説明

インクジェット記録装置及び記録制御プログラム

【課題】構成が簡単で、かつ紫外線硬化性のインクの温度又は粘度を制御して良好な記録品質を保持できるインクジェット記録装置及び記録制御プログラムを提供する。
【解決手段】インクジェット記録装置1では、LED装置4の真上にUVインクが流れる金属パイプ44を配置している。LED装置4に生じた熱で金属パイプ44のUVインクを温める。UVインクの温度をサーミスタ37で検出し、上限基準温度以上であった場合は、LED装置4のLEDをオフする。検出温度が下限基準温度より低い場合は、LED装置4のLEDをオンする。これにより、UVインクの温度を適正範囲に保持できるので、良好な印刷品質を保持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紫外線硬化性のインクを被記録媒体に吐出し、紫外線発生部材からの紫外線を、その吐出されたインクに照射して硬化させることにより、インクによる記録を行うインクジェット記録装置及び記録制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、紫外線により硬化するインクを吐出する記録ヘッドと、該記録ヘッドから吐出されたインクに照射する紫外線を発生する紫外線発生部材とを備えるインクジェット記録装置が知られている。記録ヘッドによる記録の品質には、インクの粘性が重要である。粘度は温度と所定の関係を有する。記録結果に所望の品質を望むのであれば、インクを所定温度以上に温めておくことが必要である。
【0003】
例えば、インクを加熱するためのヒータを備えると共に、インクの流路となるパイプや記録ヘッドを、紫外線発生部材に対して接近して配置したインクジェット記録装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。この装置では、紫外線発生部材から紫外線と共に発せられる熱がインク及び記録ヘッドを温めるのに利用される。サーミスタの検出温度が所定値を超えると、ヒータによる加熱を停止すると共に、ファンを稼動させて装置内の空気を対流させる。これにより、インクの温度が低下し、インクの粘性が保たれることによって記録ヘッドによる記録動作が続行される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−292887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のインクジェット記録装置では、ヒータによる加熱が停止しても、記録動作中は、紫外線発生部材は紫外線と共に熱を生じている。従って、使用環境又は使用状態によっては、インクのパイプや記録ヘッドが、アルミ製の支持部材を介して加熱され続けるので、インクの温度が低下せず、記録品質に適切な粘度に制御することが困難であった。また、装置内にファンやヒータを備えているので、構成が複雑であるという問題点もあった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、構成が簡単で、かつ紫外線硬化性のインクの温度又は粘度を制御して良好な記録品質を保持できるインクジェット記録装置及び記録制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1態様に係るインクジェット記録装置は、紫外線硬化性のインクを吐出部から被記録媒体に向かって吐出する記録ヘッドと、紫外線と共に熱を発生する紫外線発生部材と、前記紫外線発生部材によって生じた紫外線を遮断した状態で、液体状態のインクを前記吐出部に至らしめ、当該インクに前記紫外線発生部材からの熱を伝達する流路と、前記流路のインクの粘度若しくは温度を検出する検出手段と、前記検出手段の検出結果に基づき、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったか否か、若しくは、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったか否かの少なくとも一方を判断する第1判断手段と、前記第1判断手段が、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったこと、若しくは、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったことの少なくとも一方の判断をした場合、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少する第1照射制御手段とを備えている。
【0008】
第1態様では、記録ヘッドの吐出部から紫外線硬化性のインクが被記録媒体に向かって吐出される。紫外線発生部材は、紫外線を発生すると共に熱を発生する。液体状態のインクを吐出部に至らしめる流路は、紫外線発生部材によって生じた紫外線を遮断した状態で、インクに紫外線発生部材からの熱を伝達する。流路内のインクの粘度若しくは温度は、検出手段によって検出される。そして、第1判断手段は、検出手段の検出結果に基づき、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったか否か、若しくは、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったか否かの少なくとも一方を判断する。続いて、第1照射制御手段は、第1判断手段が、紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったこと、若しくは、紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったことの少なくとも一方の判断をした場合、紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少する。これにより、ファンやヒータが無くても、インクの粘度を所定の粘度に、若しくはインクの温度を所定の温度に制御できるので、簡単な構成で、かつ良好な記録品質を保持できる。
【0009】
また、第1態様において、前記第1判断手段の判断結果に基づき、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態で、前記記録ヘッドがフラッシング又はパージによるメンテナンス動作を実行するように、前記記録ヘッドを制御するメンテナンス制御手段を備えてもよい。紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態では、インクの粘度が所定の粘度以下、若しくはインクの温度が所定の温度以上になっている。この場合は、記録ヘッドによる被記録媒体への記録を行わずに、メンテナンス動作を記録ヘッドに行わせる。記録ヘッドによる被記録媒体への記録を停止している間に、記録ヘッドのメンテナンス動作を実行させることによって、記録ヘッドにおけるインクの目詰まり等を防止できる。
【0010】
また、第1態様において、前記流路には、前記紫外線発生部材によって生じた熱が前記記録ヘッドに比べて伝達されにくい位置に配置された低温部、又は、前記紫外線発生部材によって生じた熱が前記記録ヘッドに比べて伝達されにくい材質で構成された低温部が設けられ、前記記録ヘッドのメンテナンス動作により、前記記録ヘッドから前記低温部のインクよりも高温のインクが吐出され、前記低温部のインクが前記流路内を前記記録ヘッド側に流動するようにしてもよい。つまり、低温部のインクは、紫外線発生部材によって生じた熱に影響されにくいので、流路内を記録ヘッド側に流動するときに、紫外線発生部材によって生じた熱で温められる。これにより、インクが加熱され過ぎてしまうのを防止できる。
【0011】
また、第1態様において、前記流路の少なくとも一部が大気中に露出しており、露出した前記流路を移動する移動手段と、前記移動手段を制御する移動制御手段とを備え、前記第1照射制御手段が前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態で、前記移動制御手段が前記移動手段を制御して、前記移動手段が前記流路を移動した後に、前記メンテナンス制御手段が、前記記録ヘッドによるメンテナンス動作を開始するようにしてもよい。紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態では、インクの粘度が所定の粘度以下、若しくはインクの温度が所定の温度以上になっている。この場合に、メンテナンス制御手段によってメンテナンス動作が開始するが、移動制御手段が移動手段を制御して流路を移動させることによって、大気中に露出した流路の一部を冷やすことができる。これにより、画像形成動作自体ではないフラッシング又はパージによるメンテナンス動作に伴う移動中に、流路のインクを所定の粘度、若しくは所定の温度に速やかに調整できる。
【0012】
また、第1態様において、前記流路の少なくとも一部が大気中に露出しており、露出した前記流路を移動する移動手段と、前記移動手段を制御する移動制御手段とを備え、前記第1照射制御手段が前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態で、前記移動制御手段が前記移動手段を制御して、前記移動手段が前記流路を移動するようにしてもよい。紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態では、インクの粘度が所定の粘度以下、若しくはインクの温度が所定の温度以上になっている。この場合に、移動制御手段が移動手段を制御して流路を移動させることによって、大気中に露出した流路の一部を冷やすことができる。これにより、流路のインクを所定の粘度、若しくは所定の温度に速やかに調整できる。
【0013】
また、第1態様において、前記検出手段の検出結果に基づき、前記流路のインクの粘度が所定の粘度より高いか否か、若しくは、前記流路の所定箇所のインクの温度が所定の温度未満か否かの少なくとも一方を判断する第2判断手段と、前記第2判断手段が前記流路のインクの粘度が所定の粘度より高いこと、若しくは、前記流路の所定位置のインクの温度が所定の温度未満であることの少なくとも一方の判断をした場合、前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加する第2照射制御手段とを備えてもよい。紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加することによって、紫外線発生手段によって生じる熱量を増加させることができる。これにより、流路を流れるインクを温めることができるので、インクの粘度を所定の粘度に、若しくはインクの温度を所定の温度に制御できる。
【0014】
また、第1態様において、前記第1照射制御手段が前記第1判断手段の判断に基づき前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少した後に、前記第2照射制御手段が前記第2判断手段の判断に基づき前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加するようにしてもよい。第1照射制御手段が第1判断手段の判断に基づき紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少することによって、流路のインクの温度が低下した場合において、紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加することによって、紫外線発生手段によって生じる熱量を増加させることができる。これにより、流路を流れるインクをさらに温めることができるので、インクの粘度を所定の粘度に、若しくはインクの温度を所定の温度に戻すことができる。
【0015】
また、第1態様において、電源投入後で前記記録ヘッドのインクの吐出前に、前記第2照射制御手段が前記第2判断手段の判断に基づき前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加するようにしてもよい。電源投入後で前記記録ヘッドのインクの吐出前は、紫外線発生手段から熱が十分に発生しておらず、流路のインクを十分に温めることができない。この場合に、第2照射制御手段が第2判断手段の判断に基づき紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加することによって、流路を流れるインクを温めることができるので、インクの粘度を所定の粘度に、若しくはインクの温度を所定の温度に制御できる。
【0016】
また、第1態様において、前記第2照射制御手段が前記第2判断手段に基づき前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加した場合、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を継続した状態で、前記記録ヘッドのインクの吐出を禁止する禁止制御手段を備えてもよい。第2照射制御手段が、第2判断手段に基づき紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加した場合は、流路のインクの粘度が所定の粘度以上であるか、若しくは、流路の所定位置のインクの温度が所定の温度以下であるので、そのようなインクを記録ヘッドから吐出して硬化させた場合は、被記録媒体の記録品質が悪化する。従って、紫外線発生部材による紫外線の照射を継続した状態でインクを温めつつ、記録ヘッドのインクの吐出を禁止することによって、品質の悪い記録が被記録媒体になされることを防止できる。
【0017】
また、第1態様においてインクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を入力する第1入力手段と、前記第1入力手段の入力に基づき前記第1判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第1基準設定手段とを備えてもよい。第1入力手段によって入力されたインクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報に基づき、第1基準設定手段が第1判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定できる。従って、第1判断手段は、使用するインクに応じて判断できる。
【0018】
また、第1態様において、インクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を、前記流路にインクを流路に供給するための収納容器に設けられた被検出部に基づき検出する第1情報検出手段と、前記第1情報検出手段の検出結果に基づき前記第1判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第1基準設定手段とを備えてもよい。収納容器に設けられた被検出部に基づき、第1情報検出手段がインクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を検出する。第1情報検出手段の検出結果に基づき、第1基準設定手段が第1判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定できる。従って、第1判断手段は、使用するインクに応じて判断できる。
【0019】
また、第1態様において、インクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を入力する第2入力手段と、前記第2入力手段の入力に基づき前記第2判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第2基準設定手段とを備えてもよい。第2入力手段によって入力されたインクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報に基づき、第2基準設定手段が第2判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定できる。従って、第2判断手段は、使用するインクに応じて判断できる。
【0020】
また、第1態様において、インクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を、前記流路にインクを流路に供給するための収納容器に設けられた被検出部に基づき検出する第2情報検出手段と、前記第2情報検出手段の検出に基づき前記第2判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第2基準設定手段とを備えてもよい。収納容器に設けられた被検出部に基づき、第2情報検出手段がインクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を検出する。第1情報検出手段の検出結果に基づき、第2基準設定手段が第2判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定できる。従って、第2判断手段は、使用するインクに応じて判断できる。
【0021】
また、第1態様において、前記紫外線発生部材は紫外線を照射する複数のLEDを備え、前記第1照射制御手段は、前記複数のLEDのうち少なくとも1以上の前記LEDによる紫外線の照射を中止することで、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を減少するようにしてもよい。紫外線を発生する手段としてLEDを備えているので、省電力、長寿命、コンパクト等の面で優れた効果を得ることができる。また、複数のLEDのうち少なくとも1以上のLEDによる紫外線の照射を中止することによって、紫外線発生部材に夜紫外線の照射量を調節できる。
【0022】
また、第1態様において、前記流路は複数であって、前記複数のLEDは、前記複数の流路に直交する方向に複数の前記LEDが並ぶLED群を構成し、前記LED群は、前記流路の長手方向に所定の隙間を空けて複数配置され、前記第1照射制御手段は、前記複数のLEDのうち、前記LED群毎に紫外線の照射を中止することで、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を減少するようにしてもよい。つまり、LED群毎に紫外線の照射を中止しても、それ以外の紫外線を照射しているLED群は、複数の流路に直交する方向に配置されているので、LED群で生じた熱を複数の流路に対して均等に伝えることができる。よって、流路毎にインクの温度が不均一になることを防止できる。
【0023】
本発明の第2態様に係る記録制御プログラムは、紫外線硬化性のインクを吐出部から被記録媒体に向かって吐出する記録ヘッドと、紫外線と共に熱を発生する紫外線発生部材と、前記紫外線発生部材によって生じた紫外線を遮断した状態で、液体状態のインクを前記吐出部に至らしめ、当該インクに前記紫外線発生部材からの熱を伝達する流路と、前記流路のインクの粘度若しくは温度を検出する検出手段とを備えたインクジェット記録装置に接続されたコンピュータに実行させる記録制御プログラムであって、前記検出手段の検出結果に基づき、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったか否か、若しくは、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったか否かの少なくとも一方を判断する第1判断ステップと、前記第1判断ステップにおいて、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったこと、若しくは、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったことの少なくとも一方の判断をした場合、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少する第1照射制御ステップとを備えたことを特徴とする。
【0024】
第2態様では、上記構成からなるインクジェット記録装置に接続されたコンピュータに実行させる記録制御プログラムである。まず、第1判断ステップにおいて、検出手段の検出結果に基づき、紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったか否か、若しくは、紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったか否かの少なくとも一方を判断する。次いで、第1照射制御ステップにおいて、第1判断ステップにおいて、紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったこと、若しくは、紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったことの少なくとも一方の判断をした場合、紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少する。これにより、ファンやヒータが無くても、インクの粘度を所定の粘度に、若しくはインクの温度を所定の温度に制御できるので、簡単な構成で、かつ良好な記録品質を保持できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】インクジェット記録装置1の斜視図である。
【図2】インクジェット記録装置1の平面図である。
【図3】インクジェット記録装置1の正面図である。
【図4】インクジェット記録装置1の右側面図である。
【図5】キャリッジ5周囲を底面側から見た図である。
【図6】図5に示すUV照射部62周囲の部分拡大図である。
【図7】インクジェット記録装置1の電気的構成を示すブロック図である。
【図8】フラッシュメモリ305の各種記憶エリアを示す概念図である。
【図9】印刷制御処理のフローチャートである。
【図10】印刷前温度処理のフローチャートである。
【図11】印刷処理のフローチャートである。
【図12】印刷中温度制御処理のフローチャートである。
【図13】図5に示すUV照射部62周囲の部分拡大図(第2LED群92、第4LED群94のLED65をオフした状態)である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態であるインクジェット記録装置1について、図面を参照して説明する。図1に示すインクジェット記録装置1は、紫外線(以下、UVと呼ぶ。)の照射によって硬化するUVインクを、プラスチック等の非吸収性素材である被印刷媒体に吐出し、吐出したUVインクに紫外線を照射して硬化させることで、被印刷媒体に文字、図形、記号等を印刷(記録)するものである。
【0027】
なお、UVインクとは、UVを照射することによって重合反応を起こして硬化して定着するインクである。インクを構成している液状のモノマー(低分子)が、UVを受けることにより、結合してポリマー(高分子)に変化する。ポリマー(高分子)樹脂の被膜で、基材の表面に印刷画像を形成できるので、プラスチック(PET・ポリカーボネート)等の非吸収性素材への印刷が可能である。
【0028】
はじめに、インクジェット記録装置1の構造について、図1乃至図5を参照して説明する。図1〜図4に示すように、インクジェット記録装置1は、UVインクを吐出する記録ヘッド3と、UVを照射する複数のLED65(図5参照)を底面に備えるLED装置4と、該LED装置4の真上に設けられ、LED装置4の駆動によって生じた熱を空気中に放出する多数の熱交換用フィン72を備えた放熱装置7と、記録ヘッド3及びLED装置4とを搭載して移動させるアルミ合金製のキャリッジ5と、該キャリッジ5をX軸方向にガイドするX軸ガイドレール11と、被印刷媒体(図示外)を上面に支持可能なテーブル10と、該テーブル10をX軸方向に直交するY軸方向にガイドする一対のY軸ガイドレール12,13と、キャリッジ5をX軸ガイドレール11に沿って駆動するX軸駆動機構と、テーブル10をY軸ガイドレール12,13に沿って駆動するY軸駆動機構と、BMCYの各種UVインクを収納したインクタンク9A〜9Dを装着するタンク装着部15と、インクジェット記録装置1の動作を制御する制御装置16(図7参照)とを備えている。
【0029】
X軸駆動機構は、X軸モータ17と、該X軸モータ17の駆動軸に直結する第1プーリ18と、該第1プーリ18からX軸方向に離間する第2プーリ19と、第1プーリ18及び第2プーリ19の間に掛け渡したベルト20とを備えている。X軸モータ17の駆動によって、ベルト20が第1プーリ18及び第2プーリ19の間を移動すると、ベルト20に連結されたキャリッジ5がX軸方向に移動する。X軸モータ17の駆動は、制御装置16によって制御されている。
【0030】
Y軸駆動機構は、Y軸モータ25と、該Y軸モータ25の駆動軸に直結する第1プーリ26と、該第1プーリ26からY軸方向に離間する第2プーリ27と、第1プーリ26及び第2プーリ27の間に掛け渡したベルト28とを備えている。Y軸モータ25の駆動によって、ベルト28が第1プーリ26及び第2プーリ27の間を移動すると、ベルト28に連結されたテーブル10がY軸方向に移動する。Y軸モータ25の駆動は、制御装置16によって制御されている。
【0031】
次に、記録ヘッド3の構造について説明する。図1,図2に示すように、記録ヘッド3は4つのヘッド部3A〜3Dを備え、何れもアルミ合金製である。ヘッド部3A〜3Dの下部には、吐出口13A〜13D(図5参照)が各々設けられている。吐出口13A〜13Dは、テーブル10の上面に支持した被印刷媒体に向けて、インクタンク9A〜9Dの各種インクをそれぞれ吐出する。
【0032】
次に、インクタンク9A〜9Dからヘッド部3A〜3DまでのUVインクの流路について説明する。図1,図2に示すように、インクタンク9Aの出口には、樹脂製のインク供給パイプ31が接続されている。インク供給パイプ31のUVインクが流れる終端には、アルミ合金製の金属パイプ41が接続されている。金属パイプ41の終端には、樹脂製のインク供給パイプ51が接続されている。インク供給パイプ51の終端は、ヘッド部3Aに接続されている。インク供給パイプ31、金属パイプ41及びインク供給パイプ51は、何れも紫外線を遮断するものである。よって、ヘッド部3Aに設けられたポンプ(図示外)の駆動によって、インクタンク9A内のインクが吸引される。吸引されたインクは、インク供給パイプ31、金属パイプ41、インク供給パイプ51の順に流れ、ヘッド部3Aに供給され、吐出口13Aから吐出される。
【0033】
同じく、インクタンク9Bの出口には、樹脂製のインク供給パイプ32が接続されている。インク供給パイプ32のUVインクが流れる終端には、アルミ合金製の金属パイプ42が接続されている。金属パイプ42の終端には、樹脂製のインク供給パイプ52が接続されている。インク供給パイプ52の終端は、ヘッド部3Bに接続されている。インク供給パイプ32、金属パイプ42、インク供給パイプ52は、何れも紫外線を遮断するものである。よって、ヘッド部3Bに設けられたポンプ(図示外)の駆動によって、インクタンク9B内のインクが吸引される。吸引されたインクは、インク供給パイプ32、金属パイプ42及びインク供給パイプ52の順に流れ、ヘッド部3Bに供給され、吐出口13Bから吐出される。
【0034】
インクタンク9Cの出口には、樹脂製のインク供給パイプ33が接続されている。インク供給パイプ33のUVインクが流れる終端には、アルミ合金製の金属パイプ43が接続されている。金属パイプ43の終端には、樹脂製のインク供給パイプ53が接続されている。インク供給パイプ53の終端は、ヘッド部3Cに接続されている。インク供給パイプ33、金属パイプ43、インク供給パイプ53は、何れも紫外線を遮断するものである。よって、ヘッド部3Cに設けられたポンプ(図示外)の駆動によって、インクタンク9C内のインクが吸引される。吸引されたインクは、インク供給パイプ33、金属パイプ43及びインク供給パイプ53の順に流れ、ヘッド部3Cに供給され、吐出口13Cから吐出される。
【0035】
インクタンク9Dの出口には、樹脂製のインク供給パイプ34が接続されている。インク供給パイプ34のUVインクが流れる終端には、アルミ合金製の金属パイプ44が接続されている。金属パイプ44の終端には、樹脂製のインク供給パイプ54が接続されている。インク供給パイプ54の終端は、ヘッド部3Dに接続されている。インク供給パイプ34、金属パイプ44及びインク供給パイプ54は、何れも紫外線を遮断するものである。よって、ヘッド部3Dに設けられたポンプ(図示外)の駆動によって、インクタンク9D内のインクが吸引される。吸引されたインクは、インク供給パイプ34、金属パイプ44、インク供給パイプ54の順に流れ、ヘッド部3Dに供給され、吐出口13Dから吐出される。
【0036】
次に、LED装置4の構造について説明する。図1,図3,図4に示すように、LED装置4は略直方体状に形成されている。その下面には、図5に示すように、UVをテーブル10の上面に向かって照射する底面視正方形状のUV照射部62が設けられている。UV照射部62には、UVを照射可能な15個のLED65が所定の配列で各々設けられている。
【0037】
ここで、LED65の配列について説明する。図6に示すように、UV照射部62には、Y軸方向(キャリッジ5の移動方向に直交する方向)に並ぶ3つのLED65で構成される第1LED群91、第2LED群92、第3LED群93、第4LED群94、第5LED群95が、記録ヘッド3側からX軸方向に所定間隔を空けて列設している。さらに、第1、第3、第5LED群91,93,95と、第2、第4LED群92,94とはY軸方向に互いにずれている。これは、UV照射部62におけるUVの照射強度を均一にするためである。
【0038】
そして、図5に示すように、15個のLED65は、Y軸方向において、記録ヘッド3の吐出口13A〜13Dと同位置に配置されている。よって、キャリッジ5がX軸方向に移動する際に、吐出口13A〜13Dが被印刷媒体上を移動した後で、15個のLED65が被印刷媒体の真上を通過する。これにより、被印刷媒体にUVインクを吐出した直後にUVを照射できるので、UVインクを速やかに硬化して定着することができる。また、UVを照射する手段としてLED65を採用することで、省電力、長寿命、コンパクト等の面で優れた効果を得ることができる。
【0039】
次に、放熱装置7の構造について説明する。図1〜図4に示すように、放熱装置7は、LED装置4の上面に固定された平面視長方形状のアルミ合金製の水平板71と、該水平板71の上面に多数並んで立設するアルミ合金製の熱交換用フィン72とを備えている。熱交換用フィン72は、上方に長く突出された正面視帯状の金属板である。水平板71の上面には、X軸方向及びY軸方向において10枚×18枚=計180枚の熱交換用フィン72が平面視において格子状(図2参照)に設けられている。熱交換用フィン72は、Y軸方向に両面をそれぞれ向けた状態で、Y軸方向に隣り合う他の熱交換用フィン72に対して離間している。これにより、Y軸方向に隣り合う熱交換用フィン72同士の隙間を、キャリッジ5が移動するX軸方向に沿って形成できる。
【0040】
従って、キャリッジ5がX軸方向に移動する際に、熱交換用フィン72による空気抵抗を下げることができる。さらに多数の熱交換用フィン72の隙間に空気が流れ込むので、放熱効果を高めることができる。また、X軸方向に隣り合う熱交換用フィン72同士の間にも隙間を設けている。よって、多数の熱交換用フィン72に対してX軸方向においても空気が流れ込むので、放熱効果をさらに高めることができる。このような構造によって、LED装置4に生じた熱が、放熱装置7の水平板71及び多数の熱交換用フィン72に伝達され、各熱交換用フィン72の両面から空気中に放熱される。多数の熱交換用フィン72によって、空気と接触可能な放熱面積を十分に確保している。
【0041】
上記構造を有する放熱装置7において、図2に示すように、多数の熱交換用フィン72が立設した水平板71の上面には、上記した4本の金属パイプ41〜44がX軸方向にそれぞれ大気中に露出して配置されている。金属パイプ41〜44は、Y軸方向に隣合う熱交換用フィン72の間に形成された各隙間に配置されている。金属パイプ41〜44の外周面は、水平板71の上面に接触すると共に、Y軸方向に並ぶ熱交換用フィン72の面にもそれぞれ接触している。
【0042】
LED装置4の駆動によって生じた熱は、水平板71及び熱交換用フィン72を介して、金属パイプ41〜44に良好に伝わるため、金属パイプ41〜44を流れるUVインクが温められる。LED装置4に隣接して記録ヘッド3が設けられているので、金属パイプ41〜44で温められたUVインクを、インク供給パイプ51〜54を介して、ヘッド部3A〜3Dに速やかに供給できる。ヘッド部3A〜3Dから吐出するUVインクを吐出する直前で温めることができるので、粘度が低くなったUVインクを被印刷媒体に吐出できる。また、LED装置4の駆動によって生じた熱を利用して、UVインクを温めることができるので、ヒータ等を設ける必要がなく、電力消費を節約できる。
【0043】
また、図2,図4,図6に示すように、4本の金属パイプ41〜44は、LED装置4のUV照射部62の上方に配置されている。さらに、第1〜第5LED群91〜95における3つのLED65の配置方向に対して、4本の金属パイプ41〜44は直交する位置関係にある。これにより、第1〜第5LED群91〜95に生じた熱を、金属パイプ41〜44に対して直接かつ均一に伝えることができる。
【0044】
図2,図3に示すように、金属パイプ44の外周面において終端近傍には、UVインクの温度を検出するためのサーミスタ37が固定されている。サーミスタ37は、金属パイプ44の壁面を介して、金属パイプ44内を流れるUVインクの温度を検出し、検出温度を制御装置16に送信する。サーミスタ37を、金属パイプ44の終端近傍に固定することで、サーミスタ37が記録ヘッド3に近くなる。これにより、記録ヘッド3に供給される直前のUVインクの温度を検出できる。なお、サーミスタ37は、金属パイプ41〜44の何れに固定してもよい。
【0045】
また、本実施形態では、図1に示すように、インクタンク9A〜9Dをキャリッジ5に搭載せずに、キャリッジ5から離れた位置に配置しているので、インクタンク9A〜9D内のUVインクがLED装置4に生じた熱によって温められるのを防止できる。
【0046】
次に、インクジェット記録装置1の電気的構成について、図7を参照して説明する。インクジェット記録装置1は、印刷動作を制御する制御装置16を備えている。制御装置16は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、EEPROM304と、フラッシュメモリ305と、入出力インタフェイス315と、出力インタフェイス316とを備えている。
【0047】
ROM302には、印刷前のUVインクの温度に応じて印刷動作を制御する印刷制御プログラム、印刷中のUVインクの温度にLED装置4の駆動を制御する印刷中温度制御プログラム等の各種プログラムが記憶されている。
【0048】
RAM303には、印字バッファ、ワーク領域等の各種記憶領域が設けられ、CPU301により演算された各種の演算結果が一時的に記憶される。印字バッファには、複数の文字や記号等の印字用ドットパターンや各ドットの形成エネルギー量である印加パルス数等がドットパターンデータとして格納されている。
【0049】
EEPROM304には、入出力インタフェイス315に接続されたコンピュータ装置200から受信した印刷データ等のドットパターンデータが記憶されている。よって、インクジェット記録装置1の電源をオフしても記憶内容は保持されるようになっている。
【0050】
フラッシュメモリ305には、図8に示すように、タンク検出部151(図7参照)から出力される信号に対応して、UVインクの種別、下限基準温度(T1)、上下基準温度(T2)を含むインク情報を記憶するインク情報記憶エリア121と、UVインクの種別に応じて、記録ヘッド3のヘッド部3A〜3DにおけるUVインクの吐出制御に関する制御パラメータを記憶する制御パラメータ記憶エリア122とが、少なくとも設けられている。
【0051】
下限基準温度(T1)は、UVインクの温度を低くした場合に、少なくともUVが照射されたときの印刷品質に問題のない下限の温度である。一方、UVインクの上限基準温度(T2)は、UVインクの温度を高くした場合に、少なくともUVが照射されたときの印刷品質に問題のない上限の温度である。記録ヘッド3から吐出するときのUVインクの温度(T)が、T1より高くT2より低い適正範囲内にあれば、UVインクの粘度を印刷品質に適した状態に保持できる。
【0052】
UVインクの性質は種別によって異なるので、下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)についてもそれぞれ異なる。上記したように、このような下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)は、「インク情報」としてフラッシュメモリ305のインク情報記憶エリア121(図8参照)に記憶されている。なお、インク情報記憶エリア121に記憶されたインク情報は、コンピュータ装置200によって書き換え可能である。
【0053】
図7に示すように、入出力インタフェイス315には、UVインクの温度を検出するためのサーミスタ37と、タンク装着部15に設けられ、各インクタンク9A〜9Dの底部に各々設けられたインク識別部(図示外)を各々検出するための4つのタンク検出部151と、印刷データ、各種基準値等を入力するためのコンピュータ装置200とが各々接続されている。
【0054】
出力インタフェイス316には、記録ヘッド3を駆動するための記録ヘッド駆動回路306と、X軸モータ17を駆動するためのX軸駆動回路307と、Y軸モータ25を駆動するためのY軸駆動回路308と、LED装置4を駆動するためのLED装置駆動回路309とが各々接続されている。
【0055】
次に、CPU301による印刷制御処理について、図9乃至図12のフローチャートを参照して説明する。使用者がインクジェット記録装置1の電源を入れると、ROM302(図7参照)に記憶された印刷制御プログラムが呼び出されて実行される。図9に示すように、まず、印刷前温度処理が実行される(S11)。
【0056】
印刷前温度処理について、図10のフローチャートを参照して説明する。まず、UVインクのインク情報が検出される(S21)。ここでは、タンク装着部15に設けられたタンク検出部151から出力される信号に基づき、フラッシュメモリ305のインク情報記憶エリア121(図8参照)に記憶された各種UVインクのインク情報から、インクタンク9A〜9Dに充填されているUVインクのインク情報が検出される。
【0057】
次いで、検出されたインク情報に基づき、印刷制御処理、印刷中温度制御処理の判断で使用される下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)が設定される(S22)。これにより、インクタンク9A〜9Dに充填されたUVインクに対応する下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)で、UVインクの温度が制御される。
【0058】
続いて、サーミスタ37の検出温度(T)が下限基準温度(T1)よりも高いか否かが判断される(S23)。検出温度(T)が下限基準温度(T1)以下の場合(S23:NO)、UVインクの粘度は高く、良好な印刷品質を得ることができない。そこで、15個のLED65がオンされる(S27)。LED65がオンすることによってLED65に熱が生じる。その生じた熱は、放熱装置7の水平板71、熱交換用フィン72を介して、4本の金属パイプ41〜44にそれぞれ伝達される。よって、金属パイプ41〜44内のUVインクが温められるので、UVインクの粘度を低下させることができる。その後、S23に戻り、検出温度(T)が下限基準温度(T1)より高くなるまで、LED65がオンした状態で待機状態となる。
【0059】
そして、検出温度(T)が下限基準温度(T1)よりも高くなった場合(S23:YES)、検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上か否かが判断される(S24)。検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上であった場合(S24:YES)、UVインクの粘度が低すぎて、この粘度が低すぎるUVインクを吐出しても、意図しないインクの飛沫や着弾精度の乱れが発生してしまい、印刷品質に適さない。そこで、LED65がオンしているか否かが判断される(S25)。LED65がオンしている場合は(S25:YES)、LED65のUV照射によって生じた熱によって、金属パイプ41〜44内のUVインクが現在も温められているので、LED65がオフされる(S26)。LED65がオフされたので熱は新たに生じない。また、放熱装置7の水平板71と、多数の熱交換用フィン72とによって、LED装置4に蓄熱された熱は空気中に放出されるので、LED4に蓄熱された熱を考慮しても、金属パイプ41〜44に伝わる熱は少なく、金属パイプ41〜44内のUVインクが温められることはない。さらに、金属パイプ41〜44内のUVインクの熱は、金属パイプ41〜44の壁面や金属パイプ41〜44に接触する多数の熱交換用フィン72を介して外部に放出されるので、放熱装置7によって放熱効果が促進される。よって、UVインクの温度を速やかに低下させることができる。
【0060】
そして、LED65がオフ(S26)された後は、S24に戻り、検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低くなるまで、LED65をオフした状態で待機状態となる。なお、検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上で(S24:NO)、かつLED65がオフされている場合は(S25:NO)、そのままS24に戻り、検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低くなるまでは、LED65をオフした状態で待機状態となる。
【0061】
次いで、検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低くなった場合(S24:NO)、検出温度(T)は、下限基準温度(T1)よりも高く上限基準温度(T2)よりも低いので適正範囲内である。よって、現在のUVインクを記録ヘッド3から被印刷媒体に吐出すれば、良好な印刷品質が得られるので、UVインクの状態は良好である。そこで、図9のメインフローに戻り、印刷開始の指示があったか否かが判断される(S12)。使用者は、入力手段としてのコンピュータ装置200(図7参照)において、コンピュータ装置200に記憶した文字、図形、記号等から所望の文字等を選択し、印刷開始の指示を入力する。
【0062】
そして、コンピュータ装置200から印刷開始の指示があるまでは(S12:NO)、S11に戻り、S11の印刷前温度処理によって、UVインクの温度が適正範囲内に保持される。そして、コンピュータ装置200から印刷開始の指示があった場合(S12:YES)、コンピュータ装置200から送信された印刷データに基づき、印刷処理が実行される(S13)。
【0063】
次に、印刷処理について、図11のフローチャートを参照して説明する。まず、LED装置4によるUVの照射処理が実行される(S31)。記録ヘッド3からUVインクが吐出される前に、LED装置4の15個のLED65がオンされることで、吐出直後のUVインクにUVを照射できる。
【0064】
次に、キャリッジ5の移動処理が実行される(S32)。キャリッジ5は、X軸モータ17及びY軸モータ25の駆動によって、テーブル10の上面に支持された被印刷媒体に対して相対的に移動する。ここでは、被印刷媒体に対して最初の1ライン目の印刷を行うために、キャリッジ5が、テーブル10の上面に支持された被印刷媒体の印刷開始位置に移動される。
【0065】
次に、記録ヘッド3によるUVインクの吐出処理が実行される(S33)。キャリッジ5がX軸方向に移動しながら、図示外のポンプが駆動され、記録ヘッド3のヘッド部3A〜3Dの吐出口13A〜13Dから被印刷媒体に向けてUVインクが吐出される。吐出処理は、コンピュータ装置200から送信され、RAM302に記憶された印刷データに基づいて制御される。なお、記録ヘッド3の吐出動作は、S21で検出されたインク情報に基づき、インクタンク9A〜9D内のUVインクの種類に対応する制御パラメータで、ヘッド部3A〜3Dにおける電圧制御、吐出速度、吐出量等が制御される。なお、UVインクの種別毎の制御パラメータは、フラッシュメモリ305の制御パラメータ記憶エリア122(図8参照)に記憶されている
【0066】
そして、記録ヘッド3から被印刷媒体上にUVインクが吐出された領域上をLED装置4が移動する。被印刷媒体上に吐出されたUVインクに対して速やかにUVを照射できるので、UVインク中の重合反応が速やかに進む。よって、UVインクを十分に硬化して定着させることができるので、良好な印刷品質を得ることができる。
【0067】
こうして、1ライン目の吐出処理が終了した場合は、次の印刷に備えてその他の処理が実行される(S34)。次いで、印刷が完了したか否かが判断される(S35)。例えば、2ライン目の印刷データが残っている場合は、まだ印刷が終了していないので(S35:NO)、S31に戻り、2ライン目について、同様に、照射処理(S31)、移動処理(S32)、吐出処理(S33)、その他の処理(S34)が実行される。
【0068】
そして、全てのラインの印刷が完了した場合は(S35:YES)、図9のメインフローに戻り、電源がオフされたか否かが判断される(S14)。電源がオンされている場合(S14:NO)、S11に戻り、次の印刷開始の指示があるまで、印刷前温度処理が実行されて待機状態となる。これにより、UVインクは常時適正範囲内の温度に保持される。電源がオフされた場合は(S14:YES)、フラッシング動作、パージ動作等のメンテナンスを行う終了処理が実行され(S15)、処理を終了する。
【0069】
次に、印刷中温度制御処理について、図12のフローチャートを参照して説明する。本処理は、図9に示すS13の印刷処理が実行されると、所定時間毎にROM302(図7参照)に記憶された印刷中温度制御プログラムが呼び出され、印刷処理に割り込まれて実行される。まず、検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上か否かが判断される(S41)。検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低かった場合(S41:NO)、UVインクの温度は適正範囲内にあるので、そのまま処理を終了する。
【0070】
一方、検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上であった場合(S41:YES)、UVインクの粘度が低すぎて、この粘度が低すぎるUVインクを吐出しても、意図しないインクの飛沫や着弾精度の乱れが発生してしまい、印刷品質に適さない。そこで、LED65がオフされる(S42)。上記したように、LED65がオフされたので熱は生じない。また、金属パイプ41〜44内のUVインクの熱は、金属パイプ41〜44の壁面や金属パイプ41〜44に接触する多数の熱交換用フィン72を介して外部に放出されるので、UVインクの温度は速やかに低下する。
【0071】
さらに、キャリッジ5が大気中を金属パイプ41〜44と共に退避位置に移動制御される(S43)。そして、記録ヘッド3の吐出口13A〜13Dの目詰まり、乾燥を防止するために、フラッシング処理が実行される(S44)。フラッシング処理により、記録ヘッド3、インク供給パイプ51〜54、金属パイプ41〜44内の高温になったUVインクを捨てると共に、インクタンク9A〜9D(図1参照)から新しいUVインクを吸引できるので、記録ヘッド3に供給するUVインクの温度を適正範囲まで速やかに低下させることができる。フラッシング処理によって、サーミスタ37付近に位置していた検出対象のインクがヘッド3から排出され、新たにヘッド3やLED装置4の周辺に比べて低温なインクタンク9A〜9Dから供給されたインクが新たにサーミスタ37の検出対象となり、その後の画像形成に用いられる。なお、フラッシング処理の代わりに、記録ヘッド3からUVインクを吸引するパージ処理を行うようにしてもよい。
【0072】
次いで、検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低いか否かが判断される(S45)。検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低くなるまでは(S45:NO)、S43に戻り、退避位置に移動された状態で、フラッシング処理が継続される(S44)。なお、フラッシング処理は、継続して行ってもよいが、断続的に行うようにしてもよい。そして、検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低くなった場合(S45:YES)、UVインクの温度が適正範囲内まで低下したので、印刷を中止した前回の位置にキャリッジ5を復帰させるためにキャリッジ5の復帰移動処理が実行される(S46)。そして、LED65が再びオンされた後(S47)、S41に戻り、検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低ければ(S41:NO)、UVインクの温度は適正範囲内にあるので、そのまま処理を終了し、印刷処理が再度実行される。
【0073】
なお、上記説明において、図1に示すLED装置4が本発明の「紫外線発生部材」に相当し、図2に示すサーミスタ37が本発明の「検出手段」に相当し、図1に示すインクタンク9A〜9Dが本発明の「低温部」に相当し、図1に示すキャリッジ5、X軸移動機構、Y軸移動機構が本発明の「移動手段」に相当する。
【0074】
また、図10のS21を実行するCPU301が本発明の「第1情報検出手段」「第2情報検出手段」に相当し、図10のS22の処理を実行するCPU301が本発明の「第1基準設定手段」「第2基準設定手段」に相当し、図10に示すS23、図12に示すS45の処理を実行するCPU301が本発明の「第2判断手段」に相当し、図10に示すS24、図12に示すS41の処理を実行するCPU301が本発明の「第1判断手段」及び「禁止制御手段」に相当し、図10に示すS26、図12に示すS42の処理を実行するCPU301が本発明の「第1照射制御手段」に相当し、図12に示すS43の処理を実行するCPU301が本発明の「移動制御手段」に相当し、S44の処理を実行するCPU301が本発明の「メンテナンス制御手段」に相当し、図10に示すS27、図12に示すS47の処理を実行するCPU301が本発明の「第2照射制御手段」に相当する。
【0075】
以上説明したように、本実施形態のインクジェット記録装置1は、記録ヘッド3を搭載するキャリッジ5にLED装置4を備えている。LED装置4の真上に多数の熱交換用フィン72を有する放熱装置7を設けている。多数の熱交換用フィン72の間には、記録ヘッド3にUVインクを供給するための金属パイプ41〜44を配置している。LED装置4の駆動によって生じた熱で金属パイプ41〜44内のUVインクを温めることができるので、ヒータ等を用いなくても簡単な構成でUVインクの粘度を下げることができる。印刷処理前に、UVインクの温度をサーミスタ37で検出する。検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上であった場合は、UVインクの粘度が低すぎて良好な印刷品質が得られない。この場合、LED装置4のLED65をオフする。これにより、金属パイプ41〜44内のUVインクの温度が低下する。また、検出温度(T)が下限基準温度(T1)より低い場合は、UVインクの粘度が高くなり、良好な印刷品質が得られない。この場合、LED装置4のLED65をオンする。これにより、金属パイプ41〜44内のUVインクの温度が適正範囲内に保持される。UVインクの温度が適正範囲内にあるときに、印刷処理を実行できるので、良好な印刷品質を確実に得ることができる。
【0076】
また、印刷処理中に、検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上になった場合は、キャリッジ5が退避位置に移動制御され、フラッシング処理等のメンテナンス動作が実行される。この移動制御により、キャリッジ5は、印刷範囲に相当するテーブル10の脇に設けられた図示しないフラッシング位置まで、大気中を金属パイプ41〜44と共に移動する。これにより、UVインクが適正範囲内にないときに、印刷処理を中止できる。さらに、フラッシング処理等のメンテナンス動作を実行することで、記録ヘッド3の目詰まり、乾燥を防止できる。
【0077】
なお、本発明の移設検出装置、及び当該移設検出装置を備えた工作機械は、上記実施形態に限らず、各種の変形が可能なことはいうまでもない。例えば、上記実施形態では、UVインクのサーミスタ37の検出温度(T)が上限基準温度(T2)以上であった場合は、LED装置4の15個のLED65を全てオフし、紫外線の照射を中止していたが、少なくとも1以上のLED65をオフすることで、紫外線の照射を減少するようにしてもよい。
【0078】
例えば、図13に示すように、LED装置4のUV照射部62において、第1〜第5LED群91〜95のうち、第1LED群91,第3LED群93、第4LED群95のLED65をオンし、第2LED群92,第4LED群94のLED65をオフする。このようにすることで、UV照射部62における紫外線の照射を減少、又は増加することができる。また、第1〜第5LED群91〜95を構成する3つのLED65は、4本の金属パイプ41〜44に対して直交する方向に並んで配置しているので、LED65のオンオフをLED群ごとに制御することで、オンしているLED群によって金属パイプ41〜44を均一に温めることができる。
【0079】
また、上記実施形態では、UVインクの粘度を調整するために、サーミスタ37で金属パイプ44内のUVインクの温度を検出し、その温度を適正範囲に調節することで、UVインクの粘度を調整しているが、例えば、金属パイプ44内に粘度計を設けてもよい。粘度計によってUVインクの粘度を検出し、予め決めらた適正範囲に調節するようにしてもよい。
【0080】
粘度を検出する場合において、上記実施形態と同様に、下限基準粘度(C1)、上限基準粘度(C2)を設定する。粘度計で検出したUVインクの粘度(C)を、下限基準粘度(C1)よりも高く上限基準粘度(C2)よりも低い適正範囲に保持するように、LED65のオンオフを制御する。即ち、図10、図12のフローチャートにおいて、図10のS23の処理では、粘度(C)が上限基準粘度(C2)より低いか否かを判断(C<C2?)し、S24の処理では、粘度(C)が下限基準粘度(C1)以下か否かを判断(C≦C1?)し、図12のS41の処理では、粘度(C)が下限基準粘度(C1)以上か否かを判断(C≦C1?)し、S45の処理では、粘度(C)が下限基準粘度(C1)より高いか否かを判断(C>C1?)すればよい。
【0081】
また、上記実施形態では、タンク検出部151から出力される信号に基づき、フラッシュメモリ305のインク情報記憶エリア121(図8参照)に記憶された各種UVインクのインク情報から、インクタンク9A〜9Dに充填されているUVインクのインク情報を検出し、印刷制御処理、印刷中温度制御処理の判断に使用する下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)を設定しているが、本発明の「第1入力手段」としてのコンピュータ装置200で、下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)を入力するようにしてもよい。入力した下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)は、RAM303等の記憶手段に記憶する。
【0082】
この場合、図10に示す印刷前温度処理のS22において、RAM303等の記憶手段に記憶した下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)を、印刷制御処理、印刷中温度制御処理の判断で使用する下限基準温度(T1)、上限基準温度(T2)に設定する。この場合、S22の処理を実行するCPU301が本発明の「第1基準設定手段」「第2基準設定手段」に相当する。
【0083】
また、上記実施形態において、記録ヘッド3のヘッド部の数、インクタンクの数、インク供給パイプの本数、金属パイプの本数等は一例であって、自由に変更可能である。
【0084】
また、上記実施形態では、キャリッジ5はX軸方向にガイドされ、テーブル10がY軸方向にガイドされる構成であるが、キャリッジ5がX軸方向及びY軸方向にガイドされる構成であってもよい。さらに、テーブル10がX軸方向及びY軸方向にガイドされる構成であってもよい。
【0085】
また、図12のS45の処理において、CPU301は、検出温度(T)が上限基準温度(T2)より低いか否かを判断しているが、上限基準温度(T2)よりも低い温度を基準にしてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 インクジェット記録装置
3 記録ヘッド
4 LED装置
5 キャリッジ
7 放熱装置
9A〜9D インクタンク
10 テーブル
11 X軸ガイドレール
12 Y軸ガイドレール
13A〜13D 吐出口
16 制御装置
17 X軸モータ
18 第1プーリ
19 第2プーリ
20 ベルト
25 Y軸モータ
26 第1プーリ
27 第2プーリ
28 ベルト
31〜34 インク供給パイプ
37 サーミスタ
41〜44 金属パイプ
51〜54 インク供給パイプ
65 LED
91〜95 第1〜第5LED群
121 インク情報記憶エリア
151 タンク検出部
200 コンピュータ装置
301 CPU
302 ROM
305 フラッシュメモリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
紫外線硬化性のインクを吐出部から被記録媒体に向かって吐出する記録ヘッドと、
紫外線と共に熱を発生する紫外線発生部材と、
前記紫外線発生部材によって生じた紫外線を遮断した状態で、液体状態のインクを前記吐出部に至らしめ、当該インクに前記紫外線発生部材からの熱を伝達する流路と、
前記流路のインクの粘度若しくは温度を検出する検出手段と、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったか否か、若しくは、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったか否かの少なくとも一方を判断する第1判断手段と、
前記第1判断手段が、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったこと、若しくは、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったことの少なくとも一方の判断をした場合、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少する第1照射制御手段と
を備えることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第1判断手段の判断結果に基づき、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態で、前記記録ヘッドがフラッシング又はパージによるメンテナンス動作を実行するように、前記記録ヘッドを制御するメンテナンス制御手段を備えることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記流路には、前記紫外線発生部材によって生じた熱が前記記録ヘッドに比べて伝達されにくい位置に配置された低温部、又は、前記紫外線発生部材によって生じた熱が前記記録ヘッドに比べて伝達されにくい材質で構成された低温部が設けられ、
前記記録ヘッドのメンテナンス動作により、前記記録ヘッドから前記低温部のインクよりも高温のインクが吐出され、前記低温部のインクが前記流路内を前記記録ヘッド側に流動することを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記流路の少なくとも一部が大気中に露出しており、
露出した前記流路を移動する移動手段と、
前記移動手段を制御する移動制御手段と
を備え、
前記第1照射制御手段が前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態で、前記移動制御手段が前記移動手段を制御して、前記移動手段が前記流路を移動した後に、前記メンテナンス制御手段が、前記記録ヘッドによるメンテナンス動作を開始することを特徴とする請求項2又は3に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記流路の少なくとも一部が大気中に露出しており、
露出した前記流路を移動する移動手段と、
前記移動手段を制御する移動制御手段と
を備え、
前記第1照射制御手段が前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中断又は減少した状態で、前記移動制御手段が前記移動手段を制御して、前記移動手段が前記流路を移動することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記検出手段の検出結果に基づき、前記流路のインクの粘度が所定の粘度より高いか否か、若しくは、前記流路の所定箇所のインクの温度が所定の温度未満か否かの少なくとも一方を判断する第2判断手段と、
前記第2判断手段が前記流路のインクの粘度が所定の粘度より高いこと、若しくは、前記流路の所定位置のインクの温度が所定の温度未満であることの少なくとも一方の判断をした場合、前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加する第2照射制御手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第1照射制御手段が前記第1判断手段の判断に基づき前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少した後に、前記第2照射制御手段が前記第2判断手段の判断に基づき前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加することを特徴とする請求項6に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
電源投入後で前記記録ヘッドのインクの吐出前に、前記第2照射制御手段が前記第2判断手段の判断に基づき前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加することを特徴とする請求項6又は7に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記第2照射制御手段が前記第2判断手段に基づき前記紫外線発生手段による紫外線の照射を開始、又は増加した場合、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を継続した状態で、前記記録ヘッドのインクの吐出を禁止する禁止制御手段を備えることを特徴とする請求項6乃至8のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
インクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を入力する第1入力手段と、
前記入力手段の入力に基づき前記第1判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第1基準設定手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
インクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を、前記流路にインクを流路に供給するための収納容器に設けられた被検出部に基づき検出する第1情報検出手段と、
前記第1情報検出手段の検出結果に基づき前記第1判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第1基準設定手段と
を備えることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
インクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を入力する第2入力手段と、
前記第2入力手段の入力に基づき前記第2判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第2基準設定手段と
を備えることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
インクの温度、粘度、種類の少なくとも1つに関わる情報を、前記流路にインクを流路に供給するための収納容器に設けられた被検出部に基づき検出する第2情報検出手段と、
前記第2情報検出手段の検出に基づき前記第2判断手段が判断の基準とする温度若しくは粘度を設定する第2基準設定手段と
を備えることを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記紫外線発生部材は紫外線を照射する複数のLEDを備え、
前記第1照射制御手段は、前記複数のLEDのうち少なくとも1以上の前記LEDによる紫外線の照射を中止することで、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を減少することを特徴とする請求項1乃至13の何れかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記流路は複数であって、
前記複数のLEDは、前記複数の流路に直交する方向に複数の前記LEDが並ぶLED群を構成し、
前記LED群は、前記流路の長手方向に所定の隙間を空けて複数配置され、
前記第1照射制御手段は、前記複数のLEDのうち、前記LED群毎に紫外線の照射を中止することで、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を減少することを特徴とする請求項14に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
紫外線硬化性のインクを吐出部から被記録媒体に向かって吐出する記録ヘッドと、紫外線と共に熱を発生する紫外線発生部材と、前記紫外線発生部材によって生じた紫外線を遮断した状態で、液体状態のインクを前記吐出部に至らしめ、当該インクに前記紫外線発生部材からの熱を伝達する流路と、前記流路のインクの粘度若しくは温度を検出する検出手段とを備えたインクジェット記録装置に接続されたコンピュータに実行させる記録制御プログラムであって、
前記検出手段の検出結果に基づき、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったか否か、若しくは、前記紫外線発生部材からの熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったか否かの少なくとも一方を判断する第1判断ステップと、
前記第1判断ステップにおいて、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの粘度が所定の粘度以下になったこと、若しくは、前記紫外線発生部材の熱を伝達されたインクの温度が所定の温度以上になったことの少なくとも一方の判断をした場合、前記紫外線発生部材による紫外線の照射を中止又は減少する第1照射制御ステップと
を備えたことを特徴とする記録制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−207049(P2011−207049A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−77122(P2010−77122)
【出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】