説明

インクジェット記録装置および該装置のインク検出方法

【課題】電極間のインクの有無によるインピーダンスの変化を測定することでインクタンク内のインク貯留状態を検出する構成において、インク供給系に複数のインク貯留部があり、それぞれに物理的に異なる形状の電極が設けられる場合において、検出回路の構成を簡略化する。
【解決手段】物理的に異なる形状をもつ複数の電極対に対して、それぞれの電気的特性に基づいて定めた周波数の検出用クロックを出力することで、インクの有無の判定を行う回路の主要な構成を共通に用いることができるようにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置および該装置のインク検出方法に関し、詳しくは、インクタンクなどのインク貯留部を複数用いるインクジェット記録装置のインク検出系の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来よりインクジェット記録装置に用いられるインクタンク内のインク残量を計測方式としては、インクタンク内に電極対を配置し、電極間のインクの有無による電気抵抗値(インピーダンス)の変化を測定するようにしたものがある。かかる抵抗値測定方式においては、電気分解の影響による電極の腐食やインクの特性変化の発生を防止する目的から、パルス状に通電を行う方式が提案されている(例えば、特許文献1、特許文献2)。
【0003】
【特許文献1】特開平9−76522号公報
【特許文献2】特開平11−179936号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、インクジェット装置内の1つのインク供給系に関して複数のインク貯留部があり、かつそれぞれの機能が異なるためにその物理的形状ないしは配設される残量検出部の物理的形状が異なり、同じインク有りの状態であっても残量検出用電極間のインピーダンスが異なる場合がある。このような場合、上記従来例においては、各々のインク貯留部に配設される残量検出部に適合するよう電気回路を構成する必要があり、電気回路ひいてはこれを用いるインクジェット記録装置の規模および価格の増大を招くという不都合があった。特にカラー記録を行うために複数色のインクを用いるインクジェット記録装置では、各色毎にインク供給系を備えていることから、電気回路ないし記録装置の規模および価格の増大は一層問題となる。
【0005】
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、複数のインク貯留部内のインクの存在状態を正確に検出するとともに電気回路を簡略化し、インクジェット記録装置の規模および価格の低減化を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そのために、本発明は、インクを吐出する記録ヘッドに対するインク供給系に複数のインク貯留部を具えたインクジェット記録装置において、
前記複数のインク貯留部のそれぞれに設けられ、少なくとも一対の電極を有する複数のインク検出手段と、
前記複数のインク検出手段に共通に接続され、前記電極間のインクの有無によって変化する信号に基づいて前記インク貯留部のインク貯留状態を判定する判定手段と、
前記複数のインク検出手段のそれぞれが有する前記電極の電気的特性に応じた検出用信号を生成して前記電極に付与する検出用信号生成手段と、
を具えたことを特徴とする。
【0007】
また、本発明は、インクを吐出する記録ヘッドに対するインク供給系に複数のインク貯留部を具え、該複数のインク貯留部のそれぞれに、少なくとも一対の電極を有するインク検出手段が設けられているインクジェット記録装置の前記複数のインク貯留部のインク貯留状態を検出するインク検出方法であって、
前記複数のインク検出手段のそれぞれが有する前記電極の電気的特性に応じた検出用信号を生成して前記電極に付与する工程と、
前記複数のインク検出手段に共通に接続された判定手段を用い、前記電気的特性に応じて生成された前記検出用信号の付与により、前記電極間のインクの有無によって変化する信号に基づいて、当該電気的特性を有するインク検出手段が設けられている前記インク貯留部のインク貯留状態を判定する工程と、
を具えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、各インク貯留部のインク検出手段の特性に応じた検出用信号を出力するようにしたことで、判定手段の主要な構成を共通に用いることが可能となる。従って、インク検出回路の簡素化、ひいてはこれを用いるインクジェット記録装置の大型化や価格増大をもたらすことがない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明を適用可能なインクジェット記録装置のインク供給系の構成例を示す。この例では、インクを吐出して記録を行う記録ヘッド12に対するインク供給源として、インクを貯留し、かつインク検出部101を有するメインインクタンク(以下、メインタンクという)10を具えている。メインタンク10は、インク中に含まれる異物を除去するために設けられたフィルタ151を介して、正逆転可能なポンプ142に接続されている。ポンプ142は、流路を開閉可能な電磁弁形態の開閉弁161を介して、大気連通口111およびインク検出部112を有するサブインクタンク(以下、サブタンクという)11に接続される。サブタンク11は、メインタンク10から供給されたインクを一時的に貯留し、インク供給用ポンプ141の作動に応じて記録ヘッド12にインクを直接供給するものである。
【0011】
図示の例では、記録ヘッド12とサブタンク11との間でインク循環系が形成されている。すなわち、サブタンク11から記録ヘッド12に対してはポンプ141によりインクが供給され、当該供給されたインクは異物除去用のフィルタ153を介して記録ヘッド12内の流路に流入し、この流路より各ノズル12Aに分配される。そして、記録ヘッド12の内部流路は異物除去用のフィルタ154を介してサブタンク11に還流する。
【0012】
記録ヘッド12は、記録媒体(不図示)に対して記録を行うべく、例えば記録媒体の全幅以上の範囲にわたってノズル12Aを配列してなるラインヘッド形態のものである。そして、当該ノズル配列方向と異なる方向に記録媒体を搬送し、その過程でノズルを駆動することによりインクを吐出させて記録を行うことができる。記録ヘッド12としては、例えばインクを吐出するために利用されるエネルギとしてインクに膜沸騰を生じさせる熱エネルギを発生する素子を有したもの、あるいは、体積変化による機械的エネルギを作用するピエゾ素子を有したものなどを用いることができる。
【0013】
記録動作時以外では、記録ヘッド12と回復ユニット13とを相対移動させ、記録ヘッド12のノズル形成面のキャッピングを行うことができる。すなわち記録動作時以外は、ヘッド12のノズルは回復ユニット13によって外気と遮断され、ノズル内方のインクが乾燥しないように保湿される。また、当該キャッピング状態、もしくは回復ユニット13と記録ヘッド12とを近接対向させた状態で、記録ヘッド12を駆動してインク吐出動作(予備吐出)を行わせたり、インク供給系に適切な圧力を付与することでノズルからインクを強制排出させたりすることで、インク吐出性能を良好な状態にするための回復処理を行うことができる。
【0014】
回復ユニット13はインク検出部131を有し、異物除去用のフィルタ152および流路開閉弁162を介してポンプ142に接続されている。回復処理に伴って回復ユニット13に受容されたインクは、定期的、あるいは非定期的(受容インク量が規定値以上になった場合、すなわちオーバーフローが生じ得ることが電極131により検出された場合など)に、ポンプ142を駆動(逆転)することで回収される。回収されたインクはメインタンク10に戻されて再利用されるが、そのような再利用が不可能な状態となっているような場合には、図示しない廃液タンクに送られるようにすることもできる。
【0015】
以上の構成において、ポンプ141を駆動することでサブタンク11から記録ヘッド12にインクが供給され、記録動作を行うことができる。
【0016】
サブタンク11内のインク残量が規定量まで減少した場合は、弁161を流路開放状態に設定してポンプ142を駆動(正転)することにより、メインタンク10からサブタンク11に対してインクの供給が行われる。このとき弁162は流路を閉塞する状態に設定され、回復ユニット13への流路が遮断される。
【0017】
また、回復ユニット13に受容されたインクを回収する場合には、弁162を流路開放状態に設定してポンプ142を駆動(逆転)することにより、回復ユニット13からメインタンク10へのインク戻しが行われる。このとき弁161は流路を閉塞する状態に設定され、サブタンク11への流路が遮断される。
【0018】
以上のインク供給系においては、メインタンク10、サブタンク11および回復ユニット13という複数のインク貯留部が存在しており、各々その機能を異にしている。従って、一連のインク供給制御において、インク貯留量の検出目的がそれぞれ異なる。
【0019】
すなわち、インク供給源をなす比較的大容量のメインタンク10においては、貯留しているインク残量が微量となった状態(以下、残インク微量状態)の検出が目的となる。また、記録ヘッド12に対し直接的にインク供給を行うとともに、メインタンク10から適時インク供給を受ける比較的小容量のサブタンク11においては、残インク微量状態のほか、貯留量が十分となった状態(以下、インク充填状態)の検出が目的となる。さらに、回復ユニット13においては、受容したインク量が過大となってオーバーフローが生じ得る状態(以下、インク受容量異常状態)の検出が目的となる。
【0020】
それぞれの目的に対応して各貯留部のインク検出部が構成されるが、各インク検出部は基本的には次のような構成を有している。
【0021】
図2は残量検出部の基本的構成例を示す斜視図である。残量検出部は一対の電極200a,200bを有し、検出回路との電気的接続用にそれぞれケーブル201a,201bが引き出されている。ここで、一対の電極200a,200bとその間のインク202は電気的に容量性負荷とみなすことができるので、そのインピーダンスを検出することでインクの有無を検出することができる。
【0022】
メインタンク10および回復ユニット13にそれぞれ配設される残量検出部101および131はかかる基本構成を有しているが、それぞれの検出目的(インク微量状態およびインク受容量異常状態)に適合するよう、各一対の電極の寸法や配設位置などが定められている。なお、サブタンク11に対しては、残インク微量状態の検出に適合するよう、底部付近まで延在する一対の電極が設けられるとともに、インク充填状態の検出を行うために、当該一対の電極の一方に対向して所定長さの電極が設けられている。
【0023】
図2に示したようなインク残量検出部を用いる場合には、電気分解の影響による電極の腐食やインクの特性変化の発生を防止する目的で、上述のように、パルス状に通電を行う方式が提案されている。
【0024】
図3は、図2に示したインク残量検出部の電気的な特性を示す概念図であり、(a)はある一定周波数のパルス(検出クロック)を与えたときのインク量(cc)に応じたインピーダンス(Ω)の変化、(b)は一定量のインクが電極間に存在する場合のインピーダンスの周波数特性を示している。本実施形態では、基本的にこの特性を利用してインク存在状態の判定を行うものである。
【0025】
一方、負荷が同一の場合、インピーダンスは、電極の物理的形状やインクの電気的特性によって異なることとなる。具体的には、電極を機構的に小型化した場合は、同一量のインクおよび同一周波数の検出クロックに対してインピーダンスが大きくなり、機構的に大型化した場合は、同一量のインクおよび同一周波数の検出クロックに対してインピーダンスが小さくなることが挙げられる。これは、次の2つの一般式によって裏付けられる。
C=K×S/d(F) (1)
(C:静電容量、K:インク誘電率、
S:インクに接する電極の表面積、d:電極間距離)
Z=1/(2×Π×f×C)(Ω) (2)
(Z:電極間インピーダンス、f:検出回路のパルス周波数、C:静電容量)
ここで、特許文献1の記載に基づくインク残量検出部の回路について説明する。
【0026】
図4は当該回路の概略構成を示すブロック図であり、その構成要素は、大きくディジタル回路部300と、インクタンク310と、アナログ回路部320とに分けられている。ディジタル回路部300は、検出用クロック生成部301と、インク存在状態の判定結果を処理する判定結果処理部302とを機能ブロックとして有する。インクタンク310は、図2に示したような一対の電極が設けられたインク検出部311を有する。アナログ回路部320は、インク検出部311でのインピーダンスに応じて変化する信号が入力され、後段の回路に最適な電気信号に変換する検出信号処理部321と、インク有無の判定基準となる閾値電圧を発生する判定用閾値電圧生成部323と、検出信号処理部321からの信号と判定用閾値電圧とを比較して、最終的にインクの有無を判定するインク有無判定部322とを有する。
【0027】
かかる構成は、インク供給系において単一のインク貯留部(インクタンク310)のインク存在状態を判定する場合には有効な構成である。しかし本実施形態のインク供給系のように、複数(本例では上記4種)のインク検出部が具えられる場合、全検出部の電極構造を物理的に同一にすることは困難もしくは、むしろ好ましくないこともあるので、電気的特性の異なる負荷に対して図4のような検出回路を個別に用意しなければならなくなる。
【0028】
本実施形態では、物理的に異なる形状をもつ複数のインク検出部に対してディジタル回路部300からは異なる周波数の検出用クロックを出力する一方、アナログ回路部320の主要な構成を共通に用いるようにすることで、複数のインク貯留部に対するインク検出を行う回路の簡素化、ひいてはこれを用いるインクジェット記録装置の価格低減に資するものである。
【0029】
図5は本実施形態に係るインク検出回路の構成を示し、ここで図4と同様の機能をもつ部分については対応箇所に同一符号を付してある。
【0030】
本例のデジタル回路部300の検出用クロック生成部301は、各インク検出部に対し適切な周波数の検出用クロックを供給する。このためには、各インク検出部においてアナログ回路部の検出動作特性から規定されるインピーダンス値となる周波数を予め確認し、これを設定しておくことで、各検出部毎に適切な周波数の検出用クロックを供給することができる。
【0031】
図6を用いてその態様を説明する。図6において、5a、5bおよび5cは、それぞれ、メインタンク10、サブタンク11および回復ユニット13に配設されるインク検出部のインピーダンスの周波数特性の例を表している。また、Zaはアナログ回路部320の検出動作特性により規定されるインピーダンスの値である。さらに、fm、fsおよびfrは、それぞれ、メインタンク10、サブタンク11および回復ユニット13に配設されるインク検出部のインピーダンスがZaとなる検出用クロックの周波数を意味している。
【0032】
なお、このように各インク検出部に対し適切な周波数の検出用クロックを確認した上で、図5に示すように各検出部ごとに異なる周波数の検出用クロックを設定・出力することは、ディジタル回路である検出用クロック生成部301の論理回路を適切に構成することで、容易に実現可能である。
【0033】
本例のアナログ回路部320には、各インク検出部と検出信号処理部321との間に、セレクタ324が介挿されている。このセレクタ324は、デジタル回路部300に付加したタンク選択信号生成部303によって、入力されている4種の検出信号出力のいずれかを選択する機能を果たす。
【0034】
検出クロック生成部301は各検出部に応じた周波数のクロックを異なるタイミングで、例えば時分割で出力する一方、タンク選択信号生成部303に対してはどのタンクのクロックを出力しているかを通知する。タンク選択信号生成部303はこの通知に従ってセレクタ324に対し制御信号を出力し、セレクタ324はこれに従い、4種の検出信号出力のうちの1つを検出信号処理部321に出力する。これ以降の検出動作については、図4について説明したものと同様である。
【0035】
そして、判定結果処理部302による各貯留部のインク存在状態の判定結果に従って、装置の主制御部400は所要の制御を行うことが可能である。所要の制御とは、メインタンク10ないしサブタンク11内に十分な量のインクがある場合に記録を実行させる制御、サブタンク11内の残インク微量状態およびインク充填状態の検出に基づくメインタンク10からインク供給および供給停止の制御、回復ユニット13のインク受容量異常状態の検出に基づくメインタンク10へのインク戻しの制御、メインタンク10内の残インク微量状態の検出に基づくインク補充(新たなインクタンクへの交換など)を促すユーザへの報知部401の制御などである。
【0036】
報知部401はインクタンクの交換をユーザに促す表示手段を含むものとすることができる。かかる表示手段としては、記録装置本体の操作パネル等に設けたメッセージ表示部を用いるものでもよいし、記録装置に対してホスト装置をなすコンピュータで稼動するプリンタドライバの設定画面に表示を行うようなものでもよい。
【0037】
以上から明らかなように、本実施形態では、各インク貯留部のインク検出部の特性に応じた周波数をもつ検出用クロックを出力する一方、アナログ回路部320の主要な構成を共通に用いることが可能となる。従って、インク検出回路の簡素化、ひいてはこれを用いるインクジェット記録装置の大型化や価格増大をもたらすことがない。
【0038】
なお、以上の実施形態では、インク検出部の数ないしはインク検出の状態の種類数を4種としたが、これはあくまでも例示であって、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、インク検出部の数ないしはインク検出の状態の種類数が複数存在するものであれば、本発明の適用は有効である。
【0039】
そして特に本発明は、カラー画像を形成するために複数色のインク(例えばブラック、シアン、マゼンタおよびイエローの4色のインク)を用い、各色毎にインク供給系が構成されるインクジェット記録装置に好適なものとなる。
【0040】
また、上述の実施形態では、検出用クロック生成部をディジタル回路部の構成要素としたが、異なる周波数のクロックを発生するものであれば、他の構成を用いてもよい。
【0041】
さらに、各インク検出部に適する周波数を確認する方法としては、インクが有る状態と無い状態とを予め作り出し、ディジタル回路部300にオートチューニング機能を付加して、自動的に最適な周波数を見つけ出させる方法等が考えられる。これによれば、環境変化等によりインクの誘電率が変化することで、周波数の再確認・再設定が必要となる場合などに有効である。
【0042】
加えて、上述の実施形態では、セレクタをインク検出部と検出信号処理部との間に介挿した。これは検出用クロック生成部に対し各インク検出部を個別配線する必要がないために有利である。しかし個別配線が問題とならないのであれば、各インク検出部に対して適切な周波数の検出用クロックを個別に供給するようにすることも可能である。
【0043】
さらに加えて、本発明は、一般的なインクジェット記録装置のほか、複写機、通信システムを有するファクシミリ、プリント部を有するワードプロセッサ等の装置、あるいは、これらの装置を複合した多機能記録装置等に適用することができる。そして、その形態はパーソナルもしくはオフィスユースのものであっても、産業目的のものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明を適用可能なインクジェット記録装置のインク供給系の構成例を示す模式図である。
【図2】図1のインク供給系の各インク貯留部に適用される残量検出部の基本的構成例を示す斜視図である。
【図3】(a)および(b)は図2に示したインク残量検出部の電気的な特性を示す概念図である。
【図4】従来のインク検出回路の構成を示すブロック図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るインク検出回路の構成を示すブロック図である。
【図6】複数のインク検出部の電気的特性の違いを示す説明図である。
【符号の説明】
【0045】
10 メインインクタンク
101 メインタンク用インク検出部
11 サブタンク
111 大気連通口
112 サブタンク用インク検出部
12 記録ヘッド
13 回復ユニット
131 回復ユニット用インク検出部
141、142 ポンプ
151、152、153、154 フィルタ
161、162 流路開閉弁
200a、200b 電極
201a、201b 電極接続用ケーブル
300 ディジタル回路部
301 残量検出用クロック生成部
302 判定結果処理部
303 タンク選択信号生成部
310 インクタンク
311 インク残量検出部
320 アナログ回路部
321 検出信号処理部
322 インク有無判定部
323 判定用閾値電圧生成部
324 セレクタ
400 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクを吐出する記録ヘッドに対するインク供給系に複数のインク貯留部を具えたインクジェット記録装置において、
前記複数のインク貯留部のそれぞれに設けられ、少なくとも一対の電極を有する複数のインク検出手段と、
前記複数のインク検出手段に共通に接続され、前記電極間のインクの有無によって変化する信号に基づいて前記インク貯留部のインク貯留状態を判定する判定手段と、
前記複数のインク検出手段のそれぞれが有する前記電極の電気的特性に応じた検出用信号を生成して前記電極に付与する検出用信号生成手段と、
を具えたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記判定手段は、前記電極間のインピーダンスまたはこれに基づく電気信号を測定する測定手段と、前記複数のインク検出手段について共通の閾値情報を提供する手段と、当該閾値と前記測定手段による測定値とを比較して、前記電極間のインクの有無を判定する手段とを有し、前記検出用信号生成手段は、前記複数のインク検出手段について共通の閾値情報が用いられるよう、前記電極の電気的特性に応じてそれぞれ異なる周波数のクロックパルスを前記検出用信号として生成することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記複数のインク検出手段と前記測定手段との間に設けられ、1つの前記インク検出手段を選択して前記測定手段に接続するセレクタを具え、前記検出用信号生成手段は前記複数のインク検出手段に対し、それぞれ異なる前記検出用信号を時分割に出力し、さらに、当該出力されている検出用信号に対応した前記インク検出手段が選択されるよう前記セレクタを制御する手段を具えたことを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
インクの供給源をなすメインインクタンクと、該メインインクタンクから供給されるインクを一時貯留するとともに当該貯留したインクを前記記録ヘッドに供給するサブインクタンクと、前記記録ヘッドの回復処理に伴って前記記録ヘッドから排出されるインクを受容する回復ユニットとを、前記複数のインク貯留部として具え、前記メインインクタンクには貯留しているインク残量が微量となった状態を検出するためのインク検出手段が配設され、前記サブタンクには貯留しているインク残量が微量となった状態、および貯留量が十分となった状態を検出するためのインク検出手段が配設され、前記回復ユニットには受容したインク量が過大となってオーバーフローが生じ得る状態を検出するためのインク検出手段が配設されていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記メインインクタンクおよび前記サブタンクに十分な量のインクが貯留されているときに記録を実行させる制御、前記メインタンク内のインク残量が微量となった状態の検出に基づいてインク補充を促すユーザへの報知を行わせる制御、前記サブタンク内のインク残量が微量となった状態および十分となった状態の検出に基づいて前記メインタンクからインク供給および供給停止を行わせる制御、および、前記回復ユニット内のインクのオーバーフローが生じ得る状態の検出に基づいて前記回復ユニットからインクの回収を行わせる制御を実行する制御手段を具えたことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
インクを吐出する記録ヘッドに対するインク供給系に複数のインク貯留部を具え、該複数のインク貯留部のそれぞれに、少なくとも一対の電極を有するインク検出手段が設けられているインクジェット記録装置の前記複数のインク貯留部のインク貯留状態を検出するインク検出方法であって、
前記複数のインク検出手段のそれぞれが有する前記電極の電気的特性に応じた検出用信号を生成して前記電極に付与する工程と、
前記複数のインク検出手段に共通に接続された判定手段を用い、前記電気的特性に応じて生成された前記検出用信号の付与により、前記電極間のインクの有無によって変化する信号に基づいて、当該電気的特性を有するインク検出手段が設けられている前記インク貯留部のインク貯留状態を判定する工程と、
を具えたことを特徴とするインク検出方法。
【請求項7】
前記複数のインク検出手段のそれぞれが有する前記電極の電気的特性を測定する測定工程をさらに具えたことを特徴とする請求項6に記載のインク検出方法。
【請求項8】
前記測定工程は、予め用意されたインク有無の条件下で自動的に行われることを特徴とする請求項7に記載のインク検出方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−90558(P2007−90558A)
【公開日】平成19年4月12日(2007.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−280120(P2005−280120)
【出願日】平成17年9月27日(2005.9.27)
【出願人】(000208743)キヤノンファインテック株式会社 (1,218)
【Fターム(参考)】