説明

インクジェット記録装置

【課題】帯電色材粒子を泳動電界により吐出側に移動させるインクジェットヘッドにおいて、インク流路の下流部に対応する画像の画像濃度が低くなるという画像濃度のむらの問題を解決する。
【解決手段】インク流路中のインク濃縮力が下流ほど高くなるように電極、インク流路等を構成する。
例えば、インク流路内の電界強度を下流ほど高くする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインクジェット記録装置に関し、電気エネルギー、機械エネルギー、熱エネルギー等により、インク滴を記録媒体に向けて飛翔させ、画像を記録するインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
静電吐出型のインクジェットヘッドを例にとると、制御電極を有するインクジェットヘッドを記録媒体に対向して配置し、前記制御電極に駆動パルスを印加することにより、帯電したインク滴を静電気力でインクジェットヘッドから記録媒体に向けて飛翔させ、記録媒体に着弾させるものであり、画像信号に基づいた駆動パルスを前記制御電極に印加することにより記録媒体上に画像が形成される。
【0003】
このような静電吐出型のインクジェットヘッドは、例えば、特許文献1〜3に開示されている。
【0004】
そして、特許文献1には、泳動電極によりインク中のトナー粒子をインク吐出側に引き寄せることにより、吐出されるインク中のトナー粒子の濃度を高くすることが開示されている。
【特許文献1】特開平9−123459号公報
【特許文献2】特開2004−82380号公報
【特許文献3】特開2005−47073号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載されているように、インクを吐出する制御電極の他に、インク吐出方向に関して前記制御電極の背後に泳動電極を配置した構成により吐出されるインクのトナー濃度が高められ、鮮明な画像が形成される。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載されてインクジェット記録装置には、次のような問題がある。
【0007】
インクジェットヘッド内のインクから色材粒子が濃縮されたインクが消費される結果、インク流路の下流ほどインク中の色材粒子濃度が低下するという現象が起こり、その結果、濃度ムラのある画像が形成される。
【0008】
本発明は、このような問題を解決し、濃度ムラのきわめて少ない高画質の画像を形成することが出来るインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記目的は下記の発明により達成される。
1.
帯電粒子を含むインクを記録媒体に向けて飛翔させるインクジェット記録装置であって、インクを吐出する開口を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置された第2基板とを有し、前記第1基板と前記第2基板との間にインク流路を形成し、該流路におけるインクの流れの方向に沿って複数の前記開口を形成するとともに、該インク流路に、前記帯電粒子を前記第1基板側に泳動させる泳動電界を形成することにより、前記インク流路内における前記帯電粒子の濃度を前記第1基板側で高める電界形成手段を有するインクジェット記録装置において、
前記電界形成手段のインク濃縮力を、前記インク流路における下流側で上流側よりも高くしたことを特徴とするインクジェット記録装置。
2.
記録媒体と前記開口間に形成した電界によりインクを吐出することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録装置。
3.
前記開口に突出し、インクの吐出をガイドするインクガイドを有することを特徴とする前記1又は前記2に記載のインクジェット記録装置。
4.
前記電界形成手段は、前記第1基板に設けられた第1電極、前記第2基板に設けられた第2電極及び前記第1電極と前記第2電極間に電圧を印加して電気泳動電界を形成する第1電源を有することを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
5.
前記第1電極は、前記開口からインクを吐出させる制御電極を有することを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録装置。
6.
前記制御電極は、行電極又は列電極を有することを特徴とする前記5に記載のインクジェット記録装置。
7.
熱エネルギーによりインクを吐出することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録装置。
8.
機械エネルギーによりインクを吐出することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録装置。
9.
前記電界形成手段は、前記第2基板に形成された第2電極、記録媒体を挟んで前記第1基板に対向する第3電極及び前記第2電極と前記第3電極間に電圧を印加して前記泳動電界を形成する第2電源を有することを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録装置。
10.
前記電界形成手段は、前記第2基板に形成された第2電極及び前記記録媒体を帯電する帯電手段を有し、前記第2電極と前記帯電手段により記録媒体に付与された電荷とにより、前記流路内の前記泳動電界が形成されることを特徴とする前記1に記載のインクジェット記録装置。
11.
前記泳動電界の強度を下流ほど高くすることにより、前記インク濃縮力を高めることを特徴とする前記1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
12.
前記第1電極の面積を下流ほど広くすることにより、前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録装置。
13.
前記第2電極を前記インク流路を流れるインクの流れの方向に沿って、複数に分割し、分割された前記第2電極の面積を前記下流ほど広くすることにより、前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録装置。
14.
前記第1電極と前記第2電極間の間隔を前記下流ほど狭くすることにより、前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録装置。
15.
前記インク流路の高さを前記下流ほど低くすることにより
前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする前記4に記載のインクジェット記録装置。
16.
前記インク流路におけるインクの流れの方向に直交する方向の前記インク流路の幅を前記下流ほど広くしたことを特徴とする前記15に記載のインクジェット記録装置。
17.
前記インク流路内のインクの流れ交差する方向に前記開口を複数設けたことを特徴とする前記1〜16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の効果】
【0010】
本発明においては、インク流路の下流ほどインク濃縮力を高くしているので、インクジェットヘッドから吐出されるインクにおける色材粒子の濃度を高くするとともに、下流における色材粒子濃度の低下が良好に防止されて、高濃度であり、且つ、均一な画像濃度を有する高画質の画像を形成することができるインクジェット記録装置が実現される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下本発明の実施の形態により本発明を説明するが、本発明は該実施の形態に限られない。
【0012】
図1は本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッド(以下ヘッドと言う)の部分断面図、図2は電極を示す図、図3はインクガイドを示す図である。
【0013】
ヘッド1は、第1基板としての絶縁性基板10及び第2基板としてのヘッド基板30を有する。
【0014】
絶縁性基板10上には、下から順に絶縁層12、14、16が積層される。
【0015】
絶縁性基板10と絶縁層12との間に第1電極としての制御電極13、絶縁層12と絶縁層14との間に制御電極15、絶縁層14と絶縁層16との間にガード電極17がそれぞれ設けられる。制御電極13と制御電極15とは絶縁層12の両面に電極層を形成することにより設けら、ガード電極17は絶縁層14上に電極層を形成することにより設けられる。
【0016】
絶縁性基板10、絶縁層12、14、16で構成される積層体には、開口18がマトリクス状の配列で設けられる。
【0017】
開口18のマトリクス配置により、高速度、且つ、高解像度の印字が可能となる。
第1電極としての制御電極13、及び制御電極15は図2に示すように、開口18を囲むリング状に形成され、ガード電極17は制御電極13、15が形成されたリング状の部分が開口として形成され、この開口を除く全面を覆ように設けられる。ガード電極17には所定の電圧が印加され、作動時に、個別に駆動電圧が印加される制御電極13、15間の電界の干渉を避ける機能を有する。
【0018】
ヘッド基板30には上端が尖頭状に形成されたインクガイド31が設けられ、インクガイド31は開口18を貫通して上方に突出している。ヘッド基板30と絶縁性基板10とは間隙をもって結合されており、この間隙は、インクAで満たされており、インク流路40を形成する。
【0019】
ヘッド基板30の底には第2電極としての泳動電極32が設けられ、ヘッド基板30の底はカバー層33で全面が覆われている。
【0020】
なお、泳動電極32はヘッド全面を覆うように形成される。泳動電極32はインクA中の荷電色材粒子Bをインクガイド31の尖頭部へ向けて泳動させる電界を形成する電位に維持される。このために、泳動電極32には、電源34が接続され、例えば、+300Vの電圧が印加される。
【0021】
インクAは帯電(たとえばプラス)した色材粒子Bを分散状態で含有し、色材粒子Bを分散する分散媒としては、高い電気抵抗率、特に、1010Ωcm以上を有する誘電性の液体であることが好ましい。電気抵抗率の低い分散媒を使用すると、隣接する記録電極間で電気的導通が生ずるために好ましくない。
【0022】
インクガイド31は開口18に対応してマトリクス配置されるが、個々のインクガイドは図3に示すように、尖頭部に溝31aを有する。
【0023】
ヘッド1は図1に示すように、電極41により支持された記録媒体Pに対して所定の間隔を持って配置される。
【0024】
記録媒体Pは制御電極13、15の駆動電圧(たとえばプラス)と反対極性の電圧(たとえばマイナス)の電位、例えば、−1500Vの電位に維持される。このためには、電源43により電極41に電圧を印加するかまたは記録媒体Pが帯電手段としてのコロナ帯電器により帯電される。
【0025】
待機状態では、インクAは絶縁性基板10とインクガイド31との間の間隙18A(開口18により形成される)及びインクガイド31の尖頭部に設けられた溝31aを毛管作用により満たしている。
【0026】
印字作動前の状態では、泳動電極32と駆動パルスが印加されていない制御電極13とによりインク流路40に形成される電界によって色材粒子Bがインクガイド31の開口18側へと向かって泳動し、開口18の近傍におけるインクAの色材粒子濃度を上げる。
【0027】
なお、印字作動中であっても、インクを吐出しない開口では、前記したインク流路40における色材粒子Bの泳動が起こっており、吐出後にインクガイド31を囲む間隙18A及び溝31Aを満たすインク中の色材粒子濃度が高く保たれる。
【0028】
制御電極13、15は図2に示すようにマトリクス配置され、制御電極13の行13A、13B、13Cがそれぞれ個々に駆動回路13AE、13BE、13CEに接続され、駆動パルスで駆動され、制御電極15の列151E、152E・・・155Eがそれぞれ個々に駆動回路に接続され、駆動パルスにより駆動される。
【0029】
ヘッド1は行駆動パルスと列駆動パルスとが同時に印加された時にインク滴を吐出するように調整されている。行駆動パルス、列駆動パルスはほぼ等しく100〜500Vの電圧を有する。
【0030】
制御電極13、15に駆動パルスが印加されると、記録媒体Pとヘッド1との間に電界が形成され、静電力の作用で開口18からインクが吐出され、記録媒体Pに向けインク滴DRが飛翔して着弾し印字が行われる。印字とともに、インクA中の色材粒子Bが電気泳動してインクガイド31の尖頭部に移動する。
【0031】
インクガイド31により、インクジェットヘッド1と記録媒体Pとの間のインク滴飛翔距離が短くなり、インク滴の着弾精度が向上する。
【0032】
また、インクガイド31に尖頭部が形成されているので、インク吐出時のインク滴の尾の切れによるサテライトの発生が少なくなり、画質が向上する。
【0033】
インクAは矢印Wのように、インク流路40中を流れる。矢印Wで示す流れの方向は、インクA中の色材粒子Bの濃度を調整する濃度調整装置(図示せず)を介した循環経路をインクAが流れる際の方向である。
【0034】
前記に説明したように、印字の過程で、色材濃度がインクガイド31の尖頭部近傍において上昇し、色材濃度の高いインクが消費されるために、インク流路40を流れるインクA中の色材濃度は下流ほど低下する。
【0035】
このために、インクAが流れる方向Wに沿って、インクAを吐出する開口18が複数形成されたインクジェットヘッドでは、下流ほど印字濃度が低下し、画像濃度が不均一になるという問題がある。
【0036】
本発明においては、インク流路40に沿って、ヘッドの下流部におけるインク濃縮力をヘッドの上流部における濃縮力よりも高めることにより、このような問題を解決した。
【0037】
インク濃縮力とは、インク中Aの色材粒子Bの濃度を開口18の近傍において上昇させる作用を言うが、インク濃縮力を上げる手段としては、インク流路40中の電界強度を上げることと、荷電粒子の泳動範囲を広くすることが挙げられる。
【0038】
具体例としては次の実施の形態がある。
(1)第2電極の電圧をインク流路40下流開口18の第1位置において、インク流路40上流側開口18の第2位置よりも高くする。
【0039】
第2電極である泳動電極32の電圧を下流ほど高くすることにより、インク流路40中の電界強度が下流ほど高くなり、印字により色材濃度が低下したインクA中の色材粒子Bを開口18の側に向けて泳動させる力が強く作用し、インク濃縮力が下流ほど高くなる。
【0040】
このような電界強度分布を形成する手段としては、図4(a)に示すように、泳動電極として抵抗体32Rを用い、下流端を電源34に接続するかまたは図4(b)に示すように、下流から上流へと泳動電極を32a、32b・・・32nのように分割し、下流ほど高い電圧を発生する電源34a、34b・・・34nを接続するものが可能である。
(2)第1電極又は第2電極の面積をインク流路40下流の第1位置において、インク流路40上流の第2位置におけるよりも大きくする。
【0041】
第1電極である制御電極13及び第2電極である泳動電極32の面積を下流ほど大きくする。
【0042】
第1電極の面積を大きくする手段は、図5(a)に示すとおりである。
【0043】
開口の周囲に形成される上流側の第2位置のリング状の電極C2より、下流側の第1位置の電極C1を大きくすることにより、色材粒子の泳動範囲が下流ほど広くなり、インク濃縮力が増す。
【0044】
この例では、泳動電極は図5(b)の帯状電極32q、32r・・・32tのようにインクが流れる方向Wに直角な方向に分割される。帯状電極3q、・・・32tの下流における幅h1を上流における幅h2よりも広く形成する。
【0045】
泳動電極32をこのような形状とすることにより、色材粒子の泳動範囲が広くなり、インク濃縮力が増す。
(3)第1電極と第2電極間の間隔を下流側第1位置において、上流側第2位置におけるよりも狭くする
図6に示すように、ヘッド基板20の底面を傾斜状に形成し、この傾斜状底面に泳動電極32の層を形成する。
【0046】
制御電極13、15と泳動電極32間の間隔が下流ほど狭くなる結果、インク流路40中のこれら電極により形成される電界強度が下流ほど高くなって、下流ほどインク濃縮力が高くなる。
【0047】
また、図7に示すように、制御電極13、15と泳動電極32間の間隔を段階的に下流ほど狭くすることも可能である。
【0048】
さらに、図8のように、インク流路40の高さ、即ち、絶縁性基板10とヘッド基板30間の間隔を下流ほど狭くすることにより、制御電極13、15と泳動電極32間の間隔を下流ほど狭くし、下流のインク濃縮力を上げることができる。
【0049】
図8の例では、下流におけるインク流路40の容積が小さくなるが、インクが溢れるのを防止するために、図9に示すように、インク流路40の幅、即ち、インクが流れる方向Wに直交する方向の流路幅に関して、下流における幅L1が上流における幅L2より広く形成される。
【0050】
図1から明らかなように、インク流路40内において、色材粒子を開口18側に移動させる電界は、泳動電極32に制御電極13が対向する位置では、これら電極により形成されるが、泳動電極32にガード電極17が対向する位置ではガード電極17と制動電極32とにより前記電界が形成される。
【0051】
従って、インクジェットヘッド1の表面に形成されたガード電極17も第1電極を構成する。
【0052】
なお、前記(1)〜(3)の手段を組み合わせて用いることも可能である。
【0053】
前記のように開口18及び制御電極13、15のマトリクス配置により、高速度、且つ、高解像度の印字が可能となるが、このような構成により、インクの流れの方向Wに沿って複数の開口18が配置されるとともに、方向Wに交差する方向にも開口18が複数配置される。
【0054】
開口18のマトリクス配置により、複数の開口18を共通のインク流路40の方向Wに交差する方向(以下横方向という)に複数配置した構成となるが、この構成により、印字動作中にインクを吐出する開口18と吐出しない開口18が混在する場合にも、横方向のインクの流れが生じて、高濃度部と低濃度部とが混合して色材粒子の濃度が均一化され、画像濃度のむらを防止することができる。
【0055】
図8,9に示す例では、記録媒体を方向W、即ち、インクジェットヘッド1におけるインクの流れの方向に搬送しつつ印字が行われる。
【0056】
図10はインク流路におけるインクの流れ方向に配列された複数の開口18の列を1列設けた本発明の実施の形態の更に他の例の模式図であり、図10(a)はインクジェットヘッド1の上面図、図10(b)はインク流路を示す図、図10(c)はインクジェットヘッドの側断面図である。
【0057】
図10の例では、インク流路40の高さを下流ほど低くすることにより、泳動電極32により形成される電界の強度を下流ほど高くし、これによって、下流におけるインク濃縮力を上流よりも高くしている。
【0058】
図示のように、インク流路40の幅を下流ほど広くすることにより、インク流路40の容積を上流、下流間でほぼ等しくし、インクの流れを円滑にしている。
【0059】
図11はインクガイド31の配置を変えた本発明の実施の形態の更に他の例を示す。
【0060】
図1においては、インクガイド31を開口18の中に設けているが、図11では、インクガイド31を開口18のインク吐出壁に沿って設けている。
【0061】
図11の例でも、開口18から吐出されるインクはインクガイド31の側面に案内されて吐出し、所定の方向に飛翔する。
【0062】
図12は熱エネルギーでインクを吐出する本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置の更に他の例を示す。
開口18の各々に対応して、発熱素子50がインク流路40の開口と反対側に設けられる。
【0063】
発熱素子50が画像データに基づいて選択的に発熱することにより、インクが開口18から吐出して画像が形成される。
【0064】
インク流路40内のインクA中の色剤粒子Bは濃度が開口側18側で高いので、高濃度のインクが開口18から吐出して、鮮明な画像が形成される。
【0065】
なお、発熱素子に代えて、ピエゾ素子等の機械・電気変換素子を用いて、機械エネルギーでインクを吐出するインクジェット記録装置にも本発明を使用することができる。
【0066】
図13は記録材を支持する電極と泳動電極とにより、インク流路内に電界を形成し、色剤粒子濃度を開口側で高くした本発明の実施の形態の更に他の例を示す。
【0067】
泳動電極32には、電源34により色剤粒子Bを開口18側に泳動させる電圧が印加されるが、記録媒体Pを支持する電極41が接地されており、泳動電極32と電極41とにより、色剤粒子Bを泳動させる電界が形成される。
【0068】
なお、図13に示す例の変化例として、記録材Pの背面(図12における上面)コロナ帯電器等の帯電手段で帯電して記録材Pの背面に電荷を付与し、付与した電荷と泳動電極32とにより電界を形成することも可能である。
【0069】
図14はインクを吐出する開口が形成された第1基板と泳動電極が形成された第2基板とを共通の部材50で形成した本発明の実施の形態の更に他の例を示す。
【0070】
図示のように、共通の部材50はンクを吐出する開口18が形成された第1基板10A及び泳動電極32が形成される第2基板30Aを構成する。また、制御電極13、15は第1基板10Aに形成される。
【0071】
インク流路40は成型により部材50内に形成される。なお、矢印Wで示すインクの流れは、図示しない循環経路により形成される。
【図面の簡単な説明】
【0072】
【図1】本発明の実施の形態に係るインクジェットヘッドの部分断面図である。
【図2】電極を示す図である。
【図3】インクガイドを示す図である。
【図4】泳動電極を示す図である。
【図5】制御電極及び泳動電極を示す図である。
【図6】本発明の実施の形態の一例であるインクジェットヘッドの部分断面図である。
【図7】本発明の実施の形態の他の例であるインクジェットヘッドの部分断面図である。
【図8】本発明の実施の形態の更に他の例であるインクジェットヘッドの部分断面図である。
【図9】図8に示すインクジェットヘッドの平面図である。
【図10】複数開口の列1列を設けた本発明の実施の形態の更に他の例を示す図である。
【図11】インクガイド31の配置を変えた本発明の実施の形態の更に他の例を示す図である。
【図12】熱エネルギーでインクを吐出する本発明の実施の形態に係るインクジェット記録装置の更に他の例を示す。
【図13】記録材を支持する電極と泳動電極とにより、インク流路内に電界を形成し、色剤粒子濃度を開口側で高くした本発明の実施の形態の更に他の例を示す図である。
【図14】第1基板と第2基板とを共通の部材で構成して本発明の実施の形態の更に他の例を示す図である。
【符号の説明】
【0073】
1 インクジェットヘッド
10絶縁性基板
12、14、16 絶縁層
13、15 制御電極
17 ガード電極
18 開口
30 ヘッド基板
31 インクガイド
32 泳動電極
41 対向電極
42 インク流路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯電粒子を含むインクを記録媒体に向けて飛翔させるインクジェット記録装置であって、インクを吐出する開口を有する第1基板と、該第1基板に対向して配置された第2基板とを有し、前記第1基板と前記第2基板との間にインク流路を形成し、該流路におけるインクの流れの方向に沿って複数の前記開口を形成するとともに、該インク流路に、前記帯電粒子を前記第1基板側に泳動させる泳動電界を形成することにより、前記インク流路内における前記帯電粒子の濃度を前記第1基板側で高める電界形成手段を有するインクジェット記録装置において、
前記電界形成手段のインク濃縮力を、前記インク流路における下流側で上流側よりも高くしたことを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
記録媒体と前記開口間に形成した電界によりインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記開口に突出し、インクの吐出をガイドするインクガイドを有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記電界形成手段は、前記第1基板に設けられた第1電極、前記第2基板に設けられた第2電極及び前記第1電極と前記第2電極間に電圧を印加して電気泳動電界を形成する第1電源を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1電極は、前記開口からインクを吐出させる制御電極を有することを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記制御電極は、行電極又は列電極を有することを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
熱エネルギーによりインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
機械エネルギーによりインクを吐出することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項9】
前記電界形成手段は、前記第2基板に形成された第2電極、記録媒体を挟んで前記第1基板に対向する第3電極及び前記第2電極と前記第3電極間に電圧を印加して前記泳動電界を形成する第2電源を有することを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項10】
前記電界形成手段は、前記第2基板に形成された第2電極及び前記記録媒体を帯電する帯電手段を有し、前記第2電極と前記帯電手段により記録媒体に付与された電荷とにより、前記流路内の前記泳動電界が形成されることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項11】
前記泳動電界の強度を下流ほど高くすることにより、前記インク濃縮力を高めることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
【請求項12】
前記第1電極の面積を下流ほど広くすることにより、前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項13】
前記第2電極を前記インク流路を流れるインクの流れの方向に沿って、複数に分割し、分割された前記第2電極の面積を前記下流ほど広くすることにより、前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項14】
前記第1電極と前記第2電極間の間隔を前記下流ほど狭くすることにより、前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項15】
前記インク流路の高さを前記下流ほど低くすることにより
前記インク濃縮力を前記下流側で高くしたことを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項16】
前記インク流路におけるインクの流れの方向に直交する方向の前記インク流路の幅を前記下流ほど広くしたことを特徴とする請求項15に記載のインクジェット記録装置。
【請求項17】
前記インク流路内のインクの流れ交差する方向に前記開口を複数設けたことを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2008−221506(P2008−221506A)
【公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−59792(P2007−59792)
【出願日】平成19年3月9日(2007.3.9)
【出願人】(000001270)コニカミノルタホールディングス株式会社 (4,463)
【Fターム(参考)】