説明

インクジェット記録装置

【課題】記録装置が大型化したりコスト高になることなく、安定的に記録媒体を搬送することで記録結果における不具合の発生を抑制することが可能なインクジェット記録装置を実現すること。
【解決手段】回転する搬送ベルト25の周期に対して回転する排紙ローラの周期が整数倍になるように構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はベルト搬送によって記録媒体を安定的に搬送する複数の搬送手段に対して、適性に制御することで高精度且つ安定的な記録媒体の搬送を実現するインクジェット記録装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
記録媒体にインクを吐出することで記録を行うインクジェット記録装置において、記録媒体を安定して搬送するために、ベルト搬送部に記録媒体を吸着させて搬送する発明が多くなされている(特許文献1)。また、記録媒体を載置するプラテンの記録媒体搬送方向上流側および搬送方向下流側の少なくとも一方に、多数の孔を有する搬送ベルトを備えた搬送ベルト装置を隣接して設ける構成もある。この構成では、搬送ベルトの下方に吸気吸引機構を設けて、搬送ベルト上の記録媒体を吸引により保持する。またその吸引力で、印字ヘッドから吐出された不要なインクミストをプラテンと搬送ベルト装置との間を介して吸引する発明もなされている(特許文献2)。
【0003】
さらに、搬送部分にベルト搬送を用いた系で縁無し印字を行う場合、記録媒体からはみ出して吐出されたインクがベルト搬送部に付着し、後に搬送される記録媒体の裏面を汚してしまうことがある。縁無し印字によるベルト搬送部分の汚れを防止する対策として、縁無し印字時に搬送ベルトにはみ出たインクをクリーニングによってふきとる発明もなされている(特許文献3)。
【0004】
【特許文献1】特開2000−211762号公報
【特許文献2】特開2004−262147号公報
【特許文献3】特許第380604号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献2のように、記録部に対して記録媒体搬送方向上流側および下流側それぞれに搬送ベルト装置を配置した構成では、上流側下流側それぞれの搬送手段の搬送量バランスが崩れやすく、搬送性能に問題を生じる場合がある。つまり、上流側下流側それぞれの搬送手段の搬送量に差がある場合、記録媒体に過剰な引っ張り力が掛かったり、逆にたるみが生じたりすることが有る。このように記録媒体の搬送状態が安定しないことで、記録結果に不具合が生じることがあった。そこで、これらの問題を回避するために、装置製造工程での厳密な合わせ込みや部品レベルでの高精度化などが一般的に取られる。しかしその結果、インクジェット記録装置が大型化したりコスト高になることがある。
【0006】
よって本発明は、記録装置が大型化したりコスト高になることなく、安定的に記録媒体を搬送することで記録結果における不具合の発生を抑制することが可能なインクジェット記録装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そのため本発明のインクジェット記録装置は、記録媒体に液滴を吐出することで記録を行う記録手段と、回転することで前記記録媒体を搬送する複数の搬送手段と、を備えたインクジェット記録装置において、前記複数の搬送手段の第1の搬送手段の回転周期と、前記複数の搬送手段の第2の搬送手段の回転周期とは、1:N(整数)の関係にあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、第1の搬送手段の回転周期と、第2の搬送手段の回転周期とを、1:N(整数)の関係にする。これによって、記録装置が大型化したりコスト高になることなく、安定的に記録媒体を搬送することで記録結果における不具合の発生を抑制することが可能なインクジェット記録装置を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
(第1の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、本実施形態を適用可能なインクジェット記録装置(以下、単に記録装置ともいう)の要部を模式的に示した正面図である。記録ヘッド1はキャリッジ2に搭載されており、インクを例えば液滴として吐出するための記録素子を複数備えた記録ヘッド部と、各記録素子にインクを補充するためのインクタンク部とを備えている。更に記録ヘッド1には、記録ヘッド1を駆動する信号などを授受するコネクタが設けられており、キャリッジ2には、そのコネクタを介して記録ヘッド1に駆動信号等を伝達するためのコネクタホルダが設けられている。
【0010】
ガイドシャフト3は、記録装置本体に設けられており、キャリッジ2はガイドシャフト3に案内支持されていることで、ガイドシャフト3が延在する方向に沿って、矢印X方向(主走査方向)に往復移動が可能になっている。キャリッジ2の移動は、モータプーリ5、従動プーリ6およびタイミングベルト7等の駆動機構を介することにより、主走査モータ4によって行われつつ、その位置および移動量が厳密に制御されている。
【0011】
更にキャリッジ2には、ホームポジションセンサ22が設けられている。ホームポジションセンサ22がホームポジションの遮蔽板26上を通過することにより、キャリッジ2がホームポジションの位置にあることを検出することができる。記録媒体8は、記録が行われる前にオートシートフィーダ21上に積載されている。記録が開始されると、給紙モータ19が駆動され、この駆動力がギアを介してピックアップローラ20に伝達され、ピックアップローラ20が回転し、記録媒体8はオートシートフィーダ21から一枚ずつ分離されて記録装置内に給紙される。図示していないが、記録装置には記録媒体8の有無を確認可能なペーパセンサ等を搭載することも可能である。その場合、記録媒体8の給紙を行った際、ペーパセンサが記録媒体8を検出することにより、給紙が正常に行われたかの判定が出来る。
【0012】
給紙された記録媒体8は、搬送ローラ9の回転力により駆動されている搬送ベルト25によって搬送される。ここで搬送ローラ9は搬送モータ18により発生する回転力がギヤで伝達されることで回転している。また、搬送ベルト部材26により搬送ローラ9と従動ローラ10はつながれており、搬送ローラ9が回転することで従動ローラ10も同じ移動量だけ回転する。搬送ローラ9は搬送ベルト25を所定の速度で矢印Y方向(副走査方向)へ搬送し、記録ヘッド1の複数の吐出口が備えられた吐出口面と対向する位置、つまりプラテン16の位置に記録媒体8を到達させる。また、搬送ローラ9の回転量と回転速度は、搬送ローラ9にとりつけられたコードホイール24に刻まれたスリットを不図示の回転角センサが位置を確認することで検知され、それらの情報が搬送モータ18の制御用ドライバにフィードバックされて制御される。
【0013】
搬送ベルト25は筒状になっており、搬送ローラ9と従動ローラ10の2本のローラに巻きつく構成となっている。従動ローラ10は不図示のバネ部材により上流方向へ付勢支持され、搬送ベルト25の張りを一定に保っている。また、搬送ベルト材25、記録媒体8に対する帯電機構と除電機構を設けることで両者の摩擦力を上げる構成がとられることもある。キャリッジ2に搭載された記録ヘッド1は、その吐出口面がキャリッジ2から下方へ突出しており、前述したプラテン16と平行になるように保持されている。記録媒体8が搬送ベルト25と排紙ローラ11の間を搬送される時には、吐出口面において平坦な記録面を形成するように、記録媒体8はプラテン16により平滑に支持される。記録媒体8が吐出口面の下部を通過する際、記録ヘッド1は、記録媒体8に対し所定の画像信号に従ってインクを吐出する。
【0014】
拍車ローラ12は、記録媒体8の保持力を高めるための補助ローラであり排紙ローラ11に当接している。プラテン16上にはインク吸収体(不図示)が備えられている。更に、本実施形態の特徴的な構成である連結ベルト17により、搬送モータ18により発生する回転力がギヤにより搬送ローラ9を回転させていると同時に、排紙ローラ11も同じ移動量になるように連動されている。
【0015】
本実施形態の記録ヘッド1は、熱エネルギを利用してインクを吐出するインクジェット方式の記録ヘッドであって、熱エネルギを発生するための電気熱変換体を複数備えたものである。詳しくは、電気熱変換体に印加されるパルス信号によって熱エネルギを発生し、この熱エネルギによってインク液内部に膜沸騰を起こさせ、更に膜沸騰の発泡圧力を利用して、吐出口よりインクを吐出して記録を行うものである。また、本実施形態では静電気力により、記録媒体8を搬送ベルト25に吸着させる。しかし吸着させる構成はこれに限定するものではなく、空気を吸引することによる吸引力などを用いた構成でも良い。
【0016】
図2は、本実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を説明するためのブロック図である。図において、CPU700は後述する各部の制御およびデータ処理を実行する。CPU700は、ROM702に格納されるプログラムに従い、メインバスライン705を介して、記録ヘッド駆動制御、キャリッジ駆動制御およびデータ処理などを実行する。RAM701は、CPU700によるデータ処理等のワークエリアとして用いられる。CPU700には、ROM702およびRAM701以外にハードディスク等のメモリも備えられている。
【0017】
画像入力部703は、外部に接続される不図示のホスト装置とのインターフェイスを有し、ホスト装置から入力された画像を一時的に保持する。画像信号処理部704は、色変換処理、2値化処理等のデータ処理を実行する。操作部706は、キー等を備え、オペレータによる制御入力等を可能にする。回復系制御回路707は、RAM701に格納される回復処理プログラムに従って回復動作を制御する。すなわち、回復系モータ708を駆動することによって、クリーニングブレード709、キャップ710、吸引ポンプ711などを、記録ヘッド1に対して動作させる。
【0018】
記録ヘッド駆動制御回路715は、記録ヘッド1の個々の記録素子(ノズル)に備わった電気熱変換体の駆動を制御し、予備吐出や記録のためのインク吐出を記録ヘッド1に実行させる。さらに、キャリッジ駆動制御回路716および紙送り制御回路717も、プログラムに従って、キャリッジ2の移動および紙送りを制御する。
【0019】
記録ヘッド1の電気熱変換体が設けられている基板には、保温ヒータが設けられており、記録ヘッド内のインク温度を所望の設定温度に加熱調整することができる。また、サーミスタ712は、同様に上記基板に設けられており、実質的な記録ヘッド内部のインク温度を測定する。但し、サーミスタ712は、記録ヘッド1の周囲近傍であれば、基板以外の外部に設けられていても良い。
【0020】
図3は、本実施形態に適用する記録ヘッド1の吐出口(ノズル)の配列構成を説明するための図である。図において、801はブラックインク用のノズル列、802はシアンインク用のノズル列、803はマゼンタインク用のノズル列、804はイエローインク用のノズル列である。また、4色のノズル列は、それぞれEvenノズル列とOddノズル列によって構成されており、ブラックインクにおいては、801aおよび801bがこれに相当する。以下、ブラックインクのノズル列801を例に、吐出口の配列構成を詳細に説明する。
【0021】
Oddノズル列801aおよびEvenノズル列801bには、600dpiのピッチで256個の吐出口が配列されており、Oddノズル列801aおよびEvenノズル列801bは、Y方向(副走査方向)に1200dpiずれて配置されている。すなわち、記録ヘッドがX方向(主走査方向)に走査しながらインクを吐出することにより、副走査方向には1200dpiの解像度で、約10.84mm幅の画像を記録することが出来る。他色のノズル列も、ブラックのノズル列801と同様な構成を備えており、これら4色は図に示すように主走査方向に並列されている。
【0022】
本実施形態において、搬送ベルト25の1回転は、排紙ローラ11の1回転の整数倍になっている。また、搬送ベルト25と排紙ローラ11は搬送モータ18を同一の駆動源として、連結ベルト17で連結され、連動して記録媒体8を搬送する構成となっている。
【0023】
図4は、搬送ベルト25と連結ベルト17および排紙ローラ11に着目した本実施形態の記録装置の搬送構成を模式的に示した図である。給紙されてきた記録媒体8は、搬送モータ18の駆動力により、まず搬送ベルト25に吸着された状態で搬送される。記録媒体8は記録ヘッド1とプラテン16が対向する記録領域に突入して、記録媒体8の先端から記録が開始される。記録が行われながら記録媒体8は、副走査方向に徐々に移動して排紙ローラ11に当接する。排紙ローラ11は、搬送ローラ9と連結ベルト17を介して接続されており全く同じ速度で回転するので、記録媒体8が排紙ローラ11に当接する前後での排紙ローラ11と搬送ローラ9の搬送量は基本的には同じになっている。記録の後半で、記録媒体8が後端部に差し掛かり、搬送ベルト25から外れる場合、既に記録媒体8は、排紙ローラ11に当接しており搬送力は排紙ローラ11および搬送ローラ9から伝達されている。つまり、記録媒体8が搬送ローラ9から外れても搬送量は変わらないことになる。
【0024】
給紙側が搬送ベルトによる搬送ではなく、搬送ローラとピンチローラ等により記録媒体を狭持して搬送する構成の場合、搬送ローラとピンチローラから記録媒体が抜ける瞬間に、それまで記録媒体を狭持していた当接力が記録媒体を搬送方向へ押し出すことがある。この押し出しが記録媒体の搬送制御上の突発的なずれになってしまい、記録弊害を誘発することがある。しかし本実施形態の記録装置は、搬送ローラとピンチローラ等により記録媒体を狭持して搬送する構成ではない。そのため、記録媒体を押し出すような力が掛かることは無く、排紙ローラによる駆動力が加わっている状態で、搬送ベルトから離れるので、前述のような突発的なずれが生じることは無い。
【0025】
更に、搬送制御上、より高精度に搬送を行う場合には、搬送ベルトから記録媒体が離れると予測される付近で、搬送ローラに吸着している静電気力もしくは吸引力を徐々に低下させて、搬送中の記録媒体が搬送ベルトから離れ易くすることも可能である。
【0026】
本実施形態の特徴的な構成として、図4において、連続的に回転する搬送ベルト(第1の搬送手段)25の回転周期と連続的に回転する排紙ローラ(第2の搬送手段)11の回転周期とは、整数倍になるように構成されている。具体的には、排紙ローラ11の外周長に対して、搬送ベルト25の排紙ローラ11と接する内周長が5倍の長さになっている。搬送ベルト25が1回転して記録媒体の搬送を行った場合、排紙ローラ11が5回転する。記録媒体の搬送の高精度化においては、記録領域の上流側と下流側において、搬送手段の周期が整数倍になっていることは非常に重要である。その理由を以下に説明する。
【0027】
記録媒体を搬送する際に、部品レベルでの搬送誤差は避けられないものであり、高精度な搬送を求めるほど、その誤差による影響度は大きくなる。このような搬送誤差は、搬送手段を構成する各部品の加工誤差や組立て誤差から生じるものであり、例えば、排紙ローラ11の加工誤差等によって、記録媒体の搬送量が所定量よりも多くなるあるいは少なくなる。これは、搬送ベルトにも同様なことが言える。
【0028】
このように記録媒体の搬送量が所定量に対してずれた場合には、そのずれた量を補正することが必要になる。上記のような部品の誤差によって発生する記録媒体の搬送量のずれは、その部品毎にずれ量が決まっているので各部品毎にずれ量を補正すればよい。具体的には、排紙ローラ11が1回転することで生じる搬送誤差を認識して、排紙ローラが1回転する毎にその搬送誤差分を補正することができる。他の部品(搬送ベルト等)に関しても同様に補正を行うことができる。
【0029】
しかしながら、これら各部品の回転における周期がそれぞれ異なる場合、補正を行うタイミングは部品毎に異なり、さらに補正量も部品毎に異なるためその補正を随時行うことは容易ではない。
【0030】
そこで本実施形態では、記録領域の上流側の搬送ベルト25の周期に対して、下流側の排紙ローラ11の周期を整数(N)倍にすることで、搬送ベルト25の搬送誤差と排紙ローラ11の搬送誤差の補正を同時に行うことができるようにしている。つまり、搬送ベルト25が1回転する間に生じる搬送誤差量と、排紙ローラ11が5回転する間に生じる搬送誤差量とを合わせて、搬送ベルト25が1回転する毎に1回、搬送量の補正を行う。本実施形態では、搬送ベルト25の周期に対して排紙ローラ11の周期を5倍としたが、この倍率は整数で、より少ない方が補正する搬送誤差を小さくすることができるため好ましい。
【0031】
このように、回転する搬送ベルト25の周期に対して回転する排紙ローラの周期が整数倍(1:N)になるように構成する。これによって、記録装置が大型化したりコスト高になることなく、安定的に記録媒体を搬送することで記録結果における不具合の発生を抑制することが可能なインクジェット記録装置を実現することができた。
【0032】
なお、本実施形態では、搬送ベルト25と排紙ローラとの周期が1:Nの関係になるようにしたが、この部品に限定するものではなく、他の部品で回転しながら記録媒体の搬送を担うものの周期であってもよい。
【0033】
(第2の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第2の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0034】
図5は、本実施形態の記録装置の搬送構成を模式的に示した図である。本実施形態の搬送構成では、搬送ベルト25の周長と、搬送ベルト25の回転動作を配しローラ11に伝える連結ベルト37の周長と、を同じ長さにしている。
【0035】
搬送ベルト25えは搬送性能を決める機能部品であり、比較的高価な部品が用いられる場合が多い。しかし、連結ベルトは、駆動を連動させるための補助部材であるため、比較的安価な部材が用いられ、1周長の中で、強度のバラツキなどにより、伸縮度が異なる部分があることがある。このように、連結ベルト37に伸縮があると、搬送ベルト25による記録媒体の搬送量と排紙ローラ11の搬送量とにずれが生じる場合がある。
【0036】
そこで、搬送ベルト25の周長と連結ベルト37の周長とを同じ長さにして、回転する搬送ベルト25の周期と連結ベルト37の周期とを同じにする。そして、搬送ベルト25が1回転する間に生じる搬送誤差量と、連結ベルト37が1回転する間に生じる搬送誤差量とを合わせて、搬送ベルト25が1回転する毎に1回、搬送量の補正を行う。
【0037】
このように、搬送ベルト25の周長と連結ベルト37の周長とを同じ長さにして、回転する搬送ベルト25と連結ベルト37との周期を同じ(1:1)にする。これによって、記録装置が大型化したりコスト高になることなく、安定的に記録媒体を搬送することで記録結果における不具合の発生を抑制することが可能なインクジェット記録装置を実現することができた。
【0038】
(第3の実施形態)
以下、図面を参照して本発明の第3の実施形態を説明する。なお、本実施形態の基本的な構成は第1および第2の実施形態と同様であるため、以下では特徴的な構成についてのみ説明する。
【0039】
図6は、本実施形態の記録装置の搬送構成を模式的に示した図である。本実施形態の搬送構成では、搬送ベルト25の周長と排紙ローラ31の周長とを同じ長さにしている。これによって、回転する排紙ローラ31の周期と搬送ベルト25の周期とが等しくなり、排紙ローラ31が1回転すると搬送ベルト25も1回転することになる。そこで、搬送ベルト25が1回転する間に生じる搬送誤差量と、排紙ローラ31が1回転する間に生じる搬送誤差量とを合わせた搬送量で、搬送ベルト25および排紙ローラ31が1回転する毎に1回、搬送量の補正を行う。
【0040】
このように、搬送ベルト25の周長と排紙ローラ31の周長とを同じ長さにして、回転する搬送ベルト25の周期と排紙ローラ31の周期とを同じ(1:1)にする。これによって、記録装置が大型化したりコスト高になることなく、安定的に記録媒体を搬送することで記録結果における不具合の発生を抑制することが可能なインクジェット記録装置を実現することができた。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】第1の実施形態を適用可能なインクジェット記録装置の要部を模式的に示した正面図である。
【図2】第1の実施形態に係るインクジェット記録装置の制御構成を説明するためのブロック図である。
【図3】第1の実施形態に適用する記録ヘッドの吐出口の配列構成を説明するための図である。
【図4】搬送ベルトと連結ベルトおよび排紙ローラに着目した第1の実施形態の記録装置の搬送構成を模式的に示した図である。
【図5】第2の実施形態の記録装置の搬送構成を模式的に示した図である。
【図6】第3の実施形態の記録装置の搬送構成を模式的に示した図である。
【符号の説明】
【0042】
1 記録ヘッド
2 キャリッジ
3 ガイドシャフト
8 記録媒体
9 搬送ローラ
11 排紙ローラ
12 拍車ローラ
16 プラテン
17 連結ベルト
22 ホームポジションセンサ
25 搬送ベルト
26 遮蔽板
31 排紙ローラ
37 連結ベルト
700 CPU
712 サーミスタ
717 紙送り制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録媒体に液滴を吐出することで記録を行う記録手段と、
回転することで前記記録媒体を搬送する複数の搬送手段と、
を備えたインクジェット記録装置において、
前記複数の搬送手段の第1の搬送手段の回転周期と、前記複数の搬送手段の第2の搬送手段の回転周期とは、1:N(整数)の関係にあることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項2】
前記第1の搬送手段は、前記第2の搬送手段における搬送量を補正する補正手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記第1の搬送手段と、前記第2の搬送手段とは、前記記録手段によって記録が行われる記録領域を挟んで設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1の搬送手段はベルトによる搬送手段であり、前記第2の搬送手段はローラによる搬送手段であることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記第1の搬送手段の回転周期と、前記第2の搬送手段の回転周期は、1:1であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記第1の搬送手段の回転動作を前記第2の搬送手段に伝える連結ベルトの周長は、前記第1の搬送手段の前記ベルトの周長と同じであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記第1の搬送手段の前記ベルトの周長と、前記第2の搬送手段の前記ローラの周長とは同じ長さであることを特徴とする請求項4に記載のインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−132445(P2010−132445A)
【公開日】平成22年6月17日(2010.6.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−312374(P2008−312374)
【出願日】平成20年12月8日(2008.12.8)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】