説明

インサート材

【課題】 レール部材の端部寄りの孔部の使用を阻止することができるインサート材を提供する。
【解決手段】 本発明に係るインサート材10は、コンテナの壁面と該壁面に設置されるレール部材との間に形成される隙間に配置され、幅(W)又は長さ(L)の寸法が、レール部材に形成された孔部の幅又は長さの寸法よりも大きい形状に形成された底部11と、該底部11から突出し、レール部材の孔部にはまり込んで、該孔部に積荷保持部材の結合部が進入することを阻止し得る突出部12とを有することを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンテナの壁面に設置されるレール部材の孔部に挿入して使用されるインサート材に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ラッシングベルトや仕切り棒などから構成される積荷保持部材が結合される孔部を有し、接着剤を用いてコンテナの壁面に固着されるレール部材が知られている(例えば、実用新案登録第3084837号公報参照)。
【0003】
しかしながら、接着剤により固着されるレール部材では、その端部における接着強度がどうしても低いものとなるため、その端部寄りの孔部に積荷保持部材が結合されると、積荷保持部材に大きな張力が加えられたときに、レール部材の端部がコンテナの壁面から剥がれて浮き上がり易くなるという不具合がある。
【0004】
一方、レール部材の中には、接着剤以外に、リベットを用いてコンテナの壁面に固着されるものもある(例えば、実開平3−98155号公報参照)が、いずれのレール部材でも、コンテナの壁面に設置したときに、その壁面とレール部材との間に隙間が形成される。具体的には、図5に示したように、レール部材100は、孔部120が形成される本体部110が断面略コ字状に形成され、該本体部110から外側に張り出したフランジ部130がコンテナの壁面210に接した形で取り付けられるものであるため、レール部材100の本体部110の裏面110aと、コンテナの壁面210との間には、断面略方形の隙間300が形成されることになる。
【0005】
冷凍又は冷蔵用のコンテナにおいては、図6に示したように、コンテナ200の内部を仕切り板400で仕切り、コンテナ200内に温度差のある室220,230を形成することがあるが、コンテナ200の壁面210とレール部材100との間に形成される隙間300を通じて各室220,230間を冷気が循環してしまうため、各室220,230において、それぞれ一定の温度を保持できなくなるという不具合がある。
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第3084837号公報
【特許文献2】実開平3−98155号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記事情に鑑みなされたものであり、レール部材の端部寄りの孔部の使用を阻止することができるインサート材を提供することを課題とする。本発明は、また、冷凍又は冷蔵用のコンテナにおいて、仕切り板で仕切られた室間を冷気が循環することを効果的に防止することができるインサート材を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上記課題を解決するため、以下のインサート材を提供する。
(1)コンテナの壁面と該壁面に設置されるレール部材との間に形成される隙間に配置され、幅又は長さの寸法が、前記レール部材に形成された孔部の幅又は長さの寸法よりも大きい形状に形成された底部と、該底部から突出し、前記レール部材の孔部にはまり込んで、該孔部に積荷保持部材の結合部が進入することを阻止し得る突出部とを有することを特徴とするインサート材。
(2)前記底部が、コンテナの壁面とレール部材との間に形成される隙間を埋め得る形状に形成されていることを特徴とする前記(1)に記載のインサート材。
【発明の効果】
【0009】
前記(1)に記載の本発明によれば、レール部材の孔部にはまり込んで、該孔部に積荷保持部材の結合部が進入することを阻止し得る突出部を有するため、レール部材の端部寄りの孔部に挿入し設置することにより、突出部によって、該孔部に積荷保持部材の結合部が進入できないように、該孔部を塞ぐことができる。そして、このようにして、レール部材の端部寄りの孔部の使用を物理的に阻止することができるため、接着剤により固着されるレール部材において、端部寄りの孔部に積荷保持部材が結合されることにより、端部が浮き上がるという問題を解消することができる。また、幅又は長さの寸法が、レール部材に形成された孔部の幅又は長さの寸法よりも大きい形状に形成された底部を有するため、レール部材の孔部から脱落することなく、設置された状態を維持することができる。
前記(2)に記載の本発明によれば、底部が、コンテナの壁面とレール部材との間に形成される隙間を埋め得る形状に形成されているため、底部によって、前記隙間を塞ぐことができる。従って、冷凍又は冷蔵用のコンテナにおいて、仕切り板で仕切られた室間を冷気が循環することを効果的に防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に示した実施例に従って説明する。
【実施例】
【0011】
図1は、本発明の一実施例に係るインサート材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。この図に示したように、本実施例に係るインサート材10は、底部11及び突出部12を有して構成される。
【0012】
底部11は、レール部材100に形成された孔部120の幅(W)又は長さ(L)の寸法(図2参照)よりも大きな幅又は長さの寸法を有する形状に形成される。本実施例における底部11は、図1(a)に示したように、その幅(W)の寸法がレール部材100の孔部120の幅(W)の寸法とほぼ等しく、また、その長さ(L)の寸法がレール部材100の孔部120の長さ(L)の寸法よりも大きくなるように形成されている。
【0013】
このように、底部11の幅(W)又は長さ(L)の寸法をレール部材100の孔部120の幅(W)又は長さ(L)の寸法よりも大きくすることにより、インサート材10をレール部材100の孔部120に挿入して設置したときに、底部11がレール部材100の本体部110の裏面110aに当接することになるため、インサート材10がレール部材100の孔部120から脱落することなく、設置された状態を保持することが可能となる。
【0014】
本実施例における底部11は、図3に示したように、コンテナ200の壁面210とレール部材10との間に形成される隙間を埋め得る形状に形成されている。具体的には、底部11は、図1(b)に示したように、その長さ(L)の寸法がレール部材100の本体部110における側壁110b,110b間の長さ(L)の寸法(図3参照)とほぼ等しく、また、その高さ(H)の寸法がコンテナ200の壁面210からレール部材100の本体部110の裏面110aまでの高さ(H)の寸法(図3参照)とほぼ等しくなるように形成されている。また、底部11の上面11aと側面11bとが交わるかども、レール部材100の本体部110における裏面110aと側壁110bの内面とが交わるかどのアールに合致するようにアールがつけられている。
【0015】
突出部12は、底部11の上面11aから突出するように、底部11と一体に成形されている。本実施例における突出部12は、レール部材100の孔部120にはまり込んで、該孔部120に積荷保持部材の結合部が進入することを阻止し得るように、図1(a)に示したように、その幅(W)の寸法がレール部材100の孔部120の幅(W)の寸法とほぼ等しく、また、その長さ(L)の寸法がレール部材100の孔部120の長さ(L)の寸法とほぼ等しくなるように形成されている。
【0016】
本実施例に係るインサート材10は、ゴム等の柔軟な素材から成形される。従って、底部11の底面の面積がレール部材100の孔部120の開口面の面積よりも大きくても、インサート材10は、その本体を屈曲させる等して、底部11がレール部材100の本体部110内に収まるように、外部から孔部120に挿入して設置することができる。
【0017】
本実施例に係るインサート材10は、以下のように使用される。
【0018】
例えば、図3に示したように、レール部材100が、フランジ部130に形成された凹部130aに接着剤500を塗布して、コンテナ200の壁面210に固着されるものである場合、インサート材10は、図4に示したように、レール部材100の端部寄りの孔部120に挿入して設置される。インサート材10が設置された孔部120は、インサート材10の突出部12により塞がれるため、その孔部120には、積荷保持部材の結合部が進入できなくなるので、レール部材100の端部寄りの孔部120の使用を阻止することができる。従って、インサート材10を上記のように使用することにより、レール部材100の端部における接着強度が低いために、その端部がコンテナ200の壁面210から剥がれて浮き上がってしまうという問題を解消することができる。
【0019】
一方、冷凍又は冷蔵用のコンテナにおいては、図5に示したように、仕切り板400が設置される付近に存するレール部材100の孔部120にインサート材10を挿入して設置する。コンテナ200の内部に仕切り板400により仕切られた2つの室220,230が形成され、各室220,230間で温度差がある場合には、図7に示したように、コンテナ200の壁面210とレール部材100との間に形成される隙間300を通じて冷気が循環することになるが、上記のようにインサート材10を設置することにより、インサート材10の底部11によって冷気の通路となる隙間300が塞がれるため、仕切り板400で仕切られた室220,230間を冷気が循環することを効果的に防止することができる。従って、インサート材10を上記のように使用することにより、各室220,230の温度をそれぞれ一定に保持することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の一実施例に係るインサート材を示す図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】上記実施例に係るインサート材の使用状態を示す図である。
【図3】図2におけるA−A部断面図である。
【図4】上記実施例に係るインサート材の作用を説明するための図である。
【図5】上記実施例に係るインサート材の作用を説明するための図である。
【図6】コンテナの壁面に設置されたレール部材を示す断面図である。
【図7】冷凍又は冷蔵用のコンテナの内部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0021】
10 インサート材
11 底部
12 突出部
100 レール部材
110 本体部
120 孔部
130 フランジ部
130a 凹部
200 コンテナ
210 壁面
220,230 室
300 隙間
400 仕切り板
500 接着剤

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンテナの壁面と該壁面に設置されるレール部材との間に形成される隙間に配置され、幅又は長さの寸法が、前記レール部材に形成された孔部の幅又は長さの寸法よりも大きい形状に形成された底部と、該底部から突出し、前記レール部材の孔部にはまり込んで、該孔部に積荷保持部材の結合部が進入することを阻止し得る突出部とを有することを特徴とするインサート材。
【請求項2】
前記底部が、コンテナの壁面とレール部材との間に形成される隙間を埋め得る形状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載のインサート材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−168544(P2006−168544A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−364060(P2004−364060)
【出願日】平成16年12月16日(2004.12.16)
【出願人】(594016768)アンクラジャパン株式会社 (17)
【Fターム(参考)】