説明

インバータ装置

【課題】制御回路基板の裏面側に虫等が侵入することを防止して、機器の破損を回避することができるインバータ装置を提供すること。
【解決手段】前面に開口11が形成され、かつ内部の収納域12に制御部品が実装された制御回路基板30が収納された本体ケース10と、本体ケースの前面開口11を閉塞する本体カバー20とを備えたインバータ装置において、本体ケース10は、収納域12に向けて突出する態様で形成され、かつ自身の突出端面14が制御回路基板30の裏面側外縁部に当接することにより該制御回路基板の裏面を囲繞するケース壁部材13を備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インバータ装置に関し、より詳細には、前面に開口が形成され、かつ内部の収納域に制御部品が実装された制御回路基板が収納された本体ケースと、本体ケースの前面開口を閉塞する本体カバーとを備えたインバータ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、商用の交流電源等から交流電力を受電し、任意の周波数及び電圧の交流電力に変換して出力することにより負荷を駆動するインバータ装置が知られている。
【0003】
このようなインバータ装置においては、所望の周波数及び電圧の交流電力に出力する主回路部の他に、与えられた指令に応じて主回路部の動作を制御する部品が実装された制御回路基板を有する制御回路部が設けられており、これら主回路部及び制御回路部が本体ケースの収納域にそれぞれユニット化されて収納され、該本体ケースの前面開口が本体カバーにより閉塞されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−178345号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記インバータ装置には、本体ケースと本体カバーとの間に隙間が形成されていたり、外部インターフェース部品が設けられている個所に開口が形成されていたりするのが一般的である。そのため、かかるインバータ装置を屋外に設置した場合に、上記隙間や開口から虫等が侵入し、特に平板状である制御回路基板の裏面に至ることがある。制御回路基板には、高電圧部品が実装されており、その裏面には多くの電気回路が形成されることから、侵入した虫等によりかかる電気回路が短絡してしまい、結果的に機器の破損を招来する虞れがあった。
【0006】
本発明は、上記実情に鑑みて、制御回路基板の裏面側に虫等が侵入することを防止して、機器の破損を回避することができるインバータ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係るインバータ装置は、前面に開口が形成され、かつ内部の収納域に制御部品が実装された制御回路基板が収納された本体ケースと、前記本体ケースの前面開口を閉塞する本体カバーとを備えたインバータ装置において、前記本体ケースは、前記収納域に向けて突出する態様で形成され、かつ自身の突出端面が前記制御回路基板の裏面側外縁部に当接することにより該制御回路基板の裏面を囲繞するケース壁部材を備えたことを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2に係るインバータ装置は、上述した請求項1において、前記本体カバーは、前記収納域に向けて突出する態様で形成され、かつ自身の突出端面が前記制御回路基板の表面に当接することにより該制御回路基板の表面に実装された外部インターフェース部品とその他の制御部品とを区画するカバー壁部材を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明のインバータ装置によれば、本体ケースに収納域に向けて突出する態様で形成されたケース壁部材が、自身の突出端面が制御回路基板の裏面側外縁部に当接することにより該制御回路基板の裏面を囲繞するので、本体ケースと本体カバーとの隙間等と、制御回路基板の裏面側とを遮断することができ、これにより当該隙間等から虫等が侵入しても、虫等が制御回路基板の裏面側に侵入する虞れがない。これにより、侵入した虫等により電気回路が短絡してしまうことがない。従って、制御回路基板の裏面側に虫等が侵入することを防止して、機器の破損を回避することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の実施の形態であるインバータ装置の構成を示す斜視図である。
【図2】図2は、図1に示した本体ケースの収納域を示す斜視図である。
【図3】図3は、図1及び図2に示した本体ケースの内部構造を示す斜視図である。
【図4】図4は、図3の要部を拡大して示す拡大斜視図である。
【図5】図5は、本体ケース側から制御回路基板の裏面側を見た場合を拡大して示す拡大断面図である。
【図6】図6は、図1に示した本体カバーの内部構造を拡大して示す斜視図である。
【図7】図7は、本体カバー側から制御回路基板の表面側を見た場合を拡大して示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明に係るインバータ装置の好適な実施の形態について詳細に説明する。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態であるインバータ装置の構成を示す斜視図である。ここに例示するインバータ装置は、本体ケース10と本体カバー20とを備えて構成してある。
【0013】
本体ケース10は、図2に示すように、前面に開口11が形成された筐体であり、その内部の収納域12に制御回路基板30がネジ1により取り付けられて配設してある。制御回路基板30は、種々の制御回路部品が実装されており、より詳細には、与えられた指令に応じて主回路部(図示せず)の動作を制御する部品や、外部機器との接続を行う外部インターフェース部品31等が実装されている。ここで主回路部は、本体ケース10に収納してあり、商用電源からの供給された交流電力を所望の周波数及び電圧の交流電力に変換して出力するインバータ主回路を有している。
【0014】
このような本体ケース10には、図3に示すように、ケース壁部材13が形成してある。ケース壁部材13は、収納域12に向けて突出する態様で形成され、該収納域12に配設される制御回路基板30の外縁部に沿って延在している。このようなケース壁部材13は、自身の突出端面14が制御回路基板30の裏面側外縁部に当接することにより該制御回路基板30の裏面を囲繞するものである。
【0015】
また、本体ケース10においては、図4に拡大して示すように、制御回路基板30の外部インターフェース部品31が実装される個所には、かかる外部インターフェース部品31を外部に露出するための開口15(図1参照)を形成する切欠部16が形成してある。
【0016】
かかるケース壁部材13により、制御回路基板30の裏面側は密閉空間内に露出されることとなり、図5に示すように、外部インターフェース部品31が実装される部位においては、開口15と制御回路基板30の裏面側とはケース壁部材13で遮断されている。
【0017】
本体カバー20は、ネジ2を介して本体ケース10の前面開口11を閉塞する態様で該本体ケース10に取り付けてある。この本体カバー20には、図には明示しないが、操作パネル等が配設してある。
【0018】
このような本体カバー20には、図6に拡大して示すように、収納域12に向けて突出する態様で形成されたカバー壁部材21が設けてある。このカバー壁部材21は、その突出端面22が制御回路基板30の表面に当接することにより該制御回路基板30の表面に実装された外部インターフェース部品31とその他の制御部品とを区画するものである。
【0019】
かかるカバー壁部材21により、図7に示すように、外部インターフェース部品31が実装される部位においては、開口15と制御回路基板30の表面側とが遮断されている。
【0020】
以上のような構成を有するインバータ装置においては、本体ケース10のケース壁部材13が、その突出端面14が制御回路基板30の裏面側外縁部に当接することにより該制御回路基板30の裏面を囲繞するので、外部インターフェース部品31等による開口15が形成されていても、かかる開口15、あるいは本体ケース10と本体カバー20との隙間と、制御回路基板30の裏面側とを遮断することができ、これにより開口15等から虫等が侵入しても、虫等が制御回路基板30の裏面側に侵入する虞れがない。これにより、侵入した虫等により電気回路が短絡してしまうことがない。
【0021】
従って、本発明の実施の形態であるインバータ装置によれば、制御回路基板30の裏面側に虫等が侵入することを防止して、機器の破損を回避することができる。
【0022】
また、本体カバー20のカバー壁部材21が、その突出端面22が制御回路基板30の表面に当接することにより該制御回路基板30の表面に実装された外部インターフェース部品31とその他の制御部品とを区画するので、外部インターフェース部品31等による開口15が形成されていても、かかる開口15と、制御回路基板30の表面側とを遮断することができ、これにより開口15から虫等が侵入しても、虫等が制御回路基板30の表面側に侵入することを防止することができる。
【0023】
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
【0024】
例えば、本体ケース10の裏面側に配設してある冷却フィン部材17(図1参照)の温度を検知する温度センサを備え、かかる温度センサで検知される温度が予め決められた閾値を超えると、出力する周波数を低減させる制御部品を制御回路基板に実装するようにしてもよい。これによれば、負荷電流を小さくすることができ、ケース壁部材等を設けたことによるケース本体の収納域に高温異常が生ずることを防止することができる。
【0025】
また、上述した実施の形態では、本体カバー20にカバー壁部材21を設けていたが、本発明ではかかるカバー壁部材21は必須の構成要素ではなく、設けていなくても構わない。
【産業上の利用可能性】
【0026】
以上のように、本発明に係るインバータ装置は、商用電源からの供給電力に基づいて負荷を駆動するのに有用である。
【符号の説明】
【0027】
10 本体ケース
11 前面開口
12 収納域
13 ケース壁部材
14 突出端面
15 開口
16 切欠部
20 本体カバー
21 カバー壁部材
22 突出端面
30 制御回路基板
31 外部インターフェース部品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口が形成され、かつ内部の収納域に制御部品が実装された制御回路基板が収納された本体ケースと、
前記本体ケースの前面開口を閉塞する本体カバーと
を備えたインバータ装置において、
前記本体ケースは、前記収納域に向けて突出する態様で形成され、かつ自身の突出端面が前記制御回路基板の裏面側外縁部に当接することにより該制御回路基板の裏面を囲繞するケース壁部材を備えたことを特徴とするインバータ装置。
【請求項2】
前記本体カバーは、前記収納域に向けて突出する態様で形成され、かつ自身の突出端面が前記制御回路基板の表面に当接することにより該制御回路基板の表面に実装された外部インターフェース部品とその他の制御部品とを区画するカバー壁部材を備えたことを特徴とする請求項1に記載のインバータ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−39708(P2012−39708A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−175975(P2010−175975)
【出願日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【出願人】(000005234)富士電機株式会社 (3,146)
【Fターム(参考)】