説明

インドール抗ウイルス組成物および方法

本発明は、新規な化学化合物およびそれらの使用方法を提供する。特に、本発明は、インドール誘導体(例えば、化学式(I)に示されているような)および関連化合物、ならびにインドール誘導体および関連化合物を、ウイルス感染および心血管疾患に関連した状態を含む多数の状態を処置するための治療薬剤として用いる方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、新規な化学化合物およびそれらの使用のための方法に関する。特に、本発明は、インドール誘導体(例えば、化学式(I)に示されているような)および関連化合物、ならびにウイルス感染および心血管疾患に関連したものを含む多数の状態を処置し得る治療剤としてインドール誘導体および関連化合物を用いる方法を提供する。
【0002】
本出願は、National Institutes of Health、National Institute of Allergy and Infectious Diseasesからの認可番号U19-AI31718およびP01-AI46390による政府支援に一部、資金援助を受けた。政府は本発明に一定の権利を有する。
【0003】
本出願は、全体として参照により本明細書に組み入れられている、2003年10月7日に出願された米国仮出願第60/509,412号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0004】
発明の背景
ヘルペスウイルスは二本鎖DNAウイルスの大きなファミリーを含む。ヘルペスウイルスのうちの8つ、単純ヘルペスウイルス1型および2型(HSV-1およびHSV-2)、水疱瘡ウイルス(VZV)、ヒトサイトメガロウイルス(HCMV)、エプスタイン-バーウイルス(EBV)、ならびにヒトヘルペスウイルス6、7および8(HHV-6、HHV-7およびHHV-8)は、ヒトに感染することが示された。これらのウイルスのいくつかは、重要なヒト病原体である。HSV-1は、米国において1億人の人々を冒していると推定される。HSV-1の初感染は通常、1歳と4歳の間で起こる。口辺ヘルペス、明らかな症状、は典型的にはもっと後の年齢で現れ、15歳を超える集団の20〜45%が冒されている(参照により本明細書に組み入れられた、Whitley, Clin. Intect. Dis., 26:541-555, 1998、を参照)。陰部ヘルペス(HSV-2)は、二番目に最も多く見られる性行為感染症であり、米国人口の約22%がこのウイルスに感染している。VZVは、初感染における水疱瘡の病原因子であり、成人において帯状疱疹として再発する。EBVは、結果として、年ごとに米国において、伝染性単球増加症の約2百万の患者を生じる。それはまた、免疫無防備状態の患者においてリンパ腫を引き起こし得、バーキットリンパ腫、鼻咽頭癌およびホジキン病と関連している。HCMVの感染は、しばしば、小児期に起こり、典型的には、有意の罹患率および死亡率を引き起こす免疫無防備状態の患者においてを除いて、無症候性である。HHV-6は、風疹の病原因子であり、多発性硬化症および慢性疲労症候群に関連している可能性がある。HHV-7疾患関連は明らかではないが、風疹のいくつかの症例に関与している可能性がある。HHV-8は、カポジ肉腫、体腔に基づいたリンパ腫および多発性骨髄腫に関連している。
【0005】
これらのウイルスは、宿主内に潜伏状態で存在することができる。潜伏ウイルスの再活性化は、環境的刺激(例えば、UV曝露、ストレスなど)に対する応答に起因する。感染または再発は、HCMVが結果として網膜炎、肺炎および胃腸疾患を生じ得る、AIDSまたは移植患者のような免疫無防備状態の患者において命を脅かし得る。それゆえに、必要とされるものは、これらのウイルスの1つまたは複数の感染を処置するおよび/または予防することができる化合物である。
【発明の開示】
【0006】
発明の概要
本発明は、新規な化学化合物およびそれらの治療的使用のための方法を提供する。特に、本発明は、インドール誘導体および関連化合物、ならびにウイルス感染および心血管疾患に関連した多数の状態を処置し得る治療剤としてインドール誘導体および関連化合物を用いる方法を提供する。
【0007】
いくつかの態様において、本発明は、化学式(I)に示された化合物を含む組成物を提供し、化学式(I)は以下のとおりであり:

および以下である:R1は、アルキル、アルケニル、アラルキル、ポリヒドロキシアルキル、または糖であり;R2は、ハロゲン、-N、R9、-O-R10、または-S-R11であり;R3は、CN、C=NR12、CXNH2、COR、CH2COR-COR13、ハロゲン、環外複素環またはNO2であり;およびR4、R5、R6、R7は、水素、ハロゲン、ニトロまたはアジドである(R9-R13および残りのR基は下の例に記載されている)。特定の態様において、R3はCHO、CN、またはCONH2ではない。化学式Iは、他に規定がない限り、何か特定の原子の空間的配置に限定されないことは留意されたい。
【0008】
特定の態様において、R1はアルキルC1-10;アルケニルC1-10;ヘテロアリールを含むアリールC1-10;ヒドロキシエトキシメトキシ(HEM)、ジヒドロキシプロポキシメチル(DHPM);ペントフラノシルおよびペントピラノシル(DまたはL)(αまたはβ)、テトラフラノシル(DまたはL)(αまたはβ)であり;R2は、R8およびR9が異なるかまたは同じであり得、かつアルキル(C1-10)、アルケニル(C1-10)、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキルから選択され得る-NR8R9;ハロゲン(例えば、クロロ、ブロモ)、シアノ、メルカプタン、アルキルメルカプタン(C1-10)、アルコキシ(C1-10)であり;R3は、シアノ、R12がアルキル、アルキルアミン、尿素、チオ尿素であり得るC=NR12;Xが=S、=O、=NH、=N-NH2、=NOH、=N-NHRであり得る-CXNH2;RがH、アルキル(C1-10)であり得る-RC=O;RがH、アルキル(C1-10)であり得る-CH2-C-R;複素環、例えば、チオフィン、フラン、イミダゾール、テトラゾール、イミダゾリジン、チアゾール、トリアゾール;またはニトロであり;ならびにR4〜R7は、R4〜R7が同じもしくは異なるハロ基であり得るハロゲン(クロロ、ブロモ、フルオロ、ヨード)または水素であり;R4〜R7は、ハロゲンが異なる並置にある、ニトロ基またはアジド基であってもよい、またはR4〜R7はまた、ハロゲン、ニトロ基およびアジド基と接近した、異なるアルキル(C1-6)基を表してもよい。
【0009】
他の態様において、R1は、D-またはL-リボース、D-またはL-キシロース、D-またはL-アラビノース、D-またはL-リキソース、D-またはL-エリトロース、D-またはL-トレオース;または上記の2-デオキシ、3-デオキシ、5-デオキシおよび2,3-ジデオキシ誘導体、または上に記載された両方のカテゴリーのα-またはβ-アノマー;アルキル(C1-10)、例えば、メチル、エチル、プロピル;アラルキル、例えば、ベンジル、フェネチル、置換ベンジル、置換フェネチル;ヘテロアリール、例えば、ピコリルメチル;HEM(ヒドロキシエトキシメトキシ)、DHPM(ジヒドロキシプロポキシメチル)、またはHEM&DHPMの構造的変異体であり;R2は、R8=R9=H、CH3、C2H5イソプロピル、シクロプロピルであるNR8R9;ハロゲン、クロロ、ブロモ;R10=CH3、C2H5、CH2C6H5である-O-R10;R11=H、CH3、C2H5、またはCH2C6H5である-S-R11であり;R3は、シアノ;R12が尿素、置換尿素、チオ尿素、置換チオ尿素であるC=NR12;Xが=O、=S、=NOH、=N-NH2である-CXNH2;RがH、CH3、C2H5、C3H7である-CR=O;RがH、CH3、C2H5、C3H7である-CH2-RC=O;または環外複素環であり;R4〜R7は、ハロ基Cl、Br、FまたはIおよびニトロ基およびアジド基を用いる置換の選択された変異体である。
【0010】
特定の態様において、R1は、D-リボフラノシル、2'-デオキシ-D-リボフラノシル、5'-O-アセチル-D-リボフラノシル、5'-O-アセチル-2'-デオキシ-D-リボフラノシル、2',3',5'-トリ-O-アセチル-D-リボフラノシル、3',5'-ジ-O-アセチル-2'-デオキシ-D-リボフラノシル;または5'-デオキシ-D-リボフラノシル、2',3'-ジ-O-アセチル-5'-デオキシ-D-リボフラノシルであり;R2は、R8=R9=H、CH3、C2H5、R8=HR9=イソプロピルまたはシクロプロピルである-NR8R9;R2=Cl、Brであり;R3は、シアノ;R12=尿素、チオ尿素であるC=NR12;Xが=O、=S、=NOH、=N-HN-Rである-CXNH2;R=H、CH3、C2H5、C3H7である-RC=O;チエニルまたはフリルであり;および、R4〜R7は、クロロ、ブロモ、水素またはニトロ基から選択される環外基である。
【0011】
いくつかの態様において、化合物は、化合物4.33、化合物4.46、化合物4.97、化合物4.117、化合物4.122、化合物4.137、化合物4.140、および化合物4.143からなる群より選択される。特定の態様において、化合物は、化合物4.6〜4.143から選択される。他の態様において、化合物は抗ウイルス活性を有する。特定の態様において、(ウイルスに対する)化合物の選択指標(CC50をIC50で割ることにより計算される)は、少なくとも85である(例えば、少なくとも85、少なくとも90、少なくとも95、少なくとも100、少なくとも110、少なくとも125、少なくとも150、少なくとも170、少なくとも190)。さらなる態様において、選択指標(CC50をIC50で割ることにより計算される)は、85と195の間(例えば、85〜195、95〜175、100〜150、または他の範囲)である。特定の態様において、組成物はさらに、薬学的に許容される担体または薬学的に許容される誘導体を含む。
【0012】
いくつかの態様において、本発明は、化学式(I)に示された化合物のプロドラッグを提供し、化学式(I)は以下のとおりである:

および以下である:R1は、アルキル、アルケニル、アラルキル、ポリヒドロキシアルキル、または糖であり;R2は、ハロゲン、-N、R9、-O-R10、または-S-R11であり;R3は、CN、C=NR12、CXNH2、COR、CH2COR-COR13、ハロゲン、環外複素環またはNO2であり;およびR4、R5、R6、R7は、水素、ハロゲン、ニトロまたはアジドである。化学式Iは、他に規定がない限り、何か特定の原子の空間的配置に限定されないことは留意されたい。
【0013】
他の態様において、本発明は、以下の段階を含む方法を提供する;a)以下のものを供給する段階;i)ウイルスまたはレトロウイルス感染の症状を有する患者;およびii)化学式(I)に示された化合物を含む組成物であって、化学式(I)は以下のとおりである、組成物:

および以下である:R1は、アルキル、アルケニル、アラルキル、ポリヒドロキシアルキル、または糖であり;R2は、ハロゲン、-N、R9、-O-R10、または-S-R11であり;R3は、CN、C=NR12、CXNH2、COR、CH2COR-COR13、ハロゲン、環外複素環またはNO2であり;およびR4、R5、R6、R7は、水素、ハロゲン、ニトロまたはアジドである、ならびにb)ウイルスまたはレトロウイルス感染の症状の少なくとも1つが低減または除去されるような条件下で組成物を患者へ投与する段階。
【0014】
他の態様において、ウイルス感染は、ヘルペスウイルス感染、ポックスウイルス感染および肝炎ウイルス感染からなる群より選択される。いくつかの態様において、ウイルス感染は、サイトメガロウイルス感染、B型肝炎ウイルス感染、単純ヘルペスウイルス1型感染、単純ヘルペスウイルス2型感染、水疱瘡ウイルス感染、エプスタイン-バーウイルス感染、ヒトヘルペスウイルス6感染、ヒトヘルペスウイルス7感染、ヒトヘルペスウイルス8感染、およびC型肝炎ウイルス感染からなる群より選択される。
【0015】
特定の態様において、本発明は、以下の段階を含む方法を提供する;a)以下のものを供給する段階;i)心血管疾患(例えば、再狭窄)の症状を有する患者;およびii)化学式(I)に示された化合物を含む組成物であって、化学式(I)が以下のものを含む組成物:

および以下である:R1は、アルキル、アルケニル、アラルキル、ポリヒドロキシアルキル、または糖であり;R2は、ハロゲン、-N、R9、-O-R10、または-S-R11であり;R3は、CN、C=NR12、CXNH2、COR、CH2COR-COR13、ハロゲン、環外複素環またはNO2であり;およびR4、R5、R6、R7は、水素、ハロゲン、ニトロまたはアジドである、ならびにb)心血管疾患(例えば、再狭窄)の症状の少なくとも1つが低減または除去されるような条件下で組成物を患者へ投与する段階。
【0016】
特定の態様において、投与段階は、外科的処置が患者に実行された後に行われる。さらなる態様において、投与段階は、患者における血管形成術後に行われる。特定の態様において、本発明は、化学式(I)の化合物を含む1つまたは複数のステント(例えば、心血管処置のための)を提供する(例えば、化学式(I)の化合物でコーティングされたステント)。さらなる態様において、本発明のインドール化合物(例えば、化学式(I)に示されているような)は、キットにパッケージされ得、そのキットは、化合物を対象へ投与するための使用説明書を含み得る。
【0017】
いくつかの態様において、本発明は、化学式Iに示されているような化合物を薬物として提供する。特定の態様において、本発明は、対象においてウイルスもしくはレトロウイルス感染、または心血管疾患を処置する方法を提供し、方法は、化学式Iの化合物または薬学的に許容されるその塩の有効量を対象に投与する段階を含む。他の態様において、本発明は、ウイルス、レトロウイルスまたは心血管疾患の処置のための薬物の製造における化学式Iの化合物の使用を提供する。いくつかの態様において、本発明は、活性物質として化学式Iの化合物を含むことを特徴とする、ウイルス、レトロウイルスまたは心血管疾患の処置のための薬を提供する。特定の態様において、本発明は、ウイルス、レトロウイルスまたは心血管疾患の処置のための組成物の調製として化学式Iの化合物を提供する。
【0018】
定義
本発明の理解を容易にするために、多数の用語が下に定義されている。
【0019】
本明細書に用いられる場合、用語「脂肪族」または「脂肪鎖」は、炭素および水素分子が直鎖または分枝鎖に配列されている有機化合物のクラスを指す。鎖は、飽和(例えば、アルカン)または不飽和(例えば、アルケンおよびアルキン)要素を含む。例は、限定されるわけではないが、エタン、エテン、エチン、オクタン、2-オクテン、2-オクチン、ペンタデカン、ヘキサデカンおよびエイコサンを含む。
【0020】
本明細書に用いられる場合、用語「置換脂肪族」または「置換脂肪鎖」は、脂肪族の水素原子の少なくとも1つが、ハロゲン、アミノ、水酸基、ニトロ、チオ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、または環(アリール、置換アリール、脂環式、または置換脂環式、など)により置換された脂肪鎖を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、1-クロロエチルなどを含む。
【0021】
本明細書に用いられる場合、用語「置換アリール」は、芳香族環、または少なくとも1つが芳香族であり、かつ環炭素上の水素原子の少なくとも1個が、ハロゲン、アミノ、水酸基、ニトロ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、もしくは環(アリール、置換アリール、脂環式、または置換脂環式)により置換されている、3つ以下の融合環からなる融合芳香族環系を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、ヒドロキシフェニルなどを含む。
【0022】
本明細書に用いられる場合、用語「脂環式」は、シクロアルカン、または少なくとも1つの融合脂環式環からなる融合環系を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、デカリンなどを含む。
【0023】
本明細書に用いられる場合、用語「置換脂環式」は、シクロアルカン、または脂肪族水素原子の少なくとも1個が、ハロゲン、ニトロ、チオ、アミノ、水酸基、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、もしくは環(アリール、置換アリール、脂環式、または置換脂環式)により置換されている、少なくとも1つの融合環からなる融合環系を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、1-クロロデカリルなどを含む。
【0024】
本明細書に用いられる場合、用語「複素環式」は、シクロアルカンおよび/またはアリール環系および/または、環炭素原子の少なくとも1個が酸素、窒素もしくは硫黄により置換される、少なくとも1つの融合環からなる融合環系を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、モルホリノなどを含む。
【0025】
本明細書に用いられる場合、用語「置換複素環式」は、シクロアルカンおよび/またはアリール環および/または、環炭素原子の少なくとも1個が、酸素、窒素もしくは硫黄により置換され、かつ脂肪族水素原子の少なくとも1個が、ハロゲン、水酸基、チオ、ニトロ、アミノ、ケトン、アルデヒド、エステル、アミド、低級脂肪族、置換低級脂肪族、もしくは環(アリール、置換アリール、脂環式、または置換脂環式)により置換されている、少なくとも1つの融合環からなる融合環系を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、3-クロロピラニルを含む。
【0026】
本明細書に用いられる場合、用語「ニトロ」または「ニトロサブグループ」は、NO2サブグループを指す。ニトロサブグループを含む化合物の例は、限定されるわけではないが、ニトロベンゼンを含む。
【0027】
本明細書に用いられる場合、用語「リンカー」は、2つの異なる構造的部分を連結する少なくとも2個の連続した原子を含む鎖であって、そのような原子が、例えば、炭素、窒素、酸素または硫黄である、鎖を指す。エチレングリコールは1つの非限定的な例である。
【0028】
本明細書に用いられる場合、用語「低級アルキル置換アミノ」は、脂肪族水素原子の1個がアミノ基により置換される、8個以下の炭素原子を含む任意のアルキル単位を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、エチルアミノなどを含む。
【0029】
本明細書に用いられる場合、用語「低級アルキル置換ハロゲン」は、脂肪族水素原子の1個がハロゲンにより置換される、8個以下の炭素原子を含む任意のアルキル鎖を指す。そのような例は、限定されるわけではないが、塩化エチルなどを含む。
【0030】
本明細書に用いられる場合、用語「アシルアミノ」とは、アシル化されているアミノ基である。そのような例は、限定されるわけではないが、アセトアミドなどを含む。
【0031】
本明細書に用いられる場合、用語「対象」または「患者」は、本発明の方法により処置されるべき生物体を指す。そのような生物体は、好ましくは、限定されるわけではないが、哺乳動物(例えば、マウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコなど)を含み、および最も好ましくはヒトを含む。本発明の関係において、用語「対象」は、一般的に、ウイルス感染、心血管疾患により特徴付けられる状態または他の状態について、処置(例えば、化学式(I)に示されているようなインドール化合物、および任意で1つまたは複数の他の作用物質の投与)を受けるであろう、または受けた個体を指す。
【0032】
本明細書に用いられる場合、用語「ウイルス」は、複製する偏性細胞内寄生体であるが、非細胞性性質を指す。例は、限定されるわけではないが、HIV-1、HTLV-1、ヒトヘルペスウイルス6およびA型肝炎ウイルスを含む。
【0033】
本明細書に用いられる場合、用語「レトロウイルス」は、それの核酸を有するRNAを有し、かつそれのゲノムを宿主細胞染色体のDNAへコピーするために酵素の逆転写酵素を用いる、レトロウイルス科における任意のウイルスを指す。
【0034】
本明細書に用いられる場合、用語「ウイルス病」または「ウイルス感染」または「ウイルス性疾患」または「ウイルス性状態」は、ウイルスにより引き起こされたまたは悪化した任意の疾患、感染、状態または障害を指す。例は、限定されるわけではないが、ヒト免疫不全症ウイルス-1(HIV-1)、後天性免疫不全症候群(AIDS)、単純ヘルペスウイルス(HSV)、水疱瘡ウイルス(VZV)、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)、およびサイトメガロウイルス(CMV)を含む。
【0035】
本明細書に用いられる場合、用語「レトロウイルス病」または「レトロウイルス感染」または「レトロウイルス性疾患」または「レトロウイルス性状態」は、レトロウイルスにより引き起こされたまたは悪化した任意の疾患、感染、状態または障害を指す。例は、限定されるわけではないが、AIDS、T細胞白血病、およびT細胞リンパ腫を含む。
【0036】
本明細書に用いられる場合、用語「抗ウイルス剤」または「従来型抗ウイルス剤」は、ウイルス性疾患の処置に用いられる任意の化学療法的化合物を指す。例は、限定されるわけではないが、Agenerase(アンプレナビル)、Combivir、Crixivan(インディナビル)、Epivir(3TC/ラミブジン)、Emtriva(エムトリシタビン(FTC))、Fortovase(サクイナビル)、Fuzeon(エンフュービルタイド)、Hivid(ddc/ザルシタビン)、Hydrea(ヒドロキシウレア)、Invirase(サクイナビル)、Kaletra(ロピナビル)、Norvir(リトナビル)、Rescriptor(デラビルジン)、Retrovir、AZT(ジドブジン)、Reyataz(アタザナビル)、Sustiva(エファビレンツ)、Trizivir、Videx、Videx EC(ddl/ディダノシン)、Viracept(ネルフィナビル)、Viramune(ネビラピン)、Viread(テノホビルディスプロキシルフマレート)、Zerit(d4T/スタブジン)、およびZiagen(アバカビル)を含む。そのような化合物は、本明細書に記載されているインドール化合物(例えば、化学式(I)に示されているような)と併用され得る。
【0037】
本明細書に用いられる場合、用語「有効量」は、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な化合物(例えば、化学式(I)におけるようなインドール化合物)の量を指す。有効量は、1回または複数回の投与、塗布または用量で投与され得、特定の製剤または投与経路に限定されない、または限定されることを意図されない。
【0038】
本明細書に用いられる場合、用語「共投与」は、少なくとも2つの作用物質(例えば、化学式(I)におけるようなインドール化合物)または療法の対象への投与を指す。いくつかの態様において、2つ以上の作用物質/療法の共投与は同時である。他の態様において、第一作用物質/療法は、第二作用物質/療法の前に投与される。当業者は、用いられる様々な作用物質/療法の製剤および/または投与経路は変わり得ることを理解している。共投与のための適切な用量は、当業者により容易に決定され得る。いくつかの態様において、作用物質/療法が共投与される場合、それぞれの作用物質/療法は、それらの単独投与について適切なものより低い用量で投与される。従って、共投与は、作用物質/療法の共投与が、既知の潜在的に有害な(例えば、毒性の)作用物質の必要な用量を低下させる態様において、特に望ましい。
【0039】
本明細書に用いられる場合、用語「薬学的組成物」は、活性作用物質の、不活性または活性の担体との組み合わせを指し、組成物を、インビボ、インビボもしくはエクスビボでの診断的または治療的使用に特に適するようにさせる。
【0040】
本明細書に用いられる場合、用語「薬学的に許容される担体」は、リン酸緩衝食塩水、水、乳濁液(例えば、油/水または水/油乳濁液のような)および様々な型の湿潤剤のような標準的薬学的担体のいずれかを指す。組成物はまた、安定剤および保存剤を含み得る。担体の例として、安定剤および補助剤がある。(例えば、Martin, Remington's Pharmaceutical Sciences, 第15版, Mack Publ. Co., Easton, PA [1975]を参照)。そのような薬学的に許容される担体は、本明細書に記載されたインドール化合物(例えば、化学式(I)に示されているような)と組み合わせられ得る。
【0041】
本明細書に用いられる場合、用語「薬学的に許容される塩」は、対象への投与において、本発明の化合物またはその活性代謝物もしくは残渣を供給することができる、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば、酸または塩基)を指す。当業者に知られているように、本発明の化合物の「塩」は、無機または有機の酸および塩基由来であり得る。酸の例は、限定されるわけではないが、塩化水素酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸などを含む。本来、薬学的に許容されないが、シュウ酸のような他の酸は、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得るにおいて中間体として有用な塩の調製において用いられ得る。
【0042】
塩基の例は、限定されるわけではないが、アルカリ金属(例えば、ナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)水酸化物、アンモニア、およびWがC1-4アルキルなどである化学式NW4+の化合物を含む。
【0043】
塩の例は、限定されるわけではないが、以下のものを含む:酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモン酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシレート、ウンデカン酸塩など。塩の他の例は、Na+、NH4+、およびNW4+(WはC1-4アルキル基である)などのような適切な陽イオンと混合された本発明の化合物の陰イオンを含む。
【0044】
治療的使用について、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるとして企図される。しかしながら、薬学的に許容されない酸および塩基の塩もまた、例えば、薬学的に許容される化合物の調製または精製において使用を見出し得る。
【0045】
本明細書に用いられる場合、用語「その化合物を対象へ投与するための使用説明書」およびその文法的相当語句は、ウイルス感染により特徴付けられる状態の処置のためにキットに含まれる組成物を用いることについての使用説明書を含む(例えば、投薬、投与経路、患者特異的特徴を治療手順と相互に関連させることについての処置を行う医師のための決定木を提供すること)。本発明のインドール化合物(例えば、化学式(I)に示されているような)は、キットへパッケージされ得、キットは、化合物を対象へ投与することについての使用説明書を含み得る。
【0046】
一般的説明
本発明は、新規な化学化合物およびそれらの使用のための方法を提供する。特に、本発明は、インドール誘導体(例えば、化学式(I)に示されているような)および関連化合物、ならびにウイルス感染および心血管疾患に関連したものを含む多数の状態を処置するために治療剤としてインドール誘導体および関連化合物を用いる方法を提供する。
【0047】
化学式Iの化合物は、例えば、ウイルス感染または心血管疾患または、例えば、感染もしくは手術に関連した合併症の処置および予防を含む、様々な臨床的状態の処置のために個体へ投与され得る。ウイルス感染の例は以下のものを含む:ヘルペスウイルス感染、ポックスウイルス感染、肝炎ウイルス感染、サイトメガロウイルス感染、B型肝炎ウイルス感染、単純ヘルペスウイルス1型感染、単純ヘルペスウイルス2型感染、水疱瘡ウイルス感染、エプスタイン-バーウイルス感染、ヒトヘルペスウイルス6感染、ヒトヘルペスウイルス7感染、ヒトヘルペスウイルス8感染、およびC型肝炎ウイルス感染。心血管疾患の例は、再狭窄、例えば、血管形成術後の再狭窄、溶解または拡張(PTCA)後の再閉塞予防を含む再閉塞予防、冠状動脈バイパス形成手術後の状態、静脈微小循環疾患状態、心筋梗塞、不安定狭心症を含む狭心症、血栓塞栓性疾患、血栓症、塞栓症、成人呼吸窮迫症候群、多臓器不全、脳卒中および播種性血管内凝固障害を含む。手術に伴う関連合併症の例は、例えば、手術後に起こり得る深部静脈および近位静脈血栓症を含む。特定の態様において、本発明の化合物は、個体において望まれていない凝固もしくは血液凝固もしくは血栓形成を低下、または抑制、または予防するための薬物として有用である。
【0048】
化学式Iの化合物、それらの生理学的に許容される塩およびプロドラッグのような他の適切なそれらの誘導体は、単独で、お互いとの混合物で、または、活性成分として、化学式Iの少なくとも1つの化合物の有効量ならびに/またはその生理学的に許容される塩および/もしくはもう一つの適切なその誘導体の有効量を薬学的に許容される担体と混合してもしくは別な方法で併せて含む薬学的組成物の形をとって、処置または予防のための上記状態(または他の状態)についての薬物または薬として投与され得る。
【0049】
患者の処置を実施するにあたって、化学式Iの化合物またはそれらを含む薬学的組成物は、経口および非経口経路を含む、化学式Iの化合物を有効量で生物が利用可能にする任意の形または様式で投与され得る。例えば、それらは、経口で、皮下に、筋肉内に、静脈内に、経皮的に、鼻腔内に、直腸に、など投与され得る。経口投与は、一般的に好ましいが、特定の場合に依存して、他の投与様式もまた都合よく、例えば、疾患の急性期における注射または注入の手段による静脈内投与がある。当業者は、処置されるべき疾患状態、疾患の時期および他の関連した環境に依存して投与の適した形および様式を容易に選択することができる。
【0050】
化学式Iの化合物ならびに/または生理学的に許容されるその塩および/もしくはもう一つの適切なその誘導体を含む、薬学的組成物または薬物は、標準的手順により、化学式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および/または他の適切なそれらの誘導体を、割合および性質が選択された投与経路および標準的薬務により決定される、1つもしくは複数の薬学的に許容される担体物質および/または補助剤と組み合わせることにより作製され得る。薬学的組成物または薬物は、薬学的分野において周知の方法で調製される。薬学的組成物は、一般的に、化学式Iの1つもしくは複数の化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および/または他の適切なそれらの誘導体の有効量を、個体への投与のための適切な用量を含むように適した量の担体と共に含む。薬学的組成物は、経口または非経口使用に適応させ得、例えば、錠剤、カプセル、坐剤、溶液、懸濁液、軟膏、チンキ、スプレー式点鼻薬、エアゾール混合物、インプラント、ロッド、マイクロカプセルなどの形をとって患者へ投与され得る。本発明はさらに、化学式Iの少なくとも1つの化合物および/もしくはその生理学的に許容される塩および/もしくはもう一つの適切なその誘導体を含む薬学的組成物または薬物の調製のための過程を含み、加えて、それは、化学式Iの化合物および/または生理学的に許容されるそれらの塩および/または他の適切なそれらの誘導体の薬物、特に上記の疾患の処置または予防のための薬物の調製のための使用を含む。
【0051】
薬学的に許容される担体および補助剤は、個体に非毒性である、または受け入れられる毒性(例えば、適当な規制機関により決定されたような)を有する物質または組成物として言及される。担体物質または賦形剤は、活性成分のための媒体として働き得る固体、半固体、または液体材料であり得る。
【0052】
補助剤の例は、増量剤、崩壊剤、結合剤、流動促進剤、湿潤剤、安定剤、乳化剤、保存剤、甘味剤、色素、フレーバー剤、着香剤、増粘剤、希釈剤、緩衝物質、可溶化剤、徐放効果を得るための作用物質、浸透圧を変化させるための塩、コーティング剤、酸化防止剤などである。
【0053】
経口投与を目的として、化学式Iの化合物および/またはそれらの生理学的に許容される塩および/または他の適切なそれらの誘導体の化合物は、賦形剤または不活性な希釈剤または可食性担体と混合され得、例えば、錠剤、フィルム錠剤、コーティング化錠剤、ピル、トローチ、カプセル、顆粒、溶液、懸濁液、乳濁液、エリキシル剤、シロップ、カシェ剤、チューイングガムなどの形をとって用いられ得る、またはそれらは、ゼラチンカプセルに封入され得る。経口投与のための薬学的組成物は、特定の形に依存して変わり得る。通常、そのような薬学的組成物は、少なくとも1%の、化学式Iの、ならびに/または生理学的に許容されるその塩および/もしくはもう一つの適切なその誘導体の活性成分を含み、かつ単位の重量の約90%まで都合よく含み得る。好ましくは、化学式Iの化合物ならびに/またはそれらの生理学的に許容される塩および/もしくは他の適切な誘導体の含有量は、重量で約4%から約70%までである。好ましくは、組成物に存在する活性成分の量は、投与に適した単位剤形が得られるようにである。
【0054】
錠剤、ピル、カプセル、トローチなどはまた、例えば、以下の担体および補助剤の1つまたは複数を含む:微結晶性セルロース、トラガカントゴムまたはゼラチンのような結合剤;デンプンまたは乳糖のような賦形剤、アルギン酸、プリモゲル(Primogel)、コーンスターチなどのような崩壊剤;ステアリン酸マグネシウムまたはステロテックス(Sterotex)のような潤滑剤;コロイド状二酸化ケイ素のような流動促進剤。さらに、ショ糖またはサッカリンのような甘味剤、またはペパーミント、サリチル酸メチルまたはオレンジ香味料のような香味剤が添加され得る。用量単位形がカプセルである場合、上記の型の材料に加えて、ポリエチレングリコールまたは脂肪油のような液体担体を含み得る。他の用量単位形は、用量単位の物理的形を改変する様々な他の材料を、例えば、コーティングとして、含み得る。従って、錠剤またはピルは、糖、セラックまたは他の腸溶性コーティング剤でコーティングされ得る。シロップは、活性成分に加えて、例えば、甘味剤およびいくらかの保存剤としてのショ糖、色素および着色料および香料を含み得る。
【0055】
例えば、非経口投与を目的として、化学式Iの化合物および/または生理学的に許容されるそれらの塩および/または他の適切なそれらの誘導体は、溶液または懸濁液に組み入れられ得る。溶液または懸濁液はまた、例えば、以下の担体および補助剤の1つまたは複数を含む:注射用蒸留水、食塩水、固定油、ポリエチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、または他の合成溶媒のような滅菌希釈剤;ベンジルアルコールまたはメチルパラベンのような抗細菌剤;アスコルビン酸または亜硫酸水素ナトリウムのような酸化防止剤;エチレンジアミン四酢酸のようなキレート剤;酢酸塩、クエン酸塩またはリン酸塩のような緩衝剤;塩化ナトリウムまたはデキストロースのような毒性の調整のための作用物質。非経口投与のための調製物における化学式Iの化合物の、ならびに/またはそれらの生理学的に許容される塩および/もしくは他の適切なそれらの誘導体の含有量は、変わり得る。通常、それらは、化学式Iの化合物ならびに/または生理学的に許容されるそれらの塩および/もしくはもう一つの適切なそれらの誘導体の重量で少なくとも0.1%で、かつ重量で90%までを含む。好ましくは、化学式Iの化合物および/または生理学的に許容されるその塩および/または他の適切なその誘導体の含有量は、約0.1%から50%までである。非経口調製物は、例えば、アンプル、使い捨て注射器、ガラスもしくはプラスチックでできている複数回投与バイアル、または注入ボトルに封入され得る。マイクロカプセル、インプラントおよびロッドについての適切な賦形剤は、例えば、グリコール酸および乳酸の混合ポリマーである。
【0056】
一般的に、薬学的組成物に存在する化学式Iの化合物および/または生理学的に許容されるそれらの塩および/または他の適切なそれらの誘導体の量は、約0.5 mgから約1 gまで、好ましくは約1 mgから約500 mgまでである。活性化合物としての1つもしくは複数の化学式Iの化合物および/または1つもしくは複数の生理学的に許容されるそれらの塩および/または1つもしくは複数の他の適切なそれらの誘導体以外に、本発明による薬学的組成物はまた、1つまたは複数の薬理学的活性のある化合物を含み得る。様々な薬学的組成物の調製において用いられる任意の材料は、薬学的に純粋であり、かつ用いられる量において非毒性であるべきである。
【0057】
もう一つのより一般的な態様において、本発明は、化学式Iの少なくとも1つの化合物および/またはそれらの塩および/またはもう一つの適切なそれらの誘導体を、1つもしくは複数の不活性な担体と混合してまたは別の方法で結合して含む組成物を提供する。これらの組成物は、例えば、アッセイ標準として、貨物輸送を作る便利な手段として、薬学的組成物として、または薬学的組成物の作製のための出発材料として、有用である。そのような組成物における化学式Iの化合物の量は、一般的に、重量で約0.001%から約90%まで変わる。不活性な担体は、化学式Iの化合物を分解しない、または、共有結合性に反応しない任意の物質であり得る。適切な不活性な担体の例は、水;例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析において一般的に有用であるもののような水性緩衝液;アセトニトリル、酢酸エチル、ヘキサンなどのような有機溶媒;ならびに薬学的に許容される担体および/または補助剤である。化学式Iの化合物はまた、他の化合物の調製において、特に他の薬理学的活性のある化合物の調製において、出発材料または化学的中間体として用いられ得る。本発明の化合物の本発明の他の化合物へのそのような変換についての例は、上で考察されており、下に詳細に与えられている。この使用について、化学式Iの化合物およびそれらの生理学的に許容される塩以外に、薬としての使用に適さない、またはあまり適さない化学式Iの化合物の他の塩もまた、有用であり得る。従って、本発明はまた、一般的に化学的中間体としての、特に薬理学的活性のある化合物の調製における中間体としての、化学式Iの化合物およびそれらの塩に関する。本発明の対象はまた、上記および下記の化学式Iの化合物の合成に用いられる中間体、ならびに化学的中間体としての、特に薬理学的活性のある化合物の調製における中間体としてのそれらの使用である。
【0058】
実験
以下の実施例は、本発明の特定の好ましい態様および局面を実証し、かつ、さらに例証するために提供され、その範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【0059】
後に続く実験的開示において、以下の略語が適用される:N(正常な);M(モル濃度);mM(ミリモル濃度);μM(マイクロモル濃度);mol(モル);mmol(ミリモル);μmol(マイクロモル);nmol(ナノモル);pmol(ピコモル);g(グラム);mg(ミリグラム);μg(マイクログラム);ng(ナノグラム);lまたはL(リットル);ml(ミリリットル);μl(マイクロリットル);cm(センチメートル);mm(ミリメートル);μm(マイクロメートル);nm(ナノメートル);DS(デキストラン硫酸);およびC(摂氏度)。
【0060】
実施例1
インドールヌクレオシドの合成
この実施例は、インドールヌクレオシドおよび様々なインドールヌクレオシドの合成を記載する。ベンズイミダゾールヌクレオシド、2,5,6-トリクロロ-1-(β-D-リボフラノシル)ベンズイミダゾール(参照により本明細書に組み入れられている、Townsend, et al., J. Med. Chem. 1995, 38, 4098-4105;TCRB、4.1、図1A参照)は、インビトロでのヒトサイトメガロウイルス(HCMV)複製の強力かつ選択的阻害剤であることが報告されている。TCRBのインビボでの不安定性のため(参照により本明細書に組み入れられている、Good et al., Antiviral Res. 1994, 23(S), 103)、このリード化合物の多くの類似体が、ある特定の修飾が、効力および選択性を維持しながらグリコシド結合安定性を増加させることを期待して合成された。異なる複素環式塩基に基づいた類似体の合成が、特に生産的であった。
【0061】
これらの新しい合成に用いられる代替的複素環は、窒素原子の1つが炭素により置換されているベンズイミダゾールに似ているインドールである。驚くべきことに、2,5,6-トリクロロ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.2、図1A)、TCRBの直接的類似体、はHCMVに対して不活性、および非細胞毒性の両方であった(参照により本明細書に組み入れられている、Chen, et al., J. Med. Chem. 2000, 43, 2449-2456)。しかしながら、インドール環の3位で置換されたいくつかの誘導体は非常に活性があることが証明された(参照により本明細書に組み入れられている、Chen, J.J. Synthetic Studies of Some Pyrazine, Indole, and Quinoline Nucleosides, Ph. D. Thesis: Department of Chemistry; University of Michigan: Ann Arbor, MI, 1998)。これらの類似体の最も強力かつ選択的なのは、HCMVに対して0.23 μMのIC50および感染していない宿主細胞に対して45 μMのCC50を有する2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、図1A)であった。化合物4.3の選択性指標は、195(CC50をIC50で割ることにより計算される)であり、TCRBについて報告された82の選択性指標(Tonwsend et al., 前記を参照)より大きい。
【0062】
抗ウイルス活性の機構への予備調査は、3-ホルミルインドールヌクレオシド4.3(図1A)がTCRBのそれと類似した様式で挙動することを示唆した。化合物4.2、TCRB(4.1)の直接的類似体は不活性であったが、3-ホルミルインドールヌクレオシド4.3はTCRBよりいっそう活性があったため、3-置換型インドールヌクレオシド4.3(図1A)の優れた抗ウイルス活性は、環系の3位における水素結合の存在に起因し得ると考えられた。それゆえに、一連のインドールヌクレオシドの合成および評価は、以前に合成された類似体に対して抗ウイルス活性を増加させる、および/または細胞毒性を低減させる意図をもっている。
【0063】
2-置換型インドールヌクレオシド
トリクロロベンズイミダゾールヌクレオシドについての場合のように(参照により本明細書に組み入れられている、Migawa, et al., J. Med. Chem. 1998, 41, 1242-1251)、3位に電子求引性置換基を有するインドールの2-クロロ置換基は、求核置換に感受性が高い。2位に置換アミンを含むベンズイミダゾールヌクレオシド1263W94はHCMVに対して非常に活性があるため(Biron et al., Agents Chemother 2002, 46, 2365-2372)、2位にモノ-およびジ-アルキルアミンを有する一連のインドールヌクレオシド類似体が計画された。
【0064】
意外にも、ジメチルアミンの保護されていないヌクレオシド4.3(Chen Thesis、前記参照)(図4.2)との反応は、高温においてさえも進行しなかった。しかしながら、ジメチルアミンのイソプロピリデン保護化ヌクレオシド4.7(Chen, et al.、前記)との反応は、室温でなめらかに起こり、所望の2-ジメチルアミノ誘導体4.8(図2)を生じた。化合物4.8(図2)は、その後、90%水性トリフルオロ酢酸での処理により脱保護され、所望のヌクレオシド類似体5,6-ジクロロ-2-ジメチルアミノ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.6、図2)を与えた。ヌクレオシド4.3とイソプロピリデン保護化コンジナー4.7の間の反応性の違いについての理由は明らかではないが、後の合成において化学的選択性を導くために用いられている。2-クロロ置換基を置換し得る効率的方法に関して、他の類似体もまた遂行された。従って、保護化ヌクレオシド4.7を、脱保護後、2-(N-ピロリジノ)誘導体4.10を供給するようにピロリジンと反応させた。イソプロピリデン保護化3-シアノコンジナー(4.11、図2)の反応もまた、上記反応条件下でなめらかに進行し、トリフルオロ酢酸での脱保護後、3-ニトリルの2-ジメチルアミノおよび3-(N-ピロリジノ)類似体(4.14および4.15、図2)の両方を供給した。
【0065】
対応する2-モノアルキルアミノ化合物を合成することは簡単ではないことが最初は想定された。イミン形成の可能性のある複雑化を避けるために「保護化」モノアルキルアミンの使用を必要とする合成スキームが構想された。従って、保護化インドールヌクレオシド4.7のp-メトキシベンジルメチルアミンとの反応は、非対称2-ジアルキルアミノ誘導体4.17へ導くことが考えられた。化合物4.17(図3A)は、その後、通常の方法で90%水性トリフルオロ酢酸で脱保護され、続いて、DDQでp-メトキシベンジル保護基を除去し、所望の類似体5,6-ジクロロ-2-メチルアミノ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.18、図3A)を生じることができた。思いがけないことに、これらの余分な段階が必要ではないことが発見された。イミン誘導体4.20を合成する試みにおいて、親ヌクレオシド4.3を、エタノール中のメチルアミンの溶液と反応させた。驚くべきことに、単離されたのはイミンではなかった。完全保護化ヌクレオシド類似体4.3の2-クロロ置換基が求核置換に対して抵抗性であったという上で観察された傾向とは反対に、この場合において唯一の単離された生成物は、5,6-ジクロロ-2-メチルアミノ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.18、図3A)であった。この情報を用いて、対応する2-イソプロピルアミノ誘導体(4.19、図3A)もまた合成された。
【0066】
他の2-置換基がこの系列の化合物の活性に有益な効果を生じるかどうかを測定するために、2-メトキシ-および2-チオメトキシ-誘導体もまた調製された。所望の生成物は、過剰のナトリウムメトキシドでの5'-O-アセチルリボシド4.24(図3B)の脱保護中の副生成物として得られたが、低収量であった。同様に、塩基性条件下でのイミデートの合成の試みは、代わりに、2-メトキシ誘導体4.26(図3B)へと導いた。
【0067】
3-置換型インドールヌクレオシド
3つの一般的なアプローチは、このクラスにおける化合物を調製するために用いられた。第一に、既存のヌクレオシド類似体4.3〜4.5(図1A)が直接的に修飾された。第二に、3-非置換型ヌクレオシド4.2(図1A)およびそれの保護化類似体の求電子付加による修飾が達成された。第三に、これらの方法のどちらによっても合成され得ない標的が、適切な複素環の合成、続いてグリコシル化および糖部分のさらなる操作により作製された。
【0068】
芳香族アルデヒドおよびニトリルは修飾のための多くの機会を提供するため、誘導体4.3および4.4(図3B)は、修飾に大変都合よくできていた。アルデヒド誘導体2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、図4)は、多数の異なるアミン含有化合物との付加-脱水反応を起こすことができる。セミカルバゾンおよびチオセミカルバゾン(4.27および4.28、図4)は、それぞれ、セミカルバジドおよびチオセミカルバジドとの4.3(図4)の反応により合成された。オキシム4.29および4.30(図4)は、それぞれ、ヒドロキシルアミンおよびメトキシルアミンから類似した方法で生成された。カルバゼート4.31(図4)は、メチルヒドラジノカルボキシレートを用いて同様に調製された。
【0069】
芳香族ニトリルもまた、強力な求核剤との、または酸触媒作用下での付加反応を起こすことができる。カルボキサミドオキシム4.33(図5)は、従って、2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.4、図5)のヒドロキシルアミンとの反応により合成された。イミデート4.34は、4.4(図5)の無水メタノールおよび乾性HClガスとの反応により合成されるため、後者のストラテジーの例である。
【0070】
他のアシル置換基(すなわち、アセチル、プロピオニルなど)が3位において許容的であるかどうかを測定するために、4.3(図1A)のいくつかの他のアシル化誘導体の合成を遂行した。既知の中間体4.38(Chen Thesis)(図6A)の5'-ヒドロキシル基は、高温において無水酢酸でアセチル化された。その後、この完全保護化ヌクレオシド類似体は、ビルスマイヤー-ハック条件(ジメチルアセトアミドを用いて)に曝された。ビルスマイヤー-ハック条件は、溶媒としてDMFを用いて以前にインドールヌクレオシドをホルミル化することに成功したが、残念ながら、溶媒としてジメチルアセトアミドでのこれらの同じ条件下では反応は起こらなかった。塩化アセチルおよび塩化アルミニウムを用いる4.39(図6A)の標準フリーデル-クラフツのアシル化は、所望の3-アセチルインドールヌクレオシド4.40(図6A)を生成したが、収量は乏しかった。この中間体は、その後、2段階手順において、最初に90%トリフルオロ酢酸で、その後、メタノール性ナトリウムメトキシドで脱保護されて、所望の2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(ββ-D-リボフラノシル)インドール(4.46、図6A)を生成した。
【0071】
同じ手順は、3-プロピオニル誘導体4.47(図6A)の合成のために用いられた。2,5,6-トリクロロ-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.39、図6A)が、プロピオン酸クロリドでフリーデル-クラフツ条件下でアシル化され、2段階で脱保護されて、所望の2,5,6,-トリクロロ-3-プロピオニル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.47、図6A)を生じた。
【0072】
3-トリフルオロアセチル誘導体4.48(図6A)もまた望ましい。BF3:SMe2およびトリフルオロ酢酸無水物を利用する手順(参照により本明細書に組み入れられている、Kiselyov, et al., Tetrahedron Lett. 1995, 36, 4005-4008)は、必須の中間体4.42(図6A)を供給した。水性トリフルオロ酢酸、続いてメタノール中のナトリウムメトキシドを用いる中間体の脱保護は、所望の生成物4.48(図6A)を生成した。
【0073】
3-メチル誘導体についての所望の複素環を合成するために、既知のメチル3,4-ジクロロフェニルアセテート(参照により本明細書に組み入れられている、Deutsch et al., Med. Chem. Res. 1999, 9, 213-222)(4.49、図6B)が、最初に、CockerおよびGraysonの手順(参照により本明細書に組み入れられている、Cocker et al., J. Chem. Soc. Perkin I 1975, 1347-1352)の修飾によりメチル化された。従って、4.49は、-78℃において液体アンモニア中、ナトリウムアミドで脱プロトン化され、ヨウ化メチルで処理されて、メチル2-(3,4-ジクロロフェニル)プロピオネート(4.50、図6B)を供給した。ナトリウムアミドおよびヨウ化メチルの量の最適化は、本質的にジメチル化類似体のいずれも含まない、高収率で所望の化合物を生成する手順へ導いた。HNO3/H2SO4でのフェニル環のニトロ化、続いて、ニトロ基の還元により、中間体メチル2-(6-アミノ-3,4-ジクロロフェニル)アセテート(4.52、図6B)を生成した。この中間体は、オキシンドール4.53(図6B)へ酢酸中で環化された。化合物4.53は、その後、オキシ塩化リンおよびイミダゾールで塩素化されて(Chenによる手順;Chen et al.参照)、所望の2,5,6-トリクロロ-3-メチルインドール(4.54、図6B)を与えた。
【0074】
掌中の所望のインドール誘導体に関して、注目は、この複素環のグリコシル化へ向けられた。保護化リボフラノシルクロリド4.55(両方とも参照により本明細書に組み入れられているが、Rosemeyer, et al., Helv. Chim. Acta 1988, 71, 1573-1585;およびWilcox, et al., Tetrahedron Lett. 1986, 27, 1011-1014)(図7)を用いる3-非置換型類似体(Chen et al.)と同じ方法でグリコシル化中間体4.56(図7)を合成する試みは、所望の物質の少量だけを供給した。これは不可解な結果であった、なぜなら、3位におけるメチル基の付加は、インドールにおける電子分布にほとんど影響を及ぼさないはずだからである。それどころか、3位におけるグリコシル化の競合反応が排除されたため、収率がより良いことを予想したであろう。これは、所望のリボシドの合成のための代替手順の開発を促した。
【0075】
2,5,6-トリクロロ-3-メチルインドールの保護化2-デオキシリボフラノシルクロリド4.57(Rolland, et al., Synth. Commun. 1997, 27, 3505-3511;参照により本明細書に組み入れられている)(図7)での縮合は、高収率で保護化2'-デオキシリボフラノシルインドールヌクレオシド4.58(図7)へ導いた。このヌクレオシド類似体は、メタノール中、ナトリウムメトキシドで脱保護され、その後、5'-水酸基は、かさ高くかつ頑強なt-ブチルジフェニルシリル(TBDPS)エーテルとして保護された。3'-水酸基は、容易にシリル化されるには立体的に込み合いすぎており、実質的には、メタンスルホニルクロリドでメシル化された。その結果として生じた保護化およびメシル化ヌクレオシド類似体(4.60、図7)は、湿性DMSO中、カリウムt-ブトキシドで処理されて(参照により本明細書に組み入れられている、Cao, et al. Helv. Chim. Acta 1992, 75, 1267-1273)、2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロヌクレオシド類似体4.61(図7)を生じた。これは、アセトン/水中、四酸化オスミウムおよびN-メチルモルホリン-N-オキシドの触媒量でジヒドロキシル化され、所望のヌクレオシド類似体2,5,6-トリクロロ-3-メチル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.62、図7)を生じた。
【0076】
3-クロロ-および3-ヨード置換型インドールヌクレオシド(4.74および4.75、図8)もまた合成された。3-メチル誘導体4.62(図7)についての場合のように、所望の複素環が最初に合成され、グリコシル化および糖操作が合成の後半に行われることが必要とされた。従って、2,5,6-トリクロロインドール(4.63、図8)は、N-クロロスクシンイミドで塩素化されるか、またはN-ヨードスクシンイミドでヨー化されるかのいずれかで、高収率で、2,3,5,6-テトラハロインドール4.64および4.65(図8)を供給した。これらは、その後、上のメチル類似体と同じ手順にかけられた。両方は、ナトリウム塩としてα-クロロ糖、3,5-ジ-O-p-トルオイル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシルクロリド(4.57、図8)でグリコシル化された。メタノール中でのナトリウムメトキシドでの脱保護後、化合物は、5'位においてシリル化され、2'位においてメシル化された。塩基誘導のメシレートの除去、続いて中間体2',3'-ジデオキシ-2',3'-ジデヒドロヌクレオシド4.72および4.73(図8)のジヒドロキシル化により、所望のヌクレオシド類似体2,3,5,6-テトラクロロ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.74、図8)および2,5,6-トリクロロ-3ヨード-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.75、図8)が供給された。
【0077】
ヨード類似体を合成するためのカップリング反応についての条件は、Huff, et al.(Synthesis of Unsymmetrical Biaryls Using a Modified Suzuki Cross-Coupling: 4-Biphenylcarboxaldehyde. In Organic Syntheses, Vol. 75; Smith, A.B., III Ed.; American Chemical Society: Washington, DC, 1997;pp 53-60;参照により本明細書に組み入れられている)から改変された手順を用いる前駆体2,5,6-トリクロロ-3-ヨード-1-(3,5-ジ-O-p-トルオイル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.67、図9)を用いて確立された。ヨー化インドールヌクレオシドは、酢酸パラジウム、ホスフィンリガンドおよび塩基の存在下において所望のアリールボロン酸と反応して、高収量の所望の生成物4.76および4.77(図9)を供給した。これらは、メタノール性ナトリウムメトキシドの標準的条件下で脱保護されて、3-アリール-2'-デオキシリボフラノシルインドールヌクレオシド4.78および4.79(図9)を生成した。
【0078】
確立された適切な条件で、対応するリボフラノシル誘導体も合成された。3-ヨードインドール誘導体4.75(図9)は、ボロン酸エステル形成の可能性のある複雑化を避けるために2段階で5'-O-MOM-2',3'-O-イソプロピリデン誘導体として保護された。保護化中間体4.81(図9)は、上のそれと同一の方法で2-フランボロン酸および3-チオフェンボロン酸とカップリングし、その後、湿性メタノール性HClで脱保護されて、所望の3-アリールヌクレオシド誘導体4.84および4.85(図9)を供給した。
【0079】
もう一つの望ましい合成標的は、3-ホモアルデヒド4.92(図10)である。既知の3-ホルミル誘導体4.89(図10)から開始する手順が開発された。アルデヒドを、(メトキシメチル)トリフェニルホスホニウムクロリドから誘導されたヴィティヒ(Wittig)試薬で処理し、ビニルエーテル4.90(図10)を生成した。この化合物の湿性メタノール性HClでの処理が、アルデヒドを曝露し、アセトニド保護基を除去することが予想されたが、2つの追加の副反応もまた生じた。5'-O-アセテートのトランスアセチル化は、糖部分を完全に脱保護し、遊離したアルデヒドは、すぐに、ジメチルアセタールとして保護された。このように得られた中間体は、その後、90%水性トリフルオロ酢酸で処理されて、所望の3-ホモアルデヒド4.92(図10)を供給した。
【0080】
糖修飾インドールヌクレオシド
インドールヌクレオシドの糖(グリコシル)部分の多くの修飾は可能であり、それらの多数が本明細書に例示されている。5'-デオキシ類似体を合成するために、適切に修飾されたヌクレオシドが構築されなければならなかった。従って、5'-O-トシレート4.93(図11)が最初に合成され、この化合物は、DMSO中、水素化ホウ素ナトリウムで還元され(参照により本明細書に組み入れられている、Hutchins, et al., Tetrahedron Lett. 1969, 40, 3495-3498)、所望の中間体4.94(図4.11)を生じた。合成は、その後、2つの所望の3-置換型ヌクレオシド類似体へ分岐することができた。DMF中でのオキシ塩化リンを用いる、またはクロロスルホニルイソシアネートの後、DMFおよび水を用いる、いずれかの通常の方法における脱酸素化中間体4.94の処理は、それぞれ、保護化中間体4.95および4.96(図11)を生成した。これらの化合物の脱保護は、90%水性トリフルオロ酢酸で達成されて、所望のヌクレオシド類似体4.97および4.98(図11)を供給した。
【0081】
5'-デオキシ-5'-アジド誘導体4.102および4.103(図12)を合成するために、保護化5'-O-トシレート4.93(図12)が再び用いられた。温DMFにおけるトシレートのアジ化ナトリウムとの置換は、保護化5'-デオキシ-5'-アジドヌクレオシド類似体4.99(図12)を生成した。化合物4.99は、その後、DMF中でのオキシ塩化リンとか、またはクロロスルホニルイソシアネート、続いてDMFおよび水とのいずれかと反応し、その後、90%水性トリフルオロ酢酸と反応し、所望の類似体2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-デオキシ-5-アジド-β-D-リボフラノシル)インドール(4.102、図12)および2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(5-デオキシ-5-アジド-β-D-リボフラノシル)インドール(4.103、図12)を生じた。
【0082】
2つの5'-デオキシ-5'-フルオロ類似体の合成について同様のストラテジーが用いられた。部分的に保護された中間体4.38(図13)は、デオキソフルオル(Deoxofluor)試薬(それの安定性の理由で、DASTより優先して選択された;参照により本明細書に組み入れられている、Lal et al., J. Org. Chem. 1999, 64, 7048-7054を参照されたい)で処理されて、フッ素化中間体4.104(図13)を供給した。上記の5'-デオキシヌクレオシド類似体の合成においてのように、この可変性中間体は、DMF中でのオキシ塩化リン、またはクロロスルホニルイソシアネートの後DMF、のいずれかで処理されて、アセトニド4.105および4.106(図13)の90%水性トリフルオロ酢酸での脱保護後、フッ素化ヌクレオシド類似体4.107および4.108(図13)を供給した。
【0083】
一連の2'-デオキシヌクレオシドもまた合成された。所望の置換基は、複素環上に設置され得、その後、修飾された複素環のグリコシル化を達成することができた。2,5,6-トリクロロインドール(Chen et al.)(4.111、図14)は、DMF中でのオキシ塩化リンか、またはジクロロメタンおよびニトロメタン中での塩化アセチルならびに四塩化スズ(参照により本明細書に組み入れられている、Ottoni, et al., Organic Letters 2001, 3, 1005-1007)かのいずれかで処理されて、それぞれ、2,5,6-トリクロロ-3-ホルミルインドール(4.112、図14)および2,5,6-トリクロロ-3-アセチルインドール(4.115、図14)を生じた。これらの化合物(4.112および4.115、図14)は、その後、保護化2-デオキシリボフラノシルクロリド4.57(図7)でグリコシル化されて、所望の保護化ヌクレオシド類似体4.113および4.116(図7)を高収率で供給した。しかしながら、脱保護中、2つの非常に異なる挙動が観察された。所望の3-アセチル誘導体4.117(図14)は予想どおり生成されたが、対応する3-ホルミル誘導体は、様々な異なる脱保護手順のいずれを用いても得られなかった。4.113(図14)の脱保護から唯一単離された生成物は、2-メトキシ誘導体4.114(図14)であった。3-シアノ誘導体の脱保護は、所望の2-クロロ(4.119、図14)および望まれていない2-メトキシ(4.120、図14)誘導体の両方が生成される、中間結果を生じた。
【0084】
5'-O-アセチル保護化誘導体2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.43、図6A)は以前に合成されており(図6A)、完全保護化類似体2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.46、図6A)に匹敵する抗ウイルス活性を有することが見出された。3-カルボキサルデヒド4.3および3-ニトリル4.4(図1A)の5'-O-アセチル類似体が類似した挙動を示すかどうかを測定するために、これらの2つの化合物の合成が開始された(4.122および4.124、図15)。従って、完全保護化3-非置換型インドールヌクレオシド誘導体4.39(図15)は、DMF中でのオキシ塩化リンか、またはクロロスルホニルイソシアネート、続いてDMFのいずれかで処理されて、それぞれ、所望の保護化ヌクレオシド類似体4.121および4.123(図15)を生成した。イソプロピリデン保護基は、その後、90%水性トリフルオロ酢酸で除去されて、所望の5'-O-アセチル保護化類似体4.122および4.124(図15)を生成した。追加の類似体は、その系列の完成に必要とされる合成手順の数を最小にすることを目的として、部分的保護化3-非置換型類似体4.38(図6A)の代わりに、部分的保護化3-ホルミル中間体4.7(図15)から合成された。非対称炭酸エステル4.130(図15)もまた、アシル置換基と炭酸エステル置換基の間の反応性における違いが、化合物の抗ウイルスプロフィールに類似した影響を及ぼすかどうかを測定することが望まれた。保護化5'-O-置換型ヌクレオシド4.125〜4.127(図15)が、それゆえに、適当な無水物またはクロロギ酸メチルのいずれかを用いて合成された。アセトニド保護基は、通常の条件下で除去されて、5'-O-アシル誘導体4.128および4.129(図15)ならびに炭酸メチル4.130(図15)を供給した。
【0085】
ブロム化インドールヌクレオシド
少数の2-ブロモ類似体が、これらの化合物もまた非細胞毒性用量において有用な抗ウイルス活性を有することを例証するために例示されている。親化合物4.3(図1A)の類似体および5'-O-アセチルエステル誘導体4.122(図15)、加えてカルボキサミドオキシム4.33(図5)および3-アセチル-2'-デオキシ類似体4.117(図14)が合成された。
【0086】
リボフラノシル類似体は、2-クロロ類似体を合成するために用いられるものと対応した手順により合成された。2-ブロモ-5,6-ジクロロインドール(Chen Thesis)(4.131、図16)は、クロロ糖4.55(図7)でグリコシル化された。結果として生じたリボフラノシドは、フッ化セシウムで脱保護され、その後、酢酸エステルとして再保護されて、共通の中間体4.134(図16)を供給した。3-ホルミル誘導体を合成するために、オキシ臭化リンおよびDMFが、所望の2-ブロモ類似体4.135(図16)を生成した。合成は、これまでのように、4.135(図16)の、90%水性トリフルオロ酢酸、続いてメタノール性ナトリウムメトキシドでの処理により完了されて、4.136および4.137(図16)を高収率で供給した。
【0087】
カルボキサミドオキシム4.140(図17)もまた、中間体4.134(図17)から合成された。化合物4.134は、クロロスルホニルイソシアネート、続いてDMFおよび水を用いてシアン化されて、3-シアノインドールヌクレオシド4.138(図17)を供給した。90%水性トリフルオロ酢酸におけるアセトニドの脱保護に続いて、インサイチューで5'-O-アセテートを脱保護するメタノール性ヒドロキシルアミンで処理し、長時間の反応時間後に、所望のカルボキサミドオキシム4.140(図4.17)を形成した。
【0088】
3-アセチル-2'-デオキシインドールヌクレオシド4.117(図4.14)の2-ブロモ類似体の合成は、既知の複素環2-ブロモ-5,6-ジクロロインドール(4.131、図4.22)から再び、進められた。交換可能な塩化物のすべての源を除去し、四臭化スズおよび臭化アセチルの両方を用いることにより、所望の2-ブロモ-5,6-ジクロロ-3-アセチルインドール(4.141、図18)が中位の収率で合成された。掌中の適当な複素環に関して、グリコシル化反応がこれまでのように行われ、中間体4.142(図4.18)は、メタノール中、ナトリウムメトキシドで脱保護されて、所望のヌクレオシド類似体4.143(図4.18)を生じた。
【0089】
実施例2
化合物の合成および生物学的評価
この実施例は、上記の化合物の生物学的評価を記載する。特に、化合物のそれぞれの抗ウイルス活性が試験され、化合物のほとんどすべてが、いくらかの抗ウイルス活性をもった。
【0090】
上記の化学的系列のそれぞれの1つのメンバーの抗ウイルス活性が、以下の表に例示されている。抗ウイルス活性は、下の実験の部に記載されているようにアッセイされたヒトサイトメガロウイルス(HCMV)および単純ヘルペスウイルス1型(HSV-1)を用いて示された。細胞毒性は、また下の実験の部に記載されているように、定常のヒト包皮線維芽細胞(HFF細胞)および増殖しているKB細胞において測定された。
【0091】

【0092】
各群のメンバーは、抗ウイルス活性を示し、いくつかのメンバーは、感染していない細胞において細胞毒性を生じた濃度より多くとも100分の1低い濃度でHCMVに対して活性があった。
【0093】
A. 実験の部
一般的な化学的手順
すべての溶媒を、公知の手順に従って使用の前に乾燥させた;すべての試薬は、商業的供給元から得られた、または文献手順から合成され、特に断りのない限り、さらなる精製なしに用いられた。空気感応性反応は、特に断りのない限り、アルゴンのわずかに陽圧下で行われた。室温は、20〜25Cの間であると想定される。溶媒の蒸発は、特に断りのない限り、40C未満において、減圧(水流吸引器、12 mmHg)下で達成された。クロマトグラフィー溶媒系は、v:v比において、または%vとして表される。融点は、Mel-Temp装置上でとられ、補正されていない。薄層クロマトグラフィーは、Analtech(Newark, DE)からのシリカゲルGHLFプレート上で行われた。クロマトグラムは、特に断りのない限り、254 nmにおけるUV光下で可視化された。1H-NMRスペクトルは、Bruker DPX300分光計上で300 MHzで、またはBruker DRX500分光計上で500 MHzで得られた。13C-NMRスペクトルは、Bruker DPX300分光計上で75 MHzで、またはBruker DRX500分光計上で125 MHzで得られた。19F-NMRスペクトルは、Bruker DPX300分光計上で300 MHzで得られた。1Hについての化学シフト値は、内部テトラメチルシラン標準(0.00 ppm)に対して測定された;13Cについての化学シフト値は、用いられた溶媒(DMSO-d6について39.52 ppm、およびCDCl3について77.23 ppm)に対して測定された;19Fについて化学シフト値は、外部TFA標準(-76.50 ppm)に対して測定された。質量分析法は、University of Michigan Department of Chemistry Mass Spectrometry設備において行われた。元素分析は、University of Michigan Chemistry Department Elemental Analysis設備において行われた。
【0094】
5,6-ジクロロ-2-ジメチルアミノ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)インドール(4.8)
DMF(1 mL)に溶解された2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)-インドール(4.7、100 mg、0.24 mmol)の溶液へ、40%水性ジメチルアミン(1 mL)を添加した。結果として生じた混合物を室温で16時間、撹拌し、その後、溶媒を蒸発させて(0.5 mmHg、40C)、うす黄色結晶固体をもたらした。残留物を水(10 mL)および鹹水(40 mL)に懸濁し、水性懸濁液をEtOAc(2 x 25 mL)で抽出した。組み合わされた有機抽出物を鹹水(10 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色結晶固体を生じた。固体をCHCl3(1 mL)に溶解し、1:2 ヘキサン:EtOAcでのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)へかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色結晶固体として4.8の81 mg(79%)を生じた。

【0095】
5,6-ジクロロ-2-(N-ピロリジノ)-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)インドール(4.9)
DMF(1 mL)に溶解された2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)-インドール(4.7、100 mg、0.24 mmol)の溶液へ、ピロリジン(1 mL)を添加した。結果として生じた混合物を室温で16時間、撹拌し、その後、溶媒を蒸発させて、うす黄色油をもたらした。残留物を水(10 mL)および鹹水(40 mL)に懸濁し、EtOAc(2 x 25 mL)で抽出した。組み合わされた有機抽出物を鹹水(10 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の油を生じ、静置すると凝固した。固体をCHCl3(1 mL)に溶解し、1:2 ヘキサン:EtOAcでのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)へかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色結晶固体として4.9の75 mg(69%)を生じた。

【0096】
5,6-ジクロロ-2-ジメチルアミノ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.6)
5,6-ジクロロ-2-ジメチルアミノ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)インドール(4.8、74 mg、0.17 mmol)を90%水性TFA(5 mL)に溶解し、結果として生じた溶液を室温で2分間、撹拌した。過剰の溶媒を真空下で除去し、残留油を5%水性Na2CO3(20 mL)に懸濁した。水性懸濁液をEtOAc(2 x 25 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を鹹水(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じた。粗物質をMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/水でのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.6の57 mg(85%)を生じた。

【0097】
5,6-ジクロロ-2-ピロリジノ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.10)
5,6-ジクロロ-2-ピロリジノ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)インドール(4.9、65 mg、0.14 mmol)を90%水性TFA(5 mL)に溶解し、結果として生じた溶液を室温で2分間、撹拌した。過剰の溶媒を真空下で除去し、残留油を5%水性Na2CO3(20 mL)に懸濁した。水性懸濁液をEtOAc(2 x 25 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を鹹水(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じた。粗物質をMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/水でのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.10の39 mg(66%)を生じた。

【0098】
5,6-ジクロロ-2-ジメチルアミノ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.14)
5,6-ジクロロ-2-ジメチルアミノ-3-シアノ-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)インドール(4.12、100 mg、0.23 mmol)を90%水性TFA(5 mL)に溶解し、結果として生じた溶液を室温で2分間、撹拌した。過剰の溶媒をその後、真空下で除去し、残留油を5%水性Na2CO3(20 mL)に懸濁した。水性懸濁液をEtOAc(2 x 25 ml)で抽出し、混合性有機抽出物を鹹水(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じた。粗物質をMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/水でのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.14の77 mg(85%)を生じた。

【0099】
5,6-ジクロロ-2-ピロリジノ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.15)
5,6-ジクロロ-2-ピロリジノ-3-シアノ-1-(2,3-O-イソプロピリデン-β-D-リボフラノシル)インドール(4.13、73 mg、0.16 mmol)を90%水性TFA(5 mL)に溶解し、結果として生じた溶液を室温で2分間、撹拌した。過剰の溶媒をその後、真空下で除去し、残留油を5%水性Na2CO3(20 mL)に懸濁した。水性懸濁液をEtOAc(2 x 25 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を鹹水(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じた。粗物質をMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/水でのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.15の53 mg(80%)を生じた。

【0100】
5,6-ジクロロ-2-メチルアミノ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.18)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、125 mg、0.33 mmol)をエタノール中の33% エチルアミン溶液(10 mL)に溶解し、結果として生じた溶液を室温で30分間、撹拌した。溶媒を約1 mLまで蒸発させ、EtOAc(50 mL)で希釈した。懸濁液をH2O(20 mL)および鹹水(50 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色残留物を生じた。残留物をMeOH(1 mL)に溶解し、20% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、透明な粘性残留物を生じ、それをMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色固体を生じ、それをMeOH/H2Oから再結晶させ、白色微結晶固体として4.18の56 mg(43%)を生じた。

【0101】
5,6-ジクロロ-2-イソプロピルアミノ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.19)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、171 mg、0.45 mmol)をイソプロピルアミン(10 mL)に溶解し、結果として生じた溶液を室温で16時間、撹拌した。溶媒をその後、蒸発させ、残留物をEtOAc(50 mL)に溶解した。懸濁液をH2O(20 mL)および鹹水(50 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色シロップを生じた。残留物をMeOH(1 mL)に溶解し、20% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、透明な粘性残留物を生じ、それをMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色固体を生じ、それをMeOH/H2Oから再結晶させ、白色微結晶固体として4.19の76 mg(42%)を生じた。

【0102】
5,6-ジクロロ-2-メトキシ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.25)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(Chen et al.参照;4.24、148 mg、0.35 mmol)を、ナトリウムメトキシド(21 mg、0.39 mmol)が添加された乾性MeOH(20 mL)に溶解した。溶液を室温で30分間、撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。残留物を10% 水性NaHCO3に懸濁し、懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出した。組み合わされた有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じた。固体をMeOH(1 mL)に溶解し、20% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色固体を生じた(回収された物質の残余は脱保護された2-クロロ誘導体であった)。粗生成物をMeOHに溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色微結晶固体として4.25の50 mg(42%)を生じた。

【0103】
5,6-ジクロロ-2-メトキシ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.26)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.4、100 mg、0.27 mmol)を、ナトリウムメトキシド(100 mg、1.9 mmol)が添加された乾性MeOH(10 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を逆流で2時間、加熱し、その後、室温まで冷却し、溶媒を蒸発させた。残留固体をMeOH/H2Oから再結晶させ、白色粉末として4.26の68 mg(63%)を生じた。

【0104】
2,5,6-トリクロロ-3-[(4-セミカルバゾノ)メチリデン]-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.27)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、76 mg、0.20 mmol)を、セミカルバジド塩酸塩の溶液(2.0 M、0.20 mL、0.40 mmol)および2滴のピリジンが添加されたメタノール(3 mL)に溶解した。溶液を60Cまで10分間、温め、その後、室温で16時間、撹拌し、その時間中に微細な白色沈澱物が発生した。懸濁液を4Cで4時間、冷却し、その後、固体を濾過により収集し、冷水ですすいだ。固体を真空下(0.5 mmHg、65℃)で12時間、乾燥させて、白色結晶固体を生じ、それをMeOHから再結晶させて、白色粉末として4.27の49 mg(56%)を生じた。

【0105】
2,5,6-トリクロロ-3-[(4-チオセミカルバゾノ)メチリデン]-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.28)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、94 mg、0.25 mmol)を、チオセミカルバジド(24 mg、0.26 mmol)が添加されたメタノール(10 mL)に溶解した。溶液を室温で16時間、撹拌し、その時間中に微細な白色沈澱物が発生した。懸濁液を4Cで4時間、冷却し、その後、固体を濾過により収集し、冷水ですすいだ。固体を真空下(0.5 mmHg、65℃)で12時間、乾燥させて、白色粉末として4.28の72 mg(65%)を生じた。

【0106】
2,5,6-トリクロロ-3-(N-ヒドロキシイミノメチリデン)-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.29)
MeOH(10 mL)中の2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、170 mg、0.45 mmol)の溶液へ、水中(2.0 mL)のメトキシルアミン塩酸塩(39 mg、0.56 mmol)および重炭酸ナトリウム(49 mg、0.48 mmol)の溶液を添加した。結果として生じた混合物を室温で16時間、撹拌し、その後、溶媒を蒸発させて、うす黄色残留物をもたらした。残留物を5%水性チオ硫酸ナトリウムの20 mLに懸濁し、EtOAc(2 x 50 mL)で抽出した。混合性有機抽出物を鹹水(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、ピンク色残留物を生じた。残留物を、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。適切なUV活性画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.29の124 mg(70%)を生じた。一部を、Et2O/ヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体を生じた。

【0107】
2,5,6-トリクロロ-3-(N-メトキシイミノメチリデン)-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.30)
MeOH(5 mL)中の2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、103 mg、0.27 mmol)の溶液へ、水中(1.0 mL)のメトキシルアミン塩酸塩(27 mg、0.32 mmol)および重炭酸ナトリウム(22 mg、0.26 mmol)の溶液を添加した。結果として生じた混合物を室温で16時間、撹拌し、その後、溶媒を蒸発させて、うす黄色残留物をもたらした。残留物を5%水性チオ硫酸ナトリウムの10 mLに懸濁し、EtOAc(2 x 25 mL)で抽出した。混合性有機抽出物を鹹水(10 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色残留物を生じた。残留物を、80% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。適切なUV活性画分をプールし、蒸発させて、白色粉末を生じた。粉末をEt2Oから再結晶させて、白色結晶固体として4.30の45 mg(41%)を生じた。

【0108】
2,5,6-トリクロロ-3-[N-(メトキシカルボニルアミノ)イミノメチリデン]-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.31)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、122 mg、0.32 mmol)を、メチルヒドラジノカルボキシレート(115 mg、1.3 mmol)が添加されたMeOH(10 mL)に溶解した。結果生じた溶液を60Cの油浴上で16時間、加熱し、その後、室温まで冷却し、100 mLの水へ注ぎ、溶媒を約50 mLまで蒸発させた。結果として生じた懸濁液を4Cまで冷却し、その後、濾過し、冷水(25 mL)ですすいだ。固体を沸騰EtOAc/ヘキサンから再結晶させて、淡いピンク色結晶固体として4.31の123 mg(85%)を生じた。

【0109】
2,5,6-トリクロロ-3-[N-(アセチルアミノ)イミノメチリデン]-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.32)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、109 mg、0.29 mmol)を、アセチルヒドラジン(85 mg、1.1 mmol)が添加されたMeOH(5 mL)に溶解した。結果生じた溶液を45Cの油浴上で16時間、加熱し、その後、室温まで冷却し、15 mLの水へ注いだ。結果として生じた懸濁液を4Cまで冷却し、その後、濾過し、その固体を冷水(25 mL)ですすいだ。固体をDMF(0.5 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色結晶固体を生じ、それをアセトン/MeOHから再結晶させて、60:40の比における異性体の分離できない混合物である白色微結晶固体として4.32の70 mg(56%)を生じた。

【0110】
2,5,6-トリクロロ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール-3-カルボキサミドオキシム(4.33)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.4、107 mg、0.28 mmol)を、ヒドロキシルアミン塩酸塩(0.50 g、7.2 mmol)および水酸化カリウム(0.39 g、7.0 mmol)が添加された乾性MeOH(5 mL)ならびに乾性DMF(1 mL)に溶解した。結果として生じた懸濁液を室温で16時間、撹拌し、その後、鹹水(25 mL)および水(25 mL)へ注ぎ、結果として生じた水性懸濁液をEtOAc(2 x 100 mL)で抽出した。混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、透明な油を生じ、それをMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、淡黄褐色固体を生じ、それをMeOH/H2Oから再結晶させ、淡黄褐色固体として4.33の81 mg(70%)を生じた。

【0111】
メチル2,5,6-トリクロロ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール-3-ホルミミデート(4.34)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.4、107 mg、0.28 mmol)を、氷浴において0Cまで冷却された乾性MeOH(10 mL)に溶解した。塩化水素ガスを2時間、その溶液中へゆっくり泡立てて通し、その後、反応容器をきつくキャップして、結果として生じた溶液を室温で24時間、撹拌した。酸性溶液をEt2O(20 mL)で希釈し、乾燥状態まで蒸発させた。残留固体を10% 水性NaHCO3(100 mL)に懸濁し、EtOAc(3 x 100 mL、激しく振盪させながら)で抽出した。混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じ、それをDMF(0.5 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色結晶固体として4.34の64 mg(58%)を生じた。

【0112】
2,5,6-トリクロロ-3-[N-(ジメチルアミノ)イミノメチリデン]-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.35)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、100 mg、0.26 mmol)を、非対称ジメチルヒドラジン(0.5 mL)が添加されたMeOH(5 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を室温で16時間、撹拌し、その後、真空下で蒸発させ、黄色残留物を生じた。残留物をDMF(0.5 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.35の87 mg(78%)を生じた。

【0113】
5,6-ジクロロ-1-メチル-8-(β-D-リボフラノシル)ピラゾロ[3,4-b]インドール(4.36)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.3、82 mg、0.22 mmol)を、メチルヒドラジン(0.5 mL)が添加されたメタノール(4 mL)に溶解した。溶液を室温で16時間、撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。残留物を20 mLの鹹水に懸濁し、EtOAc(2 x 20 mL)で抽出した。混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色の油を生じた。油を75% MeOH/水でのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体として4.36の29 mg(33%)を生じた。

【0114】
5,6-ジクロロ-3-アミノ-8-(β-D-リボフラノシル)ピラゾロ[3,4-b]インドール(4.37)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.4、102 mg、0.27 mmol)を、ヒドラジン水化物(2 mL)に溶解し、結果として生じた溶液を室温で30分間、撹拌した。このようにして得られた懸濁液を水(8 mL)で希釈し、0℃まで冷却し、懸濁液を濾過し、その固体を水ですすいだ。その固体をMeOH/H2Oから再結晶させて、白色結晶固体として4.37の91 mg(90%)を生じた。

【0115】
2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.43)
2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.40、375 mg、0.79 mmol)を、90%水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、室温で5分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc(100 mL)に溶解した。有機溶液を10%水性NaHCO3(50 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体をMeOH(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、透明なガラスを生じ、それを白色結晶固体として4.43の318 mg(93%)を生じた。

【0116】
2,5,6-トリクロロ-3-プロピオニル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.44)
2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-プロピオニル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.41、178 mg、0.36 mmol)を、90%水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、室温で2分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc(100 mL)に溶解した。有機溶液を10%水性NaHCO3(50 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体を温MeOHから再結晶させて、白色結晶固体として4.44の152 mg(93%)を生じた。

【0117】
2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.46)
2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.43、232 mg、0.53 mmol)を、ナトリウムメトキシド(35 mg、0.65 mmol)が添加された乾性MeOH(20 mL)に溶解した。溶液を室温で45分間、撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。残留物を10%水性NaHCO3(50 mL)に懸濁し、懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出した。混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じた。その固体を沸騰EtOAc/ヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.46の170 mg(81%)を生じた。

【0118】
2,5,6-トリクロロ-3-プロピオニル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.47)
2,5,6-トリクロロ-3-プロピオニル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.44、90 mg、0.21 mmol)を、ナトリウムメトキシド(14 mg、0.26 mmol)が添加された乾性MeOH(15 mL)に溶解した。溶液を室温で40分間、撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。残留物を鹹水(50 mL)および水(5 mL)に懸濁し、懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出した。混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色固体を生じた。その固体を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色固体を生じ、それを沸騰EtOAcから再結晶させて、白色結晶固体として4.47の170 mg(81%)を生じた。

【0119】
2,5,6-トリクロロ-3-トリフルオロアセチル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.48)
2,5,6-トリクロロ-3-トリフルオロアセチル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.45、94 mg、0.19 mmol)を、ナトリウムメトキシド(12 mg、0.22 mmol)が添加された乾性MeOH(20 mL)に溶解した。溶液を室温で90分間、撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去した。残留物を鹹水(40 mL)および水(5 mL)に懸濁し、懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出した。混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄橙色の固体を生じた。その固体を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色固体を生じ、それをMeOH/H2Oから再結晶させて、うす黄色粉末として4.48の48 mg(56%)を生じた。

【0120】
2,5,6-トリクロロ-3-メチル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.62)
2,5,6-トリクロロ-3-メチル-1-(2,3-ジデオキシ-2,3-ジデヒドロ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.61、212 mg、0.64 mmol)を、N-メチルモルホリン-N-オキシド(0.20 g、1.7 mmol)およびt-BuOH(0.65 mL、0.065 mmol)中の2.5%四酸化オスミウム溶液が添加されたアセトン(8 mL)および水(1 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を室温で2時間、撹拌し、その後、追加のN-メチルモルホリン-N-オキシド(0.20 g、1.7 mmol)を添加し、溶液を室温でさらに16時間、撹拌した。その後、溶媒容量を約2 mLまで減少させ、溶液を5%水性チオ硫酸ナトリウム(30 mL)へ注いだ。結果として生じた混合物をEtOAc(2 x 30 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、橙色の油を生じた。その油を50% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.62の144 mg(62%)を生じた。

【0121】
2,3,5,6-テトラクロロ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.74)
2,3,5,6-テトラクロロ-1-(2,3-ジデオキシ-2,3-ジデヒドロ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.72、0.30 g、0.85 mmol)を、N-メチルモルホリン-N-オキシド(0.25 g、2.1 mmol)およびt-BuOH(1.0 mL、0.10 mmol)中の2.5%四酸化オスミウム溶液が添加されたアセトン(12 mL)および水(3 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を室温で2時間、撹拌した。その後、追加のN-メチルモルホリン-N-オキシド(0.25 g、2.1 mmol)を添加し、溶液を室温でさらに16時間、撹拌した。その後、溶媒容量を約5 mLまで減少させ、溶液を5%水性チオ硫酸ナトリウム(125 mL)へ注いだ。結果として生じた混合物をEtOAc(2 x 100 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を鹹水(50 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、湿った黄色の固体を生じた。粗物質をMeOH(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、黄色固体を生じ、それを50% MeOH/CHCl3およびヘキサンから再結晶させて、白色粉末として4.74の0.60 g(48%)を生じた。

【0122】
2,5,6-トリクロロ-3-ヨード-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.75)
2,5,6-トリクロロ-3-ヨード-1-(2,3-ジデオキシ-2,3-ジデヒドロ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.73、0.77 g、1.7 mmol)を、N-メチルモルホリン-N-オキシド(0.51 g、4.3 mmol)およびt-BuOH(1.7 mL、0.17 mmol)中の2.5%四酸化オスミウム溶液が添加されたアセトン(24 mL)および水(3 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を室温で2時間、撹拌した。その後、追加のN-メチルモルホリン-N-オキシド(0.51 g、4.3 mmol)を添加し、溶液を室温でさらに16時間、撹拌した。その後、溶媒容量を約5 mLまで減少させ、溶液を5%水性チオ硫酸ナトリウム(125 mL)へ注いだ。結果として生じた混合物をEtOAc(2 x 100 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を鹹水(50 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、湿った黄色の固体を生じた。粗物質をMeOH(2 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(50 x 450 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、黄色固体を生じ、それを50% MeOH/CHCl3およびヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.75の0.60 g(72%)を生じた。

【0123】
2,5,6-トリクロロ-3-(2-フリル)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.78)
2,5,6-トリクロロ-3-(2-フリル)-1-(3,5-ジ-O-トルオイル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.76、142 mg、0.22 mmol)を、ナトリウムメトキシド(30 mg、0.56 mmol)が添加された乾性MeOH(10 mL)に懸濁した。懸濁液を、固体が完全に溶解するまで、室温で45分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物を鹹水(50 mL)に懸濁した。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、透明な油を生じた。油をCHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じ、それを10% MeOH/CHCl3およびヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.78の67 mg(75%)を生じた。

【0124】
2,5,6-トリクロロ-3-(3-チエニル)-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.79)
2,5,6-トリクロロ-3-(2-チエニル)-1-(3,5-ジ-O-トルオイル-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.77、159 mg、0.24 mmol)を、ナトリウムメトキシド(30 mg、0.56 mmol)が添加された乾性MeOH(12 mL)に懸濁した。懸濁液を、固体が完全に溶解するまで、室温で90分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物を鹹水(50 mL)に懸濁した。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、透明な油を生じた。油をCHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じ、それを10% MeOH/CHCl3およびヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.79の84 mg(82%)を生じた。

【0125】
2,5,6-トリクロロ-3-(2-フリル)-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.84)
2,5,6-トリクロロ-3-(2-フリル)-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-メトキシメチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.82、105 mg、0.21 mmol)を、濃厚水性HCl(2 mL)が添加された無水MeOH(10 mL)に溶解した。結果として生じた懸濁液を60℃油浴上で45分間、加熱し、その後、室温まで冷却し、もはやMeOHが残存しなくなるまで蒸発させた。残りの水性懸濁液を鹹水(25 mL)で希釈し、EtOAc(2 x 40 mL)で抽出した。混合性有機抽出物を10% NaHCO3(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、薄黒い油を生じた。その油を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす灰色粉末として4.84の63 mg(65%)を生じた。

【0126】
2,5,6-トリクロロ-3-(3-チエニル)-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.85)
2,5,6-トリクロロ-3-(3-チエニル)-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-メトキシメチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.83、175 mg、0.34 mmol)を、濃厚水性HCl(2 mL)が添加された無水MeOH(10 mL)に溶解した。結果として生じた懸濁液を60℃油浴上で45分間、加熱し、その後、室温まで冷却し、もはやMeOHが残存しなくなるまで蒸発させた。残りの水性懸濁液を鹹水(25 mL)で希釈し、EtOAc(2 x 40 mL)で抽出した。混合性有機抽出物を10% NaHCO3(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、橙色の油を生じた。その油を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色残留物を生じ、それをMeOH/H2Oから再結晶させて、黄褐色の固体として4.85の110 mg(75%)を生じた。

【0127】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミルメチル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.92)
2,5,6-トリクロロ-3-[1-(2-メトキシ)ビニル]-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.90、185 mg、0.38 mmol)を、濃厚水性HCl(2 mL)が添加された無水MeOH(10 mL)に溶解した。結果として生じた懸濁液を60℃油浴上で1時間、加熱し、その後、室温まで冷却し、もはやMeOHが残存しなくなるまで蒸発させた。残りの水性懸濁液を鹹水(25 mL)で希釈し、EtOAc(2 x 40 mL)で抽出した。混合性有機抽出物を10% NaHCO3(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、黄色の油を生じた。その油を90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、溶液を室温で5分間、撹拌した。溶媒を約1 mLが残存するところまで蒸発させ、残りを10% 水性NaHCO3(50 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色粉末を生じた。その固体をMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、黄褐色の粉末として4.92の93 mg(62%)を生じた。

【0128】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.97)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.95、139 mg、0.34 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解した。溶液を室温で5分間、撹拌し、その後、約1 mLまで蒸発させた。残りを5% 水性Na2CO3(10 mL)および鹹水(40 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 100 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体をDMF(0.5 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じ、それを沸騰ヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.97の86 mg(70%)を生じた。

【0129】
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(5-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.98)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.96、207 mg、0.52 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解した。溶液を室温で5分間、撹拌し、その後、約1 mLまで蒸発させた。残りを5% 水性Na2CO3(10 mL)および鹹水(40 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 100 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体をDMF(0.5 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じ、それを、10% MeOH/CHCl3およびヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.98の152 mg(82%)を生じた。

【0130】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-デオキシ-5-アジド-β-D-リボフラノシル)インドール(4.102)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-デオキシ-5-アジド-β-D-リボフラノシル)インドール(4.100、168 mg、0.38 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を室温で2分間、撹拌し、その後、約1 mLまで蒸発させた。残りを10% 水性NaHCO3(50 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色の固体を生じた。その固体を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じ、それを、沸騰CHCl3から再結晶させて、うす黄色結晶固体として4.102の117 mg(76%)を生じた。

【0131】
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(5-デオキシ-5-アジド-β-D-リボフラノシル)インドール(4.103)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-デオキシ-5-アジド-β-D-リボフラノシル)インドール(4.101、216 mg、0.49 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を室温で2分間、撹拌し、その後、約1 mLまで蒸発させた。残りを10% 水性NaHCO3(50 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色の固体を生じ、それを、沸騰CHCl3から再結晶させて、白色粉末として4.103の165 mg(84%)を生じた。

【0132】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.107)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.105、133 mg、0.31 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解した。溶液を室温で5分間、撹拌し、その後、約1 mLまで蒸発させた。残りを10% 水性NaHCO3(50 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体をDMF(0.5 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じ、それを、10% MeOH/CHCl3およびヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.107の82 mg(68%)を生じた。

【0133】
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.108)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-デオキシ-5-フルオロ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.106、133 mg、0.31 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解した。溶液を室温で5分間、撹拌し、その後、約1 mLまで蒸発させた。残りを10% 水性NaHCO3(50 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色の固体を生じ、それを、EtOAc/ヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.108の150 mg(88%)を生じた。

【0134】
5,6-ジクロロ-2-メトキシ-3-ホルミル-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.114)
3-ホルミル-2,5,6-トリクロロ-1-[3,5-ジ-O-(p-トルオイル)-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル]インドール(4.113、198 mg、0.33 mmol)を、ナトリウムメトキシド(75 mg、1.4 mmol)が添加された乾性MeOH(10 mL)に懸濁した。懸濁液を室温で16時間、撹拌し、その時間の後、溶液は透明になった。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物を水(50 mL)に懸濁し、EtOAc(2 x 100 mL)で抽出した。混合性有機抽出物を鹹水(25 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、湿った固体を生じた。粗物質をMeOH(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じた。固体を温MeOHから再結晶させて、白色結晶固体として4.114の82 mg(68%)を生じた。

【0135】
2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.117)
2,5,6-トリクロロ-3-アセチル-1-[3,5-ジ-O-(p-トルオイル)-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル]インドール(4.116、0.62 g、1.0 mmol)を、ナトリウムメトキシド(220 mg、4.1 mmol)が添加された乾性MeOH(50 mL)に懸濁した。懸濁液を室温で16時間、撹拌し、その時間の後、溶液は最初に透明になり、その後、沈澱物が形成した。懸濁液を4℃で4時間、静置させておき、その後、濾過し、その固体を冷MeOH(10 mL)ですすいだ。その固体を温MeOHから再結晶させ、白色結晶固体として4.117の0.28 g(74%)を生じた。

【0136】
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.119)および5,6-ジクロロ-2-メトキシ-3-シアノ-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.120)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-[3,5-ジ-O-(p-トルオイル)-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル]インドール(4.118、366 mg、0.63 mmol)を、ナトリウムメトキシド(82 mg、1.5 mmol)が添加された乾性MeOH(30 mL)に懸濁した。懸濁液を室温で16時間、撹拌し、その後、溶媒を真空下で除去し、残留物を鹹水(100 mL)および水(10 mL)に懸濁した。水性混合物をEtOAc(2 x 100 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、粘性残留物を生じた。残留物をDMF(0.5 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じた。その固体をDMF(0.5 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。より迅速に流出した物質を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.120の47 mg(21%)を生じた。より遅く溶出した物質を含む画分をプールし、蒸発させて、白色粉末として4.119の120 mg(53%)を生じた。4.120:

【0137】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.122)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.121、540 mg、1.2 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、室温で5分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc(100 mL)に溶解した。有機溶液を10% 水性NaHCO3(50 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色粉末を生じ、それをEtOAc/ヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.122の420 mg(86%)を生じた。

【0138】
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.124)
2,5,6-トリクロロ-3-シアノ-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.123、2.45 g、5.3 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(25 mL)に溶解し、室温で2分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc(100 mL)に溶解した。有機溶液を10% 水性NaHCO3(100 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体をDMF(1 mL)に溶解し、7.5% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(50 x 450 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じ、それをCHCl3/ヘキサンから再結晶させて、白色結晶固体として4.124の1.85 g(83%)を生じた。

【0139】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-O-プロピオニル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.128)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-プロピオニル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.125、169 mg、0.35 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、室温で2分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc(100 mL)に溶解した。有機溶液を10% 水性NaHCO3(50 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じ、それを沸騰EtOAc/ヘキサンから再結晶させて、うす黄色の結晶固体として4.128の112 mg(72%)を生じた。

【0140】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-O-ブチリル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.129)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-ブチリル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.126、164 mg、0.33 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、室温で2分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc(100 mL)に溶解した。有機溶液を10% 水性NaHCO3(50 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じ、それを沸騰EtOAc/ヘキサンから再結晶させて、うす黄色の結晶固体として4.129の111 mg(74%)を生じた。

【0141】
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(5-O-メトキシカルボニル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.130)
2,5,6-トリクロロ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-メトキシカルボニル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.127、191 mg、0.40 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、室温で2分間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留物をEtOAc(100 mL)に溶解した。有機溶液を10% 水性NaHCO3(50 mL)で洗浄し、その後、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体を10% MeOH/CHCl3(1 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じ、それをMeOH/H2Oから再結晶させて、うす黄色の結晶固体として4.130の126 mg(72%)を生じた。

【0142】
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-ホルミル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.136)
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-ホルミル-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.135、257 mg、0.51 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(10 mL)に溶解し、その溶液を室温で5分間、撹拌した。溶媒を、約1 mLが残存するところまで蒸発させ、残りを10% 水性NaHCO3(50 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色粉末を生じた。その固体をDMF(0.5 mL)に溶解し、10% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じ、それをEtOAcおよびヘキサンから再結晶させて、白色の結晶固体として4.136の220 mg(93%)を生じた。

【0143】
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-ホルミル-1-(β-D-リボフラノシル)インドール(4.137)
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-ホルミル-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.136、101 mg、0.22 mmol)を、ナトリウムメトキシド(25 mg、0.46 mmol)が添加された乾性MeOH(10 mL)に溶解した。その溶液を、出発物質が消費されるまで(TLC)、室温で15分間、撹拌した。水(30 mL)を添加し、溶液を、MeOHが完全に除去されるまで、蒸発させた。残留の水性懸濁液をEtOAc(3 x 30 mL)で抽出し、混合性有機抽出物を鹹水(20 mL)で洗浄し、MgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色の固体を生じた。その固体をMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、白色の固体を生じ、それをMeOHおよびH2Oから再結晶させて、うす黄褐色の粉末として4.137の43 mg(47%)を生じた。

【0144】
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-シアノ-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.139)
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-シアノ-1-(2,3-O-イソプロピリデン-5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.138、184 mg、0.36 mmol)を、90% 水性トリフルオロ酢酸(5 mL)に溶解した。結果として生じた溶液を室温で2分間、撹拌し、その後、約1 mLまで蒸発させた。残りの溶液を10% 水性NaHCO3(50 mL)へ注いだ。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、白色の固体を生じた。その固体を沸騰EtOAcおよびヘキサンから再結晶させて、白色の結晶固体として4.139の149 mg(88%)を生じた。

【0145】
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-1-(β-D-リボフラノシル)インドール-3-カルボキサミドオキシム(4.140)
無水MeOH中のヒドロキシルアミンの溶液を、水酸化カリウム(1.83 g、33 mmol)を無水MeOH(20 mL)に溶解されたヒドロキシルアミン塩酸塩(2.50 g、36 mmol)へ添加し、10分間、撹拌することにより、調製した。結果として生じた固体を濾過し、冷無水MeOH(10 mL)ですすぎ、その濾液をさらに精製することなく、用いた。5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-シアノ-1-(5-O-アセチル-β-D-リボフラノシル)インドール(4.139、133 mg、0.29 mmol)をMeOH中のヒドロキシルアミンの粗溶液に溶解し、室温で4日間、撹拌した。その後、溶媒を真空下で除去し、残留固体を鹹水(40 mL)に溶解した。水性懸濁液をEtOAc(2 x 50 mL)で抽出し、混合性有機抽出物をMgSO4上で乾燥させ、濾過し、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。その固体をMeOH(1 mL)に溶解し、20% MeOH/CHCl3でのシリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じた。固体をMeOH(1 mL)に溶解し、75% MeOH/H2OでのC18逆相シリカゲルにおけるカラムクロマトグラフィー(40 x 350 mm)にかけた。生成物を含む画分をプールし、蒸発させて、うす黄色の固体を生じ、それをMeOH/H2Oから再結晶させて、うす黄色の粉末として4.140の54 mg(41%)を生じた。

【0146】
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-アセチル-1-(2-デオキシ-β-D-リボフラノシル)インドール(4.143)
5,6-ジクロロ-2-ブロモ-3-アセチル-1-[3,5-ジ-O-(p-トルオイル)-2-デオキシ-β-D-リボフラノシル]インドール(4.142、1.24 g、1.7 mmol)を、ナトリウムメトキシド(250 mg、4.6 mmol)が添加された無水MeOH(75 mL)に懸濁した。懸濁液を室温で2時間、撹拌し、その時間の後、溶液は最初に透明になり、その後、沈澱物が形成した。水(100 mL)を添加し、懸濁液を、もはやMeOHが残存しなくなるまで蒸発させた。残りの固体を濾過し、MeOH/H2Oから2回、再結晶させて、白色の結晶固体として4.143の475 mg(68%)を生じた。

【0147】
B. 生物学的評価
細胞培養手順
KB、BSC-1およびHFF細胞の日常的増殖および継代を、10%子ウシ血清または10%ウシ胎児血清(HFF細胞)を追加したハンクス塩[MEM(H)]かまたはアール塩[MEM(E)]のいずれかを含む最小必須培地(MEM)を用いて単層培養において行った。重炭酸ナトリウム濃度を、必要とされる緩衝能に応じるように変化させた。細胞は、HEPES緩衝食塩溶液における0.02%EDTAを加えた0.05%トリプシンを用いることによる通常の手順に従って1:2〜1:10の希釈度で継代させた30
【0148】
ウイルス学的手順
HCMVのTowne株、プラーク精製分離株P0、は親切にも、Mark Stinski博士、University of Iowa、により提供された。HSV-1のKOS株は、たいていの実験に用いられ、Sandra K. Weller博士、University of Connecticut、により提供された。ストックHCMVは、以前に詳述されているように(参照により本明細書に組み入れられている、Turk, et al., Agents Chemother. 1987, 31, 544-550)、細胞あたり<0.01プラーク形成単位の感染の多重度(m.o.i.)でHFF細胞を感染させることにより調製された。高力価HSV-1ストックは、また以前に詳述されているように(Truk et al.参照)、<0.1のm.o.i.でKB細胞を感染させることにより調製された。ウイルス力価は、以前に記載されているように(参照により本明細書に組み入れられている、Prichard, et al., J. Virol. Methods 1990, 28, 101-106)、HCMVについてHFF細胞の単層培養およびHSV-1についてBSC-1細胞の単層培養を用いて測定された。簡単には、HFFまたはBSC-1細胞を96ウェルのクラスター皿に上記のように蒔き、37℃で一晩、インキュベートした。次の日、培養物にHCMVまたはHSV-1を接種し、96ウェルのプレートの残りの11列に渡って1:3段階希釈した。ウイルス吸着後、種菌を新鮮培地に交換し、培養物を、HCMVについて7日間、HSV-1について2、3日間、インキュベートした。プラークを、ウェルあたり5個〜20個のプラークを与える希釈度を有するウェルにおいて20倍率下で数えた。ウイルス力価は、以下の式に従って計算された:力価(p.f.u./mL)=プラークの数×5×3n;nは、プラークが数えられたウェルを感染させるために用いられたウイルスの第n番目の希釈を表す。
【0149】
HCMVプラーク減少アッセイ法
24ウェルのクラスター皿におけるHFF細胞を、上で詳述された手順を用いて1 cm2細胞シートあたり約100 p.f.u.のHCMVで感染させた。ウイルス吸着後、DMSOにおいて10 mg/mLの原液として調製された化合物を、増殖培地で希釈し、4〜8つの選択された濃度における二連のウェルへ添加した。37℃で7〜10日間のインキュベーション後、細胞シートを固定し、クリスタルバイオレットで染色し、顕微鏡的プラークを上記のように数えた。薬物効果は、薬物の非存在下で観察された数と比較した各薬物濃度の存在下におけるプラークの数における減少のパーセンテージとして計算された。
【0150】
HSV-1 ELISA
HSV-1を検出するためにELISAを用いた(参照により本明細書に組み入れられている、Prichard, et al., Antiviral Res. 1990, 14, 181-206)。96ウェルのクラスター皿に、10% 子ウシ血清を加えたMEM(E)のウェルあたり200 μLにおいて、ウェルあたり10,000個のBSC-1細胞を蒔いた。37℃での一晩のインキュベーション後、4連での選択された薬物濃度および100 p.f.u./ウェルの濃度でのHSV-1を添加した。37℃での3日間のインキュベーション後、培地を除去し、プレートをブロックして、すすぎ、西洋ワサビペルオキシダーゼ結合型ウサギ抗HSV-1抗体を添加した。溶液を含む抗体の除去後、プレートをすすぎ、その後、基質としてのテトラメチルベンジジンの溶液のウェルあたり150 μLを添加することにより発色させた。反応をH2SO4で停止させ、吸光度を450 nmおよび570 nmにおいて読み取った。薬物効果は、薬物の非存在下におけるウイルスで得られた吸光度と比較した各薬物濃度の存在下における吸光度における低下のパーセンテージとして計算された。
【0151】
細胞毒性アッセイ法
2つの異なるアッセイ法を日常的細胞毒性試験のために用いた。(i)定常期HFF細胞において生じる細胞毒性が、プラークアッセイ法に用いられたウイルスにより冒されていない細胞の顕微鏡的検査により測定された(参照により本明細書に組み入れられている、Turk, et al., Agents Chemother. 1987, 31, 544-550)。(ii)KB細胞の2つの集団倍加中の化合物の効果が、以前に記載されているように、クリスタルバイオレット染色および染色された細胞から溶出された色素の分光光度定量により測定された(参照により本明細書に組み入れられている、Prichard, et al., Antiviral Res. 1991, 35, 1060-1065)。簡単には、96ウェルのクラスター皿に、ウェルあたり3000〜5000個の細胞でのKB細胞を蒔いた。37℃での一晩のインキュベーション後、試験化合物を6〜8つの濃度で4連において添加した。プレートをCO2インキュベーターにおいて37℃で48時間、インキュベートし、すすぎ、95% エタノールで固定し、0.1% クリスタルバイオレットで染色した。酸性化エタノールを添加し、プレートを、96ウェルELISAアッセイプレートを読み取るように設計された分光光度計において570 nmで読み取った。
【0152】
データ解析
用量反応相関が、log10の薬物濃度に対する上記のアッセイ法において導かれたパラメーターの阻害パーセントの直線回帰により薬物効果を定量化するために用いられた。50パーセント阻害濃度(IC50の)は、回帰線の直線部分から計算された。陽性対照(HSV-1についてのアシクロビル、HCMVについてのGCV、および細胞毒性についての2-アセチルピリジンチオセミカルバゾン)を含む試料は、すべてのアッセイにおいて用いられた。
【0153】
上記明細書に挙げられたすべての刊行物および特許は、参照により本明細書に組み入れられている。本発明の記載された方法および系の様々な改変および変化は、本発明の範囲および真意から逸脱することなく、当業者にとって明らかであると思われる。本発明は、特定の好ましい態様に関して記載されているが、主張されている本発明がそのような特定の態様に不当に限定されるべきではないことは、理解されるべきである。実際、関連した分野の業者にとって明らかである本発明を実行するための記載された様式の様々な改変は、特許請求の範囲の範囲内であることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0154】
【図1】図1Aは、TCRBおよび構造的に関連したヌクレオシドを示し、図1Bは、インドールヌクレオシドの修飾を示す。
【図2】2-ジアルキルアミン置換インドールヌクレオシドの合成を示す。
【図3】図3Aは、2-モノアルキルアミン置換ヌクレオシドの合成を示し、図3Bは、2-チオメチル誘導体の合成および2-メトキシ誘導体の合成を示す。
【図4】3-修飾インドールヌクレオシドの合成:3-アルデヒドの縮合を示す。
【図5】3-修飾インドールヌクレオシドの合成:3-ニトリルの縮合を示す。
【図6】図6Aは、3-修飾インドールヌクレオシドの合成:3-アシルインドールを示し、図6Bは、3-修飾インドールヌクレオシド前駆体の合成:2,5,6-トリクロロ-3-メチルインドールを示す。
【図7】3-修飾インドールヌクレオシドの合成:2,5,6-トリクロロ-3-メチルインドールのグリコシル化を示す。
【図8】3-修飾インドールヌクレオシドの合成:2,5,6-トリクロロ-3-ハロインドールのグリコシル化を示す。
【図9】3-修飾インドールヌクレオシドの合成:3-ヨード誘導体のPd触媒カップリングを示す。
【図10】3-修飾インドールヌクレオシドの合成:3-ホモアルデヒドを示す。
【図11】糖修飾インドールヌクレオシドの合成:5'-デオキシリボフラノシドを示す。
【図12】糖修飾インドールヌクレオシドの合成:5-デオキシ-5'-アジドリボフラノシドを示す。
【図13】糖修飾インドールヌクレオシドの合成:5'-デオキシ-5'フルオロリボフラノシドを示す。
【図14】糖修飾インドールヌクレオシドの合成:2'-デオキシリボフラノシドを示す。
【図15】糖修飾インドールヌクレオシドの合成:5'O-アシル-リボフラノシドを示す。
【図16】3-ホルミル-2-ブロモインドールヌクレオシドの合成を示す。
【図17】2-ブロモインドールカルボキサミドオキシムヌクレオシドの合成を示す。
【図18】3-アセチル-2-ブロモインドール2'-デオキシリボフラノシドの合成を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下のとおりである化学式(I)に示された化合物を含む組成物:

式中、
R1は、アルキルC1-10;アルケニルC1-10;ヘテロアリールを含むアリールC1-10;HEM(ヒドロキシエトキシメトキシ)、DHPM(ジヒドロキシプロポキシメチル);ペントフラノシルおよびペントピラノシル(DまたはL)(αまたはβ)、テトラフラノシル(DまたはL)(αまたはβ)であり;
R2は、R8およびR9が異なるかまたは同じであり得、かつアルキル(C1-10)、アルケニル(C1-10)、アリール、ヘテロアリール、アリールアルキル;ハロゲン、シアノ、メルカプタン、アルキルメルカプタン(C1-10)、またはアルコキシ(C1-10)から選択され得る、-NR8R9であり;
R3は、シアノ;R12がアルキル、アルキルアミン、尿素、チオ尿素であり得る、C=NR12;Xが=S、=O、=NH、=N-NH2、=NOH、=N-NHRであり得る-CXNH2;RがH、アルキル(C1-10)であり得る-RC=O;RがH、アルキル(C1-10)であり得る-CH2-C-R;複素環、チオフィン、フラン、イミダゾール、テトラゾール、イミダゾリジン、チアゾール、トリアゾール;またはニトロであり;ならびに
R4〜R7は、R4〜R7が同じもしくは異なるハロ基であり得るハロゲンまたは水素であり;R4〜R7は、ハロゲンが異なる並置にある、ニトロ基もしくはアジド基であってもよい、またはR4〜R7はまた、ハロゲン、ニトロ基およびアジド基において、異なるアルキル(C1-6)基を表してもよい。
【請求項2】
化合物が、化合物4.33、化合物4.46、化合物4.97、化合物4.117、化合物4.122、化合物4.137、4.140、および化合物4.143からなる群より選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
化合物が、化合物4.117および4.143から選択される、請求項1記載の組成物。
【請求項4】
化合物が抗ウイルス活性を有する、請求項1記載の組成物。
【請求項5】
化合物が少なくとも85の選択性指標を有する、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
薬学的に許容される担体または薬学的に許容される誘導体をさらに含む、請求項1記載の組成物。
【請求項7】
以下のとおりである化学式(I)に示された化合物を含む組成物:

式中、
R1は、i)D-もしくはL-リボース、D-もしくはL-キシロース、D-もしくはL-アラビノース、D-もしくはL-リキソース、D-もしくはL-エリスロース、D-もしくはL-トレオースから選択される分子;ii)該分子の2-デオキシ、3-デオキシ、5-デオキシ、5-O-アセチル、および2,3-ジデオキシ誘導体;iii)該分子および該誘導体のα-もしくはβ-アノマー;iv)アルキル(C1-10);v)アラルキル;vi)ヘテロアリール;vii)HEM(ヒドロキシエトキシメトキシ)、DHPM(ジヒドロキシプロポキシメチル);または;viii)HEM&DHPMの構造的変異体;
R2は、R8=R9H、CH3、C2H5イソプロピル、シクロプロピルであるNR8R9;ハロゲン、クロロ、ブロモ;R10=CH3、C2H5、CH2C6H5である-O-R10;R11=H、CH3、C2H5またはCH2C6H5である-S-R11であり;
R3は、シアノ;R12が尿素、置換尿素、チオ尿素、置換チオ尿素であるC=NR12;Xが=O、=S、=NOH、=N-NH2である-CXNH2;RがH、CH3、C2H5、C3H7である-CR=O;RがH、CH3、C2H5、C3H7である-CH2-RC=O;または環外複素環であり;ならびに
R4〜R7は、ハロ基Cl、Br、F、またはI、およびニトロ基およびアジド基を用いる置換の選択された変異体である。
【請求項8】
化合物が、化合物4.33、化合物4.46、化合物4.97、化合物4.117、化合物4.122、化合物4.137、4.140および化合物4.143からなる群より選択される、請求項7記載の組成物。
【請求項9】
化合物が、化合物4.117および4.143から選択される、請求項7記載の組成物。
【請求項10】
化合物が抗ウイルス活性を有する、請求項7記載の組成物。
【請求項11】
化合物が少なくとも85の選択性指標を有する、請求項10記載の組成物。
【請求項12】
薬学的に許容される担体または薬学的に許容される誘導体をさらに含む、請求項7記載の組成物。
【請求項13】
以下のとおりである化学式(I)に示された化合物を含む組成物:

式中、
R1は、D-リボフラノシル、2'-デオキシ-D-リボフラノシル、5'-O-アセチル-D-リボフラノシル、5'-O-アセチル-2'-デオキシ-D-リボフラノシル、2',3',5'-トリ-O-アセチル-D-リボフラノシル、3'-5'-ジ-O-アセチル-2'-デオキシ-D-リボフラノシル;または5'-デオキシ-D-リボフラノシル、2',3'-ジ-O-アセチル-5'-デオキシ-D-リボフラノシルであり;
R2は、R8=R9=H、CH3、C2H5、R8=HR9=イソプロピルまたはシクロプロピルである-NR8R9であり;式中、R2=Cl、Br;
R3は、シアノ;R12=尿素、チオ尿素であるC=NR12;Xが=O、=S、=NOH、=N-HN-Rである-CXNH2;R=H、CH3、C2H5、C3H7である-RC=O;チエニルまたはフリルであり;ならびに
R4〜R7は、クロロ、ブロモ、水素またはニトロ基から選択される環外基である。
【請求項14】
化合物が、化合物4.33、化合物4.46、化合物4.97、化合物4.117、化合物4.122、化合物4.137、4.140および化合物4.143からなる群より選択される、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
化合物が、化合物4.117および4.143から選択される、請求項13記載の組成物。
【請求項16】
化合物が抗ウイルス活性を有する、請求項13記載の組成物。
【請求項17】
化合物が少なくとも85の選択性指標を有する、請求項16記載の組成物。
【請求項18】
薬学的に許容される担体または薬学的に許容される誘導体をさらに含む、請求項13記載の組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公表番号】特表2007−520451(P2007−520451A)
【公表日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−534280(P2006−534280)
【出願日】平成16年10月6日(2004.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2004/032895
【国際公開番号】WO2005/034943
【国際公開日】平成17年4月21日(2005.4.21)
【出願人】(506118515)ザ レジェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ ミシガン (1)
【Fターム(参考)】