説明

インクジェット記録装置

【課題】従来においては印字内容表示画面と日付時刻設定画面はそれぞれ別画面にて行っていた。これは、日付時刻設定が一度設定すれば、後は時計の誤差に対する微調整程度しか行われないため、印字内容表示画面と日付時刻設定画面を同一画面に収める必要性はないと考えたためである。
【解決手段】本発明では印字内容表示画面と日付時刻設定画面を同一画面に収め、日付時刻を設定すると、即座に印字内容イメージ表示に反映されるようにする。これにより、置き換え規則の妥当性の確認が容易できるようになり、置き換え規則の誤設定による誤印字の発生が低減できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生産ラインで搬送される製品(被印字物)にノズルより噴出するインクで、文字、数字、記号、図形、バーコード等を印字するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のインクジェット記録装置において、印字内容を表示する機能を有するもの、時計機能を有するもの、日時を基に印字内容を作成できるもの、オペレータが任意の日時を設定できるものは存在するが、これらの機能を同一の画面で表示するものはない。
【0003】
【特許文献1】特開平10−86921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
日時を基に英字、記号等に置き換えをする場合、印字内容の妥当性を即座に判断することは難しい。そのため、置き換え規則を誤って設定してしまった場合、その日時にならないと表示、印字されないため、事前に誤りに気づくことは難しい。インクジェット記録装置を産業用途に用いる場合、高い信頼性が必要となる。このため、容易に置き換え規則の妥当性を確認できる手段が必要となる。
【0005】
本発明の目的は、将来の日時における印字内容の確認を簡単行えるようにすることで置き換え規則の誤定義を低減し、誤印字の低減を図るものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
従来においては印字内容表示画面と日付時刻設定画面はそれぞれ別画面にて行っていた。これは、日付時刻設定が一度設定すれば、後は時計の誤差に対する微調整程度しか行われないため、印字内容表示画面と日付時刻設定画面を同一画面に収める必要性はないと考えたためである。これを、同一画面に収め、日付時刻を設定できるようにする。
【発明の効果】
【0007】
印字内容表示画面と日付時刻設定画面を同一画面に収め、日付時刻を設定すると、即座に印字内容イメージ表示に反映されるようにする。これにより、置き換え規則の妥当性の確認が容易できるようになり、置き換え規則の誤設定による誤印字の発生が低減できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を示す図面に沿って本発明を詳しく説明する。
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の全体ブロック図である。図2は、本発明の実施形態に係るインクジェット記録装置の主要部を概略的に示す図である。
【0010】
まず、インクジェット記録装置の主要部に係る説明からする。ノズル1にてインクを粒子化するための励振電圧を印加することにより、図2に示すように、ノズル1はインク粒子を噴出する。噴出されたインク粒子は、飛行して搬送ラインのベルト2に載って流れる被印字物3に印字される。ノズル1よりインク粒子を噴出するタイミングは印字物検出センサー4および印字物検知部5により制御される。インク粒子が帯電電極6はノズル1の直ぐ先に備えられ、ノズル1から噴出したインク粒子に電荷を帯びさせる。帯電電極6に印加される電圧は文字信号発生部7によって印字内容に応じて調整される。電荷を帯びたインク粒子は帯電電極6の直ぐ先に備えられる偏向電極8でインク粒子毎に飛行方向が偏向されるので、被印字物3にインク粒子の文字ないし記号等が印字されるのである。
【0011】
ノズル1にはインク容器9内のインクがインク供給管10を通じて供給ポンプ20により送られるのである。ノズル1から噴出されたインク粒子で印字に使われないものは、ガター21に受けられ、回収管22を通じて回収ポンプ23によりインク容器9に戻されるのである。
【0012】
図1に示すように、印字物検知部5、文字信号発生部7、入力部40、表示部50、印字内容反映部60は制御部30に接続される。入力部40においてオペレータの所望する印字内容を入力し、制御部30にて一時保持する。また、入力内容の確認のため、表示部50にて入力内容を表示する。印字内容を印字内容反映部60によりインク粒子毎のデータに変換、印字内容記憶部61に保持する。印字内容記憶部61は文字信号発生部7と接続している。
【0013】
印字物検知部5から被印字物3の到来の信号が制御部30に入ると、制御部30は文字信号発生部7に対して印字を指示する。文字信号発生部7は印字内容記憶部61の印字データに基づいて帯電電極6の印加電圧を加減する。こうして上記の如くインク粒子が飛行、偏向し印字が行われるのである。
【0014】
また、インクジェット記録装置の制御部30のうち、ROM32はインクジェット記録装置の制御を行う制御プログラムを格納する。CPU31は制御プログラムを実行し、インクジェット記録装置の各種機器の動作を制御する。RAM33は制御プログラム実行時、一時的に使用するデータを保持する。EEPROM34は不揮発性の記録媒体であり、文字、記号等の印字パターンを記録する。また、RTC35とは時計の機能を持つLSIであり、インクジェット記録装置で日時に関する印字を行う際の基準の時計となる。
【0015】
図3は置き換え規則設定画面の一例である。本実施例では「日」に対し置き換えて表示するデータをアルファベットとして設定している。左側の数値が日、右側括弧内アルファベットが、日の値に対して置き換えて表示するデータである。
【0016】
図4は印字内容表示画面の一例である。画面最上部に表示されている日時401は、インクジェット記録装置内部に存在するRTC35の現在日時情報をそのまま表示している。本実施例では現在日時は2006年3月13日18時31分8秒としている。また、印字内容402に「年、月、日、時、分、秒」を設定している。「年、月、時、分、秒」は現在日時そのまま、「日」については現在日時を基に置き換えを行っている。図3の置き換え規則設定画面によると、13日に該当する置き換えデータは「WA」となる。これら設定した印字内容を実際に印字するイメージで表示したのが、画面下部の印字レイアウト403である。
【0017】
置き換え規則を設定した際、その設定したデータが数値(日時)に正しく設定しているか確認するには、実際に日付、時刻を変えて表示されるデータが妥当なものか調べる必要があった。
【0018】
図5は印字内容表示画面に日時設定機能501を付加した画面の一例であり、これが印字内容画面と日時設定画面を同一画面に収めたものである。日時設定機能501はテスト時計選択502にて稼動を選択した場合有効となる。テスト時計を稼動状態にすると、テスト時計稼動開始直後にRTC35から最新の現在日時を取得し、それ以降RTC35からの日時取得を停止する。
【0019】
画面下部の日時設定機能501にて日の数値を増加キー507、減少キー508を用いて変化させることで、印字内容表示画面403の日時情報が変化する。本実施例では「日」の値を22に変更している。図3置き換え規則設定画面の22日に対する置き換えデータは「FC」であり、印字レイアウト403の「日」に該当する部分に「FC」と表示される。この「FC」が妥当な印字内容か確認するには、図3置き換え規則設定画面で設定する根拠としたデータと照合すればよい。これにより、日付、時刻を変化させながら置き換え規則を参照することが可能となり、全置き換え規則の妥当性チェックが容易に行えるようになる。
【0020】
また、置き換え規則確認作業をさらに容易にするため、任意の時間間隔で日付、時刻を変化させていく機能も考えられる。例えば、5秒間隔で「日」の値を1ずつ加算していくことにより、オペレータは増加キー507、減少キー508を操作することなく、置き換え規則の確認作業を行えることになる。
【0021】
あるいは、置き換え規則が変化するまで日付、時刻を自動的に更新する方法もある。この方法では、置き換え規則の変化が発見できずに日付、時刻の上限値を超えた場合、値を下限値に設定し更新を継続する。逆に日付、時刻の下限値を超えた場合値を上限値に設定し更新を継続する。さらに置き換え規則の変化が発見できず、数値が自動更新開始値に戻った場合更新を停止する。これは、数値に対する置き換え情報が少ないときに特に有効である。
【0022】
例えば、「時」の置き換え規則で、00から11までの置き換えを「AM」、12から23までの置き換えを「PM」とする場合、最初00の置き換え規則を確認する。次に置き換え規則が変化する数値まで「時」を1ずつ自動加算する。ここで時が12になったとき置き換えが「AM」から「PM」に変化するため、自動加算を停止する。ここで印字レイアウト403に「PM」が表示されることになる。これにより、00から11までが「AM」であること、および12が「PM」であることが確認できる。自動加算を再開すると「時」が上限値23を超え0に戻る。ここで置き換えが「PM」から「AM」に変化するため、自動加算を停止し、印字レイアウト403「AM」が表示される。これにより12から23までが「PM」であることを確認できる。これにより本来、24すべての置き換えを確認しなければならないところを、置き換え規則の変化点2箇所を確認することにより24すべての置き換えを確認できることとなる。置き換え確認作業の低減に極めて有効な方式である。
【0023】
日時設定機能501で設定した日時については、RTC35に反映せず、また印字にも反映しない。これは、日時情報設定機能501にて設定した日時を印字に反映してしまうと、印字中に置き換え規則確認ができなくなってしまうためである。
【0024】
本実施例においては日に対する置き換え規則に対してのみ取り上げたが、年、月、時、分、秒に対しても日同様に日付、時刻変化による置き換え規則内容確認も行うことが可能である。
【0025】
また、上記の実施形態ではコンティニュアス方式のインクジェット記録装置につき説明したが、ドロップ・オンデマンド方式のインクジェット記録装置でも同様に可能である。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の全体ブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態に係るインクジェット記録装置の主要部を示す概略図である。
【図3】本発明の一実施形態に係るもので、置き換え規則設定画面の一例である。
【図4】本発明の一実施形態に係るもので、印字内容表示画面の一例である。
【図5】本発明の一実施形態に係るもので、印字内容表示画面の一例である。
【符号の説明】
【0027】
1…ノズル、2…ベルト、3…被印字物、5…印字物検知部、6…帯電電極、7…文字信号発生部、8…偏向電極、9…インク容器、10…インク供給管、20…供給ポンプ、21…ガター、22…回収管、23…回収ポンプ、30…制御部、31…CPU、32…ROM、33…RAM、34…EEPROM、35…RTC、40…入力部、50…表示部、60…印字内容反映部、61…印字内容記憶部、401…現在日時、402…印字内容、403…印字レイアウト、501…日時設定、502…テスト時計選択、503…年増加キー、504…年減少キー、505…月増加キー、506…月減少キー、507…日増加キー、508…日減少キー、509…時増加キー、510…時減少キー、511…分増加キー、512…分減少キー、513…秒増加キー、514…秒減少キー。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被印字物に印字内容を印字するインクを噴出するノズルが備わるインクジェット記録装置において、インクジェット記録装置は表示装置を有し、表示装置にて印字内容をイメージ表示できる機能を有し、また前記インクジェット記録装置は時計機能を有し、時計機能の日時をオペレータが任意に設定できる機能を有し、また前記時計機能の日時を基に印字内容を作成する機能を有するものにおいて、前記印字内容のイメージ表示機能と前記時計機能の日時設定機能を同一の画面にて表示することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載したものにおいて、時計機能の日時を基に印字内容を作成する際、日時の値を基に文字、記号に置き換える機能を有することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1、2に記載したものにおいて、印字内容イメージ画面と同一画面に存在する日時設定機能について、前記日時設定機能おいて設定した日時は印字内容に反映しないことを特徴とするインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−313810(P2007−313810A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−147559(P2006−147559)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】