説明

インターホンシステム

【課題】 外部通信機器を用いることなく、来訪者に有用な広告情報を玄関子機のモニタから安全かつ簡易に提供する。
【解決手段】 戸建または集合住宅用のインターホンシステム100において、玄関子機1と居室親機2を伝送線3で接続する。玄関子機1に、来訪者Vが居住者Rを呼び出すための呼出ボタン11と、居住者Rとの通話に使用するマイクおよびスピーカと、来訪者Vを撮像する子機カメラ15と、広告情報を表示する子機モニタ17とを設ける。居室親機2に、来訪者Vの呼び出しに応答するための操作部21と、来訪者Vとの通話に使用するスピーカおよびマイクと、広告情報を記憶する記憶部と、親機CPUとを設ける。親機CPUは、居住者Rの呼出中および来訪者Vと居住者Rとの通話中に、広告情報を記憶部から読み出し伝送線3上の通話路を通じて子機モニタ17に表示させる制御を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、玄関子機にモニタを設け、居住者の呼出中および来訪者と居住者の通話中に、子機モニタに広告情報を表示するインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インターホンシステムは、来訪者と居住者が玄関子機と居室親機との間の通話路を通じて通話を行う手段として広く使用されている。近年は、玄関子機にカメラを設置し、居住者が来訪者の顔を確認しつつ通話することで、セキュリティ性能を高めたインターホンシステムが提供されている。また、玄関子機および居室親機が共に通信機器であることに着目し、インターホンシステムを広告媒体として利用する技術も提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1には、携帯端末からの無線広告情報を玄関子機で中継して居室親機に配信し、親機モニタに表示する技術が記載されている。特許文献2には、宅配業者等がネットワークを介して自社の広告用音声を居室親機に予め登録し、その住戸を訪問したときに、業者が所持する携帯端末から玄関子機を介して居室親機を呼び出し、親機スピーカから広告用音声を発生させるインターホンシステムが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−208507号公報
【特許文献2】特開2007−235685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のインターホンシステムによると、居住者に広告情報を提供するために、携帯端末等の外部通信機器を使用する必要があり、システムが複雑化するうえ、居住者の個人情報が外部に漏れる危険性があった。また、表示部を装備しない玄関子機は広告情報を提供できないため、来訪者が居住者の呼出時間をもてあまして子機カメラの撮像範囲から外れてしまったり、通話中に視線の遣り場に困ったりするなどの問題点もあった。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、外部通信機器を用いることなく、来訪者に有用な広告情報を安全かつ簡易に提供できるインターホンシステムを実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のインターホンシステムは、玄関子機と居室親機を通話路で接続し、玄関子機に来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと、居住者との通話に使用するマイクおよびスピーカとを設け、居室親機に来訪者の呼び出しに応答するための操作部と、来訪者との通話に使用するスピーカおよびマイクとを設けた構成を基本とし、さらに、次のような手段を備えたことを特徴とする。
【0008】
(1)玄関子機が子機モニタを備え、居室親機が広告情報を記憶する記憶部と、広告情報を記憶部から読み出し通話路を通じて子機モニタに表示させる制御を行う親機CPUとを備える。
【0009】
(2)記憶部が複数の広告情報を記憶し、親機CPUが予め選択された広告情報を記憶部から読み出して子機モニタに順次表示させる制御を行う。
【0010】
(3)記憶部が複数の広告情報を来訪者の属性と関連付けて予め記憶し、玄関子機が来訪者を撮像する子機カメラを備え、親機CPUが子機カメラの映像データから来訪者の属性を判別し、判別した属性に適合する広告情報を記憶部から読み出して子機モニタに表示させる制御を行う。
【0011】
(4)玄関子機が来訪者を感知する人感センサを備え、親機CPUは人感センサが来訪者を感知しなくなるまで広告情報を子機モニタに表示させる制御を行う。
【発明の効果】
【0012】
上記(1)のインターホンシステムによれば、広告情報を居室親機から通話路を通じ玄関子機に伝送して子機モニタに表示させるので、外部通信機器を用いることなく、来訪者に有用な広告情報を安全かつ簡易に提供できるという効果がある。
【0013】
上記(2)のインターホンシステムによれば、複数の広告情報のうちから予め選択した情報を子機モニタに表示させるので、例えば商店の営業案内や商品宣伝にシステムを活用できるという効果がある。
【0014】
上記(3)のインターホンシステムによれば、子機カメラの映像データから来訪者の属性を判別するので、来訪者の年齢、性別、服装等に合わせて、より有用な広告情報を子機モニタに表示できるという効果がある。
【0015】
上記(4)のインターホンシステムによれば、玄関子機に人感センサを設けたので、通話終了後も来訪者が立ち去るまで、子機モニタに広告情報を継続的に表示できるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態を示すインターホンシステムの概略図である。
【図2】玄関子機および居室親機の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、戸建住宅のインターホンシステム100は、玄関Hに設置される玄関子機1と、居室Sに設置される居室親機2と、玄関子機1および居室親機2を接続する双方向の伝送線3とを装備している。そして、来訪者Vが玄関子機1で居住者Rを呼び出し、居住者Rが居室親機2で応答し、伝送線3に形成された通話路を通じて通話を行うようになっている。
【0018】
図2に示すように、玄関子機1には、来訪者Vが居住者Rを呼び出すための呼出ボタン11、居住者Rとの通話に使用するマイク12、スピーカ13、来訪者を感知する人感センサ14、来訪者Vを撮像する子機カメラ15、子機カメラ15の映像を処理する映像処理部16、広告情報を表示する子機モニタ17、子機モニタ17の表示画像を処理する画像処理部18、玄関子機1の各部を制御する子機CPU19、および、居室親機2と通信するための子機インターフェース10が設けられている。
【0019】
一方、居室親機2には、居住者Rが来訪者Vの呼び出しに応答し玄関子機1との間に通話路を形成するための操作を行う操作部21、来訪者Vとの通話に使用するマイク22、スピーカ23、子機カメラ15の映像データを処理する映像処理部24、処理された来訪者Vの映像を表示する親機モニタ25、広告情報を含む各種データを記憶する記憶部26、居室親機2の各部を制御する親機CPU27、および、玄関子機1と通信するための親機インターフェース28が設けられている。
【0020】
記憶部26には、複数の広告情報が来訪者Vの年齢、性別、体格等の属性に関連付けて予め記憶されている。操作部21では、呼出応答操作に加え、居住者Rによる広告情報の選択、来訪者属性との関連付け、表示順序の決定など、複数の広告情報を選択的に表示するための各種の設定操作が行われる。そして、親機CPU27は、子機カメラ15の映像データから来訪者の属性を判別する来訪者判別部27aを備え、判別した属性に適合する広告情報を記憶部26から読み出して子機モニタ17に順次表示させる制御を行う。
【0021】
次に、インターホンシステム1の動作について説明する。居住者Rを呼び出すために、来訪者Vが玄関子機1の呼出ボタン11を押下すると、呼出信号が子機CPU19の制御により子機インターフェース10を介して居室親機2に送信される。居室親機2では、親機CPU27が親機インターフェース28を介して呼出信号を受信し、スピーカ23が呼出音を鳴動する。同時に、玄関子機1で子機カメラ15が撮像を開始し、来訪者Vの映像が映像処理部16で処理され、玄関子機1から居室親機2に送信される。
【0022】
居室親機2では、来訪者Vの映像が親機CPU27の制御により映像処理部24を介して親機モニタ25に表示される。この状態で、親機CPU27が予め選択された画像やテキストの広告情報を記憶部26から読み出し、呼出信号と逆の経路で居室親機2から玄関子機1に送信する。そして、子機CPU19が画像処理部16を制御し、子機モニタ17を待ち受け状態から広告表示状態に移行させる。これにより、玄関Hで応答待ち時間中の来訪者Vに子機モニタ17から広告情報を提供することができる。
【0023】
一方、居住者Rが居室親機2の操作部21にて応答操作をすると、玄関子機1と居室親機2との間の伝送線3上に通話路が開成され、この通話路を通じて来訪者Vと居住者Rとが通話を行うことができる。この通話期間中も、子機モニタ17は広告情報の表示を継続するので、来訪者Vの注意を子機モニタ17に惹きつけ、来訪者Vの顔を子機カメラ15で撮像して、親機モニタ25に表示することができる。従って、居住者Rは来訪者Vの声と表情を併せて確認し、密度の高い会話を行うことができる。
【0024】
会話が終了し、居住者Rが操作部21で終話操作を行うと、これを検出した親機CPU27は居室親機2と玄関子機1との間の通話路を閉成する。しかし、来訪者Vが玄関子機1の近くにいる間は、人感センサ14が来訪者Vの存在を感知し、親機CPU27が子機モニタ17に広告情報を継続的に表示させる。このため、興味をもって来訪者Vが広告情報を閲覧している最中に子機モニタ17の表示が消えるおそれがなく、来訪者Vがその場から立ち去った時点で、子機モニタ17を自動的に停止させることができる。
【0025】
子機モニタ17が表示する広告情報は、一つではなく、居住者Rが予め選択した複数を所定の時間間隔で切り替えて順次表示することができる。例えば、商店主である居住者Rが、営業時間の案内情報、目玉商品の宣伝情報、近隣地域の紹介情報を含む3つの広告情報を3秒ごとに切り替わるよう設定し、3つを表示した後も呼出または通話が続いている場合に、同じ順序で表示を繰り返し、全てを表示する前に通話が終了した場合は、例えば3つ目の広告情報を表示しないで子機モニタ17を停止することができる。
【0026】
また、複数の広告情報を来訪者Vの属性に応じて選択的に表示することもできる。この場合には、子機カメラ15の映像データに基づいて、親機CPU27が来訪者判別部27aにより来訪者Vの年齢、性別、体格等を判別し、判別結果に適合する広告情報を記憶部26から読み出して子機モニタ17に表示させる制御を行う。例えば、映像データから来訪者Vが20代の男性であると判別した場合は、子機モニタ17にスーツ関連の広告情報を表示させたり、20代の女性を判別した場合に、旅行案内の広告情報を表示させたりすることで、有用性の高い広告情報を来訪者Vに表示することができる。
【0027】
来訪者Vの属性を判別するにあたっては、子機カメラ15の映像データに限定されず、子機マイク12から入力した音声データから来訪者Vの年齢や性別を推定することもでき、子機カメラ15とマイク12を併用して、判別精度を高めることも可能である。あるいは、今回の判別結果を通話後の印象に基づいて修正し、記憶部26に登録して、次回の訪問時に再利用したり、近隣の人や再三来訪する人に最適な広告情報を予め用意したりすることもできる。
【0028】
なお、上記実施形態では、戸建住宅用のインターホンシステム100を例示したが、本発明を集合住宅用または事業所用のインターホンシステムに適用することもできる。集合住宅用インターホンシステムの場合は、マンション等の集合玄関機にモニタを設置し、居住者同士がモニタに連絡事項を広告表示できるように構成してもよい。その他、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で、各部の構成を適宜に変更して実施することも可能である。
【符号の説明】
【0029】
1 玄関子機
2 居室親機
3 伝送線
11 呼出ボタン
14 人感センサ
15 子機カメラ
17 子機モニタ
19 子機CPU
21 操作部
25 親機モニタ
26 記憶部
27 親機CPU
V 来訪者
R 居住者

【特許請求の範囲】
【請求項1】
玄関子機と居室親機を通話路で接続し、前記玄関子機に来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと、居住者との通話に使用するマイクおよびスピーカとを設け、前記居室親機に来訪者の呼び出しに応答するための操作部と、来訪者との通話に使用するスピーカおよびマイクとを設けたインターホンシステムにおいて、
前記玄関子機が子機モニタを備え、前記居室親機が広告情報を記憶する記憶部と、前記広告情報を前記記憶部から読み出し前記通話路を通じて前記子機モニタに表示させる制御を行う親機CPUとを備えたことを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
前記記憶部が複数の広告情報を記憶し、前記親機CPUが予め選択された広告情報を前記記憶部から読み出して前記子機モニタに順次表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項3】
前記記憶部が複数の広告情報を来訪者の属性と関連付けて予め記憶し、前記玄関子機が来訪者を撮像する子機カメラを備え、前記親機CPUが前記子機カメラの映像データから来訪者の属性を判別し、判別した前記属性に適合する広告情報を前記記憶部から読み出して前記子機モニタに表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1または2記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記玄関子機が来訪者を感知する人感センサを備え、前記親機CPUは前記人感センサが来訪者を感知しなくなるまで前記広告情報を前記子機モニタに表示させる制御を行うことを特徴とする請求項1〜3の何れか一項に記載のインターホンシステム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−205237(P2012−205237A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−70298(P2011−70298)
【出願日】平成23年3月28日(2011.3.28)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】