インターコネクタ付き太陽電池、太陽電池ストリングおよび太陽電池モジュール
【課題】工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができるインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびに太陽電池モジュールを提供する。
【解決手段】太陽電池の第1接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有しており、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と小断面積部の間に位置する非小断面積部とを有しており、小断面積部は第1非接続部に配置されているインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびにその太陽電池ストリングを含む太陽電池モジュールである。
【解決手段】太陽電池の第1接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有しており、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と小断面積部の間に位置する非小断面積部とを有しており、小断面積部は第1非接続部に配置されているインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびにその太陽電池ストリングを含む太陽電池モジュールである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターコネクタ付き太陽電池、太陽電池ストリングおよび太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光エネルギを直接電気エネルギに変換する太陽電池は、近年、特に地球環境問題の観点から、次世代のエネルギ源としての期待が急激に高まっている。太陽電池としては、化合物半導体または有機材料を用いたものなど様々な種類があるが、現在、主流となっているのは、シリコン結晶を用いたものである。
【0003】
図10に、従来の太陽電池の一例の模式的な断面図を示す。ここで、太陽電池においては、p型シリコン基板10の受光面にn+層11が形成されることによって、p型シリコン基板10とn+層11とによりpn接合が形成されており、p型シリコン基板10の受光面上には反射防止膜12および銀電極13がそれぞれ形成されている。また、p型シリコン基板10の受光面と反対側の裏面にはp+層15が形成されている。そして、p型シリコン基板10の裏面上にはアルミニウム電極14および銀電極16がそれぞれ形成されている。ここで、p型シリコン基板10の受光面上の銀電極13は、インターコネクタに接続するためのバスバー電極とバスバー電極から伸びるフィンガー電極とからなる。また、p型シリコン基板10の裏面上の銀電極16は、インターコネクタに接続するための裏面電極となる。
【0004】
図11(a)〜(i)に、従来の太陽電池の製造方法の一例を示す。まず、図11(a)に示すように、p型シリコン結晶の原料を坩堝で溶解した後に再結晶化して得られたシリコンインゴッド17をシリコンブロック18に切断する。次に、図11(b)に示すように、シリコンブロック18をワイヤソーで切断することにより、p型シリコン基板10が得られる。
【0005】
次いで、アルカリまたは酸によってp型シリコン基板10の表面をエッチングすることによって、図11(c)に示すp型シリコン基板10のスライス時のダメージ層19を除去する。このとき、エッチング条件を調整すると、p型シリコン基板10の表面に微小な凹凸(図示せず)を形成することができる。この凹凸により、p型シリコン基板10の表面に入射する太陽光の反射が低減されて、太陽電池の変換効率を高めることができる。
【0006】
続いて、図11(d)に示すように、p型シリコン基板10の一方の主面(以下、「第1主面」という)上にリンを含む化合物を含有したドーパント液20を塗布する。そして、ドーパント液20の塗布後のp型シリコン基板10を800℃〜950℃の温度で5〜30分間熱処理することによりp型シリコン基板10の第1主面にn型ドーパントであるリンが拡散して、図11(e)に示すように、p型シリコン基板10の第1主面にn+層11が形成される。なお、n+層11の形成方法としては、ドーパント液を塗布する方法以外にも、P2O5やPOCl3を用いた気相拡散による方法がある。
【0007】
次いで、リンの拡散時にp型シリコン基板10の第1主面に形成されるガラス層を酸処理により除去した後、図11(f)に示すように、p型シリコン基板10の第1主面上に反射防止膜12を形成する。反射防止膜12の形成方法としては、常圧CVD法を用いて酸化チタン膜を形成する方法やプラズマCVD法を用いて窒化シリコン膜を形成する方法などが知られている。また、ドーパント液を塗布する方法によりリンを拡散する場合には、リンに加えて反射防止膜12の材料も含ませたドーパント液を用いることによって、n+層11と反射防止膜12とを同時に形成することもできる。また、反射防止膜12の形成は、銀電極の形成後に行なう場合もある。
【0008】
そして、図11(g)に示すように、p型シリコン基板10の他方の主面(以下、「第2主面」という)上にアルミニウム電極14を形成するとともにp型シリコン基板10の第2主面にp+層15を形成する。アルミニウム電極14およびp+層15は、たとえば、アルミニウム粉末、ガラスフリット、樹脂および有機溶剤からなるアルミニウムペーストをスクリーン印刷などにより印刷した後に、p型シリコン基板10を熱処理することによって、アルミニウムが溶融してシリコンと合金化することにより形成されたアルミニウム−シリコン合金層下にp+層15が形成されるとともに、p型シリコン基板10の第2主面上にアルミニウム電極14が形成される。また、p型シリコン基板10とp+層15のドーパント濃度差が、p型シリコン基板10とp+層15の界面に電位差(電位障壁として働く)をもたらし、光生成されたキャリアがp型シリコン基板10の第2主面付近で再結合するのを防いでいる。これにより、太陽電池の短絡電流(Isc:short circuit current)および開放電圧(Voc:open circuit voltage)が共に向上する。
【0009】
その後、図11(h)に示すように、p型シリコン基板10の第2主面上に銀電極16を形成する。銀電極16は、たとえば、銀粉末、ガラスフリット、樹脂および有機溶剤からなる銀ペーストをスクリーン印刷などにより印刷した後に、p型シリコン基板10を熱処理することによって得ることができる。
【0010】
そして、図11(i)に示すように、p型シリコン基板10の第1主面上に銀電極13を形成する。銀電極13は、p型シリコン基板10との接触抵抗を含む直列抵抗を低く抑えるとともに銀電極13の形成面積を少なくして太陽光の入射量を減少させないようにするため、銀電極13の線幅、ピッチおよび厚さなどのパターン設計が重要である。たとえば、特許文献1に開示されているように、バスバー電極を厚く形成するためにバスバー電極にスリットを設ける場合もある。銀電極13の形成方法としては、たとえば、反射防止膜12の表面上に銀粉末、ガラスフリット、樹脂および有機溶剤からなる銀ペーストをスクリーン印刷などにより印刷した後に、p型シリコン基板10を熱処理することによって、銀ペーストが反射防止膜12を貫通してp型シリコン基板10の第1主面と良好な電気的接触が可能なファイアスルー方式が量産ラインで用いられている。
【0011】
以上のようにして、図10に示す構成の太陽電池を製造することができる。なお、銀電極13および銀電極16の形成後のp型シリコン基板10を溶融半田槽に浸漬することによって銀電極13および銀電極16の表面に半田をコーティングすることもできる。この半田のコーティングは、プロセスによっては省略される場合もある。また、上記のようにして製造された太陽電池にソーラシミュレータを用いて擬似太陽光を照射し、太陽電池の電流−電圧(IV)特性を測定してIV特性を検査することもできる。
【0012】
太陽電池は、その複数が直列に接続されて太陽電池ストリングとされた後、太陽電池ストリングを封止材によって封止して太陽電池モジュールとして販売および使用されることが多い。
【0013】
図12(a)〜(e)に、従来の太陽電池モジュールの製造方法の一例を示す。まず、図12(a)に示すように、上記のようにして製造された太陽電池の第1主面の銀電極上に導電性部材であるインターコネクタ31を接続して、インターコネクタ付き太陽電池30を作製する。
【0014】
次に、図12(b)に示すように、インターコネクタ付き太陽電池30を一列に配列し、インターコネクタ付き太陽電池30の第1主面の銀電極に接続されているインターコネクタ31の他端を他のインターコネクタ付き太陽電池30の第2主面の銀電極に接続して、太陽電池ストリング34を作製する。
【0015】
次いで、図12(c)に示すように、太陽電池ストリングを並べて、太陽電池ストリングの両端から突出しているインターコネクタ31と、他の太陽電池ストリングの両端から突出しているインターコネクタ31とを導電性部材である配線材33を用いて直列に接続することによって、太陽電池ストリング同士を互いに接続する。
【0016】
続いて、図12(d)に示すように、接続された太陽電池ストリング34を封止材としてのEVA(エチレンビニルアセテート)フィルム36で挟み込み、その後、ガラス板35とバックフィルム37との間に挟む。そして、EVAフィルム36間に入った気泡を減圧して抜き、加熱すると、EVAフィルム36が硬化して、太陽電池ストリングがEVA中に封止される。これにより、太陽電池モジュールが作製される。
【0017】
その後、図12(e)に示すように、太陽電池モジュールは、アルミニウム枠40内に配置され、ケーブル39を備えた端子ボックス38が太陽電池モジュールに取り付けられる。そして、上記のようにして製造された太陽電池モジュールにソーラシミュレータを用いて擬似太陽光を照射し、太陽電池の電流−電圧(IV)特性を測定してIV特性が検査される。
【特許文献1】特開2001−44459号公報
【特許文献2】特開2005−142282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
太陽光発電システムが急速に普及するにつれ、太陽電池の製造コストの低減は必要不可欠となっている。太陽電池の製造コストの低減において、半導体基板であるシリコン基板の大型化および薄型化は非常に有効な手段である。しかしながら、シリコン基板の大型化および薄型化に伴い、太陽電池ストリングを形成する際、太陽電池の受光面のバスバー電極と銅からなるインターコネクタとを半田などによって固定して接続する加熱工程後の冷却工程において、太陽電池のシリコン基板とインターコネクタとの熱膨張係数差(シリコンの熱膨張係数3.5×10-6/Kに対し、銅は17.6×10-6/Kであり5倍程度の差がある)により、太陽電池に反りが生じるという問題があった。
【0019】
これは、上記の加熱工程において、太陽電池とインターコネクタとを固定した後、加熱状態にあった太陽電池とインターコネクタとを室温まで冷却すると、インターコネクタが太陽電池よりも大きく収縮するため、太陽電池に凹状の反りが発生したものと考えられる。太陽電池に生じた反りは、自動化された太陽電池モジュールの作製ラインの搬送系において搬送エラーや太陽電池の割れを引き起こす原因となる。また、太陽電池ストリングを構成する太陽電池に反りが生じている場合には、太陽電池ストリングの形成工程や太陽電池モジュールの作製のための封止材による封止工程などにおいて太陽電池に局部的に強い力が加わり、太陽電池に割れが生じる原因となる。
【0020】
そこで、特許文献2には、隣接する太陽電池を接続するインターコネクタに断面積が局部的に縮小された小断面積部を設ける方法が開示されている。上述したように、上記の加熱工程により加熱状態にあったインターコネクタおよび太陽電池は室温まで冷却する際に太陽電池に凹状の反りが発生する。その際、太陽電池には元の形状に戻ろうとする力(復元力)が発生し、この復元力はインターコネクタに対して引張り応力を加える。特許文献2に開示された方法によれば、インターコネクタに引張り応力が加えられたときに他の部分と比べて比較的強度の弱い小断面積部が延伸して、太陽電池の反りを低減することができる。
【0021】
特許文献2に記載のインターコネクタを用いて図13に示す受光面および図14に示す裏面を有する太陽電池を接続した太陽電池ストリングの一例の模式的な断面図を図15に示し、図15に示した太陽電池ストリングの受光面の模式的な平面図を図16に示す。
【0022】
ここで、図13に示すように、太陽電池の受光面の銀電極13は、比較的幅の大きい1本の線状のバスバー電極13aとバスバー電極13aから伸びる比較的幅の小さい複数の線状のフィンガー電極13bと、から構成されている。また、バスバー電極13aはインターコネクタに固定して接続するための線状の第1接続部51と、インターコネクタに接続されない空隙である第1非接続部42とからなっており、第1接続部51と第1非接続部42とがバスバー電極13aの長手方向に沿って交互に配列されている。
【0023】
また、図14に示すように、アルミニウム電極14はp型シリコン基板10の第2主面のほぼ全面に形成されており、銀電極16はp型シリコン基板10の第2主面の一部のみに形成されている。ここで、銀電極16はインターコネクタに固定して接続するための第2接続部となり、銀電極16の間に位置するアルミニウム電極14はインターコネクタに接続されない第2非接続部14aとなる。そして、第2接続部としての銀電極16と第2非接続部14aとから裏面電極60が形成されている。なお、半導体基板としてのp型シリコン基板10の第2主面は、半導体基板としてのp型シリコン基板10の第1主面の反対側の主面となる。
【0024】
また、図15に示すように、特許文献2に記載のインターコネクタを用いた太陽電池ストリングにおいては、太陽電池の受光面の第1接続部51に半田などによって固定されて接続されたインターコネクタ31が、隣接する他の太陽電池の裏面の銀電極16に半田などによって固定されて接続されている。なお、図15においては、n+層とp+層の記載は省略されている。
【0025】
また、図15および図16に示すように、インターコネクタ31の小断面積部41は、太陽電池の第1非接続部42および第2非接続部14aにそれぞれ配置されており、インターコネクタ31の小断面積部41は半田などによって固定されていない。したがって、インターコネクタ31に引張り応力が加えられたときに他の部分と比べて比較的強度の弱い小断面積部41が自由に延伸することができるために、太陽電池の反りを低減することができる。
【0026】
しかしながら、上記の方法では、インターコネクタ31を太陽電池に接続する際に、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の受光面の第1非接続部42および裏面の第2非接続部14aとを厳密に位置合わせをして接続する必要があるため、工程数が増加し、生産性が低下するという問題があった。また、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の受光面の第1非接続部42および裏面の第2非接続部14aとがずれて接続されると、太陽電池の反り低減の効果が十分に得られないという問題があった。
【0027】
そこで、本発明の目的は、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができるインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびに太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池を含み、太陽電池の第1接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有しており、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第1非接続部に配置されているインターコネクタ付き太陽電池である。
【0029】
また、本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池を含み、太陽電池の第2接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、裏面電極は第2接続部の間に第2非接続部が配置された構成を有しており、第2接続部と第2非接続部とは裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第2非接続部に配置されているインターコネクタ付き太陽電池である。ここで、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有していてもよく、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていてもよい。また、第1接続部および第2接続部はそれぞれ半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることが好ましい。
【0030】
また、本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有しており、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第1非接続部に配置されている太陽電池ストリングである。
【0031】
また、本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、裏面電極は第2接続部の間に第2非接続部が配置された構成を有しており、第2接続部と第2非接続部とは裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第2非接続部に配置されている太陽電池ストリングである。ここで、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有していてもよく、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていてもよい。また、第1接続部および第2接続部はそれぞれ半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることが好ましい。
【0032】
さらに、本発明は、上記のいずれかに記載の太陽電池ストリングを含む、太陽電池モジュールである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができるインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびに太陽電池モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0035】
図1に、本発明に用いられる太陽電池の受光面の好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明の太陽電池の受光面となるp型シリコン基板10の第1主面においては、紙面の左右方向に伸びる比較的幅の広い線状のバスバー電極13aと、バスバー電極13aから紙面の上下方向に伸びる複数の幅の狭い線状のフィンガー電極13bと、が備えられている。また、バスバー電極13aは、インターコネクタに固定して接続するための銀電極からなる第1接続部51と、インターコネクタに接続されない空隙である第1非接続部42とから構成されている。ここで、バスバー電極13aは第1接続部51の間に第1非接続部42が配置された構成を有しており、第1接続部51と第1非接続部42とはバスバー電極13aの長手方向に直交する方向に交互に配列されている。
【0036】
図2に、図1に示す太陽電池の裏面の好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明の太陽電池の裏面となるp型シリコン基板10の第2主面の略全面にはアルミニウム電極14が形成されており、紙面の左右方向に伸びるように銀電極16が形成されている。ここで、銀電極16はインターコネクタに固定して接続するための第2接続部となり、2本の銀電極16の間に配置されているアルミニウム電極14はインターコネクタに接続されない第2非接続部14aとなる。また、第2接続部としての銀電極16と第2非接続部14aとから裏面電極60が構成されている。ここで、裏面電極60は、第2接続部としての銀電極16の間に第2非接続部14aが配置された構成を有しており、第2接続部としての銀電極16と第2非接続部14aとは裏面電極60の長手方向に直交する方向に交互に配列されている。
【0037】
図3に、図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の模式的な断面図を示す。図3は、太陽電池のバスバー電極の長手方向に直交する方向に沿った断面の一例を模式的に示している。ここで、図3に示すように、第1接続部51および第2接続部としての銀電極16はそれぞれ半導体基板としてのp型シリコン基板10に関して互いに対称となる位置に形成されている。
【0038】
図4に、本発明に用いられるインターコネクタの好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、インターコネクタ31は、インターコネクタ31の長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部41と、小断面積部41の間に位置する非小断面積部61とを有している。なお、本発明において、インターコネクタは、導電性を有する部材であって、その長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部とを有していれば、その形状および材質は特に限定されない。また、本発明において、インターコネクタの非小断面積部は、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が小断面積部と比べて大きくなっている。
【0039】
図5(a)に、本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明のインターコネクタ付き太陽電池は、図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の受光面の第1接続部51に図4に示すインターコネクタ31が固定されて接続された構成となっている。図5(a)に示す本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、たとえば図5(b)の模式的拡大平面図に示すように、インターコネクタ31の小断面積部41が受光面の第1非接続部42に配置されるようにインターコネクタ31が接続されている。
【0040】
図6(a)に、本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい他の一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明のインターコネクタ付き太陽電池は、図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の裏面の第2接続部としての銀電極16に図4に示すインターコネクタ31が固定されて接続された構成となっている。図6(a)に示す本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、たとえば図6(b)の模式的拡大平面図に示すように、インターコネクタ31の小断面積部41が裏面の第2非接続部14aに配置されるようにインターコネクタ31が接続されている。
【0041】
このように、本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、インターコネクタ31の他の部分と比べて比較的強度が弱い小断面積部41が第1非接続部42または第2非接続部14aに配置されており、小断面積部41は固定されずにフリーな状態となっていることから、その小断面積部41が自由に変形して応力を緩和することにより太陽電池の反りを低減することができる。
【0042】
また、本発明のインターコネクタ付き太陽電池において、インターコネクタ31と太陽電池との接続部である第1接続部51と第2接続部としての銀電極16が太陽電池の受光面および裏面でそれぞれ半導体基板としてのp型シリコン基板10に関して対称な位置に形成されている場合には、インターコネクタ31と太陽電池のp型シリコン基板との熱膨張係数差に起因して発生する応力が太陽電池の受光面と裏面とでほぼ等しくなり、太陽電池の受光面および裏面のそれぞれから等しい力が太陽電池に働くことになるため、太陽電池に生じる反りをさらに低減することができる。
【0043】
さらに、本発明のインターコネクタ付き太陽電池の製造に際しては、太陽電池の第1非接続部42および第2非接続部14aがそれぞれバスバー電極13aおよび裏面電極60の長手方向に連続的に形成されていることから、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の第1非接続部42または第2非接続部14aとの厳密な位置合わせをすることなく、インターコネクタ31を接続することができる。
【0044】
したがって、本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができる。
【0045】
また、本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、インターコネクタ31の小断面積部41の数を増加または減少させる必要が生じた場合でも本発明のインターコネクタ付き太陽電池の受光面および/または裏面の電極形状を変更せずに、インターコネクタ31の小断面積部41の数の変更に対応することができる。
【0046】
図7に、本発明の太陽電池ストリングの好ましい他の一例の模式的な断面図を示す。ここで、太陽電池ストリングは、図5(a)または図6(a)に示す本発明のインターコネクタ付き太陽電池が複数接続されることによって構成されている。すなわち、隣接する本発明のインターコネクタ付き太陽電池において、インターコネクタ付き太陽電池同士を接続するインターコネクタ31の一端は第1のインターコネクタ付き太陽電池80の裏面の第2接続部としての銀電極16に接続され、インターコネクタ31の他端は第2のインターコネクタ付き太陽電池81の受光面の第1接続部51に接続されている。
【0047】
図8に、図7に示す本発明の太陽電池ストリングの受光面の模式的な平面図を示す。また、図9に、図7に示す本発明の太陽電池ストリングの裏面の模式的な平面図を示す。ここで、図8および図9に示す本発明の太陽電池ストリングにおいては、インターコネクタ31は、インターコネクタ31の小断面積部41がそれぞれ、太陽電池の受光面の第1非接続部42および裏面の第2非接続部14aに配置されるように接続されている。
【0048】
このように、本発明の太陽電池ストリングにおいては、インターコネクタ31の他の部分と比べて比較的強度が弱い小断面積部41が第1非接続部42および第2非接続部14aに配置されており、小断面積部41は固定されずにフリーな状態となっていることから、その小断面積部41が自由に変形して応力を緩和することにより太陽電池の反りを低減することができる。
【0049】
また、本発明の太陽電池ストリングにおいて、インターコネクタ31と太陽電池との接続部である第1接続部51と第2接続部としての銀電極16が太陽電池の受光面および裏面でそれぞれ半導体基板としてのp型シリコン基板10に関して対称な位置に形成されている場合には、インターコネクタ31と太陽電池のp型シリコン基板との熱膨張係数差に起因して発生する応力が太陽電池の受光面と裏面とでほぼ等しくなり、太陽電池の受光面および裏面のそれぞれから等しい力が太陽電池に働くことになるため、太陽電池に生じる反りをさらに低減することができる。
【0050】
さらに、本発明の太陽電池ストリングの製造に際しては、太陽電池の第1非接続部42および第2非接続部14aがそれぞれバスバー電極13aおよび裏面電極60の長手方向に連続的に形成されていることから、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の第1非接続部42または第2非接続部14aとの厳密な位置合わせをすることなく、インターコネクタ31を接続することができる。
【0051】
したがって、本発明の太陽電池ストリングにおいては、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができる。
【0052】
また、本発明の太陽電池ストリングにおいては、インターコネクタ31の小断面積部41の数を増加または減少させる必要が生じた場合でも太陽電池の受光面および/または裏面の電極形状を変更せずに、インターコネクタ31の小断面積部41の数の変更に対応することができる。
【0053】
このような本発明の太陽電池ストリングを従来から公知の方法によりEVAなどの封止材に封止することによって、本発明の太陽電池モジュールを得ることができる。
【0054】
なお、上記の以外の説明は、上記の背景技術の欄における説明と同様であるが、その説明に限定されるものではない。たとえば、本発明においては、p型シリコン基板以外の半導体基板を用いてもよく、上記の背景技術の欄の説明のp型とn型の導電型を入れ替えてもよい。また、本発明においては、第1接続部および第2接続部は必ずしも銀電極である必要はなく、第1非接続部は空隙である必要はなく、第2非接続部はアルミニウム電極からなっている必要はない。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができるインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびに太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に用いられる太陽電池の受光面の好ましい一例の模式的な平面図である。
【図2】図1に示す太陽電池の裏面の好ましい一例の模式的な平面図である。
【図3】図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の模式的な断面図である。
【図4】本発明に用いられるインターコネクタの好ましい一例の模式的な平面図である。
【図5】(a)は本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい一例の模式的な平面図であり、(b)は(a)に示す第1非接続部近傍の模式的な拡大平面図である。
【図6】(a)は本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい他の一例の模式的な平面図であり、(b)は(a)に示す第2非接続部近傍の模式的な拡大平面図である。
【図7】本発明の太陽電池ストリングの好ましい他の一例の模式的な断面図である。
【図8】図7に示す本発明の太陽電池ストリングの受光面の模式的な平面図である。
【図9】図7に示す本発明の太陽電池ストリングの裏面の模式的な平面図である。
【図10】従来の太陽電池の一例の模式的な断面図である。
【図11】従来の太陽電池の製造方法の一例を示す図である。
【図12】従来の太陽電池モジュールの製造方法の一例を示す図である。
【図13】従来の太陽電池の受光面の模式的な平面図である。
【図14】従来の太陽電池の裏面の模式的な平面図である。
【図15】図13に示す受光面および図14に示す裏面を有する太陽電池を接続した太陽電池ストリングの一例の模式的な断面図である。
【図16】図15に示した太陽電池ストリングの受光面の模式的な拡大平面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 p型シリコン基板、11 n+層、12 反射防止膜、13,16 銀電極、1
3a バスバー電極、13b フィンガー電極、14 アルミニウム電極、14a 第2非接続部、15 p+層、17 シリコンインゴッド、18 シリコンブロック、20 ドーパント液、30 太陽電池、31 インターコネクタ、33 配線材、34 太陽電池ストリング、35 ガラス板、36 EVAフィルム、37 バックフィルム、38 端子ボックス、39 ケーブル、40 アルミニウム枠、41 小断面積部、42 第1非接続部、51 第1接続部、60 裏面電極、61 非小断面積部、80 第1の太陽電池、81 第2の太陽電池。
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターコネクタ付き太陽電池、太陽電池ストリングおよび太陽電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
太陽光エネルギを直接電気エネルギに変換する太陽電池は、近年、特に地球環境問題の観点から、次世代のエネルギ源としての期待が急激に高まっている。太陽電池としては、化合物半導体または有機材料を用いたものなど様々な種類があるが、現在、主流となっているのは、シリコン結晶を用いたものである。
【0003】
図10に、従来の太陽電池の一例の模式的な断面図を示す。ここで、太陽電池においては、p型シリコン基板10の受光面にn+層11が形成されることによって、p型シリコン基板10とn+層11とによりpn接合が形成されており、p型シリコン基板10の受光面上には反射防止膜12および銀電極13がそれぞれ形成されている。また、p型シリコン基板10の受光面と反対側の裏面にはp+層15が形成されている。そして、p型シリコン基板10の裏面上にはアルミニウム電極14および銀電極16がそれぞれ形成されている。ここで、p型シリコン基板10の受光面上の銀電極13は、インターコネクタに接続するためのバスバー電極とバスバー電極から伸びるフィンガー電極とからなる。また、p型シリコン基板10の裏面上の銀電極16は、インターコネクタに接続するための裏面電極となる。
【0004】
図11(a)〜(i)に、従来の太陽電池の製造方法の一例を示す。まず、図11(a)に示すように、p型シリコン結晶の原料を坩堝で溶解した後に再結晶化して得られたシリコンインゴッド17をシリコンブロック18に切断する。次に、図11(b)に示すように、シリコンブロック18をワイヤソーで切断することにより、p型シリコン基板10が得られる。
【0005】
次いで、アルカリまたは酸によってp型シリコン基板10の表面をエッチングすることによって、図11(c)に示すp型シリコン基板10のスライス時のダメージ層19を除去する。このとき、エッチング条件を調整すると、p型シリコン基板10の表面に微小な凹凸(図示せず)を形成することができる。この凹凸により、p型シリコン基板10の表面に入射する太陽光の反射が低減されて、太陽電池の変換効率を高めることができる。
【0006】
続いて、図11(d)に示すように、p型シリコン基板10の一方の主面(以下、「第1主面」という)上にリンを含む化合物を含有したドーパント液20を塗布する。そして、ドーパント液20の塗布後のp型シリコン基板10を800℃〜950℃の温度で5〜30分間熱処理することによりp型シリコン基板10の第1主面にn型ドーパントであるリンが拡散して、図11(e)に示すように、p型シリコン基板10の第1主面にn+層11が形成される。なお、n+層11の形成方法としては、ドーパント液を塗布する方法以外にも、P2O5やPOCl3を用いた気相拡散による方法がある。
【0007】
次いで、リンの拡散時にp型シリコン基板10の第1主面に形成されるガラス層を酸処理により除去した後、図11(f)に示すように、p型シリコン基板10の第1主面上に反射防止膜12を形成する。反射防止膜12の形成方法としては、常圧CVD法を用いて酸化チタン膜を形成する方法やプラズマCVD法を用いて窒化シリコン膜を形成する方法などが知られている。また、ドーパント液を塗布する方法によりリンを拡散する場合には、リンに加えて反射防止膜12の材料も含ませたドーパント液を用いることによって、n+層11と反射防止膜12とを同時に形成することもできる。また、反射防止膜12の形成は、銀電極の形成後に行なう場合もある。
【0008】
そして、図11(g)に示すように、p型シリコン基板10の他方の主面(以下、「第2主面」という)上にアルミニウム電極14を形成するとともにp型シリコン基板10の第2主面にp+層15を形成する。アルミニウム電極14およびp+層15は、たとえば、アルミニウム粉末、ガラスフリット、樹脂および有機溶剤からなるアルミニウムペーストをスクリーン印刷などにより印刷した後に、p型シリコン基板10を熱処理することによって、アルミニウムが溶融してシリコンと合金化することにより形成されたアルミニウム−シリコン合金層下にp+層15が形成されるとともに、p型シリコン基板10の第2主面上にアルミニウム電極14が形成される。また、p型シリコン基板10とp+層15のドーパント濃度差が、p型シリコン基板10とp+層15の界面に電位差(電位障壁として働く)をもたらし、光生成されたキャリアがp型シリコン基板10の第2主面付近で再結合するのを防いでいる。これにより、太陽電池の短絡電流(Isc:short circuit current)および開放電圧(Voc:open circuit voltage)が共に向上する。
【0009】
その後、図11(h)に示すように、p型シリコン基板10の第2主面上に銀電極16を形成する。銀電極16は、たとえば、銀粉末、ガラスフリット、樹脂および有機溶剤からなる銀ペーストをスクリーン印刷などにより印刷した後に、p型シリコン基板10を熱処理することによって得ることができる。
【0010】
そして、図11(i)に示すように、p型シリコン基板10の第1主面上に銀電極13を形成する。銀電極13は、p型シリコン基板10との接触抵抗を含む直列抵抗を低く抑えるとともに銀電極13の形成面積を少なくして太陽光の入射量を減少させないようにするため、銀電極13の線幅、ピッチおよび厚さなどのパターン設計が重要である。たとえば、特許文献1に開示されているように、バスバー電極を厚く形成するためにバスバー電極にスリットを設ける場合もある。銀電極13の形成方法としては、たとえば、反射防止膜12の表面上に銀粉末、ガラスフリット、樹脂および有機溶剤からなる銀ペーストをスクリーン印刷などにより印刷した後に、p型シリコン基板10を熱処理することによって、銀ペーストが反射防止膜12を貫通してp型シリコン基板10の第1主面と良好な電気的接触が可能なファイアスルー方式が量産ラインで用いられている。
【0011】
以上のようにして、図10に示す構成の太陽電池を製造することができる。なお、銀電極13および銀電極16の形成後のp型シリコン基板10を溶融半田槽に浸漬することによって銀電極13および銀電極16の表面に半田をコーティングすることもできる。この半田のコーティングは、プロセスによっては省略される場合もある。また、上記のようにして製造された太陽電池にソーラシミュレータを用いて擬似太陽光を照射し、太陽電池の電流−電圧(IV)特性を測定してIV特性を検査することもできる。
【0012】
太陽電池は、その複数が直列に接続されて太陽電池ストリングとされた後、太陽電池ストリングを封止材によって封止して太陽電池モジュールとして販売および使用されることが多い。
【0013】
図12(a)〜(e)に、従来の太陽電池モジュールの製造方法の一例を示す。まず、図12(a)に示すように、上記のようにして製造された太陽電池の第1主面の銀電極上に導電性部材であるインターコネクタ31を接続して、インターコネクタ付き太陽電池30を作製する。
【0014】
次に、図12(b)に示すように、インターコネクタ付き太陽電池30を一列に配列し、インターコネクタ付き太陽電池30の第1主面の銀電極に接続されているインターコネクタ31の他端を他のインターコネクタ付き太陽電池30の第2主面の銀電極に接続して、太陽電池ストリング34を作製する。
【0015】
次いで、図12(c)に示すように、太陽電池ストリングを並べて、太陽電池ストリングの両端から突出しているインターコネクタ31と、他の太陽電池ストリングの両端から突出しているインターコネクタ31とを導電性部材である配線材33を用いて直列に接続することによって、太陽電池ストリング同士を互いに接続する。
【0016】
続いて、図12(d)に示すように、接続された太陽電池ストリング34を封止材としてのEVA(エチレンビニルアセテート)フィルム36で挟み込み、その後、ガラス板35とバックフィルム37との間に挟む。そして、EVAフィルム36間に入った気泡を減圧して抜き、加熱すると、EVAフィルム36が硬化して、太陽電池ストリングがEVA中に封止される。これにより、太陽電池モジュールが作製される。
【0017】
その後、図12(e)に示すように、太陽電池モジュールは、アルミニウム枠40内に配置され、ケーブル39を備えた端子ボックス38が太陽電池モジュールに取り付けられる。そして、上記のようにして製造された太陽電池モジュールにソーラシミュレータを用いて擬似太陽光を照射し、太陽電池の電流−電圧(IV)特性を測定してIV特性が検査される。
【特許文献1】特開2001−44459号公報
【特許文献2】特開2005−142282号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0018】
太陽光発電システムが急速に普及するにつれ、太陽電池の製造コストの低減は必要不可欠となっている。太陽電池の製造コストの低減において、半導体基板であるシリコン基板の大型化および薄型化は非常に有効な手段である。しかしながら、シリコン基板の大型化および薄型化に伴い、太陽電池ストリングを形成する際、太陽電池の受光面のバスバー電極と銅からなるインターコネクタとを半田などによって固定して接続する加熱工程後の冷却工程において、太陽電池のシリコン基板とインターコネクタとの熱膨張係数差(シリコンの熱膨張係数3.5×10-6/Kに対し、銅は17.6×10-6/Kであり5倍程度の差がある)により、太陽電池に反りが生じるという問題があった。
【0019】
これは、上記の加熱工程において、太陽電池とインターコネクタとを固定した後、加熱状態にあった太陽電池とインターコネクタとを室温まで冷却すると、インターコネクタが太陽電池よりも大きく収縮するため、太陽電池に凹状の反りが発生したものと考えられる。太陽電池に生じた反りは、自動化された太陽電池モジュールの作製ラインの搬送系において搬送エラーや太陽電池の割れを引き起こす原因となる。また、太陽電池ストリングを構成する太陽電池に反りが生じている場合には、太陽電池ストリングの形成工程や太陽電池モジュールの作製のための封止材による封止工程などにおいて太陽電池に局部的に強い力が加わり、太陽電池に割れが生じる原因となる。
【0020】
そこで、特許文献2には、隣接する太陽電池を接続するインターコネクタに断面積が局部的に縮小された小断面積部を設ける方法が開示されている。上述したように、上記の加熱工程により加熱状態にあったインターコネクタおよび太陽電池は室温まで冷却する際に太陽電池に凹状の反りが発生する。その際、太陽電池には元の形状に戻ろうとする力(復元力)が発生し、この復元力はインターコネクタに対して引張り応力を加える。特許文献2に開示された方法によれば、インターコネクタに引張り応力が加えられたときに他の部分と比べて比較的強度の弱い小断面積部が延伸して、太陽電池の反りを低減することができる。
【0021】
特許文献2に記載のインターコネクタを用いて図13に示す受光面および図14に示す裏面を有する太陽電池を接続した太陽電池ストリングの一例の模式的な断面図を図15に示し、図15に示した太陽電池ストリングの受光面の模式的な平面図を図16に示す。
【0022】
ここで、図13に示すように、太陽電池の受光面の銀電極13は、比較的幅の大きい1本の線状のバスバー電極13aとバスバー電極13aから伸びる比較的幅の小さい複数の線状のフィンガー電極13bと、から構成されている。また、バスバー電極13aはインターコネクタに固定して接続するための線状の第1接続部51と、インターコネクタに接続されない空隙である第1非接続部42とからなっており、第1接続部51と第1非接続部42とがバスバー電極13aの長手方向に沿って交互に配列されている。
【0023】
また、図14に示すように、アルミニウム電極14はp型シリコン基板10の第2主面のほぼ全面に形成されており、銀電極16はp型シリコン基板10の第2主面の一部のみに形成されている。ここで、銀電極16はインターコネクタに固定して接続するための第2接続部となり、銀電極16の間に位置するアルミニウム電極14はインターコネクタに接続されない第2非接続部14aとなる。そして、第2接続部としての銀電極16と第2非接続部14aとから裏面電極60が形成されている。なお、半導体基板としてのp型シリコン基板10の第2主面は、半導体基板としてのp型シリコン基板10の第1主面の反対側の主面となる。
【0024】
また、図15に示すように、特許文献2に記載のインターコネクタを用いた太陽電池ストリングにおいては、太陽電池の受光面の第1接続部51に半田などによって固定されて接続されたインターコネクタ31が、隣接する他の太陽電池の裏面の銀電極16に半田などによって固定されて接続されている。なお、図15においては、n+層とp+層の記載は省略されている。
【0025】
また、図15および図16に示すように、インターコネクタ31の小断面積部41は、太陽電池の第1非接続部42および第2非接続部14aにそれぞれ配置されており、インターコネクタ31の小断面積部41は半田などによって固定されていない。したがって、インターコネクタ31に引張り応力が加えられたときに他の部分と比べて比較的強度の弱い小断面積部41が自由に延伸することができるために、太陽電池の反りを低減することができる。
【0026】
しかしながら、上記の方法では、インターコネクタ31を太陽電池に接続する際に、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の受光面の第1非接続部42および裏面の第2非接続部14aとを厳密に位置合わせをして接続する必要があるため、工程数が増加し、生産性が低下するという問題があった。また、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の受光面の第1非接続部42および裏面の第2非接続部14aとがずれて接続されると、太陽電池の反り低減の効果が十分に得られないという問題があった。
【0027】
そこで、本発明の目的は、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができるインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびに太陽電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0028】
本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池を含み、太陽電池の第1接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有しており、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第1非接続部に配置されているインターコネクタ付き太陽電池である。
【0029】
また、本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池を含み、太陽電池の第2接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、裏面電極は第2接続部の間に第2非接続部が配置された構成を有しており、第2接続部と第2非接続部とは裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第2非接続部に配置されているインターコネクタ付き太陽電池である。ここで、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有していてもよく、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていてもよい。また、第1接続部および第2接続部はそれぞれ半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることが好ましい。
【0030】
また、本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有しており、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第1非接続部に配置されている太陽電池ストリングである。
【0031】
また、本発明は、インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、半導体基板の第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、裏面電極は第2接続部の間に第2非接続部が配置された構成を有しており、第2接続部と第2非接続部とは裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、インターコネクタは、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、小断面積部は第2非接続部に配置されている太陽電池ストリングである。ここで、バスバー電極は第1接続部の間に第1非接続部が配置された構成を有していてもよく、第1接続部と第1非接続部とはバスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていてもよい。また、第1接続部および第2接続部はそれぞれ半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることが好ましい。
【0032】
さらに、本発明は、上記のいずれかに記載の太陽電池ストリングを含む、太陽電池モジュールである。
【発明の効果】
【0033】
本発明によれば、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができるインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびに太陽電池モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施の形態について説明する。なお、本発明の図面において、同一の参照符号は、同一部分または相当部分を表わすものとする。
【0035】
図1に、本発明に用いられる太陽電池の受光面の好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明の太陽電池の受光面となるp型シリコン基板10の第1主面においては、紙面の左右方向に伸びる比較的幅の広い線状のバスバー電極13aと、バスバー電極13aから紙面の上下方向に伸びる複数の幅の狭い線状のフィンガー電極13bと、が備えられている。また、バスバー電極13aは、インターコネクタに固定して接続するための銀電極からなる第1接続部51と、インターコネクタに接続されない空隙である第1非接続部42とから構成されている。ここで、バスバー電極13aは第1接続部51の間に第1非接続部42が配置された構成を有しており、第1接続部51と第1非接続部42とはバスバー電極13aの長手方向に直交する方向に交互に配列されている。
【0036】
図2に、図1に示す太陽電池の裏面の好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明の太陽電池の裏面となるp型シリコン基板10の第2主面の略全面にはアルミニウム電極14が形成されており、紙面の左右方向に伸びるように銀電極16が形成されている。ここで、銀電極16はインターコネクタに固定して接続するための第2接続部となり、2本の銀電極16の間に配置されているアルミニウム電極14はインターコネクタに接続されない第2非接続部14aとなる。また、第2接続部としての銀電極16と第2非接続部14aとから裏面電極60が構成されている。ここで、裏面電極60は、第2接続部としての銀電極16の間に第2非接続部14aが配置された構成を有しており、第2接続部としての銀電極16と第2非接続部14aとは裏面電極60の長手方向に直交する方向に交互に配列されている。
【0037】
図3に、図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の模式的な断面図を示す。図3は、太陽電池のバスバー電極の長手方向に直交する方向に沿った断面の一例を模式的に示している。ここで、図3に示すように、第1接続部51および第2接続部としての銀電極16はそれぞれ半導体基板としてのp型シリコン基板10に関して互いに対称となる位置に形成されている。
【0038】
図4に、本発明に用いられるインターコネクタの好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、インターコネクタ31は、インターコネクタ31の長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部41と、小断面積部41の間に位置する非小断面積部61とを有している。なお、本発明において、インターコネクタは、導電性を有する部材であって、その長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、小断面積部の間に位置する非小断面積部とを有していれば、その形状および材質は特に限定されない。また、本発明において、インターコネクタの非小断面積部は、インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が小断面積部と比べて大きくなっている。
【0039】
図5(a)に、本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明のインターコネクタ付き太陽電池は、図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の受光面の第1接続部51に図4に示すインターコネクタ31が固定されて接続された構成となっている。図5(a)に示す本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、たとえば図5(b)の模式的拡大平面図に示すように、インターコネクタ31の小断面積部41が受光面の第1非接続部42に配置されるようにインターコネクタ31が接続されている。
【0040】
図6(a)に、本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい他の一例の模式的な平面図を示す。ここで、本発明のインターコネクタ付き太陽電池は、図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の裏面の第2接続部としての銀電極16に図4に示すインターコネクタ31が固定されて接続された構成となっている。図6(a)に示す本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、たとえば図6(b)の模式的拡大平面図に示すように、インターコネクタ31の小断面積部41が裏面の第2非接続部14aに配置されるようにインターコネクタ31が接続されている。
【0041】
このように、本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、インターコネクタ31の他の部分と比べて比較的強度が弱い小断面積部41が第1非接続部42または第2非接続部14aに配置されており、小断面積部41は固定されずにフリーな状態となっていることから、その小断面積部41が自由に変形して応力を緩和することにより太陽電池の反りを低減することができる。
【0042】
また、本発明のインターコネクタ付き太陽電池において、インターコネクタ31と太陽電池との接続部である第1接続部51と第2接続部としての銀電極16が太陽電池の受光面および裏面でそれぞれ半導体基板としてのp型シリコン基板10に関して対称な位置に形成されている場合には、インターコネクタ31と太陽電池のp型シリコン基板との熱膨張係数差に起因して発生する応力が太陽電池の受光面と裏面とでほぼ等しくなり、太陽電池の受光面および裏面のそれぞれから等しい力が太陽電池に働くことになるため、太陽電池に生じる反りをさらに低減することができる。
【0043】
さらに、本発明のインターコネクタ付き太陽電池の製造に際しては、太陽電池の第1非接続部42および第2非接続部14aがそれぞれバスバー電極13aおよび裏面電極60の長手方向に連続的に形成されていることから、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の第1非接続部42または第2非接続部14aとの厳密な位置合わせをすることなく、インターコネクタ31を接続することができる。
【0044】
したがって、本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができる。
【0045】
また、本発明のインターコネクタ付き太陽電池においては、インターコネクタ31の小断面積部41の数を増加または減少させる必要が生じた場合でも本発明のインターコネクタ付き太陽電池の受光面および/または裏面の電極形状を変更せずに、インターコネクタ31の小断面積部41の数の変更に対応することができる。
【0046】
図7に、本発明の太陽電池ストリングの好ましい他の一例の模式的な断面図を示す。ここで、太陽電池ストリングは、図5(a)または図6(a)に示す本発明のインターコネクタ付き太陽電池が複数接続されることによって構成されている。すなわち、隣接する本発明のインターコネクタ付き太陽電池において、インターコネクタ付き太陽電池同士を接続するインターコネクタ31の一端は第1のインターコネクタ付き太陽電池80の裏面の第2接続部としての銀電極16に接続され、インターコネクタ31の他端は第2のインターコネクタ付き太陽電池81の受光面の第1接続部51に接続されている。
【0047】
図8に、図7に示す本発明の太陽電池ストリングの受光面の模式的な平面図を示す。また、図9に、図7に示す本発明の太陽電池ストリングの裏面の模式的な平面図を示す。ここで、図8および図9に示す本発明の太陽電池ストリングにおいては、インターコネクタ31は、インターコネクタ31の小断面積部41がそれぞれ、太陽電池の受光面の第1非接続部42および裏面の第2非接続部14aに配置されるように接続されている。
【0048】
このように、本発明の太陽電池ストリングにおいては、インターコネクタ31の他の部分と比べて比較的強度が弱い小断面積部41が第1非接続部42および第2非接続部14aに配置されており、小断面積部41は固定されずにフリーな状態となっていることから、その小断面積部41が自由に変形して応力を緩和することにより太陽電池の反りを低減することができる。
【0049】
また、本発明の太陽電池ストリングにおいて、インターコネクタ31と太陽電池との接続部である第1接続部51と第2接続部としての銀電極16が太陽電池の受光面および裏面でそれぞれ半導体基板としてのp型シリコン基板10に関して対称な位置に形成されている場合には、インターコネクタ31と太陽電池のp型シリコン基板との熱膨張係数差に起因して発生する応力が太陽電池の受光面と裏面とでほぼ等しくなり、太陽電池の受光面および裏面のそれぞれから等しい力が太陽電池に働くことになるため、太陽電池に生じる反りをさらに低減することができる。
【0050】
さらに、本発明の太陽電池ストリングの製造に際しては、太陽電池の第1非接続部42および第2非接続部14aがそれぞれバスバー電極13aおよび裏面電極60の長手方向に連続的に形成されていることから、インターコネクタ31の小断面積部41と太陽電池の第1非接続部42または第2非接続部14aとの厳密な位置合わせをすることなく、インターコネクタ31を接続することができる。
【0051】
したがって、本発明の太陽電池ストリングにおいては、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができる。
【0052】
また、本発明の太陽電池ストリングにおいては、インターコネクタ31の小断面積部41の数を増加または減少させる必要が生じた場合でも太陽電池の受光面および/または裏面の電極形状を変更せずに、インターコネクタ31の小断面積部41の数の変更に対応することができる。
【0053】
このような本発明の太陽電池ストリングを従来から公知の方法によりEVAなどの封止材に封止することによって、本発明の太陽電池モジュールを得ることができる。
【0054】
なお、上記の以外の説明は、上記の背景技術の欄における説明と同様であるが、その説明に限定されるものではない。たとえば、本発明においては、p型シリコン基板以外の半導体基板を用いてもよく、上記の背景技術の欄の説明のp型とn型の導電型を入れ替えてもよい。また、本発明においては、第1接続部および第2接続部は必ずしも銀電極である必要はなく、第1非接続部は空隙である必要はなく、第2非接続部はアルミニウム電極からなっている必要はない。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明によれば、工程数を増加させることなく太陽電池の反りを低減することができるインターコネクタ付き太陽電池および太陽電池ストリング、ならびに太陽電池モジュールを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明に用いられる太陽電池の受光面の好ましい一例の模式的な平面図である。
【図2】図1に示す太陽電池の裏面の好ましい一例の模式的な平面図である。
【図3】図1に示す受光面および図2に示す裏面を有する太陽電池の模式的な断面図である。
【図4】本発明に用いられるインターコネクタの好ましい一例の模式的な平面図である。
【図5】(a)は本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい一例の模式的な平面図であり、(b)は(a)に示す第1非接続部近傍の模式的な拡大平面図である。
【図6】(a)は本発明のインターコネクタ付き太陽電池の好ましい他の一例の模式的な平面図であり、(b)は(a)に示す第2非接続部近傍の模式的な拡大平面図である。
【図7】本発明の太陽電池ストリングの好ましい他の一例の模式的な断面図である。
【図8】図7に示す本発明の太陽電池ストリングの受光面の模式的な平面図である。
【図9】図7に示す本発明の太陽電池ストリングの裏面の模式的な平面図である。
【図10】従来の太陽電池の一例の模式的な断面図である。
【図11】従来の太陽電池の製造方法の一例を示す図である。
【図12】従来の太陽電池モジュールの製造方法の一例を示す図である。
【図13】従来の太陽電池の受光面の模式的な平面図である。
【図14】従来の太陽電池の裏面の模式的な平面図である。
【図15】図13に示す受光面および図14に示す裏面を有する太陽電池を接続した太陽電池ストリングの一例の模式的な断面図である。
【図16】図15に示した太陽電池ストリングの受光面の模式的な拡大平面図である。
【符号の説明】
【0058】
10 p型シリコン基板、11 n+層、12 反射防止膜、13,16 銀電極、1
3a バスバー電極、13b フィンガー電極、14 アルミニウム電極、14a 第2非接続部、15 p+層、17 シリコンインゴッド、18 シリコンブロック、20 ドーパント液、30 太陽電池、31 インターコネクタ、33 配線材、34 太陽電池ストリング、35 ガラス板、36 EVAフィルム、37 バックフィルム、38 端子ボックス、39 ケーブル、40 アルミニウム枠、41 小断面積部、42 第1非接続部、51 第1接続部、60 裏面電極、61 非小断面積部、80 第1の太陽電池、81 第2の太陽電池。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池を含み、前記太陽電池の前記第1接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第1非接続部に配置されていることを特徴とする、インターコネクタ付き太陽電池。
【請求項2】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、前記半導体基板の前記第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池を含み、前記太陽電池の前記第2接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、
前記裏面電極は前記第2接続部の間に前記第2非接続部が配置された構成を有しており、
前記第2接続部と前記第2非接続部とは前記裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第2非接続部に配置されていることを特徴とする、インターコネクタ付き太陽電池。
【請求項3】
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていることを特徴とする、請求項2に記載のインターコネクタ付き太陽電池。
【請求項4】
前記第1接続部および前記第2接続部はそれぞれ前記半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のインターコネクタ付き太陽電池。
【請求項5】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第1非接続部に配置されていることを特徴とする、太陽電池ストリング。
【請求項6】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、前記半導体基板の前記第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、
前記裏面電極は前記第2接続部の間に前記第2非接続部が配置された構成を有しており、
前記第2接続部と前記第2非接続部とは前記裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第2非接続部に配置されていることを特徴とする、太陽電池ストリング。
【請求項7】
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていることを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池ストリング。
【請求項8】
前記第1接続部および前記第2接続部はそれぞれ前記半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の太陽電池ストリング。
【請求項9】
請求項5から8のいずれかに記載の太陽電池ストリングを含む、太陽電池モジュール。
【請求項1】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池を含み、前記太陽電池の前記第1接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第1非接続部に配置されていることを特徴とする、インターコネクタ付き太陽電池。
【請求項2】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、前記半導体基板の前記第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池を含み、前記太陽電池の前記第2接続部にインターコネクタが接続されたインターコネクタ付き太陽電池であって、
前記裏面電極は前記第2接続部の間に前記第2非接続部が配置された構成を有しており、
前記第2接続部と前記第2非接続部とは前記裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第2非接続部に配置されていることを特徴とする、インターコネクタ付き太陽電池。
【請求項3】
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていることを特徴とする、請求項2に記載のインターコネクタ付き太陽電池。
【請求項4】
前記第1接続部および前記第2接続部はそれぞれ前記半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることを特徴とする、請求項2または3に記載のインターコネクタ付き太陽電池。
【請求項5】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第1非接続部に配置されていることを特徴とする、太陽電池ストリング。
【請求項6】
インターコネクタに接続するための第1接続部とインターコネクタに接続されない第1非接続部とからなるバスバー電極と、前記バスバー電極から伸びるフィンガー電極と、を半導体基板の第1主面上に備え、前記半導体基板の前記第1主面とは反対側の第2主面上にインターコネクタに接続するための第2接続部とインターコネクタに接続されない第2非接続部とからなる裏面電極を備えた太陽電池がインターコネクタにより複数接続されてなる太陽電池ストリングであって、
前記裏面電極は前記第2接続部の間に前記第2非接続部が配置された構成を有しており、
前記第2接続部と前記第2非接続部とは前記裏面電極の長手方向に直交する方向に交互に配列され、
前記インターコネクタは、前記インターコネクタの長手方向に垂直な断面の断面積が局所的に小さくなっている複数の小断面積部と、前記小断面積部の間に位置する非小断面積部と、を有しており、
前記小断面積部は前記第2非接続部に配置されていることを特徴とする、太陽電池ストリング。
【請求項7】
前記バスバー電極は前記第1接続部の間に前記第1非接続部が配置された構成を有しており、
前記第1接続部と前記第1非接続部とは前記バスバー電極の長手方向に直交する方向に交互に配列されていることを特徴とする、請求項6に記載の太陽電池ストリング。
【請求項8】
前記第1接続部および前記第2接続部はそれぞれ前記半導体基板に関して互いに対称となる位置に形成されていることを特徴とする、請求項6または7に記載の太陽電池ストリング。
【請求項9】
請求項5から8のいずれかに記載の太陽電池ストリングを含む、太陽電池モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−250623(P2007−250623A)
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−68893(P2006−68893)
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年3月14日(2006.3.14)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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