説明

インスリンカートリッジの蓋

【課題】薬物注入ポンプから電池蓋を取り外すのを助けるカートリッジ蓋を提供する。
【解決手段】カートリッジ蓋100の近位端は、電池蓋102の遠位端上のタブを受容する、内側表面上の凹所を備える。薬物注入ポンプ150から電池蓋を取り外すために、カートリッジ蓋の近位端は、カートリッジ蓋の凹所が電池蓋のタブを受容するように、電池蓋の遠位端の上に配置される。次に、電池蓋が薬物注入ポンプから取り外されるまでカートリッジ蓋を反時計回りに回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広くは、薬物送達装置で使用されるカートリッジの蓋に関し、より詳細には、電池蓋を取り外すための特徴を有するカートリッジの蓋に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物の自動注入は、より信頼性が高くてより正確な治療を患者に提供することができるので、各種薬物治療用の薬物送達装置の使用はますます一般的になってきている。
【0003】
糖尿病は、この疾患に苦しむ人々の行動の自由及びライフスタイルを顕著に妨げる可能性があるので、重大な健康上の懸念である。通常、より重篤な形態であるI型(インスリン依存型)糖尿病の治療は、1日複数回注射と呼ばれる1日に1回以上のインスリン注射が必要である。血中のブドウ糖又は糖を制御し、それにより、そのまま放っておくとケトン症を引き起こす可能性がある高血糖を防止するにはインスリンが必要である。加えて、インスリン療法の不適切な投与により、昏睡状態及び死亡の原因となり得る低血糖発作を引き起こす可能性がある。糖尿病患者の高血糖は、心臓疾患、アテローム性動脈硬化症、失明、脳卒中、高血圧、及び腎不全など、糖尿病の長期にわたるいくつかの影響と関連付けられてきた。
【0004】
I型糖尿病の合併症を防ぐ又は少なくとも最小限にするための手段として、血糖を頻繁にモニタリングすることの有用性が確立されている。II型(非インスリン依存型)糖尿病の患者もまた、食習慣及び運動といったようなことで自分の状態を制御する上で、血糖モニタリングの恩恵を受けることができる。したがって、血糖値の注意深いモニタリング、及び正確かつ好都合にインスリンを体内にタイミング良く注入する能力は、糖尿病のケア及び治療の重要な要素である。
【0005】
この疾患が患者のライフスタイルに課す制限を軽減するやり方で、より効果的に糖尿病を制御するために、血糖(BG)モニタリングを円滑にする様々な装置が導入されてきた。通常、このような装置、又は計器は、患者が、迅速に、かつ最低限の身体的な不快感で、後で計器により分析される血液及び間質液のサンプルを得られるようにする。ほとんどの場合、計器は、患者のBG読取値を示すディスプレー画面を有している。その後、患者は適切な量、又はボーラス投与量のインスリンを自分に投薬することができる。多くの糖尿病患者にとって、これは、毎日複数回のインスリン注射を受けなければならない結果となる。多くの場合、これらの注射は自己投与される。
【0006】
異常なBG値が有し得る患者を衰弱させる効果、即ち、高血糖が原因で、糖尿病の特定症状を体験している患者は、インスリンのボーラス投与量を安全かつ正確に自己投与することができる状態にない場合がある。更に、血糖値を制御するために1日に複数回インスリン注射を用いなければならないことは、人々が特定の活動を行う能力に支障をもたらす又は能力を妨げる場合があるので、活動的なライフスタイルを送る人々はこれを不便で負担であると感じる。他の糖尿病患者にとって、1日に複数回の注射は、単に、BG値を制御する最も有効な手段ではない場合がある。したがって、患者にとっての正確さ及び利便性の両方を更に改善するために、インスリン注入ポンプが開発されている。
【0007】
インスリンポンプは、一般に、患者の体に、衣類の上から又は衣類の下側に装着される。これらの比較的小さくて目立たない装置は、通常、交換可能なカートリッジの中に多量のインスリンを格納し、かつ、処理ユニットと、表示画面と、ボタン又はキーパッドのような入力機能とを備える。このようなポンプは、基礎プログラム及びボーラス投与プログラムのような複数のインスリン送達プログラムを実行して、長期間、通常は1〜3日の間患者が装着することができる注入装置を介して投薬を行うことによって、注射針及び注射器を介してインスリンを注射する必要性を排除する能力を含んでもよい。
【0008】
インスリンポンプの利便性は、糖尿病患者のライフスタイルを向上させるのを助け、かつ疾患が患者の通常の活動に与える影響を減少させてきたが、インスリンポンプの進歩が依然として必要である。例えば、電池を交換する必要がある場合、ユーザーは電池蓋を取り外すための工具を探さなければならない。通常、ユーザーは電池蓋を開けるのに硬貨を使用する。しかしながら、電池蓋を開けるのに硬貨を使用することは、関節炎又は運動能力の弱いユーザーにとっては難しい場合がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
したがって、電池蓋の取り外しを容易にし、かつインスリンポンプの構成要素である工具を有することが患者にとって望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0010】
本発明の新規な特徴は、添付の「特許請求の範囲」に詳細に記載される。本発明の特徴及び利点は、本発明の原理を利用する例示的な実施形態を記載した以下の「発明を実施するための形態」を、添付の図面と併せて参照することによってより深く理解されるであろう。
【図1】本発明の例示の実施形態によるインスリンカートリッジ蓋及び電池蓋の斜視図。
【図2】図1のカートリッジ蓋及び電池蓋と共に使用することができるインスリンポンプの斜視図。
【図3】図1の電池蓋をインスリンポンプから取り外すのに使用される、図1のカートリッジ蓋の斜視図。
【図4】図1の電池蓋の平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1は、本発明の例示の実施形態によるインスリンカートリッジ蓋100及び電池蓋102を示している。カートリッジ蓋100は、近位端106と遠位端108とを有する本体104を備える。近位端106は、薬物注入ポンプ150(図2)のインスリンカートリッジチャンバ(図示せず)のねじ溝と嵌合するねじ山110を備える。近位端106は、電池蓋102の遠位端118上のタブ116を受容する凹所112を内側表面114上に更に備える。
【0012】
カートリッジ蓋100の遠位端108は、カートリッジ蓋100の把持を助けるためのへこみ120を備えてもよい。
【0013】
電池蓋102は、本体122と、遠位端118と、近位端124とを備える。近位端124は、薬物注入ポンプ150の電池チャンバ(図示せず)のねじ溝と嵌合するねじ山126を備える。遠位端118は、任意に、電池蓋102を取り外すためにその中に硬貨を挿入することができる溝128を備える(図1及び図4参照)。
【0014】
本発明のカートリッジ蓋100及び電池蓋102を組み込むことができる、薬物注入ポンプ150(例えば、インスリンポンプ)の例示の実施形態が図2に示されている。薬物注入ポンプ150は、ハウジング152と、ユーザーに操作情報を提供するための表示部154と、ユーザーが情報を入力するための複数のナビゲーションボタン158を有するキーパッド156と、薬物注入ポンプ150に電力を提供するための、電池蓋102を有する区画(図示せず)内の電池と、処理エレクトロニクス(図示せず)と、カートリッジ蓋100を有するチャンバ内のカートリッジから注入セット(図示せず)に接続された側口(図示せず)を通ってユーザーの体内に薬物を押し進めるための薬物送達機構(例えば、インスリンポンプ及び駆動機構;図示せず)と、を備える。
【0015】
電池蓋102を取り外すための工具としてカートリッジ蓋100を使用するために、カートリッジ蓋100を注入ポンプのインスリンカートリッジチャンバから取り外して、電池蓋102の上に配置する。次に、凹所112が電池蓋102上のタブ116と整列し嵌合するまで、カートリッジ蓋100を時計回り又は反時計回りに回転させる。図3に示されるように、凹所112がタブ116に嵌合した後、電池蓋102が取り外されるまでカートリッジ蓋100を反時計回りに回転させる。
【0016】
本明細書に図示及び記載された構造を等価構造で置き換えることができること、及び本発明の記載された実施形態は唯一の構造ではなく、当該実施形態を使用して特許請求の範囲に記載されている発明を実施できることが認識されよう。更に、上記全ての構造は機能を有し、このような構造はその機能を実行するための手段と見なされ得ることを理解すべきである。以上、本発明の実施形態を図示し説明したが、こうした実施形態はあくまで例として与えられたものであることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。
【0017】
本発明の実施に際し本明細書で述べた実施形態には、様々な代替例を用い得る点は理解されるべきである。以下の特許請求の範囲は発明の範囲を規定することを目的としたものであり、特許請求の範囲に含まれる構造及び方法並びにそれらの均等物を、これによって網羅することを目的としたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療機器であって、
その中にカートリッジ空洞を有するハウジングと、
多量の流体を収容することが可能なカートリッジであって、該カートリッジ空洞が該カートリッジを受容する、カートリッジと、
該カートリッジ空洞に取り外し可能に取り付け可能なカートリッジ蓋と、
電池を受容する電池空洞と、
該電池空洞に取り外し可能に取り付け可能な電池蓋と、を含み、
該電池蓋及び該カートリッジ蓋がそれぞれ、該電池蓋と該カートリッジ蓋とが連結できるようにし、かつ該電池蓋を取り外す又は該電池空洞に固着させるための工具として該カートリッジ蓋を使用できるようにする、少なくとも1つの連結特徴を備える、医療機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−240397(P2010−240397A)
【公開日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−69096(P2010−69096)
【出願日】平成22年3月25日(2010.3.25)
【出願人】(506221907)アニマス・コーポレイション (15)
【Fターム(参考)】