説明

インク組成物、インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法

【課題】ブロンズ現象改良と記録画像の保存性が改良されたインク組成物を提供する。
【解決手段】式(I)で表される着色剤、水、グアニジン系化合物及び特定の水溶性平面状化合物を含有するインク組成物。式(I)


(I)式中、Mは、水素原子、金属原子等;Pcは、フタロシアニン核;X1〜X4は、-SO-R1、-SO2-R1、-SO2NR2R3、-CONR2R3、-CO2-R1、CO-R1、スルホ基等から選ばれる置換基;を表す。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録画像のブロンズ現象の改良に優れた効果を有する水溶性芳香族化合物と記録画像の保存耐久性、特に耐ガス性の改良に優れた効果を有するグアニジン系化合物を含むインク組成物、インクジェット記録用インク、インクジェット記録方法、及びインクジェット記録画像のブロンズ現象改良とインクジェット記録画像の保存安定性改良を同時に改良する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録方法は、材料費が安価であること、高速記録が可能なこと、記録時の騒音が少ないこと、更にカラー記録が容易であることから、急速に普及し、更に発展しつつある。インクジェット記録方法には、連続的に液滴を飛翔させるコンティニュアス方式と画像情報信号に応じて液滴を飛翔させるオンデマンド方式が有り、その吐出方式にはピエゾ素子により圧力を加えて液滴を吐出させる方式、熱によりインク中に気泡を発生させて液滴を吐出させる方式、超音波を用いた方式、あるいは静電力により液滴を吸引吐出させる方式がある。また、インクジェット用インクとしては、水性インク、油性インク、あるいは固体(溶融型)インクが用いられる。
【0003】
このようなインクジェット用インクに用いられる色素に対しては、水などの溶剤に対する溶解性が良好なこと、高濃度記録が可能であること、色相が良好であること、光、熱、環境中の活性ガス(NOx、オゾン等の酸化性ガスの他SOxなど)に対して堅牢であること、水や薬品に対する堅牢性に優れていること、受像材料に対して定着性が良く滲みにくいこと、インクとしての保存性に優れていること、毒性がないこと、純度が高いこと、更には、安価に入手できることが要求されている。
【0004】
特に、光、湿度、熱に対して堅牢な色素であること、中でも多孔質の白色無機顔料粒子を含有するインク受容層を有する受像材料上に印字する際には環境中のオゾンなどの酸化性ガスに対して堅牢であること、及び耐水性に優れることが強く望まれている。
【0005】
一方、光学濃度が高い記録画像を形成させた場合において、乾燥するにつれて色素の結晶が記録材料表面に析出して、記録画像が光を反射して金属光沢を放つという、いわゆるブロンズ現象の問題が知られている。この現象は、耐水性、耐光性や耐ガス性を向上させるために色素の水溶解性を下げたり、色素構造中に水素結合性基を導入したりすることにより生じやすい傾向がある。ブロンズ現象の発生によって光を反射、散乱するので、記録画像の光学濃度が低下してしまうばかりでなく、記録画像の色相も所望のものとは大きく異なったり、透明度が失われたりするため、ブロンズ現象抑制はインクジェットインクに要求される性能として重要なものの一つである。
【0006】
ブロンズ現象抑制の方法としては、特定の含窒素化合物を添加する方法(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4、特許文献5、特許文献6、特許文献7参照)、特定の複素環化合物を添加する方法(特許文献8参照)、特定のチタン化合物を添加する方法(特許文献9参照)、アルカリ金属イオンを添加する方法(特許文献10参照)などがこれまでに知られている。但し、これらの添加物を加えることによってブロンズ現象の発生を抑えることはできても、その効果が十分でないために添加量が多くなったり、保管安定性に問題が生じるなど添加物がインクの諸性能及び記録画像の品質を低下させてしまうことがあった。例えば、インクにアルカノールアミンを添加した場合、ブロンズ現象は防止できるものの、少量添加しただけでもインクのpHが11以上になってしまい、高pHインクのノズルへの影響のみならず、誤って人体に触れた場合の安全性に欠け、印字品位や記録画像の耐水性なども低下させてしまうことが、特許文献8に記載されている。
【0007】
このように、添加物を使用することでさまざまな効果が得られるものの、従来の添加物では諸性能を維持しながら使用することは難しく、特に色素の溶解性と会合性を考慮する必要がある場合においては、添加物の種類と量の選択が難しいことがわかる。また、イオン性添加物を用いる場合には、その対イオンの及ぼす影響も考慮しなければならない。従って、従来にない新たな発想による添加物の分子設計と、それによる本質的なブロンズ現象抑制方法を導入することが望まれていた。
【0008】
これら、記録画像のブロンズ光沢改良方法として、特定の添加剤を併用する方法(例えば、特許文献11参照)、記録画像の保存安定性(特に光堅牢性・オゾンガス堅牢性)改良方法として特定の添加剤を併用する方法(例えば、特許文献12、特許文献13、特許文献14、特許文献15参照)が開示されているが、記録画像のブロンズ現象改良と記録画像の保存性改良を、高い改良レベルで同時に満足する方法には至っておらず更なる改良方法が望まれているのが現状であった。
【特許文献1】特開平6−25575号公報
【特許文献2】特開平6−228476号公報
【特許文献3】特開平6−248212号公報
【特許文献4】特開平7−228810号公報
【特許文献5】特開平7−268261号公報
【特許文献6】特開平9−12946号公報
【特許文献7】特開平9−12949号公報
【特許文献8】特開平8−259865号公報
【特許文献9】特開平8−337745号公報
【特許文献10】特開平7−26178号公報
【特許文献11】特開2005−105261公報
【特許文献12】特開2006−89730公報
【特許文献13】特開2006−89731公報
【特許文献14】特開2006−89732公報
【特許文献15】特開2006−89733公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の目的は、
(1)色再現性に優れた吸収特性を有し、且つ光、熱、湿度及び環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有する新規なインクを提供すること、
(2)色相と堅牢性に優れた着色画像や着色材料を与える、インクジェット記録に用いる印刷用インク組成物などのインクを提供すること、
(3)特に、着色剤として特定の構造を有するフタロシアニン化合物誘導体の使用により良好な色相を有し、光及び環境中の活性ガス、特にオゾンガスに対して堅牢性が高く、耐水性に優れ、且つブロンズ現象が発生しない画像を形成することができる、インクジェット記録用インク及びインクジェット記録方法を提供すること、及び
(4)上記のインクジェット記録方法を利用することによって、画像記録物のブロンズ現象と保存性改良を、高い改良レベルで同時に満足する方法を提供すること、
にある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の目的は、以下の手段により達成される。
【0011】
(1):
下記一般式(I)で表される着色剤、水、グアニジン系化合物、および1分子中に10個を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物を含有することを特徴とするインク組成物。
一般式(I)
【0012】
【化1】

【0013】
一般式(II)
【0014】
【化2】

【0015】
一般式(I)中、Mは、水素原子あるいは金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。Pcは、(k+l+m+n)価の一般式(II)で表されるフタロシアニン核を表す。X、X、X、Xはそれぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R、CO−R、スルホ基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、またはホスホノ基及びその塩から選ばれる置換基を表し、かつ、フタロシアニン核中の4つのベンゼン環{一般式(II)中のA、B、C、D}に、それぞれ少なくとも1個以上存在する。但し、X、X、X、Xの少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。k、l、m、nは、0≦k≦8の整数を表し、0≦l≦8の整数を表し、0≦m≦8の整数を表し、0≦n≦8の整数を表す。但し、k、l、m、nは4≦k+l+m+n≦8を満たす数を表す。Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Yはそれぞれ独立に水素原子又は一価の置換基を表す。この一価の置換基は、各々さらに置換基を有していてもよい。
【0016】
(2):
前記一般式(II)で表されるフタロシアニン核が下記一般式(III)で表されることを特徴とする(1)に記載のインク組成物。
一般式(III)
【0017】
【化3】

【0018】
(3):
前記一般式(I)で表される着色剤が下記一般式(IV)で表されることを特徴とする(1)または(2)に記載のインク組成物。
一般式(IV)
【0019】
【化4】

【0020】
一般式(IV)中、Mは、水素原子あるいは金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。Pcは、(k+l)価の上記一般式(III)で表されるフタロシアニン核を表す。X、Xはそれぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONRまたはスルホ基及びその塩から選ばれる置換基を表し、かつ、フタロシアニン核中の4つのベンゼン環{一般式(III)中のA、B、C、D}に、それぞれ少なくとも1個存在する。但し、X、Xが同一であることはなく、かつ、X、Xの少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。k、lは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表す。但し、k、lは4≦k+l≦8を満たす数を表す。
【0021】
(4):
前記水溶性平面状化合物が、芳香族環を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載のインク組成物。
【0022】
(5):
前記水溶性平面状化合物が、蛍光のない化合物であり、最も長波側の吸収ピークの波長(λmax)が350nm以下で、且つモル吸光係数が1万以下の化合物であることを特徴とする(1)〜(4)のいずれかに記載のインク組成物。
【0023】
(6):
前記水溶性平面状化合物が、スルホ基を有することを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載のインク組成物。
【0024】
(7):
前記グアジニン系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載のインク組成物。
一般式(1)
【0025】
【化5】

【0026】
(式中、R、R、R、又はRは、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基を示す。Rは水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基を示す。これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。)
【0027】
(8):
前記グアニジン系化合物の添加量が、インク組成物中0.1〜10質量%であることを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載のインク組成物。
【0028】
(9):
前記インク組成物中に、界面活性剤を含有することを特徴とする、(1)〜(8)のいずれか記載のインク組成物。
【0029】
(10):
前記界面活性剤の添加量が、インク組成物中0.05〜50g/lであることを特徴とする(9)に記載のインク組成物。
【0030】
(11):
前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤であることを特徴とする(9)または(10)に記載のインク組成物。
【0031】
(12):
前記ノニオン系界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることを特徴とする(9)〜(11)のいずれかに記載のインク組成物。
【0032】
(13):
前記インク組成物中に、防腐剤含有することを特徴とする、(1)〜(12)のいずれか記載のインク組成物。
【0033】
(14):
(1)〜(13)のいずれかに記載のインク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録用インク。
【0034】
(15):
(14)に記載のインクジェット記録用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、色再現性に優れ、且つ光、熱、湿度及び環境中の活性ガスに対して十分な堅牢性を有し、ブロンズ現象が発生しないカラー画像を形成できるインクジェット記録用インクが提供され、さらには記録画像のブロンズ現象改良と記録画像の保存性改良を、高い改良レベルで同時に満足するインクジェット記録方法、画像のブロンズ発生を防止する方法および画像の保存性改良が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
本発明は、一般式(I)で表される特定構造の着色剤と特定の化合物の共存が画像の保存性、特に耐オゾン性を飛躍的に向上し得ることを見出したものである。また、耐オゾン性の向上と共にブロンズ光沢や滲み及びビーディングの無い高画質も確保されるものである。
【0037】
以下、本発明の構成要素について詳述する。
【0038】
(一般式(I)及び一般式(II)で表される着色剤)
本発明に用いられる着色剤は、特定の構造を有するフタロシアニン誘導体(特定の置換基の種類を特定の置換位置に特定の数導入する)を用いることで上記記録画像の保存性、特に耐オゾンカス堅牢性が、大幅に向上し得ることを見出したものである。
即ち、一般式(I)及び(II)で表される本発明の着色剤である特定構造を有するフタロシアニン誘導体は、置換基の位置を分子合成の際に制御することにより、フタロシアニン骨格のベンゼン環のβ位のみに置換基(X、X、X及びX)を有することが、大きな特徴となっている。
通常、フタロシアニン誘導体は、フタロシアニン骨格の4つのベンゼン環のα位(本発明のフタロシアニン分子で説明するとY、Y、Y、Y、Y、Y、Y及びYの置換位置を表す)、及びβ位(本発明のフタロシアニン分子中で説明すると、フタロシアニン分子母核の4つのベンゼン環A、B、C及びDと置換基X、X、X及びXの置換位置)にランダムに水溶性基などの置換基を有している。
本発明の着色剤であるフタロシアニン誘導体は、上に述べたようにβ位のみに特定の置換基を特定の数だけ有しており、これによりフタロシアニン分子の会合が促進して、且つ、酸化電位も同時に向上して、優れた耐候性(耐光性、耐ガス性)を示すと考えられる。
【0039】
本発明の着色剤は、下記一般式(I)で表される構造のフタロシアニン誘導体が好ましい。
【0040】
本発明の前記一般式(I)及び(II)で表される着色剤は、フタロシアニン誘導体は染料単独、染料混合物及びその塩並びに及びその水和物を含む。該塩、該水和物は着色剤中において単独でも、混合していても良い。
一般式(I)
【0041】
【化6】

【0042】
一般式(II)
【0043】
【化7】

【0044】
前記一般式(I)においてMは、水素原子あるいは金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
【0045】
金属原子としては、Li、Na、K、Mg、Ti、Zr、V、Nb、Ta、Cr、Mo、W、Mn、Fe、Co、Ni、Ru、Rh、Pd、Os、Ir、Pt、Cu、Ag、Au、Zn、Cd、Hg、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb、Sb、Bi等が挙げられる。
【0046】
酸化物としては、VO、GeO等が挙げられる。
【0047】
水酸化物としては、Si(OH)、Cr(OH)、Sn(OH)等が挙げられる。
【0048】
ハロゲン化物としては、AlCl、SiCl、VCl、VCl、VOCl、FeCl、GaCl、ZrCl等が挙げられる。
【0049】
中でも、Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0050】
前記一般式(I)において、X、X、X、Xはそれぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R、CO−R、スルホ基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、またはホスホノ基及びその塩から選ばれる置換基を表し、かつ該置換基はフタロシアニン核中の4つのベンゼン環{一般式(II)中のA、B、C、D}にそれぞれ少なくとも1個有する。
【0051】
さらに、X、X、X、Xはそれぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R又はCO−Rが特に好ましく、更に−SO−R又はSONRが好ましく、その中でも−SO−Rが最も好ましい。
【0052】
但し、X、X、X、Xの少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。
【0053】
イオン性親水性基の例としては、スルホ基、カルボキシル基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基等が含まれる。中でも、カルボキシル基、ホスホノ基、及びスルホ基が好ましく、特にカルボキシル基、スルホ基が好ましい。カルボキシル基、ホスホノ基及びスルホ基は塩の状態であってもよく、塩を形成する対イオンの例には、アンモニウムイオン、アルカリ金属イオン(例、リチウムイオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン)及び有機カチオン(例、テトラメチルアンモニウムイオン、テトラメチルグアニジニウムイオン、テトラメチルホスホニウムイオン)が含まれる。対イオンの中でもアルカリ金属塩が好ましく、特にリチウム塩は染料の溶解性を高めインク安定性を向上させるため特に好ましい。
【0054】
は置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が最も好ましい。
【0055】
は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基が特に好ましく、さらに水素原子、置換アルキル基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
【0056】
は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基が好ましく、その中でも水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が特に好ましく、さらに置換アルキル基、置換アリール基が好ましく、その中でも置換アルキル基が最も好ましい。
【0057】
、R及びRが表す置換もしくは無置換のアルキル基としては、炭素原子数が1〜12のアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
【0058】
置換基の例としては、後述のR、R、R及びYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していても良い。
【0059】
、R及びRが表す置換もしくは無置換のシクロアルキル基としては、炭素原子数が5〜12のシクロアルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
【0060】
置換基の例としては、後述のR、R、R及びYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していても良い。
【0061】
、R及びRが表す置換もしくは無置換のアルケニル基としては、炭素原子数が2〜12のアルケニル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルケニル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
【0062】
置換基の例としては、後述のR、R、R及びYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していても良い。
【0063】
、R及びRが表す置換もしくは無置換のアラルキル基としては、炭素原子数が7〜18のアラルキル基が好ましい。特に染料の溶解性やインク安定性を高めるという理由から、分岐のアルキル基が好ましく、特に不斉炭素を有する場合(ラセミ体での使用)が特に好ましい。
【0064】
置換基の例としては、後述のR、R、R及びYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも水酸基、エーテル基、エステル基、シアノ基、アミド基、スルホンアミド基が染料の会合性を高め堅牢性を向上させるので特に好ましい。この他、ハロゲン原子やイオン性親水性基を有していても良い。
【0065】
、R及びRが表す置換もしくは無置換のアリール基としては、炭素原子数が6〜12のアリール基が好ましい。
【0066】
置換基の例としては、後述のR、R、R及びYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。中でも染料の酸化電位を貴とし堅牢性を向上させるので電子吸引性基が特に好ましい。中でも、ハロゲン原子、ヘテロ基、シアノ基、カルボキシル基、アシルアミノ基、スルホンアミド基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基好ましく、シアノ基、カルボキシル基、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホニル基、イミド基、アシル基、スルホ基、4級アンモニウム基が更に好ましい。
【0067】
、R及びRが表すヘテロ環基としては、5員又は6員環のものが好ましく、それらは更に縮環していてもよい。また、芳香族ヘテロ環基であっても非芳香族ヘテロ環基であっても良い。
【0068】
以下にR、R及びRで表されるヘテロ環基を、置換位置を省略してヘテロ環の形で例示するが、置換位置は限定されるものではなく、例えばピリジンであれば、2位、3位、4位で置換することが可能である。ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、シンノリン、フタラジン、キノキサリン、ピロール、インドール、フラン、ベンゾフラン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、オキサゾール、ベンズオキサゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾール、イソオキサゾール、ベンズイソオキサゾール、ピロリジン、ピペリジン、ピペラジン、イミダゾリジン、チアゾリンなどが挙げられる。
【0069】
中でも芳香族ヘテロ基が好ましく、その好ましい例を先と同様に例示すると、ピリジン、ピラジン、ピリミジン、ピリダジン、トリアジン、ピラゾール、イミダゾール、ベンズイミダゾール、トリアゾール、チアゾール、ベンゾチアゾール、イソチアゾール、ベンズイソチアゾール、チアジアゾールが挙げられる。
【0070】
それらは置換基を有していても良く、置換基の例としては、後述のR、R 、R及びYが更に置換基を持つことが可能な場合の置換基と同じものが挙げられる。
【0071】
好ましい置換基は前記アリール基の置換基と、更に好ましい置換基は、前記アリール基の更に好ましい置換基とそれぞれ同じである。
【0072】
前記一般式(II)において、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Yはそれぞれ独立に水素原子又は一価の置換基を表す。この一価の置換基は、各々さらに置換基を有していてもよい。
【0073】
、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Yが表す一価の置換基の例としては、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アラルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アミノ基、アルキルアミノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アミド基、アリールアミノ基、ウレイド基、スルファモイルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルコキシカルボニルアミノ基、スルホンアミド基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基、ヘテロ環オキシ基、アゾ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、シリルオキシ基、アリールオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニルアミノ基、イミド基、ヘテロ環チオ基、ホスホリル基、アシル基を挙げることができ、各々はさらに置換基を有していてもよい。
【0074】
〜Yの中でも特に好ましいものは、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、シアノ基、アルコキシ基、アミド基、ウレイド基、スルホンアミド基、カルバモイル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基であり、特に水素原子、ハロゲン原子、シアノ基が好ましく、水素原子が最も好ましい。また、この一価の置換基が有する炭素原子の数は8未満であることが好ましい。
【0075】
なお、R、R、R及びY(Y〜Y)が更に置換基を有することが可能な基であるときは、以下に挙げたような置換基を更に有してもよい。
【0076】
炭素数1〜12の直鎖又は分岐鎖アルキル基、炭素数7〜18の直鎖又は分岐鎖アラルキル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルケニル基、炭素数2〜12の直鎖又は分岐鎖アルキニル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルキル基、炭素数3〜12の直鎖又は分岐鎖シクロアルケニル基(以上の各基は分岐鎖を有するものが染料の溶解性及びインクの安定性を向上させる理由から好ましく、不斉炭素を有するものが特に好ましい。例えばメチル、エチル、プロピル
、イソプロピル、sec-ブチル、t−ブチル、2−エチルヘキシル、2−メチルスルホニルエチル、3−フェノキシプロピル、トリフルオロメチル、シクロペンチル)、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、アリール基(例えば、フェニル、4−t−ブチルフェニル、2,4−ジ−t−アミルフェニル)、ヘテロ環基(例えば、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシ基、アミノ基、アルキルオキシ基(例えば、メトキシ、エトキシ、2−メトキシエトキシ、2−メタンスルホニルエトキシ)、アリールオキシ基(例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、3−t−ブチルオキシカルバモイルフェノキシ、3−メトキシカルバモイル)、アシルアミノ基(例えば、アセトアミド、ベンズアミド、4−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)ブタンアミド)、アルキルアミノ基(例えば、メチルアミノ、ブチルアミノ、ジエチルアミノ、メチルブチルアミノ)、アリールアミノ基(例えば、フェニルアミノ、2−クロロアニリノ)、ウレイド基(例えば、フェニルウレイド、メチルウレイド、N,N−ジブチルウレイド)、スルファモイルアミノ基(例えば、N,N−ジプロピルスルファモイルアミノ)、アルキルチオ基(例えば、メチルチオ、オクチルチオ、2−フェノキシエチルチオ)、アリールチオ基(例えば、フェニルチオ、2−ブトキシ−5−t−オクチルフェニルチオ、2−カルボキシフェニルチオ)、アルキルオキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミド)、カルバモイル基(例えば、N−エチルカルバモイル、N,N−ジブチルカルバモイル)、スルファモイル基(例えば、N−エチルスルファモイル、N,N−ジプロピルスルファモイル、N−フェニルスルファモイル)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、オクタンスルホニル、ベンゼンスルホニル、トルエンスルホニル)、アルキルオキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、ブチルオキシカルボニル)、ヘテロ環オキシ基(例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ、2−テトラヒドロピラニルオキシ)、アゾ基(例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ)、アシルオキシ基(例えば、アセトキシ)、カルバモイルオキシ基(例えば、N−メチルカルバモイルオキシ、N−フェニルカルバモイルオキシ)、シリルオキシ基(例えば、トリメチルシリルオキシ、ジブチルメチルシリルオキシ)、アリールオキシカルボニルアミノ基(例えば、フェノキシカルボニルアミノ)、イミド基(例えば、N−スクシンイミド、N−フタルイミド)、ヘテロ環チオ基(例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、2,4−ジ−フェノキシ−1,3,5−トリアゾール−6−チオ、2−ピリジルチオ)、スルフィニル基(例えば、3−フェノキシプロピルスルフィニル)、ホスホニル基(例えば、フェノキシホスホニル、オクチルオキシホスホニル、フェニルホスホニル)、アリールオキシカルボニル基(例えば、フェノキシカルボニル)、アシル基(例えば、アセチル、3−フェニルプロパノイル、ベンゾイル)、イオン性親水性基(例えば、カルボキシル基、スルホ基、ホスホノ基及び4級アンモニウム基)が挙げられる。
【0077】
前記一般式(I)において、k、l、m、nは、0≦k≦8の整数を表し、0≦l≦8の整数を表し、0≦m≦8の整数を表し、0≦n≦8の整数を表す。
但し、k、l、m、nは4≦k+l+m+n≦8を満たす数を表す。
【0078】
更に、k、l、m、nは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表し、0≦m<8の整数を表し、0=nが好ましく、特に0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表し、m=n=0が好ましく、その中でも特に0<k<4の整数を表し、0<l<4の整数を表し(k+l=4を満たす数を表す)、m=n=0が最も好ましい。
【0079】
以上まとめると、前記一般式(I)(及び(II))で表される着色剤として特に好ましい組み合わせは、
(イ)X、X、X及びXが、それぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R、又はCO−Rが好ましく、更に−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R、又はCO−Rが好ましく、特に−SO−R又はSONRが好ましく、−SO−Rが最も好ましい。
【0080】
(ロ)Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、その中でもイオン性親水性基及び/又は水酸基を置換基として有する置換アルキル基が最も好ましい。
【0081】
(ハ)Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
【0082】
(ニ)Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、置換アルキル基、置換アリール基、または置換へテロ環基が好ましく、その中でもイオン性親水性基及び/又は水酸基を置換基として有する置換アルキル基が最も好ましい。
【0083】
(ホ)Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0084】
(ヘ)Y〜Yは、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン原子が好ましく、特に水素原子が最も好ましい。
【0085】
(ト)本発明の着色剤において、前記一般式(II)で表されるフタロシアニン核は下記一般式(III)が好ましい。
一般式(III)
【0086】
【化8】

【0087】
(チ)本発明の着色剤であるフタロシアニン誘導体の平均分子量は750〜2500の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
【0088】
(リ)前記一般式(I)で表される着色剤中、フタロシアニン核1単位あたりイオン性親水性基を少なくとも1個有するものが好ましく、特に、イオン性親水性基がスルホ基であるのが好ましい、その中でもスルホ基を2個以上有するものが最も好ましい。
【0089】
(ヌ)本発明の一般式(I)で表される着色剤のフタロシアニン誘導体が有するイオン性親水性基の数としては、フタロシアニン誘導体1分子中少なくとも1個有するものが好ましく、さらに2個以上有するものが好ましく、その中でも特にスルホ基及び/又はカルボキシル基を少なくとも2個以上有するものが、水性媒体中に対する溶解性、又は分散性が良好であり最も好ましい。
【0090】
本発明の一般式(I)で表される着色剤の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0091】
前記一般式(I)で表される本発明の着色剤の中でも、下記一般式(IV)で表される構造のフタロシアニン誘導体が更に好ましい。
【0092】
本発明の前記一般式(IV)(及び(III))で表される着色剤は、フタロシアニン誘導体は染料単独、染料混合物及びその塩並びに及びその水和物を含む。該塩、該水和物は着色剤中において単独でも、混合していても良い。
一般式(IV)
【0093】
【化9】

【0094】
一般式(IV)中、Mは、水素原子あるいは金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。
【0095】
Pcは、(k+l)価の下記一般式(III)で表されるフタロシアニン核を表す。
一般式(III)
【0096】
【化10】

【0097】
前記一般式(IV)においてM、X、Xは、それぞれ独立に前記一般式(I)中のM、X、Xと同義であり、好ましい例も同様である。
【0098】
前記一般式(IV)においてk、lは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表す。 但し、k、lは4≦k+l≦8を満たす数を表す。
【0099】
更に、k、lは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表し、その中でも特に0<k<4の整数を表し、0<l<4の整数を表し(k+l=4を満たす数を表す)が最も好ましい。
【0100】
以上まとめると、前記一般式(IV)及び(III)で表される着色剤として特に
好ましい組み合わせは、
(イ)X、及びXが、それぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R、又はCO−Rが好ましく、更に−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R、又はCO−Rが好ましく、特に−SO−R又はSONRが好ましく、−SO−Rが最も好ましい。
【0101】
(ロ)Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が好ましく、その中でもイオン性親水性基及び又は水酸基を置換基として有する置換アルキル基が最も好ましい。
【0102】
(ハ)Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、水素原子、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が好ましく、その中でも水素原子が最も好ましい。
【0103】
(ニ)Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基であり、置換アルキル基、置換アリール基、置換へテロ環基が好ましく、その中でもイオン性親水性基及び又は水酸基を置換基として有する置換アルキル基が最も好ましい。
【0104】
(ホ)Mとしては、Cu、Ni、Zn、Al等が好ましく、Cuが最も好ましい。
【0105】
(ヘ)本発明の着色剤であるフタロシアニン誘導体の平均分子量は750〜2500の範囲が好ましく、更に995〜2500の範囲の分子量が好ましく、その中でも995〜2000の範囲の分子量が好ましく、特に995〜1800の範囲の分子量が最も好ましい。
【0106】
(ト)前記一般式(IV)で表される着色剤中、フタロシアニン核1単位あたりイオン性親水性基を少なくとも1個有するものが好ましく、特に、イオン性親水性基がスルホ基であるのが好ましい、その中でもスルホ基を2個以上有するものが最も好ましい。
【0107】
(チ)本発明の一般式(IV)及び(III)で表される着色剤のフタロシアニン誘導体が有するイオン性親水性基の数としては、フタロシアニン誘導体1分子中少なくとも1個有するものが好ましく、さらに2個以上有するものが好ましく、その中でも特にスルホ基及び/又はカルボキシル基を少なくとも2個以上有するものが、水性媒体中に対する溶解性、又は分散性が良好であり最も好ましい。
【0108】
本発明の一般式(IV)で表される着色剤の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。
【0109】
一般に、インクジェット記録用インク組成物として種々のフタロシアニン化合物を使用することが知られている。下記一般式(X)で表されるフタロシアニン化合物は、その合成時において不可避的に置換基R(n=1〜16)の置換位置(R:1位〜R16:16位とここで定義する)異性体を含む場合があるが、これら置換位置異性体は互いに区別することなく同一誘導体として見なしている場合が多い。また、Rの置換基に異性体が含まれる場合も、これらを区別することなく、同一のフタロシアニン化合物として見なしている場合が多い。
一般式(X)
【0110】
【化11】

【0111】
本明細書中で定義するフタロシアニン化合物において構造が異なる場合とは、一般式(X)で説明すると、置換基R(n=1〜16)の構成原子種が異なる場合、置換基Rの数が異なる場合又は置換基Rの位置が異なる場合の何れかである。
【0112】
本発明において、上記一般式(X)で表されるフタロシアニン化合物の構造が異なる(特に、置換位置)誘導体を以下の三種類に分類して定義する。
【0113】
(1)β-位置換型:(2及び又は3位、6及び又は7位、10及び又は11位、14及び又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)。
(2)α-位置換型:(1及び又は4位、5及び又は8位、9及び又は12位、13及び又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)。
(3)α,β-位混合置換型:(1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)。
【0114】
本明細書中において、構造が異なる(特に、置換位置)フタロシアニン誘導体を説明する場合、上記(1)β-位置換型、(2)α-位置換型、(3)α,β-位混合置換型を使用する。
【0115】
かくして得られるフタロシアニン誘導体(例えば:k=l=m=n=1の場合)は、通常、G、G、G、Gの各置換基の導入位置(導入位置はβ位であることは共通)における異性体である下記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物の混合物となっている。
【0116】
【化12】

【0117】
すなわち、上記一般式(a)−1〜(a)−4で表される化合物は、β-位置換型(2及び又は3位、6及び又は7位、10及び又は11位、14及び又は15位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)であり、α位置換型(1及び又は4位、5及び又は8位、9及び又は12位、13及び又は16位に特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)及びα,β−位混合置換型(1〜16位に規則性なく、特定の置換基を有するフタロシアニン化合物)とは全く構造の異なる(特定の置換基の導入位置が異なる)化合物であり、本発明の目的を達成する手段として極めて重要な構造上の特徴である。
【0118】
本発明の課題を解決した原因は詳細には不明ではあるが、溶解性基がβ位にのみ導入された誘導体は、その他のものと比較して色相・光堅牢性・オゾンガス耐性等において圧倒的に優れている傾向にある。
【0119】
詳しくは、[1]良好な分光吸収特性(β位に特定の溶解性基導入によるフタロシアニン化合物の会合状態の促進);[2]高い画像堅牢性(高酸化電位と強固な会合状態の促進により、
例えば、フタロシアニン化合物と親電子試薬であるオゾンガスとの酸化反応による褪色を抑制する);[3]インク組成物への高い溶解性;[4]良好なインク液経時安定性付与;を有する本発明のフタロシアニン化合物が、特定の溶解基を特定の置換位置(β位)に特定の数だけ選択的に導入による、すなわち、高酸化電位でかつ完全β-位置換型フタロシアニン化合物の強固な会合体を形成しかつ特定の溶解性基が目的の数だけ選択的に導入可能により達成したものと考えられる。
【0120】
以下、本発明の着色剤の具体例(例示染料1〜160)を挙げるが、本発明は、これら具体例に限定されるわけではない。
【0121】
下記表1中、一般式(XX−1)は(k)価のフタロシアニン核(置換基Rの導入位置は、本発明で定義したβ位置換型である)を表す。tは、t=1または2の数を表す。kは4≦k≦8を満たす数を表す。
一般式(XX−1)
【0122】
【化13】

【0123】
表1
【0124】
【表1】

【0125】
下記表2〜表10中、一般式(XX−2)は(k+l)価のフタロシアニン核(置換基Rの導入位置は、本発明で定義したβ位置換型である)を表す。Rは、R及び/又はRを表し、tは、tはt=1または2の数を表す。0<k<8の数を表し、0<l<8の数を表す。但し、k、lは4≦k+l≦8を満たす数を表す。
一般式(XX−2)
【0126】
【化14】

【0127】
表2
【0128】
【表2】

【0129】
表3
【0130】
【表3】

【0131】
表4
【0132】
【表4】

【0133】
表5
【0134】
【表5】

【0135】
表6
【0136】
【表6】

【0137】
表7
【0138】
【表7】

【0139】
表8
【0140】
【表8】

【0141】
表9
【0142】
【表9】

【0143】
表10
【0144】
【表10】

【0145】
下記表−11中、一般式(XX−3)は(k+l+m)価のフタロシアニン核(置換基Rの導入位置は、本発明で定義したβ位置換型である)を表す。Rは、R及び/又はR及び/又はRを表し、tは、t=1または2のを表す。0<k<8の数を表し、0<l<8の数を表し、0<m<8の数を表す。但し、k、l、mは4≦k+l+m≦8を満たす数を表す。
一般式(XX−3)
【0146】
【化15】

【0147】
表11
【0148】
【表11】

【0149】
下記表12中、一般式(XX−4)は(k+l+m+n)価のフタロシアニン核(置換基Rの導入位置は、本発明で定義したβ位置換型である)を表す。Rは、R及び/又はR及び/又はR及び/又はRを表し、tは、t=1または2の数を表す。0<k<8の数を表し、0<l<8の数を表し、0<m<8の数を表し、0<n<8の数を表す。但し、k、l、m、nは4≦k+l+m+n≦8を満たす数を表す。
一般式(XX−4)
【0150】
【化16】

【0151】
表12
【0152】
【表12】

【0153】
着色剤の添加量は、インク組成物中0.2〜10質量%であることが好ましく、0.5〜7質量%であることがより好ましく、1〜5質量%であることが最も好ましい。
以下、着色剤と共に本発明に用いられるグアニジン系化合物について詳述する。
【0154】
(グアニジン系化合物)
本発明に用いられるグアニジン系化合物とは、N−C(=N)−N構造を有する化合物を意味する。
【0155】
グアニジン系化合物としては、一般式(1)で表される化合物が好ましい。
一般式(1)
【0156】
【化17】

【0157】
(式中、R101、R102、R103、又はR104は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基を示す。R105は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基を示す。これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。)
【0158】
アルキル基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
【0159】
アルコキシ基としては、好ましくは炭素数1〜12個、特に好ましくは炭素数1〜6個のものが挙げられる。
アリール基としては、好ましくは炭素数6〜18個、特に好ましくは炭素数6〜10個のものが挙げられる。
【0160】
ヘテロ環基としては、フリル基、ピリジル基、ピリミジル基、ピロリル基、ピロリニル基、ピロリジル基、ジオキソリル基、ピラゾリル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、オキサジアゾリル基、トリアゾリル基、チアジアゾリル基、ピリル基、ピリジル基、ピぺリジル基、ジオキサニル基、モルホリル基、ピリダジル基、ピラジル基、ピペラジル基、トリアジル基、トリチアニル基等が挙げられる。
【0161】
101〜R105で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、またはヘテロ環基は、その水素原子が更に他の任意の置換基により置換されたものを包含する。そのような置換基としては、塩素などのハロゲン原子、ニトロ基、アミノ基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基、アリールオキシ基(アリール部分は、ここで列記する置換基により更に置換されていてもよい)等が挙げられ、これら置換基は2種以上が同一分子に置換されていてもよい。また、上記アミノ基、カルバモイル基、アミジノ基、グアニジノ基は、その水素原子が上記R〜Rで示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基で置換されていてもよい。
【0162】
101〜R104で示されるアミノ基は、その水素原子が上記R101〜R105で示されるアルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基等で置換されていてもよい。
【0163】
グアニジン系化合物は、塩または金属錯体の形態であってもよい。例えば、塩酸塩、硝酸塩、燐酸塩、スルファミン酸塩、炭酸塩、酢酸塩等が挙げられる。
【0164】
グアニジン系化合物としては、以下のものが挙げられ、単独もしくは組み合わせて用いることができるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0165】
【化18】

【0166】
一般式(1)で表される化合物の合成方法としては、例えば、該当するイミノエーテルの塩酸塩にアンモニアを作用させる工程を少なくとも経ることにより得られる。
【0167】
グアニジン系化合物は、N−C(=N)−N構造を有するポリマーであってもよい。このようなポリマーとしては、下記一般式(2−Aa)、一般式(2−Ab)、一般式(2−Ac)で表される繰り返し単位を含む化合物を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。なお、該繰り返し単位を含む化合物は、オリゴマーであってもよい。一般式(2−Ac)で表される繰り返し単位を含む化合物は、モノマーであってもよい。また、これら化合物は、酸との塩であることが好ましい。
一般式(2−Aa)
【0168】
【化19】

【0169】
一般式(2−Aa)中、R105は前記と同義、R106は、R101、R102、R103、又はR104の何れかを示し、n個のR105及びR106は各々同一でも異なってもよい。nは2以上の整数であり、好ましくは2〜30であり、更に好ましくは2〜15である。
【0170】
一般式(2−Aa)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
一般式(2−Ab)
【0171】
【化20】

【0172】
一般式(2−Ab)中、R105及びR106は前記と同義であり、l個のR105及びR106は各々同一でも異なってもよい。lは2以上の整数であり、好ましくは2〜10であり、更に好ましくは2〜5である。mは1以上の整数であり、好ましくは1〜6であり、更に好ましくは1〜3である。一般式(2−Ab)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
一般式(2−Ac)
【0173】
【化21】

【0174】
一般式(2−Ac)中、R105は前記と同義であり、R107はR101又はR102と同義であり、R108はR104又はR105と同義であり、p個のR103、R107及びR108は各々同一でも異なってもよい。pは1以上の整数であり、好ましくは1〜10であり、更に好ましくは1〜5である。一般式(2−Ac)で表される繰り返し単位を含む化合物は、単独重合体であっても、他の繰り返し単位、例えば、アゼチジニウム等との共重合体であってもよい。また、末端構造は適宜選定し得るが、水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基が好ましい。
【0175】
少なくとも1種のグアニジン系化合物の添加総量は、インク組成物中0.1〜10質量%であることが好ましく、0.3〜7質量%であることがより好ましく、0.5〜5質量%であることが最も好ましい。
着色剤/グアニジン系化合物(質量比)は0.01〜100が好ましく、0.1〜50がより好ましく、0.3〜10が更に好ましい。
【0176】
以下、着色剤と共に本発明に用いられる、1分子中に10を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物について説明する。
【0177】
非局在化したπ電子系を構成するπ電子の数が増え、π電子系が広がると可視域に吸収を持つことが多い。本発明で無色とは、画像に影響を及ぼさない範囲で極わずかに着色している状態も含まれる。また、蛍光性の化合物であっても良いが、蛍光のない化合物が好ましく、さらに好ましくは最も長波側の吸収ピークのλmaxが350nm以下、より好ましくは320nm以下で、且つモル吸光係数が1万以下の化合物である。
【0178】
本発明の化合物は、1分子中に10個を超える非局在化π電子を有する。π電子の数の上限に特に制限はないが、80個以下が好ましく、中でも50個以下が好ましく、特に30個以下が好ましい。また、10個を超えるπ電子が1つの大きな非局在系を形成していてもよいが、2つ以上の非局在系を形成していてもよい。特に、1分子中に2つ以上の芳香族環を有する化合物が好ましい。芳香族環は、芳香族炭化水素環であっても良いしヘテロ原子を含む芳香族ヘテロ環であっても良く、縮環して1つの芳香族環を形成するものであっても良い。芳香族環の例としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ピリジン、ピリミジン、ピラジン、トリアジンなどを挙げることができる。
【0179】
本発明の水溶性平面状化合物は、20℃において100gの水に対して少なくとも1g以上溶解する化合物が好ましい。より好ましくは5g以上溶解する化合物であり、最も好ましくは10g以上溶解する化合物である。
【0180】
1分子中に2つ以上の芳香族環を有する化合物の場合には、分子中の芳香族環に結合している少なくとも2個の可溶化基を有することがとりわけ望ましい。有用な可溶化基には、スルホ基、カルボキシル基、ヒドロキシ基、ホスホノ基、カルボンアミド基、スルホンアミド基、4級アンモニウム塩および当業者に明らかな他の基が含まれるが、これらに限定されない。なかでも、スルホ基およびカルボキシル基が好ましく、スルホ基がもっとも好ましい。
【0181】
分子中の可溶化基の最大数は、利用可能な置換基の位置の数によってのみ制限されるけれども、実用上の目的には、分子中に、同じかまたは異なる可溶化基が10個存在すれば十分である。これらの可溶性基のカウンターカチオンに制限はなく、アルカリ金属、アンモニウム、有機のカチオン(テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウムなど)を挙げることができるが、中でもアルカリ金属、アンモニウムが好ましく、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムが好ましく、リチウム、ナトリウム、アンモニウムが最も好ましい。
【0182】
具体的な化合物としては、特開昭63−55544号の他、特開平3−146947号、同3−149543号、特開2001−201831号、同2002−139822号、同2002−196460号、同2002−244257号、同2002−244259号、同2002−296743号、同2002−296744号、同2003−255502号、同2003−307823号、同2004−4500号、同2004−170964号の各公報あるいは明細書に記載の化合物を挙げることができる。
【0183】
なかでも下記一般式(3)で表される化合物が好ましく用いられる。
【0184】
一般式(3):
A−X−L−(Y−B)n
【0185】
式中、A、L、Bは、それぞれ独立に、芳香族基(アリール基および芳香族ヘテロ環基)を表す。XとYはそれぞれ独立に2価の連結基を表す。nは0もしくは1を表す。芳香族基は単環であっても縮合環であってもよい。2価の連結基は、アルキレン基、アルケニレン基、−CO−、−SOn−(nは0、1、2)、−NR−(Rは水素原子、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基を表す)、−O−、およびこれらの連結基を組み合わせた2価の基である。但し、一般式1で表される化合物は、スルホ基、カルボキシル基、フェノール性水酸基、およびホスホノ基から選ばれるイオン性親水性基を少なくとも1つ含有する。これらのイオン性親水性基は塩の形でも良く、そのカウンターカチオンについては制限はなく、アルカリ金属、アンモニウム、有機のカチオン(テトラメチルアンモニウム、グアニジニウム、ピリジニウムなど)を挙げることができるが、中でもアルカリ金属、アンモニウムが好ましく、特にリチウム、ナトリウム、カリウム、アンモニウムが好ましく、リチウム、ナトリウム、アンモニウムが最も好ましい。
【0186】
また、一般式(3)で表される化合物は、イオン性親水性基以外の置換基を有していても良く、具体的置換基としてアルキル基、アリール基、アラルキル基、ヘテロ環基、アルコキシ基、アリールオキシ基、水酸基、アミノ基(アニリノ基、ヘテロ環アミノ基を含む)、アシル基、アシルアミノ基、ウレイド基、ハロゲン原子、スルファモイル基、カルバモイル基、スルホンアミド基、スルホニル基、スルフェニル基、スルフィニル基等を挙げることができ、これらは更に置換基を有していても良い。一般式3の化合物の中でも好ましいものは、n=1のものであり、またA、L、Bのうち少なくとも1つが芳香族ヘテロ環であるものが好ましい。さらにはイオン性親水性基が2から4個含まれるものが好ましい。
【0187】
本発明の1分子中に10を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物の好ましい使用量は、インクの0.01〜10質量%の範囲であり、更に好ましくは0.1質量%〜7.0質量%、特に好ましくは、0.5質量%〜5.0質量%の範囲が最も好ましい使用量である。
着色剤/該平面状化合物(質量比)は0.02〜1000が好ましく、0.1〜100がより好ましく、0.2〜50が更に好ましい。
【0188】
使用量が少ないと、ブロンズ抑制/オゾンガス堅牢性改良能が十分でない場合がある。
【0189】
使用量が多いと、吐出性が悪化する場合がある。
【0190】
本発明の化合物が、どういう作用機構からブロンズを抑制するかは明確になっていないが、色素分子間のπ電子相互作用により凝集(会合)している色素に対し、より強いπ電子の相互作用を働かせることによって凝集を解消させる解凝集剤として作用し、その結果としてブロンズ現象を改良しているものと考えられる。凝集している色素の間に入り込み、或いは色素会合体表面にある色素に対し強いπ電子相互作用を発現させるために、解凝集剤が平面であることとπ電子系が大きく広がっていることが重要である。また、解凝集剤自身あるいは色素と解凝集剤によって形成されるコンプレックスが析出しないように、解凝集剤が十分な溶解性を有することも重要である。必要なπ電子の数は、用いられるインクジェット用色素の大きさによって変わってくるものであるが、インクジェットに用いられる色素は、固定性を上げるために直接染料に代表されるように大きく広がった平面構造を有しているので、解凝集剤は1分子中に10個を超える非局在化π電子系の広がりを有する無色の水溶性平面状化合物である必要があるものと推測される。また、解凝集剤と色素によって形成されるコンプレックスは、色素を解凝集剤で保護する形態となるためオゾンガスに対する耐性も向上する。
【0191】
本発明に用いられる好ましい化合物例は、先にあげた特開2002−139822号、同2002−196460号、同2002−244257号、同2002−244259号、同2002−296743号、同002−296744号の各公報あるいは明細書に記載の化合物を挙げることができる。代表的な化合物(解凝集剤)を以下に示す。
【0192】
【化22】

【0193】
【化23】

【0194】
【化24】

【0195】
【化25】

【0196】
【化26】

【0197】
【化27】

【0198】
【化28】

【0199】
【化29】

【0200】
本発明の好ましい化合物は、前記の特開2002−139822号公報などを参考にして容易に合成することができる。
【0201】
本発明のインク組成物の用途としては、画像、特にカラー画像を形成するための画像記録材料が挙げられ、具体的には、以下に詳述するインクジェット方式記録材料を始めとして、感熱記録材料、感圧記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等があり、好ましくはインクジェット方式記録材料、感熱記録材料、電子写真方式を用いる記録材料であり、更に好ましくはインクジェット方式記録材料である。
【0202】
また、CCDなどの固体撮像素子やLCD、PDP等のディスプレーで用いられるカラー画像を記録・再現するためのカラーフィルター、各種繊維の染色の為の染色液にも適用できる。
【0203】
[インク]
本発明のインク組成物は、少なくとも一種の本発明の着色剤、水、グアニジン系化合物、および1分子中に10個を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物を含有するインク組成物を意味する。
【0204】
本発明のインク組成物は、媒体を含有させることができるが、媒体として溶媒を用いた場合は特にインクジェット記録用インクとして好適である。
【0205】
本発明のインク組成物は、媒体として、親油性媒体や水性媒体を用いて、それらの中に、本発明の着色剤を溶解及び/又は分散させることによって作製することができる。
【0206】
本発明では、水性媒体を用いる。更に水溶性インク組成物が好ましい。
【0207】
本発明のインクは、必要に応じてその他の添加剤を、本発明の効果を害しない範囲内において含有しうる。
【0208】
その他の添加剤としては、例えば、乾燥防止剤(湿潤剤)、褪色防止剤、乳化安定剤、浸透促進剤、紫外線吸収剤、防腐剤、防黴剤、pH調整剤、表面張力調整剤、消泡剤、粘度調整剤、分散剤、分散安定剤、防錆剤、キレート剤等の公知の添加剤(特開2003−306623号公報に記載)が挙げられる。
【0209】
これらの各種添加剤は、水溶性インクの場合にはインク液に直接添加する。油溶性染料を分散物の形で用いる場合には、染料分散物の調製後分散物に添加するのが一般的であるが、調製時に油相又は水相に添加してもよい。
【0210】
乾燥防止剤は、インクジェット記録方式に用いるノズルのインク噴射口において該インクジェット記録用インクが乾燥することによる目詰まりを防止する目的で好適に使用される。
【0211】
乾燥防止剤としては、水より蒸気圧の低い水溶性有機溶剤が好ましい。具体的な例としてはエチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、チオジグリコール、ジチオジグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,2,6−ヘキサントリオール、アセチレングリコール誘導体、グリセリン、トリメチロールプロパン等に代表される多価アルコール類、エチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、ジエチレングリコールモノメチル(又はエチル)エーテル、トリエチレングリコールモノエチル(又はブチル)エーテル等の多価アルコールの低級アルキルエーテル類、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、N−エチルモルホリン等の複素環類、スルホラン、ジメチルスルホキシド、3−スルホレン等の含硫黄化合物、ジアセトンアルコール、ジエタノールアミン等の多官能化合物、尿素誘導体が挙げられる。これらのうちグリセリン、ジエチレングリコール等の多価アルコールがより好ましい。また上記の乾燥防止剤は単独で用いても良いし2種以上併用しても良い。これらの乾燥防止剤はインク中に10〜50質量%含有することが好ましい。
【0212】
浸透促進剤は、インクジェット記録用インクを紙により良く浸透させる目的で好適に使用される。浸透促進剤としては、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、1,2−ヘキサンジオール等のアルコール類やラウリル硫酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウムやノニオン性界面活性剤等を用いることができる。これらはインク中に5〜30質量%含有すれば通常充分な効果があり、印字の滲み、紙抜け(プリントスルー)を起こさない添加量の範囲で使用するのが好ましい。
【0213】
紫外線吸収剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。紫外線吸収剤としては特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
【0214】
褪色防止剤は、画像の保存性を向上させる目的で使用される。褪色防止剤としては、各種の有機系及び金属錯体系の褪色防止剤を使用することができる。有機の褪色防止剤としてはハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類などがあり、金属錯体としてはニッケル錯体、亜鉛錯体などがある。より具体的にはリサーチディスクロージャーNo.17643の第VIIのIないしJ項、同No.15162、同No.18716の650頁左欄、同No.36544の527頁、同No.307105の872頁、同No.15162に引用された特許文献に記載された化合物や特開昭62−215272号公報の127頁〜137頁に記載された代表的化合物の一般式及び化合物例に含まれる化合物を使用することができる。
【0215】
防黴剤としては、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オン及びその塩等が挙げられる。これらはインク中に0.02〜1.00質量%使用するのが好ましい。
【0216】
pH調整剤としては、前記中和剤(有機塩基、無機アルカリ)を用いることができる。pH調整剤はインクジェット記録用インクの保存安定性を向上させる目的で、該インクジェット記録用インクがpH6〜10と夏用に添加するのが好ましく、pH7〜10となるように添加するのがより好ましい。
【0217】
表面張力調整剤としては、ノニオン、カチオンあるいはアニオン界面活性剤が挙げられる。本発明のインクジェット記録用インクの表面張力は、25〜70mPa・sが好ましく、25〜60mPa・sがより好ましい。また本発明のインクジェット記録用インクの粘度は30mPa・s以下が好ましく、20mPa・s以下に調整することがより好ましい。
【0218】
界面活性剤の例としては、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等のアニオン系界面活性剤や、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン系界面活性剤が好ましい。
【0219】
また、アセチレン系ポリオキシエチレンオキシド界面活性剤であるSURFYNOLS(AirProducts&Chemicals社)も好ましく用いられる。また、N,N−ジメチル−N−アルキルアミンオキシドのようなアミンオキシド型の両性界面活性剤等も好ましい。更に、特開昭59−157636号の第(37)〜(38)頁、リサーチ・ディスクロージャーNo.308119(1989年)記載の界面活性剤として挙げたものも使うことができる。
【0220】
消泡剤としては、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等も必要に応じて使用することができる。
【0221】
本発明の着色剤を水性媒体に分散させる場合は、特開平11−286637号、特開2001−240763号、同2001−262039号、同2001−247788号のように色素と油溶性ポリマーとを含有する着色微粒子を水性媒体に分散したり、特開2001−262018号、同2001−240763号、同2001−335734号、同2002−80772号のように高沸点有機溶媒に溶解した本発明の着色剤を水性媒体中に分散することが好ましい。
【0222】
本発明の着色剤を水性媒体に分散させる場合の具体的な方法、使用する油溶性ポリマー、高沸点有機溶剤、添加剤及びそれらの使用量は、前記特許に記載されたものを好ましく使用することができる。
【0223】
分散時には、分散剤や界面活性剤を使用することができる。分散装置としては、簡単なスターラーやインペラー攪拌方式、インライン攪拌方式、ミル方式(例えば、コロイドミル、ボールミル、サンドミル、アトライター、ロールミル、アジテーターミル等)、超音波方式、高圧乳化分散方式(高圧ホモジナイザー;具体的な市販装置としてはゴーリンホモジナイザー、マイクロフルイダイザー、DeBEE2000等)を使用することができる。
【0224】
上記のインクジェット記録用インクの調製方法については、先述の特許以外にも特開平5−148436号、同5−295312号、同7−97541号、同7−82515号、同7−118584号、特開平11−286637号、同2001−271003号の各公報に詳細が記載されていて、本発明のインクジェット記録用インクの調製にも利用できる。
【0225】
水性媒体は、水を主成分とし、所望により、水混和性有機溶剤を添加した混合物を用いることができる。前記水混和性有機溶剤の例には、アルコール(例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、ベンジルアルコール)、多価アルコール類(例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキサンジオール、ペンタンジオール、グリセリン、ヘキサントリオール、チオジグリコール)、グリコール誘導体(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングルコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールジアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル)、アミン(例えば、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、モルホリン、N−エチルモルホリン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、ポリエチレンイミン、テトラメチルプロピレンジアミン)及びその他の極性溶媒(例えば、ホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、スルホラン、2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−ビニル−2−ピロリドン、2−オキサゾリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、アセトニトリル、アセトン)が含まれる。尚、前記水混和性有機溶剤は、二種類以上を併用してもよい。
【0226】
本発明のインクジェット記録用インク100質量部中には、着色剤が0.1質量部以上10質量部以下の割合で含有されていることが好ましい。
【0227】
また、本発明のインクジェット記録用インクは、上記一般式(I)及び(IV)で表される本発明の着色剤とともに、他の着色剤が併用されていてもよい。
【0228】
2種類以上の着色剤を併用する場合は、着色剤の含有量の合計が前記した範囲となっているのが好ましい。
【0229】
本発明のインクジェット記録用インクは、単色の画像形成のみならず、フルカラーの画像形成に用いることができる。
【0230】
フルカラー画像を形成するために、マゼンタ色調インク、シアン色調インク、及びイエロー色調インクを用いることができ、また、色調を整えるために、更にブラック色調インクを用いてもよい。
【0231】
これらのインクには、本発明に係る着色剤(フタロシアニン誘導体)のほかに他の色材(色素や顔料)をも用いて画像再現性能を向上させることができる。
【0232】
本発明の着色剤とともに、適用できるイエロー色素としては、任意のものを使用することが出来る。例えばカップリング成分(以降カプラー成分と呼ぶ)としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類、ピラゾロンやピリドン等のようなヘテロ環類、開鎖型活性メチレン化合物類、などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ色素;例えばカプラー成分として開鎖型活性メチレン化合物類などを有するアゾメチン色素;例えばベンジリデン色素やモノメチンオキソノール色素等のようなメチン色素;例えばナフトキノン色素、アントラキノン色素等のようなキノン系色素などがあり、これ以外の色素種としてはキノフタロン色素、ニトロ・ニトロソ色素、アクリジン色素、アクリジノン色素等を挙げることができる。
【0233】
適用できるマゼンタ色素としては、任意のものを使用することが出来る。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ色素;例えばカプラー成分としてピラゾロン類、ピラゾロトリアゾール類などを有するアゾメチン色素;例えばアリーリデン色素、スチリル色素、メロシアニン色素、シアニン色素、オキソノール色素などのようなメチン色素;ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素などのようなカルボニウム色素、例えばナフトキノン、アントラキノン、アントラピリドンなどのようなキノン色素、例えばジオキサジン色素等のような縮合多環色素等を挙げることができる。
【0234】
適用できるシアン色素としては、任意のものを使用することが出来る。例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、アニリン類などを有するアリールもしくはヘテリルアゾ色素;例えばカプラー成分としてフェノール類、ナフトール類、ピロロトリアゾールのようなヘテロ環類などを有するアゾメチン色素;シアニン色素、オキソノール色素、メロシアニン色素などのようなポリメチン色素;ジフェニルメタン色素、トリフェニルメタン色素、キサンテン色素などのようなカルボニウム色素;本発明で用いる前記一般式(I)または(IV)で表される以外のフタロシアニン色素;アントラキノン色素;インジゴ・チオインジゴ色素などを挙げることができる。
【0235】
前記の各色素は、クロモフォアの一部が解離して初めてイエロー、マゼンタ、シアンの各色を呈するものであっても良く、その場合のカウンターカチオンはアルカリ金属や、アンモニウムのような無機のカチオンであってもよいし、ピリジニウム、4級アンモニウム塩のような有機のカチオンであってもよく、さらにはそれらを部分構造に有するポリマーカチオンであってもよい。
【0236】
適用できる黒色材としては、ジスアゾ、トリスアゾ、テトラアゾ色素のほか、カーボンブラックの分散体を挙げることができる。
【0237】
[インクジェット記録方法]
本発明のインクジェット記録方法は、前記インクジェット記録用インクにエネルギーを供与して、公知の受像材料、即ち普通紙、樹脂コート紙、例えば特開平8−169172号公報、同8−27693号公報、同2−276670号公報、同7−276789号公報、同9−323475号公報、特開昭62−238783号公報、特開平10−153989号公報、同10−217473号公報、同10−235995号公報、同10−337947号公報、同10−217597号公報、同10−337947号公報等に記載のインクジェット専用紙、フィルム、電子写真共用紙、布帛、ガラス、金属、陶磁器等に画像を形成する。
【0238】
画像を形成する際に、光沢性や耐水性を与えたり、耐候性を改善する目的からポリマーラテックス化合物を併用してもよい。
【0239】
ラテックス化合物を受像材料に付与する時期については、着色剤を付与する前であっても、後であっても、また同時であってもよく、したがって添加する場所も受像紙中であっても、インク中であってもよく、あるいはポリマーラテックス単独の液状物として使用しても良い。具体的には、特開2002−166638号、同2002−121440号、同2002−154201号、同2002−144696号、同2002−80759号、同2002−187342号、同2002−172774号に記載された方法を好ましく用いることが出きる。
【0240】
以下に、本発明のインクを用いてインクジェットプリントをするのに用いられる記録紙及び記録フィルムについて説明する。
【0241】
記録紙及び記録フィルムにおける支持体は、LBKP、NBKP等の化学パルプ、GP、PGW、RMP、TMP、CTMP、CMP、CGP等の機械パルプ、DIP等の古紙パルプ等からなり、必要に応じて従来公知の顔料、バインダー、サイズ剤、定着剤、カチオン剤、紙力増強剤等の添加剤を混合し、長網抄紙機、円網抄紙機等の各種装置で製造されたもの等が使用可能である。これらの支持体の他に合成紙、プラスチックフィルムシートのいずれであってもよく、支持体の厚みは10〜250μm、坪量は10〜250g/mが望ましい。支持体には、そのままインク受容層及びバックコート層を設けてもよいし、デンプン、ポリビニルアルコール等でサイズプレスやアンカーコート層を設けた後、インク受容層及びバックコー卜層を設けてもよい。更に支持体には、マシンカレンダー、TGカレンダー、ソフトカレンダー等のカレンダー装置により平坦化処理を行ってもよい。本発明では支持体としては、両面をポリオレフィン(例えば、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリブテン及びそれらのコポリマー)でラミネートした紙及びプラスチックフィルムがより好ましく用いられる。ポリオレフィン中に、白色顔料(例えば、酸化チタン、酸化亜鉛)又は色味付け色素(例えば、コバルトブルー、群青、酸化ネオジウム)を添加することが好ましい。
【0242】
支持体上に設けられるインク受容層には、顔料や水性バインダーが含有される。顔料としては、白色顔料が好ましく、白色顔料としては、炭酸カルシウム、カオリン、タルク、クレー、珪藻土、合成非晶質シリカ、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、珪酸カルシウム、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、二酸化チタン、硫化亜鉛、炭酸亜鉛等の白色無機顔料、スチレン系ピグメント、アクリル系ピグメント、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。インク受容層に含有される白色顔料としては、多孔性無機顔料が好ましく、特に細孔面積が大きい合成非晶質シリカ等が好適である。合成非晶質シリカは、乾式製造法によって得られる無水珪酸及び湿式製造法によって得られる含水珪酸のいずれも使用可能であるが、特に含水珪酸を使用することが望ましい。
【0243】
インク受容層に含有される水性バインダーとしては、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリアルキレンオキサイド、ポリアルキレンオキサイド誘導体等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。これらの水性バインダーは単独又は2種以上併用して用いることができる。本発明においては、これらの中でも特にポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコールが顔料に対する付着性、インク受容層の耐剥離性の点で好適である。
【0244】
インク受容層は、顔料及び水性結着剤の他に媒染剤、耐水化剤、耐光性向上剤、界面活性剤、その他の添加剤を含有することができる。
【0245】
インク受容層中に添加する媒染剤は、不動化されていることが好ましい。そのためには、ポリマー媒染剤が好ましく用いられる。
【0246】
ポリマー媒染剤については、特開昭48−28325号、同54−74430号、同54−124726号、同55−22766号、同55−142339号、同60−23850号、同60−23851号、同60−23852号、同60−23853号、同60−57836号、同60−60643号、同60−118834号、同60−122940号、同60−122941号、同60−122942号、同60−235134号、特開平1−161236号の各公報、米国特許2484430号、同2548564号、同3148061号、同3309690号、同4115124号、同4124386号、同4193800号、同4273853号、同4282305号、同4450224号の各明細書に記載がある。特開平1−161236号公報の212〜215頁に記載のポリマー媒染剤を含有する受像材料が特に好ましい。同公報記載のポリマー媒染剤を用いると、優れた画質の画像が得られ、かつ画像の耐光性が改善される。
【0247】
耐水化剤は、画像の耐水化に有効であり、これらの耐水化剤としては、特にカチオン樹脂が望ましい。このようなカチオン樹脂としては、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン、ポリエチレンイミン、ポリアミンスルホン、ジメチルジアリルアンモニウムクロライド重合物、カチオンポリアクリルアミド、コロイダルシリカ等が挙げられ、これらのカチオン樹脂の中で特にポリアミドポリアミンエピクロルヒドリンが好適である。これらのカチオン樹脂の含有量は、インク受容層の全固形分に対して1〜15質量%が好ましく、特に3〜10質量%であることが好ましい。
【0248】
耐光性向上剤としては、硫酸亜鉛、酸化亜鉛、ヒンダードアミン系酸化防止剤、ベンゾフェノン系やベンゾトリアゾール系の紫外線吸収剤等が挙げられる。これらの中で特に硫酸亜鉛が好適である。
【0249】
界面活性剤は、塗布助剤、剥離性改良剤、スベリ性改良剤あるいは帯電防止剤として機能する。界面活性剤については、特開昭62−173463号、同62−183457号の各公報に記載がある。界面活性剤の代わりに有機フルオロ化合物を用いてもよい。有機フルオロ化合物は、疎水性であることが好ましい。有機フルオロ化合物の例には、フッ素系界面活性剤、オイル状フッ素系化合物(例えば、フッ素油)及び固体状フッ素化合物樹脂(例えば、四フッ化エチレン樹脂)が含まれる。有機フルオロ化合物については、特公昭57−9053号(第8〜17欄)、特開昭61−20994号、同62−135826号の各公報に記載がある。その他のインク受容層に添加される添加剤としては、顔料分散剤、増粘剤、消泡剤、色素、蛍光増白剤、防腐剤、pH調整剤、マット剤、硬膜剤等が挙げられる。尚、インク受容層は1層でも2層でもよい。
【0250】
記録紙及び記録フィルムには、バックコート層を設けることもでき、この層に添加可能な成分としては、白色顔料、水性バインダー、その他の成分が挙げられる。バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、ケイソウ土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬べーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
【0251】
バックコート層に含有される水性バインダーとしては、スチレン/マレイン酸塩共重合体、スチレン/アクリル酸塩共重合体、ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、デンプン、カチオン化デンプン、カゼイン、ゼラチン、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ポリビニルピロリドン等の水溶性高分子、スチレンブタジエンラテックス、アクリルエマルジョン等の水分散性高分子等が挙げられる。バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、色素、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
【0252】
インクジェット記録紙及び記録フィルムの構成層(バックコート層を含む)には、ポリマーラテックスを添加してもよい。
【0253】
ポリマーラテックスは、寸度安定化、カール防止、接着防止、膜のひび割れ防止のような膜物性改良の目的で使用される。ポリマーラテックスについては、特開昭62−245258号、同62−1316648号、同62−110066号の各公報に記載がある。ガラス転移温度が低い(40℃以下の)ポリマーラテックスを媒染剤を含む層に添加すると、層のひび割れやカールを防止することができる。また、ガラス転移温度が高いポリマーラテックスをバックコート層に添加しても、カールを防止することができる。
【0254】
本発明のインクはインクジェットの記録方式に制限はなく、公知の方式、例えば静電誘引力を利用してインクを吐出させる電荷制御方式、ピエゾ素子の振動圧力を利用するドロップオンデマンド方式(圧力パルス方式)、電気信号を音響ビームに変えインクに照射して、放射圧を利用してインクを吐出させる音響インクジェット方式、及びインクを加熱して気泡を形成し、生じた圧力を利用するサーマルインクジェット方式等に用いられる。インクジェット記録方式には、フォトインクと称する濃度の低いインクを小さい体積で多数射出する方式、実質的に同じ色相で濃度の異なる複数のインクを用いて画質を改良する方式や無色透明のインクを用いる方式が含まれる。
【実施例】
【0255】
以下、本発明を実施例によって説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0256】
(インクC−1)
下記の成分に抵抗値18MΩ以上の超純水を加え100gとした後、30〜40℃で加熱しながら1時間撹拌した。その後、平均孔径0.25μmのミクロフィルターで減圧濾過してシアン用インク液(C−1)を調製した。
C−1:
染料 110 4.7g
尿素 2.4g
トリエチレングリコール 10.7g
トリエチレングリコールモノブチルエーテル 9.1g
1,2ヘキサンジオール 2.4g
2−ピロリドン 3.5g
グリセリン 11.8g
トリエタノールアミン 0.5g
プロキセルXL II 1.0g
オルフィンE1010 1.0g
(インクC−2)
インクC−1の水5.7gを化合物P−3の17.5wt%水溶液5.7gで置き換えた以外は、インクC−1と同様にして調製した。
(インクC−3)
インクC−1の水1.0gを塩酸アミノグアニジン1.0gで置き換えた以外は、インクC−1と同様にして調製した。
(インクC−4)
インクC−1の水6.7gを化合物P−3の17.5wt%水溶液 5.7gおよび塩酸アミノグアニジン1.0gで置き換えた以外は、インクC−1と同様にして調製した。
(インクC−5)
インクC−4で染料110を比較色素aに置き換えた以外は、インクC−4と同様にして調製した。
比較色素a
【0257】
【化30】

【0258】
(インクC-6)
インクC−4で染料110を比較色素bに置き換えた以外は、インクC−4と同様にして調製した。
比較色素b
【0259】
【化31】

【0260】
(インクC−7)
インクC−4の塩酸アミノグアニジン1.0gを塩酸グアニジン1.0gに置き換えた以外は、インクC−4と同様にして調製した。
(インクC−8)
インクC−4の塩酸アミノグアニジン1.0gをN,N’ジアミノグアニジン1.0gに置き換えた以外は、インクC−4と同様にして調製した。
(インクC−9)
インクC−1の水7.7gを化合物P−3の17.5wt%水溶液 5.7gおよび塩酸アミノグアニジン2.0gで、染料110を染料108で置き換えた以外は、インクC−1と同様にして調製した。
(インクC−10)
インクC−1の水12.4gを化合物P−3の17.5wt%水溶液11.4gおよび塩酸アミノグアニジン1.0gで、染料110を染料108で置き換えた以外は、インクC−1と同様にして調製した。
(インクジェット記録)
上記のインク1〜10を、エプソン社製インクジェットプリンターPM−A-700のシアンインクのカートリッジに装填し、エプソン社製 写真用紙クリスピア<高光沢>に画像を印刷し、各種評価を行った。
(耐オゾン性評価)
シアン単色の階段パッチ画像を印字した。この階段パッチ画像の印字後24時間経過したところで、階段パッチ部分の各濃度域を、ステータスAフィルターが標準装備されたX−rite310濃度計を用いて反射濃度の測定を行った(Ci)。この試料を、オゾン濃度5ppmで7日間、オゾンガス褪色試験機中に保存することにより、褪色試験を行った。オゾナイザーには5kV交流電圧印加の高圧放電方式の市販装置を使用し、オゾンガス濃度は、APPLICS製オゾンガスモニター(モデル:OZG−EM−01)を用いて設定及び制御を行った。
7日間保存後、再び画像濃度測定を行い、保存後の濃度(Cf)を求め、色素残存率[%]=(Cf/Ci)×100を求め評価を行った。色素残存率としては反射濃度Ciが0.9〜1.1での値を採用した。
色素残存率が85%以上の場合をA、80%以上85%未満をB、75%以上80%未満をC、70%以上75%未満をD、70%未満の場合をEとして、5段階で評価した。
(ブロンズ光沢の発生有無)
30℃80%RHの環境下で印字したシアンのDmax部を目視観察しブロンズ発生の有無を確認した。
【0261】
【表13】

【0262】
本発明において使用する受像紙を富士写真フィルム社製 インクジェットペーパーフォト光沢紙「画彩」、キャノン社製 PR101に変更した場合でも上記結果と同様の効果が得られた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(I)で表される着色剤、水、グアニジン系化合物、および1分子中に10個を超える非局在化π電子を有する無色の水溶性平面状化合物を含有することを特徴とするインク組成物。
一般式(I)
【化1】

一般式(II)
【化2】

一般式(I)中、Mは、水素原子あるいは金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。Pcは、(k+l+m+n)価の一般式(II)で表されるフタロシアニン核を表す。X、X、X、Xはそれぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONR、−CONR、−CO−R、CO−R、スルホ基及びその塩、カルボキシル基及びその塩、またはホスホノ基及びその塩から選ばれる置換基を表し、かつ、フタロシアニン核中の4つのベンゼン環{一般式(II)中のA、B、C、D}に、それぞれ少なくとも1個存在する。但し、X、X、X、Xの少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。k、l、m、nは、0≦k≦8の整数を表し、0≦l≦8の整数を表し、0≦m≦8の整数を表し、0≦n≦8の整数を表す。但し、k、l、m、nは4≦k+l+m+n≦8を満たす数を表す。Y、Y、Y、Y、Y、Y、Y、Yはそれぞれ独立に水素原子又は一価の置換基を表す。この一価の置換基は、各々さらに置換基を有していてもよい。
【請求項2】
前記一般式(II)で表されるフタロシアニン核が下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1に記載のインク組成物。
一般式(III)
【化3】

【請求項3】
前記一般式(I)で表される着色剤が下記一般式(IV)で表されることを特徴とする請求項1または2に記載のインク組成物。
一般式(IV)
【化4】

一般式(IV)中、Mは、水素原子あるいは金属原子又はその酸化物、水酸化物もしくはハロゲン化物を表す。Pcは、(k+l)価の請求項2に記載の一般式(III)で表されるフタロシアニン核を表す。X、Xはそれぞれ独立に、−SO−R、−SO−R、−SONRまたはスルホ基及びその塩から選ばれる置換基を表し、かつ、フタロシアニン核中の4つのベンゼン環{一般式(III)中のA、B、C、D}に、それぞれ少なくとも1個存在する。但し、X、Xが同一であることはなく、かつ、X、Xの少なくとも1つはイオン性親水性基を置換基として有する。Rは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。Rは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のヘテロ環基を表す。k、lは、0<k<8の整数を表し、0<l<8の整数を表す。但し、k、lは4≦k+l≦8を満たす数を表す。
【請求項4】
前記水溶性平面状化合物が、芳香族環を少なくとも2個有する化合物であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項5】
前記水溶性平面状化合物が、蛍光のない化合物であり、最も長波側の吸収ピークの波長(λmax)が350nm以下で、且つモル吸光係数が1万以下の化合物であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項6】
前記水溶性平面状化合物が、スルホ基を有することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項7】
前記グアジニン系化合物が、下記一般式(1)で表される化合物であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のインク組成物。
一般式(1)
【化5】


(式中、R101、R102、R103、又はR104は、各々独立に水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基を示す。R105は水素原子、アルキル基、アルコキシ基、アリール基、又はヘテロ環基を示す。これらのアルキル基、アルコキシ基、アリール基、ヘテロ環基、又はアミノ基は、置換されていても置換されていなくてもよい。)
【請求項8】
前記グアニジン系化合物の添加量が、インク組成物中0.1〜10質量%であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項9】
前記インク組成物中に、界面活性剤を含有することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか記載のインク組成物。
【請求項10】
前記界面活性剤の添加量が、インク組成物中0.05〜50g/lであることを特徴とする請求項9に記載のインク組成物。
【請求項11】
前記界面活性剤が、ノニオン系界面活性剤であることを特徴とする請求項9または10に記載のインク組成物。
【請求項12】
前記ノニオン系界面活性剤が、アセチレングリコール系界面活性剤であることを特徴とする請求項9〜11のいずれかに記載のインク組成物。
【請求項13】
前記インク組成物中に、防腐剤含有することを特徴とする、請求項1〜12のいずれか記載のインク組成物。
【請求項14】
請求項1〜13のいずれかに記載のインク組成物を用いることを特徴とするインクジェット記録用インク。
【請求項15】
請求項14に記載のインクジェット記録用インクを用いることを特徴とするインクジェット記録方法。

【公開番号】特開2008−88345(P2008−88345A)
【公開日】平成20年4月17日(2008.4.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−272760(P2006−272760)
【出願日】平成18年10月4日(2006.10.4)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】