インスリン融合ポリペプチド
本発明は、インスリン融合ポリペプチドおよびダイマー;当該ポリペプチドをコードする核酸分子、並びに前記ポリペプチド/ダイマーを使用する治療方法に関する。インスリン活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子であって、前記ポリペプチドが直接または間接的にインスリンレセプターポリペプチドに連結されたインスリンまたはそのレセプター結合部位を含む核酸分子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン融合ポリペプチドおよびダイマー;当該ポリペプチドをコードする核酸分子、並びに前記ポリペプチド/ダイマーを使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質間の相互作用は機能にとって重要であり、エネルギー代謝、細胞分化および細胞増殖の制御といった細胞における生物学的効果をもたらす。レセプターと相互作用して生化学反応をもたらすタンパク質はアゴニストとして知られ、生化学反応を抑制または妨げるものはアンタゴニストとして知られている。タンパク質の特異的結合によるレセプターの活性化は、とりわけ細胞周期に特異的な遺伝子の発現をもたらす細胞内シグナル伝達カスケードの活性化および静止細胞の増殖活性化を介して細胞増殖を促進する。
【0003】
インスリンはレセプターを介した生化学反応の活性化を媒介するタンパク質の一つである。インスリンはグルコースのホメオスタシスを制御するように働く。高血糖状態(異常に高濃度の血中グルコース)では、ランゲルハンス島の膵臓β細胞がプロインスリンを合成し、プロインスリンはそのアミノ及びカルボキシ末端で酵素切断されて51アミノ酸ポリペプチドであるインスリンを生成する。インスリンが分泌されると、インスリンレセプターを発現するターゲット細胞(例えば肝臓、筋肉、脂肪組織)に作用する。インスリンレセプターの活性化は、過剰のグルコースレセプターを取り除き、グルコースを貯蔵用のグリコーゲンへと変換するグルコーストランスポーターの発現をもたらすシグナル伝達カスケードを引き起こす。グルコース濃度が正常に戻ると、インスリンは分解されて、その生物学的効果が取り除かれる。インスリンレセプターはチロシンキナーゼであり、二つのαサブユニットと二つのβサブユニットを含む四量体膜貫通レセプターである。αサブユニットは細胞外にあり、インスリンと結合する。βサブユニットは膜貫通であり、インスリン結合の際に活性化されるチロシンキナーゼドメインとATPを含む。αおよびβサブユニットはジスルフィド結合で互いに連結されている。
【0004】
高血糖症をもたらす多くの病状が存在しており、その最もよく知られているものは糖尿病である。糖尿病には1型と2型があり得る。1型糖尿病は、膵臓β細胞の破壊をもたらす自己免疫疾患であり、これは患者がインスリンを製造できないことを意味する。2型糖尿病は、より複雑な病状であって、関連する多くの病気に由来し得るが、一般にはインスリンの代謝作用に対する耐性に関与している。例えば、2型糖尿病は、年齢、肥満、インスリン耐性をもたらす殆ど体を動かさない生活に関連している。関連する病状は、患者を2型糖尿病に掛かりやすくさせ得るメタボリックシンドロームと呼ばれる。このシンドロームに関連する症状は、高血圧、脂質異常症、体脂肪沈着の増加および心疾患である。インスリン耐性をもたらすさらなる病状は、成熟卵子を製造できなくなる多嚢胞性卵巣症候群、アンドロゲン過剰および多毛症である。低血糖症(異常に低濃度の血中グルコース)も知られており、典型的にはインスリン過剰投与の結果として引き起こされる。しかしながら、低血糖状態をもたらす過剰インスリン分泌を引き起こす疾患も存在する。例えば、インスリノーマはインスリンの過剰生産をもたらす膵臓β細胞の癌である。
【0005】
インスリンの投与は、1型および2型糖尿病のような症状を制御する有効な手段である。歴史的に見ると、ヒト以外の起源から抽出されたインスリンが糖尿病の治療に使用されてきた。哺乳動物のインスリンは高度に保存されており、ターゲット細胞に発現されるインスリンレセプターを活性化することができる。組み換えヒトインスリンが製造されており、これらは高血糖の治療に好ましいインスリンである。グルコース代謝を制御するためのインスリンの使用に関連して多くの問題が存在する。これらには、投与形態、投与量およびインスリンのタイプが含まれる。インスリンの多くの形態が当該分野で知られており、インスリン又はインスリン変異体の放出及び活性プロファイルによって互いに区別されている。例えば、即効性(5−15分)で中程度の放出(3−4時間)形態;遅延性(30分)で中程度の放出(5−8時間)形態;および遅延性(4−6時間)で持続的放出(24−28時間)形態がある。これらは、天然インスリンアミノ酸配列を変更して活性/放出プロファイルを操作したインスリンである。インスリン治療の主な副作用は低血糖症であり、低血糖症のリスクが低い持続的生物活性を与える長時間作用型のインスリンアナログが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
ここに、変更された薬物動態プロファイルおよび活性を有するインスリン:レセプター融合タンパク質の形態の天然インスリンを開示する。インスリン分子は生物学的に活性であり、ダイマーを形成し、改善された血清安定性を有する。この融合技術は、天然インスリンおよび変性インスリンの両方に適用できることは明らかであろう。この分子の主な利点は、ゼロ次生物学的速度過程(zero order biological kinetics)に傾いた薬物動態プロファイルをもたらし、低血糖症のリスクも低い、部分的に不活性な形態である持続型インスリンを提供することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、インスリンの活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子を提供するものであり、ここで前記ポリペプチドは、直接または間接的にインスリンレセプターのインスリン結合ドメインに連結されたインスリンまたはそのレセプター結合部位を含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、直接または間接的にインスリンレセプターポリペプチドに連結されたインスリンポリペプチドまたはその活性レセプター結合部位のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドを提供する。
【0009】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンポリペプチドは天然インスリン;好ましくはヒトインスリンである。
【0010】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンポリペプチドは、図2a、2b、2c、2d、2eまたは2fに示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる。
【0011】
本発明の別の好ましい態様では、前記インスリンポリペプチドは変性インスリンである。
【0012】
“変性インスリン(modified insulin)”とは天然インスリンの配列変異体を表す。変性された配列変異体は当該技術分野で知られており、アスパルト(aspart)、リスプロ(lipspro)、レンテ(lente)、ウルトラレンテ(ultralente)、グラルギン(glargine)およびデテミル(determir)のような商業的に入手可能な変異体を含む。
【0013】
本発明の好ましい態様では、インスリンが、ペプチドリンカー、好ましくは柔軟なペプチドリンカーによってインスリンレセプターの結合ドメインに連結されている。
【0014】
本発明の好ましい態様では、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの少なくとも1つのコピーを含む。
【0015】
本発明の好ましい態様では、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの2、3、4、5、6、7、8、9または10コピーを含む。
【0016】
好ましくは、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの4コピーからなる。
【0017】
好ましくは、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの8コピーからなる。
【0018】
本発明のさらに別の態様では、前記ポリペプチドがペプチド連結分子を含まず、インスリンとインスリンレセプターのインスリン結合ドメインとの直接融合体である。
【0019】
インスリンレセプターとその結合ドメインは、本発明の範囲内の多型配列変異体を含む。例えば、図1iでは、残基448がスレオニン(T)であり492がリシン(K)であるが、それぞれ、イソロイシン(I)およびグルタミン(Q)であってもよい。ヒトインスリンレセプターをコードする遺伝子の別の多型は、G58→R;Y171→H;G811→S;およびP830→Lを含むのアミノ酸の変化をもたらす。
【0020】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンレセプターポリペプチドが、図1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gまたは1hからなる群から選択されたアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる。
【0021】
図1a−1hに図示したアミノ酸配列は、インスリンレセプターポリペプチドおよびインスリンレセプターポリペプチドのドメインを記載している。ペプチドシグナル配列の存在(配列のアミノ末端に太字で示した)は任意であり、この開示はシグナル配列を含むまたは含まない配列に関する。これは、シグナル配列を含むここに開示された配列に準用する。
【0022】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンレセプターポリペプチドは図1gまたは1hのアミノ酸配列からなる。
【0023】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図3aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0024】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図3bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0025】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図3cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0026】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図4aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0027】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図4bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0028】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図4cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0029】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図5aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0030】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図5bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0031】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図5cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0032】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0033】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0034】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0035】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0036】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0037】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0038】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図7aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0039】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図7bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0040】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図7cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0041】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図8aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0042】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図8bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0043】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図8cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0044】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図9aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0045】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図9bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0046】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図9cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0047】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0048】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0049】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0050】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0051】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0052】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0053】
本発明の好ましい態様では、前記ポリペプチドがアゴニストである。
【0054】
本発明の別の好ましい態様では、前記ポリペプチドがアンタゴニストである。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係るポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。
【0056】
本発明の態様によれば、本発明に係る二つのポリペプチドからなるホモダイマーを提供する。
【0057】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る核酸分子を含むベクターを提供する。
【0058】
本発明の好ましい態様では、前記ベクターは、本発明に係る核酸分子を発現するのに適合した発現ベクターである。
【0059】
本発明に係る核酸を含むベクターは、特にそのベクターが安定なトランスフェクションのために組み換え用細胞のゲノムに核酸を導入するために使用される場合には、プロモーターまたは他の制御配列を含む必要はない。好ましくは、ベクター内の核酸は、宿主細胞において、適切なプロモーターまたは転写用の他の調節エレメントに機能的に連結される。ベクターは、多様なホストで機能するバイファンクショナル発現ベクターであってもよい。“プロモーター”は、転写開始部位より上流のヌクレオチド配列を意味し、転写に必要な全ての制御領域を含む。適切なプロモーターは、真核細胞または原核細胞における発現のための構成的、組織特異的、誘導、発生的(developmental)プロモーターなどを含む。“機能的に連結”とは、転写がプロモーターから開始されるのに適切な位置および方向で、同じ核酸分子の一部として組み込まれていることを意味する。プロモーターに機能的に連結したDNAは、プロモーターの“転写開始調節下”にある。
【0060】
好ましい態様では、プロモーターは、構成的、誘導または調節可能プロモーターである。
【0061】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る核酸分子またはベクターでトランスフェクトまたは形質転換された細胞を提供する。
【0062】
好ましくは、前記細胞は真核細胞である。あるいは、前記細胞は原核細胞である。
【0063】
本発明の好ましい態様では、前記細胞は、真菌細胞(例えば、ピチア属(Pichia spp)、サッカロミセス属(Saccharomyces spp)、アカパンカビ属(Neurospora spp));昆虫細胞(例えば、スポドプテラ属);哺乳動物細胞(例えば、COS細胞、CHO細胞);植物細胞からなる群から選択される。
【0064】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係るポリペプチドを含み、賦形剤または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0065】
本発明の好ましい態様では、前記医薬組成物はさらなる治療剤と組み合わせられる。
【0066】
本発明の好ましい態様では、前記さらなる治療剤は変性されたインスリン変異体である。
【0067】
投与の際に、本発明の医薬組成物は薬学的に許容可能な調製物で投与される。このような調製物は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合する担体、および任意に他の治療剤をごく普通に含んでもよい。
【0068】
本発明の医薬組成物は、注射を含むあらゆる通常の経路で投与することができる。投与及び適用は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、関節内、皮下、局所(目)、皮膚(例えば、皮膚または粘膜へのクリーム脂溶性挿入物)、経皮または鼻腔内投与とすることができる。
【0069】
本発明の医薬組成物は有効量で投与される。“有効量”とは、単独で、もしくはさらなる投与または相乗的薬剤と共同で、所望の応答を生じる薬剤/組成物の量である。これは、より好ましくは疾患の進行を永久に停止することを含むが、疾患の進行を一時的に遅延させるだけのものを含んでも良い。これは通常の方法でモニタでき、また、診断方法に従ってモニタすることもできる。
【0070】
患者に投与される医薬組成物の投与量は、種々のパラメータに従って、特に、使用される投与方式および患者の状態(すなわち年齢および性別)に従って選択することができる。投与の際に、本発明の医薬組成物は薬学的に許容可能な量および薬学的に許容可能な組成物で適用される。薬剤に使用する場合、塩は薬学的に許容可能なものであるが、薬学的に許容できない塩であってもその薬学的に許容可能な塩を調製するために都合よく使用できることから、本発明の範囲から除外されるものではない。このような薬理学的および薬学的に許容可能な塩は、限定されるものではないが、以下の酸:塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、蟻酸、マロン酸、コハク酸等から調製されたものを含む。また、薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩として調製できる。
【0071】
医薬組成物は、所望であれば、薬学的に許容可能な担体と組み合わせてもよい。ここで使用する用語“薬学的に許容可能な担体”とは、ヒトへの投与に適した一以上の適合する固体または液体フィラー、希釈剤、封入剤を意味する。用語“担体”とは、天然または合成の有機または無機成分を指し、これと活性成分とを合わせることにより適用が容易となる。医薬組成物の各成分も、所望の薬学的効能を実質的に損なう相互作用が無いような方法で、本発明の分子と互いに混合することができる。
【0072】
医薬組成物は、塩の状態の酢酸、塩の状態のクエン酸、塩の状態のホウ酸、および塩の状態のリン酸を含む適切な緩衝剤を含んでも良い。
【0073】
医薬組成物は、任意に、適切な防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン類、およびチメロサールを含んでもよい。
【0074】
医薬組成物は、通常は単位投与量形態で提供することができ、薬学分野で周知のいずれかの方法で調製できる。全ての方法が、活性剤を、一以上の補助成分を構成する担体と合わせる工程を含む。一般に、組成物は、活性化合物を均一かつ密接に液状担体、細かく砕いた固形状担体、またはその両方と合わせ、次いで、必要に応じて製品を成形することによって製造される。
【0075】
非経口投与に適した組成物は、通常は、好ましくは受容者の血液と等張の無菌水性または非水性調製物を含む。この調製物は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いた公知の方法に従って製造してもよい。無菌の注射用調製物は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のような、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒における無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。使用できる許容可能な溶媒は、水、リンガー溶液および生理食塩液である。さらに、無菌の固定油が、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。このために、合成モノ−またはジ−グリセリドを含むあらゆる無菌性の固定油を使用できる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸を注射剤の調製に使用してもよい。経口、皮下、静脈内、筋肉内等の投与に適した担体製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA.から入手可能である。
【0076】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む、高血糖症を患っているヒト患者を治療する方法を提供する。
【0077】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む、低血糖症を患っているヒト患者を治療する方法を提供する。
【0078】
本発明の好ましい方法では、前記ポリペプチドは静脈内に投与される。
【0079】
本発明の別の好ましい方法では、前記ポリペプチドが皮下投与される。
【0080】
本発明のさらに好ましい方法では、前記ポリペプチドが二日おきに投与され、好ましくは前記ポリペプチドが一週間おき、二週間おき、または一ヶ月おきに投与される。
【0081】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症状が糖尿病である。
【0082】
本発明の好ましい方法では、糖尿病が1型である。
【0083】
本発明の好ましい方法では、糖尿病が2型である。
【0084】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がインスリン耐性の結果である。
【0085】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がメタボリックシンドロームの結果である。
【0086】
本発明の態様によれば、糖尿病を治療する医薬を製造するための本発明に係るポリペプチドの使用を提供する。
【0087】
本発明の好ましい態様では、糖尿病が1型である。
【0088】
本発明の好ましい態様では、糖尿病が2型である。
【0089】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がインスリン耐性の結果である。
【0090】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がメタボリックシンドロームの結果である。
【0091】
本発明のさらに好ましい態様では、前記ポリペプチドが二日おきに投与され、好ましくは前記ポリペプチドが一週間おき、二週間おき、または一ヶ月おきに投与される。
【0092】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係るポリペプチドまたはダイマーに結合するモノクローナル抗体を提供する。
【0093】
好ましくは、前記モノクローナル抗体は、ポリペプチドまたはダイマーに結合するが、インスリンまたはインスリンレセプター単独には特異的に結合しない抗体である。
【0094】
モノクローナル抗体は、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含むダイマーのいずれかによって提示される構造的抗原(conformational antigen)に結合する。
【0095】
本発明のさらなる態様では、以下の工程:
i)少なくとも一つの本発明に係るポリペプチドを含む免疫原で免疫応答性の哺乳動物を免疫化する;
ii)免疫化した免疫応答性の哺乳動物のリンパ球をミエローマ細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成する;
iii)(i)のポリペプチドに対する結合活性について、工程(ii)のハイブリドーマ細胞によって製造されたモノクローナル抗体をスクリーニングする、
iv)ハイブリドーマ細胞を培養して、増殖及び/又は前記モノクローナル抗体を分泌させる、および
v)培養上清からモノクローナル抗体を回収する
を含む、本発明に係るモノクローナル抗体を製造するハイブリドーマ細胞株を調製する方法を提供する。
【0096】
好ましくは、前記免疫応答性の哺乳動物はマウスである。あるいは、前記免疫応答性の哺乳動物はラットである。
【0097】
ハイブリドーマ細胞を用いたモノクローナル抗体の製造は、当該分野において周知である。モノクローナル抗体を製造するために使用される方法は、KohlerおよびMilstein, Nature 256, 495-497 (1975)、並びにDonillardおよびHoffman, "Basic Facts about Hybridomas", Compendium of Immunology V.II版. Schwartz, 1981に開示されており、これらを参照として取り込む。
【0098】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る方法によって得られたまたは得られるハイブリドーマ細胞株を提供する。
【0099】
本発明のさらなる態様によれば、以下の工程:
i)試験すべき単離されたサンプルを提供する、
ii)前記サンプルを本発明に係るポリペプチドに結合するリガンドと接触させる、および
iii)前記サンプルにおける前記リガンドの結合を検出する
を含む、生物学的サンプル中の本発明に係るポリペプチドを検出するための診断試験を提供する。
【0100】
本発明の好ましい態様では、前記リガンドは抗体であり、好ましくはモノクローナル抗体である。
【0101】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、用語“含む(comprise)”および“含む(contain)”およびこれらの用語の変形、例えば“含む(comprising)”および“含む(comprises)”は、“包含するが限定されない(including but not limited to)”ことを意味し、別の部分、添加物、成分、整数または工程を排除することを意図しない(並びに排除しない)。
【0102】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、必要がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用されるところでは、本明細書は、必要がない限り、単数形も複数形も意図すると解する。
【0103】
本発明の特定の態様、実施態様または実施例に関連して記載された特性、整数、特徴、化合物、化学的部分または基は、不適切でなければ、ここに記載された他の態様、実施態様または実施例に適用可能であるものと理解する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1i】図1AはヒトインスリンレセプターアイソフォームIR−Aを図示する。
【図1ii】図1BはヒトインスリンレセプターアイソフォームIR−Bを図示する;図1CはヒトインスリンレセプターのL1ドメインである;図1Dはヒトインスリンレセプターのシステインリッチドメインである;図1EはヒトインスリンレセプターのL2サブドメインである;図1FはヒトインスリンレセプターのFnIII−1ドメインである。
【図1iii】図1GはヒトインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインである[アミノ酸28−955];図1HはヒトインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインである[アミノ酸28−943];図1iは多型変異体配列を示すヒトインスリンレセプターである。
【図2】図2Aはサブドメインに関する概要を含むヒトインスリン前駆体のアミノ酸配列である;図2Bはヒトインスリン鎖Bのアミノ酸配列である;図2Cはヒトインスリン鎖Aのアミノ酸配列である;図2Dはヒトプロインスリンのアミノ酸配列である;図2Eはヒトインスリン1のペプチド連結BおよびA鎖のアミノ酸配列である;図2Fはヒトインスリン2のペプチド連結AおよびB鎖のアミノ酸配列である。
【図3】図3AはレセプターL1ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図3BはレセプターL1ドメインと一本鎖インスリン1からなるキメラ融合タンパク質である;図3CはレセプターL1ドメインと一本鎖インスリン2からなるキメラ融合タンパク質である。
【図4】図4AはレセプターL2ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図4BはレセプターL2ドメインと一本鎖インスリン1からなるキメラ融合タンパク質である;図4CはレセプタードメインL2と一本鎖インスリン2からなるキメラ融合タンパク質である。
【図5】図5AはレセプターFnIII−1ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図5BはFnIII−1ドメインと一本鎖インスリン1を含むキメラ融合タンパク質である;図5CはFnIII−1ドメインL2と一本鎖インスリン2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図6i】図6AはインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図6BはインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインと一本鎖インスリン1を含むキメラ融合タンパク質である;図6CはインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインと一本鎖インスリン2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図6ii】図6DはインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインとプロインスリンを含むキメラ融合タンパク質である;図6EはインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインと一本鎖インスリン1を含むキメラ融合タンパク質である;図6FはインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインと一本鎖インスリン2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図7】図7AはプロインスリンとインスリンレセプタードメインL1を含むキメラ融合タンパク質である;図7Bは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL1を含むキメラ融合タンパク質である;図7Cは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL1を含むキメラ融合タンパク質である。
【図8】図8AはプロインスリンとインスリンレセプタードメインL2を含むキメラ融合タンパク質である;図8Bは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL2を含むキメラ融合タンパク質である;図8Cは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図9】図9AはプロインスリンとインスリンレセプターFnIII−1ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図9Bは一本鎖インスリン1とインスリンレセプターFnIII−1ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図9Cは一本鎖インスリン2とインスリンレセプターFnIII−1ドメインを含むキメラ融合タンパク質である。
【図10i】図10AはプロインスリンとインスリンアイソフォームBの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Bは一本鎖インスリン1とインスリンアイソフォームBの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Cは一本鎖インスリン2とインスリンアイソフォームBの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である。
【図10ii】図10DはプロインスリンとインスリンアイソフォームAの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Eは一本鎖インスリン1とインスリンアイソフォームAの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Fは一本鎖インスリン2とインスリンアイソフォームAの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である。
【図11】a)PCRを用いて、適切な制限部位(プライマーR1−4に含まれる)を隣接させた目的の遺伝子からなるDNAを生成した。b)このPCR産物を、リンカー領域の各端で適切なベクターに結合させた。c)この構成物を変死して、不要な配列(すなわち、本来のものでない制限酵素認識部位)を含まない的確なリンカーを導入するように変性した。
【図12】a)オリゴヌクレオチドを、特有のオーバーラップを備えた部分的二本鎖領域を形成するように設計し、アニールおよびプロセッシングした際に、リガンド及びレセプターにアニールする隣接領域を備えたリンカーをコードするものとした。b)“メガプライマー”および末端プライマー(R1およびR2)を用いてPCRを行い、LR-融合遺伝子を製造した。R1およびR2プライマーは、ターゲットベクターへの結合に使用可能な隣接制限酵素認識部位を取り込むように設計した。
【図13】図13はインスリン融合タンパク質12B1の発現及び免疫ブロットである。
【発明を実施するための形態】
【0105】
本発明の実施態様を、実施例を用いて、図面を参照しながら記載する。
【0106】
材料と方法
インスリン融合タンパク質活性の試験
ここに記載するインスリン融合タンパク質の生物学的活性の試験方法は、当該分野において周知である。例えば、US2008/057004、US2006/286182、US2005/171008またはUS6200569に記載されている方法およびアッセイを、参照としてここに取り込む。
【0107】
免疫学的試験
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体に対するインスリンの結合を調べる免疫測定法は、当該分野において知られている。商業的に入手可能なインスリン抗体がサンプル中のインスリンを検出するために利用でき、競争阻害試験における使用にも利用できる。例えば、モノクローナル抗体は、http://www.ab-direct.com/index AbD Serotecで購入することができる。
【0108】
融合タンパク質の組み換え生成
融合タンパク質の構成成分を、リガンドまたはレセプターにアニールし、かつ、ターゲットベクターへのクローニングに適した制限酵素認識部位を導入するように設計されたプライマーを用いるPCRによって生成した(図11a)。PCRのテンプレートはターゲット遺伝子を含んでおり、IMAGEクローン、cDNAライブラリーまたはカスタム合成遺伝子から得た。適切な隣接する制限酵素認識部位を有するリガンドおよびレセプター遺伝子を合成したら、これらをターゲットベクターにおいてリンカー領域の両端に結合させた(図11b)。この構築物を、リンカー領域の両端の二つの特有の制限酵素認識部位間にカスタム合成した長さのDNAを挿入するか、ssDNA変性技術によってリンカー領域を変異させるか、適切な制限酵素認識部位間にプライマーデュプレックス/マルチプレックス(primer duplex/multiplex)を挿入するか、またはPCR変性によって、隣接する制限酵素認識部位のない適正なリンカーを含むように変性させた(図11c)。
【0109】
あるいは、最適なリガンド又はレセプタードメインにアニールするように設計された隣接する配列を有するリンカーを、オリゴヌクレオチド二本鎖を生成することによって最初に合成し、これを処理して二本鎖DNAを生成した(図12a)。次いで“メガプライマー”としてのリンカー配列、この“メガプライマー”がアニールするリガンドおよびレセプターの反対端に対向して設計されたプライマー、およびテンプレートとしてのリガンドおよびレセプターを用いて、PCRを行った。末端プライマーは、最適な発現ベクターへの結合に適した制限酵素認識部位を用いて設計した。
【0110】
融合タンパク質の発現および精製
適切な系(例えば哺乳動物CHO細胞、E.coli)で発現を行った。これは、インスリン融合遺伝子が生成されるベクターに依存する。次いで、当該分野で周知のSDS−PAGE、Native−PAGE、ウエスタンブロッティング、ELISAの一以上を含んでもよい種々の方法を用いて発現を分析した。
【0111】
適切なレベルの発現を達成したら、インスリン融合物をより大きいスケールで発現し、精製および次の分析に十分なタンパク質を製造する。
【0112】
イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、硫安沈殿法、ゲル濾過、サイズ排除および/またはアフィニティークロマトグラフィー(ニッケル/コバルト樹脂、抗体固定化樹脂および/またはリガンド/レセプター固定化樹脂を使用)のような一以上のクロマトグラフ法の適切な組み合わせを用いて精製を行った。
【0113】
精製したタンパク質を、ブラッドフォード分析、SDS−PAGE、Native PAGE、ウェスタンブロッティング、ELISAを含む種々の方法を用いて分析した。
【0114】
インスリン融合物の特性評価
変性PAGE、native PAGEゲルおよびウェスタンブロッティングを用いて、融合ポリペプチドを分析し、かつ、インスリン融合物に対して構造的に敏感でない抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。ネイティブの溶液状態分子量情報は、Superose G200分析カラムおよび分析超遠心を使用したサイズ排除クロマトグラフィーのような技術から得ることができる。
【0115】
統計
二つのグループを、分散が正規分布であればスチューデント検定を用いて比較し、正規分布でなければスチューデント−サタースワイト検定(Student-Satterthwaite's test)を用いて比較した。分布はF検定でテストした。一元ANOVA(One-way ANOVA)を用いて3以上のグループの平均を比較し、有意水準がp<0.05であれば、個々の比較をダネット検定を用いて行った。全ての統計的検定が両側5%の有意水準であり、欠測値にデータの補完は行わなかった。
【0116】
インスリンLR融合体の発現:CHO FlpIn細胞における安定発現からの12B1のウェスタンブロッティング
1mlのサンプルを濃縮し、SDS−PAGEゲルに流した(レーン2)。馴化培地および非馴化培地も濃縮し、ゲルに流した。マーカーは、250、150、100、75、50、37、25、20および15kDaである。免疫ブロットをマウス抗インスリン抗体(Abcam.; Cat#: ab9569; 希釈=1:100)および抗マウスHRP抗体(Abcam.; 希釈=1:2500)を用いて行った。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インスリン融合ポリペプチドおよびダイマー;当該ポリペプチドをコードする核酸分子、並びに前記ポリペプチド/ダイマーを使用する治療方法に関する。
【背景技術】
【0002】
タンパク質間の相互作用は機能にとって重要であり、エネルギー代謝、細胞分化および細胞増殖の制御といった細胞における生物学的効果をもたらす。レセプターと相互作用して生化学反応をもたらすタンパク質はアゴニストとして知られ、生化学反応を抑制または妨げるものはアンタゴニストとして知られている。タンパク質の特異的結合によるレセプターの活性化は、とりわけ細胞周期に特異的な遺伝子の発現をもたらす細胞内シグナル伝達カスケードの活性化および静止細胞の増殖活性化を介して細胞増殖を促進する。
【0003】
インスリンはレセプターを介した生化学反応の活性化を媒介するタンパク質の一つである。インスリンはグルコースのホメオスタシスを制御するように働く。高血糖状態(異常に高濃度の血中グルコース)では、ランゲルハンス島の膵臓β細胞がプロインスリンを合成し、プロインスリンはそのアミノ及びカルボキシ末端で酵素切断されて51アミノ酸ポリペプチドであるインスリンを生成する。インスリンが分泌されると、インスリンレセプターを発現するターゲット細胞(例えば肝臓、筋肉、脂肪組織)に作用する。インスリンレセプターの活性化は、過剰のグルコースレセプターを取り除き、グルコースを貯蔵用のグリコーゲンへと変換するグルコーストランスポーターの発現をもたらすシグナル伝達カスケードを引き起こす。グルコース濃度が正常に戻ると、インスリンは分解されて、その生物学的効果が取り除かれる。インスリンレセプターはチロシンキナーゼであり、二つのαサブユニットと二つのβサブユニットを含む四量体膜貫通レセプターである。αサブユニットは細胞外にあり、インスリンと結合する。βサブユニットは膜貫通であり、インスリン結合の際に活性化されるチロシンキナーゼドメインとATPを含む。αおよびβサブユニットはジスルフィド結合で互いに連結されている。
【0004】
高血糖症をもたらす多くの病状が存在しており、その最もよく知られているものは糖尿病である。糖尿病には1型と2型があり得る。1型糖尿病は、膵臓β細胞の破壊をもたらす自己免疫疾患であり、これは患者がインスリンを製造できないことを意味する。2型糖尿病は、より複雑な病状であって、関連する多くの病気に由来し得るが、一般にはインスリンの代謝作用に対する耐性に関与している。例えば、2型糖尿病は、年齢、肥満、インスリン耐性をもたらす殆ど体を動かさない生活に関連している。関連する病状は、患者を2型糖尿病に掛かりやすくさせ得るメタボリックシンドロームと呼ばれる。このシンドロームに関連する症状は、高血圧、脂質異常症、体脂肪沈着の増加および心疾患である。インスリン耐性をもたらすさらなる病状は、成熟卵子を製造できなくなる多嚢胞性卵巣症候群、アンドロゲン過剰および多毛症である。低血糖症(異常に低濃度の血中グルコース)も知られており、典型的にはインスリン過剰投与の結果として引き起こされる。しかしながら、低血糖状態をもたらす過剰インスリン分泌を引き起こす疾患も存在する。例えば、インスリノーマはインスリンの過剰生産をもたらす膵臓β細胞の癌である。
【0005】
インスリンの投与は、1型および2型糖尿病のような症状を制御する有効な手段である。歴史的に見ると、ヒト以外の起源から抽出されたインスリンが糖尿病の治療に使用されてきた。哺乳動物のインスリンは高度に保存されており、ターゲット細胞に発現されるインスリンレセプターを活性化することができる。組み換えヒトインスリンが製造されており、これらは高血糖の治療に好ましいインスリンである。グルコース代謝を制御するためのインスリンの使用に関連して多くの問題が存在する。これらには、投与形態、投与量およびインスリンのタイプが含まれる。インスリンの多くの形態が当該分野で知られており、インスリン又はインスリン変異体の放出及び活性プロファイルによって互いに区別されている。例えば、即効性(5−15分)で中程度の放出(3−4時間)形態;遅延性(30分)で中程度の放出(5−8時間)形態;および遅延性(4−6時間)で持続的放出(24−28時間)形態がある。これらは、天然インスリンアミノ酸配列を変更して活性/放出プロファイルを操作したインスリンである。インスリン治療の主な副作用は低血糖症であり、低血糖症のリスクが低い持続的生物活性を与える長時間作用型のインスリンアナログが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
ここに、変更された薬物動態プロファイルおよび活性を有するインスリン:レセプター融合タンパク質の形態の天然インスリンを開示する。インスリン分子は生物学的に活性であり、ダイマーを形成し、改善された血清安定性を有する。この融合技術は、天然インスリンおよび変性インスリンの両方に適用できることは明らかであろう。この分子の主な利点は、ゼロ次生物学的速度過程(zero order biological kinetics)に傾いた薬物動態プロファイルをもたらし、低血糖症のリスクも低い、部分的に不活性な形態である持続型インスリンを提供することである。
【0007】
本発明の一態様によれば、インスリンの活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子を提供するものであり、ここで前記ポリペプチドは、直接または間接的にインスリンレセプターのインスリン結合ドメインに連結されたインスリンまたはそのレセプター結合部位を含む。
【0008】
本発明の一態様によれば、直接または間接的にインスリンレセプターポリペプチドに連結されたインスリンポリペプチドまたはその活性レセプター結合部位のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチドを提供する。
【0009】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンポリペプチドは天然インスリン;好ましくはヒトインスリンである。
【0010】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンポリペプチドは、図2a、2b、2c、2d、2eまたは2fに示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる。
【0011】
本発明の別の好ましい態様では、前記インスリンポリペプチドは変性インスリンである。
【0012】
“変性インスリン(modified insulin)”とは天然インスリンの配列変異体を表す。変性された配列変異体は当該技術分野で知られており、アスパルト(aspart)、リスプロ(lipspro)、レンテ(lente)、ウルトラレンテ(ultralente)、グラルギン(glargine)およびデテミル(determir)のような商業的に入手可能な変異体を含む。
【0013】
本発明の好ましい態様では、インスリンが、ペプチドリンカー、好ましくは柔軟なペプチドリンカーによってインスリンレセプターの結合ドメインに連結されている。
【0014】
本発明の好ましい態様では、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの少なくとも1つのコピーを含む。
【0015】
本発明の好ましい態様では、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの2、3、4、5、6、7、8、9または10コピーを含む。
【0016】
好ましくは、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの4コピーからなる。
【0017】
好ましくは、前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの8コピーからなる。
【0018】
本発明のさらに別の態様では、前記ポリペプチドがペプチド連結分子を含まず、インスリンとインスリンレセプターのインスリン結合ドメインとの直接融合体である。
【0019】
インスリンレセプターとその結合ドメインは、本発明の範囲内の多型配列変異体を含む。例えば、図1iでは、残基448がスレオニン(T)であり492がリシン(K)であるが、それぞれ、イソロイシン(I)およびグルタミン(Q)であってもよい。ヒトインスリンレセプターをコードする遺伝子の別の多型は、G58→R;Y171→H;G811→S;およびP830→Lを含むのアミノ酸の変化をもたらす。
【0020】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンレセプターポリペプチドが、図1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gまたは1hからなる群から選択されたアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる。
【0021】
図1a−1hに図示したアミノ酸配列は、インスリンレセプターポリペプチドおよびインスリンレセプターポリペプチドのドメインを記載している。ペプチドシグナル配列の存在(配列のアミノ末端に太字で示した)は任意であり、この開示はシグナル配列を含むまたは含まない配列に関する。これは、シグナル配列を含むここに開示された配列に準用する。
【0022】
本発明の好ましい態様では、前記インスリンレセプターポリペプチドは図1gまたは1hのアミノ酸配列からなる。
【0023】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図3aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0024】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図3bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0025】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図3cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0026】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図4aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0027】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図4bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0028】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図4cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0029】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図5aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0030】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図5bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0031】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図5cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0032】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0033】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0034】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0035】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0036】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0037】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図6fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0038】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図7aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0039】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図7bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0040】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図7cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0041】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図8aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0042】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図8bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0043】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図8cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0044】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図9aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0045】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図9bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0046】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図9cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0047】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0048】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0049】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0050】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0051】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0052】
本発明の好ましい態様では、前記融合ポリペプチドは、図10fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する。
【0053】
本発明の好ましい態様では、前記ポリペプチドがアゴニストである。
【0054】
本発明の別の好ましい態様では、前記ポリペプチドがアンタゴニストである。
【0055】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係るポリペプチドをコードする核酸分子を提供する。
【0056】
本発明の態様によれば、本発明に係る二つのポリペプチドからなるホモダイマーを提供する。
【0057】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る核酸分子を含むベクターを提供する。
【0058】
本発明の好ましい態様では、前記ベクターは、本発明に係る核酸分子を発現するのに適合した発現ベクターである。
【0059】
本発明に係る核酸を含むベクターは、特にそのベクターが安定なトランスフェクションのために組み換え用細胞のゲノムに核酸を導入するために使用される場合には、プロモーターまたは他の制御配列を含む必要はない。好ましくは、ベクター内の核酸は、宿主細胞において、適切なプロモーターまたは転写用の他の調節エレメントに機能的に連結される。ベクターは、多様なホストで機能するバイファンクショナル発現ベクターであってもよい。“プロモーター”は、転写開始部位より上流のヌクレオチド配列を意味し、転写に必要な全ての制御領域を含む。適切なプロモーターは、真核細胞または原核細胞における発現のための構成的、組織特異的、誘導、発生的(developmental)プロモーターなどを含む。“機能的に連結”とは、転写がプロモーターから開始されるのに適切な位置および方向で、同じ核酸分子の一部として組み込まれていることを意味する。プロモーターに機能的に連結したDNAは、プロモーターの“転写開始調節下”にある。
【0060】
好ましい態様では、プロモーターは、構成的、誘導または調節可能プロモーターである。
【0061】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る核酸分子またはベクターでトランスフェクトまたは形質転換された細胞を提供する。
【0062】
好ましくは、前記細胞は真核細胞である。あるいは、前記細胞は原核細胞である。
【0063】
本発明の好ましい態様では、前記細胞は、真菌細胞(例えば、ピチア属(Pichia spp)、サッカロミセス属(Saccharomyces spp)、アカパンカビ属(Neurospora spp));昆虫細胞(例えば、スポドプテラ属);哺乳動物細胞(例えば、COS細胞、CHO細胞);植物細胞からなる群から選択される。
【0064】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係るポリペプチドを含み、賦形剤または担体を含む医薬組成物を提供する。
【0065】
本発明の好ましい態様では、前記医薬組成物はさらなる治療剤と組み合わせられる。
【0066】
本発明の好ましい態様では、前記さらなる治療剤は変性されたインスリン変異体である。
【0067】
投与の際に、本発明の医薬組成物は薬学的に許容可能な調製物で投与される。このような調製物は、薬学的に許容できる濃度の塩、緩衝剤、防腐剤、適合する担体、および任意に他の治療剤をごく普通に含んでもよい。
【0068】
本発明の医薬組成物は、注射を含むあらゆる通常の経路で投与することができる。投与及び適用は、例えば、経口、静脈内、腹腔内、筋肉内、腔内、関節内、皮下、局所(目)、皮膚(例えば、皮膚または粘膜へのクリーム脂溶性挿入物)、経皮または鼻腔内投与とすることができる。
【0069】
本発明の医薬組成物は有効量で投与される。“有効量”とは、単独で、もしくはさらなる投与または相乗的薬剤と共同で、所望の応答を生じる薬剤/組成物の量である。これは、より好ましくは疾患の進行を永久に停止することを含むが、疾患の進行を一時的に遅延させるだけのものを含んでも良い。これは通常の方法でモニタでき、また、診断方法に従ってモニタすることもできる。
【0070】
患者に投与される医薬組成物の投与量は、種々のパラメータに従って、特に、使用される投与方式および患者の状態(すなわち年齢および性別)に従って選択することができる。投与の際に、本発明の医薬組成物は薬学的に許容可能な量および薬学的に許容可能な組成物で適用される。薬剤に使用する場合、塩は薬学的に許容可能なものであるが、薬学的に許容できない塩であってもその薬学的に許容可能な塩を調製するために都合よく使用できることから、本発明の範囲から除外されるものではない。このような薬理学的および薬学的に許容可能な塩は、限定されるものではないが、以下の酸:塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、マレイン酸、酢酸、サリチル酸、クエン酸、蟻酸、マロン酸、コハク酸等から調製されたものを含む。また、薬学的に許容可能な塩は、ナトリウム、カリウムまたはカルシウム塩のようなアルカリ金属またはアルカリ土類金属塩として調製できる。
【0071】
医薬組成物は、所望であれば、薬学的に許容可能な担体と組み合わせてもよい。ここで使用する用語“薬学的に許容可能な担体”とは、ヒトへの投与に適した一以上の適合する固体または液体フィラー、希釈剤、封入剤を意味する。用語“担体”とは、天然または合成の有機または無機成分を指し、これと活性成分とを合わせることにより適用が容易となる。医薬組成物の各成分も、所望の薬学的効能を実質的に損なう相互作用が無いような方法で、本発明の分子と互いに混合することができる。
【0072】
医薬組成物は、塩の状態の酢酸、塩の状態のクエン酸、塩の状態のホウ酸、および塩の状態のリン酸を含む適切な緩衝剤を含んでも良い。
【0073】
医薬組成物は、任意に、適切な防腐剤、例えば塩化ベンザルコニウム、クロロブタノール、パラベン類、およびチメロサールを含んでもよい。
【0074】
医薬組成物は、通常は単位投与量形態で提供することができ、薬学分野で周知のいずれかの方法で調製できる。全ての方法が、活性剤を、一以上の補助成分を構成する担体と合わせる工程を含む。一般に、組成物は、活性化合物を均一かつ密接に液状担体、細かく砕いた固形状担体、またはその両方と合わせ、次いで、必要に応じて製品を成形することによって製造される。
【0075】
非経口投与に適した組成物は、通常は、好ましくは受容者の血液と等張の無菌水性または非水性調製物を含む。この調製物は、適切な分散または湿潤剤および懸濁化剤を用いた公知の方法に従って製造してもよい。無菌の注射用調製物は、例えば1,3−ブタンジオール溶液のような、非毒性の非経口的に許容可能な希釈剤または溶媒における無菌の注射用溶液または懸濁液であってもよい。使用できる許容可能な溶媒は、水、リンガー溶液および生理食塩液である。さらに、無菌の固定油が、溶媒または懸濁媒体として通常用いられる。このために、合成モノ−またはジ−グリセリドを含むあらゆる無菌性の固定油を使用できる。さらに、オレイン酸のような脂肪酸を注射剤の調製に使用してもよい。経口、皮下、静脈内、筋肉内等の投与に適した担体製剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co., Easton, PA.から入手可能である。
【0076】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む、高血糖症を患っているヒト患者を治療する方法を提供する。
【0077】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む、低血糖症を患っているヒト患者を治療する方法を提供する。
【0078】
本発明の好ましい方法では、前記ポリペプチドは静脈内に投与される。
【0079】
本発明の別の好ましい方法では、前記ポリペプチドが皮下投与される。
【0080】
本発明のさらに好ましい方法では、前記ポリペプチドが二日おきに投与され、好ましくは前記ポリペプチドが一週間おき、二週間おき、または一ヶ月おきに投与される。
【0081】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症状が糖尿病である。
【0082】
本発明の好ましい方法では、糖尿病が1型である。
【0083】
本発明の好ましい方法では、糖尿病が2型である。
【0084】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がインスリン耐性の結果である。
【0085】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がメタボリックシンドロームの結果である。
【0086】
本発明の態様によれば、糖尿病を治療する医薬を製造するための本発明に係るポリペプチドの使用を提供する。
【0087】
本発明の好ましい態様では、糖尿病が1型である。
【0088】
本発明の好ましい態様では、糖尿病が2型である。
【0089】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がインスリン耐性の結果である。
【0090】
本発明の好ましい方法では、前記高血糖症がメタボリックシンドロームの結果である。
【0091】
本発明のさらに好ましい態様では、前記ポリペプチドが二日おきに投与され、好ましくは前記ポリペプチドが一週間おき、二週間おき、または一ヶ月おきに投与される。
【0092】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係るポリペプチドまたはダイマーに結合するモノクローナル抗体を提供する。
【0093】
好ましくは、前記モノクローナル抗体は、ポリペプチドまたはダイマーに結合するが、インスリンまたはインスリンレセプター単独には特異的に結合しない抗体である。
【0094】
モノクローナル抗体は、本発明のポリペプチドまたは本発明のポリペプチドを含むダイマーのいずれかによって提示される構造的抗原(conformational antigen)に結合する。
【0095】
本発明のさらなる態様では、以下の工程:
i)少なくとも一つの本発明に係るポリペプチドを含む免疫原で免疫応答性の哺乳動物を免疫化する;
ii)免疫化した免疫応答性の哺乳動物のリンパ球をミエローマ細胞と融合してハイブリドーマ細胞を形成する;
iii)(i)のポリペプチドに対する結合活性について、工程(ii)のハイブリドーマ細胞によって製造されたモノクローナル抗体をスクリーニングする、
iv)ハイブリドーマ細胞を培養して、増殖及び/又は前記モノクローナル抗体を分泌させる、および
v)培養上清からモノクローナル抗体を回収する
を含む、本発明に係るモノクローナル抗体を製造するハイブリドーマ細胞株を調製する方法を提供する。
【0096】
好ましくは、前記免疫応答性の哺乳動物はマウスである。あるいは、前記免疫応答性の哺乳動物はラットである。
【0097】
ハイブリドーマ細胞を用いたモノクローナル抗体の製造は、当該分野において周知である。モノクローナル抗体を製造するために使用される方法は、KohlerおよびMilstein, Nature 256, 495-497 (1975)、並びにDonillardおよびHoffman, "Basic Facts about Hybridomas", Compendium of Immunology V.II版. Schwartz, 1981に開示されており、これらを参照として取り込む。
【0098】
本発明のさらなる態様によれば、本発明に係る方法によって得られたまたは得られるハイブリドーマ細胞株を提供する。
【0099】
本発明のさらなる態様によれば、以下の工程:
i)試験すべき単離されたサンプルを提供する、
ii)前記サンプルを本発明に係るポリペプチドに結合するリガンドと接触させる、および
iii)前記サンプルにおける前記リガンドの結合を検出する
を含む、生物学的サンプル中の本発明に係るポリペプチドを検出するための診断試験を提供する。
【0100】
本発明の好ましい態様では、前記リガンドは抗体であり、好ましくはモノクローナル抗体である。
【0101】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、用語“含む(comprise)”および“含む(contain)”およびこれらの用語の変形、例えば“含む(comprising)”および“含む(comprises)”は、“包含するが限定されない(including but not limited to)”ことを意味し、別の部分、添加物、成分、整数または工程を排除することを意図しない(並びに排除しない)。
【0102】
本明細書の記載及び特許請求の範囲を通じて、必要がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用されるところでは、本明細書は、必要がない限り、単数形も複数形も意図すると解する。
【0103】
本発明の特定の態様、実施態様または実施例に関連して記載された特性、整数、特徴、化合物、化学的部分または基は、不適切でなければ、ここに記載された他の態様、実施態様または実施例に適用可能であるものと理解する。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1i】図1AはヒトインスリンレセプターアイソフォームIR−Aを図示する。
【図1ii】図1BはヒトインスリンレセプターアイソフォームIR−Bを図示する;図1CはヒトインスリンレセプターのL1ドメインである;図1Dはヒトインスリンレセプターのシステインリッチドメインである;図1EはヒトインスリンレセプターのL2サブドメインである;図1FはヒトインスリンレセプターのFnIII−1ドメインである。
【図1iii】図1GはヒトインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインである[アミノ酸28−955];図1HはヒトインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインである[アミノ酸28−943];図1iは多型変異体配列を示すヒトインスリンレセプターである。
【図2】図2Aはサブドメインに関する概要を含むヒトインスリン前駆体のアミノ酸配列である;図2Bはヒトインスリン鎖Bのアミノ酸配列である;図2Cはヒトインスリン鎖Aのアミノ酸配列である;図2Dはヒトプロインスリンのアミノ酸配列である;図2Eはヒトインスリン1のペプチド連結BおよびA鎖のアミノ酸配列である;図2Fはヒトインスリン2のペプチド連結AおよびB鎖のアミノ酸配列である。
【図3】図3AはレセプターL1ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図3BはレセプターL1ドメインと一本鎖インスリン1からなるキメラ融合タンパク質である;図3CはレセプターL1ドメインと一本鎖インスリン2からなるキメラ融合タンパク質である。
【図4】図4AはレセプターL2ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図4BはレセプターL2ドメインと一本鎖インスリン1からなるキメラ融合タンパク質である;図4CはレセプタードメインL2と一本鎖インスリン2からなるキメラ融合タンパク質である。
【図5】図5AはレセプターFnIII−1ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図5BはFnIII−1ドメインと一本鎖インスリン1を含むキメラ融合タンパク質である;図5CはFnIII−1ドメインL2と一本鎖インスリン2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図6i】図6AはインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインとプロインスリンからなるキメラ融合タンパク質である;図6BはインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインと一本鎖インスリン1を含むキメラ融合タンパク質である;図6CはインスリンレセプターアイソフォームBの細胞外ドメインと一本鎖インスリン2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図6ii】図6DはインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインとプロインスリンを含むキメラ融合タンパク質である;図6EはインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインと一本鎖インスリン1を含むキメラ融合タンパク質である;図6FはインスリンレセプターアイソフォームAの細胞外ドメインと一本鎖インスリン2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図7】図7AはプロインスリンとインスリンレセプタードメインL1を含むキメラ融合タンパク質である;図7Bは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL1を含むキメラ融合タンパク質である;図7Cは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL1を含むキメラ融合タンパク質である。
【図8】図8AはプロインスリンとインスリンレセプタードメインL2を含むキメラ融合タンパク質である;図8Bは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL2を含むキメラ融合タンパク質である;図8Cは一本鎖インスリン1とインスリンレセプタードメインL2を含むキメラ融合タンパク質である。
【図9】図9AはプロインスリンとインスリンレセプターFnIII−1ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図9Bは一本鎖インスリン1とインスリンレセプターFnIII−1ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図9Cは一本鎖インスリン2とインスリンレセプターFnIII−1ドメインを含むキメラ融合タンパク質である。
【図10i】図10AはプロインスリンとインスリンアイソフォームBの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Bは一本鎖インスリン1とインスリンアイソフォームBの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Cは一本鎖インスリン2とインスリンアイソフォームBの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である。
【図10ii】図10DはプロインスリンとインスリンアイソフォームAの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Eは一本鎖インスリン1とインスリンアイソフォームAの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である;図10Fは一本鎖インスリン2とインスリンアイソフォームAの細胞外ドメインを含むキメラ融合タンパク質である。
【図11】a)PCRを用いて、適切な制限部位(プライマーR1−4に含まれる)を隣接させた目的の遺伝子からなるDNAを生成した。b)このPCR産物を、リンカー領域の各端で適切なベクターに結合させた。c)この構成物を変死して、不要な配列(すなわち、本来のものでない制限酵素認識部位)を含まない的確なリンカーを導入するように変性した。
【図12】a)オリゴヌクレオチドを、特有のオーバーラップを備えた部分的二本鎖領域を形成するように設計し、アニールおよびプロセッシングした際に、リガンド及びレセプターにアニールする隣接領域を備えたリンカーをコードするものとした。b)“メガプライマー”および末端プライマー(R1およびR2)を用いてPCRを行い、LR-融合遺伝子を製造した。R1およびR2プライマーは、ターゲットベクターへの結合に使用可能な隣接制限酵素認識部位を取り込むように設計した。
【図13】図13はインスリン融合タンパク質12B1の発現及び免疫ブロットである。
【発明を実施するための形態】
【0105】
本発明の実施態様を、実施例を用いて、図面を参照しながら記載する。
【0106】
材料と方法
インスリン融合タンパク質活性の試験
ここに記載するインスリン融合タンパク質の生物学的活性の試験方法は、当該分野において周知である。例えば、US2008/057004、US2006/286182、US2005/171008またはUS6200569に記載されている方法およびアッセイを、参照としてここに取り込む。
【0107】
免疫学的試験
ポリクローナルおよびモノクローナル抗体に対するインスリンの結合を調べる免疫測定法は、当該分野において知られている。商業的に入手可能なインスリン抗体がサンプル中のインスリンを検出するために利用でき、競争阻害試験における使用にも利用できる。例えば、モノクローナル抗体は、http://www.ab-direct.com/index AbD Serotecで購入することができる。
【0108】
融合タンパク質の組み換え生成
融合タンパク質の構成成分を、リガンドまたはレセプターにアニールし、かつ、ターゲットベクターへのクローニングに適した制限酵素認識部位を導入するように設計されたプライマーを用いるPCRによって生成した(図11a)。PCRのテンプレートはターゲット遺伝子を含んでおり、IMAGEクローン、cDNAライブラリーまたはカスタム合成遺伝子から得た。適切な隣接する制限酵素認識部位を有するリガンドおよびレセプター遺伝子を合成したら、これらをターゲットベクターにおいてリンカー領域の両端に結合させた(図11b)。この構築物を、リンカー領域の両端の二つの特有の制限酵素認識部位間にカスタム合成した長さのDNAを挿入するか、ssDNA変性技術によってリンカー領域を変異させるか、適切な制限酵素認識部位間にプライマーデュプレックス/マルチプレックス(primer duplex/multiplex)を挿入するか、またはPCR変性によって、隣接する制限酵素認識部位のない適正なリンカーを含むように変性させた(図11c)。
【0109】
あるいは、最適なリガンド又はレセプタードメインにアニールするように設計された隣接する配列を有するリンカーを、オリゴヌクレオチド二本鎖を生成することによって最初に合成し、これを処理して二本鎖DNAを生成した(図12a)。次いで“メガプライマー”としてのリンカー配列、この“メガプライマー”がアニールするリガンドおよびレセプターの反対端に対向して設計されたプライマー、およびテンプレートとしてのリガンドおよびレセプターを用いて、PCRを行った。末端プライマーは、最適な発現ベクターへの結合に適した制限酵素認識部位を用いて設計した。
【0110】
融合タンパク質の発現および精製
適切な系(例えば哺乳動物CHO細胞、E.coli)で発現を行った。これは、インスリン融合遺伝子が生成されるベクターに依存する。次いで、当該分野で周知のSDS−PAGE、Native−PAGE、ウエスタンブロッティング、ELISAの一以上を含んでもよい種々の方法を用いて発現を分析した。
【0111】
適切なレベルの発現を達成したら、インスリン融合物をより大きいスケールで発現し、精製および次の分析に十分なタンパク質を製造する。
【0112】
イオン交換クロマトグラフィー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、硫安沈殿法、ゲル濾過、サイズ排除および/またはアフィニティークロマトグラフィー(ニッケル/コバルト樹脂、抗体固定化樹脂および/またはリガンド/レセプター固定化樹脂を使用)のような一以上のクロマトグラフ法の適切な組み合わせを用いて精製を行った。
【0113】
精製したタンパク質を、ブラッドフォード分析、SDS−PAGE、Native PAGE、ウェスタンブロッティング、ELISAを含む種々の方法を用いて分析した。
【0114】
インスリン融合物の特性評価
変性PAGE、native PAGEゲルおよびウェスタンブロッティングを用いて、融合ポリペプチドを分析し、かつ、インスリン融合物に対して構造的に敏感でない抗体を用いてウェスタンブロッティングを行った。ネイティブの溶液状態分子量情報は、Superose G200分析カラムおよび分析超遠心を使用したサイズ排除クロマトグラフィーのような技術から得ることができる。
【0115】
統計
二つのグループを、分散が正規分布であればスチューデント検定を用いて比較し、正規分布でなければスチューデント−サタースワイト検定(Student-Satterthwaite's test)を用いて比較した。分布はF検定でテストした。一元ANOVA(One-way ANOVA)を用いて3以上のグループの平均を比較し、有意水準がp<0.05であれば、個々の比較をダネット検定を用いて行った。全ての統計的検定が両側5%の有意水準であり、欠測値にデータの補完は行わなかった。
【0116】
インスリンLR融合体の発現:CHO FlpIn細胞における安定発現からの12B1のウェスタンブロッティング
1mlのサンプルを濃縮し、SDS−PAGEゲルに流した(レーン2)。馴化培地および非馴化培地も濃縮し、ゲルに流した。マーカーは、250、150、100、75、50、37、25、20および15kDaである。免疫ブロットをマウス抗インスリン抗体(Abcam.; Cat#: ab9569; 希釈=1:100)および抗マウスHRP抗体(Abcam.; 希釈=1:2500)を用いて行った。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インスリン活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子であって、前記ポリペプチドが直接的または間接的にインスリンレセプターポリペプチドに連結されたインスリンまたはそのレセプター結合部位を含む、核酸分子。
【請求項2】
直接的または間接的にインスリンレセプターポリペプチドに連結されたインスリンポリペプチドまたはその活性なレセプター結合部位のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチド。
【請求項3】
前記インスリンポリペプチドが天然インスリンである請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項4】
前記インスリンポリペプチドがヒトインスリンである請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項5】
前記インスリンポリペプチドが、図2a、2b、2c、2d、2eまたは2fに示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項6】
前記インスリンポリペプチドが変性インスリンである請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項7】
インスリンがペプチドリンカーによってインスリンレセプターの結合ドメインに連結されている、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項8】
前記ペプチドリンカーが柔軟なペプチドリンカーである、請求項7記載の融合ポリペプチド。
【請求項9】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの少なくとも1つのコピーを含む、請求項8記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの2、3、4、5、6、7、8、9または10コピーを含む、請求項9記載の融合ポリペプチド。
【請求項11】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの4コピーからなる、請求項9記載の融合ポリペプチド。
【請求項12】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの8コピーからなる、請求項9記載の融合ポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドがペプチド連結分子を含まず、インスリンおよびインスリンレセプターポリペプチドの直接融合体である、請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項14】
前記インスリンレセプターポリペプチドが、図1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gまたは1hからなる群から選択されたアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる、請求項1ないし13のいずれか一項記載の融合ポリペプチド。
【請求項15】
前記インスリンレセプターポリペプチドが図1gまたは1hのアミノ酸配列からなる、請求項14記載の融合ポリペプチド。
【請求項16】
前記融合ポリペプチドが、図3aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項17】
前記融合ポリペプチドが、図3bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項18】
前記融合ポリペプチドが、図3cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項19】
前記融合ポリペプチドが、図4aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項20】
前記融合ポリペプチドが、図4bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項21】
前記融合ポリペプチドが、図4cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項22】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図5aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項23】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図5bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項24】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図5cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項25】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項26】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項27】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項28】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項29】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項30】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項31】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図7aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項32】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図7bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項33】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図7cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項34】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図8aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項35】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図8bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項36】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図8cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項37】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図9aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項38】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図9bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項39】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図9cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項40】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項41】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項42】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項43】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項44】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項45】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項46】
前記ポリペプチドがアゴニストである、請求項2ないし45のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項47】
前記ポリペプチドがアンタゴニストである、請求項2ないし45のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項48】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項49】
請求項48に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項50】
請求項49に記載のベクターまたは核酸分子で形質転換またはトランスフェクトした細胞。
【請求項51】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載の二つのポリペプチドからなるホモダイマー。
【請求項52】
賦形剤または担体を含む、請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項53】
前記医薬組成物がさらなる治療剤と組み合わせられている、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載の少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む高血糖症を患っているヒト患者を治療する方法。
【請求項55】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載の少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む低血糖症を患っているヒト患者を治療する方法。
【請求項56】
前記ポリペプチドが静脈内に投与される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記ポリペプチドが皮下投与される、請求項55記載の方法。
【請求項58】
糖尿病が1型である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
糖尿病が2型である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記高血糖症がインスリン耐性の結果である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記高血糖症がメタボリックシンドロームの結果である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
糖尿病の治療における請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項63】
糖尿病が1型である、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
糖尿病が2型である、請求項62に記載の使用。
【請求項65】
インスリン耐性の治療における、請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項66】
メタボリックシンドロームの治療における、請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項1】
インスリン活性を有するポリペプチドをコードする核酸配列を含む核酸分子であって、前記ポリペプチドが直接的または間接的にインスリンレセプターポリペプチドに連結されたインスリンまたはそのレセプター結合部位を含む、核酸分子。
【請求項2】
直接的または間接的にインスリンレセプターポリペプチドに連結されたインスリンポリペプチドまたはその活性なレセプター結合部位のアミノ酸配列を含む融合ポリペプチド。
【請求項3】
前記インスリンポリペプチドが天然インスリンである請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項4】
前記インスリンポリペプチドがヒトインスリンである請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項5】
前記インスリンポリペプチドが、図2a、2b、2c、2d、2eまたは2fに示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項6】
前記インスリンポリペプチドが変性インスリンである請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項7】
インスリンがペプチドリンカーによってインスリンレセプターの結合ドメインに連結されている、請求項1ないし6のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項8】
前記ペプチドリンカーが柔軟なペプチドリンカーである、請求項7記載の融合ポリペプチド。
【請求項9】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの少なくとも1つのコピーを含む、請求項8記載の融合ポリペプチド。
【請求項10】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの2、3、4、5、6、7、8、9または10コピーを含む、請求項9記載の融合ポリペプチド。
【請求項11】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの4コピーからなる、請求項9記載の融合ポリペプチド。
【請求項12】
前記ペプチド連結分子が、ペプチドGly Gly Gly Gly Serの8コピーからなる、請求項9記載の融合ポリペプチド。
【請求項13】
前記ポリペプチドがペプチド連結分子を含まず、インスリンおよびインスリンレセプターポリペプチドの直接融合体である、請求項2記載の融合ポリペプチド。
【請求項14】
前記インスリンレセプターポリペプチドが、図1a、1b、1c、1d、1e、1f、1gまたは1hからなる群から選択されたアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなる、請求項1ないし13のいずれか一項記載の融合ポリペプチド。
【請求項15】
前記インスリンレセプターポリペプチドが図1gまたは1hのアミノ酸配列からなる、請求項14記載の融合ポリペプチド。
【請求項16】
前記融合ポリペプチドが、図3aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項17】
前記融合ポリペプチドが、図3bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項18】
前記融合ポリペプチドが、図3cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項19】
前記融合ポリペプチドが、図4aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項20】
前記融合ポリペプチドが、図4bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項21】
前記融合ポリペプチドが、図4cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項22】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図5aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項23】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図5bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項24】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図5cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項25】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項26】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項27】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項28】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項29】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項30】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図6fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項31】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図7aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項32】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図7bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項33】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図7cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項34】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図8aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項35】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図8bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項36】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図8cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項37】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図9aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項38】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図9bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項39】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図9cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項40】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10aに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項41】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10bに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項42】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10cに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項43】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10dに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項44】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10eに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項45】
前記融合ポリペプチドが、前記融合ポリペプチドは、図10fに図示されているアミノ酸配列を含むまたは当該アミノ酸配列からなり、ここで前記ポリペプチドはインスリンレセプター調節活性を有する、請求項2に記載の融合ポリペプチド。
【請求項46】
前記ポリペプチドがアゴニストである、請求項2ないし45のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項47】
前記ポリペプチドがアンタゴニストである、請求項2ないし45のいずれか一項に記載の融合ポリペプチド。
【請求項48】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドをコードする核酸分子。
【請求項49】
請求項48に記載の核酸分子を含むベクター。
【請求項50】
請求項49に記載のベクターまたは核酸分子で形質転換またはトランスフェクトした細胞。
【請求項51】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載の二つのポリペプチドからなるホモダイマー。
【請求項52】
賦形剤または担体を含む、請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドを含む医薬組成物。
【請求項53】
前記医薬組成物がさらなる治療剤と組み合わせられている、請求項52に記載の組成物。
【請求項54】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載の少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む高血糖症を患っているヒト患者を治療する方法。
【請求項55】
請求項2ないし47のいずれか一項に記載の少なくとも一つのポリペプチドの有効量を投与することを含む低血糖症を患っているヒト患者を治療する方法。
【請求項56】
前記ポリペプチドが静脈内に投与される、請求項55記載の方法。
【請求項57】
前記ポリペプチドが皮下投与される、請求項55記載の方法。
【請求項58】
糖尿病が1型である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
糖尿病が2型である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記高血糖症がインスリン耐性の結果である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記高血糖症がメタボリックシンドロームの結果である、請求項55ないし57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項62】
糖尿病の治療における請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項63】
糖尿病が1型である、請求項62に記載の使用。
【請求項64】
糖尿病が2型である、請求項62に記載の使用。
【請求項65】
インスリン耐性の治療における、請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【請求項66】
メタボリックシンドロームの治療における、請求項2ないし47のいずれか一項に記載のポリペプチドの使用。
【図1i】
【図1ii】
【図1iii】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6i】
【図6ii】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10i】
【図10ii】
【図11】
【図12】
【図13】
【図1ii】
【図1iii】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6i】
【図6ii】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10i】
【図10ii】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2011−526491(P2011−526491A)
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−515605(P2011−515605)
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001668
【国際公開番号】WO2010/001134
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(502452978)アステリオン・リミテッド (13)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月2日(2009.7.2)
【国際出願番号】PCT/GB2009/001668
【国際公開番号】WO2010/001134
【国際公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【出願人】(502452978)アステリオン・リミテッド (13)
【Fターム(参考)】
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