説明

インドリン誘導体の調製方法およびこれらの中間体

シロドシンおよびこの中間体の調製方法であって、適切な溶媒中での、還元剤を用いる、式(VIII)の化合物と式(VII)の化合物または式(XV)の化合物との還元アミノ化を含む方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はインドリン誘導体の調製方法において中間体として用いることができる新規化合物に関する。より具体的には、本発明は中間化合物、これらの調製並びにシロドシンおよびこの関連化合物の調製方法における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
シロドシンは1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−[(2R)−2−({2−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)フェノキシ]エチル}アミノ)プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボキサミドとして化学的に公知であり、式(I)によって表されるインドリン化合物である。
【0003】
【化1】

シロドシンは良性前立腺過形成に関連する排尿障害を治療するための治療薬としてU.S.Patent No.5,387,603に開示される。
【0004】
シロドシンを合成するための幾つかの方法がこの文献に記述されている。
【0005】
シロドシンの合成は比較的複雑であり、式(X)の光学的に活性のアミン化合物の調製、これによる式(Y)のフェノキシエタン化合物との縮合、並びにこれに続く脱保護およびシアノ基のカルバモイル基への変換に複数の工程が含まれる。
【0006】
【化2】

【0007】
EP1806340特許出願は式(1)の3−{7−シアノ−5−[(2R)−2−({2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ]−エチル}アミノ)プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−1−イル}プロピルベンゾエートをシュウ酸と混合して対応するモノオキザレート塩化合物を生成することを含むシロドシンの調製方法に関する。得られるモノオキザレート化合物を加水分解することで、式(2)によって表される1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−[(2R)−2−({2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ]−エチル}アミノ)プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボニトリルが得られ、式(2)の化合物をさらに加水分解することでシロドシンが得られる。
【0008】
【化3】

【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】米国特許第5,387,603号明細書
【特許文献2】欧州特許第1806340号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
従来技術の参考文献に開示される方法に関わる幾つかの不利益が存在する。主として、従来技術の方法は化合物(Y)による化合物(X)のアルキル化を含み、この反応はしばしば過剰なアルキル化につながって望ましくない化合物が生成され、従って、望ましい化合物の収量が非常に少ない。驚くべきことに、本発明者らは、本発明の中間体をシロドシンの調製方法において用いることで従来技術の欠点が克服され、高い収量および純度で調製し、次いでシロドシンに変換することができることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様によると、シロドシン(式Iの化合物)の合成方法であって、適切な溶媒中での、還元剤を用いる、式(VII)の化合物および式(VIII)の化合物の還元アミノ化を含む方法が提供される。
【0012】
【化4】

【0013】
本発明の別の態様によると、シロドシン(式Iの化合物)の合成方法であって、適切な溶媒中での、還元剤を用いる、式(VIII)の化合物および式(XV)の化合物の還元アミノ化を含む方法が提供される。
【0014】
【化5】

【0015】
本発明の別の態様によると、式(VIII)の化合物および医薬的に許容し得るその誘導体が提供される。
【0016】
【化6】

【0017】
本発明の別の態様によると、化合物(VIII)の調製方法であって、
(a)ヨウ化2,2,2−トリフルオロエチルを2−メトキシフェノール(IX)の溶液と無機塩基および有機溶媒の存在下で反応させる工程と、
(b)この反応混合物を90から120℃で約8から11時間撹拌する工程と、
(c)約30から45℃で(b)の反応混合物に水を添加する工程と、
(d)工程(c)の反応混合物を芳香族炭化水素溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
(e)有機層を減圧下で濃縮して化合物(X)の油を得る工程と、
(f)工程(e)において得られる油(化合物X)をハロゲン化炭化水素溶媒に溶解した後、約−10℃から−25℃で三臭化ホウ素を添加する工程と、
(g)工程(f)の反応混合物に無機塩基の水溶液を加えてクエンチした後、水層および有機層を分離する工程と、
(h)工程(g)の有機層を濃縮して化合物(XI)を油として得る工程と、
(i)工程(k)の油性化合物(XI)を非プロトン性極性有機溶媒に溶解した後、無機塩基およびブロモアセトアルデヒドエチレングリコールを撹拌下で添加する工程と、
(j)工程(i)の反応混合物を110から135℃で4から6時間撹拌する工程と、
(k)25から40℃で工程(j)の反応混合物に水を添加する工程と、
(l)工程(k)の反応混合物のpHを無機酸で3から4に調整する工程と、
(m)工程(l)の反応混合物を有機溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
(n)工程(m)の有機層を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
(o)工程(n)において得られる残渣を精製して固体化合物(XII)を得る工程と、
(p)工程(o)で得られる化合物(XII)を溶媒1,4−ジオキサンおよび水に溶解した後、濃硫酸を添加する工程と、
(q)工程(p)の反応混合物を85から110℃で約3から6時間撹拌する工程と、
(r)この反応混合物を有機溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
(s)工程(r)からの有機層を減圧下で濃縮する工程と、
(t)工程(s)の残渣を精製して化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法が提供される。
【0018】
本発明のさらに別の態様によると、化合物(VIII)の調製方法であって、
a.式XIの化合物をブロモアセトアルデヒドエチレングリコールと反応させて式XIIの化合物を得る工程と、
b.式XIIの化合物を加水分解して式VIIIの化合物を得る工程とを含み、
化合物XIがカテコールから調製される方法が提供される。
【0019】
本発明のさらに別の態様によると、式XIIの化合物が提供される。
【0020】
【化7】

【0021】
本発明のさらなる態様によると、化合物(VIII)の調製方法であって、
1)2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)、2−クロロエタノール、無機塩基および非プロトン性極性有機溶媒を90から120℃で約8から10時間撹拌する工程と、
2)工程(1)の反応混合物を濾過した後、濾液を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
3)工程(2)の残渣を有機溶媒に抽出した後、この有機層を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
4)工程(3)の残渣を従来の方法によって精製して固体化合物を得る工程と、
5)工程(4)の固体をハロゲン化炭化水素溶媒に溶解する工程と、
6)工程(5)の溶液に−70℃を下回る温度で塩化オキザリルおよびハロゲン化炭化水素溶媒、次いでトリエチルアミンを添加する工程と、
7)工程(6)の反応混合物に水を加えてクエンチし、この反応溶液をハロゲン化溶媒で抽出する工程と、
8)このハロゲン化溶媒を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
9)工程(8)の残渣を従来の方法によって精製し、固体化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法が提供される。
【0022】
本発明のさらに別の態様によると、シロドシン(I)の調製方法であって、
a.安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)、弱有機酸、アルコール溶媒および化合物[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)を25から40℃で1から2時間撹拌する工程と、
b.還元剤を工程aの反応混合物に添加して約1から2時間撹拌する工程と、
c.工程(b)の反応混合物を35から45℃の温度で約2から3時間撹拌する工程と、
d.減圧下で溶媒を蒸発させることによって工程(c)の反応混合物を濃縮する工程と、
e.工程(d)の残渣を無機酸で酸性化する工程と、
f.酢酸エチル中に生成物を抽出した後に濃縮し、式(XVI)の化合物を油として得る工程と、
g.メタノールおよび水酸化ナトリウム水溶液を工程fの油に添加して6時間撹拌する工程と、
h.水を添加して生成物を有機溶媒中に抽出する工程と、
i.工程hの抽出物を濃縮して式(XVII)の化合物を得る工程と、
j.DMSO、5N水酸化ナトリウム溶液、30%過酸化水素を式(XVII)の化合物に添加した後、周囲温度で6から8時間撹拌する工程と、
k.反応混合物に亜硫酸ナトリウム溶液を加えてクエンチする工程と、
l.生成物を酢酸エチル中に抽出した後、2N HClで酸性化する工程と、
m.水層を重炭酸ナトリウムで中和する工程と、
n.生成物を酢酸エチル中に抽出する工程と、
o.工程nの抽出物を減圧下で濃縮して固体残渣を得た後、酢酸エチル中で再結晶化してシロドシン(I)を得る工程と、
を含む方法が提供される。
【0023】
本発明の一態様によると、シロドシン(I)の調製方法であって、
a)安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)、DMSO、30%過酸化水素および5N水酸化ナトリウム溶液を2から4時間撹拌する工程と、
b)水を添加して生成物を有機溶媒中に抽出する工程と、
c)この有機溶媒を濃縮して残渣を得る工程と、
d)弱有機酸、アルコール溶媒および化合物[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)を工程(c)の残渣に(25から40°)で添加して撹拌を約1から2時間継続する工程と、
e)還元剤を工程(d)の反応混合物に添加して約1から2時間撹拌する工程と、
f)工程(e)の反応混合物を35から45℃の温度で約2から3時間撹拌する工程と、
g)減圧下で溶媒を蒸発させることによって工程(f)の反応混合物を濃縮する工程と、
h)水性無機酸を工程(g)の反応混合物に添加する工程と、
i)工程(h)の反応混合物を非プロトン性極性有機溶媒中に抽出する工程と、
j)工程(i)の抽出物を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
k)工程(j)の残渣を従来の方法によって精製する工程と、
l)工程(k)において得られる固体を非プロトン性極性有機溶媒に溶解し、酸化剤、次いで無機塩基性水溶液を添加する工程と、
m)工程(l)の内容物を約25から35℃で約2から3時間撹拌する工程と、
n)工程(m)の反応混合物に水を添加し、この反応溶液を有機溶媒中で抽出する工程と、
o)工程(n)の抽出物を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
p)工程(o)の残渣を従来の方法によって精製して化合物(I)を得る工程と、
を含む方法が提供される。
【0024】
本発明の一態様によると、式VIIIの調製方法であって、
(a)無機塩基およびヨウ化2,2,2−トリフルオロエチルを有機溶媒中のカテコールの溶液に添加する工程と、
(b)工程(a)の反応混合物を9から130℃の温度で約4から8時間撹拌する工程と、
(c)工程(b)の反応混合物に約30から45℃で水を添加する工程と、
(d)工程(c)の反応混合物を芳香族炭化水素溶媒中に抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
(e)有機層を減圧下で濃縮して化合物(XI)の油を得る工程と、
(f)工程(e)の油性化合物(XI)を非プロトン性極性有機溶媒に溶解した後、撹拌下で無機塩基およびブロモアセトアルデヒドエチレングリコールを添加する工程と、
(g)工程(f)の反応混合物を約110から135℃で約4から6時間撹拌する工程と、
(h)約25から40℃で工程(g)の反応混合物に水を添加する工程と、
(i)工程(h)の反応混合物のpHを無機酸で3から4に調整する工程と、
(j)工程(i)の反応混合物を有機溶媒中に抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
(k)工程(j)の有機溶媒を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
(l)工程(k)において得られる残渣を精製して固体化合物(XII)を得る工程と、
(m)工程(l)において得られる化合物(XII)を溶媒1,4−ジオキサンおよび水に溶解した後、濃硫酸またはシュウ酸を添加する工程と、
(n)この反応混合物を約85から110℃で約3から6時間撹拌する工程と、
(o)この反応混合物を有機溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
(p)工程(o)からの有機溶媒を減圧下で濃縮する工程と、
(q)工程(p)の残渣を精製して化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明は、シロドシンの調製方法であって、水素化ホウ素ナトリウムを用いる還元アミノ化または還元剤、例えば、水素化ホウ素ナトリウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、ラネーNi、H/Pd−Cでのその場で形成されるイミンの還元による、式(VII)および(VIII)の化合物の縮合を含む方法を提供する。
【0026】
本発明の一実施形態は7−シアノインドリンから鍵中間体化合物(VII)を調製するための方法を提供する。
【0027】
本発明の別の実施形態は、2−メトキシフェノールから式(VIII)の鍵中間体化合物を調製するための方法であって、
(a)無機塩基およびヨウ化2,2,2−トリフルオロエチルを有機溶媒中の2−メトキシフェノール(IX)の溶液に添加する工程と、
(b)(a)の内容物を撹拌下で90から120℃に加熱する工程と、
(c)反応混合物(b)を90から120℃の温度で約8から11時間撹拌する工程と、
(d)約30から45℃で(c)の反応混合物に水を添加する工程と、
(e)工程(d)の反応溶液を芳香族炭化水素溶媒中に抽出する工程と、
(f)(e)の反応溶液から有機層を分離する工程と、
(g)この有機層を水で洗浄する工程と、
(h)この有機層を減圧下で濃縮して化合物(X)の油を得る工程と、
(i)工程(h)において得られる油(化合物X)をハロゲン化炭化水素溶媒に溶解する工程と、
(j)三臭化ホウ素を約−10℃で工程(i)の溶液に添加する工程と、
(k)工程(j)の内容物を約−10℃から−25℃で撹拌する工程と、
(l)工程(k)の反応混合物に無機塩基の水溶液を加えてクエンチする工程と、
(m)工程(l)の反応溶液から有機層を分離して水で洗浄する工程と、
(n)工程(m)の有機溶媒を濃縮して化合物(XI)を油として得る工程と、
(o)工程(n)の油性化合物(XI)を非プロトン性極性有機溶媒に溶解する工程と、
(p)無機塩基およびブロモアセトアルデヒドエチレングリコールを撹拌下で工程(o)の溶液に添加する工程と、
(q)工程(p)の反応混合物を約110から135℃で約4から6時間撹拌する工程と、
(r)約25から40℃の温度で工程(q)の反応混合物に水を添加する工程と、
(s)工程(r)の反応溶液のpHを無機酸で3から4に調整する工程と、
(t)工程(s)の反応溶液を有機溶媒中に抽出する工程と、
(u)工程(t)の抽出物から有機層を分離して水で洗浄する工程と、
(v)工程(u)の有機溶媒を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
(w)工程(v)において得られる残渣を精製して固体化合物(XII)を得る工程と、
(x)工程(w)において得られる化合物(XII)を溶媒1,4−ジオキサンおよび水に溶解する工程と、
(y)濃硫酸またはシュウ酸を工程(x)の反応溶液に添加し、この内容物を約85から110℃で約3から6時間撹拌する工程と、
(z)工程(y)の反応混合物を水で希釈し、この反応溶液を有機溶媒で抽出する工程と、
(aa)工程(z)の抽出物から有機層を分離して水で洗浄する工程と、
(bb)工程(aa)からの有機溶媒を減圧下で濃縮する工程と、
(cc)工程(bb)の残渣を精製して化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法を提供する。
【0028】
本発明の別の実施形態は、カテコールから式(VIII)の化合物の鍵中間体を調製するための方法であって、
(a)無機塩基およびヨウ化2,2,2−トリフルオロエチルを有機溶媒中のカテコールの溶液に添加する工程と、
(b)(a)の内容物を撹拌下で90から130℃に加熱する工程と、
(c)反応混合物(b)を90から130℃の温度で約4から8時間撹拌する工程と、
(d)約30から45℃で(c)の反応混合物に水を添加する工程と、
(e)工程(d)の反応溶液を芳香族炭化水素溶媒中に抽出する工程と、
(f)(e)の反応溶液から有機層を分離する工程と、
(g)この有機層を水で洗浄する工程と、
(h)この有機層を減圧下で濃縮して化合物(XI)の油を得る工程と、
(i)工程(h)の油性化合物(XI)を非プロトン性極性有機溶媒に溶解する工程と、
(j)無機塩基およびブロモアセトアルデヒドエチレングリコールを撹拌下で工程(i)の溶液に添加する工程と、
(k)工程(j)の反応混合物を約110から135℃で約4から6時間撹拌する工程と、
(l)約25から40℃の温度で工程(k)の反応混合物に水を添加する工程と、
(m)工程(l)の反応溶液のpHを無機酸で3から4に調整する工程と、
(n)工程(m)の反応溶液を有機溶媒中に抽出する工程と、
(o)工程(n)の抽出物から有機層を分離して水で洗浄する工程と、
(p)工程(o)の有機溶媒を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
(q)工程(p)において得られる残渣を精製して固体化合物(XII)を得る工程と、
(r)工程(q)において得られる化合物(XII)を溶媒1,4−ジオキサンおよび水に溶解する工程と、
(s)濃硫酸またはシュウ酸を工程(r)の反応溶液に添加し、この内容物を約85から110℃で約3から6時間撹拌する工程と、
(t)工程(s)の反応混合物を水で希釈し、この反応溶液を有機溶媒で抽出する工程と、
(u)工程(t)の抽出物から有機層を分離して水で洗浄する工程と、
(v)工程(u)からの有機溶媒を減圧下で濃縮する工程と、
(w)工程(v)の残渣を精製して化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法を提供する。
【0029】
選択される反応において用いられる無機塩基は、これらに限定されるものではないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩の群を形成する。好ましくは、無機塩基はアルカリ金属炭酸塩であり、炭酸カリウムが特に好ましい。上記反応において用いられるハロゲン化炭化水素溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレン等からなる群から選択される。上記反応において用いられる非プロトン性極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等を含む群から選択される。
【0030】
上記反応において得られる残渣から固体を単離するために用いられる精製技術には、カラムクロマトグラフィー、再結晶化等が含まれる。
【0031】
この代わりに、化合物(VIII)は、化合物2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)から、
1)2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)、2−クロロエタノール、無機塩基および非プロトン性極性有機溶媒の内容物を約90から120℃で約8から10時間撹拌する工程と、
2)工程(1)の反応混合物を濾過し、この濾液を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
3)工程(2)の残渣を有機溶媒中に抽出する工程と、
4)工程(3)において得られる有機抽出物を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
5)工程(4)の残渣を従来の方法によって精製して固体化合物を得る工程と、
6)工程(5)の固体をハロゲン化炭化水素溶媒に溶解し、−70℃を下回る温度で塩化オキザリルおよびハロゲン化炭化水素溶媒の溶液、次いでトリエチルアミンに添加する工程と、
7)工程(4)の反応混合物に水を加えてクエンチし、この反応溶液をハロゲン化溶媒で抽出する工程と、
8)工程(5)の有機抽出物を水で洗浄し、溶媒を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
9)工程(6)の残渣を従来の方法によって精製して固体化合物(VIII)を得る工程と
を含む方法によって得ることもできる。
【0032】
選択される上記反応において用いられる無機塩基は、これらに限定されるものではないが、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩の群を形成する。好ましくは、無機塩基はアルカリ金属炭酸塩であり、炭酸カリウムが特に好ましい。上記反応において用いられる非プロトン性極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等からなる群より選択される。上記反応において用いられるハロゲン化炭化水素溶媒は、塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素、二塩化エチレン等を含む群から選択される。
【0033】
上記反応において得られる残渣から固体を単離するために用いられる精製技術には、カラムクロマトグラフィー、再結晶化等が含まれる。
【0034】
本発明の一実施形態は、シロドシン(I)の新規調製方法であって、
a.化合物、安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)、DMSO、30%水酸化ナトリウムおよび5N NaOH溶液の内容物を2から4時間撹拌する工程と、
b.水を添加して有機溶媒中で生成物を抽出する工程と、
c.濃縮して残渣を得る工程と、
d.弱有機酸、アルコール溶媒および化合物[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)を周囲温度(25から40°)で工程cの残渣に添加し、撹拌を約1から2時間継続する工程と、
e.還元剤を工程dの反応混合物に添加して約1から2時間撹拌する工程と、
f.工程eの反応混合物を35から45℃の温度で約2から3時間撹拌する工程と、
g.減圧下で溶媒を蒸発させることによって工程fの反応混合物を濃縮する工程と、
h.水性無機酸を工程gの反応混合物に添加する工程と、
i.工程hの反応混合物を有機溶媒中に抽出する工程と、
j.工程iの抽出物を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
k.工程jの残渣を従来の方法によって精製する工程と、
l.工程kにおいて得られる固体を非プロトン性極性有機溶媒に溶解し、酸化剤、次いで無機塩基水溶液を添加する工程と、
m.工程lの内容物を約25から35℃で約2から3時間撹拌する工程と、
n.工程mの反応混合物に水を添加し、この反応溶液を有機溶媒中で抽出する工程と、
o.工程nの抽出物を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
p.工程oの残渣を従来の方法によって精製して化合物(I)を得る工程と、
を含む方法を提供する。
【0035】
選択される上記反応において用いられる弱有機塩基は、これらに限定されるものではないが、酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸の群を形成する。上記反応において用いられるアルコール溶媒は、低級アルコール溶媒、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよび3級ブタノールからなる群より選択される。上記反応において用いられる還元剤は、水素化ホウ素アルカリ、シアノ水素化ホウ素アルカリ、ラネーニッケルおよびパラジウム付着炭素からなる群より選択され、好ましくはシアノ水素化ホウ素アルカリ、最も好ましくはシアノ水素化ホウ素ナトリウムである。上記反応において用いられる非プロトン性極性溶媒は、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等からなる群より選択される。上記反応において用いられる酸化剤は過酸化水素である。
【0036】
上記反応において得られる残渣から固体を単離するために用いられる精製技術には、カラムクロマトグラフィー、再結晶化等が含まれる。
【0037】
本発明の一実施形態は、2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)から式(VIII)の鍵中間体化合物を調製するための方法を提供する。
【0038】
本発明の別の実施形態は、鍵中間体化合物(VII)および(VIII)の調製において用いられる新規副中間体化合物(sub−intermediate compounds)を提供する。
【0039】
本発明のさらに別の実施形態は、化合物(VII)の調製方法であって、化合物(II)、(IV)、(V)、(VI)を調製するための工程および化合物(VIII)への変換を含む方法を提供する。
【0040】
スキーム1によって示すことができる工程を含む、7−シアノインドリンから化合物(VII)を調製するための方法を提供する本発明の第1実施形態。
【0041】
【化8】

【0042】
本発明の一実施形態は、化合物(VIII)の調製方法であって、式XIの化合物とブロモアセトアルデヒドエチレングリコールとを反応させてXIIの化合物を得、次に式XIIの化合物を加水分解して式VIIIの化合物を得ることを含み、化合物XIがカテコールから調製される方法を提供する。
【0043】
本発明の別の実施形態は、2−メトキシフェノール(化合物IX)から式(VIII)の化合物を調製するための方法を提供する。
【0044】
本発明のさらに別の実施形態は、カテコールから化合物(VIII)を調製するための方法を提供する。
【0045】
本発明の一実施形態は、2−メトキシフェノール(式IXの化合物)から化合物(VIII)を調製するための方法であって、化合物(X)、(XI)および(XII)を調製するための工程を含む方法を提供する。
【0046】
化合物(VIII)の調製方法は下記スキーム2のように示すことができる。
【0047】
【化9】

【0048】
本発明の一実施形態は式XIIの新規中間体を提供する。
【0049】
本発明の一実施形態は、式(XI)の2−トリフルオロメトキシフェノールから鍵中間体化合物(VIII)を調製するための方法を提供する。
【0050】
【化10】

【0051】
2−トリフルオロメトキシフェノール(式XIの化合物)から式VIIIの化合物を調製するための方法は下記スキーム3のように示すことができる。
【0052】
【化11】

【0053】
本発明のさらに別の実施形態は、式(I)の化合物の調製方法であって、シッフ塩基化合物を単離することなしに適切な溶媒中で還元アミノ化によって化合物(VII)および(VIII)を濃縮することを含む方法を提供する。
【0054】
化合物(VII)および(VIII)の還元アミノ化とこれに続く脱保護による式Iの化合物の調製方法は、下記スキーム4のように示すことができる。
【0055】
【化12】

【0056】
化合物(VIII)を有機溶媒中の化合物(VII)の溶液に添加することを含む、上記スキーム4に示される還元アミノ化の方法。酸の存在下で内容物を撹拌し、さらに還元剤と反応させた後、得られる副生物を通常の手順によって単離することで化合物(I)が得られる。
【0057】
本発明の別の実施形態は、シロドシン(式Iの化合物)の調製方法であって、新規中間体化合物(VIII)および化合物(XV)を縮合させた後、脱保護および酸化することを含む方法である。
【0058】
(a)安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)、弱有機酸、アルコール溶媒および化合物[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)を周囲温度で撹拌し、25から40℃で約1から2時間撹拌を継続する工程と、
(b)還元剤を工程aの反応混合物に添加し、約1から2時間撹拌する工程と、
(c)工程bの反応混合物を35から45℃の温度で約2から3時間撹拌する工程と、
(d)減圧下で溶媒を蒸発させることによって工程fの反応混合物を濃縮する工程と、
(e)工程dの残渣を無機酸で酸性化し、酢酸エチル中で生成物を抽出する工程と、
(f)工程eの抽出物を濃縮して式(XVI)の化合物を油として得る工程と、
(g)メタノール、NaOHの水溶液を工程fの油に添加し、6時間撹拌を継続する工程と、
(h)水を添加し、有機溶媒中で生成物を抽出する工程と、
(i)工程hの抽出物を濃縮して式(XVII)の化合物を得る工程と、
(j)DMSO、5N NaOH溶液、30%過酸化水素を式(XVII)の化合物に添加し、周囲温度で6から8時間撹拌する工程と、
(k)亜硫酸ナトリウム溶液において反応混合物をクエンチする工程と、
(l)酢酸エチル中で生成物を抽出し、2N HClで酸性化する工程と、
(m)水層を重炭酸ナトリウムで中和する工程と、
(n)酢酸エチル中で生成物を抽出する工程と、
(o)工程nの抽出物を減圧下で濃縮して固体残渣を得、酢酸エチルから再結晶化してシロドシン(I)を得る工程と、
を含むシロドシン(式Iの化合物)の調製方法。
【0059】
化合物(VIII)および化合物(XV)の縮合によるシロドシンの調製方法は下記スキーム5のように示すことができる。
【0060】
【化13】

【0061】
本発明の範囲に限定されるものではない以下の例により、さらに本発明を詳細に説明する。
【実施例】
【0062】
参照例1
1−[3−(t−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボニトリル(II)の調製
7−シアノインドリン(5g、0.035モル)、ジメチルホルムアミド(50ml)および粉末化KCO(9.6g、0.07モル)の混合物を70℃に加熱し、トルエン−4−スルホン酸−3−(t−ブチルジメチル)−シラニルオキシプロピルエステル(12.7g、0.037モル)を反応混合物に添加した。反応混合物を蒸留水でクエンチして生成物を酢酸エチル中で抽出し、抽出物を飽和食塩溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、10gの(II)を油として得た。
【0063】
参照例2
R−(N−エトキシカルボニル)アラニン(III)の調製
R−アラニン(4.45g、0.05モル)を50mlの1N水酸化ナトリウム溶液に溶解し、15℃に冷却した。1N水酸化ナトリウム溶液を用いることによって反応混合物のpHを9から9.5に維持しながら、エチルクロロホルメート(5ml、0.05モル)を添加した。反応混合物を0から5℃に冷却し、ジエチルエーテルで抽出した。オルトリン酸を水層に添加し、pHを1.0未満に調整した。生成物をジクロロメタン中で抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、6.5gのR−(N−エトキシカルボニル)アラニンを油として得た。
【0064】
[実施例1]
(2−{1−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−5−イル}−1−メチル−2−オキソ−エチル)−カルバミン酸エチルエステル(IV)の調製
不活性雰囲気下、0℃の、乾燥ジクロロメタン(300ml)中のR−(N−エトキシカルボニル)アラニン(III)(16.1g、0.1モル)の溶液に、0.5ml DMFおよび塩化オキザリル(10ml、0.0105モル)を添加した。撹拌しながら反応混合物を室温まで暖め、2時間後、−15℃に冷却した。次に、AlCl(28.4g、0.21モル)を一度に添加した。この反応混合物に、150mlジクロロメタン中の1−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−2,3−ジヒドロ−lH−インドール−7−カルボニトリル(II)(31.65g、0.1モル)の溶液を−15℃で添加した。150mlの冷水および50mlの1N HClで反応混合物をクエンチした。有機層を飽和食塩溶液で洗浄し、無水硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、30gの化合物(IV)を油として得た。
【0065】
[実施例2]
(2−{1−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−5−イル}−1−メチル−エチル)−カルバミン酸エチルエステル(V)の調製
(2−{1−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−5−イル}−1−メチル−2−オキソ−エチル)−カルバミン酸エチルエステル(IV)(10g、0.02モル)、トルエン(80ml)、水素化トリエチルシリル(5.57g、0.04モル)およびトリフルオロ酢酸(1.36g、0.01モル)の混合物を25から30℃で6時間撹拌した。この反応塊を水(50ml)でクエンチし、トルエン層を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、6.7gの(V)を油として得た。
【0066】
[実施例3]
(2−{1−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−カルバモイル−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−5−イル}−1−メチル−エチル)−カルバミン酸エチルエステル(VI)の調製
DMSO(100ml)中の(2−{1−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−5−イル}−1−メチル−エチル)−カルバミン酸エチルエステル化合物(V)(6g、0.01モル)の溶液に30% H(15ml)を添加し、この混合物を25から30℃で15分間撹拌した。次に、この反応混合物に5N NaOH溶液(15ml)を添加し、この混合物を上記温度でさらに3時間撹拌した。酢酸(18ml)を添加し、反応混合物を水で希釈した。混合物を酢酸エチルで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水し、減圧下で溶媒を蒸発させて3.68gの(VI)を淡黄色ろう状固体として得た。
【0067】
[実施例4]
5−(2−アミノ−プロピル)−1−[3−(tert−ブチル −ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボン酸アミド(VII)の調製
(2−{1−[3−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−プロピル]−7−カルバモイル−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−5−イル}−1−メチル−エチル)−カルバミン酸エチルエステル(VI)(3g、0.006モル)をトルエン(25ml)中でKOH(2g:0.03モル)と共に還流温度まで3時間加熱した。反応混合物を水でクエンチし、トルエン層を分離して水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、1.84gの(VII)を褐色油性塊として得た。
【0068】
[実施例5]
1−メトキシ−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼン(X)の調製
N−メチルピロリドン(50ml)中の2−メトキシフェノール(IX)(5g、0.04モル)の溶液に撹拌下で炭酸カリウム(7.8g、0.06モル)およびヨウ化2,2,2−トリフルオロエチル(33.8g、0.16モル)を添加した。この反応混合物を120℃で10時間、激しく撹拌した。水(150ml)を反応混合物に添加し、この混合物をトルエン(250ml)中で抽出した。有機層を1N水酸化ナトリウム溶液(150ml)で洗浄した後、食塩水洗浄した。抽出物を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、7.2gの(X)を油として得た。純度(GCによる。)=94%。
【0069】
[実施例6]
2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)の調製
三臭化ホウ素(2.8ml、0.03モル)を、撹拌しながら−10℃未満で、塩化メチレン(90ml)中の1−メトキシ−2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)ベンゼン(X)(6.0g、0.03モル)の溶液に添加した。反応物を−10から−20℃で30分間撹拌した。重炭酸ナトリウム水溶液を用いて反応混合物をクエンチした。有機層を分離して水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、4.0gの(XI)を油として得た。純度(GCによる。)=95%。
【0070】
[実施例7]
2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)の調製
ジメチルスルホキシド(25ml)中のカテコール(5g、0.045モル)の溶液に撹拌下で炭酸カリウム(12.55g、0.09モル)およびヨウ化2,2,2−トリフルオロエチル(4.77g、0.023モル)を添加した。この反応混合物を120℃で6時間、激しく撹拌した。水(150ml)を反応混合物に添加し、この混合物をトルエン(250ml)中で抽出した。有機層を1N水酸化ナトリウム溶液(150ml)で洗浄した後、食塩水洗浄した。抽出物を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、4.0gの(XI)を油として得た。純度(GCによる。)=96%。
【0071】
[実施例8]
2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシエチル]−[1,3]ジオキサラン(XII)の調製
2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)(6g、0.031モル)、N−メチル−2−ピロリドン(30ml)、炭酸カリウム(8.6g、0.062モル)およびブロモアセトアルデヒドエチレングリコール(6.26g、0.037モル)の混合物を115から120℃に加熱し、5時間撹拌した。水(120ml)を周囲温度で反応混合物に添加し、無機酸でpHを3から4に調整した。酢酸エチル(200ml)を用いてこの混合物を抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム水溶液、次いで水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルおよびヘキサンの混合液(5/95)を溶離液として用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して4.0gの(XII)を37.6から39.6℃で溶融する無色固体として得た。
【0072】
純度(GCによる。)=98%。
【0073】
IR(KBr):1748.8、1598.6、1509、1451.5、1261.1、1163、1127.2、1055.9、1047.1cm−1
H NMR(300MHz,CDCl):3.93−3.98(2H,d)、4.05−4.08(4H,m)、4.36−4.45(2H,q)、5.314−5.338(1H,t)、6.90−7.05(4H,m)ppm
13C NMR(75MHz,CDCl):65.36(2C)、67.39−68.79(1C)、70.01(1C)、101.89(1C)、114.8、118.10、121.87、124.18(4C)、149.62(1C)、147.48(1C)、128.22−129.03(1C)
【0074】
[実施例9]
[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)の調製
1,4−ジオキサン(12ml)および水(50ml)中の2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシエチル]−[1,3]ジオキサラン(VII)(6g、0.022モル)の溶液に濃硫酸(4.6ml、0.086モル)を添加した。反応混合物を95から100℃に加熱し、5時間撹拌して周囲温度に冷却した。この反応混合物に水(30ml)を添加し、酢酸エチル(100ml)中で混合物を抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルおよびヘキサンの混合液(5/95)を溶離液として用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、3.0gの(VIII)を55.3から57.5℃で溶融する無色固体として得た。
純度(GCによる。)=98%
【0075】
IR(KBr)=1739.4、1596.5、1509.6、1457、1258.4、1158.2、1127.7、1114.7、1029、978.0、964.7、919.1、736.3cm−1
H NMR(300MHz,CDCl)=4.47−4.36(2H,q)、4.62(2H,s)、6.86−7.06(4H,m)、9.86(1H,s)ppm
13C NMR(75MHz,CDCl)=67.03−68.43(1C)、74.13(1C)、115.61、117.42、122.95、123.99(4C)、124.13−125.23(1C)、147.62(1C)、148.45(1C)、199.0(1C)ppm
【0076】
[実施例10]
2−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−エタノール(XIV)の調製
2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)(6g、0.03モル)、N,N−ジメチルホルムアミド(50ml)および炭酸カリウム(13.0g、0.09モル)の混合物に2−クロロエタノール(4.2ml、0.06モル)を添加した。反応混合物を100から105℃に加熱し、10分間撹拌した。反応塊を濾過し、濾液を減圧下で濃縮してN,N−ジメチルホルムアミドを留出した。この残渣に水を添加し、酢酸エチル(50ml)中で生成物を抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルおよびヘキサンの混合液(5/95)を溶離液として用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して4.0gの(XIV)を油として得た。純度(GCによる。)=95%。
【0077】
[実施例11]
[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)の調製
ジクロロメタン(7ml)中の塩化オキザリル(0.73ml、8ミリモル)の溶液を−70℃未満に冷却した。次に、−70℃未満でDMSO(1.2ml)を投入した。この反応混合物にジクロロメタン(10ml)中の2−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−エタノール(XIV)(1.0g、4ミリモル)の溶液を−50℃未満で10分にわたって添加した。トリエチルアミン(2.3ml、0.016モル)を−70℃未満で添加した。反応混合物を冷水中でクエンチし、ジクロロメタン(10ml)で生成物を抽出した。有機層を重炭酸ナトリウム水溶液で洗浄した後、水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルおよびヘキサンの混合液(5/95)を溶離液として用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、0.6gの(VIII)を57から58℃で溶融する無色固体として得た。
純度(GCによる。)=98%
この化合物の物理的特性は参照例9において調製した化合物と同一であった。
【0078】
[実施例12]
[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)の調製
2−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−エタノール(XIV)(6g、0.025モル)をジクロロメタン(60ml)に添加した。この溶液に重炭酸ナトリウム(水10ml中に1.2g)を添加した。反応混合物を0℃に冷却し、臭化カリウム(水1ml中に0.24g)およびTEMPO(2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル)(0.02g、0.13ミリモル)を単一ロットで添加した。この反応混合物に次亜塩素酸ナトリウム溶液(12.5%w/vを45ml)を0から5℃で15分にわたって添加した。0から5°での反応塊の継続撹拌。反応が完了した後、有機層を分離した。水層をジクロロメタンで抽出した。合わせた有機層を10%水酸化ナトリウム水溶液、次いで食塩水で洗浄した。有機層を硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルおよびヘキサンの混合液(5/95)を溶離液として用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製し、0.40gの(VIII)を57から58℃で溶融する無色固体として得た。
純度(GCによる。)=98%
この化合物の物理的特性は参照例9において調製した化合物と同一であった。
【0079】
[実施例13]
安息香酸−3−[7−シアノ−5(R)−(2−{2−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−エチルアミノ}−プロピル)−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XVI)の調製
安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)(10g、0.027モル)、メタノール(50ml)、氷酢酸(0.5g、8ミリモル)および[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)(7.6g、0.032モル)の混合物を周囲温度で1時間撹拌した。これにシアノ水素化ホウ素ナトリウム(2.14g、0.04モル)を添加し、25から30℃で1時間撹拌を継続した。次に、反応塊を40から45℃に加熱し、2時間撹拌した。反応が完了した後、減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣に水を添加した。反応塊を水性無機酸で酸性化し、この混合物を酢酸エチル中で抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルおよびヘキサンの混合液(5/95)を溶離液として用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して9.6gの(XVI)を油として得た。
純度(HPLCによる。)=98%
【0080】
[実施例14]
1−(3−ヒドロキシ−プロピル)−5−(2(R)−{2−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−エチルアミノ}−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−7−カルボン酸アミド(I)(シロドシン)の調製
ジメチルスルホキシド(60ml)中の安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)(3.5g、10ミリモル)の溶液に過酸化水素(10%w/w)(11ml)を投入した。次に、5N水酸化ナトリウム溶液(12.3ml)を添加し、反応塊を2時間撹拌した。反応が完了した後、水を添加して生成物を酢酸エチル中で抽出した。有機層を食塩水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下、40℃未満で溶媒を蒸発させ、メタノール(25ml)を添加した。この溶液に氷酢酸(0.25g、4ミリモル)および[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)(3g、0.0125モル)を投入した。反応混合物を25から30℃で1時間撹拌した。次に、シアノ水素化ホウ素ナトリウム(0.15g、2.8ミリモル)と反応させ、40から45℃で2時間加熱した。反応が完了した後、減圧下、40℃未満で溶媒を留去し、この残渣に水を添加した。次いで、反応塊を水性無機酸で酸性化した。その後、水層を塩基性化し、生成物を酢酸エチル中で抽出した。有機層を水で洗浄し、硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルおよびヘキサンの混合液(5/95)を溶離液として用いるシリカゲルでのカラムクロマトグラフィーによって精製して0.8gの(I)を黄色固体として得た。純度(HPLCによる。)=98%
【0081】
[実施例15]
1−(3−ヒドロキシプロピル)−5−[(2R)−({2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ]−エチル}アミノ)プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボニトリル(XVII)の調製
3−[7−シアノ−5(R)−[−2−{2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)−フェノキシ]エチル}アミノ)プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−1−イル}プロピルベンゾエート(XVI)(6.0g、0.010モル)、メタノール(30ml)および水酸化ナトリウムの水溶液(水8ml中に1.6g)の混合物を周囲温度で6時間撹拌した。この反応混合物に水(90ml)を添加し、生成物を酢酸エチル(90ml)で抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した後、食塩水洗浄して無水硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させて3.85gの(XVII)を得た。
【0082】
[実施例16]
1−(3−ヒドロキシ−プロピル)−5(R)−(2−{2−[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−エチルアミノ}−プロピル)−2,3−ジヒドロ−1H−インドル−7−カルボン酸アミド(I)(シロドシン)の調製
ジメチルスルホキシド(75ml)中の1−(3−ヒドロキシプロピル)−5(R)−[2−({2−[2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノキシ]−エチル}アミノ)プロピル]−2,3−ジヒドロ−1H−インドール−7−カルボニトリル(XVII)(6.0g、0.013モル)の溶液に5N水酸化ナトリウム溶液(4.5ml)を添加した。この反応混合物に30%過酸化水素(2.63ml)を25℃未満で徐々に添加した。反応混合物を周囲温度で6時間撹拌した。亜硫酸ナトリウムの水溶液(水15ml中に2.1)を反応混合物に添加した。反応混合物を酢酸エチルで抽出した。合わせた酢酸エチル層を2N塩酸で抽出した。水層を重炭酸ナトリウムで中和し、生成物を酢酸エチル中で抽出した。有機層を飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄した後、食塩水洗浄して無水硫酸ナトリウムで脱水した。減圧下で溶媒を蒸発させ、この残渣を酢酸エチルに溶解した。得られる溶液を5℃に冷却し、濾過して4.51gの(I)を固体として得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シロドシン(式Iの化合物)の合成方法であって、適切な溶媒中での、還元剤を用いる、式(VII)の化合物および式(VIII)の化合物の還元アミノ化を含む方法。
【化1】

【請求項2】
シロドシン(式Iの化合物)の合成方法であって、適切な溶媒中での、還元剤を用いる、式(VIII)の化合物および式(XV)の化合物の還元アミノ化を含む方法。
【化2】

【請求項3】
還元剤が水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、パラジウム付着炭素およびラネーニッケルを含む群より選択される、請求項1および2のいずれかに記載の方法。
【請求項4】
式(VIII)の化合物または医薬的に許容し得るその誘導体。
【化3】

【請求項5】
化合物(VIII)の調製方法であって、
a.ヨウ化2,2,2−トリフルオロエチルを2−メトキシフェノール(IX)の溶液と無機塩基および有機溶媒の存在下で反応させる工程と、
b.反応混合物を90から120℃で約8から11時間撹拌する工程と、
c.約30から45℃で(b)の反応混合物に水を添加する工程と、
d.工程(c)の反応混合物を芳香族炭化水素溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
e.有機層を減圧下で濃縮して化合物(X)の油を得る工程と、
f.工程(e)において得られる油(化合物X)をハロゲン化炭化水素溶媒に溶解した後、約−10℃から−25℃で三臭化ホウ素を添加する工程と、
g.工程(f)の反応混合物に無機塩基の水溶液を加えてクエンチした後、水層および有機層を分離する工程と、
h.工程(g)の有機層を濃縮して化合物(XI)を油として得る工程と、
i.工程(k)の油性化合物(XI)を非プロトン性極性有機溶媒に溶解した後、無機塩基およびブロモアセトアルデヒドエチレングリコールを撹拌下で添加する工程と、
j.工程(i)の反応混合物を110から135℃で4から6時間撹拌する工程と、
k.25から40℃で工程(j)の反応混合物に水を添加する工程と、
l.工程(k)の反応混合物のpHを無機酸で3から4に調整する工程と、
m.工程(l)の反応混合物を有機溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
n.工程(m)の有機層を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
o.工程(n)において得られる残渣を精製して固体化合物(XII)を得る工程と、
p.工程(o)で得られる化合物(XII)を溶媒1,4−ジオキサンおよび水に溶解した後、濃硫酸を添加する工程と、
q.工程(p)の反応混合物を85から110℃で約3から6時間撹拌する工程と、
r.前記反応混合物を有機溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
s.工程(r)からの有機層を減圧下で濃縮する工程と、
t.工程(s)の残渣を精製して化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法。
【請求項6】
工程(a)における無機塩基が炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびカリウムtert−ブトキシドから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項7】
工程(a)における有機溶媒がジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルスルホキシドから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項8】
工程(d)において、芳香族炭化水素溶媒がトルエン、ベンゼンまたはキシレンから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項9】
工程(f)におけるハロゲン化炭化水素溶媒が塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素および二塩化エチレンから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項10】
工程(g)における無機塩基が重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウムおよび水酸化アンモニウムから選択される弱塩基である請求項5に記載の方法。
【請求項11】
工程(i)における非プロトン性極性有機溶媒がジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルスルホキシドから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項12】
工程(i)における無機塩基が炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびカリウムtert−ブトキシドから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項13】
工程(m)において、有機溶媒が酢酸エチル、トルエンまたは塩化メチレンから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項14】
工程(o)において、精製をカラムクロマトグラフィーまたは再結晶化によって行うことができる請求項5に記載の方法。
【請求項15】
工程(r)における有機溶媒が酢酸エチル、トルエンまたは塩化メチレンから選択される請求項5に記載の方法。
【請求項16】
工程(t)において、精製をカラムクロマトグラフィーまたは再結晶化によって行うことができる請求項5に記載の方法。
【請求項17】
化合物(VIII)の調製方法であって、
a.式XIの化合物をブロモアセトアルデヒドエチレングリコールと反応させて式XIIの化合物を得る工程と、
b.式XIIの化合物を加水分解して式VIIIの化合物を得る工程とを含み、
化合物XIがカテコールから調製される方法。
【請求項18】
式XIIの化合物。
【化4】

【請求項19】
式VIIIの化合物の調製方法であって、
1)2−(2,2,2−トリフルオロエトキシ)フェノール(XI)、2−クロロエタノール、無機塩基および非プロトン性極性有機溶媒を90から120℃で約8から10時間撹拌する工程と、
2)工程(1)の反応混合物を濾過した後、濾液を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
3)工程(2)の残渣を有機溶媒に抽出した後、有機層を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
4)工程(3)の残渣を従来の方法によって精製して固体化合物を得る工程と、
5)工程(4)の固体をハロゲン化炭化水素溶媒に溶解する工程と、
6)工程(5)の溶液に−70℃を下回る温度で塩化オキザリルおよびハロゲン化炭化水素溶媒、次いでトリエチルアミンを添加する工程と、
7)工程(6)の反応混合物に水を加えてクエンチし、反応溶液をハロゲン化溶媒で抽出する工程と、
8)前記ハロゲン化溶媒を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
9)工程(8)の残渣を従来の方法によって精製し、固体化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法。
【請求項20】
工程(1)における無機塩基が炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化ナトリウムおよびカリウムtert−ブトキシドから選択される請求項19に記載の方法。
【請求項21】
工程(1)における有機溶媒がジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンおよびジメチルスルホキシドから選択される請求項19に記載の方法。
【請求項22】
工程(4)におけるハロゲン化炭化水素溶媒が塩化メチレン、クロロホルム、四塩化炭素および二塩化エチレンから選択される請求項19に記載の方法。
【請求項23】
シロドシン(I)の調製方法であって、
a.安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)、弱有機酸、アルコール溶媒および化合物[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)を25から40℃で1から2時間撹拌する工程と、
b.還元剤を工程aの反応混合物に添加して約1から2時間撹拌する工程と;
c.工程bの反応混合物を35から45℃の温度で約2から3時間撹拌する工程と、
d.減圧下で溶媒を蒸発させることによって工程cの反応混合物を濃縮する工程と、
e.工程dの残渣を無機酸で酸性化する工程と、
f.酢酸エチル中で生成物を抽出した後に濃縮し、式(XVI)の化合物を油として得る工程と、
g.メタノールおよび水酸化ナトリウム水溶液を工程fの油に添加して6時間撹拌する工程と、
h.水を添加して有機溶媒中で生成物を抽出する工程と、
i.工程hの抽出物を濃縮して式(XVII)の化合物を得る工程と、
j.DMSO、5N水酸化ナトリウム溶液、30%過酸化水素を式(XVII)の化合物に添加した後、周囲温度で6から8時間撹拌する工程と、
k.反応混合物に亜硫酸ナトリウム溶液を加えてクエンチする工程と、
l.酢酸エチル中で生成物を抽出した後、2N HClで酸性化する工程と、
m.水層を重炭酸ナトリウムで中和する工程と、
n.酢酸エチル中で生成物を抽出する工程と、
o.工程nの抽出物を減圧下で濃縮して固体残渣を得た後、酢酸エチル中で再結晶化してシロドシン(I)を得る工程と、
を含む方法。
【請求項24】
工程(a)における弱有機塩基が酢酸、トリフルオロ酢酸およびギ酸の群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項25】
工程(a)におけるアルコール溶媒が低級アルコールの群、例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノールおよび3級ブタノールから選択される請求項23に記載の方法。
【請求項26】
工程(b)における還元剤が水素化ホウ素アルカリ、シアノ水素化ホウ素アルカリ、ラネーニッケルおよびパラジウム付着炭素の群から選択される請求項23に記載の方法。
【請求項27】
シロドシン(I)の調製方法であって、
a)安息香酸3−[5(R)−(2−アミノ−プロピル)−7−シアノ−2,3−ジヒドロ−インドル−1−イル]−プロピルエステル(XV)、DMSO、30%過酸化水素および5N水酸化ナトリウム溶液を2から4時間撹拌する工程と、
b)水を添加して生成物を有機溶媒中に抽出する工程と、
c)前記有機溶媒を濃縮して残渣を得る工程と、
d)弱有機酸、アルコール溶媒および化合物[2−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−フェノキシ]−アセトアルデヒド(VIII)を工程(c)の残渣に25から40℃で添加して撹拌を約1から2時間継続する工程と、
e)還元剤を工程(d)の反応混合物に添加して約1から2時間撹拌する工程と、
f)工程(e)の反応混合物を35から45℃の温度で約2から3時間撹拌する工程と、
g)減圧下で溶媒を蒸発させることによって工程(f)の反応混合物を濃縮する工程と、
h)水性無機酸を工程(g)の反応混合物に添加する工程と、
i)工程(h)の反応混合物を有機溶媒中に抽出する工程と、
j)工程(i)の抽出物を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
k)工程(j)の残渣を従来の方法によって精製してシロドシン(I)を得る工程と、
を含む方法。
【請求項28】
還元剤がシアノ水素化ホウ素アルカリである請求項27に記載の方法。
【請求項29】
工程(a)において、非プロトン性極性有機溶媒がジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリルおよびジメチルスルホキシドから選択される請求項27に記載の方法。
【請求項30】
工程(a)において、酸化剤が過酸化水素から選択される請求項27に記載の方法。
【請求項31】
式VIIIの化合物の調製方法であって、
a)無機塩基およびヨウ化2,2,2−トリフルオロエチルを有機溶媒中のカテコールの溶液に添加する工程と、
b)工程(c)の反応混合物を90から130℃で約4から8時間撹拌する工程と、
c)工程(b)の反応混合物に約30から45℃で水を添加する工程と、
d)工程(c)の反応混合物を芳香族炭化水素溶媒中に抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
e)有機層を減圧下で濃縮して化合物(XI)の油を得る工程と、
f)工程(e)の油性化合物(XI)を非プロトン性極性有機溶媒に溶解した後、撹拌下で無機塩基およびブロモアセトアルデヒドエチレングリコールを添加する工程と、
g)工程(f)の反応混合物を約110から135℃で約4から6時間撹拌する工程と、
h)約25から40℃で工程(g)の反応混合物に水を添加する工程と、
i)工程(h)の反応混合物のpHを無機酸で3から4に調整する工程と、
j)工程(i)の反応混合物を有機溶媒中に抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
k)工程(j)の有機溶媒を減圧下で濃縮して残渣を得る工程と、
l)工程(k)において得られる残渣を精製して固体化合物(XII)を得る工程と、
m)工程(l)において得られる化合物(XII)を溶媒1,4−ジオキサンおよび水に溶解した後、濃硫酸またはシュウ酸を添加する工程と、
n)前記反応混合物を約85から110℃で約3から6時間撹拌する工程と、
o)前記反応混合物を有機溶媒で抽出した後、水層および有機層を分離する工程と、
p)工程(o)からの有機溶媒を減圧下で濃縮する工程と、
q)工程(p)の残渣を精製して化合物(VIII)を得る工程と、
を含む方法。
【請求項32】
工程(f)における無機塩基がアルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩およびアルカリ金属重炭酸塩の群より選択される請求項31に記載の方法。
【請求項33】
工程(f)における無機塩基が、好ましくは、アルカリ金属炭酸塩、例えば、炭酸カリウムである請求項31に記載の方法。
【請求項34】
工程(f)における非プロトン性極性溶媒がジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、アセトニトリル、ジメチルスルホキシド等を含む群より選択される請求項31に記載の方法。

【公表番号】特表2013−504563(P2013−504563A)
【公表日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−528507(P2012−528507)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【国際出願番号】PCT/IN2010/000607
【国際公開番号】WO2011/030356
【国際公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【出願人】(512061319)サンド・アクチエンゲゼルシヤフト (1)
【Fターム(参考)】