説明

インターホンシステム

【課題】 通話相手が喋った言葉を音声だけでなく文字情報としても認識可能なインターホンシステムを提供する。
【解決手段】 ボイススイッチ27に入力される居住者音声を取得して文字データに変換する親機音声文字変換部28と、ボイススイッチに入力される玄関子機1からの来訪者音声を取得して文字データに変換する子機音声文字変換部29とを居室親機2に設け、親機CPU31に親機音声文字変換部28が変換した文字データを画像データに変換する機能、及び子機音声文字変換部29で変換した文字データを画像データに変換する機能を設け、玄関子機1に文字データを表示する子機モニタ17、居室親機2に文字データを表示する親機モニタ25を設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインターホンシステムに関し、特に音声の報音に加えて文字情報によっても通話相手の喋った内容を認識できるインターホンシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
ボイススイッチを用いて来訪者の呼び出しに対して居住者がハンズフリーで応答できるインターホンシステムが普及している(例えば、特許文献1参照)。ボイススイッチは、玄関子機のマイクが集音した来訪者の音声が入力されると共に、居室親機のマイクが集音した居住者の音声が入力され、双方の信号レベルを比較して大きい方の音声を伝送するよう通話路を制御する(例えば、特許文献2参照)。具体的に、居住者の音声の方が大きい場合は通話路を送話状態として居住者の音声を玄関子機から報音させ、来訪者の音声の方が大きい場合は通話路を受話状態として来訪者の音声を居室親機から報音させる。こうして、音声の伝送方向を自動で切り替えて通話を可能としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002−101220号公報
【特許文献2】特開2009−135596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、ボイススイッチを用いた従来のハンズフリーインターホンシステムにおいては、ボイススイッチの特性である送話状態/受話状態を切り替えていずれかの状態を形成するという動作のために、双方が同時に話し始めた場合等は、送話状態/受話状態の切り替えがスムーズに行われず、喋り始めが途切れる場合があった。
また、自分が話している時には相手の声はほとんど聞こえないため、相手が何か話そうとしていても自分が話すことをやめるタイミングが分からず、そのため会話に不自然な状態を招くことがあり、スムーズな会話ができない場合があったし、近くを通過する自動車等の騒音により音声が聞き取り難い場合もあり、スムーズな会話ができない場合があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑み、通話相手が喋った言葉を音声だけでなく文字情報としても認識可能とし、喋り初めが途切れた場合や大きな騒音により相手方の話した内容を聞き取りにくい状況が発生しても、文字情報により聞き取りにくかった言葉を把握することができるインターホンシステムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する為に、請求項1の発明は、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと居住者と通話するための子機マイク及び子機スピーカとを備えた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに対して居住者が応答するための親機マイク及び親機スピーカを備えた居室親機とを有し、居室親機がボイススイッチを備えてハンズフリー通話を実施するインターホンシステムにおいて、玄関子機に文字情報を表示する子機文字情報表示部を設けると共に、居室親機に親機マイクが集音する音声を取得して文字データに変換する親機音声文字変換部、及び変換された文字データを画像データに変換する子機文字画像生成部を設け、文章データに変換された文字データが子機文字情報表示部に表示されることを特徴とする。
この構成によれば、玄関子機に設けた子機文字情報表示部に居住者の喋った内容が文字情報で表示されるので、周囲の雑音等で居住者の音声が聞き取り難い状況でも、来訪者は聞き取れなかった部分を把握でき、スムーズな通話を実施できる。
【0007】
請求項2の発明は、来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと居住者と通話するための子機マイク及び子機スピーカとを備えた玄関子機と、玄関子機からの呼び出しに対して居住者が応答するための親機マイク及び親機スピーカを備えた居室親機とを有し、居室親機がボイススイッチを備えてハンズフリー通話を実施するインターホンシステムにおいて、玄関子機に子機マイクが集音する音声を取得して文字データに変換する子機音声文字変換部を設けると共に、居室親機に文字情報を表示する親機文字情報表示部と、子機音声文字変換部で変換した文字データを画像データに変換する親機文字画像生成部とを設け、文章データに変換された文字データが親機文字情報表示部に表示されることを特徴
とする。
この構成によれば、居室親機に設けた親機文字情報表示部に来訪者が喋った内容が文字情報で表示されるので、周囲の雑音等で来訪者の音声が聞き取り難い状況でも、居住者は聞き取れなかった部分を把握でき、スムーズな通話を実施できる。
【0008】
請求項3の発明は、請求項1に記載の構成において、親機音声文字変換部は、親機マイクからボイススイッチに伝送される音声を文字データに変換することを特徴とする。
この構成によれば、ボイススイッチが居住者音声を玄関子機から報音する送話状態と、来訪者音声を居室親機から報音させる受話状態とを切り替える際に、切り替えのタイミングが居住者の送話開始に一致せず、途切れた音声が玄関子機から報音されても、途切れた音声部分も含めて文字情報により喋った内容が玄関子機に表示されるので、来訪者は途切れた部分を把握でき、スムーズな通話を実施できる。
【0009】
請求項4の発明は、請求項2に記載の構成において、子機音声文字変換部は、子機マイクからボイススイッチに伝送される音声を文字データに変換することを特徴とする。
この構成によれば、ボイススイッチが居住者音声を玄関子機から報音する送話状態と、来訪者音声を居室親機から報音させる受話状態を切り替える際に、切り替えのタイミングが来訪者の送話開始に一致せず、途切れた音声が居室親機から報音されても、途切れた音声部分も含めて文字情報により喋った内容が居室親機に表示されるので、居住者は途切れた部分を把握でき、スムーズな通話を実施できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、玄関子機に子機文字情報表示部を設けることで、居住者の喋った内容が文字情報で表示されるので、ボイススイッチの切り替えのタイミングや周囲の雑音等で居住者の音声が聞き取り難い状況でも、来訪者は聞き取れなかった部分を把握でき、スムーズな通話を実施できる。また、居室親機に親機文字情報表示部を設けることで、来訪者が喋った内容が文字情報で表示されるので、ボイススイッチの切り替えのタイミングや周囲の雑音等で来訪者の音声が聞き取り難い状況でも、居住者は聞き取れなかった部分を把握でき、スムーズな通話を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係るインターホンシステムの一例を示す回路ブロック図である。
【図2】文字データを表示した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明に係るインターホンシステムの一例を示す回路ブロック図であり、1は玄関に設置されて来訪者が居住者を呼び出すための玄関子機、2は居室に設置されて玄関子機1からの呼び出しに応答するための居室親機である。尚、双方は伝送線L1によりて接続した構成を示しているが、伝送線L1によらず無線通信としてもよい。
【0013】
玄関子機1は、図1に示すように呼出ボタン11、通話するための子機マイク12、子機スピーカ13、この子機マイク12及び子機スピーカ13を制御する子機音声処理部14、来訪者を撮像するための子機カメラ15、子機カメラ15で撮像した映像信号を処理して居室親機2に送信するための映像処理部16、文字データを表示するためのLCDからなる子機モニタ17、子機モニタ17の表示を制御する画像処理部18、居室親機2と通信するための子機IF19、玄関子機1の各部を制御する子機CPU20等を備えている。
【0014】
また、居室親機2は、来訪者の呼び出しに対する応答操作や各種設定を行うための操作部21、通話するための親機マイク22、親機スピーカ23、親機マイク22及び親機スピーカ23を制御する親機音声処理部24、子機カメラ15で撮像した映像を表示するためのLCDからなる親機モニタ25、玄関子機1から伝送された映像信号を親機モニタ25に表示するために信号処理する映像処理部26、子機マイク12が集音した音声レベルと親機マイク22が集音した音声レベルを比較して一方の音声を選択して伝送するボイススイッチ27、親機マイク22が集音した音声を文字データに変換する親機音声文字変換部28、子機マイク12が集音した音声を文字データに変換する子機音声文字変換部29、玄関子機1と通信するための親機IF30、居室親機2の各部を制御するための親機CPU31等を備えている。
【0015】
親機音声文字変換部28には、親機マイク22が集音してボイススイッチ27に伝送される音声信号が入力され、居住者の音声が文字データに変換されて出力される。また、子機音声文字変換部29には、居室親機2へ伝送されてボイススイッチ27に入力される子機マイク12が集音した音声信号が入力され、来訪者の音声が文字データに変換されて出力される。具体的に、入力された音声信号から音声の特徴を抽出して文字データを生成する。そして、連続する文字データを基にあらかじめ登録されている単語群の中から単語を選択し、更にあらかじめ登録されている辞書を参照して漢字等に変換し、文章データを生成して出力される。
また親機CPU31は、親機音声文字変換部28、及び子機音声文字変換部29が変換した文章データを受けて、子機モニタ17或いは親機モニタ25に表示するための画像データを作成して出力する。
【0016】
このように構成されたインターホンシステムについて、以下動作を説明する。来訪者が居住者を呼び出すために呼出ボタン11を押下すると、子機CPU20の制御により呼出信号が子機IF19、伝送線L1を介して居室親機2に送信される。居室親機2では、親機IF30を介して親機CPU31がこれを受信すると、親機音声処理部24を制御して親機スピーカ23から呼出音が報音される。また、これとともに子機CPU20の制御で子機カメラ15が撮像を開始して、来訪者を撮像した映像が映像処理部16で処理されて居室親機2に送信される。この映像を受信した居室親機2では、親機CPU31の制御により、映像処理部26により表示画像が生成されて親機モニタ25に表示される。すなわち、来訪者映像が親機モニタ25に表示される。
【0017】
居室親機2の呼出音及び親機モニタ25に表示された来訪者映像を認識した居住者が、応答するために操作部21を応答操作すると、親機CPU31が玄関子機1と居室親機2の間の通話路を形成し、通話が可能となる。具体的に、子機音声処理部14の制御で子機マイク12と子機スピーカ13とが能動状態となる一方、親機音声処理部24の制御で親機マイク22と親機スピーカ23とが能動状態となり、ボイススイッチ27を介した通話路が形成される。
【0018】
こうして応答操作した居住者が、引き続き親機マイク22に対して、例えば「はい、どちらさまですか」と音声を入力すると、親機音声処理部24で音声処理された居住者の音声がボイススイッチ27に入力される。
ボイススイッチ27は、子機マイク12からの音声レベルと親機マイク22からの音声レベルと比較するが、この時は子機マイク12からは音声が入力されずに親機マイク22から音声が入力されることで、親機マイク22からの音声レベルが大きいと判断して送話状態/受話状態のうち送話状態を形成(送話路を形成)する制御を行う。これにより、親機マイク22が集音した音声はボイススイッチ27、親機IF30を介して玄関子機1に送信され、玄関子機1の子機IF19及び子機音声処理部14を介して子機スピーカ13から報音される。
尚、このとき受話状態は形成されない(受話路は形成されない)ため、子機マイク12が収音した音声は居室親機2で報音されない。
【0019】
またこのとき、親機音声文字変換部28は、親機マイク22が集音してボイススイッチ27に入力される前の居住者音声を取得して文字データに変換する。この文字データは、親機CPU31に出力されて、親機CPU31が子機モニタ17に表示するための画像データに変換する。この画像データは、親機IF30を介して玄関子機1に送信され、画像処理部18を介して子機モニタ17にて表示される。この結果、子機モニタ17に「はい、どちらさまですか」が表示される。
【0020】
この居住者の喋った音声を聞いた来訪者が、次に子機マイク12から例えば「加藤です。太郎君いますか」と音声を入力すると、上記同様にボイススイッチ27で音声レベルが比較され、この場合は来訪者音声の方が大きいと判断して送話状態の形成を解除して受話状態を形成する制御を実施する。こうして、子機マイク12からの音声が親機スピーカ23から報音される。
そして、子機音声文字変換部29は、子機マイク12が集音して居室親機2に伝送され、ボイススイッチ27に入力される前の来訪者音声を取得して文字データに変換する。この文字データは、送話音声と同様に親機CPU31が親機モニタ25に表示するための画像データに変換する。この画像データは、映像処理部26を介して親機モニタ25にて表示される。
【0021】
図2は、こうして玄関子機1及び居室親機2のそれぞれに文字情報が表示された状態を示し、子機モニタ17には「はい、どちらさまですか」が表示され、親機モニタ25には来訪者映像と共に「加藤です。太郎君いますか。」が表示された状態を示している。居室親機2では、来訪者映像の表示を継続し、隣接して文字データが表示される。
こうして通話が実施された後、居室親機2の操作部21が所定の終話操作されると、形成された通話路が切断されると共に、親機モニタ25での来訪者映像の表示、及び玄関子機1及び居室親機2での文字データの表示が終了して待ち受け状態に戻る。
【0022】
このように、各マイクから入力された音声とともに、各モニタに文字情報が表示されるので会話の内容をより正確に把握することができる。
また、ボイススイッチ27は子機マイク12、親機マイク22からの音声入力が同時にあると音声レベルを比較して大きいほうを優先して通話路(送話状態、受話状態)を形成するため、話した内容が相手に伝わらないことがあるが、親機音声文字変換部28及び子機音声文字変換部29はボイススイッチ27よりも前段に設けられているのでその影響をうけることなく、途切れた音声部分も含めて文字データに変換して通知することができる。従って、スピーカ13,23から報音される音声が頭切れ等で聞き取りにくい場合であっても、また周囲のノイズが大きく聞き取り難い状況であっても、音声から変換された文字情報がモニタ17,25に表示されるので、相手の話している内容を文字により把握することができ、スムーズな会話を実現することができる。
【0023】
尚、上記実施形態は、居室親機2をボイススイッチ27を備えたハンズフリー親機としたが、ハンドセットを使用して応答する構成であっても本願の文字表示機能は有効であり、この場合ボイススイッチの切替タイミングで発生する音切れの発生は無いが、周囲のノイズが大きい場合は相手の音声が聞き取り難くなるため、表示される文字を読むことで相手の喋った内容を容易に把握できる。
また、子機音声文字変換部29を居室親機2に設けているが、玄関子機1に設けて文字データに変換して居室親機2に伝送しても良い。
更に、戸建住戸に設置されるインターホンシステムについて説明したが、集合住宅に設置されるインターホンシステムにおいて、エントランスに設置される集合玄関機と各住戸に設置される住戸親機の間でも容易に適用でき、スムーズな通話を実現できる。
【符号の説明】
【0024】
1・・玄関子機、2・・居室親機、11・・呼出ボタン、12・・子機マイク、13・・子機スピーカ、17・・子機モニタ(子機文字情報表示部)、18・・画像処理部、20・・子機CPU、21・・操作部、22・・親機マイク、23・・親機スピーカ、25・・親機モニタ(親機文字情報表示部)、27・・ボイススイッチ、28・・親機音声文字変換部、29・・子機音声文字変換部、31・・親機CPU(子機文字画像生成部、親機文字画像生成部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと居住者と通話するための子機マイク及び子機スピーカとを備えた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに対して居住者が応答するための親機マイク及び親機スピーカを備えた居室親機とを有し、前記居室親機がボイススイッチを備えてハンズフリー通話を実施するインターホンシステムにおいて、
前記玄関子機に文字情報を表示する子機文字情報表示部を設けると共に、前記居室親機に前記親機マイクが集音する音声を取得して文字データに変換する親機音声文字変換部、及び変換された前記文字データを画像データに変換する子機文字画像生成部を設け、
文章データに変換された文字データが前記子機文字情報表示部に表示されることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項2】
来訪者が居住者を呼び出すための呼出ボタンと居住者と通話するための子機マイク及び子機スピーカとを備えた玄関子機と、前記玄関子機からの呼び出しに対して居住者が応答するための親機マイク及び親機スピーカを備えた居室親機とを有し、前記居室親機がボイススイッチを備えてハンズフリー通話を実施するインターホンシステムにおいて、
前記玄関子機に前記子機マイクが集音する音声を取得して文字データに変換する子機音声文字変換部を設けると共に、前記居室親機に文字情報を表示する親機文字情報表示部と、前記子機音声文字変換部で変換した文字データを画像データに変換する親機文字画像生成部とを設け、
文章データに変換された文字データが前記親機文字情報表示部に表示されることを特徴とするインターホンシステム。
【請求項3】
前記親機音声文字変換部は、前記親機マイクから前記ボイススイッチに伝送される音声を文字データに変換することを特徴とする請求項1記載のインターホンシステム。
【請求項4】
前記子機音声文字変換部は、前記子機マイクから前記ボイススイッチに伝送される音声を文字データに変換することを特徴とする請求項2記載のインターホンシステム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2012−209863(P2012−209863A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−75508(P2011−75508)
【出願日】平成23年3月30日(2011.3.30)
【出願人】(000100908)アイホン株式会社 (777)
【Fターム(参考)】