説明

インクジェット記録装置

【課題】記録媒体の始端、終端、更には両方を余白無く印刷する場合に、記録媒体が打ち捨てられたインクで汚損される虞がなく、更に記録媒体の印刷持の位置をしっかりと規制して印刷品質を低下させないインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】副走査方向に多数のノズルが配列されたノズルアレイ2を有する記録ヘッド1と、記録ヘッドに対向して設けられ記録媒体の印刷時の位置を規制するプラテン3と、紙送りローラ8と、排紙ローラ9とを備え、前記プラテンは、前記ノズルアレイの副走査方向の下流側部分と対向する部分のプラテン面に第1穴11が設けられ、記録媒体の始端7を余白無く印刷する際に該始端から外れて打ち捨てられたインク12を該第1穴に導くように形成されている。記録用紙の終端14に対しては第2穴13が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット式記録装置に係り、特に被記録材の始端及び終端の少なくとも1つ以上の余白をゼロにする記録を実行する機能を備えたインクジェット式記録装置及び該記録装置による記録方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
インクジェット式記録装置のプラテン構造の従来例を説明する。インクジェット式の記録ヘッドは、副走査方向に多数のドット形成要素(以下では、ノズルと言う)が配列されて成るドット形成要素アレイ(以下では、ノズルアレイと言う)を有する。記録ヘッドに対向してプラテンが設けられている。該プラテンは、記録用紙の記録時の位置を規定する役割をする。プラテンのプラテン面には複数のリブが、主走査方向に所定間隔をもって配列されている。記録用紙は該リブの平坦な頂面に支えられて、記録ヘッドに対する位置が規定される。
【0003】
インクジェット記録装置による通常の記録では、記録用紙の始端及び終端を含む周囲に余白を設けて記録が行われるが、記録用紙の始端から余白無く記録する場合もある。この余白無し記録をする場合、従来のプラテン構造では、記録用紙の始端から外れて打ち捨てられたインクがプラテン面に付着するため、そのインクが記録用紙に再付着して該記録用紙を汚損する問題が生じる。
【0004】
そこで、記録ヘッドのノズルアレイと対向する全範囲にわたってプラテン面に大穴を設け、前記打ち捨てられたインクが大穴内に受けられて、プラテン面に付着しないようにしたものが提案されている(例えば特許文献1及び2)。しかし、この大穴を設けると、被記録材送りローラである紙送りローラで送られてきた記録用紙の先端が大穴の壁に当たりやすくなり、この部分でいわゆる紙ジャムを発生しやすくなる問題がある。また、この大穴があるとノズルアレイに対向した位置にて記録用紙の位置をしっかりと支えて規定しにくいので、記録ヘッドと記録用紙の距離が定まらず、記録品質が低下する問題がある。
【0005】
上記各問題点は、当該インクジェット記録装置により記録用紙の終端を余白無く記録しようとする場合にも生じる。この終端の問題点は、基本的に前記した記録用紙始端の場合と同様なので、その説明は省略する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2000−118058号公報
【特許文献2】特開平7−9712号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、被記録材の始端、または終端、更にはその両方を余白無く記録する場合に、被記録材が打ち捨てられたインクで汚損される虞がなく、更に被記録材の記録時の位置をしっかりと支えて規定し、記録品質を低下させないインクジェット記録装置および該記録装置による記録方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を達成するため、本発明の第1の態様は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、該記録ヘッドを主走査方向に走査しつつ、該記録ヘッドと対向した被記録材に記録するときに、被記録材の位置を規定するプラテンと、該記録ヘッドの上流側に配設された被記録材送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設された排出ローラとを備え、前記プラテンは、前記ドット形成要素アレイの副走査方向の下流側部分であって中央部まで至らない範囲と対向するプラテン面の当該対向部分に局在して第1穴が設けられ、被記録材の始端を余白無く記録する際に該始端から外れて打ち捨てられたインクを該第1穴に導くように形成されているインクジェット記録装置である。
すなわち、当該プラテンは、第1穴がドット形成要素アレイの分布範囲の端部近傍に開口部が対峙するように形成されている。
【0009】
本発明においては、前記第1穴がプラテン面の全体ではなく、被記録材の始端を余白無く記録する際における当該被記録材の始端に対応する位置に局在して形成されている。すなわち、プラテン面の記録ヘッドと対向する部位には被記録材の位置を規定するための位置規定機能部が残されているため、被記録材の始端を余白無く記録する際に、該始端から外れて打ち捨てられたインクは第1穴に導かれ、それでいて被記録材はしっかりと記録ヘッドに対する位置が支えられて規定される。従って、被記録材の始端を余白無く記録する場合に、被記録材が打ち捨てられたインクで汚損される虞がなく、更に被記録材の記録時の位置がしっかりと支えられて規定され記録品質を低下させない。
【0010】
また、本発明の第2の態様は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、該記録ヘッドを主走査方向に走査しつつ、該記録ヘッドと対向した被記録材に記録するときに、被記録材の位置を規定するプラテンと、該記録ヘッドの上流側に配設された被記録材送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設された排出ローラとを備え、前記プラテンは、前記ドット形成要素アレイの副走査方向の上流側部分であって中央部まで至らない範囲と対向するプラテン面の当該対向部分に局在して第2穴が設けられ、被記録材の終端を余白無く記録する際に該終端から外れて打ち捨てられたインクを該第2穴に導くように形成されているインクジェット記録装置である。
すなわち、当該プラテンは、第2穴がドット形成要素アレイの分布範囲の端部近傍に開口部が対峙するように形成されている。
【0011】
これによれば、前記第2穴がプラテン面の全体ではなく、被記録材の終端を余白無く記録する際における当該被記録材の終端に対応する位置に局在して形成されている。すなわち、プラテン面の記録ヘッドと対向する部位には被記録材の位置を規定するための位置規定機能部が残されているため、被記録材の終端を余白無く記録する際に、該終端から外れて打ち捨てられたインクは第2穴に導かれ、それでいて被記録材はしっかりと記録ヘッドに対する位置が規定される。従って、被記録材の終端を余白無く記録する場合に、被記録材が打ち捨てられたインクで汚損される虞がなく、更に被記録材の記録時の位置がしっかりと支えられて規定され記録品質を低下させない。
【0012】
また本発明の第3の態様は、上記第1穴を有するインクジェット記録装置において、前記プラテンは、更に請求項2に記載された第2穴を備えていることを特徴とする。
これにより、被記録材の始端と終端の両方について余白無し記録する場合に、被記録材が打ち捨てられたインクで汚損される虞がなく、更に被記録材の記録時の位置がしっかりと規定され記録品質を低下させない。
【0013】
また本発明の第4の態様は、上記第1穴および第2穴を有するインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、前記ドット形成要素アレイを駆動するドット駆動制御部によって、ドット形成要素アレイの全ドット形成要素を駆動させて記録する標準インターレース記録と、一部のドット形成要素に限定して駆動させて記録する限定インターレース記録とを切り換えて実行可能に構成されていると共に、被記録材の始端が前記第1穴部分に位置するとき、及び被記録材の終端が前記第2穴部分に位置するときに、前記限定インターレース記録が実行される。
【0014】
本発明によれば、記録用紙の始端や終端を余白無く記録するときは、前記限定インターレース記録を実行することで、打ち捨てられるインクの量、及びそれに対応して打ち捨てられることになる画像データを減らせると共に、この部分におけるコックリングの程度を小さくできる。そして、被記録材の始端や終端以外の部分はインターレース記録を実行することで、高画質の記録をスループットを低下することなく実行することができる。
【0015】
また本発明の第5の態様は、上記第1穴および第2穴を有するインクジェット記録装置において、プラテン面には、前記ドット形成要素アレイと対向する範囲内に前記被記録材をその下から接触して支える平坦な頂面が位置している。これにより、記録ヘッドに対する被記録材の位置を安定させてしっかりと規定することができる。
【0016】
また本発明の第6の態様は、上記第1穴および第2穴を有するインクジェット記録装置において、プラテン面には、前記ドット形成要素アレイと対向する範囲外の下流側に前記被記録材をその下から接触して支える平坦な頂面が位置している。これにより、全ノズルを使用しての記録中に誤って、前記ドット形成要素アレイと対向する位置のプラテン面にインクが付着しても、記録中の被記録材が排出されるまで、該媒体が汚れることはない。また、被記録材送りローラから前記平坦な頂面までの距離を遠く設定できるので、被記録材搬送負荷を軽くでき、特に厚い用紙の搬送性を向上できる。
【0017】
また本発明の第7の態様は、上記第1穴および第2穴を有するインクジェット記録装置において、前記穴内にインク吸収材が設けられている。このインク吸収材により、打ち捨てられたインクを漏洩させずに安定して貯溜して置くことができ、また、その取り出し交換作業も容易である。
【0018】
また本発明の第8の態様は、上記第1穴および第2穴を有するインクジェット記録装置において、前記穴の開口部に撥水性の網体が被設され、該網体と接触するインク吸収体が前記穴内に設けられている。
【0019】
本構成によれば、前記網体により穴の開口部が覆われているため、記録用紙の搬送においては、前記穴が無いのとほとんど同様の状態になり、しっかりと位置規定することができる。更に、前記打ち捨てられたインクが該網体に当たって付着するが、撥水性であるため、付着したインクは直ぐに吸収体に吸収され、被記録材との接触面には付着インクが殆ど存在しないようになる。従って、被記録材の位置をしっかりと規定しつつ、前記インク再付着の虞がほとんどない。
【0020】
また本発明の第9の態様は、上記第1穴および第2穴を有するインクジェット記録装置において、前記穴の開口部に開閉可能な蓋体が設けられ、該蓋体は、被記録材の始端または終端を余白無く記録する際に開蓋され、前記余白無し記録以外の記録のときは閉じられている。
【0021】
本構成によれば、プラテン面の前記穴は、前記蓋体により、被記録材の始端または終端を余白無く記録する際に開かれ、前記余白無し記録以外のときは閉じられている。すなわち、被記録材の始端または終端を余白無く記録するときだけ必要となる前記穴を開口させ、必要でないときは閉じられているので、機能的に無駄がない。
【0022】
また本発明の第10の態様は、上記蓋体を有するインクジェット記録装置において、前記蓋体は、前記穴の開口部より下方に回動支点を有し、該回動支点を中心に回動して開閉駆動される。本構成によれば、記録用紙の搬送経路上に当該蓋体を開閉させる機構を存在させなくすることができるので、新たな部材を設けることによって紙ジャム発生の虞が増すことを防止できる。
【0023】
また、本発明の第11の態様は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、該記録ヘッドを主走査方向に走査しつつ、該記録ヘッドと対向した被記録材に記録するときに、被記録材の位置を規定するプラテンと、該記録ヘッドの上流側に配設された被記録材送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設された排出ローラとを備えたインクジェット記録装置により被記録材の副走査方向端部を余白無く記録する記録方法であって、被記録材の端部が前記ドット形成要素アレイの副走査方向の範囲内に位置する状態でインクを噴射し、そのインクの一部をプラテン面の前記ドット形成要素アレイの余白無し記録をする際に使用される部分に対向する部位に局在して設けられた穴に打ち捨てることにより、該被記録材の端部に余白無く記録する。
【0024】
この記録方法によれば、被記録材の始端を余白無く記録する場合に、スループットを低下させることなく、被記録材が打ち捨てられたインクで汚損される虞もなく、更に被記録材の記録時の位置がしっかりと支えられて規定され記録品質を低下させない。
【0025】
また、本発明の第12の態様は、上記インクジェット記録装置による記録方法において、前記記録ヘッドは、被記録材の端部を余白無く記録するときは、全ドット形成要素の端部寄りの一部を駆動させて記録するインターレース記録を実行し、それ以外の記録領域を記録するときは全ドット形成要素を駆動させて記録するインターレース記録を実行する。本構成によれば、第4の態様に記載された発明と同様の効果が得られる。
【0026】
また、本発明の第13の態様は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを有する記録ヘッドと、該記録ヘッドを主走査方向に走査しつつ、該記録ヘッドと対向した被記録材に記録するときに、その位置を規定するプラテンと、該記録ヘッドの上流側に配設された被記録材送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設された排出ローラとを備えたインクジェット式記録装置であって、前記プラテンは、前記ドット形成要素アレイと対向する部分のプラテン面に前記被記録材をその下から接触して支える平坦な頂面が設けられ、該頂面の被記録材搬送方向におけるほぼ中央部に中央穴が設けられ、被記録材の始端及び/又は終端を余白無く記録する際に該始端又は終端から外れて打ち捨てられたインクを該中央穴に導くように形成されている。
【0027】
本構成により、前記平坦な頂面により、被記録材を安定良く支えつつ、前記中央穴1つで被記録材の始端及び/又は終端に余白無し記録を実行することができる。
【0028】
また、本発明の第14の態様は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列されたドット形成要素アレイを、複数の色用にそれぞれ有すると共に、各色に対応する複数のドット形成要素アレイが副走査方向に順次配列されて成る記録ヘッドと、該記録ヘッドを主走査方向に走査しつつ、該記録ヘッドと対向した被記録材に記録するときに、その位置を規定するプラテンと、該記録ヘッドの上流側に配設された被記録材送りローラと、前記記録ヘッドの下流側に配設された排出ローラとを備えたインクジェット式記録装置であって、前記プラテンは、各色に対応する前記複数の各ドット形成要素アレイのそれぞれに対して、副走査方向の下流側部分と対向する部分のプラテン面に第1穴が設けられると共に、副走査方向の上流側部分と対向する部分のプラテン面に第2穴が設けられ、各色に対応する前記複数の各ドット形成要素アレイのそれぞれに対して、被記録材の始端を余白無く記録する際に該始端から外れて打ち捨てられたインクを前記第1穴に導き、被記録材の終端を余白無く記録する際に該終端から外れて打ち捨てられたインクを前記第2穴に導くように形成されている。
【0029】
本構成によれば、複数のカラーノズルを縦配列して並べたような場合でも、各カラーの各ドット形成要素アレイ毎に前記第1穴及び第2穴が設けられているので、カラーノズルを横配列した記録ヘッドと変わらずに、被記録材の始端及び終端について、余白無し記録を実行することができる。
【0030】
また、本発明の第15の態様は、第13の態様に係るインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、前記ドット形成要素アレイを駆動するドット駆動制御部によって、ドット形成要素アレイの全ドット形成要素を駆動させて記録する標準インターレース記録と、一部のドット形成要素に限定して駆動させて記録する限定インターレース記録とを切り換えて実行可能に構成されていると共に、被記録材の始端及び終端が前記中央穴部分に位置するときに、前記限定インターレース記録が実行される。
【0031】
本構成によれば、記録用紙の上下に余白無く記録するときに、前記限定インターレース記録を実行することで、打ち捨てられるインクの量、及びそれに対応して打ち捨てられることになる画像データを減らせると共に、この部分におけるコックリングの程度を小さくできる。そして、被記録材の始端や終端以外の部分はインターレース記録を実行することで、高画質の記録をスループットを低下することなく実行することができる。
【0032】
また、本発明の第16の態様は、第14の態様に係るインクジェット記録装置において、前記記録ヘッドは、前記ドット形成要素アレイを駆動するドット駆動制御部によって、ドット形成要素アレイの全ドット形成要素を駆動させて記録する標準インターレース記録と、一部のドット形成要素に限定して駆動させて記録する限定インターレース記録とを切り換えて実行可能に構成されていると共に、被記録材の始端が、各色に対応する前記複数の各ドット形成要素アレイに対応するそれぞれの前記第1穴部分に位置するとき、及び被記録材の終端がそれぞれの前記第2穴部分に位置するときに、前記限定インターレース記録が実行される。
【0033】
本構成によれば、複数のカラーノズルを縦配列して並べたような記録ヘッドに対しても、記録用紙の上下に余白無く記録するときに、前記限定インターレース記録を実行することで、打ち捨てられるインクの量、及びそれに対応して打ち捨てられることになる画像データを減らせると共に、この部分におけるコックリングの程度を小さくできる。そして、被記録材の始端や終端以外の部分はインターレース記録を実行することで、高画質の記録をスループットを低下することなく実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明に係る第1の実施の形態のインクジェット記録装置を示し、記録用紙の始端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図2】第1の実施の形態に係り、記録用紙終端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図3】本発明に係る第2の実施の形態のインクジェット記録装置を示し、記録用紙の始端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図4】第2の実施の形態に係り、記録用紙終端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図5】図1のインクジェット記録装置で記録用紙の始端を記録している状態の要部平面図。
【図6】図1のインクジェット記録装置で記録用紙の終端を記録している状態の要部平面図。
【図7】本発明に係るインクジェット記録装置のプラテンの他の実施の形態を示し、記録用紙の始端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図8】本願発明の更に他の実施の形態を示すもので、記録用紙の始端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図9】本願発明の更に他の実施の形態を示すもので、記録用紙の始端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図10】図9の実施の形態で、記録用紙の終端を余白無く記録している状態の要部断面図。
【図11】図11(A),図11(B),図11(C)及び図11(D)は、図1に示したインクジェット式記録装置によって記録用紙の始端に余白なしのインターレース記録を実行している状態を示す要部断面図。
【図12】図12(A),図12(B),図12(C)及び図12(D)は、図1に示したインクジェット式記録装置によって記録用紙の終端に余白なしのインターレース記録を実行している状態を示す要部断面図。
【図13】中央穴を有する実施の形態に係るインクジェット式記録装置で記録用紙の始端に記録をしている状態の概略の要部断面図。
【図14】図13のインクジェット式記録装置で記録用紙の始端に記録をしている状態の要部平面図。
【図15】中央穴を有する実施の形態に係るインクジェット式記録装置で記録用紙の終端に記録をしている状態の概略の要部断面図。
【図16】図15のインクジェット式記録装置で記録用紙の終端に記録をしている状態の要部平面図。
【図17】3色に対応する3つのドット形成要素アレイが副走査方向に並んだ実施の形態に係るインクジェット式記録装置の上流側のドット形成要素アレイで記録用紙の始端に記録をしている状態の概略の要部断面図。
【図18】図17の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙の始端に記録をしている状態の要部平面図。
【図19】3色に対応する3つのドット形成要素アレイが副走査方向に並んだ実施の形態に係るインクジェット式記録装置の中部に位置するドット形成要素アレイで記録用紙の始端に記録をしている状態の概略の要部断面図である。
【図20】図19の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙の始端に記録をしている状態の要部平面図。
【図21】3色に対応する3つのドット形成要素アレイが副走査方向に並んだ実施の形態に係るインクジェット式記録装置の下流側のドット形成要素アレイで記録用紙の始端に記録をしている状態の概略の要部断面図。
【図22】図21の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙の始端に記録をしている状態の要部平面図。
【図23】3色に対応する3つのドット形成要素アレイが副走査方向に並んだ実施の形態に係るインクジェット式記録装置の上流側のドット形成要素アレイで記録用紙の終端に記録をしている状態の概略の要部断面図。
【図24】図23の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙の終端に記録をしている状態の要部平面図。
【図25】3色に対応する3つのドット形成要素アレイが副走査方向に並んだ実施の形態に係るインクジェット式記録装置の中部に位置するドット形成要素アレイで記録用紙の終端に記録をしている状態の概略の要部断面図。
【図26】図25の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙の終端に記録をしている状態の要部平面図。
【図27】3色に対応する3つのドット形成要素アレイが副走査方向に並んだ実施の形態に係るインクジェット式記録装置の下流側のドット形成要素アレイで記録用紙の終端に記録をしている状態の概略の要部断面図。
【図28】図27の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙の終端に記録をしている状態の要部平面図。
【図29】本発明で用いる標準インターレース記録と限定インターレース記録によるドットの記録の様子を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本願発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る第1の実施の形態のインクジェット記録装置を示し、記録用紙の始端を余白無く記録している状態の要部断面図であり、図2は第1の実施の形態の記録用紙終端を余白無く記録している状態の要部断面図である。
【0036】
本実施の形態では、図1に示したように、プラテン3は、ノズルアレイ2の副走査方向の下流側部分と対向する部分のプラテン面に第1穴11が設けられている。この第1穴11は、記録用紙4の始端7を余白無く記録する際に、該始端7から外れて打ち捨てられたインク12を当該第1穴11で総て受ける役割を果たすもので、その役割が果たせるように紙幅方向に一連で長尺(後述する図5および図6参照)に、或いは、部分的に仕切られて設けられている。
【0037】
すなわち、本実施の形態では、第1穴11がプラテン面の全体ではなく、記録用紙4の始端7を余白無く記録する際における当該始端7に対応する位置に局在して形成されている。プラテン面の記録ヘッド1と対向する部位には記録用紙1の記録時の位置を規定するための位置規定機能部が残されている。すなわち、ノズルアレイ2と対向する範囲内にリブ5およびその平坦な頂面6が位置するように形成されている。従って、記録用紙4の始端7を余白無く記録する際に、該始端7から外れて打ち捨てられたインク12は第1穴11に導かれ、それでいて記録用紙4はリブ5の平坦な頂面6にしっかりと位置規定される。これにより、記録ヘッド1に対する記録用紙4の位置を安定させてしっかりと規定することができる。
【0038】
更に、本実施の形態では、ノズルアレイ2の副走査方向の上流側部分と対向する部分のプラテン面に第2穴13が設けられている。この第2穴13は、図2に示したように、記録用紙4の終端14を余白無く記録する際に該終端14から外れて打ち捨てられたインク12を該第2穴13に導くように形成されており、前記第1穴11と役割は共通する。図において、符号8は紙送りローラ、符号9は排紙ローラであり、いずれも公知のものである。
【0039】
なお、上記実施の形態では、第1穴11および第2穴13の両方を備えたプラテンを示したが、いずれか一方の穴だけを設けたものでもよく、その区分けは想定される記録の仕方に基づいて決められる。
【0040】
更に、前記ノズルアレイ2と対向する範囲内に前記リブ5の平坦な頂面6が位置しているものを示したが、図3および図4に示した如く、前記ノズルアレイ2と対向する範囲外の下流側に当該平坦な頂面6が位置している構造にしてもよい。この構造を採用すれは、全ノズルを使用しての記録中に誤って、前記ノズルアレイ2と対向する位置のプラテン面にインクが付着しても、記録中の記録用紙4が排出されるまで、該用紙4が汚れることはない。また、被記録材送りローラ8から前記平坦な頂面6までの距離を遠く設定できるので、記録用紙4の搬送負荷を軽くでき、特に厚い用紙の搬送性を向上できる。
【0041】
本実施の形態では、記録ヘッド1のノズルアレイ2を駆動するノズル駆動制御部23(図1にのみ示し、他の図では省略した)が、米国特許第5,844,585号明細書等に開示されている「インターレース記録」と、更に、特開平9−71009号公報や特開平11−291506号公報に開示されている、記録用紙の始端または終端の余白をできるだけ小さくする為に、全ノズルの内の一部だけを限定駆動して記録する「限定インターレース記録」とを切り換えて実行するように構成されている。すなわち、図1、図3及び図5に示したように、ノズルアレイ2の排紙方向側の一部18だけがノズル駆動制御部23によって駆動されて、記録用紙4の始端7側だけにインクが噴射されるようになっている。同様に記録用紙4の終端14側についても図2、図4及び図6に示したようにノズルアレイ2の一部19だけが駆動されるようになっている。
【0042】
ここで、図29に基づいて、前記記録ヘッド1は、前記ドット形成要素アレイを駆動するドット駆動制御部23によって、ドット形成要素アレイ2の全ドット形成要素を駆動させて記録する標準インターレース記録と、一部のドット形成要素に限定して駆動させて記録する限定インターレース記録とを切り換えて実行可能に構成されており、記録用紙4の始端7が前記第1穴11部分に位置するとき、及び記録用紙4の終端14が前記第2穴13部分に位置するときに、前記限定インターレース記録が実行されるように構成されていること説明する。
【0043】
図29は、各主走査時のノズルの副走査方向の位置を表した図である。図29の上下方向が副走査方向に相当する。図の頬雑さを避けるため、ノズル位置を主走査ごとに順次右にずらして示した。解りやすくするためにノズルアレイ2とインク打ち捨て用にプラテンに設けられる穴を併記した。図29において、P1,P2…は1回目、2回目…の主走査を意味している。丸囲みの数字は、各走査におけるノズルの副走査方向の位置を示している。また、太線で丸囲みしてある数字は、その位置でドットが形成されることを意味しており、細い線で丸囲みしてある数字はノズルが位置するものの、ドットは形成されないことを意味している。図29の左側に示した値は各ラスタに便宜上付したラスタ番号RNであり、後述する通り、この記録方法によって副走査における紙送り精度を保証しつつ画像が記録される最も下方のラスタをラスタ番号0(RN=0)とし、それよりも下方のラスタを正の数字で、上方のラスタを負の数字で表している。「L=」の形で表した数字は、各副走査における紙送り量をラスタ数で表したものである。
【0044】
標準印刷処理ルーチンが開始されると、ドット形成データを設定され、主走査を行いつつドットを形成する。図29の例では、ノズルピッチは4ラスタ分であるから、ドット形成用のデータは、先に入力した画像データの先頭から4ラスタおきに主走査方向に順にデータを抽出したものとなる。図29中の主走査P1では、ラスタ番号−28より上方の領域(RN≦−28なる領域)で、4ラスタおきにドットが形成される。
【0045】
次に、紙送りローラ8が駆動制御されて、副走査が行われる。図29の例では、7ラスタに相当する紙送りが実行され、記録ヘッド1の位置は図29中のP2まで移動する。この送り量は、インターレース方式によりラスタの抜けが生じることなく画像を記録することができる種々の送り量のうち、ノズルを最も有効に用いることができる送り量に設定してある。送り量はノズルピッチ、ノズル個数およびスキャン繰り返し数に応じて定めることができるが、その設定方法は周知であるため説明を省略する。
【0046】
副走査を行った後、主走査P2で示した位置、即ちラスタ番号−20より上方の領域にドットを形成する。この処理の繰り返しにより、ラスタを間欠的に形成しつつ、画像を記録することができる、例えば、図29から明らかな通り、主走査P4までが実行されると、ラスタ番号−34から−25の領域では画像が完成していることが分かる。以下、画像の形成が終了するまで、この処理を繰り返し実行して、画像を形成する。但し、本実施例では、後述する通り、標準印刷処理の後に、別の印刷モードによる印刷を実行するため、ここでいう画像の形成が終了とは、入力された画像データ全体の印刷の終了ではなく、標準印刷処理ルーチンによる画像の形成の終了を意味している。
【0047】
標準印刷処理による画像の形成が終了した後、中間処理による画像の印刷が実行される。中間処理におけるドット形成の流れ自体は、標準印刷処理ルーチンと同様である。中間処理では、副走査における紙送り量が標準印刷における紙送り量と相違する。
【0048】
中間処理においては、標準処理における7ラスタ相当の紙送り量とは異なり、まず4ラスタ相当の紙送りを実行し、ラスタを形成する(図29の主走査P5)。この4ラスタの意味については後述する。次に、3ラスタの紙送りを行いつつ、ラスタを形成する(図29の主走査P6〜P8)。この際、例えば主走査P7における1番ノズルのように、既に形成されたラスタ位置にノズルが重複して存在する場合もあるため、かかるノズルはドットの形成データをマスクし、ドットの形成が行われないようにされる。なお、図29の主走査P8の位置が、精度を保証しつつ紙送りをすることができる限界位置である。つまり、このとき用紙4の下端は、紙送りローラ8から外れる直前の状態にあることになる。
【0049】
中間処理における送り量の設定について説明する。本実施例の中間処理においては、4ラスタの過渡的な送り量に続いて3ラスタの一定の送り量による紙送りが行われている。この一定の送り量は、4ラスタ分のノズルピッチからなる3つのノズルが備えられている場合のインターレース方式の送り量に相当する。また、中間処理の最初に実行した4ラスタ分の過渡的な送りも、ラスタの抜けが生じないように設定されるものである。過渡的な送り量は、標準処理における送り量等のパラメータと中間処理における送り量等のパラメータ双方に基づいて定まるものでる。
【0050】
このように中間処理において使用ノズル数を見かけ上減らしたインターレース記録を実行するのは、かかる記録方式を採用することにより、紙送り精度を保証した状態で画像を記録することができる領域を拡張することができるからである。
【0051】
拡張印刷領域では各3ラスタの送りによる副走査を行いつつ、ドットを記録している。このように設定したとき、インターレース方式による記録をするための送り量はさらに減少し、3ラスタ分となる。
【0052】
このように設定した後、使用ノズルの設定が行われ、使用しないノズルについてはデータマスク処理を行う。データマスク処理とはドットが形成されないようにする処理をいう。
【0053】
次に、拡張印刷処理が実行される。中間処理では、副走査における紙送り量が標準印刷における紙送り量と相違する。先に説明した通り、拡張印刷処理においては、3ラスタ分の送り量によるインターレース方式でドットを形成する。このとき、ラスタ番号0よりも上方の領域(RN≦0なる領域)では既に画像が形成されているため、かかる領域に存在するノズルはドットを形成しない。
【0054】
以上で説明したように、標準印刷を行う領域においては、インターレース方式により高画質な画像を得ることができる。また、中間処理を採用することにより、紙送りの精度を保証しつつ画像を形成することができる領域を拡張することができる。このように拡張された領域においてもインターレース方式による画像の記録が行われているため、高画質な画像を得ることができる。画像を記録することができる領域は、されに拡張印刷を実行することにより下方に拡張することができる。
【0055】
図29に基づいて説明した全ノズル駆動の標準インターレース記録および使用ノズルを限定した拡張処理即ち限定インターレース記録は、特開平11−291506号公報に記載されている公知の手法である。標準インターレース記録と限定インターレース記録の実行により、記録用紙4の始端7に余白なし記録を行う工程を図11(A)乃至図11(D)に示した。第1穴11に用紙の始端7が至ってから、この始端部分についてはノズルアレイ2の一部18を用い、この一部18部分の各ノズルを用いて、図29で説明した手法によって、拡張印刷処理を実行し、各図に示したように少しのインクを第1穴11に打ち捨てつつ、始端余白なしの記録が行われる。
【0056】
標準インターレース記録と限定インターレース記録の実行により、記録用紙4の終端14に余白なし記録を行う工程を図12(A)乃至図12(D)に示した。基本的に始端7の余白なし記録と同様なので説明は省略する。
【0057】
以上、余白無し記録を、限定インターレース記録により実行する例を説明したが、このように記録用紙4の始端7や終端14を余白無く記録するときは、限定インターレース記録を実行することで、図1に例で言うと第1の穴11と第2の穴13に打ち捨てられるインク12の量を減らせると共に、この始端7や終端14部分におけるコックリングの程度を小さくすることができる。そして、記録用紙4の始端7や終端14以外の部分は、通常のインターレース記録を実行することで、スループットを低下することなく、高画質の記録を維持して記録を実行することができる。
【0058】
図1および図2に示した実施の形態によれば、記録用紙4の始端7及び終端14を余白無く記録する際に、該始端7及び終端14から外れて打ち捨てられたインク12は第1穴11及び第2穴13にそれぞれ導かれ、その際、記録用紙4はリブ5の平坦な頂面6によってしっかりと記録ヘッド1に対する位置が規定される。従って、記録用紙4の始端7及び終端13を余白無く記録する場合に、記録用紙4が打ち捨てられたインク12の再付着によって汚損される虞がなく、更に記録用紙4の記録持の位置がしっかりと規定され、高い記録品質を維持して記録することができる。
【0059】
図7は、本発明に係るインクジェット記録装置の他の実施の形態を示し、図1の実施の形態にインク吸収体が付加されたものである。すなわち、前記第1の穴11および第2穴13内の底部にインク吸収体15が設けられている。インク吸収体15としては、例えば合成樹脂製の連続発泡体や不織布等の繊維質の集合体が挙げられる。このインク吸収体15により、打ち捨てられたインク12を漏洩させずに安定して貯溜しておくことができ、また、その取り出し交換作業も容易に行える。
【0060】
また、図8は更に本願発明の他の実施の形態を示すもので、前記第1穴11および第2穴13の開口部に撥水性の網体16,17がそれぞれ被設されている。そして、この網体16,17と接触するようにしてインク吸収体15が第1穴11および第2穴13内に設けられている。本実施の形態によれば、前記網体16,17により第1穴11および第2穴13の開口部が覆われているため、記録用紙4の搬送に際しては、当該穴11,13が無いのとほとんど同様の状態になり、記録用紙4をしっかりと位置規定することができる。更に、打ち捨てられたインク12が該網体16,17に当たって付着するが、それが撥水性であるため、付着したインクは直ぐにインク吸収体15に吸収され、記録用紙4との接触面には、付着インクが殆ど存在しないようになる。従って、記録用紙4の位置をしっかりと規定しつつ、前記打ち捨てインク再付着の虞をほとんど無くすことができる。
【0061】
図9及び図10は、更に本願発明の他の実施の形態を示し、前記第1穴11及び第2穴13の開口部に開閉可能な蓋体20,21が設けられている。この蓋体20,21は、記録用紙4の始端7(図9)または終端(図10)を余白無く記録する際に開蓋され、前記余白無し記録以外の記録のときは閉じられている。この開閉駆動は図示しない制御部によって行われる。更に本実施の形態では、蓋体20,21は、前記第1穴11および第2穴13の開口部より下方に回動支点22を有し、該回動支点22を中心に回動して図示しない駆動制御部によって開閉駆動されるようになっている。
【0062】
本実施の形態によれば、プラテン面の第1穴11および第2穴13は、蓋体20,21により、記録用紙4の始端7または終端14を余白無く記録する際に開かれ、前記余白無し記録以外のときは閉じられるので、機能的に無駄がない。更に、回動支点22を前記穴20,21の開口部より下方に位置させたので、記録用紙4の搬送経路上に当該蓋体20,21を開閉させる機構を存在させなくすることができる、従って、新たな部材を設けることによって紙ジャム発生の虞が増すことを防止できる。
【0063】
次に、図13は、中央穴25を有する実施の形態に係るインクジェット式記録装置で記録用紙の始端に記録をしている状態の概略の要部断面図であり、図14は、図13のインクジェット式記録装置で記録用紙の始端に記録をしている状態の要部平面図である。前記プラテン3は、前記ドット形成要素アレイ2と対向する部分のプラテン面に前記記録用紙4をその下から接触して支える平坦な頂面6が設けられ、該頂面6の記録用紙4の搬送方向におけるほぼ中央部に中央穴25が設けられている。該中央穴25と対向する部位のノズルアレイ2の一部24が余白無し記録に用いられる。記録用紙4の始端7及び/又は終端14を余白無く記録する際に該始端7又は終端14から外れて打ち捨てられたインク12を該中央穴25に導くように形成されている。
【0064】
本構成により、前記平坦な頂面6により、記録用紙4を安定良く支えつつ、前記中央穴25を1つで記録用紙4の始端7及び/又は終端14に余白無し記録を実行することができる。
【0065】
図15は、中央穴25を有する実施の形態に係るインクジェット式記録装置で記録用紙4の終端14に記録をしている状態の概略の要部断面図であり、図16は、図15のインクジェット式記録装置で記録用紙4の終端14に記録をしている状態の要部平面図である。図13及び図14と基本的に同様なので図面に符号を付して説明は省略する。
【0066】
次に、図17は、3色に対応する3つのドット形成要素アレイ2a,2b,2cが副走査方向に並んだ実施の形態に係るインクジェット式記録装置で、記録用紙4の始端7に記録をしている状態の概略の要部断面図である。また、図18は、図17の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙4の始端7に記録をしている状態の要部平面図である。この記録ヘッド1は、副走査方向に複数のドット形成要素が配列された3色用のドット形成要素アレイ2a,2b,2cを有すると共に、各色に対応する3つのドット形成要素アレイ2a,2b,2cが副走査方向に順次配列されて成る。この図の状態は、最も上流側に位置するドット形成要素アレイ2aの一部30によって記録用紙4の始端7に余白をなしにする限定インターレース記録が行われている。
【0067】
前記プラテン3は、1つの色に対応する前記ドット形成要素アレイ2aに対して、副走査方向の下流側部分と対向する部分のプラテン面に第1穴27が設けられると共に、副走査方向の上流側部分と対向する部分のプラテン面に第2穴26が設けられている。他の色に対応する前記ドット形成要素アレイ2bに対して、副走査方向の下流側部分と対向する部分のプラテン面に第1穴28が設けられると共に、副走査方向の上流側部分と対向する部分のプラテン面に第2穴27が設けられている。更に、他の色に対応する前記ドット形成要素アレイ2cに対して、副走査方向の下流側部分と対向する部分のプラテン面に第1穴29が設けられると共に、副走査方向の上流側部分と対向する部分のプラテン面に第2穴28が設けられている。前記の如く、ドット形成要素アレイ2aの第1穴27は、そのまま前記ドット形成要素アレイ2bの第2穴27となっている。同様にドット形成要素アレイ2bの第1穴28は、そのまま前記ドット形成要素アレイ2cの第2穴28となっている。
【0068】
そして、各色に対応する前記複数の各ドット形成要素アレイ2a,2b,2cのそれぞれに対して、被記録用紙4の始端7を余白無く記録する際に該始端7から外れて打ち捨てられたインクを前記第1穴27に導き、被記録材の終端14を余白無く記録する際に該終端14から外れて打ち捨てられたインクを前記第2穴26に導くように形成されている。
【0069】
本構成によれば、複数のカラーノズルを縦配列して並べたような場合でも、各カラーの各ドット形成要素アレイ毎に前記第1穴27,28,29及び第2穴26,27,28が設けられているので、カラーノズルを横配列した記録ヘッドと変わらずに、被記録材の始端7及び終端14について、余白無し記録を実行することができる。
【0070】
図19は、インクジェット式記録装置の中部に位置するドット形成要素アレイ2bで記録用紙4の始端7に記録をしている状態の概略の要部断面図であり、図20は、図19の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙4の始端7に記録をしている状態の要部平面図である。
【0071】
図21は、インクジェット式記録装置の下流側のドット形成要素アレイ2cで記録用紙4の始端7に記録をしている状態の概略の要部断面図であり、図22は、図21の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙4の始端7に記録をしている状態の要部平面図である。
【0072】
以上により、カラー3色の総てに対して、簡単に余白無し記録を実行する事ができる。
【0073】
図23は、上流側のドット形成要素アレイ2aで記録用紙4の終端14に記録をしている状態の概略の要部断面図である。図24は、図23の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙4の終端14に記録をしている状態の要部平面図である。ここでは、第2穴26がインクの打ち捨てに利用される。
【0074】
図25は、インクジェット式記録装置の中部に位置するドット形成要素アレイ2bで記録用紙4の終端14に記録をしている状態の概略の要部断面図であり、図26は、図25の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙4の終端14に記録をしている状態の要部平面図である。ここでは、第2穴27がインクの打ち捨てに利用される。
【0075】
図27は、インクジェット式記録装置の下流側のドット形成要素アレイ2cで記録用紙4の終端14に記録をしている状態の概略の要部断面図である。図28は、図27の状態のインクジェット式記録装置で記録用紙4の終端14に記録をしている状態の要部平面図である。ここでは、第2穴228がインクの打ち捨てに利用される。
【0076】
本発明によれば、被記録材の始端や終端に余白無く記録する際に、該始端や終端から外れて打ち捨てられたインクは第1穴と第2穴それぞれに導かれ、それでいて被記録材は位置規定機能部によりしっかりと記録ヘッドに対する位置が規定される。従って、被記録材の始端や終端に余白無く記録する場合に、被記録材が打ち捨てられたインクで汚損される虞がなく、更に被記録材の記録持の位置がしっかりと規定され記録品質を低下させない。
【符号の説明】
【0077】
1 記録ヘッド、2 ノズルアレイ、3 プラテン、4 記録用紙、5 リブ、 6 頂部、7 記録用紙の始端、11 第1穴、12 打ち捨てられたインク、13 第2穴、14 記録用紙の終端、15 インク吸収体、16,17 網体、18,19 ノズルアレイの一部、20,21 蓋体、22 回動支点。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録材を第1方向に搬送して記録を行うインクジェット記録装置であって、
複数のドット形成要素が配列されてなるドット形成要素アレイを有する記録ヘッドであって、記録動作中の被記録材における前記第1方向の端部が搬送領域における第1位置に達する第1タイミングにおいて、前記ドット形成要素から当該端部にインクを吐出する記録ヘッドと、
前記第1タイミングにおいて前記被記録材の端部から外れて打ち捨てられたインクを、当該インクが被記録材に再付着しないように受ける領域と、
前記第1タイミングにおいて前記第1位置から離間しており、前記被記録材の端部が前記第1位置を通過した後のタイミングにおいて前記第1位置に位置している可動部と、を備えるインクジェット記録装置。
【請求項2】
請求項1に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1位置に位置する前記可動部は、被記録材を支えることが可能であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1タイミングにおいて、前記可動部は第1位置に対して前記第1方向の反対方向側に離間していることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記打ち捨てられたインクを受ける領域が、前記第1位置に設けられた穴であることを特徴とするインクジェット記録装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のいずれか一項に記載のインクジェット記録装置において、
前記第1タイミングにおいて、前記ドット形成要素アレイと対向する位置で被記録材を支えることが可能な支え部をさらに備えるインクジェット記録装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【公開番号】特開2011−102043(P2011−102043A)
【公開日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−28585(P2011−28585)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【分割の表示】特願2008−30431(P2008−30431)の分割
【原出願日】平成12年4月5日(2000.4.5)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】