説明

インクジェット記録用インク組成物、及びカラーフィルター基板

【課題】
本発明の課題は、顔料を高濃度で分散して含有すると同時に、インクジェット法により基板上の所望の位置に安定して吐出させることのできる物性を有するインク組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、上記インクを用いてインクジェット法により形成されるカラーフィルター基板を提供することにある。
【解決手段】
前記の課題は、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなる樹脂型分散剤(C1)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物によって解決することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用インク組成物、及びカラーフィルター基板に関する。本発明のインクジェット記録用インク組成物は、例えば、液晶ディスプレイパネルのカラーフィルター基板の製造に好適に用いることができる。
【背景技術】
【0002】
薄型テレビジョンなどに利用されている液晶ディスプレイパネルには、主要な構成要素として、カラーフィルター基板と、液晶セル基板と、バックライトユニットとが含まれている。バックライトユニットは、液晶セル基板の裏面に設けた光源である。液晶セル基板の液晶は、TFT(薄膜トランジスタ)アレイ基板とカラーフィルター基板との間に充填されている。カラーフィルター基板には、3原色(赤・青・緑;RGB)の繰り返しパターンが、TFTアレイ基板の各画素に対向する位置に形成されている。カラーフィルター基板の全面には透明電極が設けられており、TFTアレイ基板の画素電極との電圧によって液晶の方向が制御され、透過する光量がコントロールされる。
【0003】
前記カラーフィルター基板は、具体的には、ガラス等の透明な基板の表面に3種以上の異なる色相の微細なストライプ状のフィルターセグメントを平行又は交差して配置したもの、あるいは微細なモザイク状のフィルターセグメントを縦横一定の配列に配置したものからなっている。そして、フィルターセグメント間には、カラーフィルター基板の表示コントラストを高めるために、一定の幅を持つ遮光領域(ブラックマトリックス)が設けられる。カラーフィルター基板を構成するストライプの幅及びモザイクの一辺の長さは、約70μmと微細であり、しかも色相毎に所定の順序で整然と配列されている。また、通常のカラーフィルター基板の膜厚は0.8〜1.5μmであり、顔料がフィルターセグメント中の25〜45重量%を占めている。
【0004】
従来、カラーフィルター基板の製造は、顔料が分散されたフォトレジスト液を透明基板上に塗布してから、乾燥、露光、現像、及び硬化などの工程を繰り返すことによって行われていた。そのため、生産性が低く、コスト低減の要求が高くなっている。特に、液晶ディスプレイパネルの大型化に伴って、フォトレジストに替わる技術が求められてきた。 こうした要求に従い、製造方法や製造設備の見直しが行われ、インクジェット法によるカラーフィルター基板の製造が注目されている。インクジェット法は、特に製造装置の小型化が容易で、生産性の高い点で有利である。更に、近年は、プリンタヘッドやインクに関する技術の進歩により、インクジェット法にも顔料系インクが使用され始め、その結果、耐光性や堅牢性も改良されている。この点からも、カラーフィルター基板用途にインクジェット法を適用することが有利である、種々の提案が行われている(例えば、特許文献1〜3)。
【特許文献1】特開平1−217302号公報
【特許文献2】特開平7−174915号公報
【特許文献3】特開平8−75916号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
インクジェット法によるフィルターセグメントの形成は、予め透明基板上にブラックマトリックスを設け、ブラックマトリックスで区分けされた領域内にインクジェット法によりインクを充填することによって実施する。しかしながら、従来の一般的なインクジェットインクは、吐出安定性などを確保する目的で低粘度にする必要があるため、顔料の含有量が5重量%前後と少ない。このようなインクを用いて、カラーフィルター基板の通常の膜厚のフィルターセグメントを形成しても、カラーフィルター基板として必要な濃度を提供することはできない。
【0006】
一方、所望の濃度のフィルターセグメントを形成するためには、ブラックマトリックスで区分けされた領域内に充填するインク量を増やす方法や、インクジェットインクの顔料含有量を多くする方法がある。しかしながら、ブラックマトリックスで区分けされた領域内に充填するインク量を増やすと、ブラックマトリックスを越えてインクが溢れて、隣接する領域にインクが混入し、フィルターセグメントの色相を損なうことがある。また、インクジェットインクの顔料含有量を多くすると、インクの粘度が高くなりすぎ、インクジェットインクとして吐出させることが困難になる。
【0007】
従って、本発明の課題は、顔料を高濃度で分散して含有すると同時に、インクジェット法により基板上の所望の位置に安定して吐出させることのできる物性を有するインク組成物を提供することにある。また、本発明の課題は、上記インクを用いてインクジェット法により形成されるカラーフィルター基板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記の課題は、樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
樹脂型分散剤(C)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなる樹脂型分散剤(C1)であるインクジェット記録用インク組成物によって解決することができる。
【0009】
又、前記の課題は、樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
樹脂型分散剤(C)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)並びに(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなる樹脂型分散剤(C2)であるインクジェット記録用インク組成物によって解決することができる。
【0010】
又、前記の課題は、樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
樹脂型分散剤(C)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させて生成される化合物(c3)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる樹脂型分散剤(C3)であるインクジェット記録用インク組成物によって解決することができる。
【0011】
又、前記の課題は、樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(a)およびチオール基を有さないポリオール化合物(o’)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなる化合物(c4)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してしてなる樹脂型分散剤(C4)であるインクジェット記録用インク組成物によって解決することができる。
【0012】
本発明によるインク組成物の好ましい態様においては、前記樹脂型分散剤(C)の重量平均分子量は、2,000〜25,000であり、かつ、前記樹脂型分散剤の酸価は、5〜200mgKOH/gである。
【0013】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、前記テトラカルボン酸二無水物(b)が
、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物である。
一般式(1):
【0014】
【化1】

〔一般式(1)中、kは1又は2である。〕
一般式(2):
【0015】
【化2】

〔一般式(2)中、Q1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、下記一般式(3):
【0016】
【化3】

で表される基、又は一般式(4):
【0017】
【化4】

で表される基である。〕
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、エチレン性不飽和単量体(m)が、ベンジル(メタ)アクリレートを単量体全体の20重量%〜70重量%含む。
【0018】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、前記熱反応性化合物(E)が、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上である。

又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、更に、バインダー樹脂(J)を含み、特には、前記バインダー樹脂が、熱可塑性樹脂である。
【0019】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、更に、顔料誘導体(D)を含み、特には、前記分散剤が、下記一般式(5)で表される色素誘導体である。
【0020】
G−(L)n (5)
(式中、Gは、色素原型化合物残基であり、Eは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、qは、1〜4の整数である。)
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、前記顔料誘導体(D)が、塩基性基を有する色素誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる誘導体を少なくとも一種を含む。
【0021】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、固形分含有量が、インク組成物全重量に対して、3〜60重量%である。
【0022】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、前記顔料(P)の含有量が、インク組成物全重量に対して1〜30重量%である。
【0023】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、前記顔料(P)と前記樹脂型分散剤(C)との重量比が、100:3〜100:200である。
【0024】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、25℃における粘度が、2〜40mPa・sである。
【0025】
又、本発明によるインク組成物の更に別の好ましい態様においては、カラーフィルター基板用である。
【0026】
さらに、本発明は、前記インクジェット記録用インク組成物による印刷層を担持するカラーフィルター基板にも関する。
【発明の効果】
【0027】
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、顔料分散性に優れた前記樹脂型分散剤を含有しており、耐熱、耐薬品性が良好で、更に顔料濃度が高いにもかかわらず、低粘度、経時粘度安定性かつ吐出安定性が良好であり、充分な耐性と印字濃度の印刷層を提供することができる。また本発明のインクジェット記録用インク組成物を利用してカラーフィルター基板を製造する場合に、従来の方法と比較してはるかに効率よく高性能なカラーフィルターを生産することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(1)樹脂型分散剤(C)
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、樹脂型分散剤(C)を含有している。樹脂型分散剤は、(C1)〜(C4)の四つタイプがある。
【0029】
まず、本発明で用いる樹脂型分散剤(C1)および(C2)について説明する。
樹脂型分散剤(C1)および(C2)を製造するための第一の工程は、一般式(5)に示すように、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合して、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)を製造する工程である。分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)のチオール基が連鎖移動剤として働き、エチレン性不飽和単量体(m)が重合した溶媒親和性ビニル重合体部位(M)の末端に、S原子を介して2つの水酸基が導入されたビニル重合体(a)が合成される。
一般式(5):
【0030】
【化5】

分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)としては、例えば、1−メルカプト−1,1−メタンジオール、1−メルカプト−1,1−エタンジオール、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール(チオグリセリン)、2−メルカプト−1,2−プロパンジオール、2−メルカプト−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプト−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1−メルカプト−2,2−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メルカプトエチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、等が挙げられる。
【0031】
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)を、目的とするビニル重合体(a)の分子量にあわせて、エチレン性不飽和単量体(m)と、任意に重合開始剤とを混合して加熱することでビニル重合体(a)を得ることができる。好ましくは、エチレン性不飽和単量体100重量部に対して、1〜30重量部の水酸基とチオール基とを有する化合物(s)を用い、塊状重合または溶液重合を行う。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃、反応時間は3〜30時間、好ましくは5〜20時間である。
【0032】
重合の際、エチレン性不飽和単量体(m)100重量部に対して、任意に0.001〜5重量部の重合開始剤を使用することができる。重合開始剤としては、アゾ系化合物および有機過酸化物を用いることができる。アゾ系化合物の例としては、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン1−カルボニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチル−4−メトキシバレロニトリル)、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリック酸)、2,2’−アゾビス(2−ヒドロキシメチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス[2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]等があげられる。有機過酸化物の例としては、過酸化ベンゾイル、t−ブチルパーベンゾエイト、クメンヒドロパーオキシド、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−n−プロピルパーオキシジカーボネート、ジ(2−エトキシエチル)パーオキシジカーボネート、t−ブチルパーオキシネオデカノエート、t−ブチルパーオキシビバレート、(3,5,5−トリメチルヘキサノイル)パーオキシド、ジプロピオニルパーオキシド、ジアセチルパーオキシド等があげられる。これらの重合開始剤は、単独で、若しくは2種類以上組み合わせて用いることができる。
【0033】
溶液重合の場合には、重合溶媒として、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、トルエン、キシレン、アセトン、ヘキサン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が用いられるが特にこれらに限定されるものではない。これらの重合溶媒は、2種類以上混合して用いても良い。
【0034】
エチレン性不飽和単量体(m)としては、以下に示す一般的なエチレン性不飽和単量体(m1)が挙げられる。一般的なエチレン性不飽和単量体(m1)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート等のアルキル(メタ)アクリレート類、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂肪族環を有する(メタ)アクリレート類、テトラヒドロフルフリール(メタ)アクリレート等のヘテロ環を有する(メタ)アクリレート類、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート等の芳香族環を有する(メタ)アクリレート類、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のアルコキシポリアルキレングリコール(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリルアミド、およびN,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、ダイアセトン(メタ)アクリルアミド、アクリロイルモルホリン等のN置換型(メタ)アクリルアミド類、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等のアミノ基含有(メタ)アクリレート類、(メタ)アクリロニトリル等のニトリル類、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン類、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の脂肪酸ビニル類等があげられるが、特にこれらに限定されるものではなく、2種類以上組み合わせたり、必要に応じて、以下に示す単量体を併用しても良い。
【0035】
エチレン性不飽和単量体(m)の一つとして、カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)を併用することもできる。カルボキシル基含有エチレン性不飽和単量体(m2)としては、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸などから1種または2種以上を選択することができる。
【0036】
本発明においては、上記に例示したエチレン性不飽和単量体(m)の中でも、ベンジル(メタ)アクリレートを単量体全体の20重量%〜70重量%使用するのが好ましい。20重量%未満では、溶媒親和性が低くなり、十分な立体反発効果が得られず、顔料分散性が低下する場合があり、70重量%を超えると、分散剤自身の溶剤への溶解性が上がるため顔料への吸着が不十分になったり、溶媒親和部同士の絡み合いにより、顔料組成物の粘度が高くなったりする場合がある。
【0037】
また、本発明においては、更に上記に例示したエチレン性不飽和単量体(m)と共に、ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m3)、オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(m4)、及びt−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(m5)の少なくとも1つから選ばれるエチレン性不飽和単量体用いて、ビニル重合体(a)を製造することが出来る。これらの単量体を使用することにより、単量体中の架橋性官能基(それぞれブロックイソシアネート基、オキセタン基、t−ブチル基)が焼きつけにより架橋するため、本発明によるインクジェットインキを用いた展色物を熱硬化した後に耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性、耐アルカリ性を更に向上することができる。
【0038】
ブロックイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m3)としては、例えば、カレンズMOI−BM、カレンズMOI−BP(昭和電工製)等が挙げられる。オキセタン基を有するエチレン性不飽和単量体(m4)としては、例えば、ETERNACOLL OXMA(宇部興産製)等が挙げられる。t−ブチル基を有するエチレン性不飽和単量体(m5)としては、例えば、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート等が挙げられる。
【0039】
単量体の有するブロックイソシアネート基は、水酸基と併用すると水酸基と架橋反応するためより好ましく、オキセタン基はカルボキシル基と併用するとカルボキシル基と架橋反応するためより好ましく、t−ブチル基は、水酸基と併用すると水酸基と架橋反応し、オキセタン基と併用するとオキセタン基と架橋反応するためより好ましい。
【0040】
カルボキシル基を組み合わせる場合、本発明の硬化性分散剤中には、テトラカルボン酸二無水物(b)由来のカルボキシル基を硬化性部位として利用できるが、カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体をエチレン性不飽和単量体(m2)として併用することで、硬化性分散剤にカルボキシル基を容易に導入することができる。
【0041】
カルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m2)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、クロトン酸、アクリル酸二量体、アクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)、及びメタクリル酸のカプロラクトン付加物(付加モル数は1〜5)などから1種又は2種以上を選択することができる。
【0042】
又、水酸基を組み合わせる場合、水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m6)をエチレン性不飽和単量体として併用することでも硬化性分散剤に水酸基を導入することができる。
【0043】
水酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m6)としては、水酸基を有し、エチレン性不飽和二重結合を有する単量体であればどのようなものでも構わないが、具体的には、水酸基を有する(メタ)アクリレート系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2(又は3)−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2(又は3、又は4)−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート及びシクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレートなどのヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類;水酸基を有する(メタ)アクリルアミド系単量体、例えば、N−(2−ヒドロキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシプロピル)(メタ)アクリルアミド、N−(2−ヒドロキシブチル)(メタ)アクリルアミドなどのN−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド類;水酸基を有するビニルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−(又は3−、又は4−)ヒドロキシブチルビニルエーテルなどのヒドロキシアルキルビニルエーテル類;水酸基を有するアリルエーテル系単量体、例えば、2−ヒドロキシエチルアリルエーテル、2−(又は3−)ヒドロキシプロピルアリルエーテル、2−(又は3−、又は4−)ヒドロキシブチルアリルエーテルなどのヒドロキシアルキルアリルエーテル類が挙げられる。
【0044】
又、上記のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート類、N−(ヒドロキシアルキル)(メタ)アクリルアミド類、ヒドロキシアルキルビニルエーテル類、及びヒドロキシアルキルアリルエーテル類にアルキレンオキサイド又はラクトンを付加して得られるエチレン性不飽和単量体も、本発明で用いる水酸基を有するエチレン性不飽和単量体として用いることができる。付加されるアルキレンオキサイドとしては、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、1,2−、1,4−、2,3−又は1,3−ブチレンオキサイド及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。2種以上のアルキレンオキサイドを併用するときの結合形式はランダム及び/又はブロックのいずれでもよい。付加されるラクトンとしては、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトン、炭素原子数1〜6のアルキル基で置換されたε−カプロラクトン及びこれらの2種以上の併用系が用いられる。アルキレンオキサイドとラクトンを両方とも付加したものでも構わない。
【0045】
本発明においては、ビニル重合体(a)に不飽和結合を導入することも出来る。不飽和結合を導入することにより、不飽和結合基が焼きつけにより架橋するため、本発明によるインクジェットインキを用いた展色物を熱硬化した後に耐薬品性、耐溶剤性、耐熱性、耐アルカリ性を更に向上することができる。
【0046】
ビニル重合体(a)に不飽和結合を導入する方法としては、ビニル重合体(a)中に水酸基を導入し、後からイソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m7)を反応させる方法、ビニル重合体(a)中にカルボキシル基を導入し、後からエポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(m8)を反応させる方法、ビニル重合体(a)中にエポキシ基を導入し、後からカルボキシル基を有するエチレン性不飽和単量体(m2)を反応させる方法が挙げられる。
【0047】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和単量体(m7)としては、エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(m8)としては、カレンズMOI(昭和電工製 2−メタクリロイルオキシエチルイソシアネート)、カレンズAOI(昭和電工製 2−アクリロイルオキシエチルイソシアネート)等が、挙げられる。エポキシ基を有するエチレン性不飽和単量体(m8)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、サイクロマーM100(ダイセル化学工業製 3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート)等が挙げられる。
【0048】
ただし、必要に応じて、本発明の樹脂型分散剤(C)のビニル重合体部位(M)に水酸基を導入する場合、後述する樹脂型分散剤(C3)および樹脂型分散剤(C4)の第一の工程の酸無水物基との反応が終了した第二工程で導入する方が好ましい。樹脂型分散剤(C1)および(C2)の第一工程で導入すると、続く第二工程で、ビニル重合体部位(M)に導入した水酸基が、テトラカルボン酸二無水物(b)の酸無水物基と反応して架橋する恐れがある。
【0049】
樹脂型分散剤(C1)製造のための第二の工程は、下記一般式(6)に示すように、第一の工程で得られた片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)と、テトラカルボン酸二無水物(b)とを反応させる工程である。
一般式(6):
【0050】
【化6】

片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)のモル比をα、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβとすると、理論上、α=βでは、分子量が無限大に大きくなるので、α>βあるいはα<βとして、α/βの比率を変えて、目的とする分子量にコントロールすることが多い。例えば、α=β+1の場合、両末端が水酸基となり、それ以上分子量が大きくならず、安定な樹脂型分散剤(C1−1)を合成することができる。一方、β=α+1の場合、両末端が酸無水物基となり、安定性が悪くなるため、酸無水物基を加水分解して、末端をカルボキシル基とした樹脂型分散剤(C1−2)を合成して使用する。
【0051】
樹脂型分散剤(C2)製造のための第二の工程は、下記一般式(7)に示すように、第一の工程で得られた片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)と、テトラカルボン酸二無水物(b)と、(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)を反応させる工程である。ポリオール化合物(o)を併用することで、相溶性、粘度、分散性等を調節する。
一般式(7):
【0052】
【化7】

片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)のモル比をα、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβ、(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)のモル比をγとすると、理論上、α+γ=βでは、分子量が無限大に大きくなるので、α+γ>βあるいはα+γ<βとして、(α+γ)/βの比率を変えて、目的とする分子量にコントロールすることが多い。例えば、α+γ=β+1の場合、両末端が水酸基となり、それ以上分子量が大きくならず、安定な樹脂型分散剤(C2−1)を合成することができる。一方、β=α+γ+1の場合、両末端が酸無水物基となり、安定性が悪くなるため、酸無水物基を加水分解して、末端をカルボキシル基とした樹脂型分散剤(C2−2)を合成して使用する。
【0053】
次に、樹脂型分散剤(C1)および樹脂型分散剤(C2)の第二の製造工程における各構成要素について説明する。
【0054】
本発明に使用するテトラカルボン酸二無水物(b)は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、かつ、生成するポリエステル主鎖上にペンダントカルボキシル基を残すことができる。下記一般式(8)にテトラカルボン酸無水物とポリオール化合物との反応を示す。下記一般式(8)の生成物中に残っている酸無水物基を加水分解すれば、この反応による生成物は、構造式中のX1部分にカルボキシル基を2個又は3個を有しており、この複数のカルボキシル基が顔料の吸着部位として有効である。
一般式(8)
【0055】
【化8】

しかしながら、X1に結合しているカルボキシル基が1個のみである場合(本発明の範囲外)では、高い分散性、流動性、及び保存安定性を発現せず好ましくない。
【0056】
本発明におけるX1は、テトラカルボン酸ニ無水物がポリオール化合物と反応した後の反応残基である。好ましくは、下記一般式(1)または一般式(2)で示されるテトラカルボン酸無水物が、ポリオール化合物と反応した後の反応残基である。
一般式(1):
【0057】
【化9】

〔一般式(1)中、kは1又は2である。〕
一般式(2):
【0058】
【化10】

〔一般式(2)中、Q1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、下記一般式(3):
【0059】
【化11】

で表される基、又は下記一般式(4):
【0060】
【化12】

で表される基である。〕
本発明では、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)とテトラカルボン酸二無水物(b)とを反応させることにより、上記一般式(8)における生成物中のX1に結合する複数のカルボキシル基部分が顔料吸着部として機能し、ビニル重合体部分が溶媒親和部として機能する。
【0061】
片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)の重量平均分子量は、1,000〜10,000が好ましく、この部位が分散媒である溶剤への親和性部分となる。ビニル重合体(a)の重量平均分子量が1,000未満では、溶媒親和部による立体反発の効果が少なくなるとともに、顔料の凝集を防ぐことが困難となり、分散安定性が不十分となる場合がある。また10、000を超えると、溶媒親和部の絶対量が増えてしまい、分散性の効果自体が低下する場合がある。さらに、分散体の粘度が高くなる場合がある。ビニル重合体(a)は、分子量を上記範囲に調整することが容易であり、かつ、溶剤への親和性も良好である。樹脂型分散剤(C1)および樹脂型分散剤(C2)の第一の工程で説明したように、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)の重量平均分子量は、エチレン性不飽和単量体(m)に対する分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の使用重量、反応温度、反応時間、エチレン性不飽和単量体(m)に対する必要に応じて使用する重合開始剤の使用重量、必要に応じて使用する重合溶剤の種類、および重合時のエチレン性不飽和単量体(m)濃度によりコントロールできる。
【0062】
テトラカルボン酸ニ無水物(b)としては、1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸無水物、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸無水物、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2,2,2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸無水物などの脂肪族テトラカルボン酸無水物;
ピロメリット酸無水物、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、プロピレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、ブチレングリコールジ無水トリメリット酸エステル、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンジフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン無水物、9,9−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)フルオレン酸無水物、9,9−ビス[4−(3,4−ジカルボキシフェノキシ)フェニル]フルオレン酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−1−ナフタレンコハク酸無水物、3,4−ジカルボキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−6−メチル−1−ナフタレンコハク酸無水物、などの芳香族テトラカルボン酸無水物が挙げられる。
【0063】
本発明で使用されるテトラカルボン酸二無水物(b)は上記に例示した化合物に限らず、カルボン酸無水物基を2つ持てばどのような構造をしていてもかまわない。これらは単独で用いても、併用してもかまわない。さらに、本発明に好ましく使用されるものは、顔料分散体の低粘度化の観点から一般式(1)または一般式(2)で表されるような、芳香族テトラカルボン酸無水物であり、さらに好ましくは芳香族環を二つ以上有するテトラカルボン酸無水物である。また、分子中にカルボン酸無水物基を1つ持つ化合物や3つ以上持つ化合物を併用して使用することができる。
【0064】
本発明は、任意の割合で(S)および(a)以外のポリオール化合物(O)を用いて製造した樹脂型分散剤(C2)を使用することが可能である。その場合、ビニル重合体(a)とテトラカルボン酸二無水物(b)を反応させた後に、ポリオール化合物(o)を反応させてもよい。(s)および(a)以外のポリオール化合物(C)を用いることで、カルボン酸基の密度や、溶剤溶解部の割合の調整が容易になる。
【0065】
本発明に使用する(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)としては、公知のものを使用し得る。それらのうちでも、特に代表的なもののみを例示するにとどめれば、次のグループ(1)〜(7)に属するものがある。
(1)エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘサン、ビスフェノールA、水添ビスフェノールA、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレート、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、グリセリンもしくは、ヘキサントリオールの如き多価アルコール類;
(2)ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリオキシエチレンポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコールもしくは、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンポリオキシテトラメチレングリコールの如き、各種のポリエーテルグリコール類;
(3)上記した各種の多価アルコール類と、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、テトラヒドロフラン、エチルグリシジルエーテル、プロピルグリシジルエーテル、ブチルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテルまたはアリルグリシジルエーテルの如き各種の(環状)エーテル結合含有化合物との開環重合によって得られる変性ポリエーテルポリオール類;
(4)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、多価カルボン酸類との共縮合によって得られるポリエステルポリオール類であって、多価カルボン酸類が、コハク酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,4−シクロヘキサンヒカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサトリカルボン酸または2,5,7−ナフタレントリカルボン酸などで特に代表されるものを用いて得られるポリオール類;
(5)上記した各種の多価アルコール類の1種以上と、ε−カプロラクトン、δ−バレロラクトンもしくは3−メチル−δ−バレロラクトンの如き各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン系ポリエステルポリオール類、あるいは、
上記した各種の多価アルコール類と、多価カルボン酸類と、各種のラクトン類との重縮合反応によって得られるラクトン変性ポリエステルポリオール類;
(6)ビスフェノールA型エポキシ化合物、水添ビスフェノールA型エポキシ化合物、一価および/または多価アルコール類のグリシジルエーテル、あるいは、一塩基酸および/または多塩基酸類のグリシジルエステルの如き各種のエポキシ化合物を、ポリエステルポリオールの合成時に、1種以上併用して得られるエポキシ変性ポリエステルポリオール類;
(7)ポリエステルポリアミドポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリペンタジエンポリオール、ひまし油、ひまし油誘導体、水添ひまし油、水添ひまし油誘導体、水酸基含有アクリル系共重合体、水酸基含有含フッ素化合物または水酸基含有シリコン樹脂などが挙げられる。
【0066】
これら(1)〜(7)に示された任意に添加する(a)以外のポリオール化合物(c)は、単独使用でも2種以上の併用でもよいことは勿論であるが、その重量平均分子量としては、100〜10000が好ましく、より好ましくは、100〜2000であり、さらに好ましくは、100〜1000である。
【0067】
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(C1)および(C2)の第二の工程で用いられる触媒としては、公知の触媒を使用することができる。触媒としては3級アミン系化合物が好ましく、例えばトリエチルアミン、トリエチレンジアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N−メチルモルホリン、1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン、1,5−ジアザビシクロ−[4.3.0]−5−ノネン等が挙げられる。
【0068】
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(C1)および(C2)は、これまで挙げた原料のみで製造することも可能であるが、高粘度になり反応が不均一になるなどの問題を回避すべく、溶剤を用いるのが好ましい。使用される溶剤としては、公知のものを使用できる。例えば、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸エチル、酢酸ブチル、トルエン、キシレン、アセトニトリル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート等が挙げられる。反応に使用した溶媒は、反応終了後、蒸留等の操作により取り除くか、あるいはそのまま製品の一部として使用することもできる。
【0069】
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(C1)は、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)、テトラカルボン酸二無水物(b)を反応させることで得られる。テトラカルボン酸無水物(b)中の酸無水物基とビニル重合体(a)中の水酸基とのモル比は、ビニル重合体(a)のモル比をα、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβとすると、2β/2α=β/α=0.3〜1.2が、好ましく、さらに好ましくはβ/α=0.5〜1.0、最も好ましくはβ/α=0.6〜0.8の場合である。β/α>1で反応させる場合は、残存する酸無水物基を必要量の水で加水分解して使用してもよい。0.3未満であると、顔料吸着部である酸無水物残基が少なくなる場合があり、また樹脂の酸価も低くなる場合もある。また1.2を超えるとポリエステルが高分子量化を起こしてしまい、顔料組成物として使用した時に、樹脂間の相互作用が強くなり逆に増粘が起きる場合がある。
【0070】
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(C2)は、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)、テトラカルボン酸二無水物(b)、並びに、必要に応じて添加する(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)を反応させることで得られる。テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基と、ビニル重合体(a)並びに(s)および(a)以外のポリオール化合物(c)中の水酸基とのモル比は、ビニル重合体(a)のモル比をα、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβ、(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)のモル比をγとすると、2β/(2α+2γ)=β/(α+γ)=0.3〜1.2が、好ましく、さらに好ましくはβ/(α+γ)=0.5〜1.0、最も好ましくはβ/(α+γ)=0.6〜0.8の場合である。β/(α+γ)>1で反応させる場合は、残存する酸無水物基を必要量の水で加水分解して使用してもよい。0.3未満であると、顔料吸着部である酸無水物残基が少なくなる場合があり、また樹脂の酸価も低くなる場合もある。また1.2を超えるとポリエステルが高分子量化を起こしてしまい、顔料組成物として使用した時に、樹脂間の相互作用が強くなり逆に増粘が起きる場合がある。
【0071】
樹脂型分散剤(C1)および(C2)の第二の皇帝の反応温度は80℃〜180℃、好ましくは、90℃〜160℃の範囲で行う。反応温度が80℃以下では反応速度が遅く、180℃以上ではカルボキシル基がエステル化反応してしまい、酸価の減少や、ゲル化を起こしてしまう場合がある。反応の停止は、赤外吸収で酸無水物の吸収がなくなるまで反応させるのが理想であるが、ポリエステルの酸価が5〜200の範囲に入ったとき、または、水酸基価が20〜200の範囲に入った時に反応を止めてもよい。
【0072】
得られた樹脂型分散剤の重量平均分子量は、好ましくは、2,000〜25,000である。重量平均分子量が2,000未満であれば顔料組成物の安定性が低下する場合があり、25,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、顔料組成物の増粘が起きる場合がある。また、得られた樹脂型分散剤の酸価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。さらに好ましくは、5〜150mgKOH/gであり、特に好ましくは、5〜100mgKOH/gである。酸価が5未満では、顔料吸着能が低下し顔料分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり顔料分散組成物の粘度が高くなる場合がある。
【0073】
次に本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(C3)および(C4)について説明する。
樹脂型分散剤(C3)を製造するための第一工程は、下記一般式(9)に示すように、2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s)とテトラカルボン酸二無水物(b)とを反応させて、化合物(c3)を製造する工程である。
一般式(9):
【0074】
【化13】

化合物(s)のモル比をδ、テトラカルボン酸ニ無水物のモル比をβとすると、理論上、δ=βでは、分子量が無限大に大きくなるので、δ>βあるいはδ<βとして、δ/βの比率を変えて、目的とする分子量にコントロールすることが多い。例えば、δ=β+1の場合、両末端が水酸基となり、それ以上分子量が大きくならず、安定な化合物(c3−1)を合成することができる。一方、β=δ+1の場合、両末端が酸無水物基である、反応性が高い化合物(c3−2)が生成する。化合物(c3−2)は、加水分解を行い、両末端にカルボキシル基を2つずつ有する化合物(c3−2’)として次の第二の工程を進めるのが好ましい。第二の工程で残存した酸無水物基と反応する可能性がある水酸基を導入する場合があるからである。
【0075】
樹脂型分散剤(C4)を製造するための第一工程は、下記一般式(10)に示すように、2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s)と、テトラカルボン酸二無水物(b)と、任意にチオール基を有さないポリオール化合物(o’)を反応させて、化合物(c4)を製造する工程である。
一般式(10):
【0076】
【化14】

化合物(s)のモル比をδ、テトラカルボン酸ニ無水物のモル比をβ、チオール基を有さないポリオール化合物(o’)のモル比をγとすると、理論上、δ+γ=βでは、分子量が無限大に大きくなるので、δ+γ>βあるいはδ+γ<βとして、(δ+γ)/βの比率を変えて、目的とする分子量にコントロールすることが多い。例えば、δ+γ=β+1の場合、両末端が水酸基となり、それ以上分子量が大きくならず、安定な化合物(c4−1)を合成することができる。一方、β=δ+γ+1の場合、両末端が酸無水物基である、反応性が高い化合物(c4−2)が生成する。化合物(c4−2)は、加水分解を行い、両末端にカルボキシル基を2つずつ有する化合物(c4−2’)として次の第二の工程を進めるのが好ましい。第二の工程で残存した酸無水物基と反応する可能性がある水酸基を導入する場合があるからである。
【0077】
樹脂型分散剤(C3)を製造するための第二の工程は、前記一般式(9)に示すように、第一の工程で得られた化合物(c3)に残存するチオール基を連鎖移動剤として、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合することにより、樹脂型分散剤(C3)を製造する工程である。
【0078】
樹脂型分散剤(C4)を製造するための第二の工程は、前記一般式(10)に示すように、第一の工程で得られた化合物(c4)に残存するチオール基を連鎖移動剤として、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合することにより、樹脂型分散剤(C4)を製造する工程である。
【0079】
本発明に使用するテトラカルボン酸無水物(b)は、水酸基と反応してエステル結合を形成し、かつ、生成する樹脂型分散剤主鎖上にペンダントカルボキシル基を残すことができる。下記一般式(11)に樹脂型分散剤(C3)の反応工程を示す。なお、下記一般式(11)において、βは繰り返し単位数であり、HS−Z1−(OH)2は分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)である。
一般式(11):
【0080】
【化15】

前記一般式(11)中のX1は、テトラカルボン酸無水物(b)が2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(g)と反応した後の反応残基である。好ましくは、樹脂型分散剤(C1)および(C2)の説明で示した、一般式(1)または一般式(2)で示されるテトラカルボン酸無水物が、2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)と反応した後の反応残基である。
【0081】
樹脂型分散剤(C3)および(C4)は樹脂型分散剤(C1)および(C2)同様、上記反応式(11)における生成物中のX1に結合する複数のカルボキシル基部位が顔料吸着部位として機能し、ビニル重合体部位が溶媒親和部位として機能する。
【0082】
2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s)とテトラカルボン酸二無水物(b)と任意にチオール基を有さないポリオール化合物(o’)を反応させて得られる化合物(c3)および(c4)は、それぞれ、樹脂型分散剤(C1)および(C2)の製造における、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)とテトラカルボン酸二無水物(b)、及び任意に添加する(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)とを反応させる工程と同様の方法で得ることができる。
【0083】
2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s)は、樹脂型分散剤(C1)および(C2)の製造のための第一の工程で用いた化合物(s)と同様のものが使用出来、チオール基を有さないポリオール化合物(o’)は、樹脂型分散剤(C2)の製造のための第一の工程で用いた(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)同様のものが使用出来、テトラカルボン酸二無水物(b)は、樹脂型分散剤(C1)および(C2)の製造のための第ニの工程で用いたテトラカルボン酸二無水物と同様のものが使用出来る。
【0084】
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(C3)の前駆体の化合物(c3)は、2つの水酸基と1つのチオール基を有する化合物(s)、テトラカルボン酸二無水物(b)を反応させることで得られる。テトラカルボン酸無水物(b)中の酸無水物基とビニル重合体(a)中の水酸基とのモル比は、化合物(s)のモル比をδ、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβとすると、2β/2δ=β/δ=0.3〜1.2が、好ましく、より好ましくは、β/δ=0.4〜1.1、さらに好ましくはβ/δ=0.5〜1.0、特に好ましくはβ/δ=0.6〜0.8の場合である。β/δ>1で反応させる場合は、残存する酸無水物基を必要量の水で加水分解して使用してもよい。0.3未満であると、顔料吸着部である酸無水物残基が少なくなる場合があり、また樹脂の酸価も低くなる場合もある。また1.2を超えるとポリエステルが高分子量化を起こしてしまい、顔料組成物として使用した時に、樹脂間の相互作用が強くなり逆に増粘が起きる場合がある。
【0085】
本発明で用いることのできる樹脂型分散剤(C4)の前駆体である化合物(c4)は、化合物(s)、テトラカルボン酸二無水物(b)、チオール基を有さないポリオール化合物(o’)を反応させることで得られる。テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基と、化合物(s)およびチオール基を有さないポリオール化合物(o’)中の水酸基とのモル比は、化合物(s)のモル比をδ、テトラカルボン酸二無水物(b)のモル比をβ、チオール基を有さないポリオール化合物(o’)のモル比をγとすると、2β/(2δ+2γ)=β/(δ+γ)=0.3〜1.2が、好ましく、よりこのましくはβ/(δ+γ)=0.4〜1.1、さらに好ましくはβ/(δ+γ)=0.5〜1.0、特に好ましくはβ/(δ+γ)=0.6〜0.8の場合である。β/(δ+γ)>1で反応させる場合は、残存する酸無水物基を必要量の水で加水分解して使用してもよい。0.3未満であると、顔料吸着部である酸無水物残基が少なくなる場合があり、また樹脂の酸価も低くなる場合もある。また1.2を超えるとポリエステルが高分子量化を起こしてしまい、顔料組成物として使用した時に、樹脂間の相互作用が強くなり逆に増粘が起きる場合がある。
【0086】
続いて、樹脂型分散剤(C3)および(C4)を製造するための第二の工程について説明する。
【0087】
前記化合物(c3)の存在下に、前記化合物(c3)中に残存しているチオール基を用いてエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合させる第二の工程は、樹脂型分散剤(C1)および樹脂型分散剤(C2)の製造における、片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)を製造する工程と同様の方法であり、残存するチオール基を連鎖移動剤として用い、エチレン性不飽和単量体(m)を、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで樹脂型分散剤(C3)を得ることができる。
【0088】
同様にして、前記化合物(c4)の存在下に、前記化合物(c4)中に残存しているチオール基を用いてエチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合させる第二の工程は、樹脂型分散剤(C1)および樹脂型分散剤(C2)の製造における、片末端領域に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)を製造する工程と同様の方法であり、残存するチオール基を連鎖移動剤として用い、エチレン性不飽和単量体(m)を、任意に重合開始剤とを混合して加熱することで樹脂型分散剤(C4)を得ることができる。
【0089】
エチレン性不飽和単量体(m)は樹脂型分散剤(C1)および(C2)で用いた単量体(m)と同様のものが使用出来る。ただし、水酸基と酸無水物基との反応前の第一の工程のため、樹脂型分散剤(C1)および(C2)では好ましくなかったビニル重合体部位(M)への水酸基導入が、樹脂型分散剤(C3)および(C4)では、水酸基と酸無水物基との反応後の第二の工程なので、必要に応じて、水酸酸基を有するエチレン性不飽和単量体(m6)を用いて、ビニル重合体部位(M)に水酸基を導入することができる。
【0090】
前記化合物(c3)または(c4)1重量部に対して、エチレン性不飽和単量体(m)を3〜100重量部用い、塊状重合又は溶液重合を行うのが好ましい。より好ましくは8〜25重量部、更に好ましくは10〜20重量部である。反応温度は40〜150℃、好ましくは50〜110℃である。
【0091】
得られた樹脂型分散剤の重量平均分子量は、好ましくは、2,000〜25,000である。重量平均分子量が2,000未満であれば顔料組成物の安定性が低下する場合があり、25,000を超えると樹脂間の相互作用が強くなり、顔料組成物の増粘が起きる場合がある。また、得られた樹脂型分散剤の酸価は、5〜200mgKOH/gが好ましい。さらに好ましくは、5〜150mgKOH/gであり、特に好ましくは、5〜100mgKOH/gである。酸価が5mgKOH/g未満では、顔料吸着能が低下し顔料分散性に問題がでる場合があり、200mgKOH/gを超えると、樹脂間の相互作用が強くなり顔料分散組成物の粘度が高くなる場合がある。
【0092】
本発明のインクジェット記録用インク組成物において、顔料と樹脂型分散剤(C)の重量比は、100:3〜100:200、であることが、好ましい。
【0093】
本発明のインクジェット記録用インク組成物では、前記樹脂型分散剤(C)と一緒に公知の樹脂型分散剤を併用して用いることができる。公知の樹脂型分散剤を併用する事により、顔料の分散性が更に向上し、インキの低粘度化、インキの経時粘度安定性の向上、更にはインクジェットインキとしての吐出性の向上に繋がる。
【0094】
前記樹脂型分散剤(C)と併用することの出来る公知の樹脂型分散剤としては、以下の市販の分散樹脂(H)が挙げられる。
【0095】
BYK Chemie社製 Anti−Terra−U、U100、203、204、205、Disperbyk−101、102、106、107、110、111、130、140、142、170、171、174、180、2001、BYK−P104、P105、9076。
【0096】
アビシア社製 ソルスパーズ3000、13940、17000、21000、24000、26000、366000、41000、41090、53095。
【0097】
Efka CHEMICALS社製 エフカ44、46、47、48、49、54、63、64、65、66、71、701、764、766、エフカポリマー100、150、400、401、402、403、450、451、452、453。
【0098】
共栄社化学社製 フローレン TG−710、フローノンSH−290、SP−1000、ポリフローNo.50E、No.300、楠本化成社製 ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150、#7004、日光ケミカル社製 ニッコールT106、MYS−IEX、Hexagline 4−0。
【0099】
インキの低粘度化、経時粘度安定性の向上、インクジェット記録用インク組成物としての吐出性の向上という観点より、前記樹脂型分散剤(C)と併用することの出来る公知の樹脂型分散剤として特に好ましくは、以下に挙げられる分散樹脂(H)である。
【0100】
リン酸基を含有する分散樹脂(H−1)
ポリエステル系分散樹脂(H−2)
ビニル系分散樹脂(H−3)
分岐ウレタン系分散樹脂A(H−4)
分岐ウレタン系分散樹脂B(H−5)
リン酸基を含有する分散樹脂(H−1)
本発明のリン酸基を含有する分散樹脂(H−1)は、分散樹脂中にリン酸基を1種もしくは2種以上有するものである限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。リン酸基は、アルカリ金属、多価金属、アンモニア又は有機アミン等と塩を形成していてもよい。
【0101】
リン酸基を有する樹脂(H−1)に含まれるリン酸基は、例えば、下記一般式(12)で示される1価のリン酸基であることもできるし、下記一般式(13)で示される2価のリン酸基であることもできる。
一般式(12):
【0102】
【化16】

一般式(13):
【0103】
【化17】

リン酸基を有する樹脂(H−1)としては、下記一般式(14)で示されるモノマー(例えば、エチレングリコールメタクリレートホスフェート、プロピレングリコールメタクリレートホスフェート、エチレングリコールアクリレートホスフェート、又はプロピレングリコールアクリレートホスフェート)を重合成分として含有するビニル系重合体が挙げられる。
一般式(14):
【0104】
【化18】

【0105】
(一般式(14)中、R1は、水素又はメチル基であり、R2は、アルキレン基であり、mは、1〜20の整数である。)
リン酸基を有する樹脂(H−1)としては、市販の樹脂を用いることもできる。市販の樹脂としては、ビックケミー社製ディスパーBYK110、111、180、アビシア社製SOLSPERSE 26000、36600などが挙げられる。
【0106】
ポリエステル系分散樹脂(H−2)
本発明で用いることのできるポリエステル系分散樹脂(H−2)は、下記一般式(15)で表される構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。その製造方法は、例えば、モノアルコールを開始剤として、ラクトンを開環重合して片末端に水酸基を有するポリエステルを製造する第一の工程と、該片末端に水酸基を有するポリエステルと、テトラカルボン酸二無水物を反応させる第二の工程とからなる方法が挙げられる。
【0107】
一般式(15):
(HOOC―)e―Ra1―(―COO―[―Ra3―COO―]f―Ra2g (15)
(一般式(15)中、Ra1は、4価のテトラカルボン酸化合物残基であり、Ra2は、モノアルコール残基であり、Ra3は、ラクトン残基であり、eは、2または3の整数であり、fは、1〜50の整数であり、gは、(4−e)である。)
ビニル系分散樹脂(H−3)
本発明で用いることのできる前記ビニル系分散樹脂(H−3)は、ビニル重合体主鎖内に、一般式(16)で表されるカルボキシル基含有単位(V)を、ビニル重合体の1分子あたり平均0.3個以上3.0個以下の量で含む構造を有する限り、その化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
一般式(16):
【0108】
【化19】

〔一般式(16)中、
b1は水素原子又はメチル基であり、
11は、−COO−、−CONH−、−O−、−OCO−若しくは−CH2O−であり、
12は、下記一般式(17a)で表される基であり、
13は、下記一般式(17b)で表される基であり、
1は、一般式(18a)で表される基であるか、あるいは一般式(18b)で表される基である。)
一般式(17a):
−(−Rb2−O−)m1
(一般式(17a)中、Rb2は、炭素原子数2〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数3〜8のシクロアルキレン基であり、m1は、1〜50の整数である。)
一般式(17b):
−(−CO−Rb3−O−)m2
(一般式(17b)中、Rb3は、炭素原子数4〜8の直鎖状若しくは分岐状のアルキレン基、又は炭素原子数4〜8のシクロアルキレン基であり、m2は、0〜20の整数である。)
一般式(18a):
【0109】
【化20】

(一般式(18a)中、
11〜A13のうちの1つが水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
11〜A13のうちの1つが−COORc1であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、又は、
11〜A13の3つが−COOHであり、k11は1又は2である。
但し、Rc1は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。)
一般式(18b):
【0110】
【化21】

(一般式(18b)中、
15〜A17のうち1つは水素原子であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、
15〜A17のうち1つは−COORd2であって、他の2つは−COOHである組合せであるか、又は
15〜A17の3つが−COOHである。
但し、Rd2は、炭素原子数1〜18のアルキル基である。
d1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、下記一般式(19a)、で表される基、又は書き一般式(19b)で表される基である。
一般式(19a):
【0111】
【化22】

一般式(19b):
【0112】
【化23】

)〕
本発明で用いるビニル系分散樹脂(H−3)の製造方法としては、例えば水酸基を有するエチレン性不飽和単量体を他のエチレン性不飽和単量体と共重合する第1の工程と、該共重合物の水酸基にトリカルボン酸無水物又はテトラカルボン酸無水物を反応せしめる第2の工程からなる方法が挙げられるがこれらの方法に限定されるものではない。
【0113】
分岐ウレタン系分散樹脂A(H−4)(櫛形ウレタン系分散剤)
本発明で用いられる分岐ウレタン系分散樹脂A(H−4)は、以下に示される化合物を水酸基過剰となる条件で重合させてなる櫛形ウレタン系分散剤のうち、不揮発成分中におけるポリイソシアネート(H−4−1)由来の割合が、分散樹脂全体の25重量%〜60重量%である櫛形ウレタン系分散剤であり、それ以外の化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
【0114】
<1>イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(H−4−1)と、
モノアルコール(H−4−2)とを、NCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で、
反応させてなる末端イソシアネート化合物。
【0115】
<2>1つ以上の酸性基と2つ以上の水酸基とを有する化合物(H−4−3)
<3>1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有する、アクリル樹脂(H−4−4)および/またはシロキサン樹脂(H−4−5)とを、含むポリオール化合物
本発明で用いられる分岐ウレタン系分散樹脂A(H−4)としては、不揮発成分中におけるポリイソシアネート(H−4−1)由来の割合が、分散樹脂全体の25重量%〜60重量%である事を特徴としている。25重量%未満では充分な顔料吸着能がないため顔料分散性が悪く、60重量%を越えると、顔料吸着能が高すぎることにより充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性は却って低下する。
【0116】
分岐ウレタン系分散樹脂B(H−5)(櫛形ウレタン系分散剤)
本発明で用いられる分岐ウレタン系分散樹脂B(H−5)は以下に示される化合物を水酸基過剰となる条件で重合させてなる末端水酸基化合物中の水酸基と、酸無水物基を有する化合物(H−5−5)中の酸無水物基とを反応させてなる櫛形ウレタン系分散剤のうち、不揮発成分中におけるポリイソシアネート(H−5−1)由来の割合が、分散樹脂全体の25重量%〜60重量%である櫛形ウレタン系分散剤であり、それ以外の化学構造及び製造方法は特に限定されるものではない。
【0117】
<1>イソシアネート基を3つ以上有するポリイソシアネート(H−5−1)と、
モノアルコール(H−5−2)とをNCO/OH=3/2〜3/0.5のモル比で反応させてなる末端イソシアネート化合物
<2>1〜30個の原子を間に挟んで存在する2つ以上の水酸基を有する、アクリル樹脂(H−5−3)および/またはシロキサン樹脂(H−5−4)を含むポリオール化合物
本発明で用いられる分岐ウレタン系分散樹脂B(H−5)としては、不揮発成分中におけるポリイソシアネート(H−5−1)由来の割合が、分散樹脂全体の25重量%〜60重量%である事を特徴としている。25重量%未満では充分な顔料吸着能がないため顔料分散性が悪く、60重量%を越えると、顔料吸着能が高すぎることにより充分な立体反発効果が得られず、顔料分散性は却って低下する。
【0118】
本発明のインクジェット記録用インク組成物を用いてカラーフィルターを製造する場合には、カラーフィルターに透明性が要求されるため、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において、本発明のインクジェット記録用インク組成物を構成する樹脂型分散剤(C)および公知の樹脂型分散剤(H)の透過率が80%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましい。
(2)顔料(P)
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、顔料(P)を含有している。
【0119】
顔料(P)としては、有機顔料、無機顔料、又はアセチレンブラック、チャンネルブラック、若しくはファーネスブラック等のカーボンブラックを用いることができ、顔料(P)は2種以上を混合して用いてもよい。
【0120】
有機顔料としては、ジケトピロロピロール系顔料、アゾ、ジスアゾ、若しくはポリアゾ等のアゾ系顔料、銅フタロシアニン、ハロゲン化銅フタロシアニン、若しくは無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アミノアントラキノン、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、若しくはビオラントロン等のアントラキノン系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、ペリノン系顔料、ペリレン系顔料、チオインジゴ系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、スレン系顔料、又は金属錯体系顔料等を挙げることができる。
【0121】
無機顔料としては、酸化チタン、亜鉛華、硫化亜鉛、鉛白、炭酸カルシウム、沈降性硫酸バリウム、ホワイトカーボン、アルミナホワイト、カオリンクレー、タルク、ベントナイト、黒色酸化鉄、カドミウムレッド、べんがら、モリブデンレッド、モリブデートオレンジ、クロムバーミリオン、黄鉛、カドミウムイエロー、黄色酸化鉄、チタンイエロー、酸化クロム、ビリジアン、チタンコバルトグリーン、コバルトグリーン、コバルトクロムグリーン、ビクトリアグリーン、群青、紺青、コバルトブルー、セルリアンブルー、コバルトシリカブルー、コバルト亜鉛シリカブルー、マンガンバイオレット、又はコバルトバイオレット等を挙げることができる。
【0122】
また、以下に、本発明によるインク組成物に使用可能な顔料をカラーインデックス(C.I.)ナンバーにて示す。
【0123】
赤色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272等の赤色顔料を用いることができる。赤色着色組成物には、黄色顔料、及び/又はオレンジ顔料を併用することができる。
【0124】
イエロー色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199等の黄色顔料を用いることができる。
【0125】
オレンジ色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment orange 36、43、51、55、59、61等のオレンジ色顔料を用いることができる。 緑色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Green 7、10、36、37、58等の緑色顔料を用いることができる。緑色着色組成物には黄色顔料を併用することができる。
【0126】
青色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64等の青色顔料を用いることができる。青色着色組成物には、例えば、C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料を併用することができる。
【0127】
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、前記顔料を、1種単独で含有するか、あるいは2種以上を混合して含有することができる。
【0128】
顔料の粒子径は、可視光の吸収係数(スペクトルの適正さ)及び透明性の点から、可視光の波長に対して充分小さいことが好ましい。すなわち、顔料は、平均一次粒子径が0.01μm以上0.3μm以下、特に0.01μm以上0.1μm以下であることが好ましい。なお、一次粒子径とは、最小単位の顔料粒子の直径をいい、電子顕微鏡で測定される。顔料の一次粒子径は、サンドミル、ニーダー、又は2本ロール等の既知の分散装置を用いて適正な範囲内に制御することができる。
(3)熱反応性化合物(E)
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、熱反応性化合物(E)を含有している。本発明のインク組成物に用いることのできる前記熱反応性化合物(E)は、常温下では非反応性であるが、例えば、100℃以上(好ましくは150℃以上)の温度で、架橋反応、重合反応、重縮合反応、又は重付加反応を示す化合物である。本発明のインク組成物に用いることのできる前記熱反応性化合物の分子量は、特に限定されるものではないが、好ましくは50〜2、000、より好ましくは100〜1、000である。
【0129】
前記熱反応性化合物(E)としては、例えば、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、カルボジイミド化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤を用いることができる。更に好ましくは、少なくともメラミン化合物及び又はベンゾグアナミン化合物を含む事である。メラミン化合物及び又はベンゾグアナミン化合物は少ない添加量で高い耐性を付与出来る為に、熱反応性化合物の添加量を低減する事が可能となり、インクジェット記録用インク組成物の高顔料濃度化や経時安定性の向上に繋がる。
【0130】
メラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、イミノ基、メチロール基、アルコキシメチル基を有するものが挙げられる。その中でも、アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物が好ましい。アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物を用いた場合、本発明の着色樹脂組成物を含有する塗料又はインキの保存安定性が著しく向上する。
【0131】
アルコキシアルキル基を含有するメラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物としては、例えば、ヘキサメトキシメチロールメラミン、ヘキサブトキシメチロールメラミン、テトラメトキシメチロールベンゾグアナミン、テトラブトキシメチロールベンゾグアナミン等が挙げられるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0132】
メラミン化合物の市販品の具体例としては以下のものが挙げられる。但し、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0133】
三和ケミカル社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MS−11、MW−24X、MS−001、MX−002、MX−730、MX750、MX−708、MX−706、MX−042、MX−035、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−417、MX−410、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、370、325、327、703、712、01、285、232、235、236、238、211、254、204、202、207、マイコート506、508、212、715などが挙げられる。
【0134】
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基含有のメラミン化合物である、三和ケミカル社製ニカラックMW−30M、MW−30、MW−22、MS−21、MX−45、MX−500、MX−520、MX−43、MX−302、日本サイテックスインダストリー社製サイメル300、301、303、350、285、232、235、236、238、マイコート506、508である。
【0135】
ベンゾグアナミン化合物の市販品の具体例としては、例えば、三和ケミカル社製ニカラックBX−4000、SB−401、BX−37、SB−355、SB−303、SB301、BL−60、SB−255、SB−203、SB−201、日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123、マイコート105、106、1128などが挙げられる。
【0136】
その中でも好適なのは、アルコキシアルキル基含有のベンゾグアナミン化合物である、三和ケミカル製ニカラックBX−4000、SB−401、日本サイテックスインダストリー社製サイメル1123である。
【0137】
エポキシ化合物としては、例えば、ビスフェノールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスクレゾールフルオレンジグリシジルエーテル、ビスフェノキシエタノールフルオレンジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセロールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル、ジグリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、ジグリシジルテレフタレート、ジグリシジルo−フタレート、エチレングリコールジグリシジルエーテル、ジエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、及びポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル等のポリオールのグリシジルエーテル、ポリグリシジルイソシアヌレート等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0138】
オキセタン化合物としては、例えば、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−ビス[〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル]ベンゼン、ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)〕メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(フェノキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(シクロヘキシロキシ)メチルオキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、オキセタニルシリケート、フェノールノボラックオキセタン、1,3−ビス〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕ベンゼン、1,4−ビス[〔(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ〕メチル]ビフェニル、1−エチル−3−オキセタニルメチルメタクリレート、ベンゼン−1,4−ジカルボン酸ビス〔1−エチル(3−オキセタニル)メチル〕エステル等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0139】
フェノール化合物としては、例えば、フェノール類とアルデヒド類を酸性触媒下で反応させたノボラック型フェノール化合物、塩基性触媒下で反応させたレゾール型フェノール化合物どちらも用いることができる。フェノール類としては、例えば、オルトクレゾール、パラクレゾール、パラフェニルフェノール、パラノニルフェノール、2,3−キシレノール、フェノール、メタクレゾール、3,5−キシレノール、レゾルシノール、カテコール、ハイドロキノン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールB、ビスフェノールE、ビスフェノールH、ビスフェノールS等を挙げることができる。アルデヒド類としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒドを挙げることができる。フェノール類とアルデヒド類は、それぞれ1種を単独で、又は2種以上を混合して用いられる。
【0140】
ベンゾオキサジン化合物の市販品の具体例としては、例えば、四国化成工業社製ベンゾオキサジンP−d型、ベンゾオキサジンF−a型等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0141】
ブロック化カルボン酸化合物としては、カルボン酸化合物として例えば、1,2−フタル酸、1,3−フタル酸、1,4−フタル酸、1,2,4−トリメリット酸、ピロメリット酸、シクロヘキサンジカルボン酸、コハク酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、C1−CIC酸、CIC酸、C3−CIC酸、Bis−CIC酸等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
ブロック剤としては、例えば、エチルビニルエーテル、n−プロピルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、イソブチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、2−エチルヘキシルビニルエーテル等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
【0142】
ブロック化イソシアネート化合物のイソシアネート化合物としてはとしては、例えば、ヘキサメチレジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トルイジンイソシアネート、ジフェニルメタン−4,4'−ジイソシアネート、ジフェニルメタン−2,4'−ジイソシアネート、ビス(4−イソシアネートシクロヘキシル)メタン、テトラメチルキシリレンジイソシアネート等のジイソシアネート、これらジイソシアネートのイソシアヌレート体、トリメチロールプロパンアダクト型、ビウレット型、イソシアネート残基を有するプレポリマー(ジイソシアネートとポリオールから得られる低重合体)及びイソシアネート残基を有するウレトジオン等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0143】
ブロック剤としては、例えば、フェノール(解離温度180℃以上)、ε−カプロラクタム(解離温度160〜180℃)、オキシム(解離温度130〜160℃)、又は活性メチレン(100〜120℃)等を挙げることができるが、必ずしもこれに限定されるものではない。また、1種を単独で、あるいは2種以上を併用して用いられる。
【0144】
アクリレートモノマーとしては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等を挙げることができるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0145】
アクリレートモノマーを用いる場合には、更に硬化性を向上させる目的で、重合開始剤を用いることができる。重合開始剤としては、加熱時に硬化性を向上させる目的で熱重合開始剤を用いてもよい。熱重合開始剤としては、有機過酸化物系開始剤、アゾ系開始剤等を挙げることができる。
【0146】
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、ビニルエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン等のビニルシラン類、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリルシラン類、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン等のエポキシシラン類、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β(アミノエチル)γ−アミノプロピルメチルジエトキシシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−γ−アミノプロピルトリエトキシシラン等のアミノシラン類、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリエトキシシラン等のチオシラン類等を挙げることができる。
【0147】
これらの熱反応性化合物(E)のうち、メラミン化合物又はベンゾグアナミン化合物、エポキシ化合物、フェノール化合物、ブロック化イソシアネート化合物、又はアクリレートモノマー類などについては本発明のインク組成物中に1重量%〜40重量%の量で含有されていることが好ましい。また、シランカップリング剤は本発明のインク組成物中に0.1重量%〜40重量%の量で含有されていることが好ましい。含有量が不足すると、耐熱性、又は耐薬品性に劣る場合がある。また、含有量が40%より多くなると、粘度の増加、又は保存安定性の低下が生じる場合がある。
(4)有機溶剤(F)
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、有機溶剤(F)を含有している。
【0148】
本発明では、インクジェット記録用インク組成物において通常使用されている有機溶剤(F)を用いることができる。一般に、インクジェット記録用インク組成物に用いられる有機溶剤(F)は、樹脂に対して高い溶解性を有するとともに、インクジェットプリンターからインクを吐出する際に、インクと接するプリンタ部材に対して膨潤作用が少なく、溶剤の粘度がなるべく低いものが好ましい。有機溶剤は、樹脂に対する溶解性、及びプリンタ部材に対する膨潤作用、粘度、及びノズルにおけるインクの乾燥性の点から選択され、アルコール系溶剤、グリコール系溶剤、エステル系溶剤、及び/又はケトン系溶剤等の1種類を単独で、又は2種類以上を混合して使用することができる。
【0149】
アルコール系溶剤としては、例えば、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール、およびアミルアルコール等を挙げることができる。
【0150】
グリコール系溶剤としては、例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、メトキシメトキシエタノール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリアセチン、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコールジアセテート、トリエチレングリコールジアセテート、プロピレングリコールジアセテート、ジプロピレングリコールジアセテート、ブチレングリコールジアセテート、ブチレングリコールジアセテート、ペンタンジオールジアセテート、ヘキサンジオールジアセテート、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジメチルエーテル、ブチレングリコールジメチルエーテル、ペンタンジオールジメチルエーテル、ヘキサンジオールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコールジエチルエーテル、ジプロピレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、ブチレングリコールジエチルエーテル、ペンタンジオールジエチルエーテル、ヘキサンジオールジエチルエーテル、および1−ブトキシエトキシプロパノール等を挙げることができる。
【0151】
エステル系溶剤としては、例えば、乳酸エチル、乳酸プロパン、および乳酸ブチル等を挙げることができる。
【0152】
ケトン系溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、ジアセトンアルコール、ジイソブチルケトン、イソホロン、メチルシクロヘキサノン、およびアセトフェノン等を挙げることができる。
(5)バインダー樹脂(J)
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、更にバインダー樹脂を含有することができる。バインダー樹脂は、前記熱反応性化合物の反応温度においても、非反応性の樹脂であり、熱可塑性樹脂であることが好ましい。前記分散樹脂(H)も、バインダー樹脂(J)として使用することができる。その他、バインダー樹脂(J)として、以下に挙げる樹脂が使用できる。
【0153】
バインダー樹脂の例としては、石油系樹脂、マレイン酸樹脂、ニトロセルロース、セルロースアセテートブチレート、環化ゴム、塩化ゴム、アルキド樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、アミノ樹脂、ビニル樹脂、又はブチラール樹脂などを用いることができる。
【0154】
バインダー樹脂として、架橋可能な官能基を有するものを用いることもできる。架橋可能な官能基としては、水酸基、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基、又はアルコキシル基等を挙げることができる。
【0155】
架橋可能な官能基を有する樹脂としては、エステル化反応により樹脂が緩やかに架橋するため、水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂が好ましい。
【0156】
水酸基又はカルボキシル基を有するアクリル樹脂は、水酸基を有するモノマー又はカルボキシル基を有するモノマーと、水酸基及びカルボキシル基を有しないアクリルモノマーとを共重合することにより得られる樹脂である。
【0157】
水酸基を有するモノマー、カルボキシル基を有するモノマーとしては、前記リン酸基を有する分散樹脂で用いることの出来るモノマーを挙げることができる。
水酸基及びカルボキシル基を有しないアクリルモノマーとしては、一般的なアクリルモノマーを用いる事が出来る。
【0158】
中でも下記一般式(20)又は下記一般式(21)で示されるアクリルモノマーを重合成分として含有することが好ましい。これらのアクリルモノマーを用いることにより、顔料の分散性及び経時での安定性が向上し、更にインクジェットインクが低粘度となるためである。
一般式(20):
【0159】
【化24】

一般式(21):
【0160】
【化25】

前記一般式(20)及び一般式(21)で示されるモノマーとしては、パラクミルフェノールエチレンオキサイド変性アクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、エチレンオキサイド−プロピレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート、プロピレンオキサイドエチレンオキサイド(ブロックタイプ)変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジメタクリレート、プロピレンオキサイドテトラメチレンオキサイド変性ビスフェノールAジアクリレート等を挙げることができる。これらは、例えば日本油脂株式会社よりブレンマーシリーズや東亜合成株式会社よりアロニックスシリーズとして市販されている。
【0161】
前記一般式(20)及び一般式(21)で示されるモノマーは、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。また、共重合体における前記一般式(20)及び一般式(21)で示されるモノマーモノマーの共重合比は、全モノマー100重量部に対して0.1〜50重量部であることが好ましい。
【0162】
スルホン酸基を有する樹脂としては、例えば、スルホン酸基を有するモノマーを重合成分として含有するビニル系重合体を挙げることができる。
【0163】
スルホン酸基を有するモノマーとしては、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸、3−アリロキシ−2−ヒドロキシプロパンスルホン酸、p−スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、メタリルオキシベンゼンスルホン酸、アリルオキシベンゼンスルホン酸、2−スルホエチルメタクリレート、4−スルホブチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0164】
これらのスルホン酸基を有するモノマーは、単独あるいは2種以上の組み合わせで用いることができる。また、共重合体におけるスルホン酸基を有するモノマーの共重合比は、全モノマー100重量部に対して0.1〜30重量部であることが好ましく、0.1〜5重量部であることが更に好ましい。
【0165】
バインダー樹脂の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは1,000〜50,000であり、更に好ましくは2,000〜30,000である。
【0166】
バインダー樹脂の合成は、開始剤の存在下、不活性ガス気流下、50〜150℃で2〜10時間かけて行われる。必要に応じて溶剤の存在下で行っても差し支えない。開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキシカーボネート、ジt−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート等の有機過酸化物、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物等を挙げることができる。開始剤は、モノマー100重量部に対して好ましくは1〜20重量部使用される。
【0167】
スルホン酸基を有する樹脂の合成時に用いられる溶剤としては、水及び/又は水混和性有機溶剤を用いることが好ましい。水混和性有機溶剤としては、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n−プロピルアルコール等のアルコール系溶剤や、エチレングリコール又はジエチレングリコールのモノ又はジアルキルエーテル等を挙げることができる。
【0168】
また、スルホン酸基以外の官能基を有する樹脂の合成時に用いられる溶剤としては、エチルセルソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどの酢酸エステル系溶剤や、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶剤、キシレン、エチルベンゼン等を挙げることができる。
(6)顔料誘導体(D)
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、更に顔料誘導体(D)を含有することができる。
【0169】
顔料誘導体としては、例えば、一般式(3):
G−(L)n (3)
(式中、Gは、色素原型化合物残基であり、Lは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、nは、1〜4の整数である)
で表される色素誘導体を用いることができる。
【0170】
基Lの塩基性置換基としては、例えば、下記一般式(22)、一般式(23)、一般式(24)、及び一般式(25)で示される置換基を挙げることができる。
【0171】
一般式(22):
【0172】
【化26】

(一般式(22)中、Xは、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−又は直接結合であり、pは、1〜10の整数であり、R33およびR34は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR33とR34とで一緒になって更なる窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
一般式(23):
【0173】
【化27】

(一般式(24)中、R5およびR6は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR5とR6とで一緒になって更なる窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環である。アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。)
一般式(24):
【0174】
【化28】

(一般式(24)中、Xは、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−又は直接結合であり、R7は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。一般式(24)中、R8、R9、R10、およびR11:、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。)
一般式(25):
【0175】
【化29】

(一般式(25)中、Xは、−SO2−、−CO−、−CH2NHCOCH2−、−CH2−又は直接結合であり、Yは、−NR14−Z−NR15−又は直接結合であり、R14およびR15は、それぞれ独立に水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましく、Zは、置換されていてもよいアルキレン基、置換されていてもよいアルケニレン基、又は置換されていてもよいフェニレン基であり、アルキレン基及びアルケニレン基の炭素数は1〜8が好ましく、R12は、下記一般式(26):
【0176】
【化30】

[一般式(26)中、rは、1〜10の整数であり、R16およびR17は、それぞれ独立に、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基、置換されていてもよいフェニル基、又はR16とR17とで一緒になって更なる窒素原子、酸素原子又は硫黄原子を含む置換されていてもよい複素環であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましい。]
で示される置換基又は下記一般式(27):
【0177】
【化31】

[一般式中(27)中、R18は、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜10が好ましく、R19、R20、R21、およびR22は、それぞれ独立に、水素原子、置換されていてもよいアルキル基、置換されていてもよいアルケニル基又は置換されていてもよいフェニル基であり、アルキル基及びアルケニル基の炭素数は1〜5が好ましい。]
であり、R13は、水酸基、アルコキシル基、前記一般式(23)で示される置換基又は前記一般式(24)で示される置換基である。)
基Eの酸性置換基又は中性置換基としては、例えば、下記一般式(28)、一般式(29)及び一般式(30)で示される置換基を挙げることができる。
一般式(28):
−SO3M/l (28)
(一般式(28)中、Mは、水素原子、カルシウム原子、バリウム原子、ストロンチウム原子、マンガン原子、又はアルミニウム原子であり、lはMの価数である。)
一般式(29):
【0178】
【化32】

(一般式(29)中、R23、R24、R25、およびR26は、水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基である。[但し全てが水素原子である場合は除く。])。
一般式(30):
【0179】
【化33】

(一般式(29)中、A2は、水素原子、ハロゲン原子、−NO2、−NH2又はSO3Hであり、k1は、1〜4の整数である。)
色素原型化合物とは、一般に知られている色素骨格を有する化合物、および可視光領域にほとんど吸収を有さない、色素骨格に類似の骨格を有する化合物を指す。
【0180】
色素原型化合物残基Gとしては、例えば、ジケトピロロピロール系色素、アゾ、ジスアゾ、若しくはポリアゾ等のアゾ系色素、フタロシアニン系色素、ジアミノジアントラキノン、アントラピリミジン、フラバントロン、アントアントロン、インダントロン、ピラントロン、ビオラントロン等のアントラキノン系色素、キナクリドン系色素、ジオキサジン系色素、ペリノン系色素、ペリレン系色素、チオインジゴ系色素、イソインドリン系色素、イソインドリノン系色素、キノフタロン系色素、スレン系色素、又は金属錯体系色素、あるいはアントラキノン残基、又はトリアジン残基などを挙げることができる。
【0181】
また、アントラキノン誘導体としては、上記塩基性置換基、酸性置換基又は中性置換基を有するアントラキノンを用いることができる。また、トリアジン誘導体としては、メチル基、若しくはエチル基等のアルキル基、又はアミノ基又はジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、若しくはジブチルアミノ基等のアルキルアミノ基、又はニトロ基又は水酸基又はメトキシ基、エトキシ基、若しくはブトキシ基等のアルコキシ基又は塩素等のハロゲン又はメチル基、メトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、水酸基等で置換されていてもよいフェニル基、又はメチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、アミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ニトロ基、若しくは水酸基等で置換されていてもよいフェニルアミノ基等の置換基を有していてもよい1,3,5−トリアジンに、上記塩基性置換基、酸性置換基又は中性置換基を導入した誘導体を用いることができる。
【0182】
前記顔料誘導体(D)のうち特に好ましくは、塩基性基を有する顔料誘導体、塩基性基を有するアントラキノン誘導体、塩基性基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる塩基性誘導体少なくとも一種を含むことである。塩基性を有する顔料誘導体を用いることにより、特に酸性基を有する樹脂成分(樹脂型分散剤(C)、バインダー樹脂(J)、および分散樹脂(H))との吸着性が著しく向上し、本発明のインクジェットインクが低粘度化するとともに、経時安定性が向上する。
(7)顔料の被覆処理
顔料の被覆処理は、前記顔料(P)、前記樹脂型分散剤(C)、および前記有機溶剤、並びに、必要に応じて、前記バインダー樹脂(J)、および顔料誘導体(D)、並びに、場合によって、前記分散樹脂(H)が、均一になるように予め混合してから、分散機を用いて混練することにより行うことができる。有機溶剤の配合量は、混合物の機械特性に応じて調節することが好ましい。顔料の被覆処理に用いる分散機としては、ニーダー、ロールミル、ボールミル、バンバリーミキサー、ローラーミル、石臼式ミル等が挙げられるが、2本ロールミルは一つの装置で混合及び混練ができるので好ましい。
【0183】
顔料を被覆処理する際の原料の配合量は、顔料(P)100重量部に対して、顔料誘導体(D)1〜30重量部、樹脂型分散剤(C)とバインダー樹脂(J)と分散樹脂(H)とを合計した樹脂成分(以下、樹脂成分と略記する。)20〜200重量部、及び有機溶剤4〜200重量部の範囲であることが好ましい。顔料誘導体(D)の配合量が1重量部未満の場合は、アンカー効果が少ないためインクを低粘度化させる効果が小さく、30重量部を越える場合は、顔料誘導体(D)が過剰となり未吸着の顔料誘導体(D)同士が凝集するためインクが増粘する。また、樹脂成分の配合量が20重量部未満の場合は、充分に顔料(P)の表面を被覆できず、顔料(P)の分散安定性が低くなり、200重量部を越える場合は、顔料(P)に吸着しない遊離の樹脂成分によりインクの粘度が上昇する。また、有機溶剤の配合量が4重量部未満の場合は、顔料誘導体(D)及び樹脂成分の顔料(P)に対する初期の濡れが不充分で充分に顔料(P)を被覆しないため、インクの粘度が安定しないことがあり、200重量部を越える場合は、顔料(P)の被覆処理が困難となる。
【0184】
顔料(P)の被覆処理は、具体的には、下記の2段階の工程により行われる。
【0185】
第1工程は、顔料(P)、樹脂成分、及び有機溶剤等を含む組成物を20回程度2本ロールに通すことにより顔料への樹脂成分の濡れと吸着を進行させるチップ化工程である。この工程で、配合した有機溶剤のうち約80重量%程度が揮発する。
【0186】
第2工程は、チップ化により前記樹脂成分が顔料(P)に吸着した混練物の加熱、混練を続けて顔料粒子表面に被覆層を形成する被覆処理工程である。混練物の粘度が高く、機械上、混練できない場合は、適量の有機溶剤を追加し、混練を助ける。
【0187】
樹脂成分が架橋可能な官能基を有する場合には、被覆処理工程で樹脂成分の架橋が生じ、一部に樹脂切断も見られる。この反応は、過度な機械的な加圧と磨砕、更には加熱の結果によるものでメカノケミカルな反応であり、顔料(P)と樹脂成分のみでは樹脂成分の架橋反応は生じにくい。顔料と樹脂成分とを混練する際に顔料誘導体(D)を用いることにより、顔料誘導体(D)と樹脂成分とが顔料(P)表面に強固に吸着し、更に加熱と加圧混練を行うことにより樹脂成分の架橋が生じると推定される。加熱温度は80℃〜120℃の範囲であることが好ましい。80℃未満の温度では樹脂成分が十分に架橋しない場合があり、120℃を越える温度では、樹脂成分の劣化が生じる場合がある。
【0188】
顔料(P)表面に吸着しなかった余剰の樹脂成分は、インクの粘度等の物性に影響を及ぼす場合には、洗浄やろ過等により除去することが好ましい。また、被覆処理顔料は、乾燥しても凝集しない場合には、洗浄後に乾燥しても良いが、被覆処理時に用いた有機溶剤がインクジェットインクの液状媒体として使用可能な有機溶剤(F)であればあえて乾燥する必要がない。
(8)物性など
本発明のインクジェット記録用インク組成物において、固形分含有量は、インク組成物全重量に対して、好ましくは3〜60重量%、より好ましくは4〜40重量%である。固形分含有量が、3重量%未満になるとインク皮膜の濃度や耐性が不足し、60重量%を超えるとインクの粘度が上昇し、経時安定性が低下することがある。
【0189】
本発明のインクジェット記録用インク組成物の粘度としては、2mPa・s以上40mPa・s以下が好ましく、3mPa・s以上30mPa・s以下、更には4mPa・s以上20mPa・s以下がより好ましい。粘度が大きすぎると、連続して吐出する場合に、安定した吐出ができない。
【0190】
本発明のインクジェット記録用インク組成物の平均分散粒子径としては、5nm以上200nm以下が好ましく、10nm以上150nm以下がより好ましい。平均分散粒子径が大きすぎるとヘッドが目詰まりを起こしやすく、安定した吐出ができない。また平均分散粒子径が小さすぎると、再凝集を引き起こし易くなり、経時安定性が悪化する。
【0191】
本発明のインクジェット記録用インク組成物の表面張力としては、20mN/m以上40mN/m以下が好ましく、24mN/m以上35mN/m以下がより好ましい。表面張力が高すぎるとヘッドからインクが安定して吐出することができず、逆に表面張力が低すぎるとヘッドから吐出後インクが液滴を形成することができなくなる。
【0192】
本発明のインクジェット記録用インク組成物の製造は、前記顔料(P)、前記樹脂型分散剤(C)、前記熱反応性化合物(E)、及び前記有機溶剤(F)、並びに必要に応じて前記バインダー樹脂(J)及び/又は顔料誘導体(D)、場合によってのその他の添加剤を通常の分散機に投入し、所望の平均粒子径・粒度分布になるまで分散することにより行うことができる。インク組成物の原料は、一括して混合・分散してもよいし、それぞれの原料の特性や経済性を考慮して別々に混合・分散してもよい。インク組成物の粘度が高過ぎ、希釈が必要な場合には、インク原液に希釈用の液状媒体を加えて均一に攪拌し、インク組成物を調製することもできる。
【0193】
分散機としては、サンドミル、ビーズミル、アジテータミル、ダイノミル、又はコボルミルなどが好適である。それぞれの分散機において、顔料分散に適切な粘度領域がある場合には、各種樹脂成分と顔料との比率を変えて粘度を調整することができる。インクジェット記録用インク組成物は、分散機で分散後に、粗大粒子や異物除去を目的にフィルタや遠心法により濾過することが好ましい。
【0194】
インクジェット記録用インク組成物を製造する際には、更に、界面活性剤型分散剤や、アントラキノン誘導体、及び/又はトリアジン誘導体を用いることができる。界面活性剤型顔料分散剤としては、例えば、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、又はステアリルアミンアセテート等を挙げることができる。
【0195】
インクジェット記録用インク組成物には、インク組成物の粘度が25℃で3〜50mPa・sとなる範囲で、種々の添加剤を含有させることができる。例えば、インクの基板への濡れ性を制御するために、界面活性剤を含有させることができる。界面活性剤を選択する際には、その他のインク構成成分との相溶性を考慮する必要がある。界面活性剤には、アニオン性、カチオン性、両性、又は非イオン性のものがあり、好適なものを選択すればよい。
【0196】
本発明のインクジェット記録用インク組成物は、高い顔料濃度でありながら低粘度であるため吐出安定性に優れ、顔料含有量が通常のインクジェットインクに比べ多いために吐出量を少なくすることができることから、カラーフィルター基板用をはじめ、高い印字濃度が望まれている印刷物の生産性及び品位を向上させることができる。特に、本発明のインクジェット記録用インク組成物は、高い生産性及び品位が求められるカラーフィルター基板の製造に好適である。
【0197】
また、本発明のインクジェット記録用インク組成物は、顔料が高濃度に分散されているので、インク組成物が深さ方向に浸透する紙や横方向への濡れ広がるプラスティック、ガラス及び金属であっても、印字濃度を高くできる。更に、吐出量を抑えることができるので、受容層のインク受容量を越えるためインクが流出して混色したり、ドット形状が真円とならなかったことも回避することができるので、従来のインクジェット印刷では制限された用途にも用いることができる。
(9)カラーフィルター基板
本発明のインクジェット記録用インク組成物を用いて、インクジェット法により、カラーフィルター基板を製造することができる。カラーフィルター基板は、例えば、薄型テレビジョンなどに利用されている液晶ディスプレイパネルに利用することができる。
【0198】
カラーフィルター基板は所望の色相のフィルターセグメントを具備するものであり、フィルターセグメントは、ブラックマトリックスが形成された基板のブラックマトリックスで区分けされた領域内に、インクジェット法によりカラーフィルター用インクジェットインクを吐出することに形成される。
【0199】
基板としては、ガラス板や、ポリカーボネート、ポリメタクリル酸メチル、ポリエチレンテレフタレート等の樹脂板を用いることができる。ブラックマトリックスは、例えば、ラジカル重合型のブラックレジストを塗布し、露光、そして現像してパターニングするフォトリソグラフィー法、黒色インクを印刷する印刷法、又は金属を蒸着したのちエッチングする蒸着法等により基板上に形成することができる。
【実施例】
【0200】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、これらは本発明の範囲を限定するものではない。以下の実施例及び比較例中、部及び%は、重量部及び重量%を表す。また、樹脂の重量平均分子量は、GPCを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた。 実施例及び比較例で用いた顔料、顔料誘導体、溶剤及び樹脂溶液を以下に示す。また、実施例及び比較例における最終的なインク組成を表1〜4に示す。
【0201】
[1]顔料(P):
(1)レッド顔料A:C.I.Pigment Red 254
(2)レッド顔料B:C.I.Pigment Red 57:1
(3)マゼンタ顔料:C.I.Pigment Red 122
(4)グリーン顔料:C.I.Pigment Green 36
(5)イエロー顔料:C.I.Pigment Yellow 138
(6)ブルー顔料:C.I.Pigment Blue 15:6
(7)シアン顔料:C.I.Pigment Blue 15:3
(8)バイオレット顔料:C.I.Pigment Violet 23
[2]顔料誘導体(D):
顔料誘導体〔RD−1〕
一般式(31):
【0202】
【化34】

顔料誘導体〔RD−2〕
一般式(32):
【0203】
【化35】

顔料誘導体〔MD−1〕
一般式(33):
【0204】
【化36】

顔料誘導体〔YD−1〕
一般式(34):
【0205】
【化37】

顔料誘導体〔BD−1〕
一般式(35):
【0206】
【化38】

顔料誘導体〔VD−1〕
一般式(36)
【0207】
【化39】

[3]溶剤(F)
CBAc:ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート
BuCBAc:ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート
TPNB:トリプロピレングリコールモノブチルエーテル
TPM:トリプロピレングリコールモノメチルエーテル
TA:トリアセチン
[4]樹脂型分散剤(C)および分散樹脂(H)
《製造例1(樹脂型分散剤(C11))》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部とベンジルメタクリレート100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、シクロヘキサノン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し樹脂型分散剤(C11)を得た。 樹脂型分散剤(C11)の重量平均分子量(Mw)は8,500、酸価は 43mgKOH/gであった。
《製造例2(樹脂型分散剤 (C12))》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部とベンジルメタクリレート100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物19部、シクロヘキサノン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し樹脂型分散剤(C12)を得た。樹脂型分散剤(C12)の重量平均分子量(Mw)は8,100、酸価は 43mgKOH/gであった。
《製造例3(樹脂型分散剤 (C13))》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部とベンジルメタクリレート100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。ピロメリット酸無水物12部、シクロヘキサノン224部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し樹脂型分散剤(C13)を得た。樹脂型分散剤(C13)の重量平均分子量(Mw)は5,800、酸価は 28mgKOH/gであった。
《製造例4(樹脂型分散剤 (C14))》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部とベンジルメタクリレート100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。BPDA(3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸無水物)26部、シクロヘキサノン238部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し樹脂型分散剤(C14)を得た。 樹脂型分散剤(C14)の重量平均分子量(Mw)は9,000、酸価は 42mgKOH/gであった。
《製造例5(樹脂型分散剤 (C21))》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルメタクリレート100部とベンジルメタクリレート100部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3‐メルカプト‐1,2‐プロパンジオール12部に、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.1部を溶解した溶液を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。BPDA37部、シクロヘキサノン255部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、120℃で7時間反応させた。その後に、ネオペンチルグリコール5部を追加し、酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し樹脂型分散剤(C21)を得た。 樹脂型分散剤(C21)の重量平均分子量(Mw)は9,300、酸価は 56mgKOH/gであった。
《製造例6(リン酸基含有分散樹脂(H11))》
セパラブル4口フラスコに温度制御用レギュレーター、冷却管、及び撹拌装置を取り付けて、溶剤(CBAc)100部を仕込み、100℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下管より下記の原料を添加し、5時間反応を継続し、重量平均分子量(Mw)20,000のアクリル樹脂の溶液(固形分50%)を得た。なお、アクリル樹脂の重量平均分子量は、GPCを用いて測定し、ポリスチレン換算で求めた。こうして得られた樹脂溶液を、リン酸基含有分散樹脂(H11)として用いた。
メタクリル酸 20部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 20部
n−ブチルメタクリレート 27部
ベンジルメタクリレート 30部
ホスマーM 3部
2,2'−アゾビスイソブチロニトリル 4部
《製造例7(ポリエステル系分散剤(H21))》
ガス導入管、温度計、コンデンサ、及び攪拌機を備えた反応容器に、1−ドデカノール62.6部、ε−カプロラクトン287.4部、及び触媒としてモノブチルスズ(IV)オキシド0.1部を仕込み、窒素ガスで置換した後、120℃で4時間加熱、撹拌した。固形分測定により98%が反応したことを確認したのち、無水ピロメリット酸36.6部を加え、120℃で2時間反応させ樹脂型分散剤(H21)を得た。得られた樹脂型分散剤(H21)は、常温で白色ワックス状固体であった。
【0208】
《製造例8(ビニル系分散剤(H31))》
(1)工程1
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み110℃に昇温し、反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、メチルメタクリレート20部、イソブチルメタクリレート37.6、ラウリルメタクリレート30部、ベンジルメタクリレート10部、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド(興人社製)2.4部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4,900、一分子中の水酸基の平均個数1.0個のビニル系樹脂中間体(h31)を得た。
(2)工程2
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置にビニル系樹脂中間体(h31)を固形分で100部、無水トリメリット酸を3.9部、ジメチルベンジルアミンを0.1部仕込み、100℃で6時間反応させた。このようにして、一分子あたりのトリメリット酸の平均個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(V)の平均個数)が1.0個である樹脂型分散剤(H31)を得た。樹脂型分散剤(H31)中の固形分比率は50%であった。
【0209】
《製造例9(ビニル系分散剤(H32))》
(1)工程1
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを60部仕込み110℃に昇温し反応容器内を窒素置換した後、滴下槽から、2−エチルヘキシルメタクリレート30.0部、ベンジルメタクリレート68.3部、2−ヒドロキシエチルメタクリレート1.7部、メトキシプロピルアセテート40部、及びジメチル−2,2’−アゾビスジイソブチレート6部を予め均一に混合した混合液を2時間かけて滴下し、その後3時間、同じ温度で攪拌を続け反応を終了した。このようにして、数平均分子量4800、一分子中の水酸基の平均個数0.5個のビニル系樹脂中間体(h32)を得た。
(2)工程2
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応槽にメトキシプロピルアセテートを100部、エチレングリコールジ無水トリメリット酸エステルを4.3部、及びジメチルベンジルアミンを0.1部仕込み100℃に昇温した。滴下槽からビニル系樹脂中間体(h32)を固形分で100部2時間かけて反応槽に滴下し、適下終了後、100℃で4時間反応させた。その後、2−エチルヘキシルアルコール10部を加え90℃で5時間反応させ、残存する無水環をアルコール分解し、エチレングリコールジトリメリット酸骨格の平均共重合個数(すなわち、カルボキシル基含有単位(V)の平均個数)が0.5個であるビニル系分散剤(H32)を得た。ビニル系分散剤(H32)中の固形分比率は50%であった。
《製造例10(分岐ウレタン系分散樹脂B(H51))》
(1)工程1
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に1−デカノール67部、ε−カプロラクトン433部を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、120℃で2時間反応させた。反応終了後、メトキシプロピルアセテート214部にて希釈することによりポリカプロラクトン溶液(h51)を得た。
(2)工程2
ガス導入管、コンデンサ、攪拌翼、及び温度計を備え付けた反応装置に、ポリカプロラクトン溶液(MC2)84部、VESTANAT T 1890/100(デグサジャパン株式会社)66部、メトキシプロピルアセテート100部を仕込み、反応容器内を窒素置換した後、80℃に昇温し、1時間反応させた。その後、ジメチロールブタン酸(DMBA、日本化成株式会社製)40部、メトキシプロピルアセテート40部を仕込み、90℃にて反応させ、IRにてイソシアネート基に基づく2270cm-1のピークの消失を確認し、さらにピロメリット酸二無水物6部、メトキシプロピルアセテート6部を仕込み、100℃にて反応させ、IRにて酸無水物基に基づく1855cm-1と1785cm-1のピークの消失を確認した後、40℃まで冷却し、分岐ウレタン系分散樹脂B(H51)溶液を得た。
《製造例11(樹脂型分散剤 (C41))》
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール14部、ピロメリット酸無水物47部、ネオペンチルグリコール11部、シクロヘキサノン73部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.06部を追加し、100℃で7時間反応させ、酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次にn−ブチルアクリレート60部、メチルメタクリレート60部、ベンジルメタクリレート60部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したシクロヘキサノン溶液200部を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認し、終了した。酸価95mgKOH/g、重量平均分子量14,000の樹脂型分散剤 (C41)を得た。
《製造例12(樹脂型分散剤 (C15))》
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート160部、カレンズMOI−BM(昭和電工製)40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール12部を添加して、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物19部、シクロヘキサノン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し酸価42mgKOH/g、重量平均分子量9,000の樹脂型分散剤(C15)を得た。
《製造例13(樹脂型分散剤 (C16))》
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート40部、メチルメタクリレート60部、ベンジルメタクリレート40部、メタクリル酸20部、ETERNACOLL OXMA(宇部興産製)40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール12部を添加して、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物19部、シクロヘキサノン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し酸価110mgKOH/g、重量平均分子量7,800の樹脂型分散剤(C16)を得た。
《製造例14(樹脂型分散剤 (C42))》
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール14部、ピロメリット酸無水物47部、ネオペンチルグリコール11部、シクロヘキサノン73部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.06部を追加し、100℃で7時間反応させ、酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次にn−ブチルアクリレート60部、メチルメタクリレート40部、ベンジルメタクリレート40部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート20部、t−ブチルメタクリレート40部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したシクロヘキサノン溶液200部を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認し、終了した。酸価95mgKOH/g、重量平均分子量12,500の樹脂型分散剤 (C42)を得た。
《製造例15(樹脂型分散剤 (C17))》
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート70部、ベンジルメタクリレート60部、グリシジルメタクリレート28部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール12部を添加して、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次にメタクリル酸42部、ジメチルベンジルアミン0.3部を仕込み、100℃で7時間反応させた。次に、ピロメリット酸無水物19部、シクロヘキサノン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し酸価50mgKOH/g、重量平均分子量7,800の樹脂型分散剤(C17)を得た。
《製造例16(樹脂型分散剤 (C18))》
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、n−ブチルアクリレート60部、メチルメタクリレート60部、ベンジルメタクリレート60部、メタクリル酸20部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール12部を添加して、12時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認した。次に、ピロメリット酸無水物19部、シクロヘキサノン231部、触媒として1,8−ジアザビシクロ−[5.4.0]−7−ウンデセン0.40部を追加し、100℃で7時間反応させた。酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認し反応を終了し酸価112mgKOH/g、重量平均分子量8,300の樹脂型分散剤(C18)を得た。
《製造例17(樹脂型分散剤 (C31))》
ガス導入管、温度計、コンデンサー、攪拌機を備えた反応容器に、3−メルカプト−1,2−プロパンジオール25部、ピロメリット酸無水物40部、シクロヘキサノン66部、触媒としてモノブチルスズオキシド0.06部を追加し、100℃で7時間反応させ、酸価の測定で98%以上の酸無水物がハーフエステル化していることを確認した。次にn−ブチルアクリレート60部、メチルメタクリレート60部、ベンジルメタクリレート60部、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート20部を仕込み、窒素ガスで置換した。反応容器内を80℃に加熱して、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル0.5部を溶解したシクロヘキサノン溶液200部を添加して、10時間反応した。固形分測定により95%が反応したことを確認し、終了した。酸価75mgKOH/g、重量平均分子量8500の樹脂型分散剤 (C31)を得た。

《リン酸基含有分散樹脂(H12)》 : ビックケミー社製Dysper BYK−111
以上の樹脂型分散剤(C)および分散樹脂(H)は、全て、シクロヘキサンで固形分比率を50%に調整した溶液として使用した。
[5]熱反応性化合物(E)
(1)三和ケミカル社製アルコキシアルキル基含有メラミン化合物 ニカラックMX−43
(2)三和ケミカル社製イミノ基・メチロール基含有メラミン化合物 ニカラックMX−417
(3)三和ケミカル社製アルコキシアルキル基含有ベンゾグアナミン化合物 ニカラックSB−401
(4)三和ケミカル社製イミノ基・メチロール基含有ベンゾグアナミン化合物 ニカラックBL−60
(5)東亞合成社製アクリルモノマー アロニックスM−400
(6)バイエル社製イソシアネート化合物 デスモジュールBL−4265
(7)日本化薬社製 エポキシ化合物EPPN―201
《実施例1》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液30部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0210】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)20部、アクリルモノマー(アロニックスM−400)20部、溶剤(TPNB)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例2》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0211】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
【0212】
《実施例3》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C13)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H32)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0213】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)20部、エポキシ化合物(EPPN―201)20部、溶剤(TPNB)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例4》
レッド顔料B 90部、顔料誘導体(RD−2)10部、樹脂型分散剤(C12)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0214】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例5》
レッド顔料B 90部、顔料誘導体(RD−2)10部、樹脂型分散剤(C12)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H32)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0215】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(TPNB)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例6》
マゼンタ顔料90部、顔料誘導体(MD−1)10部、樹脂型分散剤(C12)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H32)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0216】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に、更にメラミン化合物(MX−417)20部、イソシアネート化合物(BL−4265)20部、溶剤(CBAc)81部、溶剤(TPM)69部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度15%のインクジェットインクを得た。

《実施例7》
マゼンタ顔料90部、顔料誘導体(MD−1)10部、樹脂型分散剤(C12)溶液30部、分岐ウレタン系分散樹脂B(H51)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0217】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(SB−401)40部、溶剤(CBAc)81部、溶剤(TA)69部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度15%のインクジェットインクを得た。
《実施例8》
グリーン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液40部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液60部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0218】
被覆処理顔料150部、溶剤(CBAc)225部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)86部、溶剤(BuCBAc)55部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例9》
グリーン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液20部、ポリエステル系分散樹脂(H21)溶液20部、ビニル系分散樹脂(H32)溶液60部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0219】
被覆処理顔料150部、溶剤(CBAc)225部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)86部、溶剤(TPNB)55部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例10》
グリーン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C13)溶液40部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液60部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0220】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)225部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(SB−401)20部、エポキシ化合物(EPPN−201)20部、溶剤(CBAc)86部、溶剤(TPM)55部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例11》
エロー顔料90部、顔料誘導体(YD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液40部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液94部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0221】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)250部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)108部、溶剤(BuCBAc)92部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例12》
エロー顔料90部、顔料誘導体(YD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液40部、ビニル系分散樹脂(H32)溶液94部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0222】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)250部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)108部、溶剤(TPNB)92部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《実施例13》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液30部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0223】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(BuCBAc)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《実施例14》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0224】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(TPNB)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《実施例15》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C12)溶液20部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液104部、リン酸基含有分散樹脂(H12)溶液10部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0225】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、ベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(BuCBAc)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《実施例16》
シアン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C12)溶液30部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0226】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)40部、溶剤(CBAc)222部、溶剤(TPNB)94部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度12%のインクジェットインクを得た。
《実施例17》
シアン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C12)溶液134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0227】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)222部、溶剤(BuCBAc)94部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度12%のインクジェットインクを得た。
《実施例18》
バイオレット顔料90部、顔料誘導体(VD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0228】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)41部、溶剤(TPNB)76部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度14%のインクジェットインクを得た。
《実施例19》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C14)溶液30部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0229】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(BuCBAc)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《実施例20》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、樹脂型分散剤(C21)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0230】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(TPNB)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《実施例21》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C41)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0231】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例22》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C15)溶液30部、ビニル系分散剤(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0232】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例23》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C16)溶液30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0233】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例24》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C42)30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0234】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例25》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C17)30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0235】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例26》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C18)30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0236】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《実施例27》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C31)30部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0237】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《比較例1》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液134部、を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤揮発後きれいなシート状にはならなかった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行ったが、きれいなシートを形成することは出来なかった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0238】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(TPNB)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《比較例2》
レッド顔料A 90部、顔料誘導体(RD−1)10部、樹脂型分散剤(C11)溶液30部、ビニル系分散剤(H31)溶液104部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0239】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更に溶剤(CBAc)40部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《比較例3》
レッド顔料B 90部、顔料誘導体(RD−2)10部を均一に撹拌し、更に溶剤(PGMAc)52部を加え2本ロールを80℃に加熱して混練を行ったが、溶剤揮発後シートが形成されることはなく粉末状のままであった。
【0240】
得られた粉末状固形物100部、溶剤(CBAc)478部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)67部、溶剤(BuCBAc)84部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度13%のインクジェットインクを得た。
《比較例4》
マゼンタ顔料90部、顔料誘導体(MD−1)10部、ビニル系分散樹脂(H32)溶液134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0241】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)40部、溶剤(CBAc)81部、溶剤(TPM)69部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度15%のインクジェットインクを得た。
《比較例5》
グリーン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液100部 を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0242】
被覆処理顔料150部、溶剤(CBAc)225部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)86部、溶剤(BuCBAc)55部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《比較例6》
エロー顔料90部、顔料誘導体(YD−1)10部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0243】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)250部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)40部、溶剤(CBAc)108部、溶剤(BuCBAc)92部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度18%のインクジェットインクを得た。
《比較例7》
ブルー顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液134部、を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0244】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−43)20部、アクリルモノマー(M−400)20部、溶剤(CBAc)287部、溶剤(BuCBAc)105部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度11%のインクジェットインクを得た。
《比較例8》
シアン顔料90部、顔料誘導体(BD−1)10部、リン酸基含有分散樹脂(H11)溶液134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0245】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)310部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にメラミン化合物(MX−417)40部、溶剤(CBAc)222部、溶剤(TPNB)94部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度12%のインクジェットインクを得た。
《比較例9》
バイオレット顔料90部、顔料誘導体(VD−1)10部、ビニル系分散樹脂(H31)溶液134部を均一に撹拌し、混合物を得た。60℃に加温した2本ロールに、混合物を入れて10分間練肉したところ、溶剤が揮発してシート状となった。更に、溶剤(PGMAc)52部を加え、2本ロールを80℃に加熱して混練を行った。分散途中で溶剤が揮発し、加熱混練物は弾性をもつ固形物となった。得られた固形物を冷却後、粉砕し、被覆処理顔料を得た。
【0246】
被覆処理顔料167部、溶剤(CBAc)390部をミキサーに入れて混合し、更にサンドミルに入れて分散を行い、更にベンゾグアナミン化合物(BL−60)40部、溶剤(CBAc)41部、溶剤(TPNB)76部を加え混合した。ゴミや粗大物をフィルタ濾過し、顔料濃度14%のインクジェットインクを得た。
【0247】
実施例1〜27及び比較例1〜9で得られたインクの粘度及び流動性を下記の方法で評価した。また、実施例1〜27及び比較例1〜9で得られたインクを、4〜10KHzの周波数変化が可能なピエゾヘッドを有するインクジェットプリンターで吐出し、下記の方法で吐出安定性を評価した。
【0248】
ガラス基板の所定の位置に、前記インクジェットプリンターを用いて実施例1〜27及び比較例1〜9で得られたインクを吐出して乾燥し、230℃で20分間の熱硬化を行って塗膜を形成し、塗膜信頼性を下記の方法で評価した。結果を、表5〜8に示す。また、段ボールに、前記インクジェットプリンターを用いて実施例1〜27及び比較例1〜9で得られたインクを吐出して乾燥し、室温乾燥を行って塗膜形成し、印字濃度を下記の方法で評価した。結果を、表5〜8に示す。
[粘度]
動的粘弾性測定装置により、ずり速度100(1/s)の粘度(η:mPa・s)を測定した。
[流動性]
動的粘弾性測定装置により、ずり速度10(1/s)の粘度(ηa:mPa・s)を測定し、先に測定したずり速度100(1/s)の粘度(η:mPa・s)との比ηa/ηを求め、下記の基準で流動性を評価した。
○:0.9≦ηa/η<1.5
×:1.5≦ηa/η
[保存安定性]
45℃のオーブンで、7日間加熱後粘度を測定した。
○:加熱前の粘度と比して増粘率10%以内
×:加熱前の粘度と比して増粘率10%以上
[耐薬品性]
塗膜を形成したガラス基板をN−メチルピロリドンに浸漬し、浸漬前後の塗膜の色変化△Eを測定した。
○:△E≦2
△:2<△E≦4
×:△E>4
[吐出安定性]
印字状態を目視で観察し、下記の基準で吐出安定性を評価した。
○:間欠15分後ノズル抜けが5%以下である。
△:間欠15分後ノズル抜けが10%以下である。
×:間欠15分後ノズル抜けが50%以上である。
[印字濃度]
段ボールにベタ印刷を行い、乾燥後OD値を測定した。
○:OD値1.2以上
×:OD値1.2未満

【0249】
【表1】

【0250】
【表2】

【0251】
【表3】

【0252】
【表4】

【0253】
【表5】

【0254】
【表6】

【0255】
【表7】

【0256】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0257】


本発明のインクジェット記録用インク組成物は、耐熱性、耐薬品性が良好で、更に顔料濃度が高いにもかかわらず、低粘度、経時粘度安定性かつ低粘度かつ吐出安定性が良好である。また従来の方法と比較して、はるかに効率よく高性能なカラーフィルター、パッケージ、又は屋外看板などを生産することができる。
【0258】
以上、本発明を特定の態様に沿って説明したが、当業者に自明の変形や改良は本発明の範囲に含まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
樹脂型分散剤(C)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなる樹脂型分散剤(C1)であるインクジェット記録用インク組成物。
【請求項2】
樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
樹脂型分散剤(C)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる、片末端に2つの水酸基を有するビニル重合体(a)並びに(s)および(a)以外のポリオール化合物(o)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなる樹脂型分散剤(C2)であるインクジェット記録用インク組成物。
【請求項3】
樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
樹脂型分散剤(C)が、分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(s)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させて生成される化合物(c3)の存在下、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる樹脂型分散剤(C3)であるインクジェット記録用インク組成物。
【請求項4】
樹脂型分散剤(C)、顔料(P)、熱反応性化合物(E)、および有機溶剤(F)を含んでなるインクジェット記録用インク組成物において、
分子内に2つの水酸基と1つのチオール基とを有する化合物(a)およびチオール基を有さないポリオール化合物(o’)中の水酸基と、テトラカルボン酸二無水物(b)中の酸無水物基とを反応させてなる化合物(c4)の存在下に、エチレン性不飽和単量体(m)をラジカル重合してなる樹脂型分散剤(C4)である、インクジェット記録用インク組成物。
【請求項5】
樹脂型分散剤(C)が、重量平均分子量2,000〜25,000であり、かつ、酸価5〜200mgKOH/gである請求項1〜4いずれか記載のインク組成物。
【請求項6】
テトラカルボン酸二無水物(b)が、下記一般式(1)または一般式(2)で表される化合物である請求項1〜5いずれか記載のインク組成物。
一般式(1):
【化1】

〔一般式(1)中、kは、1又は2である。〕
一般式(2):
【化2】

〔一般式(2)中、Q1は、直接結合、−O−、−CO−、−COOCH2CH2OCO−、−SO2−、−C(CF32−、下記一般式(3):
【化3】

で表される基、または一般式(4):
【化4】

で表される基である。〕
【請求項7】
エチレン性不飽和単量体(m)が、ベンジル(メタ)アクリレートを単量体全体の20重量%〜70重量%含む、請求項1〜6のいずれか記載のインク組成物。
【請求項8】
熱反応性化合物(E)が、メラミン化合物、ベンゾグアナミン化合物、カルボジイミド化合物、エポキシ化合物、オキセタン化合物、フェノール化合物、ベンゾオキサジン化合物、ブロック化カルボン酸化合物、ブロック化イソシアネート化合物、アクリレート系モノマー、及びシランカップリング剤からなる群から選ばれる化合物1種若しくは2種以上である、請求項1〜7いずれか記載のインク組成物。
【請求項9】
更に、バインダー樹脂(J)を含む請求項1〜8のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項10】
バインダー樹脂(J)が、熱可塑性樹脂(J1)である請求項9記載のインク組成物。
【請求項11】
更に、顔料誘導体(D)を含む請求項1〜10のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項12】
顔料誘導体(D)が、下記一般式(5)で表される色素誘導体である請求項11記載のインク組成物。
G−(L)n (5)
(式中、Gは、色素原型化合物残基であり、Lは、塩基性置換基、酸性置換基、又は中性置換基であり、nは、1〜4の整数である。)
【請求項13】
顔料誘導体(D)が、塩基性置換基を有する色素誘導体、塩基性置換基を有するアントラキノン誘導体、塩基性置換基を有するアクリドン誘導体、及び塩基性置換基を有するトリアジン誘導体からなる群から選ばれる誘導体を少なくとも一種を含む請求項1〜12いずれか記載のインク組成物。
【請求項14】
固形分含有量が、インク組成物全重量に対して、3〜60重量%である請求項1〜13のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項15】
顔料(P)の含有量が、インク組成物全重量に対して1〜30重量%である、請求項1〜14のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項16】
顔料(P)と樹脂型分散剤(C)との重量比が、100:3〜100:200である請求項1〜15のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項17】
25℃における粘度が、2〜40mPa・sである請求項1〜16のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項18】
カラーフィルター基板用である請求項1〜17のいずれか一項に記載のインク組成物。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載のインクジェット記録用インク組成物による印刷層を担持するカラーフィルター基板。

【公開番号】特開2008−208340(P2008−208340A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−5058(P2008−5058)
【出願日】平成20年1月11日(2008.1.11)
【出願人】(000222118)東洋インキ製造株式会社 (2,229)
【Fターム(参考)】