説明

インクジェット記録用水性インク、インクジェット記録装置、腐食防止剤およびインクジェットヘッド腐食防止方法

【課題】腐食しやすいチタン酸ジルコン酸鉛を用いたインクジェットヘッドに適用した場合であっても、前記インクジェットヘッドの腐食が防止可能なインクジェット記録用水性インクを提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置に用いるインクジェット記録用水性インクであって、前記インクは、腐食力の強い染料、水およびマグネシウムイオンを含み、前記マグネシウムイオンの配合量が、前記腐食力の強い染料の総モル量に対し50mol%以上であることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用水性インク、インクジェット記録装置、腐食防止剤およびインクジェットヘッド腐食防止方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置においてインクを吐出するインクジェットヘッドでは、インク吐出用ノズルに対応する状態で圧力室が形成されており、前記圧力室にインクが充填されている。前記圧力室の形成には、圧電素子が用いられる。前記圧電素子は、電圧の印加により形状が変化する素子である。インクジェットヘッドでは、前記圧電素子に電圧を印加して形状を変化させることで前記圧力室内のインクに圧力を加え、前記ノズルから前記インクを吐出する。前記圧電素子の形成材料として、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT:PbTiO・PbZrO)が使用される場合がある(特許文献1)。
【特許文献1】特開2008−149733号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前記インクジェットヘッドの前記圧力室において、前記圧電素子は、前記インクと直接接触する場合がある。この場合、前記圧電素子の形成材料であるチタン酸ジルコン酸鉛(以下、「PZT」ということがある)がインクによって腐食するという問題がある。前記PZTに対する腐食力は、インクの種類によって異なる。また、前記PZTの中には、特にインクに腐食されやすい種類のものもある。前記PZTの腐食は、焼結して結合した粒子間の界面で著しい。前記圧電素子において、前記PZTが腐食すると、前記インクが圧電素子内部に浸透し、圧電素子の機能を損なうことになる。腐食が著しい場合は、インクが吐出できなくなる場合もある。
【0004】
そこで、本発明は、腐食しやすいPZTを用いたインクジェットヘッドに適用した場合であっても、前記インクジェットヘッドの腐食が防止可能なインクジェット記録用水性インクを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、インクジェット記録装置に用いるインクジェット記録用水性インクであって、
前記インクは、下記条件(I)を満たす染料、水およびマグネシウムイオン(以下、「Mgイオン」ということがある)を含み、
前記Mgイオンの配合量が、前記条件(I)を満たす染料の総モル量に対し50mol%以上であることを特徴とする。

条件(I):下記条件(II)を満たすPZT含有試料を下記条件(a)〜(d)で染料水溶液に浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量(以下、「Pb溶出量」ということがある)が、3ppm〜10ppmである。
(a)前記染料水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(b)前記染料水溶液量(X):X=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(c)前記染料水溶液温度:70℃
(d)浸漬時間:5日間

条件(II):PZT含有試料を下記条件(e)〜(h)でエチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩(以下、「EDTA・2Na」ということがある)水溶液に浸漬した場合、前記試料からのPb溶出量が、180ppm〜300ppmである。
(e)前記EDTA・2Na水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(f)前記EDTA・2Na水溶液量(Y):Y=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(g)前記EDTA・2Na水溶液温度:70℃
(h)浸漬時間:5日間

【発明の効果】
【0006】
前記目的を達成するために、本発明者は一連の研究を重ね、その過程で、腐食の原因物質は、染料インク中の染料であることを突き止めた。この知見に基づき、さらに研究を重ねたところ、Mgイオンを前記染料の総モル数に対し50mol%以上の割合でインクに配合すれば、腐食力の強い染料と、腐食しやすいPZTを用いたインクジェットヘッドとを組み合わせた場合であっても、前記PZTの腐食を防止可能であることを見出し、本発明に到達した。本発明により、染料インクとインクジェットヘッドの組み合わせの自由度が広がり、換言すれば、染料インクとインクジェットヘッドの選択の幅が広がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明のインクジェット記録用水性インクは、さらに、下記条件(III)を満たすことが好ましい。

条件(III):前記条件(II)を満たす試料を下記条件(i)〜(k)で前記インクに浸漬した場合、前記試料からのPb溶出量が、4ppm以下である。
(i)前記インク量(Z):Z=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(j)前記インク温度:70℃
(k)浸漬時間:5日間

【0008】
前記条件(I)、前記条件(II)および前記条件(III)におけるPb溶出量の測定は、例えば、ICP発光分光分析装置(例えば、(株)島津製作所製、ICPE−9000)を用いて行うことができる。
【0009】
本発明のインクジェット記録用水性インクにおいて、前記条件(I)を満たす染料は、C.I.ダイレクトイエロー86およびC.I.ダイレクトイエロー132の少なくとも一方を含む態様であってもよい。前記両染料は、PZTに対する腐食力が強い染料である。
【0010】
本発明のインクジェット記録装置は、インク収容部およびインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段により吐出するインクジェット記録装置であって、
前記インク収容部に、本発明のインクジェット記録用水性インクが、収容されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の腐食防止剤は、インクジェットヘッドの染料インクによる腐食を防止するための腐食防止剤であって、
前記染料インクは、下記条件(I)を満たす染料を含み、
前記腐食防止剤は、Mgイオンを含み、
前記Mgイオンの含有量は、下記条件(I)を満たす染料の総モル量に対し50mol%以上となる量であることを特徴とする。

条件(I):下記条件(II)を満たすPZT含有試料を下記条件(a)〜(d)で染料水溶液に浸漬した場合、前記試料からのPb溶出量が、3ppm〜10ppmである。
(a)前記染料水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(b)前記染料水溶液量(X):X=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(c)前記染料水溶液温度:70℃
(d)浸漬時間:5日間

条件(II):PZT含有試料を下記条件(e)〜(h)でEDTA・2Na水溶液に浸漬した場合、前記試料からのPb溶出量が、180ppm〜300ppmである。
(e)前記EDTA・2Na水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(f)前記EDTA・2Na水溶液量(Y):Y=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(g)前記EDTA・2Na水溶液温度:70℃
(h)浸漬時間:5日間

【0012】
本発明の腐食防止方法は、インクジェットヘッドの染料インクによる腐食を防止するインクジェットヘッド腐食防止方法であって、
前記染料インクが、下記条件(I)を満たす染料および本発明の腐食防止剤を含むことを特徴とする。

条件(I):下記条件(II)を満たすPZT含有試料を下記条件(a)〜(d)で染料水溶液に浸漬した場合、前記試料からのPb溶出量が、3ppm〜10ppmである。
(a)前記染料水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(b)前記染料水溶液量(X):X=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(c)前記染料水溶液温度:70℃
(d)浸漬時間:5日間

条件(II):PZT含有試料を下記条件(e)〜(h)でEDTA・2Na水溶液に浸漬した場合、前記試料からのPb溶出量が、180ppm〜300ppmである。
(e)前記EDTA・2Na水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(f)前記EDTA・2Na水溶液量(Y):Y=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(g)前記EDTA・2Na水溶液温度:70℃
(h)浸漬時間:5日間

【0013】
つぎに、本発明のインクジェット記録用水性インクについて詳細に説明する。本発明のインクジェット記録用水性インク(以下、単に「インク」ということがある)は、染料、水およびMgイオンを含む。前記インクは、前記条件(II)を満たす腐食しやすいPZTを用いたインクジェットヘッドに使用しても、前記インクジェットヘッドの腐食を防止可能である。前記インクにおいて、前記染料は、前記条件(I)を満たす腐食力の強い染料を含む。
【0014】
前記条件(I)を満たす染料は、例えば、C.I.ダイレクトイエロー86(DY86)、C.I.ダイレクトイエロー132(DY132)等があげられる。
【0015】
前記C.I.ダイレクトイエロー86(DY86)は、例えば、下記構造式(1)で表される染料である。
【0016】
【化1】

【0017】
前記C.I.ダイレクトイエロー132(DY132)は、例えば、下記構造式(2)で表される染料である。
【0018】
【化2】

【0019】
前記インク全体に対する前記条件(I)を満たす染料の配合量は、限定されず、例えば、0.1重量%〜10重量%であり、好ましくは、0.2重量%〜8重量%であり、より好ましくは、0.3重量%〜5重量%である。前記条件(I)を満たす染料は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0020】
前記染料は、前記条件(I)を満たす染料のみで構成されていてもよいし、前記条件(I)を満たす染料以外の染料を含んでもよい。前記条件(I)を満たす染料以外の染料としては、例えば、C.I.ダイレクトブラック、C.I.ダイレクトブルー、C.I.ダイレクトレッド、C.I.ダイレクトイエロー86および132以外のC.I.ダイレクトイエロー、C.I.ダイレクトオレンジ、C.I.ダイレクトバイオレット、C.I.ダイレクトブラウン、C.I.ダイレクトグリーン、C.I.アシッドブラック、C.I.アシッドブルー、C.I.アシッドレッド、C.I.アシッドイエロー、C.I.アシッドオレンジ、C.I.アシッドバイオレット、C.I.ベーシックブラック、C.I.ベーシックブルー、C.I.ベーシックレッド、C.I.ベーシックバイオレットおよびC.I.フードブラック等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラックとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラック17、19、32、51、71、108、146、154および168等があげられる。前記C.I.ダイレクトブルーとしては、例えば、C.I.ダイレクトブルー6、22、25、71、86、90、106および199等があげられる。前記C.I.ダイレクトレッドとしては、例えば、C.I.ダイレクトレッド1、4、17、28、83および227等があげられる。前記C.I.ダイレクトイエローとしては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー12、24、26、98および142等があげられる。前記C.I.ダイレクトオレンジとしては、例えば、C.I.ダイレクトオレンジ34、39、44、46および60等があげられる。前記C.I.ダイレクトバイオレットとしては、例えば、C.Iダイレクトバイオレット47および48等があげられる。前記C.I.ダイレクトブラウンとしては、例えば、C.I.ダイレクトブラウン109等があげられる。前記C.I.ダイレクトグリーンとしては、例えば、C.I.ダイレクトグリーン59等があげられる。前記C.I.アシッドブラックとしては、例えば、C.I.アシッドブラック2、7、24、26、31、52、63、112および118等があげられる。前記C.I.アシッドブルーとしては、例えば、C.I.アシッドブルー9、22、40、59、93、102、104、117、120、167、229および234等があげられる。前記C.I.アシッドレッドとしては、例えば、C.I.アシッドレッド1、6、32、37、51、52、80、85、87、92、94、115、180、256、289、315および317等があげられる。前記C.I.アシッドイエローとしては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、17、23、25、29、42、61および71等があげられる。前記C.I.アシッドオレンジとしては、例えば、C.I.アシッドオレンジ7および19等があげられる。前記C.I.アシッドバイオレットとしては、例えば、C.I.アシッドバイオレット49等があげられる。前記C.I.ベーシックブラックとしては、例えば、C.I.ベーシックブラック2等があげられる。前記C.I.ベーシックブルーとしては、例えば、C.I.ベーシックブルー1、3、5、7、9、24、25、26、28および29等があげられる。前記C.I.ベーシックレッドとしては、例えば、C.I.ベーシックレッド1、2、9、12、13、14および37等があげられる。前記C.I.ベーシックバイオレットとしては、例えば、C.I.ベーシックバイオレット7、14および27等があげられる。前記C.I.フードブラックとしては、例えば、C.I.フードブラック1および2等があげられる。これらの染料は、例えば、鮮明性、水溶性および安定性等の特性に優れる。前記条件(I)を満たす染料以外の染料は、1種類だけ用いてもよいし、2種類以上用いてもよい。
【0021】
前記インクは、染料以外の着色剤を含んでもよい。前記染料以外の着色剤としては、例えば、顔料等があげられる。
【0022】
前記水は、イオン交換水または純水であることが好ましい。前記インク全体に対する前記水の配合量(水割合)は、所望のインク特性等に応じて適宜決定される。前記水割合は、例えば、他の成分の残部としてもよい。
【0023】
前記インク全体に対する前記Mgイオンの配合量は、前述のとおり、前記条件(I)を満たす染料の総モル量に対して50mol%以上であり、好ましくは、50mol%〜200mol%であり、より好ましくは、60mol%〜110mol%である。前記Mgイオンのカウンターイオンは、例えば、塩化物イオン(Cl)、臭化物イオン(Br)および硫酸イオン(SO2−)等があげられる。前記Mgイオンは、例えば、MgCl、MgBrまたはMgSO等の塩の形態で、前記インクに配合されてもよい。
【0024】
前記インクは、さらに、インクジェットヘッドのノズル部におけるインクの乾燥を防止する湿潤剤および被記録媒体上での乾燥速度を調整する浸透剤を含むことができる。
【0025】
前記湿潤剤は、限定されず、例えば、メチルアルコール、エチルアルコール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール等の低級アルコール;ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド等のアミド;アセトン等のケトン;ジアセトンアルコール等のケトアルコール;テトラヒドロフラン、ジオキサン等のエーテル;ポリアルキレングリコール、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコール;2−ピロリドン;N−メチル−2−ピロリドン;1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン等があげられる。前記ポリアルキレングリコールは、限定されず、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等があげられる。前記アルキレングリコールは、限定されず、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、チオジグリコール、ヘキシレングリコール等があげられる。これらの中でも、アルキレングリコール、グリセリン等の多価アルコールが好適である。前記湿潤剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を併用してもよい。
【0026】
前記インク全体に対する前記湿潤剤の配合量(湿潤剤割合)は、例えば、0重量%〜95重量%であり、好ましくは、10重量%〜80重量%であり、より好ましくは、10重量%〜50重量%である。
【0027】
前記浸透剤は、限定されず、例えば、グリコール系エーテルがあげられる。前記グリコール系エーテルは、限定されず、例えば、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコール−n−プロピルエーテル、ジエチレングリコール−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコール−n−ヘキシルエーテル、トリエチレングリコールメチルエーテル、トリエチレングリコールエチルエーテル、トリエチレングリコール−n−プロピルエーテル、トリエチレングリコール−n−ブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、プロピレングリコール−n−プロピルエーテル、プロピレングリコール−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコール−n−ブチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールエチルエーテル、トリプロピレングリコール−n−プロピルエーテル、トリプロピレングリコール−n−ブチルエーテル等があげられる。前記浸透剤は、1種類を単独で用いてもよいし、2種類以上を混合して用いてもよい。
【0028】
前記インク全体に対する前記浸透剤の配合量(浸透剤割合)は、特に制限されず、例えば、0重量%〜20重量%である。前記浸透剤割合を前記範囲とすることで、前記インクの記録紙等の被記録媒体への浸透性を、より好適なものとできる。前記浸透剤割合は、好ましくは、0.1重量%〜15重量%であり、より好ましくは、0.5重量%〜10重量%である。
【0029】
前記インクは、必要に応じて、さらに、従来公知の添加剤を含んでもよい。前記添加剤としては、例えば、界面活性剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、防黴剤等があげられる。前記粘度調整剤は、例えば、ポリビニルアルコール、セルロース、水溶性樹脂等があげられる。
【0030】
前記インクは、例えば、前記染料、水およびMgイオンと、必要に応じて他の添加成分とを、従来公知の方法で均一に混合し、フィルタ等で不溶解物を除去することにより調製できる。
【0031】
前記条件(II)を満たすPZT含有試料としては、例えば、(株)村田製作所製の圧電セラミック材料「ピエゾタイト(登録商標) TX−06−0049(P−7B)」等があげられる。本発明のインクジェット記録用水性インクは、前記条件(II)を満たす腐食しやすいPZTを用いたインクヘッドに対し適用すると本発明の効果を充分に発揮するが、本発明は、これに限定されず、前記条件(II)を満たさないPZTを用いたインクヘッドに対し適用してもよい。
【0032】
つぎに、PZTを用いたインクジェットヘッドの構成の例を、説明する。なお、以下において、圧電素子と圧電アクチュエータは、同義である。図1に、PZTを用いたインクジェットヘッドの一例の断面図を示し、図2に、前記インクジェットヘッドのキャビティユニットの平面図を示す。図1および図2において、同一箇所には同一符号を付している。
【0033】
図1に示すインクジェットヘッド100は、金属製の複数枚のプレートを備えるキャビティユニット30にプレート型の圧電アクチュエータ20が接合され、この圧電アクチュエータ20の上面に外部機器との接続のためのフレキシブルフラットケーブル24が重ね接合されている。そして、キャビティユニット30の下面側に開口されたノズル50から、下向きにインクが噴射するものである。
【0034】
前記キャビティユニット30は、図1に示すように、ノズルプレート31、スペーサプレート32、2枚のマニホールドプレート33a、33b、ベースプレート34、およびキャビティプレート35の合計6枚の薄い板をそれぞれ接着剤にて重ね接合した構造となっている。
【0035】
各プレート31〜35は、50〜150μm程度の厚さを有し、42合金(ニッケル含有量:約42%、鉄含有量:約58%)鋼板製である。前記ノズルプレート31には、微小径(25μm程度)のインク噴射用のノズル50が微小間隔で多数個穿設されている。このノズル50は、前記ノズルプレート31における長辺方向(図1の紙面に垂直な方向、図2のX方向)に沿って、千鳥配列状で2列に配列されている。
【0036】
また、前記キャビティプレート35は、複数の圧力室45がキャビティプレート35の長辺方向に沿って、千鳥配列状で2列に配列されている。本例では、前記各圧力室45は、平面視細長形状に形成され、その長手方向がキャビティプレート35の短辺方向に沿うようにして穿設され、長手方向の一端部45aがノズル50と連通し、他端部45bが後述する共通インク室49と連通する。
【0037】
各圧力室45における一端部45aは、ベースプレート34、2枚のマニホールドプレート33b、33a、スペーサプレート32に、同じく千鳥配列状にて穿設されている微小径の連通孔46を介して、ノズルプレート31における前記各ノズル50に連通している。
【0038】
キャビティプレート35の下面に隣接するベースプレート34には、各圧力室45の他端部45bに接続する絞り部48が穿設されている。
【0039】
この絞り部48は、後述する共通インク室49から前記各圧力室45へインクを供給し、流路抵抗となるように断面積を小さくして形成されている。
【0040】
2枚のマニホールドプレート33a、33bには、その長辺方向に沿って長い2つの共通インク室49が前記ノズル50の各列に沿って延びるように板厚を貫通して形成されている。すなわち、図1に示すように、2枚のマニホールドプレート33a、33bを積層し、かつその上面をベースプレート34で覆い、下面をスペーサプレート32にて覆うことにより、合計2つの共通インク室(マニホールド室)49が密閉状に形成される。各共通インク室49は、各プレートの積層方向から平面視したときに、図2のように前記圧力室45の一部と重なって圧力室45の列方向(ノズル50の列方向)に沿って長く延びている。
【0041】
各共通インク室49の一端部は、インク供給口(図示せず)を介してインク供給源に連通している。
【0042】
インク供給口からノズル50に至るインク流通路では、インクは、インク供給口からインク供給チャンネルとしての共通インク室49に供給された後、ベースプレート34の絞り部48を経由して各圧力室45に分配供給される。そして、圧電アクチュエータ20の駆動により、インクは各圧力室45内から前記連通孔46を通って、その圧力室45に対応するノズル50に至るという構成になっている。
【0043】
一方、圧電アクチュエータ20は、特開平4−341853号公報等に開示された公知のものと同様に、複数枚の圧電シート21を積層した構造で、1枚の厚さが30μm程度の各圧電シートのうち下から偶数段目の圧電シート21bの上面(広幅面)には、前記キャビティユニット30における各圧力室45に対応した箇所ごとに細幅の個別電極23が長辺方向に沿って列状に形成されている。下から奇数段目の圧電シート21aの上面(広幅面)には、複数個の圧力室45に対して共通の共通電極22が形成されている。
【0044】
そして、このような構成のプレート型の圧電アクチュエータ20は、前記キャビティユニット30に対して、その各個別電極23を前記キャビティユニット30における各圧力室45の各々に対応させて接着・固定される。また、この圧電アクチュエータ20における上側の表面には、前記各電極に接続される配線パターンを有する前記フレキシブルフラットケーブル24が固定される。
【0045】
図1および図2に示すインクジェットヘッドでは、前記圧力室45の上部開口51に前記圧電シート21aが直接接触している。このため、前記共通インク室49に前記インクを収容した場合、前記圧力室45で、前記インクと前記圧電シート21aが、直接接触するが、前記インクにより、前記圧電シート21aは腐食されない。
【0046】
つぎに、本発明のインクジェット記録装置について説明する。本発明のインクジェット記録装置の構成は、例えば、従来公知のインクジェット記録装置と同様であってもよい。
【0047】
図3に、本発明のインクジェット記録装置の一例の構成を示す。図示のとおり、このインクジェット記録装置1は、4つのインクカートリッジ2と、インクジェットヘッド3と、ヘッドユニット4と、キャリッジ5と、駆動ユニット6と、プラテンローラ7と、パージ装置8とを主要な構成部材として含む。前記インクジェットヘッド3は、例えば、図1および図2に示すインクジェットヘッドである。
【0048】
前記4つのインクカートリッジ2は、イエロー、マゼンタ、シアンおよびブラックの4色のインクを、それぞれ1色ずつ含む。例えば、前記4色のインクが、それぞれ、前記インクである。前記インクジェットヘッド3は、記録紙等の被記録媒体Pに印字を行う。前記ヘッドユニット4は、前記インクジェットヘッド3を備えている。前記キャリッジ5には、前記4つのインクカートリッジ2および前記ヘッドユニット4が搭載される。前記駆動ユニット6は、前記キャリッジ5を直線方向に往復移動させる。前記プラテンローラ7は、前記キャリッジ5の往復方向に延び、前記インクジェットヘッド3と対向して配置されている。
【0049】
前記駆動ユニット6は、キャリッジ軸9と、ガイド板10と、2つのプーリ11および12と、エンドレスベルト13とを含む。前記キャリッジ軸9は、前記キャリッジ5の下端部に配置され、前記プラテンローラ7と平行に延びている。前記ガイド板10は、前記キャリッジ5の上端部に配置され、前記キャリッジ軸9と平行に延びている。前記2つのプーリ11および12は、前記キャリッジ軸9と前記ガイド板10との間であって、前記キャリッジ軸9の両端部に配置されている。前記エンドレスベルト13は、前記2つのプーリ11および12の間に掛け渡されている。
【0050】
このインクジェット記録装置1において、前記プーリ11がキャリッジモータ101の駆動により正逆回転されると、前記プーリ11の正逆回転に伴って、前記エンドレスベルト13に接合されている前記キャリッジ5が、前記キャリッジ軸9および前記ガイド板10に沿って、直線方向に往復移動する。
【0051】
前記被記録媒体Pは、このインクジェット記録装置1の側方又は下方に設けられた給紙カセット(図示せず)から給紙される。前記被記録媒体Pは、前記インクジェットヘッド3と、前記プラテンローラ7との間に導入される。すると、前記被記録媒体Pに、前記インクジェットヘッド3から吐出されるインクにより所定の印字がなされる。前記被記録媒体Pは、その後、前記インクジェット記録装置1から排紙される。図3においては、前記被記録媒体Pの給紙機構及び排紙機構の図示を省略している。
【0052】
前記パージ装置8は、前記プラテンローラ7の側方に設けられ、前記ヘッドユニット4がリセット位置(この例においては、前記パージ装置8の上部)にある時に、前記インクジェットヘッド3と対向するように配置されている。前記パージ装置8は、パージキャップ14と、ポンプ15およびカム16と、インク貯留部17とを含む。前記パージキャップ14は、前記ヘッドユニット4が前記リセット位置にある時に、前記インクジェットヘッド3の複数のノズル(図示せず)を覆う。前記ポンプ15は、前記カム16の駆動により前記インクジェットヘッド3の内部に溜まる気泡等を含んだ不良インクを吸引する。これにより、前記インクジェットヘッド3の回復が図られる。前記吸引された不良インクは、前記インク貯留部17に貯められる。
【0053】
前記パージ装置8の前記プラテンローラ7側の位置には、前記パージ装置8に隣接してワイパ部材19が配設されている。前記ワイパ部材19は、へら状に形成されており、前記キャリッジ5の移動に伴って、前記インクジェットヘッド3のノズル形成面を拭うものである。図3において、キャップ18は、インクの乾燥を防止するため、印字が終了すると前記リセット位置に戻される前記インクジェットヘッド3の複数のノズルを覆うものである。
【0054】
この例のインクジェット記録装置1においては、前記4つのインクカートリッジ2は、1個のキャリッジ5に搭載されている。ただし、本発明は、これに限定されない。本発明のインクジェット記録装置において、前記4つのインクカートリッジは、複数のキャリッジに搭載されていてもよい。また、前記インクカートリッジは、前記キャリッジには搭載されず、インクジェット記録装置内に配置、固定されていてもよい。この態様においては、例えば、前記インクカートリッジと、前記キャリッジに搭載された前記ヘッドユニットとが、チューブ等により連結され、前記インクカートリッジから前記ヘッドユニットに前記インクが供給される。
【0055】
本発明のインクジェット記録装置は、図3に示したシリアル型インクジェット記録装置であってもよいし、ライン型インクジェット記録装置であってもよい。
【0056】
つぎに、本発明の腐食防止剤および本発明のインクジェットヘッド腐食防止方法において、腐食防止対象のPZT、染料等の各種成分の種類、配合量および形態等は、前記本発明のインクジェット記録用水性インクと同様にすることができる。
【実施例】
【0057】
つぎに、本発明の実施例について比較例と併せて説明する。なお、本発明は、下記の実施例および比較例によってなんら限定ないし制限されない。
【0058】
[実施例1〜11および比較例1〜15]
インク組成成分(表1および表2)を、均一に混合した。その後、得られた混合物を、東洋濾紙(株)製のセルロースアセテートタイプメンブレンフィルタ(孔径1.00μm)でろ過することで、実施例1〜11および比較例1〜15のインクジェット記録用水性インクを得た。
【0059】
実施例および比較例のインクについて、平板形状の試験片((株)村田製作所製の圧電セラミック材料「ピエゾタイト(登録商標) TX−06−0049(P−7B)」;サイズ:32.8mm×22.3mm×0.3mm;表面積:1495.94mm)を、下記条件(i)〜(k)で実施例および比較例のインクに浸漬させ、前記試験片から前記各インク中へのPb溶出量(PZT浸漬試験Pb溶出量)を、ICP発光分光分析装置((株)島津製作所製、ICPE−9000)を用いて測定した。

(i)実施例および比較例のインク量(Z):
Z=前記試験片の表面積(mm)×0.017(g/mm)(=25.4g)
(j)前記インク温度:70℃
(k)浸漬時間:5日間

【0060】
なお、前記試料片を、下記条件(e)〜(h)でEDTA・2Na水溶液に浸漬した場合の、前記EDTA・2Na水溶液中への前記試験片からのPb溶出量は、200〜290ppmであった。

(e)前記EDTA・2Na水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(f)前記EDTA・2Na水溶液量(Y):
Y=前記試験片の表面積(mm)×0.017(g/mm)(=25.4g)
(g)前記EDTA・2Na水溶液温度:70℃
(h)浸漬時間:5日間

【0061】
実施例のインク組成および測定結果を表1に示す。また、比較例のインク組成および測定結果を表2に示す。さらに、実施例および比較例の測定結果に基づく、染料の総モル量に対するMgイオンのモル量と、前記試験片からのPb溶出量との関係を図4に示す。
【0062】
【表1】

【0063】
【表2】

【0064】
表1、2および図4に示すように、染料の総モル量に対するMgイオンのモル量が50mol%以上である実施例1〜11のインクは、前記Pb溶出量が、3.9ppm以下と少なかった。一方、Mgイオンを含まない比較例1、5および6のインクは、前記Pb溶出量が多かった。また、Mgイオンに代えて、ナトリウムイオンまたはカリウムイオンを含む比較例2〜4のインクは、前記Pb溶出量が多かった。そして、染料の総モル量に対するMgイオンのモル量が50mol%未満である比較例7および8のインクは、前記Pb溶出量が多かった。さらに、Mgイオンに代えて、鉄イオン、アルミニウムイオン、銅イオンまたは亜鉛イオンを含む比較例9〜13のインクは、前記インクの調製直後に前記インクに析出物を生じ、前記インクの安定性に劣っていた。さらに、Mgイオンに代えて、ニッケルイオンまたはコバルトイオンを含む比較例14および15のインクは、前記インクを調製した翌日に前記インクに析出物を生じ、前記インクの安定性に劣っていた。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】図1は、PZTを用いたインクジェットヘッドの構成の一例を示す断面図である。
【図2】図2は、図1におけるインクジェットヘッドのキャビティユニットを示す平面図である。
【図3】図3は、本発明のインクジェット記録装置の構成の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明の実施例における染料の総モル量に対するMgイオンのモル量と、試験片からのPb溶出量との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0066】
1 インクジェット記録装置
2 インクカートリッジ
3 インクジェットヘッド
4 ヘッドユニット
5 キャリッジ
6 駆動ユニット
7 プラテンローラ
8 パージ装置
9 キャリッジ軸
10 ガイド板
20 圧電アクチュエータ
21 圧電シート
22 共通電極
23 個別電極
30 キャビティユニット
31 ノズルプレート
32 スペーサプレート
33a、33b マニホールドプレート
34 ベースプレート
35 キャビティプレート
45 圧力室
46 連通孔
48 絞り部
49 共通インク室
50 ノズル
100 インクジェットヘッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録装置に用いるインクジェット記録用水性インクであって、
前記インクは、下記条件(I)を満たす染料、水およびマグネシウムイオンを含み、
前記マグネシウムイオンの配合量が、前記条件(I)を満たす染料の総モル量に対し50mol%以上であることを特徴とするインクジェット記録用水性インク。

条件(I):下記条件(II)を満たすチタン酸ジルコン酸鉛含有試料を下記条件(a)〜(d)で染料水溶液に浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量が、3ppm〜10ppmである。
(a)前記染料水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(b)前記染料水溶液量(X):X=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(c)前記染料水溶液温度:70℃
(d)浸漬時間:5日間

条件(II):チタン酸ジルコン酸鉛含有試料を下記条件(e)〜(h)でエチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液に浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量が、180ppm〜300ppmである。
(e)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(f)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液量(Y):Y=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(g)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液温度:70℃
(h)浸漬時間:5日間

【請求項2】
さらに、下記条件(III)を満たす請求項1記載のインクジェット記録用水性インク。

条件(III):前記条件(II)を満たす試料を下記条件(i)〜(k)で前記インクに浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量が、4ppm以下である。
(i)前記インク量(Z):Z=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(j)前記インク温度:70℃
(k)浸漬時間:5日間

【請求項3】
前記条件(I)を満たす染料が、C.I.ダイレクトイエロー86およびC.I.ダイレクトイエロー132の少なくとも一方を含む請求項1または2記載のインクジェット記録用水性インク。
【請求項4】
インク収容部およびインク吐出手段を含み、前記インク収容部に収容されたインクを前記インク吐出手段により吐出するインクジェット記録装置であって、
前記インク収容部に、請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録用水性インクが、収容されていることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
インクジェットヘッドの染料インクによる腐食を防止するための腐食防止剤であって、
前記染料インクは、下記条件(I)を満たす染料を含み、
前記腐食防止剤は、マグネシウムイオンを含み、
前記マグネシウムイオンの含有量は、下記条件(I)を満たす染料の総モル量に対し50mol%以上となる量であることを特徴とする腐食防止剤。

条件(I):下記条件(II)を満たすチタン酸ジルコン酸鉛含有試料を下記条件(a)〜(d)で染料水溶液に浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量が、3ppm〜10ppmである。
(a)前記染料水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(b)前記染料水溶液量(X):X=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(c)前記染料水溶液温度:70℃
(d)浸漬時間:5日間

条件(II):チタン酸ジルコン酸鉛含有試料を下記条件(e)〜(h)でエチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液に浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量が、180ppm〜300ppmである。
(e)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(f)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液量(Y):Y=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(g)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液温度:70℃
(h)浸漬時間:5日間

【請求項6】
インクジェットヘッドの染料インクによる腐食を防止するインクジェットヘッド腐食防止方法であって、
前記染料インクが、下記条件(I)を満たす染料および請求項5記載の腐食防止剤を含むことを特徴とするインクジェットヘッド腐食防止方法。

条件(I):下記条件(II)を満たすチタン酸ジルコン酸鉛含有試料を下記条件(a)〜(d)で染料水溶液に浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量が、3ppm〜10ppmである。
(a)前記染料水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(b)前記染料水溶液量(X):X=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(c)前記染料水溶液温度:70℃
(d)浸漬時間:5日間

条件(II):チタン酸ジルコン酸鉛含有試料を下記条件(e)〜(h)でエチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液に浸漬した場合、前記試料からの鉛溶出量が、180ppm〜300ppmである。
(e)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液濃度:5.6×10−3mol/L
(f)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液量(X):X=前記試料の表面積(mm)×0.017(g/mm
(g)前記エチレンジアミン四酢酸・二ナトリウム塩水溶液温度:70℃
(h)浸漬時間:5日間

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2010−77277(P2010−77277A)
【公開日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−247114(P2008−247114)
【出願日】平成20年9月26日(2008.9.26)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】