説明

インクジェット記録用非水系インク組成物

【課題】貯蔵安定性に優れるだけでなく、低温環境下でも、サテライトを発生すること無く印刷することができる、非水系インク組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】インクジェット記録用の非水系インク組成物であって、該非水系インク組成物質量に対し5〜15質量%の顔料、該顔料に対する質量比0.2〜2.0の顔料分散剤、及び有機溶剤を含み、該顔料分散剤が
(A)ポリエステル側鎖を有するポリアミド及び/又はビニルピロリドンと炭素数10〜40のアルケンとの共重合体、及び
(B)炭素数12〜25のアルキル基と、含窒素基とを有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体
を含み、
分散剤(A)と分散剤(B)の合計質量に対する分散剤(B)の質量比である(B)/[(A)+(B)]が、0.75〜0.99であることを特徴とする非水系インク組成物。
なし

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録用の非水系インク組成物に関し、詳細には、所定の分散剤の組み合わせを含むことで、サテライトの発生が少ない非水系インク組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドに設けられたインク室に圧力を付与して、インク室内のインクの液滴をノズルから吐出する。ノズルから吐出されたインクの液滴は尾を引く形で飛翔し、この飛翔する液滴の先頭部分と後尾部分との間に飛翔時間差や速度差が生じる。このため、先行する主たる液滴に付随して、好ましくない微小液滴(サテライト)が発生することがある。特に非水系インクは動的表面張力が低いので、サテライトを発生し易い。さらに、高速プリンタの場合には、駆動周波数が高いので、サテライトを発生し易く、印刷画像の汚れが顕著になる。
【0003】
該サテライトをなくすために、非水系インクジェットインクに、スルホン酸基、又は硫酸基等の基を有する塩化ビニル樹脂を配合することが提案されている(特許文献1)。サテライトが防止される理由として、スルホン酸基等が顔料に吸着し、顔料分散体の立体障害効果を向上させて顔料の凝集を防ぎ、保存安定性の低下を起こし難く、また、連続出射を行ってもサテライトを悪化させないことが推定されている。
【0004】
ところで、顔料の凝集を防ぐために、溶剤中に樹脂を分散させた状態で配合することが行われている。該樹脂としては、例えば、ポリ(メタ)アクリル酸C1−4アルキルエステルをコアとし、ポリ(メタ)アクリル酸C4−10アルキルエステルをシェルとして有する樹脂粒子(特許文献2)、ポリ(メタ)アクリル酸C12−25アルキルエステルと、グリシジル基等の所定の基を有するアクリルモノマーとの共重合体樹脂粒子で、顔料分散能も備えるもの(特許文献3)、さらに、ポリ(メタ)アクリル酸C12−25アルキルエステルに、所定量のウレタン結合部を導入することによって、顔料分散能等の点でさらに改良された共重合体樹脂が提案されている(特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−326930号公報
【特許文献2】特開2005−171032号公報
【特許文献3】特開2007−197500号公報
【特許文献4】特開2010−1452号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、上記分散樹脂を含むインクであってもサテライトの抑制、特に環境温度が低い場合、については満足の行くものではなく、また、貯蔵安定性の点でも改良の余地がある。そこで、本発明は、貯蔵安定性に優れるだけでなく、低温環境下でも、サテライトを発生すること無く印刷することができる、非水系インク組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
即ち、本発明は、インクジェット記録用の非水系インク組成物であって、該非水系インク組成物質量に対し5〜15質量%の顔料、該顔料に対する質量比0.2〜2.0の顔料分散剤、及び有機溶剤を含み、該顔料分散剤が
(A)ポリエステル側鎖を有するポリアミド及び/又はビニルピロリドンと炭素数10〜40のアルケンとの共重合体、及び
(B)炭素数12〜25のアルキル基と、含窒素基とを有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体
を含み、
分散剤(A)と分散剤(B)の合計質量に対する分散剤(B)の質量比である(B)/[(A)+(B)]が、0.75〜0.99であることを特徴とする非水系インク組成物である。
【発明の効果】
【0008】
上記本発明の非水系インク組成物(以下、単に「インク組成物」という場合がある)は、特定の分散剤(A)と分散剤(B)の組合わせを所定比で含むことによって、温度に因る粘度変化を抑制し、また、顔料の良好な分散を維持し、それによって、低温下でもサテライトを発生せず、且つ、良好な貯蔵安定性を達成するものと考えられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<分散剤(A)>
分散剤(A)は、ポリエステル側鎖を有するポリアミド及び/又はビニルピロリドンと炭素数10〜40のアルケンとの共重合体である。ポリエステル側鎖を有するポリアミドは、例えばポリエチレンイミンのような窒素原子を含有する主鎖を備え、かつ、該窒素原子を含むアミド結合により主鎖と結合したポリエステル構造を含む側鎖を複数備える分散剤である。例えば、特開平5−177123号公報(米国特許第4,645,611号明細書)に開示されている、ポリエチレンイミンなどのポリアルキレンイミンからなる主鎖に、該主鎖の窒素原子に結合された下記式(1)
【化1】

(ここで、RはC〜Cアルキレン基である)
で表される繰り返し単位を3〜80個有する側鎖を備える、櫛形分散剤が挙げられる。斯かる構造のポリアミド系分散剤は、日本ルーブリゾール社製ソルスパース11200、ソルスパース28000(何れも商品名)などの市販品として入手可能である。
【0010】
ビニルピロリドン(VP)と炭素数10〜40のアルケンとの共重合体(以下、これを「アルキル化PVP」という場合がある。)において、該アルケンの例としては、デセン、ウンデセン、ドデセン、トリデセン、テトラデセン、ペンタデセン、ヘキサデセン、ヘプタデセン、オクタデセン、ノナデセン、イコセン、エイコセン、ドコセン、およびトリアコンテン等が挙げられる。なかでも、炭素数12〜24のアルケンとの共重合体であることが、分散安定性の観点から好ましく、VP−ヘキサデセン共重合体、VP−エイコセン共重合体、VP−トリアコンテン共重合体などを用いることが好ましい。共重合体には、複数種のアルケンが含まれていてもよい。VPとアルケンとの共重合比(モル比)は、極性を適切に制御する観点から、VP:アルケンが1:9以上5:5未満であることが好ましく、2:8〜4:6であることがより好ましい。アルキル化PVPの分子量(重量平均分子量、GC法測定、標準ポリスチレン換算)は、3,000〜50,000であることが好ましく、5,000〜30,000であることがより好ましい。市販品としては、VP−ヘキサデセン共重合体として、ISP社製、Antaron V−216およびGanex V−216、Induchem社製Unimer U−151が挙げられ、VP−エイコセン共重合体としては、ISP社製Antaron V−220およびGanex V−220、Induchem社製 Unimer U−15が挙げられる。インクには、複数種のアルキル化PVPが含まれていてもよい。
【0011】
<分散剤(B)>
分散剤(B)は、炭素数12〜25のアルキル基と、含窒素基とを有する、アルキル(メタ)アクリレート共重合体である。分散剤(B)は、インク組成物中の有機溶剤との親和性を有する炭素数12〜25のアルキル基と、顔料との親和性を有する含窒素基とを備え、有機溶剤中に分散された状態で、顔料の分散剤として機能する。
【0012】
炭素数12〜25のアルキル基としては、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコサニル基、ヘンイコサニル基、ドコサニル基、イソドデシル基、及びイソオクタデシル基等が挙げられ、これらは分岐を有していてよく、また、これらの複数種が含まれていてもよい。
【0013】
含窒素基としては、アミノ基、アルキルアミノ基、アミド基、ウレタン基(又はアミノカルボニルオキシ基)、ウレイド基、カルバモイル基、アンモニウム基、イミド基、N−モルホリル基、N−ピペリジル基、及びニトリル基等が挙げられる。
【0014】
好ましい分散剤(B)の第1のものは、下記式(2)の繰り返し単位を含む主鎖と、下記式(3)の繰り返し単位を含む、ウレタン構造の側鎖もしくは架橋部(以下「ウレタン結合部」という)を有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体である(以下、「ウレタン基含有(メタ)アクリレート共重合体」という)。
【化2】

【化3】

ここで、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基、Rは炭素数12〜25のアルキル基、Rは炭素数6〜16の2価の炭化水素基、Rは炭素数2〜20のアルキレン基もしくはオキシアルキレン基である。
【0015】
該ウレタン含有(メタ)アクリレート共重合体は、以下の方法で得ることができる。第一段目において、式(2)のポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖を、炭素数12〜25のアルキル基を備える(メタ)アクリレートモノマーをラジカル重合させて得る。
【0016】
第一段目において、コモノマーの一つとして、グリシジル基を有する(メタ)アクリル系単量体を用いてラジカル重合を行い、該グリシジル基を、式(3)のウレタン結合部と主鎖との連結部の調製に用いる。グリシジル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、グリシジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのグリシジルエーテル、例えば、4−ヒドロキシブチルアクリレートグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらのうち、グリシジルメタアクリレートが好ましい。該グリシジル基を有する(メタ)アクリル系単量体は、単量体総量の1〜30質量%で含まれていることが好ましく、より好ましくは3〜25質量%、最も好ましくは10〜20質量%である。
【0017】
さらに、コモノマーとして、β−ジケトン基(−C(=O)−C−C(=O)―)またはβ−ケト酸エステル基(−C(=O)−C−C(=O)OR、Rは炭化水素基)を有する(メタ)アクリル系単量体を用いると、より粘度が低いインク組成物を調製することが可能となる。これにより、インク組成物の溶剤を選択する際に、溶剤自身の粘度値に基づく制約が少なくなり、非水系溶剤の選択の幅を拡げることができる。また、必要に応じて定着用樹脂または添加剤などを配合する際の、配合成分によるインク粘度増加の許容範囲が広がり、インク処方の自由度を広げることも可能となる。さらに、β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基が顔料の凝集を抑制し、裏抜けを抑制すると同時に印刷濃度の向上を実現できる。
【0018】
β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリル系単量体としては、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリレート等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリレート、ヘキサジオン(メタ)アクリレート、アセトアセトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のアセトアセトキシアルキル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらは単独で、または2種以上を併用することができる。
【0019】
β−ジケトン基またはβ−ケト酸エステル基を有する(メタ)アクリル系単量体の配合量は、モノマー混合物中に3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましい。
【0020】
その他、コモノマーとしては、たとえば、スチレン、α−メチルスチレン等のスチレン系モノマー;酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル系ポリマー;マレイン酸エステル、フマル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−オレフィン等が挙げられる。また、アルキル鎖長の炭素数が12未満のアルキル(メタ)アクリレート、たとえば2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、tert−オクチル(メタ)アクリレート等を使用することもできる。これらは単独で、または2種以上を組み合わせて使用できる。
【0021】
第一段目のラジカル重合は、有機溶剤中で行うことが好ましい。また、分子量を調整するために、重合時に連鎖移動剤を併用することが有効である。連鎖移動剤としては、たとえば、n−ブチルメルカプタン、ラウリルメルカプタン、ステアリルメルカプタン、シクロヘキシルメルカプタンなどのチオール類が用いられる。
【0022】
重合開始剤としては、AIBN(アゾビスイソブチロニトリル)等のアゾ化合物、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート(パーブチルO、日油社製)等の過酸化物など、公知の熱重合開始剤を使用することができる。その他にも、活性エネルギー線照射によりラジカルを発生する光重合型開始剤を用いることができる。溶液重合に用いる重合溶媒には、たとえば石油系溶剤(アロマフリー(AF)系)などを使用できる。この重合溶媒は、そのままインクの非水系溶剤として使用できる溶媒(後述)のなかから1種以上を選択することが好ましい。重合反応に際し、通常使用される重合禁止剤、重合促進剤、分散剤等を反応系に添加することもできる。
【0023】
第二段目では、第一段目で得られた、グリシジル基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖と、該グリシジル基と反応性の基及びアルコール性水酸基を有する化合物を反応させて、式(3)のウレタン結合部をアルキル(メタ)アクリレート主鎖に結合する連結部分を形成する。該グリシジル基と反応性の基及びアルコール性水酸基を有する化合物としては、アミノ基、又はカルボキシル基を有するアルコールが挙げられ、好ましくはアミノアルコールが使用される。アミノアルコールとしては、炭素数が2〜10のモノオールアミン、例えばモノメチルエタノールアミン、炭素数が4〜20のジオールアミン、例えばジエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、及びこれらの混合物が挙げられ、なかでも、炭素数が4〜20のジアルカノールアミン、特にジエタノールアミンが好ましい。アミノアルコールは、上記グリシジル基1モルに対して、0.05〜1モル当量で反応させることが好ましく、0.1〜1モル当量で反応させることがより好ましい。
【0024】
第二段目の反応は、第一段目で得られる共重合体溶液にアミノアルコール及び/又は多価アルコールを添加して、不活性ガスを通気して攪拌しながら、加熱することによって行うことができる。
【0025】
第三段目では、第二段目で得られたアルコール性水酸基を有するポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖に、多価イソシアネートを反応させる。これにより、第二段目で炭素数4〜20のジアルカノールアミンを用いた場合には、下記式(7)で表される連結部が形成される。
【化4】

ここで、R、R、及びRは上述のとおりであり、Rは炭素数2〜10のアルキル基であり、k=0且つm=2又はk=m=1である。残ったイソシアネート基を多価アルコールと反応させて、ウレタン結合部を構成する。多価アルコールは、第二段目で添加しておいてもよい。該多価アルコールは、グリシジル基とはほとんど反応しないと考えられるが、多少、反応したとしても問題は無い。該多価アルコールとしては、炭素数2〜20のアルキレン基又はオキシアルキレン基を有する多価アルコール、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3プロパンジオール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、及びこれらの混合物が挙げられる。多価アルコールは、該グリシジル基と反応性の基とアルコール性水酸基を有する化合物における、該グリシジル基と反応性の基1モルに対して、好ましくはアルコール性水酸基が10モル以下になる量、より好ましくは1〜5モルになる量で用いる。
【0026】
第三段目の反応で使用される多価イソシアネート化合物としては、炭素数6〜16のアルキレン基等の脂肪族基、シクロアルキレン基等の脂環式基又はアリレーン基等の芳香族基を有する多価イソシアネート、例えば、1,6−ジイソシアナートへキサン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)ベンゼン、1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、1,5−ナフタレンジイソシアネート、及びこれらの混合物が挙げられる。該イソシアネート化合物は、未反応アルコール性水酸基が残らないようにするために、アルコール性水酸基に対してほぼ当量(0.98〜1.02モル当量)で反応させることが好ましい。
【0027】
第三段目の反応は、第二段目で得られる共重合体溶液に多価イソシアネート化合物を添加し、定法に従い錫触媒等の触媒の存在下で加熱して行うことができる。
【0028】
該ウレタン結合部は、該ウレタン含有(メタ)アクリレート共重合体中に、1〜40質量%、好ましくは1〜30質量%で、より好ましくは5〜20質量%で含まれる。該ウレタン結合部の質量は、反応に使用したアミノアルコール、多価アルコールとイソシアネート化合物の合計質量である。
【0029】
該ウレタン含有(メタ)アクリレート共重合体は、GPCで測定される重量平均分子量が5,000〜50,000、好ましくは8,000〜30,000である。該分子量が前記下限値未満のものを使用すると、インク組成物の貯蔵安定性が悪くなる傾向があり、前記上限値を超えるものを使用すると、インク組成物の粘度が高く、インクジェット吐出安定性が悪くなる傾向がある。
【0030】
好ましい分散剤(B)の第2のものは、上記式(2)の繰り返し単位と、下記式(4)
【化5】

(ここで、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基である。)
の繰り返し単位を含むアルキル(メタ)アクリレート共重合体(以下、「モルホリル基含有(メタ)アクリレート共重合体」という)である。
【0031】
該モルホリル基含有(メタ)アクリレート共重合体は、上記式(2)、(4)の繰り返し単位に加えて、下記式(5)
【化6】

(ここで、Rは水素原子である)
で表される繰り返し単位を有することができる。
【0032】
該モルホリル基含有(メタ)アクリレート共重合体は、上記ウレタン含有(メタ)アクリレート共重合体と同様の第一段目の反応を行なって得られるポリアルキル(メタ)アクリレート主鎖に、アクリロイルモルホリン、さらに所望によりアクリル酸を重合させることによって得ることができる。この際、他の(メタ)クリレートコモノマー、例えばメタクリル酸メチル、アクリル酸ブチル等を添加してもよい。各繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対して、繰り返し単位(2)が45〜95モル%、同(4)が1〜10モル%、同(5)が3〜30モル%であることが好ましい。得られるモルホリル基含有(メタ)アクリレート共重合体は、ウレタン含有(メタ)アクリレート共重合体と同様の理由から、GPCで測定される重量平均分子量が5,000〜50,000、好ましくは8,000〜30,000である。
【0033】
好ましい分散剤(B)の第3のものは、上記式(2)で表される繰り返し単位と、下記式(6)
【化7】

で表される繰り返し単位を含む、アルキル(メタ)アクリレート共重合体(以下、「アミノ基含有(メタ)アクリレート共重合体」という)である。式(6)において、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、好ましくはメチル基、であり、Rは炭素数1〜6、好ましくは2〜4のアルキレン基、R及びRは互いに独立に炭素数1〜6、好ましくは1〜3、のアルキル基である。
【0034】
該アミノ基含有(メタ)アクリレート共重合体は、上記繰り返し単位(2)及び(6)に加えて、上記式(5)の繰り返し単位及び/又は末端にメタクリロイル基を有する、ポリスチレンマクロモノマーもしくはポリスチレン−アクリルニトリルマクロモノマーから誘導される繰り返し単位を有していてよい。該マクロモノマーとしては、例えば、AS−6、AN−6S(双方とも東亞合成社製、数平均分子量約6,000)を挙げることができる。
【0035】
該アミノ基含有(メタ)アクリレート共重合体は、上記ウレタン含有(メタ)アクリレート共重合体の第一段目の反応と同様に、各単位を形成する(メタ)アクリルモノマーを重合して得ることができる。各繰り返し単位の割合は、全繰り返し単位に対して、繰り返し単位(2)が45〜95モル%、同(6)が3〜40モル%、ポリスチレンマクロマーから誘導される繰り返し単位が0〜2モル%であることが好ましい。得られるアミノ基含有(メタ)アクリレート共重合体は、ウレタン含有(メタ)アクリレート共重合体と同様の理由から、GPCで測定される重量平均分子量が5,000〜50,000、好ましくは8,000〜30,000である。
【0036】
インク組成物中における分散剤(A)と分散剤(B)の量は、それらの合計質量の、顔料の質量に対する質量比が、0.2〜2.0、好ましくは0.2〜1.5、より好ましくは0.2〜1.0となる量である。該質量比が、前記下限値未満では十分な分散効果が得られず、前記上限値を超えては、インク組成物の粘度が高くなり、インクジェット吐出安定性が悪くなる傾向がある。また、分散剤(B)の、分散剤(A)と分散剤(B)の合計に対する質量比、(B)/[(A)+(B)]が、0.75〜0.99、好ましくは0.8〜0.95である。該比が前記上限値を超えては、貯蔵安定性が悪くなり、前記下限値未満では、サテライトが十分に低減されない傾向がある。なお、分散剤(A)及び分散剤(B)は、溶媒中に溶解又は分散された状態でインク組成物に配合されてよく、その場合、上記各質量は分散剤の固形分である。
【0037】
<顔料>
本発明のインク組成物において、顔料は任意のものであってよい。黒色インク用の顔料としては、ファーネスブラック、ランプブラック、アセチレンブラック、チャンネルブラック等のカーボンブラック類;銅、鉄、酸化チタン等の金属類または金属酸化物;オルトニトロアニリンブラック等の有機顔料を挙げることができる。これらは単独で、任意に混合して使用することができる。より高い印刷濃度を得られる点で、JIS K6221に従い測定されるジブチルフタレート(DBP)給油量が80cm/100g〜140cm/100g、且つJIS K6217に従い測定される窒素吸着比表面積が100m/g〜200m/gのカーボンブラック顔料が好ましい。
【0038】
カラーインク用顔料としては、トルイジンレッド、パーマネントカーミンFB、ジスアゾオレンジPMP、レーキレッドC、ブリリアントカーミン6B、キナクリドンレッド、ジオキサンバイオレット、オルトニトロアニリンオレンジ、ジニトロアニリンオレンジ、バルカンオレンジ、トルイジンレッド、塩素化パラレッド、ブリリアントファーストスカーレット、ナフトールレッド23、ビラゾロンレッド、バリウムレッド2B、カルシウムレッド2B、ストロンチウムレッド2B、マンガンレッド2B、バリウムリソームレッド、ピグメントスカーレッド3Bレーキ、レーキボルドー10B、アンソシン3Bレーキ、アンソシン5Bレーキ、ローダミン6Gレーキ、エオシンレーキ、べんがら、ファフトールレッドFGR、ローダミンBレーキ、メチルバイオレッドレーキ、ジオキサジンバイオレッド、ナフトールカーミンFB、ナフトールレッドM、ファストイエローAAA、ファストイエロー10G、ジスアゾイエローAAMX、ジスアゾイエローAAOT、ジスアゾイエローAAOA、ジスアゾイエローHR、イソインドリンイエロー、ファストイエローG、ジスアゾイエローAAA、フタロシアニンブルー、ピクトリアピュアブルー、ベーシックブルー5Bレーキ、ベーシックブルー6Gレーキ、ファストスカイブルー、アルカリブルーRトナー、ピーコックブルーレーキ、紺青、群青、レフレックスブルー2G、レフレックスブルーR、アルカリブルーGトナー、ブリリアントグリーンレーキ、ダイアモンドグリーンチオフラビンレーキ、フタロシアニングリーンG、グリーンゴールド、フタロシアニングリーンY、酸化鉄粉、さびこ、亜鉛華、酸化チタン、炭酸カルシウム、クレー、硫酸バリウム、アルミナホワイト、アルミニウム粉、ブロンズ粉、昼光蛍光顔料、パール顔料等を例示できる、これらは単独で、または任意混合して用いることができる。
【0039】
顔料の平均粒径は、吐出安定性と貯蔵安定性の観点から300nm以下であることが好ましく、150nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。ここで、顔料の平均粒径は、動的光散乱式粒度分布測定装置LB−500(堀場製作所製)等により測定することができる。
【0040】
インク組成物中の顔料の含有量は、印刷濃度とインク粘度の観点から5〜15質量%であることが好ましく、5〜10質量%であることがより好ましい。
【0041】
<有機溶剤>
本発明のインク組成物は、非水系、即ち、顔料分散媒が有機溶剤から成る。該有機溶剤の例には、脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素溶剤等の非極性有機溶剤と、エステル系溶剤、アルコール系溶剤、高級脂肪酸系溶剤、エーテル系溶剤等の極性溶媒が包含される。脂肪族炭化水素溶剤、脂環式炭化水素系溶剤としては、たとえば、テクリーンN−16、テクリーンN−20、テクリーンN−22、日石ナフテゾールL、日石ナフテゾールM、日石ナフテゾールH、0号ソルベントL、0号ソルベントM、0号ソルベントH、日石アイソゾール300、日石アイソゾール400、AF−4、AF−5、AF−6、及びAF−7(いずれもJX日興日石エネルギー社製)、IsoparG、IsoparH、IsoparL、IsoparM、ExxsolD40、ExxsolD80、ExxsolD100、ExxsolD130、及びExxsolD140(いずれもExxonMobil社製)等を挙げることができる。芳香族炭化水素溶剤としては、日石クリーンソルG(アルキルベンゼン、JX日興日石エネルギー社製)、ソルベッソ200(ExxonMobil社製)等を挙げることができる。
【0042】
エステル系溶剤としては、ラウリル酸メチル、ラウリル酸イソプロピル、ラウリル酸ヘキシル、ミリスチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソプロピル、パルミチン酸イソオクチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、オレイン酸イソプロピル、オレイン酸ブチル、リノール酸メチル、リノール酸イソブチル、リノール酸エチル、イソステアリン酸イソプロピル、大豆油メチル、大豆油イソブチル、トール油メチル、トール油イソブチル、アジピン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジエチル、モノカプリン酸プロピレングリコール、トリ2−エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリ2−エチルヘキサン酸グリセリルなど;アルコール系溶剤としては、イソミリスチルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコールなど;高級脂肪酸系溶剤としてはイソノナン酸、イソミリスチン酸、ヘキサデカン酸、イソパルミチン酸、オレイン酸、イソステアリン酸など;エーテル系溶剤としてはジエチルグリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールジブチルエーテルなどが挙げられる。これらの溶剤の2種以上を混合して用いることができる。好ましくはエステル系溶剤、なかでもパルミチン酸イソオクチル、ラウリル酸ヘキシルが使用される。
【0043】
<任意成分>
本発明のインク組成物は、本発明の効果を阻害しない範囲内で、任意の成分を含むことができる。たとえば、上記(A)及び(B)成分以外の樹脂として、アクリル系樹脂、スチレン−アクリル系樹脂、スチレン−マレイン酸系樹脂、ロジン系樹脂、ロジンエステル系樹脂、エチレン−酢ビ系樹脂、石油樹脂、クマロンインデン系樹脂、テルペンフェノール系樹脂、フェノール樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、エポキシ系樹脂、セルロース系樹脂、塩酢ビ系樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、ブチラール樹脂、マレイン酸樹脂、フマル酸樹脂、水酸基含有カルボン酸エステル、長鎖ポリアミノアマイドと高分子量酸エステルの塩、高分子量ポリカルボン酸の塩、長鎖ポリアミノアマイドと極性酸エステルの塩、高分子量不飽和酸エステル、高分子共重合物、変性ポリウレタン、変性ポリアクリレート、ポリエーテルエステル型アニオン系活性剤、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物塩、芳香族スルホン酸ホルマリン縮合物塩、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルポリアミン、ステアリルアミンアセテート等を含むことができる。
【0044】
好ましくは、本発明のインク組成物はシナジストを含む。シナジストは、顔料骨格中に、極性基を導入した顔料誘導体である。顔料骨格としては、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料、ペリレン顔料、イソインドリン顔料、ベンズイミダゾロン顔料、ピランスロン顔料、チオインジゴ顔料、及びキノフタロン顔料等の骨格が挙げられる。極性基としては、アルキルアミノ基、カルボキシル基、スルホン酸基、及びフタルイミド基等が挙げられる。これらのうち、フタロシアニン顔料、特に銅フタロシアニンブルーの骨格に、スルホン酸基、アミノ基等を導入したものが好ましく、例えば銅フタロシアニンスルホネート(ソルスパース5000、ソルスパース12000、ソルスパース22000;いずれも日本ルーブリゾール社製)が挙げられる。その他、ノズルの目詰まり防止剤、酸化防止剤、導電率調整剤、粘度調整剤、表面張力調整剤、酸素吸収剤などを適宜添加することもできる。
【0045】
本発明のインク組成物は、ビーズミル等の分散機に、分散剤(A)、分散剤(B)と有機溶剤の混合物、顔料、及び、所望によりインク組成物の粘度を調整するための追加の有機溶剤、任意成分、を一括又は分割して加えて攪拌・混合し、所望により、メンブレンフィルター等によりろ過することによって得られる。
【0046】
インク組成物の粘度は、インクジェット記録システムの吐出ヘッドのノズル径や吐出環境等によってその適性範囲は異なるが、一般に、23℃において5〜30mPa・sであることが好ましく、5〜15mPa・sであることがより好ましく、約10mPa・s程度であることが、最も好ましい。ここで粘度は、23℃において0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおける値を表す。
【0047】
本発明のインク組成物は、ピエゾ方式のインクジェット記録装置であれば、いずれのタイプのものであっても、使用することができる。
【実施例】
【0048】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
<分散剤(B)の調製>
(1)ウレタン基含有(メタ)アクリレート共重合体
300mlの四つ口フラスコに、AF−4(ナフテン系溶剤、JX日興日石エネルギー社製)75gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながら、ベヘニルメタクリレート50g、2−エチルヘキシルメタクリレート35g、グリシジルメタクリレート15g、AF−4 16.7g、及びパーブチルO(t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート;日油社製)2gを含む混合物を3時間かけて滴下した。その後、温度を110℃に保ちながら1時間および2時間後に、パーブチルOを各0.2g添加した。さらに110℃で1時間熟成を行った後、10.6gのAF−4で希釈して、不揮発分50%の無色透明の主鎖ポリマー溶液を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、20000〜23000であった。
次いで、500mLの四つ口フラスコに、パルミチン酸イソオクチル(IOP、日光ケミカルズ社製)81g、上記で得られたポリマー溶液(AF−4溶剤中固形分50%)200g、プロピレングリコール4.0g、ジエタノールアミン2.8gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温し、該温度に1時間保った。その後、ジブチル錫ジラウレートを0.2g添加し、タケネート600(1,3−ビス(イソシアナートメチル)シクロヘキサン、三井化学ポリウレタン社製)10.2gとIOP91.8gとの混合物を1時間かけて滴下した。滴下後、温度を120℃に昇温して6時間反応させ、冷却して、固形分30%の分散剤樹脂分散液(「分散剤1」とする)を得た。得られたポリマーの重量平均分子量(GPC法、標準ポリスチレン換算)は、22000〜26000であり、ウレタン結合部の量は10質量%であった。
【0049】
(2)モルホリル基含有(メタ)アクリレート共重合体
上記(1)と同様にして、主鎖ポリマー溶液を得た。次いで、300mLの四つ口フラスコに、IOP68.0g、主鎖ポリマー溶液115.2g(固形分50%)、及びアクリロイルモルホリン1.4gを仕込み、窒素ガスを通気し攪拌しながら、110℃まで昇温した。次いで、温度を110℃に保ちながらメタクリル酸メチル2.6g、アクリル酸ブチル2.6g、アクリル酸7.7g、及び0.7gのパーブチルOを含む混合物を30分かけて滴下した。その後、110℃に保ちながら1時間および2時間後に、夫々、パーブチルOを0.2g添加した。さらに110℃で1時間熟成を行った後、38.6gのAF−4で希釈して、不揮発分30%の分散剤樹脂分散液(「分散剤2」とする)を得た。
【0050】
(3)アミノ基含有(メタ)アクリレート共重合体
300mlの四つ口フラスコに、ラウリルメタクリレート7.2g、ジメチルアミノエチルメタクリレート1.8g、グリシジルメタクリレート1.8g、2−エチルヘキシルメタクリレート5.4g、及びスチレンマクロマー(AS−6:数平均分子量約6000、東亞合成社製)0.9gを仕込んで混合し、そこへ重合開始剤V601(和光純薬社製)1.0g、120.0gのAF−4、IOP132.0g、及びイソミリスチルアルコール(日産化学社製)12.0gを含む混合物を加え、得られた混合物を80℃還流下で6時間反応させて、固形分6.1%の分散剤樹脂分散液(「分散剤3」とする)を得た。
【0051】
<実施例1〜5、比較例1〜5>
表2の処方(質量%)に従い、各成分をガラス容器に入れ、これにジルコニアビーズ(φ0.5mm)80gを入れ、ロッキングミル(セイワ技研社製 RM05S型)を用いて周波数60Hzで2時間混合し、各非水系インク組成物を調製した。
【0052】
表2において、各成分の詳細は以下のとおりである。
カーボンブラック:MA−100、DBP吸油量100cm/100g、窒素吸着比表面積110m/g、三菱化学社製
(A)ポリビニルピロリドン:Antaron V−216、VP−ヘキサデセン共重合体、ISP社製
(A)ポリアミド:ソルスパース11200、日本ルーブリゾール社製
比較分散剤:ディスパービック101、長鎖ポリアミドアミドと酸エステルの塩、ビックケミージャパン社製
シナジスト:ソルスパース5000、日本ルーブリゾール社製
【0053】
得られたインク組成物について、以下の方法により評価を行った。結果を表2に示す。
<インク貯蔵安定性>
HAAKE社製レオメーターRS300を使用して、23℃において、0.1Pa/sの速度で剪断応力を0Paから増加させたときの10Paにおけるインク組成物の粘度(初期粘度)を測定した。次いで、容量50mlのガラス容器にインク組成物30gを充填し密封したものを70℃で、3ヶ月間放置し、放置後の粘度を同様に測定し、下記式に従い粘度変化率の絶対値を算出し、下表の基準で評価した。B以上であれば、実用上問題はない。

|粘度変化率|=|100×(放置後粘度-初期粘度)/初期粘度|

【表1】

【0054】
<サテライト>
ORPHIS−X(理想科学社製)を用いて、環境温度15℃で、ヘッドギャップ3mm、印刷速度120ppm、解像度300dpi×300dpi、6drop/ドットの印字条件でA4用紙に印字を行い、下記基準で評価した。

A:サテライトがほとんど無く、画質は良好である。
B:サテライトは若干あるが、画質は実用上問題無いレベルである。
C:サテライトが顕著であり、画質は実用に差し支えるレベルである。

【表2】

【0055】
表2に示すように、本発明のインク組成物を用いた実施例1〜実施例5では、低温環境下でも、且つ、通常より大きいヘッドギャップでも、サテライトが無く、貯蔵安定性も良好であった。これに対して、分散剤(B)を欠くもの(比較例1)、及び少ないもの(比較例3)では、共にサテライトが多かった。また、分散剤量が少ないもの(比較例4)、分散剤が所定の構造のものではないもの(比較例5)は、貯蔵安定性、サテライト共に不良であった。分散剤(A)を欠く比較例2は、サテライトの発生はなかったが、貯蔵安定性が悪く、インクが増粘した。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明の非水系インク組成物は、サテライトを発生し難く、高速インクジェット印刷に好適である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェット記録用の非水系インク組成物であって、該非水系インク組成物質量に対し5〜15質量%の顔料、該顔料に対する質量比0.2〜2.0の顔料分散剤、及び有機溶剤を含み、該顔料分散剤が
(A)ポリエステル側鎖を有するポリアミド及び/又はビニルピロリドンと炭素数10〜40のアルケンとの共重合体、及び
(B)炭素数12〜25のアルキル基と、含窒素基とを有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体
を含み、
分散剤(A)と分散剤(B)の合計質量に対する分散剤(B)の質量比である(B)/[(A)+(B)]が、0.75〜0.99であることを特徴とする非水系インク組成物。
【請求項2】
分散剤(A)が、ポリエチレンイミンからなる主鎖に、該主鎖の窒素原子を含むアミド結合を介して結合された、下記式(1)で表される繰り返し単位
【化1】


(ここで、RはC〜Cアルキレン基である)
を3〜80個有する側鎖を備える、ポリエステル側鎖を有するポリアミドを含むことを特徴とする請求項1に記載の非水系インク組成物。
【請求項3】
分散剤(A)が、重量平均分子量3000〜50,000の、ビニルピロリドン−ヘキサデセン共重合体を含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の非水系インク組成物。
【請求項4】
分散剤(B)が、下記式(2)で表される繰り返し単位を含む主鎖と、下記式(3)で表される繰り返し単位を含む、側鎖又は架橋部を有するアルキル(メタ)アクリレート共重合体を含むことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の非水系インク組成物。
【化2】

【化3】

(ここで、Rは水素もしくは炭素数1〜3のアルキル基、Rは炭素数12〜25のアルキル基、Rは炭素数6〜16の2価の炭化水素基、Rは炭素数2〜20のアルキレン基もしくはオキシアルキレン基である。)
【請求項5】
シナジストをさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の非水系インク組成物。

【公開番号】特開2012−92294(P2012−92294A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−138490(P2011−138490)
【出願日】平成23年6月22日(2011.6.22)
【出願人】(000250502)理想科学工業株式会社 (1,191)
【Fターム(参考)】