成し、これを用いてインクを作成した。また、それぞれ前処理液を作成した。なお、例中の「部」及び「%」は重量基準である。
【0049】
実施例1
<化合物α−1の作成>
四口フラスコに温度計、攪拌機及び還流冷却機を設置し、水500g及び過硫酸アニモニウム15gを仕込んだ溶液に、80℃〜90℃の加熱条件下で、芳香族環を有するモノマーとしてスチレン100g、カルボン酸基を有するモノマーとしてイタコン酸130g、及び50%アクリルアミド水溶液140gをそれぞれ攪拌しながらゆっくり滴下した。
次いで、4時間反応させた後、冷却し、NaOHを用いて中和した。
更に蒸留水を加えて固形分を20%に調整し、スチレン−イタコン酸−アクリルアミド共重合体のNa塩(化合物α−1)の水溶液を得た。
【0050】
<顔料分散体の作成>
下記処方の材料をプレミックスした後、ディスクタイプのビーズミル(シンマルエンタープライゼス社製KDL型バッチ式)により、0.3mmジルコニアビーズを用いて周速10m/s、液温10℃で5分間分散した。
次いで、遠心分離機(久保田商事社製Model−3600)により粗大粒子を分離し、平均粒子径約120nm、標準偏差51.2nmの実施例1の顔料分散体を得た。
(処方)
・カーボンブラック 20.0部
(degussa社製:ガスブラック、NIPEX150)
・化合物α−1の水溶液(固形分20%) 18.8部
・蒸留水 61.2部

【0051】
<インクの作成>
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、実施例1のインクを得た。
(処方)
・実施例1の顔料分散体(顔料濃度20%) 40.0部
・グリセリン 5.5部
・1,3−ブタンジオール 16.5部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0部
・フッ素系界面活性剤(固形分40%) 2.5部
(デュポン社製:Zonyl FS−300)
・フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体(固形分50%) 6.0部
(旭硝子社製:ルミフロンFE4300、平均粒子径150nm、
MFT30℃以下)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール水溶液(固形分40%)
1.5部
・蒸留水 26.0部

【0052】
実施例2〜4、実施例6〜10
<化合物α−2〜α−4、α−6〜α−10の作成>
実施例1におけるモノマーを、表1の実施例2〜4及び実施例6〜10の欄に記載のモノマーに変更し、モノマーのモル比が実施例1と同じになるように調整すると共に、中和用アルカリを表1に記載のものにし、実験条件を調整した点以外は、実施例1と同様にして実施例2〜4、実施例6〜10の化合物α−2〜α−4、α−6〜α−10の水溶液を得た。
なお、中和用アルカリは、実施例2〜4と実施例8〜10はNaOH、実施例6はLiOH、実施例7はエタノールアミンである。

<顔料分散体及びインクの作成>
実施例1の顔料分散体の作成における化合物α−1の水溶液を、化合物α−2〜α−4及びα−6〜α−10の水溶液に変更し、添加量を適正量に調整した点以外は、実施例1と同様にして、実施例2〜4、実施例6〜10の顔料分散体及びインクを得た。
【0053】
実施例5
<顔料分散体の作成>
実施例4の顔料分散体の作成における化合物α−4の水溶液を、ナフタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物の20水溶液に変更し、添加量を調整した点以外は、実施例4と同様にして、実施例5の顔料分散体を得た。

<インクの作成>
下記処方の材料を30分間混合攪拌し、実施例5のインクを得た。
(処方)
・実施例5の顔料分散体(顔料濃度20%) 40.0部
・グリセリン 5.5部
・1,3−ブタンジオール 16.5部
・2−エチル−1,3−ヘキサンジオール 2.0部
・フッ素系界面活性剤(固形分40%) 2.5部
(デュポン社製:Zonyl FS−300)
・フルオロエチレン/ビニルエーテル交互共重合体(固形分50%) 6.0部
(旭硝子社製:ルミフロンFE4300、平均粒子径150nm、
MFT30℃以下)
・2−アミノ−2−エチル−1,3−プロパンジオール水溶液(固形分40%)
1.5部
・化合物α−4の水溶液(固形分20%) 8.0部
・蒸留水 18.0部

【0054】
比較例1〜3、比較例5
<比較例1〜3及び比較例5の化合物の作成>
実施例1におけるモノマーを、表2の比較例1〜3及び比較例5の欄に記載のモノマーに変更し、モノマーのモル比が実施例1と同じになるように調整すると共に、実験条件を調整した点以外は、実施例1と同様にして、比較例1〜3及び比較例5の化合物の水溶液(固形分20%)を得た。

<顔料分散体及びインクの作成>
実施例1の顔料分散体の作成における化合物α−1の水溶液を、比較例1〜3及び比較例5の化合物の水溶液に変更し、添加量を適正量に調整した点以外は、実施例1と同様にして比較例1〜3及び比較例5の顔料分散体及びインクを得た。
【0055】
比較例4
<インクの作成>
実施例5のインクの作成における化合物α−4の水溶液(固形分20%)を、比較例3の化合物の水溶液(固形分20%)に変更した点以外は、実施例5と同様にして比較例4のインクを得た。
【0056】
比較例6
<インクの作成>
実施例5のインクの作成における化合物α−4の水溶液(固形分20%)を、比較例5の化合物の水溶液(固形分20%)に変更した点以外は、実施例5と同様にして比較例6のインクを得た。
【0057】
比較例7、比較例9
<顔料分散体及びインクの作成>
実施例1の化合物α−1を、表2の比較例7、比較例9の欄に示す市販化合物に変更した点以外は、実施例1と同様にして比較例7、比較例9の顔料分散体及びインクを得た。
【0058】
比較例8、比較例10
<インクの作成>
実施例5のインクの作成における化合物α−4の水溶液(固形分20%)を、表2の比較例8、比較例10の欄に示す市販化合物に変更した点以外は、実施例5と同様にして比較例8、比較例10のインクを得た。
【0059】
上記実施例及び比較例のインクについて、下記のようにして画像濃度と保存安定性を評価した。結果を表1及び表2に示す。
(1)画像濃度
図1に示すインクジェット記録装置を用いて、ゼロックス社製PPC用紙4024(非平滑紙)に印字し、印字画像をXrite濃度計938で測定した。数値が大きい方が良好である。
(2)インク保存性
インクの初期粘度を測定した後、該インク50gを日電理化社製サンプル瓶SV−50に密閉し、60℃の環境下で2週間保管した。この保管後のインクの粘度を測定し、下記式に従い変化率を計算しランク分けした。粘度計には東洋精機社製RE500を用いた。

変化率(%)=(60℃環境下2週間後の粘度−初期粘度)/初期粘度×100
◎:変化率が10%未満(良好)
○:変化率が10〜15%(実用上問題ないレベル)
△:変化率が15〜20%(問題あるレベル)
×:変化率が20%以上(問題あるレベル)
【0060】
【表1】

【0061】
【表2】

【符号の説明】
【0062】
1 記録ヘッド
2 本体筐体
7 処理液、記録液共通カートリッジ
16 ギア機構
17 副走査モーター
18 キャリッジ
20 記録液カートリッジ
21 ガイドシャフト
22 ガイドシャフト
23 タイミングベルト
24 主走査モーター
25 ギヤ機構
26 主走査モーター
27 ギヤ機構
30 前処理液が吐出されるノズル
31 イエローインクが吐出されるノズル
32 マゼンタインクが吐出されるノズル
33 シアンインクが吐出されるノズル
34 ブラックインクが吐出されるノズル
35 前処理液が吐出されるノズル
36 イエローインクが吐出されるノズル
37 マゼンタインクが吐出されるノズル
38 シアンインクが吐出されるノズル
39 ブラックインクが吐出されるノズル
40 前処理液が吐出されるノズル
41 カートリッジ筐体
42 液吸収体
43 ケース
44 上蓋部材
45 液供給口
46 シールリング
47 大気解放口
48 溝
50 キャップ部材
51 液漏れ防止用突部
53 キャップ部材
55 シール部材
71 カートリッジ位置決め部
81 カートリッジ着脱用突状部
81a カートリッジ着脱用指掛け部
82 カートリッジ着脱用窪み部
A 空間
【先行技術文献】
【特許文献】
【0063】
【特許文献1】第4138181号公報
【特許文献2】特開2007−217508号公報
【特許文献3】特開2005−205847号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水、顔料及び水溶性又は水分散性化合物を含有し、該化合物が、少なくとも下記A)、B)及びC)の3種類のモノマーを用いた共重合体の塩であることを特徴とするインクジェット用顔料分散体。
A)芳香族環を有するモノマー
B)カルボキシル基を2個又は3個有するモノマー
C)アクリルアミド及び/又はメタクリルアミド
【請求項2】
前記化合物が、スチレン−マレイン酸−(メタ)アクリルアミド共重合体塩、又はビニルナフタレン−マレイン酸−(メタ)アクリルアミド共重合体塩であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット用顔料分散体。
【請求項3】
前記共重合塩がNa塩であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット用顔料分散体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の顔料分散体を用いたことを特徴とするインクジェット用インク。
【請求項5】
請求項4に記載のインクジェット用インクを容器中に収容したことを特徴とするカートリッジ。
【請求項6】
請求項5に記載のカートリッジを搭載したインクジェット記録装置。
【請求項7】
請求項6に記載のインクジェット記録装置で印字された画像形成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−241307(P2011−241307A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−115082(P2010−115082)
【出願日】平成22年5月19日(2010.5.19)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】