説明

インストルメントパネル

【課題】
長尺物を車両の前席側で保持したい場合は、その長尺物を保持可能とし、前記長尺物を保持しない場合には、常時ではないが前席側の空間を広くできるとともにインストルメントパネルの収納凹部に載置した短尺物を保持できる利便性の高い保持具を有するインストルメントパネルを提供する。
【解決手段】
インストルメントパネル本体10の上部に載置面14及びガイド溝28を備える側壁18及びガイド壁26を有する。側壁18及びガイド壁26に対し、保持部材30が、載置面14上方に位置する待機位置と、インストルメントパネル本体10から前席側へ引き出された引き出し位置との間を移動自在である。フック状の保持部材30は引き出し位置に位置したときには、雨傘を立てた状態で保持し、待機位置に位置したときには、載置面14と協働して雨傘よりも短尺物を保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物を保持できるインストルメントパネルに関する。
【背景技術】
【0002】
雨の日に運転席又は助手席側の空間を利用して雨傘を立てて収納できる技術は、特許文献1〜特許文献5に示すように、種々提案されている。
特許文献1は、シフトレバーの前方に配置されたカップホルダに、傘の柄をカップ挿通孔内に案内する切り欠き通路を設けるようにしている。
【0003】
特許文献2は、車両の車室内において、取付部の外面に対して、略同一面をなす格納位置と、取付部外面に対して開閉に突出する使用位置の間で移動自在に支持されたリッド本体が設けられている。そして、リッド本体に傘の取手側を支持するリング状又はフック状の支持部が設けられている。特許文献3は、傘を保持する収納体が車両内部の保持部に対して着脱自在に構成されている。
【0004】
特許文献4は、助手席に設けられたグラブボックス内に、傘を直立した状態で保持する保持穴を有する保持具が出し入れ可能に取付けられた構成としている。そして、傘立てを使用する場合は、グローブボックスを開き、この状態で保持具を出して、傘立てができるようにされている。又、傘立てをしない不使用時には、グローブボックス内に前記保持具を収納した状態にして、グローブボックスを閉じるようにしている。
【0005】
特許文献5は、インストルメントパネルに対して運転席側へ水平に突出された支持部にはカップホルダを兼用するように底部が形成されるとともに、前記底部には傘が嵌合する支持孔及び前記支持孔に対して傘を出し入れ自在にガイドするガイド溝及びスリットが設けられている。特許文献5では、支持部は雨の日には傘立てとして使用できるとともに、雨でない日はカップホルダとして利用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実開昭64−40740号公報
【特許文献2】実開平2−5357号公報
【特許文献3】実開平4−67143号公報
【特許文献4】特開平8−108805号公報
【特許文献5】特開2010−208412号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、特許文献1では、シフトレバーの前方にあるカップホルダにより傘を保持するようにしているため、傘の取手側がインストルメントパネルのセンタクラスタ部へ突出することになる。このため、クラスタ周辺のスイッチの操作がしにくくなる問題がある。
【0008】
又、特許文献2は、リッド本体が傘立てに特化した構成であるため、リッド本体が格納位置に位置した場合、傘立て以外の利用価値がないため、リッド本体の利便性が欠ける問題がある。
【0009】
特許文献3の傘を保持する収納体は、不使用時の保管スペースを新たに確保する必要があるととともに傘の収納用としてしか使用できないため、利便性に欠ける問題がある。
特許文献4は、保持具は傘立てをしない不使用時にはグラブボックス内に収納されてしまうため、利便性に欠ける問題がある。
【0010】
特許文献5の支持部は、傘立て及びカップホルダとして利用できるため、利便性はあるものの、常時、支持部がインストルメントパネルから突出した構成であるため、運転席側の空間が常時狭くなる問題がある。
【0011】
本発明の目的は、上記課題を解決して、長尺物を車両の前席側で保持したい場合は、その長尺物を保持可能とし、前記長尺物を保持しない場合には、常時ではないが前席側の空間を広くできるとともにインストルメントパネルの収納凹部に載置した短尺物を保持できる利便性の高い保持具を有するインストルメントパネルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記問題点を解決するために、請求項1の発明は、インストルメントパネル本体の上部に載置面及び保持具取付部が形成され、前記保持具取付部に対して、保持具が、前記載置面上方に位置する待機位置と、前記インストルメントパネル本体から前席側へ引き出された引き出し位置との間を移動自在に設けられ、前記保持具は、フック状に形成されて、前記引き出し位置に位置したときには、長尺物を立てた状態で保持可能であるとともに、前記待機位置に位置したときには、前記載置面と協働して前記長尺物よりも短い短尺物を保持可能としたことを特徴とするインストルメントパネルを要旨としている。
【0013】
請求項2の発明は、請求項1において、前記載置面は、前記インストルメントパネル本体の上部に設けられた収納凹部の底面であり、前記保持具は待機位置に位置する際は、前記収納凹部に収納されることを特徴とする。
【0014】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2において、前記保持具は、前記待機位置が複数存在するように、前記保持具取付部に対して取り付けられていることを特徴とする。
請求項4の発明は、請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項において、前記保持具は、前記保持具取付部に対して移動自在に取り付けられた取付アームと、前記取付アームに連結されて車両の幅方向に延在する第1アームと、前記第1アームに連結されて車両の前後方向(以下、単に前後方向という)に延在する第2アームにより、前記フック状に形成され、前記保持具が前記引き出し位置に位置する際、前記第2アーム先端と前記インストルメントパネル本体間には、長尺物が通過可能な空間が形成されることを特徴とする。
【0015】
請求項5の発明は、請求項4において、前記保持具が前記引き出し位置に位置する際、前記第2アーム先端と前記インストルメントパネル本体間に形成される前記長尺物が通過可能な空間は、車両の前席のドア側に向いていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
請求項1の発明によれば、長尺物を車両の前席側で保持したい場合は、その長尺物を保持可能とし、長尺物を保持しない場合、常時ではないが前席側の空間を広くできるとともにインストルメントパネルの載置面に載置した短尺物を保持できる利便性の高い保持具を有するインストルメントパネルを提供できる。
【0017】
請求項2の発明によれば、保持具は、待機位置に位置する際、収納凹部に収納された状態で、短尺物を載置面と協働して保持できる。
請求項3の発明によれば、保持具の待機位置が複数設けられているため、短尺物の大きさに合った待機位置を選択することにより、好適に保持具により短尺物を保持できる。
【0018】
請求項4の発明によれば、第2アーム先端とインストルメントパネル本体間に形成された空間を介して長尺物を通過させて、保持具に容易に保持させることができ、或いは、保持具から容易に外すことができる。
【0019】
請求項5の発明によれば、保持具が引き出し位置に位置する際、第2アーム先端とインストルメントパネル本体間に形成される長尺物が通過可能な空間が、車両の前席のドア側に向いていることにより、長尺物が保持具から外れた際に、ドア側へ倒すことができる。このため、前席に座っている乗員に長尺物が倒れることがない。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】第1実施形態のインストルメントパネルの要部斜視図。
【図2】保持具が短尺物を保持している使用状態を示すインストルメントパネルの要部斜視図。
【図3】(a)は保持具が長尺物を保持している状態の斜視図、(b)は、保持具が長尺物を保持している状態の側面図。
【図4】保持具と保持具取付部の断面図。
【図5】保持具取付部の側断面図。
【図6】第2実施形態の保持具と保持具取付部の断面図。
【図7】第3実施形態の保持具と保持具取付部の側断面図。
【図8】(a)は第4実施形態の保持具が待機位置に位置する際の平断面図、(b)は保持具が引き出し位置に位置する際の平断面図。
【図9】(a)は第5実施形態の保持具が待機位置に位置する際の平断面図、(b)は保持具が引き出し位置に位置する際の平断面図。
【図10】(a)は第6実施形態の保持具が待機位置に位置する際の平断面図、(b)は保持具が引き出し位置に位置する際の平断面図。
【発明を実施するための形態】
【0021】
(第1実施形態)
以下、本発明を具体化した一実施形態を図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、車両の図示しない運転席及び助手席の前方にはインストルメントパネル本体10が設けられている。インストルメントパネル本体10は、合成樹脂により、成形されている。同図に示すようにインストルメントパネル本体10の右側、すなわち、運転席側の上部のコーナー部には、運転席側、上方及び右側が開放された収納凹部12が形成されている。なお、図1、図3中のHはステアリングホイール(ハンドル)である。収納凹部12の底面は、平面である載置面14となっている。載置面14において、車両前方側の側縁及び左側方の側縁には、側壁16,18がそれぞれ立設されている。側壁16,18の上端は、インストルメントパネル本体10の上面10bに連結されている。又、上面10bにおいて、収納凹部12が設けられた部位から車両前方寄りの位置には、空調の吹出口20を開閉するレジスタ22が設けられている。
【0022】
図4に示すように、側壁16は前席側(本実施形態では運転席側)に面しているとともに、インストルメントパネル本体10の内外を貫通する左右一対の貫通孔23、24が形成されている。側壁18は、前後方向に延出されるとともに、インストルメントパネル本体10の裏側において側壁18と同一平面上に位置するように前後方向に延びて延出されたガイド壁26に対して一体に連結されている。このため、ガイド壁26の両側面は、側壁18の表裏面と面一に形成されている。図5に示すようにガイド壁26と側壁18には、ガイド溝28が前後方向に沿って形成されている。ガイド溝28を備える側壁18及びガイド壁26は保持具取付部に相当する。
【0023】
収納凹部12には、保持具としての保持部材30が前後方向において移動自在に配置されている。
図4に示すように保持部材30は、ガイド壁26及びガイド溝28に沿って配置された取付アーム32と、取付アーム32に対して連結されるとともに左右方向、すなわち車両の幅方向に延在する第1アーム34と、第1アーム34に連結されて前後方向に延在する第2アーム36とによりフック状に形成されている。本実施形態では、第1アーム34と第2アーム36の連結部の形状はアールを有するように形成されているが限定されるものではなく、例えば、直角となるように形成されていてもよい。第1アーム34と第2アーム36とにより保持アームが構成されている。
【0024】
図4に示すように取付アーム32の側壁18側の面には、一対の取付軸38,40が突出されて、ガイド溝28に対して前後方向に摺動自在に挿通されている。取付軸38,40の先端にはフランジ38a,40aが形成されて、ガイド溝28からの取付アーム32の車両の幅方向への移動が規制されている。
【0025】
取付アーム32及び第2アーム36は、貫通孔23及び貫通孔24に対してそれぞれ挿入離脱可能な形状に形成されている。
保持部材30は、取付アーム32がガイド溝28に対して前後方向に移動自在に取付けられていることにより、図4において、一点鎖線で示す位置と実線で示す位置間を移動可能となっている。図4に示す一点鎖線で示す位置は、図2に示すように取付アーム32が貫通孔23に対して、及び第2アーム36の先端が貫通孔24に対して挿入されるとともに、第2アーム36の先端の貫通孔23側の側面が貫通孔24の側縁に係止される位置である。
【0026】
この一点鎖線で示す位置に保持部材30が位置する場合、載置面14上において、第1アーム34と側壁16間及び第2アーム36と取付アーム32間には最小の収納空間が形成される。この場合、保持部材30によりこの最小空間に入れることが可能な大きさの短尺物を保持可能である。この一点鎖線で示す位置は、待機位置に相当する。
【0027】
又、図4に示すように、一点鎖線で示す位置と実線で示す位置との間には、二点鎖線で示す位置が示されている。二点鎖線で示す位置は、図1に示すように保持部材30の第1アーム34の表面(前席側を向く面10a)が、インストルメントパネル本体10の前席側を向く面10aと面一となる位置である。この位置に保持部材30が位置する場合、載置面14上において、第1アーム34と側壁16間及び第2アーム36と取付アーム32間には収納空間が形成される。この場合、保持部材30によりこの空間に入れることが可能な大きさの短尺物を保持可能である。この二点鎖線で示す位置は、待機位置に相当する。
【0028】
このように一点鎖線で示す位置及び二点鎖線で示す位置間において、本実施形態では、保持部材30は、任意の位置に位置することが可能であり、これらの任意の位置はそれぞれ待機位置になるとともに、それぞれの待機位置において、保持部材30、側壁16、載置面14で囲まれる収納空間に入れることが可能な大きさの短尺物を保持可能である。この待機位置に保持部材30が位置する際は、収納凹部12に保持部材30が収納されたこになる。
【0029】
図4に示す実線で示す位置は、第2アーム36の先端が貫通孔24から抜け出して、第2アーム36の先端とインストルメントパネル本体10との間に間隙Sが形成される位置である。間隙Sは、図3(a)に示すように、運転席のドア側に向いている。なお、図3(a)において、符号Dは、ド運転席側のドア開口部である。
【0030】
なお、本実施形態では、実線で示す位置に保持部材30が位置する場合、取付アーム32が貫通孔23から抜け出して側壁18のガイド溝28に取付軸38,48が共に位置するようにしている。しかし、第1アーム34が実線の位置に位置する際の取付軸38,48の位置は限定されるものではない。例えば、取付アーム32の長さを、図4に示す実線で示す長さではなく、第1アーム34が実線で示す位置に位置する際に、図4において、二点鎖線で示す位置に位置する長さにして、二点鎖線で示す取付軸38,40の位置に位置するようにしてもよい。
【0031】
第2アーム36の先端とインストルメントパネル本体10の間に形成された間隙Sは、折り畳んだ傘等のように細長い長尺物を上下方向に立てた状態で、該長尺物の通過を許容するためのものである。この結果、長尺物を外部から保持部材30内に入れる、又は保持部材30から外部へ長尺物を出すことが可能となっている。
【0032】
図4に示す実線で示す位置は、引き出し位置に相当する。なお、図4に示す実線位置は、第1アーム34を最大に引き出した位置であるため、引き出し位置はこの実線で示す位置に限定されない。引き出し状態であって、保持部材30が、図4に示す実線の位置から、車両の前方向に変移した位置も引き出し位置に相当する。すなわち、引き出し位置とは、図4に示すように、インストルメントパネル本体10の前席側に向く面10aから上方へ延長した仮想面M(図4参照)と第1アーム34の間Lに長尺物を立てた状態で保持可能な空間域が存在できる位置をいう。
【0033】
本実施形態では、軽量物である短尺物及び長尺物(以下、被保持物という)を保持部材30が保持した状態において、車両が加速、及び減速して加速度が保持部材30並びに被保持物に印加された際に、保持部材30が前後方向に移動しないように取付軸38,40はガイド溝28に対して適度な静止摩擦が働くように密接している。そして、保持部材30は、手で保持部材30を前後方向に所定の操作力を加えた際に、操作方向に移動可能となっている。
【0034】
又、本実施形態では、図3(a)、(b)に示すようにインストルメントパネル本体10において、収納凹部12の下方に位置する車両のフロア42には、上方を開放する凹部44が形成されている。凹部44は、傘の石突き等の長尺物の下端が挿入可能となっている。
【0035】
(実施形態の作用)
次に、上記のように構成されたインストルメントパネルの作用を説明する。
図1又は図2に示すように保持部材30が待機位置に位置している際には、図2に示すように、例えば、携帯電話、カップ、ボトル等の小物である短尺物Tを、保持部材30内の載置面14上に載置するとともに、保持部材30により保持する。このように、待機位置に位置する際は、小物ホルダ、或いはカップホルダの機能を有することになる。
【0036】
この場合、図1に示す状態で、保持部材30内に短尺物Tを収納した後、図2に示すように保持部材30を手で前方向に移動させることにより、短尺物Tを側壁16と第1アーム34との間に挟み込みすることにより確実に保持部材30にて保持できる。
【0037】
次に、雨の日に雨傘を前席(本実施形態では運転席)に持ち込んだ場合、保持部材30を引き出し位置に引き出して、図4に示すように保持部材30の第2アーム36の先端とインストルメントパネル本体10との間に間隙Sを形成する。この状態で、間隙Sを介して外部から、雨傘Aを立てた状態で保持部材30内に入れる。この立てた状態のままで、雨傘Aはインストルメントパネル本体10の前席側に向く面10aから上方へ延長した仮想面M(図4参照)と第1アーム34の間Lに雨傘Aを収納可能な空間域があるため、保持される。雨傘Aの石突きは、図3(a)、(b)に示すように凹部44に挿入する。この状態で、雨傘Aは、立てた状態に保持される。
【0038】
なお、車両が走行中において、長尺物の大きさによっては、仮想面M(図4参照)と第1アーム34の間Lが広すぎる場合があるため、ガタが生ずる虞がある。この場合は、保持部材30を側壁16側(車両の前方)へ移動させることにより、第1アーム34とインストルメントパネル本体10の面10aとの間で雨傘Aを挟持することによりガタの発生を防止した状態で保持できる。
【0039】
本実施形態では、下記の特徴を有する。
(1) 本実施形態のインストルメントパネルは、インストルメントパネル本体10の上部に載置面14及びガイド溝28を備える側壁18及びガイド壁26(保持具取付部)が形成されている。側壁18及びガイド壁26に対して、保持部材30(保持具)が、載置面14上方に位置する待機位置と、インストルメントパネル本体10から前席側へ引き出された引き出し位置との間を移動自在に設けられている。そして、保持部材30は、フック状に形成されて、引き出し位置に位置したときには、雨傘A(長尺物)を立てた状態で保持可能であるとともに、待機位置に位置したときには、載置面14と協働して雨傘Aよりも短い小物(短尺物)を保持可能とした。
【0040】
この結果、本実施形態によれば、雨傘Aを車両の前席(運転席)側で保持したい場合は、雨傘Aを保持可能とし、雨傘Aを保持しない場合、常時ではないが前席側(運転席)の空間を広くできるとともにインストルメントパネル本体10の載置面14した短尺物Tを保持できる利便性の高い保持部材30を有するインストルメントパネルを提供できる。
【0041】
(2) 本実施形態のインストルメントパネルの載置面14は、インストルメントパネル本体10の上部に設けられた収納凹部12の底面としている。又、保持部材30は待機位置に位置する際は、収納凹部12に収納されるようにしている。この結果、本実施形態によれば、保持部材30は、待機位置に位置する際、収納凹部12に収納された状態で、カップ、ボトル等の小物(短尺物)を載置面14と協働して保持できる。
【0042】
(3) 本実施形態のインストルメントパネルでは、保持部材30は、待機位置が複数存在するように、ガイド溝28を備える側壁18及びガイド壁26(保持具取付部)に対して取り付けられている。この結果、本実施形態明によれば、保持部材30の待機位置が複数設けられているため、カップ、ボトル等の小物(短尺物)の大きさに合った待機位置を選択することにより、好適に保持部材30によりカップ、ボトル等の小物(短尺物)を保持できる。
【0043】
(4) 本実施形態のインストルメントパネルでは、保持部材30は、ガイド溝28を備える側壁18及びガイド壁26(保持具取付部)に対して移動自在に取り付けられた取付アーム32と、取付アーム32に連結されて車両の幅方向に延在する第1アーム34と、第1アーム34に連結されて車両の前後方向に延在する第2アーム36により、フック状に形成されている。又、保持部材30が引き出し位置に位置する際、第2アーム36先端とインストルメントパネル本体10間には、雨傘A等の長尺物が通過可能な間隙S(空間)が形成される。この結果、本実施形態によれば、第2アーム36先端とインストルメントパネル本体10間に形成された間隙S(空間)を介して雨傘A(長尺物)を通過させて、保持部材30に容易に保持させることができ、或いは、保持部材30から容易に雨傘Aを外すことができる。
【0044】
(5) 本実施形態のインストルメントパネルでは、保持部材30が引き出し位置に位置する際、第2アーム36先端とインストルメントパネル本体10間に形成される雨傘A等の長尺物が通過可能な間隙S(空間)は、車両の運手席(前席)のドア側に向いている。この結果、本実施形態によれば、雨傘A等の長尺物が保持部材30から外れた際に、ドア側へ倒すことができる。このため、車両の運手席(前席)に座っている乗員に雨傘Aが倒れることがない。
【0045】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態を、図6を参照して説明する。なお、以下の各実施形態では第1実施形態と同一構成については同一符号を付し、第1実施形態と異なる構成を説明する。第2実施形態では、取付軸38,40はガイド溝28に対して緩い状態で接する構成として、車両の加速、減速では簡単に移動するようにするとともに、図6に示すように、取付アーム32の端部には、一端がガイド壁26に固定された付勢手段としてのコイルスプリング50が掛け止めされている。取付アーム32は、コイルスプリング50により、図6において、一点鎖線で示す位置(待機位置)へ移動するように付勢されている。
【0046】
第2実施形態では、短尺物を保持部材30により保持する際に、一点鎖線で示す位置に位置する保持部材30を一旦前席側にコイルスプリング50の付勢力に抗して、手により移動させ、短尺物を載置面14に載置する。この後、手による拘束を解除する。すると、コイルスプリング50付勢力により、載置面14に載置された短尺物は、保持部材30の第1アーム34と側壁16間に挟持されることにより、保持される。
【0047】
又、長尺物の場合は、一点鎖線で示す位置に位置する保持部材30を一旦前席側にコイルスプリング50の付勢力に抗して、手により保持部材30を引き出し位置に移動させ、フロア42又は凹部44に下端を置いた状態で間隙Sを通過させて保持部材30内に長尺物を位置させた後、手による拘束を解除する。すると、コイルスプリング50付勢力により、長尺物は、保持部材30の第1アーム34とインストルメントパネル本体10の面10a間に挟持されることにより、保持される。このため、第2実施形態では、コイルスプリング50により、確実に短尺物及び長尺物を保持できる。
【0048】
(第3実施形態)
次に第3実施形態を、図7を参照して説明する。第3実施形態では、図7に示すように、ガイド溝28の上下の内端面のいずれか一方(本実施形態では上部の内端面)に複数の節度凹部52が所定ピッチ間隔で形成されている。又、取付軸38の上下側面のうち、節度凹部52に相対する面(本実施形態では、上面)には、節度凹部52に係入可能に凸部54が形成されている。又、取付軸38の上下側面のうち、節度凹部52と反対側の面(本実施形態では、下面)には、付勢部材収納部としての収納部55が凹設され、収納部55内には取付軸38を、節度凹部52側へ付勢する付勢部材としての板バネ56が収納されている。板バネ56の両端により、取付軸38を節度凹部52側へ付勢している。第3実施形態では、凸部54、節度凹部52、板バネ56等により、節度機構が構成されている。
【0049】
第3実施形態では、節度機構を有することにより、前記所定ピッチ間隔で、複数の引き出し位置並びに複数の待機位置の位置決めが可能である。この結果、本実施形態では、保持部材30の位置決めを所定ピッチで行うことができる。
【0050】
(第4実施形態)
次に、第4実施形態を、図8を参照して説明する。第4実施形態では、図8(a)、(b)に示すように、保持部材30の取付アーム32、第1アーム34、第2アーム36の位置関係が、第1実施形態とは左右方向において180度反転された関係にあり、取付アーム32が、貫通孔24に挿入可能に配置されるとともに第2アーム36が貫通孔23に挿入可能となっている。又、第4実施形態ではガイド壁26が省略されている。そして、第1実施形態では、側壁18、ガイド壁26に設けられたガイド溝28は、本実施形態では図8(b)に示すように、貫通孔24側に位置するとともに載置面14と同一平面上に位置するようにインストルメントパネル本体10に設けられた平面10c及び載置面14に前後方向に延出して設けられている。本実施形態のガイド溝28には、第1実施形態と同様に、図8(a)、(b)では図示されていないが取付軸38,40及びフランジ38a,40aが設けられている。
【0051】
第4実施形態のように構成した場合、保持部材30を図8(b)に示す引き出し位置に位置させた状態で、第2アーム36先端とインストルメントパネル本体10間には、雨傘A等の長尺物が通過可能な間隙S(空間)が形成される。この間隙Sは、図8(b)に示すように、運転席の反ドア側に向いている。このように構成しても、長尺物は、前記間隙Sを介して保持部材30と、面10a間で保持できる。
【0052】
(第5実施形態)
次に、第5実施形態を図9(a)、(b)を参照して説明する。第5実施形態では、第1実施形態の構成中、図9(a)、(b)に示すように、インストルメントパネル本体10の載置面14のドア側に側壁58が、側壁18と平行に前後方向に延出されている。このため第5実施形態では、側壁18、側壁16、側壁58、及び載置面14で囲まれる空間が収納凹部12として構成されているところが、第1実施形態と異なっている。
【0053】
又、第5実施形態ではガイド壁26が省略されている。そして、第1実施形態で側壁18、ガイド壁26に設けられたガイド溝28は、本実施形態では図9(b)に示すように、貫通孔23側に位置するとともに載置面14と同一平面上に位置するようにインストルメントパネル本体10に設けられた平面10c及び載置面14に前後方向に延出して設けられている。
【0054】
本実施形態のガイド溝28には、第4実施形態と同様に、図9(a)、(b)では図示されていないが取付軸38,40及びフランジ38a,40aが設けられている。他の構成は、第1実施形態と同一構成である。
【0055】
このように構成しても、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
(第6実施形態)
次に、第6実施形態を図10(a)、(b)を参照して説明する。第6実施形態は、図8(a)、(b)の第4実施形態の構成に加えて、第5実施形態の側壁58を追加した構成である。本実施形態では、第4実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0056】
なお、本発明の実施形態は前記実施形態に限定されるものではなく、下記のように変更しても良い。
・ 第1〜第6実施形態では、長尺物として雨傘を例にしたが、長尺物としては雨傘に限定されるものではなく、日傘、杖、或いは写真撮影に使用される一脚等を挙げることができる。これらの長尺物を本実施形態の保持部材30により保持することができる。
【0057】
・ 第1〜第6実施形態では貫通孔23,24としたが、貫通孔の代わりに、取付アーム32、第2アーム36が挿入可能な凹部に形成してもよい。
・ 第1〜第6実施形態ではフロア42に凹部44を設けたが、凹部44を省略してもよい。
【0058】
・ 第1〜第6実施形態では、運転席側に収納凹部12を設けたが、助手席側のインストルメントパネル本体10の上部のコーナー部に、保持部材30を設けてもよい。
・ 第1実施形態では、載置面14を側壁18、側壁16で区画するようにしているが、第1実施形態において、側壁18を省略して、図1に示すように側壁16の上辺から延びるα線、及び載置面14の運転席側の辺から延びるβ線に沿って切り欠くことにより、上面10bを、レジスタ22を有する上段面と、載置面14を有する下段面に形成するようにしてもよい。この場合、側壁16は、切り欠いた部分まで延長形成されている。
【0059】
そして、この場合、保持部材30を、図9(a)、(b)で説明したときと同様に平面10c及び載置面14にガイド溝28及びガイド溝28を摺動するとともにフランジ38a,40aを有する取付軸38,40が設けられる。このことにより、保持部材30は、ガイド溝28により、ガイドされる。
【0060】
・第3実施形態では、凸部54、板バネ56を取付軸38に設けたが、取付軸40に設けるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0061】
10…インストルメントパネル本体、10a…前席側に向く面、
12…収納凹部、14…載置面、16,18…側壁、
23,24…貫通孔、26…ガイド壁、28…ガイド溝、
30…保持部材、32…取付アーム、34…第1アーム、
36…第2アーム、38,40…取付軸、42…フロア、
S…間隙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
インストルメントパネル本体の上部に載置面及び保持具取付部が形成され、
前記保持具取付部に対して、保持具が、前記載置面上方に位置する待機位置と、前記インストルメントパネル本体から前席側へ引き出されたて突出状態となる引き出し位置との間を移動自在に設けられ、
前記保持具は、フック状に形成されて、前記引き出し位置に位置したときには、長尺物を立てた状態で保持可能であるとともに、前記待機位置に位置したときには、前記載置面と協働して前記長尺物よりも短い短尺物を保持可能としたことを特徴とするインストルメントパネル。
【請求項2】
前記載置面は、前記インストルメントパネル本体の上部に設けられた収納凹部の底面であり、
前記保持具は待機位置に位置する際は、前記収納凹部に収納されることを特徴とする請求項1に記載のインストルメントパネル。
【請求項3】
前記保持具は、前記待機位置が複数存在するように、前記保持具取付部に対して取り付けられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のインストルメントパネル。
【請求項4】
前記保持具は、前記保持具取付部に対して移動自在に取り付けられた取付アームと、前記取付アームに連結されて車両の幅方向に延在する第1アームと、前記第1アームに連結されて車両の前後方向に延在する第2アームにより、前記フック状に形成され、
前記保持具が前記引き出し位置に位置する際、前記第2アーム先端と前記インストルメントパネル本体間には、長尺物が通過可能な空間が形成されることを特徴とする請求項1乃至請求項3のうちいずれか1項に記載のインストルメントパネル。
【請求項5】
前記保持具が前記引き出し位置に位置する際、前記第2アーム先端と前記インストルメントパネル本体間に形成される前記長尺物が通過可能な空間は、車両の前席のドア側に向いていることを特徴とする請求項4に記載のインストルメントパネル。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate