説明

インターホンシステム

【課題】 子器における電池切れの発生が抑えられるインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 それぞれ無線通信のための無線通信部11,21と通話のための通話部12,22とを備えることにより互いに通話が可能な子器1と親機2とを備える。子器1は、電源となる電池Eと、この電池Eの出力電圧である電池電圧を検出する電圧検出部16と、電圧検出部16によって検出された電池電圧が所定の報知電圧を下回ったときに所定の無線信号である報知信号を親機2に送信するように無線通信部11を制御する制御部13とを備える。親機2は、報知信号が無線通信部21に受信されたときに使用者に対して子器1における電池電圧の低下を報知する報知部26を備える。この報知により使用者に対して子器1の電池Eの充電や交換が促されるから、子器1における電池切れの発生が抑えられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インターホンシステムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、相互に通話可能な子器と親機とを備えるインターホンシステムにおいて、子器と親機との通信を無線信号によって行うとともに、子器を電池駆動としたものが提供されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記のインターホンシステムにおいては、施工時、子器について信号線や電源線の配線が不要であることにより、施工性が改善されるとともに子器の配置の自由度が向上する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−252711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記のインターホンシステムの子器では、電源たる電池の充電や交換が適切に行われないと、電池の出力電圧の低下により通話すら不可能になるという電池切れが発生するおそれがある。
【0006】
本発明は、上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、子器における電池切れの発生が抑えられるインターホンシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のインターホンシステムは、互いに無線信号を送受信する子器と親機とを備えるインターホンシステムであって、前記子器と前記親機とは、それぞれ、無線信号を送受信する無線通信部と、音声が変換された無線信号を前記無線通信部から送信させるとともに前記無線通信部に受信された無線信号を音声に変換することで通話を可能とする通話部とを備え、前記子器は、前記無線通信部及び前記通話部の電源となる電池と、この電池の出力電圧である電池電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部によって検出された電池電圧が所定の報知電圧を下回ったときに所定の無線信号である報知信号を前記親機に送信するように前記無線通信部を制御する制御部と備え、前記親機は、前記報知信号が前記無線通信部に受信されたときに使用者に対して前記子器における電池電圧の低下を報知する報知部を備えることを特徴とする。
【0008】
このインターホンシステムにおいて、前記子器は、前記制御部の制御に応じて撮像を行うとともに撮像によって得られた画像信号を前記無線通信部から前記親機に送信させる撮像部を備え、前記親機は、前記無線通信部に受信された画像信号を再生した画像を表示する画像表示部を備え、前記制御部は、前記電圧検出部によって検出された電池電圧が所定の撮像停止電圧よりも低い期間には前記無線通信部からの画像信号の送信を行わせないことが望ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電池電圧が報知電圧を下回ったときに報知部が行う報知により、使用者に対して子器の電池の充電や交換が促されるから、子器における電池切れの発生が抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態を示すブロック図である。
【図2】同上を示す概略構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】
本実施形態は、図2に示すように、無線通信により相互に通話が可能な子器1と親機2とを備える。
【0013】
すなわち、子器1と親機2とは、それぞれ、図1に示すように、電波を媒体とする無線信号を送受信する無線通信部11,21と、音声が変換された無線信号を無線通信部11,21から送信させるとともに無線通信部11,21に受信された無線信号(厳密には、無線通信部11,21において無線信号が変換された電気信号)を音声に変換することで通話を可能とする通話部12,22と、無線通信部11,21及び通話部12,22をそれぞれ制御する制御部13,23とを備える。
【0014】
具体的に説明すると、無線通信部11,21は、電気信号と無線信号(電波)との相互の変換を行うアンテナ(図示せず)と、無線信号として送信される前の電気信号や無線信号の受信で得られた電気信号に対して増幅や変調・復調といった適宜の信号処理を行う周知の信号処理回路(図示せず)とからなる。上記のような無線通信部11,21は周知技術で実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0015】
また、通話部12,22は、それぞれ、音声を電気信号である音声信号に変換する周知のマイクロホン(図示せず)と、入力された音声信号を音声に変換する周知のスピーカ(図示せず)と、マイクロホンが出力した音声信号(以下、「送話信号」と呼ぶ。)を増幅して無線通信部11,21に入力する送話状態と無線通信部11,21から入力され増幅された音声信号(以下、「受話信号」と呼ぶ。)をスピーカに入力する受話状態との一方に択一的に切り替わる周知の音声スイッチ(図示せず)とを備える。音声スイッチは、通話中には、送話信号の強度と受話信号の強度とを比較し、送話信号の強度の方が受話信号の強度よりも高い場合には送話状態に切り替わり、受話信号の強度の方が送話信号の強度よりも高い場合には受話状態に切り替わるという比較動作を随時行う。上記のような通話部12,22は周知技術により実現可能であるので、詳細な図示並びに説明は省略する。
【0016】
制御部13,23は、それぞれ例えば周知のマイコンからなる。
【0017】
さらに、子器1は制御部13によって制御される撮像部14を備え、親機2は制御部23によって制御される画像表示部24を備えており、子器1の撮像部14で撮像された画像を親機2の画像表示部24で表示可能となっている。撮像部14は撮像によって得られた画像を電気信号である画像信号に変換する、いわゆるデジタルカメラであり、このような撮像部14は周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。また、画像表示部24は、上記の画像信号を再生した画像を表示するものであり、このような画像表示部24は例えば液晶パネルを用いて周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。上記の画像信号は、子器1の無線通信部11において音声信号などの他の電気信号に多重化されるとともに無線信号に変換されて送信される。
【0018】
また、子器1は、押釦を有して該押釦が押操作されたときに所定の電気信号を制御部13に入力する呼出部15を備える。このような呼出部15は周知の押釦スイッチを用いて実現可能であるので、詳細な図示並びに説明を省略する。
【0019】
さらに、親機2は、使用者による操作入力を受け付ける操作部25を備える。このような操作部25は例えばキーボードやタッチパネルのような周知の入力装置で実現することができる。
【0020】
以下、子器1において電池Eの出力電圧が特に低下していない状態での、本実施形態の基本的な動作を説明する。
【0021】
まず、子器1において、呼出部15の押釦が押操作されると、制御部13は、所定の呼出信号を親機2に送信するように無線通信部11を制御するとともに、撮像部14を制御して撮像及び無線通信部11を介した画像信号の送信を開始させる。
【0022】
親機2では、上記の呼出信号が無線通信部21に受信されると、制御部23は、所定の呼出音を発生させるように通話部22のスピーカを制御し、受信される画像信号から得られる画像の表示を画像表示部24に開始させるとともに、応答待ち状態に移行する。
【0023】
この応答待ち状態中に、通話の開始を指示する所定の操作入力が操作部25に受け付けられると、制御部23は、所定の応答信号を子器1に送信するように無線通信部21を制御するとともに、通話部22の動作を開始させて通話状態に移行する。子器1では、上記の応答信号が無線通信部11に受信されると、制御部13が通話部12の動作を開始させ、ここにおいて子器1と親機2との間での通話が可能となる。また、上記の通話状態で、親機2において、通話の終了を指示する所定の操作入力が操作部に受け付けられると、制御部23は所定の終了信号を送信するように無線通信部21を制御するとともに、通話部22と画像表示部24とをそれぞれ停止させて通話状態を終了する。また、子器1では、上記の終了信号が無線通信部11に受信されると、通話部12と撮像部14とをそれぞれ停止させる。
【0024】
また、親機2において、応答待ち状態が開始されてから、通話の開始を指示する所定の操作入力が操作部25に受け付けられないまま所定の応答待ち時間が経過するか、又は、通話を拒否する所定の操作入力が操作部25に受け付けられると、制御部23は、所定の終了信号を送信するように無線通信部21を制御するとともに画像表示部24を停止させ、応答待ち状態を終了する。子器1では、上記の終了信号が無線通信部11に受信されると、制御部13は撮像部14を停止させる。
【0025】
次に、本発明の特徴部分について説明する。
【0026】
子器1は電池Eを電源としており、施工時(設置時)に信号線や電源線の配線が不要となっている。上記の電池Eは、アルカリ電池などの一次電池であっても、ニッケル水素電池などの二次電池であってもよく、いずれの場合にも周知技術で実現可能であるので詳細な図示並びに説明は省略する。子器1は、電源たる電池Eの出力電圧(端子間電圧)である電池電圧を検出する電圧検出部16を備える。電圧検出部16は、例えば、電池電圧を分圧して制御部13に入力する分圧抵抗からなる。子器1の制御部13は、電圧検出部16によって検出された電池電圧を所定の報知電圧と比較するとともに、電池電圧が報知電圧を下回ったときに所定の報知信号を親機2に送信するように無線通信部11を制御する。
【0027】
また、親機2は、電池電圧の低下を報知するための報知部26を備える。報知部26は、例えば、点灯により電池電圧の低下を報知する発光ダイオード(図示せず)と、この発光ダイオードを制御部23の制御に従って駆動する駆動回路(図示せず)とからなる。親機2において、上記の報知信号が無線通信部21に受信されると、制御部23は、電池電圧の低下を報知するように(例えば、上記の発光ダイオードの点灯を開始させるように)報知部26を制御する。
【0028】
すなわち、電池電圧が報知電圧を下回ったときに報知部26が行う報知により、使用者に対して子器1の電池Eの充電や交換が促されるから、子器1における電池切れの発生が抑えられる。ここで、上記の報知電圧の値は、高いほど(つまり電池電圧の最大値に近いほど)、電池Eが有効利用されにくくなる代わりに電池切れが発生しにくくなる。
【0029】
さらに、子器1において、制御部13は、電圧検出部16によって検出された電池電圧を、報知電圧よりも低い所定の撮像停止電圧とも比較している。そして、電池電圧が撮像停止電圧を下回っている期間には、無線通信部11に受信される無線信号や呼出部15の出力に関わらず、撮像部14を動作させない。従って、上記の期間中には無線通信部11からの画像信号の送信も行われない。これにより、さらなる電池電圧の低下が抑えられ、子器1が通話すらできなくなるまでの時間が延長される。さらに、電池電圧が撮像停止電圧を下回っている期間には、応答待ち状態や通話状態であっても親機2での画像の表示が行われないことで、子器1の電池Eの充電や交換がさらに強く促される。なお、撮像停止電圧は、上記のように報知電圧よりも低いことが望ましいが、報知電圧と等しくてもよい。また、上記期間にも撮像部14は動作し無線通信部11からの画像信号の送信のみが停止される場合であっても、電池電圧の低下が抑えられるという効果はあるが、撮像部14を動作させないほうが電池電圧の低下がより抑えられるから望ましい。
【0030】
なお、子器1において、電池電圧と報知電圧との比較、及び、報知信号の送信が、それぞれ呼出部15の押釦が押操作されたタイミングでのみ行なわれるようにしてもよい。
【0031】
また、上記のように別途の報知部26を設ける代わりに、上記の報知が画像表示部24への表示によって行われるようにしてもよい。この場合、画像表示部24が報知部を兼ねることになる。
【符号の説明】
【0032】
1 子器
2 親機
11,21 無線通信部
12,22 通話部
13 制御部
14 撮像部
16 電圧検出部
24 画像表示部
26 報知部
E 電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに無線信号を送受信する子器と親機とを備えるインターホンシステムであって、
前記子器と前記親機とは、それぞれ、
無線信号を送受信する無線通信部と、
音声が変換された無線信号を前記無線通信部から送信させるとともに前記無線通信部に受信された無線信号を音声に変換することで通話を可能とする通話部とを備え、
前記子器は、前記無線通信部及び前記通話部の電源となる電池と、この電池の出力電圧である電池電圧を検出する電圧検出部と、前記電圧検出部によって検出された電池電圧が所定の報知電圧を下回ったときに所定の無線信号である報知信号を前記親機に送信するように前記無線通信部を制御する制御部と備え、
前記親機は、前記報知信号が前記無線通信部に受信されたときに使用者に対して前記子器における電池電圧の低下を報知する報知部を備えることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記子器は、前記制御部の制御に応じて撮像を行うとともに撮像によって得られた画像信号を前記無線通信部から前記親機に送信させる撮像部を備え、
前記親機は、前記無線通信部に受信された画像信号を再生した画像を表示する画像表示部を備え、
前記制御部は、前記電圧検出部によって検出された電池電圧が所定の撮像停止電圧よりも低い期間には前記無線通信部からの画像信号の送信を行わせないことを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−10174(P2012−10174A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145363(P2010−145363)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】