説明

インク溶媒支援型の熱シール可能な媒体

【課題】時間の経過による染料褪色及びカラーシフト問題を軽減させ且つ物理的取扱いに対し改善された耐久性をもたらす印刷媒体の製造法を提供する。
【解決手段】当該方法は、半金属酸化物又は金属酸化物微粒子から成る多孔質コーティング組成物で媒体基材を被覆し多孔質インク受容層を形成するステップ、インクが多孔質インク受容層にて受容され得るように構成されたラテックス層で多孔質インク受容層をコーティングするステップ、非印刷ラテックス領域を除いてラテックス層の少なくとも一部の上にインクを印刷しインク会合ラテックス領域を形成するステップ、及びラテックス層を加熱するステップを包含する。インクジェットインクは、インクビヒクル、着色剤及びインク会合ラテックス領域のラテックス微粒子の膜形成温度を低下させる膜促進添加剤を含み得る。加熱時、インク会合ラテックス領域は連続膜を形成し、非印刷ラテックス領域は連続膜を形成しない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、インクジェット媒体及び印刷画像を保護するための方法に関する。より詳細には、本発明は、ラテックスがその上に被覆されているインク受容層の調製、並びに加熱によるラテックスの膜形成を支援する膜促進添加剤を含有するインクの調製に関する。
(優先権の主張)
本願は、2004年10月20日付けの米国仮特許出願第60/620,959号の利益を要求するものでもある。
【背景技術】
【0002】
インクジェット技術において、高分解能画像の画像品質は、画像を生成するのに使用されるインクジェットインク、及び画像がその上に印刷される印刷媒体の両方に大きく依存する。画質の望ましい特性としては、多数の特性の中でも、飽和色、高光沢性及び光沢の均一性、及び粒状性やコアレッセンス(集塊、凝集)が無いこと等が挙げられる。
【0003】
しかしながら、高分解能画像を印刷する際、別の大問題、即ち、その画像品質がどれだけ長く維持されるかということに関連する画像耐久性が持ち上がる。写真産業は、フィルム方式からディジタル画像方式へと移行しつつあり、画像耐久性の問題は、ますます、重要となっている。
【0004】
現在市販されている印刷媒体の多くに関しては、印刷された画像は、一般に、画像の耐久性という領域において望ましくない特性を有する。そのような望ましくない特性の1つは、染料系インクジェットインクを多孔質媒体上に印刷する際に観察される、漸進的な染料の褪色である。当該褪色は、オゾンのような、大気中の少量の反応性化合物によって引き起こされることが確認されている。時間が経つにつれ、オゾンは、インクジェットインクに通常用いられる多くの染料と反応して、それらを破壊し、そしてそれらの意図されたカラー特性を損失又は低下させるものと思われる。染料の褪色は、特定の染料に関してより問題となることに留意すべきである。例えば、シアン染料は、大気中のオゾンの存在によって、その他の染料が受けるよりも大きな影響を受ける傾向がある。
【0005】
染料の褪色と共に、別の望ましくない顕著な特性は、カラーシフトである。オゾンがインクジェットインクの染料と反応する際、所与の染料の意図されたカラー特性が可視スペクトルに沿って別の波長値に移動(シフト)し得ることが観察されている。この効果によって、印刷画像の知覚されるカラーが、元々その染料によって意図されていたカラーから徐々に変化してしまうのである。
【0006】
これらの望ましくない特性、即ち、染料の褪色、カラーシフト、及び物理的取扱いの結果としての損傷は、徐々に、印刷画像の外観に影響する。印刷画像は、時間の経過と共にこれらの顕著な変化を受け易いため、多くの場合、特にグラフィック技術及び写真工業においては、有意期間持ちこたえるべく望まれる画像を印刷する際にはインクジェット印刷を採用することに消極的であった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、高いオゾン堅牢性と低減されたカラーシフトを呈し、より物理的に耐久性のある印刷画像をもたらす印刷媒体を開発することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
染料褪色及びカラーシフトのような、画像性能に関連する望ましくない特性を軽減させ、且つ物理的取扱いに対して改善された耐久性をもたらす印刷媒体を開発することは有益であるものと考えられる。この認識に従い、本発明の印刷画像を生成する方法は、半金属酸化物又は金属酸化物微粒子からなる多孔質コーティング組成物で媒体基材をコーティングして多孔質インク受容層を形成するステップ、インクジェットインクを多孔質インク受容層にて受容できるよう構成されているラテックス層で前記多孔質インク受容層をコーティングするステップ、非印刷ラテックス領域以外のインク会合ラテックス領域を形成するべくラテックス層の少なくとも一部の上にインクジェットインクを印刷するステップ、及び前記ラテックス層を加熱するステップを包含し得る。当該インクジェットインクは、インクビヒクル、着色剤、及びインク会合ラテックス領域にあるラテックス微粒子の膜形成温度を低下させる膜促進添加剤を含有することができる。加熱すると、インク会合ラテックス領域は連続膜を形成し、且つ非印刷ラテックス領域は連続膜を形成しない。
【0009】
本発明の他の詳細な態様によれば、高い耐水性と画像耐久性を示す印刷媒体上の印刷画像が提供され、当該印刷画像は、媒体基材、媒体基材上にコーティングされた半金属酸化物又は金属酸化物微粒子からなる多孔質インク受容層、多孔質インク受容層上にコーティングされたラテックス層、及びラテックス層のインク会合領域を形成するべく非印刷ラテックス領域を除いてラテックス層の少なくとも一部の上に印刷されている膜促進添加剤含有インクジェットインクを含むことができる。インクジェットインクは、多孔質インク受容層によって少なくとも部分的に受容され、且つラテックス層のインク会合ラテックス領域の少なくとも一部は連続膜を含み且つラテックス層の非印刷ラテックス領域は連続膜を含まない。
【0010】
他の実施形態では、印刷画像を生成するシステムが提供され、当該システムは、インクジェットインク、印刷媒体、及び加熱装置を具備することができる。当該インクジェットインクは、インクビヒクル、着色剤、及び膜促進添加剤から構成することができ、この場合、膜促進添加剤は、ラテックス微粒子と接触するとそのラテックス微粒子の膜形成温度を低下させ得るように構成されている。印刷画像は、媒体基材、媒体基材上に被覆された半金属酸化物又は金属酸化物微粒子を含んで成るインク受容層、及び多孔質インク受容層上に被覆された不連続ラテックス層から構成することができ、この場合、当該ラテックス層は、インクジェットインクを通過させ且つ多孔質インク受容層にてインクジェットインクが受容され得るように構成されている。加熱装置は、インク会合領域を形成するべく、インクジェットインクの適用後に印刷媒体に熱を適用するように構成されており、この場合、インク会合ラテックス領域は、熱の適用時に連続膜を形成し、且つインクジェットインクが適用されていない領域は、熱の適用時に連続膜を形成しない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、高いオゾン堅牢性と低減されたカラーシフトを呈し、より物理的に耐久性のある印刷画像をもたらす印刷媒体を提供することができる。
本発明のその他の特徴並びに利点は、例示目的で本発明の特徴を記載する以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明の詳細な実施形態を開示、説明するにあたり、本発明が、本明細書に開示する特定のプロセス並びに材料に限定されるものではないことを理解されたい。何故なら、それらは、ある程度変更し得るからである。また、本明細書で用いられている用語は、特定の実施形態を専ら記述するだけの目的で用いられており、本発明の範囲を限定する意のないことも理解されたい。本発明の範囲は、添付の特許請求の範囲及びその等価物によってのみ限定されることとする。
【0013】
本発明を説明し且つ範囲請求するにあたり、以下の用語を用いることとする。
【0014】
別途明確に指示のない限り、単数形は、複数形の意味を包含する。従って、例えば、「染料」という場合、1つ又は複数の染料の意を包含する。
【0015】
「インク」又は「インクジェットインク」は、液体ビヒクル及び着色剤(例えば、染料)を含み得る液体溶液あるいは分散組成物を指す。液体ビヒクルは、広範な溶液特性にわたって染料に対し安定であるよう構成することができ、インクジェット印刷に適するように構成することができる。
【0016】
本明細書で用いるとき、「液体ビヒクル」とは、着色剤を基材へ輸送するのに使用できる液体組成物を包含するものとして定義される。液体ビヒクルは当分野で周知であり、本発明の実施形態に従って様々なインクビヒクルを使用することができる。当該インクビヒクルは、限定はしないが、界面活性剤、溶媒、共溶媒、緩衝剤、殺生物剤、粘度修正剤、金属イオン封止剤、安定化剤、及び水をはじめとする、様々な各種薬剤の混合物から構成される。液体ビヒクルはまた、いくつかの実施形態では、ポリマー、UV硬化性材料、及び/又は可塑剤のような、その他の添加剤を含有することもできる。
【0017】
「媒体基材」又は「基材」は、本発明の(インク受容層を形成するための)コーティング組成物によりコーティングし得る任意の基材を包含し、紙、オーバーヘッドプロジェクタープラスチック又はフィルム、写真ベースなどの被覆紙(コーテッド紙)、織物、水彩紙などのアート紙等を挙げることができる。
【0018】
用語「印刷媒体」又は「印刷メディア」は、インク受容層で被覆されている媒体基材を指す。
【0019】
「多孔質媒体」は、本発明の実施形態におけるインクジェットインクを取り込む(吸収する)ことができる表面空隙及び/又は空洞を有する任意の無機微粒子含有被覆媒体を指す。典型的に、多孔質媒体は、基材及び多孔質インク受容層を含んで成る。インクが多孔質媒体上に印刷されると、インクは空隙を充填し、そして在来の又は膨潤性媒体と比較して、より短時間で、接触に対しても乾燥状態となることができる。コーティング中に存在させ得る通常の無機微粒子としては、例えば、シリカ又はアルミナのような半金属酸化物又は金属酸化物微粒子が挙げられる。さらに、そのようなコーティングは、典型的に、高分子バインダーによって互いに結合され、任意に、所定の染料種を誘引する媒染剤又はイオン結合種を含むことができる。
【0020】
用語「ラテックス」又は「ラテックス分散物」は、ラテックス微粒子、並びにラテックス微粒子がその中に分散している水性媒体の両方を包含する。より詳細には、ラテックスは、液体(水及び/又は他の液体など)と、20nm〜500nm(好ましくは100nm〜300nm)のサイズ及び約10,000Mw〜2,000,000Mw(好ましくは、約40,000Mw〜100,000Mw)の重量平均分子量を有する高分子微粒子とを含んで成る懸濁液である。典型的に、高分子微粒子は、その液体中に0.5wt%〜15wt%にて存在し得る。そのような高分子微粒子は、典型的にランダム重合される複数のモノマーから構成することができ、且つ架橋結合されていてもよい。架橋結合されると、その分子量は上記の値より高くなることさえある。さらに、一実施形態では、ラテックス成分は、約−25℃〜100℃のガラス転移温度を有し得る。
【0021】
用語「ラテックス微粒子」又は「ラテックス粒子」は、ラテックス分散物中に分散している高分子の塊である。一実施形態において、ラテックス微粒子は、実質的に、非多孔質とし得る。
【0022】
用語「ガラス転移温度」は、ポリマーの性質が剛性状態からより柔軟な状態へと変化する際の温度を指す。換言すれば、ポリマーは、当該ポリマーのガラス転移温度より低い温度においては剛性状態にあり、そしてガラス転移温度より高い温度においては柔軟な即ち流動可能な状態にある。ガラス転移温度より高い温度にまで加熱すると、ラテックス微粒子は一緒に流れ始めて連続膜を形成することができる。
【0023】
用語「膜形成温度」は、ラテックス微粒子が一緒に流れ、合着して、連続膜を形成する際の温度を指す。合着の程度は、熱と同時に適用される圧力及び熱が適用される持続時間によって左右され得る。
【0024】
用語「連続膜」は、少なくともラテックスの膜形成温度にまで加熱されたラテックス層であって、その層を構成するラテックス微粒子が一緒に流れて連続膜の障壁を形成しているラテックス層を指す。連続層は、空気中のオゾン及びその他のガスの通過を防ぎ、インクを保護することができる。連続層の完全さは、ハイライタ(蛍光ペン)テストにより試験することができる。この試験では、被験印刷画像上に蛍光ペンを用いて線を描く。もしラテックス層が連続的であれば、蛍光ペンの染料がインク受容層へと通過するのを防止し、従って、印刷画像から容易に擦り落とすことができる。ラテックス層が連続的でない場合には、蛍光ペンの染料がインク受容層にまで通過し、従って、擦っても剥がれないであろう。
【0025】
用語「不連続膜」、「不連続ラテックス層」等は、空隙が散在している、微粒子のマトリックス様の構造から構成される微粒子層を指す。空隙は、層全体にわたって分布し、且つ液体の通過を可能にするようなサイズを有する。そのような不連続膜の一例は、ラテックスのガラス転移温度より低い温度でラテックスを基材に適用して得られるものである。この層は、連続膜を形成すべく加熱されてはおらず、従って、空隙の散在した、ラテックス微粒子からなるマトリックスを含んでいる。空隙の平均サイズは、約5nm〜約25nmとし得るが、これらの値は変化させることができる。当該ラテックスは連続膜を形成していないため、インクは、適用されると、粒子間空隙を通過することができる。適用する熱をガラス転移温度より低くする必要はないが、熱、時間、及び圧力等の組合せがラテックス微粒子をそのガラス転移温度を越えるところまで高めてはならないことに留意されたい。説明すると、比較的高い温度を短時間適用することは、その比較的高い温度がガラス転移温度より高い場合であっても、材料の温度をそのガラス転移温度を上回るところまでは必ずしも高めないであろう。
【0026】
数値又は範囲に関していう用語「約」は、測定実施時に起こり得る実験誤差から生ずる値も包含する意がある。
【0027】
本明細書では、濃度、量、測定値、及びその他の数値データを範囲形式で提示する場合がある。そのような範囲形式は、単に便利且つ簡潔なために用いるものであって、範囲の限界値として明記される数値を含むだけでなく、各数値及び副範囲があたかも明記されているかのように、その範囲内に包含される個別の数値又は副範囲を全て包含するものと柔軟に解釈すべきであることを理解されたい。例えば、約1wt%〜約20wt%という重量範囲は、1wt%、約20wt%という明記された濃度限界値を含むだけではなくて、2wt%、3wt%、4wt%のような個別の濃度及び5wt%〜15wt%、10wt%〜20wt%等のような副範囲も含むものと解釈すべきである。
【0028】
本発明の種々の実施形態によれば、時間の経過によって起こる染料褪色及び/又はカラーシフトが軽減され、且つ物理的取扱いに対して改善された耐久性をもたらし得る印刷画像の製造方法が開示される。当該方法は、媒体基材を半金属酸化物又は金属酸化物微粒子含有の多孔質コーティング組成物で被覆して、多孔質インク受容層を形成するステップを含むことができる。同方法はまた、ラテックス微粒子を含んでいるラテックス層で前記多孔質インク受容層を被覆するステップも含む。ラテックス層は、インクジェットインクが多孔質インク受容層にて受容され得るように構成することができる。換言すれば、ラテックス微粒子が不連続層を形成するようにラテックス層を適用する。一実施形態では、ラテックス層をインク受容層にさらに結合させるべく、任意にバインダーを存在させ得る。
【0029】
同方法はまた、ラテックス層の少なくとも一部の上にインクジェットインクを印刷して、インクジェットインクの少なくとも一部をインク受容層に受容させ、それによって非印刷ラテックス領域を除いてインク会合ラテックス領域を形成するようにするステップも含むことができる。インク会合領域は、ラテックス層の中でも、ラテックス微粒子がインクジェットインクと接触している領域として定義される。非印刷ラテックス領域は、ラテックス層の中でも、ラテックス微粒子がインクジェットインクと接触していないような領域である。当該インクジェットインクは、インクビヒクル、着色剤、及び膜促進添加剤を含むことができる。膜促進添加剤は、インク会合ラテックス領域内のラテックス微粒子の膜形成温度を低下させることができる。
【0030】
同方法はまた、インク会合ラテックス領域が連続膜を形成し且つ非印刷ラテックス領域が連続膜を形成しないように、ラテックス層を加熱するステップも包含する。ラテックス膜の実際の形成は、ラテックス層に適用される温度と、ラテックス層がその温度にある持続時間とに依存する。また、加熱中にラテックス層に適用される圧力もまた、膜形成過程を加速させることができる。
【0031】
得られる印刷画像は、印刷領域上の連続的なラテックス膜と、非印刷領域上の少なくとも部分的に不連続な膜とを含む。換言すれば、インク受容層内のインク含有領域が連続的なラテックス膜により保護された状態となり、インクと大気中の反応性化合物との間に障壁が設けられることによって染料褪色及び/又はカラーシフトが軽減されるため、印刷画像の性能は改善される。不連続膜の領域については、これらの領域下のインク受容層はインクを含んでいないため、印刷画像の性能に影響しない。また、インク会合領域は低減された膜形成温度を有するため、印刷画像をシールする加熱要件がそれ程高くなく、従って、印刷画像をシールする時間が短縮される。さらに、一実施形態では、インク会合領域をシールした後(非印刷領域の不連続膜は依然として存在する)に、未印刷領域を印刷することができる。どの場合においても、前述のように、ハイライタテストにより膜の連続性を立証することができる。
【0032】
本発明の他の実施形態によれば、時間が経過しても染料褪色及び/又はカラーシフトが少なく、且つ物理的取扱いに対し改善された耐久性を呈し得る印刷画像を印刷媒体上に形成することができる。当該印刷画像は、媒体基材上にコーティングされた多孔質インク受容層を含むことができる。多孔質インク受容層は、半金属酸化物又は金属酸化物微粒子を含み得る。印刷画像はまた、多孔質インク受容層の上にコーティングされたラテックス層を含むことができる。一実施形態においては、ラテックス層をインク受容層にさらに結合させるべく、任意にバインダーを存在させることができる。
【0033】
印刷画像はまた、ラテックス層の少なくとも一部の上に印刷された膜促進添加剤を含み、且つインク受容層によって少なくとも部分的に受容されたインクジェットインクを含むことができる。ラテックス層の印刷部分は、インク会合領域を形成し、それは非印刷ラテックス領域以外の領域である。ラテックス層のうち、インク会合領域の少なくとも一部は連続膜を含むことができ、非印刷ラテックス領域は連続膜を含まない部分を含むことができる。
【0034】
印刷画像を生成するシステムも開示され、当該システムは、インクジェットインク、印刷媒体、及び加熱装置を具備することができる。インクジェットインクは、インクビヒクル、着色剤、及び膜促進添加剤から構成することができ、この場合、膜促進添加剤は、接触するとラテックス微粒子の膜形成温度を低下させるように構成されている。印刷媒体は、媒体基材と、媒体基材上に被覆された半金属酸化物又は金属酸化物微粒子を含有するインク受容層と、インク受容層上に被覆された不連続ラテックス層とを含むことができる。当該ラテックス層は、インクジェットインクがそこを通過して多孔質インク受容層にて受容されるように構成することができる。前記加熱装置は、インク会合ラテックス領域を形成するべく、インクジェットインクの適用後に印刷媒体に熱を適用し得るように構成することができ、ここで、インク会合ラテックス領域は、熱の適用時に連続膜を形成し、且つインクジェットインクが適用されていない領域は、熱の適用時に連続膜を形成しない。
【0035】
多孔質被覆媒体
本発明の一態様によれば、方法、被覆媒体とインクジェットインクシステム、及び印刷媒体が提供される。これらの各実施形態における被覆印刷媒体は、典型的に、基材と、基材上に配置された多孔質インク受容層とを含んで成る。基材には、紙、プラスチック、被覆紙(コーテッド紙)、織物、アート紙、又はインクジェット印刷技術に用いられる他の既知の基材を用いることができる。一実施形態では、基材として写真ベースを用いることができる。写真ベースは、典型的に、ポリエチレン層のような2つの高分子層で単層の紙を挟持して成る3層システムである。
【0036】
多孔質インク受容層に関しては、その中に、無機の半金属又は金属酸化物微粒子、高分子バインダー、及び任意に、媒染剤及び/又は他の多孔質コーティング組成剤を存在させ得る。一実施形態では、無機の半金属又は金属酸化物の微粒子には、シリカ、アルミナ、ベーマイト、ケイ酸塩(ケイ酸アルミニウム、ケイ酸マグネシウム等)、チタニア、ジルコニア、炭酸カルシウム、粘土、及びそれらの誘導体を用いることができる。より詳細な態様では、当該微粒子には、アルミナ、シリカ、又はアルミノケイ酸塩を用い得る。これらの無機微粒子の各々を多孔質コーティング組成物全体に分散させ、それを媒体基材に適用して多孔質インク受容層を形成することができる。典型的に、無機微粒子は、コーティング組成物中に60wt%〜95wt%にて存在する。いくつかの特定の実施形態では、コーティング組成物中にベーマイトを85wt%〜95wt%にて存在させたり、コーティング組成物中にシリカ又はケイ酸塩を75wt%〜85wt%にて存在させることができる。
【0037】
コーティング組成物中において無機微粒子を互いに結合させるために、典型的に、高分子バインダーを含有させる。用い得る典型的な高分子バインダーとしては、ポリビニルアルコール(その水溶性コポリマーを含む);ポリビニルアセタート;ポリビニルピロリドン;酸化及びエーテル化デンプンをはじめとする変性デンプン;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースをはじめとする水溶性のセルロース誘導体;ポリアクリルアミド(その誘導体及びコポリマーを含む);カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク質;シリル変性ポリビニルアルコール;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー等をはじめとする複合(共役)ジエンコポリマーラテックス;アクリル酸及びメタクリル酸等のポリマー及びコポリマーをはじめとするアクリルポリマーラテックス;エチレン−ビニルアセテートコポリマーをはじめとするビニルポリマーラテックス;官能基(例えば、カルボキシ、アミノ、アミド、スルホ等)を含有するモノマーにより上記のポリマーを修飾することによって得られたものをはじめとする官能基修飾ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等をはじめとする熱硬化性樹脂の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、及びアルキル樹脂をはじめとする合成樹脂バインダーが挙げられる。前述のバインダーは、多孔質インク受容層を互いに結合させ得るような量にて存在し得るが、多孔質インク受容層の多孔性を十分維持できる程の少量にて存在する。本発明の実施形態によれば、高分子バインダーは、コーティング組成物中に5wt%〜40wt%にて存在することができる。ベーマイトを用いる特定の実施形態では、高分子バインダーは、3wt%〜15wt%にて存在し得る。あるいはまた、シリカ又はケイ酸塩を用いる場合は、高分子バインダーは、10wt%〜25wt%にて存在し得る。別の特定の実施形態では、当該バインダーには、ポリビニルアルコール又はその誘導体を用いることができる。
【0038】
任意に、多孔質インク受容層はまた、所定の種類の着色剤と反応して耐久性を向上させることが確認されている、イオン結合種又は媒染剤を用いて修飾することができる。コーティング組成物中に含有させ得る(従って、多孔質インク受容層に含有させ得る)代表的な媒染剤としては、カチオン基(アミノ、第三アミノ、アミドアミノ、ピリジン、イミン等)を有する親水性の、水分散性の、又は水溶性のポリマーが挙げられる。これらのカチオン性修飾ポリマーは、水溶性又は水分散性バインダーと相溶性とし得、且つ画像処理や、画像中に存在する色にほとんどあるいは全く悪影響を及ぼさない。そのようなポリマーの適例としては、限定はしないが、ポリ第四アンモニウム塩、カチオン性ポリアミン、ポリアミジン、カチオン性アクリルコポリマー、グアニジン−ホルムアルデヒドポリマー、ポリジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ジアセトンアクリルアミド−ジメチルジアリルアンモニウムクロリド、ポリエチレンイミン、及びエピクロロヒドリンのポリエチレンイミン付加物が挙げられる。媒染剤に加え、多孔質インク受容層に存在させ得るその他の任意成分としては、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、殺生物剤、可塑剤、光沢剤、粘度修正剤、矯正(レベリング)剤、UV吸収体、ヒンダードアミン安定化剤、抗オゾン剤、シランカップリング剤、及び/又はその他の既知の添加剤を挙げることができる。
【0039】
当該インク受容層は、十分な量のインクを吸収して高品質の印刷画像を作り出せるよう設計された、単一層又は複数層のコーティングとし得る。コーティング組成物は、ブレードコーティング、エアナイフコーティング、ロッドコーティング、ワイヤロッドコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング、スライドホッパーコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、及びカスケードコーティングをはじめとする、当業者に既知の任意の手段を用いて、媒体基材に適用し、インク受容層を形成することができる。当該インク受容層は、媒体基材の片面又は両面上に配置することができる。本発明の一実施形態では、コーティング組成物によって形成されるインク受容層の厚さは、約20μm〜約60μmとし得る。幾つかの特定の実施形態によれば、ベーマイト含有コーティング組成物の厚さは約40μm〜約55μmとし得、シリカ又はケイ酸塩含有コーティング組成物の厚さは約25μm〜約35μmとし得る。媒体のトップコートとして適用する場合には、その厚さは、0.1μm〜10μm、より詳細な実施形態においては1μm〜5μmの範囲とし得る。
【0040】
ラテックス層
本発明の印刷画像を形成するのに用い得るラテックスは、典型的に、水性コーティング組成物として調製される。水性コーティング組成物は、ラテックス微粒子と、任意に、バインダーを含むことができる。水性コーティング組成物に用い得る他の添加剤としては、展着剤、可塑剤、及び当業者に既知のその他の任意の添加剤を挙げることができる。水性コーティング組成物の具体的な調合(組成)は、適用された際に、印刷媒体上に不連続な膜を形成するように選択される。このため、印刷媒体に適用されるインクは、不連続膜の間隙を通ってインク受容層にまで容易に到達することができる。これによって、インクは、インク受容層で少なくとも部分的に保持されることになる。
【0041】
当該ラテックスには、典型的に、ラテックス微粒子分散物(ポリマーの塊が液中に分散しているもの)が含まれる。一実施形態では、当該ラテックスは、約−25℃〜約150℃のガラス転移温度を有するラテックス微粒子を含んで成る。理論的には、この範囲内のラテックスは何れも本発明の実施形態に用いることができる。しかしながら、室温付近又はそれより低いガラス転移温度を有するラテックスは、当該ラテックスがこれらの温度において柔らかく且つべとべとした状態のままであるため、使用できない場合がある。本発明のより好ましい実施形態では、約50℃〜約120℃のガラス転移温度を有するラテックス微粒子を含むラテックスを用いることができる。有用なラテックスとしては、限定はしないが、アクリルラテックス及びスチレンアクリルラテックスが挙げられる。当該ラテックスはまた、カチオン性又はアニオン性とし得、且つコーティング組成物中に約80wt%〜約100wt%にて存在し得る。
【0042】
水性コーティング組成物はまた、バインダーを含有することができる。当該バインダーには、ラテックス微粒子を多孔質インク受容層に機能的に結合させ得る、当業者に既知の任意の組成物又は化合物を用いることができる。当該バインダーは、連続膜ではなく不連続膜が多孔質インク受容層上に形成されるように、それ故、印刷媒体の多孔性が維持されるように選択する必要がある。多孔質インク受容層に関し不連続層を物理的に配置することによって、印刷媒体に適用されたインクをインク受容層に受容させることができる。他方、連続膜は、多孔質インク受容層へのインクの十分なアクセスを許容しないであろう。
【0043】
本発明の実施形態によれば、当該バインダーは、水性コーティング組成物中に約20wt%未満にて存在し得る。他の実施形態では、当該バインダーは、約5wt%〜約15wt%にて存在し得る。
【0044】
用い得る典型的なバインダーとしては、ポリビニルアルコール(その水溶性コポリマーを含む);ポリビニルアセテート;ポリビニルピロリドン;酸化及びエーテル化デンプンをはじめとする変性デンプン;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースをはじめとする水溶性のセルロース誘導体;ポリアクリルアミド(その誘導体及びコポリマーを含む);カゼイン;ゼラチン;大豆タンパク質;シリル修飾ポリビニルアルコール;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエンコポリマー等をはじめとする複合(共役)ジエンコポリマーラテックス;アクリル酸及びメタクリル酸等のポリマー及びコポリマーをはじめとするアクリルポリマーラテックス;エチレン−ビニルアセテートコポリマーをはじめとするビニルポリマーラテックス;官能基(例えば、カルボキシ、アミノ、アミド、スルホ等)を含有するモノマーで上記のポリマーを修飾することによって得られたものをはじめとする官能基修飾ラテックス;メラミン樹脂、尿素樹脂等をはじめとする熱硬化性樹脂の水性バインダー;ポリメチルメタクリレート、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アミド樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルブチラール、及びアルキル樹脂をはじめとする合成樹脂バインダーが挙げられる。
【0045】
本発明の一実施形態では、当該ラテックスは、バインダーとして機能し得る。この実施形態では、使用されるラテックスはコア−シェルラテックスである。当該コア−シェルラテックスとしては、第1のガラス転移温度を有するポリマーを含む内側部分(即ち、コア)と、第2のガラス転移温度を有するポリマーを含む外側部分(即ち、シェル)とを含んで成るラテックス微粒子が挙げられる。当該ラテックスポリマーは、第1のガラス転移温度が第2のガラス転移温度より高くなるように選択される。これらの2つのガラス転移温度は、(ラテックスの)適用温度において、ラテックス微粒子の内側部分が硬質又は非粘着性(前記適用温度より高いそのガラス転移温度に起因)であり、ラテックス微粒子の外側部分が軟質又は粘着性(前記適用温度以下のそのガラス転移温度に起因)となるように設定される。インク受容層に適用されると、ラテックス微粒子の外側部分の粘着性によって、ラテックスの結合性が高められる。そして、ラテックス微粒子の内側部分の硬質又は非粘着性によって、インク受容層によってインクジェットインクを十分受容させるだけの間隙を有する不連続膜を形成させることが可能となる。
【0046】
当該水性コーティング組成物は、湿り状態で適用することができ、そしてそれが乾燥する際に、ラテックス微粒子がインク受容層をコーティングして不連続膜を形成する。当該水性コーティング組成物が不連続膜を形成するには、ラテックス微粒子のガラス転移温度より低い温度でインク受容層に適用されなければならない。コア−シェルラテックス微粒子の場合には、少なくともコアのガラス転移温度より低い温度にて適用しなければならない。適用する熱をガラス転移温度より低くする必要はないが、熱、時間、及び圧力等の組合せが材料自体をそのガラス転移温度を超える温度にまで上げてはならないことに留意されたい。説明すると、比較的高い温度を短時間適用することは、適用される前記比較的高い温度がガラス転移温度より高い場合にも、材料の温度を必ずしもそのガラス転移温度を上回る温度にまで上昇させないであろう。適用される温度、圧力、及び時間の考慮事項に加えて、添加剤を水性コーティング組成物に含有させることによってもまた、ラテックスのガラス転移温度より高い温度での連続膜の生成が抑制され得ることも考えられる。
【0047】
ブレードコーティング、エアナイフコーティング、ロッドコーティング、ワイヤロッドコーティング、ロールコーティング、スロットコーティング、スライドホッパーコーティング、グラビアコーティング、カーテンコーティング、及びカスケードコーティングをはじめとする、当業者に既知の任意の手段を用いて、当該水性コーティング組成物をインク受容層に適用し、不連続膜を形成することができる。当該水性コーティング組成物は、平均サイズ約5nm〜約25nmの空隙が不連続膜全体にわたって生成され得るように、インク受容層に適用することができる。加えて、不連続膜を媒体基材の片面又は両面に配置することができる。一実施形態では、当該水性コーティング組成物は、生じる不連続膜が約0.5g/m〜約10g/mの平均厚さを有するように適用することができる。別の実施形態では、不連続膜は、約1g/m〜約5g/mの平均厚さを有し得る。
【0048】
インクジェットインク組成物
本発明の印刷画像を形成するのに用い得るインクジェットインク組成物は、典型的に、水、着色剤、共溶媒、界面活性剤、緩衝剤、殺生物剤、金属イオン封鎖剤、粘度修正剤、湿潤剤、バインダー及び/又はその他の既知の添加剤を含み得る水性調合物、即ち液体ビヒクルとして調製される。本発明の一態様では、当該液体ビヒクルは、インクジェットインク組成物の約70wt%〜約99.9wt%を構成することができる。他の態様においては、液体ビヒクルは、高分子バインダー、ラテックス微粒子、及び/又はその他の固形物を含有することができる。
【0049】
前述のように、共溶媒を、本発明のインクジェット組成物に含有させることができる。本発明に用い得る適切な共溶媒は、水溶性有機共溶媒であり、限定はしないが、脂肪族アルコール、芳香族アルコール、ジオール、グリコールエーテル、ポリ(グリコール)エーテル、ラクタム、ホルムアミド、アセトアミド、長鎖アルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン、ジプロピレングリコール、グリコールブチルエーテル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、アミド、エーテル、カルボン酸、エステル、有機スルフィド、有機スルホキシド、スルホン、アルコール誘導体、カルビトール、ブチルカルビトール、セロソルブ、エーテル誘導体、アミノアルコール、及びケトンが挙げられる。例えば、共溶媒には、炭素数30以下の第1脂肪族アルコール、炭素数30以下の第1芳香族アルコール、炭素数30以下の第2脂肪族アルコール、炭素数30以下の第2芳香族アルコール、炭素数30以下の1,2−ジオール、炭素数30以下の1,3−ジオール、炭素数30以下の1,5−ジオール、エチレングリコールアルキルエーテル、プロピレングリコールアルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(エチレングリコール)アルキルエーテルの高次の同族体、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテル、ポリ(プロピレングリコール)アルキルエーテルの高次の同族体、ラクタム、置換ホルムアミド、未置換ホルムアミド、置換アセトアミド、及び未置換アセトアミドが包含され得る。この発明を実施するにあたり好ましく用いられる共溶媒の具体例としては、限定はしないが、1,5−ペンタンジオール、2−ピロリドン、2−エチル−2−ヒドロキシメチル−1,3−プロパンジオール、ジエチレングリコール、3−メトキシブタノール、及び1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノンが挙げられる。共溶媒を添加することにより、インクジェットインク中の水の蒸発速度を低下させたり、詰まりを最小限としたり、粘度、pH、表面張力、光学濃度、及び印刷品質のようなインクの他の諸性質を変更したりできる。共溶媒の濃度は、約5wt%〜約25wt%の範囲とし得、一実施形態では、約10wt%〜約20wt%である。当分野で既知のように、複数の共溶媒を用いることができる。
【0050】
任意に、種々の緩衝剤又はpH調節剤を本発明のインクジェットインク組成物中に用いることができる。代表的な緩衝剤としては、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムのようなアルカリ金属;クエン酸;トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、及びジメチルエタノールアミンのようなアミン;塩酸;そして本発明のブリード制御又は光学濃度特性に実質的に干渉しないその他の塩基性又は酸性成分のようなpH制御溶液が挙げられる。用いる場合、緩衝剤は、典型的に、インクジェットインク組成物の約10wt%未満にて含有される。
【0051】
本発明の別の態様では、望ましくない微生物の成長を阻害するために種々の殺生物剤を用いることができる。適切な殺生物剤の幾つかの非限定例としては、安息香酸塩、ソルビン酸塩、NUOSEPT(ヌデックス社(Nudex,Inc.)、ヒュルスアメリカ(Huls America)の1部門)、UCARCIDE(ユニオンカーバイド(Union Carbide)社)、VANCIDE(RT ヴァンダービルト社(Vanderbilt Co.))、及びPROXEL(アイシーアイ アメリカ(ICI Americas)社)のような市販品、及びその他の既知の殺生物剤が挙げられる。典型的には、前述の殺生物剤は、インクジェットインク組成物の約5wt%未満、多くの場合、約0.1wt%〜約0.25wt%にて含有される。
【0052】
本発明の他の態様では、基材上の着色剤を保護する機能を有するバインダーを含むことができる。本発明の使用に適したバインダーは、典型的に、約500Mw〜約5、000Mwの分子量を有する。非限定的な例としては、ポリエステル、ポリエステル−メラニン、スチレン−アクリル酸コポリマー、スチレン−アクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−メタクリル酸コポリマー、スチレン−メタクリル酸−アルキルアクリレートコポリマー、スチレン−マレイン酸半エステルコポリマー、ビニルナフタレン−アクリル酸コポリマー、ビニルナフタレン−マレイン酸コポリマー、及びそれらの塩が挙げられる。
【0053】
界面活性剤を使用する場合には、アルキルポリエチレンオキシド、アルキルフェニルポリエチレンオキシド、ポリエチレンオキシド(PEO)ブロックコポリマー、アセチレン系PEO、PEOエステル、PEOアミン、PEOアミド、及びジメチコンコポリオールなどの典型的な水溶性界面活性剤を用いることができる。そのような界面活性剤は、インクジェットインク組成物の0.01wt%〜約10wt%にて存在させ得る。
【0054】
本発明の印刷画像に関する実施形態で用いられるインクジェットインクは、着色剤として染料を含有することができる。種々のインクジェットインクの染料に関しては、カチオン性染料又はアニオン性染料のどちらも用いることができる。本発明の一実施形態では、当該アニオン性染料に、ペンダントアニオン基を有する発色団を用いることができる。任意の有効量の染料を用いることができるが、好ましくは、アニオン性染料は、インク組成物中に約0.1wt%〜約10wt%にて存在することができる。使用し得る適切なアニオン性染料の例としては、多数の水溶性の酸性及び直接染料がある。アニオン性染料の具体例としては、Direct Yellow 86、Acid Red 249、Direct Blue 199、Direct Black 168、Reactive Black 31、Direct Yellow 157、Reactive Yellow 37、Acid Yellow 23、Reactive Red 180、Acid Red 52、Acid Blue 9、Direct Red 227、Acid Yellow 17、Direct Blue 86、Reactive Red 4、Reactive Red 56、Reactive Red 31、及びDirect Yellow 132;Aminyl Brilliant Red F−B(住友化学社(Sumitomo Chemical Co.));ヘキスト(Hoechst)社から入手可能なDuasyn系列の「塩を含まない」染料;及びそれらの混合物等が挙げられる。さらに他の例としては、Bernacid Red 2BMN、Pontamine Brilliant Bond Blue A、BASF X−34、Pontamine、Food Black 2、Levafix Brilliant Red E−4B(モバイケミカル(Mobay Chemical)社)、Levafix Brilliant Red E−6BA(モバイケミカル社)、Pylam Certified D&C Red#28(Acid Red 92、パイラム(Pylam)社)、Direct Brill Pink B Ground Crude(クロンプトン アンド ノールズ(Crompton&Knowles)社)、Cartasol Yellow GTF Presscake(サンド社(Sandoz,Inc.))、Tartrazine Extra Conc.(FD&C Yellow#5、Acid Yellow 23、サンド社)、Cartasol Yellow GTF Liquid Special 110(サンド社)、D&C Yellow #10(Yellow 3、トリコン(Tricon)社)、Yellow Shade 16948(トリコン社)、Basacid Black X34(バスフ社)、Carta Black 2GT(サンド社)、Neozapon Red 492(バスフ社)、Orasol Red G(チバガイギー(Ciba−Geigy)社)、Direct Brilliant Pink B(クロンプトン アンド ノールズ社)、Aizen Spilon Red C−BH(保土ヶ谷化学社(Hodagaya Chemical Company))、Kayanol Red 3BL(日本化薬社(Nippon Kayaku Company))、Levanol Brilliant Red 3BW(モバイケミカル社)、Levaderm Lemon Yellow(モバイケミカル社)、Aizen Spilon Yellow C−GNH(保土ヶ谷化学社)、Spirit Fast Yellow 3G、Sirius Supra Yellow GD 167、Cartasol Brilliant Yellow 4GF(サンド社)、Pergasol Yellow CGP(チバガイギー社)、Orasol Black RL(チバガイギー社)、Orasol Black RLP(チバガイギー社)、Savinyl Black RLS(サンド社)、Dermacarbon 2GT(サンド社)、Pyrazol Black BG(アイシーアイ アメリカ社)、Morfast Black Conc A(モートン チオコール(Morton−Thiokol)社)、Diazol Black RN Quad(アイシーアイ アメリカ社)、Orasol Blue GN(チバガイギー社)、Savinyl Blue GLS(サンド社)、Luxol Blue MBSN(モートン チオコール社)、Sevron Blue 5GMF(アイシーアイ アメリカ社)、及びBasacid Blue 750(バスフ社);全てバイエル(Bayer)社から入手可能な、Levafix Brilliant Yellow E−GA、Levafix Yellow E2RA、Levafix Black EB、Levafix Black E−2G、Levafix Black P−36A、Levafix Black PN−L、Levafix Brilliant Red E6BA、及びLevafix Brilliant Blue EFFA;全てアイシーアイ アメリカ社から入手可能な、Procion Turquoise PA、Procion Turquoise HA、Procion Turquoise Ho5G、Procion Turquoise H−7G、Procion Red MX−5B、Procion Red MX 8B GNS、Procion Red G、Procion Yellow MX−8G、Procion Black H−EXL、Procion Black P−N、Procion Blue MX−R、Procion Blue MX−4GD、Procion Blue MX−G、及びProcion Blue MX−2GN;全てチバガイギー社から入手可能な、Cibacron Red F−B、Cibacron Black BG、Lanasol Black B、Lanasol Red 5B、Lanasol Red B、及びLanasol Yellow 46;全てバスフ社から入手可能な、Baslien Black P−BR、Baslien Yellow EG、Baslien Brilliant Yellow P−3GN、Baslien Yellow M−6GD、Baslien Brilliant Red P−3B、Baslien Scarlet E−2G、Baslien Red E−B、Baslien Red E−7B、Baslien Red M−5B、Baslien Blue E−R、Baslien Brilliant Blue P−3R、Baslien Black P−BR、Baslien Turquoise Blue P−GR、Baslien Turquoise M−2G、Baslien Turquoise E−G、及びBaslien Green E−6B;全て住友化学社から入手可能な、Sumifix Turquoise Blue G、Sumifix Turquoise Blue H−GF、Sumifix Black B、Sumifix Black H−BG、Sumifix Yellow 2GC、Sumifix Supra Scarlet 2GF、及びSumifix Brilliant Red 5BF;全てクロンプトン アンド ノールズ社の染料・化成品部門から入手可能な、Intracron Yellow C−8G、Intracron Red C−8B、Intracron Turquoise Blue GE、Intracron Turquoise HA、及びIntracron Black RL;Pro−Jet 485(銅フタロシアニン);Magenta 377;並びにそれらの混合物等が挙げられる。このリストは、単なる例示であって、本発明の範囲を限定する意はない。
【0055】
当該インクジェットインクに使用される膜促進添加剤は、ラテックスの膜形成温度の低下をもたらすように選択しなければならない。一般に、膜促進添加剤による膜形成温度の低下は、インクジェットインク中に存在する膜促進添加剤の全量、及び/又は印刷媒体に適用されるインクジェットインクの量に関連し得る。それ故、膜促進添加剤の全wt%を上げることによって、印刷媒体のラテックス層により多くのインク量の適用を必要とすることなく、膜形成温度を低下させることができる。あるいはまた、膜促進添加剤を含むより多量のインクを印刷媒体に適用して、不連続なラテックス膜の膜形成温度を低下させることもできる。ラテックスの膜形成温度の低下を引き起こす当業者に既知の任意の添加剤を本発明の範囲内で含有させ得ることに留意されたい。
【0056】
ラテックスの膜形成温度を低下させ得る膜促進添加剤としては、ジオール及びグリコールを挙げることができる。具体的ジオールとしては、限定はしないが、1,2−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール 2,4,7,9、エトキシル化2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール、テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール−2,4,7,9、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート、及びそれらの組合せを挙げることができる。
【0057】
具体的なグリコールとしては、限定はしないが、エチレングリコール、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、及びそれらの組合せを含むことができる。
【0058】
ラテックスの膜形成温度を低下させ得る他の膜促進添加剤としては、限定はしないが、トリメチロールプロパン及びポリ(オキソ−1,2−エタンジイル)が挙げられる。
【0059】
熱シール処理
インクジェットインクを用いて印刷した後に、その印刷画像に熱を適用することで、インク会合ラテックス領域から連続膜を形成することができる。熱には、限定はしないが、ローラーを介して直に適用される熱、対流熱、又は放射熱をはじめとする、当業者に既知の任意の手段により適用し得るものと予想される。加熱処理は、用紙がプリンタ中にある間に、プリンタに取付けられた加熱機構を用いて、又は印刷後にラミネータのような別個の装置を用いて行うことができる。
【0060】
印刷媒体の所要加熱時間を最小にしつつ、インク会合領域を十分シールし、非印刷ラテックス領域を相対的に非シール状態のままとすることができるように熱を適用する。インク会合領域をシールするのに要する熱量は、具体的なラテックス/膜促進添加剤の組合せ並びにラテックス層に対する膜促進添加剤の量に応じて、変化し得る。加えて、前述のように、時間及び圧力要素もまた、インク会合領域での連続膜形成の一因となり得、これは、本開示を検討した後であれば当業者には理解されよう。
【0061】
(実施例)
以下の実施例に、現在最もよく知られている本発明の実施形態を説明する。しかしながら、以下の実施例は、本発明の原理の応用についての単なる例示、説明に過ぎないことを理解されたい。本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、多数の修正及び代替組成物、方法、並びにシステムを当業者であれば案出することができる。添付の特許請求の範囲は、そうした修正並びに代替の構成を網羅するものとする。これまで特定のものに関して本発明を説明してきたが、以下の実施例は、現在、本発明の最も実用的であり且つ好ましい実施形態であると思われるものに関し、さらに詳述するものである。また、これらの実施例においては、各添加剤は、その固形物含量(重量基準)に従って記述する。
【実施例1】
【0062】
多孔質コーティング組成物の調製
本発明の実施形態によるシリカをベースとする多孔質コーティング組成物を、以下の成分、即ち、80wt%のシリカ、15wt%のポリビニルアルコール、2wt%の界面活性剤、及び3wt%のグリセリンを水に分散させることにより調製した。
【実施例2】
【0063】
水性トップコーティング組成物の調製
本発明の実施形態による水性コーティング組成物を、90wt%のアクリルラテックス微粒子と10wt%の4%ポリビニルアルコールとを混合して調製した。アクリルラテックス微粒子は、カチオン性で、約150nmの径を有し、そのガラス転移温度は60℃であった。ポリビニルアルコールは、88%加水分解され、8cpsの粘度を有した。
【実施例3】
【0064】
ベースコーティング及びトップコーティング組成物の媒体基材への適用
実施例1記載のシリカベースの多孔質コーティング組成物を、Meyerロッドを用いて、25g/mの送出速度で写真ベースに適用した。多孔質コーティング組成物をオーブン中で、60℃にて、10分間乾燥させて、多孔質インク受容層を形成した。多孔質インク受容層を、Meyerロッドを用いて、4g/mの送出速度で実施例2記載の水性トップコーティング組成物でコーティングした。次いで、得られた印刷媒体を45℃で5分間乾燥させた。
【実施例4】
【0065】
試験印刷物の調製
イエロー染料含有インクを用いて、実施例3記載の印刷媒体上にインクの着色帯をインクジェットすることによって、試験用画像を調製した。その着色帯は、インクの光学濃度が当該帯に沿って0%から100%まで徐々に高まるように印刷した。当該着色帯の調製にはHP DeskJet 5050プリンタを使用した。当該インクは、2−ピロリドン、1,6−ヘキサンジオール、Dowfax 2A1、Surfynol CT−111、Zonyl FSA、及び水を含むインクビヒクルから構成した。
【実施例5】
【0066】
印刷媒体の熱シール処理
次いで、実施例4記載の印刷媒体を、ラミネータ用いて処理した。ラテックス層のシーる処理は、熱、時間、及び圧力の組合せによって実現させた。ローラ温度120℃、印刷媒体の送り速度3ft/分、及びローラーによる適用圧力40psiであるように、ラミネータを構成した。これらの設定において、印刷媒体は約95℃の温度に到達した。
【実施例6】
【0067】
印刷試験の結果
実施例4記載の着色帯上にブルーの蛍光ペンを用いて線を描いた。その際、ラテックス層の長さに沿って、0%の光学濃度端から100%の光学濃度端まで線を描いた。次いで、蛍光ペンの染料をラテックス層から物理的に剥がすことを試みた。蛍光ペンの染料は、連続膜が形成されている領域においては完全に剥れ落ちた。ラテックス層が不連続である領域では、蛍光ペンの染料は、ラテックス層の下方にあるインク受容層によって既に受容されているため、剥がれ落ちずに視認できる状態のままであった。この実施例では、蛍光ペンの染料は、0%〜約79%の光学濃度のイエロー染料に対して視認できた。当該試験は、所与の温度における、連続膜の形成を可能とするのに必要な膜促進添加剤の量を定量化することができる(即ち、インクのどの光学濃度において連続膜が形成するかを評価することによって)。
【実施例7】
【0068】
種々のカラー染料に対する印刷試験の結果
実施例1〜6に記載したように、媒体を調製し、種々の色の染料により印刷し、加熱し、ブルーの蛍光ペンを用いてマーキングした。次いで、各インクに対して、蛍光ペンの染料がどの光学濃度において視認できなくなるかを決定し、それによって、ラテックス層の完全なシーリングが行われたインクの光学濃度の近似値を示した。この実験結果を、表1に示す。
【0069】
【表1】

【0070】
実施例6及び実施例7の記載から分かるように、適用するインクの濃度を上げることにより(従って膜促進添加剤の全量を増やすことにより)、膜形成温度は低下し、それによって、連続膜を特定の場所に形成し且つその他の場所(即ち未印刷領域及び試験した特定の温度、圧力、及び時間の組合せに関して膜形成温度を低下させるのに十分な膜促進添加剤が適用されなかった領域)には形成されないようにすることができた。
【0071】
本発明の特定の好ましい実施形態を参照して本発明を説明してきたが、当業者であれば、本発明の趣旨から逸脱することなく、種々の修正、変更、省略、並びに置換をなし得ることが分かろう。それ故、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるものとする。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷画像を生成する方法であって、
a)半金属酸化物又は金属酸化物微粒子を含有する多孔質コーティング組成物で媒体基材を被覆して、多孔質インク受容層を形成するステップと、
b)ラテックス微粒子を含有するラテックス層で前記多孔質インク受容層を被覆するステップであって、前記ラテックス層が、インクジェットインクを前記多孔質インク受容層にて受容できるように構成されており、且つ前記ラテックス微粒子が膜形成温度を有する、ステップと、
c)非印刷ラテックス領域を除いてインク会合ラテックス領域を形成するべく、ラテックス層の少なくとも一部の上にインクジェットインクを印刷するステップであって、前記インクが前記インク受容層によって少なくとも部分的に受容され、前記インクジェットインクが、
i)インクビヒクル、
ii)着色剤、及び
iii)膜促進添加剤、
を含んで成り、前記膜促進添加剤が、前記インク会合ラテックス領域における前記ラテックス微粒子の膜形成温度を低下させる、ステップと、
d)前記インク会合ラテックス領域が連続膜を形成し且つ前記非印刷ラテックス領域が連続膜を形成しないように、前記ラテックス層を加熱するステップと、
を包含する、方法。
【請求項2】
前記ラテックス層が、さらに、バインダーを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記バインダーが、ポリビニルアルコールを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記ラテックス微粒子がバインダーとして機能し、前記ラテックス微粒子が、
a)第1のガラス転移温度を有する内側部分と、
b)第2のガラス転移温度を有する外側部分と、
を含んで成り、前記第1のガラス転移温度と前記第2のガラス転移温度とが、ラテックスが適用される際の適用温度において、前記内側部分が非粘着性であり且つ前記外側部分が粘着性であるように設定される、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記ラテックス微粒子のガラス転移温度が、約−25℃〜約150℃である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記膜促進添加剤が、ジオールである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ジオールが、1,2−ヘキサンジオール;1,6−ヘキサンジオール;テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール2,4,7,9;エトキシル化2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール;テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール−2,4,7,9;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート;及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ジオールが、1,6−ヘキサンジオールである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記膜促進添加剤が、グリコールである、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記グリコールが、エチレングリコール、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記膜促進添加剤が、トリメチロールプロパンである、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記膜促進添加剤が、前記膜形成温度を約3℃〜約25℃低下させる、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
印刷媒体上の印刷画像であって、
a)媒体基材と、
b)前記媒体基材上に被覆された、半金属酸化物又は金属酸化物の微粒子を含有する多孔質インク受容層と、
c)前記多孔質インク受容層の上に被覆されたラテックス層と、
d)前記ラテックス層の非印刷ラテックス領域以外の、インク会合領域を形成する少なくとも一部の前記ラテックス層上に印刷されている、膜促進添加剤を含むインクジェットインクと、
を含んで成り、前記インクジェットインクが、前記多孔質インク受容層によって少なくとも部分的に受容され、前記ラテックス層の前記インク会合領域の少なくとも一部が連続膜を含み、且つ前記ラテックス層の前記非印刷ラテックス領域が連続膜を含まない、印刷画像。
【請求項14】
前記ラテックス微粒子がバインダーとして機能し、前記非印刷ラテックス領域の前記ラテックス微粒子が、
a)比較的高いガラス転移温度を有する内側部分と、
b)比較的低いガラス転移温度を有する外側部分と、
を含んで成り、前記比較的高いガラス転移温度と前記比較的低いガラス転移温度とが、ラテックスが適用される適用温度において、前記内側部分が非粘着性であり且つ前記外側部分が粘着性であるように設定される、請求項13に記載の印刷画像。
【請求項15】
前記ラテックス微粒子のガラス転移温度が、約−25℃〜約150℃である、請求項14に記載の印刷画像。
【請求項16】
前記膜促進添加剤が、ジオールである、請求項13に記載の印刷画像。
【請求項17】
前記ジオールが、1,2−ヘキサンジオール;1,6−ヘキサンジオール;テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール2,4,7,9;エトキシル化2,4,7,9−テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール;テトラメチル−5−デシン−4,7−ジオール−2,4,7,9;2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチラート;及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項16に記載の印刷画像。
【請求項18】
前記ジオールが、1,6−ヘキサンジオールである、請求項17に記載の印刷画像。
【請求項19】
前記膜促進添加剤が、グリコールである、請求項13に記載の印刷画像。
【請求項20】
前記グリコールが、エチレングリコール、エチレングリコールn−ブチルエーテル、エチレングリコールフェニルエーテル、ジエチレングリコールn−ブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセタート、プロピレングリコールn−プロピルエーテル、プロピレングリコールn−ブチルエーテル、プロピレングリコールフェニルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセタート、ジプロピレングリコールn−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールn−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールn−プロピルエーテル、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル、及びそれらの組合せから成る群から選択される、請求項19に記載の印刷画像。
【請求項21】
前記膜促進添加剤が、トリメチロールプロパンである、請求項13に記載の印刷画像。
【請求項22】
印刷画像を生成するシステムであって、
a)以下の成分
i)インクビヒクル、
ii)着色剤、及び
iii)ラテックス微粒子と接触すると前記ラテックス微粒子の膜形成温度を低下させるように構成されている膜促進添加剤、
を含んで成るインクジェットインクと、
b)以下の成分
i)媒体基材、
ii)前記媒体基材上に被覆された、半金属酸化物又は金属酸化物の微粒子を含有する多孔質インク受容層、及び
iii)前記インク受容層の上に被覆された不連続ラテックス層であって、前記インクジェットインクを通過させ且つ前記多孔質インク受容層にて前記インクジェットインクを受容するように構成されている、不連続ラテックス層、
を含んで成る印刷媒体と、
c)前記インクジェットインクの適用後にインク会合ラテックス領域を形成するべく前記印刷媒体に熱を適用するように構成されている加熱装置と、
を具備し、前記インク会合ラテックス領域が、熱が適用時に連続膜を形成し、且つ前記インクジェットインクの適用されていない領域が、熱の適用時に連続膜を形成しない、システム

【公開番号】特開2006−116965(P2006−116965A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−302959(P2005−302959)
【出願日】平成17年10月18日(2005.10.18)
【出願人】(503003854)ヒューレット−パッカード デベロップメント カンパニー エル.ピー. (1,145)
【Fターム(参考)】