説明

インクジェット記録装置

【課題】インクジェット記録ヘッドやサブタンク内に溜まった気泡やスラッジを除去する際に噴出されるインクの吐出量を減じてインクの無駄を防止することが可能なインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】画像記録ユニット24は、インクジェット記録ヘッド35と、サブタンク37と、ヘッド制御基板36と、これらを搭載するキャリッジ34とを具備する。キャリッジ34には、アーム100が配設されている。アーム100の入力部106が押し上げられると押圧部105が下降してサブタンク37の上面を押圧する。キャリッジ34の往復範囲の左端部にメンテナンス機構140が設けられている。キャリッジ34が上記左端部に移動すると、プッシュロッド142が押し上げられ、予め選択されたインク色のサブタンク37だけが押圧される。これにより、選択されたインクのみがノズル39から吐出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被記録媒体にインク滴を吐出することにより画像記録を行うインクジェット方式の画像記録装置(インクジェット記録装置)に関し、特に、インクジェット記録ヘッドやサブタンクに溜まった気泡やスラッジなどを除去(パージ)するパージ機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インクジェット方式のプリンタ(以下「プリンタ」と略称する。)には、サブタンク、インクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と略称する。)、ヘッド制御基板、及びこれらを搭載するキャリッジを備えてなる画像記録ユニットが設けられている。上記プリンタは、キャリッジが被記録媒体の搬送方向に直交する方向へ往復移動しつつ、サブタンクから供給されたインクを記録ヘッドが選択的に吐出することにより、被記録媒体に所望の画像が記録されるようになっている。
【0003】
この種のプリンタには、サブタンク内やインクジェット記録ヘッド内に溜まった気泡やスラッジ、或いは高粘度化したインクなどを除去するためのパージ機構が搭載されている(特許文献1及び特許文献2参照)。従来のパージ機構は、上記各特許文献に記載されているように、吸引ポンプに接続されたキャップをインクジェット記録ヘッドのノズルに被覆し、そして、吸引ポンプを駆動してキャップ内に負圧を発生させる構成が採用されている。これにより、サブタンク内のインクが吸引されて該インクとともに気泡やスラッジなどがノズルから排出されて、サブタンク内やインクジェット記録ヘッド内がクリーニングされる。
【0004】
また、特許文献3には、サブタンクを可撓性のあるゴム部材で構成し、サブタンクを押圧してサブタンク内の圧力を上昇させることで、ノズルを通じてインクとともにサブタンク内の空気を排出させるパージ機構が開示されている。
【0005】
ところで、上記プリンタには、複数色のインクを吐出して記録用紙にカラー画像を記録する所謂カラープリンタと称されるものがある。当該カラープリンタにおいては、各インク色に対応するノズルがインクジェット記録ヘッドに設けられている。従来、上記カラープリンタにおいてサブタンク内やインクジェット記録ヘッド内をクリーニングする場合は、全てのノズルから一斉に全色のインクを噴出させることにより、インクジェット記録ヘッド内部やサブタンクに溜まった気泡やスラッジなどを外部に排出している。
【0006】
【特許文献1】特開2000−246918号公報
【特許文献2】特開2000−15843号公報
【特許文献3】特開2002−166570号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前掲の特許文献1及び特許文献2に記載のパージ機構は、吸引ポンプやキャッピング機構などを要するため、装置が複雑化、大型化し、装置のコンパクト化を阻害することになり、問題である。
【0008】
一方、特許文献3に記載のパージ機構をカラープリンタなどに適用した場合は、インクジェット記録ヘッドに設けられた全色のノズルから一斉に全色のインクが噴出されるため、例えば、所定の色のインクに対して気泡やスラッジなどの除去を要しない場合であっても、その色のインクに対応するノズルからもインクが噴出され、インクの無駄が生じ、問題である。
【0009】
そこで、本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、インクジェット記録ヘッドやサブタンク内に溜まった気泡やスラッジを除去する際に噴出されるインクの吐出量を減じてインクの無駄を防止することが可能なインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1)本発明は、所定方向に搬送される被記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェット記録ヘッドと、弾性的に変形可能に構成され、上記インクジェット記録ヘッドへ供給されるインクを貯留する複数のインクタンクと、少なくとも上記インクジェット記録ヘッド及び上記複数のインクタンクを支持するとともに被記録媒体の搬送方向に略直交する方向へ往復移動するキャリッジと、上記キャリッジの移動領域における該キャリッジの移動方向両端のうちの第1端に設定された非記録領域に該キャリッジが移動した際に上記複数のインクタンクから選択された少なくとも一のインクタンクを該インクタンクの弾性に抗して押圧する押圧手段と、上記非記録領域に設けられ、上記押圧手段によって押圧されることにより上記インクジェット記録ヘッドから吐出されるインクを受ける廃インク受け部と、を具備するインクジェット記録装置として構成されている。
【0011】
インクジェット記録装置においては、インクジェット記録ヘッドの吐出孔から選択的にインクが吐出されて、そのインク滴が被記録媒体に着弾する。インクジェット記録ヘッドに供給されるインクはインクタンクに貯留されている。インクタンク及びインクジェット記録ヘッドはキャリッジに搭載されている。このキャリッジは、被記録媒体の搬送方向に直交する方向(以下「キャリッジ移動方向」と称する。)に往復移動可能に構成されている。キャリッジが往復移動する過程において上記インクジェット記録ヘッドからインクが吐出されることにより、被記録媒体に所望の画像が記録される。
【0012】
インクタンクは、例えば、上記インクジェット記録ヘッドへ供給される複数色のインクに応じて複数設けられている。これら複数のインクタンクは弾性的に変形可能に形成されている。
【0013】
キャリッジが上記キャリッジ移動方向の一端に設定された非記録領域に移動すると、複数のインクタンクから選択された少なくとも一のインクタンクが押圧手段によって押圧される。言い換えれば、押圧手段によってインクタンクが選択的に押圧される。このとき、押圧手段によって押圧されたインクタンクは、その押圧方向に収縮する。これにより、インクタンク内の圧力が上昇して、インクタンクからインクジェット記録ヘッドへインクが強制的に供給される。インクジェット記録ヘッドへ供給されたインクは、吐出孔を通じて外部へ噴出される。この噴出されたインク(廃インク)は、上記非記録領域に設けられた廃インク受け部に排出される。このように、インクタンクを押圧して、吐出孔から強制的にインクを噴出させることにより、インクタンクから吐出孔に至るインク経路に溜まった気泡やスラッジ、或いは高粘度化したインクなどがインクと共に排出される。
【0014】
(2)上記インクタンクは、上下一方向に伸縮自在に構成されている。そのため、インクタンクが収縮されたとしても、その反動で横方向に伸縮しないため、隣接する他のインクタンクを圧迫することはない。その結果、インクタンク収縮時に他のインクタンクを圧迫して該インクタンクからインクを漏出させるという不具合が解消され、インクの無駄が防止される。
【0015】
(3)上記インクタンクは、胴部がベローズ形状に形成されたものが考えられる。このように、ベローズ形状に胴部が形成されることで、上下一方向へ伸縮可能なインクタンクを容易に構成することができる。
【0016】
(4)上記押圧手段は、所定の回動支点を中心にして揺動可能に支持されたアームと、該アームの第1端に設けられて上記インクタンクの上面を下方へ押圧可能な押圧端部と、上記アームの第2端に設けられて外部からの駆動力を受ける入力端部と、上記アームの上記入力端部を押し上げる方向に駆動力を伝達することにより上記押圧端部を下方に駆動させる駆動手段とを備えている。このように構成されることにより、アームと駆動手段とによる簡素な押圧機構を実現することができる。
【0017】
(5)上記駆動手段の具体例としては、例えば、上記駆動手段は、上下可動に支持されて上記入力端部に当接可能なリンク部材と、モータなどの駆動源からの駆動力を上記リンク部材に伝達するカム部材とを備えたものが考えられる。
【0018】
(6)上記インクタンクと連結されて該インクタンクにインクを供給する供給手段を具備するインクジェット記録装置においては、上記キャリッジの移動方向両端のうちの第1端に設定された非記録領域に上記押圧手段が配設され、上記キャリッジの移動方向両端のうちの第2端に設定された非記録領域に上記供給手段が配設されている構成が好ましい。
【0019】
上記キャリッジは、モータなどの駆動源から駆動力を得て移動される。記録画像の品質低下を防止するためには、被記録媒体に画像が記録される画像記録領域では、キャリッジの移動速度は所定速度に保たれていなければならない。言い換えれば、画像記録領域においては、キャリッジは等速移動されなければならない。画像記録領域におけるキャリッジの等速移動を実現するためには、画像記録領域の両端それぞれに、キャリッジを所定速度まで加速させるための加速領域(非記録領域)を確保する必要がある。本インクジェット記録装置では、これらの加速領域を、キャリッジの加速だけに利用するのではなく、上記押圧手段及び上記供給手段の配設スペースとしても利用している。これにより、加速領域付近の空きスペースを有効に利用することができ、装置の小型化が図られている。また、押圧手段及び供給手段をキャリッジの移動方向の両端それぞれに分配して配置することで、キャリッジの移動方向の一方側に押圧手段及び供給手段を集約して配置する場合に比べて、装置の幅を小さくすることができ、好適である。
【0020】
(7)本発明のインクジェット記録装置は、上記キャリッジの移動量及び上記押圧手段による押圧タイミングを制御することにより、上記押圧手段に上記複数のインクタンクから選択された少なくとも一のインクタンクを押圧させる制御手段をさらに具備する。これにより、上記押圧手段による選択的なインクタンクの押圧動作が具体的に実現される。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、インクタンクを押圧してインクジェット記録ヘッドの吐出孔から強制的にインクを噴出させることにより、インクタンク内部及び該インクタンクから吐出孔に至るインク経路に溜まった気泡やスラッジ、或いは劣化により高粘度化したインク等がインクと共に吐出孔から排出される。その結果、インクタンク内部及び上記インク経路をクリーニングすることができる。また、吐出孔の目詰まりも解消することができる。更にまた、複数のインクタンクから選択された少なくとも一のインクタンクのみを押圧して、選択されたインクタンクに貯留されたインクのみを吐出孔から噴出させることができる。その結果、インクの消費量が抑制されて、インクの無駄な排出が防止される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、適宜図面を参照して本発明の実施形態を説明する。なお、本実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。
【0023】
図1は、本発明の実施形態に係る複合機1の外観構成を示す斜視図である。複合機1は、プリンタ部2を下部に備え、スキャナ部3を上部に備えて構成された多機能装置(MFD:Multi Function Device)であり、プリンタ機能、スキャナ機能、コピー機能、ファクシミリ機能を有する。複合機1のプリンタ部2は、インクジェット方式によって画像を記録するものであり、本発明のインクジェット記録装置に相当する。したがって、プリンタ機能以外の機能は任意のものであり、例えば、スキャナ部3がなく、スキャナ機能やコピー機能を有しない単機能のプリンタにも本発明は適用可能である。
【0024】
複合機1は、主にコンピュータ等の外部情報機器と接続されて、該コンピュータ等から送信された画像データや文書データを含む印刷データに基づいて、記録用紙(被記録媒体の一例)に画像や文書を記録する。なお、複合機1は、デジタルカメラ等が接続されて、デジタルカメラ等から出力される画像データを記録用紙に記録したり、メモリカード等の各種記憶媒体が装填されて、該記憶媒体に記録された画像データ等を記録用紙に記録したりすることも可能である。
【0025】
図1に示されるように、複合機1は、高さより横幅及び奥行きが大きい幅広薄型の概ね直方体形状を呈する。プリンタ部2は、正面に開口6が形成されている。給紙トレイ10及び排紙トレイ11は、開口6の内側に上下2段に設けられている。給紙トレイ10には、被記録媒体である記録用紙が収容され、例えば、A4サイズ以下の各種サイズの記録用紙が収容される。
【0026】
プリンタ部2の正面の右下部には、扉7が開閉自在に設けられている。扉7の内側にはカートリッジ装着部9(図3参照)が設けられている。扉7が開かれると、カートリッジ装着部9が正面側に露出されて、インクカートリッジ38(図3参照)が装抜可能になる。カートリッジ装着部9は、使用されるインク色に対応した収容室が備えられている。本プリンタ部2では、5色のカラーインク、すなわち、染料インクであるシアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)と、顔料インクであるブラック(Bk)が使用される。したがって、上記カートリッジ装着部9には、5つの収容室が区画されており、各収容室に、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、ブラック(Bk)の各色インクを貯留するインクカートリッジ38(38A〜38E)が収容される。
【0027】
複合機1の上部はスキャナ部3であり、所謂フラットベッドスキャナとして構成されている。図1に示されるように、複合機1の上面には、該複合機1の天板として開閉自在に設けられた原稿カバー30が備えられている。原稿カバー30の下側に、原稿が載置されるプラテンガラスや原稿の画像を読み取るイメージセンサなどが配設されている。なお、スキャナ部3は本発明には関係しないため、詳細な説明は省略する。
【0028】
複合機1の正面上部には、プリンタ部2やスキャナ部3を操作するための操作パネル4が設けられている。操作パネル4は、各種操作ボタンや液晶ディスプレイから構成されている。複合機1は、操作パネル4からの操作指示に基づいて動作する。複合機1が外部のコンピュータに接続されている場合には、該コンピュータからプリンタドライバ又はスキャナドライバを介して送信される指示に基づいても複合機1が動作する。複合機1の正面の左上部には、スロット部5が設けられている。スロット部5には、記憶媒体である各種小型メモリカードが装填可能である。操作パネル4において所定の操作を行うことにより、スロット部5に装填された小型メモリカードに記憶された画像データが読み出される。読み出された画像データに関する情報は、操作パネル4の液晶ディスプレイに表示され、この表示に基づいて任意に選択された画像をプリンタ部2により記録用紙に記録させることができる。
【0029】
以下、複合機1の内部構成、特に、プリンタ部2の構成について詳細に説明する。図2は、プリンタ部2の模式断面図である。同図に示されるように、複合機1の底側に給紙トレイ10が設けられている。給紙トレイ10の底面の奥方向端部には分離傾斜板22が立設されている。この分離傾斜板22は、装置奥側へ傾倒されている。分離傾斜板22は、給紙トレイ10に載置された記録用紙の奥側の先端位置を規制するとともに、給紙トレイ10から重送された複数の記録用紙を分離して、最上位置の記録用紙を上方へ案内する役割を果たす。分離傾斜板22の上方には用紙搬送路23が設けられている。用紙搬送路23は、画像記録ユニット24が配設されている箇所以外は、所定間隔で対向する外側ガイド面と内側ガイド面とから構成されている。
【0030】
用紙搬送路23は、搬送元の給紙トレイ10から分離傾斜板22を経て、上方へ向かった後、正面側へ曲げられた湾曲パス17と、湾曲パス17の終端から複合機1の背面側から正面側へと直線的に延び、画像記録ユニット24を経て排出先の排紙トレイ11へ至るストレートパス18とを有する。したがって、給紙トレイ10に収容された記録用紙は、湾曲パス17において、下方から上方へUターンするように案内されてストレートパス18に搬送され、該ストレートパス18において、画像記録ユニット24により画像記録が行われた後に排紙トレイ11に排出される。湾曲パス17には、図示しない回転コロがそのローラ面を用紙搬送路23に露出するようにして、用紙搬送路23の幅方向を軸方向として回転自在に設けられている。この回転コロによって、湾曲パス17において、記録用紙は円滑に搬送される。
【0031】
給紙トレイ10の上側には、該給紙トレイ10に積載された記録用紙を用紙搬送路23へ供給する給紙ローラ25が設けられている。給紙ローラ25は、回動可能に支持されたアーム26の先端に軸支されている。給紙ローラ25は、複数のギヤが噛合されてなる駆動伝達機構を介してLFモータ(搬送モータ)71(図3等参照)の駆動力が伝達されることにより回転する。なお、上記LFモータ71が、本発明の駆動源に相当する。
【0032】
アーム26は、基軸27を回動軸として配設されており、給紙トレイ10のトレイ面に接離可能に上下動する。アーム26は、自重により又はバネ等に付勢されて給紙トレイ10に接触するように下側へ回動されており、給紙トレイ10の挿抜の際に上側へ退避可能に構成されている。アーム26が下側へ回動されることにより、その先端に軸支された給紙ローラ25が給紙トレイ10上の記録用紙に圧接する。その状態で、給紙ローラ25が回転されることにより、給紙ローラ25のローラ面と記録用紙との間の摩擦力によって、最上位置の記録用紙が分離傾斜板22へ送り出される。送り出された記録用紙は、その先端が分離傾斜板22に当接する。その後、記録用紙は上方へ案内されて用紙搬送路23へ送り込まれる。給紙ローラ25によって最上位置の記録用紙が送り出される際に、その下側の記録用紙が摩擦や静電気の作用によって共に送り出される場合があるが、該記録用紙は分離傾斜板22との当接によって分離されて、それ以上の送給が制止される。
【0033】
湾曲パス17の終端から搬送方向下流側のストレートパス18に、画像記録ユニット24が配設されている。画像記録ユニット24は、インクジェット方式に基づいてインク滴を吐出することにより記録用紙に画像を記録するものであり、大別して、インクジェット記録ヘッド(以下「記録ヘッド」と略称する。)35と、サブタンク37(37A〜37E)と、ヘッド制御基板36と、これらを搭載するキャリッジ34とを有して構成されている。ここに、上記サブタンク37が、本発明のインクタンクに相当する。サブタンク37は、所定のインクを一時的に貯留するものであり、該サブタンク37から記録ヘッド35にインクが供給されるようになっている。本実施形態では、サブタンク37として、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、ブラック(Bk)の5色のインクを貯留する5つのサブタンク37A〜37Eが画像記録ユニット24に設けられており、各サブタンク37A〜37Eから5色のインクそれぞれが独立して記録ヘッド35に供給される。なお、上記画像記録ユニット24については、後段において詳細に説明する。
【0034】
画像記録ユニット24の下側には、該画像記録ユニット24に対向するように配置されたプラテン28が設けられている。プラテン28は、上記キャリッジ34の往復動範囲のうち、記録用紙が通過する中央部分に渡って配設されている。プラテン28の幅は、搬送可能な記録用紙の最大幅より十分に大きいものである。したがって、記録用紙の両端がプラテン28からはみ出すことはない。
【0035】
図2に示されるように、記録ヘッド35よりも記録用紙の搬送方向上流側(以下、単に「搬送方向上流側」と略称する。)には、搬送ローラ73及びピンチローラ74からなる一対の搬送ローラ対75が設けられている。ピンチローラ74は、搬送ローラ73の下側に圧接状態で配置されている。搬送ローラ73及びピンチローラ74は、用紙搬送路23を搬送される記録用紙を狭持してプラテン28上へ搬送する。一方、記録ヘッド35よりも記録用紙の搬送方向下流側(以下、単に「搬送方向下流側」と略称する。)には、排紙ローラ76及びピンチローラ77からなる一対の排紙ローラ対78が設けられている。排紙ローラ76及びピンチローラ77は、記録ヘッド35により画像記録が行われた記録用紙を狭持して排紙トレイ11へ搬送する。搬送ローラ73及び排紙ローラ76には、ギヤなどの駆動伝達機構を介してLFモータ71(図3等参照)の駆動力が伝達される。
【0036】
本実施形態では、搬送ローラ対75は記録ヘッド35の直上流側に配置され、排紙ローラ対78は記録ヘッド35の直下流側に配置されている。言い換えれば、記録ヘッド35を挟んで直上流側に搬送ローラ対75が配置され、直下流側に排紙ローラ対78が配置されている。したがって、搬送ローラ対75と排紙ローラ対78との離間距離は記録ヘッド35の搬送方向における長さよりも若干長いものの、概ね同じ長さに設定されている。このように、搬送ローラ対75及び排紙ローラ対78を記録ヘッド35に近接させて配置することで、搬送ローラ対75と排紙ローラ対78との離間距離を可能な限り短くして、プラテン28上を搬送される記録用紙のホールド性を高めている。これにより、プラテン28上における記録用紙の撓みが軽減され、その結果、記録用紙に記録される画像の品質が向上する。
【0037】
LFモータ71(図3参照)は、複合機1を統括的に制御する後述の制御部170(図9参照)によって間欠駆動するよう制御されている。したがって、搬送ローラ73及び排紙ローラ76は、LFモータ71からの駆動力が伝達されることにより間欠駆動される。これにより、記録用紙が所定の改行幅ずつ間欠的に搬送される。搬送ローラ73及び排紙ローラ76の回転は、搬送ローラ73の回転軸に連結されたロータリーエンコーダ180(図9参照)から出力されるパルス信号に基づいて、上記制御部170によって制御される。なお、上記制御部170については後述する。
【0038】
ピンチローラ77は、そのローラ面に拍車状の凹凸が形成されている。そのため、記録済みの記録用紙にピンチローラ77が圧接しても、記録用紙に記録された画像の品質が劣化することはない。ピンチローラ77は、排紙ローラ76と接離する方向にスライド移動可能に設けられ、コイルバネにより排紙ローラ76に圧接するように付勢されている。排紙ローラ76とピンチローラ77との間に記録用紙が進入すると、ピンチローラ77は、記録用紙の厚み分だけ付勢力に抗して退避し、該記録用紙を排紙ローラ76に圧接するように狭持する。これにより、排紙ローラ76の回転力が確実に記録用紙へ伝達される。ピンチローラ74も搬送ローラ73に対して同じように設けられたものであり、記録用紙を搬送ローラ73に圧接するように狭持して、搬送ローラ73の回転力を確実に記録用紙へ伝達させる。
【0039】
図3及び図4は、プリンタ部2の主要構成を示す斜視図であり、図5及び図6は、プリンタ部2の主要構成を示す平面図である。上記各図のうち、図3及び図5は、画像記録ユニット24がインク補給位置に移動した状態を示しており、図4及び図6は、画像記録ユニット24がメンテナンス位置に移動した状態を示している。また、図7は、図5における矢視VIIから見た画像記録ユニット24近傍の側面図、図8は、図5における切断線VIII−VIIIの断面図である。なお、説明の便宜上、上記各図においては、キャリッジ34の上面を覆うヘッドカバーが取り外された状態が示されており、該ヘッドカバーは図示されていない。
【0040】
各図に示されるように、用紙搬送路23のストレートパス18(図2参照)の上方に、平板状の一対のガイドレール43,44が配置されている。これらガイドレール43,44は、記録用紙の搬送方向(図5の上側から下側方向)に所定距離を隔てられて、上記搬送方向と直交する方向(図5の左右方向)に延設されている。なお、記録用紙の搬送方向の上流側にガイドレール43が配置され、下流側にガイドレール44が配置されている。ガイドレール43及びガイドレール44は、僅かに上下方向に段差があるものの、ほぼ同一面上に配設されており、その上面は、搬送される記録用紙とそれぞれ平行となるように設定されている。本実施形態では、記録用紙はプラテン28上を水平に搬送されるため、ガイドレール43,44も上面が水平となるように設定されている。
【0041】
ガイドレール43,44は、プリンタ部2の筐体内に設けられて、プリンタ部2を構成する各構成要素を支持するフレームの一部をなしている。ガイドレール43,44には、画像記録ユニット24を構成するキャリッジ34が、記録用紙の搬送方向に直交する方向、すなわち、ガイドレール43,44の延設方向に往復して摺動可能に支持される。具体的には、キャリッジ34は、POM(ポリアセタール樹脂)などの摺動部材を介して、搬送方向上流側の端部がガイドレール43に支持される。また、キャリッジ34の中央部よりも搬送方向下流側の部分が上記摺動部材を介してガイドレール44に支持される。このように支持されることにより、キャリッジ34は、ガイドレール43とガイドレール44との間を跨ぐようにしてガイドレール43,44上に載置される。このように、ガイドレール43,44が記録用紙の搬送方向に隔てられて、ほぼ同一面上で且つ水平に並べられることにより、プリンタ部2の高さを低くして、装置の薄型化が実現される。
【0042】
図3から図6に示されるように、ガイドレール43,44は、その延設方向(図5の左右方向)の長さがキャリッジ34の往復動範囲より長い平板状のものである。ガイドレール43,44それぞれには、キャリッジ34の摺動面に、摺動テープ或いはグリースが付されている。これにより、キャリッジ34との接触部における摺動摩擦が低減する。
【0043】
ガイドレール44の搬送方向上流側の縁部45は、上方へ向かって略直角に曲折されている。ガイドレール43,44に載置されたキャリッジ34は、縁部45を狭持部58(図8及び図11参照)で摺動可能に狭持している。これにより、キャリッジ34は、ガイドレール44に対して位置決めされるため、記録用紙の該搬送方向と直交する方向へ正確に摺動することが可能となる。言い換えれば、キャリッジ34は、ガイドレール44の縁部45を基準として、記録用紙の搬送方向と直交する方向に往復移動する。
【0044】
図7に示されるように、キャリッジ34には、縁部45の垂直面に対する当該キャリッジ34の垂直姿勢を調整する調整機構59が設けられている。この調整機構59は、キャリッジ34の一側面に設けられており、ブロック体60とダイヤル式の移動機構61とを備えてなる。ブロック体60は、縁部45を狭持しつつ、記録用紙の搬送方向(図7の左右方向)に移動可能に構成されている。このブロック体60は、上記移動機構61が操作されることによって、記録用紙の搬送方向に移動される。例えば、移動機構61のダイヤル62が操作されることにより、該ダイヤル62の回動軸に連結された図示しない偏心カムが駆動されて、上記ブロック体60が記録用紙の搬送方向へ移動するようになっている。このような調整機構59が設けられているため、縁部45の垂直面に対するキャリッジ34の垂直姿勢を任意に調整することが可能となる。
【0045】
図3から図6に示されるように、ガイドレール44の上面には、ベルト駆動機構46が配設されている。ベルト駆動機構46は、用紙搬送路23の幅方向の両端付近にそれぞれ設けられた駆動プーリ47と従動プーリ48との間に、内側に歯が設けられた無端環状のタイミングベルト49が張架されてなるものである。駆動プーリ47の軸にはCRモータ(キャリッジモータ)72が連結されており、該CRモータ72から駆動力が入力されることで駆動プーリ47が回転される。この回転を受けて、タイミングベルト49が駆動プーリ47と従動プーリ48との間で周運動する。なお、タイミングベルト49は無端環状のもののほか、有端のベルトの両端部をキャリッジ34に固着するものを用いてもよい。
【0046】
キャリッジ34は、その底面側においてタイミングベルト49に固着されている。したがって、キャリッジ34は、タイミングベルト49の周運動に基づいて縁部45を基準としてガイドレール43,44上を往復移動する。このようなキャリッジ34に記録ヘッド35が搭載されることで、該記録ヘッド34が、用紙搬送路23の幅方向、つまり、用紙搬送路23を搬送される記録用紙の搬送方向に直交する方向を主走査方向として往復移動する。
【0047】
図3から図6の各図に示されるように、ガイドレール44には、エンコーダストリップ42が配設されている。エンコーダストリップ42は、透明な樹脂からなる帯状のものである。エンコーダストリップ42は、その両端部がガイドレール44の幅方向(キャリッジ34の往復動方向)の両端で所定の支柱で支持される。なお、上記支柱は省略されており、図3から図6には示されていない。
【0048】
エンコーダストリップ42には、光を透過させる透光部と光を遮断する遮光部とが、所定ピッチで長手方向に交互に配置されたパターン(目盛り)が記されている。キャリッジ34のエンコーダストリップ42に対応する位置には、透過型の光学センサ41(図8参照)が設けられている。本実施形態では、光学センサ41としてリニアエンコーダが用いられる。光学センサ41は、キャリッジ34とともにエンコーダストリップ42の長手方向に沿って往復移動し、その往復移動の際にエンコーダストリップ42のパターンを検知する。上記光学センサ41はエンコーダストリップ42のパターンに応じた検知信号を後述する制御部170(図9参照)に出力し、該制御部170は、このパルス信号を受けて、キャリッジ34の位置や速度を判断し、キャリッジ34の往復動を制御する。
【0049】
以下に、複合機1の制御部170について詳細に説明する。ここに、図9は、制御部170の構成を示すブロック図である。制御部170は、プリンタ部2のみでなくスキャナ部3をも含む複合機1の全体動作を統括的に制御するものであり、プリント基板に電子部品が実装されて構成されている。この制御部170が、本発明の制御手段に相当する。制御部170は、図に示されるように、CPU(Central Processing Unit)171、ROM(Read Only Memory)172、RAM(Random Access Memory)173、EEPROM(Electrically Erasable and Programmable ROM)174を主とするマイクロコンピュータとして構成されており、バス176を介してASIC(Application Specific Integrated Circuit)176に接続されている。
【0050】
ROM172には、プリンタ部2の画像記録動作を制御するためのプログラムや、後述するメンテナンス機構140(図3参照)を制御するためのプログラム、制御に使用される各種データなどが格納されている。このROM172に格納されたプログラムやデータがCPU171に読み出されて、該プログラムにしたがった演算処理がCPU171によって実行される。RAM173は、CPU171が上記プログラムを実行する際に用いる各種データを一時的に記録する記憶領域又は作業領域として使用される。また、EEPROM174には、電源オフ後も保持すべき設定やフラグ等が格納される。
【0051】
ASIC176は、CPU171からの指令に従い、LFモータ71やCRモータ72に通電する相励磁信号等を生成して、該信号を各モータを駆動させる駆動回路178,179に付与する。駆動回路178,179は、ASIC176から受けた信号に基づいて駆動信号を生成する。駆動回路178は、生成した駆動信号をLFモータ71に通電することによりLFモータ71の回転を制御する。これにより、LFモータ71に接続された給紙ローラ25、搬送ローラ73、排紙ローラ76、及びメンテナンス機構140(図3参照)が駆動される。駆動回路179は、生成した駆動信号をCRモータ72に通電することによりCRモータ72の回転を制御する。これにより、CRモータ72に接続されたキャリッジ34が往復移動するよう駆動される。
【0052】
駆動回路177は、記録ヘッド35に、所定のタイミングで各色インクを記録用紙に対して選択的に吐出させるものであり、CPU171から出力される駆動制御手順に基づいてASIC176において生成された出力信号を受け、記録ヘッド35を駆動制御する。この駆動回路177は、ヘッド制御基板36に搭載されている。制御部170を構成するメイン基板からヘッド制御基板36へは、不図示のフラットケーブルにより信号が伝送される。
【0053】
ASIC176には、搬送ローラ73の回転量を検出するロータリーエンコーダ180、キャリッジ34の位置検知を行う光学センサ41(典型的にはリニアエンコーダ)が接続されている。キャリッジ34は、複合機1の電源投入後に、ガイドレール43,44の一方端に設定されたインク補給位置(図3及び図5に示す位置)まで移動されて、光学センサ41による検知位置が初期化される。この初期位置から、キャリッジ34がスライド移動されると、キャリッジ34に設けられた光学センサ41がエンコーダストリップ42(図3参照)のパターンを検知し、これに基づくパルス信号数がキャリッジ34の移動量として制御部170に把握される。制御部170は、この移動量に基づいて、画像記録時におけるキャリッジ34の往復移動、および、メンテナンス機構140(図3参照)によるメンテナンス動作時におけるキャリッジ34の移動を制御すべく、CRモータ72の回転を制御する。
【0054】
ASIC176には、スキャナ部3や、複合機1の操作指示を行うための操作パネル4、各種小型メモリカードが挿入されるスロット部5、パソコン等の外部情報機器とパラレルケーブルやUSBケーブルを介してデータの送受信を行うためのパラレルインタフェース及びUSBインタフェース等が接続されている。さらに、ファクシミリ機能を実現するためのNCU(Network Control Unit)やモデム(MODEM)が接続されている。
【0055】
以下、画像記録ユニット24及びその構成について詳細に説明する。ここに、図10は、画像記録ユニット24の拡大斜視図である。また、図11は、図10における切断線XI−XIの断面図であり、画像記録ユニット24の断面構造が示されている。なお、図10の切断線XI−XIは、サブタンク37Dの中心を通っている。上述したように、画像記録ユニット24は、キャリッジ34に、記録ヘッド35と、サブタンク37と、ヘッド制御基板36とが搭載されて概ね構成されている。
【0056】
図11に示されるように、キャリッジ34は、当該複合機1の前後方向に長い概ね長方形のトレイ状に形成されている。キャリッジ34の中央部よりも搬送方向下流側(図11の左側)には、サブタンク37を収容するためのタンク収容室50が区画されている。本実施形態では、プリンタ部2で使用される5色のインクに対応して、5つのサブタンク37(37A〜37E)が上記タンク収容室50に収容されている。サブタンク37は、キャリッジ34の長手方向(図11の左右方向)に長く、横幅の短い直方体形状を呈している。このサブタンク37は、タンク収容室50において、キャリッジ34の幅方向(ガイドレール43,44の延設方向)に5つのサブタンク37が横並びに配列されている。タンク収容室50の幅方向両側には、タンク収容室50の底面から立設された側壁66が設けられている。この側壁66によって、サブタンク37の側方への傾倒が防止されている。
【0057】
上述したように、排紙ローラ対78は記録ヘッド35の直下流側に配置されている(図2、図7及び図8参照)。したがって、仮に、排紙ローラ対78の上方にサブタンク37を配置すると、排紙ローラ対78との干渉を回避するために、サブタンク37を上方へ退避されなければならず、画像記録ユニット24自体の厚みが増すことになる。そのため、本実施形態では、サブタンク37は、図8に示されるように、キャリッジ34において、排紙ローラ対78の搬送方向下流側に配置することにより、排紙ローラ対78との干渉を回避している。これにより、画像記録ユニット24の上方への拡大を防止している。
【0058】
なお、本実施形態では、記録ヘッド35の搬送方向上流側に湾曲パス17が設けられているため、搬送方向上流側にサブタンク37を確保することが困難であり、加えて、装置前面側に設けられたインクカートリッジとの間の流路を短くするために、サブタンク37を搬送方向下流側に設けているが、仮に、設置スペースを確保することができるのであれば、記録ヘッド35の搬送方向上流側、より詳細には、搬送ローラ対75の搬送方向上流側にサブタンク37を設けてもよい。もちろん、記録ヘッド35の搬送方向上流側及び下流側に限らず、例えば、記録ヘッド35からキャリッジ34の往復動方向へずらされた位置にサブタンク37を配設してもよい。このようにサブタンク37を配置した場合でも、画像記録ユニット24を薄くすることができる。要するに、平面視で記録ヘッド35から側方へずらされた位置にサブタンク37を配設すれば、画像記録ユニット24の薄型化を実現することができる。
【0059】
サブタンク37は、図11に示されるように、ガイドレール44の上方に配置されている。そのため、サブタンク37の荷重が、サブタンク37の底面部53及びキャリッジ34の支持部を経て、サブタンク37の直下のガイドレール44で受け止められる。したがって、サブタンク37の重みによるキャリッジ34の位置ズレが防止され、キャリッジ34の円滑な移動及び良好な画像記録を実現することができる。
【0060】
サブタンク37は、別置きにされたインクカートリッジ38(図3参照)から補給されるインクを一時的に貯留するものである。このサブタンク37は記録ヘッド35よりもインク供給経路の上流側に配置されており、後述するインク供給路51を通じてサブタンク37内のインクを記録ヘッド35へ供給する。インクカートリッジ38からサブタンク37へのインクの補給は後述するインク補給機構80(本発明の供給手段に相当)によってなされる。該インク補給機構80によるインク補給時に、インクカートリッジ38からサブタンク37の流路間で気泡が発生した場合は、該気泡は一端サブタンク37で捕捉される。そのため、キャビティ115及びマニホールド116に気泡が進入することが防止される。
【0061】
サブタンク37は、図11に示されるように、平板状の上面部52及び底面部53を有し、さらに、側面の全周がベローズ状に形成された側面部54(本発明の胴部に相当)を有する。このサブタンク37は、合成樹脂で構成されており、例えば、ブロー成形により上記各部が形成され得る。上述したように、側面部54はベローズ状に形成されているため、該側面部54はサブタンク37の上下方向に伸縮可能である。したがって、サブタンク37に対して上下方向に外力が作用されると、側面部54は元の形状から変形されて収縮或いは伸張する。そして、上記外力が解除されると元の形状に復元する。言い換えれば、サブタンク37は、作用された外力に応じて弾性的に変形する。このような特質を有するため、サブタンク37に上方から押圧力が加えられると、側面部54が容易に収縮される。そして、その押圧力が解除されると、収縮した状態から伸縮して元の形状に復元する。なお、サブタンク37の上面部52の上側には、該上面部52を覆うプレート55が設けられている。このプレート55は、金属板或いは肉厚のある樹脂板などで構成されている。このプレート55によってサブタンク37の上面部52が保護されている。本実施形態では、サブタンク37の弾性変形を実現する手段として、側面部54をベローズ状にすることを採用したが、例えば、側面部54をゴムなどの弾性部材で構成してもかまわない。
【0062】
サブタンク37は、一度のプリント処理で消費される平均的なインク量を貯留し得る容積が確保されていれば足りる。本実施形態では、一つのサブタンク37の容積は、0.5ml〜1.0mlのインクを貯留し得る程度に設定されている。そのため、キャリッジ34の積載荷重が抑えられ、キャリッジ34を往復動させるCRモータ72の負荷を軽減することができる。なお、サブタンク37の容積は必要に応じて適宜変更することができ、上述した容量以上或いは該容量以下のインクを貯留するものであってもよい。
【0063】
図11に示されるように、サブタンク37には、インクが流通される2つの流通孔56,57が設けられている。具体的には、サブタンク37の上面部52の前端部(図11では左端部)に流通孔56が設けられており、底面部53の後端部(図11では右端部)に流通孔57が設けられている。また、タンク収容室50の前端部には、インクカートリッジ38(図3参照)と連結される雌ジョイント63が設けられている。この雌ジョイント63は、サブタンク37に対応して5つ設けられている。雌ジョイント63には継手64が設けられており、該継手64と流通孔56は、可撓性を有するチューブ65で接続されている。これにより、雌ジョイント63とサブタンク37との間でインクの流路が形成される。
【0064】
一方、流通孔57は、記録ヘッド35へインクを供給するインク供給路51の一端に連結されている。インク供給路51は、流通孔57から後方へ水平に延出された後、下方に曲げられた屈曲形状を呈しており、その先端は、後述するヘッド収容室110の底面まで延出されて、記録ヘッド35に連結されている。インク供給路51としては、例えば、合成樹脂の板部材に形成された溝を薄膜フィルムで被覆することで構成されたものが採用され得る。もちろん、可撓性のあるチューブをインク供給路51として用いることも可能である。
【0065】
図11に示されるように、タンク収容室50の上方には、外力を受けて上記プレート55を下方へ押圧するアーム100が設けられている。このアーム100の略中央部には軸孔102が形成されており、側壁66間に架け渡された軸101が該軸孔102に揺動可能に挿通されている。すなわち、アーム100は、軸101によって揺動可能に支持されている。アーム100は、5つのサブタンク37(37A〜37E)それぞれに対応して設けられており、サブタンク37の数と同じく、5つのアーム100(100A〜100E)が設けられている。
【0066】
アーム100は、軸孔102から後方、すなわち、搬送方向上流方向(図11の右方向)へ水平に延出された後方アーム103と、軸孔102から前方、すなわち、搬送方向下流方向(図11の左方向)へ延出されてキャリッジ34の搬送方向下流側の端部から外方向へ突出された前方アーム104とを有する。後方アーム103の先端には、上記プレート55に当接してアーム100からの駆動力をプレート55に伝達して、該プレート55を下方へ押圧する押圧部105(本発明の押圧端部に相当)が設けられている。この押圧部105の当接面は、プレート55に対して常に垂直な方向に力を作用させるべく、球面に加工されている。また、前方アーム104の先端には、後述するプッシュロッド83(図4参照)から外力を受ける入力部106(本発明の入力端部に相当)が設けられている。この入力部106の当接面も球面に加工されている。このようにアーム100が構成されることで、入力部106に対して下方からの外力が付与されると、軸101を回動支点として、アーム100がシーソー運動する。このシーソー運動によってアーム100が揺動されて、後方アーム103が下方に押し下げられ、押圧部105がプレート55に当接する。これにより、該プレート55に押圧力が作用して、サブタンク37は、ベローズ形状に構成された側面部54が弾性力に抗して押しつぶされるように収縮される。
【0067】
図11に示されるように、サブタンク37よりも搬送方向上流側(図11の右側)、より詳しくは、キャリッジ34の中央部よりも搬送方向上流側(図11の右側)には、ヘッド制御基板36及び記録ヘッド35を収容するためのヘッド収容室110が区画されている。したがって、サブタンク37とヘッド収容室110とは、搬送方向に沿って平面視で重ならないようにずらされている。ヘッド収容室110は、タンク収容室50の底面と同じ面から下方に凹設された凹陥部111を有する。同図に示されるように、当該凹陥部111の底部に記録ヘッド35が配設され、その上部にヘッド制御基板36が配設される。したがって、サブタンク37は記録ヘッド35よりも高位置に配置されている。このように、サブタンク37と記録ヘッド35とが上述のような位置関係に配設されているため、サブタンク37に貯留されるインクの液面は、記録ヘッド35のノズル面よりも常に高い位置となる。また、サブタンク37、記録ヘッド35及びヘッド制御基板36を上下に層状に配置する構成と比べて、画像記録ユニット24の厚みを薄くすることができる。
【0068】
上記記録ヘッド35は、用紙搬送路23のストレートパス18(図2参照)を搬送される記録用紙に向けて選択的にインクの微細粒子を吐出するものである。この記録ヘッド35のインクの吐出量や吐出タイミングはヘッド制御基板36によって制御される。なお、本実施形態では、圧電素子114(図13参照)の変形によってインクを吐出する方式の記録ヘッド35を用いるが、例えば、インクに熱を加えて生じる気泡(バブル)によってインクを吐出する方式のものにも適用可能である。
【0069】
図12は、記録ヘッド35のノズル形成面を示す底面図である。記録ヘッド35は、同図に示すように、その下面にノズル39が、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、ブラック(Bk)の各色のインク毎に、記録用紙の搬送方向に列設されている。なお、同図において、上下方向が記録用紙の搬送方向であり、左右方向がキャリッジ34の往復動方向である。各色インクのノズル39は、それぞれ記録用紙の搬送方向に列をなしており、各色インクのノズル39の列が、キャリッジ34の往復動方向に並んでいる。なお、各ノズル39の搬送方向のピッチや数は、記録画像の解像度等を考慮して適宜設定される。また、カラーインクの種類や数に応じてノズル39の列数を増減することも可能である。
【0070】
図13は、記録ヘッド35の内部構成を示す概略的な部分拡大断面図である。同図に示すように、記録ヘッド35の下面に形成されたノズル39の上流側には、圧電素子114を備えたキャビティ115が形成されている。圧電素子114は、ヘッド制御基板36によって所定の電圧が印加されることにより変形される。これにより、キャビティ115の容積が縮小される。このキャビティ115の容量の変化によって、キャビティ115内のインクがノズル39からインク滴として吐出される。
【0071】
キャビティ115は、ノズル39毎に設けられており、複数のキャビティ115に渡ってマニホールド116が形成されている。マニホールド116は、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)、フォトブラック(PBk)、ブラック(Bk)の各色のインク毎に設けられている。マニホールド116の上流側にはインク供給口117が設けられている。このインク供給口117に上記インク供給路51(図11参照)が接続されている。したがって、インク供給路51から送り込まれたインクはインク供給口117から記録ヘッド35の内部に供給される。インク供給口117からマニホールド116へ供給されたインクは、マニホールド116により各キャビティ115に分配される。マニホールド116を介してキャビティ115に流れ込んだインクは、圧電素子114の変形によって、ノズル39からインク滴として記録用紙に吐出される。
【0072】
図3から図6に示すように、記録用紙が通過しない範囲、すなわち、記録ヘッド35による画像記録範囲の外側には、インク補給機構80、キャッピング機構120(図4及び図6参照)及びメンテナンス機構140が配設されている。
【0073】
上記キャッピング機構120は、記録ヘッド35の往復動範囲の右側端部付近に設けられている。図14は、キャッピング機構120の拡大詳細図であり、(a)はノズル39がキャップ121で被覆されていない非被覆状態を示し、(b)はノズル39がキャップ121で被覆された被覆状態を示す。同図に示されるように、このキャッピング機構120は、記録ヘッド35のノズル39を覆うキャップ121と、該キャップ121を支持するキャップ支持部94と、該キャップ支持部94を移動させてキャップ121を記録ヘッド35のノズル面に接離させるための移動機構122とからなる。
【0074】
移動機構122は、図14に示されるように、キャップ121の下方に配設されたスライドカム123と、このスライドカム123を複合機1の前後方向にスライド移動させるラックギヤ124と、該ラックギヤ124と噛合するピニオンギヤ125と、LFモータ71の駆動力をピニオンギヤ125に伝達する駆動伝達機構126とを有する。ピニオンギヤ125は、図14の紙面に垂直な方向に出没可能に設けられており、図示しないソレノイドなどの駆動機器が制御されることによって、ピニオンギヤ125が突出姿勢と没入姿勢とに切り換えられる。なお、ピニオンギヤ125は、上記突出姿勢においてラックギヤ124と噛合し、上記没入姿勢においてラックギヤ124との噛合が解除するように位置決めされている。ピニオンギヤ125がラックギヤ124に噛合した状態において、LFモータ71の駆動力がピニオンギヤ125を介してラックギヤ124に伝達される。この伝達された駆動力を受けて、ラックギヤ124が複合機1の前後方向に移動する。なお、遊星ギヤなどを用いて駆動伝達機構126のギヤ配列を切り換えることにより、ピニオンギヤ125の回転方向を切り換えて、ラックギヤ124の移動方向を前方向(図14の左方向)と後方向(図14の右方向)とに切り換えることができる。ラックギヤ124にはスライドカム123が連結されており、ラックギヤ124の移動に伴ってスライドカム123も移動する。スライドカム123には前方から後方へ下る傾斜面127を有する溝131が形成されている。この溝131において、上記傾斜面127の上方端部に上側平坦部130が設けられ、下方端部に下側平坦部129が設けられている。
【0075】
キャップ支持部94は、バネ受け台96と、コイルバネ97と、キャップ保持台95とを備える。バネ受け台96は、プリンタ部2のフレームなどによって、図14の上下方向、すなわち、記録ヘッド35のノズル39に対して接離する方向にスライド可能に支持されている。バネ受け台96には、該バネ受け台96を厚み方向(上下方向)に貫通する貫通孔98が形成されている。この貫通孔98に、キャップ保持台95の軸99が挿入される。バネ受け台96の底部には該底部から下方に延びるリンクバー128が設けられている。このリンクバー128の下端には、上記溝131に遊びをもって嵌め入れられるピン部材132が設けられている。このピン部材132が上記溝131に嵌め入れられることにより、バネ受け台96は、スライドカム123によって、溝131の下側平坦部129から傾斜面127を経て上側平坦部130の間でスライドされる。なお、図14では、貫通孔98とリンクバー128とが重なって表されているが、これらは平面視において、図14の紙面に垂直な方向にずらして設けられている。
【0076】
キャップ保持台95は、キャップ121を保持するものであり、その上面にキャップ121が取り付けられている。キャップ121は、例えば、可撓性を有する合成樹脂からなり、断面略U字状のトレイ形状を呈している。キャップ121は、その底面がキャップ保持台95の上面に接着されることによってキャップ保持台95に取り付けられる。キャップ保持台95には、該キャップ保持台95の底面の略中央付近から下方に延びる軸99が設けられている。この軸99はバネ受け台96の貫通孔98に上方から挿入される。これにより、キャップ保持台95は、バネ受け台96の上方において、図14の上下方向、すなわち、記録ヘッド35のノズル39に対して接離する方向にスライド可能に支持されている。
【0077】
バネ受け台96とキャップ保持台95との間には、コイルバネ97が介在されている。このコイルバネ97は、その圧縮伸張方向を図14の上下方向、すなわち、記録ヘッド35のノズル39に対して接離する方向に一致させるように設けられている。これにより、キャップ保持台95は、コイルバネ97によって上下方向へ弾性的に支持される。図14では、2つのコイルバネ97が示されているが、図14の紙面に垂直な方向にさらに2つのコイルバネ97が設けられており、本実施形態では、合計4つのコイルバネがバネ受け台96とキャップ保持台95と間に設けられている。このため、キャップ保持台95の支持が安定する。なお、言うまでもないが、上記コイルバネ97の配置や数は適宜変更可能である。
【0078】
このように構成されたキャッピング機構120においては、上記ピン部材132が溝131の下側平坦部129に位置する場合は、図14(a)に示されるように、キャップ121が記録ヘッド35のノズル面から離脱した状態、すなわち、ノズル39がキャップ121で被覆されていない非被覆状態が維持される。そして、この非被覆状態からラックギヤ124が複合機1の後方(図14の右方向)へ移動されると、ピン部材132が下側平坦部129から上側平坦部130へ移動する。これにより、リンクバー128とともにバネ受け台96がスライドカム123の傾斜面127によって押し上げられる。このようにバネ受け台96が押し上げられる過程において、キャップ121も押し上げられて、該キャップ121が記録ヘッド35のノズル面に当接する。そして、キャップ121が記録ヘッド35のノズル面に当接してからバネ受け台96がさらに押し上げられることで、コイルバネ97が圧縮される。これにより、図14(b)に示されるように、記録ヘッド35のノズル面を強く押圧する付勢力がキャップ121に付与されて、キャップ121と上記ノズル面とが隙間なく密着される。換言すれば、ノズル39がキャップ121によって被覆された状態(被覆状態)が維持される。このとき、上記付勢力によるキャップ121の撓みによって該キャップ121内の空間が正圧状態となるため、ノズル39からのインク漏れが防止される。また、図14(b)に示す被覆状態からラックギヤ124が複合機1の前方(図14の左方向)へ移動されると、スライドカム123によるリンクバー128の押し上げが解除される。これにより、まず、バネ受け台96が下降し、これと同時にコイルバネ97が徐々に伸張される。そして、バネ受け台96がさらに下降すると、キャップ121が記録ヘッド35のノズル面から離脱され、バネ受け台96の下降が完了すると、図14(a)に示される非被覆状態が維持される。
【0079】
上記インク補給機構80は、図4及び図6に示されるように、キャリッジ34の往復動範囲内におけるキャリッジ34の移動方向の両端のうち、一方側の端部である第一端(本実施形態では、図6の右端部)に設けられている。このインク補給機構80が配設された位置は、記録ヘッド35による画像記録が行われない領域(非記録領域)、すなわち、画像記録範囲外に設定されている。インク補給機構80は、キャリッジ34がガイドレール43,44の右端、すなわちインク補給位置に移動され、キャッピング機構120によってノズル39がキャップ121で被覆された際に、サブタンク37とインクカートリッジ38とのインク供給経路を形成すると共に、インクカートリッジ38からサブタンク37へインクを補給するものであり、プッシュロッド83と、雄ジョイント84と、プッシュロッド83及び雄ジョイント84を押し上げる駆動機構82(図15参照)とを備える。
【0080】
図4及び図6に示されるように、雄ジョイント84は、キャリッジ34に設けられた5つの雌ジョイント63に連結されるものであり、雌ジョイント63に対応して5つ設けられている。この5つの雄ジョイント84は、インクカートリッジ38から引き出されたインクチューブに接続されている。5つの雄ジョイント84は、支持ブロック81で一体に支持されている。支持ブロック81は、雌ジョイント63と接離する方向(本実施形態では上下方向)に雄ジョイント84をスライド可能に支持する。
【0081】
プッシュロッド83は、アーム100の入力部106を押し上げるものであり、5つのアーム100(100A〜100E)それぞれの入力部106を同時に押し上げるべく、アーム100Aからアーム100Eに渡って幅広に形成されている。このプッシュロッド83は、上記雄ジョイント84よりも装置前方側において、上下方向にスライド可能に支持されている。
【0082】
図15は、インク補給機構80の断面構造を示す模式断面図であり、駆動機構82が詳細に示されている。図15に示されるように、駆動機構82は、ガイドレール44(図3参照)の下方に配設されたスライドカム85と、このスライドカム85を複合機1の前後方向(図15の左右方向)にスライドさせるピニオンギヤ86と、コイルバネ87とを備える。スライドカム85の底面には、ピニオンギヤ86と噛合可能なようにラックギヤ88が形成されている。ピニオンギヤ86は、スライドカム85の下方において、図示しないソレノイドなどにより、図15の紙面に垂直な方向に出没可能に設けられている。ピニオンギヤ86が突出した状態で該ピニオンギヤ86はラックギヤ88に噛合され、ピニオンギヤ86が没入した状態で該ピニオンギヤ86の噛合は解除される。ピニオンギヤ86がラックギヤ88に噛合した状態において、LFモータ71の駆動力がピニオンギヤ86に伝達されると、該駆動力がラックギヤ88を介してスライドカム85に伝達される。これにより、スライドカム85が複合機1の前方(図15の左方向)に移動する。スライドカム85にはコイルバネ87の一端が連結されている。このコイルバネ87の他端は複合機1のフレームなどに連結されている。コイルバネ87は、スライドカム85が前方へ移動したときに伸張されることで、スライドカム85を移動前の元の位置に戻す方向(図15の右方向)へ引き寄せるバネ力を蓄える。
【0083】
スライドカム85には装置の後方から前方へ下る傾斜面90が設けられている。該傾斜面90の上方端部に上側平坦部92が設けられ、下方端部に下側平坦部91が設けられている。このスライドカム85は、支持ブロック81及びプッシュロッド83を下側平坦部91で支持する位置と上側平坦部92で支持する位置との間で移動可能に配設されている。上述したように、プッシュロッド83は、雄ジョイント84よりも装置前方側に配設されている。したがって、図15に示される状態から、スライドカム85が前方へ移動されると、まず、雄ジョイント84が傾斜面90に当接して押し上げられる。これにより、雄ジョイント84が雌ジョイント63に連結されて、インクカートリッジ38からサブタンク37へのインクの流路が形成される。その後、さらにスライドカム85が前方へ移動されると、次に、プッシュロッド83が傾斜面90に当接して押し上げられる。これにより、プッシュロッド83の上端が入力部106に当接して、該入力部106を上方へ押し上げる。
【0084】
図16は、雌ジョイント63及び雄ジョイント84の構成を示すと共に、雌ジョイント63及び雄ジョイント84の連結方法を説明するための模式図である。なお、図16では、雌ジョイント63及び雄ジョイント84の一部を省略している。
【0085】
図16に示されるように、雌ジョイント63は、筒状に形成されたジョイント本体150と、該ジョイント本体150の内部で軸方向に移動可能な栓部材151と、該栓部材151を付勢するコイルバネ152とを有する。ジョイント本体150の内部空間154がインクの流通経路であり、該内部空間154は、継手64(図8参照)、チューブ65、流通孔56を経てサブタンク37と連通している。ジョイント本体150には、雄ジョイント84のロッド161を挿通する孔153が形成されている。この孔153は、雄ジョイント84と連結される連結面155に形成されている。孔153は、ジョイント本体150の内部側から栓部材151で栓をするように閉塞される。上記栓部材151は、孔153に対して接離する方向に移動して、該孔153を閉じる閉塞状態と該孔153を開放する開放状態とに姿勢変化される。コイルバネ152は、栓部材151を孔153側へ付勢するものであり、このコイルバネ152によって、孔153が栓部材151で閉塞された状態が保持される(図16の(a)参照)。
【0086】
ジョイント本体150の連結面155には、シール部材156が設けられている。このシール部材156は、孔153の周りを囲むように設けられている。シール部材156は、雌ジョイント63と雄ジョイント84の連結時に、インクが外部に漏れることを防止するものである。このシール部材156は、例えば、ニトリルゴム(NBR)やシリコンゴム(VMQ)などで構成されており、連結時に雄ジョイント84からの押圧力によって撓む可撓性を有する。
【0087】
コイルバネ152のバネ力は、サブタンク37内の圧力が大気圧未満の所定の負圧(背圧)よりも小さくなったときに、大気圧が栓部材151をジョイント本体150の内側へ押し込む力に負けて圧縮され、サブタンク37内の圧力が上記所定の負圧以上に回復したときに、大気圧が栓部材151をジョイント本体150の内側へ押し込む力に打ち勝って伸張するように設定されている。したがって、記録ヘッド34からインクが吐出されることによりサブタンク37内の圧力が徐々に低下して上記所定の負圧未満となると、孔153が開放されて、大気が該孔153からサブタンク37に流入する。そして、サブタンク37内の圧力が上記所定の負圧以上に回復すると、栓部材151がコイルバネ152で付勢されて、再び孔153が当該栓部材151によって閉塞される。このようにコイルバネ152のバネ力が上述の如く設定されているため、水頭差を利用しなくても、サブタンク37内の圧力を所定の負圧に維持することができる。これにより、記録ヘッド35のノズル39のメニスカスが常に好適な状態に維持される。
【0088】
雄ジョイント84は、図16に示されるように、筒状に形成されたジョイント本体160と、該ジョイント本体160の内部で軸方向に移動可能なロッド161と、該ロッド161を付勢するコイルバネ162とを有する。ジョイント本体160の内部空間164がインクの流通経路であり、該内部空間164は、図示しないチューブを経てインクカートリッジ38に連通している。ジョイント本体160には、孔163が形成されている。この孔163は、雌ジョイント63と連結される連結面166に形成されている。孔163にロッド161が挿通されて、該ロッド161が外部に突出されている。ロッド161の外径は、孔163の内径よりも小さく設定されており、孔163にロッド161が挿通された状態でも、孔163からインクが流通可能となっている。
【0089】
ロッド161の一端、すなわち、外部に突出されない側の端部には、孔163を内側から閉塞する閉塞部材165が連結されている。ロッド161は、孔163を閉塞部材165で閉塞する閉塞状態と該孔163を開放する開放状態とに姿勢変化される。コイルバネ162は、閉塞部材165を孔163側へ押し付けるように付勢するものであり、このコイルバネ162によって、孔163が閉塞部材165で閉塞されつつ、ロッド161が孔163から外部へ突出した状態が保持される(図16(a)参照)。
【0090】
コイルバネ162のバネ力は、以下のように設定されている。すなわち、雌ジョイント84のコイルバネ152よりも強く設定されており、図16(b)に示されるように、雄ジョイント84が押し上げられてロッド161が栓部材151に押し付けられた場合に、コイルバネ152は圧縮されるが、コイルバネ162は圧縮されない程度に設定されている。一方、雄ジョイント84の連結面166がシール部材156に当接したときを境にして、コイルバネ152のバネ力とコイルバネ162のバネ力との力関係が逆転するように、コイルバネ162のバネ力が設定されている。すなわち、雄ジョイント84の連結面166がシール部材156に当接した状態(図16(b)参照)から、さらに雄ジョイント84が押し上げられると、シール部材156の撓み幅だけコイルバネ162が圧縮される(図16(c)参照)。したがって、雄ジョイント84が雌ジョイント63に連結されると、まず、雌ジョイント63の孔153が開放される。そして、雄ジョイント84の連結面166がシール部材156に当接した後、すなわち、連結部がシールされた後に、雄ジョイント84の孔163が開放される
【0091】
上述の如く構成されたインク補給機構80によるサブタンク37へのインクの補給は、次に示す手順で行われる。ここに、図17は、インク補給機構80による一連のインク補給手順を説明する模式図である。なお、同図では、ピニオンギヤ86は省略している。本実施形態では、サブタンク37内のインクの残量が所定量未満となったときにインクの補給が自動的に実行される。サブタンク37内のインクの残量の検出は、例えば、サブタンク37が透明な合成樹脂などで構成されている場合は、フォトインタラプタなどの光学センサをキャリッジ34に設け、該光学センサの出力に基づいて制御部170(図9参照)が所定量未満かどうかを判断する。或いは、ドットカウンタによるカウント値に基づいてインクの残量を求めてもよい。インクの残量が所定量未満であると判断されると、制御部170によって、キャリッジ34が、図3及び図5に示される位置、すなわち、インク補給位置に移動される。このとき、記録ヘッド35のノズル39がキャップ121のほぼ真上に位置するようにキャリッジ34が移動される(図17(a)参照)。
【0092】
次に、移動機構122(図14参照)によってキャップ121を上方へ移動させて、記録ヘッド35の下面にノズル39を密閉するようにキャップ121を密着させる(図17(b)参照)。これにより、ノズル39が塞がれるため、インク補給時にノズル39からインクが漏洩することはない。キャップ121の移動に並行して、駆動機構82によって、スライドカム85を装置の前方(図17の左方向)へ移動させる。かかる移動は、ピニオンギヤ86(図15参照)とスライドカム85のラックギヤ88とを噛合させて、LFモータ71の駆動力をスライドカム85に付与することで行われる。このとき、スライドカム85の傾斜面90によって、まず最初に、雄ジョイント84が上方へ押し上げられて、雌ジョイント63と連結する(図17(b)参照)。これにより、インクカートリッジ38とサブタンク37との間でインクの流通経路が形成される。
【0093】
さらにスライドカム85が装置の前方へ移動されると、続いて、プッシュロッド83が傾斜面90によって上方へ押し上げられる。このとき、アーム100の入力部106に前方アーム104を下方から上方へ押し上げる力が作用して、当該力によってアーム100がシーソー運動する。これにより、後方アーム103の押圧部105がサブタンク37の上面のプレート55を押し下げる。そのため、図17(c)に示されるように、サブタンク37が圧縮されて、該サブタンク37内のインクや空気などが流通孔56から排出されて、インクカートリッジ38へ押し流される。なお、インクカートリッジ38に通気口を設けておくことで、インクカートリッジ38に押し流されるインクの流通を円滑に行うことができる。
【0094】
サブタンク37内のインクがほぼ完全に排出されると、続いて、スライドカム85が装置の後方(図17の右方向)へ移動される。かかる移動は、ピニオンギヤ86とラックギヤ88とのを噛合を解除して、コイルバネ87のバネ力をスライドカム85に付与することで行われる。このとき、スライドカム85の傾斜面90によって、まず、プッシュロッド83が下降される。これにより、プッシュロッド83が前方アーム104の入力部106から離反すると同時に、サブタンク37に作用していた押圧力が解除される。したがって、サブタンク37は伸張して、元の形状に復帰する。このとき、図17(d)に示されるように、インクカートリッジ38からインクが吸い込まれて、サブタンク37内に補給される。
【0095】
さらにスライドカム85が装置の後方へ移動されると、続いて、雄ジョイント84が下降される(図17(e)参照)。これにより、雄ジョイント84と雌ジョイント63との連結が解除される。このとき、雌ジョイント63の孔153から少量の空気が内部に入り込み、サブタンク37が若干伸張して、雌ジョイント63から流通孔56までのインク経路に溜まったインクがサブタンク37内に流入する。
【0096】
このように、上記の手順に従って、インクカートリッジ38内のインクがサブタンク37内に補給されるため、常に定量のインクをサブタンク37に補給することができる。
【0097】
上記メンテナンス機構140は、図3から図6に示されるように、キャリッジ34の往復動範囲内におけるキャリッジ34の移動方向の両端のうち、上記第1端とは反対の他方側の端部である第2端(本実施形態では、図5及び図6の左端部)に設けられている。このメンテナンス機構140が配設された位置は、記録ヘッド35による画像記録が行われない領域(非記録領域)、すなわち、画像記録範囲外に設定されている。本実施形態では、上述したように、上記第1端(図5及び図6の右端部)にインク補給機構80が配設されており、上記第2端(図5及び図6の左端部)にメンテナンス機構140が配設されている。上記第1端及び第2端は、キャリッジ34を所定速度に加速させるための加速領域であって、画像が記録されない非記録領域でもある。これらの領域それぞれにインク補給機構80及びメンテナンス機構140を分配して配置する配置構造を採用することで、加速領域付近のスペースを有効に利用することができる。その結果、複合機1を小型化することができ、特に、該複合機1の横幅を小さくことができる。
【0098】
メンテナンス機構140は、図4及び図6に示されるように、キャリッジ34がガイドレール43,44の左端、すなわちメンテナンス位置に移動された際に、インクの空吐出を行うことによって、サブタンク37の内部やサブタンク37からノズル39までのインクの流路に溜まったスラッジや気泡を除去したり、記録ヘッド35のノズル39周辺部分に付着したインクカスを除去するものであって、ワイパー146(図3参照)と、廃インクトレイ141(本発明の廃インク受け部に相当、図3参照)と、上記アーム100の入力部106を押し上げる駆動機構143(本発明の駆動手段に相当)とを備える。なお、駆動機構143、上述したアーム100、押圧部105、及び入力部106によって本発明の押圧手段が実現される。
【0099】
廃インクトレイ141は、プラテン28の上面と同一面上であって、キャリッジ34の往復動範囲内におけるキャリッジ34の移動方向の両端のうち、上記第2端(本実施形態では、図5及び図6の左端部)に設けられている。上記廃インクトレイ141が配設された位置は、記録ヘッド35による画像記録が行われない領域(非記録領域)、すなわち、画像記録範囲外に設定されている。廃インクトレイ141内にはフェルト等の液体吸収体が敷設されている。メンテナンス時に記録ヘッド35のノズル39から噴出されたインクは、上記廃インクトレイ141で受け止められて、上記液体吸収体に吸収されて保持される。廃インクトレイ141には、記録ヘッド35のノズル面を拭き取るワイパー146が設けられている。ワイパー146が記録ヘッド35に押し当てられた状態で、図示しない駆動機構によって装置の前後方向にスライドされることにより、ノズル面に付着した余剰インクが拭き取られる。
【0100】
図18は、メンテナンス機構140の断面構造を示す模式断面図であり、駆動機構143が詳細に示されている。図18に示されるように、駆動機構143は、プッシュロッド142(本発明のリンク部材に相当)と、このプッシュロッド142を押し上げるスライドカム144(本発明のカム部材に相当)と、このスライドカム144を複合機1の前後方向(図18の左右方向)にスライドさせるピニオンギヤ145と、コイルバネ147とを備える。
【0101】
プッシュロッド142は、アーム100の入力部106を押し上げるものである。このプッシュロッド142は、5つのアーム100(100A〜100E)のうち、選択された一つのアーム100の入力部106を他のアーム100とは独立して押し上げるべく、入力部106の幅と略同じ幅に形成されている。換言すれば、プッシュロッド142は選択された一つのアーム100の入力部106だけを押し上げる。このプッシュロッド142は、入力部106の鉛直下方において上下方向にスライド可能に支持されており、上方へ押し上げられることによってその上端がアーム100の入力部106に当接される。
【0102】
ガイドレール44(図3参照)の下方にスライドカム144が配設されている。スライドカム144の底面には、ピニオンギヤ145と噛合可能なようにラックギヤ148が形成されている。ピニオンギヤ145は、スライドカム144の下方において、図示しないソレノイドなどにより、図18の紙面に垂直な方向に出没可能に設けられている。ピニオンギヤ145が突出した状態で該ピニオンギヤ145はラックギヤ148に噛合され、ピニオンギヤ145が没入した状態で該ピニオンギヤ145の噛合は解除される。ピニオンギヤ145がラックギヤ148に噛合した状態において、LFモータ71の駆動力がピニオンギヤ145に伝達されると、該駆動力がラックギヤ148を介してスライドカム144に伝達される。これにより、スライドカム144が複合機1の後方(図18の左方向)に移動する。スライドカム144にはコイルバネ147の一端が連結されている。このコイルバネ147の他端は複合機1のフレームなどに連結されている。コイルバネ147は、スライドカム144が前方へ移動したときに伸張されることで、スライドカム144を移動前の元の位置に戻す方向へ引き寄せるバネ力を蓄える。
【0103】
スライドカム144には装置の後方から前方へ上がる傾斜面135が設けられている。該傾斜面135の上方端部に上側平坦部136が設けられ、下方端部に下側平坦部137が設けられている。このスライドカム144は、プッシュロッド142を下側平坦部137で支持する位置と上側平坦部136で支持する位置との間で移動可能に配設されている。上述したように、プッシュロッド142は、上下方向にスライド可能に支持されている。したがって、図18に示される状態から、スライドカム144が後方(図18の左方向)へ移動されると、プッシュロッド142が傾斜面135に当接して押し上げられる。これにより、プッシュロッド142の上端が入力部106に当接して、該入力部106を上方へ押し上げる。
【0104】
上述の如く構成されたメンテナンス機構140による記録ヘッド35のメンテナンスは、次に示す手順で行われる。ここに、図19は、メンテナンス機構140による一連のメンテナンスの手順を説明する模式図である。なお、同図では、ピニオンギヤ145は省略している。本実施形態では、サブタンク37内にメンテナンスに費やされる十分な量のインクが残存しているときにのみメンテナンスが行われる。したがって、インクの残量が少ないときにメンテナンス指示が入力された場合は、上述した手順でインクが補給された後にメンテナンス機構140によるメンテナンスが実行される。
【0105】
まず、光学センサの出力やドットカウンタなどのカウント値に基づいてインクの残量が十分であると判断されると、制御部170(図9参照)によって、キャリッジ34が、図4及び図6に示される位置、すなわち、メンテナンス位置に移動される。このとき、メンテナンス指示の入力の際にメンテナンスを行うインク色が指定されている場合は、指定されたインク色に対応するアーム100とプッシュロッド142とが平面視で一致するようにキャリッジ34が移動される。また、記録ヘッド35のノズル39が廃インクトレイ141のほぼ真上に位置するようにキャリッジ34が移動される(図19(a)参照)。なお、このようなキャリッジ34の位置制御は、指定されたインク色のインクを貯留するサブタンク34に対応して予めRAM173(図9参照)などに記憶されていた位置情報と、光学センサ41(図8及び図9参照)からのパルス信号に基づいて、制御部170が実行する。
【0106】
次に、駆動機構143によって、スライドカム144を装置の後方(図19の左方向)へ移動させる。かかる移動は、ピニオンギヤ145(図18参照)とスライドカム144のラックギヤ148とを噛合させて、LFモータ71の駆動力をスライドカム144に付与することで行われる。このとき、スライドカム144の傾斜面135によって、プッシュロッド142が上方へ押し上げられる。このとき、予め指定されたインク色に対応するアーム100の入力部106に前方アーム104を下方から上方へ押し上げる力が作用して、当該力によってアーム100がシーソー運動する。これにより、後方アーム103の押圧部105がサブタンク37の上面のプレート55を押し下げる。そのため、図19(b)に示されるように、サブタンク37が圧縮されて、該サブタンク37内のインクや空気などが流通孔57から排出されて、インク供給路51を経て指定されたインク色に対応するノズル39からインクが噴射される。これにより、サブタンク37からノズル39までのインクの流路に溜まったスラッジや気泡が除去(パージ)される。以下、かかる除去処理を正圧パージと称する。
【0107】
上述の正圧パージが完了すると、スライドカム144が装置の前方(図19の右方向)へ移動される。かかる移動は、ピニオンギヤ145とラックギヤ148とのを噛合を解除して、コイルバネ147のバネ力をスライドカム144に付与することで行われる。このとき、スライドカム144の傾斜面135によって、プッシュロッド142が下降される。これにより、プッシュロッド142が前方アーム104の入力部106から離反すると同時に、サブタンク37に作用していた押圧力が解除される。したがって、サブタンク37は伸張して、元の形状に復帰する(図19(c)参照)。このとき、サブタンク37内の圧力が所定の負圧未満となることにより、雌ジョイント63のコイルバネ152が圧縮されて、孔153から空気が流入する。なお、ノズル39は微小孔であるため、孔153から空気が流入することはあっても、該ノズル39から空気が流入することはない。
【0108】
また、正圧パージの完了後に、ワイパー146が駆動されることにより、インクの噴射によってノズル面に付着したインクが拭い取られる(図19(d)参照)。以下、かかる動作をワイピングと称する。このワイピングが行われることによって、ノズル面におけるインクの混色が防止される。
【0109】
上記ワイピングがなされると、ノズル39に他のインクが入り込む。そのため、上記ワイピングがなされた後は、所謂フラッシングと称する微量インクの空吐出が行われる。このフラッシングは、圧電素子114(図13参照)を制御することにより行われる。
【0110】
このような手順に従って、記録ヘッド35がメンテナンスされるため、サブタンク37内部、或いはサブタンク37からノズル39までのインクの流路に溜まった気泡やスラッジ、混色インクの除去、ノズル面の乾燥防止などのメンテナンスが行われる。また、指定されたインク色に対応する流路のみの正圧パージが可能であるため、従来のように全色パージを行う場合に比べてメンテナンス時のインクの消費量を減縮させることができる。
【0111】
なお、本実施形態では、一つのアーム100だけを押し上げるものとして、アーム100の入力部106の幅と略同じ幅に形成されたプッシュロッド142を例示したが、例えば、プッシュロッド142は、隣り合う二つ或いは三つのアーム100を同時に押し上げるものであってもよい。この場合、プッシュロッド142は、隣り合う二つ或いは三つの入力部106に渡る幅に形成される。また、各アーム100毎に対応する複数のプッシュロッド142を設け、選択された一つ或いは複数のアーム100を押し上げるべく、選択されたアーム100に対応するプッシュロッド142を順にスライドカム144で上方へ押し上げるようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0112】
【図1】図1は、本発明の実施形態に係る複合機1の外観構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、プリンタ部2の模式断面図である。
【図3】プリンタ部2の主要構成を示す斜視図。
【図4】プリンタ部2の主要構成を示す斜視図。
【図5】プリンタ部2の主要構成を示す平面図。
【図6】プリンタ部2の主要構成を示す平面図。
【図7】図7は、図5における矢視VIIから見た画像記録ユニット24近傍の側面図である。
【図8】図8は、図5における切断線VIII−VIIIの断面図である。
【図9】図9は、複合機1の制御部170の構成を示すブロック図である。
【図10】図10は、画像記録ユニット24の拡大斜視図である。
【図11】図11は、図10における切断線XI−XIの断面図である。
【図12】図12は、記録ヘッド35のノズル形成面を示す底面図である。
【図13】図13は、記録ヘッド35の内部構成を示す概略的な部分拡大断面図である。
【図14】図14は、キャッピング機構120の拡大詳細図である。
【図15】図15は、インク補給機構80の断面構造を示す模式断面図である。
【図16】図16は、雌ジョイント63と雄ジョイント84の構成、及び雌ジョイント63と雄ジョイント84の連結方法を説明するための模式図である。
【図17】図17は、インク補給機構80による一連のインク補給手順を説明する模式図である。
【図18】図18は、メンテナンス機構140の断面構造を示す模式断面図である。
【図19】図19は、メンテナンス機構140による一連のメンテナンスの手順を説明する模式図である。
【符号の説明】
【0113】
1・・・複合機
2・・・プリンタ部(インクジェット記録装置)
17・・・湾曲パス
18・・・ストレートパス
23・・・用紙搬送路
34・・・キャリッジ
35・・・インクジェット記録ヘッド
36・・・ヘッド制御基板
37・・・サブタンク(インクタンク)
38・・・インクカートリッジ
39・・・ノズル
43・・・ガイドレール
44・・・ガイドレール
54・・・側面部(胴部)
64・・・雌ジョイント
75・・・搬送ローラ対
78・・・排紙ローラ対
71・・・LFモータ(駆動源)
80・・・インク補給機構(供給手段)
105・・・押圧部(押圧端部)
106・・・入力部(入力端部)
120・・・キャッピング機構
140・・・メンテナンス機構
141・・・廃インクトレイ(廃インク受け部)
142・・・プッシュロッド(リンク部材)
143・・・駆動機構(駆動手段)
144・・・スライドカム(カム部材)
170・・・制御部(制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に搬送される被記録媒体に向けてインクを吐出するインクジェット記録ヘッドと、
弾性的に変形可能に構成され、上記インクジェット記録ヘッドへ供給されるインクを貯留する複数のインクタンクと、
少なくとも上記インクジェット記録ヘッド及び上記複数のインクタンクを支持するとともに被記録媒体の搬送方向に略直交する方向へ往復移動するキャリッジと、
上記キャリッジの移動領域における該キャリッジの移動方向両端のうちの第1端に設定された非記録領域に該キャリッジが移動した際に、上記複数のインクタンクから選択された少なくとも一のインクタンクを該インクタンクの弾性に抗して押圧する押圧手段と、
上記非記録領域に設けられ、上記押圧手段によって押圧されることにより上記インクジェット記録ヘッドから吐出されるインクを受ける廃インク受け部と、を具備するインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記インクタンクは、上下一方向に伸縮自在に構成されている請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記インクタンクは、胴部がベローズ形状に形成されている請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記押圧手段は、
所定の回動支点を中心にして揺動可能に支持されたアームと、該アームの第1端に設けられて上記インクタンクの上面を下方へ押圧可能な押圧端部と、上記アームの第2端に設けられて外部からの駆動力を受ける入力端部と、上記アームの上記入力端部を押し上げる方向に駆動力を伝達することにより上記押圧端部を下方に駆動させる駆動手段と、を備える請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記駆動手段は、上下可動に支持されて上記入力端部に当接可能なリンク部材と、駆動源からの駆動力を上記リンク部材に伝達するカム部材とを備える請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記インクタンクと連結されて該インクタンクにインクを供給する供給手段を具備し、上記キャリッジの移動方向両端のうちの第1端に設定された非記録領域に上記押圧手段が配設され、上記キャリッジの移動方向両端のうちの第2端に設定された非記録領域に上記供給手段が配設されている請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
上記キャリッジの移動量及び上記押圧手段による押圧タイミングを制御することにより、上記押圧手段に上記複数のインクタンクから選択された少なくとも一のインクタンクを押圧させる制御手段を具備する請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2008−12679(P2008−12679A)
【公開日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182861(P2006−182861)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】