説明

インクジェット記録装置

【課題】顧客の生産条件の変更によりインクジェット記録装置の記憶媒体に記憶されている多くのインクジェット記録装置印字データが影響を受ける場合、影響を受ける印字データを1つずつ修正しなければならないという作業量の多さを低減することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】複数個以上の印字データ中の生産条件データを修正する場合に記憶媒体に記憶されている印字データのうち修正対象になる印字データを一括して修正する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記憶媒体に記憶されているインクジェット記録装置印字データ内の生産条件データの修正方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、連続的に噴出されたインクを粒子に変化させるインクジェット記録装置においては、文字作成に必要な粒子に帯電することが行われている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2004−322558号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、図6は、従来の生産条件データの修正方法の操作の流れを説明するものである。説明する例としてインクジェット記録装置の記憶媒体には10個のインクジェット記録装置印字データ(以下、印字データという)が記憶されておりそれぞれには印字データ(001)から印字データ(010)という名称が付いているものとする。今回、顧客の生産条件に変更があり10個の印字データのうち印字データ(001)から印字データ(005)までの5個が影響を受け、その5個の印字データ中の生産条件データを修正する必要があるものとする。
【0005】
顧客はまず記憶媒体より印字データ(001)を呼び出しして生産条件データを修正し、記憶媒体に印字データ(001)を再登録する。以降同じ手順で印字データ(002)、印字データ(003)、印字データ(004)、印字データ(005)をそれぞれ呼び出し、修正、再登録する必要がある。インクジェット記録装置の記憶媒体にはたくさんの印字データを記憶することができるので、顧客の生産条件の変更により多くの印字データが影響を受ける場合はその印字データの修正には大変な労力を要している。
【0006】
本発明の目的は、顧客の生産条件の変更によりインクジェット記録装置の記憶媒体に記憶されている多くのインクジェット記録装置印字データ(以下、印字データという)が影響を受ける場合、影響を受ける印字データを1つずつ修正しなければならないという作業量の多さを低減することができるインクジェット記録装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、例えば、加圧インクをノズルより噴出し、該ノズルを一定周期で振動させることにより、インクを一定周期で粒子化せしめ、この粒子化の周期に同期した階段波状の帯電信号を帯電電極に与えることにより、前記インク粒子に電荷を付与し該荷電粒子を偏向電界中に飛行させ垂直偏向し、被印字物をインク粒子の垂直偏向とほぼ直角に相対移動させることにより文字を形成するインクジェット記録装置において、印字する印字パターンを設定するための文字情報及び印字情報データと顧客の生産条件に対応するための生産ライン情報などを格納する生産条件データ備えて構成される印字データが複数記憶されている記憶媒体を備え、複数個以上の印字データ中の生産条件データを修正する場合、前記記憶媒体に記憶されている印字データのうち修正対象になる印字データを一括して修正するという構成をとる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、顧客の生産条件の変更によりインクジェット記録装置の記憶媒体に記憶されている多くのインクジェット記録装置印字データが影響を受ける場合、簡単な操作により影響を受けるすべての印字データ中の生産条件データを一括して修正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
まずインクジェット記録装置の動作原理について述べる。図1において、01はノズル、02は作成されたインク粒子を帯電させる帯電電極、03は帯電したインク粒子を偏向する偏向電極、04は印字に使用しないインク粒子や洗浄時の補力液を回収するガター、05はインク、補力液の供給および回収を行うためのポンプ、06はメインインク容器、07はサブインク容器、08は補力液容器、09はインクをノズルに供給するインク供給経路、10は印字に使用しなかったインク粒子、洗浄時の補力液をガターから回収する回収経路、11はインクをサブインク容器からメインインク容器に補充するインク補給経路、12は補力液を補力液からメインインク容器に補充する補力液補給経路、13は洗浄経路、14は電磁弁である。まず、インクジェット記録装置の印字動作概要について述べる。
【0010】
ノズル01より噴出されたインクは、帯電電極02内にて粒子化され階段波状の文字信号に比例した電荷を受け、偏向電極03により偏向され被印字物へインクが飛行、付着して印字される。印字に使用されなかった無帯電インク粒子はガター04よりポンプ05にてメインインク容器06に回収され、ポンプ05により再びノズル01へインクを供給される。
【0011】
また、インクは一定時間ごとに補給されサブインク容器07からポンプ05によりメインインク容器06へ補給される。インク補給と同時に揮散したインク内の補力液成分を補給するため補力液容器08からポンプ05によりメインインク容器06へ補力液が補給される。インクを停止するときは補力液容器08からポンプ05によってノズル01へ補力液が供給されガター04により回収されてメインインク容器06に戻る。
【0012】
つぎに図2において本発明の原理ブロック図を示す。21はインクジェット記録装置の情報を表示するための表示パネル、22はキーを入力するためのタッチパネル、23は表示パネルに表示するための画面表示ソフトウェア、24はタッチパネルからキーを入力するためのキー入力ソフトウェア、25は修正対象となる印字データの選択と生産条件データの修正内容の設定を行い、それにより選択された印字データ中の生産条件データを一括修正する生産条件データ一括修正ソフトウェアである。
【0013】
また、26は記憶媒体よりRAM上に呼び出した印字データ中の生産条件データ、27はインクジェット記録装置の記憶媒体に記憶してある印字データをRAM上に呼び出しするための印字データ呼び出しソフトウェア、28はRAM上の生産条件データを修正するための生産条件データ修正ソフトウェア、29はインクジェット記録装置の記憶媒体にRAM上の印字データを記憶するための印字データ登録ソフトウェア、30はインクジェット記録装置の記憶媒体、31から40はインクジェット記録装置の記憶媒体に記憶されている印字データである。
つぎに図2の補足図として図3を示す。
【0014】
また、31はインクジェット記録装置の記憶媒体に記憶されている印字データであるがその内容としてはインクジェット記録装置が印字する印字パターンを設定するための文字情報などを格納する印字情報データ43と顧客の生産条件に対応するための生産ライン情報などを格納する生産条件データ44から構成されている。本発明の修正対象となるデータは生産条件データ44である。
【0015】
印字データ呼び出しソフトウェア27と印字データ登録ソフトウェア29はインクジェット記録装置の記憶媒体に記憶されている印字データ31の印字情報データ43と生産条件データ44を処理対象とする。よって記憶媒体より呼び出ししたRAM上の印字データ41内にも印字情報データ42と生産条件データ26が存在する。このうち生産条件データ修正ソフトウェア28が修正対象とするのは生産条件データ26である。
【0016】
図4において、生産条件データの修正方法の操作の流れを説明する。説明する例としてインクジェット記録装置の記憶媒体には10個のインクジェット記録装置印字データ(以下、印字データという)が記憶されておりそれぞれには印字データ(001)から印字データ(010)という名称が付いているものとする。今回、顧客の生産条件に変更があり10個の印字データのうち印字データ(001)から印字データ(005)までの5個が影響を受け、その5個の印字データ中の生産条件データを修正する必要があるものとする。
【0017】
顧客はまず記憶媒体に記憶してある印字データから修正対象となる印字データをすべて選択する必要がある(51)。修正対象を選択する画面例として図7の印字データ選択画面(81)を示す。印字データ選択画面(81)では記憶媒体に記憶してあるすべての印字データを表示し顧客は修正対象となる印字データを画面をタッチすることにより選択する。1画面に印字データをすべて表示しきれないときは前画面ボタン(82)次画面ボタン(83)をタッチすることで隠れている印字データを表示することができる。
【0018】
修正対象となる印字データをすべて選択したら生産条件修正画面に移行するために生産条件修正画面ボタン(85)をタッチする。生産条件データの修正処理を止めたい場合は取り消しボタン(84)をタッチすればよい。
【0019】
つぎに生産条件データの修正内容を設定する(52)。修正内容を設定する画面例として図8の生産条件修正画面(91)を示す。生産条件修正画面(91)では顧客の生産条件に対応するための生産条件データをすべて表示し顧客は修正対象となるデータに新しい設定値を入力する。表示するデータの初期値としては修正対象となる印字データ中の生産条件データの設定値がすべて同じ場合は設定値を表示し、ひとつでも異なる場合はスペースを表示する。
【0020】
修正対象となるデータの選択は表示場所をタッチすることでカーソルが設定され、設定値の入力は数字キーボタン(92)をタッチすることで入力することができる。修正内容の設定が終了したら修正実行を指示するための修正実行ボタン(94)をタッチする。修正実行が指示されると生産条件データの一括修正を開始する(53)。生産条件データの修正処理を止めたい場合は取り消しボタン(93)をタッチすればよい。
【0021】
図5にて生産条件データの一括修正の処理の流れを説明する。まずはインクジェット記録装置の記憶媒体より選択された印字データを1個だけRAM上に呼び出しする(54)。つぎに生産条件の修正内容にしたがってRAM上の印字データ中の生産条件データを修正する(55)。つぎにRAM上の印字データをインクジェット記録装置の記憶媒体に再登録する(56)。最後に選択された印字データをすべて処理したかどうかの判定を行う(57)。処理終了していない場合は再び(54)に戻りつぎの印字データを処理する。すべての印字データを処理終了した場合は一括修正処理を終了する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】インクジェット記録装置の動作原理図
【図2】本発明の原理ブロック図
【図3】本発明の原理ブロック図の補足図
【図4】本発明後の生産条件データの修正方法の操作の流れ図
【図5】本発明後の生産条件データの一括修正の処理の流れ図
【図6】本発明前の生産条件データの修正方法の操作の流れ図
【図7】本発明の修正する印字データを選択する画面例
【図8】本発明の生産条件データの修正内容を設定する画面例
【符号の説明】
【0023】
01…ノズル、02…帯電電極、03…偏向電極、04…ガター、05…ポンプ、06…メインインク容器、07…サブインク容器、08…補力液容器、09…供給経路、10…回収経路、11…インク補給経路、12…補力液補給経路、13…洗浄経路、14…電磁弁、21…表示パネル、22…タッチパネル、23…画面表示ソフトウェア、24…キー入力ソフトウェア、25…生産条件データ一括編集ソフトウェア、26…生産条件データ、27…印字データ呼び出しソフトウェア、28…生産条件データ編集ソフトウェア、29…印字データ登録ソフトウェア、30…記憶媒体、31…印字データ(001)、32…印字データ(002)、33…印字データ(003)、34…印字データ(004)、35…印字データ(005)、36…印字データ(006)、37…印字データ(007)、38…印字データ(008)、39…印字データ(009)、40…印字データ(010)、25…生産条件データ一括編集ソフトウェア、
26…生産条件データ、27…印字データ呼び出しソフトウェア、28…生産条件データ編集ソフトウェア、29…印字データ登録ソフトウェア、30…記憶媒体、31…印字データ(001)、41…印字データ、42…印字情報データ、43…印字情報データ、44…生産条件データ、81…印字データ選択画面、82…前画面ボタン、83…次画面ボタン、84…取り消しボタン、85…生産条件修正画面ボタン、91…生産条件修正画面、92…数字キーボタン、93…取り消しボタン、94…修正実行ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加圧インクをノズルより噴出し、該ノズルを一定周期で振動させることにより、インクを一定周期で粒子化せしめ、この粒子化の周期に同期した階段波状の帯電信号を帯電電極に与えることにより、前記インク粒子に電荷を付与し該荷電粒子を偏向電界中に飛行させ垂直偏向し、被印字物をインク粒子の垂直偏向とほぼ直角に相対移動させることにより文字を形成するインクジェット記録装置において、
印字する印字パターンを設定するための文字情報及び印字情報データと顧客の生産条件に対応するための生産ライン情報などを格納する生産条件データ備えて構成される印字データが複数記憶されている記憶媒体を備え、
複数個以上の印字データ中の生産条件データを修正する場合に前記記憶媒体に記憶されている印字データのうち修正対象になる印字データを一括して修正することを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
データを表示するとともに、入力信号を入力することができる操作入力部を備え、表示されたデータから修正対象であるデータを選択できることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記修正対照であるデータは生産条件データであることを特徴とする請求項2に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−179025(P2009−179025A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22262(P2008−22262)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(502129933)株式会社日立産機システム (1,140)
【Fターム(参考)】