説明

インクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ

【課題】高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制できるインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラを提供する。
【解決手段】インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラであって、当該搬送ローラは、インクが吐出された記録面と接触して記録媒体を搬送するとともに、搬送ローラの表面に対して、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含む処理液が塗布してある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。特に、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制できるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット記録技術は急速に進歩しており、銀塩写真に匹敵する高精細な画質を得ることが可能となっている。
しかしながら、インクジェット記録技術においては、画像形成速度を向上させようとすると、次のような問題が生じやすい。
すなわち、画像形成速度を高速化させると、インクが記録媒体に浸透する前に、記録媒体が搬送ローラを通り排出されてしまう。その結果、インクが搬送ローラに付着することとなるため、画像不良が発生しやすくなるという問題が見られる。
【0003】
そこで、かかる問題を解決すべく、インクの凝集成分を記録媒体側に強く付着させるとともに、凝集成分以外の溶媒については迅速に除去するインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献1)。
すなわち、特許文献1においては、疎水性ポリマーが表面に塗工されている記録媒体上に、インクを凝集させることができる処理液とインクとの両方を付着させるインクジェット記録方法であって、インク及び/または処理液が記録媒体上に塗工されている疎水性ポリマーと同組成からなる微粒子を含有させたインクジェット記録方法が開示されている。
【0004】
また、搬送ローラに対してインクが付着しやすい場合に、記録媒体の搬送を一時中断するインクジェット記録方法が開示されている(例えば、特許文献2)。
すなわち、記録媒体に対して吐出したインク量を検出することによって、インク量が多く、搬送ローラに対してインクが付着しやすい場合を判別する方法が開示されている。
そして、そのように判別した場合には、インクが所定レベルに乾燥するまで、記録媒体の搬送を一時中断するインクジェット記録方法が開示されている。
【0005】
さらに、電子写真方式における技術ではあるが、定着ローラの表面に対してトナー汚れが付着することを防ぐことを目的として、定着ローラの表面をフッ素樹脂を用いてコーティングする方法が開示されている(例えば、特許文献3)。
そこで、かかるコーティング方法をインクジェット記録方法に適用することが試みられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2006−263984号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】特開2006−327028号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】特開平7−239624号公報(特許請求の範囲)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1のインクジェット記録方法では、疎水性ポリマーが表面に塗工された特殊な記録媒体を使用しなければならないばかりか、記録媒体表面に残留しているインクの溶媒を、溶媒吸収ローラ等にて吸収する必要がある。したがって、インクが搬送ローラに付着して画像不良が発生するという問題を、根本的に解決したとは言い難い。
また、特許文献2のインクジェット記録方法では、インクが所定レベルに乾燥するまで記録媒体の搬送を一時中断する必要があることから、画像形成速度を高速化させる目的とは相容れない。
さらに、特許文献3の方法をインクジェット記録方法に適用した場合であっても、搬送ローラの表面に対するインクの付着を十分に抑制することは困難である。
したがって、高速画像形成を行った場合であっても、搬送ローラの表面に対するインクの付着を効果的に抑制できるインクジェット記録方法及びインクジェット記録装置が求められている。
【0008】
そこで、本発明者は、鋭意検討した結果、インクジェット記録装置において、搬送ローラの表面に対し、フラーレン等を含む処理液を塗布するための塗布手段を設け、搬送ローラの表面に当該処理液を塗布することによって、搬送ローラの表面に対するインクの付着性を効果的に抑制できることを見出した。
その結果、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制できることを見出すに至った。
すなわち、本発明の目的は、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制できるインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明によれば、インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置であって、インクが吐出された記録面と接触して記録媒体を搬送するための搬送ローラと、搬送ローラの表面に対して、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含む処理液を塗布するための塗布手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置が提供され、上述した問題を解決することができる。
すなわち、搬送ローラの表面に対して、フラーレン等を含んだ処理液が塗布されていることから、フラーレン及び分散媒が有する撥水性により、搬送ローラ表面に対するインクの付着を効果的に抑制することができる。
その結果、記録媒体に浸透し切れなかったインクが搬送ローラに接触した場合であっても、インクが搬送ローラに付着することを抑制し、ひいてはそれに起因した画像不良の発生を効果的に抑制することができる。
したがって、本発明の画像形成装置であれば、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制することができる。
また、本発明のインクジェット記録装置であれば、記録媒体上のインク画像に対して、処理液が直接的に接触し、インク画像を包み込みつつ記録媒体を搬送することができる。
したがって、搬送ローラの撥水作用によるインク画像の乱れについても、効果的に抑制することができる。
【0010】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、搬送ローラの表面において、処理液からなる液膜が形成されていることが好ましい。
このように構成することにより、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を、より効果的に抑制することができる。
また、搬送ローラの撥水作用によるインク画像の乱れについても、より効果的に抑制することができる。
【0011】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、液膜の厚さを0.5〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、処理液による撥水作用を効果的に発揮させつつも、処理液が記録媒体に対して付着・残留することを効果的に抑制することができる。
【0012】
また、本発明のインジェット記録装置を構成するにあたり、塗布手段が複数のローラ部材を含むとともに、当該複数のローラ部材が、容器に収容された処理液を汲み上げるための汲み上げローラと、汲み上げられた処理液を搬送ローラの表面に塗布するための塗布ローラと、を含むことが好ましい。
このように構成することにより、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜を、より均一かつ安定的に形成することができる。
【0013】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、塗布ローラの表面に、処理液を担持するための溝が形成してあることが好ましい。
このように構成することにより、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜を、さらに均一かつ安定的に形成することができる。
【0014】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、フラーレンまたはフラーレン誘導体の基本骨格が、C60、C70及びC84からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
このように構成することにより、搬送ローラの表面における撥水性をより向上させることができるとともに、処理液中における分散性を向上させることができる。
【0015】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、フラーレン誘導体が、置換基として、−OH、−OCOR、−OCOOR及び−R(Rは、アルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基)からなる群より選択される少なくとも一種を有することが好ましい。
このように構成することにより、搬送ローラの表面における撥水性をさらに向上させることができるとともに、処理液中における分散性を、より向上させることができる。
【0016】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、処理液における分散媒が、流動パラフィン、シリコンオイル、高沸点ハイドロフルオロエーテル及び高沸点フッ素系不活性液体からなる群より選択される少なくとも一種の有機溶媒であることが好ましい。
このように構成することにより、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜を、より均一かつ安定的に形成することができるとともに、フラーレン等の処理液中における分散性を、より向上させることができる。
また、処理液が記録媒体に対して付着・残留することについても、より効果的に抑制することができる。
【0017】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、処理液におけるフラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方の濃度を、処理液の全体量に対して1〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
このように構成することにより、さらに均一にフラーレン等を処理液に対して分散させることができる。
【0018】
また、本発明のインクジェット記録装置を構成するにあたり、搬送ローラの表面が、ポリテトラフルオロエチレンを含む表面離型層を有するとともに、当該表面離型層上に処理液が塗布してあることが好ましい。
このように構成することにより、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜をさらに均一かつ安定的に形成することができる。
【0019】
また、本発明の別の態様は、上述したいずれかのインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法である。
すなわち、本発明のインクジェット記録方法であれば、所定の塗布手段及び搬送ローラを備えていることから、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制することができる。
また、所定の塗布手段及び搬送ローラを備えていることから、搬送ローラの撥水作用によるインク画像の乱れについても、効果的に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は、本発明のインクジェット記録装置の基本構造を説明するために供する図である。
【図2】図2(a)〜(b)は、本発明に使用されるインクジェットヘッドのドット形成部を説明するために供する図である。
【図3】図3(a)〜(b)は、本発明における搬送ローラを説明するために供する図である。
【図4】図4は、本発明における塗布手段を説明するために供する図である。
【図5】図5(a)〜(e)は、本発明における塗布ローラを説明するために供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
[第1の実施形態]
第1の実施形態は、インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置であって、インクが吐出された記録面と接触して記録媒体を搬送するための搬送ローラと、搬送ローラの表面に対して、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含む処理液を塗布するための塗布手段と、を備えることを特徴とするインクジェット記録装置である。
以下、本発明の第1の実施形態としてのインクジェット記録装置について、主な構成要件である給紙トレイ、搬送ベルト、インクジェットヘッド、搬送ローラ及び塗布手段に分けて、それぞれ具体的に説明する。
【0022】
1.給紙トレイ
図1に示すように、本発明のインクジェット記録装置20の右側部には記録媒体1を収容する給紙トレイ(図示せず)が設けられている。
かかる給紙トレイの一端部には収容された記録媒体1を、最上位の記録媒体から順に、一枚ずつ搬送ベルト6へと搬送給紙するための給紙ローラ2が設けられている。
【0023】
2.搬送ベルト
給紙ローラ2の記録媒体搬送方向下流側(図1において中央)には、搬送ベルト6が回転自在に配設されている。
かかる搬送ベルト6は、記録媒体搬送方向下流側に配置されたベルト駆動ローラ10と、上流側に配置され搬送ベルト6を介してベルト駆動ローラ10に従動回転するベルトローラ11と、に掛け渡されており、ベルト駆動ローラ10が反時計方向に回転駆動されることにより、記録媒体1が矢印Xの方向に搬送される。
なお、搬送ベルト6には誘電体樹脂製のシートが用いられ、その両端部を互いに重ね合わせて接合しエンドレス形状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルト等が好適に用いられる。
【0024】
3.インクジェットヘッド
また、搬送ベルト6の上方には、搬送ベルト6上を搬送される記録媒体1に対してインクの吐出を行うインクジェットヘッド5が配設されている。
かかるインクジェットヘッド5は、単色のインクのみを吐出するものであっても良いし、シアン、マゼンタ、イエロー及びブラック等、複数色のインクを吐出するものであっても良い。
また、インクジェットヘッド5の種類としては、記録媒体の幅方向に往復動作するシリアル型インクジェットヘッドであっても良いし、固定された長尺インクジェットヘッドであっても良い。
なお、インクジェットヘッド5における個々のドット形成部の具体例として、ピエゾ方式のドット形成部の一例を、図2(a)〜(b)に示す。
すなわち、例えば、加圧室32の底面積が0.2mm2、幅が200μm、深さが100μm、ノズル流路34の直径が30μm及び開口部40の半径が10μmのドット形成部30を用いることができる。
また、例えば、かかるドット形成部30を、1列につき166個、4列に並べ、合計664個を配列させて、長尺インクジェットヘッドとすることができる。
さらに、例えば、同一列内のドット形成部30のピッチを150dpiとし、また、隣り合う各列を順次1/4ピッチずらすことで、最終的に600dpiの長尺インクジェットヘッドとすることができる。
【0025】
なお、インクジェットヘッド5におけるインクの吐出方式としては、上述したピエゾ方式以外であってもよく、発熱体によって気泡を発生させ、圧力をかけてインクを吐出するサーマルインクジェット方式など、各種方式を適用することができる。
【0026】
4.搬送ローラ
また、搬送ベルト6の記録媒体搬送方向下流側には、画像が記録された記録媒体1を装置本体外へと搬送する搬送ローラ7、及び搬送ローラ7に圧接され従動回転する加圧ローラ8が設けられており、装置本体外には搬送ローラ7及び加圧ローラ8の下流に、装置本体外へと排出された記録媒体1が積載される排紙トレイ(図示せず)が設けられている。
なお、搬送ローラは、記録媒体を装置本体外へと搬送するローラに限定されるものではない。すなわち、インクが吐出された記録媒体の記録面に接触して、記録媒体を搬送するためのローラであれば、その搬送先にかかわりなく本発明の「搬送ローラ」に該当する。
【0027】
搬送ローラの基本的構成としては、特に限定されるものではなく、加圧ローラと協働して記録媒体を装置本体外等へと搬送できる構成であればよい。
基本的には、図3(a)に示すように、記録媒体搬送方向に対して垂直方向に伸びる軸を有した円筒形とすることが好ましい。
なお、その直径及び長さについては、周知のものと同様にすることができる。
また、記録媒体表面に対して直接的に接触する部材であるため、金属等からなる芯金7aの周囲に弾性体層7bを備えた構成とすることが好ましい。
また、記録媒体表面に対する接触面積を減少させるべく、図3(b)に示すように、弾性体層の断面形状を歯車様の歯先を有する形状(7b´)等とすることも好ましい。
また、同様の理由から、搬送ローラを、その長軸方向に所定の間隔を空けて、複数設けることも好ましい。
【0028】
また、弾性体層の主構成材料としては、シリコーンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、塩化ゴム、アクリルゴム、ポリ塩化ビニル、ウレタンゴム、ポリエチレンテレフタレート及びエポキシ樹脂等が好適に用いられる。
【0029】
また、本発明における搬送ローラは、後述する塗布手段により、その表面にフラーレン等を含む所定の処理液が塗布されていることを特徴とする。
詳細については、後の塗布手段の項において説明するが、搬送ローラの表面に対して、フラーレン等を含んだ処理液が塗布されていることにより、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制することができるためである。
また、搬送ローラの表面に対して、フラーレン等を含んだ処理液が塗布されていることにより、搬送ローラの撥水作用によるインク画像の乱れについても、効果的に抑制することができるためである。
したがって、搬送ローラの表面には、常に所定の処理液が供給され、処理液からなる液膜が形成されていることが好ましい。
【0030】
また、搬送ローラの表面が、ポリテトラフルオロエチレンを含む表面離型層を有するとともに、当該表面離型層上に処理液が塗布してあることが好ましい。
この理由は、搬送ローラの表面に対し、かかる所定の表面離型層を設けることにより、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜を均一かつ安定的に形成することができるためである。
すなわち、搬送ローラーの表面と処理液と、の接触角を45°以下の値とすることができるためである。
なお、その他の表面離型層の材料物質としては、四フッ化エチレン−六フッ化プロピレン共重合体(FEP)等が挙げられる。
【0031】
また、図1に示すように、搬送ローラ7をクリーニングするためのクリーニング手段9を備えることも好ましい。
この理由は、仮に搬送ローラの表面に対してインクが付着した場合であっても、搬送ローラの表面に塗布された処理液ごと、インクを取り除くことができるためである。
かかるクリーニング手段は、例えば、ポリエチレンテレフタレート及びアラミド等の材料物質を含むシート状のものとして構成することができる。
この場合、例えば、搬送ローラが100回転するのにともなって、新しいシート面が供給されるといったように、シートの巻き取り部材が、搬送ローラの回転数にともなって、所定割合の回転数にて回転する構成となっていることが好ましい。
【0032】
5.塗布手段
また、本発明においては、図1に示すように、上述した搬送ローラ7の表面に対して、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含む処理液を塗布するための塗布手段100を備えることを特徴とする。
この理由は、搬送ローラの表面に対して、フラーレン等を含んだ処理液を塗布することにより、フラーレン及び分散媒が有する撥水性により、搬送ローラ表面に対するインクの付着を効果的に抑制することができるためである。
その結果、記録媒体に浸透し切れなかったインクが搬送ローラに接触した場合であっても、インクが搬送ローラに付着することを抑制し、ひいてはそれに起因した画像不良の発生を効果的に抑制することができるためである。
したがって、本発明の画像形成装置であれば、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制することができる。
また、搬送ローラの表面に対して、フラーレン等を含んだ処理液を塗布することにより、記録媒体上のインク画像に対して、処理液が直接的に接触し、インク画像を包み込みつつ記録媒体を搬送することができる。
したがって、搬送ローラの撥水作用によるインク画像の乱れについても、効果的に抑制することができる。
【0033】
また、図4に示すように、搬送ローラ7の表面において、処理液101からなる液膜102が形成されていることが好ましい。
この理由は、かかる液膜を形成することにより、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を、より効果的に抑制することができるためである。
また、搬送ローラの撥水作用によるインク画像の乱れについても、より効果的に抑制することができるためである。
【0034】
また、液膜102の厚さを0.5〜5μmの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、液膜の厚さをかかる範囲とすることにより、処理液による撥水作用を効果的に発揮させつつも、処理液が記録媒体に対して付着・残留することを効果的に抑制することができるためである。
すなわち、液膜の厚さが0.5μm未満の値となると、搬送ローラの表面において、処理液の液膜が形成されない箇所が過度に生じやすくなって、処理液による撥水作用を効果的に発揮させることが困難となる場合があるためである。一方、液膜の厚さが5μmを超えた値となると、搬送ローラの表面における処理液の量が過剰となって、処理液が記録媒体に対して付着・残留しやすくなる場合があるためである。また、液膜が過剰であることから、特に装置停止時において、処理液が液だれを起こしやすくなり、過剰の処理液が必要となる場合があるためである。
したがって、液膜の厚さを0.5〜4μmの範囲内の値とすることがより好ましく、0.5〜3μmの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0035】
また、図4に示すように、塗布手段100が、容器103内に収容された処理液101を汲み上げるとともに、搬送ローラ7の表面に対して塗布するための、単数、もしくは複数のローラ部材104〜105を含むことが好ましい。
より具体的には、図4に示すように、塗布手段100が、複数のローラ部材104〜105からなるとともに、当該複数のローラ部材104〜105が、容器103に収容された処理液101を汲み上げるための汲み上げローラ104と、汲み上げられた処理液101を搬送ローラの表面に塗布するための塗布ローラ105と、を含むことが好ましい。
この理由は、塗布手段をこのように構成することにより、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜を均一かつ安定的に形成することができるためである。
【0036】
また、汲み上げローラ及び塗布ローラの構成としては、記録装置の構成によって変わることから特に限定されるものではないが、一般的には、芯金の外周を弾性体層にて被覆してなる円柱体として構成することが好ましい。
また、かかる弾性体層の主構成材料としては、シリコーンゴム、ポリイソブチレン、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、天然ゴム、イソプレンゴム、ブタジエンゴム、スチレンブタジエンゴム、ポリエチレン、クロロプレンゴム、ニトリルゴム、塩化ゴム、アクリルゴム、ポリ塩化ビニル、ウレタンゴム、ポリエチレンテレフタレート及びエポキシ樹脂等が好適に用いられる。
なお、汲み上げローラ及び塗布ローラの長軸方向の長さは、処理液の塗布対象である搬送ローラの長軸方向の長さと同じ長さとすることが好ましい。
【0037】
また、図5に示すように、塗布ローラ105の表面に、処理液を担持するための溝106が形成してあることが好ましい。
この理由は、塗布ローラの表面に、かかる溝を形成することにより、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜を、より均一かつ安定的に形成することができるためである。
すなわち、汲み上げローラによって汲み上げられた処理液を、かかる溝に充填させながら搬送ローラの表面に対して塗布することにより、環境等に起因して処理液における粘度が変化した場合に、処理液の塗布量を効果的に安定化させることができるためである。
かかる溝の平面形状としては、例えば、図5(a)〜(e)に示すように、斜線、直線、波線、V字型、円形等とすることが好ましい。
かかる溝の断面形状としては、例えば、台形型、三角形型、V字型等とすることが好ましい。
また、溝の長さとしては、一般に0.01〜0.5mmの範囲内の値とすることが好ましく、0.02〜0.3mmの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、例えば、図5(a)に示すように、切れ目なくつながった溝であってもよい。
また、溝の深さとしては、一般に10〜100μmの範囲内の値とすることが好ましく、20〜60μmの範囲内の値とすることがより好ましい。
さらに、溝の数としては、溝の形状や塗布ローラの周面積にもよるが、一般に100〜3600 lpi(line per inch)の範囲内の値とすることが好ましく、150〜2400 lpiの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0038】
また、塗布ローラ及び汲み上げローラは、搬送ローラの回転により従動回転することが好ましい。
この理由は、従動回転であれば、別途の駆動装置が不要となることから、塗布手段の構成を簡易化することができるためである。
一方、搬送ローラの周速に対する塗布ローラの周速を調節することにより、搬送ローラの表面に対する処理液の塗布量や、液膜の均一性を調節することができることから、塗布ローラを、制御可能に駆動回転させることも好ましい。
なお、それぞれの部材間の圧接部における圧接力は、汲み上げローラ−塗布ローラ間では10〜200Nの範囲内の値とすることが好ましく、20〜80Nの範囲内の値とすることがより好ましい。
また、塗布ローラ−搬送ローラ間では1〜100Nの範囲内の値とすることが好ましく、5〜50Nの範囲内の値とすることがより好ましい。
【0039】
なお、本発明における塗布手段は、上述したローラ部材に限定されるものではない。
例えば、スプレー部材、滴下部材、ブラシ部材、スリット方式、インクジェット方式等、搬送ローラの表面に対して処理液を塗布できる手段であれば、いずれも好適に使用することができる。
【0040】
(処理液)
また、搬送ローラの表面に塗布される処理液は、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含むことを特徴とするが、かかるフラーレンまたはフラーレン誘導体の基本骨格が、C60、C70及びC84からなる群より選択される少なくとも一つであることが好ましい。
この理由は、フラーレン等の基本骨格をかかる構造とすることにより、搬送ローラの表面における撥水性をより向上させることができるためである。
また、フラーレン等の中でも、C60、C70及びC84であれば、比較的安価であり、中でもC60は、最も安価である点も、これらの化合物が好適に用いられる理由となる。
【0041】
また、上述したフラーレン誘導体が、置換基として、−OH、−OCOR、−OCOOR及び−R(Rは、アルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基)からなる群より選択される少なくとも一種を有することが好ましい。
この理由は、これらの置換基を有するフラーレン誘導体であれば、搬送ローラの表面における撥水性をさらに向上させることができるとともに、処理液中における分散性を、より向上させることができるためである。
なお、上述した置換基中におけるRの炭素数としては、1〜50の範囲内の値とすることが好ましく、20〜40の範囲内の値とすることがより好ましい。
また、−OCOR及び−OCOORを末端に有する置換基を導入することも好ましい。
【0042】
また、処理液における分散媒が、流動パラフィン、シリコンオイル、高沸点ハイドロフルオロエーテル及び高沸点フッ素系不活性液体からなる群より選択される少なくとも一種の有機溶媒であることが好ましい。
この理由は、これらの有機溶媒であれば、搬送ローラの表面に対して、処理液の液膜を、より均一かつ安定的に形成することができるとともに、フラーレン等の処理液中における分散性を、より向上させることができるためである。
また、処理液が記録媒体に対して付着・残留することについても、より効果的に抑制することができるためである。
さらに、これらの有機溶媒自体が、搬送ローラの表面における撥水性の向上に対し、効果的に寄与するためである。
【0043】
また、処理液におけるフラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方の濃度を、処理液の全体量に対して1〜30重量%の範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、処理液におけるフラーレン等の濃度をかかる範囲とすることにより、さらに均一にフラーレン等を処理液に対して分散させることができるためである。
すなわち、フラーレン等の濃度が1重量%未満の値となると、フラーレン等の絶対量が不足して、搬送ローラの表面に対し、所望の撥水性を付与することが困難となる場合があるためである。一方、フラーレン等の濃度が30重量%を超えた値となると、処理液中におけるフラーレン等の分散性が過度に低下し、搬送ローラの表面に対し、所望の撥水性を均一に付与することが困難となる場合があるためである。
したがって、処理液におけるフラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方の濃度を、処理液の全体量に対して2〜25重量%の範囲内の値とすることがより好ましく、5〜20重量%の範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0044】
また、処理液の粘度(温度:25℃)を1〜100mPa・sの範囲内の値とすることが好ましい。
この理由は、処理液の粘度が100mPa・sを超えた値となると、搬送ローラの表面に対し、均一な液膜を形成することが困難となったり、記録媒体に対して、処理液が過度に付着・残留しやすくなる場合があるためである。一方、処理液の粘度が1mPa・s未満の値となると、処理液中におけるフラーレン等の分散性が過度に低下したり、撥水作用によるインク画像の乱れを抑制することが困難となったりする場合があるためである。
したがって、処理液の粘度(温度:25℃)を2〜90mPa・sの範囲内の値とすることがより好ましく、5〜80mPa・sの範囲内の値とすることがさらに好ましい。
【0045】
[第2の実施形態]
第2の実施形態は、第1の実施形態としてのインクジェット記録装置を用いたインクジェット記録方法である。
以下、第1の実施形態と重複する内容については省略しつつ、第2の実施形態としてのインクジェット記録方法について、具体的に説明する。
【0046】
まず、図1に示すように、給紙ローラ2によって、給紙トレイ内に収容されている最上位の記録媒体1が、搬送ベルト6上へと供給される。そして、ベルト駆動ローラ10を反時計方向に回転駆動させることにより、記録媒体1が矢印Xの方向に搬送され、インクジェットヘッド5の下方における所定の記録位置へと搬送される。
【0047】
このとき、所定のタイミングにより、インクジェットヘッド5からインクが吐出されて、画像が記録される。
次いで、画像が記録された記録媒体1は、さらに搬送されるとともに搬送ベルト6から離脱して搬送ローラ7及び加圧ローラ8によって装置本体外に設けられた排紙トレイへと搬送される。
また、搬送ローラ7の表面には、塗布手段100によって所定の処理液が塗布される。
したがって、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制することができる。
また、搬送ローラに所定の処理液が塗布されることから、撥水作用によるインク画像の乱れについても、効果的に抑制することができる。
【実施例】
【0048】
[実施例1]
1.インクの調製
インクの調製を行った。
すなわち、まず、以下に示す組成の各材料をバッチ式縦型サンドミル(アイメックス(株)製)に仕込むとともに、メディアとしてジルコニアビーズを充填し、水冷しながら分散処理を行い、分散液を得た。
次いで、得られた分散液を遠心分離機にかけて粗大粒子を除去し、分散粒子の数平均粒径を50〜150nmに調節し、顔料分散体とした。
ピグメントブルー15:3 20重量%
スチレン−アクリル系樹脂 5重量%
(ジョンソン(株)製、ジョンクリル683)
グリセリン 10重量%
イオン交換水 65重量%
【0049】
次いで、以下に示す組成の各材料を攪拌機にて撹拌した後、得られた撹拌液を孔径5μmのフィルタにて加圧ろ過し、インクとした。
顔料分散体 25重量%
界面活性剤 0.5重量%
(日信化学工業(株)製、オルフィンE1010)
ヘキシレングリコール 5重量%
1,2−ヘキサンジオール 0.5重量%
2−ピロリドン 5重量%
グリセリン 13重量%
水 51重量%
【0050】
2.処理液の調製
次いで、処理液の調製を行った。
すなわち、有機溶媒である流動パラフィン(松村石油研究所(株)製、モレスコホワイトP−350)100重量部に対して、フラーレンC60(フロンティアカーボン(株)製、nanom purple)1.01重量部を加えた後、撹拌し、フラーレンC60濃度が1重量%である処理液を調製した。
なお、得られた処理液の粘度(温度:25℃)は、65mPa・sであった。
【0051】
3.塗布手段の構成
次いで、図4に示す構成の塗布手段を評価用に準備した。
すなわち、処理液を収容するためのオイルパンと、オイルパンに収容された処理液を汲み上げるための汲み上げローラと、汲み上げられた処理液を搬送ローラの表面に塗布するための塗布ローラと、からなる塗布手段を準備した。
具体的に説明すると、汲み上げローラは、円筒形の芯金(直径:35mm)の外周を、ウレタンゴムからなる弾性体層(層厚:3.3mm)にて被覆してなる直径42.4mmの円柱体とした。
また、塗布ローラは、円筒形の芯金(直径:35mm)の外周を、ウレタンゴムからなる弾性体層(層厚:3.3mm)にて被覆してなる直径42.4mmの円柱体とし、さらに、弾性体層の表面に溝を設けた。
かかる溝としては、平面形状が塗布ローラの長軸方向に対して斜線であり(図5(a)参照)、断面形状が台形型であり、塗布ローラの略全長にわたって設けられており、深さが30μmであるものを、弾性体層の全表面に対して300 lpiのピッチで均等に設けた。
なお、汲み上げローラ及び塗布ローラにおける長軸方向の長さは、搬送ローラにおける長軸方向の長さと同じ長さ、すなわち452mmとした。
【0052】
また、塗布ローラ及び汲み上げローラは、それぞれ搬送ローラの駆動回転により、直接的または間接的に従動回転する構成とした。
したがって、塗布ローラは、搬送ローラと逆方向に回転し、汲み上げローラは、搬送ローラと同方向に回転する構成とした。
なお、それぞれのローラ部材間の圧接部における圧力は、汲み上げローラ−塗布ローラ間で50N、塗布ローラ−搬送ローラ間で10Nとした。
【0053】
4.搬送ローラの構成
次いで、搬送ローラの製造を行った。
すなわち、円筒形の芯金(直径:35mm)の外周面に対して、弾性を有するシリコーンゴム層(層厚:3.3mm)を被覆させた。
さらに、被覆させたシリコーンゴム層の表面に対して、ポリテトラフルオロエチレン(日本フッ素工業(株)製、NF−001)からなる表面剥離層を、焼成により被覆させた。
【0054】
5.評価
搬送ローラの表面に対するインクの付着に起因した画像不良の発生の有無を評価した。
すなわち、得られた塗布手段と、搬送ローラを組み付けた後、塗布手段におけるオイルパンに対し、調製した処理液を収容させ、図1に示すインクジェット記録装置を準備した。
このとき、搬送ローラと、塗布ローラと、の圧接部における圧力は、10Nであった。
次いで、調製したインクをインクジェットヘッドに対して充填した後、ノズル形成面から出ている余剰液を、ワイプブレードにて掻き取った。次いで、長尺インクジェットヘッドのノズル面と、記録媒体と、の距離が1mmとなるように固定した後、駆動周波数20kHzにて、最大濃度のベタ画像(30×30mm)を記録媒体としてのA4のPPC用紙に対して連続10枚印画した。このとき、記録媒体搬送速度を847mm/sec(搬送ローラの回転速度:381.4rpm、塗布ローラの回転速度:381.4rpm)とした。
また、搬送ローラ表面に形成された処理液からなる液膜の厚さは、1μmであった。
次いで、搬送ローラの表面に対するインクの付着に起因した画像不良の発生を、以下の基準に沿って評価した。得られた結果を表1に示す。
○:ベタ画像が乱れておらず、かつ、非印字部に画像が版画されていない。
△:ベタ画像が乱れていないが、非印字部に画像が若干版画されている。
×:ベタ画像が乱れており、かつ、非印字部に画像が版画されている。
【0055】
[実施例2]
実施例2では、処理液におけるフラーレンの濃度を30重量%に変えたほかは、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0056】
[実施例3]
実施例3では、処理液におけるフラーレンの種類をフラーレンC70(ナカライテスク(株)製、02877−51)に変えたほかは、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0057】
[実施例4]
実施例4では、処理液における有機溶媒の種類を高沸点ハイドロフルオロエーテルに変えたほかは、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0058】
[実施例5]
実施例5では、処理液におけるフラーレンの濃度を30重量%に変えたほかは、実施例4と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0059】
[実施例6]
実施例6では、塗布ローラに対して溝を設けなかったほかは、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
[比較例1]
比較例1では、オイルパンに対して処理液を収容させず、搬送ローラの表面に対し、処理液を塗布させなかったほかは、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0061】
[比較例2]
比較例2では、塗布ローラに対して溝を設けなかったほかは、比較例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0062】
[比較例3]
比較例3では、処理液にフラーレンを加えなかったほかは、実施例1と同様に評価した。得られた結果を表1に示す。
【0063】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明に係るインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法によれば、インクジェット記録装置において、搬送ローラの表面に対し、フラーレン等を含む処理液を塗布するための塗布手段を設け、搬送ローラの表面に当該処理液を塗布することによって、搬送ローラの表面に対するインクの付着性を効果的に抑制できるようになった。
その結果、高速画像形成を行った場合であっても、記録媒体に吐出されたインクが搬送ローラに付着することによる画像不良の発生を効果的に抑制できるようになった。
したがって、本発明に係るインクジェット記録装置及びインクジェット記録方法は、複写機やプリンター等の各種画像形成装置における高品質化に著しく寄与することが期待される。
【符号の説明】
【0065】
1:記録媒体、2:供給ローラ、4:タイミングセンサー、5:インクジェットヘッド、6:搬送ベルト、7:搬送ローラ、8:加圧ローラ、9:クリーニング手段、10:ベルト駆動ローラ、11:ベルトローラ、20:インクジェット記録装置、31:基板、32:加圧室、33:ノズル、34:ノズル流路、35:絞り部、36:共通流路、37:共通電極、38:積層電圧素子、39:個別電極、30:ドット形成部、100:塗布手段、101:処理液、102:液膜、103:容器、104:汲み上げローラ、105:塗布ローラ、106:溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インクジェットヘッドを用いて記録媒体に対して画像形成を行うインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラであって、
当該搬送ローラは、インクが吐出された記録面と接触して前記記録媒体を搬送するとともに、
前記搬送ローラの表面に対して、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含む処理液が塗布してあることを特徴とするインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項2】
前記搬送ローラの表面において、前記処理液からなる液膜が形成されているとともに、前記液膜の厚さを0.5〜5μmの範囲内の値とすることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項3】
前記フラーレンまたはフラーレン誘導体の基本骨格が、C60、C70及びC84からなる群より選択される少なくとも一つであることを特徴とする請求項1または2に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項4】
前記フラーレン誘導体が、置換基として、−OH、−OCOR、−OCOOR及び−R(Rは、アルキル基、フルオロアルキル基、フルオロアルケニル基、フルオロエーテル基またはフルオロポリエーテル基)からなる群より選択される少なくとも一種を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項5】
前記処理液におけるフラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方の濃度を、処理液の全体量に対して1〜30重量%の範囲内の値とすることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項6】
前記処理液における分散媒が、流動パラフィン、シリコーンオイル、高沸点ハイドロフルオロエーテル及び高沸点フッ素系不活性液体からなる群より選択される少なくとも一種の有機溶媒であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項7】
前記搬送ローラがシリコーンゴム層を備えるとともに、当該シリコーンゴム層の表面に、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含む処理液が塗布してあることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項8】
前記シリコーンゴム層の表面が、ポリテトラフルオロエチレンを含む表面離型層を介して、フラーレン及びフラーレン誘導体、あるいはいずれか一方を含む処理液が塗布してあることを特徴とする請求項7に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項9】
前記搬送ローラが用いられるインクジェット記録装置において、前記搬送ローラの表面に対して、前記処理液をさらに塗布するための塗布手段が設けてあることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項10】
前記塗布手段が複数のローラ部材を含むとともに、当該複数のローラ部材が、容器に収容された前記処理液を汲み上げるための汲み上げローラと、汲み上げられた前記処理液を前記搬送ローラの表面に塗布するための塗布ローラと、を含むことを特徴とする請求項9に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。
【請求項11】
前記塗布ローラの表面に、前記処理液を担持するための溝が形成してあることを特徴とする請求項10に記載のインクジェット記録装置に用いられる搬送ローラ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−75524(P2013−75524A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−261906(P2012−261906)
【出願日】平成24年11月30日(2012.11.30)
【分割の表示】特願2009−31594(P2009−31594)の分割
【原出願日】平成21年2月13日(2009.2.13)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】