インクジェット記録ヘッドおよびその作製方法
【課題】インクのリフィル速度を低下させることなくクロストークを抑えるような構造を有するインクジェット記録ヘッドとその作製方法を提供する。
【解決手段】この記録ヘッドは、表面に少なくとも複数の吐出圧力発生素子12が配設された基体10と、基体10の表面に成膜されたオリフィス形成部材18とを有する。オリフィス形成部材18には各々の吐出圧力発生素子12に対応する複数の圧力室22およびオリフィス(吐出口)21が設けられている。基体10の裏面(オリフィス形成部材18が成膜された面とは反対側)には凹部が形成され、各圧力室22に供給するインク等の液体を貯留する共通液室11となっている。各圧力室22には個別に、共通液室11からインクを供給するための供給路31が連通している。そして、供給路31の内面には基体10をインクから保護する保護層32が形成されている。
【解決手段】この記録ヘッドは、表面に少なくとも複数の吐出圧力発生素子12が配設された基体10と、基体10の表面に成膜されたオリフィス形成部材18とを有する。オリフィス形成部材18には各々の吐出圧力発生素子12に対応する複数の圧力室22およびオリフィス(吐出口)21が設けられている。基体10の裏面(オリフィス形成部材18が成膜された面とは反対側)には凹部が形成され、各圧力室22に供給するインク等の液体を貯留する共通液室11となっている。各圧力室22には個別に、共通液室11からインクを供給するための供給路31が連通している。そして、供給路31の内面には基体10をインクから保護する保護層32が形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出してインクの液滴を形成し、それを紙等の被記録材に付着させて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録ヘッドには吐出圧力発生素子が形成された基体に対して、垂直方向にインク液滴が吐出する「サイドシュータ型」もしくは「ルーフシューター型」インクジェット記録ヘッドと称する構造を有するものが作られている。
【0003】
図11は従来のサイドシュータ型インクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。図12Aは図11のインクジェット記録ヘッドの平面図、図12Bは図12AのA−A線での断面図である。
【0004】
これらの図に示すサイドシュータ型インクジェット記録ヘッドは吐出圧力発生素子やその駆動回路を作りこむため単結晶シリコンを基体10として用いている。基体10の吐出圧力発生素子12が形成された面に、液体を吐出するオリフィス21(吐出口)等を形成するオリフィス形成部材18が設けられている。また、インクを基体10の裏面のタンク(図示しない)側から、オリフィス21が設けられている基体10の表面に供給するため、基体10には通常、基体10の表裏を貫通するような共通液室11が形成されている。そして、オリフィス形成部材18は、各吐出圧力発生素子12に対して配置された複数の圧力室22と、共通液室11内の液体を全ての圧力室22に供給する一つの供給液室16とを有している。さらに、オリフィス形成部材18に各オリフィス21が各圧力室22の吐出圧力発生素子12に対向配置されるとともに、基体表面に略垂直な方向に形成されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−38890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ひとつのオリフィスからインクの液滴を吐出するために吐出圧力発生素子が作動した時、その吐出圧力はオリフィスと反対方向へもインクを押し戻すことになる。このインクの逆流が隣接する周辺のオリフィス、特にそのメニスカスにも影響を与えてしまう現象をクロストークと言う。具体的な例としてはメニスカスが振動してしまうことが挙げられる。このため、現状ではひとつの吐出口から吐出が行われた時、隣接する吐出口からはこの振動が減衰しきるまでの間吐出を行わないようにするなど対処が必要であり、高スループット化への課題となっている。
【0006】
このクロストークを抑える手法として、隣接する互いのオリフィスと吐出圧力発生素子をインクの液路上遠ざけることが考えられる。この場合、従来のヘッドの構造では圧力室をより長い形状にしてオリフィスと吐出圧力発生素子を共通液室から遠ざけることになる。この結果、吐出量に対して十分な量のインクが存在する共通液室からオリフィスまでの間の通常高さがあまりない圧力室の中をインクがより長く通らなければならない。この事は、オリフィスへのインクの充填速度(リフィル速度)が低下してかえってスループットが落ちてしまう可能性がある。一方、圧力室を基体に平行でインク流に垂直な方向、言うなれば幅方向に広げることは互いの圧力室同士が干渉するために限度がある。また、単純に圧力室を基体に垂直な高さ方向に広げることは、吐出圧力発生素子とこれに対向するオリフィスとの距離を広げることになり吐出性能に影響を与えるため、これもまた限度がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題、すなわち本発明の目的は、インクのリフィル速度を低下させることなくクロストークを抑えるような構造を有するインクジェット記録ヘッドとその作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、少なくとも複数の吐出圧力発生素子が配設された基体上に、インクの液滴を吐出するための複数のオリフィスと、各々の吐出圧力発生素子に対し内包するように形成され各々のオリフィスに連通する複数の圧力室とを備える。さらに、基体に、各々の圧力室に供給するインクを貯留する共通液室を有するヘッドである。このようなヘッドにおいて、各々の前記圧力室に個別に前記共通液室から前記インクを供給する供給路を有し、前記供給路の内面に、前記基体を前記インクから保護する保護層をさらに有することにより、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐インク性に優れ、インクのリフィル速度を低下させることなくクロストークを抑えるような構造を有するインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。また、従来例と同様の構成要素については同一符号を用いて説明する。
【0011】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。図2Aは図1のインクジェット記録ヘッドの平面図、図2Bは図2AのA−A線での断面図である。図3は本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【0012】
本実施例の記録ヘッドは、図1、図2A及び2Bに示すように、表面に少なくとも複数の吐出圧力発生素子12が配設された基体10と、基体10の表面に成膜されたオリフィス形成部材18(ノズル部材とも呼ぶ。)とを有する。基体10上の複数の吐出圧力発生素子12は列をなすように配置されている。本例は2列で配置されている。オリフィス形成部材18には各々の吐出圧力発生素子12に対応する複数の圧力室22およびオリフィス21が設けられている。具体的には、複数の圧力室22がそれぞれ各吐出圧力発生素子12を内包するように形成され、複数のオリフィス21がそれぞれ各圧力室22からオリフィス形成部材18の表側に基体10と略垂直な方向に形成されている。オリフィス21は吐出圧力発生素子12と対向する位置にある。
【0013】
また、基体10の裏面(オリフィス形成部材18が成膜された面とは反対側)には凹部が形成され、各圧力室22に供給するインク等の液体を貯留する共通液室11となっている。各圧力室22には個別に、共通液室11からインクを供給するための供給路31が連通している。勿論、各供給路31は、各圧力室22のオリフィス21が形成された側とは反対側に接続される。また、各供給路31の内面には、シリコンの基体10をインクから保護する保護層32が形成されている。
【0014】
なお、本例では、図2Aに示すように複数のオリフィス21(吐出口)を並べた吐出口列を2列設け、一方の吐出口列の吐出口間に他方の吐出口列の吐出口が対応するように配置した。これにより、同じ吐出口ピッチを持つ2つの吐出口列で2倍のドット印字を行なうことができるが、本発明の記録ヘッドはこのような配置に限定されるものではない。
【0015】
また、吐出圧力発生素子12としては、発熱抵抗体(ヒータ)などの電気熱変換素子、ピエゾ素子などの電気振動変換素子を用いることができる。
【0016】
次に、本実施例の記録ヘッドの作製方法について図3を用いて説明する。
【0017】
まず、基体10となる単結晶シリコンウエハ上に、汎用の半導体工程により吐出圧力発生素子12である発熱抵抗体とその駆動回路(図示しない)、及び記録装置本体と信号の授受を行う電極パッド(図示しない)を形成する。また、その裏面には上記の工程中にSiN膜19を成膜しておき、表面の表層にはパッシベーション層14であるSiNが存在し、特に発熱抵抗体上部には耐キャビテーション層であるTa膜(図示しない)をパターニングしてある(図3(a))。
【0018】
この基体10上にレジストをコートした後、フォトリソグラフィ技術により発熱抵抗体12近傍に開口があるように該レジストをパターニングする。
【0019】
そして、ケミカルドライエッチング装置(以下、CDEと略す。)により、該レジスト開口部のパッシベーション層14をエッチングしてシリコン面を露出させる。
【0020】
さらに、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(以下、ICP−RIEエッチャーと略す。)により該シリコン露出部分からエッチングを進行させて、供給路31となるトレンチ34を形成する(図3(b))。
【0021】
その後、基体10上のレジストを除去する。
【0022】
次に、プラズマCVD法により、既に形成したパッシベーション層14と同じ材料であるSiNを基体10の表面及びトレンチ34の内面に成膜する。このトレンチ34の内面のSiNは供給路31内面の保護層32となる。それからレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によりパターニングした後、CDEにより耐キャビテーション層上のSiNを除去する。
【0023】
次に、基体10の表面に、Deep-UVレジストであるポリメチルイソプロペニルケトンをシクロヘキサノンを溶媒としてソルベントコートする。このとき、供給路31となるトレンチ34内にもDeep-UVレジストが充填されることになる。
【0024】
基体10表面全体にコーティングされた上記Deep-UVレジストを、マスクを介してDeep-UVで露光し、現像して圧力室22の型材を形成する。この上にカチオン重合型エポキシ樹脂をソルベントコートして露光、ポストベーク、現像を行い、これによりオリフィス形成部材18を形成する(図3(c))。このとき、オリフィス(吐出口)21と電極パッド部(図示しない)に対応する樹脂部分を除去する。また必要であるならば、その後、オリフィス形成部材18の表層に撥水処理を施しても良い。
【0025】
次に、基体10の表面に形成されたオリフィス形成部材18を後述のエッチングから保護するために、その上から環化ゴム23をコートする(図3(d))。
【0026】
そして、基体10の裏面にレジストをコートしてフォトリソグラフィ技術によりパターニングした後、CDEによりSiN膜19をエッチングする。
【0027】
さらに、基体10をTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液に浸漬してSiN膜19の開口部から結晶異方性エッチングを行い、共通液室11を形成する(図3(d))。
【0028】
また、このエッチング工程においては、共通液室11と供給路31(トレンチ34)が連通するまでエッチングを進行させる必要があるが、連通した際に出現する角部分33はエッチングされやすく、形状が崩れていってしまう。そのため、全ての供給路31が共通液室11と連通するのに十分でいながら、その角部33の崩れがインクのリフィルに影響のない範囲内でエッチングを終了させる必要がある(図3(d))。
【0029】
以上の工程を経た構造物を十分に水洗、乾燥を行った後、粘着テープにより基体10の裏面のSiN膜19の、ヒサシとなっている部分を剥離する。
【0030】
さらに、供給路31と共通液室11との連結部にある保護層32(SiN膜)をCDEにより除去する。すなわち、供給路31内から共通液室11に出たDeep-UVレジストの表面を覆うSiN膜を除去する(図3(d))。
【0031】
しかる後、共通液室11の内壁面に、耐インク性の保護膜としてSiOを成膜することが好ましい。
【0032】
さらに、キシレンにより環化ゴム23を除去する。その後、基体全面にDeep-UV光を照射し、前記カチオン重合型エポキシ樹脂(オリフィス形成部材18)を通して圧力室22の型材であるDeep-UVレジストを感光させる。このとき、裏面からも照射を行っても良い。
【0033】
そして、この構造物を乳酸メチルに浸漬して超音波を付与することにより、圧力室22及び供給路31内のDeep-UVレジストを溶出、除去する。
【0034】
最後に、ダイサーによりウエハ状態から切り出して本発明のインクジェット記録ヘッドを得る(図3(e))。
【0035】
(実施例2)
図4は本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。図5Aは図4のインクジェット記録ヘッドの平面図、図5Bは図5AのA−A線での断面図である。図6は本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【0036】
本実施例の記録ヘッドは、図4、図5A及び5Bに示すように、実施例1のヘッド構造とほとんど同じである。異なる点は共通液室11の形状であるが、これは、実施例1との製法の違いから異なっている。
【0037】
本実施例の記録ヘッドの作製方法について図6を用いて説明する。
【0038】
まず、基体10となる引き出し方位が<100>である単結晶シリコンウエハ上に、汎用の半導体工程により吐出圧力発生素子12である発熱抵抗体とその駆動回路(図示しない)、及び記録装置本体と信号の授受を行う電極パッド(図示しない)を形成する。また、その工程中にICP−RIEエッチャーにより前記シリコン基板に供給路31となるトレンチ34を形成し、この内面を駆動回路(図示しない)の絶縁層17であるSiOで同時に覆い、保護層32とする(図6(a))。さらに、その基体10の裏面にも上記の工程中に成膜されたSiO膜13があり、表面の表層にはパッシベーション層14であるSiNが存在し、特に発熱抵抗体上部には耐キャビテーション層であるTa膜(図示しない)をパターニングする(図6(b))。
【0039】
次に、基体10の表面に、Deep-UVレジストであるポリメチルイソプロペニルケトンをシクロヘキサノンを溶媒としてソルベントコートする。このとき、供給路31となるトレンチ34内にもDeep-UVレジストが充填されることになる。
【0040】
基体10表面全体にコーティングされた上記Deep-UVレジストを、マスクを介してDeep-UVで露光し、現像して圧力室22の型材を形成する。この上にカチオン重合型エポキシ樹脂をソルベントコートして露光、ポストベーク、現像を行い、これによりオリフィス形成部材18を形成する(図6(c))。このとき、オリフィス(吐出口)21と電極パッド部(図示しない)に対応する樹脂部分を除去する。また必要であるならば、その後、オリフィス形成部材18の表層に撥水処理を施しても良い。
【0041】
次に、基体10の表面に形成されたオリフィス形成部材18を後述のエッチングから保護するために、その上から環化ゴム23をコートする(図6(d))。
【0042】
そして、基体10の裏面にレジストをコートしてフォトリソグラフィ技術によりパターニングした後、バッファードフッ酸によりSiO膜13をエッチングする。
【0043】
さらに、基体10をTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液に浸漬してSiO膜13の開口部から結晶異方性エッチングを行い、共通液室11を形成する(図6(d))。このとき、共通液室11の壁面にはアルカリに対してエッチング速度が極めて遅い(111)面が露出することになる。また、この(111)面は基体10の表面に対して約54.7度の傾斜を持って現れるため、SiO膜19の開口部寸法を調整することにより、基体10の表面に到達する前に全ての壁面に(111)面が現れるようにすることができる。
【0044】
また、この結晶異方性エッチングにおいては(111)面が出現した後も、共通液室11と供給路31(トレンチ34)が連通するまで(111)面をエッチングしていく。この連通時には、供給路31(トレンチ34)内壁の保護層32であるSiOが、連通した供給路31と共通液室11との角部33の形状が崩れることを防いでいる。
【0045】
以上の工程を経た構造物を十分に水洗、乾燥を行った後、バッファードフッ酸により基体10の裏面のSiO膜13を除去する。但し、製造後の記録ヘッドをインクタンク等のインク供給部材に組み合わせた後でも基体10の裏面にインクが触れる可能性がある場合はこの除去を行わずにSiO膜13を保護層として残存させてもよい。
【0046】
さらに、供給路31と共通液室11との連結部にある保護層32(SiO膜)をバッファードフッ酸により除去する。すなわち、供給路31内から共通液室11に出たDeep-UVレジストの表面を覆うSiO膜を除去する(図6(d))。
【0047】
さらに、キシレンにより環化ゴム23を除去する。その後、基体全面にDeep-UV光を照射し、前記カチオン重合型エポキシ樹脂(オリフィス形成部材18)を通して圧力室22の型材であるDeep-UVレジストを感光させる。このとき、裏面からも照射を行っても良い。
【0048】
そして、この構造物を乳酸メチルに浸漬して超音波を付与することにより、圧力室22及び供給路31内のDeep-UVレジストを溶出、除去する。
【0049】
最後に、ダイサーによりウエハ状態から切り出して本発明のインクジェット記録ヘッドを得る(図6(e))。
【0050】
以上説明した本実施例では、基体10のインクに触れる面のうち、供給路31内面は保護層32で覆われており、共通液室11内面はアルカリによるエッチングレートの遅い(111)結晶面となっている。そのため、アルカリ性のインクを用いてもシリコンのインク中への溶出を微量に抑えられ、品質問題が生じない記録ヘッドが提供できる。
【0051】
(実施例3)
図7Aは本発明の実施例3であるインクジェット記録ヘッドの平面図、図7Bは図7AのA−A線での断面図である。なお、上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付してある。
【0052】
本実施例は実施例2の変形例であり、基体10の表面に存在し、保護層32としても機能する駆動回路(図示しない)の絶縁層(SiO)17に、基体10の裏面から結晶異方性エッチングにより形成した共通液室11が達している構造になっている。このような共通液室11とすることで、供給路31をクロストークが生じない範囲内でより短くすることができ、供給路31となるトレンチの形成工程のタクトを向上させることができる。
【0053】
(実施例4)
図8Aは本発明の実施例4であるインクジェット記録ヘッドの平面図、図8Bは図8AのA−A線での断面図である。なお、上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付してある。
【0054】
本実施例は実施例2に述べた共通液室11の形成において、その壁面の全てに(111)面が出現するまでエッチングを進行させることなく途中で終了させたものである。
【0055】
このように作製することで、共通液室11を基体10の表面に平行な方向へ広く形成させることができることができる。したがって、多数の吐出口列や広範囲に吐出口が散在されたような構成のヘッドを作製することができる。
【0056】
例えば、図8Bのように、共通液室となる凹部の底面を基体10の表面に平行な方向へ広く平坦に形成できる。そのため、この底面の範囲に吐出口列を図8Aのように3列以上配置すれば、各吐出口21を持つ各圧力室22から共通液室11に連通する供給路31の長さ(ひいてはリフィル速度)を全て同じにすることができる。
【0057】
(実施例5)
図9Aは本発明の実施例5であるインクジェット記録ヘッドの平面図、図9Bは図9AのA−A線での断面図である。なお、上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付してある。
【0058】
本実施例はひとつの圧力室22に複数の供給路31を連通させたものである。例えば、図9A,9Bに示すように、各圧力室22の中央にオリフィス21および吐出圧力発生素子12が配置され、各圧力室22の両端からそれぞれ共通液室11に供給路31が形成されている。
【0059】
このように作製することで、各オリフィス21と共通液室11の間の流抵抗をより低減させることができる。その上、圧力室22の構造を吐出圧力発生素子12に対し供給路31の開口位置を含めて対称形状にすることができ、吐出時の圧力分布も対称的となってインクの噴出方向の直進性が向上する。
【0060】
なお、図9Bには共通液室2を実施例2の形状で図示したが、共通液室2の形状についてはこれに限定されない。
【0061】
(実施例6)
図10は本発明の実施例6であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【0062】
本実施例は、図11、図12A及び図12Bに示した従来例のヘッドの各圧力室22に、各圧力室22を個別に共通液室11に連通させる複数の供給路31を設けたものである。すなわち、図10に示すように、共通液室11に各々の圧力室22の一端側を共通して連通させる供給液室16の他に、各々の圧力室22の他端側を個別に共通液室11に連通させる複数の供給路31が設けられている。
【0063】
このような構成にしても、吐出時圧力によるインクの逆流(オリフィス21から離れる方向へのインク流れ)は共通液室11の供給液室16への開口と、供給路31との二手に分散されるため、クロストークの低減効果がある。また、リフィル時においてはその両方からインクが供給されるために有利である。
以上説明した各実施例の作製方法によるインクジェット記録ヘッドは共通液室11から各々の圧力室22に対して個別にインクを供給するような供給路31が基体10内部に設けられている。そのため、クロストークが抑えられる構造になっている。また供給路31は基体10内に存在するため流抵抗を決めるその断面積を十分に確保することが可能であり、リフィル速度の低下が生じない。
【0064】
また、基体10のインクに触れる面のうち供給路31内面は保護層32で覆われており、共通液室11内面はアルカリに対するエッチング速度が十分に遅い結晶面であるため、アルカリ性のインクを使用しても品質問題は起き難い。また、共通液室11と供給路31との連結部の形状はばらつくことなく制御されて形成されているので、各々のオリフィス間で吐出性能の差がない高品質の記録ヘッドが得られた。
【0065】
また、上記インクジェット記録ヘッドを作製する際に、少なくとも以下の工程をとっている。即ち、まず、基体10の表面から供給路31となる貫通あるいは非貫通のトレンチ34を加工する(第1工程)。次に、トレンチ34の内面に保護層32を形成する(第2工程)。さらに、基体10の、吐出圧力発生素子12が配設された面に、圧力室22とオリフィス21を有する部材18を形成する(第3工程)。さらに、 基体10の、吐出圧力発生素子12が配設された面とは反対側の面から共通液室11を加工し、供給路31と連通させる(第4工程)。そして、共通液室11と供給路31の連結部分における保護層32を除去する(第5工程)。
【0066】
上記の第2工程で形成されるトレンチ34内壁の保護層32は、製造後のヘッドにおいて供給路31の内面に露出する基体や半導体機能層の断面をインクによる腐食から保護するものとなる。さらに、この保護層32は、上記の第4工程において共通液室11と供給路31とが連通した際にその角33が急速にエッチングされて形状が崩れ、そのために供給路31ごとに流抵抗がばらついてしまうことを防いでいる。
【0067】
即ち、共通液室11を供給路31と連通させる際にその連通部の角部分33は通常、多方向に対してエッチャントに曝されるために急速にエッチングされることになる。この場合、その進行を制御することは難しくこの部分の形状はばらついてしまう。特に、シリコン基体の結晶異方性エッチングによる共通液室11の加工では、共通液室11の内壁に出現する(111)面のエッチングレートが他面に対して極めて遅いために、角部はさらに相対的に速くエッチングされていくことになる。供給路31の内壁面の保護層32はこの角33が複数の方向に対してエッチャントに曝されることを防ぐ役割をする。
【0068】
また、シリコン基体の結晶異方性エッチングによって共通液室11を形成することにより、共通液室11の壁面もアルカリに対してエッチングレートが遅い(111)結晶面になる。そのため、インクによる腐食からシリコンの基体10を保護することができる。
【0069】
なお、本発明の記録ヘッドの供給路内面に設けられる保護層としては、上述した各実施例に示した膜材料(SiN、SiO)に限られない。例えば、SiN、SiO、SiONなどの無機膜、もしくはポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルアミドなどの有機膜、もしくはPt、Au、Cu、その他合金などの金属膜であることが考えられる。
【0070】
また、前述した実施例では、保護層32が、基体10表面を保護するパッシベーション層14と共通の層または吐出圧力発生素子12の駆動回路を保護する絶縁層と共通の層となっているが、これに限られず、その他の機能層と共通の層であってもよい。また、このためには、基体10の表面における吐出圧力発生素子12の形成、該素子の駆動回路の形成、その他機能層の形成等を、次の工程時に実施することが好ましい。すなわち、前記の形成をトレンチ34の加工前、トレンチ34の加工とトレンチ内面の保護層32の形成工程との間、保護層32の形成とオリフィス形成部材18の形成工程との間のいずれか、又はそれらの複数に及んで実施することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図2A】図1のインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図2B】図2AのA−A線での断面図である。
【図3】本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図5A】図4のインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図5B】図5AのA−A線での断面図である。
【図6】本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【図7A】本発明の実施例3であるインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図7B】図7AのA−A線での断面図である。
【図8A】本発明の実施例4であるインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図8B】図8AのA−A線での断面図である。
【図9A】本発明の実施例5であるインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図9B】図9AのA−A線での断面図である。
【図10】本発明の実施例6であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図11】従来のインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図12A】図11のインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図12B】図12AのA−A線での断面図である。
【符号の説明】
【0072】
10 基体
11 共通液室
12 吐出圧力発生素子
18 オリフィス形成部材
21 オリフィス(吐出口)
22 圧力室
31 供給路
32 供給路内壁の保護層
33 共通液室と供給路との連結部の角
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクを吐出してインクの液滴を形成し、それを紙等の被記録材に付着させて記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録ヘッドには吐出圧力発生素子が形成された基体に対して、垂直方向にインク液滴が吐出する「サイドシュータ型」もしくは「ルーフシューター型」インクジェット記録ヘッドと称する構造を有するものが作られている。
【0003】
図11は従来のサイドシュータ型インクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。図12Aは図11のインクジェット記録ヘッドの平面図、図12Bは図12AのA−A線での断面図である。
【0004】
これらの図に示すサイドシュータ型インクジェット記録ヘッドは吐出圧力発生素子やその駆動回路を作りこむため単結晶シリコンを基体10として用いている。基体10の吐出圧力発生素子12が形成された面に、液体を吐出するオリフィス21(吐出口)等を形成するオリフィス形成部材18が設けられている。また、インクを基体10の裏面のタンク(図示しない)側から、オリフィス21が設けられている基体10の表面に供給するため、基体10には通常、基体10の表裏を貫通するような共通液室11が形成されている。そして、オリフィス形成部材18は、各吐出圧力発生素子12に対して配置された複数の圧力室22と、共通液室11内の液体を全ての圧力室22に供給する一つの供給液室16とを有している。さらに、オリフィス形成部材18に各オリフィス21が各圧力室22の吐出圧力発生素子12に対向配置されるとともに、基体表面に略垂直な方向に形成されている。(特許文献1参照)
【特許文献1】特開2001−38890号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ひとつのオリフィスからインクの液滴を吐出するために吐出圧力発生素子が作動した時、その吐出圧力はオリフィスと反対方向へもインクを押し戻すことになる。このインクの逆流が隣接する周辺のオリフィス、特にそのメニスカスにも影響を与えてしまう現象をクロストークと言う。具体的な例としてはメニスカスが振動してしまうことが挙げられる。このため、現状ではひとつの吐出口から吐出が行われた時、隣接する吐出口からはこの振動が減衰しきるまでの間吐出を行わないようにするなど対処が必要であり、高スループット化への課題となっている。
【0006】
このクロストークを抑える手法として、隣接する互いのオリフィスと吐出圧力発生素子をインクの液路上遠ざけることが考えられる。この場合、従来のヘッドの構造では圧力室をより長い形状にしてオリフィスと吐出圧力発生素子を共通液室から遠ざけることになる。この結果、吐出量に対して十分な量のインクが存在する共通液室からオリフィスまでの間の通常高さがあまりない圧力室の中をインクがより長く通らなければならない。この事は、オリフィスへのインクの充填速度(リフィル速度)が低下してかえってスループットが落ちてしまう可能性がある。一方、圧力室を基体に平行でインク流に垂直な方向、言うなれば幅方向に広げることは互いの圧力室同士が干渉するために限度がある。また、単純に圧力室を基体に垂直な高さ方向に広げることは、吐出圧力発生素子とこれに対向するオリフィスとの距離を広げることになり吐出性能に影響を与えるため、これもまた限度がある。
【0007】
本発明が解決しようとする課題、すなわち本発明の目的は、インクのリフィル速度を低下させることなくクロストークを抑えるような構造を有するインクジェット記録ヘッドとその作製方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェット記録ヘッドは、少なくとも複数の吐出圧力発生素子が配設された基体上に、インクの液滴を吐出するための複数のオリフィスと、各々の吐出圧力発生素子に対し内包するように形成され各々のオリフィスに連通する複数の圧力室とを備える。さらに、基体に、各々の圧力室に供給するインクを貯留する共通液室を有するヘッドである。このようなヘッドにおいて、各々の前記圧力室に個別に前記共通液室から前記インクを供給する供給路を有し、前記供給路の内面に、前記基体を前記インクから保護する保護層をさらに有することにより、上記課題が解決される。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、耐インク性に優れ、インクのリフィル速度を低下させることなくクロストークを抑えるような構造を有するインクジェット記録ヘッドを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。また、従来例と同様の構成要素については同一符号を用いて説明する。
【0011】
(実施例1)
図1は本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。図2Aは図1のインクジェット記録ヘッドの平面図、図2Bは図2AのA−A線での断面図である。図3は本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【0012】
本実施例の記録ヘッドは、図1、図2A及び2Bに示すように、表面に少なくとも複数の吐出圧力発生素子12が配設された基体10と、基体10の表面に成膜されたオリフィス形成部材18(ノズル部材とも呼ぶ。)とを有する。基体10上の複数の吐出圧力発生素子12は列をなすように配置されている。本例は2列で配置されている。オリフィス形成部材18には各々の吐出圧力発生素子12に対応する複数の圧力室22およびオリフィス21が設けられている。具体的には、複数の圧力室22がそれぞれ各吐出圧力発生素子12を内包するように形成され、複数のオリフィス21がそれぞれ各圧力室22からオリフィス形成部材18の表側に基体10と略垂直な方向に形成されている。オリフィス21は吐出圧力発生素子12と対向する位置にある。
【0013】
また、基体10の裏面(オリフィス形成部材18が成膜された面とは反対側)には凹部が形成され、各圧力室22に供給するインク等の液体を貯留する共通液室11となっている。各圧力室22には個別に、共通液室11からインクを供給するための供給路31が連通している。勿論、各供給路31は、各圧力室22のオリフィス21が形成された側とは反対側に接続される。また、各供給路31の内面には、シリコンの基体10をインクから保護する保護層32が形成されている。
【0014】
なお、本例では、図2Aに示すように複数のオリフィス21(吐出口)を並べた吐出口列を2列設け、一方の吐出口列の吐出口間に他方の吐出口列の吐出口が対応するように配置した。これにより、同じ吐出口ピッチを持つ2つの吐出口列で2倍のドット印字を行なうことができるが、本発明の記録ヘッドはこのような配置に限定されるものではない。
【0015】
また、吐出圧力発生素子12としては、発熱抵抗体(ヒータ)などの電気熱変換素子、ピエゾ素子などの電気振動変換素子を用いることができる。
【0016】
次に、本実施例の記録ヘッドの作製方法について図3を用いて説明する。
【0017】
まず、基体10となる単結晶シリコンウエハ上に、汎用の半導体工程により吐出圧力発生素子12である発熱抵抗体とその駆動回路(図示しない)、及び記録装置本体と信号の授受を行う電極パッド(図示しない)を形成する。また、その裏面には上記の工程中にSiN膜19を成膜しておき、表面の表層にはパッシベーション層14であるSiNが存在し、特に発熱抵抗体上部には耐キャビテーション層であるTa膜(図示しない)をパターニングしてある(図3(a))。
【0018】
この基体10上にレジストをコートした後、フォトリソグラフィ技術により発熱抵抗体12近傍に開口があるように該レジストをパターニングする。
【0019】
そして、ケミカルドライエッチング装置(以下、CDEと略す。)により、該レジスト開口部のパッシベーション層14をエッチングしてシリコン面を露出させる。
【0020】
さらに、誘導結合プラズマ反応性イオンエッチング装置(以下、ICP−RIEエッチャーと略す。)により該シリコン露出部分からエッチングを進行させて、供給路31となるトレンチ34を形成する(図3(b))。
【0021】
その後、基体10上のレジストを除去する。
【0022】
次に、プラズマCVD法により、既に形成したパッシベーション層14と同じ材料であるSiNを基体10の表面及びトレンチ34の内面に成膜する。このトレンチ34の内面のSiNは供給路31内面の保護層32となる。それからレジストを塗布し、フォトリソグラフィ技術によりパターニングした後、CDEにより耐キャビテーション層上のSiNを除去する。
【0023】
次に、基体10の表面に、Deep-UVレジストであるポリメチルイソプロペニルケトンをシクロヘキサノンを溶媒としてソルベントコートする。このとき、供給路31となるトレンチ34内にもDeep-UVレジストが充填されることになる。
【0024】
基体10表面全体にコーティングされた上記Deep-UVレジストを、マスクを介してDeep-UVで露光し、現像して圧力室22の型材を形成する。この上にカチオン重合型エポキシ樹脂をソルベントコートして露光、ポストベーク、現像を行い、これによりオリフィス形成部材18を形成する(図3(c))。このとき、オリフィス(吐出口)21と電極パッド部(図示しない)に対応する樹脂部分を除去する。また必要であるならば、その後、オリフィス形成部材18の表層に撥水処理を施しても良い。
【0025】
次に、基体10の表面に形成されたオリフィス形成部材18を後述のエッチングから保護するために、その上から環化ゴム23をコートする(図3(d))。
【0026】
そして、基体10の裏面にレジストをコートしてフォトリソグラフィ技術によりパターニングした後、CDEによりSiN膜19をエッチングする。
【0027】
さらに、基体10をTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液に浸漬してSiN膜19の開口部から結晶異方性エッチングを行い、共通液室11を形成する(図3(d))。
【0028】
また、このエッチング工程においては、共通液室11と供給路31(トレンチ34)が連通するまでエッチングを進行させる必要があるが、連通した際に出現する角部分33はエッチングされやすく、形状が崩れていってしまう。そのため、全ての供給路31が共通液室11と連通するのに十分でいながら、その角部33の崩れがインクのリフィルに影響のない範囲内でエッチングを終了させる必要がある(図3(d))。
【0029】
以上の工程を経た構造物を十分に水洗、乾燥を行った後、粘着テープにより基体10の裏面のSiN膜19の、ヒサシとなっている部分を剥離する。
【0030】
さらに、供給路31と共通液室11との連結部にある保護層32(SiN膜)をCDEにより除去する。すなわち、供給路31内から共通液室11に出たDeep-UVレジストの表面を覆うSiN膜を除去する(図3(d))。
【0031】
しかる後、共通液室11の内壁面に、耐インク性の保護膜としてSiOを成膜することが好ましい。
【0032】
さらに、キシレンにより環化ゴム23を除去する。その後、基体全面にDeep-UV光を照射し、前記カチオン重合型エポキシ樹脂(オリフィス形成部材18)を通して圧力室22の型材であるDeep-UVレジストを感光させる。このとき、裏面からも照射を行っても良い。
【0033】
そして、この構造物を乳酸メチルに浸漬して超音波を付与することにより、圧力室22及び供給路31内のDeep-UVレジストを溶出、除去する。
【0034】
最後に、ダイサーによりウエハ状態から切り出して本発明のインクジェット記録ヘッドを得る(図3(e))。
【0035】
(実施例2)
図4は本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。図5Aは図4のインクジェット記録ヘッドの平面図、図5Bは図5AのA−A線での断面図である。図6は本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【0036】
本実施例の記録ヘッドは、図4、図5A及び5Bに示すように、実施例1のヘッド構造とほとんど同じである。異なる点は共通液室11の形状であるが、これは、実施例1との製法の違いから異なっている。
【0037】
本実施例の記録ヘッドの作製方法について図6を用いて説明する。
【0038】
まず、基体10となる引き出し方位が<100>である単結晶シリコンウエハ上に、汎用の半導体工程により吐出圧力発生素子12である発熱抵抗体とその駆動回路(図示しない)、及び記録装置本体と信号の授受を行う電極パッド(図示しない)を形成する。また、その工程中にICP−RIEエッチャーにより前記シリコン基板に供給路31となるトレンチ34を形成し、この内面を駆動回路(図示しない)の絶縁層17であるSiOで同時に覆い、保護層32とする(図6(a))。さらに、その基体10の裏面にも上記の工程中に成膜されたSiO膜13があり、表面の表層にはパッシベーション層14であるSiNが存在し、特に発熱抵抗体上部には耐キャビテーション層であるTa膜(図示しない)をパターニングする(図6(b))。
【0039】
次に、基体10の表面に、Deep-UVレジストであるポリメチルイソプロペニルケトンをシクロヘキサノンを溶媒としてソルベントコートする。このとき、供給路31となるトレンチ34内にもDeep-UVレジストが充填されることになる。
【0040】
基体10表面全体にコーティングされた上記Deep-UVレジストを、マスクを介してDeep-UVで露光し、現像して圧力室22の型材を形成する。この上にカチオン重合型エポキシ樹脂をソルベントコートして露光、ポストベーク、現像を行い、これによりオリフィス形成部材18を形成する(図6(c))。このとき、オリフィス(吐出口)21と電極パッド部(図示しない)に対応する樹脂部分を除去する。また必要であるならば、その後、オリフィス形成部材18の表層に撥水処理を施しても良い。
【0041】
次に、基体10の表面に形成されたオリフィス形成部材18を後述のエッチングから保護するために、その上から環化ゴム23をコートする(図6(d))。
【0042】
そして、基体10の裏面にレジストをコートしてフォトリソグラフィ技術によりパターニングした後、バッファードフッ酸によりSiO膜13をエッチングする。
【0043】
さらに、基体10をTMAH(水酸化テトラメチルアンモニウム)水溶液に浸漬してSiO膜13の開口部から結晶異方性エッチングを行い、共通液室11を形成する(図6(d))。このとき、共通液室11の壁面にはアルカリに対してエッチング速度が極めて遅い(111)面が露出することになる。また、この(111)面は基体10の表面に対して約54.7度の傾斜を持って現れるため、SiO膜19の開口部寸法を調整することにより、基体10の表面に到達する前に全ての壁面に(111)面が現れるようにすることができる。
【0044】
また、この結晶異方性エッチングにおいては(111)面が出現した後も、共通液室11と供給路31(トレンチ34)が連通するまで(111)面をエッチングしていく。この連通時には、供給路31(トレンチ34)内壁の保護層32であるSiOが、連通した供給路31と共通液室11との角部33の形状が崩れることを防いでいる。
【0045】
以上の工程を経た構造物を十分に水洗、乾燥を行った後、バッファードフッ酸により基体10の裏面のSiO膜13を除去する。但し、製造後の記録ヘッドをインクタンク等のインク供給部材に組み合わせた後でも基体10の裏面にインクが触れる可能性がある場合はこの除去を行わずにSiO膜13を保護層として残存させてもよい。
【0046】
さらに、供給路31と共通液室11との連結部にある保護層32(SiO膜)をバッファードフッ酸により除去する。すなわち、供給路31内から共通液室11に出たDeep-UVレジストの表面を覆うSiO膜を除去する(図6(d))。
【0047】
さらに、キシレンにより環化ゴム23を除去する。その後、基体全面にDeep-UV光を照射し、前記カチオン重合型エポキシ樹脂(オリフィス形成部材18)を通して圧力室22の型材であるDeep-UVレジストを感光させる。このとき、裏面からも照射を行っても良い。
【0048】
そして、この構造物を乳酸メチルに浸漬して超音波を付与することにより、圧力室22及び供給路31内のDeep-UVレジストを溶出、除去する。
【0049】
最後に、ダイサーによりウエハ状態から切り出して本発明のインクジェット記録ヘッドを得る(図6(e))。
【0050】
以上説明した本実施例では、基体10のインクに触れる面のうち、供給路31内面は保護層32で覆われており、共通液室11内面はアルカリによるエッチングレートの遅い(111)結晶面となっている。そのため、アルカリ性のインクを用いてもシリコンのインク中への溶出を微量に抑えられ、品質問題が生じない記録ヘッドが提供できる。
【0051】
(実施例3)
図7Aは本発明の実施例3であるインクジェット記録ヘッドの平面図、図7Bは図7AのA−A線での断面図である。なお、上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付してある。
【0052】
本実施例は実施例2の変形例であり、基体10の表面に存在し、保護層32としても機能する駆動回路(図示しない)の絶縁層(SiO)17に、基体10の裏面から結晶異方性エッチングにより形成した共通液室11が達している構造になっている。このような共通液室11とすることで、供給路31をクロストークが生じない範囲内でより短くすることができ、供給路31となるトレンチの形成工程のタクトを向上させることができる。
【0053】
(実施例4)
図8Aは本発明の実施例4であるインクジェット記録ヘッドの平面図、図8Bは図8AのA−A線での断面図である。なお、上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付してある。
【0054】
本実施例は実施例2に述べた共通液室11の形成において、その壁面の全てに(111)面が出現するまでエッチングを進行させることなく途中で終了させたものである。
【0055】
このように作製することで、共通液室11を基体10の表面に平行な方向へ広く形成させることができることができる。したがって、多数の吐出口列や広範囲に吐出口が散在されたような構成のヘッドを作製することができる。
【0056】
例えば、図8Bのように、共通液室となる凹部の底面を基体10の表面に平行な方向へ広く平坦に形成できる。そのため、この底面の範囲に吐出口列を図8Aのように3列以上配置すれば、各吐出口21を持つ各圧力室22から共通液室11に連通する供給路31の長さ(ひいてはリフィル速度)を全て同じにすることができる。
【0057】
(実施例5)
図9Aは本発明の実施例5であるインクジェット記録ヘッドの平面図、図9Bは図9AのA−A線での断面図である。なお、上記実施例と同一の構成要素には同一符号を付してある。
【0058】
本実施例はひとつの圧力室22に複数の供給路31を連通させたものである。例えば、図9A,9Bに示すように、各圧力室22の中央にオリフィス21および吐出圧力発生素子12が配置され、各圧力室22の両端からそれぞれ共通液室11に供給路31が形成されている。
【0059】
このように作製することで、各オリフィス21と共通液室11の間の流抵抗をより低減させることができる。その上、圧力室22の構造を吐出圧力発生素子12に対し供給路31の開口位置を含めて対称形状にすることができ、吐出時の圧力分布も対称的となってインクの噴出方向の直進性が向上する。
【0060】
なお、図9Bには共通液室2を実施例2の形状で図示したが、共通液室2の形状についてはこれに限定されない。
【0061】
(実施例6)
図10は本発明の実施例6であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【0062】
本実施例は、図11、図12A及び図12Bに示した従来例のヘッドの各圧力室22に、各圧力室22を個別に共通液室11に連通させる複数の供給路31を設けたものである。すなわち、図10に示すように、共通液室11に各々の圧力室22の一端側を共通して連通させる供給液室16の他に、各々の圧力室22の他端側を個別に共通液室11に連通させる複数の供給路31が設けられている。
【0063】
このような構成にしても、吐出時圧力によるインクの逆流(オリフィス21から離れる方向へのインク流れ)は共通液室11の供給液室16への開口と、供給路31との二手に分散されるため、クロストークの低減効果がある。また、リフィル時においてはその両方からインクが供給されるために有利である。
以上説明した各実施例の作製方法によるインクジェット記録ヘッドは共通液室11から各々の圧力室22に対して個別にインクを供給するような供給路31が基体10内部に設けられている。そのため、クロストークが抑えられる構造になっている。また供給路31は基体10内に存在するため流抵抗を決めるその断面積を十分に確保することが可能であり、リフィル速度の低下が生じない。
【0064】
また、基体10のインクに触れる面のうち供給路31内面は保護層32で覆われており、共通液室11内面はアルカリに対するエッチング速度が十分に遅い結晶面であるため、アルカリ性のインクを使用しても品質問題は起き難い。また、共通液室11と供給路31との連結部の形状はばらつくことなく制御されて形成されているので、各々のオリフィス間で吐出性能の差がない高品質の記録ヘッドが得られた。
【0065】
また、上記インクジェット記録ヘッドを作製する際に、少なくとも以下の工程をとっている。即ち、まず、基体10の表面から供給路31となる貫通あるいは非貫通のトレンチ34を加工する(第1工程)。次に、トレンチ34の内面に保護層32を形成する(第2工程)。さらに、基体10の、吐出圧力発生素子12が配設された面に、圧力室22とオリフィス21を有する部材18を形成する(第3工程)。さらに、 基体10の、吐出圧力発生素子12が配設された面とは反対側の面から共通液室11を加工し、供給路31と連通させる(第4工程)。そして、共通液室11と供給路31の連結部分における保護層32を除去する(第5工程)。
【0066】
上記の第2工程で形成されるトレンチ34内壁の保護層32は、製造後のヘッドにおいて供給路31の内面に露出する基体や半導体機能層の断面をインクによる腐食から保護するものとなる。さらに、この保護層32は、上記の第4工程において共通液室11と供給路31とが連通した際にその角33が急速にエッチングされて形状が崩れ、そのために供給路31ごとに流抵抗がばらついてしまうことを防いでいる。
【0067】
即ち、共通液室11を供給路31と連通させる際にその連通部の角部分33は通常、多方向に対してエッチャントに曝されるために急速にエッチングされることになる。この場合、その進行を制御することは難しくこの部分の形状はばらついてしまう。特に、シリコン基体の結晶異方性エッチングによる共通液室11の加工では、共通液室11の内壁に出現する(111)面のエッチングレートが他面に対して極めて遅いために、角部はさらに相対的に速くエッチングされていくことになる。供給路31の内壁面の保護層32はこの角33が複数の方向に対してエッチャントに曝されることを防ぐ役割をする。
【0068】
また、シリコン基体の結晶異方性エッチングによって共通液室11を形成することにより、共通液室11の壁面もアルカリに対してエッチングレートが遅い(111)結晶面になる。そのため、インクによる腐食からシリコンの基体10を保護することができる。
【0069】
なお、本発明の記録ヘッドの供給路内面に設けられる保護層としては、上述した各実施例に示した膜材料(SiN、SiO)に限られない。例えば、SiN、SiO、SiONなどの無機膜、もしくはポリイミド、ポリアミド、ポリエーテルアミドなどの有機膜、もしくはPt、Au、Cu、その他合金などの金属膜であることが考えられる。
【0070】
また、前述した実施例では、保護層32が、基体10表面を保護するパッシベーション層14と共通の層または吐出圧力発生素子12の駆動回路を保護する絶縁層と共通の層となっているが、これに限られず、その他の機能層と共通の層であってもよい。また、このためには、基体10の表面における吐出圧力発生素子12の形成、該素子の駆動回路の形成、その他機能層の形成等を、次の工程時に実施することが好ましい。すなわち、前記の形成をトレンチ34の加工前、トレンチ34の加工とトレンチ内面の保護層32の形成工程との間、保護層32の形成とオリフィス形成部材18の形成工程との間のいずれか、又はそれらの複数に及んで実施することが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図2A】図1のインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図2B】図2AのA−A線での断面図である。
【図3】本発明の実施例1であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図5A】図4のインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図5B】図5AのA−A線での断面図である。
【図6】本発明の実施例2であるインクジェット記録ヘッドの作製方法を示す断面図である。
【図7A】本発明の実施例3であるインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図7B】図7AのA−A線での断面図である。
【図8A】本発明の実施例4であるインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図8B】図8AのA−A線での断面図である。
【図9A】本発明の実施例5であるインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図9B】図9AのA−A線での断面図である。
【図10】本発明の実施例6であるインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図11】従来のインクジェット記録ヘッドを一部断面で示した斜視図である。
【図12A】図11のインクジェット記録ヘッドの平面図である。
【図12B】図12AのA−A線での断面図である。
【符号の説明】
【0072】
10 基体
11 共通液室
12 吐出圧力発生素子
18 オリフィス形成部材
21 オリフィス(吐出口)
22 圧力室
31 供給路
32 供給路内壁の保護層
33 共通液室と供給路との連結部の角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも複数の吐出圧力発生素子が配設された基体上に、インクの液滴を吐出するための複数のオリフィスと、各々の該吐出圧力発生素子に対して内包するように形成されるとともに各々の該オリフィスに連通する複数の圧力室とを備え、前記基体に、各々の前記圧力室に供給する前記インクを貯留する共通液室を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、
各々の前記圧力室に個別に前記共通液室から前記インクを供給する供給路を有し、前記供給路の内面に、前記基体を前記インクから保護する保護層をさらに有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
前記保護層が前記吐出圧力発生素子を駆動するための回路を被覆する絶縁層、もしくはその他の機能層と共通の層である、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記保護層が無機膜、有機膜、金属膜または合金膜で構成されている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記共通液室の内面がシリコンの(111)結晶面である、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
少なくとも複数の吐出圧力発生素子が配設された基体上に、インクの液滴を吐出するための複数のオリフィスと、各々の該吐出圧力発生素子に対して内包するように形成されるとともに各々の該オリフィスに連通する複数の圧力室とを備え、前記基体に、各々の前記圧力室に供給する前記インクを貯留する共通液室を有し、さらに、各々の前記圧力室に個別に前記共通液室から前記インクを供給する供給路を有するインクジェット記録ヘッドを作製する方法であって、
前記基体の表面から前記供給路となる貫通あるいは非貫通のトレンチを加工する第1工程と、
前記トレンチの内面に保護層を形成する第2工程と、
前記基体の、前記吐出圧力発生素子が配設された面に、前記圧力室と前記オリフィスを有する部材を形成する第3工程と、
前記基体の、前記吐出圧力発生素子が配設された面とは反対側の面から前記共通液室を加工し、前記供給路と連通させる第4工程と、
前記共通液室と前記供給路の連結部分における前記保護層を除去する第5工程と、
を有するインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【請求項6】
前記第1工程の前、前記第1工程と前記第2工程との間、前記第2工程と前記第3工程との間のいずれか、もしくはそれらの複数に及んで、前記吐出圧力発生素子の形成、該素子の駆動回路の形成、その他機能層の形成のいずれか、もしくは、それらのうちの2以上の形成工程を実施する、請求項5に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【請求項7】
前記基体が単結晶シリコンからなり、かつ前記第4工程が結晶異方性エッチングである、請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【請求項8】
前記第4工程の後に前記共通液室の壁面に保護層を成膜する工程を有する、請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【請求項1】
少なくとも複数の吐出圧力発生素子が配設された基体上に、インクの液滴を吐出するための複数のオリフィスと、各々の該吐出圧力発生素子に対して内包するように形成されるとともに各々の該オリフィスに連通する複数の圧力室とを備え、前記基体に、各々の前記圧力室に供給する前記インクを貯留する共通液室を有するインクジェット記録ヘッドにおいて、
各々の前記圧力室に個別に前記共通液室から前記インクを供給する供給路を有し、前記供給路の内面に、前記基体を前記インクから保護する保護層をさらに有することを特徴とするインクジェット記録ヘッド。
【請求項2】
前記保護層が前記吐出圧力発生素子を駆動するための回路を被覆する絶縁層、もしくはその他の機能層と共通の層である、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項3】
前記保護層が無機膜、有機膜、金属膜または合金膜で構成されている、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項4】
前記共通液室の内面がシリコンの(111)結晶面である、請求項1に記載のインクジェット記録ヘッド。
【請求項5】
少なくとも複数の吐出圧力発生素子が配設された基体上に、インクの液滴を吐出するための複数のオリフィスと、各々の該吐出圧力発生素子に対して内包するように形成されるとともに各々の該オリフィスに連通する複数の圧力室とを備え、前記基体に、各々の前記圧力室に供給する前記インクを貯留する共通液室を有し、さらに、各々の前記圧力室に個別に前記共通液室から前記インクを供給する供給路を有するインクジェット記録ヘッドを作製する方法であって、
前記基体の表面から前記供給路となる貫通あるいは非貫通のトレンチを加工する第1工程と、
前記トレンチの内面に保護層を形成する第2工程と、
前記基体の、前記吐出圧力発生素子が配設された面に、前記圧力室と前記オリフィスを有する部材を形成する第3工程と、
前記基体の、前記吐出圧力発生素子が配設された面とは反対側の面から前記共通液室を加工し、前記供給路と連通させる第4工程と、
前記共通液室と前記供給路の連結部分における前記保護層を除去する第5工程と、
を有するインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【請求項6】
前記第1工程の前、前記第1工程と前記第2工程との間、前記第2工程と前記第3工程との間のいずれか、もしくはそれらの複数に及んで、前記吐出圧力発生素子の形成、該素子の駆動回路の形成、その他機能層の形成のいずれか、もしくは、それらのうちの2以上の形成工程を実施する、請求項5に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【請求項7】
前記基体が単結晶シリコンからなり、かつ前記第4工程が結晶異方性エッチングである、請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【請求項8】
前記第4工程の後に前記共通液室の壁面に保護層を成膜する工程を有する、請求項4に記載のインクジェット記録ヘッドの作製方法。
【図1】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図2A】
【図2B】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図9A】
【図9B】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【公開番号】特開2008−126420(P2008−126420A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−310268(P2006−310268)
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】
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