インクジェット記録装置
【課題】複数の記録ヘッドから排出されたインクがインク受け部で混合することを抑制でき、インクがインク受け部に残留し難いインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】記録ヘッド22から排出されたインクを第1インク排出部64から排出する第1インク受け部61を備え、第1インク受け部61は、インクを第1インク排出部64へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部62と、隣接する第1インク受け部61を仕切る仕切り部63と、を有し、第1インク誘導傾斜部62は、第1インク誘導傾斜部62におけるインクの流動方向Qに延び且つ流動方向Qに直交する方向Pに区画された複数のインク流動路67を有し、インク流動路67の幅及び/又は傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67K,67Mでは大きく設定され(W1,θ1)、凝固性が低いインクが流動するインク流動路67C,67Yでは小さく設定される(W2,θ2)。
【解決手段】記録ヘッド22から排出されたインクを第1インク排出部64から排出する第1インク受け部61を備え、第1インク受け部61は、インクを第1インク排出部64へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部62と、隣接する第1インク受け部61を仕切る仕切り部63と、を有し、第1インク誘導傾斜部62は、第1インク誘導傾斜部62におけるインクの流動方向Qに延び且つ流動方向Qに直交する方向Pに区画された複数のインク流動路67を有し、インク流動路67の幅及び/又は傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67K,67Mでは大きく設定され(W1,θ1)、凝固性が低いインクが流動するインク流動路67C,67Yでは小さく設定される(W2,θ2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインクを噴射して、用紙などの記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、一般的に、インク噴射用ノズル(ノズル)が形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドそれぞれに対応して記録ヘッドの下方に配置可能なノズルキャップ部材と、ノズルキャップ部材の下方に配置可能なインク受けトレイと、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
ノズルキャップ部材は、記録ヘッドの不使用時にノズル面を覆う部材である。記録ヘッドの不使用時にはノズルキャップ部材によってノズル面を覆うことにより、インクの乾燥によるノズルの詰まりや、ノズルを介する記録ヘッドの内部への異物の混入を防止することができる。
【0004】
ノズルキャップ部材には、ノズルから排出されたインクが一旦溜まるようになっている。特に、記録(印刷)開始時にノズルの詰まりを解消するためのインクの噴射(いわゆる吐出回復処理(パージ))を行ったときに、ノズルキャップ部材には、ノズルから排出された相当量のインクが一旦溜まることになる。
【0005】
インク受けトレイは、ノズルキャップ部材に一旦溜まったインクや、ノズルキャップ部材から溢れたインクを、受け止める。インク受けトレイに受け止められたインクは、例えばポンプ等の吸引力によって、廃インク容器に送られ、溜められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−103649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インクにおいては、実使用上、凝固しにくい性質(凝固性が低いこと)が要求されているため、各色のインクの状態(混合していない状態)においては、低い凝固性が確保されている。
しかし、前述のインク受けトレイなどのインク受け部に、異なる色のインクが受け止められ、各色のインクが混合すると、混合したインク(混合インク)において、高い凝固性が発現することがある。高い凝固性が発現した混合インクの流動性は、著しく低下するため、混合インクは、廃インク容器に送られにくく、インク受け部に残留しやすい。
【0008】
従って、本発明は、複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドから排出されたインクを受け止める複数のインク受け部と、を備えたインクジェット記録装置において、複数の記録ヘッドから排出されたインクが混合することを抑制でき、インクがインク受け部に残留しにくいインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、前記複数の記録ヘッドそれぞれに対応して該記録ヘッドの下方に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に又は間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出部から排出する複数の第1インク受け部と、を備え、前記複数の第1インク受け部は、受け止めたインクを前記第1インク排出部へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部と、隣接する前記第1インク受け部を仕切る仕切り部と、を有し、前記第1インク誘導傾斜部は、該第1インク誘導傾斜部におけるインクの流動方向に延び且つ該流動方向に直交する方向に区画された複数のインク流動路を有し、前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定されるインクジェット記録装置に関する。
【0010】
また、複数の前記記録ヘッドそれぞれに対応して上下方向において該記録ヘッドと前記第1インク受け部との間に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に受け止め、受け止めたインクを第2インク排出部から前記第1インク受け部に排出する複数の第2インク受け部と、を更に備え、前記第1インク受け部は、対応する前記第2インク受け部の前記第2インク排出部を介して間接的に、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止めることが好ましい。
【0011】
また、前記複数の第1インク受け部は、一体的に構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記第1インク排出部は、前記複数の第1インク受け部に対して、1個設けられ、前記複数の第1インク受け部によって受け止められたインクを併せて排出することが好ましい。
【0013】
また、前記インク流動路におけるインクの流動方向と直交する方向の断面形状は、頂角が下を向いた二等辺三角形状であり、前記頂角は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定されることが好ましい。
【0014】
また、前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部と、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部とが交互に配列するように、配置されるを有することが好ましい。
【0015】
また、前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部に近接して配置し、また、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部から離して配置することが好ましい。
【0016】
また、凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部と凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部とが隣接している場合において、凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部における、凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部との間を仕切る前記仕切り部に近接する前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、前記仕切り部から離れた前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度よりも、大きく設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドから排出されたインクを受け止める複数のインク受け部と、を備えたインクジェット記録装置において、複数の記録ヘッドから排出されたインクが混合することを抑制でき、インクがインク受け部に残留しにくいインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を正面側から模式的に示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す正面図である。
【図3】第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20、搬送ユニット30及びキャップユニット50の周辺部を示す平面図である。
【図4】図2に示すインクジェット記録装置1の下方にキャップ51が移動した状態を示す正面図である。
【図5】キャップユニット50の全体構造を模式的に示す縦断面図である。
【図6】第1実施形態における受け部ユニット60を示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図7】図6(B)の拡大図である。
【図8】図6(A)に示すA−A線断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Aを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Bを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態における受け部ユニット60Cを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1から図4により、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1における全体構造の概要を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を正面側から模式的に示す縦断面図である。図2は、第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す正面図である。図3は、第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20、搬送ユニット30及びキャップユニット50の周辺部を示す平面図である。図4は、図2に示すインクジェット記録装置1の下方にキャップ51が移動した状態を示す正面図である。
【0020】
図1から図4に示すように、第1実施形態のインクジェット記録装置1は、本体2内に、記録部20と、搬送ユニット30と、搬送ユニット30の昇降装置40と、キャップユニット50と、を備える。
第1実施形態のインクジェット記録装置1は、更に、給紙カセット3と、給紙ローラー4と、用紙搬送路5と、レジストローラー対6と、乾燥装置7と、排紙ローラー対8と、排紙口9と、排紙トレイ10と、を備える。
【0021】
図1から図4に示すように、搬送ユニット30は、駆動ローラー32と、従動ローラー33と、駆動ローラー32及び従動ローラー33に掛け渡される搬送ベルト31と、搬送ベルト31のテンションを調整するテンションローラー34と、空気吸引ユニット36と、を有する。搬送ベルト31及び空気吸引ユニット36の上面には、それぞれ吸引用の貫通孔(図示せず)が多数設けられている。
【0022】
駆動ローラー32及び従動ローラー33が正面視で反時計方向に回転することにより、搬送ベルト31の上面部分で形成される搬送面31Aは、水平面(X−Y平面)内の用紙搬送方向Pの一方から他方に向けて水平方向に移動される。つまり、搬送ベルト31の搬送面31A上においては、用紙搬送方向Pは、水平方向Xとほぼ一致する。空気吸引ユニット36は、搬送ベルト31の搬送面31Aの下側(反対側)に配置される。
搬送ベルト31としては、両端部を互いに重ね合わせて接合してエンドレス状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルト等を用いることができる。
【0023】
図2及び図3に示すように、所定の記録時には、記録媒体としての用紙Tは、搬送ベルト31の搬送面31A上に、用紙搬送方向Pの一方側から導入される。搬送面31Aには、空気吸引ユニット36の動作に伴って、前記の吸引用の貫通孔(図示せず)を介して搬送ベルト31に作用する吸引力が生じている。搬送ベルト31の搬送面31A上に導入された用紙Tは、前記吸引力により搬送面31Aに吸着されて、用紙搬送方向Pの他方側に向けて搬送される。このように搬送ベルト31の搬送面31Aに吸着された状態で搬送される用紙Tに向けて、後述する記録部20の記録ヘッド22からインクが吐出されることにより、用紙Tに画像等が記録される(印刷される)。
【0024】
図1に示すように、給紙カセット3は、用紙Tを積層状態で収容するものであり、本体2の内部の下方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの上流側に配置されている。給紙ローラー4は、給紙カセット3の上方に配置されている。この給紙ローラー4により、用紙Tは、図1における給紙カセット3の右上方に向けて送り出される。
【0025】
用紙搬送路5、レジストローラー対6、記録部20及び搬送ユニット30は、給紙カセット3の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。給紙カセット3から送り出された用紙Tは、用紙搬送路5を通ってレジストローラー対6に到達する。レジストローラー対6は、用紙Tの斜め送りを矯正して、用紙Tを再度送り出す。記録部20とレジストローラー対6との間の用紙搬送路5には、用紙先端検出センサ(図示せず)が設けられる。この用紙先端検出センサにより、用紙Tの先端部が検出され、その検出されたタイミングに基づいて、記録部20は、後述するようなインクの吐出動作を実行する。
【0026】
図1に示すように、乾燥装置7は、本体2の内部の上方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。乾燥装置7は、記録部20において吐出されるインクにより記録された後における用紙Tのインクを乾燥させる。
【0027】
排紙ローラー対8、排紙口9及び排紙トレイ10は、乾燥装置7の用紙搬送方向Pの下流側に、この順で配置されている。乾燥装置7によりインクの乾燥が終了した用紙Tは、排紙ローラー対8により用紙搬送方向Pの下流側に送られ、排紙口9を通して、本体2の外側に設けられた排紙トレイ10に送られて、本体2の外部に排出される。
【0028】
図1から図3に示すように、記録部20は、4色に対応する記録ヘッド22を備える。4色に対応する記録ヘッド22とは、ブラック用の記録ヘッド22K、シアン用の記録ヘッド22C、マゼンタ用の記録ヘッド22M及びイエロー用の記録ヘッド22Yである。これら4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yは、用紙搬送方向P(水平方向X)に対して直交する用紙幅方向Yに沿って長く延びている。記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yは、搬送ベルト31の用紙搬送方向Pに沿い、用紙搬送方向Pの上流側から下流側に向かって順に配列して配置されている。第1実施形態においては、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yそれぞれにおいて、1色の記録ヘッドにあたり3個の記録ヘッドが、用紙幅方向Yに沿って千鳥状に配置している。
【0029】
図1に示すように、搬送ユニット30の下方には、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yそれぞれに対応して、4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yが配置されている。4色のインクは、それぞれ4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yから供給チューブ(図示せず)を経て、4色のインクが対応する記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yに補給される。
【0030】
なお、以下の説明において、特に特定する必要がある場合を除いて、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Y並びに4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yの識別記号である「K」、「C」、「M」及び「Y」については省略して、単に「記録ヘッド22」及び「インクタンク23」と記載する。後述する「キャップ51」、「キャップ下受け部61」、「第1インク誘導傾斜部62」、「インク流動路67」等についても、同様に記載する。
【0031】
記録部20の各記録ヘッド22は、外部コンピューター(図示せず)から受信した画像データ情報(例えば、文字、図形、模様)に基づいて、搬送ベルト31の搬送面31A上に載置された用紙Tに向かって4色のインクを吐出する。図2及び図3に示すように、各記録ヘッド22は、記録ヘッド支持部材21に支持されており、この記録ヘッド支持部材21と共に、本体2に固定されている。そして、搬送ベルト31の回転移動と共に、所定のタイミングで各記録ヘッド22から、4色のインクが順次吐出される。これにより、用紙Tには、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色のインクが重ね合わせられ、カラーインク画像が印刷される。
【0032】
記録ヘッド22からのインク吐出方式としては、例えば、ピエゾ素子(図示せず)を用いてインクを押し出すピエゾ方式や、発熱体(図示せず)によって気泡を発生させ、圧力を掛けてインクを吐出するサーマルインクジェット方式などの各種吐出方式を採用することができる。
【0033】
図1に示すように、搬送ユニット30の昇降装置40は、搬送ユニット30の下方に配置されている。昇降装置40は、搬送ユニット30を記録ヘッド22に対して、水平面(X−Y平面)に垂直な方向Z(以下「上下方向Z」ともいう)に昇降(移動)させるものである。この昇降装置40による搬送ユニット30の上下方向Zの移動により、搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22のノズル面221(図5参照)に対して相対的に接近又は離間可能に構成されている。
【0034】
図1に示すように、昇降装置40は、搬送ベルト31の下方における用紙搬送方向Pの上流側及び下流側に配置された2つの偏心カム41を備える。偏心カム41は、搬送ユニット30の正面側及び背面側にそれぞれ2個ずつ、合計4個設けられる。偏心カム41の偏心周面は、搬送ユニット30の外底面に下方から接近する。図1に示すように、各偏心カム41は、用紙幅方向Yに延びる軸部42を備えると共に、回転軸線が偏在するカムで構成される。偏心カム41は、モーター(図示せず)を介して、軸部42を中心として回転される。偏心カム41は、その周縁部に、複数のベアリング43を備えている。ベアリング43の周面の一部は、偏心カム41の周面から外方に突出している。
【0035】
ベアリング43は、偏心カム41の回転軸線と平行な軸線を中心として回転自在となっている。ベアリング43は、偏心カム41の先端側から回転軸線側に向かって順次配置されている。通常の印刷状態においては、図1に示すように、軸部42から最も離れたベアリング43は、搬送ユニット30の外底面に下方から当接する。これにより、搬送ユニット30は、図2に示す最高位置に上昇移動される。
【0036】
この状態から、用紙搬送方向Pの上流側の偏心カム41を正面視で反時計方向に回転させると共に、用紙搬送方向Pの下流側の偏心カム41を正面視で時計方向に回転させる。これにより、複数のベアリング43は、軸部42から最も離れたベアリング43から軸部42に最も近いベアリング43の順で、搬送ユニット30の外底面に順次当接する。そのため、搬送ユニット30を下降させることができる。
複数のベアリング43は、偏心カム41の回転時において、周縁方向で隣り合う2個のベアリング43が同時に搬送ユニット30の外底面に当接する期間を有するような間隔に、配置されている。
【0037】
昇降装置40の偏心カム41を回転させて搬送ユニット30を下降させることにより、図4に示すように、搬送ユニット30における搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22に対して下方に離間される。これにより、記録ヘッド22からキャップユニット50が離脱される。そして、キャップユニット50が記録ヘッド22から離脱された状態で、記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)からインクを噴射させることにより、ノズル内に残留する高い粘度のインクを吐出させてインク詰まりを解消するための吐出回復処理、すなわち、パージを実行することが可能である。
【0038】
一方、昇降装置40の偏心カム41を前述とは逆方向に回転させて搬送ユニット30を上昇させることにより、図2に示すように、搬送ユニット30は通常の記録位置(印刷位置)に戻される。これによって、記録ヘッド22のノズル面221にキャップユニット50を装着することが可能となる。
【0039】
図2から図4に示すように、キャップユニット50は、画像形成時には記録部20の側方(用紙搬送領域外)の位置であって下方の位置に配置される。また、キャップユニット50は、必要に応じて、記録部20の下方に移動する。キャップユニット50は、第2インク受け部としてのキャップ51と、第1インク受け部としてのキャップ下受け部61と、キャップベース部材52と、スライド機構53と、図示しない垂直駆動機構と、を備えている。キャップユニット50は、スライド機構53(図3参照)により、用紙搬送方向Pに水平移動可能に構成されている。なお、図2及び図4においては、キャップユニット50のスライド機構53の描画を省略している。
キャップユニット50は、搬送ユニット30の上方に配置されており、昇降装置40により、搬送ユニット30と共に昇降可能に構成されている。そのため、キャップユニット50は、記録ヘッド22に対してキャップ51を着脱できる。
【0040】
図3に示すように、キャップ51は、用紙搬送方向P(X)に沿って各色(4色)毎に配置され、さらに、用紙幅方向Yに千鳥状に配列した3個の記録ヘッド22に対応する3箇所に配置され、各色毎に3個ずつ、計12個設けられている。
【0041】
キャップ下受け部61は、1色における3個のキャップ51に対応して、キャップ51の下方に1色に1個配置される。4色それぞれに対応する4個のキャップ下受け部61は、一体的に構成されており、受け部ユニット60を形成している。
キャップベース部材52は、キャップ51及び受け部ユニット60を保持している。
【0042】
スライド機構53は、図3に示すように、記録部20や搬送ユニット30が配置された箇所から背面側に向かって、用紙搬送方向Pと直交する用紙幅方向Yに延びている。スライド機構53は、用紙搬送方向Pに間隔を置いて配置された2個の無端状の移送ベルト54を備えている。
【0043】
そして、移送ベルト54は、それら2個の移送ベルト54の間に跨る形で、キャップベース部材52を支持している。これにより、スライド機構53は、図3に示すように、キャップベース部材52を、記録部20のすぐ下方の装着位置(二点鎖線で示す)と、記録部20の配置箇所の背面側に位置する退避位置との間で、スライド移動させることができる。すなわち、スライド機構53により、キャップ51は、記録ヘッド22に対して、記録ヘッド22の下方である装着位置と、記録部20の背面側に位置する退避位置との2位置を採り得る。
【0044】
キャップユニット50によって、キャップ51は、記録ヘッド22に装着される。その動作を以下に説明する。
プリンター1は、キャップ51を各記録ヘッド22に装着する際、昇降装置40(図1参照)を用いて、図4に示すように、搬送ユニット30を通常の印刷時の位置より降下させる。これにより、記録ヘッド22を備える記録部20と、搬送ユニット30との間に間隙ができる。
【0045】
その後、スライド機構53を用いて、キャップベース部材52を、記録部20の記録ヘッド22と搬送ユニット30との間に生じた間隙に挿入させる。そして、キャップベース部材52を、記録ヘッド22の下方に配置し、図示しない垂直駆動機構により上昇させる。これにより、キャップ51を、記録ヘッド22の底面にあるノズル面221(図5参照)に当接させて、装着する。垂直駆動機構としては、例えば、キャップベース部材52の四隅に配したカム等を同期的に駆動させる機構などが用いられる。
【0046】
次に、図5から図8を参照して、第1実施形態のインクジェット記録装置1における特徴部分に係る構成について詳細に説明する。
図5は、キャップユニット50の全体構造を模式的に示す縦断面図である。図6は、第1実施形態における受け部ユニット60を示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。図7は、図6(B)の拡大図である。図8は、図6(A)に示すA−A線断面図である。
【0047】
図5に示すように、キャップユニット50は、キャップ51と、受け部ユニット60(キャップ下受け部61)と、廃インク容器561と、チューブ562,563と、インク回収用のポンプ564と、を備える。
同じ色に係る記録ヘッド22及びキャップ51は、図3に示すように、平面視で用紙幅方向Yに沿って千鳥状に配置されているが、図5においては、便宜上、同じ色に係る記録ヘッド22及びキャップ51が、用紙幅方向Yに沿って直線状に配置されているように示す。
【0048】
図3に示すように、キャップ51は、3個の記録ヘッド22それぞれに対応して3個設けられ、各記録ヘッド22の下方に配置可能に構成される。図6に示すように、キャップ下受け部61は、3個のキャップ51に対応してキャップ51の下方に1個配置される。キャップ下受け部61は、平面視で3個のキャップ51を含む大きさを有する。廃インク容器561は、搬送ユニット30とは干渉しない位置に配置される。チューブ562は、キャップ下受け部61の第1インク排出孔64(後述)と廃インク容器561とを連通させる。ポンプ564は、チューブ563を介して廃インク容器561と連通している。
【0049】
図5に示すように、キャップ51は、記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)から排出されたインクを受け止める第2インク受け部として機能する。各キャップ51は、第2底面511が形成された第2底壁部512と、第2周壁部513と、第2インク排出部としての第2インク排出孔514と、を有する。
【0050】
図5に示すように、各キャップ51の第2底面511は、記録ヘッド22のノズル面221と対向しており、第2周壁部513から第2インク排出孔514に向けて下がるように傾斜している。
第2周壁部513は、第2底壁部512の周縁部から上方に起立する。第2インク排出孔514は、第2底面511の中央位置に形成されており、第2底面511で受け止めたインクを、下方に位置するキャップ下受け部61に排出させる孔である。
【0051】
別の見方をすると、キャップ51は、複数の記録ヘッド22それぞれに対応して、上下方向Zにおいて記録ヘッド22とキャップ下受け部61との間に配置可能とされている。キャップ51は、インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に受け止め、受け止めたインクを第2インク排出孔514からキャップ下受け部61に排出する。また、3個のキャップ51は、第2周壁部513の外面同士が繋ぎプレート515を介して連結されて一体化され、第2キャップユニット516を構成している。この第2キャップユニット516は、樹脂材料により一体成形されている。
【0052】
次に、キャップ下受け部61について詳述する。
図5から図7に示すように、キャップ下受け部61は、複数(4色)の記録ヘッド22それぞれに対応して記録ヘッド22の下方に配置可能とされている。キャップ下受け部61は、第1インク誘導傾斜部62と、仕切り部としての仕切り壁63と、第1インク排出部としての第1インク排出孔64と、谷部65と、第1側壁部66と、を有する。
【0053】
第1インク誘導傾斜部62は、キャップ下受け部61において受け止めたインクを、第1インク排出孔64へ誘導するように傾斜する部位である。第1インク誘導傾斜部62は、用紙幅方向Yに離間して一対設けられており、用紙幅方向Yの中央に向けてそれぞれ下がるように傾斜している。
【0054】
第1インク誘導傾斜部62は、複数のインク流動路67を有する。インク流動路67は、第1インク誘導傾斜部62におけるインクの流動方向Qに延びると共に、流動方向Qに直交する方向(用紙搬送方向P、水平方向X)に区画されている。キャップ下受け部61Y及び61Cは、8本のインク流動路67を有する。キャップ下受け部61M及び61Kは、4本のインク流動路67を有する。
【0055】
図8に示すように、インク流動路67におけるインクの流動方向Qと直交する方向Pの断面形状は、頂角φが下を向いた二等辺三角形状である。
【0056】
仕切り壁63は、用紙搬送方向Pに隣接するキャップ下受け部61における隣接する第1インク誘導傾斜部62を仕切る部位である。仕切り壁63は、用紙幅方向Yに延びている。
谷部65は、一対の第1インク誘導傾斜部62におけるそれぞれ傾斜方向Qの下端部に隣接している。谷部65は、4つのキャップ下受け部61に跨って、用紙搬送方向P(X)に延びている。谷部65は、第1インク排出孔64に向かって下がるように傾斜している。そのため、谷部65に落下したインクは、第1インク排出孔64へ向かって誘導される。谷部65には、第1インク誘導傾斜部62を流動したインクが落下して一旦溜められる。
【0057】
第1インク排出孔64は、谷部65における水平方向X(P)の中央位置であって且つ用紙幅方向Yの中央位置に設けられる。第1インク排出孔64は、複数のキャップ下受け部61に対して、1個設けられ、複数のキャップ下受け部61によって受け止められたインクを併せて排出する。
第1側壁部66は、第1インク誘導傾斜部62の傾斜方向の上端部から上方に起立する。第1側壁部66は、4つのキャップ下受け部61に跨って、用紙搬送方向P(X)に延びている。
【0058】
つまり、キャップ下受け部61は、インク噴射用ノズル(図示せず)から排出されたインクを、間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出孔64から排出する。本実施形態においては、キャップ下受け部61は、対応するキャップ51の第2インク排出孔514を介して間接的に、インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止める。
4色のキャップ51(1色につき3個)に対応する4個のキャップ下受け部61が一体化されて、受け部ユニット60が形成されている。つまり、複数のキャップ下受け部61は、一体的に構成されている。
【0059】
また、図5に示すように、第2キャップユニット516の繋ぎプレート515の外周縁部とキャップ下受け部61の第1側壁部66の内面との間には、シール材57が介在されている。これにより、シール部が形成されている。シール材57が介在することにより、第2キャップユニット516の外周縁部は、キャップ下受け部61の第1側壁部66の内面に密着される。これにより、第2キャップユニット516とキャップ下受け部61との間の通気が阻害されて、インクの排出がスムーズに行われるようになっている。
【0060】
図5に示すように、チューブ562は、一端部(上端部)においてキャップ下受け部61の第1インク排出孔64に接続されている。また、チューブ562は、他端部(下端部)において廃インク容器561に接続されており、廃インク容器561の内部に開口している。これによって、キャップ下受け部61において受け止められ且つ第1インク排出孔64から併せて排出されるインクを、チューブ562を介して、廃インク容器561の内部に流通させ、貯留することが可能である。
【0061】
また、図5に示すように、圧縮バネ58は、上下方向Zにおいて各キャップ51とキャップ下受け部61との間に配置されている。圧縮バネ58は、キャップユニット50が昇降装置40により搬送ユニット30と共に記録ヘッド22側に上昇されて、各キャップ51が対応する各記録ヘッド22のノズル面221を覆った状態において、各キャップ51をノズル面221に向けて弾性的に移動させるように付勢する。
【0062】
次に、インクの凝固性について説明する。
インクの凝固性は、一般的に、インクの種類(色を含む)によってそれぞれ異なる。インクの凝固性は、例えば、以下の方法によって評価(測定)される。
(1)インク10gを容器に入れる。インク10g中、蒸発成分が5gであり、非蒸発成分が5gである。
(2)その容器をオーブンに入れて、60℃で5時間乾燥させる。インクの蒸発成分が完全に蒸発するまで乾燥させる。
(3)オーブンに入れてから5時間後に、オーブンから容器を取り出して、その重量を測定する。インク中の蒸発成分は完全に蒸発しているので、インク中には、非蒸発成分のみが残り、インクの重量は5gとなっている。
(4)同じ内容で別の検体のインク10gを容器に加えて、その容器を室温環境で30分放置する。
(5)30分放置後、インクを液体と固体とに分離する。
(6)インク中の固体部分と、インク中の非蒸発成分との重量比を凝固性の指標とする。例えば、インク中の固体部分の重量が3gであり、インク中の非蒸発成分の重量が5gであれば、凝固性の指標は、(3g/5g)×100=60%である。
【0063】
凝固性の指標が40%以上であることを「凝固性が高い」とし、凝固性の指標が40%未満であることを「凝固性が低い」とする。
本実施形態においては、記録ヘッド22Yから排出されるイエローのインク及び記録ヘッド22Cから排出されるシアンのインクの凝固性が低く、一方、記録ヘッド22Mから排出されるマゼンダのインク及び記録ヘッド22Kから排出されるブラックのインクの凝固性が高い。例えば、ブラック、シアン、マゼンダ及びイエローそれぞれのインクにおける凝固性の指標は、それぞれ45%、35%、70%及び10%である。
【0064】
なお、上記のインクの凝固性の指標(ブラック:45%、シアン:35%、マゼンダ:70%、及びイエロー:10%)は一例であり、これに限られない。インクの凝固性は、例えば、用いるインクの組成により変化する。また、インクの凝固性の大小関係も変化し得る。用いるインクの凝固性やそれらの大小関係が上記の例と異なる場合には、上記で例示した複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度の大きさを、インクの凝固性やその大小関係に応じて適宜変更することにより、上記の実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0065】
凝固性が高いブラックのインクが受け止められるキャップ下受け部61K及び凝固性が高いマゼンダのインクが受け止められるキャップ下受け部61Mにおいては、インク流動路67K及びインク流動路67Mの幅W1及び傾斜角度θ1は、大きく設定されている。このように設定することにより、インク流動路67におけるインクの流動性を向上させ、インクの流動速度を速くすることができる。そして、インクを、インク流動路67から速やかに谷部65へ落下させ、第1インク排出孔64から排出させることができる。
幅W1は、例えば、10mm以上15mm以下である。傾斜角度θ1は、例えば、6度以上10度以下である。
【0066】
一方、凝固性が低いシアンのインクが受け止められるキャップ下受け部61C及び凝固性が低いイエローのインクが受け止められるキャップ下受け部61Yにおいては、インク流動路67C及びインク流動路67Yの幅W2及び傾斜角度θ2は、小さく設定されている。このように傾斜角度を小さく設定することにより、キャップ下受け部61の高さ方向(Z方向)のサイズを小さくでき、省スペース化を図ることができる。
幅W2は、例えば、5mm以上10mm未満である。傾斜角度θ2は、例えば、3度以上6度未満である。
【0067】
第1実施形態においては、複数の第1インク受け部61は、インク流動路67K,67Mの幅W1及び傾斜角度θ1が大きい第1インク受け部61K,61Mと、インク流動路67C,67Yの幅W2及び傾斜角度θ2が小さい第1インク受け部61C,61Yとが交互に配列するように、配置される。
【0068】
二等辺三角形状の断面形状を有するインク流動路67においては、頂角φは、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67K,67Mにおいては、大きく設定される(φ1)。また、頂角φは、凝固性が低いインクが流動するインク流動路67C,67Yにおいては、小さく設定される(φ2)。
頂角φ1は、例えば、15度以上25度以下である。頂角φ2は、例えば、10度以上15度未満である。
各幅W1、幅W2、傾斜角度θ1、傾斜角度θ2、頂角φ1及び頂角φ2は、本実施形態においては、それぞれ同じに設定されているが、異ならせてもよい。
【0069】
次に、吐出回復処理(パージ)及びその際のインクの流れについて説明する。
キャップユニット50が記録ヘッド22に装着されたときには、キャップユニット50の各キャップ51は、記録ヘッド22のノズル面221を覆う。これにより、記録ヘッド22の不使用時において、残留インクが乾燥してノズルに詰まりを生じたり、ノズルを介して記録ヘッド22の内部に異物が混入したりすることを防ぐことができる。
【0070】
そして、次に記録ヘッド22による記録を開始するに先立って、昇降装置40によりキャップユニット50を、搬送ユニット30と共に下降させることにより、キャップ51は、記録ヘッド22のノズル面221から離間するように、下方に移動される。
【0071】
このようにキャップユニット50が記録ヘッド22の下方に下降されたときには、キャップユニット50における各キャップ51は、記録ヘッド22のノズル面221の直下の位置に対応して配置する。この状態において、各記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)からインクを噴射させることにより、吐出回復処理が実行される。吐出回復処理は、記録部20の長時間停止(記録ヘッド22の不使用)に伴ってノズル内に残留している高い粘度のインクを吐出させて、インクの吐出不良の発生を防止する処理である。
【0072】
吐出回復処理の実行に伴って、各記録ヘッド22のインク噴射用ノズルから排出されたインクは、各キャップ51の第2底面511で受け止められた後、第2底面511の傾斜に沿って第2インク排出孔514側に向けて流れると共に合流する。その後、合流したインクは、各キャップ51それぞれの第2インク排出孔514から、下方に位置するキャップ下受け部61に排出される。
【0073】
各キャップ51の第2インク排出孔514それぞれから下方に排出されたインクは、キャップ下受け部61で受け止められた後、第1インク誘導傾斜部62(インク流動路67)の傾斜に沿って流動し、谷部65に落下する。谷部65においては、4色のインクが合流する。谷部65において合流したインクは、第1インク排出孔64から併せて排出される。この第1インク排出孔64から排出されたインクは、チューブ562を通って廃インク容器561内に収容(貯留)される。
廃インク容器561内に貯留されたインクは、ポンプ564の作動に伴って、チューブ563を介して、所定の箇所(図示せず)に回収される。
【0074】
なお、谷部65では、異なる色のインクが混合するため、インクの凝固が発生する虞がある。しかし、谷部65では、ポンプ564に近いため、強い吸引力が生じている。そのため、インクの凝固によるインクの排出性の低下は、比較的少ない。
【0075】
第1実施形態のインクジェット記録装置1によれば、例えば、次の効果が奏される。
第1実施形態のインクジェット記録装置1は、複数の記録ヘッド22それぞれに対応して記録ヘッド22の下方に配置可能とされ、インク噴射用ノズルから排出されたインクを間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出孔64から排出する複数のキャップ下受け部61を備える。複数のキャップ下受け部61は、受け止めたインクを第1インク排出孔64へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部62と、隣接するキャップ下受け部61を仕切る仕切り壁63と、を有し、第1インク誘導傾斜部62は、第1インク誘導傾斜部62におけるインクの流動方向Qに延び且つ流動方向Qに直交する方向Pに区画された複数のインク流動路67を有する。インク流動路67の幅及び傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67K,67Mにおいては、大きく設定され(W1,θ1)、また、凝固性が低いインクが流動するインク流動路67C,67Yにおいては、小さく設定される(W2,θ2)。
【0076】
そのため、第1実施形態によれば、仕切り壁63により、異なる色のインクがキャップ下受け部61において混合することが抑制される。また、凝固性が高く流動性が低いインクを、幅W1及び傾斜角度θ1が大きく流動性が高いインク流動路67K,67Mを利用して、第1インク排出孔64へ誘導することができる。従って、第1実施形態によれば、複数の記録ヘッド22から排出されたインクが混合することを抑制でき、インクがキャップ下受け部61に残留しにくい。
【0077】
また、第1実施形態においては、第1インク排出孔64は、複数のキャップ下受け部61に対して、1個設けられ、複数のキャップ下受け部61によって受け止められたインクを併せて排出する。そのため、第1インク排出孔64に接続するチューブ等の個数を削減でき、装置の構造を簡易にすることができる。
【0078】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、他の実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
【0079】
<第2実施形態>
図9により、第2実施形態について説明する。図9は、本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Aを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【0080】
第2実施形態においては、図9に示すように、凝固性が高いインクを受け止めるキャップ下受け部61K,61Mと、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yとは、隣接している。この点は、第1実施形態と同じである。
一方、第1実施形態においては、インク流動路67の幅が一定であるのに対して、第2実施形態においては、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yにおける、凝固性が高いインクを受け止めるキャップ下受け部61K,61Mとの間を仕切る仕切り壁63に近接するインク流動路67(671)の幅W1及び傾斜角度θ1は、仕切り壁63から離れたインク流動路67(672)の幅W2及び傾斜角度θ2よりも、大きく設定される。
第2実施形態においては、幅W1及び傾斜角度θ1が大きいインク流動路67(671)は、仕切り壁63に隣接するインク流動路67である。
【0081】
そのため、第2実施形態によれば、凝固性が高いインクが仕切り壁63を越えて、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yに侵入してきたとしても、その侵入した凝固性が低いインクの全部又は大部分は、幅W1及び傾斜角度θ1が大きく設定されたインク流動路67を流動することになる。そのため、凝固性が高いインクが、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yに侵入したことに起因するインクの流動不良を抑制することができる。
【0082】
<第3実施形態>
図10により、第3実施形態について説明する。図10は、本発明の第3実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Bを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
第3実施形態においては、図10に示すように、複数のキャップ下受け部61は、複数のインク流動路67の幅W1及び傾斜角度θ1が大きいキャップ下受け部61K,61Mを、第1インク排出孔64に近接して配置し、また、複数のインク流動路67の幅W2及び傾斜角度θ2が小さいキャップ下受け部61C,61Yを、第1インク排出孔64から離して配置する。
【0083】
そのため、第3実施形態によれば、インク流動路67の幅W1及び傾斜角度θ1が大きいキャップ下受け部61K,61Mに受け止められた凝固性が高いインクは、第1インク排出孔64から速やかに排出されやすい。従って、第3実施形態によれば、凝固性が高いインクがキャップ下受け部61に残留しにくい。
【0084】
<第4実施形態>
図11により、第4実施形態について説明する。図11は、本発明の第4実施形態における受け部ユニット60Cを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
第4実施形態においては、図11に示すように、第1インク排出孔64は、各キャップ下受け部61ごとにそれぞれ設けられている。そのため、第4実施形態によれば、谷部65の長さを短くできるため、各キャップ下受け部61において、キャップ下受け部61により受け止められたインクは、第1インク排出孔64から速やかに排出されやすい。従って、第4実施形態によれば、インクがキャップ下受け部61に残留しにくい。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、インク流動路67の幅及び傾斜角度の両方を、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67において大きく設定しているが、これに制限されない。インク流動路67の幅又は傾斜角度の一方のみを大きく設定してもよい。
前記実施形態においては、キャップ下受け部61に本発明における「第1インク受け部」を適用しているが、これに制限されない。キャップ51に本発明における「第1インク受け部」を適用してもよい。
【0086】
インク流動路67は、前記実施形態においては、平面視において用紙幅方向Yに沿って直線状に延びているが、インク流動路67が延びる方向及び延びる形状は、これに制限されない。
仕切り部は、前記実施形態においては、壁である仕切り壁63から構成されているが、これに制限されない。仕切り部は、隣接する溝部の間の山となる部分から構成することもできる。
前記実施形態においては、複数のキャップ下受け部61(第1インク受け部)が一体化して、受け部ユニット60を構成しているが、これに制限されない。複数のキャップ下受け部61(第1インク受け部)は、別体で構成することができる。
【0087】
また、上述の各実施形態では、記録部20の記録ヘッド22に対して搬送ユニット30を昇降移動させることで、搬送面31Aと記録ヘッド22のノズル面221とを相対的に接近又は離間可能にしているが、これに制限されない。例えば、搬送ユニット30を移動させずに記録部20側を昇降移動させることで、記録ヘッド22のノズル面221と搬送面31Aとを相対的に接近又は離間可能にしてもよい。また、搬送ユニット30及び記録部20の両方を互いに移動させることで、搬送面31Aと記録ヘッド22のノズル面221とを相対的に接近又は離間可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1……インクジェット記録装置、22(K,C,M,Y)……記録ヘッド、51……キャップ(第2インク受け部)、514……第2インク排出孔(第2インク排出部)、61(K,C,M,Y)……キャップ下受け部(第1インク受け部)、62(K,C,M,Y)……第1インク誘導傾斜部、63……仕切り壁(仕切り部)、64……第1インク排出孔(第1インク排出部)、67(K,C,M,Y)……インク流動路、221……ノズル面、Q……インクの流動方向、傾斜方向、W1,W2……インク流動路の幅、X……流動方向に直交する方向、Z……上下方向、θ1,θ2……インク流動路の傾斜角度、φ1,φ2……インク流動路の断面形状の頂角
【技術分野】
【0001】
本発明は、ノズルからインクを噴射して、用紙などの記録媒体上に記録を行うインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置は、一般的に、インク噴射用ノズル(ノズル)が形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドそれぞれに対応して記録ヘッドの下方に配置可能なノズルキャップ部材と、ノズルキャップ部材の下方に配置可能なインク受けトレイと、を備えている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
ノズルキャップ部材は、記録ヘッドの不使用時にノズル面を覆う部材である。記録ヘッドの不使用時にはノズルキャップ部材によってノズル面を覆うことにより、インクの乾燥によるノズルの詰まりや、ノズルを介する記録ヘッドの内部への異物の混入を防止することができる。
【0004】
ノズルキャップ部材には、ノズルから排出されたインクが一旦溜まるようになっている。特に、記録(印刷)開始時にノズルの詰まりを解消するためのインクの噴射(いわゆる吐出回復処理(パージ))を行ったときに、ノズルキャップ部材には、ノズルから排出された相当量のインクが一旦溜まることになる。
【0005】
インク受けトレイは、ノズルキャップ部材に一旦溜まったインクや、ノズルキャップ部材から溢れたインクを、受け止める。インク受けトレイに受け止められたインクは、例えばポンプ等の吸引力によって、廃インク容器に送られ、溜められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−103649号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、インクにおいては、実使用上、凝固しにくい性質(凝固性が低いこと)が要求されているため、各色のインクの状態(混合していない状態)においては、低い凝固性が確保されている。
しかし、前述のインク受けトレイなどのインク受け部に、異なる色のインクが受け止められ、各色のインクが混合すると、混合したインク(混合インク)において、高い凝固性が発現することがある。高い凝固性が発現した混合インクの流動性は、著しく低下するため、混合インクは、廃インク容器に送られにくく、インク受け部に残留しやすい。
【0008】
従って、本発明は、複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドから排出されたインクを受け止める複数のインク受け部と、を備えたインクジェット記録装置において、複数の記録ヘッドから排出されたインクが混合することを抑制でき、インクがインク受け部に残留しにくいインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、前記複数の記録ヘッドそれぞれに対応して該記録ヘッドの下方に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に又は間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出部から排出する複数の第1インク受け部と、を備え、前記複数の第1インク受け部は、受け止めたインクを前記第1インク排出部へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部と、隣接する前記第1インク受け部を仕切る仕切り部と、を有し、前記第1インク誘導傾斜部は、該第1インク誘導傾斜部におけるインクの流動方向に延び且つ該流動方向に直交する方向に区画された複数のインク流動路を有し、前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定されるインクジェット記録装置に関する。
【0010】
また、複数の前記記録ヘッドそれぞれに対応して上下方向において該記録ヘッドと前記第1インク受け部との間に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に受け止め、受け止めたインクを第2インク排出部から前記第1インク受け部に排出する複数の第2インク受け部と、を更に備え、前記第1インク受け部は、対応する前記第2インク受け部の前記第2インク排出部を介して間接的に、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止めることが好ましい。
【0011】
また、前記複数の第1インク受け部は、一体的に構成されていることが好ましい。
【0012】
また、前記第1インク排出部は、前記複数の第1インク受け部に対して、1個設けられ、前記複数の第1インク受け部によって受け止められたインクを併せて排出することが好ましい。
【0013】
また、前記インク流動路におけるインクの流動方向と直交する方向の断面形状は、頂角が下を向いた二等辺三角形状であり、前記頂角は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定されることが好ましい。
【0014】
また、前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部と、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部とが交互に配列するように、配置されるを有することが好ましい。
【0015】
また、前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部に近接して配置し、また、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部から離して配置することが好ましい。
【0016】
また、凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部と凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部とが隣接している場合において、凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部における、凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部との間を仕切る前記仕切り部に近接する前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、前記仕切り部から離れた前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度よりも、大きく設定されることが好ましい。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、複数の記録ヘッドと、複数の記録ヘッドから排出されたインクを受け止める複数のインク受け部と、を備えたインクジェット記録装置において、複数の記録ヘッドから排出されたインクが混合することを抑制でき、インクがインク受け部に残留しにくいインクジェット記録装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を正面側から模式的に示す縦断面図である。
【図2】第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す正面図である。
【図3】第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20、搬送ユニット30及びキャップユニット50の周辺部を示す平面図である。
【図4】図2に示すインクジェット記録装置1の下方にキャップ51が移動した状態を示す正面図である。
【図5】キャップユニット50の全体構造を模式的に示す縦断面図である。
【図6】第1実施形態における受け部ユニット60を示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図7】図6(B)の拡大図である。
【図8】図6(A)に示すA−A線断面図である。
【図9】本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Aを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図10】本発明の第3実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Bを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【図11】本発明の第4実施形態における受け部ユニット60Cを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の第1実施形態を説明する。
図1から図4により、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1における全体構造の概要を説明する。図1は、本発明の第1実施形態のインクジェット記録装置1の概要を正面側から模式的に示す縦断面図である。図2は、第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20及び搬送ユニット30の周辺部を示す正面図である。図3は、第1実施形態のインクジェット記録装置1について、記録部20、搬送ユニット30及びキャップユニット50の周辺部を示す平面図である。図4は、図2に示すインクジェット記録装置1の下方にキャップ51が移動した状態を示す正面図である。
【0020】
図1から図4に示すように、第1実施形態のインクジェット記録装置1は、本体2内に、記録部20と、搬送ユニット30と、搬送ユニット30の昇降装置40と、キャップユニット50と、を備える。
第1実施形態のインクジェット記録装置1は、更に、給紙カセット3と、給紙ローラー4と、用紙搬送路5と、レジストローラー対6と、乾燥装置7と、排紙ローラー対8と、排紙口9と、排紙トレイ10と、を備える。
【0021】
図1から図4に示すように、搬送ユニット30は、駆動ローラー32と、従動ローラー33と、駆動ローラー32及び従動ローラー33に掛け渡される搬送ベルト31と、搬送ベルト31のテンションを調整するテンションローラー34と、空気吸引ユニット36と、を有する。搬送ベルト31及び空気吸引ユニット36の上面には、それぞれ吸引用の貫通孔(図示せず)が多数設けられている。
【0022】
駆動ローラー32及び従動ローラー33が正面視で反時計方向に回転することにより、搬送ベルト31の上面部分で形成される搬送面31Aは、水平面(X−Y平面)内の用紙搬送方向Pの一方から他方に向けて水平方向に移動される。つまり、搬送ベルト31の搬送面31A上においては、用紙搬送方向Pは、水平方向Xとほぼ一致する。空気吸引ユニット36は、搬送ベルト31の搬送面31Aの下側(反対側)に配置される。
搬送ベルト31としては、両端部を互いに重ね合わせて接合してエンドレス状にしたベルトや、継ぎ目を有しない(シームレス)ベルト等を用いることができる。
【0023】
図2及び図3に示すように、所定の記録時には、記録媒体としての用紙Tは、搬送ベルト31の搬送面31A上に、用紙搬送方向Pの一方側から導入される。搬送面31Aには、空気吸引ユニット36の動作に伴って、前記の吸引用の貫通孔(図示せず)を介して搬送ベルト31に作用する吸引力が生じている。搬送ベルト31の搬送面31A上に導入された用紙Tは、前記吸引力により搬送面31Aに吸着されて、用紙搬送方向Pの他方側に向けて搬送される。このように搬送ベルト31の搬送面31Aに吸着された状態で搬送される用紙Tに向けて、後述する記録部20の記録ヘッド22からインクが吐出されることにより、用紙Tに画像等が記録される(印刷される)。
【0024】
図1に示すように、給紙カセット3は、用紙Tを積層状態で収容するものであり、本体2の内部の下方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの上流側に配置されている。給紙ローラー4は、給紙カセット3の上方に配置されている。この給紙ローラー4により、用紙Tは、図1における給紙カセット3の右上方に向けて送り出される。
【0025】
用紙搬送路5、レジストローラー対6、記録部20及び搬送ユニット30は、給紙カセット3の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。給紙カセット3から送り出された用紙Tは、用紙搬送路5を通ってレジストローラー対6に到達する。レジストローラー対6は、用紙Tの斜め送りを矯正して、用紙Tを再度送り出す。記録部20とレジストローラー対6との間の用紙搬送路5には、用紙先端検出センサ(図示せず)が設けられる。この用紙先端検出センサにより、用紙Tの先端部が検出され、その検出されたタイミングに基づいて、記録部20は、後述するようなインクの吐出動作を実行する。
【0026】
図1に示すように、乾燥装置7は、本体2の内部の上方における搬送ユニット30の用紙搬送方向Pの下流側に配置されている。乾燥装置7は、記録部20において吐出されるインクにより記録された後における用紙Tのインクを乾燥させる。
【0027】
排紙ローラー対8、排紙口9及び排紙トレイ10は、乾燥装置7の用紙搬送方向Pの下流側に、この順で配置されている。乾燥装置7によりインクの乾燥が終了した用紙Tは、排紙ローラー対8により用紙搬送方向Pの下流側に送られ、排紙口9を通して、本体2の外側に設けられた排紙トレイ10に送られて、本体2の外部に排出される。
【0028】
図1から図3に示すように、記録部20は、4色に対応する記録ヘッド22を備える。4色に対応する記録ヘッド22とは、ブラック用の記録ヘッド22K、シアン用の記録ヘッド22C、マゼンタ用の記録ヘッド22M及びイエロー用の記録ヘッド22Yである。これら4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yは、用紙搬送方向P(水平方向X)に対して直交する用紙幅方向Yに沿って長く延びている。記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yは、搬送ベルト31の用紙搬送方向Pに沿い、用紙搬送方向Pの上流側から下流側に向かって順に配列して配置されている。第1実施形態においては、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yそれぞれにおいて、1色の記録ヘッドにあたり3個の記録ヘッドが、用紙幅方向Yに沿って千鳥状に配置している。
【0029】
図1に示すように、搬送ユニット30の下方には、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yそれぞれに対応して、4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yが配置されている。4色のインクは、それぞれ4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yから供給チューブ(図示せず)を経て、4色のインクが対応する記録ヘッド22K、22C、22M及び22Yに補給される。
【0030】
なお、以下の説明において、特に特定する必要がある場合を除いて、4色の記録ヘッド22K、22C、22M及び22Y並びに4台のインクタンク23K、23C、23M及び23Yの識別記号である「K」、「C」、「M」及び「Y」については省略して、単に「記録ヘッド22」及び「インクタンク23」と記載する。後述する「キャップ51」、「キャップ下受け部61」、「第1インク誘導傾斜部62」、「インク流動路67」等についても、同様に記載する。
【0031】
記録部20の各記録ヘッド22は、外部コンピューター(図示せず)から受信した画像データ情報(例えば、文字、図形、模様)に基づいて、搬送ベルト31の搬送面31A上に載置された用紙Tに向かって4色のインクを吐出する。図2及び図3に示すように、各記録ヘッド22は、記録ヘッド支持部材21に支持されており、この記録ヘッド支持部材21と共に、本体2に固定されている。そして、搬送ベルト31の回転移動と共に、所定のタイミングで各記録ヘッド22から、4色のインクが順次吐出される。これにより、用紙Tには、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色のインクが重ね合わせられ、カラーインク画像が印刷される。
【0032】
記録ヘッド22からのインク吐出方式としては、例えば、ピエゾ素子(図示せず)を用いてインクを押し出すピエゾ方式や、発熱体(図示せず)によって気泡を発生させ、圧力を掛けてインクを吐出するサーマルインクジェット方式などの各種吐出方式を採用することができる。
【0033】
図1に示すように、搬送ユニット30の昇降装置40は、搬送ユニット30の下方に配置されている。昇降装置40は、搬送ユニット30を記録ヘッド22に対して、水平面(X−Y平面)に垂直な方向Z(以下「上下方向Z」ともいう)に昇降(移動)させるものである。この昇降装置40による搬送ユニット30の上下方向Zの移動により、搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22のノズル面221(図5参照)に対して相対的に接近又は離間可能に構成されている。
【0034】
図1に示すように、昇降装置40は、搬送ベルト31の下方における用紙搬送方向Pの上流側及び下流側に配置された2つの偏心カム41を備える。偏心カム41は、搬送ユニット30の正面側及び背面側にそれぞれ2個ずつ、合計4個設けられる。偏心カム41の偏心周面は、搬送ユニット30の外底面に下方から接近する。図1に示すように、各偏心カム41は、用紙幅方向Yに延びる軸部42を備えると共に、回転軸線が偏在するカムで構成される。偏心カム41は、モーター(図示せず)を介して、軸部42を中心として回転される。偏心カム41は、その周縁部に、複数のベアリング43を備えている。ベアリング43の周面の一部は、偏心カム41の周面から外方に突出している。
【0035】
ベアリング43は、偏心カム41の回転軸線と平行な軸線を中心として回転自在となっている。ベアリング43は、偏心カム41の先端側から回転軸線側に向かって順次配置されている。通常の印刷状態においては、図1に示すように、軸部42から最も離れたベアリング43は、搬送ユニット30の外底面に下方から当接する。これにより、搬送ユニット30は、図2に示す最高位置に上昇移動される。
【0036】
この状態から、用紙搬送方向Pの上流側の偏心カム41を正面視で反時計方向に回転させると共に、用紙搬送方向Pの下流側の偏心カム41を正面視で時計方向に回転させる。これにより、複数のベアリング43は、軸部42から最も離れたベアリング43から軸部42に最も近いベアリング43の順で、搬送ユニット30の外底面に順次当接する。そのため、搬送ユニット30を下降させることができる。
複数のベアリング43は、偏心カム41の回転時において、周縁方向で隣り合う2個のベアリング43が同時に搬送ユニット30の外底面に当接する期間を有するような間隔に、配置されている。
【0037】
昇降装置40の偏心カム41を回転させて搬送ユニット30を下降させることにより、図4に示すように、搬送ユニット30における搬送ベルト31の搬送面31Aは、記録ヘッド22に対して下方に離間される。これにより、記録ヘッド22からキャップユニット50が離脱される。そして、キャップユニット50が記録ヘッド22から離脱された状態で、記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)からインクを噴射させることにより、ノズル内に残留する高い粘度のインクを吐出させてインク詰まりを解消するための吐出回復処理、すなわち、パージを実行することが可能である。
【0038】
一方、昇降装置40の偏心カム41を前述とは逆方向に回転させて搬送ユニット30を上昇させることにより、図2に示すように、搬送ユニット30は通常の記録位置(印刷位置)に戻される。これによって、記録ヘッド22のノズル面221にキャップユニット50を装着することが可能となる。
【0039】
図2から図4に示すように、キャップユニット50は、画像形成時には記録部20の側方(用紙搬送領域外)の位置であって下方の位置に配置される。また、キャップユニット50は、必要に応じて、記録部20の下方に移動する。キャップユニット50は、第2インク受け部としてのキャップ51と、第1インク受け部としてのキャップ下受け部61と、キャップベース部材52と、スライド機構53と、図示しない垂直駆動機構と、を備えている。キャップユニット50は、スライド機構53(図3参照)により、用紙搬送方向Pに水平移動可能に構成されている。なお、図2及び図4においては、キャップユニット50のスライド機構53の描画を省略している。
キャップユニット50は、搬送ユニット30の上方に配置されており、昇降装置40により、搬送ユニット30と共に昇降可能に構成されている。そのため、キャップユニット50は、記録ヘッド22に対してキャップ51を着脱できる。
【0040】
図3に示すように、キャップ51は、用紙搬送方向P(X)に沿って各色(4色)毎に配置され、さらに、用紙幅方向Yに千鳥状に配列した3個の記録ヘッド22に対応する3箇所に配置され、各色毎に3個ずつ、計12個設けられている。
【0041】
キャップ下受け部61は、1色における3個のキャップ51に対応して、キャップ51の下方に1色に1個配置される。4色それぞれに対応する4個のキャップ下受け部61は、一体的に構成されており、受け部ユニット60を形成している。
キャップベース部材52は、キャップ51及び受け部ユニット60を保持している。
【0042】
スライド機構53は、図3に示すように、記録部20や搬送ユニット30が配置された箇所から背面側に向かって、用紙搬送方向Pと直交する用紙幅方向Yに延びている。スライド機構53は、用紙搬送方向Pに間隔を置いて配置された2個の無端状の移送ベルト54を備えている。
【0043】
そして、移送ベルト54は、それら2個の移送ベルト54の間に跨る形で、キャップベース部材52を支持している。これにより、スライド機構53は、図3に示すように、キャップベース部材52を、記録部20のすぐ下方の装着位置(二点鎖線で示す)と、記録部20の配置箇所の背面側に位置する退避位置との間で、スライド移動させることができる。すなわち、スライド機構53により、キャップ51は、記録ヘッド22に対して、記録ヘッド22の下方である装着位置と、記録部20の背面側に位置する退避位置との2位置を採り得る。
【0044】
キャップユニット50によって、キャップ51は、記録ヘッド22に装着される。その動作を以下に説明する。
プリンター1は、キャップ51を各記録ヘッド22に装着する際、昇降装置40(図1参照)を用いて、図4に示すように、搬送ユニット30を通常の印刷時の位置より降下させる。これにより、記録ヘッド22を備える記録部20と、搬送ユニット30との間に間隙ができる。
【0045】
その後、スライド機構53を用いて、キャップベース部材52を、記録部20の記録ヘッド22と搬送ユニット30との間に生じた間隙に挿入させる。そして、キャップベース部材52を、記録ヘッド22の下方に配置し、図示しない垂直駆動機構により上昇させる。これにより、キャップ51を、記録ヘッド22の底面にあるノズル面221(図5参照)に当接させて、装着する。垂直駆動機構としては、例えば、キャップベース部材52の四隅に配したカム等を同期的に駆動させる機構などが用いられる。
【0046】
次に、図5から図8を参照して、第1実施形態のインクジェット記録装置1における特徴部分に係る構成について詳細に説明する。
図5は、キャップユニット50の全体構造を模式的に示す縦断面図である。図6は、第1実施形態における受け部ユニット60を示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。図7は、図6(B)の拡大図である。図8は、図6(A)に示すA−A線断面図である。
【0047】
図5に示すように、キャップユニット50は、キャップ51と、受け部ユニット60(キャップ下受け部61)と、廃インク容器561と、チューブ562,563と、インク回収用のポンプ564と、を備える。
同じ色に係る記録ヘッド22及びキャップ51は、図3に示すように、平面視で用紙幅方向Yに沿って千鳥状に配置されているが、図5においては、便宜上、同じ色に係る記録ヘッド22及びキャップ51が、用紙幅方向Yに沿って直線状に配置されているように示す。
【0048】
図3に示すように、キャップ51は、3個の記録ヘッド22それぞれに対応して3個設けられ、各記録ヘッド22の下方に配置可能に構成される。図6に示すように、キャップ下受け部61は、3個のキャップ51に対応してキャップ51の下方に1個配置される。キャップ下受け部61は、平面視で3個のキャップ51を含む大きさを有する。廃インク容器561は、搬送ユニット30とは干渉しない位置に配置される。チューブ562は、キャップ下受け部61の第1インク排出孔64(後述)と廃インク容器561とを連通させる。ポンプ564は、チューブ563を介して廃インク容器561と連通している。
【0049】
図5に示すように、キャップ51は、記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)から排出されたインクを受け止める第2インク受け部として機能する。各キャップ51は、第2底面511が形成された第2底壁部512と、第2周壁部513と、第2インク排出部としての第2インク排出孔514と、を有する。
【0050】
図5に示すように、各キャップ51の第2底面511は、記録ヘッド22のノズル面221と対向しており、第2周壁部513から第2インク排出孔514に向けて下がるように傾斜している。
第2周壁部513は、第2底壁部512の周縁部から上方に起立する。第2インク排出孔514は、第2底面511の中央位置に形成されており、第2底面511で受け止めたインクを、下方に位置するキャップ下受け部61に排出させる孔である。
【0051】
別の見方をすると、キャップ51は、複数の記録ヘッド22それぞれに対応して、上下方向Zにおいて記録ヘッド22とキャップ下受け部61との間に配置可能とされている。キャップ51は、インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に受け止め、受け止めたインクを第2インク排出孔514からキャップ下受け部61に排出する。また、3個のキャップ51は、第2周壁部513の外面同士が繋ぎプレート515を介して連結されて一体化され、第2キャップユニット516を構成している。この第2キャップユニット516は、樹脂材料により一体成形されている。
【0052】
次に、キャップ下受け部61について詳述する。
図5から図7に示すように、キャップ下受け部61は、複数(4色)の記録ヘッド22それぞれに対応して記録ヘッド22の下方に配置可能とされている。キャップ下受け部61は、第1インク誘導傾斜部62と、仕切り部としての仕切り壁63と、第1インク排出部としての第1インク排出孔64と、谷部65と、第1側壁部66と、を有する。
【0053】
第1インク誘導傾斜部62は、キャップ下受け部61において受け止めたインクを、第1インク排出孔64へ誘導するように傾斜する部位である。第1インク誘導傾斜部62は、用紙幅方向Yに離間して一対設けられており、用紙幅方向Yの中央に向けてそれぞれ下がるように傾斜している。
【0054】
第1インク誘導傾斜部62は、複数のインク流動路67を有する。インク流動路67は、第1インク誘導傾斜部62におけるインクの流動方向Qに延びると共に、流動方向Qに直交する方向(用紙搬送方向P、水平方向X)に区画されている。キャップ下受け部61Y及び61Cは、8本のインク流動路67を有する。キャップ下受け部61M及び61Kは、4本のインク流動路67を有する。
【0055】
図8に示すように、インク流動路67におけるインクの流動方向Qと直交する方向Pの断面形状は、頂角φが下を向いた二等辺三角形状である。
【0056】
仕切り壁63は、用紙搬送方向Pに隣接するキャップ下受け部61における隣接する第1インク誘導傾斜部62を仕切る部位である。仕切り壁63は、用紙幅方向Yに延びている。
谷部65は、一対の第1インク誘導傾斜部62におけるそれぞれ傾斜方向Qの下端部に隣接している。谷部65は、4つのキャップ下受け部61に跨って、用紙搬送方向P(X)に延びている。谷部65は、第1インク排出孔64に向かって下がるように傾斜している。そのため、谷部65に落下したインクは、第1インク排出孔64へ向かって誘導される。谷部65には、第1インク誘導傾斜部62を流動したインクが落下して一旦溜められる。
【0057】
第1インク排出孔64は、谷部65における水平方向X(P)の中央位置であって且つ用紙幅方向Yの中央位置に設けられる。第1インク排出孔64は、複数のキャップ下受け部61に対して、1個設けられ、複数のキャップ下受け部61によって受け止められたインクを併せて排出する。
第1側壁部66は、第1インク誘導傾斜部62の傾斜方向の上端部から上方に起立する。第1側壁部66は、4つのキャップ下受け部61に跨って、用紙搬送方向P(X)に延びている。
【0058】
つまり、キャップ下受け部61は、インク噴射用ノズル(図示せず)から排出されたインクを、間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出孔64から排出する。本実施形態においては、キャップ下受け部61は、対応するキャップ51の第2インク排出孔514を介して間接的に、インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止める。
4色のキャップ51(1色につき3個)に対応する4個のキャップ下受け部61が一体化されて、受け部ユニット60が形成されている。つまり、複数のキャップ下受け部61は、一体的に構成されている。
【0059】
また、図5に示すように、第2キャップユニット516の繋ぎプレート515の外周縁部とキャップ下受け部61の第1側壁部66の内面との間には、シール材57が介在されている。これにより、シール部が形成されている。シール材57が介在することにより、第2キャップユニット516の外周縁部は、キャップ下受け部61の第1側壁部66の内面に密着される。これにより、第2キャップユニット516とキャップ下受け部61との間の通気が阻害されて、インクの排出がスムーズに行われるようになっている。
【0060】
図5に示すように、チューブ562は、一端部(上端部)においてキャップ下受け部61の第1インク排出孔64に接続されている。また、チューブ562は、他端部(下端部)において廃インク容器561に接続されており、廃インク容器561の内部に開口している。これによって、キャップ下受け部61において受け止められ且つ第1インク排出孔64から併せて排出されるインクを、チューブ562を介して、廃インク容器561の内部に流通させ、貯留することが可能である。
【0061】
また、図5に示すように、圧縮バネ58は、上下方向Zにおいて各キャップ51とキャップ下受け部61との間に配置されている。圧縮バネ58は、キャップユニット50が昇降装置40により搬送ユニット30と共に記録ヘッド22側に上昇されて、各キャップ51が対応する各記録ヘッド22のノズル面221を覆った状態において、各キャップ51をノズル面221に向けて弾性的に移動させるように付勢する。
【0062】
次に、インクの凝固性について説明する。
インクの凝固性は、一般的に、インクの種類(色を含む)によってそれぞれ異なる。インクの凝固性は、例えば、以下の方法によって評価(測定)される。
(1)インク10gを容器に入れる。インク10g中、蒸発成分が5gであり、非蒸発成分が5gである。
(2)その容器をオーブンに入れて、60℃で5時間乾燥させる。インクの蒸発成分が完全に蒸発するまで乾燥させる。
(3)オーブンに入れてから5時間後に、オーブンから容器を取り出して、その重量を測定する。インク中の蒸発成分は完全に蒸発しているので、インク中には、非蒸発成分のみが残り、インクの重量は5gとなっている。
(4)同じ内容で別の検体のインク10gを容器に加えて、その容器を室温環境で30分放置する。
(5)30分放置後、インクを液体と固体とに分離する。
(6)インク中の固体部分と、インク中の非蒸発成分との重量比を凝固性の指標とする。例えば、インク中の固体部分の重量が3gであり、インク中の非蒸発成分の重量が5gであれば、凝固性の指標は、(3g/5g)×100=60%である。
【0063】
凝固性の指標が40%以上であることを「凝固性が高い」とし、凝固性の指標が40%未満であることを「凝固性が低い」とする。
本実施形態においては、記録ヘッド22Yから排出されるイエローのインク及び記録ヘッド22Cから排出されるシアンのインクの凝固性が低く、一方、記録ヘッド22Mから排出されるマゼンダのインク及び記録ヘッド22Kから排出されるブラックのインクの凝固性が高い。例えば、ブラック、シアン、マゼンダ及びイエローそれぞれのインクにおける凝固性の指標は、それぞれ45%、35%、70%及び10%である。
【0064】
なお、上記のインクの凝固性の指標(ブラック:45%、シアン:35%、マゼンダ:70%、及びイエロー:10%)は一例であり、これに限られない。インクの凝固性は、例えば、用いるインクの組成により変化する。また、インクの凝固性の大小関係も変化し得る。用いるインクの凝固性やそれらの大小関係が上記の例と異なる場合には、上記で例示した複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度の大きさを、インクの凝固性やその大小関係に応じて適宜変更することにより、上記の実施形態と同様の作用及び効果を奏することができる。
【0065】
凝固性が高いブラックのインクが受け止められるキャップ下受け部61K及び凝固性が高いマゼンダのインクが受け止められるキャップ下受け部61Mにおいては、インク流動路67K及びインク流動路67Mの幅W1及び傾斜角度θ1は、大きく設定されている。このように設定することにより、インク流動路67におけるインクの流動性を向上させ、インクの流動速度を速くすることができる。そして、インクを、インク流動路67から速やかに谷部65へ落下させ、第1インク排出孔64から排出させることができる。
幅W1は、例えば、10mm以上15mm以下である。傾斜角度θ1は、例えば、6度以上10度以下である。
【0066】
一方、凝固性が低いシアンのインクが受け止められるキャップ下受け部61C及び凝固性が低いイエローのインクが受け止められるキャップ下受け部61Yにおいては、インク流動路67C及びインク流動路67Yの幅W2及び傾斜角度θ2は、小さく設定されている。このように傾斜角度を小さく設定することにより、キャップ下受け部61の高さ方向(Z方向)のサイズを小さくでき、省スペース化を図ることができる。
幅W2は、例えば、5mm以上10mm未満である。傾斜角度θ2は、例えば、3度以上6度未満である。
【0067】
第1実施形態においては、複数の第1インク受け部61は、インク流動路67K,67Mの幅W1及び傾斜角度θ1が大きい第1インク受け部61K,61Mと、インク流動路67C,67Yの幅W2及び傾斜角度θ2が小さい第1インク受け部61C,61Yとが交互に配列するように、配置される。
【0068】
二等辺三角形状の断面形状を有するインク流動路67においては、頂角φは、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67K,67Mにおいては、大きく設定される(φ1)。また、頂角φは、凝固性が低いインクが流動するインク流動路67C,67Yにおいては、小さく設定される(φ2)。
頂角φ1は、例えば、15度以上25度以下である。頂角φ2は、例えば、10度以上15度未満である。
各幅W1、幅W2、傾斜角度θ1、傾斜角度θ2、頂角φ1及び頂角φ2は、本実施形態においては、それぞれ同じに設定されているが、異ならせてもよい。
【0069】
次に、吐出回復処理(パージ)及びその際のインクの流れについて説明する。
キャップユニット50が記録ヘッド22に装着されたときには、キャップユニット50の各キャップ51は、記録ヘッド22のノズル面221を覆う。これにより、記録ヘッド22の不使用時において、残留インクが乾燥してノズルに詰まりを生じたり、ノズルを介して記録ヘッド22の内部に異物が混入したりすることを防ぐことができる。
【0070】
そして、次に記録ヘッド22による記録を開始するに先立って、昇降装置40によりキャップユニット50を、搬送ユニット30と共に下降させることにより、キャップ51は、記録ヘッド22のノズル面221から離間するように、下方に移動される。
【0071】
このようにキャップユニット50が記録ヘッド22の下方に下降されたときには、キャップユニット50における各キャップ51は、記録ヘッド22のノズル面221の直下の位置に対応して配置する。この状態において、各記録ヘッド22のインク噴射用ノズル(図示せず)からインクを噴射させることにより、吐出回復処理が実行される。吐出回復処理は、記録部20の長時間停止(記録ヘッド22の不使用)に伴ってノズル内に残留している高い粘度のインクを吐出させて、インクの吐出不良の発生を防止する処理である。
【0072】
吐出回復処理の実行に伴って、各記録ヘッド22のインク噴射用ノズルから排出されたインクは、各キャップ51の第2底面511で受け止められた後、第2底面511の傾斜に沿って第2インク排出孔514側に向けて流れると共に合流する。その後、合流したインクは、各キャップ51それぞれの第2インク排出孔514から、下方に位置するキャップ下受け部61に排出される。
【0073】
各キャップ51の第2インク排出孔514それぞれから下方に排出されたインクは、キャップ下受け部61で受け止められた後、第1インク誘導傾斜部62(インク流動路67)の傾斜に沿って流動し、谷部65に落下する。谷部65においては、4色のインクが合流する。谷部65において合流したインクは、第1インク排出孔64から併せて排出される。この第1インク排出孔64から排出されたインクは、チューブ562を通って廃インク容器561内に収容(貯留)される。
廃インク容器561内に貯留されたインクは、ポンプ564の作動に伴って、チューブ563を介して、所定の箇所(図示せず)に回収される。
【0074】
なお、谷部65では、異なる色のインクが混合するため、インクの凝固が発生する虞がある。しかし、谷部65では、ポンプ564に近いため、強い吸引力が生じている。そのため、インクの凝固によるインクの排出性の低下は、比較的少ない。
【0075】
第1実施形態のインクジェット記録装置1によれば、例えば、次の効果が奏される。
第1実施形態のインクジェット記録装置1は、複数の記録ヘッド22それぞれに対応して記録ヘッド22の下方に配置可能とされ、インク噴射用ノズルから排出されたインクを間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出孔64から排出する複数のキャップ下受け部61を備える。複数のキャップ下受け部61は、受け止めたインクを第1インク排出孔64へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部62と、隣接するキャップ下受け部61を仕切る仕切り壁63と、を有し、第1インク誘導傾斜部62は、第1インク誘導傾斜部62におけるインクの流動方向Qに延び且つ流動方向Qに直交する方向Pに区画された複数のインク流動路67を有する。インク流動路67の幅及び傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67K,67Mにおいては、大きく設定され(W1,θ1)、また、凝固性が低いインクが流動するインク流動路67C,67Yにおいては、小さく設定される(W2,θ2)。
【0076】
そのため、第1実施形態によれば、仕切り壁63により、異なる色のインクがキャップ下受け部61において混合することが抑制される。また、凝固性が高く流動性が低いインクを、幅W1及び傾斜角度θ1が大きく流動性が高いインク流動路67K,67Mを利用して、第1インク排出孔64へ誘導することができる。従って、第1実施形態によれば、複数の記録ヘッド22から排出されたインクが混合することを抑制でき、インクがキャップ下受け部61に残留しにくい。
【0077】
また、第1実施形態においては、第1インク排出孔64は、複数のキャップ下受け部61に対して、1個設けられ、複数のキャップ下受け部61によって受け止められたインクを併せて排出する。そのため、第1インク排出孔64に接続するチューブ等の個数を削減でき、装置の構造を簡易にすることができる。
【0078】
次に、本発明の他の実施形態について説明する。他の実施形態については、主として、第1実施形態と異なる点を中心に説明し、第1実施形態と同様な構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する。他の実施形態において、特に説明しない点は、第1実施形態についての説明が適宜適用される。また、他の実施形態においても、第1実施形態と同様な効果が奏される。
【0079】
<第2実施形態>
図9により、第2実施形態について説明する。図9は、本発明の第2実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Aを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
【0080】
第2実施形態においては、図9に示すように、凝固性が高いインクを受け止めるキャップ下受け部61K,61Mと、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yとは、隣接している。この点は、第1実施形態と同じである。
一方、第1実施形態においては、インク流動路67の幅が一定であるのに対して、第2実施形態においては、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yにおける、凝固性が高いインクを受け止めるキャップ下受け部61K,61Mとの間を仕切る仕切り壁63に近接するインク流動路67(671)の幅W1及び傾斜角度θ1は、仕切り壁63から離れたインク流動路67(672)の幅W2及び傾斜角度θ2よりも、大きく設定される。
第2実施形態においては、幅W1及び傾斜角度θ1が大きいインク流動路67(671)は、仕切り壁63に隣接するインク流動路67である。
【0081】
そのため、第2実施形態によれば、凝固性が高いインクが仕切り壁63を越えて、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yに侵入してきたとしても、その侵入した凝固性が低いインクの全部又は大部分は、幅W1及び傾斜角度θ1が大きく設定されたインク流動路67を流動することになる。そのため、凝固性が高いインクが、凝固性が低いインクを受け止めるキャップ下受け部61C,61Yに侵入したことに起因するインクの流動不良を抑制することができる。
【0082】
<第3実施形態>
図10により、第3実施形態について説明する。図10は、本発明の第3実施形態のインクジェット記録装置における受け部ユニット60Bを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
第3実施形態においては、図10に示すように、複数のキャップ下受け部61は、複数のインク流動路67の幅W1及び傾斜角度θ1が大きいキャップ下受け部61K,61Mを、第1インク排出孔64に近接して配置し、また、複数のインク流動路67の幅W2及び傾斜角度θ2が小さいキャップ下受け部61C,61Yを、第1インク排出孔64から離して配置する。
【0083】
そのため、第3実施形態によれば、インク流動路67の幅W1及び傾斜角度θ1が大きいキャップ下受け部61K,61Mに受け止められた凝固性が高いインクは、第1インク排出孔64から速やかに排出されやすい。従って、第3実施形態によれば、凝固性が高いインクがキャップ下受け部61に残留しにくい。
【0084】
<第4実施形態>
図11により、第4実施形態について説明する。図11は、本発明の第4実施形態における受け部ユニット60Cを示す図で、(A)は平面図、(B)は断面図である。
第4実施形態においては、図11に示すように、第1インク排出孔64は、各キャップ下受け部61ごとにそれぞれ設けられている。そのため、第4実施形態によれば、谷部65の長さを短くできるため、各キャップ下受け部61において、キャップ下受け部61により受け止められたインクは、第1インク排出孔64から速やかに排出されやすい。従って、第4実施形態によれば、インクがキャップ下受け部61に残留しにくい。
【0085】
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、上述した実施形態に限定されることなく、種々の形態で実施することができる。
例えば、前記実施形態においては、インク流動路67の幅及び傾斜角度の両方を、凝固性が高いインクが流動するインク流動路67において大きく設定しているが、これに制限されない。インク流動路67の幅又は傾斜角度の一方のみを大きく設定してもよい。
前記実施形態においては、キャップ下受け部61に本発明における「第1インク受け部」を適用しているが、これに制限されない。キャップ51に本発明における「第1インク受け部」を適用してもよい。
【0086】
インク流動路67は、前記実施形態においては、平面視において用紙幅方向Yに沿って直線状に延びているが、インク流動路67が延びる方向及び延びる形状は、これに制限されない。
仕切り部は、前記実施形態においては、壁である仕切り壁63から構成されているが、これに制限されない。仕切り部は、隣接する溝部の間の山となる部分から構成することもできる。
前記実施形態においては、複数のキャップ下受け部61(第1インク受け部)が一体化して、受け部ユニット60を構成しているが、これに制限されない。複数のキャップ下受け部61(第1インク受け部)は、別体で構成することができる。
【0087】
また、上述の各実施形態では、記録部20の記録ヘッド22に対して搬送ユニット30を昇降移動させることで、搬送面31Aと記録ヘッド22のノズル面221とを相対的に接近又は離間可能にしているが、これに制限されない。例えば、搬送ユニット30を移動させずに記録部20側を昇降移動させることで、記録ヘッド22のノズル面221と搬送面31Aとを相対的に接近又は離間可能にしてもよい。また、搬送ユニット30及び記録部20の両方を互いに移動させることで、搬送面31Aと記録ヘッド22のノズル面221とを相対的に接近又は離間可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0088】
1……インクジェット記録装置、22(K,C,M,Y)……記録ヘッド、51……キャップ(第2インク受け部)、514……第2インク排出孔(第2インク排出部)、61(K,C,M,Y)……キャップ下受け部(第1インク受け部)、62(K,C,M,Y)……第1インク誘導傾斜部、63……仕切り壁(仕切り部)、64……第1インク排出孔(第1インク排出部)、67(K,C,M,Y)……インク流動路、221……ノズル面、Q……インクの流動方向、傾斜方向、W1,W2……インク流動路の幅、X……流動方向に直交する方向、Z……上下方向、θ1,θ2……インク流動路の傾斜角度、φ1,φ2……インク流動路の断面形状の頂角
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、
前記複数の記録ヘッドそれぞれに対応して該記録ヘッドの下方に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に又は間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出部から排出する複数の第1インク受け部と、を備え、
前記複数の第1インク受け部は、受け止めたインクを前記第1インク排出部へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部と、隣接する前記第1インク受け部を仕切る仕切り部と、を有し、
前記第1インク誘導傾斜部は、該第1インク誘導傾斜部におけるインクの流動方向に延び且つ該流動方向に直交する方向に区画された複数のインク流動路を有し、
前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定される
インクジェット記録装置。
【請求項2】
複数の前記記録ヘッドそれぞれに対応して上下方向において該記録ヘッドと前記第1インク受け部との間に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に受け止め、受け止めたインクを第2インク排出部から前記第1インク受け部に排出する複数の第2インク受け部と、を更に備え、
前記第1インク受け部は、対応する前記第2インク受け部の前記第2インク排出部を介して間接的に、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止める
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記複数の第1インク受け部は、一体的に構成されている
請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1インク排出部は、前記複数の第1インク受け部に対して、1個設けられ、前記複数の第1インク受け部によって受け止められたインクを併せて排出する
請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記インク流動路におけるインクの流動方向と直交する方向の断面形状は、頂角が下を向いた二等辺三角形状であり、
前記頂角は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定される
請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部と、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部とが交互に配列するように、配置される
請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部に近接して配置し、また、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部から離して配置する
請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部と凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部とが隣接している場合において、凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部における、凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部との間を仕切る前記仕切り部に近接する前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、前記仕切り部から離れた前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度よりも、大きく設定される
請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項1】
インク噴射用ノズルが形成されたノズル面を有する複数の記録ヘッドと、
前記複数の記録ヘッドそれぞれに対応して該記録ヘッドの下方に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に又は間接的に受け止め、受け止めたインクを第1インク排出部から排出する複数の第1インク受け部と、を備え、
前記複数の第1インク受け部は、受け止めたインクを前記第1インク排出部へ誘導するように傾斜する第1インク誘導傾斜部と、隣接する前記第1インク受け部を仕切る仕切り部と、を有し、
前記第1インク誘導傾斜部は、該第1インク誘導傾斜部におけるインクの流動方向に延び且つ該流動方向に直交する方向に区画された複数のインク流動路を有し、
前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定される
インクジェット記録装置。
【請求項2】
複数の前記記録ヘッドそれぞれに対応して上下方向において該記録ヘッドと前記第1インク受け部との間に配置可能とされ、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを直接的に受け止め、受け止めたインクを第2インク排出部から前記第1インク受け部に排出する複数の第2インク受け部と、を更に備え、
前記第1インク受け部は、対応する前記第2インク受け部の前記第2インク排出部を介して間接的に、前記インク噴射用ノズルから排出されたインクを受け止める
請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
前記複数の第1インク受け部は、一体的に構成されている
請求項1又は2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第1インク排出部は、前記複数の第1インク受け部に対して、1個設けられ、前記複数の第1インク受け部によって受け止められたインクを併せて排出する
請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
前記インク流動路におけるインクの流動方向と直交する方向の断面形状は、頂角が下を向いた二等辺三角形状であり、
前記頂角は、凝固性が高いインクが流動する前記インク流動路においては、大きく設定され、また、凝固性が低いインクが流動する前記インク流動路においては、小さく設定される
請求項1から4のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部と、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部とが交互に配列するように、配置される
請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
前記複数の第1インク受け部は、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が大きい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部に近接して配置し、また、前記複数のインク流動路の幅及び/又は傾斜角度が小さい該第1インク受け部を、前記第1インク排出部から離して配置する
請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項8】
凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部と凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部とが隣接している場合において、凝固性が低いインクを受け止める前記第1インク受け部における、凝固性が高いインクを受け止める前記第1インク受け部との間を仕切る前記仕切り部に近接する前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度は、前記仕切り部から離れた前記インク流動路の幅及び/又は傾斜角度よりも、大きく設定される
請求項1から7のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−232448(P2012−232448A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101449(P2011−101449)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000006150)京セラドキュメントソリューションズ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】
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